説明

レジスト材料および電子線記録用レジスト材料

【課題】本発明は、光や電子線に対する感度が高く、より少ない露光で、明瞭かつ微細なパターンを形成可能なレジスト材料を提供することを主目的とするものである。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、金属化合物を有するレジスト材料であって、上記金属化合物を構成する金属元素が、第14族または第15族の金属元素であり、かつ、上記金属化合物が化学量論的に不完全な化合物であることを特徴とするレジスト材料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より少ない露光で、明瞭かつ微細なパターンを形成可能なレジスト材料および電子線記録用レジスト材料、これらを用いたレジスト基板および電子線記録用レジスト基板、並びに、パターン形成体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光学デバイス、磁気デバイス、半導体デバイス等を微細加工するために、主に有機レジスト材料が用いられていた。有機レジスト材料は、汎用性がありフォトリソグラフィの分野で広く用いられているものであるが、分子量が高いため、露光部と未露光部との境界部のパターンが不明瞭になりやすいという問題があった。また、光や電子線で直接記録を行っているため、光や電子線のスポット径よりも小さな微細パターンを形成することが困難であった。
【0003】
これに対して、無機レジスト材料は、分子量が低いため、露光部と未露光部との境界部のパターンが明瞭であるという利点を有する。そのため、現在様々な研究が行われている。例えば特許文献1においては、カルコゲン化合物の結晶状態の差によるエッチングレート差を用いて、カルコゲン化合物の特定の結晶状態の部分を選択的に除去し、光情報記録媒体原盤を得る方法が述べられている。
【0004】
特許文献1においては、光の露光等により生じる熱でカルコゲン化合物の結晶状態を変化させる方法を用いており、このような方法は、ヒートモード記録と呼ばれる方法である。ヒートモード記録においては、ある閾値以上の温度に達した部分のみが物理的・化学的な状態変化を起こし、閾値に達しない部分は例え昇温されたとしても物理的・化学的な状態変化を起こさないため、明瞭なパターンが形成されるという利点を有する。さらに、ヒートモード記録においては、光や電子線により露光された部分の中でも、閾値以上の温度に達した部分のみが状態変化を起こすため、光や電子線のスポット径よりも小さな微細パターンを形成することが可能であるという利点を有する。
【0005】
さらに、特許文献2においては、ヒートモード記録を用いた光情報記録媒体の原盤製造方法が開示されており、レジスト膜の他に記録補助層を設けることで、記録感度の向上や記録後のエッチング形状を制御する効果があることが述べられている。
【0006】
一方、特許文献3においては、WやMoのような遷移金属の不完全酸化物をレジスト膜として用いたレジスト材料が開示されている。特許文献3においては、不完全酸化物が紫外線や可視光を吸収することを利用し、既存の露光装置を用いて微細パターンを得ることを目的としたものであった。
【0007】
しかしながら、特許文献1から特許文献3に記載されたいずれのレジスト材料も、その分解温度の高さから、光や電子線に対する感度が不足しがちになるという問題があった。また、記録感度の向上という観点から、特許文献2においては記録補助層を設ける手法が検討されているが、記録補助層を設けることで、プロセスの増大や層構造の複雑化を引き起こす難点があった。
【0008】
また、電子線で記録を行う時には、電子線がレジスト材料と反応せずに基板側に突き抜けてしまったり、電子のチャージを避ける為に導電性をもつ金属等の材料を基板または基板上面に設ける必要があったり、といった別の課題が生じるが、その対策については先行技術には明示されていない。
【0009】
【特許文献1】特開平10‐97738号公報
【特許文献2】特開2005‐11489公報
【特許文献3】特開2003‐315988公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上のことから、光や電子線に対する感度が高く、より少ない露光で、明瞭かつ微細なパターンを形成可能なレジスト材料および電子線記録用レジスト材料の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、基板と、上記基板上に形成され、レジスト材料を用いてなるレジスト膜と、を有するレジスト基板であって、上記レジスト材料が、金属化合物を有し、上記金属化合物を構成する金属元素が、第14族または第15族の金属元素であり、上記金属化合物が金属酸化物であり、上記金属化合物が化学量論的に不完全な化合物であり、上記金属化合物をM1−X(Mは金属元素、Oは酸素元素、Xは金属化合物中のOの組成割合)とし、化学量論組成比となるXを100%とした場合に、上記金属化合物でのXが75%〜95%の範囲内であり、上記レジスト膜上に電子線減速層が形成されていることを特徴とするレジスト基板を提供する。
【0012】
また本発明は、金属化合物を有し、上記金属化合物を構成する金属元素が、第14族または第15族の金属元素であり、上記金属化合物が金属酸化物であり、上記金属化合物が化学量論的に不完全な化合物であり、上記金属化合物をM1−X(Mは金属元素、Oは酸素元素、Xは金属化合物中のOの組成割合)とし、化学量論組成比となるXを100%とした場合に、上記金属化合物でのXが75%〜95%の範囲内であるレジスト材料を用いてなるレジスト膜を基板上に成膜し、上記レジスト膜上に電子線減速層を形成した後、上記レジスト膜に電子線照射を行うことを特徴とするパターン形成体の製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明のレジスト材料、レジスト基板、電子線記録用レジスト材料、電子線記録用レジスト基板、およびパターン形成体の製造方法について詳細に説明する。
【0014】
A.レジスト材料
まず、本発明のレジスト材料について説明する。本発明のレジスト材料は、化学量論的に不完全な金属化合物を有するレジスト材料である。本発明において「化学量論的に不完全な金属化合物」とは、金属元素と、上記金属元素に結合する非金属元素との組成割合が化学量論的に一致していない化合物と定義する。逆に、金属元素と非金属元素との組成割合が化学量論的に一致する金属化合物を「化学量論的に完全な金属化合物」と定義する。
【0015】
例えば、金属化合物として金属酸化物Biを考えた場合、組成割合をBi1−Xに換算すると、X=0.6の場合は「化学量論的に完全な金属酸化物」であるといえ、X=0.6以外の場合は「化学量論的に不完全な金属酸化物」であるといえる。なお、一般的に、非金属元素の組成割合が、金属元素の価数により決定される非金属元素の理想的な組成割合を超えることはない。具体的には、上記の例において、通常X=0.6を超えることはなく、Xは0<X<0.6の範囲内となる。
【0016】
また、金属元素によっては、複数の価数をとり得る金属元素があり、価数の異なる金属化合物を形成する場合があるが、組成割合が化学量論的に一致していない場合は、同様に「化学量論的に不完全な金属酸化物」として扱うことができる。金属酸化物における金属元素の価数は、市販の分析装置で分析可能である。
【0017】
また、本発明のレジスト材料は、用いられる金属化合物の種類によって以下の二態様に大別することができる。すなわち、上記金属化合物を構成する金属元素が、第14族または第15族の金属元素であることを特徴とする態様(第一態様)および上記金属化合物が金属窒化物であることを特徴とする態様(第二態様)である。以下、上記の二態様について詳細に説明する。
【0018】
1.第一態様
まず、本発明の第一態様のレジスト材料について説明する。本態様のレジスト材料は、金属化合物を有するレジスト材料であって、上記金属化合物を構成する金属元素が、第14族または第15族の金属元素であり、かつ、上記金属化合物が化学量論的に不完全な化合物であることを特徴とするものである。
【0019】
本態様によれば、第14族または第15族の金属元素を含む金属化合物を用いることによって、より少ない露光で、明瞭かつ微細なパターンを形成可能なレジスト材料とすることができる。これは、第14族または第15族の金属元素を含む金属化合物の分解温度が、従来のレジスト材料に用いられている遷移金属元素を含む金属化合物の分解温度に比べて低いことに起因するものである。なお、金属化合物の分解温度とは、その温度を超えると熱エネルギーのみによって金属化合物の結合が外れる温度であって、殆どの金属化合物において融点にほぼ一致するが、昇華温度の方が低い化合物では昇華点に一致する。すなわち、従来の遷移金属元素を用いたレジスト材料においては、遷移金属元素の分解温度が高いため、光や電子線に対する感度が低く、所望のパターンを得るために、多くの露光が必要であった。これに対して、本態様のレジスト材料は、分解温度が低いため、光や電子線に対する感度が高く、より少ない露光で明瞭なパターンを形成することができる。
【0020】
次に、本態様のレジスト材料の適用例について図面を用いて説明する。例えば図1(a)に示すように、基板1と、レジスト材料Bi3―αからなるレジスト膜2と、を有する部材を用意する。次に、図1(b)に示すように、光や電子線で露光することによって、所定の閾値以上の温度に加熱された部分のみがBi3−βとOとに分解され記録部3が形成される。この際、記録部3はOが抜けることで多孔質構造を形成していると考えられる。また、光や電子線により露光された部分の中でも、所定の閾値以上の温度に達した部分のみが記録部3となるため、光や電子線のスポット径よりも小さな微細パターンを形成することができる。一方、所定の閾値以上の温度に達しなかった部分は、昇温されたとしても分解反応等が起きず、そのまま未記録部4となる。また、記録部3の結晶状態等は、未記録部4の結晶状態等と異なるものとなり、現像液に対する溶解度等が変化し、図1(c)に示すように、記録部3のみを除去することができる。
【0021】
次に、本態様に用いられる金属化合物について説明する。ここで、本態様に用いられる金属化合物を、M1−X(Mは金属元素、Aは非金属元素、Xは金属化合物中のAの組成割合を表すものである。)と定義する。
【0022】
上記Mは、単数の金属元素を表すものであっても良く、複数の金属元素を表すものであっても良い。上記Mが単数の金属元素を表すものである場合、上記Mとしては、第14族または第15族の金属元素であれば特に限定されるものではないが、具体的には、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb,Biを挙げることができ、中でもBi、Sn、Geが好ましい。
【0023】
また、上記Mが複数の金属元素を表すものである場合、上記Mとしては、少なくとも第14族または第15族の金属元素を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、第14族または第15族の金属元素を複数種類有するもの、第14族または第15族の金属元素と、それ以外の金属元素とを有するもの等を挙げることができる。この際、上記第14族または第15族の金属元素としては、Bi、Sn、Geであることが好ましい。中でも、本態様においては、上記Mが、Bi、SnおよびGeからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素と、Si、Cu、Fe、TiおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素と、を有するものであることが好ましい。明瞭かつ微細なパターンを形成可能なレジスト材料とすることができるからである。また、上記Mは、後述するAとの組合せで分解温度が異なる金属化合物となる。そのため、本発明においては、上記Mのうち少なくとも1種類以上の金属元素とAとの化合物が、より分解温度が低い金属化合物となるように、後述するAを適宜選択することが好ましい。
【0024】
上記Aとしては、具体的にはO、N、C等を挙げることができ、中でもOおよびNが好ましく、特にNが好ましい。より少ない露光で明瞭なパターンを得ることができるレジスト材料を得ることができる。なお、上記AがOの場合は金属酸化物となり、上記AがNの場合は金属窒化物となり、上記AがCの場合は金属炭化物となる。すなわち、上記金属化合物としては、金属酸化物、金属窒化物および金属炭化物等を挙げることができ、中でも金属酸化物および金属窒化物が好ましく、特に金属窒化物が好ましい。
【0025】
また、上記Xの範囲としては、レジスト材料の用途により大きく異なるものであり、特に限定されるものではない。ただし、非金属元素(例えば窒素)の組成割合が低くなるほど、金属としての性質が強い金属化合物となり、光吸収は増大する反面、熱伝導率も増大し熱が留まらず、感度が低下する点に留意する必要がある。逆に、非金属元素(例えば窒素)の割合組成が高くなるほど、化学量論的に完全な金属化合(例えば窒化)物に近づき、光吸収の向上が見られず、紫外線や可視光を用いた露光が困難になる場合があることに留意する必要がある。
【0026】
Xの値について詳細に検討を行ったところ、化学量論組成比となるXを100%とすると、Xが75%〜95%の範囲にあることが、光の吸収と熱伝導のバランスの点で望ましかった。なお、電子線で記録を行う場合には光吸収性は考慮しなくても良いため、反応に必要十分な化合物であれば良い。従って光を用いた記録よりも化学量論的に完全な金属化合(例えば窒化)物に近くても、完全な金属化合(例えば窒化)物であっても良い。つまり、Xは75%〜100%の範囲にあることが望ましい。
【0027】
また、本態様に用いられる金属化合物の融点としては、特に限定されるものではないが、具体的には、0℃〜1500℃の範囲内、中でも100℃〜1200℃の範囲内、特に200℃〜1000℃の範囲内であることが好ましい。融点が上記範囲より高い場合には、光や電子線に対する感度が不足しがちになり、融点が上記範囲より低い場合には、金属化合物の安定性が悪くなるからである。また、常温における金属化合物の安定性という観点からは、金属化合物の融点が200℃以上であることが好ましい。また、表1に、第14族または第15族金属化合物および遷移金属化合物の融点の一例を示す。表1から明らかなように、第14族または第15族金属化合物の融点は、遷移金属化合物に比べて、全体的に低いものである。
【0028】
【表1】

【0029】
また、本態様のレジスト材料は、光や電子線を熱に変換する発熱剤を含有するものであっても良い。このような発熱剤としては、特に限定されるものではないが、具体的にはPd、Ag、Au、Pt等の貴金属等を挙げることができる。また、電子親和力の高いF、Cl、Br、I等のハロゲン元素や、LiF、NaCl、KBr、CaF、MgF、AlF、BiF等の金属ハロゲン化物も電子線を熱に変換する効果があり、レジスト材料に含有させることが効果的である。
【0030】
また、本態様のレジスト材料の用途としては、特に限定されるものではないが、例えば光学デバイス、磁気デバイス、半導体デバイス等に用いることができる。また、本態様のレジスト材料は、電子線記録用レジスト材料であっても良く、光記録用レジスト材料であっても良いが、中でも電子線記録用レジスト材料であることが好ましい。より微細なパターンを形成することが可能だからである。
【0031】
また、本態様のレジスト材料の製造方法としては、より少ない露光で、明瞭かつ微細なパターンを形成可能なレジスト材料を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、具体的には、反応スパッタリング法、蒸着法等を挙げることができる。反応スパッタリング法を用いたレジスト材料の製造方法の一例としては、第14族または第15族の金属単体からなるスパッタターゲットを用いて、アルゴンおよび酸素雰囲気中でスパッタリングを行うことにより、化学量論的に不完全な金属酸化物を有するレジスト材料を得る方法等を挙げることができる。この際、酸素濃度を変化させることにより、上記金属酸化物中の酸素組成比を制御することができる。また、複数の金属元素を有するスパッタターゲットを用いることで、複数の金属元素を有する金属酸化物を得ることができる。また、化学量論的に不完全な金属窒化物を得る場合は、アルゴンおよび窒素雰囲気中で反応スパッタリング法を同様に行えば良い。
【0032】
2.第二態様
次に、本発明の第二態様のレジスト材料について説明する。本態様のレジスト材料は、金属化合物を有するレジスト材料であって、上記金属化合物が金属窒化物であり、かつ、上記金属化合物が化学量論的に不完全な化合物であることを特徴とするものである。
【0033】
本態様によれば、金属窒化物を用いることによって、より少ない露光で明瞭なパターンを形成可能なレジスト材料とすることができる。これは、金属窒化物の分解温度が、従来のレジスト材料に用いられている金属酸化物等の分解温度に比べて低いことに起因するものである。
【0034】
次に、本態様のレジスト材料の適用例について図面を用いて説明する。例えば図2(a)に示すように、基板1と、レジスト材料BiN1−αからなるレジスト膜2と、を有する部材を用意する。次に、図2(b)に示すように、光や電子線で露光することによって、所定の閾値以上の温度に加熱された部分のみがBiN1−βとNとに分解され記録部3が形成される。この際、記録部3はNが抜けることで多孔質構造を形成していると考えられる。また、光や電子線により露光された部分の中でも、所定の閾値以上の温度に達した部分のみが記録部3となるため、光や電子線のスポット径よりも小さな微細パターンを形成することができる。一方、所定の閾値以上の温度に達しなかった部分は、昇温されたとしても分解反応等が起きず、そのまま未記録部4となる。また、記録部3の結晶状態等は、未記録部4の結晶状態等と異なるものとなり、現像液に対する溶解度等が変化し、図2(c)に示すように、記録部3のみを除去することができる。
【0035】
次に、本態様に用いられる金属化合物について説明する。ここで、本態様に用いられる金属化合物を、M1−X(Mは金属元素、Nは窒素元素、Xは金属窒化物中のNの組成割合を表すものである。)と定義する。
【0036】
上記Mは、単数の金属元素を表すものであっても良く、複数の金属元素を表すものであっても良い。上記Mが単数の金属元素を表すものである場合、上記Mとしては、金属窒化物を形成することができる金属元素であれば特に限定されるものではないが、中でも第14族または第15族の金属元素が好ましく、第14族または第15族の金属元素の中でも、Bi、Sn、Geが好ましい。
【0037】
また、上記Mが複数の金属元素を表すものである場合、上記Mとしては、金属窒化物を形成することができる金属元素の組合せであれば特に限定されるものではないが、例えば第14族または第15族の金属元素を有するもの等を挙げることができる。このような場合においては、上記Mとして、第14族または第15族の金属元素を複数種類有するもの、第14族または第15族の金属元素と、それ以外の金属元素とを有するもの等を挙げることができる。この際、上記第14族または第15族の金属元素としては、Bi、Sn、Geであることが好ましい。中でも、本態様においては、上記Mが、BiおよびSnからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素と、Ge、Si、Cu、Fe、TiおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素と、を有するものであることが好ましい。明瞭かつ微細なパターンを形成可能なレジスト材料とすることができるからである。
【0038】
また、上記Xの範囲としては、レジスト材料の用途により大きく異なるものであり、特に限定されるものではない。ただし、窒素元素の組成割合が低くなるほど、金属としての性質が強い金属窒化物となり、光吸収は増大する反面、熱伝導率も増大し熱が留まらず、感度が低下する点に留意する必要がある。逆に、窒素の割合組成が高くなるほど、化学量論的に完全な金属窒化物に近づき、光吸収の向上が見られず、紫外線や可視光を用いた露光が困難になる場合があることに留意する必要がある。
【0039】
Xの値について詳細に検討を行ったところ、化学量論組成比となるXを100%とすると、Xが75%〜95%の範囲にあることが、光の吸収と熱伝導のバランスの点で望ましかった。なお、電子線で記録を行う場合には光吸収性は考慮しなくても良いため、反応に必要十分な化合物であれば良い。従って、光を用いた記録よりも化学量論的に完全な金属窒化物に近くても、完全な金属窒化物であっても良い。つまり、Xは75%〜100%の範囲にあることが望ましい。
【0040】
また、本態様に用いられる金属窒化物の融点としては、特に限定されるものではないが、具体的には、0℃〜1500℃の範囲内、中でも100℃〜1000℃の範囲内、特に200℃〜400℃の範囲内であることが好ましい。融点が上記範囲より高い場合には、光や電子線に対する感度が不足しがちになり、融点が上記範囲より低い場合には、金属窒化物の安定性が悪く、好ましくない。また、常温における金属窒化物の安定性という観点からは、金属窒化物の融点が200℃以上であることが好ましい。また、表2に、金属窒化物および金属酸化物の融点の一例を示す。表2から明らかなように、金属窒化物の融点は、金属酸化物に比べて、全体的に低いものである。
【0041】
【表2】

【0042】
また、本態様のレジスト材料は、光や電子線を熱に変換する発熱剤を含有するものであっても良い。このような発熱剤としては、第一態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。また、本態様のレジスト材料の用途および製造方法等についても、第一態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0043】
B.レジスト基板
次に、本発明のレジスト基板について説明する。本発明のレジスト基板は、基板と、上記基板上に形成され、上述したレジスト材料を用いてなるレジスト膜と、を有することを特徴とするものである。
【0044】
本発明によれば、上述したレジスト材料を用いてなるレジスト膜を有することから、より少ない露光で、明瞭かつ微細なパターンを形成することができるという利点を有する。
【0045】
本発明に用いられる基板としては、一般的なレジスト基板に用いられる基板と同様のものを用いることができる。また、本発明に用いられるレジスト材料等については、「A.レジスト材料」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。基板上にレジスト膜を形成する方法としては、例えば、反応スパッタリング法、蒸着法等を挙げることができる。
【0046】
本発明においては、上記基板が金属基板であり、かつ、上記金属基板および上記レジスト膜の間に、蓄熱層が形成されていることが好ましい。蓄熱層を設けることにより、熱伝導率の高い金属基板を用いた場合であっても、ヒートモード記録において熱が保持されるという利点を有するからである。なお、上記蓄熱層はガラス基板や樹脂基板等の、熱伝導率が低くて、それ自体に蓄熱性を持つ基板を用いた時には無くても構わない層である。
【0047】
図3は、蓄熱層を有するレジスト基板の一例を示す概略断面図である。図3に示されるレジスト基板は、金属基板1´と、金属基板1´上に形成された蓄熱層5と、蓄熱層5上に形成されたレジスト膜2と、を有するものである。
【0048】
上記金属基板の材料としては、熱伝導率の高いものであれば特に限定されるものではないが、例えばシリコン、アルミニウム等の金属板等を挙げることができる。
【0049】
上記蓄熱層の材料としては、熱を保持することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、熱伝導率の低い金属窒化物、金属酸化物、金属炭化物、金属硫化物、金属セレン化物等の金属化合物、およびその混合物等を挙げることができる。中でも上記レジスト膜に使用している金属化合物とは異なる金属を用いた誘電体材料が好ましく、特に一般的で好ましいのはZnS−SiOである。また、上記蓄熱層には樹脂材料を用いることもできる。
【0050】
特に電子線で記録を行う場合には、電子が基板に帯電して電子ビームに影響を与えてしまうことを避ける為に、基板または基板上面に金属等の導電性の高い材料を設けなくてはならない為、高い導電率と低い熱伝導率を両立する為に蓄熱層が効果的である。
【0051】
上記蓄熱層の厚さとしては、特に限定されるものではないが、例えば10nm〜1000nmの範囲内、特に20nm〜400nmの範囲内であることが望ましい。薄過ぎると蓄熱の効果が不足し、厚過ぎると生産性の低下を招くと共に、膜の表面性の悪化や、膜の応力による剥がれや割れの原因となる。
【0052】
上記蓄熱層の形成方法としては、上述した蓄熱層を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。具体的には、上記蓄熱層の材料が、上述した金属化合物等である場合には、例えば、スパッタリング法、蒸着法等を挙げることができる。
【0053】
また、本発明において、電子線で記録を行う場合には、上記レジスト膜上に電子線減速層が形成されていることが好ましい。電子線減速層を設けることにより、多くの電子がレジスト膜と反応し、効率よく電子線を熱に変換することができるからである。電子線減速層については、後述する「D.電子線記録用レジスト材料」で詳細に説明するので、ここでの説明は省略する。
【0054】
C.電子線記録用レジスト材料
次に、本発明の電子線記録用レジスト材料について説明する。本発明の電子線記録用レジスト材料は、電子線記録用に用いられるものであって、金属化合物の種類によって以下の二態様に大別することができる。すなわち、上記金属化合物を構成する金属元素が、第14族または第15族の金属元素であることを特徴とする態様(第三態様)、および上記金属化合物が金属窒化物であることを特徴とする態様(第四態様)である。以下、上記の二態様について詳細に説明する。
【0055】
1.第三態様
まず、本発明の第三態様の電子線記録用レジスト材料について説明する。本態様の電子線記録用レジスト材料は、金属化合物を有する電子線記録用レジスト材料であって、上記金属化合物を構成する金属元素が、第14族または第15族の金属元素であることを特徴とするものである。
【0056】
本態様によれば、第14族または第15族の金属元素を含む金属化合物を用いることによって、より少ない露光で、明瞭かつ微細なパターンを形成可能な電子線記録用レジスト材料とすることができる。これは、第14族または第15族の金属元素を含む金属化合物の分解温度が、従来のレジスト材料に用いられている遷移金属元素を含む金属化合物の分解温度に比べて低いことに起因するものである。なお、金属化合物の分解温度とは、その温度を超えると熱エネルギーのみによって金属化合物の結合が外れる温度であって、殆どの金属化合物において融点にほぼ一致するが、昇華温度の方が低い化合物では昇華点に一致する。すなわち、従来の遷移金属元素を用いたレジスト材料においては、遷移金属元素の分解温度が高いため、電子線に対する感度が低く、所望のパターンを得るために、多くの露光が必要であった。これに対して、本態様の電子線記録用レジスト材料は、分解温度が低いため、電子線に対する感度が高く、より少ない露光で明瞭なパターンを形成することができる。
【0057】
本態様に用いられる金属化合物は、「化学量論的に完全な金属化合物」であっても良く、「化学量論的に不完全な金属化合物」であっても良い。これらの定義については、上記「A.レジスト材料」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。また、本態様のレジスト材料は、電子線を熱に変換する発熱剤を含有するものであっても良い。さらに、具体的な金属化合物や発熱剤、電子線記録用レジスト材料の製造方法等については、上記「A.レジスト材料 1.第一態様」に記載の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。特に、本態様においては、上記金属化合物が、金属酸化物であることが好ましい。
【0058】
2.第四態様
次に、本発明の第四態様の電子線記録レジスト材料について説明する。本態様の電子線記録用レジスト材料は、金属化合物を有する電子線記録用レジスト材料であって、上記金属化合物が、金属窒化物であることを特徴とするものである。
【0059】
本態様によれば、金属窒化物を用いることによって、より少ない露光で明瞭なパターンを形成可能な電子線記録レジスト材料とすることができる。これは、金属窒化物の分解温度が、従来のレジスト材料に用いられている金属酸化物等の分解温度に比べて低いことに起因するものである。
【0060】
本態様に用いられる金属窒化物は、「化学量論的に完全な金属化合物」であっても良く、「化学量論的に不完全な金属化合物」であっても良い。これらの定義については、上記「A.レジスト材料」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。また、本態様のレジスト材料は、電子線を熱に変換する発熱剤を含有するものであっても良い。さらに、具体的な金属窒化物や発熱剤、電子線記録用レジスト材料の製造方法等については、上記「A.レジスト材料 2.第二態様」に記載の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0061】
D.電子線記録用レジスト基板
次に、本発明の電子線記録用レジスト基板について説明する。基板と、上記基板上に形成され、上述した電子線記録用レジスト材料を用いてなる電子線記録用レジスト膜と、を有することを特徴とするものである。
【0062】
本発明によれば、上述した電子線記録用レジスト材料を用いてなる電子線記録用レジスト膜を有することから、より少ない露光で、明瞭かつ微細なパターンを形成することができるという利点を有する。
【0063】
本発明に用いられる基板としては、一般的なレジスト基板に用いられる基板と同様のものを用いることができる。また、本発明に用いられる電子線記録用レジスト材料等については、「C.電子線記録用レジスト材料」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。基板上に電子線記録用レジスト膜を形成する方法としては、例えば、反応スパッタリング法、蒸着法等を挙げることができる。
【0064】
本発明においては、上記基板が金属基板であり、かつ、上記金属基板および上記レジスト膜の間に、蓄熱層が形成されていることが好ましい。蓄熱層を設けることにより、熱伝導率の高い金属基板を用いた場合であっても、ヒートモード記録において熱が保持されるという利点を有するからである。なお、上記金属基板および上記蓄熱層等については、上記「B.レジスト基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0065】
また、本発明においては、上記電子線記録用レジスト膜上に電子線減速層が形成されていることが好ましい。電子線減速層は、加速電圧を受けて高速で進入して来る電子線の大半が、電子線記録用レジスト膜と反応せずに基板側に突き抜けてしまうことを避けるために設ける層で、電子がこの電子線減速層材料中を通過する際に衝突等によって減速されることで、多くの電子がレジスト膜と反応し、効率よく電子線を熱に変換する事ができるようになる。
【0066】
図4は、電子線減速層を有する電子線記録用レジスト基板の一例を示す概略断面図である。図4に示される電子線記録用レジスト基板は、基板1と、基板1上に形成された電子線記録用レジスト膜6と、電子線記録用レジスト膜6上に形成された電子線減速層7と、を有するものである。
【0067】
上記電子線減速層の材料としては、主成分が樹脂である層が好適で、例えば紫外線硬化型の樹脂や、熱硬化型の樹脂、熱硬化併用の紫外線硬化型樹脂、溶剤揮発硬化型樹脂等を含有するもの等を挙げることができる。このような樹脂として具体的には、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ乳酸樹脂、およびこれらの混合樹脂等が挙げられる。また、電子線レジストとして使用されている樹脂(日本ゼオン製、ZEP520A等)等を電子線減速層として流用することも可能である。
【0068】
また、例えば上記樹脂中に電子線を吸収・発熱する発熱剤を含有させても良い。このような発熱剤としては、特に限定されるものではないが、例えばPd、Ag、Au、Pt等の貴金属、電子親和力の高いF、Cl、Br、I等のハロゲン元素、LiF、NaCl、KBr、CaF、MgF、AlF、BiF等の金属ハロゲン化物等を挙げることができる。
【0069】
上記電子線減速層の厚さとしては、特に限定されるものではないが、例えば10nm〜600μmの範囲内、中でも50nm〜100μmの範囲内であることが好ましい。上記電子線減速層の厚さが薄過ぎると減速効果が不足し、厚すぎると生産性の低下を招くからである。
【0070】
上記電子線減速層の形成方法としては、上述した電子線減速層を得ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な塗布方法を用いることができる。
【0071】
なお、上記電子線減速層は、電子線記録用レジスト基板に記録を行った後、ホルマリン等を用いて溶解させることや、Oプラズマ中にさらすことで容易に取り除くことができる。
【0072】
また、本発明の電子線記録用レジスト基板は、蓄熱層および電子線減速層の両方を備えていても良い。具体的には、図5に示すように、金属基板1´と、金属基板1´上に形成された蓄熱層5と、蓄熱層5上に形成された電子線記録用レジスト膜6と、電子線記録用レジスト膜6上に形成された電子線減速層7と、を有するもの等を挙げることができる。なお、電子線記録用レジスト基板が蓄熱層を備える場合は、通常、基板として金属基板が用いられる。
【0073】
E.パターン形成体の製造方法
次に、本発明のパターン形成体の製造方法について説明する。本発明のパターン形成体の製造方法は、上述したレジスト材料を用いてなるレジスト膜、または上述した電子線記録用レジスト材料を用いてなる電子線記録用レジスト膜を基板上に成膜した後、上記レジスト膜または上記電子線記録用レジスト膜に電子線照射を行うことを特徴とするものである。
【0074】
本発明のパターン形成体の製造方法は、以下の二態様に大別することができる。すなわち、上記「C.電子線記録用レジスト材料」に記載した電子線記録用レジスト材料を用いて電子線記録用レジスト膜を形成し、電子線照射を行う態様(第五態様)、および上記「A.レジスト材料」に記載したレジスト材料を用いてレジスト膜を形成し、電子線照射を行う態様(第六態様)である。以下、上記の二態様について詳細に説明する。
【0075】
1.第五態様
本発明のパターン形成体の製造方法の第五態様について説明する。本態様のパターン形成体の製造方法は、上述した電子線記録用レジスト材料を用いてなる電子線記録用レジスト膜を基板上に成膜した後、上記電子線記録用レジスト膜に電子線照射を行うことを特徴とするものである。
【0076】
本態様によれば、上述した電子線記録用レジスト材料からなる電子線記録用レジスト膜に対して、光照射に比べ、より小さなスポット径で照射可能な電子線照射を行うことにより、更に微細なパターンを有するパターン形成体を得ることができる。本態様により得られるパターン形成体の用途としては、特に限定されるものではないが、例えば光学デバイス、磁気デバイス、半導体デバイス、表示デバイス等に用いることができる。
【0077】
以下、本態様のパターン形成体の製造方法について、電子線記録用レジスト材料を用いてなる電子線記録用レジスト膜を基板上に形成する電子線記録用レジスト膜形成工程と、上記電子線記録用レジスト膜に電子線照射を行い、潜像パターンを形成する露光工程と、上記潜像パターンから凹凸パターンを形成する現像工程とに分けて説明する。
【0078】
(1)電子線記録用レジスト膜形成工程
本工程は、基板上に上記電子線記録用レジスト材料からなる電子線記録用レジスト膜を形成する工程である。
本工程において、基板上に電子線記録用レジスト膜を設ける方法としては、特に限定されるものではないが、例えば反応スパッタリング法、蒸着法等を挙げることができる。
【0079】
また、本工程により得られる電子線記録用レジスト膜は、金属化合物を有するものである。このような金属化合物としては、上記「C.電子線記録用レジスト材料」に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。特に、本態様においては、上記金属化合物を構成する金属元素が重元素であることが好ましい。重元素を用いることにより、電子衝突時の電子の平均自由工程が短くなり、電子が高密度に反応することができるからである。従って、例えば金属化合物を構成する金属元素が、第14族または第15族の金属元素である場合は、Sn、Sb、Pb、Biであることが好ましい。
【0080】
また、本工程により得られる電子線記録用レジスト膜は、電子線を熱に変換する発熱剤を含有するものであっても良い。このような発熱剤としては、「A.レジスト材料」に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0081】
また、本工程により得られる電子線記録用レジスト膜の膜厚としては、パターン形成体の用途によって異なるものであるが、例えば5nm〜500nmの範囲内、中でも10nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
【0082】
本工程に用いられる基板としては、本態様のパターン形成体の用途により異なるものであるが、例えばガラス、ポリカーボネート等のプラスチック、シリコン、アルミナチタンカーバイド、ニッケル、カーボン等を挙げることができる。また、本工程においては、上記基板と上記電子線記録用レジスト膜との間に蓄熱層を設けても良く、上記電子線記録用レジスト膜上に電子線減速層を設けても良い。蓄熱層および電子線減速層については、上記「D.電子線記録用レジスト基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0083】
(2)露光工程
本工程は、上記電子線記録用レジスト膜に電子線照射を行い、潜像パターンを形成する工程である。本工程においては、上記電子線記録用レジスト材料からなる電子線記録用レジスト膜が電子線照射された際に、所定の閾値以上の温度に加熱された部分のみが状態変化を起こす。そのため、電子線のスポット径よりも小さな微細パターンを形成することができる。
【0084】
本工程において、電子線記録用レジスト膜に電子線照射を行う方法としては、特に限定されるものではなく、一般的な電子線描画等に用いられる装置等を用いることができる。
【0085】
また、電子線照射における加速電圧としては、パターン形成体の用途によって異なるものであるが、例えば5kV〜500kVの範囲内、中でも10kV〜200kVの範囲内であることが好ましい。
【0086】
(3)現像工程
本工程は、上記潜像パターンから凹凸パターンを形成する工程である。本工程においては、上記「A.レジスト材料」に記載したように、所定の閾値以上の温度に加熱された部分(潜像パターン)の結晶構造等は、その他の部分の結晶構造等と異なるものであり、現像液に対する溶解度等が変化する。そのため、潜像パターンに応じた凹凸パターンを形成することができる。
【0087】
本工程において、パターンの潜像から凹凸パターンを形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えばアルカリ現像液または酸現像液を用いたウェットエッチング現像、アルゴンやフルオロカーボン等のガスを用いてプラズマ中で行うドライエッチング現像等を挙げることができる。
【0088】
上記アルカリ現像液としては、所望の凹凸パターンを形成することができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等を挙げることができる。また、上記アルカリ現像液の濃度は、電子線記録用レジスト膜を構成する金属化合物の種類等に応じて適宜選択することが好ましい。
【0089】
また、上記酸現像液としては、所望の凹凸パターンを形成することができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、塩酸水溶液、酢酸水溶液、硫酸水溶液、リン酸水溶液等を挙げることができる。また、上記酸現像液の濃度は、電子線記録用レジスト膜を構成する金属化合物の種類等に応じて適宜選択することが好ましい。
【0090】
また、本工程においては、現像時に超音波発振機を用いても良い。上記「A.レジスト材料」に記載したように、所定の閾値以上の温度に加熱された部分(潜像パターン)は、多孔質構造を形成すると考えられる。従って、多孔質構造を形成していない部分に比べて機械強度が低くなり、超音波発振機を用いることにより、容易に凹凸パターンを得ることができる。
【0091】
また、上記ドライエッチングとしては、所望の凹凸パターンを形成することができるガスおよび装置であれば特に限定されるものではないが、具体的には、エッチングガスとしてAr等の不活性ガス、CF、C等のフルオロカーボン系ガス、CHF等のフルオロメタン系ガス、Cl、BCl等の塩素系ガスを挙げることができ、ドライエッチング装置としてイオンミリング装置、容量結合型や誘導結合型の反応性イオンエッチング装置等を挙げることができる。また、上記ガスの種類、圧力、流量および、エッチング装置、エッチング電力等の条件は、電子線記録用レジスト膜を構成する金属化合物の種類等に応じて適宜選択することが好ましい。
【0092】
2.第六態様
本発明のパターン形成体の製造方法の第六態様について説明する。本態様のパターン形成体の製造方法は、上述したレジスト材料を用いてなるレジスト膜を基板上に成膜した後、上記レジスト膜に電子線照射を行うことを特徴とするものである。
【0093】
本態様によれば、化学量論的に不完全な金属化合物を含むレジスト材料からなるレジスト膜に対して、光照射に比べ、より小さなスポット径で照射可能な電子線照射を行うことにより、更に微細なパターンを有するパターン形成体を得ることができる。本態様により得られるパターン形成体の用途としては、特に限定されるものではないが、例えば光学デバイス、磁気デバイス、半導体デバイス、表示デバイス等に用いることができる。
【0094】
以下、本態様のパターン形成体の製造方法について、上記レジスト材料を用いてなるレジスト膜を基板上に形成するレジスト膜形成工程と、上記レジスト膜に電子線照射を行い、潜像パターンを形成する露光工程と、上記潜像パターンから凹凸パターンを形成する現像工程とに分けて説明する。
【0095】
(1)レジスト膜形成工程
本工程は、基板上に上記レジスト材料からなるレジスト膜を形成する工程である。
本工程において、基板上にレジスト膜を設ける方法としては、特に限定されるものではないが、例えば反応スパッタリング法、蒸着法等を挙げることができる。このような方法については、「A.レジスト材料」に記載した方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0096】
また、本工程により得られるレジスト膜は、化学量論的に不完全な金属化合物を有するものである。このような金属化合物としては、上記「A.レジスト材料」に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。特に、本態様においては、上記金属化合物を構成する金属元素が重元素であることが好ましい。重元素を用いることにより、電子衝突時の電子の平均自由工程が短くなり、電子が高密度に反応することができるからである。従って、例えば金属化合物を構成する金属元素が、第14族または第15族の金属元素である場合は、Sn、Sb、Pb、Biであることが好ましい。
【0097】
レジスト膜の膜厚、基板の種類等のその他の事項については、上記「E.パターン形成体の製造方法 1.第五態様」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0098】
(2)その他の工程
本態様における、露光工程および現像工程については、上記「E.パターン形成体の製造方法 1.第五態様」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0099】
F.その他
以上のように、本発明においては、以下の発明を提供することができる。
1.基板と、上記基板上に形成され、レジスト材料を用いてなるレジスト膜と、を有するレジスト基板であって、
上記レジスト材料が、金属化合物を有し、上記金属化合物を構成する金属元素が、第14族または第15族の金属元素であり、上記金属化合物が金属酸化物であり、上記金属化合物が化学量論的に不完全な化合物であり、上記金属化合物をM1−X(Mは金属元素、Oは酸素元素、Xは金属化合物中のOの組成割合)とし、化学量論組成比となるXを100%とした場合に、上記金属化合物でのXが75%〜95%の範囲内であり、
上記基板が金属基板であり、かつ、上記金属基板および上記レジスト膜の間に、蓄熱層が形成されていることを特徴とするレジスト基板。
2.基板と、上記基板上に形成され、レジスト材料を用いてなるレジスト膜と、を有するレジスト基板であって、
上記レジスト材料が、金属化合物を有し、上記金属化合物を構成する金属元素が、第14族または第15族の金属元素であり、上記金属化合物が金属酸化物であり、上記金属化合物が化学量論的に不完全な化合物であり、上記金属化合物をM1−X(Mは金属元素、Oは酸素元素、Xは金属化合物中のOの組成割合)とし、化学量論組成比となるXを100%とした場合に、上記金属化合物でのXが75%〜95%の範囲内であり、
上記レジスト膜上に電子線減速層が形成されていることを特徴とするレジスト基板。
3.金属化合物を有し、上記金属化合物を構成する金属元素が、第14族または第15族の金属元素であり、上記金属化合物が金属酸化物であり、上記金属化合物が化学量論的に不完全な化合物であり、上記金属化合物をM1−X(Mは金属元素、Oは酸素元素、Xは金属化合物中のOの組成割合)とし、化学量論組成比となるXを100%とした場合に、上記金属化合物でのXが75%〜95%の範囲内であるレジスト材料を用いてなるレジスト膜を基板上に成膜した後、上記レジスト膜に電子線照射を行うことを特徴とするパターン形成体の製造方法。
4.基板と、上記基板上に形成され、レジスト材料を用いてなるレジスト膜と、を有するレジスト基板であって、
上記レジスト材料が、金属化合物を有し、上記金属化合物が金属窒化物であり、かつ、上記金属化合物が化学量論的に不完全な化合物であり、
上記基板が金属基板であり、かつ、上記金属基板および上記レジスト膜の間に、蓄熱層が形成されていることを特徴とするレジスト基板。
5.基板と、上記基板上に形成され、レジスト材料を用いてなるレジスト膜と、を有するレジスト基板であって、
上記レジスト材料が、金属化合物を有し、上記金属化合物が金属窒化物であり、かつ、上記金属化合物が化学量論的に不完全な化合物であり、
上記レジスト膜上に電子線減速層が形成されていることを特徴とするレジスト基板。
6.金属化合物を有し、上記金属化合物が金属窒化物であり、かつ、上記金属化合物が化学量論的に不完全な化合物であるレジスト材料を用いてなるレジスト膜を基板上に成膜した後、上記レジスト膜に電子線照射を行うことを特徴とするパターン形成体の製造方法。
7.金属化合物を有するレジスト材料であって、上記金属化合物を構成する金属元素がBiであり、上記金属化合物が化学量論的に不完全な化合物であることを特徴とするレジスト材料。
8.上記金属化合物が金属酸化物であることを特徴とする上記7に記載のレジスト材料。
9.上記金属化合物が金属窒化物であることを特徴とする上記7に記載のレジスト材料。
10.金属化合物を有するレジスト材料であって、上記金属化合物が金属酸化物であり、上記金属化合物が化学量論的に不完全な化合物であり、上記金属化合物を構成する金属元素が、Bi、SnおよびGeからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素と、Si、Cu、Fe、TiおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素と、を有することを特徴とするレジスト材料。
11.金属化合物を有するレジスト材料であって、上記金属化合物が金属窒化物であり、上記金属化合物が化学量論的に不完全な化合物であり、上記金属化合物を構成する金属元素が、BiおよびSnからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素と、Ge、Si、Cu、Fe、TiおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素と、を有することを特徴とするレジスト材料。
12.上記金属化合物をM1-XX(Mは金属元素、Aは非金属元素、Xは金属化合物中のAの組成割合)とし、化学量論組成比となるXを100%とした場合に、上記金属化合物でのXが75%〜95%の範囲内であることを特徴とする上記7から上記11までのいずれかに記載のレジスト材料。
13.金属化合物を有する電子線記録用レジスト材料であって、上記金属化合物を構成する金属元素がBiであることを特徴とする電子線記録用レジスト材料。
14.上記金属化合物が金属酸化物であることを特徴とする上記13に記載の電子線記録用レジスト材料。
15.上記金属化合物が金属窒化物であることを特徴とする上記13に記載の電子線記録用レジスト材料。
16.金属化合物を有する電子線記録用レジスト材料であって、上記金属化合物が金属酸化物であり、上記金属化合物を構成する金属元素が、Bi、SnおよびGeからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素と、Si、Cu、Fe、TiおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素と、を有することを特徴とする電子線記録用レジスト材料。
17.金属化合物を有する電子線記録用レジスト材料であって、上記金属化合物が金属窒化物であり、上記金属化合物を構成する金属元素が、BiおよびSnからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素と、Ge、Si、Cu、Fe、TiおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素と、を有することを特徴とする電子線記録用レジスト材料。
18.上記金属化合物が金属窒化物であり、上記金属化合物をM1-XX(Mは金属元素、Aは非金属元素、Xは金属化合物中のAの組成割合)とし、化学量論組成比となるXを100%とした場合に、上記金属化合物でのXが75%〜95%の範囲内であることを特徴とする上記13から上記17までのいずれかに記載の電子線記録用レジスト材料。
【0100】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0101】
[実施例1]
厚さ1.1mm、直径12cmのポリカーボネート樹脂の基板を使用して、基板の上に厚さ60nmのBi−Ge−Nレジスト膜を、Bi−GeターゲットをArガス70sccmに対してNガス20sccmの雰囲気中で反応スパッタリング法によって窒素導入成膜した。レジスト膜についてX線電子分光器:X−ray Photoelectron Spectroscopy(XPS)にて分析を行った結果、原子比率はBi:10atomic%、Bi−N:62atomic%、Ge−N:28atomic%であった。
【0102】
次に、上記レジスト膜側から、線速度4.92m/sで、波長405nm、対物レンズ開口数0.85の光ヘッドを用いて、1−7変調のランダムパターンを記録した。記録レーザーパワーは8mW、記録にはマルチパルスを用いて、ウインドウ幅は15.15nsecとした。
【0103】
次に、アルカリ現像液のテトラメチルアンモニウム水酸化溶液中(2.38%水溶液)で、ウェットエッチング現像を行った。Bi−Ge−Nはテトラメチルアンモニウム水酸化溶液に殆ど溶解しない為、エッチングの加速とエッチングが全面で均一に行われるように現像液に浸したまま超音波をかけて19分間エッチングを行った。エッチング後は純水で十分に洗浄し、エアブローにて乾燥させてサンプルを得た。その結果、図6に示すようにマーク部分が選択的にエッチングされて、レジストとして機能している事が確認された。
【0104】
[実施例2]
実施例1におけるアルカリ現像の代わりに、酸現像を行った。Bi−Ge−Nは酸に溶解するので、0.05%の酢酸水溶液を酸現像液として、ウェットエッチング現像を行った。具体的には、エッチングの加速とエッチングが全面で均一に行われるように現像液に浸したまま超音波をかけて19分間エッチングを行った。エッチング後は純水で十分に洗浄し、エアブローにて乾燥させてサンプルを得た。その結果、酸による現像においても図7に示すようにマーク部分が選択的にエッチングされて、レジストとして機能している事が確認された。
【0105】
以上のように、本発明においては、上記Bi−Ge−Nレジスト膜のように、化学量論的に不完全な金属化合物を用いることによって、より少ない露光で、明瞭かつ微細なパターンを形成可能なレジスト材料とすることができる。
【0106】
[実施例3]
厚さ0.38mm、直径3インチのシリコン基板を使用して、基板の上に厚さ20nmのZnS−SiO膜を蓄熱層としてスパッタリング法によって成膜した後、その上に厚さ400nmのBi−Ge−Nレジスト膜を、Bi−GeターゲットをArガス70sccmに対してNガス20sccmの雰囲気中で反応スパッタリング法によって窒素導入成膜した。
【0107】
次に、上記レジスト膜側から、加速電圧50keV、ビーム電流900nA、ビーム径が約100nmの電子線を用いて、線速度0.2m/sで、ピッチ幅0.32μmのラインパターンを記録した。
【0108】
次に、酸現像液の0.02%酢酸水溶液中で、ウェットエッチング現像を行った。具体的には、エッチングの加速とエッチングが全面で均一に行われるように現像液に浸したまま超音波をかけて19分間エッチングを行った。エッチング後は純水で十分に洗浄し、エアブローにて乾燥させてサンプルを得た。その結果、図8に示すように記録ライン部分が選択的にエッチングされて、レジストとして機能している事が確認された。
【0109】
[実施例4]
厚さ0.38mm、直径3インチのシリコン基板を使用して、基板の上に厚さ400nmのZnS−SiO膜を蓄熱層としてスパッタリング法によって成膜した後、その上に厚さ200nmのBi−Oレジスト膜を、BiターゲットをArガス80sccmに対してOガス10sccmの雰囲気中で反応スパッタリング法によって酸素導入成膜した。
【0110】
次に、上記レジスト膜側から、加速電圧50keV、ビーム電流900nA、ビーム径が約100nmの電子線を用いて、線速度0.2m/sで、ピッチ幅0.32μmのラインパターンを記録した。
【0111】
次に、酸現像液の10%硝酸水溶液中で、ウェットエッチング現像を行った。具体的には、現像液に浸して45秒間エッチングを行った。エッチング後は純水で十分に洗浄し、エアブローにて乾燥させてサンプルを得た。その結果、図9に示すように、やや露光時間および現像時間が長過ぎてライン状のパターンの一部が倒れてしまっているものの、記録ライン部分が選択的にエッチングされて、原理的にはレジストとして機能している事が確認された。
【0112】
[実施例5]
実施例4と同様のレジスト基板に対して、上記レジスト膜側から、加速電圧50keV、ビーム電流900nA、ビーム径が約100nmの電子線を用いて、線速度1.0m/sで、ピッチ幅0.32μmのラインパターンを記録した。
【0113】
次に、実施例4における酸現像の代わりに、ドライエッチング現像を行った。具体的には、反応性イオンエッチング装置を用いて、導入ガスとしてCHFガスを圧力0.5Pa流量50sccmで供給し、プラズマ生成アンテナRF電力50W、基板バイアスRF電力10W、基板温度20℃に設定し、10分間エッチングを行ってサンプルを得た。その結果、ドライエッチング現像においても図10に示すように記録ライン部分が選択的にエッチングされて、レジストとして機能している事が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明のレジスト材料に光が露光された際の状態変化を示す説明図である。
【図2】本発明のレジスト材料に光が露光された際の状態変化を示す説明図である。
【図3】本発明のレジスト基板の一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の電子線記録用レジスト基板の一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の電子線記録用レジスト基板の他の例を示す概略断面図である。
【図6】実施例1におけるアルカリ現像の結果を示す画像である。
【図7】実施例2における酸現像の結果を示す画像である。
【図8】実施例3における酸現像の結果を示す画像である。
【図9】実施例4における酸現像の結果を示す画像である。
【図10】実施例5におけるドライエッチング現像の結果を示す画像である。
【符号の説明】
【0115】
1… 基板
1´ …金属基板
2… レジスト膜
3… 記録部
4… 未記録部
5… 蓄熱層
6… 電子線記録用レジスト膜
7… 電子線減速層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に形成され、レジスト材料を用いてなるレジスト膜と、を有するレジスト基板であって、
前記レジスト材料が、金属化合物を有し、前記金属化合物を構成する金属元素が、第14族または第15族の金属元素であり、前記金属化合物が金属酸化物であり、前記金属化合物が化学量論的に不完全な化合物であり、前記金属化合物をM1−X(Mは金属元素、Oは酸素元素、Xは金属化合物中のOの組成割合)とし、化学量論組成比となるXを100%とした場合に、前記金属化合物でのXが75%〜95%の範囲内であり、
前記レジスト膜上に電子線減速層が形成されていることを特徴とするレジスト基板。
【請求項2】
前記金属化合物を構成する金属元素がBiであることを特徴とする請求項1に記載のレジスト基板。
【請求項3】
金属化合物を有し、前記金属化合物を構成する金属元素が、第14族または第15族の金属元素であり、前記金属化合物が金属酸化物であり、前記金属化合物が化学量論的に不完全な化合物であり、前記金属化合物をM1−X(Mは金属元素、Oは酸素元素、Xは金属化合物中のOの組成割合)とし、化学量論組成比となるXを100%とした場合に、前記金属化合物でのXが75%〜95%の範囲内であるレジスト材料を用いてなるレジスト膜を基板上に成膜し、前記レジスト膜上に電子線減速層を形成した後、前記レジスト膜に電子線照射を行うことを特徴とするパターン形成体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−134653(P2008−134653A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16689(P2008−16689)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【分割の表示】特願2007−518944(P2007−518944)の分割
【原出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】