説明

レジスト組成物、レジストパターン形成方法、化合物、酸発生剤

【課題】レジスト組成物用の酸発生剤として有用な新規な化合物、該化合物からなる酸発生剤、該酸発生剤を含有するレジスト組成物および該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供する。
【解決手段】酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分、および露光により酸を発生する酸発生剤成分を含有するレジスト組成物であって、酸発生剤成分が、一般式(b1−11)で表される化合物からなる酸発生剤を含むことを特徴とするレジスト組成物。式(b1−11)中、R”〜R”のうち少なくとも1つは、置換基として式(I)で表される基を有する置換アリール基であり、式(I)中のWは2価の連結基である。Xは、式(b−3)または(b−4)で表されるアニオンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物、該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法、レジスト組成物用の酸発生剤として有用な化合物、該化合物からなる酸発生剤に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィー技術においては、例えば基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、所定のパターンが形成されたマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。露光した部分が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料をポジ型、露光した部分が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト材料をネガ型という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のFエキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
【0003】
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジストが用いられている。たとえばポジ型の化学増幅型レジストは、ベース樹脂として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂と酸発生剤とを含有しており、レジストパターン形成時に、露光により酸発生剤から酸が発生すると、露光部がアルカリ現像液に対して可溶となる。
【0004】
これまで、化学増幅型レジストのベース樹脂としては、KrFエキシマレーザー(248nm)に対する透明性が高いポリヒドロキシスチレン(PHS)やその水酸基を酸解離性の溶解抑制基で保護した樹脂(PHS系樹脂)が用いられてきた。しかし、PHS系樹脂は、ベンゼン環等の芳香環を有するため、248nmよりも短波長、たとえば193nmの光に対する透明性が充分ではない。そのため、PHS系樹脂をベース樹脂成分とする化学増幅型レジストは、たとえば193nmの光を用いるプロセスでは解像性が低いなどの欠点がある。そのため、現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用されるレジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、一般的に(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)が用いられている。ポジ型の場合、かかる樹脂としては、脂肪族多環式基を含有する第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を含む(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位、例えば2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等から誘導される構成単位を有する樹脂が主に用いられている(たとえば特許文献1参照)。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。
【0005】
化学増幅型レジストにおいて使用される酸発生剤としては、これまで多種多様のものが提案されており、たとえばヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤などが知られている。
現在、オニウム塩系酸発生剤としては、カチオン部にトリフェニルスルホニウム等のスルホニウムイオンを有するものが主に用いられている。また、オニウム塩系酸発生剤のアニオン部としては、アルキルスルホン酸イオンや、そのアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたフッ素化アルキルスルホン酸イオンが一般的に用いられている(たとえば特許文献2参照)。
かかるオニウム塩系酸発生剤を用いる場合、露光後のレジスト膜中での酸の拡散を抑制するためには、アニオン部のアルキル基またはフッ素化アルキル基の長さが長い方が好ましいと考えられる。ところが、炭素数6以上のアルキル基またはフッ素化アルキル基は難分解性であり、該アニオン部としては、生体蓄積性を考慮した取り扱いの安全のために、炭素数4以下のもの、たとえばノナフルオロブタンスルホン酸イオン等が用いられている。
最近、カチオンの構造で、トリ(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム等の嵩高い基を含む置換基を導入したオニウム塩系酸発生剤が提案されている(たとえば特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−241385号公報
【特許文献2】特開2005−37888号公報
【特許文献3】特開2006−18071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように嵩高い置換基が導入された酸発生剤は、疎水性が比較的高いため、レジストの基材成分との親和性や有機溶剤への溶解性に優れ、リソグラフィー特性の向上に寄与すると考えられる。
しかし、疎水性が高くなるほどアルカリ現像液に対する溶解性が悪い傾向があり、酸発生剤のアルカリ現像液に対する溶解性が悪くなると、現像時に充分に溶解せず、ディフェクトやパターン裾引き等の問題を引き起こすおそれがある。ディフェクトとは、例えば、KLAテンコール社の表面欠陥観察装置(商品名「KLA」)により、現像後のレジストパターンを真上から観察した際に検知される不具合全般のことである。この不具合とは、例えば現像後のスカム、泡、ゴミ、レジストパターン間のブリッジ、色むら、析出物等である。
そのため、優れた現像液溶解性と、良好なリソグラフィー特性とを両立でき、レジスト組成物用の酸発生剤として有用な新規な化合物に対する要求がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、レジスト組成物用の酸発生剤として有用な新規な化合物、該化合物からなる酸発生剤、該酸発生剤を含有するレジスト組成物および該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち本発明の第一の態様は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するレジスト組成物であって、前記酸発生剤成分(B)が、下記一般式(b1−11)で表される化合物からなる酸発生剤(B1)を含むことを特徴とするレジスト組成物である。
【0009】
【化1】

[式中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基であり、R”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよく、R”〜R”のうち少なくとも1つは、置換基として下記一般式(I)で表される基を有する置換アリール基であり、Xは下記一般式(b−3)または(b−4)で表されるアニオンである。]
【0010】
【化2】

[式(I)中、Wは2価の連結基を表す。式(b−3)中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;式(b−4)中、Y”、Z”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基またはハロゲン化アルキル基を表す。Z”に結合した−SO−は、−C(=O)−に置換されていてもよい。]
【0011】
本発明の第二の態様は、支持体上に、前記第一の態様のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
本発明の第三の態様は、下記一般式(b1−11)で表される化合物である。
【0012】
【化3】

[式中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基であり、R”〜R”のうちのいずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよく、R”〜R”のうち少なくとも1つは、置換基として下記一般式(I)で表される基を有する置換アリール基であり、Xは下記一般式(b−3)または(b−4)で表されるアニオンである。]
【0013】
【化4】

[式(I)中、Wは2価の連結基である。式(b−3)中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;式(b−4)中、Y”、Z”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基またはハロゲン化アルキル基を表す。Z”に結合した−SO−は、−C(=O)−に置換されていてもよい。]
【0014】
本発明の第四の態様は、前記第三の態様の化合物からなる酸発生剤である。
【0015】
本明細書および本特許請求の範囲において、「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素数1〜5のアルキル基である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「構成単位」とは、樹脂成分(重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、レジスト組成物用の酸発生剤として有用な新規な化合物、該化合物からなる酸発生剤、該酸発生剤を含有するレジスト組成物および該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
≪レジスト組成物≫
本発明のレジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)とを含有する。
かかるレジスト組成物においては、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が変化する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が変化する一方、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しない。そのため、これをアルカリ現像することによりレジストパターンが形成される。
【0018】
<(A)成分>
(A)成分としては、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられている有機化合物を1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
ここで、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記基材成分として用いられる分子量が500以上の有機化合物は、非重合体と重合体とに大別される。非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のもの(以下、低分子化合物という。)が用いられる。重合体としては、通常、分子量が2000以上のもの(以下、樹脂という。)が用いられる。樹脂の場合、「分子量」としてはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。以下、単に「樹脂」という場合は、分子量が2000以上の重合体を示すものとする。
(A)成分としては、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する樹脂を用いてもよく、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する低分子化合物を用いてもよく、これらを併用してもよい。
【0019】
本発明のレジスト組成物がネガ型レジスト組成物である場合、(A)成分としては、アルカリ現像液に可溶性の基材成分が用いられ、さらに当該ネガ型レジスト組成物に架橋剤が配合される。
かかるネガ型レジスト組成物は、露光により(B)成分から酸が発生すると、当該酸が作用して基材成分と架橋剤との間で架橋が起こり、アルカリ現像液に対して難溶性へ変化する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ネガ型レジスト組成物を基板上に塗布して得られるレジスト膜を選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりレジストパターンが形成できる。
ネガ型レジスト組成物の基材成分としては、通常、アルカリ現像液に対して可溶性の樹脂(以下、アルカリ可溶性樹脂という。)が用いられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、またはα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも一つから誘導される単位を有する樹脂が、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。なお、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基)が結合しているα−ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方または両方を示す。
架橋剤としては、例えば、通常は、メチロール基またはアルコキシメチル基を有するグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤を用いると、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。架橋剤の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
【0020】
本発明のレジスト組成物がポジ型レジスト組成物である場合、(A)成分としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分が用いられる。該基材成分は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、露光により前記(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を基板上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部は、アルカリ現像液に対して難溶性から可溶性に変化する一方で、未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりレジストパターンが形成できる。
本発明のレジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であることが好ましい。すなわち、本発明のレジスト組成物において、(A)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分であることが好ましい。
該(A)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(以下、(A1)成分ということがある。)であってもよく、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する低分子化合物(以下、(A2)成分ということがある。)であってもよく、これらの混合物であってもよい。
【0021】
[(A1)成分]
(A1)成分としては、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられている樹脂成分(ベース樹脂)を1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、(A1)成分としては、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有するものが好ましい。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことを意味する。
アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としての低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
また、ハロゲン化低級アルキル基として、具体的には、上記「α位の置換基としての低級アルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
本発明において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
【0022】
(A1)成分は、特に、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有することが好ましい。
また、該重合体は、構成単位(a1)に加えて、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。
また、該重合体は、構成単位(a1)に加えて、または構成単位(a1)および(a2)に加えて、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが好ましい。
また、該重合体は、前記構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位(a4)を有していてもよい。
【0023】
・構成単位(a1):
構成単位(a1)は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸により解離してこの(A1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものである。酸解離性溶解抑制基としては、特に制限はなく、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。
「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
【0024】
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、−C(R71)(R72)(R73)で表される基が挙げられる。式中、R71〜R73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R71)(R72)(R73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基が好ましい。
【0025】
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基において、脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
脂肪族環式基は、炭素及び水素からなる炭化水素基(脂環式基)であってもよく、該脂環式基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロ環式基等であってもよい。脂肪族環式基としては、脂環式基が好ましい。
脂肪族環式基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、ArFエキシマレーザー等に対する透明性が高く、解像性や焦点深度幅(DOF)等にも優れることから、飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基の炭素数は、5〜15であることが好ましい。
単環式の脂環式基の具体例としては、シクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。さらに具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられ、シクロヘキサンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。
多環式の脂環式基の具体例としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。さらに具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの中でも、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンから2個の水素原子を除いた基が、工業上入手しやすく、好ましい。中でも、アダマンタンまたはノルボルナンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。
【0026】
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、(i)脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基;(ii)脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基等が挙げられる。
(i)の具体例としては、たとえば、下記一般式(1−1)〜(1−9)で表される基等が挙げられる。
(ii)の具体例としては、たとえば、下記一般式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
【0027】
【化5】

[式中、R14はアルキル基であり、gは0〜8の整数である。]
【0028】
【化6】

[式中、R15およびR16は、それぞれ独立にアルキル基である。]
【0029】
14〜R16のアルキル基としては、低級アルキル基が好ましく、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0030】
式(1−2)中、gは0〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
式(1−2)で表される酸解離性溶解抑制基の具体例としては、例えば、1−メチル−1−シクロブチル基、1−エチル−1−シクロブチル基、1−イソプロピル−1−シクロブチル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−イソプロピル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−イソプロピル−1−シクロヘキシル基、1−メチル−1−シクロヘプチル基、1−エチル−1−シクロヘプチル基、1−イソプロピル−1−シクロヘプチル基、1−メチル−1−シクロオクチル基、1−エチル−1−シクロオクチル基などが挙げられる。
【0031】
「アセタール型酸解離性溶解抑制基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、露光により酸が発生すると、この酸が作用して、アセタール型酸解離性溶解抑制基と、当該アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合した酸素原子との間で結合が切断される。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
【0032】
【化7】

[式中、Yは直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基または脂肪族環式基であり、nは0〜3の整数であり、R’およびR’はそれぞれ独立して直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり、YおよびR’が相互に結合して脂肪族環式基を形成していてもよい。]
【0033】
上記式(p1)中、Yは直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基または脂肪族環式基である。
Yが直鎖状、分岐鎖状の場合、炭素数は1〜15であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、エチル基またはメチル基がさらに好ましく、エチル基が最も好ましい。
Yが脂肪族環式基である場合、該脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
Yにおける脂肪族環式基は、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
【0034】
式(p1)中、nは0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
’およびR’はそれぞれ独立して直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基または水素原子である。
’およびR’における直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、低級アルキル基が好ましい。該低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R’およびR’のうちの少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、式(p1)で表される基がが、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
【0035】
【化8】

[式中、R’、n、Yは上記と同様である。]
【0036】
また、上記式(p1)においては、YおよびR’が相互に結合して脂肪族環式基を形成していてもよい。
この場合、Yと、R’と、−O−(CH−と、R’が結合した炭素原子とにより脂肪族環式基が形成されている。該脂肪族環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該脂肪族環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
【0037】
構成単位(a1)としては、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位および下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
【0038】
【化9】

[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;Xは酸解離性溶解抑制基を示す。]
【0039】
【化10】

[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;Xは酸解離性溶解抑制基を示し;Yは2価の連結基を示す。]
【0040】
一般式(a1−0−1)において、Rの低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基は、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよい低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基と同様である。
は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定されることはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
【0041】
一般式(a1−0−2)において、Rは上記と同様である。
は、式(a1−0−1)中のXと同様である。
の2価の連結基としては、アルキレン基、2価の脂肪族環式基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。
がアルキレン基である場合、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。
が2価の脂肪族環式基である場合、該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられること以外は前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。該脂肪族環式基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が2個以上除かれた基であることが特に好ましい。
【0042】
がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、式−A−O−B−で表される基、式−[A−C(=O)−O]−B−で表される基等が挙げられる。ここで、AおよびBはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、mは0〜3の整数である。
が−NH−の場合における置換基(アルキル基、アシル基等)の炭素数としては1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜5であることが特に好ましい。
が−A−O−B−または−[A−C(=O)−O]−B−である場合、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。
mは0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
【0043】
Aにおける炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
Aにおける脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
Aにおける脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
Aにおける「直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基」は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1または2が特に好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0044】
Aにおける「構造中に環を含む脂肪族炭化水素基」としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0045】
Aとしては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましく、エチレン基が最も好ましい。
【0046】
Bにおける炭化水素基としては、前記Aで挙げたものと同様の2価の炭化水素基が挙げられる。
Bとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基が特に好ましい。アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
【0047】
また、式−[A−C(=O)−O]−B−で表される基において、mは0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
【0048】
本発明において、Yの2価の連結基としては、ヘテロ原子を含む2価の基が好ましく、ヘテロ原子として酸素原子を有する直鎖状の基、例えばエステル結合を含む基が特に好ましい。
中でも、前記−A−O−B−または−A−C(=O)−O−B−で表される基が好ましく、特に、−(CH−C(=O)−O−(CH−で表される基が好ましい。
aは1〜5の整数であり、1または2が好ましく、2が最も好ましい。
bは1〜5の整数であり、1または2が好ましく、1が最も好ましい。
【0049】
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
【0050】
【化11】

[式中、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を表し、Yは炭素数1〜5の低級アルキル基、または脂肪族環式基を表し;nは0〜3の整数を表し、Y、Rは前記と同じであり、R’、R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基を表す。]
【0051】
前記式中、X’は、前記Xにおいて例示した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基と同様のものが挙げられる。
’、R’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性溶解抑制基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR’、R’、n、Yと同様のものが挙げられる。
としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるYと同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
【0052】
【化12】

【0053】
【化13】

【0054】
【化14】

【0055】
【化15】

【0056】
【化16】

【0057】
【化17】

【0058】
【化18】

【0059】
【化19】

【0060】
【化20】

【0061】
【化21】

【0062】
【化22】

【0063】
【化23】

【0064】
【化24】

【0065】
【化25】

【0066】
構成単位(a1)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その中でも、一般式(a1−1)で表される構成単位が好ましく、具体的には(a1−1−1)〜(a1−1−7)および(a1−1−36)〜(a1−1−42)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
さらに、構成単位(a1)としては、特に式(a1−1−1)〜式(a1−1−5)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるもの、式(a1−1−36)〜(a1−1−42)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)で表されるもの、式(a1−1−47)〜(a1−1−48)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−03)で表されるもの、式(a1−3−49)〜(a1−3−52)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−01)で表されるもの、式(a1−3−53)〜(a1−3−56)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−02)で表されるもの、又は式(a1−3−57)〜(a1−3−58)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−03)で表されるものも好ましい。
【0067】
【化26】

(式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し、R11は低級アルキル基を示す。)
【0068】
【化27】

(式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し、R12は低級アルキル基を示す。hは1〜3の整数を表す)
【0069】
一般式(a1−1−01)において、Rについては上記と同様である。R11の低級アルキル基はRにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましい。
一般式(a1−1−02)において、Rについては上記と同様である。R12の低級アルキル基はRにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。hは1又は2が好ましく、2が最も好ましい。
【0070】
【化28】

(式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;R14は低級アルキル基であり、R13は水素原子またはメチル基であり、aは1〜10の整数である。)
【0071】
【化29】

(式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;R14は低級アルキル基であり、R13は水素原子またはメチル基であり、aは1〜10の整数であり、n’は0〜3の整数である。)
【0072】
前記一般式(a1−3−01)または(a1−3−02)において、Rについては上記と同様である。
13は、水素原子が好ましい。
14の低級アルキル基は、Rにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましい。
aは、1〜8の整数が好ましく、2〜5の整数が特に好ましく、2が最も好ましい。
【0073】
【化30】

[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であり、Y’およびY”はそれぞれ独立して2価の連結基であり、X’は酸解離性溶解抑制基であり、nは0〜3の整数である。]
【0074】
式(a1−3−03)中、Rは前記一般式(a1−3)におけるRと同様である。
’、Y” における2価の連結基としては、前記一般式(a1−3)におけるYと同様のものが挙げられる。
’としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
”としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
X’における酸解離性溶解抑制基は前記一般式(a1−3)におけるX’と同様である。
X’としては、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基であることが好ましく、上述した(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基がより好ましく、中でも、前記一般式(1−1)で表される基が好ましい。
nは0〜3の整数であり、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
式(a1−3−03)で表される構成単位としては、特に、下記一般式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位が特に好ましい。
【0075】
【化31】

[式中、RおよびR14は前記と同じであり、aは1〜10の整数であり、bは1〜10の整数であり、nは0〜3の整数である。]
【0076】
aは1〜5の整数が好ましく、1または2が最も好ましい。
bは1〜5の整数が好ましく、1または2が最も好ましい。
nは1または2が好ましい。
【0077】
(A1)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0078】
・構成単位(a2):
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
構成単位(a2)としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
【0079】
【化32】

[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であり、R’は水素原子、低級アルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または−COOR”であり、前記R”は水素原子、または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基であり、mは0または1の整数であり、A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。]
【0080】
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは前記構成単位(a1)におけるRと同様である。
R’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの低級アルキル基と同じである。
R”が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の場合は炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
A”の酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)の具体的な構成単位を例示する。
【0081】
【化33】

【0082】
【化34】

【0083】
【化35】

【0084】
【化36】

【0085】
【化37】

【0086】
(A1)成分において、構成単位(a2)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(a2)としては、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。なかでも、化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−2)、(a2−2−9)、(a2−2−10)、(a2−3−1)、(a2−3−2)、(a2−3−9)及び(a2−3−10)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0087】
(A1)成分中の構成単位(a2)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0088】
・構成単位(a3):
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該多環式基の炭素数は7〜30であることが好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
【0089】
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記式(a3−1)で表される構成単位、(a3−2)で表される構成単位、(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
【0090】
【化38】

(式中、Rは前記に同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。)
【0091】
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらはアクリル酸のカルボキシ基の末端に2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールはノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
【0092】
構成単位(a3)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1)成分中、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
【0093】
・構成単位(a4):
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位(a4)を含んでいてもよい。
構成単位(a4)は、上述の構成単位(a1)〜(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4)としては、例えば、アクリル酸から誘導される構成単位(以下、構成単位(a4’)という。)、酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、構成単位(a4”)という。)等が挙げられる。
構成単位(a4’)において、「アクリル酸から誘導される構成単位」とは、アクリル酸のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸のほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。該置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸から誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことを意味する。
アクリル酸において、α位の置換基としての低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基として、前記Rにおける低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基と同様のものが挙げられる。本発明において、アクリル酸のα位に結合しているのは、水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
構成単位(a4”)における脂肪族多環式基としては、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4”)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
【0094】
【化39】

(式中、Rは前記と同じである。)
【0095】
構成単位(a4’)を(A1)成分に含有させる際には、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a4’)を1〜15モル%含有させることが好ましく、1〜10モル%含有させることがより好ましい。
構成単位(a4”)を(A1)成分に含有させる際には、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a4”)を1〜30モル%含有させることが好ましく、10〜20モル%含有させることがより好ましい。
【0096】
(A1)成分は、構成単位(a1)、(a2)および(a3)を有する共重合体であることが好ましい。かかる共重合体としては、たとえば、上記構成単位(a1)、(a2)および(a3)からなる共重合体、上記構成単位(a1)、(a2)、(a3)および(a4)からなる共重合体等が例示できる。
(A)成分において、(A1)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
【0097】
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではないが、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、5000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限よりも小さいと、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限よりも大きいと、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
【0098】
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
【0099】
[(A2)成分]
(A2)成分としては、分子量が500以上4000未満であって、上述の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基と、親水性基とを有する低分子化合物が好ましい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部が上記酸解離性溶解抑制基で置換されたものが挙げられる。
(A2)成分は、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ビス(2,3,−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4−トリヒドロキシフェニル−4'−ヒドロキシフェニルメタン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2',3',4'−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2',4'−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3'−フルオロ−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、及び2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジメチルフェニル)プロパン等のビスフェノール型化合物;
トリス(4−ヒドロシキフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、及びビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のトリスフェノール型化合物;
2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−ヒドロキシフェノール、及び2,6−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール等のリニア型3核体フェノール化合物;
1,1−ビス[3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル]イソプロパン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、及びビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン等のリニア型4核体フェノール化合物;
2,4−ビス[2−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、及び2,6−ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシベンジル]−4−メチルフェノール等のリニア型5核体フェノール化合物等のリニア型ポリフェノール化合物;
1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、及び1−[1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン等の多核枝分かれ型化合物;フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2〜12核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。
酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
【0100】
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分としては、(A1)成分を含有することが好ましい。
本発明のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
【0101】
<(B)成分>
(B)成分は、下記一般式(b1−11)で表される化合物からなる酸発生剤(B1)(以下、(B1)成分という。)を含む。
【0102】
【化40】

[式中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基であり、R”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよく、R”〜R”のうち少なくとも1つは、置換基として下記一般式(I)で表される基を有する置換アリール基であり、Xはアニオンである。]
【0103】
【化41】

[式中、Wは2価の連結基を表す。]
【0104】
式(b1−11)中、R”〜R”のアリール基は、置換基を有さない無置換のアリール基であってもよく、その水素原子の一部または全部が置換基で置換されている置換アリール基であってもよい。
無置換のアリール基としては、例えば、炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。該アリール基は、安価に合成可能なことから、炭素数が6〜10であることが好ましい。該アリール基としては、特に、フェニル基またはナフチル基が好ましい。
置換アリール基における置換基としては、前記一般式(I)で表される基、アルキル基、アルコキシ基、エーテル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
【0105】
式(I)中、Wの2価の連結基としては、置換基を有していてもよい炭化水素基、ヘテロ原子を含む基等が好適なものとして挙げられる。
該炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
また、該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0106】
環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基。以下、2価の脂肪族環式基ということがある。)、該2価の脂肪族環式基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
2価の脂肪族環式基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
該脂肪族環式基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
該脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0107】
ヘテロ原子を含む2価の基における「ヘテロ原子」とは、炭素原子および水素原子以外原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の基として、具体的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−、−NR04(R04はアルキル基)−、−NH−C(=O)−、=N−、またはこれらの基のうちの少なくとも1つと、2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、上述した置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
【0108】
本発明において、Wとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂肪族環式基またはヘテロ原子を含む基が好ましく、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。
【0109】
前記置換アリール基における置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が最も好ましい。
該置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
該置換基としてのエーテル基としては、式:−R01−R02[式中、R01はアルキレン基であり、R02はアルキル基である。]で表される基が挙げられる。
01のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。また、その炭素数は1〜10が好ましく、3〜5がより好ましい。該アルキレン基として、具体的には、前記で無置換のアルキル基として挙げたアルキル基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
02のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。また、その炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。該アルキル基として、具体的には、前記で挙げた無置換のアルキル基と同様のものが挙げられる。
該置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が好ましく、フッ素原子が最も好ましい。
該置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記置換基として挙げたアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子としては、前記置換基として挙げたハロゲン原子と同様のものが挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、特に、フッ素化アルキル基が好ましい。
【0110】
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
【0111】
”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。該アリール基は、置換基として上記一般式(I)で表される基を有する置換アリール基であることが好ましい。
【0112】
本発明において、R”〜R”のうち少なくとも1つは、置換基として上記一般式(I)で表される基を有する置換アリール基(以下、置換アリール基(I)という。)である。
1つの置換アリール基(I)が有する一般式(I)で表される基の数は、1〜3が好ましく、1が最も好ましい。
また、置換アリール基(I)において、式(I)で表される基が結合するアリール基は、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基であることが最も好ましい。この場合、式(I)で表される基が結合するのは、フェニル基のパラ位であることが好ましい。
置換アリール基(I)は、前記一般式(I)で表される基以外の他の置換基を有していてもよい。該他の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、エーテル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。これらはそれぞれ前記置換アリール基における置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
1つの置換アリール基(I)が有する該他の置換基の数は、0〜2が好ましい。
【0113】
”〜R”のうち、置換アリール基(I)であるのは、1つであってもよく、2つであってもよく、3つ全てであってもよいが、R”〜R”のうちの1つが置換アリール基(I)であることが最も好ましい。
この場合、残りの2つは、それぞれ、式(I)で表される基以外の他の置換基を有していてもよいアリール基であるか、または相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していることが好ましい。
残りの2つがそれぞれ置換基を有していてもよいアリール基である場合、該アリール基は、無置換のアリール基であることが好ましく、フェニル基またはナフチル基であることがより好ましく、フェニル基であることが最も好ましい。
以下に、(B1)成分のカチオン部の好ましい具体例を示す。
【0114】
【化42】

[式中、R101〜R104はそれぞれ独立にアルキル基またはアルコキシ基であり、n1は1〜5の整数であり、n3およびn4はそれぞれ独立に0〜3の整数である。]
【0115】
式(b1−c−1)〜(b1−c−3)中、R101〜R104のアルキル基、アルコキシ基としては、それぞれ、前記置換アリール基における置換基としてのアルキル基、アルコキシ基と同様のものが挙げられる。
n1は、1〜5の整数であることが好ましく、1から3の整数がより好ましく、1が最も好ましい。
【0116】
式(b1−11)中、Xのアニオンは特に限定されず、オニウム塩系酸発生剤のアニオン部として知られているものを適宜選択して用いることができる。
として好ましいアニオンとしては、たとえば、下記一般式(x−1)で表されるアニオンが挙げられる。
【0117】
【化43】

[式中、R”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基またはアルケニル基を表す。]
【0118】
”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
該直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
該環状のアルキル基としては、炭素数4〜20であることが好ましく、炭素数4〜15であることがより好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
該ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるので好ましい。
前記R”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
【0119】
前記R”において、「置換基を有していてもよい」とは、前記アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていても良いことを意味する。
”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、酸素原子(=O)、式:Z−Q−[式中、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、Zは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、R”において挙げたハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子として挙げたもの同様のものが挙げられる。
前記アルキル基としては、R”におけるアルキル基として挙げたもの同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
【0120】
Z−Q−で表される基において、Qは酸素原子を含む2価の連結基である。
は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−、−O−R93−O−C(=O)−、−R92−O−C(=O)−R93−O−C(=O)−(式中、R91〜R93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
91〜R93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
としては、エステル結合および/またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−O−、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−O−R93−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−、−O−R93−O−C(=O)−、−R92−O−C(=O)−R93−O−C(=O)−が好ましい。
【0121】
Z−Q−で表される基において、Zの炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基、シアノ基等が挙げられる。前記R”は水素原子、または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基である。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としての−COOR”、−OC(=O)R”におけるR”は、上述した構成単位(a2)におけるR”と同じである。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてヒドロキシアルキル基としては、置換基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
Zにおける芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアルキル基またはヘテロアリール基が好ましい。
該アリール基としては、無置換のアリール基、または置換基としてハロゲン原子を有するアリール基(ハロゲン化アリール基)が好ましく、フェニル基、ナフチル基、フッ素化フェニル基が特に好ましい。
前記アリールアルキル基としては、アルキル基がメチル基であるものが好ましく、ナフチルメチル基またはベンジル基が好ましい。
前記ヘテロアリール基としては、ヘテロ原子として窒素原子を含むものが好ましく、ピリジンから水素原子を1つ除いた基が特に好ましい。
【0122】
Zにおける脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
Zにおいて、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
Zにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0123】
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)またはこれらの組み合わせが好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
【0124】
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
【0125】
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
【0126】
【化44】

[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R94−または−S−R95−であり、R94およびR95はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
【0127】
式中、Q”、R94およびR95におけるアルキレン基としては、それぞれ、前記R91〜R93におけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0128】
本発明において、Zは、置換基を有していてもよい環式基を有するものであることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L5)、(S3)〜(S4)等が好ましい。
【0129】
本発明において、R”は、置換基としてZ−Q−を有することが好ましい。この場合、R”としては、Z−Q−Y−[式中、QおよびZは前記と同じであり、Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
すなわち、Xは、下記一般式(x−11)で表されるアニオンであることが好ましい。
【0130】
【化45】

[式中、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、Zは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基であり、Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]
【0131】
式(x−11)中、Z、Qはそれぞれ前記と同じである。
のアルキレン基としては、前記Qで挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
として、具体的には、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CF(CFCF)−、−C(CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−、−CF(CFCFCF)−、−C(CF)(CFCF)−;−CHF−、−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−、−CH(CF)CH−、−CH(CFCF)−、−C(CH)(CF)−、−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CH(CF)CHCH−、−CHCH(CF)CH−、−CH(CF)CH(CF)−、−C(CFCH−;−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−等が挙げられる。
【0132】
としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−;−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−;−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CHCFCFCF−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、又はCHCFCF−が好ましく、−CF−、−CFCF−又は−CFCFCF−がより好ましく、−CF−が特に好ましい。
【0133】
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
【0134】
式(x−11)で表されるアニオンとして、好ましいものとしては、下記一般式(x−11−1)で表されるアニオンが挙げられる。
【0135】
【化46】

[式中、Zは前記と同じであり、Qは単結合またはアルキレン基であり、pは1〜3の整数であり、m1〜m4はそれぞれ独立に0または1である。ただし、m2+m3は1または2である。]
【0136】
前記式(x−11−1)中、pは1〜3の整数であり、1または2が好ましい。
のアルキレン基としては、上記Qについての説明におけるR91〜R93のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
m1〜m4は、それぞれ0または1である。ただし、m2+m3は1または2である。
【0137】
式(x−11−1)で表されるアニオンとして、より具体的には、以下に示す、一般式(x−11−10)で表されるアニオン、一般式(x−11−20)で表されるアニオン、一般式(x−11−30)で表されるアニオン、一般式(x−11−40)で表されるアニオン等が挙げられる。
【0138】
・・一般式(x−11−10)で表されるアニオン
【0139】
【化47】

[式(x−11−10)中、Z、Q、m3およびpはそれぞれ前記と同じである。]
【0140】
式(x−11−10)中、Zとしては、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、置換基を有していてもよい直鎖状の脂肪族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましい。中でも、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含む脂肪族環式基が好ましい。
としては、単結合またはメチレン基が特に好ましい。中でも、Zが置換基を有していてもよい脂肪族環式基である場合は、Qが単結合であることが好ましい。また、Xが、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である場合は、Qがメチレン基であることが好ましい。
一般式(x−11−10)で表されるアニオンの好適な具体例を以下に挙げる。
【0141】
【化48】

[式中、Q”、m3およびpはそれぞれ前記と同じであり、RおよびR’はそれぞれ独立に置換基であり、w1〜w6はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、v1〜v2はそれぞれ独立に0〜5の整数である。]
【0142】
式中、Rの置換基としては、前記Zにおいて、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
式中、R’の置換基としては、前記Zにおいて、芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
またはR’に付された符号(w1〜w6)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRまたはR’はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
w1〜w6は、それぞれ独立に、0〜2であることが好ましく、0が最も好ましい。
v1〜v2は、それぞれ独立に、0〜3であることが好ましく、0が最も好ましい。
【0143】
・・一般式(x−11−20)で表されるアニオン
【0144】
【化49】

[式(x−11−20)中、Zおよびpはそれぞれ前記と同じであり、Qはアルキレン基である。]
【0145】
式(x−11−20)中、Zとしては、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、置換基を有していてもよい直鎖状の脂肪族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましい。
のアルキレン基としては、上記Qについての説明におけるR91〜R93のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
一般式(x−11−20)で表されるアニオンの好適な具体例を以下に挙げる。
【0146】
【化50】

[式中、p、RおよびR’はそれぞれ前記と同じであり、w7〜w9はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、q1は1〜12の整数であり、gは1〜20の整数である。]
【0147】
またはR’に付された符号(w7〜w9)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRまたはR’はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
w7〜w9は、それぞれ独立に、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
q1は、1〜8であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜3であることがさらに好ましい。
gは、1〜15であることが好ましく、1〜10であることがさらに好ましい。
pは、1または2が好ましく、1であることが最も好ましい。
【0148】
・・一般式(x−11−30)で表されるアニオン
【0149】
【化51】

[式(x−11−30)中、pは前記と同じであり、q2は0〜5の整数であり;R”はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く。)、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり;r1は0〜2の整数であり、r2は1〜5の整数であり、1≦r1+r2≦5である。]
【0150】
式(x−11−30)中、q2は、1〜4が好ましく、1又は2がより好ましく、2が最も好ましい。
”のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く。)、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基は、それぞれ、前記Zにおける芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
r1は、0が最も好ましい。
r2は、2〜5が好ましく、5が最も好ましい。
【0151】
・・一般式(x−11−40)で表されるアニオン
【0152】
【化52】

[式(x−11−40)中、pおよびRはそれぞれ前記と同じであり、q3は1〜12の整数であり、r3は0〜3の整数である。]
【0153】
式(x−11−40)中、Rとしては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基が好ましい。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
に付された符号(r3)が2以上の整数である場合、当該化合物における複数のRは、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
pは、1または2が好ましく、1であることが最も好ましい。
q3は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがさらに好ましく、1であることが最も好ましい。
r3は、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
【0154】
また、R”としては、置換基として酸素原子(=O)を有するものも好ましい。この場合、R”としては、R10”−(CHn’−[式中、置換基として酸素原子(=O)を有する炭素数4〜20の環状のアルキル基であり;n’は0または1である。]で表される基が好ましい。
「置換基として酸素原子(=O)を有する」とは、炭素数4〜20の環状のアルキル基を構成する1の炭素原子に結合する2つの水素原子が、酸素原子(=O)と置換されている基を意味する。
10”の環状のアルキル基としては、炭素数4〜20であれば特に制限はなく、多環式基、単環式基のいずれでもよく、例えば、モノシクロアルカンや、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから、1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。単環式基としては、炭素数3〜8のモノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12が好ましく、具体的には、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等が挙げられる。
10”としては、置換基として酸素原子(=O)を有する炭素数4〜20の多環式のアルキル基が好ましく、工業上、アダマンチル基、ノルボルニル基、またはテトラシクロドデカニル基を構成する1の炭素原子に結合する2つの水素原子が、酸素原子(=O)と置換されている基が好ましく、特に置換基として酸素原子(=O)を有するノルボルニル基が好ましい。
10”のアルキル基は、酸素原子以外にも置換基を有していてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基等が挙げられる。
式:R10”−(CHn’−中、n’は、0または1であり、1であることが好ましい。
”がR10”−(CHn’−で表される基である場合、Xは、カンファースルホン酸イオン(カンファーの水素原子の1つが−SOで置換されたイオン)であることが好ましく、特に、下記化学式(x−12−1)で表されるイオン(ノルボルナン環の1位に結合したメチル基の炭素原子にスルホン酸イオン(−SO)が結合したもの)であることが好ましい。
【0155】
【化53】

【0156】
また、上記以外に、Xとして用いることができるアニオンとしては、下記一般式(b−3)または(b−4)で表されるアニオンが挙げられる。
【0157】
【化54】

[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基またはハロゲン化アルキル基を表す。Z”に結合した−SO−は、−C(=O)−に置換されていてもよい。]
【0158】
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
X”のアルキレン基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
X”のアルキレン基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
【0159】
Y”、Z”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、前記R”において挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。
前記Y”、Z”におけるハロゲン化アルキル基は、アルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基であり、上記R”におけるハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
該ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるので好ましい。
ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が特に好ましい。
【0160】
Y”、Z”におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、置換基を有していてもよい。
Y”、Z”におけるアルキル基が「置換基を有していてもよい」とは、前記アルキル基における水素原子の一部もしくは全部が、置換基で置換されていても良いことを意味する。Y”、Z”におけるハロゲン化アルキル基が「置換基を有していてもよい」とは、当該ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子および水素原子の一部もしくは全部が、置換基で置換されていても良いことを意味する。Y”、Z”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
Y”、Z”におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基が有していてもよい置換基は、炭素原子、水素原子およびハロゲン原子以外の他の原子または基であればよく、例えば、ヘテロ原子、アルキル基、式:Z−Q−[式中、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、Zは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
これらの置換基のうち、ヘテロ原子、アルキル基としては、それぞれ、前記R”における置換基として挙げたヘテロ原子、アルキル基と同様のものが挙げられる。
【0161】
−Q−で表される基において、Qは酸素原子を含む2価の連結基である。
としては、前記Z−Q−で表される基におけるQと同様のものが挙げられる。
としては、エステル結合および/またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−O−、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−O−R93−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
−Q−で表される基において、Zは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。
としては、前記Z−Q−で表される基におけるZと同様のものが挙げられる。
としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状または環状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、環状の脂肪族炭化水素基がさらに好ましい。
【0162】
式(b−4)中、Z”に結合した−SO−は、−C(=O)−に置換されていてもよい。すなわち、式(b−4)で表されるアニオン部は、下記一般式(b−4’)で表されるものであってもよい。
【0163】
【化55】

[式中、Y”、Z”は、上記と同様である。]
【0164】
本発明においては、式(b−4)および式(b−4’)中、Y”およびZ”のうちの少なくとも一方が、置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基であることが好ましい。
特に、式(b−4)においては、Y”およびZ”の一方がパーフルオロアルキル基であり、他方が、置換基を有していてもよいアルキル基またはフッ素化アルキル基であることが好ましい。式(b−4’)においては、Y”およびZ”の一方がパーフルオロアルキル基であり、他方が、置換基を有していてもよいアルキル基であることが好ましく、特に、Y”がパーフルオロアルキル基であり、Z”が置換基を有していてもよいアルキル基であることが好ましい。
このような場合の式(b−4)または式(b−4’)で表されるアニオンとしては、たとえば、下記式(b4−1)〜(b4―8)で表されるアニオンが挙げられる。
【0165】
【化56】

[式中、Rは置換基であり、s1〜s4はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、z1〜z6はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、pは0〜4の整数であり、m11〜m13は0又は1であり、gは1〜4の整数であり、tは1〜20の整数である。]
【0166】
前記式中、Rの置換基としては、前記Z−Q−で表される基のZにおいて、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
に付された符号(s1〜s4)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
s1〜s4は、0又は1であることが好ましく、0が最も好ましい。
z1〜z6は、0又は1であることが好ましい。
p”は、0〜2が好ましい。
12は0が好ましい。
hは、1または2が好ましく、1であることが最も好ましい。
tは,1〜15であることがより好ましく、3〜12がさらに好ましい。
本発明において、特に、式(b4−1)〜(b4−4)で表されるアニオンが好ましい。
【0167】
また、上記以外に、Xとして用いることができるアニオンとして、メチドアニオンが挙げられる。該メチドアニオンとしては、たとえば、下記一般式(b−c1)で表されるアニオンが挙げられる。
【0168】
【化57】

[式中、R”は、少なくとも1の水素原子がフッ素置換されている炭素数1〜10のアルキル基であり;R”は、置換基を有していてもよい炭化水素基、または−SO−R”である。]
【0169】
式(b−c1)中、R”は、少なくとも1の水素原子がフッ素置換されている炭素数1〜10のアルキル基である。当該アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。本発明におけるR”としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
式(b−c1)において、R”が置換基を有していてもよい炭化水素基の場合(なお、「置換基を有していてもよい炭化水素基」とは、当該炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部が置換基で置換されていてもよいことを意味する。)、R”の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。具体的には、上記式:Z−Q−におけるZと同様のものが挙げられる。
”としては、置換基としてハロゲン原子を有するアリール基(ハロゲン化アリール基)または−SO−R”が好ましい。該ハロゲン化アリール基におけるアリール基としては、炭素数6〜10のアリール基、たとえばフェニル基、ナフチル基等のアリール基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。ハロゲン化アリール基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
【0170】
としては、上記の中でも、前記一般式(x−1)で表されるアニオンが好ましい。なかでも、該式(x−1)におけるR”が置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基であるアニオン、すなわち置換基を有していてもよいフッ素化アルキルスルホン酸イオンが好ましい。
また、式(x−1)で表されるアニオンとしては、前記一般式(x−11)で表されるアニオンが好ましく、特に、該式(x−11)におけるYが置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基であるものが好ましい。
また、Xとしては、前記一般式(b−3)または(b−4)で表されるアニオンや、前記式(x−12−1)で表されるアニオンも好ましい。
【0171】
(B1)成分としては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分中、(B1)成分の割合は、1〜100質量%が好ましく、5〜70質量%がより好ましく、10〜50質量%がさらに好ましい。
【0172】
本発明のレジスト組成物は、(B)成分として、前記(B1)成分に該当しない酸発生剤成分(以下、(B2)成分という。)を含有してもよい。
(B2)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物を用いることができる。
【0173】
【化58】

[式中、R”〜R”,R”〜R”は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表し;式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよく;R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し;R”は前記と同じである。]
【0174】
式(b−1)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。なお、式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
また、R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
”〜R”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、エーテル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基、エーテル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基としては、それぞれ、前記R”〜R”におけるアリール基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、エーテル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R”〜R”は、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが最も好ましい。
【0175】
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。前記アリール基は、前記R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
【0176】
式(b−2)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のすべてがアリール基であることが好ましい。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR”としては上記式(b−1)のR”と同様のものが挙げられる。
【0177】
式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部がメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
【0178】
また、前記一般式(b−1)又は(b−2)において、アニオン部を前記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)又は(b−2)と同様)。
【0179】
また、下記一般式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩をオニウム塩系酸発生剤として用いることもできる。
【0180】
【化59】

[式中、R41〜R46はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基またはヒドロキシアルキル基であり;n〜nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、nは0〜2の整数である。]
【0181】
41〜R46において、アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
41〜R46に付された符号n〜nが2以上の整数である場合、複数のR41〜R46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
およびnは、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
【0182】
式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩のアニオン部は、特に限定されず、これまで提案されているオニウム塩系酸発生剤のアニオン部と同様のものであってよい。かかるアニオン部としては、たとえば上記一般式(b−1)または(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤のアニオン部(R4”SO)等のフッ素化アルキルスルホン酸イオン;上記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部等が挙げられる。これらの中でも、フッ素化アルキルスルホン酸イオンが好ましく、炭素数1〜4のフッ素化アルキルスルホン酸イオンがより好ましく、炭素数1〜4の直鎖状のパーフルオロアルキルスルホン酸イオンが特に好ましい。具体例としては、トリフルオロメチルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホン酸イオン等が挙げられる。
【0183】
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
【0184】
【化60】

(式(B−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
【0185】
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
【0186】
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
【0187】
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
【0188】
【化61】

[式(B−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基である。R35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
【0189】
【化62】

[式(B−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
【0190】
前記一般式(B−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
【0191】
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
【0192】
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
【0193】
前記一般式(B−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は好ましくは2である。
【0194】
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
【0195】
【化63】

【0196】
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
【0197】
(B2)成分としては、これらの酸発生剤のいずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B2)成分としては、上記の中でも、前記R”が置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基であるアニオン、すなわち置換基を有していてもよいフッ素化アルキルスルホン酸イオンを有するオニウム塩系酸発生剤が好ましい。
特に、前記一般式(x−11)におけるYが置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基であるものが好ましい。
【0198】
本発明のレジスト組成物中の(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、好ましくは0.5〜60質量部、より好ましくは1〜40質量部、さらに好ましくは3〜30質量部である。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
【0199】
<任意成分>
本発明のレジスト組成物は、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上等の向上の目的で、任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を含有してもよい。
(D)成分としては、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜20であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、たとえば、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数20以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアミンおよび/またはアルキルアルコールアミンが好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミンなどが挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチルアミン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
【0200】
本発明のレジスト組成物は、感度劣化の防止、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という)を含有してもよい。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分としては、有機カルボン酸が好ましく、特にサリチル酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
【0201】
本発明のレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
【0202】
<有機溶剤>
本発明のレジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることが出来るものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAまたはPGMEと極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAまたはPGMEと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1であり、より好ましくは2:8〜8:2の範囲である。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
また更に、PGMEとジメチルスルホキシドとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは9:1〜1:9であり、より好ましくは8:2〜2:8であり、最も好ましくは7:3〜5:5である。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、支持体に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは3〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
【0203】
材料の(S)成分への溶解としては、たとえば、上記各成分を通常の方法で混合、撹拌するだけでも行うことができ、また、必要に応じディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミルなどの分散機を用い分散、混合させてもよい。また、混合した後で、さらにメッシュ、メンブレンフィルターなどを用いてろ過してもよい。
【0204】
上記本発明のレジスト組成物は、従来知られていない新規なものである。
また、本発明のレジスト組成物によれば、(B1)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が高いことから、パターンの裾引きが抑制されたレジストパターンを形成できる。特には、無機基板上における裾引きを抑制できる。
また、本発明のレジスト組成物によれば、ディフェクトを低減できる。
特に、(B1)成分のアニオン部が前記一般式(x−11)で表されるアニオンであると、リソグラフィー特性の向上効果に優れる。かかる効果が得られる理由としては、該アニオン部が、Y−SOの骨格に「Z−Q−」の官能基が導入された構造を有することにより、Yの、フッ素置換されていてもよいアルキレン基の炭素数が1〜4と比較的小さいにもかかわらず、ノナフルオロブタンスルホネート等の従来の酸発生剤のアニオン部に比べ、露光後の酸の過度な拡散が抑制されるためではないかと考えられる。
また、かかるアニオン部は、Yが、フッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキレン基のアルキル鎖であり、炭素数6〜10のパーフルオロアルキル鎖が難分解性であるのに比べて、生体蓄積性を考慮した取り扱いの点でより安全である。
【0205】
≪レジストパターン形成方法≫
本発明のレジストパターン形成方法は、支持体上に、前記本発明のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本発明のレジストパターン形成方法は、例えば以下の様にして行うことができる。
まず、支持体上に、前記本発明のレジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理し、好ましくは純水を用いて水リンスを行い、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
【0206】
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。前記レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV、特にArFエキシマレーザーに対して有効である。
【0207】
レジスト膜の露光は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光であってもよい。
液浸露光では、上述したように、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズとウェーハ上のレジスト膜との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光を行う。
より具体的には、液浸露光は、上記のようにして得られたレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で、所望のマスクパターンを介して露光(浸漬露光)することによって実施できる。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ当該浸漬露光によって露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
【0208】
≪化合物≫
本発明の第三の態様の化合物は、前記一般式(b1−11)で表される化合物(以下、化合物(b1−11)という。)である。
化合物(b1−11)は、前記本発明の第一の態様のレジスト組成物における(B1)成分と同じものである。
化合物(b1−11)は、従来知られていない新規なものである。また、該化合物(b1−11)は、レジスト組成物の酸発生剤として有用である。
【0209】
化合物(b1−11)は、常法により製造できる。
具体例を挙げると、たとえば、R”が前記式(I)で表される基を1つ有するアリール基である場合、当該化合物(以下、化合物(b1−11−1)という。)は、以下のようにして製造できる。
まず、有機酸H(Bは、例えば、メタンスルホン酸イオン等の、有機酸のアニオン部を表わす。)の溶液中に、式(b1−01)で表される化合物および式(b1−02)で表される化合物を加えて反応させた後、純水および有機溶剤(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等)を加えて、有機層を回収し、この有機層中から式(b1−03)で表される化合物を回収する。
次に、一般式(b1−03)で表される化合物を、有機溶剤(例えば、アセトン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等)に加えて冷却し、そこへ下記一般式(b1−04)で表される化合物を加えて反応させ、分液および水洗した後、有機層中から下記一般式(b1−05)で表される化合物を得る。
次に、式(b1−05)で表される化合物に純水を添加し、加水分解を行うことにより−ORを解離(脱保護)させ、下記一般式(b1−06)で表される化合物を得る。加水分解は、たとえば酸(塩酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸等)または塩基を加えて加熱する等により実施できる。
次に、式(b1−06)で表される化合物を有機溶剤(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等)および水の混合溶媒に溶解させ、そこへ所望のアニオンXのアルカリ金属塩L(Lは、例えば、リチウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属カチオンを表わす。)を加えて反応させ、分液および水洗した後、有機層中から化合物(b1−11−1)を回収する。
【0210】
【化64】

[式中、R”〜R”、X、Wはそれぞれ前記と同じであり、Arはアリーレン基であり、Bは有機酸のアニオン部であり、Lはアルカリ金属カチオンであり、Xはハロゲン原子であり、Rは保護基である。]
【0211】
Arのアリーレン基としては、前記R”〜R”において挙げた置換基を有していてもよいアリール基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
のハロゲン原子としては、臭素原子または塩素原子が好ましい。
の保護基としては、加水分解により脱保護可能な有機基であれば特に限定されず、たとえば酸性条件下で加水分解を行う場合は、上述した構成単位(a1)において挙げた酸解離性溶解抑制基が利用できる。
なお、化合物(b1−11−1)の製造方法は上記に限定されず、たとえば上記製造方法において、式(b1−04)で表される化合物の代わりにX−W−COOH[式中、およびWはそれぞれ前記と同じである。]を用い、式(b1−03)で表される化合物の水酸基に直接−W−COOHを導入して式(b1−06)で表される化合物を得ることもできる。
得られた化合物の構造は、H−核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、13C−NMRスペクトル法、19F−NMRスペクトル法、赤外線吸収(IR)スペクトル法、質量分析(MS)法、元素分析法、X線結晶回折法等の一般的な有機分析法により確認できる。
【0212】
≪酸発生剤≫
本発明の第四の態様の酸発生剤は、前記本発明の第三の態様の化合物からなるものである。
該酸発生剤は、レジスト組成物に配合して用いられる。
該酸発生剤が配合されるレジスト組成物としては、特に限定されないが、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分、および露光により酸を発生する酸発生剤成分を含有する化学増幅型のレジスト組成物が好適である。
【実施例】
【0213】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[合成例1]
フルオロスルホニル(ジフルオロ)酢酸メチル150g、純水375gに、氷浴中で10℃以下に保ちつつ、30%水酸化ナトリウム水溶液343.6gを滴下した。滴下後、100℃で3時間還流し、冷却後、濃塩酸で中和した。得られた溶液をアセトン8888gに滴下し、析出物を濾過、乾燥することによって、白色固体として化合物(1−1)184.5g(純度:88.9%、収率:95.5%)を得た。
【0214】
【化65】

【0215】
化合物(1−1)56.2g、アセトニトリル562.2gを仕込み、p−トルエンスルホン酸一水和物77.4gを添加し、110℃で3時間還流した。その後、濾過し、濾液を濃縮し、乾燥した。得られた固体にt−ブチルメチルエーテル900gを添加撹拌した。その後、濾過し、濾過物を乾燥することによって、白色固体として化合物(1−2)22.2g(純度:91.0%、収率:44.9%)を得た。
【0216】
【化66】

【0217】
前記化合物(1−2)4.34g(純度:94.1%)、2−ベンジルオキシエタノール3.14g、トルエン43.4gを仕込み、p−トルエンスルホン酸一水和物0.47gを添加し、105℃で20時間還流した。反応液を濾過し、濾物にヘキサン20gを添加し、撹拌した。再度濾過し、濾物を乾燥することにより化合物(1−3)を1.41g(収率:43.1%)得た。
【0218】
【化67】

【0219】
化合物(1−3)1.00gおよびアセトニトリル3.00gに対し、1−アダマンタンカルボニルクロライド0.82gおよびトリエチルアミン0.397gを氷冷下滴下した。滴下終了後、室温で20時間撹拌し、濾過した。ろ液を濃縮乾固し、ジクロロメタン30gに溶解させ水洗を3回行った。有機層を濃縮乾燥することにより化合物(1−4)を0.82g(収率:41%)得た。
【0220】
【化68】

【0221】
得られた化合物(1−4)について、NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)=8.81(s,1H,H)、4.37−4.44(t,2H,H)、4.17−4.26(t,2H,H)、3.03−3.15(q,6H,H)、1.61−1.98(m,15H,Adamantane)、1.10−1.24(t,9H,H)。
19F−NMR(DMSO−d6、376MHz):δ(ppm)=−106.6。
上記の結果から、化合物(1−4)が下記に示す構造を有することが確認できた。
【0222】
【化69】

【0223】
[合成例2]
化合物(2−1)(16.0g)(和光純薬社製)および純水(131.7g)を三口フラスコに添加し、そこへ塩酸(5.20g)を滴下した。12時間、加熱還流を行った。水層をt−ブチルメチルエーテル(TBME)(131.7g)にて洗浄し、化合物(2−2)(10.0g)を得た。
化合物(2−2)についてNMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ(ppm)=2.30(d,6H,Ha),4.53(s,2H,Hb),7.59(s,2H,Ar),7.71−7.89(m,10H,Ar)。
上記の結果から、化合物(2−2)が下記に示す構造を有することが確認できた。
【0224】
【化70】

【0225】
[合成例3]
化合物(2−2)(5.01g)に純水(60.5g)及びジクロロメタン(131.1g)を添加し、そこへ化合物(1−4)(4.53g)を加えて室温で3時間攪拌した。その後、分液によりジクロロメタン層を取り出し、希塩酸(65.5g)にて2回洗浄を行った後、純水(65.5g)にて4回洗浄を行った。ジクロロメタン層を濃縮、乾固することにより、白色固体として化合物(3−1)(6.05g)を得た。
化合物(3−1)についてNMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ(ppm)=1.55−1.93(m,15H,adamantane),2.29(d,6H,Ha),4.20(t,2H,Hc),4.41(t,2H,Hd),4.51(s,2H,Hb),7.59(s,2H,Ar),7.71−7.89(m,10H,Ar)。
19F−NMR(DMSO−d6,376MHz):δ(ppm)=−106.9。
上記の結果から、化合物(3−1)が下記に示す構造を有することが確認できた。
【0226】
【化71】

【0227】
[合成例4]
化合物(2−2)(20g)に純水(45.3g)及びジクロロメタン(90.5g)を添加し、そこへノナフルオロブタンスルホン酸カリウム(16.8g)を加えて室温で15時間攪拌した。その後、分液によりジクロロメタン層を取り出し、希塩酸(45.3g)にて2回洗浄を行った後、純水(45.3g)にて4回洗浄を行った。ジクロロメタン層を濃縮、乾固することにより、白色固体として化合物(3−2)(26.4g)を得た。
【0228】
【化72】

【0229】
化合物(3−2)についてNMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ(ppm)=2.30(d,6H,Ha),4.39(s,2H,Hb),7.32(s,2H,Ar),7.70−7.87(m,10H,Ar)。
19F−NMR(DMSO−d6,376MHz):δ(ppm)=−123.7,−119.3,−112.4,−78.6。
【0230】
[合成例5]
ジクロロメタン(20g)及び純水(20g)に化合物(2−2)(2g)を添加し、撹拌した。そこへ、以下に示す化合物(M)(2.20g)を添加し、室温で1時間攪拌した。その後、分液によりジクロロメタン層を取り出し、純水(20g)にて4回洗浄を行った。該ジクロロメタン層を濃縮、乾固することにより目的の化合物(5−1)(2.4g)を得た。
化合物(5−1)についてNMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ(ppm)=7.70−7.87(m,10H,Ar),7.32(s,2H,Ar),4.4−4.5(t,4H,CH),4.39(s,2H,−O−CH−CO−),2.30(d,6H,Ar−CH)。
19F−NMR(DMSO−d6,376MHz):δ(ppm)=−106.7, −154.0,−160.0,−161.5。
上記の結果から、化合物(5−1)が上記に示す構造を有することが確認できた。
【0231】
【化73】

【0232】
[合成例6〜25(化合物(5−2)〜(5−20)の合成)]
上記合成例5において、化合物(M)を、以下の表1〜5に示すもの(等モル量)にそれぞれ変更して合成したこと以外は同様の操作を行った。これにより、表1〜5に示すアニオンとカチオンとからなる生成物(化合物(5−2)〜(5−20))を得た。各化合物について、NMRによる分析を行い、その結果を表1〜5に併記した。表1〜5中、「↑」は、化合物(5−3)〜(5−20)のカチオンが、化合物(5−2)のカチオンと同じものであることを示す。
【0233】
【表1】

【0234】
【表2】

【0235】
【表3】

【0236】
【表4】

【0237】
【表5】

【0238】
[実施例1〜2、比較例1〜2]
下記表6に示す各成分を混合、溶解してポジ型のレジスト組成物を調製した。ただし、実施例1〜2は参考例である。
【0239】
【表6】

【0240】
表6中、各略号はそれぞれ以下のものを示し、[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(A)−1:下記高分子化合物(1)(質量平均分子量10000、分散度2.0、l/m/n/o=36.5/36.1/18.3/9.1/(モル比))
(B)−1:前記化合物(3−2)。
(B)−2:前記化合物(3−1)。
(B)−3:4−メチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオローn−ブタンスルホネート。
(B)−4:トリ(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウムノナフルオローn−ブタンスルホネート。
(D)−1:トリーn−ペンチルアミン
(S)−1:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
【0241】
【化74】

【0242】
[レジストパターン形成]
8インチのシリコンウェーハ上に、無機系反射防止膜形成用組成物「HM40」(商品名、東京応化工業株式会社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で250℃、90秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚40nmの無機系反射防止膜を形成した。そして、該反射防止膜上に、上記レジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で110℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚180nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。そして、110℃、60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間の条件で現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
その結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、ライン幅120nm、ピッチ240nmのラインアンドスペースのレジストパターン(以下、L/Sパターンという。)が形成された。
上記ライン幅120nm、ピッチ240nmのL/Sパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm)を求めた。その結果を表7に示した。
また、上記Eopにて形成されたライン幅120nm、ピッチ240nmのLSパターンの断面形状を、測長SEM(走査型電子顕微鏡、商品名:S−9220、日立製作所製)を用いて観察し、その矩形性を下記判定基準にて評価した。その結果を表7に示す。
(判定基準)
○:パターンの裾引きがなく、矩形性の高いレジストパターンであった。
×:パターンの裾引きが見受けられた。
【0243】
【表7】

【0244】
上記の結果より、カチオン部に特定のカルボン酸を有する酸発生剤を用いることにより、無機基板上におけるパターン裾引きを改善できることが確認できた。
【0245】
[溶解速度(Rmax)の測定]
実施例1〜2および比較例1〜2のレジスト組成物において、(A)成分を、アルカリ現像液に可溶な樹脂である下記高分子化合物(A)−2に置き換えたものをそれぞれ調製し、これらをそれぞれ実施例1’〜2’および比較例1’〜2’のレジスト組成物とした。
これらのレジスト組成物を、8インチのシリコン基板上に、スピンナーを用いて均一にそれぞれ塗布し、ホットプレート上で、110℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、膜厚が160nmのレジスト膜を形成した。
当該レジスト膜を、23℃にて、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に10秒間浸漬させ、その際の溶解速度(膜減り量/浸漬時間)の最大値(Rmax、単位:nm/s)をRDA−808RB(商品名、リソテックジャパン製)により求めた。その結果を表8に示す。
【0246】
【化75】

[式中、m:n=50:50(モル比)であり、Mw5200、Mw/Mn1.77の共重合体。]
【0247】
【表8】

【0248】
上記のように、実施例1’〜2’のレジスト組成物を用いて形成されたレジスト膜は、アルカリ現像液に対する溶解性が高かった。この結果から、酸発生剤(B)−1および(B)−2は、(B)−3および(B)−4に比べて、アルカリ現像液に対する溶解性が高く、当該酸発生剤が配合されるレジスト組成物のアルカリ現像液に対する溶解性を阻害しにくいことが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するレジスト組成物であって、
前記酸発生剤成分(B)が、下記一般式(b1−11)で表される化合物からなる酸発生剤(B1)を含むことを特徴とするレジスト組成物。
【化1】

[式中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基であり、R”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよく、R”〜R”のうち少なくとも1つは、置換基として下記一般式(I)で表される基を有する置換アリール基であり、Xは下記一般式(b−3)または(b−4)で表されるアニオンである。]
【化2】

[式中、Wは2価の連結基を表す。]
【化3】

[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基またはハロゲン化アルキル基を表す。Z”に結合した−SO−は、−C(=O)−に置換されていてもよい。]
【請求項2】
前記一般式(b1−11)中のWがアルキレン基である請求項1に記載のレジスト組成物。
【請求項3】
ポジ型レジスト組成物である請求項1または2に記載のレジスト組成物。
【請求項4】
前記基材成分(A)が、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂(A1)である請求項3に記載のレジスト組成物。
【請求項5】
前記樹脂(A1)が、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する請求項4に記載のレジスト組成物。
【請求項6】
前記樹脂(A1)が、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有する請求項5に記載のレジスト組成物。
【請求項7】
前記樹脂(A1)が、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する請求項5または6に記載のレジスト組成物。
【請求項8】
さらに、含窒素有機化合物成分(D)を含有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
【請求項9】
支持体上に、請求項1〜8のいずれか一項に記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
【請求項10】
下記一般式(b1−11)で表される化合物。
【化4】

[式中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基であり、R”〜R”のうちのいずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよく、R”〜R”のうち少なくとも1つは、置換基として下記一般式(I)で表される基を有する置換アリール基であり、Xは下記一般式(b−3)または(b−4)で表されるアニオンである。]
【化5】

[式中、Wは2価の連結基である。]
【化6】

[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基またはハロゲン化アルキル基を表す。Z”に結合した−SO−は、−C(=O)−に置換されていてもよい。]
【請求項11】
前記一般式(b1−11)中のWがアルキレン基である請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
請求項10または11に記載の化合物からなる酸発生剤。

【公開番号】特開2013−101355(P2013−101355A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−268855(P2012−268855)
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2008−270243(P2008−270243)の分割
【原出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】