説明

レニン阻害剤およびその使用方法

、R、R、R、R、R、R7a、R7bおよびnが、本発明に定義されたとおりである以下の式により表されるアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤、または薬学的に許容できるその塩、それを含んでなる医薬組成物およびそれを用いてアスパラギン酸プロテアーゼ媒介障害を治療する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年6月20日に出願された米国仮特許出願第61/074,271号明細書の利益を主張する。
【0002】
上記出願の教示の全てが、参照として本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
レニンなどのアスパラギン酸プロテアーゼ、β−セクレターゼ(BACE)、HIVプロテアーゼ、HTLVプロテアーゼ、ならびにプラスメプシンIおよびIIは、多くの疾患状態に関係している。高血圧において、アンジオテンシノーゲンのレニン触媒開裂産物である、アンジオテンシンIの上昇したレベルが存在する。アミロイド前駆体タンパク質に対するBACEの活動産物である、βアミロイドのレベル上昇は、アルツハイマー病患者の脳内に存在するアミロイドプラークの原因であると広く考えられている。HIVウィルスおよびHTLVウィルスは、ウィルス成熟に関するそれぞれのアスパラギン酸プロテアーゼに依存する。熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)は、プラスメプシンIおよびIIを用いてヘモグロビンを分解する。
【0004】
レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系(RAAS)において、生理活性ペプチドのアンジオテンシンII(AngII)は、2段階機序により生成する。高特異的アスパラギン酸プロテアーゼであるレニンは、アンジオテンシノーゲンをアンジオテンシンI(AngI)に開裂し、次いでこれが特異性の低いアンジオテンシン変換酵素(ACE)によりAngIIへとさらに処理される。AngIIは、ATおよびATと呼ばれる少なくとも2つの受容体サブタイプに作用することが知られている。ATは、AngIIの既知の機能の大部分を伝達するようであるが、ATの役割はまだ不明である。
【0005】
RAASの調節は、心血管疾患の治療において大きな進歩を示している(Zaman,M.A.ら、Nature Reviews Drug Discovery 2002年、1、621−636頁)。ACE阻害剤およびATブロッカーは、高血圧の治療剤として承認されている(Waeber B.ら、「The renin−angiotensin system:role in experimental and human hypertension」、Berkenhager W.H.、Reid J.L.(編):Hypertension、Amsterdam、Elsevier Science Publishing Co、1996年、489−519頁;Weber,M.A.、Am.J.Hypertens.、1992年、5、245S頁)。さらに、ACE阻害剤は、腎保護に使用されており(Rosenberg,M.E.ら、Kidney International、1994年、45、403頁;Breyer J.A.ら、Kidney International、1994年、45、S156頁)、うっ血性心不全の防止に(Vaughan D.E.ら、Cardiovasc,Res.、1994年、28、159頁;Fouad−Tarazi F.ら、Am.J.Med.1988年、84頁(追補3A)、83頁)また心筋梗塞の防止に使用されている(Pfeffer M.A.ら、N Engl.J.Med.1992年、327、669頁)。
【0006】
レニン阻害剤開発における関心は、レニンの特異性から生じている(Kleinert H.D.、Cardiovasc.Drugs、1995年、9、645頁)。レニンに関する基質として知られている唯一のものは、レニンよってのみ(生理的条件下で)処理し得るアンジオテンシノーゲンである。対照的にACEは、AngIの他にブラジキニンも開裂することができ、セリンプロテアーゼであるキマーゼによりバイパスさせることができる(Husain A.、J.Hypertens.、1993年、11、1155頁)。したがって、患者におけるACEの阻害はブラジキニンの蓄積に至り、咳を引き起こし(5〜20%)また、生命に係わる血管運動神経性浮腫(0.1〜0.2%)を引き起こす可能性がある(Israili Z.H.ら、Annals of Internal Medicine、1992年、117、234頁)。キマーゼは、ACE阻害剤によって阻害されない。したがって、ACE阻害剤により治療を受けた患者には、依然としてAngII形成の可能性がある。一方、AT1受容体の遮断(例えば、ロサルタンによる)により、他のAT受容体のサブタイプがAngIIに対して曝露過剰になり、その濃度は、AT1受容体の遮断により劇的に増加する。要約すると、レニン阻害剤は、安全性に関してACE阻害剤やATブロッカーよりも優れているのみならず、さらに重要なことに、RAASの遮断における有効性に関してもより優れているものとして期待される。
【0007】
レニン阻害剤のペプチド様の特性により、与えられる経口活性が不十分なため(Kleinert H.D.、Cardiovasc.Drugs、1995年、9、645頁)、レニン阻害剤により生じた臨床経験は限られている(Azizi M.ら、J.Hypertens.、1994年、12、419頁;Neutel J.M.ら、Am.Heart、1991年、122、1094頁)。製品の高コストと共にこの問題のため、幾つかの化合物の臨床開発が中止されている。1つの化合物だけが臨床試験に入ったようである(Rahuel J.ら、Chem.Biol.、2000年、7、493頁;Mealy N.E.、Drugs of the Future、2001年、26、1139頁)。このように、代謝的に安定で、経口的に生物学的に利用可能であり、かつ十分に可溶性のある、大規模で調製できるレニン阻害剤は入手できていない。最近、高インビトロ活性を示す最初の非ペプチドレニン阻害剤が記載された(Oefner C.ら、Chem.Biol.1999年、6、127頁;国際公開第97/09311号パンフレット;Maerki H.P.ら、Il Farmaco、2001年、56、21頁)。本発明は、非ペプチド性であり、かつ低分子量のレニン阻害剤の予想外同定に関する。組織レニン−キマーゼ系が活性化して腎臓、心臓および血管のリモデリング、アテローム性動脈硬化症、および再狭窄などの病態生理学的に変化した局所機能に至り得る血圧調節の及ばない適応症に活性である経口的に活性なレニン阻害剤を記載する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、式(I):
【化1】


によって表される化合物であって、
式中:
が、C〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキル−C〜Cアルキル−であり;
が、HまたはC〜Cアルキルであり;
の各々が、F、Cl、Br、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、およびC〜Cアルキルスルホニル−から独立して選択され;
nが、0、1、2または3であり:
、RおよびRが、H、ハロおよびC〜Cアルキルから選択され、R、RまたはRのうちの1つが、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、R、RおよびRの他の2つが、Hであり;
7aおよびR7bが、各々独立してC〜Cアルキルであるか、またはR7aおよびR7bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、5〜6員の炭素環式環または複素環式環形成し、複素環式環が、1個の酸素原子を含有する化合物であるアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるか;
または薬学的に許容できるその塩である。
【0009】
本発明の別の実施形態は、薬学的に許容できる担体または希釈剤および式(I)によって表されるアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤、または薬学的に許容できるその塩を含んでなる医薬組成物である。この医薬組成物は、治療、例えば、対象におけるアスパラギン酸プロテアーゼ媒介障害を阻止するために使用される。
【0010】
本発明の別の実施形態は、1つまたは複数のアスパラギン酸プロテアーゼをアンタゴナイズする治療を必要とする対象において1つまたは複数のアスパラギン酸プロテアーゼをアンタゴナイズする方法である。この方法は、式(I)によって表されるアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤、または薬学的に許容できるその塩の有効量を対象に投与することを含んでなる。
【0011】
本発明の別の実施形態は、対象におけるアスパラギン酸プロテアーゼ媒介障害を治療する方法である。この方法は、式(I)によって表されるアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤、または薬学的に許容できるその塩の有効量を対象に投与することを含んでなる。
【0012】
本発明の別の実施形態は、1つまたは複数のプロテアーゼをアンタゴナイズする治療を必要とする対象において1つまたは複数のプロテアーゼをアンタゴナイズする薬剤製造のための、式(I)によって表されるアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤、または薬学的に許容できるその塩の使用である。
【0013】
本発明の別の実施形態は、対象におけるアスパラギン酸プロテアーゼ媒介障害を治療する薬剤の製造のための、式(I)によって表されるアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤、または薬学的に許容できるその塩の使用である。
【0014】
本発明の別の実施形態は、対象におけるアスパラギン酸プロテアーゼ媒介障害の治療などの治療のために、式(I)によって表されるアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤、または薬学的に許容できるその塩の使用である。
【0015】
本発明の別の実施形態は、高血圧、うっ血性心不全、心肥大、心線維症、梗塞後の心筋症、腎障害、脈管障害および神経障害、冠血管の疾患、術後高血圧、血管形成術後の再狭窄、眼内圧の上昇、緑内障、異常血管増殖、高アルドステロン症、不安神経症、または認知障害を有する対象を治療するための、式(I)によって表されるアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤、または薬学的に許容できるその塩の使用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、式(I)によって表されるアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤、または薬学的に許容できるその塩に関する。
【0017】
本発明の別の実施形態は、式(Ia):
【化2】


によって表される化合物であって、
式中R、R、R、R、R、R、R7a、R7bおよびnが、上記に定義されたとおりである化合物のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるか、または薬学的に許容できるその塩である。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、式(I)または(Ia)によって表され、式中:Rが、C〜Cアルキルであり;Rが、HまたはC〜Cアルキルであり;Rの各々が、F、Cl、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、およびC〜Cアルキルスルホニル−から独立して選択され;nが、0、1、または2であり:R、RおよびRが、H、F、ClおよびC〜Cアルキルから選択され、R、RまたはRのうちの1つが、H、F、ClまたはC〜Cアルキルであり、R、RまたはRの他の2つが、Hであり;R7aおよびR7bが、各々独立してC〜Cアルキルであるか、またはR7aおよびR7bが、それらが結合する炭素原子と一緒になって、5〜6員の炭素環式環または複素環式環を形成し、前記複素環式環が1個の酸素原子を含有する、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるか;または薬学的に許容できるその塩である。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、式(I)または(Ia)によって表され、式中:Rが、C〜Cアルキルであり;Rが、C〜Cアルキルであり;Rの各々が、F、ClおよびC〜Cアルキルから独立して選択され;nが、0、1、または2であり;R、RおよびRが、各々Hであるか、またはR、RまたはRのうちの1つが、F、Clまたはメチルであり;R7aおよびR7bが、各々独立してC〜Cアルキルであるか、またはR7aおよびR7bが、それらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロヘキシル環またはテトラヒドロピラニル環を形成する、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるか;または薬学的に許容できるその塩である。
【0020】
本発明の別の実施形態は、式(II):
【化3】


によって表される化合物であって、
式中
が、C〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキル−C〜Cアルキル−であり;
が、HまたはC〜Cアルキルであり;
の各々が、F、Cl、Br、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、およびC〜Cアルキルスルホニル−から独立して選択され;
nが、0、1、2または3であり:
、RおよびRが、H、ハロおよびC〜Cアルキルから選択され、R、RまたはRのうちの1つが、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、R、RおよびRの他の2つが、Hであり;
Xが、CHまたはOである、化合物のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるか:
または薬学的に許容できるその塩である。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、式(II)によって表され、式中:Rが、C〜Cアルキルであり;Rが、HまたはC〜Cアルキルであり;Rの各々が、F、Cl、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、およびC〜Cアルキルスルホニル−から独立して選択され;nが、0、1、または2であり、またはRが、F、Cl、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、およびC〜Cアルキルスルホニル−から選択されて、nが0または1であり;R、RおよびRは、H、F、ClおよびC〜Cアルキルから選択され、R、RまたはRのうちの1つが、H、F、ClまたはC〜Cアルキルであり、R、RおよびRの他の2つが、Hであり;Xが、CHまたはOである、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるか;または薬学的に許容できるその塩である。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、式(II)によって表され、式中:Rが、C〜Cアルキルであり;Rが、C〜Cアルキルであり;Rの各々が、F、ClおよびC〜Cアルキルから独立して選択されて、nが、0、1または2であるか、またはRが、F、ClおよびC〜Cアルキルから選択されて、nが、0または1であり:R、RまたはRが、各々Hであるか、またはR、RまたはRのうちの1つが、F、Clまたはメチルであり;Xが、Oである、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるか;または薬学的に許容できるその塩である。
【0023】
本発明の別の実施形態は、式(IIa):
【化4】


によって表される化合物であって、
式中
が、C〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキル−C〜Cアルキル−であり;
が、HまたはC〜Cアルキルであり;
の各々が、F、Cl、Br、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、およびC〜Cアルキルスルホニル−から独立して選択され;
nが、0、1、2または3であり:
、RおよびRが、H、ハロおよびC〜Cアルキルから選択され、R、RまたはRのうちの1つが、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、R、RおよびRの他の2つが、Hである、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるか;
または薬学的に許容できるその塩である。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、式(IIa)によって表され、式中:Rが、C〜Cアルキルであり;Rが、HまたはC〜Cアルキルであり;Rの各々が、F、Cl、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルコキシおよびC〜Cアルキルスルホニル−から独立して選択されてnが、0、1または2であるか、またはRが、F、Cl、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルコキシおよびC〜Cアルキルスルホニル−から選択されてnが、0または1であり;R、RおよびRは、H、F、ClおよびC〜Cアルキルから選択され、R、RまたはRのうちの1つが、H、F、ClまたはC〜Cアルキルであり、R、RおよびRの他の2つが、Hである、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるか;または薬学的に許容できるその塩である。
【0025】
別の実施形態において、本発明は、式(IIa)によって表され、式中:Rが、C〜Cアルキルであり;Rが、C〜Cアルキルであり;Rの各々が、F、Cl、およびC〜Cアルキルから独立して選択されてnが、0、1または2であるか、またはRが、F、Cl、C〜Cアルキルから選択されてnが、0または1であり;R、RおよびRは、各々Hであるか、またはR、RまたはRのうちの1つが、F、Clまたはメチルである、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるか;または薬学的に許容できるその塩である。
【0026】
本発明の別の実施形態は、式(IIb):
【化5】


によって表される化合物であって、式中:R、R、R、n、R、RおよびRは、上記の式(IIa)に関して定義されたとおりである、化合物のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるか、または薬学的に許容できるその塩である。
【0027】
別の具体的な実施形態において、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)によって表され、式中Rが、メチルであり、Rが、メチルであり、式(I)および(Ia)のn、R、R、R、R、R7aおよびR7bまたは式(II)のXが、上記に定義されたとおりである、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるか、または薬学的に許容できるその塩である。別の具体的な実施形態において、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)によって表され、式中Rが、メチルであり;Rが、メチルであり;Rの各々が、F、Cl、およびメチルから独立して選択されてnが、0、1または2であり、またはRが、F、Cl、またはメチルであってnが、0または1であり;R、RまたはRのうちの1つが、F、Clまたはメチルであるか、またはR、RおよびRは、各々Hであり、式(I)および(Ia)のR7aおよびR7bまたは式(II)、(IIa)または(IIb)のXが、上記に定義されたとおりである、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるか、または薬学的に許容できるその塩である。
【0028】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の別の実施形態において、Rは、C〜Cアルキルである。
【0029】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の別の実施形態において、Rは、HまたはC〜Cアルキルである。式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物のさらなる実施形態において、Rは、C〜Cアルキルである。
【0030】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の別の実施形態において、R、RおよびRは、H、F、ClおよびC〜Cアルキルから選択され、R、RまたはRのうちの1つが、H、F、ClまたはC〜Cアルキルであり、R、RおよびRの他の2つが、Hである。
【0031】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の別の実施形態において、Rの各々は、F、ClおよびC〜Cアルキルから独立して選択される。
【0032】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の別の実施形態において、nは、0、1または2である。
【0033】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の別の実施形態において、Rは、メチルである。
【0034】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の別の実施形態において、Rは、Hまたはメチルである。式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物のさらなる実施形態において、Rは、メチルである。
【0035】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の別の実施形態において、Rの各々は、F、Clおよびメチルから独立して選択される。
【0036】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の別の実施形態において、nは0である。
【0037】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の別の実施形態において、nは1である。
【0038】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の別の実施形態において、nは2である。
【0039】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の別の実施形態において、RはFであり、nは1である。
【0040】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の別の実施形態において、RはClであり、nは1である。
【0041】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の別の実施形態において、nは2であり、Rの1つは、Clであり、他のRは、メチルである。
【0042】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の別の実施形態において、R、RおよびRは、各々Hである。
【0043】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の別の実施形態において、R、RおよびRのうちの1つは、F、Clまたはメチルである。
【0044】
本発明は、本明細書に定義されたR、R、R、R、R、R、およびnの実施形態の任意の、および全ての組合わせを考慮し、含んでいる。
【0045】
別の具体的な実施形態において、本発明のスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、表1の化合物のうちの1つであるか、またはそのエナンチオマーまたはジアステレオマーである(エナンチオマーまたはジアステレオマーは、示された残存する非特定のキラル中心;特定のキラル中心のいずれかのものである)。表1の化合物の薬学的に許容できる塩類および溶媒和物(例えば、水和物)、またはそのエナンチオマーまたはジアステレオマーも含まれる。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)または(IIb)の選択されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、表2の化合物、および薬学的に許容できる塩類および溶媒和物(例えば、水和物)を含んでいる。
【0050】
【表4】

【0051】
【表5】

【0052】
【表6】

【0053】
【表7】

【0054】
本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の合成に有用な中間体は、式(IV)、(IVa)、(IVb)、(IVc)または(IVd)およびそれらの塩類(好ましくは、薬学的に許容できる塩類)によって表される:
【化6】

【0055】
式(IV)、(IVa)、(IVb)、(IVc)および(IVd)中、Eは、Hまたはアミノ保護基である。アミノ保護基には、当業界に知られているカルバメート、アミド、およびスルホンアミド保護基が含まれ(T.W.GreenおよびP.G.M.Wuts「Protective Groups in Organic Synthesis」John Wiley & Sons,Inc.、ニューヨーク1999年)、その教示の全体が、参照として本明細書に援用されている。具体的なアミン保護基としては、t−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および1−[2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル](Teoc)が挙げられる。より具体的には、アミン保護基は、t−ブトキシカルボニル(Boc)である。Rに関する値および特定値は、式(I)に関して記載されたとおりである。
【0056】
本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の調製に有用な具体的な中間体としては、以下の各々の化合物、もしくはそれらのエナンチオマーまたはジアステレオマーが挙げられる。以下の化合物の薬学的に許容できる塩類もまた含まれる:
【0057】
【表8】

【0058】
化合物においていずれかの可変部分(例えば、R)が、1回を超えて発生する場合、各発生に対するその定義は、他の発生のいずれからも独立している。例えば、各発生でRは、F、Cl、Br、シアノ、ニトロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシおよびアルキルスルホニルからなる群から独立して選択される。
【0059】
本発明の「アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤」が、称されるか、または構造によって示される場合、それは、薬学的に許容できるその塩類も含む。
【0060】
単独での、または別の部分(シクロアルキルアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロアルキルまたはアルコキシなど)の一部としての「アルキル」とは、飽和脂肪族分枝状または直鎖状のモノ−または二価の炭化水素基を意味する。アルキルは通常、1個から6個の炭素原子、一般的には、1個から3個の炭素原子を有する。したがって、「(C〜Cアルキル)」とは、線状または分枝状配列における1個から3個の炭素原子を有する基を意味する。「(C〜Cアルキル)」としては、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルが挙げられる。
【0061】
単独での、または別の部分(シクロアルキルアルキルなど)の一部としての「シクロアルキル」とは、飽和脂肪族環式一価の炭化水素基を意味する。一般的には、シクロアルキルは、3個から10個の炭素原子を有し、単環式、二環式または三環式である。三環式シクロアルキルは、縮合または架橋され得る。一般的には、シクロアルキルは、C〜C単環式であり、より一般的にはシクロプロピルである。
【0062】
「シクロアルキルアルキル」とは、シクロアルキル基で置換されたアルキル基を意味する。
【0063】
「ハロアルキル」には、モノハロアルキル基、ポリハロアルキル基、および過ハロアルキル基が含まれ、ハロゲンは、フッ素、塩素、および臭素から独立して選択される。
【0064】
「アルコキシ」とは、酸素結合原子を介して結合されたアルキル基を意味する。「(C〜C)−アルコキシ」としては、メトキシ、エトキシ、およびプロポキシが挙げられる。
【0065】
「ハロアルコキシ」とは、酸素リンカーを介して別の部分に結合しているハロアルキル基である。
【0066】
「アルカンスルホニル」は、
【化7】


結合基を介して結合されたアルキル基である。「(C〜C)アルカンスルホニル」としては、メタンスルホニル、エタンスルホニルおよびプロパンスルホニルが挙げられる。
【0067】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の幾つかは、種々の互変異性体で存在し得る。本発明は、構造が示されていない形体を含めて、全てこのような形体を包含する。
【0068】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の幾つかは、種々の立体異性体で存在し得る。立体異性体は、空間配置においてのみ異なる化合物である。最も一般的には、エナンチオマーは、キラル中心として働く不斉に置換された炭素原子を含有するので、その鏡像体を重ね合わせることのできない立体異性体の対である。「エナンチオマー」とは、互いに鏡像体で重ね合わせることのできない1対の分子の1つである。最も一般的には、ジアステレオマーは、2つ以上の不斉に置換された炭素原子を含有するので、鏡像体として関連しない立体異性体である。「R」および「S」は、1個または複数のキラル炭素原子の周辺の置換基の立体配置を表す。キラル中心が、RまたはSとして定義されず、またキラル中心における立体配置が、他の手段により定義されない場合、いずれかの立体配置が存在し得るか、または双方の立体配置の混合物が存在する。
【0069】
「ラセミ体」または「ラセミ体混合物」とは、2つのエナンチオマーの等モル量の化合物を意味し、このような混合物は、光学活性を示さない;すなわち、それらは、偏光面を回転させない。
【0070】
「R」および「S」は、コア分子に関連した立体配置を示す。
【0071】
【化8】


描写されたエナンチオマー
【化9】


は、少なくとも60%、70%、80%、90%、99%または99.9%の光学純度である。
【0072】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤、ならびにこれらの阻害剤を調製するために使用される中間体の多くは、異性体特異的合成により個々の異性体として調製することができるか、または異性体混合物から分割することができる。通常の分割技法としては、光学活性酸を用いた、異性体対の各異性体の遊離塩基塩の形成(次いで分別結晶化および遊離塩基の再生)、光学活性アミンを用いた、異性体対の各異性体の酸形体塩の形成(次いで分別結晶化および遊離酸の再生)、光学的に純粋な酸、アミンまたはアルコールを用いた異性体対の各異性体のエステルまたはアミドの形成(次いでクロマトグラフィー分離およびキラル助剤の除去)、または種々のよく知られたクロマトグラフィー法を用いた出発物質または最終生成物の異性体混合物の分割が挙げられる。
【0073】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤または中間体の立体化学を称するか、または構造により示す場合、その名称または示された立体異性体は、他の立体異性体に対して少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%または99.9重量%の純粋である。単一のエナンチオマーが、称されるか、または構造により示される場合、その名称または示されたエナンチオマーは、少なくとも60%、70%、80%、90%、99%または99.9%鏡像異性的に純粋である。
【0074】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤または中間体を、立体化学を示さずに称されるか、または構造により示され、その阻害剤または中間体が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、当然のことながら、その名称または構造は、対応するエナンチオマー/光学異性体の無い阻害剤または中間体の1つのエナンチオマー、阻害剤または中間体のラセミ体混合物、および1つのエナンチオマーが、その対応するエナンチオマー/光学異性体に比して富んでいる混合物を包含する。
【0075】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤または中間体が、立体化学を示さずに称されるか、または構造により示され、少なくとも2つのキラル中心を有する場合、当然のことながら、その名称または構造は、他のジアステレオマーの無いジアステレオマー、他のジアステレオマー対の無い1対のジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、ジアステレオマー対の混合物、他のジアステレオマーに比して1つのジアステレオマーに富んだジアステレオマー混合物、および1つのジアステレオマー対が、他のジアステレオマー対に比して富んでいるジアステレオマー対の混合物を包含する。
【0076】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤または中間体が、立体化学を示さずに称されるか、または構造により示される場合、その阻害剤または中間体が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、当然のことながら、その名称または構造は、対応するエナンチオマー/光学異性体の無い阻害剤または中間体の1つのエナンチオマーならびにその対応するエナンチオマー/光学異性体に比して1つの示されたエナンチオマーに富んでいる混合物を包含する。
【0077】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤または中間体が、立体化学を示さずに称されるか、または構造により示される場合、その阻害剤または中間体が少なくとも2つのキラル中心を有する場合、当然のことながら、その名称または構造は、他のジアステレオマーの無いジアステレオマーならびにその示されたジアステレオマーが、他のジアステレオマーに比して富んでいるジアステレオマー混合物、およびその示されたジアステレオマー対が、他のジアステレオマー対に比して富んでいるジアステレオマー対の混合物を包含する。
【0078】
アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤化合物の薬学的に許容できる塩類は、本発明に含まれる。例えば、アミンまたは他の塩基性基を含有するアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の酸性塩は、この化合物と好適な有機酸または無機酸とを反応させることによって得ることができ、薬学的に許容できるアニオン性塩の形態が生じる。アニオン性塩類の例としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素酸塩、臭化物、カルシウムエデト酸塩、d−ショウノウスルホン酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、二塩化水素化物、エデト酸塩、エジシレート、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グリセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキシルリゾルシネート、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエート、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオネート、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチルスルホン酸塩、ムケート、ナプシレート、硝酸塩、パモエート、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロネート、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、およびトリエチオジド塩が挙げられる。
【0079】
カルボン酸または他の酸性官能基を含有するアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤化合物の塩類は、好適な塩基と反応させることにより調製できる。このような薬学的に許容できる塩は、薬学的に許容できるカチオンを与える塩基によって作製することができ、これらの塩類としては、アルカリ金属塩(特にナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属塩(特にカルシウムおよびマグネシウム)、アルミニウム塩およびアンモニウム塩、ならびにトリメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、ピリジン、ピペリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルアミン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン、プロカイン、ジベンジルピペリジン、デヒドロアビエチルアミン、N,N’−ビスデヒドロアビエチルアミン、グルカミン、N−メチルグルカミン、コリジン、キニーネ、キノリン、およびリシンおよびアルギニンなどの塩基性アミノ酸などの生理学的に許容できる有機塩基から作製された塩類が挙げられる。
【0080】
本発明によれば、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤化合物およびそれらの合成中間体の薬学的に許容できない塩類もまた含まれる。これらの塩類(例えば、TFA塩)は、例えば、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤化合物およびそれらの合成中間体の精製および単離のために使用することができる。
【0081】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤を称するか、または構造にとって示す場合、当然のことながら、そのアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の溶媒和物(例えば、水和物)もまた含まれる。「溶媒和物」とは、結晶化時に溶媒分子が結晶格子に組み込まれる結晶形態のことである。溶媒としては、水またはエタノール、イソプロパノール、DMSO、酢酸、エタノールアミン、およびEtOAcなどの非水溶媒を挙げることができる。水が結晶格子に組み込まれた溶媒分子である溶媒和物は、一般に「水和物」と称される。水和物としては、量論的水和物(一水和物)ならびに可変量の水を含有する組成物(例えば、半水和物、二水和物など)が挙げられる。
【0082】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤を称するか、または構造により示す場合、当然のことながら、その溶媒和物を含めてその化合物または薬学的に許容できる塩は、結晶形、非結晶形またはそれらの混合物で存在し得る。アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤または溶媒和物は、多形体(すなわち、種々の結晶形を生じる能力)を示すこともできる。これら種々の結晶形は、一般に「多形体」として知られている。当然のことながら、開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤およびそれらの溶媒和物(例えば、水和物)を称するか、または構造によって示す場合、それらは、それら全ての多形体を含んでいる。多形体は、同じ化学的組成を有するが、結晶性固体状態のパッキングされた幾何学的配置、および他の記述的性質が異なる。したがって、多形体は、形状、密度、硬度、変形性、安定性、および溶解性などの物理的性質が異なり得る。一般的に多形体は、同定に使用できる異なった融点、IRスペクトル、および粉末X線回折図を示す。例えば、化合物の結晶化に使用される条件を変えるか、または調整することによって、種々の多形体を生成し得ることを通常の当業者は認識するであろう。例えば、温度、圧、または溶媒を変えることにより、種々の多形体を得ることができる。さらに、1つの多形体を、ある一定の条件下で別の多形体へと自然に変換させることができる。
【0083】
当該いずれの分子上の鋭敏な基または反応性基を合成時に保護することは、必要でありおよび/または望ましいと考えられる。代表的で慣例的な保護基は、T.W.GreenおよびP.G.M.Wuts「Protective Groups in Organic Synthesis」John Wiley & Sons,Inc.、ニューヨーク1999年に記載されており、その教示の全体は、参照として本明細書に援用されている。当業界によく知られた方法を用いて、保護基を付加し、除去することができる。
【0084】
アスパラギン酸プロテアーゼの産物のレベルを減少させることが、疾患状態の治療に有効であるか、または病原菌がアスパラギン酸プロテアーゼの活性に依存する感染症の治療に有効である障害または疾患の寛解または治療に、本発明の化合物は有用である。高血圧では、アンジオテンシノーゲンのレニン触媒開裂の産物であるアンジオテンシンIのレベル上昇が存在する。したがって、本発明の化合物は以下の治療に使用することができる:高血圧、(急性および慢性)うっ血性心不全などの心不全;左心室の機能不全;心肥大;心線維症;心筋症(例えば、糖尿病性心筋障害および梗塞後の心筋障害);心室上部性および心室性不整脈;心房性細動;心房性粗動;有害な血管リモデリング;心筋梗塞とその後遺症;アテローム硬化症;(不安定か、または安定した)狭心症;糖尿病性腎障害などの腎不全病態;糸球体腎炎;腎線維症;強皮症;糸球体硬化症;微小血管の合併症、例えば、糖尿病性網膜症;腎血管高血圧;脈管障害;神経障害;腎障害、脈管障害、網膜症および神経障害など糖尿病から生じる合併症、冠血管の疾患、タンパク尿、アルブミン尿、術後高血圧、代謝性症候群、肥満、血管形成術後の再狭窄、眼内圧の上昇、緑内障、網膜症、異常血管増殖およびリモデリングなどの眼疾患および関連する異常性、新生血管性加齢黄斑変性症などの血管新生関連障害;アルドステロン過剰症、不安神経症、および認知障害(Fisher N.D.;Hollenberg N.K.Expert Opin.Investig.Drugs.2001年、10、417−26頁)。
【0085】
アミロイド前駆体タンパク質に対して、十分に特性化されたアスパラギン酸プロテアーゼβ−セクレターゼ(BACE)活性の活動産物であるβアミロイドのレベル上昇は、アルツハイマー病患者の脳内におけるアミロイドプラークの発達および進行の原因であると広く考えられている。カンジダアルビカンス(Candida albicans)の分泌アスパラギン酸プロテアーゼは、その病原性毒性と関連している(Naglik,J.R.;Challacombe,S.J.;Hube,B.、Microbiologu and Molecular Biology Reviews2003年、67、400−428頁)。HIVウィルスおよびHTLVウィルスは、ウィルス成熟のためにそれぞれのアスパラギン酸プロテアーゼに依存する。熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)は、プラスメプシンIおよびIIを用いてヘモグロビンを分解する。
【0086】
あるいは、開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の代替として、またはそれに追加して、本発明の医薬組成物は、このような化合物または塩のプロドラッグまたは薬学的に活性な代謝物、およびそのための1つまたは複数の薬学的に許容できる担体または希釈剤を含むことができる。
【0087】
本発明は、アスパラギン酸プロテアーゼ媒介障害を処置するか、または寛解するための治療方法を必要とする対象において、アスパラギン酸プロテアーゼ媒介障害を処置するか、または寛解するための治療方法を含み、この治療方法は、本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含んでなる。
【0088】
投与方法は、治療過程中に種々の時間でまたは組合わせ形態で同時に、本発明の化合物または組成物の有効量を投与することを含んでいる。本発明の方法には、よく知られた治療的処置療法の全てが含まれている。
【0089】
「有効量」とは、対象において所望の生物学的応答を誘発する薬物(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)の量を意味する。このような応答には、治療されている疾患または障害の症状の軽減が含まれる。このような治療法において開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の有効量は、約0.01mg/kg/日から約10mg/kg/日、好ましくは、約0.5mg/kg/日から5mg/kg/日である。
【0090】
本発明は、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の使用を必要とする対象における、アスパラギン酸プロテアーゼ媒介の慢性的障害または疾患または感染症の治療または寛解のための組成物の調製を目的として、開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の使用が含まれ、この組成物は、1つまたは複数の開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤および任意の薬学的に許容できる担体の混合物を含んでなる。
【0091】
「薬学的に許容できる担体」とは、動物またはヒトに適切に投与された場合に、副作用を発生せず、また薬物(例えば、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)に対する媒体として用いられ、本発明の組成物の製剤化に使用する上で十分な純度と品質を有する化合物および組成物を意味する。
【0092】
「薬学的に許容できる希釈剤」とは、動物またはヒトに適切に投与された場合に、副作用が発生せず、また薬物(例えば、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)に対する希釈剤として用いられ、本発明の組成物の製剤化に使用する上で十分な純度と品質を有する化合物および組成物を意味する。
【0093】
「アスパラギン酸プロテアーゼ媒介の障害または疾患」には、アスパラギン酸プロテアーゼの発現上昇または過剰発現に関連する障害または疾患、およびこのような疾患に伴う病態が含まれる。
【0094】
本発明の一実施形態は、α−ブロッカー、β−ブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、利尿剤、ナトリウム排泄薬、食塩排泄薬、中枢作用性降圧薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、デュアルACE阻害剤および中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、アンジオテンシン受容体ブロッカー類(ARBs)、アルドステロンシンターゼ阻害剤、アルドステロン受容体アンタゴニスト、またはエンドセリン受容体アンタゴニストなど、高血圧の治療に1つまたは複数の追加の薬剤との併用療法において(米国特許第5,821,232号明細書、米国特許第6,716,875号明細書、米国特許第5,663,188号明細書、Fossa,A.A.;DePasquale,M.J.;Ringer,L.J.;Winslow,R.L.、「Synergistic effect on reduction in blood pressure with coadministration of a renin inhibitor or an angiotensin−converting enzyme inhibitor with an angiotensin II receptor antagonist」Drug Development Research1994年、33(4)、422−8頁、前述の論文および特許は、参照として本明細書に援用されている)本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害物を投与することを含んでいる。
【0095】
α−ブロッカーとしては、ドキサゾシン、プラゾシン、タムスロシン、およびテラゾシンが挙げられる。
【0096】
併用療法のためのβ−ブロッカーは、アテノロール、ビソプロール、メトプロール、アセツトロール、エスモロール、セリプロロール、タリプロロール、アセブトロール、オキシプレノロール、ピンドロール、プロパノロール、ブプラノロール、ペンブトロール、メピンドロール、カルテオロール、ナドロール、カルベジロール、およびそれらの薬学的に許容できる塩類から選択される。
【0097】
カルシウムチャネルブロッカーとしては、ジヒドロピリジン類(DHPs)および非DHPsが挙げられる。好ましいDHPsは、アムロジピン、フェロジピン、リオシジン、イスラジピン、ラシジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニグルピジン、ニルジピン、ニモジフィン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ニバルジピン、およびそれらの薬学的に許容できる塩類からなる群から選択される。非DHPsは、フルナリジン、プレニルアミン、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、アニパミル、チアパミル、ベラムピミル、およびそれらの薬学的に許容できる塩類から選択される。
【0098】
利尿剤は、例えば、アミロリド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、メチルクロロチアジド、およびクロロタリドンから選択されるチアジド誘導体である。
【0099】
中枢作用性降圧薬としては、クロニジン、グアナベンズ、グアンファシン、およびメチルドーパが挙げられる。
【0100】
ACE阻害剤としては、アラセプリル、ベナゼプリル、ベナザプリラット、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナラプリラット、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシピリル、モベルトプリル、ペリンドプリル、キナプリル、キナプリラット、ラミプリル、ラミプリラット、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル、およびゾフェノプリルが挙げられる。好ましいACE阻害剤は、ベナゼプリル、エナルプリル、リシノプリル、およびラミプリルである。
【0101】
ACE/NEP二重阻害剤は、例えば、オマパトリラット、ファシドトリル、およびファシドトリラットである。
【0102】
好ましいARB類としては、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、およびバルサルタンが挙げられる。
【0103】
好ましいアルドステロンシンターゼ阻害剤は、アナストロゾール、ファドロゾール、およびエキセメスタンである。
【0104】
好ましいアルドステロン受容体アンタゴニストは、スピロノラクトンおよびエプレレノンである。
【0105】
好ましいエンドセリンアンタゴニストは、例えば、ボセンタン、エンラセンタン、アトラセンタン、ダルセンタン、シタキセンタン、テゾセンタン、およびそれらの薬学的に許容できる塩類である。
【0106】
本発明の一実施形態は、AIDSの治療のために1つまたは複数の追加薬剤、すなわち逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシドの逆転写酵素阻害剤、他のHIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、エントリー阻害剤(結合阻害剤、共受容体阻害剤および融合阻害剤など)、アンチセンス薬物、および免疫刺激剤との併用療法において本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤またはその組成物を投与することを含んでいる。
【0107】
好ましい逆転写酵素阻害剤は、ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、ラミブジン、アバカビル、テノフォビル、およびエムトリシタビンである。
【0108】
好ましい非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤は、ネビラピン、デラビリジン、およびエファビレンズである。
【0109】
好ましいHIVプロテアーゼ阻害剤は、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ロピナビル、アタザナビル、およびフォサンプレナビルである。
【0110】
好ましいHIVインテグラーゼ阻害剤は、L−870、810およびS−1360である。
【0111】
エントリー阻害剤としては、CD4受容体、CCR5受容体またはCXCR4受容体に結合する化合物が挙げられる。エントリー阻害剤の具体例としては、エンフビルチド(gp41におけるHR2ドメインのペプチド擬似物)およびシフルビチドが挙げられる。
【0112】
好ましい結合阻害剤および融合阻害剤は、エンフビルチドである。
【0113】
本発明の一実施形態は、タクリン、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、およびメマンチンなど、アルツハイマー病の治療のための1つまたは複数の追加薬剤との併用療法において本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤またはその組成物を投与することを含んでいる。
【0114】
本発明の一実施形態は、マラリアの治療のための1つまたは複数の追加薬剤、すなわちアルテミシニン、クロロキン、ハロファントリン、ヒドロキシクロロキン、メフロキン、プリマキン、ピリメタミン、キニーネ、スルファドキシンなどとの併用療法において本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤またはその組成物を投与することを含んでいる。
【0115】
併用療法には、本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤と前記の他の薬剤との共投与、開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤と他の薬剤との連続投与、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤および他の薬剤を含有する組成物の投与、またはアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤および他の薬剤を含有する別個の組成物の同時投与が含まれる。
【0116】
本発明は、1つまたは複数の開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤と、薬学的に許容できる任意の担体とを混合することを含んでなる組成物作製方法をさらに含んでおり、また、慣例的な製薬技法などのような方法から得られた組成物を含んでいる。例えば、本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、製剤化前にナノ粒子粉砕をすることができる。本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤はまた、当業界に知られている粉砕、超微粉砕または他の粒径減少方法により調製することができる。このような方法としては、限定はしないが、米国特許第4,826,689号明細書、米国特許第5,145,684号明細書、米国特許第5,298,262号明細書、米国特許第5,302,401号明細書、米国特許第5,336,507号明細書、米国特許第5,340,564号明細書、米国特許第5,346,702号明細書、米国特許第5,352,459号明細書、米国特許第5,354,560号明細書、米国特許第5,384,124号明細書、米国特許第5,429,824号明細書、米国特許第5,503,723号明細書、米国特許第5,510,118号明細書、米国特許第5,518,187号明細書、米国特許第5,518,738号明細書、米国特許第5,534,270号明細書、米国特許第5,536,508号明細書、米国特許第5,552,160号明細書、米国特許第5,560,931号明細書、米国特許第5,560,932号明細書、米国特許第5,565,188号明細書、米国特許第5,569,448号明細書、米国特許第5,571,536号明細書、米国特許第5,573,783号明細書、米国特許第5,580,579号明細書、米国特許第5,585,108号明細書、米国特許第5,587,143号明細書、米国特許第5,591,456号明細書、米国特許第5,622,938号明細書、米国特許第5,662,883号明細書、米国特許第5,665,331号明細書、米国特許第5,718,919号明細書、米国特許第5,747,001号明細書、PCT国際公開第93/25190号パンフレット、国際公開第96/24336号パンフレットおよび国際公開第98/35666号パンフレットに記載されたものが挙げられ、これらの各々は、参照として本明細書に援用されている。本発明の医薬組成物は、当業者に知られた技法および方法を用いて調製することができる。一般に当業界に用いられている方法の幾つかは、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pubkishing Compny)に記載されており、参照としてその教示の全体が本明細書に援用されている。
【0117】
本発明の組成物としては、経眼、経口、経鼻、経皮、閉鎖した局所または閉鎖してない局所、静脈内(ボーラスおよび注入の双方)、および注射(腹腔内、皮下、筋肉内、腫瘤内、または非経口的)が挙げられる。この組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、リポソーム剤、イオン交換樹脂、滅菌眼用液剤、または眼送達用デバイス(即時放出、時限放出、または持続放出を容易にするコンタクトレンズなど)、非経口用液剤または懸濁剤、計量エアゾール剤または液体スプレー剤、滴剤、アンプル剤、自動注入デバイス、または座薬などの投薬単位であり得;投与に関しては、経眼、経口、鼻腔内、舌下、非経口、または経直腸、または吸入またはガス吸入による。
【0118】
経口投与に好適な本発明の組成物としては、丸剤、錠剤、カプレ剤、カプセル剤(各々即時放出、時限放出、または持続放出を含む)、顆粒剤、散剤などの固体形態;ならびに液剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳濁剤、および懸濁剤などの液体形態が挙げられる。経口投与に有用な形態としては、滅菌液剤または眼送達用デバイスが挙げられる。非経口投与に有用な形態としては、滅菌液剤、乳濁剤、および懸濁剤が挙げられる。
【0119】
本発明の組成物を含有する剤形は、治療効果および/または予防効果を提供するために必要な有効量の薬物(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)を含有する。この組成物は、約5,000mgから約0.5mg(好ましくは、約1,000mgから約0.5mg)の開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤またはその塩形態を含有でき、選択された投与様式に好適な任意の形態に構成することができる。本発明の組成物は、週1回または月1回の投与に好適な形態で投与することができる。筋肉内注射用デポー製剤(例えば、デカン酸塩)を提供するために、または眼科投与用液剤を提供するために、例えば、薬物(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)の不溶性塩を適合させることができる。毎日投与または断続的投与もまた使用することができ、この場合、組成物は、1日、約1回から約5回投与することができる。
【0120】
経口投与では、その組成物は、例えば、1000ミリグラムから0.5ミリグラムの薬物(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)、より具体的には、500mgから5mgを含有する錠剤またはカプセルの形態であることが好ましい。投与量は、治療を受ける個々の患者(例えば、年令、体重、食事、および投与時間)、治療を受ける病態の重症度、使用される化合物、投与様式、および製剤の強度に関連する要因に依って変わり得る。
【0121】
経口用組成物は、均一な組成物として製剤化されるのが好ましく、薬物(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)は、混合物の全体に亘って一様に分散され、この混合物は、開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の等量を含有する用量単位に容易に再分割できる。開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤を、任意に存在の1つまたは複数の当該製薬用担体(澱粉、糖、希釈剤、顆粒化剤、滑剤、滑走剤、結合剤、および崩壊剤など)、任意に存在の1つまたは複数の製薬用不活性賦形剤(水、グリコール類、油類、アルコール類、香料、保存剤、着色剤、およびシロップなど)、任意に存在の1つまたは複数の通常の当該錠剤化用成分(トウモロコシ澱粉、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、および種々の任意のゴム類など)、および任意の希釈剤(水など)と混合することによって、この組成物を調製することが好ましい。
【0122】
結合剤としては、澱粉、ゼラチン、天然糖類(例えば、グルコースおよびベータ−乳糖)、トウモロコシ甘味剤、および天然ならびに合成ゴム類(例えば、アラビアゴムおよびトラガカントゴム)が挙げられる。崩壊剤としては、澱粉、メチルセルロース、寒天、およびベントナイトが挙げられる。
【0123】
錠剤およびカプセル剤は、有益な経口用剤形単位の典型である。錠剤は、標準的な技法を用いて糖衣化またはフィルムコーティングすることができる。錠剤をコーティングするか、あるいは配合して、持続性で制御放出の治療効果を提供することもできる。この剤形は、内部投薬成分と外部投薬成分を含むことができ、外部成分は、内部成分状の外被の形態にある。これら2つの成分を、胃内の崩壊に抵抗して内部成分を十二指腸内へと無傷に通過させることのできる層(腸用層)、または放出を遅延させるか、もしくは持続させる層によってさらに分離することができる。種々の腸用層および非腸用層の材料またはコーティング材料(ポリマー酸、セラック、アセチルアルコールおよびセルロースアセテートまたはそれらの組合わせなど)を使用することができる。
【0124】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、遅延放出組成物によって投与することもでき、その組成物は、開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤および生分解性遅延放出担体(例えば、ポリマー担体)または薬学的に許容できる非生分解性遅延放出担体(例えば、イオン交換担体)を含んでいる。
【0125】
生分解性および非生分解性の遅延放出担体は、当業界によく知られている。生分解性担体を用いて、薬物(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)を保持し、好適な環境(例えば、水性、酸性、塩基性など)中で徐々に分解/溶解して薬物を放出する粒子またはマトリックスを形成する。このような粒子は、体液中で分解/溶解させて、その中で薬物(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)を放出する。この粒子は、ナノ粒子(例えば、直径が約1nmから500nmの範囲、好ましくは、直径が約50〜200nmの範囲、最も好ましくは、直径が約100nm)であることが好ましい。遅延放出組成物を調製する方法において、遅延放出担体と開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤とを、最初に有機溶媒中に溶解させるか、または分散させる。得られた混合物を、任意の界面活性剤を含有する水溶液中に添加して乳濁液を生成する。次にこの乳濁液から有機溶媒を蒸発させて、遅延放出担体と開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤とを含有する粒子のコロイド状懸濁液を提供する。
【0126】
経口または注射による投与のために、開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤を、水溶液、好適に風味付けされたシロップ、水性または油性懸濁液、綿実油、ゴマ油、ヤシ油またはピーナッツ油などの食用油を有する風味付け乳濁液などの液体形態で、またはエリキシルまたは同様の製薬用媒体に組み入れることができる。水性懸濁液用の好適な分散化剤または懸濁化剤としては、トラガカントゴムおよびアラビアゴムなどの合成および天然ゴム類、アルギン酸塩、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドン、およびゼラチンが挙げられる。好適に風味付けされた懸濁化剤または分散化剤における液体形態はまた、合成および天然ゴム類を含むことができる。非経口投与には、滅菌懸濁剤および液剤が望ましい。一般に好適な保存剤を含有する等張性製剤は、静脈内投与が望ましい場合に使用される。
【0127】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、注射によって非経口的に投与することができる。非経口製剤は、適切な不活性液体担体中に溶解させたか、またはそれと混合した薬物(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)から構成することができる。許容できる液体担体は、通常、水性溶媒および溶解性または保存を補助するための他の任意の成分を含んでなる。このような水性溶媒としては、滅菌水、リンゲル液、または等張性生理食塩溶液が挙げられる。他の任意の成分としては、植物油(ピーナッツ油、綿実油、およびゴマ油など)、および有機溶媒(ソルケタール、グリセロール、およびホルミルなど)が挙げられる。滅菌非揮発性油を、溶媒または懸濁化剤として使用することができる。非経口製剤は、液体担体中に薬物物質(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)を溶解させるか、または懸濁化することにより調製し、それによって最終投薬単位は、0.005重量%から10重量%の薬物物質(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)を含有する。他の添加剤としては、保存剤、等張化剤、可溶化剤、安定化剤、および鎮痛剤が挙げられる。注射用懸濁液もまた調製することができ、その場合、適切な液体担体、懸濁化剤などを使用することができる。
【0128】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、好適な鼻腔内用媒体を用いて鼻腔内投与することができる。
【0129】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤はまた、好適な局所経皮用媒体または経皮用パッチを用いて局所投与することができる。
【0130】
眼投与では、組成物は、眼科用組成物の形態であることが好ましい。眼科用組成物は、点眼用製剤として製剤化することが好ましく、適切な容器、例えば、好適なピペットを取付けたドロッパーに充填して、目への投与を容易にする。この組成物は滅菌しており、精製水を用いた水性ベースであることが好ましい。開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤に加えて、眼科用組成物は、以下の1つまたは複数のものを含有することができる:(a)ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどの界面活性剤;(b)一般的に約0.05%(wt/vol)から約5.0%(wt/vol)の範囲の濃度でのセルロース、セルロース誘導体、カルボキシビニルポリマー類、ポリビニルポリマー類、およびポリビニルピロリドン類などの増粘剤;(c)(窒素を含有する容器、任意にFeなどの遊離酸素吸収剤を含有する容器に組成物を貯蔵することの代替として、またはそれに加えて)、約0.00005%(wt/vol)から約0.1%(wt/vol)の濃度でのブチル化ヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、チオ硫酸ナトリウム、またはブチル化ヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤;(d)約0.01%(wt/vol)から0.5%(wt/vol)の濃度でのエタノール;および(e)等張化剤、緩衝液、保存剤、および/またはpH調節剤などの他の賦形剤。眼科用組成物のpHは、4から8の範囲内が望ましい。
【0131】
例示であることを意図して限定するものではない実施例を参照にして本発明をさらに明らかにする。
【0132】
本発明の代表的化合物は、上記の一般的な合成スキームに従って合成することができ、以下の実施例に例示される。スキームおよび実施例に用いられる種々の出発物質を調製する方法は、当業者の知識の十分な範囲内にある。
【0133】
【表9】

【0134】
【表10】

【0135】
【表11】

【0136】
【表12】

【0137】
一般的な合成スキーム
本発明の化合物は、以下の構造:
【化10】


によって表されるピラン中間体と、以下の構造:
【化11】


により表される安息香酸中間体とを、
以下のスキーム:
【化12】


に記載されたとおりに結合させることにより合成することができる。
【0138】
ピラン中間体の調製
ピラン中間体は、以下の合成スキーム:
【化13】


を用いてピログルタミン酸エステルから調製することができる。
【0139】
ジアステレオマー的に純粋なピラン中間体の調製
キラルピラン中間体は、以下の合成スキーム:
【化14】


を用いてジアステレオマー的に純粋な形態で得ることができる。
【0140】
安息香酸中間体の調製
安息香酸中間体を調製するための各々の方法に用いられる中間体は、以下の合成スキーム:
【化15】


を用いて調製できるカルバメート保護されたアミノ−エタノールである。
【0141】
安息香酸中間体は、以下の合成スキーム:
【化16】


を用いることにより調製することができる。
【0142】
あるいは、安息香酸中間体は、以下の合成スキーム:
【化17】


を用いて調製することができる。
【0143】
あるいは、安息香酸中間体は、以下の合成スキーム:
【化18】


を用いて調製することができる。
【0144】
あるいは、安息香酸中間体は、以下の合成スキーム:
【化19】


を用いて調製することができる。
【0145】
中間体の調製1
2,2−ジメチル−4−(((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)メチル)オキサゾリジン
【化20】

【0146】
ステップ1. (2S,4R)−1−t−ブチル2−エチル4−アリル−5−オキソピロリジン−1,2−ジカルボキシレート
HMDSの無水THF(200mL)溶液中に、ヘキサン(130mL)中、2.5Mのn−BuLiを滴下により加え、この混合物を−78℃で1時間攪拌した。−78℃で攪拌された(S)−1−t−ブチル2−エチル5−オキソピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(80g、0.311mol)の無水THF(1600mL)溶液に、THF中のリチウムヘキサメチルジラジドを加えた。この反応混合物を−78℃で1時間攪拌後、THF(200mL)中の3−ブロモプロパン(38.47g、0.318mol)を加え、2時間攪拌を続けた。反応混合物を、−78℃で飽和塩化アンモニウム溶液(600mL)でクエンチし、EtOAc(3×500mL)で抽出した。有機層を合わせてNaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発乾固した。粗製物を、カラムクロマトグラフィーにより分離すると(2S,4R)−1−t−ブチル2−エチル4−アリル−5−オキソピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(15g、16%)が得られた。
【0147】
ステップ2. t−ブチル(2S,4R)−1−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)ヘプタ−6−エン−2−イルカルバメート
(2S,4R)−1−t−ブチル2−エチル4−アリル−5−オキソピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(30g、0.1mol)のMeOH/HO(700/70mL)溶液に、NaBH(25g、0.66mol)を加え、得られた混合物を、室温で1時間攪拌し、飽和NHCl水(300mL)でクエンチした。有機溶媒を減圧留去し、EtOAc(3×250mL)で抽出した。有機層を合わせてブライン(250mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させると、粗製のt−ブチル(2S,4R)−1−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)ヘプタ−6−エン−2−イルカルバメート(22g、85%)が得られた。これをさらに精製せずに次のステップに用いた。
【0148】
ステップ3. (S)−t−ブチル4−((R)−2−(ヒドロキシメチル)ペンタ−4−エニル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート
t−ブチル(2S,4R)−1−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)ヘプタ−6−エン−2−イルカルバメート(6.8g、26.2mmol)のアセトン(150mL)溶液に、PTSA(0.45g、2.62mmol)を加えた。この反応混合物を−20℃に冷却し、次いで2,2−ジメトキシプロパン(4.1g、39.4mmol)を添加した。得られた混合物を攪拌し、1時間室温に温めた。次にTEA(0.5mL)を加え、さらに5分間攪拌した。溶媒を減圧留去した。残渣をEtO(300mL)に溶解し、1N HCl(80mL)、飽和NaHCO水(80mL)、ブライン(80mL)で連続して洗浄し、乾燥し、ろ過し、減圧濃縮すると、(S)−t−ブチル4−((R)−2−(ヒドロキシメチル)ペンタ−4−エニル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(7.5g、96%)が得られた。これをさらに精製せずに用いた。
【0149】
ステップ4. (S)−t−ブチル4−((R)−2−((t−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)ペンタ−4−エニル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート
(S)−t−ブチル4−((R)−2−(ヒドロキシメチル)ペンタ−4−エニル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(11.5g、38.4mmol)、イミダゾール(7.84g、115.2mmol)およびDMAP(234mg、1.92mmol)のCHCl(200mL)溶液に、TBSCl(8.68g、57.6mmol)のCHCl(100mL)溶液を滴下により加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応物を水(100mL)で洗浄し、水層をCHCl(3×100mL)で抽出し、有機層を合わせてブライン(70mL)で洗浄してからNaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮すると粗製物が得られ、これをカラムクロマトグラフィーにより精製して、(S)−t−ブチル4−((R)−2−((t−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)ペンタ−4−エニル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(9g、57%)を得た。
【0150】
ステップ5. (S)−t−ブチル4−((R)−2−((t−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−5−ヒドロキシペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート
(S)−t−ブチル4−((R)−2−((t−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)ペンタ−4−エニル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(26g、63mmol)のTHF(200mL)溶液を、氷浴中で冷却し、次いで10MのBH・SMe(6.3mL)を滴下により加えた。5時間攪拌後、10%のNaOH溶液(32mL)、次いで30%のH(32mL)を慎重に加えた。この反応液を室温で16時間攪拌した。反応混合物をジエチルエーテル(500mL)で希釈し、水層をジエチルエーテル(3×250mL)で抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄してからNaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮すると粗製物が得られ、これをカラムクロマトグラフィーにより精製して、(S)−t−ブチル4−((R)−2−((t−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−5−ヒドロキシペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(19.6g、72%)を得た。
【0151】
ステップ6. (S)−t−ブチル4−((R)−2−((t−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−5−(メチル)スルホニルオキシ)ペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート
(S)−t−ブチル4−((R)−2−((t−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−5−ヒドロキシペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(32g、74.2mmol)およびEtN(22.5g、226mmol)のCHCl(400mL)溶液に、MsCl(10.1g、89mmol)のCHCl(50mL)溶液を0〜5℃で加えた。添加後、反応混合物を室温に温めて1時間攪拌した。反応液を水(200mL)で洗浄し、水層をCHCl(3×150mL)で抽出した。有機層を合わせて10%クエン酸(60mL)、飽和NaHCO(60mL)およびブライン(100mL)で洗浄してからNaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮すると、(S)−t−ブチル4−((R)−2−((t−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−5−(メチル)スルホニルオキシ)ペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(37.7g、100%)が得られ、これをさらに精製せずに次のステップに用いた。
【0152】
ステップ7. (S)−t−ブチル2,2−ジメチル−4−(((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート
(S)−t−ブチル4−((R)−2−((t−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−5−(メチルスルホニルオキシ)ペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(37.7g、74.2mmol)のTHF(1000mL)溶液に、テトラエチルアンモニウムフルオリド水和物(41g、185.5mmol)を少量ずつ加えた。反応混合物を、一晩還流下攪拌した。この混合物をEtOAc(1000mL)で希釈し、水(300mL)およびブライン(500mL)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮すると粗製物が得られ、これをカラムクロマトグラフィーにより精製して(S)−t−ブチル2,2−ジメチル−4−(((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート(12.0g、54%)を得た。
【0153】
中間体の調製2
t−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメート
【化21】

【0154】
ステップ1. t−ブチル(S)−1−ヒドロキシ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメートの調製
(S)−t−ブチル2,2−ジメチル−4−(((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート(643mg、2.15mmol)のMeOH(10mL)溶液に、p−TSA(37mg、0.22mmol)を添加してから、溶液を室温で12時間攪拌した。TEA(2mL)を加え、次いでBocO(46mg、0.21mmol)を加えた。添加後、反応液をさらに30分間攪拌した。有機溶媒を減圧留去すると、粗製生成物t−ブチル(S)−1−ヒドロキシ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメートが得られた。これをさらに精製せずに次のステップに用いた。MS ESI+ve m/z260(M+1)。
【0155】
ステップ2. (S)−2−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピル−4−メチルベンゼンスルホネート
上記の粗製生成物t−ブチル−(S)−1−ヒドロキシ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメートを、無水DCM(22mL)に溶解した。この溶液に、ピリジン(2mL)およびTsCl(1.230g、6.45mmol)を加えた。室温で4時間攪拌後、別のバッチのピリジン(3mL)およびTsCl(0.700g、3.67mmol)を加え、さらに12時間攪拌した。反応混合物をEtOAc(80mL)で希釈し、1N HCl(75mL)、次いでHO(2×30mL)、飽和NaHCO水、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。得られたスラリーを、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(勾配系:ヘキサン中0〜35%のEtOAcで溶出)により精製すると、670mgの(S)−2−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピル−4−メチルベンゼンスルホネートが、2ステップで75%の収率で得られた。MS ESI+ve m/z436(M+Na)。
【0156】
ステップ3. t−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメート
(S)−2−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピル−4−メチルベンゼンスルホネート(132mg、0.32mmol)およびNaN(62mg、0.95mmol)の無水DMF溶液を、N雰囲気下、80℃に1.5時間加熱し、室温に冷却し、EtOAcで希釈し、HO(3×20mL)に次いでブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。得られたスラリーを、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(勾配系:ヘキサン中0〜30%のEtOAcで溶出)により精製すると、58mgのt−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメートが、収率64%で得られた。MS ESI+ve m/z307(M+Na)。
【0157】
ステップ4. t−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメート
t−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメート(146mg、0.51mmol)の水素化を、40psiのH下、MeOH(10mL)、10%のPd/C(25mg)中で2時間実施した。ろ過後、114mgのt−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメートを、収率86%で得た。MS ESI+ve m/z259(M+H)。
【0158】
中間体の調製3
t−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート
【化22】

【0159】
ステップ1. t−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート
−78℃でt−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメート(30mg、0.11mmol)の無水THF(4mL)溶液に、THF中1.0MのLHMDS溶液(253μL,0.25mmol)を加えてから、この温度で30分間攪拌した。この混合物に、MeI(125μL、0.22mmol)を加えてから、温度を0℃に温めて、12時間冷蔵庫に放置した。反応混合物を、飽和NHCl水でクエンチし、EtOAc(30mL)で抽出し、分離した有機相を、HO(2×10mL)、ブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られたスラリーを、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(勾配系:ヘキサン中0〜30%のEtOAcで溶出)により精製すると、31mgのt−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメートを収率100%で得た。MS ESI+ve m/z321(M+Na)。
【0160】
ステップ2. t−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート
(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート(62mg、0.51mmol)の水素化を、40psiのH下、EtOAc(20mL)、10%のPd/C(15mg)中で2時間実施した。ろ過後、52mgのt−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメートを、収率91%で得た。MS ESI+ve m/z273(M+H)。
【0161】
中間体の調製4
t−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート
代替として、t−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメートを、以下の手法:
【化23】


により調製することができる。
【0162】
ステップ1. 5−クロロ−N−((1S,2S)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタンアミド
THF(600mL)中、(1S,2S)−プソイドエフェドリン(60g、363.1mmol)の磁気攪拌溶液に、室温でトリエチルアミン(65.4mL、472mmol)を一度に加えた。得られた白色懸濁液を0℃に冷却した。この混合物に5−クロロペンタノイルクロリド(49mL、381mmol)のTHF(130mL)溶液を、添加ロートを用いて45分かけて滴下により加えた。次にこの混合物を、0℃で30分間攪拌した。HO(40mL)を加え、得られた混合物を、元の容量の約10%まで濃縮した。得られた溶液を、HOとEtOAcとに分配すると層が分離した。水層をEtOAc(600mL)で抽出した。有機層を合わせて、飽和NaHCO水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して粗製物を淡黄色油として得た。この粗製アミドを、フラッシュクロマトグラフィー(ISCO;3×330gのカラム;CHClから5%MeOH/CHClへ)により精製して、生成物を透明な粘稠性油として得た。トルエン(3×100mL)で共沸して残留MeOHを除去すると5−クロロ−N−((1S,2S)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタンアミド(96.2g、339mmol、93%)が得られた。LCMS(m/z=266.0)。
【0163】
ステップ2. (R)−2−(3−クロロプロピル)−N−((1S,2S)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタ−4−エナミド
THF(700mL)中、LiCl(83g、1.96mmol)の磁気攪拌溶液に、室温でジイソプロピルアミン(104mL、736mmol)を一度に加えた。n−BuLi(ヘキサン中2.5M、281mL、703mmol)を、添加ロートを用いて30分かけて滴下により加えた。この淡黄色混合物を、−78℃で20分間攪拌してから、0℃に15分間温めた。次に混合物を−78℃に冷却し、THF(330mL)中の5−クロロ−N−((1S,2S)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタンアミド(92.8g、327mmol)を、添加ロートを用いて30分かけて滴下により加えた。この混合物を、−78℃で1時間攪拌してから、0℃に25分間温めた。次に臭化アリル(41.5mL、490mmol)を、シリンジを介して徐々に2分かけて加えてから、反応液を室温に温めた。この反応液を室温で50分間攪拌し、LC/MSにより反応完了を判定した。混合物を0℃に冷却し、飽和NaHCO水(400mL)およびHO(200mL)を加えた。EtOAcを加えて、相を分離し、水相をEtOAc(全部で1500mL)で抽出した。有機層を合わせて、1N HCl(4×150mL)、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮すると(R)−2−(3−クロロプロピル)−N−((1S,2S)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタ−4−エナミドを橙色油(101.2g、312mmol、95%)として得た。この粗製物は、さらに精製せずに続行させた。LC/MS(m/z=306.0)。
【0164】
ステップ3. (R)−2−(3−クロロプロピル)ペンタ−4−エン−1−オール
THF(600mL)中、ジイソプロピルアミン(184mL、1.29mol)の磁気攪拌溶液を、−78℃に冷却した。n−BuLi(ヘキサン中2.5M、482mL、1.21mol)を、添加ロートを用いて35分かけて滴下により加えた。この曇った混合物を−78℃で15分間攪拌してから、0℃に15分間温めた。この時間の間に溶液は透明かつ淡黄色になった。ボラン−アンモニア錯体(90%、42g、1.24mol)を、4等分の量で1分間隔で加えた(注:激しくガスが発生)。この曇った混合物を、室温に20分間温めてから、0℃に冷却した。THF(300mL)中、(R)−2−(3−クロロプロピル)−N−((1S,2S)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタ−4−エナミド(100.2g、309mmol)の溶液を、添加ロートを用いて10分かけて滴下により加えた。反応液を室温に温めて2.5時間攪拌した。反応液を−10℃に冷却し、HCl(3M、1500mL)でクエンチした。相を分離し、水相をEtO(全部で2000mL)で抽出した。有機層を合わせて、3N HCl、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮し、粗製生成物を黄色油として得た。この粗製物を、フラッシュクロマトグラフィー(ISCO;330gのカラム;ヘキサンから30%EtOAc/へキサン)により精製して(R)−2−(3−クロロプロピル)ペンタ−4−エン−1−オールを透明な粘稠性油として得た(32.6g、200mmol、65%);H NMR(400MHz、CDCl)δ5.82(m,1H)、5.07(m,2H)、3.78(m,1H)、3.58(d,J=8.0Hz,2H)、3.54(t,J=8Hz,2H)、2.14(m,2H)、1.85(m,2H)、1.64(m,1H)、1.49(m,1H)。
【0165】
ステップ4. (R)−3−アリル−テトラヒドロ−2H−ピラン
NaH(60重量%、15g、0.376mmol)および磁気攪拌棒を含有する丸底フラスコに、DMF(350mL)を加えた。この懸濁液を、氷浴中で5〜10℃に冷却し、5分間攪拌した。(R)−2−(3−クロロプロピル)ペンタ−4−エン−1−オール(30.6g、188mmol)のDMF(350mL)溶液を、25分かけて滴下ロートにより加えた。注:ガス発生および発熱。得られたクリーム状懸濁液を、30分間攪拌した。反応液を室温に温め、得られたベージュ色懸濁液を2時間攪拌した。この時点でTLCにより反応完了が判定された。反応混合物を0℃に冷却し、HO(250mL)およびHCl(3N、250mL)の添加によりクエンチした。相を分離し、水相を石油エーテル(4×250mL)で抽出した。有機層を合わせて、HO、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮し、粗製生成物を黄色油として得た。この粗製物を、フラッシュクロマトグラフィー(ISCO;120gのカラム;ヘキサンから30%EtOAc/へキサン)により精製して(R)−3−アリル−テトラヒドロ−2H−ピランを透明な油として得た(19.8g、157mmol、83%);H NMR(400MHz、CDCl)δ5.72−5.82(m,1H)、5.00−5.06(m,2H)、3.86−3.91(m,2H)、3.37(m,1H)、3.08(t,J=12Hz,1H)、1.85−1.98(m,3H)、1.59−1.69(m,3H)、1.15−1.21(m,1H)。
【0166】
ステップ5. (R)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)アセトアルデヒド
アセトニトリル(740mL)中、(R)−3−アリル−テトラヒドロ−2H−ピラン(18.7g、148mmol)の磁気攪拌溶液に、室温でRuCl・2HO(1.43g、5.92mmol)を一度に加えた。得られた暗褐色溶液を室温で5分間攪拌してから、NaIO(69g、326mmol)を一度に加えた。HOを、少量ずつ(10×8mL)5分間隔で加えた。反応液を室温で30分間攪拌した。この時点でTLCにより反応完了時間が判定された。反応混合物を、飽和Na水(250mL)およびHO(1000mL)の添加によりクエンチした。相を分離し、水相をEtO(4×400mL)で抽出した。有機層を合わせて、HO、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮し、粗製生成物を黄色油として得た。この粗製物を、フラッシュクロマトグラフィー(ISCO;120gのカラム;ヘキサンから40%EtOAc/へキサン)により精製して(R)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)アセトアルデヒドを黄色油として得た(14.3g、111mmol、60%);H NMR(400MHz、CDCl)δ9.78(t,J=2,1H)、3.84−3.88(m,2H)、3.40−3.47(m,1H)、3.17(dd,J=11.2、8.8Hz、1H)、2.31−2.41(m,2H)、2.21−2.28(m,1H)、1.88−1.93(m,1H)、1.61−1.72(m,2H)、1.29−1.33(m,1H)。
【0167】
ステップ6. (R,E)−N−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)エチリデン)メタナミン
EtO(215mL)中、(R)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)アセトアルデヒド(11g、85.8mmol)の磁気攪拌溶液に、室温でMeNH(THF中2M、215mL、429.2mmol)およびモレキュラーシーブス(4Å、粉末の活性化体、21.5g)を加えた。反応液を室温で1時間攪拌した。得られた混合物をろ過し、減圧濃縮して、(R,E)−N−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)エチリデン)メタナミンを黄色油として得た(11.3g、80mmol、93%)。この粗製物を精製せずに次に続行した。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.67(s,3H)、3.86−3.91(m,2H)、3.36−3.43(m,1H)、3.29(s,3H)、3.13(dd,J=11.0、9.8Hz、1H)、1.95−2.14(m,2H)、1.86−1.91(m,2H)、1.62−1.68(m,2H)、1.21−1.30(m,1H)。
【0168】
ステップ7. t−ブチル(S)−1−シアノ−2−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)エチル(メチル)−カルバメート
2Lの丸底フラスコに、トルエン(400mL)、磁気攪拌棒、(R,E)−N−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)エチリデン)メタナミン(11.3g、80.1mmol)および3−{(E)−[((1R,2R)−2−{[({(1S)−1−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−2,2−ジメチルプロピル−}アミノ)カルボノチオイル]アミノ}シクロヘキシル)イミノ]メチル}−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル2,2−ジメチルプロパノエート(J.Am.Chem.Soc.2002年、124、10012−10014頁)(0.9g、1.6mmol)を装入した。この混合物を、−78℃に冷却し、トリメチルシランカルボニトリル(21.4mL、160.2mmol)を、添加ロートを用いて15分かけて滴下により加えた。イソプロピルアルコール(12.3mL、160.2mmol)を、10分かけて滴下により加えた。反応液を、−78℃で3時間攪拌してから、室温に温め、1時間攪拌した。次にビス(1,1−ジメチルエチル)ジカーボネート(35.0g、160.2mmol)を加え、得られた混合物を室温で1時間攪拌した。反応は、飽和NaHCO水(400mL)およびEtOAc(300mL)の添加によりクエンチした。層が分離し、水層をEtOAc(100mL)で洗浄した。有機層を合わせて、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して粗製生成物を得た。この粗製物を2つの部分に分け、各々をフラッシュクロマトグラフィー(ISCO;120gのカラム;30分かけて0%から10%のEtOAc/へキサン、次いで47分かけて10%のEtOAc/へキサン、次いで2分かけて10%から20%のEtOAc/へキサン、次いで11分間の20%のEtOAc/へキサン)により精製した。2つの精製されたバッチを合わせて、t−ブチル(S)−1−シアノ−2−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)エチル(メチル)−カルバメートを橙色油として得た(18.9g、70mmol、86%);H NMR(400MHz、CDCl)δ5.00(brs,1H)、3.83−3.90(m,2H)、3.42−3.48(m,1H)、3.19(dd,J=11.3、8.6Hz、1H)、2.92(s,3H)、1.85−1.95(m,1H)、1.60−1.82(m,5H)、1.50(s、9H),1.28−1.33(m,1H)。
【0169】
ステップ8. t−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート
t−ブチル(S)−1−シアノ−2−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)エチル(メチル)−カルバメート(397mg、アルファ−アミノの立体中心において4:1のジアスレオマー混合物)を、MeOH(15mL)中4MのNH溶液に溶解し、以下の設定:周囲温度(14℃)、流速1.0mL/分、H圧30気圧により、インライン水素化装置(H−Cube)上のラネーニッケルカートリッジ(CatCart(登録商標)、50mm)を通過させた。生成物溶液がこの装置にフィードバックするように、この溶液を再循環させた。30分後、TLC分析(1:9のMeOH/CHCl、KMnO染色)により、出発物質の完全な変換を示した。合計60分の反応時間後、溶液を蒸発させて371mg(92%)のt−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメートを、透明なバラ色油として得た。LC−MC(ELSD)m/z273.6(M+H)
【0170】
中間体の調製5
1,1−ジメチルエチルメチル{(1S)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメートおよび1,1−ジメチルエチルメチル{(1R)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメート
【化24】

【0171】
ステップ1. 1,1−ジメチルエチルメチル{2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメート
50mLの丸底フラスコに、ジクロロメタン(15mL)中の1,1−ジメチルエチル{2−アミノ)−1−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメート(815mg、2.99mmol)を加えると黄褐色溶液を得た。この混合物を0℃に冷却(氷浴)してから、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.045ml、5.98mmol)およびベンジルクロロホルメート(0.641ml、4.49mmol)を加えた。0℃で3時間攪拌後、飽和NHCl(2mL)および水(1mL)により反応をクエンチした。相が分離し、有機層を飽和NHCl(2mL)で洗浄した。水層を、CHCl(1×5mL)で逆抽出し、有機層を合わせて、飽和NaClで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して1.6gの粗製生成物を赤色油として得た。この粗製残渣を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー{ISCO Combiflash、40gのAnalogixカラム、0%〜>5%のCHCl/MeOH}により精製して、1.10g(dr4:1)の1,1−ジメチルエチルメチル{2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメートを赤味がかった油として単離した。
【0172】
ステップ2. 1,1−ジメチルエチルメチル{(1S)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメートおよび1,1−ジメチルエチルメチル{(1R)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメート
2種のジアステレオマーを分離するために、キラルHPLC[OD−Hカラム(20×250mm)、0.1%ジエチルアミンを有する10/90イソプロパノール/へキサン(10mL/分)]による精製が必要であった。このサンプルをMeOH(10mL)に溶解し、ろ過し、注入した(16×)。フラクションを合わせて回収し、濃縮すると1,1−ジメチルエチルメチル{(1S)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメート(732mg、1.765mmol、59.0%収率)(>99% de)が、ピンク色の油(7.46分のHPLC保持時間)として得られ、また95mgの1,1−ジメチルエチルメチル{(1R)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメートが、ピンク色の油(9.36分のHPLC保持時間)として得られた。MS(m/z)307.2(M+H−Boc)。
【0173】
中間体の調製6
1,1−ジメチルエチル{(1S)−2−アミノ−1−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}メチルカルバメート
【化25】

【0174】
1,1−ジメチルエチルメチル{(1S)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメートおよび大型の攪拌棒を含有するフラスコに、MeOH(10mL)を加えた。パラジウム炭素(0.093g、炭素上10%、5mol%)を加え、水素バルーンを三方バルブ付のフラスコに取付けた。突沸または過度の沸騰を避けるような方法で極めて慎重に、攪拌しながらフラスコの内容物を部分的に排気し、数回Nを再充填し、次いで部分的に排気し、数回Hで再充填した。激しく攪拌しながら、水素化を室温で進行させた。1.5時間後、TLC(5%MeOH/DCM)は、反応が完了したことを示した。この混合物を、セライトおよび砂(曇り、無色)のパッド、次いで0.45ミクロンのPTFEシリンジフィルターを(透明、無色)を通してろ過し、蒸発させて減圧乾燥後、透明な僅かにバラ色の重油として473.2mg(100%)の1,1−ジメチルエチル{(1S)−2−アミノ−1−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}メチルカルバメートを得た。
【0175】
中間体の調製7
1,1−ジメチルエチル{(1R)−2−アミノ−1−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}メチルカルバメート
【化26】

【0176】
窒素下でパージしてから、1,1−ジメチルエチルメチル{(1R)−2−({[フェニルメチル]オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメート(0.175g、0.43mmol)の10mLのMeOH溶液に、10%のPd炭素(0.023g)を入れた。得られた混合物を水素バルーン下に置き、3回脱気し、水素で逆充填した。次いでこの混合物を室温で2時間、攪拌しながら水素下に維持した。この粗製物を窒素下、セライトの層、次いで0.45ミクロンのPTFEシリンジフィルターを通してロ過し、透明な溶液が得られ、これを濃縮し、乾燥すると1,1−ジメチルエチル{(1R)−2−アミノ−1−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}メチルカルバメート(0.08g)が無色の油として得られ、これを直接、次の反応に用いた。
【0177】
中間体の調製8
t−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート
あるいは、t−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメートを、以下の手順により調製することができる:
【化27】

【0178】
代替手順:
あるいは、t−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメートを一連の水素化ステップにキラル水素化触媒を用いて、鏡像異性体に富んだ中間体を得ることのできる以下の方法によって、調製することもできる:
【化28】

【0179】
例えば、ジヒドロピラン−アミンを形成するためのジヒドロピラン−エン−アミンの水素化は、25℃でメタノール中、[Rh(nbd)]BFとSL−M004−1(SL−M004−1:Solvias社、フォートリー、ニュージャジー州から入手できる(αR,αR)−2,2’−ビス(α−N,N−ジメチル−アミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1’−ビス[(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ]フェロセン)から生成した1〜2mol%の触媒を用い、約88〜110psiの水素圧を用いて達成することができる。テトラヒドロピラン−アミンを形成するためのジヒドロピラン−アミンの水素化は、50℃で、約80バールの水素圧ならびに[Rh(COD)]OSCFとSL−A109−2(溶媒:THF)または[Rh(nbd)]BFとSL−A109−2(溶媒:メタノール)(SL−A109−2:Solvias社、フォートリー、ニュージャジー州から入手できる(S)−(6,6’−ジメトキシビフェニル−2,2’−ジイル)−ビス[ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン])から生成した触媒の4mol%ローディングによって達成することができる。
【0180】
中間体の調製9
1,1−ジメチルエチルメチル{(1S)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメートおよび1,1−ジメチルエチルメチル{(1R)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメート
【化29】

【0181】
ステップ1. 5−クロロ−N−((1R,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタナミド
5−クロロ−N−((1R,2R)−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタナミドは、中間体の調製4、ステップ1に記載された方法に従い、5−クロロペンタノイルクロリド(7.8mL、60.4mmol)と(1R,2R)−プソイドエフェドリン(9.9g、60.4mmol)から調製した。
【0182】
ステップ2. (S)−2−(3−クロロプロピル)−N−((1R,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタ−4−エナミド
(S)−2−(3−クロロプロピル)−N−((1R,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタ−4−エナミドは、中間体の調製4、ステップ2に記載された方法に従い、5−クロロ−N−((1R,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタナミド(17.7g、60.2mmol)から調製した。
【0183】
ステップ3. (S)−2−(3−クロロプロピル)ペンタ−4−エン−1−オール
(S)−2−(3−クロロプロピル)ペンタ−4−エン−1−オールは、中間体の調製4、ステップ3に記載された方法に従い、(S)−2−(3−クロロプロピル)−N−((1R,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタ−4−エナミド(18.2g、56.2mmol)から調製した。
【0184】
ステップ4. (3S)−3−(2−プロペン−1−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン
(3S)−3−(2−プロペン−1−イル)テトラヒドロ−2H−ピランは、中間体の調製4、ステップ4に記載された方法に従い、(S)−2−(3−クロロプロピル)ペンタ−4−エン−1−オール(0.951g、5.84mmol)から調製した。
【0185】
ステップ5. (3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルアセトアルデヒド
(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルアセトアルデヒドは、中間体の調製4、ステップ5に記載された方法に従い、(3S)−3−(2−プロペン−1−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン(4.5g、35.6mmol)から調製した。
【0186】
ステップ6. N−{(1E)−2−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]エチリデン}メタナミン
N−{(1E)−2−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]エチリデン}メタナミンは、中間体の調製4、ステップ6に記載された方法に従い、(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルアセトアルデヒド(2.75g、21.5mmol)から調製した。
【0187】
ステップ7. 1,1−ジメチルエチル−{1−シアノ−2−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]エチル}メチルカルバメート
1,1−ジメチルエチル−{1−シアノ−2−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]エチル}メチルカルバメートは、中間体の調製4、ステップ7に記載された方法に従い、N−{(1E)−2−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]エチリデン}メタナミン(2.52g、17.8mmol)から、ジアステレオマーの3:1混合物として調製した。
【0188】
ステップ8. 1,1−ジメチルエチル−{2−アミノ−1−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}メチルカルバメート
1,1−ジメチルエチル−{2−アミノ−1−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}メチルカルバメートは、中間体の調製4、ステップ8に記載された方法に従い、1,1−ジメチルエチル−{1−シアノ−2−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]エチル}メチルカルバメート(3.75g、13.97mmol)から、調製した。
【0189】
ステップ9. 1,1−ジメチルエチルメチル{2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}メチルカルバメート
1,1−ジメチルエチルメチル{2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}メチルカルバメートは、中間体の調製5、ステップ1に記載された方法に従い、1,1−ジメチルエチル{2−アミノ−1−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}メチルカルバメート(3.71g、13.62mmol)から調製した。
【0190】
ステップ10. 1,1−ジメチルエチルメチル{(1S)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメートならびに1,1−ジメチルエチルメチル{(1R)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメート
1,1−ジメチルエチルメチル{2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメートのジアステレオマーは、キラル、分取HPLC(OD−Hカラム(20×250mm)20/80イソプロパノール/ヘキサンw/0.1%DEA(12mL/分)、操作時間−22分)によって分離した。730mgのサンプルを7.5mLのメタノールに溶解させてからろ過した。別の第二のサンプル(870mg)をまた、8mLのメタノールに溶解させてからろ過した。およそ196mgを、合計11回、カラムに注入した。第一のピークに対応するフラクション(4.45分の保持時間)を合わせて濃縮し、1,1−ジメチルエチルメチル{(1S)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメート(1.31g)を得た。第二のピークに対応するフラクション(8.74分の保持時間)を合わせて濃縮し、1,1−ジメチルエチルメチル{(1R)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメート(0.176g)を得た。
【0191】
中間体の調製10
【化30】

【0192】
1,1−ジメチルエチルメチル{(1S)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメート(1.131g、3.22mmol)の25mLのMeOH溶液のフラスコに、窒素下でパージし、10%Pd炭素(0.171g)を入れた。得られた混合物を、水素バルーンを備えた三方アダプターに取り付けた。フラスコを減圧排気し、水素で3回逆充填してから、室温で2時間、水素雰囲気下で維持した。この粗製物を、窒素下、セライトの層、次いで0.45ミクロンのPTFEシリンジフィルターを通してろ過し、濃縮すると1,1−ジメチルエチル{(1S)−2−アミノ−1−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}メチルカルバメート(0.876g)が得られ、これをさらに精製せずに次のステップに用いた。
【0193】
中間体の調製11
【化31】

【0194】
1,1−ジメチルエチルメチル{(1R)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}カルバメート(0.176g、0.433mmol)の10mLのMeOH溶液を、窒素下でパージし、フラスコに10%Pd炭素(0.0.023g)を入れた。得られた混合物を、水素バルーンを備えた三方アダプターに取り付けた。フラスコを減圧排気し、水素で3回逆充填してから、室温で2時間、水素雰囲気下で維持した。この粗製物を、窒素下、セライトの層、次いで0.45ミクロンのPTFEシリンジフィルターを通してろ過し、濃縮すると1,1−ジメチルエチル{(1R)−2−アミノ−1−[(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}メチルカルバメート(0.120g)が得られ、これをさらに精製せずに次のステップに用いた。
【0195】
中間体の調製12
1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−アジド−1−(シクロヘキシルメチル)エチル]メチルカルバメート
【化32】

【0196】
ステップ1. 1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−シクロヘキシル−1−(ヒドロキシメチル)エチル]カルバメート
0℃で、ジオキサン(52mL)および水(26mL)中、塩酸(2S)−アミノ−3−シクロヘキシル−1−プロパノール(5.0g、25.8mmol)の溶液に、炭酸二ナトリウム(2.16g、25.8mmol)を加えた。次いで、BocOを一度に加えた。得られた混合物を室温まで温め、15分間攪拌してから、追加の炭酸二ナトリウム(2.16g、25.8mmol)を加えた。次いでこの混合物を室温で一晩攪拌した。この時点で溶媒を減圧留去し、残査を酢酸エチルおよび水に吸収させた。層が分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。次いで合わせた有機物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。この粗製物を、カラムクロマトグラフィー(ISCO、40gのカラム、0〜20%の酢酸エチル/メチレンクロリド)により精製し、無色の油として、6.08gの1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−シクロヘキシル−1−(ヒドロキシメチル)エチル]カルバメートを得た(92%)。MS(m/z)258.6(M+H)。
【0197】
ステップ2. (2S)−3−シクロヘキシル−2−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)プロピルメタンスルホネート
0℃で、16mLのメチレンクロリド中、1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−シクロヘキシル−1−(ヒドロキシメチル)エチル]カルバメート(1.0g、3.89mmol)およびトリエチルアミン(1.18g、11.7mmol)の溶液に、メタンスルホニルクロリド(0.534g、4.66mmol)を加えた。次いで得られた混合物を室温まで温め、50分間攪拌した。この反応混合物を0.1NのHClで洗浄し、水層をメチレンクロリドで逆抽出した。次いで、合わせた有機物を飽和水性NaHCOで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して、1.58gの(2S)−3−シクロヘキシル−2−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)プロピルメタンスルホネートを、蝋状黄色固体として得た。この粗製物をさらに精製せずに次の反応に用いた。MS(m/z)336.4(M+H)。
【0198】
ステップ3. 1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−アジド−1−(シクロヘキシルメチル)エチル]カルバメート
DMF(13mL)中、(2S)−3−シクロヘキシル−2−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)プロピルメタンスルホネートの溶液(1.58g、3.89mmol)に、アジ化ナトリウム(1.26g、19.4mmol)を加えた。次いで、得られた混合物を一晩、80℃に加熱した。次いでこの混合物を水で希釈し、エーテル(3×)で抽出した。次いで有機物を合わせてブライン(3×)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。この粗製物をカラムクロマトグラフィー(ISCO、40gのカラム、0〜50%の酢酸エチル/ヘキサン類)により精製し、0.945gの1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−アジド−1−(シクロヘキシルメチル)エチル]カルバメートを、無色の油として得た(87%)。MS(m/z)283.6(M+H)。
【0199】
ステップ4. 1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−アジド−1−(シクロヘキシルメチル)エチル]メチルカルバメート
室温で17mLのDMF中、1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−アジド−1−(シクロヘキシルメチル)エチル]カルバメート(0.945g、3.35mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(0.201g、鉱油中60%の分散液の5.02mmol)を加えた。いくらかのガス放出が生じ、溶液は黄色になった。次いでヨウ化メチル(0.312mL、5.02mmol)を加え、得られた混合物を室温で1.5時間攪拌した。この反応混合物を0.1NのHClでクエンチし、エーテルと水との間で分離した。層が分離し、水層をエーテル(2×)で逆抽出した。次いで、合わせた有機層をブライン(3×)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。この粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(ISCO、40gのカートリッジ、0〜50%の酢酸エチル/ヘキサン類)により精製したが、まだDMFを含有した。次いでこの粗製物をエーテル中に溶解させ、ブライン(3×)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮し、0.785g(79%)の1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−アジド−1−(シクロヘキシルメチル)エチル]メチルカルバメートを、無色の油として得た。MS(m/z)297.6(M+H)。
【0200】
ステップ1において示されたアミノアルコールを置換し、上記の手順に類似した手順を用いて以下のジアミンを調製した:
【0201】
【表13】

【0202】
中間体の調製13
1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−アミノ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)エチル]メチルカルバメート
【化33】

【0203】
ステップ1. 1,1−ジメチルエチル{2−[[(1R,2R)−2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル](メチル)アミノ]−2−オキソエチル}メチルカルバメート
0℃でTHF(50mL)中、N−Boc−サルコシン(3.78g、20mmol)およびトリエチルアミン(6.13ml、44mmol)の溶液に、エチルクロロホルメート(1.91mL、20mmol)を加え、白色の懸濁液を得た。得られた懸濁液を、0℃で10分間攪拌してから、2時間室温まで温めた。次いでこの混合物を再度冷却し、(1R,2R)−(−)−プソイドエフェドリン(3.30g、20mmol)を加え、得られた混合物を室温まで温め、18時間攪拌した。この反応液を濃縮し、残査を酢酸エチルと水(各30mL)に溶解させた。層が分離し、水層を酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。抽出液を合わせて、HCl(1M、20mL)、NaOH(1M、20mL)、およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して、5.07gの粗製物を淡琥珀色の油として得た。この生成物を、カラムクロマトグラフィー(200gのシリカゲル60、230〜400メッシュ、1%〜1.5%のMeOH/CHCl)により精製して、1,1−ジメチルエチル{2−[[(1R,2R)−2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル](メチル)アミノ]−2−オキソエチル}メチルカルバメート(2.77g、41.2%)を得た。MS(m/z)337.0(M+H)。
【0204】
ステップ2. 1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−[[(1R,2R)−2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル](メチル)アミノ]−2−オキソ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)エチル]メチルカルバメート
−78℃で、THF(20mL)中、ジイソプロピルアミン(2.19ml、15.36mmol)の溶液に、n−ブチルリチウム(6.46ml、ヘキサン中2.5M、16.15mmol)を滴下により加えた。得られた混合物を−78℃で30分間攪拌してから、カニューレにより、−23℃で1,1−ジメチルエチル{2−[[(1R,2R)−2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル](メチル)アミノ]−2−オキソエチル}メチルカルバメート(2.65g、7.88mmol)と塩化リチウム(2.0g、47.3mmol)との混合物に加えた。得られた混合物を24時間攪拌し室温まで温めてから、氷浴中で再度冷却させ、HCl(1M、15.8ml)でクエンチした。次いでこの混合物をEtOAc(3×20ml)で抽出し、抽出液を合わせて飽和NHCl、ブラインで洗浄し、乾燥し、ろ過し、濃縮した。この粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(160gのシリカゲル60、230〜400メッシュ、25%、30%、40%次いで50%のEtOAc/ヘキサン類)により精製して、1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−[[(1R,2R)−2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル](メチル)アミノ]−2−オキソ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)エチル]メチルカルバメート(510mgは純度95%、1.2gは純度80%、合わせた収率は42%)を得た。MS(m/z)435.2(M+H)。
【0205】
ステップ3. N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−N−メチル−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−L−アラニン
メタノール(20mL)中、1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−[[(1R,2R)−2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル](メチル)アミノ]−2−オキソ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)エチル]メチルカルバメート(505mg、1.162mmol)の溶液に、NaOH(5.81ml、1M)を加えた。得られた混合物を3日間、加熱還流した。この反応混合物を濃縮し、残査を水(20ml)で希釈し、エーテル(2×20mL)で洗浄し、エーテル洗浄液を合わせて、0.5MのNaOH(1×10mL)で抽出した。水性抽出液を合わせて、HCl(2M)により、pH=1まで酸性にしてから、EtOAc(2×50ml)で抽出した。有機抽出物を合わせてブラインで洗浄し、乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して、N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−N−メチル−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−L−アラニン(306mg)が透明な油として得られ、これをさらに精製せずに次のステップに用いた。MS(m/z)288.4(M+H)。
【0206】
ステップ4. 1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−アミノ−2−オキソ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)エチル]メチルカルバメート
0℃で、THF(10ml)中、N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−N−メチル−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−L−アラニン(296mg、1.03mmol)およびトリエチルアミン(316μl、2.266mmol)の溶液に、クロロギ酸エチル(98μl、1.03mmol)を加えて、白色懸濁液を得た。得られた懸濁液を、0℃で10分間攪拌してから、2時間室温まで温めた。次いでこの混合物を再度冷却し、水酸化アンモニウム(0.5ml)を加え、得られた混合物を室温まで温めてさらに18時間攪拌した。この反応液を濃縮し、残査を酢酸エチルと水(各10mL)とで希釈した。層が分離し、水層を酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。有機抽出物を合わせてブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して、1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−アミノ−2−オキソ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)エチル]メチルカルバメート(0.250g)を得、これをさらに精製せずに次のステップに用いた。MS(m/z)286.8(M+H)。
【0207】
ステップ5. 1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−アミノ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)エチル]メチルカルバメート
アルゴン下、THF(10ml)中、1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−アミノ−2−オキソ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)エチル]メチルカルバメート(0.250g、0.873mmol)の還流溶液に、ボランジメチルスルフィド錯体(873mL、THF中2M、1.75mmol)を加えた。得られた混合物を2時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応混合物を水(6ml)中、KHSO(600mg)で処理し、この混合物を室温で30分間攪拌した。次いで過剰のNaOH(1N)を加え、この混合物をエーテルで抽出した。エーテル抽出物を水、ブラインで洗浄し、乾燥し、ろ過し、濃縮した。この粗製物をSCXカラム(メタノールを装填、メタノールで洗浄し、次いでメタノール中、2Mのアンモニアで溶出)により精製し、1,1−ジメチルエチル[(1S)−2−アミノ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)エチル]メチルカルバメート(0.103g、43%)を得た。MS(m/z)273.5(M+H)。
【0208】
中間体の調製14
3−{(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}安息香酸
【化34】

【0209】
ステップ1. メチル3−[(3−クロロフェニル)(ヒドロキシ)メチル]ベンゾエート
0℃で、70mLのエーテル中、メチル−3−ホルミルベンゾエート(5g、30.5mmol)の溶液に、3−クロロフェニルマグネシウムブロミド(THF中、0.5M溶液の67mL、33.5mmol)を加えた。0℃で1.5時間後、飽和NaHCOと水の添加により、反応混合物をクエンチし、酢酸エチルにより二相混合物を抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して、9.2gの黄色油を得た。この物質を、先の実験からの粗製物(出発物質の3.05mmol)の0.83gと合わせて、カラムクロマトグラフィー(ISCO;10〜100%の酢酸エチル/ヘキサン類)により精製し、8.2g(収率89%)のメチル3−[(3−クロロフェニル)(ヒドロキシ)メチル]ベンゾエートを得た。MS(m/z)277.3(M+H)。
【0210】
ステップ2. メチル3−{(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエート
トルエンp−トルエンスルホン酸(0.68g、3.6mmol)中、メチル3−[(3−クロロフェニル)(ヒドロキシ)メチル]ベンゾエート(1.0g、3.6mmol)およびメチル(2−ヒドロキシエチル)カルバメート(0.43g、3.6mmol)溶液に、加えた。得られた混合物を、ディーンスタークトラップにより、1時間還流させた。溶媒を除去し、粗製残査をカラムクロマトグラフィー(ISCO、5〜100%の酢酸エチル/ヘキサン類)により精製して、0.270gのメチル3−{(3−クロロフェニル)[2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエートを得た。MS(m/z)378.4(M+H)。
【0211】
ステップ3. 3−{(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}安息香酸
3mLのTHF中、メチル3−{(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエート(0.270g、0.7mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム(2.5Nの溶液の2.2mL、5.6mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。溶媒を除去し、残査を1NのHClで酸性にし、酢酸エチルで抽出した。有機物を合わせてからMgSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。この材料を別の実験(0.92mmolの出発物質)からの材料と合わせて、カラムクロマトグラフィー(ISCO、50〜100%の酢酸エチル/ヘキサン類)により精製して、0.300g(収率51%)の3−{(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}安息香酸を白色固体として得た。MS(m/z)364.5(M+H)。
【0212】
ステップ1におけるメチル−3−ホルミルベンゾエートを指示されたアルデヒドに置換し、上記の手順に類似の手順を用いて以下の安息香酸中間体を調製した。
【0213】
【表14】

【0214】
中間体の調製15
【化35】

【0215】
ステップ1. エチル3−[(3−クロロフェニル)(ヒドロキシ)メチル]ベンゾエート
60mLの添加ロートを備えた1Lの三つ口丸底フラスコを、ヒートガンで減圧加熱した。減圧系を窒素系に置き換え温度計を付けた。エチル3−ヨードベンゾエート(18.29ml、109mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(362ml)に溶解させた。この混合物を−20℃から−40℃に冷却し(ドライアイス/MeCN、内部温度計でモニター)、エーテル中、イソプロピルマグネシウムクロリド(59.8ml、120mmol)を、20分間にわたり、添加ロートを用いて滴下により添加した。次いでこの反応混合物を、−20℃から−40℃で2.5時間攪拌した。3−クロロベンズアルデヒド(17.23ml、152mmol)(40mLのTHF中に溶解)を、清浄な添加ロートを用いて20分間にわたり添加した。1時間後のHPLCおよびTLCはヨウ素が消費されたことを示していた。この混合物を10℃に温め、添加ロートにより、1NのHClの300mLを、引き続いて200mLの酢酸エチルを慎重に添加した。層が分離し、水層を50mLのEtOAcによって抽出した。有機層を合わせてMgSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。この粗製油を直接カラムに装填し、シリカゲルクロマトグラフィー(ISCO:0%〜20%の酢酸エチル/ヘキサン類(30分間)、20%(30分間)、330gのシリカ)を用いて精製し、24.72gのエチル3−[(3−クロロフェニル)(ヒドロキシ)メチル]ベンゾエート(約95%の純度、74%の収率)を得た。MS(m/z)290.8(M+H)。
【0216】
ステップ2. エチル3−{(3−クロロフェニル)[2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエート
エチル3−[(3−クロロフェニル)(ヒドロキシ)メチル]ベンゾエート(1.63g、5.61mmol)、メチル(2−ヒドロキシエチル)カルバメート(0.735g、6.17mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(1.173g、6.17mmol)をトルエン(56.1ml)中に溶解させ、ディーンスタークトラップにより2時間、加熱還流した。次いでこの混合物を室温まで冷却し、飽和NaHCO(50mL)およびEtOAc(50mL)を加えた。層を分離し、有機層を乾燥し(NaSO)、濾過し、減圧濃縮した。この化合物をフロリジルに装填し、シリカゲルクロマトグラフィー(ISCO:0%〜20%の酢酸エチル/ヘキサン類(30分間)、20%(20分間)、40gのシリカ)により精製し、0.557g(収率24%)のエチル3−{(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエートを得た。MS(m/z)391.8(M+H)。
【0217】
ステップ3. エチル3−{(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエート
エチル3−{(3−クロロフェニル)[2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエートの鏡像異性体を、Chiralpack IB−Hカラム(20×250mm)20/90イソプロパノール/ヘキサンw/0.1%のDEA約15mL/分を用いて分離した。このサンプル(545mg)を6mLのメタノールに溶解させ、ろ過し、注入した(合計12回の注入)。双方のピークを回収し、キラルHPLCによってチェックした。ピーク#2(8.921分の保持時間)を減圧濃縮し、0.224g(41%)の所望の鏡像異性体、エチル3−{(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエートを得た。MS(m/z)392.5(M+H)。ピーク#1(6.663分の保持時間)も減圧濃縮し、0.185gの望ましくない鏡像異性体、エチル3−{(S)−3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエートを得た。MS(m/z)392.5(M+H)。
【0218】
ステップ4. エチル3−{(R)−(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}安息香酸
430mgの3−{(R)−(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエートを含有する丸底フラスコに、MeOHおよびTHFを加えて完全に溶解させた。次いで2.5MのNaOHを加えた(大気内室温で急速に攪拌)。曇っていた反応液は約30分間経つと透明になった。1.5時間後のLCMSは、出発物質が消費されたことを示した。次いで反応混合物を、pH1に達するまで、1.0NのHClをゆっくりと添加することによりクエンチし、次いで水(50mL)により希釈し、EtOAc(4×50mL)により抽出した。EtOAc層を合わせてブライン(1×50mL)により洗浄し、NaSOで乾燥し(一晩)、減圧濃縮すると384.2mg(約100%の収率)の3−{(R)−(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}安息香酸を、透明な無色の重油として得た。MS(m/z)364.5(M+H)。
【0219】
ステップ1におけるエチル3−ヨードベンゾエートを指示されたヨウ化物に置換し、上記の手順に類似の手順を用いて以下の安息香酸を調製した。ラセミ体安息香酸のために、ステップ3は省略された。
【0220】
【表15】

【0221】
中間体の調製16
3−{(S)−(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}−4−メチル安息香酸
【化36】

【0222】
ステップ1. メチル3−{(S)−(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}−4−メチルベンゾエート
ラセミサンプル、メチル3−{(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}−4−メチルベンゾエート(0.433、1.11mmol)を4mLに溶解し、ろ過し、分取キラルHPLC(IB−Hキラルカラム(20×250mm)、移動相20%のIPA/0.1%のジエチルアミンを有する80%のヘキサン、15mL/分、合計9回の注入)により精製した。第1のピークに相当するフラクション(6.592分の保持時間)をプールし、濃縮して、メチル3−{(S)−(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}−4−メチルベンゾエート(0.173g)を得た。第2のピークに相当するフラクション(8.501分の保持時間)を合わせて濃縮し、メチル3−{(R)−(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}−4−メチルベンゾエート(0.211g)を得た。
【0223】
ステップ2. 3−{(S)−(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}−4−メチル安息香酸
室温で、メタノール(4.34mL)中、メチル3−{(R)−(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}−4−メチルベンゾエート(0.17g、0.434mmol)の溶液に、NaOH(1.735mL、1.735mmol)を加えた。白色固体が溶液から破砕したので、THF(4.34mL)を加えて溶解性を補助した。得られた混合物を一晩室温で攪拌した。反応は完了していないため、さらに2当量の1N NaOHを加え、混合物を一晩攪拌した。メタノールを減圧除去し、残査を5mLの水で希釈し、1NのHClでpH3の酸性にし、酢酸エチル(2×5mL)で抽出した。有機抽出物を合わせてMgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。MS(m/z)378.4(M+H)。
【0224】
中間体の調製17
3−{(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}安息香酸
【化37】

【0225】
ステップ1. エチル3−[(5−クロロ−2−メチルフェニル)(ヒドロキシ)メチル]ベンゾエート
−30℃から−40℃で、THF中、エチル3−ヨードベンゾエート(13.16g、47.70mmol)の溶液に、イソプロピルマグネシウムクロリド(2M溶液の23.8mL、47.70mmol)を滴下により加えた。得られた混合物を1時間攪拌してから、5−クロロ−2−メチルベンズアルデヒド(7.0g、45.3mmol)を加えた。反応混合物を−30℃で30分間攪拌してから、室温まで温め、さらに10分間攪拌した。水性NHClおよびEtOAcを加えると層分離した。次いで有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。粗製物をシリカゲルクロマトグラフィーを用いて精製し、10.2g(70%収率)のエチル3−[(5−クロロ−2−メチルフェニル)(ヒドロキシ)メチル]ベンゾエートを得た。
【0226】
ステップ2. メチル3−[[(2−ブロモエチル)オキシ](5−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]ベンゾエート
2−ブロモエタノール(33mL、469mmol)に、メチル3−[(5−クロロ−2−メチルフェニル)(ヒドロキシ)メチル]ベンゾエート(10.2g、33.5mmol)を加えた。5分後、硫酸(10滴)を加えた。次いで得られた混合物を、60℃から70℃に4時間加熱してから、室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈した。次いでこの混合物を水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。粗製生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、5.1g(37%)のメチル3−[[(2−ブロモエチル)オキシ](5−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]ベンゾエートを得た。
【0227】
ステップ3. エチル3−{(5−クロロ−2−メチルフェニル)[2−{{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエート
アセトン中、エチル3−[[(2−ブロモエチル)オキシ](5−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]ベンゾエート(5.1g、12.4mmol)の溶液に、NaI(5.58g、37.2mmol)を加えた。次いで得られた混合物を60℃に5時間加熱してから、室温まで冷却し、ろ過し、アセトンで洗浄した。アセトンを除去し、残査を酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して、ヨウ化物中間体を得た。この物質をDMFに溶解させ、1,1−ジメチルエチルメチルエステルカリウム塩(3.97g、18.6mmol)を加えた。次いでこの混合物を50〜60℃に一晩加熱してから、室温まで冷却し、水性NHClおよび酢酸エチルでクエンチした。層分離した有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。粗製物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.9gのエチル3−{(5−クロロ−2−メチルフェニル)[2−{{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエート(46%)を、淡黄色油として得た。
【0228】
ステップ4. エチル3−{(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエート
TFA/CHClの溶液に、エチル3−{(5−クロロ−2−メチルフェニル)[2−{{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエート(0.60g、1.19mmol)を加えた。次いでこの混合物を、室温で20分間攪拌してから、溶媒を除去した。残査を酢酸エチルで希釈し、水性NaHCO、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して、0.380g(79%)のエチル3−{(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエートを、淡黄色油として得た。
【0229】
ステップ5. 3−{(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}安息香酸
メタノール中、エチル3−{(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエート(0.380g、0.938mmol)の溶液に、水酸化リチウム(0.225g、3.75mmol)および水を加えた。得られた混合物を40℃〜50℃に2時間加熱してから室温まで冷却し、溶媒を除去した。残査を酢酸エチルに溶解させ、pH2〜3の酸性にした。次いで有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して、0.300g(84%)の3−{(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}安息香酸を淡黄色固体として得た。
【0230】
中間体の調製18
3−{(R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}安息香酸
【化38】

【0231】
ステップ1. エチル3−{(R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエート
エチル3−{(R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエートとエチル3−{(S)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエートとの混合物を、分取キラルHPLC(OJ−Hカラム(20×250mm)100%メタノール(約10mL/分)、操作時間−15分)により分離した。サンプル(833mg)を20mLのメタノールに溶解させてから、濾過し、5回の個別の注入および12回のスタック注入(注入1回当たりおよそ62.5mg)を用いて処理した。第2のピークに相当するフラクション(4.729分の保持時間)をプールし濃縮して、エチル3−{(R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエート(0.287g)を得た。第1のピークに相当するフラクション(9.533分の保持時間)もまたプールし、濃縮してエチル3−{(S)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエート(0.325g)を得た。
【0232】
ステップ2. エチル3−{(R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエート
メチレンクロリド(10mL)中、エチル3−{(R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエート(0.180g、0.36mmol)の溶液に、HCl(ジオキサン中4M、3.56mL)を加えた。得られた混合物を室温で5時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残査をCHCl(10mL)に溶解させ、飽和NaHCO(5mL)で洗浄し、水相をCHClでもう一度抽出した。有機抽出物を合わせてブラインで洗浄し、乾燥し、ろ過し、濃縮して、エチル3−{(R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエート(0.140g、97%)を、透明な油として得、これをさらに精製せずに、次のステップに用いた。MS(m/z)406.2(M+H)。
【0233】
ステップ3. 3−{(R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}安息香酸
THF(5mL)およびメタノール(2mL)中、エチル3−{(R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}ベンゾエート(140mg、0.35mmol)の溶液に、LiOH(1M、1.38ml)を加えた。得られた混合物を室温で16時間攪拌した。反応物を濃縮し、残査を水(5mL)で希釈し、EtOAc(5mL)で洗浄した。水層をHCl(1N)でpH=2に酸性化し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。有機抽出物を合わせてブラインで洗浄し、乾燥し、濾過し、濃縮すると3−{(R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}安息香酸(0.118g、91%)を白色固体として得た。MS(m/z)378.0(M+H)。
【0234】
上記スキームによる開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤化合物を合成するための特定の条件は下記に提供されている。
【実施例】
【0235】
実施例1
塩酸メチル{2−[((R)−(3−クロロフェニル){3−[({(2S)−2−(メチルアミノ)−3−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロピル}アミノ)カルボニル]フェニル}メチル)オキシ]エチル}カルバメート
【化39】

【0236】
ステップ1. メチル{2−[((R)−(3−クロロフェニル){3−[({(2S)−2−[{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}(メチル)アミノ]−3−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロピル}アミノ)カルボニル]フェニル}メチル)オキシ]エチル}カルバメート
ジクロロメタン(10.31ml)中、3−{(R)−(3−クロロフェニル)[(2−{[(メチルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]メチル}安息香酸(0.375g、1.031mmol)の溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.360ml、2.062mmol)、1,1−ジメチルエチル{(1S)−2−アミノ−1−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルメチル]エチル}メチルカルバメート(0.309g、1.134mmol)、およびPyBOP(0.590g、1.134mmol)を加えた。1時間後のHPLC分析は、出発物質が消費されたことを示した。反応混合物を濃縮し、粗製物質をフロリジルに装填し、シリカゲルクロマトグラフィー(ISCO:30〜75%の酢酸エチル/ヘキサン類(30分)、12gのシリカ)を用いて精製し、NMRによると95%の純度で、少量の酢酸エチルを含有する0.68g(収率101%)のメチル{2−[((R)−(3−クロロフェニル){3−[({(2S)−2−[{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}(メチル)アミノ]−3−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロピル}アミノ)カルボニル]フェニル}メチル)オキシ]エチル}カルバメートを得た。MS(m/z)618.6(M+H)。
【0237】
ステップ2. 塩酸メチル{2−[((R)−(3−クロロフェニル){3−[({(2S)−2−(メチルアミノ)−3−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロピル}アミノ)カルボニル]フェニル}メチル)オキシ]エチル}カルバメート
アセトニトリル(10.27ml)中、メチル{2−[((R)−(3−クロロフェニル){3−[({(2S)−2−[{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}(メチル)アミノ]−3−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロピル}アミノ)カルボニル]フェニル}メチル)オキシ]エチル}カルバメート(0.635g、1.027mmol)の溶液に、ジオキサン(1.284ml、5.14mmol)中HClを加えた。反応混合物を濃縮し、HPLC(Agilent prep:20〜60%のCHCN/HO、0.1%のTFA、30×150mm Sunfire C18、25mL/分、15分、6回注入)により精製した。生成物フラクションをEZ2 Genevacで一晩濃縮した。次いで生成物をEtOAc(30mL)に溶解させ、1NのNaOH(20mL)を加えた。層が分離し、水層をEtOAc(2×10mL)で抽出した。有機層を合わせてMgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して、414mg(収率78%)のメチル{2−[((R)−(3−クロロフェニル){3−[({(2S)−2−(メチルアミノ)−3−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロピル}アミノ)カルボニル]フェニル}メチル)オキシ]エチル}カルバメートを得た。次いで遊離塩基を、10mLのMeCNに溶解させ、4NのHCl/ジオキサン0.4mL(414mg/0.8mmolの遊離塩基に関して2当量)を加え、濃縮した。この物質を追加のアセトニトリル、次いでMeOHと共に共沸させ、最後に5mLのMeOHに溶解させ、0.2umのPTFE膜を有するAcrodisc CR25mmシリンジフィルターを通してろ過し、いずれの粒子も除去してから濃縮して、0.570g(収率71%)の塩酸メチル{2−[((R)−(3−クロロフェニル){3−[({(2S)−2−(メチルアミノ)−3−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロピル}アミノ)カルボニル]フェニル}メチル)オキシ]エチル}カルバメートを白色泡状物として得た。MS(m/z)519.0(M+H)。1H NMR(400mHz、DMSO−d6)δ8.80(t,J=5.7Hz,1H)、8.72(s,1H)、7.93(s,1H)、7.84(d,J=7.9Hz,1H)、7.59(d,J=7.5Hz,1H)、7.49(s,1H)、7.47(t,J=7.6Hz)、7.39−7.29(m,4H)、5.57(s,1H)、3.74(dd,J=11.0,3.5Hz,2H)、3.61(dt,J=14.7,4.4Hz,1H)、3.51(s,3H)、3.46(dd,J=14.9,6.1Hz,1H)、3.40(t,J=5.9Hz,2H)、3.34(s,3H)、3.29(dt,J=15.4,5.3Hz,2H)、3.21(q,J=5.8Hz,2H)、2.99(dd,J=10.7,9.2Hz,1H)、2.61(s,3H)、1.93−1.87(m,1H)、1.78−1.69(m,1H)、1.61−1.54(m,1H)、1.51−1.41(m,3H)、1.15(ddd,J=23.3,10.4,3.5Hz,1H)。
【0238】
表3の化合物を上記の手順と類似の手順で調製し、場合によっては指示された塩として単離した。
【0239】
以下のものは、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の例である。キラル中心における立体化学が化合物名に規定されていない場合、これは調製されたサンプルがこの中心で異性体の混合物を含有したことを示す。
【0240】
【表16】

【0241】
【表17】

【0242】
【表18】

【0243】
実施例2
インビトロ活性試験
インビトロレニンアッセイを用いて、レニン阻害剤の効力を測定した。このアッセイにおいて、蛍光標識ペプチドのレニン触媒のタンパク質分解により、ペプチドは弱蛍光分子から強蛍光分子へと変換される。以下の試験プロトコルが用いられる。基質溶液(5μl;50mMのHepes中、2uMのArg−Glu−Lys(5−Fam)−Ile−His−Pro−Phe−His−Leu−Val−Ile−His−Thr−Lys(5,6 Tamra)−Arg−CONH、125mMのNaCl、0.1%のCHAPS、pH7.4)、次いでトリプシン活性化組換えヒトレニン(Scott,Martin J.ら、Protein Expression and Purification、2007年、52(1)、104−116頁;5uL;50mMのHepes中、600pMのレニン、125mMのNaCl、0.1%のCHAPS、pH7.4)を、所望の濃度における化合物のDMSO溶液100nlでプレスタンプした黒色グライナー低容量384ウェルプレート(カタログ番号784076)に連続的に加えた。アッセイプレートをカバープレートと共に室温で2時間インキュベートしてから、停止液(2uL;50mMのHepes中、5uMのBachem C−3195、125mMのNaCl、0.1%のCHAPS、pH7.4、10%のDMSO)の添加によりクウェンチした。485nmの励起フィルター、530nmの発光フィルター、および505nmのダイクロイックフィルターを用いて、LJLAcquestでアッセイプレートを読み取る。化合物は最初、10mMの濃度におけるニートなDMSO中で調製する。阻害曲線に関しては、化合物を三倍連続希釈を用いて希釈し、11の濃度(例えば、50μM〜0.8nMまたは25μM〜0.42nMまたは2.5μM〜42pM)で試験した。ActivityBaseおよびXLfitを用いて曲線を分析し、結果はpIC50値で表した。
【0244】
上記のインビトロ酵素活性試験を、表2および3の化合物に関して実施した。化合物は各々、1000nM未満のインビトロIC50を示した。
【0245】
実施例3
インビボ活性試験
レニン阻害剤の心臓および全身の血液動態的有効性は、ナトリウム枯渇正常血圧のカニクイザルにおいてインビボで評価することができる。自由に動いている意識のある動物において、動脈血圧を遠隔測定によりモニターする。
【0246】
レニン阻害剤の有効性はまた、ヒトのレニンおよびヒトのアンジオテンシノーゲンを発現するように操作した二重形質転換ラットにおいて、インビボで評価することもできる(Bohlender J、Fukamizu A、Lippoldt A、Nomura T、Dietz R、Menard J、Murakami K、Luft FC、Ganten D、High human renin hypertension in transgenic rats.Hypertension 1997年、29、428−434頁)。
【0247】
カニクイザル(一般法):体重2.5〜3.5kgの間にあるオスの未処置のカニクイザル6匹をこれらの試験に用いる。実験の少なくとも4週間前に、塩酸ケタミン(15mg/kg、筋肉内)および塩酸キシラジン(0.7mg/kg、筋肉内)により麻酔し、発信機(Model#TL11M2−D70−PCT、Data Sciences、セントポール、ミネソタ州)により腹腔内に埋め込む。圧力カテーテルを、大腿動脈を介して下部腹大動脈内へ挿入する。二分化能リードを、Lead II配置に配置する。動物は、一定の温度(19〜25℃)、湿度(>40%)および照明条件(12時間の明暗サイクル)下でケース内飼育し、1日1回給餌給餌し、自由に水を取らせる。動物は実験の7日前、低ナトリウム食餌(0.026%、Expanded Primate Diet 829552 MP−VENaCl(P)、Special Diet Services社、英国)に置くことによりナトリウム枯渇にし、試験化合物投与の40時間前および16時間前に、フロセミド(3mg/kg、筋肉内、Aventis Pharmaceuticals)を投与する。
【0248】
経口投与には、レニン阻害剤を幼仔給餌チューブによる10mg/kgおよび30mg/kg(5mL/kg)の用量レベルで、0.5%のメチルセルロース中に製剤化する。静脈内送達には、サイラスティックカテーテルを、大腿静脈を介して後部大静脈内へ埋め込む。カテーテルを、係留システムとスイベルジョイントを介して送達ポンプに取り付ける。試験化合物(0.1mg/kgから10mg/kgの用量レベル、5%のデキストロースで製剤化)を、連続的注入(1.67mL/kg/時間)またはボーラス注入(2分間で3.33mL/kg)により投与する。
【0249】
Dataquest(商標)A.R.T.(Advanced Research Technology)ソフトウェアを用い、動脈血圧(収縮期、拡張期および平均)ならびに体温を、それぞれ500Hzおよび50Hzで連続的に記録する。心拍数は、一過性血圧追跡から誘導する。記録期間は、ストレスによる副次的な圧力の変化を避けるため、サルはヒトの存在しない個別の室に置く。データは全て、平均±SEMとして表される。血圧に及ぼすレニン阻害剤の効果は、媒体群と比較した用量および時間の要因を考慮に入れて、ANOVAにより評価する。
【0250】
二重形質転換ラット(一般法):実験は、6週齢の二重形質転換ラット(dTGRs)において実施する。このモデルは、上記に提供した参考文献に記載されている。手短に述べると、形質転換動物を作出するために用いられるヒトレニン構築体が、3.0kBの5’−プロモーター領域および1.2kBの3’付加配列を有する全ゲノムヒトレニン遺伝子(10のエクソンおよび9のイントロン)を構成した。ヒトアンジオテンシノーゲン構築体が、1.3kBの5’フランキング配列および2.4kBの3’フランキング配列を有する全ゲノムヒトレニン遺伝子(5のエクソンおよび4のイントロン)を構成する。ラットはRCC社(フュリンスドルフ、スイス国)から購入できる。無線遠隔発信機を4週齢で外科的に埋め込む。この遠隔システムにより、収縮期、拡張期および平均の動脈血圧(それぞれ、SAP、MAP、DAP)ならびに心拍数(HR)の24時間記録が提供される。42日目に開始し、動物を遠隔ケージに移す。24時間の遠隔読み取りが得られる。次いでラットに、その後連続4日間(43日目〜46日目)経口投与する。ラットを連続的にモニターし、標準的な0.3%ナトリウムラット固形飼料および飲み水を自由に取らせる。
【0251】
本発明を、その特定の実施形態を参照として具体的に示し記載したが、添付の請求項に包含された本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細において種々の変更をなし得ることは、当業者に理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】


によって表される化合物であって、
式中:
が、C〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキル−C〜Cアルキル−であり;
が、HまたはC〜Cアルキルであり;
の各々が、F、Cl、Br、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、およびC〜Cアルキルスルホニル−から独立して選択され;
nが、0、1、2または3であり:
、RおよびRが、H、ハロおよびC〜Cアルキルから選択され、R、RまたはRのうちの1つが、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、R、RおよびRの他の2つが、Hであり;
7aおよびR7bが、各々独立してC〜Cアルキルであるか、またはR7aおよびR7bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、5〜6員の炭素環式環または複素環式環を形成し、前記複素環式環が1個の酸素原子を含有する化合物;または薬学的に許容できるその塩。
【請求項2】
前記化合物が、以下の式:
【化2】


によって表される化合物、または薬学的に許容できるその塩である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
7aおよびR7bが、各々独立してC〜Cアルキルであるか、またはR7aおよびR7bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロヘキシル環またはテトラヒドロピラニル環を形成する化合物、または薬学的に許容できるその塩である請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
7aおよびR7bが、それらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロヘキシル環またはテトラヒドロピラニル環を形成する化合物、または薬学的に許容できるその塩である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
以下の式:
【化3】


によって表され、
式中R、R、R、R、R、Rおよびnが、請求項1から4のいずれか一項に定義されたとおりであり、Xが、CHまたはOである化合物;または薬学的に許容できるその塩である請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
以下の式:
【化4】


によって表され、
式中R、R、R、R、R、Rおよびnが、請求項1から4のいずれか一項に定義されたとおりの化合物、または薬学的に許容できるその塩である請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
以下の式:
【化5】


によって表され、
式中R、R、R、R、R、Rおよびnが、請求項1から4のいずれか一項に定義されたとおりの化合物、または薬学的に許容できるその塩である請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が、C〜Cアルキルである請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
が、HまたはC〜Cアルキルである請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
、RおよびRが、H、F、ClおよびC〜Cアルキルから選択され、R、RまたはRのうちの1つが、H、F、ClまたはC〜Cアルキルであり、R、RおよびRの他の2つが、Hである請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
nが、0、1または2である請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
、RおよびRが、各々Hであるか、またはR、RおよびRのうちの1つが、F、Clまたはメチルである請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
がメチルである請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
が、Hまたはメチルである請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
の各々が、F、Cl、およびメチルから独立して選択される請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
nが1である請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
nが2である請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
がFであり、nが1である請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
がClであり、nが1である請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
nが2であり、Rの1つがClであり、他のRがメチルである請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
nが0である請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
、RおよびRが各々Hである請求項1から21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
、RおよびRのうちの1つが、F、Clまたはメチルである請求項1から22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
が、C〜Cアルキルであり;Rが、HまたはC〜Cアルキルであり;Rの各々が、F、Cl、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、およびC〜Cアルキルスルホニル−から独立して選択され;nが、0、1、または2であり:R、RおよびRが、H、F、ClおよびC〜Cアルキルから選択され、R、RまたはRのうちの1つが、H、F、ClまたはC〜Cアルキルであり、R、RまたはRの他の2つが、Hである化合物;または薬学的に許容できるその塩である請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
が、C〜Cアルキルであり;Rが、C〜Cアルキルであり;Rの各々が、F、ClおよびC〜Cアルキルから独立して選択され;nが、0、1、または2であり:R、RおよびRが、各々Hであるか、またはR、RまたはRのうちの1つが、F、Clまたはメチルである化合物;または薬学的に許容できるその塩である請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
メチル{2−[((3−クロロフェニル){2−メチル−5−[({2−(メチルアミノ)−3−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロピル}アミノ)カルボニル]フェニル}メチル)オキシ]エチル}カルバメート;
メチル{2−[((3−クロロフェニル){3−[({2−(メチルアミノ)−3−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロピル}アミノ)カルボニル]フェニル}メチル)オキシ]エチル}カルバメート;
メチル[2−({(3−クロロフェニル)[3−({[(2S)−3−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)プロピル]アミノ}カルボニル)フェニル]メチル}オキシ)エチル]カルバメート;
メチル[2−({(3−クロロフェニル)[3−({[(2S)−4−メチル−2−(メチルアミノ)ペンチル]アミノ}カルボニル)フェニル]メチル}オキシ)エチル]カルバメート;
メチル[2−({(3−クロロフェニル)[3−({[(2S)−3−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)プロピル]アミノ}カルボニル)−4−フルオロフェニル]メチル}オキシ)エチル]カルバメート;
メチル{2−[((3−クロロフェニル){4−フルオロ−3−[({2−(メチルアミノ)−3−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロピル}アミノ)カルボニル]フェニル}メチル)オキシ]エチル}カルバメート;
メチル[2−({(3−クロロフェニル)[5−({[(2S)−3−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)プロピル]アミノ}カルボニル)−2−メチルフェニル]メチル}オキシ)エチル]カルバメート;
メチル(2−{[{3−クロロ−5−[({2−(メチルアミノ)−3−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロピル}アミノ)カルボニル]フェニル}(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}エチル)カルバメート;
メチル(2−{[[3−クロロ−5−({[(2S)−3−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)プロピル]アミノ}カルボニル)フェニル](3−クロロフェニル)メチル]オキシ}エチル)カルバメート;
メチル[2−({(3−クロロフェニル)[5−({[(2S)−3−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)プロピル]アミノ}カルボニル)−2−フルオロフェニル]メチル}オキシ)エチル]カルバメート;
メチル{2−[((R)−(3−クロロフェニル){2−メチル−5−[({(2S)−2−(メチルアミノ)−3−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロピル}アミノ)カルボニル]フェニル}メチル)オキシ]エチル}カルバメート;
メチル[2−({(3−クロロフェニル)[3−({[(2S)−2−(メチルアミノ)−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)プロピル]アミノ}カルボニル)フェニル]メチル}オキシ)エチル]カルバメート;
メチル{2−[((3−クロロフェニル){2−フルオロ−5−[({(2S)−2−(メチルアミノ)−3−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロピル}アミノ)カルボニル]フェニル}メチル)オキシ]エチル}カルバメート;
メチル{2−[((S)−(3−クロロフェニル){2−メチル−5−[({(2S)−2−(メチルアミノ)−3−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロピル}アミノ)カルボニル]フェニル}メチル)オキシ]エチル}カルバメート;および
メチル{2−[((R)−(3−クロロフェニル){3−[({(2S)−2−(メチルアミノ)−3−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロピル}アミノ)カルボニル]フェニル}メチル)オキシ]エチル}カルバメート;から選択される化合物、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項27】
【化6】


【化7】


【化8】


から選択される化合物、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項28】
薬学的に許容できる担体または希釈剤および請求項1から27のいずれか一項に記載の化合物を含んでなる医薬組成物。
【請求項29】
α−ブロッカー、β−ブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、利尿剤、ナトリウム排泄薬、食塩排泄薬、中枢作用性降圧薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、デュアルアンジオテンシン変換酵素および中性エンドペプチダーゼ阻害剤、アンジオテンシン受容体ブロッカー、デュアルアンジオテンシン受容体ブロッカーおよびエンドセリン受容体アンタゴニスト、アルドステロンシンターゼ阻害剤、アルドステロン受容体アンタゴニスト、またはエンドセリン受容体アンタゴニストをさらに含んでなる請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
1つまたは複数のアスパラギン酸プロテアーゼをアンタゴナイズすることを必要とする対象において、1つまたは複数のアスパラギン酸プロテアーゼをアンタゴナイズする方法であって、請求項1から27のいずれか一項に記載の化合物の有効量を、前記対象に投与することを含んでなる方法。
【請求項31】
前記アスパラギン酸プロテアーゼが、レニンである請求項30に記載の方法。
【請求項32】
対象におけるアスパラギン酸プロテアーゼ媒介障害を治療する方法であって、請求項1から27のいずれか一項に記載の化合物の有効量を、前記対象に投与することを含んでなる方法。
【請求項33】
前記障害が、高血圧、うっ血性心不全、心肥大、心線維症、梗塞後の心筋症、腎障害、脈管障害および神経障害、冠血管の疾患、術後高血圧、血管形成術後の再狭窄、眼内圧の上昇、緑内障、異常血管増殖、高アルドステロン症、不安神経症、または認知障害である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
α−ブロッカー、β−ブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、利尿剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、デュアルアンジオテンシン変換酵素および中性エンドペプチダーゼ阻害剤、アンジオテンシン受容体ブロッカー、デュアルアンジオテンシン受容体ブロッカーおよびエンドセリン受容体アンタゴニスト、アルドステロンシンターゼ阻害剤、アルドステロン受容体アンタゴニスト、およびエンドセリン受容体アンタゴニストからなる群から選択される1種または複数種の追加薬剤を、前記対象に投与することをさらに含んでなる請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記アスパラギン酸プロテアーゼが、β―セクレターゼである請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記アスパラギン酸プロテアーゼが、プラスメプシンである請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記アスパラギン酸プロテアーゼが、HIVプロテアーゼである請求項32に記載の方法。

【公表番号】特表2011−525488(P2011−525488A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514615(P2011−514615)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/003650
【国際公開番号】WO2009/154766
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(509235556)ヴァイティー ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】