説明

レンズ鏡筒および撮像装置

【課題】三群レンズにおいて良好な収差補正が可能であり、且つ、沈胴状態において小型のレンズ鏡筒を提供する。
【解決手段】レンズ鏡筒1は、固定枠2と、固定枠2に支持されて、撮影光軸方向にそれぞれ規定される前方移動端と後方移動端との間を、回転しながら撮影光軸方向に移動可能なカム枠5と、回転規制状態でカム枠5の回転により撮影光軸方向に移動する、シャッタを保持するシャッタ枠30とを備える。三群枠10は、シャッタ枠30の内周側に三群レンズ23の物体側の少なくとも一部が配置されるように、シャッタ枠30に常時固定され、二群枠11は、回転規制状態で前記カム枠5の回転により撮影光軸方向に移動し、カム枠5が後方移動端に位置する場合は、シャッタ枠30の内周側に二群レンズ22の像側の少なくとも一部が収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒および撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CCDやCMOSセンサなどの撮像素子を用いて被写体を撮影するデジタルカメラが広く普及している。デジタルカメラには、業務用高機能タイプからコンパクトな普及タイプまで、幅広いカテゴリーが存在している。特に、普及型のデジタルカメラでは、いつでもどこでも気軽に持ち運びできるように小型化が求められている。
【0003】
また、普及型のデジタルカメラの多くは、ズームレンズ系を搭載するレンズ鏡筒として、光軸方向に伸長して当該デジタルカメラの筐体の前面に向けて突出した形態となる撮影可能状態と、撮影可能状態よりも光軸方向に短縮して該デジタルカメラの筐体内に収納された形態となる沈胴状態との間で、全長を伸縮自在に構成したものを採用している。デジタルカメラ全体の小型化のためには、このレンズ鏡筒の小型化が必要となる。
【0004】
このため、特許文献1に記載のレンズ鏡筒では、物体側から順に一群レンズから四群レンズによりなるズームレンズ系において、一群レンズを保持する一群枠の光軸方向へ伸長する際の移動量を、固定枠に支持される駆動枠と駆動枠に支持されるカム枠との2つの部材により分担させることで、光軸に沿った方向の各部材の寸法を短縮している。これによって、沈胴時のレンズ鏡筒の光軸方向の厚みを薄くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−185786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、引用文献1に開示されたレンズ鏡筒の構成によれば、三群レンズは正の屈折力を有する第1レンズ、正の屈折力を有する第2レンズおよび負の屈折力を有する第3レンズの3枚のレンズで構成されている。このため、光軸から離れた周辺の光路の収差を補正するレンズが第3レンズのみであり、三群レンズの軸上光束を太くすることができず、F値の暗い光学系となっていた。
【0007】
特に、デジタルカメラの小型化のために、画素数を変えずに撮像素子を小さくした場合には、画素ピッチを小さくする必要がある。このため、小型化した撮像素子では、感度不足を光学系でカバーしなければならず、したがって、F値の明るい光学系が必要になる。
【0008】
そこで、本願発明者は、十分なレンズ比を確保するために、物体側から順に、正屈折力の一群レンズ、負屈折力の二群レンズ、正屈折力の三群レンズおよび正屈折力の四群レンズを有し、各レンズ群の間隔を変化させることで広角端(ワイド端)から望遠端(テレ端)への変倍を行うレンズ系を採用し、三群レンズにおいては、物体側から順に、正屈折力の正端レンズと、像側に凹の像側面を持つ第1の接合レンズ成分と、物体側に凹の物体側面をもつ第2の接合レンズとを配置した構成を採用することを検討した。
【0009】
このレンズ構成によれば、三群レンズにおける各レンズ面の曲率あるいは各レンズの屈折力を小さくすることができ、それにより収差の発生を抑えることができる。加えて、第1の接合レンズ成分の像側の面と、第2の接合レンズ成分の物体側の面とを、凹面を向き合わせる構成としたことにより、広角端から望遠端までの球面収差、色収差、ペッツバール和を良好に補正できる。また、明るさの確保や画角の確保、変倍比の確保に有利である。
【0010】
しかしながら、上述のように三群レンズを5枚のレンズで構成すると、三群レンズを含むレンズ鏡筒内に収納されるレンズ数の増加により、レンズ鏡筒の沈胴状態での厚みが増大することが懸念される。
【0011】
したがって、これらの点に着目してなされた本発明の目的は、三群レンズにおいて良好な収差補正が可能であり、且つ、沈胴状態において小型のレンズ鏡筒およびこれを備えた撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する第1の観点に係る発明は、物体側から像側に向けて順に、少なくとも正の屈折力の一群レンズ、負の屈折力の二群レンズ、正の屈折力の三群レンズ、を有するレンズ鏡筒において、
固定枠と、該固定枠に支持されて、撮影光軸方向にそれぞれ規定される前方移動端と後方移動端との間を、回転しながら撮影光軸方向に移動可能なカム枠と、回転規制状態で前記カム枠とともに撮影光軸方向に移動するガイド枠と、回転規制状態で前記カム枠の回転により撮影光軸方向に移動する、シャッタを保持するシャッタ枠と、前記一群レンズを保持し、前記ガイド枠の内周に嵌合し、回転規制状態で前記カム枠の回転により撮影光軸方向に移動する一群枠と、前記二群レンズを保持し、回転規制状態で前記カム枠の回転により撮影光軸方向に移動し、前記カム枠が前記後方移動端に位置する場合は、像側の少なくとも一部が前記シャッタ枠の内周側に嵌入する二群枠と、2枚の負レンズを含む5枚のレンズより成る前記三群レンズを保持し、前記シャッタ枠の内周側に物体側の少なくとも一部が嵌入した状態で固定される三群枠と、を備えることを特徴とするレンズ鏡筒である。
【0013】
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係るレンズ鏡筒において、
前記三群レンズと像面との間に、正の屈折力の第4群レンズを設け、
前記三群レンズは、物体側から像側へ順に、正レンズである第1レンズと、正レンズである第2レンズと、負レンズである第3レンズと、負レンズである第4レンズと、正レンズである第5レンズと、を含み、前記第2レンズおよび前記第3レンズと、前記第4レンズおよび前記第5レンズとは、それぞれ接合レンズを形成している、ことを特徴とするものである。
【0014】
第3の観点に係る発明は、第2の観点に係るレンズ鏡筒において、
前記第4レンズの直径は前記第5レンズの直径よりも大きく、前記第4レンズは前記三群枠により保持され、前記第5レンズは前記第4レンズに接合により保持される、ことを特徴とするものである。
【0015】
第4の観点に係る発明は、第1の観点に係るレンズ鏡筒において、
前記三群レンズの像側で、前記三群枠にNDフィルタを設けたことを特徴とするものである。
【0016】
第5の観点に係る発明は、第4の観点に係るレンズ鏡筒において、 前記三群枠の像側に配置されたNDフィルタ枠を備え、撮影光軸に直交する方向から見たとき、前記三群レンズにおける第4レンズに接合保持された第5レンズの像側のレンズ面の少なくとも一部が、前記NDフィルタ枠内に入り込んでいることを特徴とするものである。
【0017】
第6の観点に係る発明は、第5の観点に係るレンズ鏡筒において、 少なくとも沈胴状態において、前記NDフィルタ枠は、撮影光軸に直交する方向から見たとき、少なくとも一部が前記四群枠内に入り込むことを特徴とするものである。
【0018】
第7の観点に係る発明は、第5の観点に係るレンズ鏡筒において、 前記NDフィルタ枠に、光線絞り部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0019】
第8の観点に係る発明は、第5の観点に係るレンズ鏡筒において、 前記NDフィルタ枠に、複数の光線絞り部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0020】
第9の観点に係る発明は、第8の観点に係るレンズ鏡筒において、
前記複数の光線絞り部材の一つは、前記三群レンズの前記第5レンズと接触して配置されることを特徴とするものである。
【0021】
第10の観点に係る発明は、第5の観点に係るレンズ鏡筒において、
前記三群枠の物体側に前記シャッタ枠、像側に前記NDフィルタ枠を配置し、前記シャッタ枠および前記NDファイタ枠の少なくとも一方は、前記三群枠に貫通穴を設けて該貫通穴を用いて固定されることを特徴とするものである。
【0022】
第11の観点に係る発明は、第10の観点に係るレンズ鏡筒において、
前記三群枠にネジ穴部を設け、前記貫通穴を用いて固定されなかった前記シャッタ枠および前記NDフィルタ枠のいずれか一方は、該ネジ穴部に螺合するひとつのビスを用いて前記三群枠に固定されることを特徴とするものである。
【0023】
第12の観点に係る発明は、第1の観点に係るレンズ鏡筒において、
前記一群枠、前記二群枠および前記三群枠は、前記カム枠と直接係合していることを特徴とするものである。
【0024】
上記目的を達成する第13の観点に係る発明は、請求項1に記載のレンズ鏡筒と、前記一群レンズ、前記二群レンズ、前記三群レンズ、および前記四群レンズを経て形成される光学像を受けて画像データを生成する撮像素子と、前記撮像素子を該撮像素子の受光面に平行な面内で変位させて像ぶれ補正動作を行う像ぶれ補正装置とを備える撮像装置である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、レンズ鏡筒は、物体側から像側に向けて順に、正の屈折力の一群レンズ、負の屈折力の二群レンズ、2枚の負レンズを含む5枚のレンズより成る正の屈折力の三群レンズ、および、正の屈折力の四群レンズを有し、
二群レンズを保持する2群枠は、カム枠が後方移動端に位置する場合は、像側の少なくとも一部がシャッタ枠の内周側に嵌入し、前記三群レンズを保持する三群枠は、前記シャッタ枠の内周側に物体側の少なくとも一部が嵌入した状態で固定されるようにしたので、三群レンズにおいて良好な収差補正が可能であり、且つ、沈胴状態において小型にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態に係る撮像装置を構成するレンズ鏡筒およびセンサユニットを含む撮像ユニットの要部の構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す撮像ユニットの沈胴状態における断面図である。
【図3】図1に示す撮像ユニットのワイド位置における断面図である。
【図4】図1に示す撮像ユニットのテレ位置における断面図である。
【図5】図1のシャッタ/三群ユニットの分解斜視図である。
【図6】シャッタ/三群ユニットの組み立て形態の変形例を示す斜視図である。
【図7】図6の三群枠およびNDフィルタ枠部分の分解斜視図である。
【図8】シャッタ/三群ユニットの組み立て形態の他の変形例を示す斜視図である。
【図9】像側から見たシャッタ/三群ユニットをNDフィルタの配置と共に示す図である。
【図10A】撮像装置内を通る光線と絞りとの関係を示す図である。
【図10B】シャッタ/三群ユニット8を拡大して示す断面図である。
【図11】図1に示す撮像ユニットのワイド端(a)、中間状態(b)、テレ端(c)でのレンズ断面図である。
【図12】図1に示す撮像ユニットの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態に係る撮像装置について、図面を参照して説明する。
【0028】
なお、本実施の形態の説明においては、レンズ鏡筒における撮影光学系の光軸(撮影光軸)を符号Oで表すものとする。この光軸Oに沿う方向(撮影光軸方向)において、被写体側(物体側)を前方とし、当該レンズ鏡筒における各枠部材が、前方に向かう際の方向を繰り出し方向というものとする。一方、光軸Oに沿う方向において結像側(像側)を後方とし、各枠部材が後方に向かう際の方向を繰り込み方向というものとする。また、レンズ鏡筒における各構成部材の回転方向は、前方側から見た回転方向で表すものとする。
【0029】
本実施の形態の撮像装置は、伸縮可能な撮影光学系、すなわちレンズ鏡筒を用いたものである。このレンズ鏡筒は、光軸Oに沿う方向に伸長して撮像装置の筐体の前方に向けて伸長し突出して撮影動作を行い得る形態、すなわち撮影動作を待機している形態の使用状態である撮影待機状態(撮影可能状態)と、光軸Oに沿う方向に伸長した状態より短縮して撮像装置の筐体内に収納されてレンズ鏡筒が撮影動作に供しない形態の非使用状態である沈胴状態との間でレンズ鏡筒の全長が伸縮自在に構成され、かつ撮影可能状態にあるときは、短焦点位置(ワイド端)と長焦点位置(テレ端)との間で、複数の枠部材を繰り出しまたは繰り込むことで変倍動作(ズーミング)を可能とする伸縮機構を有して構成される。
【0030】
先ず、図1〜図4を参照して、レンズ鏡筒の構成について説明する。
【0031】
レンズ鏡筒1は、センサユニット100のベース部材101に固定される固定枠2と、固定枠2に支持されてズーミング動作時や沈胴動作時に回転駆動されるとともに、光軸Oに沿う方向に進退駆動されるカム枠5と、回転規制状態でカム枠5とともに光軸Oに沿う方向に進退するフロートキー6と、回転規制状態でカム枠5とともに光軸Oに沿う方向に進退するガイド枠7と、回転規制状態でカム枠5の回転により光軸Oに沿う方向に進退する一群レンズ21を保持する一群枠12と、回転規制状態でカム枠5の回転により光軸Oに沿う方向に進退する二群レンズ22を保持する二群枠11と、回転規制状態でカム枠5の回転により光軸Oに沿う方向に進退する、三群レンズ23を保持する三群枠10およびシャッタを支持するシャッタ/三群ユニット8と、固定枠2に光軸Oに沿う方向に進退可能に結合された、四群レンズ24を保持する四群枠13とを有している。
【0032】
このレンズ鏡筒1は、カム枠5が後方移動端と前方移動端との間を移動する際の回転により、沈胴状態と撮影可能状態との位置決めが実行されて、撮影可能状態で光軸Oの物体側から像側に順に、一群レンズ21、二群レンズ22、三群レンズ23、および四群レンズ24が位置し、さらに、前方移動端でのカム枠5の定位置回転により変倍作用が実行されるようになっている。
【0033】
固定枠2は、円筒状に形成されており、その内周部に光軸Oに対して傾斜する方向に形成された複数の傾斜カム溝部と円周に沿う方向に形成される円周溝部とが連接してなるカム溝2aと、光軸方向に形成された複数の直進溝2b,2cとを有している。この固定枠2の外周部には、撮影光学系のズーミング動作を行うためのズーム駆動ユニット17とが設けられ、また、固定枠2の内部には、撮影光学系のフォーカシング動作を行うためのフォーカス駆動ユニット18とが配設されている。
【0034】
ズーム駆動ユニット17は、ズーム駆動源であるズームモータ17a、ズームモータ17aの駆動力を伝達するギヤ列(回転伝達機構)17b、カム枠5の位置を検出する位置センサ(図示せず)、およびロングギヤ17c等を含んでいる。そして、ズームモータ17aにより、レンズ鏡筒1の撮影光学系のうちズーミング動作に寄与するズーム光学系(一群レンズ21、二群レンズ22、三群レンズ23)を光軸Oに沿う方向に駆動するズーミング動作を行うとともに、レンズ鏡筒1を撮影可能状態から沈胴状態へと駆動させる沈胴動作をも行う。なお、ズーム駆動ユニット17のロングギヤ17cは、固定枠2のギヤ収納部2dに回転軸が光軸Oと平行になるように配置されて、固定枠2の内周部に露呈した状態で回動自在に支持されている。
【0035】
フォーカス駆動ユニット18は、モータ軸を光軸Oに平行に配置されたフォーカス駆動源であるフォーカスモータ18a、フォーカスモータ18aの駆動力を伝達するギヤ列(図示せず)、送りねじ18b、ガイド軸18c、および、レンズ鏡筒1の撮影光学系のうちフォーカシング動作に寄与するフォーカシング光学系(四群レンズ24)の原点位置を検出するフォトインタラプタからなる位置センサ(図示せず)等を含んでいる。そして、フォーカスモータ18aにより、四群レンズ24を光軸Oに沿う方向にフォーカス駆動する。
【0036】
カム枠5は円筒状に形成されており、固定枠2の内周部に回動および進退自在な状態で嵌入している。カム枠5の外周後方部には、固定枠2の複数のカム溝2aにそれぞれ摺動自在に嵌入する複数のカムフォロワ5aと、ズーム駆動ユニット17のロングギヤ17cに噛合するギヤ部5bとが形成されている。
【0037】
上述したように、カム枠5のカムフォロワ5aは、固定枠2のカム溝2aに摺動自在に嵌入しており、ギヤ部5bは、ロングギヤ17cに噛合している。したがって、ズーム駆動ユニット17のズームモータ17aが駆動されてロングギヤ17cが回転駆動されると、その駆動力がギヤ部5bを介してカム枠5に伝達されて、当該カム枠5を回転させるようになっている。こうしてカム枠5が回転すると、当該カム枠5のカムフォロワ5aが固定枠2の傾斜したカム溝2aの傾斜カム溝部に沿って移動することで、カム枠5は、回転しながら沈胴状態にある位置(後方移動端)から撮影可能状態における短焦点位置であるワイド端(前方移動端)にまで前方に繰り出される。そして、レンズ鏡筒1が撮影可能状態にあるときには、短焦点位置であるワイド端から長焦点位置であるテレ端までの間におけるズーミング動作中には、当該カム枠5は、カムフォロワ5aとカム溝2aの円周溝部とによって光軸Oに沿う方向には進退することなく、前方移動端において回転方向にのみ駆動されるようになっている。
【0038】
また、カム枠5の外周部には、光軸Oに対して傾斜する方向に一群用カム溝5cが形成されており、内周部には、光軸Oに対して傾斜する方向に二群用カム溝5dおよび三群用カム溝5eが形成されている。
【0039】
フロートキー6は、円筒形状に形成されており、カム枠5の内周部において相対的に回転自在に嵌入している。フロートキー6の後端外周部には、固定枠2の直進溝2bに嵌入するガイド突起部6aが外方に向けて突設されている。これにより、当該フロートキー6は、固定枠2によって回転規制された状態で、カム枠5とともに光軸Oに沿う方向への進退移動が可能となっている。
【0040】
このフロートキー6は、バヨネット突起部6bがカム枠5のフランジ部5fに設けられた円形凹部の外周溝5gに嵌入した状態で、カム枠5の内周部に嵌入するように配設されている。これにより、フロートキー6は、カム枠5に対して相対的に回転が可能で、かつカム枠5に対して光軸Oに沿う方向には相対的に進退移動しないようにバヨネット結合されている。
【0041】
さらに、フロートキー6は、光軸Oに沿う方向に内外周を貫通するように形成された二群用直進溝6cおよび三群用直進溝6dを有している。
【0042】
また、フロートキー6の二群用直進溝6cに二群枠11のガイド突起部11aが嵌入し、三群用直進溝6dに三群ユニット10のガイド突起部10bが嵌入している。これにより、フロートキー6は、二群枠11およびシャッタ/三群ユニット8を進退自在に支持するとともに回転規制している。
【0043】
ガイド枠7は、円筒状に形成されており、後端内周部にカム枠5の結合溝(図示せず)に嵌入するバヨネット突起(図示せず)を有している。また、ガイド枠7の内周部には、光軸Oに沿う方向に、一群枠12の後方外周部に形成されたカムフォロワ12aが嵌合する直進溝7bが形成されている。
【0044】
そして、ガイド枠7は、固定枠2の内周部に嵌入した状態で、カム枠5とバヨネット結合されて配置される。このとき、ガイド枠7のガイド突起部7aが、固定枠2の直進溝2cに嵌入している。これにより、ガイド枠7は、フロートキー6と同様に、固定枠2に対して回転規制された状態で、光軸Oに沿う方向に対しては、カム枠5と一体に移動するようになっている。
【0045】
二群枠11は、円筒状に形成されており、フロートキー6の内周部に嵌入された状態に配置されている。この二群枠11のほぼ中央部には二群レンズ22が保持されており、外周部には外方に突設されるガイド突起部11aと、このガイド突起部11a上において外方に突設されるカムフォロワ11bとを有している。
【0046】
ガイド突起部11aは、フロートキー6の二群用直進溝6cに嵌入し、カムフォロワ11bは、二群用直進溝6cを挿通して、その外方に設けられるカム枠5の二群用カム溝5dに摺動可能に嵌入する。これにより、二群枠11は、フロートキー6により回転規制された状態で、カム枠5の回転によって進退駆動されるようになっている。
【0047】
また、二群枠11は、カム枠5が後方移動端に位置する場合は、像側一部が像側のレンズの一部とともに、シャッタ枠30の内周側に嵌入するように構成されている。
【0048】
一群枠12は、円筒状に形成されており、カム枠5とガイド枠7との間に嵌入された状態で配置されている。この一群枠12の物体側には、一群レンズ21が保持されている。また、一群枠12の内周部には、カム枠5の外周部に形成された一群用カム溝5cに嵌合するように、内周方向において等間隔に内方に向けて複数(例えば三つ)のカムフォロワ(図示せず)が配設されている。
【0049】
また、上述したように、一群枠12の後端外周部に形成されたカムフォロワ12aは、ガイド枠7の内周部に形成された直進溝7bに嵌合し、一群枠12の内周部に形成されたカムフォロワは、カム枠5の外周部に形成された一群用カム溝5cに嵌合する。これにより、一群枠12は、ガイド枠7により回転規制された状態で、カム枠5の回転によって進退駆動されるようになっている。
【0050】
図5は、図1のシャッタ/三群ユニット8の分解斜視図である。図5において、左側が像側、右側が物体側である。シャッタ/三群ユニット8は、シャッタ機構を保持するシャッタ枠30と、シャッタ枠30の後方側で三群レンズ23を保持する三群枠10と、三群枠10の後方で減光フィルタ(NDフィルタ)40を保持するNDフィルタ枠41とを含んで構成されている。
【0051】
シャッタ枠30は、ほぼ中央部に開口30aを有するほぼ円形状の部材に、中央開口を開閉するシャッタ羽根や、このシャッタ羽根を回動駆動させるシャッタアクチュエータ等を含むシャッタ機構等(図示せず)を保持した形態で構成されている。
【0052】
三群枠10は、三群レンズ23を保持する円筒形状の保持部10a(図2〜4参照)を有し、この保持部10aが、シャッタ枠30の後方からシャッタ枠30内に嵌入した状態で、シャッタ枠30に固定されている。また、三群枠10は、前方外周部に外周方向において等間隔に外方に向けて複数(例えば三つ)のガイド突起部10bが設けられており、それらのガイド突起部10bには、さらに外方に向けてカムフォロワ10cがそれぞれ突設されている。
【0053】
また、図1〜4に示すように、三群枠10は、フロートキー6の内部に嵌入した状態で配置され、ガイド突起部10bがフロートキー6の三群用直進溝6dに嵌入し、これを貫通してカムフォロワ10cがカム枠5の三群用カム溝5eに嵌入されるようになっている。これにより、三群用直進枠30は、フロートキー6によって回転規制された状態で、カム枠5によって進退駆動されるようになっている。
【0054】
二群枠11とシャッタ/三群ユニット8との間には、図2〜4に示すように、コイルバネ35が配設されている。これにより、二群枠11およびシャッタ/三群ユニット8は、互いに離間する方向に付勢されている。コイルバネ35は、一端部がシャッタ/三群ユニット8のシャッタ枠30の内周部に嵌合するように挿入され、他端部は二群枠11のレンズホルダ部分の外周部に嵌合するように挿入されている。
【0055】
また、前述のように三群レンズ23の像側には、減光フィルタ(NDフィルタ)40が取り付けられている。この構成では、シャッタ枠30にNDフィルタ40を配置する場合比べ、シャッタとNDフィルタ40とが、狭い領域に密集しないので装置配置がし易いという点で有利である。また、後述するように、三群レンズ23の後方において、周辺の光線を制限する絞り部材をNDフィルタ枠41に設ける。その上で、NDフィルタ40をシャッタ枠30に近接する三群レンズ23の像側に配置することによって、他の部分に配置した場合と比べて、小型のNDフィルタ40を用いることができる。
【0056】
シャッタ枠30の外周近傍の像側には光軸に沿う方向にネジ穴30bが切られている。また、三群枠10およびNDフィルタ枠41のネジ穴30bに対応する位置には、ネジが切られていない貫通穴10dおよび貫通穴41bが切られている。図5に示すように、NDフィルタ枠41および三群枠10は、ビス42を貫通穴41bおよび貫通穴10dを通してシャッタ枠30のネジ穴30bに、ネジ止めされている。これによって、シャッタ/三群ユニット8は、三群枠10をシャッタ枠30とNDフィルタ枠41とによって挟み込むようにして固定される。このとき、三群枠10には、ネジ止めによるねじり応力が加わらないので、三群レンズ23に不所望な歪みや撓みが発生しない。
【0057】
また、上述のように固定した状態で、図2〜4に示すように、撮影光軸に直交する方向から見たとき、三群レンズ23における第4レンズに接合保持された第5レンズの像側のレンズ面の少なくとも一部が、NDフィルタ枠41内に入り込んでいる。これによって、三群枠10とNDフィルタ枠41との占める空間を狭くすることができる。さらに、図2に示すように、沈胴状態において、NDフィルタ枠41は、撮影光軸に直交する方向から見たとき、少なくとも一部が前記四群枠24内に入り込むように構成されている。これによって、沈胴状態におけるレンズ鏡筒1を、光軸方向についてさらに小型に構成することが可能になる。
【0058】
図6は、シャッタ/三群ユニット8の組み立て形態の変形例を示す斜視図である。この図では、シャッタ/三群ユニット8は、三群枠10とNDフィルタ枠41とを組み立てた状態で、三群枠10に設けられた貫通穴10fにビス42aを通して、シャッタ枠30のネジ穴30bにネジ止めして組み立てる。ここで、NDフィルタ枠41は、貫通穴10fに像側からビス42aを通す際に、干渉しないように切り欠きを有する形状となっている。
【0059】
図7は、図6の三群枠10およびNDフィルタ枠41の部分の分解斜視図である。図7において、左側が物体側、右側が像側である。NDフィルタ枠41には、ネジ穴41bが設けられ、三群枠10には、ネジが切られていない貫通穴10eが設けられている。三群枠10とNDフィルタ枠とは、ビス42を物体側から貫通穴10eを通してネジ穴41にネジ止めすることにより固定される。この場合、シャッタ/三群ユニット8は、三群枠10、シャッタ枠30およびNDフィルタ枠41を結合するにあたり、ネジ止め用のネジ穴は、シャッタ枠30とNDフィルタ枠にのみ設けられている。このとき、図5の組み立て形態と同様に、三群枠10には、ネジ止めによるねじり応力が加わらないので、三群レンズ23に不所望な歪みや撓みが発生しない。
【0060】
図5並びに図6および図7で示した組み立て形態では、それぞれ1箇所でネジ止めしているが、シャッタ枠30、三群枠10およびNDフィルタ枠41に、それぞれ複数の貫通穴またはネジ穴を設けて、複数のビスでネジ止めしても良い。
【0061】
図8は、シャッタ/三群ユニット8の組み立て形態の他の変形例を示す斜視図である。シャッタ枠30の外周近傍の像側には光軸に沿う方向にネジ穴30cが切られている。また、三群枠10のネジ穴30cに対応する位置には、ネジが切られていない貫通穴10gが切られている。図8に示すように、三群枠10は、ビス42cを、貫通穴10gを通してシャッタ枠30のネジ穴30cにネジ止めされている。これによって、三群枠10とシャッタ枠30とが固定される。一方、三群枠10には貫通穴10gとは別に、ネジ穴10hが設けられる。また、NDフィルタ枠41のネジ穴10hに対応する位置には、貫通穴41cが設けられる。そして、NDフィルタ枠41は、貫通穴41cを通して三群枠10のネジ穴10hに、1箇所でネジ止めされている。このようにすることによって、三群枠10には、シャッタ枠30との間でネジ止めによるねじり応力が加わらないので、三群レンズ23に不所望な歪みや撓みが生じることを抑えられる。一方、NDフィルタ枠41とは、1箇所でネジ止めすることにより、三群枠に加わるネジ止めによるねじり応力も1箇所のみに限定される。よって、三群レンズに不所望な歪みや撓みが生じることを最小限に抑えることが出来る。また、三群枠とシャッタ枠、NDフィルタ枠の固定方法は、以下の形態としても良い。すなわち、三群枠は貫通穴を通してNDフィルタ枠のネジ穴にネジ止めし、シャッタ枠は貫通穴を通して三群枠のネジ穴に1箇所でネジ止めするようにしても良い。
【0062】
図9は、像側から見たシャッタ/三群ユニット8をNDフィルタ40の配置と共に示す図である。NDフィルタ40は、NDフィルタ枠41に設けられた電磁的な駆動機構(図示せず)により、使用状態と退避状態との間で進退駆動可能に構成されている。具体的には、NDフィルタ40を保持するホルダ43を回転軸44の回りに回動させることにより、NDフィルタ40を移動させる。図9において、40および43は、それぞれ、使用状態のNDフィルタとホルダとを示し、40’および43’は、退避状態NDフィルタとホルダとを示す。なお、図9においてホルダ43は、退避状態において開口部41aを通る光線のケラレが発生しないように、一部分43aを削り取った形状となっている。
【0063】
図10A,10Bは、撮像装置1の各絞りを説明する図である。図10Aは、撮像装置内を通る光線と絞りとの関係を示す図であり、図10Bは、シャッタ/三群ユニット8を拡大して示す断面図である。なお、図10AではNDフィルタ40を省略している。図10A,Bに示すように、撮像装置1は、シャッタ枠30の三群レンズ10の前方に設けられた明るさ絞り(開口絞り)31と、NDフィルタ枠41に設けられた光線絞り部材であるフレア絞りA45およびフレア絞りB46を備える。明るさ絞り31は軸上の光線を制限する絞りである。また、フレア絞りA45は、周辺の光線を制限する絞りである。フレア絞りA45は、NDフィルタ枠41の開口部41aの像側端部のエッジ部分により構成されている。NDフィルタ40の手前でフレア絞りA45により光束を絞ることにより、NDフィルタ40を小型にすることができ、小さいスペースに配置することが可能になる。本来であれば、三群レンズ23前方の明るさ絞り31の位置の方が、三群レンズ23後方より光束が小さくなる。本願では、三群レンズ23後方の、フレア絞りA45は、図10Aに示すように、軸上光線を制限しない範囲で、周辺光線の一部を制限している。これによってフレア絞りA45は、結像画像の周辺部の画質性能を向上すると共に、三群レンズ23後方の光束を小さくする効果を持っている。このため、レンズ鏡筒1の全体の直径が大きくなることを防ぐことができる。
【0064】
さらに、NDフィルタ枠41の、物体側の面にはもう一つの光線絞り部材であるフレア絞りB46が配置されている。フレア絞りB46は、シート状の部材であり、NDフィルタ枠41の開口部41aの物体側端部よりも狭い円形の開口を有する。フレア絞りB46は、有効光線を制限せず、レンズ鏡筒1内、特に接合レンズ部や、三群枠10内で、発生した反射光が撮像素子に入射し、フレアやゴーストになることを抑制するための絞りである。
【0065】
また、フレア絞りB46は、三群レンズ23の第5レンズの像側の面と接触した状態で配置され、保持されている。このようにすることによって、フレア絞りB46と三群レンズ23との間の隙間を無くすことができ、それによって、より効率良くフレアやゴースト等の抑制を行うことができる。
【0066】
四群枠13は、四群レンズ24を保持する中央部に円形の開口を有する略円板状の枠部材である。四群枠13は、固定枠2の後端部に取り付けられたフォーカス駆動ユニット18を固定するための部材であるLD本体19を介して固定枠2に結合し、固定枠2の内部で光軸方向に移動可能に支持される。さらに、四群枠には、フォーカス駆動ユニット18のガイド軸18cに螺合した送りねじ18bが、回転が規制された状態で取り付けられている。また、LD本体19には、フォーカス駆動用のフォーカスモータ18aへの駆動信号線および撮像装置の制御回路への原点位置検出信号線を含むFPC基板117が接続されている。
【0067】
これにより、四群枠13は、フォーカス駆動ユニット18のフォーカスモータ18aの駆動力によってギヤ列(図示せず)を介して送りねじ18bが回動されると、このガイド軸18cに沿う方向、すなわち光軸Oに沿う方向に進退駆動され、撮影可能状態にあるときには適切なフォーカシング位置に、また沈胴動作時には所定の沈胴位置に位置決めされるようになっている。
【0068】
次に、撮影光学系のレンズ構成について説明する。
【0069】
図11は、図1に示す撮像ユニットのワイド端(a)、中間状態(b)、テレ端(c)でのレンズ断面図である。本実施の形態に係る撮像装置は、上述したように、撮影光学系として、物体側から順に、一群レンズ21、二群レンズ22、三群レンズ23および四群レンズ24を有している。ここで、一群レンズ21は正の屈折力を有し、二群レンズ22は負の屈折力を有し、三群レンズ23および四群レンズ24はそれぞれ正の屈折力を有している。なお、図11において、S、F、Cはそれぞれ、明るさ絞り、赤外カットコートを施したローパスフィルタ118、撮像素子の撮像面前面に位置する透明カバー部材を示している。
【0070】
各群のレンズは、図11に詳細に示すように、例えば、以下のように構成されている。正の屈折力を有する一群レンズ21は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ21aと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ21bの接合レンズとからなる。負の屈折力を有する二群レンズ22は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ22aと、両凹負レンズ22bと、両凸正レンズ22cとからなる。正の屈折力を有する三群レンズ23は、物体側から順に、両凸正レンズ(第1レンズ)23aと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ(第2レンズ)23bと物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ(第3レンズ)23cとの接合レンズと、両凹負レンズ(第4レンズ)23dと両凸正レンズ(第5レンズ)23eの接合レンズとからなる。さらに、正の屈折力を有する四群レンズ24は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ24aからなる。
【0071】
非球面は、二群レンズ22の両凹負レンズ22bの両面と、三群レンズ23の物体側の両凸正レンズ23aの両面と像側の両凸正レンズ23cの像側の面と、四群レンズ24の物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ24aの物体側の面の6面に用いている。
【0072】
そして、短焦点位置であるワイド端から長焦点位置であるテレ端への変倍に際して、一群レンズ21は、先ず像側に移動し、ワイド端から中間焦点距離状態との間で移動方向を反転させ物体側に移動する。一群レンズ21は、ワイド端よりもテレ端で物体側に位置する。二群レンズ22は、先ず像側に移動し、中間焦点距離状態からテレ端の間で移動方向を反転させ物体側に移動する。二群レンズ22は、ワイド端よりもテレ端で像側に位置する。三群レンズ23は、物体側にのみ移動する。四群レンズ24は、先ず物体側に移動し、中間焦点距離状態からテレ端の間で移動方向を反転させ像側に移動する。四群レンズ24は、ワイド端よりもテレ端で物体側に位置する。
【0073】
なお、これらのレンズ構成は一例であって、一群レンズ21が正の屈折力、二群レンズ22が負の屈折力、三群レンズ23が正の屈折力、四群レンズ24が正の屈折力をそれぞれ有すれば、種々のレンズ構成が可能である。したがって、例えば、二群レンズ22が、二群物体側レンズと二群像側レンズとの二枚のレンズで構成される場合もある。また、正の四群レンズ24に負レンズを貼合わせた色消しレンズ構成としてもよい。さらに正の三群レンズと正の四群レンズとの間に、単一の負レンズ(像側に向かって凹形状とし、物体側レンズ曲率半径に比べ、像面側のレンズ曲率半径が小さい)を介在し、この負レンズと四群レンズを独立に光軸方向に移動するように構成してもよい。
【0074】
上述した撮影光学系を保持するレンズ鏡筒1は、固定枠2がLD本体19を挟んでセンサユニット100のベース部材101に位置決めされてビス止め固定される。これにより、レンズ鏡筒1とセンサユニット100とが結合された撮像ユニットが形成される。
【0075】
次に、図12を参照してセンサユニット100の構成について説明する。
【0076】
センサユニット100は、像ぶれ補正装置を有するユニットであり、ベース部材101と、ベース部材101にY方向(第1の方向)に延在して支持されるYガイド軸109,111、Y送りねじ112およびX方向(第2の方向)に延在して支持されるX送りねじ113と、Yガイド軸111およびY送りねじ112によりY方向に移動可能に支持されるスライダ114と、スライダ114にX方向に延在して支持されるXガイド軸115,116と、X送りねじ113およびXガイド軸115,116によりX方向に摺動可能に支持されるセンサ保持枠(図示せず)と、センサ保持枠に取り付けられる光学ローパスフィルタ118(図2〜4参照)および撮像素子110と、ベース部材101に支持されるYモータ(第1モータ)120およびXモータ(第2モータ)130とを有している(図1参照)。
【0077】
なお、X方向およびY方向は、互いに直交し、かつ光軸Oに直交する方向であって、撮像素子110の横方向(X方向)および縦方向(Y方向)に沿った方向である。
【0078】
Yモータ120は、ギヤ列121を介してY送りねじ112を回転させてスライダ114のY方向の駆動を行う。また、Xモータ130は、ギヤ列131を介してX送りねじ113を回転させてセンサ保持枠のX方向の駆動を行う。Yモータ120およびXモータ130には、ベース回路基板に接続されるFPC(図示せず)が接続されて駆動される。これにより、センサ保持枠は、Yモータ120およびXモータ130により撮像素子110の受光面と平行な面に沿って駆動されて、レンズ鏡筒1を介して撮像素子110に形成される光学像の像ずれを補正するようになっている。
【0079】
なお、Yガイド軸111およびXガイド軸116には、それぞれ圧縮コイルバネ122,132が巻装されている。また、ベース部材101とスライダ114およびセンサ保持枠とのそれぞれの間には、引張コイルバネ123,133が懸架されている。これにより、スライダ114およびセンサ保持枠は、それぞれ原点位置に付勢されている。
【0080】
撮像素子110は、FPC141に接続されて、センサ保持枠に搭載されている。この撮像素子110の裏面側には、FPC141を挟むように、センサ保持枠に放熱板142が取り付けられている。このため、図6においてセンサ保持枠は見えていない。
【0081】
ここで、センサユニット100のベース部材101は、レンズ鏡筒1側から見た概略投影形状が、半円形と矩形とを半円の直線部分と矩形の一辺とが一致するように組み合わせた形状を有している。矩形部分の2つの隅部のうち第1隅部151には、Yモータ120およびギヤ列121を含む第1駆動部161が搭載され、他方の隅部である第2隅部152には、Xモータ130およびギヤ列131を含む第2駆動部162が搭載されている。
【0082】
また、半円部分の円弧は固定枠2の後端部分の外周に沿い、第2隅部152と光軸Oを介して反対側のベース部材101の外側、すなわち、固定枠2の外側には、ズーム駆動ユニット17が配置されている。ズーム駆動ユニット17のズームモータ17aは、ギヤ列17bを介して、固定枠2のギヤ収納部2d内のロングギヤ17cと接続されている。
【0083】
固定枠2の内部には、光学系と干渉しない位置にフォーカス駆動ユニット18が設けられ、フォーカスモータ18aはモータ軸を前方に向けた状態で、後端部がセンサユニット100内に突出した状態で、LD本体19に固定されている。また、ガイド軸18cの後端部は、LD本体19に軸周りに回動自在に保持されている。なお、フォーカスモータ18aおよびガイド軸18cはセンサユニット100内において、後述する放熱板142およびスライダ114の対応する位置に切り欠き部を設け、フォーカスモータ18aおよびガイド軸18cとは隙間を有している。すなわち、放熱板142およびスライダ114がXおよびY方向に移動したとき接触しないようになっている。また、フォーカスモータ18aおよびガイド軸18は、図2に示す状態において、光軸方向に右側から見たとき(図6に示す状態)、一部が露出されている。このような構造にすると、固定枠の外形が小型化となる。したがってストロボや三脚ねじが固定枠とより接近でき、撮像装置の小型化が可能となる。
【0084】
撮像素子110が接続されたFPC141は、ベース部材101の裏面側において、撮像素子110からX方向に延在している。このFPC141は、ベース回路基板に接続されて、撮像素子110により撮像された画像が、図示しない液晶パネル等の表示装置に表示されるとともに、記録媒体に記録されるようになっている。
【0085】
以下、以上のように構成された本実施の形態に係る撮像装置の作用について、説明する。
【0086】
先ず、レンズ鏡筒1が、沈胴状態から、カム枠5が右回りに回転されて撮影可能状態になったとき、すなわちカム枠5が前方移動端に位置して短焦点位置であるワイド端となったときは、図3に示すように、各枠部材が光軸Oに沿う方向であって前方に向けて移動して、レンズ鏡筒1は全体として伸長した状態となっている。このワイド端においては、二群枠11とシャッタ/三群ユニット8とは、互いに離間した位置に配置されている。
【0087】
このワイド端から、回転枠3を前方移動端でさらに右回りに回転させると、その回転に伴って、一群レンズ21は物体側に移動した後に像側に移動し、二群レンズ22は像側へ移動した後に物体側に移動し、三群レンズ23は物体側へ移動し、四群レンズ24は物体側へ移動した後像側へ移動して変倍動作が行われる。そして、レンズ鏡筒1が最大限に繰り出された長焦点位置であるテレ端においては、図4に示すように、二群レンズ22と三群レンズ23とが接近した状態となる。
【0088】
また、レンズ鏡筒1がワイド端にある状態から、回転枠3を左回りに回転させると、回転枠3の回転に伴って、各枠部材が光軸Oに沿う後方に移動する。これにより、レンズ鏡筒1は、図2に示すように、沈胴状態となる。そして、この沈胴状態では、二群枠11の一部が、シャッタ枠30の内に嵌入し、二群レンズ22の像側の一部がシャッタ枠30内の内周側に収容される。一方、フォーカス駆動部18のガイド軸18cは、固定枠2の内側且つシャッタ枠30の外側の空間に位置する。
【0089】
以上のように、本実施の形態によれば、三群レンズ23が2枚の負レンズを含む5枚のレンズより成り、三群枠10が、シャッタ枠30の内周側に三群レンズ23の物体側の少なくとも一部が配置されるように、シャッタ枠30に常時固定され、沈胴状態の場合には二群枠22の像側の一部が、シャッタ枠30内に嵌入し、シャッタ枠30の内周側に二群レンズ22の像側の少なくとも一部が収容されるので、三群レンズ23において良好な収差補正が可能であり、且つ、沈胴状態において小型にすることができる。
【0090】
また、三群レンズ23の第2レンズ23bと第3レンズ23c、および、第4レンズ23dと第5レンズ23eとは、それぞれ対向する面を接合した接合レンズを形成しているため、三群レンズ23全体をより薄くすることができ、レンズ鏡筒1全体をより小型にすることができる。
【0091】
さらに、三群レンズ23の第4レンズ23dの直径は第5レンズ23eの直径よりも大きく、第4レンズ23dは三群枠10により保持され、第5レンズ23eは第4レンズ23dとの接合により保持されるので、三群枠10が第5レンズ23eに対して像側に突出せず、したがって、三群枠10の像側のNDフィルタ40と干渉しないので、レンズ鏡筒1をより小型にすることができる。
【0092】
また、NDフィルタ40を有効光線束が狭い三群レンズ23の像側に設けたので、シャッタ枠にNDフィルタおよびその駆動機構を密集させることなく、装置の構成がし易い。さらに、他の部分に配置した場合と比べて、シャッタ枠に近接しているので小型のNDフィルタを用いることができ、レンズ鏡筒1の小型化に寄与する。また、NDフィルタ枠41に光線絞り部材を設けたので、NDフィルタの径をさらに小さくすることができる。
【0093】
さらに、レンズ鏡筒1は、固定枠2から固定枠2の内周に沿って摺動するガイド枠7と、ガイド枠7に沿って摺動する一群枠を有し、一群枠12、二群枠11および三群枠10は、全てカム枠5と直接係合し、カム枠5の回転により光軸方向移動するよう構成されているので、がたつきの無い滑らかな移動が可能である。
【0094】
また、テレ位置においては、二群レンズ22と三群レンズ23とが接近するので、レンズ鏡筒1の全長を短くでき、撮像装置のより薄型化が可能となる。しかも、二群枠11とシャッタ/三群ユニット8との間にコイルバネ35を介在させて、互いに離間する方向に付勢するようにしたので、変倍動作において、二群レンズ22が物体側に移動した後に像側へ移動する変曲点を有していても、二群レンズ22をガタなくスムーズに進退させることができる。
【0095】
なお、本発明は、前記実施の形態にのみ限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変形または変更が可能である。例えば、本発明に係るレンズ鏡筒は、CCDを有するセンサユニットに限らず、CMOSを有するセンサユニットに結合して撮像装置を構成することもできるし、銀塩フィルムを使用するカメラに適用することもできる。
【0096】
また、レンズ鏡筒の繰出段数(鏡筒の段数)は、ガイド枠と一群枠の2段に限られず、3段または4段の構成とすることも可能である。例えば、3段のレンズ鏡筒の場合、カム枠は物体側から2段目の鏡筒ともに光軸方向に繰出され、当該カム枠に一群枠、二群枠および三群枠のそれぞれに対応したカム溝を設け、カム枠の回転によりに、一群枠、二群枠、および三群枠がそれぞれ光軸方向に移動するようにすれば良い。あるいは、一つのカム枠に、一群枠、二群枠および三群枠を全て係合させるのではなく、光軸方向に三段目の鏡筒とともに伸長する他のカム枠を設け、レンズ枠の一部をこの他のカム枠の回転により光軸方向に移動するようにしても良い。
【0097】
三群レンズの第4レンズの直径は第5レンズの直径よりも大きく、第4レンズは三群枠により保持され、第5レンズは第4レンズとの前記接合により保持されるものとしたが、三群枠の厚さを所望の範囲内にできるのであれば、第4レンズおよび第5レンズはこのように接合および保持されるものでなくても良い。
【0098】
以上説明した本発明のレンズ鏡筒は、請求範囲に記載した以外に次に記載するのも本発明の目的を達成し得るレンズ鏡筒である。
(1)前記三群レンズは、物体側から像側へ順に、両凸正レンズである第1レンズと、物体側に凸面を向けた正レンズである第2レンズと、物体側に凸面を向けた負レンズである第3レンズと、両凹負レンズである第4レンズと、両凸正レンズである第5レンズとを含み、前記第2レンズおよび前記第3レンズと、前記第4レンズおよび前記第5レンズとは、それぞれ接合レンズを形成している、ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【符号の説明】
【0099】
1 レンズ鏡筒
2 固定枠
5 カム枠
6 フロートキー
7 ガイド枠
8 シャッタ/三群ユニット
10 三群枠
11 二群枠
12 一群枠
13 四群枠
17 ズーム駆動ユニット
18 フォーカス駆動ユニット
18a フォーカスモータ
19 LD本体
21 一群レンズ
22 二群レンズ
23 三群レンズ
24 四群レンズ
30 シャッタ枠
31 明るさ絞り(開口絞り)
35 コイルバネ
40 NDフィルタ
41 NDフィルタ枠
45,46 フレア絞り
100 センサユニット
101 ベース部材
110 撮像素子
114 スライダ
115 センサ保持枠
117 FPC
119 センサ保持枠
120 Yモータ(第1モータ)
130 Xモータ(第2モータ)
161 第1駆動部
162 第2駆動部
O 光軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側に向けて順に、少なくとも正の屈折力の一群レンズ、負の屈折力の二群レンズ、正の屈折力の三群レンズ、を有するレンズ鏡筒において、
固定枠と、該固定枠に支持されて、撮影光軸方向にそれぞれ規定される前方移動端と後方移動端との間を、回転しながら撮影光軸方向に移動可能なカム枠と、回転規制状態で前記カム枠とともに撮影光軸方向に移動するガイド枠と、回転規制状態で前記カム枠の回転により撮影光軸方向に移動する、シャッタを保持するシャッタ枠と、前記一群レンズを保持し、前記ガイド枠の内周に嵌合し、回転規制状態で前記カム枠の回転により撮影光軸方向に移動する一群枠と、前記二群レンズを保持し、回転規制状態で前記カム枠の回転により撮影光軸方向に移動し、前記カム枠が前記後方移動端に位置する場合は、像側の少なくとも一部が前記シャッタ枠の内周側に嵌入する二群枠と、2枚の負レンズを含む5枚のレンズより成る前記三群レンズを保持し、前記シャッタ枠の内周側に物体側の少なくとも一部が嵌入した状態で固定される三群枠と、を備えることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記三群レンズと像面との間に、正の屈折力の第4群レンズを設け、
前記三群レンズは、物体側から像側へ順に、正レンズである第1レンズと、正レンズである第2レンズと、負レンズである第3レンズと、負レンズである第4レンズと、正レンズである第5レンズと、を含み、前記第2レンズおよび前記第3レンズと、前記第4レンズおよび前記第5レンズとは、それぞれ接合レンズを形成している、ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記第4レンズの直径は前記第5レンズの直径よりも大きく、前記第4レンズは前記三群枠により保持され、前記第5レンズは前記第4レンズに接合により保持される、ことを特徴とする請求項2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記三群レンズの像側で、前記三群枠にNDフィルタを設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記三群枠の像側に配置されたNDフィルタ枠を備え、撮影光軸に直交する方向から見たとき、前記三群レンズにおける第4レンズに接合保持された第5レンズの像側のレンズ面の少なくとも一部が、前記NDフィルタ枠内に入り込んでいることを特徴とする請求項4に記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
少なくとも沈胴状態において、前記NDフィルタ枠は、撮影光軸に直交する方向から見たとき、少なくとも一部が前記四群枠内に入り込むことを特徴とする請求項5に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
前記NDフィルタ枠に、光線絞り部材が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のレンズ鏡筒。
【請求項8】
前記NDフィルタ枠に、複数の光線絞り部材が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のレンズ鏡筒。
【請求項9】
前記複数の光線絞り部材の一つは、前記三群レンズの前記第5レンズと接触して配置されることを特徴とする請求項8に記載のレンズ鏡筒。
【請求項10】
前記三群枠の物体側に前記シャッタ枠、像側に前記NDフィルタ枠を配置し、前記シャッタ枠および前記NDファイタ枠の少なくとも一方は、前記三群枠に貫通穴を設けて該貫通穴を用いて固定されることを特徴とする請求項5に記載のレンズ鏡筒。
【請求項11】
前記三群枠にネジ穴部を設け、前記貫通穴を用いて固定されなかった前記シャッタ枠および前記NDフィルタ枠のいずれか一方は、該ネジ穴部に螺合するひとつのビスを用いて前記三群枠に固定されることを特徴とする請求項10に記載のレンズ鏡筒。
【請求項12】
前記一群枠、前記二群枠および前記三群枠は、前記カム枠と直接係合していることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項13】
請求項1に記載のレンズ鏡筒と、前記一群レンズ、前記二群レンズ、前記三群レンズ、および前記四群レンズを経て形成される光学像を受けて画像データを生成する撮像素子と、前記撮像素子を該撮像素子の受光面に平行な面内で変位させて像ぶれ補正動作を行う像ぶれ補正装置とを備える撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−78806(P2012−78806A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191902(P2011−191902)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】