説明

レーザレーダ

【課題】障害物がレーザレーダに接近した位置に有る場合も、障害物までの距離を精度よく測定することができるレーザレーダを提供する。
【解決手段】レーザレーダ1は、レーザ光を出射するレーザ光源21と、目標領域においてレーザ光を走査させるミラーアクチュエータ24と、目標領域において反射されたレーザ光を受光する光検出器33と、レーザ光のパルス幅を制御するとともに、光検出器33から出力される信号に基づいて目標領域における障害物までの距離を測定するDSP106と、を備える。DSP106は、目標領域における障害物までの距離に適するパルス幅を決定し、決定したパルス幅のレーザ光により障害物との距離を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標領域にレーザ光を照射したときの反射光をもとに目標領域の状況を検出するレーザレーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、走行時の安全性を高めるために、レーザレーダが家庭用乗用車等に搭載されている。一般に、レーザレーダは、レーザ光を目標領域内でスキャンさせ、各スキャン位置における反射光の有無から、各スキャン位置における障害物の有無を検出する。さらに、各スキャン位置におけるレーザ光の照射タイミングから反射光の受光タイミングまでの所要時間をもとに、各スキャン位置における障害物までの距離が検出される。
【0003】
レーザレーダの構成として、たとえば、レーザ光を照射する投射光学系と目標領域からの反射光を受光する受光光学系を同一筺体内に配置する構成を用いることができる(特許文献1)。目標領域からの反射光は、受光光学系に配置された光検出器によって受光される。光検出器からは、受光光量に応じた大きさの信号が出力される。この信号が所定の閾値を超えると、当該スキャン位置に障害物が存在すると判定される。また、この信号が前記閾値を超えたタイミングが反射光の受光タイミングとされて、上記のように、当該スキャン位置における障害物までの距離が計測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−279017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成において、レーザ光は、遠距離の障害物を検出するために、高出力のパルス光が用いられる。しかし、この場合、高い発光強度のレーザ光の一部が、筐体内で反射または回折され、迷光となって光検出器に入射する惧れがある。この場合、迷光によるノイズ信号が光検出器から出力される。さらに、レーザ光の出射パルスにより発生する電磁波が、光検出器後段の増幅回路等のアナログ回路にノイズ信号を誘起させる惧れもある。
【0006】
かかる場合において、障害物が近距離にあると、レーザ光の照射タイミングと反射光の受光タイミングの時間差が短くなる。このため、反射光による光検出器の出力信号と、上記迷光や電磁波によるノイズ信号とが互いに接近し、これらのノイズ信号が反射光による出力信号に重なり易くなる。したがって、障害物が近距離にある場合には、迷光や電磁波によるノイズ信号と、反射光による光検出器の出力信号とが分離できず、正確な距離測定が困難である。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、障害物がレーザレーダに接近した位置に有る場合も、障害物までの距離を精度よく測定することができるレーザレーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主たる局面に係るレーザレーダは、レーザ光を出射するレーザ光源と、目標領域において前記レーザ光を走査させる光走査部と、前記目標領域において反射された前記レーザ光を受光する光検出器と、前記レーザ光のパルス幅を制御するとともに、前記光検出器から出力される信号に基づいて目標領域における障害物までの距離を測定する距離測
定部と、を備える。ここで、前記距離測定部は、目標領域における障害物までの距離に適するパルス幅を決定し、決定したパルス幅のレーザ光により障害物との距離を測定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、障害物がレーザレーダに接近した位置に有る場合も、障害物までの距離を精度よく測定することができるレーザレーダを提供することができる。
【0010】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態に係るレーザレーダの構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係るミラーアクチュエータの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図4】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図5】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図6】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図7】実施の形態に係るレーザレーダの構成を示す図である。
【図8】実施の形態に係るサーボ光学系の構成および作用を説明する図である。
【図9】実施の形態に係るレーザレーダの回路構成を示す図である。
【図10】実施の形態に係るレーザ光の走査制御を説明する図である。
【図11】実施の形態に係るスキャンLD駆動回路の回路構成を示す図である。
【図12】実施の形態に係るレーザ光の出射パルスを示す図である。
【図13】実施の形態に係るレーザ光の出射制御と障害物の距離測定を示すフローチャートを示す図である。
【図14】実施の形態に係るレーザ光の発光処理および受光処理を示すフローチャートおよび受光テーブルの構成を示す図である。
【図15】実施の形態に係るレーザ光の発光処理および受光処理を示すフローチャートおよび受光テーブルの構成を示す図である。
【図16】実施の形態に係る距離測定処理を示すフローチャートと距離測定テーブルを示す図である。
【図17】実施の形態に係る障害物が近距離にある場合における出射パルスと受光パルスを示す図である。
【図18】実施の形態に係る障害物が遠距離にある場合における出射パルスと受光パルスを示す図である。
【図19】変更例に係るレーザ光の出射制御と障害物の距離測定を示すフローチャートおよび受光テーブルの構成を示す図である。
【図20】変更例に係るレーザ光のパルス変更方法を説明する図である。
【図21】変更例に係るレーザ光の発光処理および受光処理を示すフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、実施の形態に係るレーザレーダ1の構成を模式的に示す図である。同図(a)は、レーザレーダ1の内部を上面から透視した図、同図(b)は、投射/受光窓50を装着する前のレーザレーダ1の正面図である。
【0014】
同図(a)を参照して、レーザレーダ1は、筐体10と、投射光学系20と、受光光学
系30と、回路ユニット40と、投射/受光窓50を備える。
【0015】
筐体10は、一辺の一部が斜めに傾いた立方体形状をしており、内部に、投射光学系20と、受光光学系30と、回路ユニット40とを収容する。同図(b)に示す如く、筐体10の正面には、開口11が形成され、開口11の周囲には、投射/受光窓50を嵌め込むための凹部12が形成されている。投射/受光窓50は、その周囲を凹部12に嵌め込んで接着固定することにより、筐体10の正面に装着される。
【0016】
投射光学系20は、レーザ光源21と、ビーム整形レンズ22と、孔板23と、ミラーアクチュエータ24とを備える。
【0017】
受光光学系30は、バンドパスフィルタ31と、受光レンズ32と、光検出器33とを備える。なお、孔板23と、ミラーアクチュエータ24は、受光光学系30の一部として共用される。
【0018】
レーザ光源21は、波長900nm程度のレーザ光を出射する。
【0019】
ビーム整形レンズ22は、出射レーザ光が、目標領域において所定の形状となるよう、出射レーザ光を収束させる。たとえば、目標領域(本実施の形態では、ビーム照射装置のビーム出射口から前方100m程度の位置に設定される)におけるビーム形状が、縦2m、横0.2m程度の楕円形状となるように、ビーム整形レンズ22が設計される。
【0020】
孔板23は、ミラー69側の面がミラー面23bとなっており、中央に孔23aが形成されている。図示の如く、孔板23は、レーザ光源21の光軸に対してX−Z平面の面内方向に45度傾くように配置されている。孔板23のミラー面23bは、目標領域からの反射光を光検出器33に向かって反射させる。孔23aは、ビーム整形レンズ22により収束された出射レーザ光を通過させる。
【0021】
ミラーアクチュエータ24は、ビーム整形レンズ22を透過した出射レーザ光と目標領域からの反射光が入射するミラー69と、このミラー69を2つの軸の周りに回動させるための機構とを備える。ミラー69が回動することにより、目標領域において出射レーザ光が走査される。さらに、目標領域からの反射光は、出射レーザ光が目標領域へと向かう光路を逆行して、ミラー69に入射する。ミラー69に入射した反射光は、ミラー69により反射され、出射レーザ光の光路を逆行し、孔板23のミラー面23bに入射する。かかる反射光の挙動は、ミラー69がどのような回動位置にあっても同じである。すなわち、ミラー69がどのような回動位置にあっても、目標領域からの反射光は、出射レーザ光の光路を逆行し、孔板23のミラー面23bに入射する。
【0022】
バンドパスフィルタ31は、誘電体多層膜で構成されており、出射レーザ光の波長帯域の光のみを透過させる。なお、バンドパスフィルタ31は、反射光が略平行光の状態で入射されるため、簡素な膜構成のものが用いられる。
【0023】
受光レンズ32は、凸レンズであり、目標領域から反射された光を集光する。
【0024】
光検出器33は、APD(アバランシェ・フォトダイオード)またはPINフォトダイオードからなり、受光光量に応じた大きさの電気信号を回路ユニット40に出力する。光検出器33の受光面は、複数の領域に分割されておらず、単一の受光面からなっている。また、光検出器33の受光面は、迷光の影響を抑えるため、縦横の幅が狭く構成されている(例えば1mm前後)。
【0025】
回路ユニット40は、CPUやメモリ等を備え、レーザ光源21およびミラーアクチュエータ24を制御する。また、回路ユニット40は、光検出器33からの信号に基づいて、目標領域における障害物の有無および障害物までの距離を測定する。具体的には、目標領域における所定の走査位置において、レーザ光源21からレーザ光が出射される。このときに光検出器33から信号が出力されると、この走査位置に障害物が存在することが検出される。また、この走査位置においてレーザ光が出射されたタイミングと、光検出器33から信号が出力されたタイミングの時間差から、この障害物までの距離が測定される。回路ユニット40の構成は、追って図9を参照して説明する。
【0026】
投射/受光窓50は、均一な厚みを有する透明な平板からなっている。投射/受光窓50は、透明性の高い材料からなり、また、入射面と出射面に反射防止膜(ARコート)が付されている。また、投射/受光窓50は、投射/受光窓50により反射された出射レーザ光が、孔板23から投射/受光窓50までの光路を逆行して光検出器33に迷光として入射することを防ぐため、出射レーザ光の光軸に対して所定角度だけX−Z平面およびY−Z平面の面内方向に傾けられている。なお、投射/受光窓50は、ミラーアクチュエータ24が回動した場合においても、投射/受光窓50により反射された出射レーザ光が、光路を逆行して光検出器33に入射しない角度に傾けられている。
【0027】
図2は、本実施の形態に係るミラーアクチュエータ24の分解斜視図を示す図である。
【0028】
ミラーアクチュエータ24は、ミラーユニット60と、マグネットユニット70と、サーボユニット80を備えている。
【0029】
図3(a)を参照して、ミラーユニット60は、ミラーユニットフレーム61と、パンコイル装着板62、63と、サスペンションワイヤー固定基板64a、64b、65と、サスペンションワイヤー66a〜66dと、支軸67と、LED68と、ミラー69とを備えている。
【0030】
ミラーユニットフレーム61は、正面視において長方形の輪郭の枠部材からなっている。ミラーユニットフレーム61には、左右の側面にそれぞれ2つのチルトコイル装着部61aが設けられている。各側面のチルトコイル装着部61aは、各側面の中心から上下方向に対称な位置に配置されている。これら4つのチルトコイル装着部61aには、それぞれ、チルトコイル61bが巻回され固着される。
【0031】
また、ミラーユニットフレーム61には、左右に並ぶ軸孔61cと、上下に並ぶ溝61eが形成されている。軸孔61cは、左右の側面の中心位置に配置され、溝61eは上下の側面の中心位置まで延びている。軸孔61cには、それぞれ、左右から軸受け61dが取り付けられる。
【0032】
ミラーユニットフレーム61の底面は、櫛歯状となっており、サスペンションワイヤー66a、66bを通すための2つのワイヤー孔61fと、サスペンションワイヤー66c、66dを通すための2つのワイヤー孔61gと、後述するサスペンションワイヤー76a〜76cを通すための3つのワイヤー孔61hと、サスペンションワイヤー76d〜76fを通すための3つのワイヤー孔61iが形成されている。なお、ワイヤー孔61h、61iは、サスペンションワイヤー76a〜76fを斜め後方向に傾けて固定するために、サスペンションワイヤー76a〜76fの径よりもやや大きく形成されている。これにより、サスペンションワイヤー76a〜76fを、ミラー69から離れる方向に曲線状に張ることができる。
【0033】
パンコイル装着板62には、2つのパンコイル装着部62aと、サスペンションワイヤ
ー66a、66bを通すための2つのワイヤー孔62cと、サスペンションワイヤー66c、66dを通すための2つのワイヤー孔62dと、支軸67を通すための軸孔62eが設けられている。ワイヤー孔62cは、ワイヤー孔61fと上下方向に直線状に並ぶように形成されており、ワイヤー孔62dは、ワイヤー孔61gと上下方向に直線状に並ぶように形成されている。2つのパンコイル装着部62aには、それぞれ、2つのパンコイル62bが巻回され固着される。また、パンコイル装着板63には、2つのパンコイル装着部63aと支軸67を通すための軸孔63cが設けられている。パンコイル装着部63aには、2つのパンコイル63bが巻回され固着される。
【0034】
サスペンションワイヤー固定基板64a、64bには、それぞれ、サスペンションワイヤー66a、66bを通すための2つの端子穴64cと、サスペンションワイヤー66c、66dを通すための2つの端子穴64dが形成されている(図3(b)参照)。端子穴64c、64dの位置において、後述のように、パンコイル62b、63bと、LED68に電流を供給するための導線が、サスペンションワイヤー66a〜66dに半田等で電気的に接続される。サスペンションワイヤー固定基板64a、64bは、2つの端子穴64c、64dとワイヤー孔62c、62dが整合するように、パンコイル装着板62に接着して固定される。
【0035】
サスペンションワイヤー固定基板65には、サスペンションワイヤー66a、66bを通すための2つの端子穴65aと、サスペンションワイヤー66c、66dを通すための2つの端子穴65bと、サスペンションワイヤー76a〜76cを通すための3つの端子穴65cと、サスペンションワイヤー76d〜76f(図2参照)を通すため3つの端子穴65dが形成されている。なお、3つの端子穴65c、65dは、ワイヤー孔61h、61iと同様に、サスペンションワイヤー76a〜76fを曲線状に張るために、サスペンションワイヤー76a〜76fの径よりもやや大きく形成されている。
【0036】
図3(c)を参照して、サスペンションワイヤー固定基板65には、2つの端子穴65aと3つの端子穴65cのうちの2つとを電気的に接続する回路パターンP1、P2が形成されている。また、サスペンションワイヤー固定基板65には、2つの端子穴65bと3つの端子穴65dのうちの2つとを電気的に接続する回路パターンP3、P4が形成されている。これらの端子穴と、各端子穴に通されたサスペンションワイヤー66a〜66dおよびサスペンションワイヤー76a、76b、76d、76eとを半田付けすることにより、サスペンションワイヤー66a〜66dと、サスペンションワイヤー76a、76b、76d、76eとが、上記回路パターンを介して、電気的に接続される。3つの端子穴65cの残り一つと、3つの端子穴65dの残り一つの位置において、後述のように、左右のチルトコイル61bと、サスペンションワイヤー76c、76fとが、半田等で電気的に接続される。
【0037】
図3(a)に戻り、サスペンションワイヤー固定基板65は、端子穴65aとワイヤー孔61f、端子穴65bとワイヤー孔61g、端子穴65cとワイヤー孔61h、および、端子穴65dとワイヤー孔61iが、それぞれ互いに整合するように、ミラーユニットフレーム61に接着して固定される。
【0038】
サスペンションワイヤー66a〜66dは、りん青銅、ベリリウム銅等からなり、導電性に優れ、ばね性を有する。サスペンションワイヤー66a〜66dは、断面が円形状となっている。サスペンションワイヤー66a〜66dは、互いに同じ形状および特性を持ち、パンコイル62b、63bとLED68への電流供給と、ミラー69のPan方向の回動時において、安定した負荷を与えるために利用される。
【0039】
支軸67には、LED基板固定アーム68bを挿入するための孔67aと、パンコイル
63bとLED68を電気的に接続する導線を通すための孔67b、67cと、ミラー69を嵌め込むための段部67dが形成されている。また、支軸67内は、パンコイル63bとLED68を電気的に接続する導線を通すため、空洞となっている。なお、支軸67は、後述するように、ミラー69をPan方向に回動させる回転軸として利用される。
【0040】
LED68は、拡散タイプ(広指向タイプ)であり、広い範囲に光を拡散させることができる。LED68からの拡散光は、後述するように、走査用のレーザ光の目標領域内での走査位置を検出するために利用される。LED68は、LED基板68aに取り付けられている。LED基板68aは、LED基板固定アーム68bに接着された後、支軸67の孔67aに取り付けられる。
【0041】
ミラーユニット60の組立時には、支軸67にミラー69が嵌め込まれた後、支軸67の両端の軸に軸受け67e、ポリスライダーワッシャ67fが取り付けられる。そして、この状態で、2つの軸受け67eが、ミラーユニットフレーム61に形成された溝61eに嵌め込まれる。さらに、上下からパンコイル装着板62の軸孔62eとパンコイル装着板63の軸孔63cが、支軸67に通され、支軸67に接着固定される。
【0042】
その後、サスペンションワイヤー66a、66bが、サスペンションワイヤー固定基板64aの2つの端子穴64cと、2つのワイヤー孔62cと、2つのワイヤー孔61fを介して、サスペンションワイヤー固定基板65の端子穴65aに通される。同様に、サスペンションワイヤー66c、66dが、サスペンションワイヤー固定基板64bの2つの端子穴64dと、2つのワイヤー孔62dと、2つのワイヤー孔61gを介して、サスペンションワイヤー固定基板65の端子穴65bに通される。サスペンションワイヤー66a〜66dは、それぞれ、パンコイル62b、63bと、LED68に電流を供給するための導線とともにサスペンションワイヤー固定基板64a、64b、65に半田付けられる。
【0043】
これにより、図2に示すように、ミラーユニット60の組立が完了する。この状態で、ミラー69は、支軸67の周りにPan方向に回動可能となる。なお、サスペンションワイヤー固定基板64a、64bは、ミラー69のPan方向の回動に伴って、Pan方向に回動する。組み立てられたミラーユニット60は、マグネットユニットフレーム71の開口に収容される。
【0044】
図2に戻り、マグネットユニット70は、マグネットユニットフレーム71と、8つのパンマグネット72と、8つのチルトマグネット73と、2つの支軸74と、サスペンションワイヤー固定基板75と、サスペンションワイヤー76a〜76fと、保護カバー77とを備えている。
【0045】
マグネットユニットフレーム71は、正面視において長方形の輪郭の枠部材からなっている。マグネットユニットフレーム71の左右の側面の中央には、支軸74を通すための軸孔71aと、支軸74を固定するためのネジ穴71bが形成されている。マグネットユニットフレーム71の上面には、サスペンションワイヤー固定基板75を固定するための2つのネジ穴71cが形成されている。また、マグネットユニットフレーム71の上下の内側面の前端には、マグネットユニットフレーム71の内側に突出した4つの鍔部が形成され、これら4つの鍔部には、保護カバー77を固定するためのネジ穴71dが形成されている。さらに、マグネットユニットフレーム71の上下の内側面の後端には、マグネットユニットフレーム71の内側に突出した4つの鍔部が形成され、これら4つの鍔部には、サーボユニットフレーム81を固定するためのネジ穴71eが形成されている。8つのパンマグネット72は、マグネットユニットフレーム71の上下の内側面に取り付けられている。さらに、8つのチルトマグネット73は、マグネットユニットフレーム71の左
右の内側面に取り付けられている。
【0046】
2つの支軸74には、それぞれ、2つのネジ孔74bが形成されている。2つの支軸74は、ポリスライダーワッシャ74aが取り付けられた状態で、マグネットユニットフレーム71に形成された軸孔71aを介して、ミラーユニットフレーム61の軸受け61dに嵌め込まれる。この状態で、2つのネジ孔74bを介して2つのネジ74cがマグネットユニットフレーム71の2つのネジ穴71bに螺着される。これにより、2つの支軸74がマグネットユニットフレーム71に固着される。なお、支軸74は、後述するように、ミラー69をTilt方向に回動させる回転軸として利用される。
【0047】
サスペンションワイヤー固定基板75には、2つのネジ孔75aと、サスペンションワイヤー76a〜76fを通すための3つの端子穴75c、75dが形成されている。なお、3つの端子穴75c、75dは、サスペンションワイヤー76a〜76fを曲線状に張るために、サスペンションワイヤー76a〜76fの径よりもやや大きく形成されている。サスペンションワイヤー固定基板75には、端子穴75c、75dに信号を供給するための回路パターンが形成されている。
【0048】
サスペンションワイヤー76a〜76fは、りん青銅、ベリリウム銅等からなり、導電性に優れ、ばね性を有する。サスペンションワイヤー76a〜76fは、断面が円形状となっている。サスペンションワイヤー76a〜76fは、互いに同じ形状および特性を持ち、チルトコイル61bとパンコイル62b、63bとLED68への電流供給と、ミラー69のTilt方向の回動時において、安定した負荷を与えるために利用される。
【0049】
マグネットユニット70の組立時には、サスペンションワイヤー固定基板75が、マグネットユニットフレーム71の上面に取り付けられる。この状態で、2つのネジ孔75aを介して、2つのネジ75bを2つのネジ穴71cに螺着する。これにより、サスペンションワイヤー固定基板75がマグネットユニットフレーム71に固着される。
【0050】
その後、サスペンションワイヤー76a〜76cが、サスペンションワイヤー固定基板75の3つの端子穴75cと、ミラーユニットフレーム61の3つのワイヤー孔61hを介して、サスペンションワイヤー固定基板65の端子穴65c(図3(a)参照)に通される。同様に、サスペンションワイヤー76d〜76fが、サスペンションワイヤー固定基板75の3つの端子穴75dと、ミラーユニットフレーム61の3つのワイヤー孔61iを介して、サスペンションワイヤー固定基板65の3つの端子穴65d(図3(a)参照)に通される。
【0051】
しかる後、サスペンションワイヤー76a〜76fは、それぞれ、チルトコイル61bと、パンコイル62b、63bと、LED68に電流を供給するための導線とともに、サスペンションワイヤー固定基板65、75に半田付けられる。なお、サスペンションワイヤー76a〜76fは、ミラー69から離れる方向に曲線状に張られる。すなわち、サスペンションワイヤー76a〜76fの上端部は、端子穴75c、75dから離れるに従って後ろ方向に傾くように端子穴75c、75dに固定される。また、サスペンションワイヤー76a〜76fの下端部は、ワイヤー孔61h、61iおよび端子穴65b、65cから離れるに従って後ろ方向に傾くようにワイヤー孔61h、61iおよび端子穴65b、65c固定される。これにより、図4に示す構成体が完成する。この状態で、ミラーユニットフレーム61は、支軸74の周りにTilt方向に回動可能となる。なお、サスペンションワイヤー固定基板65は、ミラーユニットフレーム61のTilt方向の回動に伴って、Tilt方向に回動する。
【0052】
図4は、ミラーユニット60がマグネットユニット70に取り付けられた状態の構成体
の斜視図である。図4(a)は、この構成体を図2の前方向から見た斜視図であり、図4(b)は、この構成体を図2の後方向から見た斜視図である。
【0053】
図4(b)を参照して、サスペンションワイヤー66aの両端は、それぞれ、2つの端子穴64cの内側の1つと、2つの端子穴65aの内側の1つに接続されている。同様に、サスペンションワイヤー66cの両端は、2つの端子穴64dの内側の1つと、2つの端子穴65bの内側の1つに接続されている。
【0054】
サスペンションワイヤー66bの両端は、2つの端子穴64cの外側の1つと、2つの端子穴65aの外側の1つに接続されている。同様に、サスペンションワイヤー66dの両端は、2つの端子穴64dの外側の1つと、2つの端子穴65bの外側の1つに接続されている。
【0055】
サスペンションワイヤー76aの両端は、3つの端子穴75cの内側の1つと、3つの端子穴65cの内側の1つに接続されている。同様に、サスペンションワイヤー76dの両端は、3つの端子穴75dの内側の1つと、3つの端子穴65dの内側の1つに接続されている。
【0056】
サスペンションワイヤー76bの両端は、3つの端子穴75cの中央の1つと、3つの端子穴65cの中央の1つに接続されている。同様に、サスペンションワイヤー76eの両端は、3つの端子穴75dの中央の1つと、3つの端子穴65dの中央の1つに接続されている。
【0057】
サスペンションワイヤー76cの両端は、3つの端子穴75cの外側の1つと、3つの端子穴65cの外側の1つと接続されている。同様に、サスペンションワイヤー76fの両端は、3つの端子穴75dの外側の1つと、3つの端子穴65dの外側の1つに接続されている。
【0058】
なお、図4(a)において、75eは、端子である。端子75eを介して、ミラー69をPan方向とチルト方向に駆動するための駆動信号と、LED68を点灯するための駆動信号が供給される。各端子75eは、それぞれ、端子穴75c、75dの何れかと、サスペンションワイヤー固定基板75上の回路パターンを介して接続されている。
【0059】
図2に戻り、サーボユニット80は、サーボユニットフレーム81と、ピンホール取り付け金具82と、ピンホール板83と、PSD基板84と、PSD85とを備えている。
【0060】
サーボユニットフレーム81は、正面視において長方形の輪郭の枠部材からなっている。サーボユニットフレーム81の左右の側面には、ピンホール取り付け金具82を固定するための2つのネジ孔81aが形成されている。また、サーボユニットフレーム81の上下の内側面の前端には、サーボユニットフレーム81の内側に突出した4つの鍔部が形成され、これら4つの鍔部には、それぞれ、ネジ孔81cが形成されている。さらに、サーボユニットフレーム81の左右の内側面の後端には、サーボユニットフレーム81の内側に突出した4つの鍔部が形成され、これら4つの鍔部には、それぞれ、ネジ穴81eが形成されている。
【0061】
ピンホール取り付け金具82の左右の側面には、2つのネジ穴82aが形成されている。また、ピンホール取り付け金具82の背面には、ピンホール板83を固定するための2つのネジ穴82bと、LED68から出射されたサーボ光をピンホール83aを介してPSD85に導くための開口82cが形成されている。
【0062】
ピンホール板83には、ピンホール83aと、2つのネジ孔83bが形成されている。ピンホール83aは、LED68から出射された拡散光のうち、一部の光を通過させる。
【0063】
PSD基板84には、PSD基板84をサーボユニットフレーム81に固定するための4つのネジ孔84aが形成されている。PSD基板84には、PSD85が装着されている。PSD85は、サーボ光の受光位置に応じた信号を出力する。
【0064】
サーボユニット80の組立時には、ピンホール板83が、ピンホール取り付け金具82の背面に当てられる。この状態で、2つのネジ孔83bを介して2つのネジ83cを2つのネジ穴82bに螺着する。これにより、ピンホール板83がピンホール取り付け金具82に固着される。
【0065】
次に、ピンホール取り付け金具82が、サーボユニットフレーム81内に収容される。この状態で、4つのネジ孔81aと4つのネジ穴82aとが合わされ、左右から4つのネジ81bをそれぞれネジ孔81aとネジ穴82aに螺着する。これにより、ピンホール取り付け金具82が、サーボユニットフレーム81に固着される。
【0066】
さらに、PSD基板84が、サーボユニットフレーム81の背部に当てられる。この状態で、4つのネジ孔84aを介して4つのネジ84bを4つのネジ穴81eに螺着する。これにより、PSD基板84が、サーボユニットフレーム81に固着される。こうして、図5に示すサーボユニット80が完成する。図5(a)は、組み立てられたサーボユニット80を前方から見た斜視図、図5(b)は、組み立てられたサーボユニット80を後方から見た斜視図である。
【0067】
こうしてサーボユニット80が組み立てられた後、サーボユニット80が、図4に示す構成体の背部に当てられる。この状態で、サーボユニットフレーム81の4つのネジ孔81cを介して、後方から4つのネジ81dをマグネットユニットフレーム71の4つのネジ穴71eに螺着する。これにより、サーボユニット80が図4に示す構成体に固着される。こうして、図6に示すように、ミラーアクチュエータ24の組立が完了する。図6(a)は、ミラーアクチュエータ24を前方から見た斜視図、図6(b)は、ミラーアクチュエータ24を後方から見た斜視図である。
【0068】
図6に示すアセンブル状態において、8つのパンマグネット72(図2参照)は、パンコイル62b、63b(図3(a)参照)に電流を流すことにより、パンコイル装着板62、63に支軸67を軸とする回動力が生じるよう、配置および極性が調整されている。したがって、パンコイル62b、63bに電流を流すと、パンコイル62b、63bに生じる電磁駆動力によってパンコイル装着板62、63とともに支軸67が回動し、これにより、ミラー69が、支軸67を軸として回動する。支軸67を軸とするミラー69の回動方向をPan方向という。なお、パンコイル62b、63bへの電流を流すことを中止すると、ミラー69は、サスペンションワイヤー66a〜66dのばね性により、回動前の位置に戻される。
【0069】
図6に示すアセンブル状態において、8つのチルトマグネット73(図2参照)は、チルトコイル61b(図3(a)参照)に電流を流すことにより、ミラーユニットフレーム61に支軸74を軸とする回動力が生じるよう、配置および極性が調整されている。したがって、チルトコイル61bに電流を流すと、チルトコイル61bに生じる電磁駆動力によって、ミラーユニットフレーム61が、支軸74を軸として回動し、ミラーユニットフレーム61と一体的にミラー69が回動する。支軸74を軸とするミラー69の回動方向をTilt方向という。なお、チルトコイル61bへの電流を流すことを中止すると、ミラーユニットフレーム61は、サスペンションワイヤー76a〜76fのばね性により、
回動前の位置に戻される。
【0070】
なお、上記のようにミラーアクチュエータ24を構成することにより、大きなミラー69を高レスポンスで駆動することができる。このため、目標領域からの反射光を、大きなミラー69で受光できるようになる。
【0071】
図7は、ミラーアクチュエータ24が装着された状態の光学系の構成を示す図である。
【0072】
図7において、500は、光学系を支持するベースである。
【0073】
ベース500の上面には、レーザ光源21と、ビーム整形レンズ22と、孔板23と、ミラーアクチュエータ24と、バンドパスフィルタ31と、受光レンズ32と、光検出器33が配置されている。レーザ光源21は、ベース500の上面に配されたレーザ光源用の回路基板21aに装着されている。また、光検出器33は、ベース500の上面に配された光検出器33用の回路基板33aに装着されている。
【0074】
レーザ光源21から出射されたレーザ光は、ビーム整形レンズ22によって水平方向および鉛直方向の収束作用を受け、目標領域において所定の形状に整形される。ビーム整形レンズ22を透過した出射レーザ光は、孔板23に形成された孔23aを通過した後、ミラーアクチュエータ24のミラー69に入射し、ミラー69によって目標領域に向かって反射される。ミラーアクチュエータ24によってミラー69が駆動されることにより、出射レーザ光が目標領域内においてスキャンされる。
【0075】
ミラーアクチュエータ24は、中立位置にあるときに、ビーム整形レンズ22からの走査レーザ光がミラー69のミラー面に対し水平方向において45度の入射角で入射するよう配置されている。なお、「中立位置」とは、ミラー面が鉛直方向に対し平行で、且つ、走査レーザ光がミラー面に対し水平方向において45度の入射角で入射するときのミラー69の位置をいう。
【0076】
ベース500の上面には、回路基板21a、33aの他、ミラーアクチュエータ24の背後に、ミラーアクチュエータ24のチルトコイル61b、パンコイル62b、63bに駆動信号を供給するための回路基板(図示せず)が配置されている。これら回路基板は、図1(a)の回路ユニット40に含まれる。
【0077】
図8(a)は、ミラー69の位置を検出するためのサーボ光学系を説明する図である。同図は、図7の光学系をベース500の上面側から見たときの模式図である。同図には、ミラーアクチュエータ24の一部断面図とレーザ光源21のみが示されている。
【0078】
上述の如く、ミラーアクチュエータ24には、LED68と、ピンホール取り付け金具82と、ピンホール板83と、PSD基板84と、PSD85が配されている。
【0079】
LED68、PSD85およびピンホール83aは、ミラーアクチュエータ24のミラー69が上記中立位置にあるときに、LED68がピンホール板83のピンホール83aとPSD85の中心に向き合うように配置されている。すなわち、ミラー69が中立位置にあるとき、LED68から出射されピンホール83aを通るサーボ光が、PSD85の中心に垂直に入射するよう、ピンホール板83およびPSD85が配置されている。また、ピンホール板83は、LED68とPSD85の中間位置よりもPSD85に近い位置に配置されている。
【0080】
ここで、LED68から拡散するように発せられたサーボ光は、その一部が、ピンホー
ル83aを通過し、PSD85によって受光される。ピンホール83a以外の領域に入射されたサーボ光は、ピンホール板83によって遮光される。PSD85は、サーボ光の受光位置に応じた電流信号を出力する。
【0081】
たとえば、図8(b)のようにミラー69が破線で示す中立位置から矢印方向に回動すると、LED68の拡散光(サーボ光)のうちピンホール83aを通る光の光路は、LP1からLP2へと変位する。その結果、PSD85上におけるサーボ光の照射位置が変化し、PSD85から出力される位置検出信号が変化する。この場合、LED68からのサーボ光の発光位置と、PSD85の受光面上におけるサーボ光の入射位置は一対一に対応する。したがって、PSD85にて検出されるサーボ光の入射位置によって、ミラー69の位置を検出することができ、結果、目標領域における走査レーザ光の走査位置を検出することができる。
【0082】
図9は、レーザレーダ1の回路構成を示す図である。なお、同図には、便宜上、投射光学系20および受光光学系30の主要な構成が併せて示されている。図示の如く、レーザレーダ1は、PD信号処理回路101と、スキャンLD駆動回路102と、アクチュエータ駆動回路103と、サーボLED駆動回路104と、PSD信号処理回路105と、DSP106を備えている。これらの回路は、図1の回路ユニット40に含まれている。
【0083】
PD信号処理回路101は、光検出器33の受光光量に応じた電圧信号を増幅およびデジタル化してDSP106に供給する。
【0084】
スキャンLD駆動回路102は、DSP106からの信号をもとに、レーザ光源21に駆動信号を供給する。具体的には、目標領域にレーザ光を照射するタイミングで、パルス状の駆動信号(電流信号)がレーザ光源21に供給される。
【0085】
PSD信号処理回路105は、PSD85からの出力信号をもとに求めた位置検出信号をDSP106に出力する。サーボLED駆動回路104は、DSP106からの信号をもとに、LED68に駆動信号を供給する。アクチュエータ駆動回路103は、DSP106からの信号をもとに、ミラーアクチュエータ24を駆動する。具体的には、目標領域においてレーザ光を所定の軌道に沿って走査させるための駆動信号がミラーアクチュエータ24に供給される。
【0086】
DSP106は、PSD信号処理回路105から入力された位置検出信号をもとに、目標領域におけるレーザ光の走査位置を検出し、ミラーアクチュエータ24の駆動制御や、レーザ光源21の駆動制御等を実行する。また、DSP106は、PD信号処理回路101から入力される電圧信号に基づいて、目標領域内のレーザ光照射位置に障害物が存在するかを判定し、同時に、レーザ光源21から出力されるレーザ光の照射タイミングと、光検出器33にて受光される目標領域からの反射光の受光タイミングの間の時間差をもとに、障害物までの距離を測定する。
【0087】
図10は、目標領域におけるレーザ光の走査制御を示す図である。
【0088】
本実施の形態では、水平方向の3つの走査ラインL1〜L3が、目標領域に設定される。DSP106は、これら走査ラインL1〜L3をレーザ光が左から右に走査するよう、ミラーアクチュエータ24を制御する。レーザ光は、各走査ラインL1〜L3を一定の速度で走査する。また、レーザ光は、各走査ラインL1〜L3の開始位置Psよりも前方の位置から終了位置Peよりも後方の位置まで、各走査ラインL1〜L3を走査する。かかる制御は、DSP106が、PSD85上に設定された目標軌道をサーボ光が追従するように、ミラーアクチュエータ24を制御することにより行われる。すなわち、図10に示
す3つの走査ラインL1〜L3に沿ってレーザ光が目標領域を走査すると、サーボ光も、3つの軌道に沿ってPSD85上を走査する。DSP106は、かかる軌道を目標軌道としてテーブル等により保持し、この目標軌道をサーボ光が追従するように、ミラーアクチュエータ24を制御する。
【0089】
目標領域におけるレーザ光の走査は、最上段の走査ラインL1から始められ、次に走査ラインL2、最後に走査ラインL3へと移行する。走査ラインL1から走査ラインL3まで走査が終わると、走査ラインL1に戻って、目標領域に対する次の走査が行われる。
【0090】
DSP106は、走査位置が各走査ラインL1〜L3の開始位置Psに到達したタイミングから走査位置が終了位置Peに到達するまで、一定の発光間隔tおよびt’毎に、発光期間と発光強度が異なる2段階の出力でレーザ光源21を交互にパルス状に発光させる。なお、図10中の黒丸は、発光期間が長く、発光強度の大きいパルスP(以下、高パルスPと示す。)の発光タイミングを模式的に示しており、白丸は、発光期間が短く、発光強度がPよりも小さいパルスP’(以下、低パルスP’と示す。)の発光タイミングを模式的に示している。
【0091】
本実施の形態では、各発光タイミングにおけるレーザ光源21の出力が、DSP106により制御される。スキャンLD駆動回路102は、レーザ光源21の出力を2段階に切り替えるための構成を備えている。
【0092】
図11は、スキャンLD駆動回路102の構成を示す図である。スキャンLD駆動回路102は、ドライバD1、D2と、FET1、FET2と、コンデンサC1、C2と、抵抗R1、R2を備えている。コンデンサC1の容量はコンデンサC2の容量よりも大きく設定されている(C1>C2)。抵抗R1、R2の抵抗値は、同じである。抵抗R1、R2には、それぞれ、電位V1、V2が印加される。電位V1の大きさは、電位V2より大きく設定されている。このため、コンデンサC1に蓄積された電荷は、コンデンサC2に蓄積された電荷よりも大きくなる。
【0093】
DSP106からドライバD1に駆動信号が印加されると、FET1がオンとなり、コンデンサC1に蓄積された電荷がパルス状にレーザ光源21に流れる。また、DSP106からドライバD2に駆動信号が印加されると、FET2がオンとなり、コンデンサC2に蓄積された電荷がパルス状にレーザ光源21に流れる。上記のように、コンデンサC1、C2に蓄積された電荷は互いに相違している。このため、ドライバD1、D2の何れに駆動信号が印加されるかによって、レーザ光源21に流れるパルス状の電流のピーク値が相違し、よって、レーザ光源21の出力が相違する。また、コンデンサC1、C2の容量が互いに異なるため、ドライバD1に駆動信号が印加された場合とドライバD1に駆動信号が印加された場合とでは、レーザ光源21に流れる電流の流入時間が相違し、よって、レーザ光源21の発光パルス幅が相違する。
【0094】
DSP106は、各発光タイミングにおいて、ドライバD1、D2の何れに駆動信号を印加するかによって、レーザ光源21の出力を切り替える。
【0095】
本実施の形態では、ドライバD1によって、発光期間が長く、発光強度の大きい高パルスPがレーザ光源21から出力され、ドライバD2によって、発光期間が短い、発光強度の小さい低パルスP’がレーザ光源21から出力される。
【0096】
図12は、レーザ光の出射パルス列を模式的に示す図である。この図は、走査ラインL1における一部のパルス列のみを示している。
【0097】
走査ラインL1における高パルスPの発光タイミングPiにおけるパルス幅Δp(たとえば、約30ns)は、低パルスP’の発光タイミングP’iにおけるパルス幅Δp’(たとえば、約15ns)の略2倍である。また、高パルスPの発光タイミングPiにおけるパルスの高さは、低パルスP’の発光タイミングP’iにおけるパルスよりも高くなっている。すなわち、高パルスPによるレーザ光は、発光強度が高く、遠距離にある障害物の検出に適しており、低パルスP’によるレーザ光は、パルス幅が狭いため、後述のように近距離にある障害物の検出に適している。
【0098】
高パルスPの発光タイミングPiから低パルスP’の発光タイミングP’iまでの発光間隔は、tであり、低パルスP’の発光タイミングP’iから高パルスPの発光タイミングPi+1までの発光間隔は、t’である。発光間隔tの間に、高パルスPのレーザ光による障害物からの反射光が光検出器33によって受光され、発光間隔t’の間に、低パルスP’のレーザ光による障害物からの反射光が光検出器33によって受光される。かかる2つの高パルスPiと低パルスP’iの組み合わせが、発光タイミングQiのパルスとして、発光間隔Tごとに連続して発光される。
【0099】
このように、本実施の形態では、図11に示した回路構成により、パルス幅が広く、パルスの高さが高い高パルスPと、パルス幅が狭く、パルスの高さが低い低パルスP’の2種類のパルスが交互に発光される。また、本実施の形態では、パルス幅の広い高パルスPが遠距離における障害物の検出用として、パルス幅の狭い低パルスP’が近距離における障害物の検出用として用いられる。
【0100】
図13は、レーザ光の出射制御と障害物の距離測定を示すフローチャートである。このフローチャートは、目標領域の1回の走査に対する処理を示している。
【0101】
目標領域の走査が開始すると、DSP106は、まず、変数iに1をセットする(S11)。次に、DSP106は、レーザ光源21の発光タイミングにおいて(S12:YES)、高パルスPによるレーザ光の発光処理および受光処理(S13)と、低パルスP’によるレーザ光の発光処理および受光処理(S14)を行う。そして、DSP106は、目標領域における走査が終了したかを判断する(S15)。走査位置が終了位置でない場合(S15:NO)、変数iに1が加算され(S16)、S12〜S14の処理が、走査終了まで繰り返される。
【0102】
こうして、最後の走査ラインL3の全ての発光タイミングに対する処理が終了すると(S15:YES)、DSP106は、障害物の距離に応じて、高パルスPの測定結果と、低パルスP’の測定結果より最適な結果を選択し、距離の測定を行う(S17)。DSP106による距離の測定が完了した後、当該目標領域に対する処理を終了する。ただし、距離測定の処理については、専用の信号処理回路を用意し、受光直後の時点で、フローチャートに示す処理とは独立して演算処理を行うことも可能である。なお、ステップS13、S14、S17の処理の詳細については、追って、図14ないし図16を参照して説明する。
【0103】
図14(a)は、高パルスPのレーザ光の発光処理および受光処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、図13におけるステップS13の処理を示している。
【0104】
DSP106は、高パルスPの発光タイミングPiにおいて(S101:YES)、図12のドライバD1に駆動信号を印加し、レーザ光源21から高パルスPのレーザ光を出射させる(S102)。さらに、DSP106は、光検出器33の受光光量に応じた受光電圧VRiを取得する(S103)。
【0105】
受光電圧VRiが閾値電圧VS0を超えない場合(S104:NO)、ステップS103、S104の処理が、図12に示す発光タイミングPiから一定の発光間隔tの間、すなわち、受光タイミングが終了するまで繰り返される(S105:NO)。なお、閾値電圧VS0は、目標領域からの反射光が存在するか(障害物があるか)を検出するための閾値である。
【0106】
受光電圧VRiが閾値電圧VS0を超えることなく(S104:NO)、受光タイミングが終了すると(S105:YES)、DSP106は、当該スキャンタイミングに対応する位置に障害物がないと判断し、受光時間差Δtiが無効であることを示す無効フラグNi(Ni=1)を、当該発光タイミングPiに対応づけて、内蔵メモリ内の受光テーブルTP1に格納する(S106)。このとき、DSP106は、受光テーブルTP1において、発光タイミングPiに対応する受光時間差の欄に、NULLを格納する。これにより、高パルスPの発光タイミングPiに対する処理が終了する。
【0107】
受光電圧VRiが閾値電圧VS0を超えると(S104:YES)、DSP106は、当該スキャンタイミングに対応する位置に障害物があると判断する。そして、DSP106は、受光電圧VRiが閾値電圧VS0を超えたタイミングを受光タイミングとして、発光タイミングPiと受光タイミングの受光時間差Δtiを測定し、測定結果を、内蔵メモリ内の受光テーブルTP1に、発光タイミングPiに対応づけて格納する(S107)。時間差Δtiと、光の速度(0.3[m/ns])とにより、障害物までの距離を求めることができる。
【0108】
こうして、受光時間差Δtiを測定した後、DSP106は、受光時間差Δtiが閾値TS0以上であるかを判断する(S108)。閾値TS0は、レーザ光が出射されてから、遠距離にある障害物により反射されて光検出器33に受光されるまでの時間である。この値は、高パルスPのパルス幅(たとえば、約30ns)よりも十分に大きい値(たとえば、約70ns)に設定される。これにより、DSP106は、障害物が遠距離(たとえば、約10m以上)にあるかを判断する。
【0109】
受光時間差Δtiが閾値TS0以上であると(S108:YES)、障害物との距離は十分に遠距離にあるため、高パルスPでレーザ光が出射されても、迷光や電磁波によるノイズ信号が、反射光による出力信号に重ならない。すなわち、受光時間差Δtiは、精度の高いデータである。
【0110】
高パルスPでレーザ光が出射されると、その一部が筐体内で反射または回折され、迷光となって光検出器33に入射する。これにより、光検出器33からノイズ信号が出力される。また、高パルスPにより発生する電磁波が、光検出器33後段のPD信号処理回路101内のアナログ回路にノイズ信号を誘起させる。受光時間差Δtiが閾値TS0以上であると、これらノイズ信号の出現タイミングと、目標領域からの反射光により光検出器33から出力される出力信号の出現タイミングとの時間差が大きいため、両者が重なることがない。このため、閾値TS0以上である場合の受光時間差Δtiは、精度の高いデータとなる。
【0111】
よって、受光時間差Δtiが閾値TS0以上である場合(S108:YES)、DSP106は、受光時間差Δtiが有効であることを示す無効フラグNi(Ni=0)を、当該発光タイミングPiに対応づけて、内蔵メモリ内の受光テーブルTP1に格納する(S109)。こうして、高パルスPの発光タイミングPiに対する処理が終了する。
【0112】
受光時間差Δtiが閾値TS0未満であると(S108:NO)、障害物との距離は近距離にあるため、パルス幅の広い高パルスPでレーザ光が出射されると、迷光や電磁波に
よるノイズ信号が、反射光による出力信号に重なり易い。すなわち、受光時間差Δtiは、精度の低いデータである。よって、DSP106は、受光時間差Δtiを不適正なデータとみなし、受光時間差Δtiが無効であることを示す無効フラグNi(Ni=1)を、当該発光タイミングPiに対応づけて、内蔵メモリ内の受光テーブルTP1に格納する(S110)。こうして、高パルスPの発光タイミングPiに対する処理が終了する。
【0113】
図14(b)は、受光テーブルTP1の構成を示す図である。図示の如く、受光テーブルTP1には、目標領域を走査する際の全ての高パルスPの発光タイミングP1〜Pnに対応づけて、取得された受光時間差Δt1〜Δtnと無効フラグN1〜Nnが格納されている。すなわち、受光テーブルTP1には、図10に示す走査ラインL1〜L3の全ての高パルスPの発光タイミングP1〜Pn(図10中黒丸)における受光時間差Δt1〜Δtnと無効フラグN1〜Nnが格納される。目標領域に対する1回の走査が終わると、全ての高パルスPの発光タイミングに対して受光時間差と無効フラグが格納される。そして、目標領域に対する次回の走査が始まると、当該走査における各発光タイミングにて取得された受光時間差と無効フラグが、受光テーブルTP1に上書きされる。
【0114】
図15(a)は、低パルスP’のレーザ光の発光処理および受光処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、図13におけるステップS14の処理を示している。
【0115】
DSP106は、低パルスP’の発光タイミングP’iにおいて(S201:YES)、図12のドライバD2に駆動信号を印加し、レーザ光源21から低パルスP’のレーザ光を出射させる(S202)。さらに、DSP106は、光検出器33の受光光量に応じた受光電圧VR’iを取得する(S203)。
【0116】
受光電圧VR’iが閾値電圧VS0を超えない場合(S204:NO)、ステップS203、S204の処理が、図12に示す発光タイミングP’iから一定の発光間隔t’の間、すなわち、受光タイミングが終了するまで繰り返される(S205:NO)。
【0117】
受光電圧VR’iが閾値電圧VS0を超えることなく(S204:NO)、受光タイミングが終了すると(S205:YES)、DSP106は、図12に示す発光タイミングP’iからの一定の発光間隔t’内に障害物を検出することができなかったとして、当該発光タイミングP’iに対応づけて、内蔵メモリ内の受光テーブルTP2に、受光時間差Δt’iが無効であることを示す無効フラグN’i(N’i=1)を格納する(S206)。このとき、DSP106は、受光テーブルTP2において、発光タイミングP’iに対応する受光時間差の欄にNULLを格納する。こうして、低パルスP’の発光タイミングP’iに対する処理が終了する。
【0118】
なお、低パルスP’は、高パルスPと比べ、発光強度が低く設定されているため、走査位置に障害物がなかった場合と、レーザ光の発光強度不足によりレーザ光が遠距離の走査位置に到達されなかった場合の両方において、S205の判定がYESとなる。
【0119】
発光タイミングP’iにおいて、受光電圧VR’iが閾値電圧VS0を超えると(S204:YES)、DSP106は、当該スキャンタイミングに対応する位置に障害物があると判断する。この場合、発光強度の小さい低パルスP’によって障害物が検出されたため、通常、障害物は近距離にある。DSP106は、受光信号が閾値電圧VS0を超えたタイミングを受光タイミングとして、発光タイミングP’iと受光タイミングの時間差Δtiを測定する(S207)。この受光時間差Δt’iにより、障害物までの距離を求めることができる。
【0120】
なお、低パルスP’は、高パルスPに比べてパルス幅が狭いため、目標領域からの反射光に基づく光検出器33からの出力信号のパルス幅は、高パルスPが発光される場合に比べて狭くなる。同様に、迷光や電磁波により現れるノイズ信号のパルス幅も、高パルスPが発光される場合に比べて狭くなる。したがって、障害物が近距離の位置にあっても、迷光や電磁波によるノイズ信号と、目標領域からの反射光による検出器33からの出力信号とが互いに重なりにくくなる。このため、S207にて測定された受光時間差Δt’iは、精度の高いデータである。
【0121】
DSP106は、当該発光タイミングP’iに対応づけて、内蔵メモリ内の受光テーブルTP2に受光時間差Δt’iを格納する(S208)。さらに、DSP106は、受光時間差Δt’iが有効であることを示す無効フラグN’i(Ni=0)を、当該発光タイミングP’iに対応づけて、内蔵メモリ内の受光テーブルTP2に格納する(S209)。こうして、低パルスP’の発光タイミングP’iに対する処理が終了する。
【0122】
なお、本実施の形態では、発光タイミングP’iから受光タイミングが終了するまで(発光間隔t’が経過するまで)に受光電圧VR’iが閾値電圧VS0を超えない場合に、障害物を検出できないとの判断がなされたが、発光タイミングP’iから閾値TS0(TS0<t’)が経過するまでに受光電圧VR’iが閾値電圧VS0を超えない場合に、障害物を検出できないとの判断がなされてもよい。
【0123】
図15(b)は、受光テーブルTP2の構成を示す図である。図示の如く、受光テーブルTP2には、目標領域を走査する際の全ての低パルスP’の発光タイミングP’1〜P’nに対応づけて、取得された受光時間差Δt’1〜Δt’nと無効フラグN’1〜N’nが格納されている。すなわち、受光テーブルTP2には、図10に示す走査ラインL1〜L3の全ての低パルスP’の発光タイミングP’1〜P’n(図10中白丸)における受光時間差Δt’1〜Δt’nと無効フラグN’1〜N’nが格納される。目標領域に対する1回の走査が終わると、全ての低パルスP’の発光タイミングに対して受光時間差と無効フラグが格納される。そして、目標領域に対する次回の走査が始まると、当該走査における各発光タイミングにて取得された受光時間差と無効フラグが、受光テーブルTP2に上書きされる。
【0124】
図16は、高パルスPにおける受光テーブルTP1と低パルスP’における受光テーブルTP2とを用いた距離測定処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、目標領域の1回の走査に対する処理を示している。また、このフローチャートは、図13におけるステップS17の処理を示している。
【0125】
目標領域の走査が終了すると、DSP106は、まず、変数iに1をセットする(S301)。次に、DSP106は、高パルスPの受光テーブルTP1の発光タイミングPiにおける無効フラグNiが無効であるかを判断する(S302)。
【0126】
この判断において、無効フラグNiが無効でない場合(S302:NO)、DSP106は、障害物が遠距離にあると判断し、高パルスPの受光時間差Δtiをもとに障害物との距離diを測定する(S303)。その後、DSP106は、高パルスPの発光タイミングと低パルスP’の発光タイミングとを組み合わせて1つのタイミングとした発光タイミングQiに対応づけて、測定した距離diと、距離diが有効であることを示す無効フラグWi(Wi=0)を、内蔵メモリ内の距離測定テーブルTPにを格納する(S304)。
【0127】
高パルスPの受光テーブルTP1の無効フラグNiが無効の場合(S302:YES)、DSP106は、低パルスP’の受光テーブルTP2の発光タイミングP’iにおける
無効フラグN’iが無効であるかを判断する(S305)。この判断において、無効フラグN’iが無効でない場合(S305:NO)、DSP106は、低パルスP’によって、目標領域からの反射光が検出できた、すなわち、障害物が近距離にあると判断し、低パルスP’の受光時間差Δt’iをもとに障害物との距離diを測定する(S306)。その後、DSP106は、高パルスPの発光タイミングと低パルスP’の発光タイミングとを組み合わせて1つのタイミングとした発光タイミングQiに対応づけて、測定した距離diと、距離diが有効であることを示す無効フラグWi(Wi=0)を、内蔵メモリ内の距離測定テーブルTPに格納する(S307)。
【0128】
低パルスP’の受光テーブルTP2の無効フラグN’iが無効の場合(S305:YES)、DSP106は、高パルスPによっても、低パルスP’によっても、正確な測定ができなかったと判断し、発光タイミングQiに対応づけて、内蔵メモリ内の距離測定テーブルTPに無効フラグWiを格納する(S308)。このとき、DSP106は、受光テーブルTP1において、発光タイミングPiに対応する距離の欄に、NULLを格納する。
【0129】
そして、DSP106は、変数iが走査終了回数であるnとなったかを判断する(S309)。変数iがnでない場合(S309:NO)、変数iに1が加算され(S310)、S302〜S309の処理が行われる。この処理は、変数iがnになるまで繰り返される。すなわち、DSP106により、高パルスPの発光タイミングP1〜Pnと低パルスP’の発光タイミングP’1〜P’nにおける受光時間差データが合成されて、発光タイミングQ1〜Qnにおける距離データdiが生成される。生成された距離データdiは、障害物が遠距離にある場合は、高パルスPによって、障害物が近距離にある場合は、低パルスP’によって、測定されたデータであるため、精度の高いものである。こうして、変数iがnとなると(S309:YES)、当該目標領域に対する処理を終了する。
【0130】
図16(b)は、距離測定テーブルTPの構成を示す図である。図示の如く、距離測定テーブルTPには、目標領域を走査する際の全ての高パルスPの発光タイミングP1〜Pnと低パルスP’の発光タイミングP’1〜P’nとを組み合わせて1つのタイミングとした発光タイミングQ1〜Qnに対応づけて、取得された障害物との距離D1〜Dnと無効フラグW1〜Wnが格納されている。すなわち、距離測定テーブルTPには、図10に示す走査ラインL1〜L3の全ての高パルスPの発光タイミングP1〜Pn(図10中黒丸)と低パルスP’の発光タイミングP’1〜P’n(図10中白丸)のうち、障害物との距離に応じて選択された1つパルスによって測定された障害物との距離D1〜Dnと無効フラグW1〜Wnが格納される。
【0131】
なお、障害物との距離D1〜Dnは、障害物との距離に応じて、高パルスPによる測定データか低パルスP’におる測定データかが選択されており、精度の高いデータである。目標領域に対する1回の走査が終わると、全ての発光タイミングに対して障害物との距離と無効フラグが格納される。そして、目標領域に対する次回の走査が始まると、当該走査における各発光タイミングにて測定された障害物との距離と無効フラグが、距離測定テーブルTPに上書きされる。
【0132】
図17は、障害物が近距離にある場合における本実施の形態の効果を説明する図である。同図上段は、光検出器33における出力信号を示す図、同図下段は、発光タイミングPiおよびP’iにおける高パルスPと低パルスP’の出射状況を示す図である。
【0133】
高パルスPによるレーザ光の出射に伴い、光検出器33からの信号には、迷光および電磁波によるノイズ信号が現れる(図中点線)。ここでは、障害物が近距離にあるため、障害物からの反射光による光検出器33からの出力信号(受光パルス:図中破線)は、ノイ
ズ信号と近い位置に現れる。したがって、図示の如く、障害物からの反射光の受光パルスは、ノイズ信号と重なり合う。これにより、ノイズ信号と受光パルスは、互いに強めあって、合成波(図中実線)となる。
【0134】
本来、障害物からの反射光による受光パルスが閾値電圧VS0を超えるのは、aの位置である。しかし、同図のように受光パルスとノイズ信号が合成されると、合成波は、a’の位置で、閾値電圧VS0を超える。したがって、障害物が近距離にある場合、DSP106により測定される受光時間差Δa’は、本来検出されるべき受光時間差Δaよりも短く、誤差のあるものとなってしまう。
【0135】
一方、低パルスP’が出射される場合、低パルスP’はパルス幅が高パルスPよりも狭く設定されているため、障害物からの反射光による受光パルスは、ノイズ信号とは重なりにくい。よって、図示のごとく、ノイズ信号が重畳されないbの位置において、受光パルスが閾値電圧VS0を超えるようになる。したがって、障害物が近距離にある場合は、低パルスP’を用いて測定することにより、より精度の高い受光時間差Δbを得ることができる。
【0136】
図18は、障害物が遠距離にある場合における本実施の形態の効果を説明する図である。同図上段は、光検出器33における出力信号を示す図、同図下段は、発光タイミングPiおよびP’iにおける高パルスPと低パルスP’の出射状況を示す図である。
【0137】
図示の如く、障害物が遠距離にある場合は、高パルスPおよび低パルスP’の何れによっても、障害物からの反射光による受光パルスは、ノイズ信号と重ならない。しかし、低パルスP’は、発光強度が小さく設定されているため、遠距離の障害物に対する光検出33の出力信号は、閾値電圧VS0を超えない惧れがある。一方、高パルスPによるレーザ光が出射される場合、発光強度が大きく設定されているため、受光パルスはcの位置で閾値電圧VS0を超える。したがって、障害物が遠距離にある場合は、高パルスPを用いて測定することにより、受光時間差Δcを得ることができる。
【0138】
以上、本実施の形態によれば、高パルスPと低パルスP’を交互に出射し、それぞれの受光時間差(障害物までの距離)に応じて、最適なパルス幅による測定データを選択して、障害物との距離測定に利用するようにしたため、障害物が近距離にある場合であっても、障害物までの距離を精度よく測定することができる。
【0139】
また、本実施の形態によれば、全ての走査領域において、高パルスPおよび低パルスP’の両方で障害物の距離が測定されるため、障害物が遠距離もしくは近距離のどちらにあっても、障害物を精度よく測定することができる。
【0140】
さらに、本実施の形態によれば、スキャンLD駆動回路102を図11に示す構成としたため、レーザ光源21を発光するために使用する電流の流入期間を瞬時に切り替えることができる。よって、図10に示す高パルスPの発光間隔tおよび低パルスP’の発光間隔t’が短くても、発光タイミング毎に、レーザ光のパルス幅を切り替えることができる。
【0141】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記以外に種々の変更が可能である。
【0142】
たとえば、上記実施の形態では、高パルスPと低パルスP’のレーザ光を交互に出射し、走査終了後に当該走査時における障害物の距離に応じて、精度の高い方のパルスを距離データに用いたが、前回の走査結果に応じて、高パルスPと低パルスP’の何れを用いる
かを決定するようにしても良い。
【0143】
図19(a)は、前回の走査結果に応じて出射パルスを切り替える場合の処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、目標領域の1回の走査に対する処理を示している。
【0144】
なお、本変更例では、ステップS24、S27、S28によって、図19(b)に示すように、1つの距離測定テーブルTP3が生成される。距離測定テーブルTP3には、各発光タイミングQiに対応づけられた出射パルスの種類(高パルスPもしくは低パルスP’)と、障害物との距離diが保持される。なお、初回の走査時の距離測定テーブルTP3には、全ての発光タイミングにおける出射パルスとして、高パルスPが格納されている。
【0145】
また、発光タイミングQiは、図10のPiのタイミングとしても良く、あるいは、PiとP’iとを含めた全てのタイミングとしても良い。発光タイミングQiをPiとP’iとを含めた全てのタイミングとした場合、上記実施の形態に比べて、2倍の細かさで目標領域における障害物の検出および距離の測定を行うことができる。
【0146】
図19(a)を参照して、目標領域の走査が開始すると、DSP106は、まず、変数iに1をセットする(S21)。次に、DSP106は、レーザ光源21の発光タイミングQiにおいて(S22:YES)、前回の走査時において生成された距離測定テーブルTP3の出射パルスの種類に応じて、高パルスPもしくは低パルスP’にてレーザ光の発光処理および受光処理を行う(S23)。なお、初回の走査時は、全ての発光タイミングにおいて、高パルスPにてレーザ光の発光処理および受光処理が行われる。
【0147】
DSP106は、レーザ光の発光・受光処理が完了すると、レーザ光の発光タイミングと反射光の受光タイミングの時間差から障害物の距離diを測定し、当該発光タイミングQiに対応づけて、内蔵メモリ内の距離測定テーブルTP3に格納する(S24)。距離diが測定されなかった場合、距離diはnullとされる。
【0148】
距離diが測定されなかった場合(S25:YES)、DSP106は、目標領域における走査が終了したかを判断する(S29)。距離diが測定された場合(S25:NO)、DSP106は、距離diが閾値距離d0以上であるかを判断する(S26)。閾値距離d0は、障害物の位置が遠距離か近距離かを判断するための距離(たとえば、約10m)である。
【0149】
距離diが閾値距離d0以上の場合(S26:YES)、当該発光タイミングQiに対応するスキャン位置では、障害物が遠距離にあるとして、DSP106は、当該発光タイミングQiに対応づけて、内蔵メモリ内の距離測定テーブルTP3の出射パルスの種類に高パルスPを格納する(S27)。
【0150】
距離diが閾値距離d0未満の場合(S26:NO)、当該発光タイミングQiに対応するスキャン位置では、障害物が近距離にあるとして、DSP106は、当該発光タイミングQiに対応づけて、内蔵メモリ内の距離測定テーブルTP3の出射パルスの種類に低パルスP’を格納する(S28)。その後、DSP106は、目標領域における走査が終了したかを判断する(S29)。走査位置が終了でない場合(S29:NO)、変数iに1が加算され(S30)、S22〜S28の処理が、走査終了まで繰り返される。
【0151】
なお、距離が測定されなかった場合(S25:YES)は、出射パルスの種類は変更されず、当該発光タイミングQiに対応づけて格納されていた出射パルスの種類がそのまま
維持される。
【0152】
こうして、最後の走査ラインL3の全ての発光タイミングに対する処理が終了すると(S29:YES)、当該目標領域に対する処理を終了する。
【0153】
図20は、本変更例におけるレーザ光のパルス出力の調節例を模式的に示す図である。
【0154】
図20(a)に示すように、初回の走査の場合、レーザ光源21は、全ての発光タイミングにおいて、高パルスPのレーザ光を発光する。
【0155】
初回の走査の際、たとえば、区間A、Bにおいて、障害物が近距離にあると判断されると、図20(b)に示すように、次の目標領域の走査では、区間A、Bにおいて、低パルスP’のレーザ光が発光される。また、その他の区間において、障害物が遠距離にあると判断されると、次の目標領域の走査でも、高パルスPのレーザ光が発光される。
【0156】
さらに、図20(b)に示す走査の際、低パルスP’のレーザ光が発光された区間Aにおいて、障害物が遠距離にあると判断され、区間Bにおいて、障害物が近距離にあると判断されると、図20(c)に示すように、次の目標領域の走査では、区間Aにおいて、高パルスPのレーザ光が発光され、区間Bにおいて、低パルスP’のレーザ光が発光される。このようにして、前回の走査時における障害物の距離に応じて、高パルスPと低パルスP’のレーザ光が切り替えて出射される。
【0157】
このように、本変更例では、障害物が遠距離にある場合は、高パルスPによって、目標領域がスキャンされ、障害物が近距離にある場合は、低パルスP’によって、目標領域がスキャンされる。これにより、上記実施の形態同様、障害物が近距離にある場合であっても、障害物までの距離を精度よく測定することができる。
【0158】
また、本変更例では、前回の走査結果に応じて、高パルスPと低パルスP’を切り替えてレーザ光が出射されるため、上記実施の形態に比べ、走査間隔を狭くすることができる。すなわち、上記実施の形態では、図10のP’iの発光タイミングは、直前のPiの発光タイミングで測定された距離が不適正であった場合に、これを補うためにレーザ光を発光させるものであったが、本変更例では、全てのP’iの発光タイミングを、補足のためではなく、距離測定のために用いることができる。これにより、障害物の検出と距離の測定をより精度よく行うことができる。
【0159】
また、本変更例では、各発光タイミングにおいて、高パルスPと低パルスP’の何れで取得された時間差を用いて距離測定を行うかを取捨選択する必要がないため、上記実施の形態に比べ、DSP106の制御負担を抑えることができる。さらに、距離測定のためのテーブルを距離測定テーブルTP3の1つとすることができるため、DSP106の内蔵メモリの使用量を抑えることができる。
【0160】
なお、本変更例では、発光タイミングQiにおいて、低パルスP’で距離が測定されなかった場合、すなわち、低パルスP’により障害物が検出されなかった場合、発光タイミングQiにおける出射パルスの種類は、変更されずに低パルスのまま維持された。しかし、この場合、障害物が存在するにも拘わらず、遠距離であるため、低パルスでは反射光の強度が弱く、障害物が検出されないと判断されることも想定され得る。よって、このような状況を回避するため、たとえば、発光タイミングQiにおいて、所定回数連続で、低パルスにより障害物が検出できなかった場合には、発光タイミングQiの出射パルスの種類を高パルスに切り替えるようにしても良い。
【0161】
また、上記実施の形態では、低パルスP’のレーザ光による受光電圧VR’iが閾値電圧VS0を超えた場合、障害物は近距離にあるとして、受光時間差Δt’iを受光テーブルTP2に格納させたが、受光時間差Δt’iが閾値TS0以上の場合は、測定データを無効としてもよい。
【0162】
図21は、受光時間差Δt’iが閾値TS0以上の場合に測定データを無効とする場合の低パルスP’のレーザ光の発光処理および受光処理を示すフローチャートである。なお、同図中、上記実施の形態と同一処理の部分には、同一符号が付されている。
【0163】
上記実施の形態と同様、DSP106は、低パルスP’のレーザ光による受光電圧VR’iが閾値電圧VS0を超えると(S204:YES)、受光時間差Δt’iを測定し(S207)、受光時間差Δt’iを受光テーブルTP2に格納する(S208)。その後、DSP106は、受光時間差Δt’iが閾値TS0未満であるかを判断する(S210)。なお、閾値TS0には、上記実施の形態の閾値TS0と同じ値が設定されている。
【0164】
受光時間差Δt’iが閾値TS0未満であると(S210:YES)、障害物との距離は近距離にあるため、発光強度の小さい低パルスP’によっても、障害物からの反射光を受光することができる。よって、DSP106は、受光時間差Δtiが有効であることを示す無効フラグN’i(Ni=0)を、当該発光タイミングP’iに対応づけて、内蔵メモリ内の受光テーブルTP2に格納する(S210)。こうして、低パルスP’の発光タイミングP’iに対する処理が終了する。
【0165】
一方、受光時間差Δt’iが閾値TS0以上である場合(S210:NO)、測定された受光時間差Δt’iの信頼性が低くなる。受光時間差Δt’iが閾値TS0を少し超えたような場合は、受光時間差Δt’iの信頼性はそれほど低くはないが、受光時間差Δt’iが閾値TS0を大きく超えるような場合は、低パルスP’の反射光の強度がかなり弱くなるため、通常、適正な受光時間差の測定が難しくなる。このような場合、受光時間差が得られたとしても、受光時間差は、外乱やレーザレーダ1外部からの迷光等(たとえば、対向車両のライト等)による不適正なデータである可能性が高い。
【0166】
よって、DSP106は、受光時間差Δt’iが無効であることを示す無効フラグN’i(N’i=1)を、当該発光タイミングP’iに対応づけて、内蔵メモリ内の受光テーブルTP2に格納する(S211)。このとき、DSP106は、受光テーブルTP2において、発光タイミングP’iに対応する受光時間差の欄にNULLを格納する。こうして、低パルスPの発光タイミングP’iに対する処理が終了する。
【0167】
このように、本変更例では、低パルスP’の発光タイミングにおいて、低パルスP’のレーザ光によって検出可能な範囲より遠い位置からの光を検出したときは、測定された受光時間差Δt’iを外乱によるものと判断し、測定データを無効とする。これにより、受光信号に外乱が含まれるような場合であっても、障害物の誤検出および不適正な距離の測定を抑制することができる。
【0168】
なお、ここでは、S210で用いる閾値がTS0とされたが、低パルスP’によっても障害物の検出および距離の測定が適正に行われ得る範囲で、S210で用いる閾値をTS0よりも大きく設定しても良い。
【0169】
また、上記実施の形態では、パルスの種類を高パルスPと、低パルスP’の2種類としたが、障害物の距離に応じて、3つ以上のパルスの種類を用いてもよい。
【0170】
また、上記実施の形態では、高パルスPおよび低パルスP’の受光テーブルTP1、T
P2に受光時間差を保持させたが、受光時間差から距離を測定し、距離データを保持させてもよい。
【0171】
また、上記実施の形態では、発光強度の異なる高パルスPと低パルスP’を用いたが、パルス幅が異なっていれば、発光強度は同じとしてもよい。
【0172】
さらに、上記実施の形態では、2つの軸の周りにミラーが回転するミラーアクチュエータの構成例を示したが、本発明は、上記以外の構成のミラーアクチュエータや、レンズを駆動してレーザ光を走査するタイプのアクチュエータ、あるいは、ポリゴンミラーを用いたアクチュエータにも適用可能である。
【0173】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0174】
1 … レーザレーダ
21 … レーザ光源
24 … ミラーアクチュエータ(光走査部)
33 … 光検出器
102 … スキャンLD駆動回路(電流調整回路)
106 … DSP(距離測定部、電流調整回路、スイッチング制御部)
D1 … ドライバ(スイッチング制御部)
D2 … ドライバ(スイッチング制御部)
C1 … コンデンサ(第1のコンデンサ)
C2 … コンデンサ(第2のコンデンサ)
FET1 … FET1(第1のスイッチング部)
FET2 … FET2(第2のスイッチング部)
P … 高パルス(第1のレーザ光)
P’… 低パルス(第2のレーザ光)
TS0 … 閾値(第1の距離、第2の距離)
d0 … 閾値距離(第1の距離)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
目標領域において前記レーザ光を走査させる光走査部と、
前記目標領域において反射された前記レーザ光を受光する光検出器と、
前記レーザ光のパルス幅を制御するとともに、前記光検出器から出力される信号に基づいて目標領域における障害物までの距離を測定する距離測定部と、を備え、
前記距離測定部は、目標領域における障害物までの距離に適するパルス幅を決定し、決定したパルス幅のレーザ光により障害物との距離を測定する、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザレーダにおいて、
前記距離測定部は、所定パルス幅の第1のレーザ光と、前記第1のレーザ光よりもパルス幅の狭い第2のレーザ光を前記レーザ光源に発光させ、前記第1のレーザ光により測定した障害物までの距離が第1の距離より短い場合、前記第2のレーザ光によって、障害物までの距離を測定する、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザレーダにおいて、
前記距離測定部は、前記第2のレーザ光により測定した障害物までの距離が第2の距離よりも長い場合、前記第2のレーザ光により測定した距離を無効とする、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のレーザレーダにおいて、
前記距離測定部は、前記目標領域の走査軌跡上において前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光を交互に発光させ、前記走査軌跡上の第1の位置において前記第1のレーザ光により測定された距離が前記第1の距離よりも短い場合、前記走査軌跡上の第1の位置に隣り合う第2の位置において前記第2のレーザ光によって測定された距離を前記第1の位置における距離に代えて取得する、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項5】
請求項2または3に記載のレーザレーダにおいて、
前記距離測定部は、前記目標領域に対する走査軌跡上の第1の位置において前記第1のレーザ光により測定された距離が前記第1の距離よりも短い場合、前記目標領域の次の走査の際の前記第1の位置において前記第2のレーザ光を前記レーザ光源に発光させて障害物までの距離を測定する、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載のレーザレーダにおいて、
前記レーザ光源に対する電流の流入期間を段階的に切り替える電流調整回路をさらに備え、
前記電流調整回路は、
第1のコンデンサと、
前記第1のコンデンサと前記レーザ光源との間に接続され、前記第1のコンデンサに蓄積された電荷を前記レーザ光源に流入させる第1のスイッチング部と、
前記第1のコンデンサと容量が異なる第2のコンデンサと、
前記第2のコンデンサと前記レーザ光源との間に接続され、前記第2のコンデンサに蓄積された電荷を前記レーザ光源に流入させる第2のスイッチング部と、を備え、
前記距離測定部は、
前記第1のスイッチング部または前記第2のスイッチング部を選択的に動作させ、前
記第1のコンデンサまたは前記第2のコンデンサに蓄積された電荷の何れかを前記レーザ光源に流入させることにより、前記レーザ光のパルス幅を制御する、
ことを特徴とするレーザレーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−159330(P2012−159330A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17514(P2011−17514)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】