説明

レーザ光振れ量検出装置、変位測定装置、光学素子成形用金型の製造方法及び光学素子

【課題】レーザ光の光軸に直交する2方向の光軸振れを高精度に測定する。
【解決手段】第1の偏光ビームスプリッタ4は、レーザ光源1から出射されたレーザ光2aを、第1の直線偏光成分2bと第2の直線偏光成分2cとに分割する。光学系3は、第1の直線偏光成分2bの振れ方向と第2の直線偏光成分2cの振れ方向とが互いに直交するように第1の直線偏光成分2b及び第2の直線偏光成分2cのうち少なくとも一方の直線偏光成分を光軸まわりに回転させて合成光とする。遮光部材8は、先端8aを合成光に突出させて合成光の一部を遮光する。第2の偏光ビームスプリッタ9は、遮光部材8で遮光されずに通過した通過光を、第1の直線偏光成分2bと第2の直線偏光成分2cとに分割する。各受光素子10a,10bは、偏光ビームスプリッタ9で分割されたそれぞれの直線偏光成分の光量を測定する。演算部12は、測定結果に基づきレーザ光2aの振れ量を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光の光軸に直交する2方向のレーザ光の振れ量を検出するレーザ光振れ量検出装置、レーザ光振れ量検出装置を備えた変位測定装置、光学素子成形用金型の製造方法及び光学素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工作機械で加工を行う時には、工作機械上における工具の位置、工具の刃先形状の情報が必要である。工具の位置、工具の刃先形状の情報を測定する方法の1つとして、レーザ光を工具に照射して、工具により遮光されずに通過した通過光の光量を測定することにより非接触に工作機械上で工具情報(刃先位置、刃先形状)を測定する方法がある。この測定方法は、工具情報の測定の為のダミー加工が不要であるので、ダミー加工の時間分のスループット向上やダミー加工時の工具磨耗を抑えられる利点がある。しかし、被測定物で遮光することにより通過した通過光の光量を測定する変位測定方法では、レーザ光の光軸振れが測定誤差となってしまう。
【0003】
そこで従来は、4分割フォトダイオードを用いてレーザ光の光軸に直交する2方向の光軸の振れ量を測定してレーザ光の光軸振れを補正している(特許文献1参照)。この4分割フォトダイオードは、4つの受光素子からなり、各素子で測定した受光量を、A,B,C,Dとする。そして、2方向のうちの一方向の振れ量は、A+B−(C+D)の演算結果に基づいて求められ、他方向の振れ量は、A+D−(B+C)の演算結果に基づいて求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−60404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、4分割フォトダイオードを用いて光軸振れを測定する方法では、4分割フォトダイオードの画素数により分解能に限界があり、レーザ光の光軸の振れを高精度に測定するのは困難であった。すなわち、2方向のそれぞれの振れ量は、4つの受光素子の受光結果を加減算することにより求められるので、求められた振れ量には4つの受光素子の測定誤差が累積してしまうこととなり、2方向のレーザ光の振れ量を高精度に測定するのは困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、レーザ光に直交する2方向の光軸振れを高精度に測定できるレーザ光振れ量検出装置及びレーザ光振れ量検出装置を備えた変位測定装置、光学素子成形用金型の製造方法及び光学素子を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、レーザ光源から出射されたレーザ光の光軸に直交し且つ互いに直交する2方向の、レーザ光の振れ量を検出するレーザ光振れ量検出装置において、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を、第1の直線偏光成分と、偏光方向が前記第1の直線偏光成分に直交する第2の直線偏光成分とに分割する第1の偏光ビームスプリッタと、前記第1の直線偏光成分の振れ方向と前記第2の直線偏光成分の振れ方向とが互いに直交するように前記第1の直線偏光成分及び前記第2の直線偏光成分のうち少なくとも一方の直線偏光成分を光軸まわりに回転させ、前記第1の直線偏光成分の偏光方向と前記第2の直線偏光成分の偏光方向とを直交させた状態で前記第1の直線偏光成分と前記第2の直線偏光成分とを重ね合わせる光学系と、前記光学系により得られた合成光に含まれる互いに直交する振れ方向の2つの光成分のうち一方の光成分の振れ方向と平行な方向に延びるように形成された先端を有し、前記先端を前記合成光に突出させて前記合成光の一部を遮光するように配置された遮光部材と、前記遮光部材で遮光されずに通過した通過光を、前記第1の直線偏光成分と、前記第2の直線偏光成分とに分割する第2の偏光ビームスプリッタと、前記第2の偏光ビームスプリッタにより分割された前記第1の直線偏光成分の光量を測定する第1の受光素子と、前記第2の偏光ビームスプリッタにより分割された前記第2の直線偏光成分の光量を測定する第2の受光素子と、前記第1の受光素子により測定された光量から前記2方向のうちの一方向の振れ量を求めると共に、前記第2の受光素子により測定された光量から前記2方向のうちの他方向の振れ量を求める演算手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第2の偏光ビームスプリッタにより分割されて得られた第1の直線偏光成分の光量は、互いに直交する2方向のうちの一方向への光軸の振れで変化する。また、第2の偏光ビームスプリッタにより分割されて得られた第2の直線偏光成分の光量は、2方向のうちの他方向への光軸の振れで変化する。したがって、2方向それぞれのレーザ光の振れ量を、別々の受光素子の測定結果に基づいて求めることができるようになり、2方向のレーザ光の振れ量を高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係るレーザ光振れ量検出装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るレーザ光振れ量検出装置の光学系を示す斜視図であり、
【図3】遮光部材をX軸方向と平行な方向から見た図である。(a)はレーザ光源から出射されたレーザ光に振れがない状態を示している。(b)はレーザ光源から出射されたレーザ光がX軸方向に振れた状態を示している。(c)はレーザ光源から出射されたレーザ光がZ軸方向に振れた状態を示している。
【図4】本発明の第2実施形態に係る変位測定装置の概略構成を示す説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る変位測定装置の測定対象である切削工具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザ光振れ量検出装置の概略構成を示す説明図である。図1に示すレーザ光振れ量検出装置100は、レーザ光源1から出射されたレーザ光2aの光軸(図1ではY軸)に直交し且つ互いに直交する2方向(図1ではX軸方向及びZ軸方向)の、レーザ光2aの振れ量を検出するものである。
【0012】
つまり、レーザ光源(レーザヘッド)1のポインティング安定性によりレーザ光源1から出射する時のレーザ光2aの角度が振れたり、光路の空気揺らぎにより途中光路でのレーザ光2aが振れたりする。したがって、レーザ光振れ量検出装置100は、このようなレーザ光2aの2方向の振れ量を検出するためのものである。ここで、レーザ光の2方向の振れとは、レーザ光の2方向の位置ずれや振動のことをいう。なお、本第1実施形態では、レーザ光源1によりレーザ光2aが出射される方向をY軸方向、Y軸に直交する2方向をX軸方向及びZ軸方向としている。
【0013】
レーザ光振れ量検出装置100は、大別して、第1の偏光ビームスプリッタ4、光学系3、集光レンズ7a、遮光部材8、集光レンズ7b、第2の偏光ビームスプリッタ9、第1の受光素子10a、第2の受光素子10bを備えている。また、レーザ光振れ量検出装置100は、演算手段としての演算部12及び記憶手段としての記憶部13を備えている。レーザ光源1から出射されたレーザ光2aは、+Y軸方向に進行し、レーザ光源1の後段に配置された第1の偏光ビームスプリッタ4に入射される。
【0014】
第1の偏光ビームスプリッタ4は、入射されたレーザ光2aを、第1の直線偏光成分2bと、偏光方向が第1の直線偏光成分2bに直交する第2の直線偏光成分2cとに分割するものである。
【0015】
本第1実施形態では、第1の直線偏光成分2bが第1の偏光ビームスプリッタ4で反射する直線偏光成分(即ちs偏光)であり、第2の直線偏光成分2cが第1の偏光ビームスプリッタ4を透過する直線偏光成分(即ちp偏光)であるものとして説明する。第1の偏光ビームスプリッタ4は、入射されたレーザ光2aのうち、第1の直線偏光成分2bを反射させ、第2の直線偏光成分2cを透過させる。この場合、第1の直線偏光成分2bは、第1の偏光ビームスプリッタ4で直角に+X軸方向に反射する。第1の偏光ビームスプリッタ4で反射した後の第1の直線偏光成分2bは、s偏光である。また、第2の直線偏光成分2cは、第1の偏光ビームスプリッタ4を+Y軸方向に透過する。
【0016】
光学系3は、第1の直線偏光成分2bの振れ方向と第2の直線偏光成分2cの振れ方向とが互いに直交するように第1の直線偏光成分2b及び第2の直線偏光成分2cのうち少なくとも一方の直線偏光成分を光軸まわりに回転させるものである。そして、光学系3は、第1の直線偏光成分2bの偏光方向と第2の直線偏光成分2cの偏光方向とを直交させた状態で第1の直線偏光成分2bと第2の直線偏光成分2cとを重ね合わせるものである。ここで、第1の直線偏光成分2bと第2の直線偏光成分2cとを重ね合わせるとは、レーザ光2aにおいて振れがない状態で、第1の直線偏光成分2bの光軸と第2の直線偏光成分2cの光軸とが一致することである。
【0017】
以下、本第1実施形態における光学系3の構成について詳細に説明する。図2は、光学系3を示す斜視図である。光学系3は、第2の直線偏光成分2cの偏光方向を90度回転させる偏光部としての1/2波長板(以下、「1/2λ板」という)5と、複数の反射部材である6つのミラー(ベンダーミラー)6a〜6fと、を有している。
【0018】
これらミラー6a〜6fは、偏光ビームスプリッタ4を通過した第2の直線偏光成分2cを、偏光ビームスプリッタ4にて反射した第1の直線偏光成分2bの反射方向と同一方向に偏光ビームスプリッタ4に入射させるものである。その際、ミラー6a〜6fは、第2の直線偏光成分2cの振れ方向を、第1の直線偏光成分2bに対して光軸まわりに90度回転させる。具体的にはミラー6a〜6fは、偏光ビームスプリッタ4を通過して+Y軸方向に進行したレーザ光2cを−Z軸方向、−Y軸方向、+Z軸方向、−X軸方向、+Z軸方向、+X軸方向に順次反射させることでレーザ光2cをレーザ光2bに対して90度回転させる。
【0019】
ここで、偏光ビームスプリッタ4を透過した直後のレーザ光2cは、偏光膜を透過できる偏光方向であるp偏光である。この後、ミラー6a〜6fにより、再び偏光ビームスプリッタ4を透過する直前までにレーザ光2cの光軸振れ方向に90度回転しているが偏光方向も一緒に90度回転している。即ち、第2の直線偏光成分2cはミラー6a〜6fを通過することにより偏光方向も90度回転する。
【0020】
レーザ光2cは、1度目に偏光ビームスプリッタ4を透過した時と同じ偏光方向でないと、2度目に偏光ビームスプリッタ4を透過できないので、偏光方向だけ90度回転して戻す必要がある。そこで、偏光ビームスプリッタ4と複数のミラー6a〜6fとで形成される第2の直線偏光成分2cの光路に、1/2λ板5を配置している。
【0021】
このように1/2λ板5をレーザ光2cの光路上に配置することで、レーザ光2cの偏光方向を90度回転させる光学系3を簡易に構成することができる。ここで、1/2λ板5は、レーザ光2cの偏光方向を90度回転させるように配置してあれば、光学系3におけるレーザ光2cの光路上のどこに配置してもよい。本第1実施形態では、1/2λ板5を偏光ビームスプリッタ4とミラー6aとの間に配置している。これにより、偏光ビームスプリッタ4に再び入射する第2の直線偏光成分2cをp偏光にしている。そして、これらミラー6a〜6f及び1/2λ板5を経たp偏光である第2の直線偏光成分2cは、偏光ビームスプリッタ4を+X軸方向に透過して、偏光ビームスプリッタ4で+X軸方向に反射して進行する第1の直線偏光成分2bと重なり合う。以下、第1の直線偏光成分2bと第2の直線偏光成分2cとが重なり合ったレーザ光を合成光という。
【0022】
この合成光(レーザ光2b及びレーザ光2c)は、図1に示す集光レンズ7aで集光される。この集光レンズ7aの後段には、集光レンズ7aで集光される位置に遮光部材8が配置される。言い換えれば、集光レンズ7aは、遮光部材8が配置された位置に合成光を集光させる。また、遮光部材8は、先端8aに向かって厚さ方向(X軸方向)に肉薄に形成されているのが好ましい。集光レンズ7aの焦点位置に先端8aを合わせやすいからである。
【0023】
図3は、遮光部材8をX軸方向と平行な方向から見た図である。図3(a)は、レーザ光源1から出射されたレーザ光2aに振れがない状態を示している。図3(b)は、レーザ光源1から出射されたレーザ光2aがX軸方向に振れた状態を示している。図3(c)は、レーザ光源1から出射されたレーザ光2aがZ軸方向に振れた状態を示している。
【0024】
遮光部材8は、直線状に形成された先端8aを有している。この先端8aは、光学系3により得られた合成光に含まれる互いに直交する振れ方向(Y軸方向及びZ軸方向)の2つの光成分のうち一方の光成分の振れ方向(Y軸方向でもよいが、本第1実施形態では、Z軸方向)と平行な方向に延びるように形成されている。そして、この遮光部材8は、レーザ光源1から出射されたレーザ光2aに振れがない状態で、先端8aを集光レンズ7aに集光された合成光(レーザ光2b,2c)に突出させて合成光の一部を遮光するように配置されている。本第1実施形態では、図3(a)に示すように、レーザ光源1から出射されたレーザ光2aに振れがない状態で合成光(レーザ光2b,2c)の半分を遮光する位置に配置されている。
【0025】
この遮光部材8の後段には、図1に示すように、集光レンズ7bが配置されている。この集光レンズ7bは、遮光部材8の位置に集光され、遮光部材8を通過して広がった通過光(レーザ光2b,2c)を平行光にする。
【0026】
この平行光となった通過光(レーザ光2b,2c)は、第2の偏光ビームスプリッタ9に導かれる。第2の偏光ビームスプリッタ9は、遮光部材8で遮光されずに通過した通過光を、第1の直線偏光成分2bと、第2の直線偏光成分2cとに分割する。ここで、本第1実施形態では、第1の直線偏光成分2bはs偏光であり、第2の直線偏光成分2cはp偏光である。したがって、第1の直線偏光成分2bは、第2の偏光ビームスプリッタ9で直角に反射し、第1の受光素子10aで受光される。また、第2の偏光ビームスプリッタ9を透過して直進し、第2の受光素子10bで受光される。
【0027】
第1の受光素子10aは、第2の偏光ビームスプリッタ9により通過光が分割されて得られた第1の直線偏光成分2bの光量を測定することができるものである。また、第2の受光素子10bは、第2の偏光ビームスプリッタ9により通過光が分割されて得られた第2の直線偏光成分2cの光量を測定することができるものである。第1の受光素子10a及び第2の受光素子10bは、例えばフォトダイオードである。
【0028】
演算部12は、各受光素子10a,10bから出力された光量を示す測定信号の入力を受ける。そして、演算部12は、第1の受光素子10aにより測定された光量から2方向のうちの一方向(本第1実施形態ではX軸方向)の振れ量を求める。また、演算部12は、第2の受光素子10bにより測定された光量から2方向のうちの他方向(本第1実施形態ではZ軸方向)の振れ量を求める。
【0029】
以下、レーザ光振れ量検出装置100による検出動作について詳細に説明する。レーザ光源1からY軸方向に出射されたレーザ光2aは、レーザ光源1の安定性範囲内でX軸方向及び(又は)Z軸方向に光軸が振れる。レーザ光2aは、図2に示すように、偏光ビームスプリッタ4でs偏光である第1の直線偏光成分2bと、p偏光である第2の直線偏光成分2cとに分割される。
【0030】
まず、X軸方向にレーザ光2aの光軸が振れた場合について説明する。第1の直線偏光成分2bは、偏光ビームスプリッタ4でX軸方向に反射したことでY軸方向の振れとなる。他方、第2の直線偏光成分2cは、X軸方向に振れた状態で1/2λ板5を通過し、ミラー6a,6b,6cで反射する。そして、第2の直線偏光成分2cは、ミラー6dで反射することによりZ軸方向の振れとなり、ミラー6eで反射することによりX軸方向の振れとなり、ミラー6fで反射することによりZ軸方向の振れとなる。その後、レーザ光2cは、偏光ビームスプリッタ4を再度透過する。偏光ビームスプリッタ4を透過後は、レーザ光2bとレーザ光2cとが重ね合わさる。この合成光の直進方向はX軸方向である。
【0031】
したがって、レーザ光2aのX軸方向に振れている光軸振れは、レーザ光2bではY軸方向の光軸振れとなり、レーザ光2cではZ軸方向の光軸振れとなる。このように、レーザ光2aの時点では同じ方向の光軸振れが、光学系3及び偏光ビームスプリッタ4を通過後は、レーザ光2bとレーザ光2cとで光軸の振れ方向が90度違っている。
【0032】
次に、Z軸方向にレーザ光2aの光軸が振れた場合について説明する。第1の直線偏光成分2bは、偏光ビームスプリッタ4でZ軸方向の振れのまま反射する。他方、第2の直線偏光成分2cは、Z軸方向に振れた状態で1/2λ板5を通過し、ミラー6aで反射することによりY軸方向の振れとなり、ミラー6bで反射することによりZ軸方向の振れとなり、ミラー6cで反射することによりY軸方向の振れとなる。次いで、第2の直線偏光成分2cは、Y軸方向に振れた状態のままミラー6d,6e,6fで反射し、偏光ビームスプリッタ4を再度透過する。偏光ビームスプリッタ4を透過後は、レーザ光2bとレーザ光2cとが重ね合わさる。この合成光の直進方向はX軸方向である。
【0033】
したがって、レーザ光2aのZ軸方向に振れている光軸振れは、レーザ光2bではZ軸方向の光軸振れとなり、レーザ光2cではY軸方向の光軸振れとなる。このように、レーザ光2aの時点では同じ方向の光軸振れが、光学系3及び偏光ビームスプリッタ4を通過後は、レーザ光2bとレーザ光2cとで光軸の振れ方向が90度違っている。
【0034】
ここで、レーザ光2aに振れがない状態の場合、図3(a)に示すように、偏光ビームスプリッタ4を通過した第1の直線偏光成分(レーザ光)2bの光軸と第2の直線偏光成分(レーザ光)2cの光軸とが一致している。そして、遮光部材8でレーザ光2bとレーザ光2cをY軸方向から半分遮光している。
【0035】
次に、レーザ光2aがX軸方向に振れた場合、図3(b)に示すように、第1の直線偏光成分2bの光軸はY軸方向に振れ、第2の直線偏光成分2cの光軸はZ軸方向に振れる。したがって、遮光部材8を通過した第2の直線偏光成分2cの光量は、レーザ光2aに振れがない状態と同じであり変化はないが、遮光部材8を通過した第1の直線偏光成分2bの光量は、レーザ光2aの振れ量に応じて変化する。具体的には、レーザ光2aが+X軸方向(−X軸方向)に振れた場合、遮光部材8に照射される第2の直線偏光成分2cは、+Z軸方向(−Z軸方向)に振れ、遮光部材8を通過する第2の直線偏光成分2cの光量に変化はない。これに対し、レーザ光2aが+X軸方向に振れた場合、遮光部材8に照射される第1の直線偏光成分2bは−Y軸方向に振れ、遮光部材8を通過する第2の直線偏光成分2cの光量は、レーザ光2aの振れ量に応じて減少する。逆に、レーザ光2aが−X軸方向に振れた場合、遮光部材8に照射される第2の直線偏光成分2cは+Y軸方向に振れ、遮光部材8を通過する第2の直線偏光成分2cの光量は、レーザ光2aの振れ量に応じて増加する。
【0036】
また、レーザ光2aがZ軸方向に振れた場合、図3(c)に示すように、第1の直線偏光成分2bの光軸はZ軸方向に振れ、第2の直線偏光成分2cの光軸はY軸方向に振れる。したがって、遮光部材8を通過した第1の直線偏光成分2bの光量は、レーザ光2aに振れがない状態と同じであり変化はないが、遮光部材8を通過した第2の直線偏光成分2cの光量は、レーザ光2aの振れ量に応じて変化する。具体的には、レーザ光2aが+Z軸方向(−Z軸方向)に振れた場合、遮光部材8に照射される第1の直線偏光成分2bは、+Z軸方向(−Z軸方向)に振れ、遮光部材8を通過する第1の直線偏光成分2bの光量に変化はない。これに対し、レーザ光2aが+Z軸方向に振れた場合、遮光部材8に照射される第2の直線偏光成分2cは+Y軸方向に振れ、遮光部材8を通過する第2の直線偏光成分2cの光量は、レーザ光2aの振れ量に応じて増加する。逆に、レーザ光2aが−Z軸方向に振れた場合、遮光部材8に照射される第2の直線偏光成分2cは−Y軸方向に振れ、遮光部材8を通過する第2の直線偏光成分2cの光量は、レーザ光2aの振れ量に応じて減少する。
【0037】
遮光部材8で遮光されずに通過した通過光(レーザ光2b,2c)は、第2の偏光ビームスプリッタ9で分割され、第1の直線偏光成分2bは第1の受光素子10a、第2の直線偏光成分2cは第2の受光素子10bに受光される。遮光部材8はY軸方向から遮光を行っているので、受光素子10a,10bにおいてZ軸方向の光軸振れには感度が無くて、Y軸方向の光軸振れのみ遮光量が変動する。つまり、レーザ光2aの光量に変動がないとした場合、第1の受光素子10aで受光される第1の直線偏光成分2bの光量は、レーザ光2aのX軸方向の振れのみで増減する。これに対し、第2の受光素子10bで受光される第2の直線偏光成分2cの光量は、レーザ光2aのZ軸方向の振れのみで増減する。したがって、演算部12は、第1の直線偏光成分2bの光量からレーザ光2aのX軸方向の振れを求めることができ、第2の直線偏光成分2cの光量からレーザ光2aのZ軸方向の振れを求めることができる。
【0038】
具体的に説明すると、記憶部13には、予めレーザ光2aの振れのない状態で第1の受光素子10aで測定された第1の直線偏光成分2bの光量を第1の光量基準値として記憶させている。また、記憶部13には、予めレーザ光2aの振れのない状態で第2の受光素子10bで測定された第2の直線偏光成分2cの光量を第2の光量基準値として記憶させている。そして、演算部12は、実際に第1の受光素子10aで測定された光量と、記憶部13に記憶された第1の光量基準値との偏差に基づいてレーザ光2aのX軸方向のずれ量を演算する。また、演算部12は、実際に第2の受光素子10bで測定された光量と、記憶部13に記憶された第2の光量基準値との偏差に基づいてレーザ光2aのZ軸方向のずれ量を演算する。なお、第1の光量基準値と第2の光量基準値とが同一(略同一を含む)である場合には、記憶部13には、1つの光量基準値が記憶され、演算部12は、光量の測定結果とこの光量基準値との偏差に基づいてずれ量を求めてもよい。
【0039】
このように、演算部12は、第1の受光素子10aで測定された光量の変化から、レーザ光2aのX軸方向のずれ量を求めると共に、第2の受光素子10bで測定された光量の変化から、レーザ光2aのZ軸方向のずれ量を求めている。
【0040】
以上、本第1実施形態によれば、第2の偏光ビームスプリッタ9により分割されて得られた第1の直線偏光成分2bの光量は、互いに直交する2方向のうちの一方向(X軸方向)への光軸の振れで変化する。また、第2の偏光ビームスプリッタ9により分割されて得られた第2の直線偏光成分2cの光量は、2方向のうちの他方向(Z軸方向)への光軸の振れで変化する。したがって、2方向(X,Z軸方向)それぞれのレーザ光2aの振れ量を、別々の受光素子10a,10bの測定結果に基づいて求めることができるようになり、2方向のレーザ光2aの振れ量を高精度に測定することができる。
【0041】
さらに、本第1実施形態では、遮光部材8の位置でレーザ光2b,2cを集光レンズ7aにより集光させている。集光位置では、レーザ光2b,2cのレーザ径が小さくなるので、光軸振れにより遮光部材8によって遮光された時の光量変化の割合が大きくなる。したがって、レーザ光2aのXZ軸2方向の光軸振れ測定分解能を上げることができ、より高精度に測定することができる。
【0042】
また、本第1実施形態では、遮光部材8は、図3(a)に示すように、レーザ光源1から出射されたレーザ光2aに振れがない状態で合成光(レーザ光2b,2c)の半分を遮光する位置に配置されている。つまり、レーザ光2b,2cは、断面略円形形状であるので、遮光部材8は、レーザ光2b,2c(円形)の半円分を遮光する。このように遮光部材8を配置することで、レーザ光2aの振れによるレーザ光2b,2cの光量の変化量が最も大きくなり、高分解能となる。したがって、更にずれ量の測定精度が向上する。
【0043】
なお、上記第1実施形態では、レーザ光2bとレーザ光2cとで光軸が振れる方向を90度回転させた場合について説明したが、おおよそ90度であれば本実施形態は成り立つ。ただし、角度差は90度に近い方が光軸振れを高精度に測定できるので好適である。
【0044】
また、上記第1実施形態では、光学系3として、6つのミラー6a〜6fと、1/2λ板5とを備える場合について説明したが、これに限定するものではない。ミラーの代わりにプリズム等の反射部材を用いることが可能である。また、反射部材の数及び配置は、上記第1実施形態に限定するものではなく、複数の反射部材で直線偏光の振れ方向を90度回転できればよい。
【0045】
また、上記第1実施形態では、偏光部として1/2λ板5の場合について説明したが、これに限定するものではなく、1/4波長板(1/4λ板)を2枚組み合わせてもよい。
【0046】
また、上記第1実施形態では、光学系3が第2の直線偏光成分2cの振れ方向を光軸まわりに回転させるように構成されている場合について説明したが、これに限定するものではない。光学系を、第1の直線偏光成分2bを回転させるように構成してもよく、また、両方の直線偏光成分2b,2cを回転させるように構成してもよい。つまり、合成光に含まれる第1の直線偏光成分と第2の直線偏光成分とが振れ方向で90度、偏光方向で90度の差が生じればよい。
【0047】
また、上記第1実施形態では、合成光を遮光部材8でY軸方向から遮光した場合について説明したが、遮光部材8でZ軸方向から遮光してもよい。この場合、第2の偏光ビームスプリッタ9により分割されて得られた第1の直線偏光成分2bの光量は、互いに直交する2方向のうちの一方向(Z軸方向)への光軸の振れで変化する。また、第2の偏光ビームスプリッタ9により分割されて得られた第2の直線偏光成分2cの光量は、2方向のうちの他方向(Y軸方向)への光軸の振れで変化する。したがって、この場合も別々の受光素子10a,10bの測定結果に基づいて求めることができるようになり、2方向のレーザ光2aの振れ量を高精度に測定することができる。
【0048】
また、集光レンズ7a,7bにより更に高精度にレーザ光2aの振れ量を測定できるが、更なる精度向上の必要がない場合は、集光レンズ7a,7bを省略してもよい。
【0049】
また、合成光(レーザ光2b,2c)の半分を遮光する位置に遮光部材8を配置するのが好ましいが、半分に限定するものではなく、合成光の一部を遮光する場合であれば、振れ量の測定は可能である。
【0050】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る変位測定装置について説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る変位測定装置の概略構成を示す説明図である。なお、図4に示す本第2実施形態の変位測定装置200において、上記第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0051】
変位測定装置200は、被測定物19でレーザ光2dを遮光して通過量より被測定物19の位置形状を測定するものであり、例えば、工作機械の工具の位置、形状の測定に適用されるものである。
【0052】
変位測定装置200は、上記第1実施形態と同様の構成のレーザ光振れ量検出装置100、レーザ光源1、反射部材としての補正用ミラー14、駆動源15、ビームスプリッタ16、集光レンズ17a,17b、被測定物19を駆動する移動軸18を備えている。また、変位測定装置200は、第3の受光素子20、測定手段としての測定部21、補正手段としての補正部22を備えている。
【0053】
レーザ光源1は、−Y軸方向にレーザ光2を出射する。反射部材(補正用反射部材)としての補正用ミラー14は、レーザ光源1と被測定物19との間に配置され、レーザ光源1から出射されたレーザ光2の振れを補正するためのものであり、レーザ光2の光軸を補正しつつレーザ光2を+X軸方向に反射する。なお、反射部材として補正用ミラー14の代わりにプリズム等あらゆる反射部材であってもよい。駆動源15は、補正用ミラー14を駆動するものである。この駆動源15は、本第2実施形態では回転2軸駆動源であり、補正用ミラー14をYZ軸回りで駆動することができる。
【0054】
ビームスプリッタ16は、補正用ミラー14の後段に配置され、補正用ミラー14で反射されたレーザ光2を、+Y軸方向に進行するレーザ光2aと+X軸方向に進行するレーザ光2dとに分割するものであり、例えばハーフミラーである。レーザ光2aは、上記第1実施形態で説明した通り、レーザ光振れ量検出装置100の偏光ビームスプリッタ4に入射される。
【0055】
集光レンズ17aは、レーザ光2dを被測定物19の位置に集光する。移動軸18は、被測定物19をYZ軸方向に移動させることができるものである。集光レンズ17bは、レーザ光2dを再度平行光にする。第3の受光素子20は、被測定物19で遮光されずに通過したレーザ光(通過光)2dを受光するものであり、レーザ光2dの光量を測定している。
【0056】
測定部21は、第3の受光素子20の出力変化により被測定物19の変位を測定するものである。
【0057】
補正部22は、レーザ光振れ量検出装置100の演算部12の演算により得られたレーザ光2aの2方向(X軸方向及びZ軸方向)の振れ量を補償するように駆動源15を動作させるものである。つまり、補正部22は、レーザ光振れ量検出装置100で検出される振れ量が0となる方向に補正用ミラー14を駆動源15に駆動させる。
【0058】
次に、変位測定装置200による変位測定動作について説明する。変位測定装置200は、レーザ光2dを被測定物19が任意の量で遮光した位置(レーザ光2dと被測定物19の相対位置)を測定するものである。レーザ光2dは、レーザ光2,2aと同じくレーザ光源1の安定性範囲内で光軸が振れており、変位測定誤差となる。そこで、レーザ光振れ量検出装置100によりレーザ光2aの光軸の振れ量を検出することにより、補正用ミラー14でレーザ光2の振れを補正する。
【0059】
ここで、レーザ光2aの光軸振れの測定方法は、上記第1実施形態で説明した通りである。そして、演算部12が、受光素子10a,10bの光量測定値よりレーザ光2aの光軸の振れ量を算出し、補正部22が、光軸の振れが安定化するように駆動源15に指令を出して補正用ミラー14を駆動させる。これにより、レーザ光源1によるレーザ光軸振れによる影響を低減できる。よって、レーザ光源1によるレーザ光軸振れによる影響を低減しているので、レーザ光2dの光軸振れも低減されており高精度な変位測定を行うことができる。
【0060】
以上、本第2実施形態の変位測定装置200によれば、レーザ光源1の光軸振れの影響を低減して被測定物19の変位を高精度に測定することができる。
【0061】
さらに、遮光部材8と被測定物19の位置で集光させている。集光位置では、レーザ光2a,2dのレーザ径が小さいので、光軸振れにより遮光部材8、被測定物19によって遮光された時の光量変化の割合が大きくなる。そこで、レーザ光2aのXZ軸2方向の光軸振れ測定分解能と被測定物の変位測定分解能を上げて、より高精度に測定することができる。
【0062】
変位測定装置200の具体的な用途としては、被測定物19の形状を測定する形状測定装置として用いることが可能である。測定対象である被測定物19としては、図5に示す切削工具23がある。切削工具23は、シャンク24にダイヤモンドバイト25が固定されており、ダイヤモンドバイト25の刃先26で被加工物を切削する構成となっている。ここで、シングルポイント加工以外の加工方法においては、刃先稜線26の形状が加工結果に影響するので、刃先26の形状精度が低いと被加工物の形状精度も低下してしまう。しかし、ダイヤモンドバイト25は難加工材料であり、刃先26を高精度に加工することは困難である。そこで、刃先26の形状を本手法で計測し、加工プログラムにより刃先稜線26の形状誤差を補正することで高精度な加工を行うことができる。
【0063】
この測定方法としては、測定部21の制御の下で移動軸18により、被測定物19である刃先26によるレーザ光2dの遮光量が一定になるように被測定物19である切削工具23の刃先26を走査する。即ち、測定部21は、第3の受光素子20の出力(通過光量)を一定に維持しながら切削工具23(移動軸18)を移動させることで、刃先26における遮光量を一定に維持してレーザ光2dを刃先26に沿って走査させる。この時の移動軸18(つまり、刃先26)の移動履歴が刃先26の形状となる。これにより、刃先26の形状が測定部21に測定される。また他の測定方法としては、移動軸18を被測定物19である切削工具23の刃先26の設計形状になるように走査して、遮光量(通過光量)の変化量より設計形状との差分形状を測定する方法もある。以上のように、測定部21は、第3の受光素子20の出力を参照しながら刃先26を移動させた結果に基づき刃先26の形状を測定する。
【0064】
なお、演算部12、測定部21、補正部22は、それぞれ異なる制御装置で構成されていてもよいし、1つの制御装置でそれぞれの機能を有するように構成されていてもよい。また、レーザ光2bとレーザ光2cとで光軸が振れる方向を90度回転させているが、おおよそ90度であれば本実施例は成り立つ。ただし、角度差は90度に近い方が光軸振れを高精度に測定できるので好適である。
【0065】
このようにもとめた刃先の形状は、高い形状精度を求められる切削加工等に好適に用いることができる。このように高精度に測定された切削工具は、例えば、プラスチックレンズまたはガラスレンズ等の光学素子を成形するための光学素子成形用金型の製造に用いることができる。光学素子を成形する金型の加工は、加工プログラムによって切削工具の刃先と金型とを相対移動させて切削加工するという、公知の製造方法によって作製される。従来、切削工具の刃先と被加工物である金型とを相対移動させて、所望の形状を加工するための加工プログラムは、切削工具の刃先の位置と被加工物の位置をそれぞれ規定することにより作成される。切削工具の刃先の位置は、例えば切削工具の刃先の設計形状から規定される。実際加工する時の切削工具の刃先の形状が、設計されている形状と異なる形状であった場合は、その刃先の形状誤差が加工誤差となって被加工物の加工精度に影響を与えてしまうことになる。そこで本実施形態の変位測定装置で求めた刃先の形状のデータを、加工プログラムの作成に用いることによって、金型の加工に及ぼす刃先の形状誤差の影響を非常に小さくすることが可能になり、よって金型の加工精度を向上させることができる。ひいてはこの金型を用いて成形される光学素子の形状精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0066】
1…レーザ光源、3…光学系、4…第1の偏光ビームスプリッタ、7a…集光レンズ、8…遮光部材、8a…先端、9…第2の偏光ビームスプリッタ、10a…第1の受光素子、10b…第2の受光素子、12…演算部(演算手段)、14…補正用ミラー(反射部材)、15…駆動源、19…被測定物、20…第3の受光素子、21…測定部(測定手段)、22…補正部(補正手段)、100…レーザ光振れ量検出装置、200…変位測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源から出射されたレーザ光の光軸に直交し且つ互いに直交する2方向の、レーザ光の振れ量を検出するレーザ光振れ量検出装置において、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光を、第1の直線偏光成分と、偏光方向が前記第1の直線偏光成分に直交する第2の直線偏光成分とに分割する第1の偏光ビームスプリッタと、
前記第1の直線偏光成分の振れ方向と前記第2の直線偏光成分の振れ方向とが互いに直交するように前記第1の直線偏光成分及び前記第2の直線偏光成分のうち少なくとも一方の直線偏光成分を光軸まわりに回転させ、前記第1の直線偏光成分の偏光方向と前記第2の直線偏光成分の偏光方向とを直交させた状態で前記第1の直線偏光成分と前記第2の直線偏光成分とを重ね合わせる光学系と、
前記光学系により得られた合成光に含まれる互いに直交する振れ方向の2つの光成分のうち一方の光成分の振れ方向と平行な方向に延びるように形成された先端を有し、前記先端を前記合成光に突出させて前記合成光の一部を遮光するように配置された遮光部材と、
前記遮光部材で遮光されずに通過した通過光を、前記第1の直線偏光成分と、前記第2の直線偏光成分とに分割する第2の偏光ビームスプリッタと、
前記第2の偏光ビームスプリッタにより分割された前記第1の直線偏光成分の光量を測定する第1の受光素子と、
前記第2の偏光ビームスプリッタにより分割された前記第2の直線偏光成分の光量を測定する第2の受光素子と、
前記第1の受光素子により測定された光量から前記2方向のうちの一方向の振れ量を求めると共に、前記第2の受光素子により測定された光量から前記2方向のうちの他方向の振れ量を求める演算手段と、を備えたことを特徴とするレーザ光振れ量検出装置。
【請求項2】
前記遮光部材の位置に前記合成光を集光させる集光レンズを備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーザ光振れ量検出装置。
【請求項3】
前記遮光部材は、前記レーザ光源から出射されたレーザ光に振れがない状態で前記合成光の半分を遮光する位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ光振れ量検出装置。
【請求項4】
レーザ光源と、
前記レーザ光源と被測定物との間に配置され、前記レーザ光源から出射されたレーザ光の振れを補正するための反射部材と、
前記反射部材を駆動する駆動源と、
前記反射部材で反射され、前記被測定物で遮光されずに通過したレーザ光を受光する第3の受光素子と、
前記第3の受光素子の出力変化により前記被測定物の変位を測定する測定手段と、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレーザ光振れ量検出装置と、
前記レーザ光振れ量検出装置の演算手段の演算により得られた前記2方向の振れ量を補償するように前記駆動源を動作させる補正手段と、を備えたことを特徴とする変位測定装置。
【請求項5】
前記被測定物は切削工具の刃先であることを特徴とする請求項4記載の変位測定装置。
【請求項6】
加工プログラムにより切削工具の刃先と金型とを相対移動させて前記金型を切削加工する光学素子成形用金型の製造方法であって、
請求項5に記載の変位測定装置により測定した切削工具の刃先の形状から前記加工プログラムを作成し、作成した前記加工プログラムにより前記切削工具と前記金型とを相対移動させて前記金型を切削加工することを特徴とする光学素子成形用金型の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の金型の製造方法により製造された金型を用いて成形されたことを特徴とする光学素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−22676(P2013−22676A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159246(P2011−159246)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】