説明

ロボットセル

【課題】複数のロボットステーションを組み合わせて構築したロボットセルにおいて、各ロボットステーションのスペース効率の改善、タクトの向上、ロボットステーション内の機材の使用効率の改善を目的とする。
【解決手段】ロボットステーションは、一対のロボットアーム101,102と、ロボットアームのワークスペースに対して撮像面を平行に撮像手段を固定するブース104を備える。撮像手段としてのカメラ106の視野を、隣接するロボットステーションのワークスペースである架台の天盤103aまで広げる。さらに、各ロボットステーションに搭載されるロボットアームの可動範囲を、隣接するロボットステーションのワークスペース内に広げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産システムに組み込まれるロボットを有するユニット化された汎用組立装置(ロボットステーション)を組み合わせて構成される生産システム(ロボットセル)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、小型の電機製品、電子製品等は、多品種少量生産化や製品サイクルの短期化が進んでおり、これらを生産する生産ラインも、生産対象となる製品にあわせて、ライン構成の組み換えが頻繁に行われる傾向がある。こうした生産ラインは、ライン変更のための時間や専用の治具を作る必要があるため、ある程度まとまった数が出ない場合は、自動化生産ラインは見送り、人手によるセル生産で対応しているものが多い。しかしながら、このような場合にあっても、製品の品質の安定や、急激な生産増加等に対応するため、生産ラインの自動化が望まれている。
【0003】
そこで、近年は、汎用利用可能なロボットステーションが注目されている。ロボットステーションを利用したロボットセルでは、被加工物の加工や搬送に、汎用的に利用可能な複数のロボットステーションを再配列して新たなロボットセルを構築することができる。また、急激な生産増加等にも、生産縮小する生産ラインから、汎用的なロボットステーションを取り外し、他のロボットセルに転用することで対応することができる。
【0004】
上記ロボットステーションを用いて、ロボットセルを構築するにあたっては、各ロボットステーション間の被加工物の搬送や、ロボットステーションが有するロボットアームの連携動作が重要である。
【0005】
例えば、特許文献1に記載のロボットステーションでは、組付け作業前の被加工物を予めロボットステーション内のトレイに置き、組付け作業後の加工物も同じロボットステーション内に置く別のトレイに返す設計がなされている。しかしながら、この構成では、同じロボットステーション内に、加工前の被加工物と加工後の加工物を置くことになり、このロボットステーションでロボットセルを構築した際、ロボットステーション内のスペース効率の低下を招く。更に、トレイが一杯になった時点でトレイ内の被加工物を搬送する作業が必要になる。この搬送作業にロボットアームを利用すると、通常の動作の他にトレイの搬送作業が入ることになるためタクトの低下につながる。そこで、専用の搬送装置を設けることも考えられるが、ロボットステーションを構成する部材が多くなり、コストアップするという問題点があった。
【0006】
特許文献2に開示されたロボットセルは、組付け作業前の被加工物載置エリアは、ロボットステーション内にあり、組付け作業後の加工物載置エリアは、隣接するロボットステーション内に用意されている。そのため、ロボットステーションのスペース効率は改善される。しかしながら、ここでの搬送は、単なるプレイバック動作によるもので、常に送りだし側のロボットアームが隣接する定められた場所に機械精度のみで搬送を行うだけである。工程速度や搭載されるロボットアームのエンドエフェクターの仕様に応じて、受け手側のロボットアームが、送りだし側の被加工物を取りにいくような高度な連携は考えられていない。そのため、タクトの向上に限界があり、さらに、ロボットステーションのロボットアームの使用パフォーマンスが低下し、ロボットセル全体のコストアップ要因となる問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−148869号公報
【特許文献2】特開2008−229738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、複数のロボットステーションを組み合わせて構築するロボットセルにおいて、各ロボットステーションのスペース効率の改善、タクトの向上、ロボットステーション内の機材の使用効率の改善を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明に係るロボットセルは、一対のロボットアームと、前記ロボットアームのワークスペースに対して撮像面が平行になるように撮像手段を固定するブースを備え、前記撮像手段からの画像を画像処理する画像処理装置と、前記ロボットアームを制御するロボットコントローラを備えてなるロボットステーションが、少なくとも2つ並設されて構成されるロボットセルであって、各ロボットステーションに備え付けられた前記撮像手段は、そのロボットステーションのワークスペースのみでなく、隣接するロボットステーションのワークスペースにも撮像範囲が及び、前記ロボットステーションのロボットアームの可動範囲は、隣接するロボットステーションのワークスペースまで範囲に含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
各ロボットステーションは、隣接するロボットステーション内においても、自らの作業領域と同様に、被加工物の位置情報等を入手することが可能になる。その結果、各ロボットステーションのロボットアームは、隣接するロボットステーション内においても高度な作業が可能になる。そのため、例えば、各ロボットステーション内の作業において、ロボットアーム数の足りないような作業がある場合、隣接するロボットステーションのロボットアームの活用が可能になる。その結果、各ロボットステーション内のロボットアームの使用効率が改善し、全体としてロボットセルのコストダウンにつながる。
【0011】
また、前記ロボットセルにおいて、各ロボットステーションの撮像手段の撮像範囲は、隣接するロボットステーションのワークスペースに及ぶ。各ロボットステーションのロボットアームの可動範囲も、隣接するロボットステーションの撮像範囲にも及ぶ。
【0012】
各ロボットステーションのロボットアームは、隣接するロボットステーションの作業に活用することができるようになる。その結果、例えば、被加工物を搬送する場合、送り手側から常に受け手側に対して、送り手側のロボットステーションのロボットアームが受け手側のロボットステーションの作業領域に、被加工物を搬送するケースに限定する必要はない。ロボットアームの使用状態に応じて、送り手側のロボットステーションのロボットアームが、被加工品を送りだしたり、あるいは、受けて側のロボットステーションのロボットアームが、被加工品を取りにいくという臨機応変な対応をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るロボットセルを構成するロボットステーションの一例を示す模式斜視図である。
【図2】本発明に係るロボットセルの第1の実施の形態を示す模式斜視図である。
【図3】図2に示したロボットセルのうち、図2右側の隣接する3つのロボットステーションをブースの支柱を省略して示す模式部分斜視図である。
【図4】図3に示すロボットステーションの配置と、撮像手段がカバーする撮影範囲と、ロボットステーションに備え付けられたロボットアームの最大可動範囲をロボットセルの上方から見た見取り図である。
【図5】本発明に係るロボットセルの第2の実施の形態を示し、ロボットセルの上方から見た図4と同様の見取り図である。
【図6】本発明に係るロボットセルの第3の実施の形態を示し、ロボットセルの上方から見た図4と同様の見取り図である。
【図7】ロボットセルの撮像手段の一例を示す模式斜視図である。
【図8】図7に示す撮像手段における各カメラの有効視野範囲を示す説明図である。
【図9】本発明に係るロボットセルの第4の実施の形態を示し、隣接するロボットステーションの撮像手段の視野範囲を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るロボットセルの第1の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。本実施の形態は、被加工物をレンズ鏡筒とし、これに各種の部品等を組み付けるロボットセルである。しかし、本発明の実施の形態は、これに限るものではなく、本発明の技術的思想範囲内において、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0015】
図1は、本発明に係るロボットセルを構成する単位ユニットであるロボットステーションの模式斜視図である。ロボットステーションEは、一対のロボットアーム101,102、架台103、ブース104、固定機材105、カメラ106、照明107等を備えている。
【0016】
(ロボットアーム)
一対のロボットアーム101,102は、6軸制御可能であり、各ロボットアームの先端部分には、各種作業に応じて様々なエンドエフェクターを取り付けることができる。ここでいうエンドエフェクターとは、人間でいう指に相当する部分であり、例えば、一方のロボットアーム101には、細かい作業を可能にするピンセットを備えるピンセットハンド101aを、エンドエフェクターとして装着している。また、他方のロボットアーム102には、レンズ鏡筒等の比較的大きな部材の搬送を請け負うグリッパーハンド102aをエンドエフェクターとして装着している。
【0017】
(架台)
架台103は、基本的には、一対のロボットアーム101,102を固定し、ロボットアームが各種作業を行うためのワークスペースを提供する箱体である。本実施の形態では、架台103の天盤103aがワークスペースの役目を果たし、天盤103aは正方形状になっている。天盤103aの対角2角部分には、1本ずつ、合計2本のロボットアーム101,102の根元が固定されている。なお、架台103は、ステンレス製の支柱と側面板と天盤103aで構成されるが、ロボットアーム101,102は、ステンレス製の支柱に強固に固定されている。一対のロボットアーム101,102の固定箇所を除く、架台103の天盤103a全域を、ワークスペースとして利用することができる。
【0018】
天盤103aには、一対のロボットアーム101,102が使用できる各種の加工ツール等を載置するための台座や部品を入れておくトレイ等を固定できるように、一定間隔で穴が設けられている。この穴を利用して、各種の台座やトレイ等を固定することで、一定精度の位置決めが確保できる構成になっている。また、天盤103aには、キヤリブレーションに使用するマーカーが刻まれていても良い。その場合は、一対のロボットアーム101,102を固定した天盤103aの対角2角部分ではない天盤103aの残る2角部分の近傍が好ましい。
【0019】
一対のロボットアーム101,102の制御には、ロッボトアーム内に内蔵されているモータの制御を行い指令値にそった動作を行わせるためのロボットコントローラが必要である。このロボットコントローラも、架台103の箱体内部に配置されている。また、このようなロボットステーションEは、ロボット制御に伴うロボット自体の持つ公差、被加工物や部品自体の持っている公差、熱や光等による外乱で生まれるさまざまな公差を、ロボット指令値を修正することで許容公差内に収束させる。そのため、カメラ撮影とその撮影した画像を処理する画像処理装置が必要になる。この画像処理装置も、架台103の箱体内部に配置されている。
【0020】
(ブース)
ブース104は、架台103の天盤103aのワークスペースに対して、カメラ撮像面が平行になるようにカメラ106を固定するための剛性を持つ支柱により組み上げられた骨組体である。本実施の形態では、このようなブース104を、架台103が接触しない程度に離間する大きさの骨組体で構成されている。
【0021】
なお、ブース104に取り付けるカメラ106は、隣接するロボットステーションEの架台103の天盤103aも、視野に入れる必要がある。そのため、前記骨組体は、側面側、即ち、隣接するロボットステーションEが配置される側には、隣接するロボットステーションEの架台103の天盤103aに対して、カメラ106に死角を作るような位置に、骨組体を配置しないように注意を要する。
【0022】
また、ブース104は十分な高さを確保する必要がある。これは、ブース104に取り付けるカメラ106は、広角になればなるほど、カメラ106の撮る被写体が見る角度によって発生する形状変化が大きくなるからである。形状変化が大きくなると、被写体から測定のために抽出したい領域の分離が難しくなるだけでなく、測定精度も大幅に劣化する。例えば、本実施の形態では、被加工物である鏡筒を被写体としているが、この鏡筒は、真上から見れば上面領域である円のみしか見えないが、斜上から見れば、鏡筒の上面領域は楕円になり、更に鏡筒の側面領域も見えるようになる。本実施の形態での測定領域は、このうち鏡筒の上面領域のみなので、斜上から見た鏡筒の画像では、鏡筒の上面領域の抽出作業が必要になる。更に、上面領域と側面領域の面積比は、どの程度斜め上から見るかで決まる。そのため、見る角度がつけばつくほど、上面領域の面積は減り、抽出しにくくなるのみならず、この面積が位置精度に大きく影響を与える。これを抑えるには、カメラ106の画角を狭くすることが効果的であり、これを実現するには、ブースの高さは高い方が好ましく、少なくともカメラ106の画角が45度未満、更に好ましくは30度未満になるような高さが好ましい。
【0023】
(カメラ)
ブース104に対してカメラ106は、固定機材105を用いて架台上面からそのカメラ106が備え付けられたロボットステーションEの天盤103aの全域と、隣接するロボットステーションEの天盤103aの一部を視野範囲に入れる画角で設置される。
【0024】
固定機材105は、前述のブース104の支柱に設けられている溝を用いて平行度を確保するとともに、必要な位置にネジ止めで固定される。また、固定機材105は、カメラ106を固定するとともに、照明107も固定できるようになっている。本実施の形態では、カメラ106のレンズの周囲に方環状のLED照明を配置することで、そのカメラ106が備え付けられたロボットステーションEのワークスペース上の被加工物Wに対して、均一な照明を実現している。カメラ106は、広い視野を有する必要があるため、高画素タイプであることが好ましい。具体的には10Mピクセル以上であることが好ましく、カメラ106と画像処理装置の間は、FA用の一般規格であるカメラリンク規格で接続を行っている。
【0025】
なお、本実施の形態では、撮像手段は、単一のカメラ106からなるが、複数のカメラで構築しても良い。複数のカメラで撮像した画像は、それぞれ画像処理装置に送られ、画像処理により合成され1枚の画像に統合される。
【0026】
このように撮像手段を構成することで、各カメラ106の画角を狭くすることができる。これは複数のカメラ106で画像を取得する場合に同じ高さから撮影すると仮定した場合、個々のカメラ106の画角は、同じ領域を撮影する1つのカメラ106より狭くて済むためである。合成した画像は、1つのカメラ106で更に高い位置から、狭い画角で撮影した画像と同じになる。つまり、撮像手段を複数のカメラ106で構成すれば、ブース104の高さを低くできることに直結する。ロボットステーションEのカメラ106の撮影において、振動はつきものであり、本実施の形態のように、ロボットアーム101,102のような振動源がある場合、カメラ106の撮影は、振動が収まるまで待つ必要がある。この振動の周期は、ブース104の高さが高いほど長くなる。
【0027】
従って、複数のカメラで撮像手段を構成することで、この振動周期を短くすることができるようになり、ロボットセルのタクトを向上させることが可能になる。更に、ロボットステーションEの高さが低くなれば、部材費の節約ができる。また、照明107は距離の2乗に明るさは減少するため、ブース104の高さを低くできれば、必要な明るさを得るための照明107のパワーも低下させることができる。更に、各個のカメラ106の撮像範囲も狭くなるため、1台で構成する場合に比べ、各個のカメラ106の必要分解能が少なくて済む。これは、各個のカメラ106の画素数が少なくてもいい事を示し、これにより、各個のカメラ106からの画像転送時間を短縮することが可能になる。
【0028】
図2は、ロボットステーションが少なくとも3つ並設されて構成されたロボットセルの模式斜視図である。
【0029】
ロボットセルは、一列に連結された8台のロボットステーションE−1〜E−8から構成されている。
【0030】
自動台車110は、工場の床に設置されたテープ111等の順路を読み取り、自動搬送を行う移動体である。自動台車110の天盤110aにトレイ120が載置してあり、数多くの被加工物Wあるいは加工物Pを、このトレイ120に載せ、異なる作業や加工を行うロボットセルあるいは、人セルとの間を行き来する。図中矢印は、このロボットセル内で被加工物Wが搬送される方向を示している。
【0031】
被加工物Wを載置された自動台車110は、ロボットセルを構築する一端側のロボットステーションE−1に隣接して停止する。また、加工物Pを載置する自動台車110も、他端側のロボットステーションE−8に隣接して停止し、この状態で、ロボットセルにおける組立て作業は行われる。
【0032】
ロボットステーションE−1内には、前述した被加工物Wを一時的に載置するトレイは設置されていない。ロボットステーションE−1に配置された一方のロボットアーム101は、隣接する自動台車110の天盤110aに載置された被加工物Wを直接つかみ、ロボットステーションE−1内で作業を行うための所定位置に、被加工物Wを搬送する。また、ロボットステーションE−1のブース104に備え付けられたカメラ106は、ロボットステーションE−1の架台103の天盤103aだけでなく、隣接して停止する自動台車110のトレイ120も視野に入るように設置される。
【0033】
他端側のロボットステーションE−8も、隣接して停止している自動台車110のトレイ120に対して、加工された加工品Pを、ロボットステーションE−8の他方のロボットアーム102により搬送し、順に並べていく動作を行う。ロボットステーションE−8のブース104に備え付けられたカメラ106も、ロボットステーションE−8の架台103の天盤103aだけでなく、隣接して停止する自動台車110のトレイ120も視野に入るように設置されている。
【0034】
この他のロボットステーションE−2〜E−7についても、各ロボットステーションのブース104に備え付けられたカメラ106は、そのカメラ106が備え付けられたロボットステーションの天盤103aを視野範囲にするだけでない。加えて隣接するロボットステーションの天盤103aの一部、好ましくは、組立て作業を行う領域まで含む視野範囲を有する。
【0035】
図3は、図2のロボットセルのうち、隣接する3つのロボットステーションE−6,E−7,E−8の部分を拡大して表示した模式斜視図である。この図では、ロボットステーション内のワークスペースを、わかりやすく表示するため、ブースの支柱は省略している。ロボットステーションE−6は、一対のロボットアーム101,102、架台103、カメラ106、部品供給装置130を有している。ロボットステーションE−7から見て被加工物Wを待機させておく待機領域E−7,140、部品を組み付ける作業領域E−7,150、加工された被加工物を待機させるスペースE−8,140、前記加工された被加工物を待機させるスペースは、隣接するロボットステーションE−8の天盤103aに設けられている。
【0036】
図4は、図3のロボットステーションの配置と、カメラ106がカバーする撮影範囲と、各ロボットステーションに備え付けられたロボットアーム101,102の最大可動範囲をロボットセルの上面から見た見取り図である。
【0037】
以下、図3、図4を参照して、本発明に係るロボットセルでの被加工物、加工物の動きと、ロボットアームの利用法、ブース天井に設置されているカメラ106の画像の取り扱いについて、説明する。
【0038】
まず、ロボットステーションを稼働させるにあたっては、撮像手段であるカメラ106単体のキヤリブレーションと、カメラ106とロボットに装着したエンドエフェクターとのキヤリブレーションを実施する必要がある。これは、カメラ106の取り付け位置や、傾き等をロボットステーション毎で一定精度内に押さえることは非常に大変で、メカ精度だけでは保証できないためである。そのため、カメラ106で、視野内の異なる位置にキヤリブレーションプレートを置いて撮影し、その画像から、カメラ106の取り付け位置や傾き等を校正するカメラパラメータ補正値を導出する。これが、撮像手段単体のキヤリブレーションである。
【0039】
その後、カメラ106で得た画像は、このカメラパラメータ補正値を用いて、画像上の位置情報を、カメラ106の取り付け位置や傾き等を校正したカメラ座標に変換して使用する。次に、既知のロボット座標と一定の精度保証されたキヤリブレーションマークを、少なくとも1か所以上、好ましくは3ケ所以上撮像する。カメラ座標を前述のカメラパラメータ補正値から求め、既知のロボット座標との相関パラメータを求めることで、実際にロボットアームが動作するロボット座標系との関係式を作成する。そして、カメラ座標(X,Y)にあたる位置がロボット座標(X1,Y1)に変換するロボット座標変換式を構築する。これが、ロボット−撮像手段間のキヤリブレーションである。
【0040】
このキヤリブレーションについて、本実施の形態では、以下のようにして実施する。
(1)カメラ106の視野範囲内であって、撮影する天盤103a毎に、1直線上に並ばない位置に3枚の公知のキヤリブレーションプレートを配置する。本実施の形態では、隣接するロボットステーションの両隣の天盤103aも視野範囲内である。そのため、右隣のロボットステーションの天盤103aに3枚、本カメラ106を備え付けられた直下のロボットステーションE−7の天盤103aに3枚、左隣のロボットステーションE−6の天盤103aに3枚、合計9枚のキヤリブレーションを配置する。各天盤103a毎に、キヤリブレーションプレートを準備して、キヤリブレーションを行うのは、複数の天盤間で、カメラ106に対する煽り等、メカ精度的に、同一であると判断できないパラメータがあるためである。そのため、本実施の形態では、撮像手段単体のキヤリブレーションは、カメラ106で得た画像を、各天盤103aの撮影位置にあわせて、3つの領域に区切り、それぞれの領域で、カメラパラメータ補正値を算出する。なお、これらのキヤリブレーションプレートは、各天盤103a上に、最初から刻み込んでおいても良い。また、一度に撮影する必要はないので、1枚のキヤリブレーションプレートを順番に9度撮影しても良い。各天盤103a毎に、3枚単位でキヤリブレーションプレートを準備しておき、順番に3度撮影してもよい。
【0041】
(2)画像処理装置のカメラ単体キヤリブレーションプログラムを起動する。
プログラムは、合計9枚のキヤリブレーションプレートを、天盤103a毎に自動撮影し、この画像情報を用いて公知のキヤリブレーション手法により、撮像手段単体のカメラパラメータ補正値を算出する。
【0042】
カメラバラメータ補正値の値は、各天盤103a毎に1セット導出され、合計3セットのカメラパラメータ補正値が導出される。なお、導出されたカメラパラメータ補正値は、画像処理を行う撮影画像領域に応じて使い分ける。例えば、右隣の天盤103aに該当する領域の画像であれば、右隣の天盤103aで実施したキヤリブレーションで算出したカメラパラメータ補正値を利用してカメラ座標の算出を行う。カメラ106で得た画像のどの領域が、どのロボットステーションの天盤に該当するかは、人による教示により予め実施すればよい。
【0043】
(3)次に、キヤリブレーションプレートを取りさる。
その上で、カメラ−ロボット間のキヤリブレーションプログラムを起動する。プログラムは、カメラを有するロボットステーションEの天盤103aに刻まれたマークを読み取り、前記マークに対応する既知のロボット座標とマークに対応するカメラ座標を用いて、カメラ座標からロボット座標への変換式を得る。前記カメラ座標は、各天盤103aの位置に対しても共通の座標系であるから、左右に隣接するロボットステーションEの天盤103aの画像も、対応するカメラパラメータ補正値により、カメラ座標を算出し、前記カメラ座標をロボット座標に変換することができる。そうすることで、隣接するロボットステーションの架台天盤においても、本撮像手段の備えつけられたロボットステーションのロボットアームを制御することが可能になる。
【0044】
上記のキヤリブレーション作業は、ロボットセルを構成する各ロボットステーションが保有するカメラ106毎で行う必要がある。そのため、カメラ単体のキヤリブレーションに使うキヤリブレーションプレートの配置位置は、隣接するロボットステーションの撮像手段106と、ロボットステーションの撮像手段の共通視野で行うことが望ましい。共通視野で行い、同時にロボットステーション1,2でキヤリブレーションプログラムを稼動させることで、前記キヤリブレーションプレートの配置作業を、撮影回数に比して少なくすることができる。
【0045】
なお、被加工物や加工物を搬送する自動台車110の天盤110aとのキヤリブレーションは、自動台車110が、搬送動作を停止して所定位置に来る度に行う必要がある。これは、キヤリブレーションは、撮像手段としてのカメラと撮影対象である天盤の位置関係の補正に他ならないからであり、撮影対象である天盤103aが動くような場合は、その度に修正する必要があるためである。そのため、自動台車110には前記キヤリブレーションプレートは、所定位置に常に配置しておくことが好ましい。
【0046】
次に、本実施の形態によるロボットステーションの被加工物の搬送動作と、その画像処理を中心に、本発明について、実施の形態の説明を行い、その効果を詳しく説明する。
【0047】
各ロボットステーションEに備え付けられているカメラ106の視野が、そのカメラ106の取り付けられたロボットステーション100のワークスペースのみならず、隣接するロボットステーションのワークスペースまで及ぶことである。ロボットステーションE−7のカメラ106は、その視野範囲200は、カメラ106が備え付けてあるロボットステーションE−7の天盤103aのみならず、両隣のロボットステーションE−6とE−8の天盤103aの一部も視野に捉えている。
【0048】
なお、カメラ106は、CCD等の固体イメージセンサーを備えたビデオカメラであり、固体イメージセンサーとして、横縦比16:9の画角を有するものを使用している。その上で、16:9のイメージセンサー縦寸法を、正方形状の天盤103aの縦寸法に対応させた画角とした。そのため、図4の視野範囲506は、正方形状の天盤103aの全域をカバーした上で、両側の天盤103aの一部も、視野範囲として十分にカバーすることができる。図4では例えばロボットアーム101の天盤に対する取り付け位置を中心とする可動範囲を点線の半円で描き、組み立て作業領域204として示した。
【0049】
本実施の形態では、上記のような視野範囲をとることで、カメラ106を備え付けたロボットステーションEのロボットアーム101,102は、隣接するロボットステーションEの天盤103aでも、画像処理による動作位置の修正が可能になる。その結果、高精度な動作が可能になるだけでなく、状況に応じた動きもできるようになる。例えば、従来、機械精度のみに頼っていたプレイバック搬送動作に、位置補正動作を行うことができるようになる。本実施の形態では、図3に示すように被加工品Wの待機領域140には、複数の被加工品Wを待機させることができるスペースを確保している。すなわち、作業領域150から隣接するロボットステーションE−7の待機領域140に、加工品Pを搬出する際、まず、カメラ106により、待機領域140の状態を確認する。その上で、待機領域140に以前に搬出した加工品Pがまだ残っている状況であっても、待機領域140内で、空いている領域を確認した上で、その空き領域に対して、他方のロボットアーム102を用いて加工品Pを搬出することができる。
【0050】
このように動作させることで、1つのロボットステーションの不良動作に引きずられて、ロボットセルの動作が停止するという事態を避けることができる。
【0051】
例えば、接着剤の塗布のような組み立て作業を中断すると、接着剤が固まってしまう場合がある。このようなケースでは、一旦動作を停止すると、再開するような場合、接着剤の塗布をやり直し、又は接着剤の塗られた被加工品を廃棄する必要がでてくる。しかしながら、前述したように、待機領域に複数の加工品を待機させることができれば、作業を一時中断することなく接着剤の固着が問題にならないところまで工程を進める。その後、被加工物を待機領域に退避することで、前述したやり直し等の問題がなくなるというメリットがある。
【0052】
図5は、本発明の別の実施形態で、固体イメージセンサーを、図4の16:9のイメージセンサーから、4:3のイメージセンサーに変更したものである。図5は、この実施の形態での、ロボットセルの上面から見た見取り図を示している。
【0053】
カメラ106は、両隣のロボットステーションE−6,E−8を視野に入れるのではなく、カメラ106を備え付けているロボットステーションの架台103の上面と、搬出側のロボットステーションの待機領域140をカバーする視野範囲400に限定している。しかしながら、本実施の形態でも、前述したロボットステーションと同様な動きが可能である。しかも、視野範囲が2つのロボットステーションの天盤103aに限定されることで、前述したキヤリブレーションは、2つの天盤103aに対して行えば良いだけなので、手間が省けるという利点がある。更に、一般的に16:9の固体イメージセンサーより、4:3のイメージセンサーの方が、よりポピュラーであるため、撮像手段としても入手しやすく、設計自由度の向上が図れるメリットがある。
【0054】
図6は、本発明の別の実施形態で、撮像手段に4:3の固体イメージ素子を有するカメラを2台使用して、視野を拡大した構成である。図6は、この実施の形態で、ロボットセルの上面から見た見取り図を示している。図6は、ロボットステーションE−7に備え付けられたカメラ106の視野を示しており、ロボットステーションE−8に備え付けられた撮像手段の視野を示す。この実施の形態では、ロボットステーションE−7の組立作業領域である150を、視野502が含んでいる。そのため、この実施の形態では、ロボットステーションE−8のロボットアーム101は、ロボットステーションE−7の図中の点線の半円にて示される組み立て作業領域の一部である組み立て作業領域203で制御可能であり、具体的には、組み立て完了した加工品を引き取るという動作も可能になる。これは、次のような事由でメリットが大きい。一般に、ロボットステーションは、さまざまな工程で使用するため、実施する工程により、ロボットアームのエンドエフェクターを付け替える必要があり、様々な組み合わせが考えられる。例えば、鏡筒のような被加工品あるいは加工品をつかみ、搬送するには、エンドエフェクターとして、ある程度の大きさの搬送を想定したグリップハンドのようなエンドエフェクターが必要になる。
【0055】
しかしながら、このようなグリップハンドは、精密な作業にはむかないため、精密な組み立て作業には、エンドエフェクターとしては、ピンセットハンドが必要になる。ピンセットハンドは、文字通り、ピンセットを持ったエンドエフェクターであり、このようなエンドエフェクターでは、鏡筒のような大きな物品の搬送を行うことはできない。従って、ピンセットハンドを2つ要するような工程が必要になった場合、被加工品の搬送ができなくなる。その対応策として、作業工程の途中で、ロボットアームが、エンドエフェクターを交換することも考えられる。しかしながら、エンドエフェクターの交換作業は、容易ではない場合が多い。また、その精度をあわせるため多くの時間を必要とする。そのため、工程の途中で、エンドエフェクターを交換することは大幅なタクトの低下になり、実際上は難しい。しかしながら、本実施の形態では、例えば、ロボットステーションE−6からロボットステーションE−7への搬送は、ロボットステーションE−6のロボットアーム102のエンドエフェクターをグリップハンドにしておくことで搬送可能である。また、ロボットステーションE−7からロボットステーションE−8への搬送は、ロボットアーム102のエンドエフェクターをグリップハンドにしておくことで可能になる。そのため、ロボットステーションE−7のロボットハンド102のエンドエフェクターを、双腕共に、ピンセットハンドに設定することも可能になる。このため、ロボットセルを構築する上で、各ロボットステーションのエンドエフェクターの選択の範囲が広がり、ロボットセルの構築が容易になるというメリットがある。
【0056】
図7は、図6の実施の形態の撮像手段を示している。撮像手段は、カメラ2台を並列に配置してなる。各カメラ106a,106bには、各々、4:3のCCD等のイメージセンサーが搭載されており、2つのカメラ106a,106bで、6:3の有効画角を形成する。また、各カメラ106a,106bの周囲には、カメラ106a,106bが備え付けられている直下のロボットステーション101の架台103の天盤103aを照らすLED照明107が設けられている。図8は、図7の実施の形態にかかわる撮像手段の各カメラ106の有効視野範囲を示している。601,602は、各カメラの有効視野範囲。603は、各カメラの有効視野領域が重なった部分を示し、各カメラ有効視野を、横方向に、全体の1/3重なるように配置して、全体として画角6:3を実現している。
【0057】
このように、複数のカメラを有する場合も、前述したカメラ単体のキヤリブレーションは必要であり、各カメラ毎に、視野領域に含む天盤毎に、キヤリブレーションプレートを配置して、カメラパラメータ補正値を、予め算出しておく必要がある。例えば、カメラ106a,106bが2台として、各カメラ106a,106bが、視野に、それぞれ2つの天盤の領域を含む場合、少なくとも1直線上に並ばないキヤリブレーションプレートが、3×2×2枚、必要となる。そして、得たカメラパラメータの補正値により、画像領域毎にカメラ座標系を算出し、それを更にロボット座標系に変換して、撮像手段を備え付けているロボットステーションのロボットコントローラに伝え、ロボットアームを指示、制御を行う。なお、撮像手段を備え付けているロボットステーションの架台103の天盤103aに対するキヤリブレーションは、前述の1/3重なる領域で行うことにより、1回減らすことが可能である。この場合、必要なキヤリブレーションプレートが、3×3枚で良いことになる。
【0058】
1/3重なる領域は、ステレオ撮影画像としても利用可能であり、この1/3重なる領域では、いわゆる3角測量の原理で、これまで述べた2次元画像としての処理だけでなく、被加工物の奥行き方向の寸法値も加えた3次元位置の測定にも使うこともできる。
【0059】
この3次元位置情報は、そのまま物品の奥行情報として使用してもよいが、キャリブレーションの際に、個別カメラ106a,106bが撮影する2次元平面の架台103からの高さ情報を得る事に使用する事もできる。こうする事で、個別カメラ106a,106bをキヤリブレーションを行う際、キヤリブレーションプレートの高さ情報をいちいち入力する必要がなくなるというメリットもある。
【0060】
上記ステレオ撮影画像の原理は、同一のロボットステーションに備え付けられた撮像手段の共通視野だけでなく、隣接するロボットステーション101とロボットステーション102の間の共通視野においても、同様な原理で3次元位置の測定は可能である。但し、これを実現するには、お互いのロボットステーション間で、画像又は画像処理結果を、双方の画像処理装置間で通信する必要がある。
【0061】
図9は、本発明の別の実施形態を示す。
【0062】
図9は、図3のロボットステーションの天盤103aに相当する、E−6〜E−8に対応するロボットステーションを示す。
【0063】
ロボットステーションE−6,E−7に備え付けたカメラ106の視野範囲701,702を示している。
【0064】
本発明の特徴は、ロボットステーションE−6に備え付けられた撮像手段と隣接する別のロボットステーションE−7に備え付けられた撮像手段の共通視野範囲内703に、お互いの位置関係を関係つけるキヤリブレーションマーク704が存在する点にある。図6の実施の形態に示すように、隣接するロボットステーションの組み立て作業領域150まで、撮像手段の視野範囲とするには、極端に横長の視野範囲が必要になる。そのため、単一のカメラで撮像手段を形成するのは難しい。
【0065】
そこで、本実施の形態では、隣接するロボットステーションの撮像手段との間に、少なくとも1つ、好ましくは3つ以上のキヤリブレーションマーク704を設ける。そして、ロボットステーションE−6の撮像手段で得たキヤリブレーションマーク704に対応するロボット座標と、隣接する別のロボットステーションE−7に備え付けられた撮像手段で得たロボット座標の対応付けを行う変換式を形成する。これを行うことで、たとえばE−6のロボットステーションE−6のロボット座標(Xr1,Yr1)に対応した、隣接するロボットステーションE−7のロボット座標(Xr2,Yr2)を求めることができるようになる。この結果、例えば、ロボットステーションE−6の有効視野範囲外である隣接するロボットステーションE−7の組み立て作業領域に対して、ロボットステーションE−6のロボットアーム102により、補助作業を行うことが可能になる。
【0066】
なお、これを実現するには、お互いのロボットステーション間で画像又は画像処理結果を双方の画像処理装置間で通信する必要がある。その上で、お互いのロボットステーションのロボットコントローラで、双方のロボット座標(Xr1,Yr1)→(Xr2,Yr2)の変換式、(Xr2,Yr2)→(Xr1,Yr2)の変換式を構築する。その結果、ロボットアームを有するロボットステーションの撮像手段の有効視野外であっても、必要に応じて前記ロボットアームを隣接するロボットステーションの補助作業領域で利用できることが可能になる。
【0067】
前記ロボットセルにおいて、ロボットステーションに備え付けられた撮像手段の撮像範囲は互いに共通領域を有し、各々の撮像手段が捉えた画像又は組み付け画像処理結果を送信あるいは受信する手段を有している。このため、各ロボットステーションの撮像手段は、ステレオ撮像ができるようになり、従来からの2次元情報に限らず、高さ方向の3次元情報を捉えることが可能になる。そして、これを使うことでさらに高度な各ロボットステーションのロボットアームの連携動作が可能になる。例えば、このステレオ撮影を用いて、ロボットアームがつかんでいる被加工物の3次元位置を測定することが可能であり、ロボットステーション間で、各々のロボットアームが立体交差するような動き等に対応することができる。
【0068】
前記ロボットセルにおいて、ロボットステーションに備え付けられた撮像手段と、隣接するロボットステーションに備え付けられた撮像手段の共通視野範囲内に、お互いの位置関係を関係付けるキヤリブレーションマークを有する。
【0069】
このため、ロボットステーションのロボットアームは、隣接するロボットステーションの撮像手段により得られる画像から得られるカメラ座標を利用して、必要なロボット座標を得ることができるようになる。これにより、ロボットステーションが有するロボットアームは、ロボットステーションの有する撮像手段の撮影範囲外においても、ロボットコントローラにより、高度な処理ができるようになる。
【0070】
ロボットセルにおいて、各ロボットステーションのワークスペースは、正方形状であり、各ロボットステーションに備え付けられた撮像手段は、横縦比16:9又は、3:4の画角を有している。そして、前記画角の長辺方向は、ロボットステーション内を通過する被加工物の搬送方向と同じ方向である特徴を有している。このため、撮像手段に取り付けられているイメージセンサーの画素を有効に利用することができる。各ロボットステーションが有するロボットアームが、隣接する第2のロボットステーションで作業を行うには、各ロボットステーションのワークスペースは、正方形状であることが好ましい。これは、正方形状に対角する2角に、それぞれロボットアームを持ってきて、並べることで、お互いの可動範囲のダブりを少なくできるため、ロボットアームの制御が容易になるからである。
【0071】
一方、一般にカメラ等の撮像手段に設けられるイメージセンサーの形状は、テレビの画角に合わせて作成されており、横縦比4:3または16:9である。そこで、ワークスペースの短辺側をイメージセンサーの短辺側になるように画角を合わせ、イメージセンサーの撮影領域が、ワークスペースからはみ出る領域を、隣接するロボットステーションのワークスペースに振り向ける。これにより、イメージセンサーの有効画素領域を有効に利用できる。
【0072】
前記ロボットセルにおいて、各ロボットステーションに備え付けられた撮像手段は、複数のカメラにより構成され、複数のカメラにより撮られた映像は、互いに関連つけられ、1枚の画像として処理される特徴を有する。このため、必要な箇所に、複数の必要な分解能のカメラを置き、それを1枚の画像としてとらえることで、1つの撮像手段の総画素数を抑えることができ、現状存在しないような高画素の撮像手段を得ることができるメリットがある。さらに、異なる場所に複数のカメラを置くことで、1つのカメラの画角を狭くしても、全体としては広範囲な画像を得ることができる。その結果、定められた画角を得るためのブースの高さを低くできるというメリットがある。
【符号の説明】
【0073】
E ロボットステーション
101,102 ロボットアーム
103 架台
103a 天盤
104 ブース
105 固定機材
106 カメラ
107 照明
110 自動台車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のロボットアームと、前記ロボットアームのワークスペースに対して撮像面が平行になるように撮像手段を固定するブースを備え、前記撮像手段からの画像を画像処理する画像処理装置と、前記ロボットアームを制御するロボットコントローラを備えてなるロボットステーションが、少なくとも2つ並設されて構成されるロボットセルであって、
各ロボットステーションに備え付けられた前記撮像手段は、ロボットステーションのワークスペースのみでなく、隣接するロボットステーションのワークスペースにも撮像範囲が及び、
前記ロボットステーションのロボットアームの可動範囲は、隣接するロボットステーションの前記ワークスペースまで範囲に含むことを特徴とするロボットセル。
【請求項2】
各ロボットステーションに備え付けられた撮像手段の撮像範囲は、互いに共通領域を有し、隣接するロボットステーションで各々の撮像手段が捉えた画像または画像処理結果を、送信あるいは受信する手段を有することを特徴とする請求項1に記載のロボットセル。
【請求項3】
各ロボットステーションに備え付けられた撮像手段と隣接するロボットステーションに備え付けられた撮像手段の共通視野範囲内に、お互いの位置関係を関係付けるキヤリブレーションマークを有することを特徴とする請求項1または2に記載のロボットセル。
【請求項4】
各ロボットステーションのワークスペースは、正方形状であり、前記ロボットステーションに備え付けられた撮像手段は、横縦比16:9又は、3:4の画角を有し、前記画角の長辺方向は、ロボットステーション内を通過する被加工物の搬送方向と同じ方向であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のロボットセル。
【請求項5】
各ロボットステーションに備え付けられた撮像手段は、複数のカメラにより構成され、複数のカメラ手段により撮られた映像は、互いに関連つけられ、1枚の画像として処理されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のロボットセル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−86333(P2012−86333A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237109(P2010−237109)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】