説明

ロボット用関節装置

【課題】 関節装置のロボットの各関節部への共用化を可能にし、関節軸のハンチングをなくし、位置センサーのゼロ点調整及び位置センサーの作動角の変更を可能にする。
【解決手段】 ハウジング本体11を結合部材で結合した第1及び第2収容体111,112から構成し、この第1及び第2収容体111,112の他端間には関節軸12を差し渡し状態にして回転可能に設け、第1収容体111に設けられたモータ16の回転を第1収容体内に配設された減速機構17を通して関節軸12に伝達し、関節軸11に固定した連結ブロック13を利用して別構成の関節ユニットとの結合を可能にし、さらに、第2収容体112に設けた回転角変更機構19により関節軸の回転角度に対する作動角を変更して位置センサーに伝達する構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二足歩行する人間型ロボットや四足歩行する動物型ロボット等の各関節部を構成するロール軸、ピッチ軸、ヨー軸などの駆動に用いられるロボット用関節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、二足歩行する人間や四足歩行する犬等のおける生体のメカニズムや動作を模した構造を有するロボットにおいて、首、肩、腕、手首、腰、脚、足首等の関節部に用いられるロボット用関節装置は、例えば人間型ロボットにおける腕部ユニットの上腕部や前腕部を形成するハウジングと、このハウジング内に装着されたモータと、例えば腕部ユニットの上腕部と前腕部とが揺動可能に連結されるようにハウジングに設けた関節軸(ロール軸、ピッチ軸、ヨー軸に相当する)と、ハウジング内に装着されモータの回転を減速して関節軸に伝達するギヤ列からなる減速機と、ハウジング内に装着され関節軸の回転角度を検出するポテンショメータ(位置センサー)等を備える構成になっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなロボット用関節装置において、制御部から送られてくる指令信号を駆動回路を介してモータに供給することにより当該モータを駆動し、このモータの回転は減速機で減速されて関節軸に伝達され、関節軸を指令信号に応じた角度回転させる。これに伴い、例えば腕部ユニットの上腕部に関節軸を介して連結された前腕部が関節軸を支点にして揺動される。これと同時に、関節軸に直結されたポテンショメータにより関節軸の回転角度が検出され、ポテンショメータから出力される回転角度信号はモータの駆動回路にフィードバックされる。これにより、関節軸を支点とする前腕部を指令信号で指定された角度に制御するようにしている。
【特許文献1】特開2000−218589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような従来のロボット用関節装置においては、ハウジング内部に装着されるモータや減速機、関節軸、ポテンショメータなどの駆動系要素の共通化が可能であるものの、これらを収容するハウジングの形状は、ロボットを構成する首、肩、腕、手首、腰、脚や足等の構成要素によって異なるため、ロボット用関節装置自体をロボットの首関節、肩関節、腕の肘関節、手首関節、脚の股関節、膝関節、足首関節などに共用することができず、ロボット構成要素毎に別々に構成しなければならない。そのため、ロボットの製作コストが上昇するという問題がある。
【0005】
また、従来の小形ロボットに使用される関節装置では、関節軸の回転角度が目標値付近に達する時、関節軸にハンチング(小刻みな振動)が発生し、このハンチングがロボットの実際の歩行動作等に悪影響を与えるという問題がある。この問題を解決するためにモータにブレーキ機構を組み込むことが提案されているが、このような構成にすることは関節装置の構造を複雑かつ大型化し、小形ロボットへの適用を困難にするほか、モータの制御も複雑化するという問題がある。
また、従来のロボット用関節装置に用いられるポテンショメータの回転軸は関節軸に直結された構成になっているため、ポテンショメータのゼロ点調整を行うと関節軸の角度も変更されてしまい、関節軸の角度を正確に検出することができないという問題がある。
【0006】
本発明は上記のような従来の問題点を解決するためになされたもので、ロボットの各関節部の共用化可能にするとともに、関節軸のハンチングをなくし、併せて位置センサーのゼロ点調整を容易にし、かつ関節軸の回転角度に対する位置センサーの作動角の変更を可能にしたロボット用関節装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明のロボット用関節装置は、所定間隔離して対称に配置された第1及び第2収容体と該第1及び第2収容体の一端間を一体に結合する結合部材とを有するハウジング本体と、前記第1及び第2収容体の他端間に該第1及び第2収容体と直交するように差し渡し状態にかつ回転可能に設けられた関節軸と、前記第1収容体に設けられたモータと、前記第1収容体内に配設され前記モータの回転を減速して前記関節軸に伝達する減速機構と、前記第2収容体に設けられ前記関節軸の回転角度を検出する位置センサーと、前記第2収容体内に配設され前記関節軸の回転角度に対する作動角を変更して前記位置センサーに伝達する回転角変更機構と、前記関節軸に固定され、別構成の関節ユニットとの結合を可能にする連結ブロックと、前記第1または第2収容体の内側外側面と該外側面と相対向する前記連結ブロックの側面との間に介在されたハンチング防止用ダンパーと、前記第2収容体内に配設され、制御部からの指令信号及び前記位置センサーからの検出信号に基づいて前記モータを駆動制御するモータ駆動回路とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載のロボット用関節装置において、前記関節軸は、前記第1または第2収容体を前記差し渡し方向に貫通して外側へ突出する所望の長さに形成され、該関節軸の突出端には別構成の関節ユニットが結合させるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1記載のロボット用関節装置において、前記回転角変更機構は、前記関節軸に設けられた所望径の駆動ギヤと、前記位置センサーの回転軸に設けられ前記駆動ギヤと噛合する所望径の従動ギヤとを備え、前記駆動ギヤは前記位置センサーのゼロ点調整ができるように前記関節軸に対して該関節軸の軸回りに自由回転可能に支持され、かつ該駆動ギヤは止めネジにより前記関節軸に固定されるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1記載のロボット用関節装置において、前記位置センサーは回転型ポテンショメータであることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1記載のロボット用関節装置において、前記第1及び第2収容体を含むハウジング本体はアクリル等の透明な樹脂材で構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のロボット用関節装置によれば、ハウジング本体を結合部材で結合した第1及び第2収容体から構成し、この第1及び第2収容体の他端間には関節軸を第1及び第2収容体と直交する方向に差し渡し状態にして回転可能に設け、第1収容体に設けられたモータの回転を第1収容体内に配設された減速機構を通して関節軸に伝達し、さらに、関節軸に固定した連結ブロックを利用して別構成の関節ユニットとの結合を可能にし、また、第2収容体内に配設されたモータ駆動回路に制御部からの指令信号と位置センサーからの検出信号を供給してモータを駆動制御するようにしたので、このような構成の関節装置をロボットの首関節、肩関節、腕の肘関節、手首関節、脚の股関節、膝関節や足首関節など各関節部に共用することができ、これにより、ロボットの製作コストを低減できるとともに、第2収容体に設けた回転角変更機構により関節軸の回転角度に対する作動角を変更して位置センサーに伝達する構成にしたので、関節軸の回転角度に対する位置センサーの作動角を容易に変更することができる。
【0013】
また、本発明によれば、第1または第2収容体の内側外側面とこれに相対向する連結ブロックの側面との間にハンチング防止用ダンパーを介在したので、関節軸のハンチングを防止できる。
また、本発明によれば、回転角変更機構を関節軸に設けられた駆動ギヤと、位置センサーの回転軸に設けられ駆動ギヤと噛合する従動ギヤとから構成し、駆動ギヤを位置センサーのゼロ点調整ができるように関節軸に対してその軸回りに自由回転可能に支持し、かつ駆動ギヤを止めネジにより関節軸に固定されるように構成したので、位置センサーのゼロ点調整が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
ロボットの各関節部の共用化可能にするとともに、関節軸のハンチングをなくし、併せて位置センサーのゼロ点調整と関節軸の回転角度に対する位置センサーの作動角の変更を可能にするロボット用関節装置を提供するという目的は、ハウジング本体を結合部材で結合した第1及び第2収容体から構成し、この第1及び第2収容体の他端間には関節軸を第1及び第2収容体と直交する方向に差し渡し状態にして回転可能に設け、第1収容体に設けられたモータの回転を第1収容体内に配設された減速機構を通して関節軸に伝達し、関節軸に固定した連結ブロックを利用して別構成の関節ユニットとの結合を可能にし、さらに、第2収容体に設けた回転角変更機構により関節軸の回転角度に対する作動角を変更して位置センサーに伝達する構成にすることによって実現された。
【実施例1】
【0015】
次に、本発明にかかるロボット用関節装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施例1におけるロボット用関節装置の一例を示す外観斜視図、図2は図1に示す透明材の一部を取り除いて示す平面図、図3は図2のB−B線に沿う回転角変更機構の側面図である。
【0016】
図1及び図2において、ロボット用関節装置10はハウジング本体11、関節軸12、連結ブロック13、ハンチング防止用ダンパー14を備えている。
前記ハウジング本体11は、所定間隔離して対称に配置された四角筒状の第1収容体111及び第2収容体112と、この第1収容体111と第2収容体112の一端間を一体に結合する結合部材113を有し、ハウジング本体11全体は門型を呈するように組み立てられている。また、第1収容体111と第2収容体112を含むハウジング本体11は内部が透視できるようにアクリル等の透明樹脂材114により構成され、さらに、第1収容体111と第2収容体112の長手方向の両端もアクリル等の透明樹脂材114で閉塞された構造になっている。
【0017】
前記第1収容体111及び第2収容体112の他端間には前記関節軸12の両端部が第1収容体111及び第2収容体112と直交するように差し渡し状態に配置され、その両端部は第1収容体111と第2収容体112に回転可能に軸支されている。また、前記第1収容体111と第2収容体112の他端間に位置する関節軸12の部分には立方体形状の前記連結ブロック13が止めネジ15によって固定されている。この連結ブロック13は別構成の関節ユニット(図5の第2関節ユニット602に相当する)との結合を行うものであって、連結ブロック13の外方端面の中央個所には、他の関節ユニットとの結合を可能にする雌ネジ穴31が第1収容体111及び第2収容体112の長手方向に平行するように設けられている。また、前記第1収容体111の内側外側面と該外側面と相対向する連結ブロック13の側面との間には前記ハンチング防止用ダンパー14が圧接状態に介在されている。このハンチング防止用ダンパー14は関節軸のハンチングを防止するもので、板状ゴム等の弾性板材から構成されている。
【0018】
前記第2収容体112と対向する第1収容体111の内側外側面には、図2に示すように、関節軸12の駆動用モータ(例えばDCサーボモータ)16が固着され、このモータ16の回転軸は第1収容体111の側壁を貫通して第1収容体111内に突出される構成になっている。また、第1収容体111内には、モータ16の回転を減速して関節軸12に伝達する減速機構17が設けられている。この減速機構17は、モータ16の回転軸及び関節軸12にそれぞれ設けられたギヤ171,172と、このギヤ171,172間に配列された複数のギヤからなるギヤ列173とから構成されている。
【0019】
前記第1収容体111と対向する第2収容体112の内側外側面には、図2に示すように、関節軸12の回転角度を検出する位置センサー(例えば回転型ポテンショメータ)18が固着され、この位置センサー18の回転軸181は第2収容体112の側壁を貫通して第2収容体112内に突出される構成になっている。また、第2収容体112内には、関節軸12の回転角度に対する作動角を変更して位置センサー18に伝達する回転角変更機構19が設けられている。
【0020】
前記回転角変更機構19は、図2及び図3に示すように、関節軸12に設けられた所望径の駆動ギヤ191と、位置センサー18の回転軸181に設けられ、駆動ギヤ191と噛合する所望径の従動ギヤ192とを備え、駆動ギヤ191は位置センサー18のゼロ点調整ができるように関節軸12に対して関節軸12の軸回りに自由回転可能に支持され、かつこの駆動ギヤ191は止めネジ20により関節軸12に締め付け固定されるように構成されている。
【0021】
前記第2収容体112内には、図2に示すように、ロボット全体を制御し管理する制御部(図示省略)からの指令信号と位置センサー18からの検出信号に基づいてモータ16を駆動制御するモータ駆動回路21が回路基板22に実装された状態で装着されている。また、モータ駆動回路21とモータ16との間および位置センサー18との間はそれぞれリード線により接続されている。さらに、回路基板22には信号及び電源供給用にコネクタ23が設けられており、このコネクタ23を通してモータ駆動回路21に制御部からの指令信号及び電力が供給できるように構成されている。
【0022】
次に、上記のように構成された本実施例に示すロボット用関節装置の動作について説明する。
モータ駆動回路21にコネクタ22を通して図示省略の電源部から電力が供給された状態において、制御部からの指令信号がコネクタ23を通してモータ駆動回路21に供給されると、モータ駆動回路21から指令信号に応じた電力がモータ16に供給され、このモータ16を回転させる。モータ16が回転されると、その回転は減速機構17により減速されて関節軸12に伝達され、関節軸12を正または逆方向に指令信号で設定された所定の角度回転させる。
【0023】
一方、関節軸12の回転は回転角変更機構19を通して位置センサー18の回転軸に伝達され、関節軸12の回転角度に対する位置センサー18の作動角を変更する。これに伴い、位置センサー18からは、その作動角に対応する信号(電圧)が発生し、この信号はモータ駆動回路21にフィードバックされる。これにより、関節軸12を指令信号で指定された角度まで回転させ停止させる。この時、第1収容体111の内側外側面と連結ブロック13の側面との間に圧接状態に介在されたハンチング防止用ダンパー14により関節軸12のハンチングを防止する。
これにより、前記関節装置10をロボットの首関節、肩関節、腕の肘関節、手首関節、脚の股関節、膝関節や足首関節など各関節部に利用することができる。
【0024】
このような本実施例1のロボット用関節装置10によれば、ハウジング本体11を結合部材で結合した第1及び第2収容体111,112から構成し、この第1及び第2収容体111と112の他端間には関節軸12を第1及び第2収容体111,112と直交する方向に差し渡し状態にして回転可能に設け、第1収容体111に設けられたモータ16の回転を第1収容体111内に配設された減速機構17を通して関節軸12に伝達し、さらに、関節軸12に固定した連結ブロック13を利用して別構成の関節ユニットとの結合を可能にし、また、第2収容体112内に配設されたモータ駆動回路21に制御部からの指令信号と位置センサー18からの検出信号を供給してモータ16を駆動制御するようにしたので、この関節装置をロボットの首関節、肩関節、腕の肘関節、手首関節、脚の股関節、膝関節や足首関節など各関節部に共用することができ、これにより、ロボットの製作コストを低減できるとともに、第2収容体112に設けた回転角変更機構19により関節軸12の回転角度に対する作動角を変更して位置センサー18に伝達する構成にしたので、回転角変更機構19を構成する駆動ギヤ191と従動ギヤ192のギヤ比を変えることにより、関節軸12の回転角度に対する位置センサー18の作動角を容易に変更することができる。
【0025】
また、本実施例1によれば、第1または第2収容体111または112の内側外側面とこれに相対向する連結ブロック13の側面との間にハンチング防止用ダンパー14を介在したので、関節軸12のハンチングを防止でき、ロボットを安定して動作させることができる。
また、本実施例1によれば、回転角変更機構19を関節軸12に設けられた駆動ギヤ191と、位置センサー18の回転軸に設けられ駆動ギヤ191と噛合する従動ギヤ192とから構成し、駆動ギヤ191を位置センサー18のゼロ点調整ができるように関節軸12に対してその軸回りに自由回転可能に支持し、かつ駆動ギヤ191を止めネジ20により関節軸12に固定されるように構成したので、位置センサー18のゼロ点調整が可能になる。
また、本実施例1によれば、第1及び第2収容体111,112を含むハウジング本体11をアクリル等の透明な樹脂材で構成することにより、第1及び第2収容体111,112の内部を透視することができ、これにより、第1及び第2収容体111,112内に装着した機構の動きや故障を監視できるとともに、教材として好適になる。
【0026】
次に、位置センサー18をゼロ点調整する場合について説明する。
この場合は、まず、止めネジ20を緩めて駆動ギヤ191を関節軸12の軸回りに自由回転可能にする。かかる状態で、位置センサー18を従動ギヤ192ごと正または逆方向に回転することにより、位置センサー18から出力される信号電圧がゼロとなる角度に回転操作する。これにより、位置センサー18のゼロ点調整を行う。ゼロ点調整がなされた後は、止めネジ20を締め付けることで駆動ギヤ191を関節軸12に固定する。
【実施例2】
【0027】
次に、実施例1に示す構成の関節装置を二足歩行型ロボットの首、肩、腕、手首、腰、脚、足首等の各関節部に適用した場合の実施例について図4を参照して説明する。図4は二足歩行型ロボットの全体の構成を示す斜視図である。
本実施例では、ロボットの進行方向をX軸、このX軸と直角な左右方向をY軸、X及びY軸と直角な鉛直方向をZ軸とし、そして、X軸廻りの回転をロールと称し、Y軸廻りの回転をピッチと称し、Z軸廻りの回転をヨーと称する。
【0028】
図4において、二足歩行型ロボット40は、頭部41、胴部42、左腕部43、右腕部44、左脚部45及び右脚部46を備えている。
頭部41は胴部42に内蔵されたヨー用関節ユニット(図示せず)と該ヨー用関節ユニットとヨー軸(関節軸)47Aに連結されたピッチ用関節ユニット47Bとからなる首関節機構47によって胴部42に連結されている。
【0029】
左腕部43はピッチ用関節ユニット48Aからなる肩関節機構48を介して胴部42に連結されている。また、この左腕部43は腕の上腕部を構成するヨー用関節ユニット49と腕の前腕部を構成するピッチ用関節ユニット50を備え、このヨー用関節ユニット49のヨー軸(関節軸)49Aとピッチ用関節ユニット50のピッチ軸(関節軸)50Aは腕の肘関節を構成し、ヨー軸49Aの延長端はピッチ軸50Aに設けた連結ブロック50Bに結合されている。また、ピッチ用関節ユニット50の前端部には手部55が設けられている。
なお、上記ヨー軸47Aを有するヨー用関節ユニット、ピッチ用関節ユニット47B、ピッチ用関節ユニット48A、ヨー用関節ユニット49、ピッチ用関節ユニット50は実施例1に示す関節装置10から構成されるものである。
【0030】
右腕部44はピッチ用関節ユニット51Aからなる肩関節機構51を介して胴部42に連結されている。また、この右腕部44は腕の上腕部を構成するヨー用関節ユニット52と腕の前腕部を構成するピッチ用関節ユニット53を備え、このヨー用関節ユニット52のヨー軸(関節軸)52Aとピッチ用関節ユニット53のピッチ軸(関節軸)53Aは腕の肘関節を構成し、ヨー軸52Aの延長端はピッチ軸530Aに設けた連結ブロック53Bに結合されている。また、ピッチ用関節ユニット53の前端部には手部56が設けられている。
なお、上記ピッチ用関節ユニット51A、ヨー用関節ユニット52、ピッチ用関節ユニット53は実施例1に示す関節装置10から構成されるものである。
【0031】
左脚部45は股関節機構57を介して胴部42に連結されている。この股関節機構57は、胴部42に下面に固定したロール用関節ユニット57Aと、このロール用関節ユニット57Aのロール軸57Bに設けた連結ブロック57Cに連結されたピッチ用関節ユニット57Dから構成されている。
また、左脚部45は大腿部58、膝関節部59、足首部60及び足部61を備える。大腿部58はピッチ用関節ユニット57Dのハウジング部分57D1と、このハウジング部分57D1に一体に固定されたピッチ用関節ユニット58Aのハウジング部分58A1とで構成されている。そして、ピッチ用関節ユニット58Aのピッチ軸(関節軸)58A2が膝関節部59を構成している。
【0032】
足首部60はピッチ用関節ユニット60Aとロール用関節ユニット60Bを備え、このピッチ用関節ユニット60Aのピッチ軸(関節軸)60A1とロール用関節ユニット60Bのロール軸(関節軸)60B1は足首関節を構成し、ピッチ軸60A1に設けた連結ブロック60A2とロール軸60B1に設けた連結ブロック60B2間は図示しない結合部材により一体に連結されている。また、足部61はロール用関節ユニット60Bのハウジング部分60B3に固着されている。また、ピッチ用関節ユニット60Aのハウジング部分60A3と膝関節部59を構成するピッチ用関節ユニット58Aのピッチ軸58A1に設けた連結ブロック58A2との間は結合部材62により一体に結合されている。
なお、上記ロール用関節ユニット57A、ピッチ用関節ユニット57D、ピッチ用関節ユニット58A、ピッチ用関節ユニット60A、ロール用関節ユニット60Bは実施例1に示す関節装置10から構成されるものである。
【0033】
右脚部46は股関節機構64を介して胴部42に連結されている。この股関節機構64は、胴部42に下面に固定したロール用関節ユニット64Aと、このロール用関節ユニット64Aのロール軸64Bに設けた連結ブロック64Cに連結されたピッチ用関節ユニット64Dから構成されている。
また、右脚部46は大腿部65、膝関節部66、足首部67及び足部68を備える。大腿部65はピッチ用関節ユニット64Dのハウジング部分64D1と、このハウジング部分64D1に一体に固定されたピッチ用関節ユニット65Aのハウジング部分65A1とで構成されている。そして、ピッチ用関節ユニット65Aのピッチ軸(関節軸)65A2が膝関節部66を構成している。
【0034】
足首部67はピッチ用関節ユニット67Aとロール用関節ユニット67Bを備え、このピッチ用関節ユニット67Aのピッチ軸(関節軸)67A1とロール用関節ユニット67Bのロール軸(関節軸)67B1は足首関節を構成し、ピッチ軸67A1に設けた連結ブロック67A2とロール軸67B1に設けた連結ブロック67B2間は図示しない結合部材により一体に連結されている。また、足部68はロール用関節ユニット67Bのハウジング部分67B3に固着されている。また、ピッチ用関節ユニット67Aのハウジング部分67A3と膝関節部66を構成するピッチ用関節ユニット65Aのピッチ軸65A1に設けた連結ブロック65A2との間は結合部材69により一体に結合されている。
なお、上記ロール用関節ユニット64A、ピッチ用関節ユニット64D、ピッチ用関節ユニット65A、ピッチ用関節ユニット67A、ロール用関節ユニット67Bは実施例1に示す関節装置10から構成されるものである。
【0035】
このような二足歩行型ロボットにおいては、その首、肩、腕、手首、腰、脚、足首等の各関節部を上記実施例1に示す構成の関節装置を用いて構築することができる。これにより、各関節部に用いられる関節装置をユニット化でき、ロボットの製作コストを低減することができる。
【0036】
次に、図4に示したロボットにおいて胴体部と脚部間を結合する股関節ユニットを実施例1に示す関節装置を用いて構成した場合の具体例につき図5及び図6を参照して説明する。
図5は実施例1に示す関節装置を用いて股関節ユニットを構成した時の全体の側面図であり、図6は股関節ユニットの動作説明用斜視図である。
【0037】
図5及び図6において、股関節ユニット60(股関節機構64に対応する)は、実施例1に示す関節装置と同様の構造を有する第1関節ユニット601と第2関節ユニット602を備え、第1関節ユニット601の関節軸601Aに設けた連結ブロック601Bと第2関節ユニット602の関節軸602Aに設けた連結ブロック602Bとの間は、それぞれの連結ブロック601B,602Bに形成した雌ネジ孔601C,602Cにねじ込みで結合される連結ロット603によって互いに連結されている。なお、第1及び第2関節ユニット601,602の内部構造は上記実施例1に示す関節装置と同一であるため、その構成説明は省略する。
【0038】
このような股関節ユニット60において、第1関節ユニット601のモータ601Dがモータ駆動回路601Eからの出力信号により起動されると、このモータ601Dの回転は減速機構601Fにより減速されて関節軸601Aに伝達され、関節軸601Aは図6の矢印Aに示す方向に回動されると同時に、この関節軸601Aに連結ブロック601Bを介して連結された第2関節ユニット602も同一方向に回動される。この時の回動角度は制御部からモータ駆動回路601Eに供給される指令信号で設定される。
また、第2関節ユニット602のモータ602Dがモータ駆動回路602Eからの出力信号により起動されると、このモータ602Dの回転は減速機構602Fにより減速されて関節軸602Aに伝達され、第2関節ユニット602は関節軸602Aを支点にして図6の矢印Bに示す方向に回動される。この時の回動角度は制御部からモータ駆動回路602Eに供給される指令信号で設定される。
【0039】
次に、図4に示したロボットにおいて胴体部と腕部間を結合する肩関節ユニットを実施例1に示す関節装置を用いて構成した場合の具体例につき、図7及び図8を参照して説明する。
図7は実施例1に示す関節装置を用いて肩関節ユニットを構成した時の全体の側面図であり、図8は肩関節ユニットの動作説明用斜視図である。
【0040】
図7及び図8において、肩関節ユニット80(肩関節機構48に対応する)は、実施例1に示す関節装置と同様の構造を有する第1関節ユニット801と第2関節ユニット802を備え、第1関節ユニット801の関節軸801Aは第1関節ユニット801のハウジング801Gを貫通して外側へ所望の長さ突出され、この関節軸801Aの突出端部801Hを第2関節ユニット802の関節軸802Aに設けた連結ブロック802Bの雌ネジ孔802Cにねじ込みことによって互いに連結されている。
なお、第1及び第2関節ユニット801,802の内部構造は上記実施例1に示す関節装置と同一であるため、その構成説明は省略する。
【0041】
このような肩関節ユニット80において、第1関節ユニット801のモータ801Dがモータ駆動回路801Eからの出力信号により起動されると、このモータ801Dの回転は減速機構801Fにより減速されて関節軸801Aに伝達され、関節軸801Aは図8の矢印Cに示す方向に回動されると同時に、この関節軸801Aに連結された第2関節ユニット802も同一方向に回動される。この時の回動角度は制御部からモータ駆動回路801Eに供給される指令信号で設定される。
また、第2関節ユニット802のモータ802Dがモータ駆動回路802Eからの出力信号により起動されると、このモータ802Dの回転は減速機構802Fにより減速されて関節軸802Aに伝達され、第2関節ユニット802は関節軸602Aを支点にして図8の矢印Dに示す方向に回動される。この時の回動角度は制御部からモータ駆動回路802Eに供給される指令信号で設定される。
【0042】
なお、本発明における第1収容体111及び第2収容体112の形状は、上記実施例1に示す四角筒状のものに限らず、円筒状や楕円筒状のものでもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施例1におけるロボット用関節装置の一例を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示す透明材の一部を取り除いて示す平面図である。
【図3】図2のB−B線に沿う回転角変更機構の側面図である。
【図4】本発明の関節装置を用いて二足歩行型ロボットの各関節部を構成した場合のロボットの全体構成を示す斜視図である。
【図5】実施例1に示す関節装置を用いて股関節ユニットを構成した時の全体の側面図である。
【図6】股関節ユニットの動作説明用斜視図である。
【図7】実施例1に示す関節装置を用いて肩関節ユニットを構成した時の全体の側面図である。
【図8】肩関節ユニットの動作説明用斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
10……ロボット用関節装置、11……ハウジング本体、12……関節軸、13……連結ブロック、14……ハンチング防止用ダンパー、15……止めネジ、111……第1収容体、112……第2収容体、113……結合部材、114……透明樹脂材、16……モータ、17……減速機構、171,172……ギヤ、173……ギヤ列、18……位置センサー、181……回転軸、19……回転角変更機構、191……駆動ギヤ、192……従動ギヤ、20……止めネジ、21……モータ駆動回路、22……回路基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔離して対称に配置された第1及び第2収容体と該第1及び第2収容体の一端間を一体に結合する結合部材とを有するハウジング本体と、
前記第1及び第2収容体の他端間に該第1及び第2収容体と直交するように差し渡し状態にかつ回転可能に設けられた関節軸と、
前記第1収容体に設けられたモータと、
前記第1収容体内に配設され前記モータの回転を減速して前記関節軸に伝達する減速機構と、
前記第2収容体に設けられ前記関節軸の回転角度を検出する位置センサーと、
前記第2収容体内に配設され前記関節軸の回転角度に対する作動角を変更して前記位置センサーに伝達する回転角変更機構と、
前記関節軸に固定され、別構成の関節ユニットとの結合を可能にする連結ブロックと、
前記第1または第2収容体の内側外側面と該外側面と相対向する前記連結ブロックの側面との間に介在されたハンチング防止用ダンパーと、
前記第2収容体内に配設され、制御部からの指令信号及び前記位置センサーからの検出信号に基づいて前記モータを駆動制御するモータ駆動回路とを備えることを特徴とするロボット用関節装置。
【請求項2】
前記関節軸は、前記第1または第2収容体を前記差し渡し方向に貫通して外側へ突出する所望の長さに形成され、該関節軸の突出端には別構成の関節ユニットが結合させるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のロボット用関節装置。
【請求項3】
前記回転角変更機構は、前記関節軸に設けられた所望径の駆動ギヤと、前記位置センサーの回転軸に設けられ前記駆動ギヤと噛合する所望径の従動ギヤとを備え、前記駆動ギヤは前記位置センサーのゼロ点調整ができるように前記関節軸に対して該関節軸の軸回りに自由回転可能に支持され、かつ該駆動ギヤは止めネジにより前記関節軸に固定されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のロボット用関節装置。
【請求項4】
前記位置センサーは回転型ポテンショメータであることを特徴とする請求項1記載のロボット用関節装置。
【請求項5】
前記第1及び第2収容体を含むハウジング本体はアクリル等の透明な樹脂材で構成されていることを特徴とする請求項1記載のロボット用関節装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−35405(P2006−35405A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223034(P2004−223034)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(391006083)三光合成株式会社 (67)
【Fターム(参考)】