説明

ローラー及びコンベア装置

【課題】ベアリングに対する異物の進入をより十分に抑制すること。
【解決手段】ローラー100は、シャフト20、シャフト20の周囲に設けられたローラー本体10、シャフト20上にローラー本体10を回転可能に支持するベアリング30、40、及びベアリング30、40へのグリースの供給及びベアリング30、40からのグリースの排出用の流路P20を備え、流路P20は、ベアリング30、40から見て当該流路の下流側にあり、かつシャフト20とローラー本体10との間で周方向に連続した空間を含み、当該空間には、ベアリング30、40側から流路P20の下流側へのグリースの流動を許容しつつ、流路P20の下流側からベアリング30、40側への異物の侵入を抑制するオイルシール50、60が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラー及びコンベア装置に関し、より詳細には、粉塵濃度が高い環境下での使用に適するローラー及びコンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種原料を運搬するコンベアとして、チェーンコンベアの一種であるパンコンベアが知られている(尚、パンコンベアは、エプロンコンベアと呼ばれることもある)。パンコンベアは、一組の並行配置された無端チェーン間に支持面となる鋼板が架け渡された構成を有する。
【0003】
パンコンベアは、主として工場において使用されるため、パンコンベアの安定稼働を確保し、生産効率を高める/維持することの要請は著しい。パンコンベアは、その可動率を維持するため、定期的にメンテナンスされる。しかしながら、実際には、メンテナンス対応をしても万全とは言えず、パンコンベアを構成する可動部品(例えば、シャフトとローラー本体間に設けられるベアリング)が動作不良となり、この結果、部品交換のため、パンコンベアを一時的に停止することに至ってしまう場合がある。
【0004】
特許文献1には、ベアリングへの微粉の侵入を効果的に抑止し、キャリアローラの回転不能に起因するローラパイプの摩耗、破損を低減するキャリアローラが開示されている。具体的には、同文献の図1に示すように、キャリアローラ(30)の端部にドーナツ型円板(31)が装着されている。同文献の段落0006には、ハウジング(16)がドーナツ型円板(31)で覆われてローラパイプ(15)とハウジング(16)との隙間から侵入する微粉等がほとんどなくなる、と説明されている。なお、同文献の図1では、ベアリング(16)の隣にラビリンス(20)(21)が設けられている。同文献の段落0004には、同文献の図5、6を参照しつつ、ベアリング(17)近傍のラビリンスの構造やシール構造によるよりもキャリアスタンド(19)とキャリアローラ(12)のハウジング(16)間の間隙をできるだけ塞ぐことが格段に効果的であることを知見した、と記載されている。
【0005】
特許文献2では、特許文献1と同様、ベアリングに対する粉粒体の侵入が問題点として説明されている。同文献においては、同文献の段落0042に記載のように、同文献の図1及び図2を参照しつつ、搬送用ローラ(1)によれば、回転軸(2)とコンベアフレーム(6)との間に第2ベアリング(4)を備えているため、第1ベアリング(3)が粉粒体の進入によって回転性が低下した場合においても、第2ベアリング(4)によって回転軸(2)自体が回転することができる、と説明されている。また、同段落には、従って、当該搬送用ローラ(1)は、第1ベアリング(3)に粉粒体が進入した場合においても、ローラ本体(5)の回転性を低下させることなく、ベルトコンベアを使用し続けることができる、と説明されている。
【0006】
特許文献3には、高圧下にて使用するローラカッターにおいて安定したシール効果を発揮できる安価なものを提供する技術が開示されている。代表図に示すように、耐圧シール(8)とオイルシール(10)とを配置し、その間に潤滑油を溜める構造が開示されている。
【0007】
特許文献4には、ベアリングの構造に関し、ベアリングの内部にシールを設ける構造が開示されている(同文献の図8において、符号2は、外輪を示し、符号3は、内輪を示し、符号14は、シールを示す)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平7−38028号公報
【特許文献2】特開2011−140365号公報
【特許文献3】特開2004−293101号公報
【特許文献4】特開2010−112499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
冒頭で説明したパンコンベアは、ダスト濃度が高い環境(以下、粉塵環境と呼ぶ場合がある)に導入される場合がある。例えば、クリンカーをバケツにて運搬する場合、クリンカーから多量の粉塵が生じ、これにより、パンコンベアの周囲のダスト濃度は極めて高くなる。感覚的に述べれば、パンコンベア周囲のダスト濃度は、ヒトが入ることが許されない程度となる。このような粉塵環境下においては、ベアリングに対して粉塵が進入することを許容することは、直ちにベアリングの動作不良につながってしまう。従って、より高度な粉塵対策を為すことが強く望まれている。
【0010】
上述の説明から明らかなように、ベアリングに対する異物の進入をより十分に抑制することが強く望まれている。なお、本発明は、各種のコンベア用途に限定されるべきものではなく、他の様々な機械に適用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るローラーは、シャフト、当該シャフトの周囲に設けられたローラー本体、前記シャフト上に前記ローラー本体を回転可能に支持するベアリング、及び前記ベアリングへの潤滑剤の供給及び前記ベアリングからの前記潤滑剤の排出用の流路を備える。ここで、前記流路は、前記ベアリングから見て当該流路の下流側にあり、かつ前記シャフトと前記ローラー本体との間で周方向に連続した空間を含む。この空間には、前記ベアリング側から前記流路の下流側への前記潤滑剤の流動を許容しつつ、前記流路の下流側から前記ベアリング側への異物の侵入を抑制するシール部材が設けられている。シール部材が逆止弁として機能することにより、ベアリング側への異物の進入が好適に抑制され、ベアリングを保全することができる。
【0012】
好ましくは、前記シール部材は、前記シャフトの軸方向に沿って順に配置された複数のリップを備え、複数の前記リップ間には、前記潤滑剤を溜める溜め部が設けられる。溜め部を設けることにより、シール部材のシール性能を高めることができる。
【0013】
好ましくは、前記シール部材は、前記シャフトの軸方向に沿って順に配置された複数の弁を備え、複数の前記弁により、前記潤滑剤を一時的に保持する保持部が区画される。複数の弁を設け、これにより保持部を区間することによって、異物の進入を抑制しつつ、上流側から下流側への潤滑剤の流動を好適に許容することができる。
【0014】
好ましくは、前記シール部材は、前記シャフトの軸方向に沿ってV字状部分が連続した構造を含み、前記V字状部分の解放端部の変形により、前記流路の上流側から下流側への前記潤滑剤の流動が許容される。
【0015】
好ましくは、前記シール部材に対して一体的又は別体として設けられた環状弾性体を更に備え、当該環状弾性体は、前記シール部材を前記シャフトの軸方向に対して直交する方向へ押し付ける、と良い。環状弾性体が前記シール部材を押し付ける方向は、シャフト側又はロール本体側のいずれでも構わない。例えば、環状弾性体によるシール部材の押し付けの程度を調整することにより、シール部材のシール特性を簡易に調整することができる。
【0016】
好ましくは、前記シール部材は、前記シャフトの軸方向に沿って順に配置された複数のリップを備え、複数の前記リップは、互いに肉厚が異なり、肉厚がより薄い前記リップは、肉厚がより厚い前記リップよりも、前記ベアリング側に配置される。溜め部への潤滑剤の流入をスムーズにすることができ、また、シール部材のシール性能の向上も図ることができる。
【0017】
上述のシール部材を第1シール部材としたとき、これに隣接して同様構成の第2シール部材を設けると良い。シール部材の枚数を増加することにより、障壁数を増加することができ、これにより、ベアリング側への粉塵の進入をより効果的に抑制することができる。
【0018】
前記ベアリングは、内輪と外輪との間にボールが保持されたベアリングであり、前記外輪には、当該ベアリングの半径方向に沿って前記内輪側へ延在するシールド板が設けられている、と良い。
【0019】
上述のベアリングを第1ベアリングとしたとき、これに隣接して同様構成の第2ベアリングを設けると良い。これにより、荷重に対する耐性を高めることができる。
【0020】
前記シャフトには、前記ベアリングを介することなく前記空間に対して前記潤滑剤を供給するための流路が設けられている、と良い。これにより、ベアリングに対する潤滑剤の供給をスムーズにすることができる。
【0021】
本発明に係るコンベア装置は、上述のいずれかのローラーを具備する。これにより、ベアリングの動作不良に起因したコンベア装置の運転停止が抑制される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ベアリングに対する異物の進入をより十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係るローラーの断面構成を部分的に示す概略的な模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るベアリングの断面構成を示す概略的な模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るオイルシールの断面構成を示す概略的な模式図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るオイルシールの部分的な断面構成を示す概略的な模式図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るグリースの流れを説明するための説明図である。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例の構成を示す概略的な模式図である。
【図7】参考例の構成を示す概略的な模式図である。
【図8】回転抵抗値の測定方法を説明するための模式図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係るパンコンベアの部分的構成を示す概略的な模式図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係るパンコンベアの部分的構成を示す概略的な模式図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るローラーの断面構成を部分的に示す概略的な模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。各実施形態は、個々に独立したものではなく、過剰説明をするまでもなく、当業者をすれば、適宜、組み合わせることが可能であり、この組み合わせによる相乗効果も把握可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。
【0025】
実施形態の説明に用いられる図面は、発明説明を主目的とするものであり、適宜、簡略化されている。これらの図においては、適宜、軸AXが設定されている。軸AXは、例えば、後述のローラーの回転軸/シャフトの軸/シャフトの長手方向に一致するが、これに限られるべきものではない。軸AXに近接する方向を内側と呼び、軸AXから離間する方向を外側と呼ぶ場合がある。半径方向という用語は、軸AXに直交する任意の平面に含まれる任意の軸線に沿う方向を意味するべく用いられる場合がある。正面視という用語は、軸AXに沿って対象物を見ることを意味する場合がある。原則としては、上下左右といった方向を示す用語は、図面を正面視していることを前提として用いられる。各図においては、理解の促進のため、各軸が互いに直交関係にあるXYZ座標が設定されている場合がある。
【0026】
<第1実施形態>
図1乃至図10を参照して第1実施形態について説明する。図1は、ローラーの断面構成を部分的に示す概略的な模式図である。図2は、ベアリングの断面構成を示す概略的な模式図である。図3は、オイルシールの断面構成を示す概略的な模式図である。図4は、オイルシールの部分的な断面構成を示す概略的な模式図である。図5は、グリースの流れを説明するための説明図である。図6は、変形例の構成を示す概略的な模式図である。図7は、参考例の構成を示す概略的な模式図である。図8は、回転抵抗値の測定方法を説明するための模式図である。図9は、パンコンベアの部分的構成を示す概略的な模式図である。図10は、パンコンベアの部分的構成を示す概略的な模式図である。
【0027】
図1に示すように、ローラー100は、ローラー本体10、蓋部11、複数のボルト12、複数のバネ座金13、ニップル14、押え板16、複数のボルト17、シャフト20、ベアリング30、ベアリング40、オイルシール(シール部材)50、オイルシール(シール部材)60、シールリング(封止板)70、及びスナップリング(封止板押え)71を有する。
【0028】
ローラー100は、2つの輪状のベアリング30、40を介して、円柱状のシャフト20上に筒状のローラー本体10が回転可能に支持された構造を有する。ローラー100がパンコンベアに組み込まれる場合、シャフト20が回転不能に固定され、ローラー本体10が回転可能に設けられる。なお、ローラー本体10を回転不能に固定し、シャフト20の回転を許容しても良い。この場合、ローラー本体10は、ベアリングを介してシャフトを回転可能に保持するシャフト保持部として機能する。なお、シャフト20の左端近傍の構造のみが図1に図示されているが、シャフト20の右端(不図示)には、図1に示すものと鏡像関係にある構造が設けられているものとする。
【0029】
図1に示すように、シャフト20の径は、軸AXに沿って段階的に変化し、隣接するシャフト部間で径が異なるシャフト部21〜25が形成される。シャフト20の最も左端に位置するシャフト部21の外周面には、任意の方法により、ベアリング30、40の各内輪が固定される。ここでは、ベアリング30、40は、各々、ボルト17により押え板16がシャフト部21に固定されることにより、シャフト部21に固定される。ベアリング30、40の外輪は、任意の方法により、ローラー本体10の内周面に固定される。
【0030】
筒状のローラー本体10の左側開口は、蓋部11がボルト12及びバネ座金13によりローラー本体10に対して固定されることにより閉じられている。なお、蓋部11は、円盤状部材であり、その中心には、後述の流路にグリース(潤滑剤)を導入するためのニップル14が設けられている。ローラー本体10の右側開口は、シャフト部24に装着したシールリング70が、同部分に装着したスナップリング71により、ローラー本体10の右側面及びシャフト部23の右側面に対して押し付けられることにより閉じられている。なお、シールリング70とスナップリング71は、例えば、環状の金属板である。シールリング70とローラー本体10との間、シールリング70とシャフト20との間には、内部圧に応じて、僅かな隙間が形成され得る。この隙間によって、後述の流路内に充填されたグリースの排出が許容される。
【0031】
筒状のローラー本体10が上述のように両側から閉じられることによって、ローラー本体10の内部にはグリースの流路P20(P21〜P25)が規定される。具体的には、流路P20は、ニップル14の流出口とベアリング30との間を接続する流路P21、ベアリング30、40内に存在する隙間から形成される流路P22、及びベアリング40とシールリング70とを接続する流路P23を有する。流路P20は、シャフト20を周囲し、軸AXに沿って延在する環状空間である。流路P20は、更に、シャフト部21に設けられた流路P24と、シャフト部22に設けられた複数の流路P25を有する。流路P24とP25とが連続した迂回路をシャフト20内に設けることにより、ベアリング30側からのみではなく、ベアリング40側からもグリースの供給を行うことが可能となり、また、オイルシール50、60に対するグリースの供給を円滑に行うことができる。なお、流路P24は、軸AXに沿って延在するトレンチであり、流路P25は、流路P24と流路P23とを接続するべく、半径方向に延在するトレンチである。上述の迂回路を設けることにより、より低圧で流路P20内にグリースを注入することも許容される。
【0032】
図1に示すように、流路P23には、オイルシール50、60が設けられている。オイルシール50、60は、各々、流路P20の上流側から下流側へのグリースの流出を許容しつつ、流路P20の下流側から上流側への粉塵(異物)の侵入を抑制する。この構成により、ベアリング30、40に対する粉塵の進入をより十分に抑制することができる。この点については、後述の説明からより明らかとなる。図1に示すように、オイルシール50、60は、シャフト径が異なるシャフト部分に装着されている。これにより、オイルシール50の位置がずれても、オイルシール50とオイルシール60とが接触することが回避され、これらのシール特性の劣化を抑制することができる。
【0033】
なお、流路P20の上流側とは、典型的には、ニップル14側、又は流路P21側を意味する。流路P20の下流側とは、典型的には、シールリング70側、又は流路P23側を意味する。ベアリング30、40から見ると、流路P21はグリースの供給流路と把握され、流路P23はグリースの排出流路と把握される。同様に、流路P24とP25とが連続した迂回路も、グリースの供給流路と把握される。
【0034】
図2を参照して、ベアリング30、40の構成について説明する。ベアリング30、40は、ZZ形シールドボールベアリングである。ベアリング30は、外輪31と内輪32との間にボール33が設けられた構造を有する。外輪31及び内輪32には、各々、ボール33を部分的に収納する半球状の凹部が設けられる。ボール33は、外輪31と内輪32との間に回転可能に保持され、これにより、外輪31と内輪32間がzy平面において回転可能となる。外輪31の内周面には、外輪31と内輪32間の開口を塞ぐように設けられたシールド板34、35が設けられている。これにより、ボール33と外輪31とが摺動する摺動面、及びボール33と内輪32とが摺動する摺動面とが粉塵から保護される。なお、ここでは、外輪31は、回転輪であり、内輪32は固定輪である。
【0035】
ベアリング40の構成は、ベアリング30と同様である。つまり、ベアリング40の外輪41、内輪42、ボール43、及びシールド板44、45は、ベアリング30の外輪31、内輪32、ボール33、およびシールド板34、35に対応する。なお、ベアリングの種類は任意であり、シール形、シール/シールドを行わない開放形、ボールの片側のみシールドするZ形、ゴムシールLLB形、樹脂シールSSA形等であっても良い。好ましくは、本実施形態に開示のボール両側をシールドする非接触のZZ形が、良好なシール・シールド軸受特性を示す。ベアリング30、40が流路P20に配置される結果、ベアリング30、40内にはグリースが封入され、ベアリングの摺動面の劣化が抑制される。
【0036】
図3及び図4を参照して、オイルシール50の詳細構成について説明する。なお、オイルシール60の構成は、径が異なる点以外は、オイルシール50と同様であり、従って、その詳細説明は省略する。
【0037】
図3に示すように、オイルシール50は、シャフト部22に対して装着されている。このとき、オイルシール50は、ローラー本体10に装着固定された環状の金属製リング56内に配置される。また、オイルシール50の内周部分がシャフト部22の外周面に対して接触し、その外周部分がリング56の内周面に対して接触する。換言すれば、オイルシール50は、シャフト部22とローラー本体10との間(シャフト部22とリング56との間)の環状空間を閉じるように設けられる。なお、オイルシール50は、エラストマー合成ゴム等の弾性体であり、グリース圧に応じて、弾性変形可能であり、これにより、後述のシール性能及び弁性能が好適に確保される。オイルシール50とリング56間には隙間が生じ得、また、オイルシール50とリング56間にも隙間が生じ得る。
【0038】
オイルシール50の上側部分の断面視構成について図4を参照して説明する。図4に示すように、オイルシール50は、環状平板部51a、51b、51c、51dが連続した構造を有する。環状平板部51aと環状平板部51bによりV形環状部(V字状部分)51pが形成され、環状平板部51cと環状平板部51dによりV形環状部(V字状部分)51qが形成される。
【0039】
V形環状部51pは、環状平板部51aと環状平板部51bの接続部分(すなわち、V形環状部51pの折返し端部)に肉薄のリップ52aを有する。V形環状部51qは、環状平板部51cと環状平板部51dの接続部分(すなわち、V形環状部51qの折返し端部)に厚肉のリップ52bを有する。なお、V形環状部51pの軸AXに沿う幅W10は、V形環状部51qの軸AXに沿う幅W20よりも狭く、これにより、グリース圧に応じてリップ52bよりもリップ52aが変形しやすいことを確保できる。
【0040】
V形環状部51pの環状平板部51aの外側端部(外周端部)/上側端部(すなわち、V形環状部51pの解放端部)は、左側から流入するグリースをグリース保持部54内に受け入れる弁(以下、導入弁と呼ぶ場合がある)として機能する。V形環状部51qの環状平板部51dの外側端部(外周端部)/上側端部(すなわち、V形環状部51qの解放端部)は、グリース保持部54内のグリースを排出する弁(以下、排出弁と呼ぶ場合がある)として機能する。なお、導入弁の肉厚は、排出弁の肉厚よりも薄い。
【0041】
図4に示すように、V形環状部51p、51qが連続することによって、オイルシール50には、グリース溜め部(溜め部)53、及びグリース保持部(保持部)54が形成される。グリース溜め部53は、リップ52a、リップ52bとの間に設けられた凹状部分である。グリース保持部54は、上述の導入弁及び排出弁から区画された凹状部分である。グリース溜め部53は、リップ52aとシャフト20の外周面間を通過したグリースを受け入れるが、リップ52bによる強固なシール効果により、通常のグリース圧ではグリースの排出を許容しない。他方、グリース保持部54においては、環状平板部51aの外側端部の変形に応じて生じ得る隙間を介したグリースの流入が許容され、また、環状平板部51dの外側端部の変形に応じて生じ得る隙間を介したグリースの流出が許容される。V形環状部51pをグリース導入部として把握し、V形環状部51qを逆止弁として把握しても良い。
【0042】
ニップル14を介して流路P20にグリースが圧入されると、グリース溜め部53、グリース保持部54各々にグリースが充填される。グリース溜め部53とグリース保持部54に対するグリースの充填によって、オイルシール50のセルフシール効果が効果的に発揮され、そのシール性能が高められる。オイルシール50のシール効果は、グリース溜め部53とグリース保持部54内のグリースから受ける圧力により生じるものである。後述するスプリング55もグリース圧により内側へ押され、リップ52bのシール効果が向上する。
【0043】
図4に示すように、V形環状部51qの窪みには、オイルシール50とは別体の環状のスプリング(環状弾性体)55が配置され、このスプリング55によりV形環状部51qはシャフト20の外周面に対して押え付けられる(図3参照)。スプリング55による押圧により、V形環状部51qに設けられたリップ52bの先端部分が変形し、リップ52bとシャフト20の外周面間の接触面積が増加する。これにより、リップ52bによるシール効果を確保することができる。また、程度は異なるものの、リップ52aによるシール効果も確保される。なお、図4に示すように、スプリング55の中心位置は、リップ52bの頂点位置よりも幅W30だけシフトされている。これにより、スプリング55がV形環状部51qを押圧する力を適当なものとすることができる。なお、本願発明者の検討結果によれば、スプリングの締め付け力を単に強化したとしても、ベアリングの損傷を低減することは困難であった。スプリングは、例えば、金属製であるが、これに限らず、ゴム製であっても良い。
【0044】
V形環状部51pの環状平板部51a、V形環状部51qの環状平板部51dは、グリース圧に応じて変形し、これにより、オイルシール50とリング56の内周面との間には隙間が生じ得る。この隙間によりグリースの流動が確保されるが、この隙間を介して流路P20内に粉塵が進入することも招来し得る。この点に関して、グリースを流し続けること、定期的にグリース置換を行うこと等により解決することができる。なお、グリース置換は、ニップル14を介して新しいグリースを流路P20内に注入することにより、既存のグリースを新しいグリースに置き換えるべく行われる。このグリース置換によって、外部から流路P20内に進入した粉塵を外部に排出することができる。また、このグリース置換によって、ベアリング30、40内の隙間に存在する既存グリース(端的には、劣化グリース)も新しいグリースに置換されるため、グリース劣化等に伴うベアリングの動作劣化を抑制することが可能となる。
【0045】
流路P20に充填されるグリースは、グリース中の鉄粉濃度が0.3%以下であるものが好ましい。例えば、グリースは、JISK2220「工業用グリース」で規定されるグリースであり、耐熱性、耐久性、及び低発塵性等が調整されたものである。例えば、出光興産株式会社製造の商品名「エポネックス(登録商標)」、大新化工株式会社製造の商品名「ダイカルブP213」を使用することができる。グリース以外の他のオイルを潤滑剤として用いても良い。
【0046】
オイルシール50、60の構成材料は、アクリルニトリルとブタジエンの共重合体であるNBR(Nitrile butadiene rubber;ニトリルゴム)、ジアルキルシラールの縮合体であるシリコーンゴム、弗化ビニリデンと6弗化プロピレンの重合体であるフッ素ゴム等が挙げられるが、耐油性及び耐摩耗性に優れるNBR(Nitrile butadiene rubber;ニトリルゴム)が好ましい。スプリング55は、外力を受けて形状が変化しても、元の形状に復帰する特性を持っていればよく、他の任意の弾性体を採用し得る。
【0047】
図5を参照して、ローラー100内をグリースが流れる態様について説明する。まず、グリースは、ニップル14を介して流路P21内に注入される。流路P21に注入されたグリースは、ベアリング30へ到達し、その隙間に進入し、続いて、ベアリング40に到達し、その隙間に進入し、その後、流路P23に到達する。他方、流路P21に注入されたグリースは、流路P24、流路P25を介して、流路P23に至り、これに続いて、上述の場合とは逆方向からベアリング40に到達し、その隙間に進入し、また、他方、オイルシール50のグリース溜め部53及びグリース保持部54内に進入する。オイルシール50のグリース保持部54から排出されたグリースは、オイルシール60に到達し、オイルシール60のグリース溜め部、グリース保持部内に進入する。流路P20内においてグリースが十分に充填されると、オイルシール60のグリース保持部からグリースが流出する。この流出グリースは、シールリング70とローラー本体10との間の隙間、シールリング70とシャフト20との隙間を介して、外部へ流出する。なお、外部とは、流路との関係において理解されるべき用語である。
【0048】
ニップル14を介した流路P20へのグリース注入を継続する場合、流路P20内においてグリースが継続的に置換されることになり、これにより、外部からの粉塵がオイルシール60、オイルシール50の変形により生じる隙間を介してベアリング30、40内まで到達することは効果的に抑制される。このような継続的なグリース置換を行わない場合でも、定期的にグリース置換を行うことにより、ベアリング30、40の機能を長期間にわたり保全することができる。この点は、後述の試験結果から裏付けられている。
【0049】
上述の説明から明らかなように、本実施形態では、流路P20にオイルシール50、60を設け、これにより、上流側から下流側へのグリースの流動を許容しつつ、下流側から上流側への粉塵の侵入を抑制する。つまり、オイルシール50、60は、逆止弁として機能する。この構成により、ベアリング30、40に対する粉塵の進入をより十分に抑制することができる。繰り返しとなるが、リップ52bのシール効果によって、リップ52bとシャフト20の外周面との間に隙間が生じることが抑制され、これにより、外部から粉塵がリップ52bを越えてグリース溜め部53内に進入することをより十分に抑制される。また、グリース圧により変形する弁を複数設け、これによりグリース保持部54を区画することによって、粉塵の流入を抑制することを確保しつつ、オイルシールを介したグリースの流動を好適に確保することができる。更に、肉薄のリップ52aを上流側に配置し、これにより、グリース溜め部53内へのグリースの充填を促進し、オイルシール50のシール効果をより確実なものとすることができる。更に、V形環状部51qにスプリング55を配置することにより、リップ52a、52bのシール特性を適当なものに調整することができる。
【0050】
図6に本実施形態の変形例を示す(なお、本変形例も、本発明の実施形態の一例である)。図6に示すように、図5と比較して、オイルシール50とオイルシール60を鏡像反転した態様にて流路P23内に配置しても良い。このような場合であっても、上述の場合と同様、オイルシール50、60は、上流側から下流側への潤滑剤の流動を許容しつつ、下流側から上流側への粉塵の侵入を抑制する。これにより、ベアリングに対する粉塵の進入を十分に抑制することができる。
【0051】
図6に示す変形例においては、厚肉のリップ52bによってグリース溜め部53内へのグリースの順方向(上流側から下流側に向かう方向)の流入が阻止され、グリース溜め部53内へのグリースのスムーズな充填が容易ではなくなる。グリース溜め部53内にグリースが十分に充填されない場合には、オイルシール50のセルフシール効果を十分に得ることができない結果、粉塵の進入を許容してしまうおそれがある。また、グリースを圧入したとしても、グリース溜め部53内にスムーズにグリースが導入されない結果、グリース溜め部53内のグリースを十分に置換できないおそれがある。また、より厚肉の弁により、グリース保持部54内へのグリースの進入も容易ではない。図1乃至図5に示した第1実施形態では、これらの点に鑑みて、V形環状部51pを上流側に配置し、V形環状部51qを下流側に配置した。これにより、表1を参照して説明するように、ダスト濃度が高い環境下においても長時間にわたってコンベアを連続可動することができた。
【0052】
なお、図6に示す場合、シャフト20内には、L字状の延長流路P26が設けられ、これにより、この流路P26を介してグリースが排出される。つまり、グリースは、本実施形態の場合とは異なり、シールリング70とシャフト20との隙間、シールリング70とローラー本体10との間の隙間からは流出しない。図6に示す場合、流路P20にグリース注入していないとき又はその注入量が僅かであるとき、外部雰囲気中の粉塵が流路P26内に混入し、ベアリング40側へ移動し、ベアリング40内に至るおそれがある。図1乃至図5に示した第1実施形態では、この点に鑑みて、外部に流路の排出口が直に露出しない構成とした。
【0053】
図7に参考例を示す。図7に示す場合、上述の実施形態及びその変形例の場合とは異なり、オイルシール50の環状平板部51aの上端は、リング80に対して密着固定されており、その上端部分が変形してもグリースの流入が生じない。オイルシール60についても、オイルシール50と同様に構成されている。この場合、オイルシール50、60は、上流側から下流側への潤滑剤の流動を許容するものではない、と言える。従って、一度流路内に進入した粉塵を、グリース注入により押し流すことは困難である。そもそも、参考例においては、流路P20内に一時注入されたグリースは、新グリースの圧入により排出されることはなく、グリース置換自体が不可能である。
【0054】
「試験結果」
表1を参照して、ケース1〜4毎の試験結果について説明する。表1は、試験結果を説明するための表である。なお、ローラーが組み込まれる試験装置としては、セメントキルンクーラー輸送工程に用いられるパンコンベアが採用された。ダスト濃度=10,000[mg/m3N]の粉塵雰囲気において、8000時間にわたりパンコンベアを連続運転した。パンコンベアの輸送速度=24[m/min]、ローラ径=110[mm]により、パンコンベアに組み込まれたローラの回転数は、24×1000[mm/min]/(110[mm]×3.14)=70[rpm]と算出された。グリースは、商品名「ダイカルブP213」を用いた。
【0055】
【表1】

【0056】
ケース1は、第1実施形態に係るローラーを用いた場合である。ケース2は、図6に示した変形例に係るローラーを用いた場合である。なお、ケース2は、ボールベアリングではなく、ローラーベアリングが用いられている。ケース3は、ケース2とは、ベアリングの種類が異なるケースである。ケース4は、図7に示した参考例に係るローラーを用いた場合である。
【0057】
表1に示された回転抵抗[g]は、試験後、図1に示した押え板16を治具で固定し、ローラー本体10を手動にて回転し始めるときにバネ計りにより測定される値である(図8参照)。バネ計りについては、JIS B 7611「非自動計り・一般計量器」に規定される。
【0058】
グリース中の鉄粉濃度は、試験後、商品名「グリースフェロチェッカーJohn」(メンテック機工株式会社製)を用いて測定した濃度である。判定に関しては、グリース101[g]に含まれる鉄粉量[g]が、0〜0.5[g]であれば良いと判定し、0.5〜1.0[g]であれば注意と判定し、1.0〜5.0[g]であれば悪いと判定した。グリースの目視結果は、試験後、ローラーを分解して、内部のグリースの状態を判定した結果である。グリース置換後の回転抵抗[g]は、試験後、グリース置換を行った後に図8と同様にてバネ計りにより測定される値である。なお、グリース置換する際、高圧にてグリースを流路内に注入するため、初回にローラー本体を回転させる際には、より大きな回転抵抗が測定されることになる。
【0059】
表1から明らかなように、ケース1〜ケース3は、試験後の回転抵抗を500g以下に抑えることができた。また、グリース中の鉄粉濃度を5重量%以下に抑えることができた。表1に示す結果から明らかなように、ケース1及びケース2においては、試験後の回転抵抗、グリース置換後の回転抵抗が低く、長時間の可動にも関わらず、ローラー内のベアリングが良好に保全されていることが理解される。特に、ケース1においては、ケース2よりも更に回転抵抗が低く、非常に良好な結果が確認できた。つまり、ケース1では、1年程度の連続運転を経ても、ベアリング損傷が実質的に検知されず、かつグリース置換が殆ど無抵抗で可能である事が理解できる。なお、ケース2では、軽度なベアリング損傷が検知され、試験条件以上に劣悪な環境、長い時間の運転には適さないことが理解される。ケース3では、グリース中の鉄粉濃度が高く、ベアリング損傷が生じている。ケース4では、グリース中の鉄粉濃度が高く、ベアリング損傷が生じている。グリース中の鉄粉濃度等について、ケース2とケース3間の試験結果が大きくばらついたことの決定的な理由は不明であるが、オイルシールを図6のように配置した場合には結果にばらつきが生じることが予想される。
【0060】
最後に、図9及び図10を参照して、本実施形態に係るローラーが組み込まれたパンコンベアの部分構成について例示目的にて説明する。図9に示すように、パンコンベア200は、並行配置されたチェーン205上にバケツ201の下面が連結された構成を有する。チェーン205は、汎用の無端チェーンであり、バケツ201の下面に固定された固定部205a、205c、およびバケツ201間を接続する連結部205cを含む。バケツ201の下面には、チェーン接続部分よりも外側にシャフト保持部202が設けられている。シャフト保持部202は、シャフト20の内側端部を回転不能に保持している。シャフト20の外側端部は、上述したように、ベアリングを介して、ローラー本体10に接続されている。ローラー本体10は、ガイドレール204上に配置されており、チェーン205の送りに応じて、ガイドレール204上を回転移動する。バケツ201は、金属等から成り、それ自体が重い。また、バケツ201内には、クリンカーが積まれ、相当な重量となる。この重みに耐えるべく、図1に示したように、本実施形態に係るローラー100は2つのベアリング30、40をシャフト20とローラー本体10間に設けている。図10に模式的に示すように、チェーン205が順方向に送られることによって、チェーン205上に設けられたバケツ201(201a、201b)が矢印方向に移動する。
【0061】
<第2実施形態>
図11を参照して第2実施形態について説明する。本実施形態では、流路P25の流出口は、オイルシール50の直下、端的には、オイルシール50のグリース溜り部53に接続されている。このような場合であっても、第1実施形態と同様、オイルシールは、下流側から上流側へのグリースの流動を許容しつつ、下流側から上流側への粉塵の侵入を抑制するため、ベアリングに対する粉塵の進入をより十分に抑制することができる。
【0062】
上述の教示を踏まえると、当業者をすれば、各実施形態に対して様々な変更を加えることができる。例えば、ベアリングの個数、オイルシールの個数は任意である。但し、好適には、オイルシールの個数は2つである。オイルシールの個数が多すぎると、グリース置換のためにより高圧が必要となり、グリース置換が容易ではなくなるためである。オイルシールの具体的な形状、材料等は任意である。V形環状部を3つ以上連続させても良い。V形環状部を3つ連続させる場合、好適には、厚肉リップの個数は1つであり、肉薄リップの個数を2つのとすると良い。これにより、好適に、オイルシールのシール効果を確保することができる。ローラー本体を固定側部材として、シャフトを回転部材としても良い。つまり、ローラー本体とは、それ自体が回転動作する必要はなく、固定され、静止状態であっても良い。ローラー本体が固定される場合、ローラー全体としては、シャフトを回転保持する装置という意味となる。潤滑剤の種類は任意であり、グリースに限定されるべきものではない。
【符号の説明】
【0063】
100 ローラー
10 ローラー本体
20 シャフト
30、40 ベアリング
50、60 オイルシール
P20 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト、当該シャフトの周囲に設けられたローラー本体、前記シャフト上に前記ローラー本体を回転可能に支持するベアリング、及び前記ベアリングへの潤滑剤の供給及び前記ベアリングからの前記潤滑剤の排出用の流路を備え、
前記流路は、前記ベアリングから見て当該流路の下流側にあり、かつ前記シャフトと前記ローラー本体との間で周方向に連続した空間を含み、
当該空間には、前記ベアリング側から前記流路の下流側への前記潤滑剤の流動を許容しつつ、前記流路の下流側から前記ベアリング側への異物の侵入を抑制するシール部材が設けられている、ローラー。
【請求項2】
前記シール部材は、前記シャフトの軸方向に沿って順に配置された複数のリップを備え、複数の前記リップ間には、前記潤滑剤を溜める溜め部が設けられることを特徴とする請求項1に記載のローラー。
【請求項3】
前記シール部材は、前記シャフトの軸方向に沿って順に配置された複数の弁を備え、複数の前記弁により、前記潤滑剤を一時的に保持する保持部が区画されることを特徴とする請求項1又は2に記載のローラー。
【請求項4】
前記シール部材は、前記シャフトの軸方向に沿ってV字状部分が連続した構造を含み、前記V字状部分の解放端部の変形により、前記流路の上流側から下流側への前記潤滑剤の流動が許容されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のローラー。
【請求項5】
前記シール部材に対して一体的又は別体として設けられた環状弾性体を更に備え、当該環状弾性体は、前記シール部材を前記シャフトの軸方向に対して直交する方向へ押し付けることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のローラー。
【請求項6】
前記シール部材は、前記シャフトの軸方向に沿って順に配置された複数のリップを備え、複数の前記リップは、互いに肉厚が異なる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のローラーであって、
肉厚がより薄い前記リップは、肉厚がより厚い前記リップよりも、前記ベアリング側に配置される、ローラー。
【請求項7】
前記シール部材を第1シール部材として備える請求項1乃至6のいずれか一項に記載のローラーであって、
前記空間において前記第1シール部材に隣接して配置された第2シール部材を更に備え、
前記第2シール部材は、前記ベアリング側から前記流路の下流側への前記潤滑剤の流動を許容しつつ、前記流路の下流側から前記ベアリング側への異物の侵入を抑制する、ローラー。
【請求項8】
前記ベアリングは、内輪と外輪との間にボールが保持されたベアリングであり、前記外輪には、当該ベアリングの半径方向に沿って前記内輪側へ延在するシールド板が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のローラー。
【請求項9】
前記ベアリングを第1ベアリングとして備える請求項1乃至8のいずれか一項に記載のローラーであって、
前記第1ベアリングに隣接して設けられた第2ベアリングを更に備え、
前記第2ベアリングは、前記シャフト上に前記ローラー本体を回転可能に支持する、ローラー。
【請求項10】
前記シャフトには、前記ベアリングを介することなく前記空間に対して前記潤滑剤を供給するための流路が設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のローラー。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のローラーを具備するコンベア装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−49544(P2013−49544A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189261(P2011−189261)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】