ワーク取付システムおよびワーク取付方法
【課題】汎用性が高くかつサイクルタイムを短縮できるワーク取付システムを提供すること。
【解決手段】ワーク取付システム1は、ボディ2のインナパネル2Aにサンルーフ部材3を取り付ける。このワーク取付システム1は、第1取付ロボット5と、第2取付ロボット6と、これらを制御する制御装置7と、を備える。制御装置7は、第1取付ロボット5のCCDカメラにより、サンルーフ部材3の位置およびインナパネル2Aの位置を位置情報として算出する工程と、この位置情報に基づいて、第1取付ロボット5によりサンルーフ部材3を把持して搬送し、このサンルーフ部材3をインナパネル2Aに位置決めする工程と、第1取付ロボット5によりサンルーフ部材3をインナパネル2Aに仮固定する工程と、既に算出した位置情報に基づいて、第2取付ロボット6によりサンルーフ部材3をインナパネル2Aに本固定する工程と、を実行する。
【解決手段】ワーク取付システム1は、ボディ2のインナパネル2Aにサンルーフ部材3を取り付ける。このワーク取付システム1は、第1取付ロボット5と、第2取付ロボット6と、これらを制御する制御装置7と、を備える。制御装置7は、第1取付ロボット5のCCDカメラにより、サンルーフ部材3の位置およびインナパネル2Aの位置を位置情報として算出する工程と、この位置情報に基づいて、第1取付ロボット5によりサンルーフ部材3を把持して搬送し、このサンルーフ部材3をインナパネル2Aに位置決めする工程と、第1取付ロボット5によりサンルーフ部材3をインナパネル2Aに仮固定する工程と、既に算出した位置情報に基づいて、第2取付ロボット6によりサンルーフ部材3をインナパネル2Aに本固定する工程と、を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク取付システムおよびワーク取付方法に関する。詳しくは、自動車のボディにサンルーフを取り付けるワーク取付システムおよびワーク取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のボディには、外光を採り入れるためのサンルーフが設けられる。このサンルーフは、サンルーフユニットをボディに取り付けることで、形成される。
すなわち、ボディの製造ラインには、サンルーフユニット取り付けロボットが配置されている(特許文献1参照)。このサンルーフユニット取り付けロボットは、ロボットアームと、このロボットアームの先端に設けられてサンルーフユニットを支持するハンドと、を備える。
【0003】
ハンドは、矩形枠状であり、2本の先細りテーパピンと、3台のシリンダユニットと、2本の位置決めピンと、8台のナットランナと、を備える。各ナットランナには、ボルトが挟持されている。このハンドでは、位置決めピンやナットランナの位置は、サンルーフユニットの形状に応じて、予め決定される。
【0004】
以上の取り付けロボットの動作は、以下のようになる。
まず、ハンドでサンルーフユニットを支持する。具体的には、サンルーフユニットに位置決めピンを挿通することで、サンルーフユニットをハンドに対して位置決めして、ハンドのナットランナに挟持されたボルトをサンルーフユニットのボルト穴に挿通する。
その後、ロボットアームを制御して、サンルーフユニットをボディのフロントウインド用開口からボディ内部に投入する。
【0005】
次に、ハンドの先細りテーパピンを、ボディの取り付け位置に形成された位置決め穴に挿通して、ハンドをボディに対して位置決めする。
次に、シリンダユニットを駆動して、サンルーフユニットをボディの取り付け位置に接近させるとともに、ナットランナを駆動して、ボルトをボディのナットに螺合させる。
【0006】
このような取り付けロボットによれば、1つのハンドでサンルーフユニットを搬送して取り付けることができる。
【特許文献1】特許第2672825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年では、製造ラインを効率的に稼働させるため、1つの製造ラインで複数の車種が製造される場合が多い。この場合、車種によっては、サンルーフユニットの形状が異なる場合がある。
【0008】
しかしながら、以上のハンドの構造では、位置決めピンやナットランナの位置は、サンルーフユニットの形状に応じて予め決定されるため、汎用性が低く、車種毎にハンドを交換する必要があった。そのため、サイクルタイムが長期化する、という問題があった。
【0009】
本発明は、汎用性が高くかつサイクルタイムを短縮できるワーク取付システムおよびワーク取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のワーク取付システム(例えば、後述のワーク取付システム1)は、第2ワーク(例えば、後述のボディ2)の被取付部(例えば、後述のインナパネル2A)に第1ワーク(例えば、後述のサンルーフ部材3)を取り付けるワーク取付システムであって、前記第1ワークを前記第2ワークに仮固定する仮固定手段(例えば、後述のナットランナ23)、前記第1ワークを把持する把持手段(例えば、後述の位置決めピン223、ワーク支持パッド224)、前記第1ワークの位置および前記第2ワークの被取付部の位置を検出する位置検出手段(例えば、後述のCCDカメラ241)を備えた第1ロボット(例えば、後述の第1取付ロボット5)と、前記第1ワークを前記第2ワークに本固定する本固定手段(例えば、後述の締付ハンド70)を備えた第2ロボット(例えば、後述の第2取付ロボット6)と、前記第1ロボットおよび第2ロボットを制御する制御装置(例えば、後述の制御装置7)と、を備え、前記制御装置は、前記第1ロボットの位置検出手段により、前記第1ワークの位置および前記第2ワークの被取付部の位置を位置情報として算出する位置情報算出工程と、当該位置情報算出工程で算出した位置情報に基づいて、前記第1ロボットの把持手段により前記第1ワークを把持し、その後、当該第1ロボットにより前記第1ワークを搬送して、当該第1ワークを前記第2ワークの被取付部に位置決めする位置決め工程と、前記第1ロボットの仮固定手段により前記第1ワークを前記第2ワークに仮固定する仮固定工程と、前記位置情報算出工程で算出した位置情報に基づいて、前記第2ロボットの本固定手段により前記第1ワークを前記第2ワークに本固定する本固定工程と、を実行することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、以下の手順で、第2ワークの取り付け部位に第1ワークを取り付ける。
まず、第1ロボットの位置検出手段により、第1ワークの位置および第2ワークの被取付部の位置を位置情報として算出する。
次に、算出した位置情報に基づいて、第1ロボットの把持手段により第1ワークを把持し、その後、第1ロボットにより第1ワークを搬送して、この第1ワークを前記第2ワークの被取付部に位置決めする。
【0012】
次に、第1ロボットの仮固定手段により第1ワークを第2ワークに仮固定し、続いて、既に算出した位置情報に基づいて、第2ロボットの本固定手段により第1ワークを第2ワークに本固定する。
【0013】
よって、第1ロボットにより、第1ワークの位置決めと仮固定のみを行い、第2ロボットで第1ワークの本固定を行って、第1ロボットと第2ロボットとで役割を分担した。よって、第1ロボットおよび第2ロボットのそれぞれを役割に応じて最適な構造とすることで、第1ワークの形状が機種毎に異なる場合でも対応できるから、汎用性が高くなり、サイクルタイムを短縮できる。
【0014】
また、位置検出手段により、第1ワークの位置および第2ワークの被取付部の位置を位置情報として一度算出するだけで、この算出した位置情報に基づいて、第1ロボットおよび第2ロボットの動作を補正する。したがって、第1ワークや第2ワークの被取付部の位置を何度も検出する必要がなくなるので、作業工数を削減でき、サイクルタイムをさらに短縮できる。
【0015】
本発明のワーク取付方法は、第2ワークの被取付部に第1ワークを取り付けるワーク取付方法であって、前記第1ロボットにより、前記第1ワークの位置および前記第2ワークの被取付部の位置を位置情報として算出する位置情報算出工程と、当該位置情報算出工程で算出した位置情報に基づいて、前記第1ロボットにより前記第1ワークを把持し、その後、当該第1ロボットにより前記第1ワークを搬送して、当該第1ワークを前記第2ワークの被取付部に位置決めする位置決め工程と、前記第1ロボットにより前記第1ワークを前記第2ワークに仮固定する仮固定工程と、前記位置情報算出工程で算出した位置情報に基づいて、前記第2ロボットにより前記第1ワークを前記第2ワークに本固定する本固定工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、上述の効果と同様の効果がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第1ロボットにより、第1ワークの位置決めと仮固定のみを行い、第2ロボットで第1ワークの本固定を行って、第1ロボットと第2ロボットとで役割を分担した。よって、第1ロボットおよび第2ロボットのそれぞれを役割に応じて最適な構造とすることで、第1ワークの形状が機種毎に異なる場合でも対応できるから、汎用性が高くなり、サイクルタイムを短縮できる。また、位置検出手段により、第1ワークの位置および第2ワークの被取付部の位置を位置情報として一度算出するだけで、この算出した位置情報に基づいて、第1ロボットおよび第2ロボットの動作を補正する。したがって、第1ワークや第2ワークの被取付部の位置を何度も検出する必要がなくなるので、作業工数を削減でき、サイクルタイムをさらに短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るワーク取付システム1の全体斜視図である。
ワーク取付システム1は、図示しない搬送コンベアにより搬送される第2ワークとしてのボディ2に第1ワークとしてのサンルーフ部材3を取り付けるものである。
【0019】
ボディ2の正面には、フロントウインドが取り付けられるフロントウインド用開口41が形成され、ボディ2の両側面には、フロントドアが取り付けられるフロントドア用開口42が形成されている。
サンルーフ部材3は、ボディ2の内部側からボディ2の屋根43に取り付けられる。
【0020】
ワーク取付システム1は、サンルーフ部材3をボディ2の取り付け位置の近傍まで搬送する搬送ロボット4と、この搬送ロボット4からサンルーフ部材3を受け取り、この受け取ったサンルーフ部材3をボディ2に位置決めして第1取付する一対の第1ロボットとしての第1取付ロボット5と、この第1取付されたサンルーフ部材3を本固定する一対の第2ロボットとしての第2取付ロボット6と、これら搬送ロボット4、第1取付ロボット5、および第2取付ロボット6を制御する制御装置7と、を備える。
【0021】
図2は、サンルーフ部材3およびこのサンルーフ部材3が取り付けられる被取付部としてのインナパネル2Aの斜視図である。
サンルーフ部材3は、矩形枠状のフレーム30と、このフレーム30の互いに対向する部分を跨いで設けられたセンターフレーム33と、を備える。
【0022】
この矩形枠状のフレーム30は、略U字形状のメインフレーム31と、このメインフレーム31のうち互いに略平行に延びる先端部分同士を連結するサブフレーム32と、で構成される。
センターフレーム33は、メインフレーム31のうち互いに略平行に延びる部分同士を連結している。
このサンルーフ部材3を構成するフレームのうち、メインフレーム31およびセンターフレーム33は、各種のサンルーフ部材に共通する基本構造となっている。
【0023】
このサンルーフ部材3の周縁部分には、10個のボルト穴34が形成されている。これらボルト穴34のうちサンルーフ部材3の前方両側に位置するものをボルト穴34Aとし、ボルト穴34Aの後方側に隣接するものをボルト穴34Bとする。
また、このボルト穴34Aの近傍には、位置決め穴35が形成されている。
【0024】
インナパネル2Aは、ボディ2の屋根43の内側を構成するパネルである。インナパネル2Aには、サンルーフ部材3のボルト穴34に対応して、ナット44が形成されている。これらナット44のうちサンルーフ部材3のボルト穴34Aに対応するものをナット44Aとすると、このナット44Aの近傍には、サンルーフ部材3の位置決め穴35に対応して、位置決め穴45が形成されている。また、ナット44のうちサンルーフ部材3のボルト穴34Bに対応するものをナット44Bとする。
【0025】
サンルーフ部材3は、ボルト51をボディ2の内部側からサンルーフ部材3のボルト穴34に挿通し、インナパネル2Aのナット44に螺合することで、インナパネル2Aに取り付けられる。ここで、ボルト51のうちナット44Aに螺合されるものを、ボルト51Aとする。
【0026】
図1に戻って、搬送ロボット4は、ボディ2の正面側に配置され、サンルーフ部材3を把持して、ボディ2に向かって移動することにより、この把持したサンルーフ部材3をボディ2の内部まで搬送する。
この搬送ロボット4は、搬送ハンド10と、床面上にボディ2の長さ方向に沿って移動可能に設けられて搬送ハンド10の姿勢や3次元空間における位置を変化させるロボットアーム11と、を備える。
【0027】
図3は、搬送ロボット4の搬送ハンド10の平面図である。図4は、搬送ハンド10の斜視図である。
搬送ハンド10は、平面視で略十字形状であり、ロボットアーム11のフランジ面11Aの中心軸Cに沿って延びる平板状の基部12と、この基部12に設けられた把持機構60と、基部12の先端から中心軸Cに沿って突出する突出部13と、を備える。
突出部13は、基部12に支持された支持部131と、この支持部131の先端に設けられたセンターフレーム着座部132と、を備える。
センターフレーム着座部132には、センターフレーム33の下面が着座される。
【0028】
基部12は、ロボットアーム11のフランジ面11Aに取付けられる支持部121と、略矩形枠状の枠部122と、この枠部122と支持部121とを連結する連結部123と、枠部122の先端側に設けられた補強板124と、枠部122上に設けられて中心軸Cに交差する方向に延びるガイド部128A、128Bと、を備える。
【0029】
枠部122の支持部121側の2つの角部には、メインフレーム着座部125が設けられている。
メインフレーム着座部125には、略U字形状のメインフレーム31のうちセンターフレーム33に略平行な部分の下面が着座される。このメインフレーム着座部125は、底部126と、この底部126に立設された一対の壁部127と、を備える。
一対の壁部127は、互いに対向して配置され、中心軸Cの交差する方向に延びている。
【0030】
把持機構60は、ガイド部128A、128Bに沿って移動可能な一対の押圧部62A、62Bと、押圧部62Aをガイド部128Aに沿って進退させる進退機構63と、押圧部62Aの移動に連動して押圧部62Bを移動させるリンク機構64と、を備える。
【0031】
ガイド部128A、128Bの上面には、図示しないスライドガイドが設けられている。
押圧部62A、62Bの下面には、これらガイド部128A、128Bのスライドガイドに嵌合するスライドレールが設けられており、これにより、一対の押圧部62A、62Bは、ガイド部128A、128Bに沿って移動可能となっている。
押圧部62A、62Bの先端には、基部12に対して略垂直な押圧面621、および、基部12に対して略平行な押え面622が設けられている。
進退機構63は、基部12の枠部122上に中心軸Cに交差する方向に取り付けられており、先端が押圧部62Aに取付けられたピストンロッド631と、このピストンロッド631を進退させるシリンダ632と、を備える。
【0032】
リンク機構64は、押圧部62Aに取り付けられて押圧部62Aのスライド方向に延びるラック641Aと、押圧部62Bに取り付けられて押圧部62Bのスライド方向に延びるラック641Bと、これらラック641A、641Bの間でかつ中心軸C上に回転自在に設けられてラック641A、641Bに噛合するピニオン642と、このピニオン642を収納するケース643と、を備える。
【0033】
押圧部62Aからラック641Aのピニオン642に噛合する部分までの距離と、押圧部62Bからラック641Bのピニオン642に噛合する部分までの距離とは、同一寸法となっている。これにより、押圧部62Aがガイド部128Aに沿って移動しても、押圧部62Aから中心軸Cまでの距離と、押圧部62Bから中心軸Cまでの距離とは、常に一定となる。つまり、押圧部62Aの位置と押圧部62Bの位置とは、中心軸Cを挟んで常に線対称となる。
【0034】
この把持機構60によれば、進退機構63を駆動して、ピストンロッド631を前進させると、押圧部62Aがガイド部128Aに沿って外側に向かって移動する。この押圧部62Aの移動に伴って、リンク機構64により、押圧部62Bもガイド部128Aに沿って外側に向かって移動する。
【0035】
したがって、搬送ロボット4の搬送ハンド10によれば、搬送ハンド10上にサンルーフ部材3が載置されると、このサンルーフ部材3のセンターフレーム33は、センターフレーム着座部132上に着座する。また、メインフレーム31のうちセンターフレーム33に略平行な部分は、2つのメインフレーム着座部125に着座する。具体的には、このメインフレーム31のうちセンターフレーム33に略平行な部分は、メインフレーム着座部125の一対の壁部127の間に嵌合し、これにより、サンルーフ部材3の中心軸Cに沿った方向の移動が規制される。
その後、把持機構60を駆動することにより、押圧部62A、62Bを外側に向かって移動させ、メインフレーム31のうち互いに略平行に延びる部分の側面を、押圧面621で内側から押圧して、把持する。これにより、サンルーフ部材3の基部12の面内かつ中心軸Cに交差する方向の移動が規制される。
また、押圧面621がメインフレーム31のうち互いに略平行に延びる部分の側面に当接すると同時に、押え面622がメインフレーム31のうち互いに略平行に延びる部分の上面を覆う。これにより、サンルーフ部材3の基部12に対して略垂直な方向の移動が規制される。
【0036】
図1に戻って、一対の第1取付ロボット5は、ボディ2の両側に配置され、搬送ロボット4が搬送したサンルーフ部材3をボディ2のインナパネル2Aに第1取付する。
これら第1取付ロボット5は、それぞれ、ハンド20と、床面上に設けられてハンド20の姿勢や3次元空間における位置を変化させるロボットアーム21と、を備える。
以下、ボディ2の左側に位置する第1取付ロボット5について説明するが、ボディ2の右側に位置する第1取付ロボット5についても、同様の構成であり、これら左右の第1取付ロボット5の外観は、ボディ2を挟んで対称となっている。
【0037】
図5は、第1取付ロボット5のハンド20の平面図である。図6は、ハンド20の側面図である。図7は、ハンド20の斜視図である。
ハンド20は、略L字形状の支持フレーム22と、この支持フレーム22に設けられた仮固定手段としてのナットランナ23と、支持フレーム22に設けられた撮影装置24と、を備える。
【0038】
支持フレーム22は、ロボットアーム11のフランジ面から面内方向に延びる第1フレーム221と、この第1フレーム221の先端からこの第1フレーム221に直交して延びる第2フレーム222と、を備える。
第1フレーム221と第2フレーム222との交差部分には、上方に向かって突出する把持手段としての位置決めピン223が設けられる。また、第2フレーム222の先端側の上面には、把持手段としてのワーク支持パッド224が設けられる。
【0039】
ナットランナ23は、支持フレーム22の第1フレーム221の途中に設けられ、ボルト51Aが嵌合するソケット231と、このソケット231を回転駆動する駆動装置232と、を備える。
このナットランナ23によれば、駆動装置232を駆動することにより、ソケット231に嵌合したボルト51Aを所定のトルクで回転させる。
【0040】
撮影装置24は、支持フレーム22の第2フレーム222の途中に設けられ、上方に向かって配置された位置検出手段としてのCCDカメラ241と、このCCDカメラ241の撮影対象を照明する環状の照明装置242と、を備える。
【0041】
第1取付ロボット5のハンド20によれば、図8に示すように、ハンド20上にサンルーフ部材3が載置されると、支持フレーム22の位置決めピン223は、サンルーフ部材3の位置決め穴35に挿入される。そして、このサンルーフ部材3は、この位置決めピン223および支持フレーム22のワーク支持パッド224により支持される。また、ナットランナ23のソケット231にチャックされたボルト51Aは、サンルーフ部材3のボルト穴34Aに挿通される。
【0042】
図1に戻って、一対の第2取付ロボット6は、ボディ2の両側に配置され、第1取付ロボット5が第1取付したサンルーフ部材3をボディ2のインナパネル2Aに本固定する。
これら第2取付ロボット6は、それぞれ、本固定手段としての締付ハンド70と、床面上に設けられて締付ハンド70の姿勢や3次元空間における位置を変化させるロボットアーム71と、を備える。
以下、ボディ2の左側に位置する第2取付ロボット6について説明するが、ボディ2の右側に位置する第2取付ロボット6についても、同様の構成であり、これら左右の第2取付ロボット6の外観は、ボディ2を挟んで対称となっている。
【0043】
図9は、第2取付ロボット6の締付ハンド70の斜視図である。
締付ハンド70は、6個の締付部80を有しこれら締付部80のうちの1つを所定位置に配置する切換機構72と、回転駆動する駆動源73と、この駆動源73を所定位置の締付部80に対して連結させる進退機構74と、を備えている。
【0044】
切換機構72は、取付ブラケット721を介してロボットアーム71の先端フランジ面に支持されている。
切換機構72は、円筒形状のホルダ722と、このホルダ722の外周面に配置された6個の締付部80と、ホルダ722を回転させるホルダ駆動部723と、を備えている。
【0045】
ホルダ駆動部723は、取付ブラケット721に固定されている。
ホルダ722は、円筒形状であり、ホルダ駆動部723の駆動軸に取り付けられている。ホルダ駆動部723を駆動することにより、ホルダ722は、中心軸を回転中心として矢印A方向または矢印B方向に回転し、締付部80を移動させる。
【0046】
図10は、締付ハンド70の断面図である。
締付部80は、回転軸Yを回転中心としてホルダ722に回転可能に支持されている。この締付部80は、保持部81と、軸部82と、ガイド部83と、ソケット85を有するビット部84と、を備える。
【0047】
保持部81は、円筒形状であり、この保持部81の内部には、ボールスプライン811が設けられている。軸部82は、この保持部81に挿通されて、ボールスプライン811により、回転可能かつ進退可能に支持される。
【0048】
軸部82の基端側には、ジョイント部821が設けられている。このジョイント部821には、駆動源73が連結可能である。
また、軸部82のジョイント部821と保持部81の基端面との間には、スプリング86が介装されている。
【0049】
ガイド部83は、円筒形状であり、軸部82は、このガイド部83の基端側に連結されている。これにより、軸部82の回転力は、このガイド部83に伝達される。
【0050】
ビット部84の基端側は、ガイド部83の先端側に挿入されている。このビット部84の基端側の外周面とガイド部83の内周面とは、六角形の相似形であり、さらに、ビット部84の基端側の外周面とガイド部83の内周面との間には、僅かな隙間が形成されている。
これにより、ビット部84は、ガイド部83に対して軸方向に交差する方向に移動可能かつガイド部83に対して軸方向に摺動可能に遊嵌し、フローティング可能である。また、ガイド部83が回転すると、ビット部84は、このガイド部83の回転に対して従回転する。
また、このビット部84の基端側には、軸部82が挿入されている。
【0051】
このガイド部83には、スプリング87が内蔵されている。スプリング87は、軸部82に沿って配置され、このスプリング87の先端側は、ビット部84の基端側に収納され、ビット部84を先端側に向かって付勢する。
ソケット85は、ボルト51を保持する。このソケット85の先端面は磁石になっており、このソケット85の磁力により、ボルト51を保持する。
【0052】
以上の締付部80によれば、駆動源73を軸部82のジョイント部821に連結して、この駆動源73を回転駆動することで、軸部82が回転し、この回転力は、ガイド部83を介してビット部84に伝達され、ソケット85が回転する。
また、駆動源73で軸部82を押圧することにより、軸部82、ガイド部83、およびビット部84は、スプリング86の付勢力に抵抗して前進するが、この駆動源73による押圧力が解除されると、スプリング86の復元力により、原位置に復帰する。
【0053】
また、ソケット85に軸方向の押圧力が作用しても、ビット部84がスプリング87の付勢力に抵抗して後退することで、この押圧力を緩和する。その後、この押圧力が解除されると、スプリング87の復元力によりビット部84は原位置に復帰する。
【0054】
駆動源73は、ホルダ722の後方に配置され、回転駆動部731を備えている。回転駆動部731の先端は、締付部80のジョイント部821に嵌合可能となっている。この回転駆動部731の回転軸Xは、ホルダ722の回転軸に略平行となっている。
【0055】
進退機構74は、取付ブラケット721に設けられており、制御装置7により制御されて、駆動源73を回転軸Xに沿って前進あるいは後退させる。
この進退機構74は、一対のシリンダ機構75と、一対のスライドガイド76と、を備える。
【0056】
一対のシリンダ機構75は、駆動源73に取り付けられたピストンロッド751と、このピストンロッド751を進退させるシリンダ752と、を備える。この一対のシリンダ機構75を駆動することにより、駆動源73は回転駆動部731の回転軸Xに沿って進退する。
【0057】
一対のスライドガイド76は、駆動源73に取り付けられたスライドビーム761と、取付ブラケット721に設けられてスライドビーム761が挿通されるスライド部762と、を備える。一対のスライドガイド76は、スライドビーム761がスライド部762内を摺動することで、駆動源73の進退移動を案内する。
【0058】
次に、上述の締付ハンド70の動作について説明する。
初期設定として、図9に示すように、締付部80の回転軸Yは、駆動源73の回転駆動部731の回転軸X上に位置している。
この状態から、制御装置によりロボットアーム71を制御して、締付ハンド70を取付位置まで移動する。具体的には、ボルト51の取り付け位置と、駆動源73の回転軸Xと、が同軸になるように、ロボットアーム71を制御する。
次に、進退機構74を駆動して、駆動源73を前進させて、駆動源73の回転駆動部731を、締付部80の軸部82に連結する。
【0059】
続いて、図11に示すように、スプリング86の付勢力に抵抗して、駆動源73をさらに前進させて、締付部80に保持されたボルト51を締付ハンド70の前面から突出させて、このボルト51を取付位置まで押し出す。
次に、駆動源73の回転駆動部731を駆動する。すると、この回転駆動部731の回転力は、締付部80に伝達されて、ソケット85が回転する。これにより、取付位置にボルト51を締め付ける。
【0060】
次に、進退機構74を駆動して、駆動源73の回転駆動部731を後退させる。すると、スプリング86の復元力により、ソケット85が後退し、締付部80は原位置に復帰する。続いて、駆動源73をさらに後退させて、駆動源73の回転駆動部731を、締付部80の軸部82から離間させる。
次に、ホルダ駆動部723を駆動して、ホルダ722を矢印A方向または矢印B方向に回転させて、次の締付部80の回転軸Yを、駆動源73の回転駆動部731の回転軸Xと同軸となる位置に配置する。
【0061】
その後、制御装置によりロボットアーム71を制御して、締付ハンド70を次の取付位置まで移動し、次に取付位置まで移動し、上述の動作と同じ動作を繰り返す。
【0062】
ワーク取付システム1の動作について、図12のフローチャートを参照しながら説明する。
ST1では、ボディ2の搬送を停止する。
ST2では、ボディ2の両側のフロントドア用開口42を通して、第1取付ロボット5をボディ2の内部に投入し、第1取付ロボット5のCCDカメラ241を、屋根43のインナパネル2Aに接近させる。次に、このCCDカメラ241でインナパネル2Aのナット44Bを撮影し、その後、この第1取付ロボット5を退避させる。
【0063】
ST3では、制御装置7により、インナパネル2Aの撮影画像に基づいて、ナット44Bの予めティーチングされた位置からのずれ量を、位置情報であるワーク取り付け位置ずれ量として算出する。
【0064】
ST4Aでは、図示しないワーク供給場所にて、搬送ロボット4によりサンルーフ部材3を把持させる。そして、搬送ロボット4を移動することにより、ボディ2のフロントウインド用開口41に向かってサンルーフ部材3の搬送を開始する。
【0065】
ST5では、搬送されるサンルーフ部材3の下方に第1取付ロボット5を位置させて、この状態で、サンルーフ部材3がボディ2のフロントウインド用開口41に到達するまで、この第1取付ロボット5を搬送ロボット4の動作に同期して移動させて、第1取付ロボット5のCCDカメラ241でサンルーフ部材3のボルト穴34Bを基準位置として撮影する。
【0066】
ST6では、制御装置7により、サンルーフ部材3の撮影画像に基づいて、ボルト穴34Bの予めティーチングした位置からのずれ量を、位置情報であるワーク位置ずれ量として算出する。
【0067】
ST4Bでは、搬送ロボット4により、ボディ2のフロントウインド用開口41を通して、サンルーフ部材3をボディ2の内部に投入し、サンルーフ部材3をインナパネル2Aの下方で停止させる。
このとき、ワーク位置ずれ量およびST3で算出したワーク取り付け位置ずれ量に基づいて、サンルーフ部材3の位置決め穴35がボディ2の位置決め穴45の直下に位置するように、サンルーフ部材3を停止させる。
【0068】
ST7では、第1取付ロボット5を制御してサンルーフ部材3に下方から接近させ、サンルーフ部材3の位置決め穴35に位置決めピン223を挿入するとともに、この第1取付ロボット5でサンルーフ部材3の両端側を支持する。これにより、第1取付ロボット5は、搬送ロボット4からサンルーフ部材3を受け取ることになる。ここで、第1取付ロボット5の動作に上述のワーク位置ずれ量を反映させて、第1取付ロボット5の動作を補正する。その後、搬送ロボット4をボディ2の内部から退避させる。
【0069】
ST8では、第1取付ロボット5を上昇させてサンルーフ部材3を搬送し、位置決めピン223をボディ2の位置決め穴45に挿入することで、サンルーフ部材3をボディ2のインナパネル2Aに位置決めする。ここで、第1取付ロボット5の動作に上述のワーク取り付け位置ずれ量およびワークずれ量を反映させて、第1取付ロボット5の動作を補正する。
すると、サンルーフ部材3のボルト穴34Aは、ボディ2のナット44Aに重なった状態となるので、ナットランナ23を駆動して、サンルーフ部材3のボルト穴34Aを通して、2本のボルト51Aをボディ2のナット44Aに締め付ける。
【0070】
ST9では、第2取付ロボット6の締付部80に、ボルト51Aを除く残りのボルト51を装着して、これら残りのボルト51をサンルーフ部材3のボルト穴34に通して、ナット44に締め付ける。
ここで、第2取付ロボット6の動作に上述のワーク位置ずれ量を反映させて、第2取付ロボット6の動作を補正する。
【0071】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)まず、第1取付ロボット5のCCDカメラ241により、ボディ2のインナパネル2Aを撮影し、この撮影画像に基づいて、このインナパネル2Aの予めティーチングした位置からのずれ量を算出する。
次に、ワーク供給場所にて、搬送ロボット4により、サンルーフ部材3を把持し、このサンルーフ部材3を搬送して、インナパネル2Aの近傍に位置させる。このサンルーフ部材3の搬送と同時に、第1取付ロボット5のCCDカメラ241により、サンルーフ部材3を撮影し、この撮影画像に基づいて、サンルーフ部材3の予めティーチングした位置からのずれ量を算出する。
【0072】
次に、第1取付ロボット5により、搬送ロボット4からサンルーフ部材3を受け取り、このサンルーフ部材3を把持して搬送し、サンルーフ部材3をボディ2のインナパネル2Aに位置決めし、その後、第1取付ロボット5のナットランナ23により、サンルーフ部材3の2箇所をボルト51Aでインナパネル2Aに仮固定する。ここで、算出したインナパネル2Aのずれ量およびサンルーフ部材3のずれ量を第1取付ロボット5の動作に反映させて、第1取付ロボット5の動作を補正する。
【0073】
次に、第2取付ロボット6を制御して、第2取付ロボット6の締付ハンド70により、サンルーフ部材3の2箇所をボルト51Aでインナパネル2Aに本固定する。ここで、既に算出したインナパネル2Aのずれ量を第2取付ロボット6の動作に反映させて、第2取付ロボット6の動作を補正する。
【0074】
このように、第1取付ロボット5により、サンルーフ部材3の位置決めと仮固定のみを行い、第2取付ロボット6により、サンルーフ部材3の本固定を行って、第1取付ロボット5と第2取付ロボット6とで役割を分担した。よって、第1取付ロボット5および第2取付ロボット6のそれぞれを役割に応じて最適な構造とすることで、サンルーフ部材3の形状が機種毎に異なる場合でも対応できるから、汎用性が高くなり、サイクルタイムを短縮できる。
【0075】
(2)取付ロボット5のCCDカメラ241により、インナパネル2Aのずれ量およびサンルーフ部材3のずれ量を位置情報として一度算出するだけで、この算出した位置情報に基づいて、第1取付ロボット5および第2取付ロボット6の動作を補正する。したがって、サンルーフ部材3やボディ2のインナパネル2Aの位置を何度も検出する必要がなくなるので、作業工数を削減でき、サイクルタイムをさらに短縮できる。
【0076】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態に係るワーク取付システムの全体斜視図である。
【図2】前記実施形態に係るサンルーフ部材およびこのサンルーフ部材が取り付けられる部分の斜視図である。
【図3】前記実施形態に係る搬送ロボットの搬送ハンドの平面図である。
【図4】前記実施形態に係る搬送ハンドの斜視図である。
【図5】前記実施形態に係る第1取付ロボットのハンドの平面図である。
【図6】前記実施形態に係る第1取付ロボットのハンドの側面図である。
【図7】前記実施形態に係る第1取付ロボットのハンドの斜視図である。
【図8】前記実施形態に係る第1取付ロボットでサンルーフ部材を支持した状態を示す分解斜視図である。
【図9】前記実施形態に係る第2取付ロボットの締付ハンドの斜視図である。
【図10】前記実施形態に係る第2取付ロボットの締付ハンドの断面図である。
【図11】前記実施形態に係る第2取付ロボットの動作を説明するための図である。
【図12】前記実施形態に係るワーク取付システムの動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1 ワーク取付システム
2 ボディ(第2ワーク)
2A インナパネル(被取付部)
3 サンルーフ部材(第1ワーク)
5 第1取付ロボット(第1ロボット)
6 第2取付ロボット(第2ロボット)
7 制御装置
23 ナットランナ(仮固定手段)
70 締付ハンド(本固定手段)
223 位置決めピン(把持手段)
224 ワーク支持パッド(把持手段)
241 CCDカメラ(位置検出手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク取付システムおよびワーク取付方法に関する。詳しくは、自動車のボディにサンルーフを取り付けるワーク取付システムおよびワーク取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のボディには、外光を採り入れるためのサンルーフが設けられる。このサンルーフは、サンルーフユニットをボディに取り付けることで、形成される。
すなわち、ボディの製造ラインには、サンルーフユニット取り付けロボットが配置されている(特許文献1参照)。このサンルーフユニット取り付けロボットは、ロボットアームと、このロボットアームの先端に設けられてサンルーフユニットを支持するハンドと、を備える。
【0003】
ハンドは、矩形枠状であり、2本の先細りテーパピンと、3台のシリンダユニットと、2本の位置決めピンと、8台のナットランナと、を備える。各ナットランナには、ボルトが挟持されている。このハンドでは、位置決めピンやナットランナの位置は、サンルーフユニットの形状に応じて、予め決定される。
【0004】
以上の取り付けロボットの動作は、以下のようになる。
まず、ハンドでサンルーフユニットを支持する。具体的には、サンルーフユニットに位置決めピンを挿通することで、サンルーフユニットをハンドに対して位置決めして、ハンドのナットランナに挟持されたボルトをサンルーフユニットのボルト穴に挿通する。
その後、ロボットアームを制御して、サンルーフユニットをボディのフロントウインド用開口からボディ内部に投入する。
【0005】
次に、ハンドの先細りテーパピンを、ボディの取り付け位置に形成された位置決め穴に挿通して、ハンドをボディに対して位置決めする。
次に、シリンダユニットを駆動して、サンルーフユニットをボディの取り付け位置に接近させるとともに、ナットランナを駆動して、ボルトをボディのナットに螺合させる。
【0006】
このような取り付けロボットによれば、1つのハンドでサンルーフユニットを搬送して取り付けることができる。
【特許文献1】特許第2672825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年では、製造ラインを効率的に稼働させるため、1つの製造ラインで複数の車種が製造される場合が多い。この場合、車種によっては、サンルーフユニットの形状が異なる場合がある。
【0008】
しかしながら、以上のハンドの構造では、位置決めピンやナットランナの位置は、サンルーフユニットの形状に応じて予め決定されるため、汎用性が低く、車種毎にハンドを交換する必要があった。そのため、サイクルタイムが長期化する、という問題があった。
【0009】
本発明は、汎用性が高くかつサイクルタイムを短縮できるワーク取付システムおよびワーク取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のワーク取付システム(例えば、後述のワーク取付システム1)は、第2ワーク(例えば、後述のボディ2)の被取付部(例えば、後述のインナパネル2A)に第1ワーク(例えば、後述のサンルーフ部材3)を取り付けるワーク取付システムであって、前記第1ワークを前記第2ワークに仮固定する仮固定手段(例えば、後述のナットランナ23)、前記第1ワークを把持する把持手段(例えば、後述の位置決めピン223、ワーク支持パッド224)、前記第1ワークの位置および前記第2ワークの被取付部の位置を検出する位置検出手段(例えば、後述のCCDカメラ241)を備えた第1ロボット(例えば、後述の第1取付ロボット5)と、前記第1ワークを前記第2ワークに本固定する本固定手段(例えば、後述の締付ハンド70)を備えた第2ロボット(例えば、後述の第2取付ロボット6)と、前記第1ロボットおよび第2ロボットを制御する制御装置(例えば、後述の制御装置7)と、を備え、前記制御装置は、前記第1ロボットの位置検出手段により、前記第1ワークの位置および前記第2ワークの被取付部の位置を位置情報として算出する位置情報算出工程と、当該位置情報算出工程で算出した位置情報に基づいて、前記第1ロボットの把持手段により前記第1ワークを把持し、その後、当該第1ロボットにより前記第1ワークを搬送して、当該第1ワークを前記第2ワークの被取付部に位置決めする位置決め工程と、前記第1ロボットの仮固定手段により前記第1ワークを前記第2ワークに仮固定する仮固定工程と、前記位置情報算出工程で算出した位置情報に基づいて、前記第2ロボットの本固定手段により前記第1ワークを前記第2ワークに本固定する本固定工程と、を実行することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、以下の手順で、第2ワークの取り付け部位に第1ワークを取り付ける。
まず、第1ロボットの位置検出手段により、第1ワークの位置および第2ワークの被取付部の位置を位置情報として算出する。
次に、算出した位置情報に基づいて、第1ロボットの把持手段により第1ワークを把持し、その後、第1ロボットにより第1ワークを搬送して、この第1ワークを前記第2ワークの被取付部に位置決めする。
【0012】
次に、第1ロボットの仮固定手段により第1ワークを第2ワークに仮固定し、続いて、既に算出した位置情報に基づいて、第2ロボットの本固定手段により第1ワークを第2ワークに本固定する。
【0013】
よって、第1ロボットにより、第1ワークの位置決めと仮固定のみを行い、第2ロボットで第1ワークの本固定を行って、第1ロボットと第2ロボットとで役割を分担した。よって、第1ロボットおよび第2ロボットのそれぞれを役割に応じて最適な構造とすることで、第1ワークの形状が機種毎に異なる場合でも対応できるから、汎用性が高くなり、サイクルタイムを短縮できる。
【0014】
また、位置検出手段により、第1ワークの位置および第2ワークの被取付部の位置を位置情報として一度算出するだけで、この算出した位置情報に基づいて、第1ロボットおよび第2ロボットの動作を補正する。したがって、第1ワークや第2ワークの被取付部の位置を何度も検出する必要がなくなるので、作業工数を削減でき、サイクルタイムをさらに短縮できる。
【0015】
本発明のワーク取付方法は、第2ワークの被取付部に第1ワークを取り付けるワーク取付方法であって、前記第1ロボットにより、前記第1ワークの位置および前記第2ワークの被取付部の位置を位置情報として算出する位置情報算出工程と、当該位置情報算出工程で算出した位置情報に基づいて、前記第1ロボットにより前記第1ワークを把持し、その後、当該第1ロボットにより前記第1ワークを搬送して、当該第1ワークを前記第2ワークの被取付部に位置決めする位置決め工程と、前記第1ロボットにより前記第1ワークを前記第2ワークに仮固定する仮固定工程と、前記位置情報算出工程で算出した位置情報に基づいて、前記第2ロボットにより前記第1ワークを前記第2ワークに本固定する本固定工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、上述の効果と同様の効果がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第1ロボットにより、第1ワークの位置決めと仮固定のみを行い、第2ロボットで第1ワークの本固定を行って、第1ロボットと第2ロボットとで役割を分担した。よって、第1ロボットおよび第2ロボットのそれぞれを役割に応じて最適な構造とすることで、第1ワークの形状が機種毎に異なる場合でも対応できるから、汎用性が高くなり、サイクルタイムを短縮できる。また、位置検出手段により、第1ワークの位置および第2ワークの被取付部の位置を位置情報として一度算出するだけで、この算出した位置情報に基づいて、第1ロボットおよび第2ロボットの動作を補正する。したがって、第1ワークや第2ワークの被取付部の位置を何度も検出する必要がなくなるので、作業工数を削減でき、サイクルタイムをさらに短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るワーク取付システム1の全体斜視図である。
ワーク取付システム1は、図示しない搬送コンベアにより搬送される第2ワークとしてのボディ2に第1ワークとしてのサンルーフ部材3を取り付けるものである。
【0019】
ボディ2の正面には、フロントウインドが取り付けられるフロントウインド用開口41が形成され、ボディ2の両側面には、フロントドアが取り付けられるフロントドア用開口42が形成されている。
サンルーフ部材3は、ボディ2の内部側からボディ2の屋根43に取り付けられる。
【0020】
ワーク取付システム1は、サンルーフ部材3をボディ2の取り付け位置の近傍まで搬送する搬送ロボット4と、この搬送ロボット4からサンルーフ部材3を受け取り、この受け取ったサンルーフ部材3をボディ2に位置決めして第1取付する一対の第1ロボットとしての第1取付ロボット5と、この第1取付されたサンルーフ部材3を本固定する一対の第2ロボットとしての第2取付ロボット6と、これら搬送ロボット4、第1取付ロボット5、および第2取付ロボット6を制御する制御装置7と、を備える。
【0021】
図2は、サンルーフ部材3およびこのサンルーフ部材3が取り付けられる被取付部としてのインナパネル2Aの斜視図である。
サンルーフ部材3は、矩形枠状のフレーム30と、このフレーム30の互いに対向する部分を跨いで設けられたセンターフレーム33と、を備える。
【0022】
この矩形枠状のフレーム30は、略U字形状のメインフレーム31と、このメインフレーム31のうち互いに略平行に延びる先端部分同士を連結するサブフレーム32と、で構成される。
センターフレーム33は、メインフレーム31のうち互いに略平行に延びる部分同士を連結している。
このサンルーフ部材3を構成するフレームのうち、メインフレーム31およびセンターフレーム33は、各種のサンルーフ部材に共通する基本構造となっている。
【0023】
このサンルーフ部材3の周縁部分には、10個のボルト穴34が形成されている。これらボルト穴34のうちサンルーフ部材3の前方両側に位置するものをボルト穴34Aとし、ボルト穴34Aの後方側に隣接するものをボルト穴34Bとする。
また、このボルト穴34Aの近傍には、位置決め穴35が形成されている。
【0024】
インナパネル2Aは、ボディ2の屋根43の内側を構成するパネルである。インナパネル2Aには、サンルーフ部材3のボルト穴34に対応して、ナット44が形成されている。これらナット44のうちサンルーフ部材3のボルト穴34Aに対応するものをナット44Aとすると、このナット44Aの近傍には、サンルーフ部材3の位置決め穴35に対応して、位置決め穴45が形成されている。また、ナット44のうちサンルーフ部材3のボルト穴34Bに対応するものをナット44Bとする。
【0025】
サンルーフ部材3は、ボルト51をボディ2の内部側からサンルーフ部材3のボルト穴34に挿通し、インナパネル2Aのナット44に螺合することで、インナパネル2Aに取り付けられる。ここで、ボルト51のうちナット44Aに螺合されるものを、ボルト51Aとする。
【0026】
図1に戻って、搬送ロボット4は、ボディ2の正面側に配置され、サンルーフ部材3を把持して、ボディ2に向かって移動することにより、この把持したサンルーフ部材3をボディ2の内部まで搬送する。
この搬送ロボット4は、搬送ハンド10と、床面上にボディ2の長さ方向に沿って移動可能に設けられて搬送ハンド10の姿勢や3次元空間における位置を変化させるロボットアーム11と、を備える。
【0027】
図3は、搬送ロボット4の搬送ハンド10の平面図である。図4は、搬送ハンド10の斜視図である。
搬送ハンド10は、平面視で略十字形状であり、ロボットアーム11のフランジ面11Aの中心軸Cに沿って延びる平板状の基部12と、この基部12に設けられた把持機構60と、基部12の先端から中心軸Cに沿って突出する突出部13と、を備える。
突出部13は、基部12に支持された支持部131と、この支持部131の先端に設けられたセンターフレーム着座部132と、を備える。
センターフレーム着座部132には、センターフレーム33の下面が着座される。
【0028】
基部12は、ロボットアーム11のフランジ面11Aに取付けられる支持部121と、略矩形枠状の枠部122と、この枠部122と支持部121とを連結する連結部123と、枠部122の先端側に設けられた補強板124と、枠部122上に設けられて中心軸Cに交差する方向に延びるガイド部128A、128Bと、を備える。
【0029】
枠部122の支持部121側の2つの角部には、メインフレーム着座部125が設けられている。
メインフレーム着座部125には、略U字形状のメインフレーム31のうちセンターフレーム33に略平行な部分の下面が着座される。このメインフレーム着座部125は、底部126と、この底部126に立設された一対の壁部127と、を備える。
一対の壁部127は、互いに対向して配置され、中心軸Cの交差する方向に延びている。
【0030】
把持機構60は、ガイド部128A、128Bに沿って移動可能な一対の押圧部62A、62Bと、押圧部62Aをガイド部128Aに沿って進退させる進退機構63と、押圧部62Aの移動に連動して押圧部62Bを移動させるリンク機構64と、を備える。
【0031】
ガイド部128A、128Bの上面には、図示しないスライドガイドが設けられている。
押圧部62A、62Bの下面には、これらガイド部128A、128Bのスライドガイドに嵌合するスライドレールが設けられており、これにより、一対の押圧部62A、62Bは、ガイド部128A、128Bに沿って移動可能となっている。
押圧部62A、62Bの先端には、基部12に対して略垂直な押圧面621、および、基部12に対して略平行な押え面622が設けられている。
進退機構63は、基部12の枠部122上に中心軸Cに交差する方向に取り付けられており、先端が押圧部62Aに取付けられたピストンロッド631と、このピストンロッド631を進退させるシリンダ632と、を備える。
【0032】
リンク機構64は、押圧部62Aに取り付けられて押圧部62Aのスライド方向に延びるラック641Aと、押圧部62Bに取り付けられて押圧部62Bのスライド方向に延びるラック641Bと、これらラック641A、641Bの間でかつ中心軸C上に回転自在に設けられてラック641A、641Bに噛合するピニオン642と、このピニオン642を収納するケース643と、を備える。
【0033】
押圧部62Aからラック641Aのピニオン642に噛合する部分までの距離と、押圧部62Bからラック641Bのピニオン642に噛合する部分までの距離とは、同一寸法となっている。これにより、押圧部62Aがガイド部128Aに沿って移動しても、押圧部62Aから中心軸Cまでの距離と、押圧部62Bから中心軸Cまでの距離とは、常に一定となる。つまり、押圧部62Aの位置と押圧部62Bの位置とは、中心軸Cを挟んで常に線対称となる。
【0034】
この把持機構60によれば、進退機構63を駆動して、ピストンロッド631を前進させると、押圧部62Aがガイド部128Aに沿って外側に向かって移動する。この押圧部62Aの移動に伴って、リンク機構64により、押圧部62Bもガイド部128Aに沿って外側に向かって移動する。
【0035】
したがって、搬送ロボット4の搬送ハンド10によれば、搬送ハンド10上にサンルーフ部材3が載置されると、このサンルーフ部材3のセンターフレーム33は、センターフレーム着座部132上に着座する。また、メインフレーム31のうちセンターフレーム33に略平行な部分は、2つのメインフレーム着座部125に着座する。具体的には、このメインフレーム31のうちセンターフレーム33に略平行な部分は、メインフレーム着座部125の一対の壁部127の間に嵌合し、これにより、サンルーフ部材3の中心軸Cに沿った方向の移動が規制される。
その後、把持機構60を駆動することにより、押圧部62A、62Bを外側に向かって移動させ、メインフレーム31のうち互いに略平行に延びる部分の側面を、押圧面621で内側から押圧して、把持する。これにより、サンルーフ部材3の基部12の面内かつ中心軸Cに交差する方向の移動が規制される。
また、押圧面621がメインフレーム31のうち互いに略平行に延びる部分の側面に当接すると同時に、押え面622がメインフレーム31のうち互いに略平行に延びる部分の上面を覆う。これにより、サンルーフ部材3の基部12に対して略垂直な方向の移動が規制される。
【0036】
図1に戻って、一対の第1取付ロボット5は、ボディ2の両側に配置され、搬送ロボット4が搬送したサンルーフ部材3をボディ2のインナパネル2Aに第1取付する。
これら第1取付ロボット5は、それぞれ、ハンド20と、床面上に設けられてハンド20の姿勢や3次元空間における位置を変化させるロボットアーム21と、を備える。
以下、ボディ2の左側に位置する第1取付ロボット5について説明するが、ボディ2の右側に位置する第1取付ロボット5についても、同様の構成であり、これら左右の第1取付ロボット5の外観は、ボディ2を挟んで対称となっている。
【0037】
図5は、第1取付ロボット5のハンド20の平面図である。図6は、ハンド20の側面図である。図7は、ハンド20の斜視図である。
ハンド20は、略L字形状の支持フレーム22と、この支持フレーム22に設けられた仮固定手段としてのナットランナ23と、支持フレーム22に設けられた撮影装置24と、を備える。
【0038】
支持フレーム22は、ロボットアーム11のフランジ面から面内方向に延びる第1フレーム221と、この第1フレーム221の先端からこの第1フレーム221に直交して延びる第2フレーム222と、を備える。
第1フレーム221と第2フレーム222との交差部分には、上方に向かって突出する把持手段としての位置決めピン223が設けられる。また、第2フレーム222の先端側の上面には、把持手段としてのワーク支持パッド224が設けられる。
【0039】
ナットランナ23は、支持フレーム22の第1フレーム221の途中に設けられ、ボルト51Aが嵌合するソケット231と、このソケット231を回転駆動する駆動装置232と、を備える。
このナットランナ23によれば、駆動装置232を駆動することにより、ソケット231に嵌合したボルト51Aを所定のトルクで回転させる。
【0040】
撮影装置24は、支持フレーム22の第2フレーム222の途中に設けられ、上方に向かって配置された位置検出手段としてのCCDカメラ241と、このCCDカメラ241の撮影対象を照明する環状の照明装置242と、を備える。
【0041】
第1取付ロボット5のハンド20によれば、図8に示すように、ハンド20上にサンルーフ部材3が載置されると、支持フレーム22の位置決めピン223は、サンルーフ部材3の位置決め穴35に挿入される。そして、このサンルーフ部材3は、この位置決めピン223および支持フレーム22のワーク支持パッド224により支持される。また、ナットランナ23のソケット231にチャックされたボルト51Aは、サンルーフ部材3のボルト穴34Aに挿通される。
【0042】
図1に戻って、一対の第2取付ロボット6は、ボディ2の両側に配置され、第1取付ロボット5が第1取付したサンルーフ部材3をボディ2のインナパネル2Aに本固定する。
これら第2取付ロボット6は、それぞれ、本固定手段としての締付ハンド70と、床面上に設けられて締付ハンド70の姿勢や3次元空間における位置を変化させるロボットアーム71と、を備える。
以下、ボディ2の左側に位置する第2取付ロボット6について説明するが、ボディ2の右側に位置する第2取付ロボット6についても、同様の構成であり、これら左右の第2取付ロボット6の外観は、ボディ2を挟んで対称となっている。
【0043】
図9は、第2取付ロボット6の締付ハンド70の斜視図である。
締付ハンド70は、6個の締付部80を有しこれら締付部80のうちの1つを所定位置に配置する切換機構72と、回転駆動する駆動源73と、この駆動源73を所定位置の締付部80に対して連結させる進退機構74と、を備えている。
【0044】
切換機構72は、取付ブラケット721を介してロボットアーム71の先端フランジ面に支持されている。
切換機構72は、円筒形状のホルダ722と、このホルダ722の外周面に配置された6個の締付部80と、ホルダ722を回転させるホルダ駆動部723と、を備えている。
【0045】
ホルダ駆動部723は、取付ブラケット721に固定されている。
ホルダ722は、円筒形状であり、ホルダ駆動部723の駆動軸に取り付けられている。ホルダ駆動部723を駆動することにより、ホルダ722は、中心軸を回転中心として矢印A方向または矢印B方向に回転し、締付部80を移動させる。
【0046】
図10は、締付ハンド70の断面図である。
締付部80は、回転軸Yを回転中心としてホルダ722に回転可能に支持されている。この締付部80は、保持部81と、軸部82と、ガイド部83と、ソケット85を有するビット部84と、を備える。
【0047】
保持部81は、円筒形状であり、この保持部81の内部には、ボールスプライン811が設けられている。軸部82は、この保持部81に挿通されて、ボールスプライン811により、回転可能かつ進退可能に支持される。
【0048】
軸部82の基端側には、ジョイント部821が設けられている。このジョイント部821には、駆動源73が連結可能である。
また、軸部82のジョイント部821と保持部81の基端面との間には、スプリング86が介装されている。
【0049】
ガイド部83は、円筒形状であり、軸部82は、このガイド部83の基端側に連結されている。これにより、軸部82の回転力は、このガイド部83に伝達される。
【0050】
ビット部84の基端側は、ガイド部83の先端側に挿入されている。このビット部84の基端側の外周面とガイド部83の内周面とは、六角形の相似形であり、さらに、ビット部84の基端側の外周面とガイド部83の内周面との間には、僅かな隙間が形成されている。
これにより、ビット部84は、ガイド部83に対して軸方向に交差する方向に移動可能かつガイド部83に対して軸方向に摺動可能に遊嵌し、フローティング可能である。また、ガイド部83が回転すると、ビット部84は、このガイド部83の回転に対して従回転する。
また、このビット部84の基端側には、軸部82が挿入されている。
【0051】
このガイド部83には、スプリング87が内蔵されている。スプリング87は、軸部82に沿って配置され、このスプリング87の先端側は、ビット部84の基端側に収納され、ビット部84を先端側に向かって付勢する。
ソケット85は、ボルト51を保持する。このソケット85の先端面は磁石になっており、このソケット85の磁力により、ボルト51を保持する。
【0052】
以上の締付部80によれば、駆動源73を軸部82のジョイント部821に連結して、この駆動源73を回転駆動することで、軸部82が回転し、この回転力は、ガイド部83を介してビット部84に伝達され、ソケット85が回転する。
また、駆動源73で軸部82を押圧することにより、軸部82、ガイド部83、およびビット部84は、スプリング86の付勢力に抵抗して前進するが、この駆動源73による押圧力が解除されると、スプリング86の復元力により、原位置に復帰する。
【0053】
また、ソケット85に軸方向の押圧力が作用しても、ビット部84がスプリング87の付勢力に抵抗して後退することで、この押圧力を緩和する。その後、この押圧力が解除されると、スプリング87の復元力によりビット部84は原位置に復帰する。
【0054】
駆動源73は、ホルダ722の後方に配置され、回転駆動部731を備えている。回転駆動部731の先端は、締付部80のジョイント部821に嵌合可能となっている。この回転駆動部731の回転軸Xは、ホルダ722の回転軸に略平行となっている。
【0055】
進退機構74は、取付ブラケット721に設けられており、制御装置7により制御されて、駆動源73を回転軸Xに沿って前進あるいは後退させる。
この進退機構74は、一対のシリンダ機構75と、一対のスライドガイド76と、を備える。
【0056】
一対のシリンダ機構75は、駆動源73に取り付けられたピストンロッド751と、このピストンロッド751を進退させるシリンダ752と、を備える。この一対のシリンダ機構75を駆動することにより、駆動源73は回転駆動部731の回転軸Xに沿って進退する。
【0057】
一対のスライドガイド76は、駆動源73に取り付けられたスライドビーム761と、取付ブラケット721に設けられてスライドビーム761が挿通されるスライド部762と、を備える。一対のスライドガイド76は、スライドビーム761がスライド部762内を摺動することで、駆動源73の進退移動を案内する。
【0058】
次に、上述の締付ハンド70の動作について説明する。
初期設定として、図9に示すように、締付部80の回転軸Yは、駆動源73の回転駆動部731の回転軸X上に位置している。
この状態から、制御装置によりロボットアーム71を制御して、締付ハンド70を取付位置まで移動する。具体的には、ボルト51の取り付け位置と、駆動源73の回転軸Xと、が同軸になるように、ロボットアーム71を制御する。
次に、進退機構74を駆動して、駆動源73を前進させて、駆動源73の回転駆動部731を、締付部80の軸部82に連結する。
【0059】
続いて、図11に示すように、スプリング86の付勢力に抵抗して、駆動源73をさらに前進させて、締付部80に保持されたボルト51を締付ハンド70の前面から突出させて、このボルト51を取付位置まで押し出す。
次に、駆動源73の回転駆動部731を駆動する。すると、この回転駆動部731の回転力は、締付部80に伝達されて、ソケット85が回転する。これにより、取付位置にボルト51を締め付ける。
【0060】
次に、進退機構74を駆動して、駆動源73の回転駆動部731を後退させる。すると、スプリング86の復元力により、ソケット85が後退し、締付部80は原位置に復帰する。続いて、駆動源73をさらに後退させて、駆動源73の回転駆動部731を、締付部80の軸部82から離間させる。
次に、ホルダ駆動部723を駆動して、ホルダ722を矢印A方向または矢印B方向に回転させて、次の締付部80の回転軸Yを、駆動源73の回転駆動部731の回転軸Xと同軸となる位置に配置する。
【0061】
その後、制御装置によりロボットアーム71を制御して、締付ハンド70を次の取付位置まで移動し、次に取付位置まで移動し、上述の動作と同じ動作を繰り返す。
【0062】
ワーク取付システム1の動作について、図12のフローチャートを参照しながら説明する。
ST1では、ボディ2の搬送を停止する。
ST2では、ボディ2の両側のフロントドア用開口42を通して、第1取付ロボット5をボディ2の内部に投入し、第1取付ロボット5のCCDカメラ241を、屋根43のインナパネル2Aに接近させる。次に、このCCDカメラ241でインナパネル2Aのナット44Bを撮影し、その後、この第1取付ロボット5を退避させる。
【0063】
ST3では、制御装置7により、インナパネル2Aの撮影画像に基づいて、ナット44Bの予めティーチングされた位置からのずれ量を、位置情報であるワーク取り付け位置ずれ量として算出する。
【0064】
ST4Aでは、図示しないワーク供給場所にて、搬送ロボット4によりサンルーフ部材3を把持させる。そして、搬送ロボット4を移動することにより、ボディ2のフロントウインド用開口41に向かってサンルーフ部材3の搬送を開始する。
【0065】
ST5では、搬送されるサンルーフ部材3の下方に第1取付ロボット5を位置させて、この状態で、サンルーフ部材3がボディ2のフロントウインド用開口41に到達するまで、この第1取付ロボット5を搬送ロボット4の動作に同期して移動させて、第1取付ロボット5のCCDカメラ241でサンルーフ部材3のボルト穴34Bを基準位置として撮影する。
【0066】
ST6では、制御装置7により、サンルーフ部材3の撮影画像に基づいて、ボルト穴34Bの予めティーチングした位置からのずれ量を、位置情報であるワーク位置ずれ量として算出する。
【0067】
ST4Bでは、搬送ロボット4により、ボディ2のフロントウインド用開口41を通して、サンルーフ部材3をボディ2の内部に投入し、サンルーフ部材3をインナパネル2Aの下方で停止させる。
このとき、ワーク位置ずれ量およびST3で算出したワーク取り付け位置ずれ量に基づいて、サンルーフ部材3の位置決め穴35がボディ2の位置決め穴45の直下に位置するように、サンルーフ部材3を停止させる。
【0068】
ST7では、第1取付ロボット5を制御してサンルーフ部材3に下方から接近させ、サンルーフ部材3の位置決め穴35に位置決めピン223を挿入するとともに、この第1取付ロボット5でサンルーフ部材3の両端側を支持する。これにより、第1取付ロボット5は、搬送ロボット4からサンルーフ部材3を受け取ることになる。ここで、第1取付ロボット5の動作に上述のワーク位置ずれ量を反映させて、第1取付ロボット5の動作を補正する。その後、搬送ロボット4をボディ2の内部から退避させる。
【0069】
ST8では、第1取付ロボット5を上昇させてサンルーフ部材3を搬送し、位置決めピン223をボディ2の位置決め穴45に挿入することで、サンルーフ部材3をボディ2のインナパネル2Aに位置決めする。ここで、第1取付ロボット5の動作に上述のワーク取り付け位置ずれ量およびワークずれ量を反映させて、第1取付ロボット5の動作を補正する。
すると、サンルーフ部材3のボルト穴34Aは、ボディ2のナット44Aに重なった状態となるので、ナットランナ23を駆動して、サンルーフ部材3のボルト穴34Aを通して、2本のボルト51Aをボディ2のナット44Aに締め付ける。
【0070】
ST9では、第2取付ロボット6の締付部80に、ボルト51Aを除く残りのボルト51を装着して、これら残りのボルト51をサンルーフ部材3のボルト穴34に通して、ナット44に締め付ける。
ここで、第2取付ロボット6の動作に上述のワーク位置ずれ量を反映させて、第2取付ロボット6の動作を補正する。
【0071】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)まず、第1取付ロボット5のCCDカメラ241により、ボディ2のインナパネル2Aを撮影し、この撮影画像に基づいて、このインナパネル2Aの予めティーチングした位置からのずれ量を算出する。
次に、ワーク供給場所にて、搬送ロボット4により、サンルーフ部材3を把持し、このサンルーフ部材3を搬送して、インナパネル2Aの近傍に位置させる。このサンルーフ部材3の搬送と同時に、第1取付ロボット5のCCDカメラ241により、サンルーフ部材3を撮影し、この撮影画像に基づいて、サンルーフ部材3の予めティーチングした位置からのずれ量を算出する。
【0072】
次に、第1取付ロボット5により、搬送ロボット4からサンルーフ部材3を受け取り、このサンルーフ部材3を把持して搬送し、サンルーフ部材3をボディ2のインナパネル2Aに位置決めし、その後、第1取付ロボット5のナットランナ23により、サンルーフ部材3の2箇所をボルト51Aでインナパネル2Aに仮固定する。ここで、算出したインナパネル2Aのずれ量およびサンルーフ部材3のずれ量を第1取付ロボット5の動作に反映させて、第1取付ロボット5の動作を補正する。
【0073】
次に、第2取付ロボット6を制御して、第2取付ロボット6の締付ハンド70により、サンルーフ部材3の2箇所をボルト51Aでインナパネル2Aに本固定する。ここで、既に算出したインナパネル2Aのずれ量を第2取付ロボット6の動作に反映させて、第2取付ロボット6の動作を補正する。
【0074】
このように、第1取付ロボット5により、サンルーフ部材3の位置決めと仮固定のみを行い、第2取付ロボット6により、サンルーフ部材3の本固定を行って、第1取付ロボット5と第2取付ロボット6とで役割を分担した。よって、第1取付ロボット5および第2取付ロボット6のそれぞれを役割に応じて最適な構造とすることで、サンルーフ部材3の形状が機種毎に異なる場合でも対応できるから、汎用性が高くなり、サイクルタイムを短縮できる。
【0075】
(2)取付ロボット5のCCDカメラ241により、インナパネル2Aのずれ量およびサンルーフ部材3のずれ量を位置情報として一度算出するだけで、この算出した位置情報に基づいて、第1取付ロボット5および第2取付ロボット6の動作を補正する。したがって、サンルーフ部材3やボディ2のインナパネル2Aの位置を何度も検出する必要がなくなるので、作業工数を削減でき、サイクルタイムをさらに短縮できる。
【0076】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態に係るワーク取付システムの全体斜視図である。
【図2】前記実施形態に係るサンルーフ部材およびこのサンルーフ部材が取り付けられる部分の斜視図である。
【図3】前記実施形態に係る搬送ロボットの搬送ハンドの平面図である。
【図4】前記実施形態に係る搬送ハンドの斜視図である。
【図5】前記実施形態に係る第1取付ロボットのハンドの平面図である。
【図6】前記実施形態に係る第1取付ロボットのハンドの側面図である。
【図7】前記実施形態に係る第1取付ロボットのハンドの斜視図である。
【図8】前記実施形態に係る第1取付ロボットでサンルーフ部材を支持した状態を示す分解斜視図である。
【図9】前記実施形態に係る第2取付ロボットの締付ハンドの斜視図である。
【図10】前記実施形態に係る第2取付ロボットの締付ハンドの断面図である。
【図11】前記実施形態に係る第2取付ロボットの動作を説明するための図である。
【図12】前記実施形態に係るワーク取付システムの動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1 ワーク取付システム
2 ボディ(第2ワーク)
2A インナパネル(被取付部)
3 サンルーフ部材(第1ワーク)
5 第1取付ロボット(第1ロボット)
6 第2取付ロボット(第2ロボット)
7 制御装置
23 ナットランナ(仮固定手段)
70 締付ハンド(本固定手段)
223 位置決めピン(把持手段)
224 ワーク支持パッド(把持手段)
241 CCDカメラ(位置検出手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2ワークの被取付部に第1ワークを取り付けるワーク取付システムであって、
前記第1ワークを前記第2ワークに仮固定する仮固定手段、第1ワークを把持する把持手段、前記第1ワークの位置および前記第2ワークの被取付部の位置を検出する位置検出手段を備えた第1ロボットと、
前記第1ワークを前記第2ワークに本固定する本固定手段を備えた第2ロボットと、
前記第1ロボットおよび第2ロボットを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第1ロボットの位置検出手段により、前記第1ワークの位置および前記第2ワークの被取付部の位置を位置情報として算出する位置情報算出工程と、
当該位置情報算出工程で算出した位置情報に基づいて、前記第1ロボットの把持手段により前記第1ワークを把持し、その後、当該第1ロボットにより前記第1ワークを搬送して、当該第1ワークを前記第2ワークの被取付部に位置決めする位置決め工程と、
前記第1ロボットの仮固定手段により前記第1ワークを前記第2ワークに仮固定する仮固定工程と、
前記位置情報算出工程で算出した位置情報に基づいて、前記第2ロボットの本固定手段により前記第1ワークを前記第2ワークに本固定する本固定工程と、を実行することを特徴とするワーク取付システム。
【請求項2】
第2ワークの被取付部に第1ワークを取り付けるワーク取付方法であって、
前記第1ロボットにより、前記第1ワークの位置および前記第2ワークの被取付部の位置を位置情報として算出する位置情報算出工程と、
当該位置情報算出工程で算出した位置情報に基づいて、前記第1ロボットにより前記第1ワークを把持し、その後、当該第1ロボットにより前記第1ワークを搬送して、当該第1ワークを前記第2ワークの被取付部に位置決めする位置決め工程と、
前記第1ロボットにより前記第1ワークを前記第2ワークに仮固定する仮固定工程と、
前記位置情報算出工程で算出した位置情報に基づいて、前記第2ロボットにより前記第1ワークを前記第2ワークに本固定する本固定工程と、を備えることを特徴とするワーク取付方法。
【請求項1】
第2ワークの被取付部に第1ワークを取り付けるワーク取付システムであって、
前記第1ワークを前記第2ワークに仮固定する仮固定手段、第1ワークを把持する把持手段、前記第1ワークの位置および前記第2ワークの被取付部の位置を検出する位置検出手段を備えた第1ロボットと、
前記第1ワークを前記第2ワークに本固定する本固定手段を備えた第2ロボットと、
前記第1ロボットおよび第2ロボットを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第1ロボットの位置検出手段により、前記第1ワークの位置および前記第2ワークの被取付部の位置を位置情報として算出する位置情報算出工程と、
当該位置情報算出工程で算出した位置情報に基づいて、前記第1ロボットの把持手段により前記第1ワークを把持し、その後、当該第1ロボットにより前記第1ワークを搬送して、当該第1ワークを前記第2ワークの被取付部に位置決めする位置決め工程と、
前記第1ロボットの仮固定手段により前記第1ワークを前記第2ワークに仮固定する仮固定工程と、
前記位置情報算出工程で算出した位置情報に基づいて、前記第2ロボットの本固定手段により前記第1ワークを前記第2ワークに本固定する本固定工程と、を実行することを特徴とするワーク取付システム。
【請求項2】
第2ワークの被取付部に第1ワークを取り付けるワーク取付方法であって、
前記第1ロボットにより、前記第1ワークの位置および前記第2ワークの被取付部の位置を位置情報として算出する位置情報算出工程と、
当該位置情報算出工程で算出した位置情報に基づいて、前記第1ロボットにより前記第1ワークを把持し、その後、当該第1ロボットにより前記第1ワークを搬送して、当該第1ワークを前記第2ワークの被取付部に位置決めする位置決め工程と、
前記第1ロボットにより前記第1ワークを前記第2ワークに仮固定する仮固定工程と、
前記位置情報算出工程で算出した位置情報に基づいて、前記第2ロボットにより前記第1ワークを前記第2ワークに本固定する本固定工程と、を備えることを特徴とするワーク取付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−64182(P2010−64182A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232125(P2008−232125)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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