ワーク組付方法およびワーク組付システム
【課題】被組付部をセンシングする回数を低減できるワーク組付方法を提供すること。
【解決手段】ワーク組付方法は、サイドエアバッグ組付部にサイドエアバッグを配置し、ねじを用いて、このサイドエアバッグをサイドエアバッグ組付部に固定する。このワーク組付方法は、サイドエアバッグ組付部に近接する部分に設けた3つの測定点を撮影する撮影工程と、この撮影した画像に基づいて、測定点の実際の位置A1〜C1を算出する位置算出工程と、この位置算出工程で算出した測定点の実際の位置A1〜C1に基づいて、サイドエアバッグとサイドエアバッグ組付部との相関位置を算出して位置決めする第1位置決め工程と、位置算出工程で算出した測定点の実際の位置A1〜C1に基づいて、ねじとサイドエアバッグ組付部との相関位置を算出して位置決めする第2位置決め工程と、を備える。
【解決手段】ワーク組付方法は、サイドエアバッグ組付部にサイドエアバッグを配置し、ねじを用いて、このサイドエアバッグをサイドエアバッグ組付部に固定する。このワーク組付方法は、サイドエアバッグ組付部に近接する部分に設けた3つの測定点を撮影する撮影工程と、この撮影した画像に基づいて、測定点の実際の位置A1〜C1を算出する位置算出工程と、この位置算出工程で算出した測定点の実際の位置A1〜C1に基づいて、サイドエアバッグとサイドエアバッグ組付部との相関位置を算出して位置決めする第1位置決め工程と、位置算出工程で算出した測定点の実際の位置A1〜C1に基づいて、ねじとサイドエアバッグ組付部との相関位置を算出して位置決めする第2位置決め工程と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク組付方法およびワーク組付システムに関する。詳しくは、ワークを被組付部に組み付けるワーク組付方法およびワーク組付システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車には、車両の衝突時に、搭乗者の頭部を保護するため、サイドカーテンエアバッグが設けられる。このサイドカーテンエアバッグは、自動車の製造工程において、ボディ内部の両側面に取り付けられる。
【0003】
このようなサイドカーテンエアバッグは、例えば、柔軟性を有する長尺形状であり、長手方向に沿って複数のブラケットが設けられている(特許文献1参照)。
これら複数のブラケットには、それぞれ、一対の貫通孔が形成されている。これら貫通孔のうちの一方には、クリップが既に取り付けられている。また、これら貫通孔のうちの他方は、締付部材用である。
一方、ボディのサイドカーテンエアバッグ取付位置には、上述のクリップが挿入される取付孔が形成されている。また、このボディの締付部材用の貫通孔に対応した位置には、締付部材が螺合する雌ねじ部が形成されている。
【0004】
以上のサイドカーテンエアバッグは、以下の手順でボディに取り付けられる。
まず、サイドカーテンエアバッグをボディの取付位置に搬送し、ターゲットマーカおよび位置決めピンによりボディの取付位置をセンシングして、サイドカーテンエアバッグをボディに位置決めする。そして、ブラケットに取り付けられたクリップをボディの取付孔に押し込んで、サイドカーテンエアバッグをボディに仮固定する。
その後、後工程で、再度ボディの取付位置をセンシングして、サイドカーテンエアバッグの締付部材用の貫通孔に締付部材を挿通してボディの雌ねじ部に締め付けることで、サイドカーテンエアバッグをボディに本固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−142881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、以上の手法では、仮固定工程と本固定工程とで、ボディの取付位置を2回センシングしている。よって、自動車の生産効率を向上するため、このボディの取付位置をセンシングする回数を低減することが要請される。
【0007】
本発明は、被組付部をセンシングする回数を低減できるワーク組付方法およびワーク組付システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のワーク組付方法は、被組付部(例えば、後述のサイドエアバッグ組付部12A、12B)にワーク(例えば、後述のサイドエアバッグ20A、20B)を配置し、固定部材(例えば、後述のねじ61)を用いて、当該ワークを前記被組付部に固定するワーク組付方法であって、前記被組付部または当該被組付部に近接する部分に少なくとも3つの測定点(例えば、後述の測定点A〜C)を設け、当該3つの測定点を撮影する撮影工程と、当該撮影工程で撮影した画像に基づいて、前記測定点の実際の位置(例えば、後述の点A1〜C1)を算出する位置算出工程と、当該位置算出工程で算出した測定点の実際の位置に基づいて、前記ワークと前記被組付部との相関位置を算出し、前記ワークを前記被組付部に対して位置決めする第1位置決め工程と、前記位置算出工程で算出した測定点の実際の位置に基づいて、前記固定部材と前記被組付部との相関位置を算出し、前記固定部材を前記被組付部に対して位置決めする第2位置決め工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、まず、被組付部の3つの測定点を撮影する。このように3つの測定点を用いることにより、3次元空間上での被組付部の位置および姿勢を特定できることになる。
次に、撮影した画像に基づいて、測定点の位置を算出する。次に、算出した測定点の実際の位置に基づいて、ワークと被組付部との相関位置を算出し、ワークを被組付部に対して位置決めする。
次に、算出した測定点の実際の位置に基づいて、固定部材と被組付部との相関位置を算出し、固定部材を被組付部に対して位置決めする。
【0010】
よって、被組付部に設けた測定点の位置を一度算出するだけで、この算出したデータに基づいて、ワークを被組付部に対して位置決めしたり、固定部材を被組付部に位置決めしたりするので、被組付部をセンシングする回数を低減でき、その結果、生産効率を向上できる。
【0011】
本発明のワーク組付システム(例えば、後述のサイドエアバッグ取付システム1)は、
被組付部にワークを配置し、固定部材を用いて、当該ワークを前記被組付部に固定するワーク組付システムであって、前記被組付部または当該被組付部に近接する部分には、少なくとも3つの測定点が設けられ、撮影する撮影手段(例えば、後述のステレオカメラ622)と、前記ワークを保持する保持手段(例えば、後述のサイドエアバッグ取付装置40A、40B)と、前記固定部材を保持する固定手段(例えば、後述の締付装置60A、60B)と、前記撮影手段、前記保持手段、および前記固定手段を制御する制御手段(例えば、後述の制御装置70)と、を備え、前記制御手段は、前記撮影手段により、前記3つの測定点を撮影する撮影工程と、当該撮影工程で撮影した画像に基づいて、前記測定点の実際の位置を算出する位置算出工程と、当該位置算出工程で算出した測定点の実際の位置に基づいて、前記ワークと前記被組付部との相関位置を算出し、前記保持手段を制御して、前記ワークを前記被組付部に対して位置決めする第1位置決め工程と、前記位置算出工程で算出した測定点の実際の位置に基づいて、前記固定部材と前記被組付部との相関位置を算出し、前記固定手段を制御して、前記固定部材を前記被組付部に対して位置決めする第2位置決め工程と、を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被組付部に設けた測定点の位置を一度算出するだけで、この算出したデータに基づいて、ワークを被組付部に対して位置決めしたり、固定部材を被組付部に位置決めしたりするので、被組付部をセンシングする回数を低減でき、その結果、生産効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムの全体斜視図である。
【図2】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムにより取り付けられる左サイドエアバッグの斜視図である。
【図3】前記実施形態に係る左サイドエアバッグのブラケットの斜視図である。
【図4】前記実施形態に係る左サイドエアバッグが取り付けられる左サイドエアバッグ組付部を示す図である。
【図5】前記実施形態に係る左サイドエアバッグ組付部のブラケットが当接する部分の斜視図である。
【図6】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムのプリセット台の斜視図である。
【図7】前記実施形態に係るプリセット台の部分拡大斜視図である。
【図8】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムの締付装置の斜視図である。
【図9】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムのハンドの斜視図である。
【図10】前記実施形態に係るハンドのワーク保持装置の斜視図である。
【図11】前記実施形態に係るワーク保持装置の分解斜視図である。
【図12】前記実施形態に係るハンドで左サイドエアバッグを保持した状態を示す斜視図である。
【図13】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムにより左サイドエアバッグを取り付ける手順を説明するための図(その1)である。
【図14】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムにより左サイドエアバッグを取り付ける手順を説明するための図(その2)である。
【図15】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムにより左サイドエアバッグを左サイドエアバッグ組付部に位置決めする手順を説明するための図(その1)である。
【図16】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムにより左サイドエアバッグを左サイドエアバッグ組付部に位置決めする手順を説明するための図(その2)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るワーク組付システムとしてのサイドエアバッグ取付システム1の斜視図である。
サイドエアバッグ取付システム1は、自動車のボディ10の内側の被組付部としての一対のサイドエアバッグ組付部12A、12Bに、ワークとしての一対のサイドエアバッグ20A、20Bを取り付けるものである。
【0015】
具体的には、自動車のボディ10は、ボディ搬送路11に沿って搬送される。このサイドエアバッグ取付システム1は、自動車のボディ10が搬送されるボディ搬送路11の側方(図1中手前側)に設けられたプリセット台30Aと、このプリセット台30Aの近傍に配置された保持手段としてのサイドエアバッグ取付装置40Aと、ボディ搬送路11の側方(図1中手前側)に設けられた固定手段としての締付装置60Aと、ボディ搬送路11の側方(図1中手前側)かつプリセット台30Aの下流側に設けられたプリセット台30Bと、このプリセット台30Bの近傍に配置された保持手段としてのサイドエアバッグ取付装置40Bと、ボディ搬送路11を挟んでサイドエアバッグ取付装置40Bの反対側(図1中奥側)に設けられた固定手段としての締付装置60Bと、これらを制御する制御手段としての制御装置70と、で構成される。
【0016】
プリセット台30Aには、左サイドエアバッグ20Aがセットされる。プリセット台30Bには、右サイドエアバッグ20Bがセットされる。
サイドエアバッグ取付装置40Aは、プリセット台30Aにセットされた左サイドエアバッグ20Aを搬送して、フロントガラス用の開口を通して、ボディ10内部に投入し、この左サイドエアバッグ20Aを自動車のボディ10内部の左側面の左サイドエアバッグ組付部12Aに位置決めするものである。
サイドエアバッグ取付装置40Bは、プリセット台30Bにセットされた右サイドエアバッグ20Bを搬送して、フロントガラス用の開口を通してボディ10内部に投入し、この右サイドエアバッグ20Bを自動車のボディ10内部の右側面の右サイドエアバッグ組付部12Bに位置決めするものである。
【0017】
締付装置60Aは、右側ドア用の開口を通してボディ10内部に侵入し、位置決めされたサイドエアバッグ20Aを自動車のボディ10のサイドエアバッグ組付部12Aにねじで固定するものである。
締付装置60Bは、左側ドア用の開口を通してボディ10内部に侵入し、位置決めされたサイドエアバッグ20Bを自動車のボディ10のサイドエアバッグ組付部12Bにねじで固定するものである。
【0018】
図2は、左サイドエアバッグ20Aの斜視図である。
以下、左サイドエアバッグ20Aについて説明するが、右サイドエアバッグ20Bも、左サイドエアバッグ20Aと同様の構成である。
【0019】
左サイドエアバッグ20Aは、柔軟性を有する湾曲した棒状部材であり、カーテン状のエアバッグが巻かれた状態である湾曲した棒状のエアバッグ本体21と、このエアバッグ本体21に沿って延びて湾曲したカバー部材22と、このカバー部材22の一端側から他端側に向かって並んで設けられた7個のブラケット23A〜23Gと、を備える。
エアバッグ本体21は、複数のバンド24により、カバー部材22に所定箇所で固定されている。
【0020】
図3は、ブラケット23A〜23Gのうちの1つ、ここではブラケット23Fを示す斜視図である。
図3に示すように、ブラケット23Fには、所定間隔離れて一対の貫通孔が形成され、これら貫通孔は、それぞれ、ピン挿通孔231およびねじ挿通孔232となっている。
ブラケット23A〜23Gのうち、ブラケット23A、23B、23Dについては、ブラケット23Fと同様に、ピン挿通孔231およびねじ挿通孔232が1組形成されるが、ブラケット23C、23E、23Gについては、ピン挿通孔231およびねじ挿通孔232が2組形成される。よって、ピン挿通孔231およびねじ挿通孔232は、それぞれ、10箇所ずつ形成されることになる。
【0021】
図4は、左サイドエアバッグ20Aが取り付けられる左サイドエアバッグ組付部12Aを示す図である。
ボディ10の内部には、左サイドエアバッグ20Aが当接する左サイドエアバッグ組付部12Aが設けられている。ここでは、例として、左サイドエアバッグ組付部12Aについて説明するが、右サイドエアバッグ組付部12Bも同様の構成である。
【0022】
図5は、左サイドエアバッグ組付部12Aのブラケット23Aが当接する部分の斜視図である。ここでは、例として、ブラケット23Aが当接する部分について説明するが、他のブラケット23B〜23Gが当接する部分についても同様の構成である。
左サイドエアバッグ組付部12Aのブラケット23Aが当接する部分には、ピン挿通孔231およびねじ挿通孔232の間隔と同間隔を空けて、一対の貫通孔が形成され、これら貫通孔は、それぞれ、ピン挿入穴101およびねじ螺合部102となっている。このうち、ねじ螺合部102には、ナット103が溶接されている。
【0023】
図6は、プリセット台30Aの斜視図である。以下、プリセット台30Aについて説明するが、プリセット台30Bも、プリセット台30Aと同様の構成である。
プリセット台30Aは、テーブル31と、このテーブル31の上に設けられた10個の支持台32と、を備える。
【0024】
図7は、支持台32の斜視図である。ここでは、例として、1つの支持台32について説明するが、他の支持台32も同様の構成である。
支持台32は、テーブル31に設けられて左サイドエアバッグ20Aのブラケット23A〜23Gの一部が嵌合可能な受け部321と、この受け部321に起立して設けられて左サイドエアバッグ20Aの各ブラケット23A〜23Gのねじ挿通孔232に挿通されるピン322と、を備える。
【0025】
図8は、締付装置60A、60Bの部分拡大斜視図である。
締付装置60A、60Bは、一回の動作で6本の固定部材としてのねじ61を締め付け可能な構造であり、ナットランナ62と、このナットランナ62の姿勢および3次元空間における位置を変化させるロボットアーム63と、を備える。
ナットランナ62は、それぞれねじ61を保持する6台の締付機構621と、撮影手段としてのステレオカメラ622と、を備えている。
【0026】
以下、サイドエアバッグ取付装置40Aについて説明するが、サイドエアバッグ取付装置40Bも、サイドエアバッグ取付装置40Aと同様の構成である。
サイドエアバッグ取付装置40Aは、ハンド50と、このハンド50の姿勢および3次元空間における位置を変化させるロボットアーム41と、を備える(図1参照)。
【0027】
図9は、ハンド50の斜視図である。
ハンド50は、ロボットアーム41のフランジ面42に設けられたハンド本体51と、このハンド本体51に設けられた10台のワーク保持装置52と、を備える。
【0028】
ハンド本体51は、ロボットアーム41のフランジ面42から湾曲して延びる角形鋼管からなる基部511と、この基部511の先端側から延びる第1支持部512と、基部511の基端側から延びる第2支持部513と、を備える。
【0029】
基部511には、4台のワーク保持装置52が取り付けられている。
第1支持部512は、基部511の延びる方向に沿って延びており、この第1支持部512には、4台のワーク保持装置52が取り付けられている。
第2支持部513は、基部511の延びる方向と反対側に向かって延びており、この第2支持部513には、2台のワーク保持装置52が取り付けられている。
【0030】
図10は、ワーク保持装置52の斜視図である。図11は、ワーク保持装置52の分解斜視図である。
ワーク保持装置52は、円筒形状のシリンダ53と、ハンド本体51に設けられてシリンダ53を支持するシリンダ支持部54と、シリンダ53のロッド先端に摺動可能に設けられた棒状のピン部材55と、このピン部材55を進退させる進退機構56と、を備える。
【0031】
ピン部材55の先端は、略円錐形のピン形状である。さらに、このピン部材55の先端よりも基端側の位置には、磁石で形成された鍔状のボス部551が設けられている。
シリンダ支持部54は、一対の互いに対向する平板状の支持片542を有する。この一対の支持片542の互いに対向する面には、それぞれ、ねじ543により、弾性部材541が取り付けられている。具体的には、ねじ543は、支持片542を貫通し、弾性部材541の所定深さにまで到達するように設けられている。
【0032】
一方、シリンダ53は、略四角柱形状の被支持部531を有しており、この被支持部531は一対の支持片542同士の間に介装される。
被支持部531の4つの外周側面のうち支持片542に対向する2つの側面には、凹部532が形成されており、各凹部532には、上述の弾性部材541が嵌合する。
以上により、シリンダ支持部54は、ウレタンからなる弾性部材541を介してシリンダ53を支持しており、これにより、ピン部材55はフローティング自在となっている。
【0033】
各シリンダ支持部54は、図12に示すように、ハンド50で左サイドエアバッグ20Aを保持した場合に、左サイドエアバッグ20Aの7個のブラケット23A〜23Gのピン挿通孔231にピン部材55が挿入可能となるように、ハンド本体51上の位置や姿勢が調整されている。
【0034】
以上のサイドエアバッグ取付システム1は、以下のように動作する。
まず、人手により、プリセット台30Aに左サイドエアバッグ20Aをセットする。具体的には、左サイドエアバッグ20Aをプリセット台30Aに着座させて、この左サイドエアバッグ20Aのブラケット23A〜23Gの一部を受け部321に嵌合させるとともに、図13(a)に示すように、プリセット台30Aの10個のピン322を、それぞれ、左サイドエアバッグ20Aの各ブラケット23A〜23Gのねじ挿通孔232に挿入する。
【0035】
また、制御装置70により締付装置60A、60Bを制御して、ステレオカメラ622により、ボディ10の左サイドエアバッグ組付部12Aを撮影して、この左サイドエアバッグ組付部12Aの位置および姿勢を検出しておく。
【0036】
次に、制御装置70により、サイドエアバッグ取付装置40Aを制御して、ハンド50のピン部材55を後退させておき、この状態で、このハンド50をプリセット台30A上の左サイドエアバッグ20Aに接近させる。
そして、ハンド50を左サイドエアバッグ20Aに接近させるか、あるいは、シリンダ53によりピン部材55を前進させて、図13(b)に示すように、左サイドエアバッグ20Aのブラケット23A〜23Gのピン挿通孔231に、ハンド50のピン部材55を挿通し、ボス部551を各ブラケット23A〜23Gに当接させる。これにより、ハンド50に対する左サイドエアバッグ20Aの相関位置を位置決めする。
【0037】
次に、制御装置70によりサイドエアバッグ取付装置40Aを制御して、左サイドエアバッグ20Aを上方に持ち上げることでプリセット台30Aから離脱させる。このとき、図13(c)に示すように、左サイドエアバッグ20Aのブラケット23A〜23Gは、ボス部551の磁力によりハンド50に保持される。
【0038】
次に、図14(a)に示すように、既に検出した左サイドエアバッグ組付部12Aの位置および姿勢に基づいてロボットアーム41を制御して、左サイドエアバッグ20Aをボディ10の左サイドエアバッグ組付部12Aの近傍まで搬送する。
【0039】
次に、制御装置70によりハンド50の進退機構56を制御して、ピン部材55をシリンダ53に対して前進させて、ピン部材55の先端部分を左サイドエアバッグ組付部12Aのピン挿入穴101に押圧しながら挿入する。このとき、各ワーク保持装置52の弾性部材541が変形することにより、ピン部材55がハンド本体51に対してフローティングするので、ピン部材55は、左サイドエアバッグ組付部12Aのピン挿入穴101に円滑に挿入される。
これにより、左サイドエアバッグ20Aのブラケット23A〜23Gを左サイドエアバッグ組付部12Aに当接させて、位置決めする。
【0040】
次に、図14(b)に示すように、制御装置70により締付装置60A、60Bを制御して、左サイドエアバッグ20Aの10箇所のねじ挿通孔232にねじ61を挿入して、ねじ螺合部102に締め付ける。これにより、左サイドエアバッグ20Aをボディ10に固定する。
その後、締付装置60A、60Bのナットランナ62を左サイドエアバッグ20Aから離脱させるとともに、ハンド50も左サイドエアバッグ20Aから離脱させる。
【0041】
ここで、左サイドエアバッグ20Aをボディ10の左サイドエアバッグ組付部12Aに位置決めする手順は、以下のようになる。
まず、図15に示すように、ボディ10の内部の左サイドエアバッグ組付部12Aに近接する部分に3つの測定点A〜Cを設定する。
そして、上述の締付装置60A、60Bのステレオカメラ622により、これら3つの測定点A〜Cを撮影する。
【0042】
次に、撮影した画像に基づいて、3つの測定点A〜Cの3次元空間上の位置を算出し、この算出した測定点A〜Cの位置に基づいて、左サイドエアバッグ20Aと左サイドエアバッグ組付部12Aとの相関位置を算出し、サイドエアバッグ取付装置40Aの動作を補正して、左サイドエアバッグ20Aを左サイドエアバッグ組付部12Aに対して位置決めする。
【0043】
サイドエアバッグ取付装置40Aの動作の補正は、具体的には、以下のようにして行う。
すなわち、図16(a)に示すように、3次元仮想空間上で、測定点A〜Cの実際に測定した位置を点A1〜C1とし、これら点A1〜C1を結んだ三角形をT1とする。また、測定点A〜Cの基準となる位置を点A0〜C0とし、これら点A0〜C0を結んだ三角形をT0とする。
そして、3つの点A1〜C1のうちの1つ、ここでは点A1を選択し、図16(b)に示すように、基準である点A0がこの点A1に一致するように、三角形T0を移動する。この点A1を点A0に一致させる際の点A1の移動方向をdとし、移動量をtとする。
【0044】
次に、図16(c)に示すように、三角形T0の角B0A0C0が三角形T1の角B1A1C1に一致するように、点A1を中心として上下方向(図16中上下方向)に回転させる。このときの回転量をθ1とする。
次に、図16(d)に示すように、三角形T0の点C0が三角形T1の点C1に一致するように、点A1を中心として水平方向(図16中奥行き方向)に回転させる。このときの回転量をθ2とする。
このようにして、三角形T0を三角形T1に重ね合わせることで、移動方向d、移動量t、および回転量θ1、θ2を求める。そして、これらを補正データとして用いて、サイドエアバッグ取付装置40Aの動作を補正する。
【0045】
また、ナットランナのねじ61をボディ10の左サイドエアバッグ組付部12Aに位置決めする手順は、上述の左サイドエアバッグ20Aをボディ10の左サイドエアバッグ組付部12Aに位置決めする手順と同様である。
すなわち、既に算出した測定点A〜Cの位置に基づいて、ねじ61と左サイドエアバッグ組付部12Aとの相関位置を算出し、締付装置60A、60Bの動作を補正して、ねじ61を左サイドエアバッグ組付部12Aに対して位置決めする。
このとき、既に算出した移動方向d、移動量t、および回転量θ1、θ2の補正データを用いて、締付装置60A、60Bの動作を補正する。
【0046】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)まず、サイドエアバッグ組付部12A、12Bの3つの測定点A〜Cを撮影する。このように3つの測定点A〜Cを用いることにより、3次元空間上でのサイドエアバッグ組付部12A、12Bの位置および姿勢を特定できることになる。
次に、撮影した画像に基づいて、測定点A〜Cの実際の位置A1〜C1を算出する。次に、算出した測定点A〜Cの実際の位置A1〜C1に基づいて、サイドエアバッグ20A、20Bとサイドエアバッグ組付部12A、12Bとの相関位置を算出し、サイドエアバッグ20A、20Bをサイドエアバッグ組付部12A、12Bに対して位置決めする。
次に、算出した測定点A〜Cの実際の位置A1〜C1に基づいて、ねじ61とサイドエアバッグ組付部12A、12Bとの相関位置を算出し、ねじ61をサイドエアバッグ組付部12A、12Bに対して位置決めする。
【0047】
よって、サイドエアバッグ組付部12A、12Bに設けた測定点A〜Cの位置を一度算出するだけで、この算出したデータに基づいて、サイドエアバッグ20A、20Bをサイドエアバッグ組付部12A、12Bに対して位置決めしたり、ねじ61をサイドエアバッグ組付部12A、12Bに位置決めしたりするので、サイドエアバッグ組付部12A、12Bをセンシングする回数を低減でき、その結果、生産効率を向上できる。
【0048】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
A〜C 測定点
A1〜C1 測定点の実際の位置
1 サイドエアバッグ取付システム(ワーク組付システム)
12A、12B サイドエアバッグ組付部(被組付部)
20A、20B サイドエアバッグ(ワーク)
40A、40B サイドエアバッグ取付装置(保持手段)
60A、60B 締付装置(固定手段)
61 ねじ(固定部材)
70 制御装置(制御手段)
622 ステレオカメラ(撮影手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク組付方法およびワーク組付システムに関する。詳しくは、ワークを被組付部に組み付けるワーク組付方法およびワーク組付システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車には、車両の衝突時に、搭乗者の頭部を保護するため、サイドカーテンエアバッグが設けられる。このサイドカーテンエアバッグは、自動車の製造工程において、ボディ内部の両側面に取り付けられる。
【0003】
このようなサイドカーテンエアバッグは、例えば、柔軟性を有する長尺形状であり、長手方向に沿って複数のブラケットが設けられている(特許文献1参照)。
これら複数のブラケットには、それぞれ、一対の貫通孔が形成されている。これら貫通孔のうちの一方には、クリップが既に取り付けられている。また、これら貫通孔のうちの他方は、締付部材用である。
一方、ボディのサイドカーテンエアバッグ取付位置には、上述のクリップが挿入される取付孔が形成されている。また、このボディの締付部材用の貫通孔に対応した位置には、締付部材が螺合する雌ねじ部が形成されている。
【0004】
以上のサイドカーテンエアバッグは、以下の手順でボディに取り付けられる。
まず、サイドカーテンエアバッグをボディの取付位置に搬送し、ターゲットマーカおよび位置決めピンによりボディの取付位置をセンシングして、サイドカーテンエアバッグをボディに位置決めする。そして、ブラケットに取り付けられたクリップをボディの取付孔に押し込んで、サイドカーテンエアバッグをボディに仮固定する。
その後、後工程で、再度ボディの取付位置をセンシングして、サイドカーテンエアバッグの締付部材用の貫通孔に締付部材を挿通してボディの雌ねじ部に締め付けることで、サイドカーテンエアバッグをボディに本固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−142881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、以上の手法では、仮固定工程と本固定工程とで、ボディの取付位置を2回センシングしている。よって、自動車の生産効率を向上するため、このボディの取付位置をセンシングする回数を低減することが要請される。
【0007】
本発明は、被組付部をセンシングする回数を低減できるワーク組付方法およびワーク組付システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のワーク組付方法は、被組付部(例えば、後述のサイドエアバッグ組付部12A、12B)にワーク(例えば、後述のサイドエアバッグ20A、20B)を配置し、固定部材(例えば、後述のねじ61)を用いて、当該ワークを前記被組付部に固定するワーク組付方法であって、前記被組付部または当該被組付部に近接する部分に少なくとも3つの測定点(例えば、後述の測定点A〜C)を設け、当該3つの測定点を撮影する撮影工程と、当該撮影工程で撮影した画像に基づいて、前記測定点の実際の位置(例えば、後述の点A1〜C1)を算出する位置算出工程と、当該位置算出工程で算出した測定点の実際の位置に基づいて、前記ワークと前記被組付部との相関位置を算出し、前記ワークを前記被組付部に対して位置決めする第1位置決め工程と、前記位置算出工程で算出した測定点の実際の位置に基づいて、前記固定部材と前記被組付部との相関位置を算出し、前記固定部材を前記被組付部に対して位置決めする第2位置決め工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、まず、被組付部の3つの測定点を撮影する。このように3つの測定点を用いることにより、3次元空間上での被組付部の位置および姿勢を特定できることになる。
次に、撮影した画像に基づいて、測定点の位置を算出する。次に、算出した測定点の実際の位置に基づいて、ワークと被組付部との相関位置を算出し、ワークを被組付部に対して位置決めする。
次に、算出した測定点の実際の位置に基づいて、固定部材と被組付部との相関位置を算出し、固定部材を被組付部に対して位置決めする。
【0010】
よって、被組付部に設けた測定点の位置を一度算出するだけで、この算出したデータに基づいて、ワークを被組付部に対して位置決めしたり、固定部材を被組付部に位置決めしたりするので、被組付部をセンシングする回数を低減でき、その結果、生産効率を向上できる。
【0011】
本発明のワーク組付システム(例えば、後述のサイドエアバッグ取付システム1)は、
被組付部にワークを配置し、固定部材を用いて、当該ワークを前記被組付部に固定するワーク組付システムであって、前記被組付部または当該被組付部に近接する部分には、少なくとも3つの測定点が設けられ、撮影する撮影手段(例えば、後述のステレオカメラ622)と、前記ワークを保持する保持手段(例えば、後述のサイドエアバッグ取付装置40A、40B)と、前記固定部材を保持する固定手段(例えば、後述の締付装置60A、60B)と、前記撮影手段、前記保持手段、および前記固定手段を制御する制御手段(例えば、後述の制御装置70)と、を備え、前記制御手段は、前記撮影手段により、前記3つの測定点を撮影する撮影工程と、当該撮影工程で撮影した画像に基づいて、前記測定点の実際の位置を算出する位置算出工程と、当該位置算出工程で算出した測定点の実際の位置に基づいて、前記ワークと前記被組付部との相関位置を算出し、前記保持手段を制御して、前記ワークを前記被組付部に対して位置決めする第1位置決め工程と、前記位置算出工程で算出した測定点の実際の位置に基づいて、前記固定部材と前記被組付部との相関位置を算出し、前記固定手段を制御して、前記固定部材を前記被組付部に対して位置決めする第2位置決め工程と、を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被組付部に設けた測定点の位置を一度算出するだけで、この算出したデータに基づいて、ワークを被組付部に対して位置決めしたり、固定部材を被組付部に位置決めしたりするので、被組付部をセンシングする回数を低減でき、その結果、生産効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムの全体斜視図である。
【図2】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムにより取り付けられる左サイドエアバッグの斜視図である。
【図3】前記実施形態に係る左サイドエアバッグのブラケットの斜視図である。
【図4】前記実施形態に係る左サイドエアバッグが取り付けられる左サイドエアバッグ組付部を示す図である。
【図5】前記実施形態に係る左サイドエアバッグ組付部のブラケットが当接する部分の斜視図である。
【図6】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムのプリセット台の斜視図である。
【図7】前記実施形態に係るプリセット台の部分拡大斜視図である。
【図8】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムの締付装置の斜視図である。
【図9】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムのハンドの斜視図である。
【図10】前記実施形態に係るハンドのワーク保持装置の斜視図である。
【図11】前記実施形態に係るワーク保持装置の分解斜視図である。
【図12】前記実施形態に係るハンドで左サイドエアバッグを保持した状態を示す斜視図である。
【図13】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムにより左サイドエアバッグを取り付ける手順を説明するための図(その1)である。
【図14】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムにより左サイドエアバッグを取り付ける手順を説明するための図(その2)である。
【図15】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムにより左サイドエアバッグを左サイドエアバッグ組付部に位置決めする手順を説明するための図(その1)である。
【図16】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムにより左サイドエアバッグを左サイドエアバッグ組付部に位置決めする手順を説明するための図(その2)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るワーク組付システムとしてのサイドエアバッグ取付システム1の斜視図である。
サイドエアバッグ取付システム1は、自動車のボディ10の内側の被組付部としての一対のサイドエアバッグ組付部12A、12Bに、ワークとしての一対のサイドエアバッグ20A、20Bを取り付けるものである。
【0015】
具体的には、自動車のボディ10は、ボディ搬送路11に沿って搬送される。このサイドエアバッグ取付システム1は、自動車のボディ10が搬送されるボディ搬送路11の側方(図1中手前側)に設けられたプリセット台30Aと、このプリセット台30Aの近傍に配置された保持手段としてのサイドエアバッグ取付装置40Aと、ボディ搬送路11の側方(図1中手前側)に設けられた固定手段としての締付装置60Aと、ボディ搬送路11の側方(図1中手前側)かつプリセット台30Aの下流側に設けられたプリセット台30Bと、このプリセット台30Bの近傍に配置された保持手段としてのサイドエアバッグ取付装置40Bと、ボディ搬送路11を挟んでサイドエアバッグ取付装置40Bの反対側(図1中奥側)に設けられた固定手段としての締付装置60Bと、これらを制御する制御手段としての制御装置70と、で構成される。
【0016】
プリセット台30Aには、左サイドエアバッグ20Aがセットされる。プリセット台30Bには、右サイドエアバッグ20Bがセットされる。
サイドエアバッグ取付装置40Aは、プリセット台30Aにセットされた左サイドエアバッグ20Aを搬送して、フロントガラス用の開口を通して、ボディ10内部に投入し、この左サイドエアバッグ20Aを自動車のボディ10内部の左側面の左サイドエアバッグ組付部12Aに位置決めするものである。
サイドエアバッグ取付装置40Bは、プリセット台30Bにセットされた右サイドエアバッグ20Bを搬送して、フロントガラス用の開口を通してボディ10内部に投入し、この右サイドエアバッグ20Bを自動車のボディ10内部の右側面の右サイドエアバッグ組付部12Bに位置決めするものである。
【0017】
締付装置60Aは、右側ドア用の開口を通してボディ10内部に侵入し、位置決めされたサイドエアバッグ20Aを自動車のボディ10のサイドエアバッグ組付部12Aにねじで固定するものである。
締付装置60Bは、左側ドア用の開口を通してボディ10内部に侵入し、位置決めされたサイドエアバッグ20Bを自動車のボディ10のサイドエアバッグ組付部12Bにねじで固定するものである。
【0018】
図2は、左サイドエアバッグ20Aの斜視図である。
以下、左サイドエアバッグ20Aについて説明するが、右サイドエアバッグ20Bも、左サイドエアバッグ20Aと同様の構成である。
【0019】
左サイドエアバッグ20Aは、柔軟性を有する湾曲した棒状部材であり、カーテン状のエアバッグが巻かれた状態である湾曲した棒状のエアバッグ本体21と、このエアバッグ本体21に沿って延びて湾曲したカバー部材22と、このカバー部材22の一端側から他端側に向かって並んで設けられた7個のブラケット23A〜23Gと、を備える。
エアバッグ本体21は、複数のバンド24により、カバー部材22に所定箇所で固定されている。
【0020】
図3は、ブラケット23A〜23Gのうちの1つ、ここではブラケット23Fを示す斜視図である。
図3に示すように、ブラケット23Fには、所定間隔離れて一対の貫通孔が形成され、これら貫通孔は、それぞれ、ピン挿通孔231およびねじ挿通孔232となっている。
ブラケット23A〜23Gのうち、ブラケット23A、23B、23Dについては、ブラケット23Fと同様に、ピン挿通孔231およびねじ挿通孔232が1組形成されるが、ブラケット23C、23E、23Gについては、ピン挿通孔231およびねじ挿通孔232が2組形成される。よって、ピン挿通孔231およびねじ挿通孔232は、それぞれ、10箇所ずつ形成されることになる。
【0021】
図4は、左サイドエアバッグ20Aが取り付けられる左サイドエアバッグ組付部12Aを示す図である。
ボディ10の内部には、左サイドエアバッグ20Aが当接する左サイドエアバッグ組付部12Aが設けられている。ここでは、例として、左サイドエアバッグ組付部12Aについて説明するが、右サイドエアバッグ組付部12Bも同様の構成である。
【0022】
図5は、左サイドエアバッグ組付部12Aのブラケット23Aが当接する部分の斜視図である。ここでは、例として、ブラケット23Aが当接する部分について説明するが、他のブラケット23B〜23Gが当接する部分についても同様の構成である。
左サイドエアバッグ組付部12Aのブラケット23Aが当接する部分には、ピン挿通孔231およびねじ挿通孔232の間隔と同間隔を空けて、一対の貫通孔が形成され、これら貫通孔は、それぞれ、ピン挿入穴101およびねじ螺合部102となっている。このうち、ねじ螺合部102には、ナット103が溶接されている。
【0023】
図6は、プリセット台30Aの斜視図である。以下、プリセット台30Aについて説明するが、プリセット台30Bも、プリセット台30Aと同様の構成である。
プリセット台30Aは、テーブル31と、このテーブル31の上に設けられた10個の支持台32と、を備える。
【0024】
図7は、支持台32の斜視図である。ここでは、例として、1つの支持台32について説明するが、他の支持台32も同様の構成である。
支持台32は、テーブル31に設けられて左サイドエアバッグ20Aのブラケット23A〜23Gの一部が嵌合可能な受け部321と、この受け部321に起立して設けられて左サイドエアバッグ20Aの各ブラケット23A〜23Gのねじ挿通孔232に挿通されるピン322と、を備える。
【0025】
図8は、締付装置60A、60Bの部分拡大斜視図である。
締付装置60A、60Bは、一回の動作で6本の固定部材としてのねじ61を締め付け可能な構造であり、ナットランナ62と、このナットランナ62の姿勢および3次元空間における位置を変化させるロボットアーム63と、を備える。
ナットランナ62は、それぞれねじ61を保持する6台の締付機構621と、撮影手段としてのステレオカメラ622と、を備えている。
【0026】
以下、サイドエアバッグ取付装置40Aについて説明するが、サイドエアバッグ取付装置40Bも、サイドエアバッグ取付装置40Aと同様の構成である。
サイドエアバッグ取付装置40Aは、ハンド50と、このハンド50の姿勢および3次元空間における位置を変化させるロボットアーム41と、を備える(図1参照)。
【0027】
図9は、ハンド50の斜視図である。
ハンド50は、ロボットアーム41のフランジ面42に設けられたハンド本体51と、このハンド本体51に設けられた10台のワーク保持装置52と、を備える。
【0028】
ハンド本体51は、ロボットアーム41のフランジ面42から湾曲して延びる角形鋼管からなる基部511と、この基部511の先端側から延びる第1支持部512と、基部511の基端側から延びる第2支持部513と、を備える。
【0029】
基部511には、4台のワーク保持装置52が取り付けられている。
第1支持部512は、基部511の延びる方向に沿って延びており、この第1支持部512には、4台のワーク保持装置52が取り付けられている。
第2支持部513は、基部511の延びる方向と反対側に向かって延びており、この第2支持部513には、2台のワーク保持装置52が取り付けられている。
【0030】
図10は、ワーク保持装置52の斜視図である。図11は、ワーク保持装置52の分解斜視図である。
ワーク保持装置52は、円筒形状のシリンダ53と、ハンド本体51に設けられてシリンダ53を支持するシリンダ支持部54と、シリンダ53のロッド先端に摺動可能に設けられた棒状のピン部材55と、このピン部材55を進退させる進退機構56と、を備える。
【0031】
ピン部材55の先端は、略円錐形のピン形状である。さらに、このピン部材55の先端よりも基端側の位置には、磁石で形成された鍔状のボス部551が設けられている。
シリンダ支持部54は、一対の互いに対向する平板状の支持片542を有する。この一対の支持片542の互いに対向する面には、それぞれ、ねじ543により、弾性部材541が取り付けられている。具体的には、ねじ543は、支持片542を貫通し、弾性部材541の所定深さにまで到達するように設けられている。
【0032】
一方、シリンダ53は、略四角柱形状の被支持部531を有しており、この被支持部531は一対の支持片542同士の間に介装される。
被支持部531の4つの外周側面のうち支持片542に対向する2つの側面には、凹部532が形成されており、各凹部532には、上述の弾性部材541が嵌合する。
以上により、シリンダ支持部54は、ウレタンからなる弾性部材541を介してシリンダ53を支持しており、これにより、ピン部材55はフローティング自在となっている。
【0033】
各シリンダ支持部54は、図12に示すように、ハンド50で左サイドエアバッグ20Aを保持した場合に、左サイドエアバッグ20Aの7個のブラケット23A〜23Gのピン挿通孔231にピン部材55が挿入可能となるように、ハンド本体51上の位置や姿勢が調整されている。
【0034】
以上のサイドエアバッグ取付システム1は、以下のように動作する。
まず、人手により、プリセット台30Aに左サイドエアバッグ20Aをセットする。具体的には、左サイドエアバッグ20Aをプリセット台30Aに着座させて、この左サイドエアバッグ20Aのブラケット23A〜23Gの一部を受け部321に嵌合させるとともに、図13(a)に示すように、プリセット台30Aの10個のピン322を、それぞれ、左サイドエアバッグ20Aの各ブラケット23A〜23Gのねじ挿通孔232に挿入する。
【0035】
また、制御装置70により締付装置60A、60Bを制御して、ステレオカメラ622により、ボディ10の左サイドエアバッグ組付部12Aを撮影して、この左サイドエアバッグ組付部12Aの位置および姿勢を検出しておく。
【0036】
次に、制御装置70により、サイドエアバッグ取付装置40Aを制御して、ハンド50のピン部材55を後退させておき、この状態で、このハンド50をプリセット台30A上の左サイドエアバッグ20Aに接近させる。
そして、ハンド50を左サイドエアバッグ20Aに接近させるか、あるいは、シリンダ53によりピン部材55を前進させて、図13(b)に示すように、左サイドエアバッグ20Aのブラケット23A〜23Gのピン挿通孔231に、ハンド50のピン部材55を挿通し、ボス部551を各ブラケット23A〜23Gに当接させる。これにより、ハンド50に対する左サイドエアバッグ20Aの相関位置を位置決めする。
【0037】
次に、制御装置70によりサイドエアバッグ取付装置40Aを制御して、左サイドエアバッグ20Aを上方に持ち上げることでプリセット台30Aから離脱させる。このとき、図13(c)に示すように、左サイドエアバッグ20Aのブラケット23A〜23Gは、ボス部551の磁力によりハンド50に保持される。
【0038】
次に、図14(a)に示すように、既に検出した左サイドエアバッグ組付部12Aの位置および姿勢に基づいてロボットアーム41を制御して、左サイドエアバッグ20Aをボディ10の左サイドエアバッグ組付部12Aの近傍まで搬送する。
【0039】
次に、制御装置70によりハンド50の進退機構56を制御して、ピン部材55をシリンダ53に対して前進させて、ピン部材55の先端部分を左サイドエアバッグ組付部12Aのピン挿入穴101に押圧しながら挿入する。このとき、各ワーク保持装置52の弾性部材541が変形することにより、ピン部材55がハンド本体51に対してフローティングするので、ピン部材55は、左サイドエアバッグ組付部12Aのピン挿入穴101に円滑に挿入される。
これにより、左サイドエアバッグ20Aのブラケット23A〜23Gを左サイドエアバッグ組付部12Aに当接させて、位置決めする。
【0040】
次に、図14(b)に示すように、制御装置70により締付装置60A、60Bを制御して、左サイドエアバッグ20Aの10箇所のねじ挿通孔232にねじ61を挿入して、ねじ螺合部102に締め付ける。これにより、左サイドエアバッグ20Aをボディ10に固定する。
その後、締付装置60A、60Bのナットランナ62を左サイドエアバッグ20Aから離脱させるとともに、ハンド50も左サイドエアバッグ20Aから離脱させる。
【0041】
ここで、左サイドエアバッグ20Aをボディ10の左サイドエアバッグ組付部12Aに位置決めする手順は、以下のようになる。
まず、図15に示すように、ボディ10の内部の左サイドエアバッグ組付部12Aに近接する部分に3つの測定点A〜Cを設定する。
そして、上述の締付装置60A、60Bのステレオカメラ622により、これら3つの測定点A〜Cを撮影する。
【0042】
次に、撮影した画像に基づいて、3つの測定点A〜Cの3次元空間上の位置を算出し、この算出した測定点A〜Cの位置に基づいて、左サイドエアバッグ20Aと左サイドエアバッグ組付部12Aとの相関位置を算出し、サイドエアバッグ取付装置40Aの動作を補正して、左サイドエアバッグ20Aを左サイドエアバッグ組付部12Aに対して位置決めする。
【0043】
サイドエアバッグ取付装置40Aの動作の補正は、具体的には、以下のようにして行う。
すなわち、図16(a)に示すように、3次元仮想空間上で、測定点A〜Cの実際に測定した位置を点A1〜C1とし、これら点A1〜C1を結んだ三角形をT1とする。また、測定点A〜Cの基準となる位置を点A0〜C0とし、これら点A0〜C0を結んだ三角形をT0とする。
そして、3つの点A1〜C1のうちの1つ、ここでは点A1を選択し、図16(b)に示すように、基準である点A0がこの点A1に一致するように、三角形T0を移動する。この点A1を点A0に一致させる際の点A1の移動方向をdとし、移動量をtとする。
【0044】
次に、図16(c)に示すように、三角形T0の角B0A0C0が三角形T1の角B1A1C1に一致するように、点A1を中心として上下方向(図16中上下方向)に回転させる。このときの回転量をθ1とする。
次に、図16(d)に示すように、三角形T0の点C0が三角形T1の点C1に一致するように、点A1を中心として水平方向(図16中奥行き方向)に回転させる。このときの回転量をθ2とする。
このようにして、三角形T0を三角形T1に重ね合わせることで、移動方向d、移動量t、および回転量θ1、θ2を求める。そして、これらを補正データとして用いて、サイドエアバッグ取付装置40Aの動作を補正する。
【0045】
また、ナットランナのねじ61をボディ10の左サイドエアバッグ組付部12Aに位置決めする手順は、上述の左サイドエアバッグ20Aをボディ10の左サイドエアバッグ組付部12Aに位置決めする手順と同様である。
すなわち、既に算出した測定点A〜Cの位置に基づいて、ねじ61と左サイドエアバッグ組付部12Aとの相関位置を算出し、締付装置60A、60Bの動作を補正して、ねじ61を左サイドエアバッグ組付部12Aに対して位置決めする。
このとき、既に算出した移動方向d、移動量t、および回転量θ1、θ2の補正データを用いて、締付装置60A、60Bの動作を補正する。
【0046】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)まず、サイドエアバッグ組付部12A、12Bの3つの測定点A〜Cを撮影する。このように3つの測定点A〜Cを用いることにより、3次元空間上でのサイドエアバッグ組付部12A、12Bの位置および姿勢を特定できることになる。
次に、撮影した画像に基づいて、測定点A〜Cの実際の位置A1〜C1を算出する。次に、算出した測定点A〜Cの実際の位置A1〜C1に基づいて、サイドエアバッグ20A、20Bとサイドエアバッグ組付部12A、12Bとの相関位置を算出し、サイドエアバッグ20A、20Bをサイドエアバッグ組付部12A、12Bに対して位置決めする。
次に、算出した測定点A〜Cの実際の位置A1〜C1に基づいて、ねじ61とサイドエアバッグ組付部12A、12Bとの相関位置を算出し、ねじ61をサイドエアバッグ組付部12A、12Bに対して位置決めする。
【0047】
よって、サイドエアバッグ組付部12A、12Bに設けた測定点A〜Cの位置を一度算出するだけで、この算出したデータに基づいて、サイドエアバッグ20A、20Bをサイドエアバッグ組付部12A、12Bに対して位置決めしたり、ねじ61をサイドエアバッグ組付部12A、12Bに位置決めしたりするので、サイドエアバッグ組付部12A、12Bをセンシングする回数を低減でき、その結果、生産効率を向上できる。
【0048】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
A〜C 測定点
A1〜C1 測定点の実際の位置
1 サイドエアバッグ取付システム(ワーク組付システム)
12A、12B サイドエアバッグ組付部(被組付部)
20A、20B サイドエアバッグ(ワーク)
40A、40B サイドエアバッグ取付装置(保持手段)
60A、60B 締付装置(固定手段)
61 ねじ(固定部材)
70 制御装置(制御手段)
622 ステレオカメラ(撮影手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被組付部にワークを配置し、固定部材を用いて、当該ワークを前記被組付部に固定するワーク組付方法であって、
前記被組付部または当該被組付部に近接する部分に少なくとも3つの測定点を設け、
当該3つの測定点を撮影する撮影工程と、
当該撮影工程で撮影した画像に基づいて、前記測定点の実際の位置を算出する位置算出工程と、
当該位置算出工程で算出した測定点の実際の位置に基づいて、前記ワークと前記被組付部との相関位置を算出し、前記ワークを前記被組付部に対して位置決めする第1位置決め工程と、
前記位置算出工程で算出した測定点の実際の位置に基づいて、前記固定部材と前記被組付部との相関位置を算出し、前記固定部材を前記被組付部に対して位置決めする第2位置決め工程と、を備えることを特徴とするワーク組付方法。
【請求項2】
被組付部にワークを配置し、固定部材を用いて、当該ワークを前記被組付部に固定するワーク組付システムであって、
前記被組付部または当該被組付部に近接する部分には、少なくとも3つの測定点が設けられ、
撮影する撮影手段と、前記ワークを保持する保持手段と、前記固定部材を保持する固定手段と、前記撮影手段、前記保持手段、および前記固定手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記撮影手段により、前記3つの測定点を撮影する撮影工程と、
当該撮影工程で撮影した画像に基づいて、前記測定点の実際の位置を算出する位置算出工程と、
当該位置算出工程で算出した測定点の実際の位置に基づいて、前記ワークと前記被組付部との相関位置を算出し、前記保持手段を制御して、前記ワークを前記被組付部に対して位置決めする第1位置決め工程と、
前記位置算出工程で算出した測定点の実際の位置に基づいて、前記固定部材と前記被組付部との相関位置を算出し、前記固定手段を制御して、前記固定部材を前記被組付部に対して位置決めする第2位置決め工程と、を実行することを特徴とするワーク組付システム。
【請求項1】
被組付部にワークを配置し、固定部材を用いて、当該ワークを前記被組付部に固定するワーク組付方法であって、
前記被組付部または当該被組付部に近接する部分に少なくとも3つの測定点を設け、
当該3つの測定点を撮影する撮影工程と、
当該撮影工程で撮影した画像に基づいて、前記測定点の実際の位置を算出する位置算出工程と、
当該位置算出工程で算出した測定点の実際の位置に基づいて、前記ワークと前記被組付部との相関位置を算出し、前記ワークを前記被組付部に対して位置決めする第1位置決め工程と、
前記位置算出工程で算出した測定点の実際の位置に基づいて、前記固定部材と前記被組付部との相関位置を算出し、前記固定部材を前記被組付部に対して位置決めする第2位置決め工程と、を備えることを特徴とするワーク組付方法。
【請求項2】
被組付部にワークを配置し、固定部材を用いて、当該ワークを前記被組付部に固定するワーク組付システムであって、
前記被組付部または当該被組付部に近接する部分には、少なくとも3つの測定点が設けられ、
撮影する撮影手段と、前記ワークを保持する保持手段と、前記固定部材を保持する固定手段と、前記撮影手段、前記保持手段、および前記固定手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記撮影手段により、前記3つの測定点を撮影する撮影工程と、
当該撮影工程で撮影した画像に基づいて、前記測定点の実際の位置を算出する位置算出工程と、
当該位置算出工程で算出した測定点の実際の位置に基づいて、前記ワークと前記被組付部との相関位置を算出し、前記保持手段を制御して、前記ワークを前記被組付部に対して位置決めする第1位置決め工程と、
前記位置算出工程で算出した測定点の実際の位置に基づいて、前記固定部材と前記被組付部との相関位置を算出し、前記固定手段を制御して、前記固定部材を前記被組付部に対して位置決めする第2位置決め工程と、を実行することを特徴とするワーク組付システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−194658(P2010−194658A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41306(P2009−41306)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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