説明

乾燥方法及び乾燥装置

【課題】膜の固化状態を簡便に検出しながら固化する乾燥方法及び乾燥装置を提供する。
【解決手段】基板15に形成される膜の乾燥方法に係り、基板に隔壁部60を形成する隔壁形成工程と、隔壁部60に囲まれた塗布領域61に液状体62を塗布する塗布工程と、塗布された液状体62を乾燥して固化する固化工程と、を有し、固化工程は、液状体62の表面に対して斜め方向から光40を照射し、液状体62の表面から反射する光40の光量を検出する検出工程と反射する光40の光量を用いて液状体62の固化状態を判断する固化判断工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥方法及び乾燥装置に係り、特に簡便に乾燥状態を判断する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL(エレクトロルミネッセンス)の発光素子等において、インクジェット法を用いて膜を形成する方法が活用されている。この膜を形成する工程では、最初に、膜を形成する膜形成領域を囲んでバンクを形成する。次に、膜を形成する液状材料を膜形成領域に塗布する。そして、液状材料を乾燥して固化することにより膜を形成している。
【0003】
この膜の膜厚を均一にすることにより光学特性を改善する方法が特許文献1に開示されている。これによれば、有機EL材料を塗布した後、紫外光を照射して蛍光カメラで撮像する。そして、撮像した画像を解析することにより有機EL材料の膜厚を測定して乾燥条件を自動調整していた。
【0004】
【特許文献1】特開2004−228006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では紫外線を放射することから人体に対して危害を及ぼす危険性があった。又、蛍光を撮像する特殊カメラを用いることから簡便な方法でないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
本適用例にかかる乾燥方法は、基板に塗布された液状体を固化して膜を形成する乾燥方法であって、前記基板に隔壁部を形成する隔壁形成工程と、前記隔壁部に囲まれた塗布領域に前記液状体を塗布する塗布工程と、塗布された前記液状体を乾燥して固化する固化工程と、を有し、前記固化工程は、前記液状体に対して斜め方向から光を照射し、前記液状体からの反射光の光量を検出する検出工程と前記反射光の光量を用いて前記液状体の固化状態を判断する固化判断工程とを有することを特徴とする。
【0008】
この乾燥方法によれば、隔壁部により囲まれた塗布領域に液状体が塗布され、乾燥するにとにより固化される。このとき、液状体が乾燥するに従い、表面形状が変形する。隔壁部より高くなる量の液状体が塗布されるとき、液状体に表面張力が働くので、液状体の形状が凸状となる。そして、液状体の乾燥が進むにつれて、液状体の一部が蒸発して、凸状から平坦な面に近づく。さらに乾燥を継続するとき、略平坦な面から凹状の面に推移することもある。
【0009】
そして、この液状体に斜めから光を照射し、液状体の表面で反射する反射光と液状体の内部に進行して基板から反射する反射光を検出する。このとき、液状体の形状が変化することより、反射光の分布も変化する。そして、反射光を検出することにより、液状体の固化状態を判断することができる。その結果、液状体に対して光を照射して反射光を検出することで固化状態が判断できることから、簡便な方法で固化状態を判断することができる。
【0010】
[適用例2]
上記適用例にかかる乾燥方法において、前記検出工程では、前記液状体からの前記反射光の内、正反射する光を検出し、前記固化判断工程では、前記反射光の光量が増加した後減少するときの変化点を用いて固化状態を判断することを特徴とする。
【0011】
この乾燥方法によれば、正反射する光を検出している。液状体の表面が凸状のときと凹状のとき、液状体に対して斜め方向から光を照射しても、光は正反射し難くなっている。そして、液状体の表面が略平坦のとき、液状体に対して斜め方向から光を照射することにより正反射させることができる。従って、正反射する光を検出することにより液状体の表面が略平坦な状態になっていることを判断することができる。
【0012】
[適用例3]
上記適用例にかかる乾燥方法において、前記検出工程では、前記液状体からの前記反射光の内、正反射する光以外の光の少なくとも一部を検出し、前記固化判断工程では、前記反射光の光量を用いて固化状態を判断することを特徴とする。
【0013】
この乾燥方法によれば、正反射する光以外の光を検出している。液状体の表面が凸状のときと凹状のとき、液状体に対して斜め方向から照射した光の反射光は指向性の弱い光分布となっている。そして、液状体の表面が平坦に近づくにつれて、指向性の強い光分布となる。そして、正反射する光以外の光は、液状体の表面が平坦に近づくにつれて弱くなる。次に、平坦から凹状に進行するに従い、正反射する光以外の光は強くなる。従って、正反射する光以外の光を検出することにより液状体の表面が凸状又は凹状の状態になっていることを判断することができる。
【0014】
[適用例4]
上記適用例にかかる乾燥方法において、前記検出工程では、前記正反射する光の検出に加え、前記液状体からの前記反射光の内、前記正反射する光以外の光の少なくとも一部を検出し、前記固化判断工程では、前記正反射する光の光量と、前記正反射する光以外の光の光量とを用いて固化状態を判断することを特徴とする。
【0015】
この乾燥方法によれば、正反射する光と、正反射する光以外の光とを用いて液状体の固化状態を判断している。正反射する光を検出するとき、液状体の表面が略平坦の状態の判断が可能である。そして、正反射する光以外の光を検出するとき、液状体の表面が凸状のときと凹状のときの状態の判断をすることができる。従って、正反射する光と、正反射する光以外の光とを用いるとき、液状体の表面が、略平坦の状態と、凸状又は凹状の状態との両方の判断を行うことができる。
【0016】
[適用例5]
上記適用例にかかる乾燥方法において、前記隔壁形成工程では、複数の前記塗布領域を形成し、前記塗布工程では、複数の前記塗布領域に異なる量の前記液状体を塗布し、前記検出工程では、複数の前記塗布領域における前記反射光の光量を検出し、前記固化判断工程では、複数の前記反射光の光量を用いて前記液状体の固化状態を判断することを特徴とする。
【0017】
この乾燥方法によれば、複数の塗布領域において反射光を検出している。従って、複数の塗布領域における固化状態を判断することができる。
【0018】
[適用例6]
上記適用例にかかる乾燥方法において、異なる量の前記液状体が塗布された前記塗布領域が混在して配置されることを特徴とする。
【0019】
この乾燥方法によれば、複数の塗布領域が配置され、塗布領域には異なる量の液状体が塗布されている。大量の液状体が塗布されている塗布領域の近くと、小量の液状体が塗布されている塗布領域の近くとでは、局所的に蒸発溶媒の分子分圧差が生じ乾燥速度にムラが生じる。そして、大量の液状体が塗布されている塗布領域と、小量の液状体が塗布されている塗布領域とが混在して配置されているので、局所的に蒸発溶媒の分子分圧差が生じ難くなっている。従って、乾燥速度のムラに影響を受けずに固化状態を判断することができる。
【0020】
[適用例7]
上記適用例にかかる乾燥方法において、複数配置された前記塗布領域の内側に比べて、外側の前記塗布領域に大きい量の前記液状体が塗布されることを特徴とする。
【0021】
この乾燥方法によれば、塗布量の小さい塗布領域が塗布量の大きい塗布領域に囲まれて配置されている。つまり、蒸発溶媒の分子分圧の小さい場所が、蒸発溶媒の分子分圧の大きい場所に囲まれている。従って、蒸発溶媒の分子分圧の小さい場所が、蒸発溶媒の分子分圧の大きい場所の影響を受けて、蒸発溶媒の分子分圧が大きくなり易くなっている。その結果、局所的に蒸発溶媒の分子分圧差が生じ難くなり、乾燥速度のムラに影響を受けずに固化状態を判断することができる。
【0022】
[適用例8]
上記適用例にかかる乾燥方法において、複数の前記塗布領域の内、少なくとも一部の前記塗布領域において、前記塗布領域の面積及び前記隔壁部の高さが略同じに形成されていることを特徴とする。
【0023】
この乾燥方法によれば、液状体の量を大きくするとき液状体の表面が凸状となり、少なくすると凹状にすることができる。そして、液状体の量を変えることにより、凸状の大きさを変えることができる。つまり、塗布する液状体の量を調整することにより、液状体が蒸発して略平坦になるまでの液状体の量を制御することができる。
【0024】
[適用例9]
上記適用例にかかる乾燥方法において、前記固化工程は固化条件調整工程を有し、前記固化条件調整工程では、前記固化判断工程で判断した固化状態に応じて、前記液状体の周囲を流動する気流の速度と、前記液状体の周囲の気圧との内少なくとも一方を調整することを特徴とする。
【0025】
この乾燥方法によれば、液状体の固化状態に応じて乾燥条件を変更している。従って、膜の固化状態に応じて乾燥速度を変更することができる。
【0026】
[適用例10]
上記適用例にかかる乾燥方法において、前記固化判断工程は前記固化工程を終了する判断を行うことを特徴とする。
【0027】
この乾燥方法によれば、固化状態を確認して固化工程を終了している。通常、固化工程は固化に要する時間を用いて管理することが多い。そして、確実に固化するためには、固化に必要な時間より長い時間乾燥を行う必要がある。この方法では、固化に必要な時間より長い時間乾燥を行う必要がない。従って、乾燥時間を管理する方法に比べて、生産性良く固化することができる。
【0028】
[適用例11]
上記適用例にかかる乾燥方法において、前記固化工程では、前記液状体が固化する時間を測定し、前記液状体が固化する時間を用いて保守を行う判断をする保守要否判断工程を備えることを特徴とする。
【0029】
この乾燥方法によれば、固化にかかる時間を用いて保守作業が必要か否かを判断している。液状体に含まれる溶媒が気化するとき、気化した溶媒の一部が排出されずに乾燥装置内の内壁等に付着して結露することがある。結露した溶媒が気化するとき、基板に塗布された液状体が乾燥するのを阻害する要因となる。この方法では、液状体が固化する時間が所定の時間より長いとき保守を行う判断をするので、液状体が固化する時間が長くならないように維持することができる。従って、生産性良く乾燥することができる。
【0030】
[適用例12]
上記適用例にかかる乾燥方法では、前記検出工程において、前記液状体に照射する光は間欠照射されることを特徴とする。
【0031】
この乾燥方法によれば、液状体に光が常時照射されないので、液状体が光により加熱され難くなっている。従って、液状体の乾燥状態が照射する光の影響を受け難いので、精度良く乾燥状態を判断することができる。
【0032】
[適用例13]
上記適用例にかかる乾燥方法において、前記固化工程では、前記液状体の周囲に気流を形成し、前記検出工程では、前記気流の流速の早い場所に位置する前記塗布領域に光を照射し、前記液状体からの前記反射光の光量を検出することを特徴とする。
【0033】
この乾燥方法によれば、乾燥し易い場所と乾燥し難い場所とがある時、乾燥し易い場所における液状体の乾燥状態を判断している。そして、乾燥し易い場所は乾燥し難い場所に比べて固化の変化が早いので、変化の早い場所の固化状態に対応して乾燥条件を調整することができる。
【0034】
[適用例14]
上記適用例にかかる乾燥方法において、前記固化工程では、前記液状体の周囲に気流を形成し、前記固化工程は固化条件調整工程を有し、前記検出工程では、複数の前記塗布領域に光を照射し、前記液状体からの前記反射光の光量を検出し、前記固化判断工程では、複数の前記塗布領域における固化状態を判断し、前記固化条件調整工程では、前記固化判断工程で判断した固化状態に応じて、複数の前記塗布領域の速度分布を調整することを特徴とする。
【0035】
この乾燥方法によれば、液状体の固化状態を判断し、固化状態に応じて気流の速度分布を調整している。気流の速度が速い場所では早く固化させることができることから、気流を制御することにより基板内で液状体が固化する分布を制御することができる。そして、基板内の塗布領域において、略同時に固化が終了するように乾燥することができる。一部分が遅れて乾燥するとき、その部分が乾燥する時間だけ長く乾燥時間がかかる。この場合に比べて、生産性良く乾燥することができる。
【0036】
[適用例15]
上記適用例にかかる乾燥方法において、前記検出工程では、前記液状体からの前記反射光の内、正反射する光を検出し、前記固化判断工程では、光量と閾値とを比較して固化状態を判断することを特徴とする。
【0037】
この乾燥方法によれば、予め反射光の光量と固化状態との相関を調べて、固化状態を判断する閾値が設定されている。そして、この閾値と光量とを比較して固化状態を判断している。この方法は光量の増減の変化点を検出する方法に比べて、簡便に固化状態を判断することができる。
【0038】
[適用例16]
本適用例にかかる乾燥装置は、基板の塗布領域に塗布された液状体を乾燥することにより固化して膜を形成する乾燥装置であって、前記液状体に対して斜め方向から光を照射する照射部と、前記液状体からの反射光の光量を検出する検出部と、前記反射光の光量を用いて前記液状体の固化状態を判断する固化判断部とを有することを特徴とする。
【0039】
この乾燥装置によれば、液状体に斜めから光を照射し、液状体の表面で反射する反射光と液状体の内部に進行して基板から反射する反射光を検出する。このとき、液状体の形状が変化することより、反射光の分布も変化する。そして、反射光を検出することにより、液状体の固化状態を判断することができる。その結果、照射部と検出部とによる出力から固化判断部が固化状態を判断できることから、簡便な方法で固化状態を判断することができる。
【0040】
[適用例17]
上記適用例にかかる乾燥装置において、前記照射部は、略平行に進行する光を照射し、前記検出部は、前記液状体からの前記反射光の内、正反射する光を検出し、前記固化判断部は、光量が増加した後減少するときの変化点を用いて固化状態を判断することを特徴とする。
【0041】
この乾燥装置によれば、正反射する光を検出している。液状体の表面が凸状のときと凹状のとき、液状体に対して斜め方向から光を照射しても、光は正反射し難くなっている。そして、液状体の表面が略平坦のとき、液状体に対して斜め方向から略平行な光を照射することにより正反射させることができる。従って、正反射する光を検出することにより液状体の表面が略平坦な状態になっていることを判断することができる。
【0042】
[適用例18]
上記適用例にかかる乾燥装置において、前記検出部は、前記液状体からの前記反射光の内、正反射する光以外の光の少なくとも一部を検出し、前記固化判断部は、光量を用いて固化状態を判断することを特徴とする。
【0043】
この乾燥装置によれば、正反射する光以外の光を検出している。液状体の表面が凸状のときと凹状のとき、液状体に対して斜め方向から照射した光の反射光は指向性の弱い光分布となっている。そして、液状体の表面が平坦に近づくにつれて、指向性の強い光分布となる。従って、正反射する光以外の光は、液状体の表面が平坦に近づくにつれて弱くなる。次に、平坦から凹状に進行するに従い、正反射する光以外の光は強くなる。従って、正反射する光以外の光を検出することにより液状体の表面が凸状又は凹状の状態になっていることを判断することができる。
【0044】
[適用例19]
上記適用例にかかる乾燥装置において、前記検出部は、前記正反射する光の検出に加え、前記液状体からの前記反射光の内、前記正反射する光以外の光の少なくとも一部を検出し、前記固化判断部は、前記正反射する光の光量と、前記正反射する光以外の光の光量とを用いて固化状態を判断することを特徴とする。
【0045】
この乾燥装置によれば、正反射する光と、正反射する光以外の光とを用いて液状体の固化状態を判断している。正反射する光を検出するとき、液状体の表面が略平坦の状態の判断が可能である。そして、正反射する光以外の光を検出するとき、液状体の表面が凸状のときと凹状のときの状態の判断をすることができる。従って、正反射する光と、正反射する光以外の光とを用いるとき、液状体の表面が、略平坦の状態と、凸状又は凹状の状態との両方の判断を行うことができる。
【0046】
[適用例20]
上記適用例にかかる乾燥装置において、前記塗布領域の周囲に気流を形成する送風部と、前記送風部を制御して前記気流の速度を調整する固化条件調整部とを有し、前記固化条件調整部は、前記固化判断部が判断した固化状態に応じて、前記液状体の周囲を流動する前記気流の速度を調整することを特徴とする。
【0047】
この乾燥装置によれば、固化条件調整部が液状体の固化状態に応じて送風部を制御する。そして、気流の速度を調整することにより、乾燥条件を変更している。従って、乾燥状態に応じて乾燥速度を変更することができる。
【0048】
[適用例21]
上記適用例にかかる乾燥装置において、前記基板を内部に配置する乾燥室と、前記乾燥室内の気圧を減圧する減圧部と、前記減圧部を制御して前記気圧を調整する固化条件調整部とを有し、前記固化条件調整部は、前記固化判断部が判断した固化状態に応じて、前記乾燥室内の前記気圧を調整することを特徴とする。
【0049】
この乾燥装置によれば、固化条件調整部が液状体の固化状態に応じて減圧部を制御する。そして、乾燥室内の気圧を調整することにより、乾燥条件を変更している。従って、乾燥状態に応じて乾燥速度を変更することができる。
【0050】
[適用例22]
上記適用例にかかる乾燥装置において、前記照射部は前記基板と異なる場所に塗布された液状体に対して斜め方向から光を照射し、前記検出部は前記基板と異なる場所に塗布された前記液状体からの前記反射光の光量を検出することを特徴とする。
【0051】
この乾燥装置によれば、基板内と異なる場所に塗布された液状体の固化状態を検出している。従って、基板内に固化状態を観測するための塗布領域を設ける必要がない。従って、基板を効率良く用いることができる。
【0052】
[適用例23]
上記適用例にかかる乾燥装置において、前記検出部は複数の光検出素子が広い範囲に配置されていることを特徴とする。
【0053】
この乾燥装置によれば、検出部は複数の光検出素子を備え、各光検出素子が塗布領域に塗布された液状体から反射された反射光の分布を検出することができる。従って、広い範囲の反射光を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、実施形態について図面に従って説明する。
尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本実施形態では乾燥装置とこの乾燥装置を用いて膜を形成する場合の特徴的な例について図1〜図12に従って説明する。
【0055】
図1(a)は、乾燥装置の構造を示す概略側断面図であり、図1(b)は、乾燥装置の構造を示す概略平断面図である。図1(b)は、図1(a)のA−A’における断面である。図1に示すように、乾燥装置1は、液状体が塗布された基板を乾燥室内に収容し、液状体の溶媒を減圧下で蒸発させ乾燥させる減圧乾燥法を行う装置である。
【0056】
乾燥装置1は外形が略直方体に囲まれた外壁2を備え、外壁2により内側が空洞に形成された乾燥室3を備えている。乾燥室3は上下方向の略中央に隔壁部4を備え、隔壁部4により乾燥室3は上側の第1室5と下側の第2室6とに分割されている。隔壁部4の平面方向の中央には略直方体の基台7が形成され、基台7の長手方向をX方向とし、X方向と直交する方向をY方向する。そして、上下方向をZ方向とする。
【0057】
隔壁部4には第1室5と第2室6とを連通する連通口8が基台7の周囲に沿って8個設けられている。各連通口8には図示しないモータの軸と連動して回転する回転軸9が配置され、回転軸9と連動して回転する連通弁10が設けられている。各連通弁10は連通口8と略同じ大きさに形成され、連通弁10が回転することにより、第1室5と第2室6との間を流れる気流の遮断及び流動が切換可能と可能となっている。
【0058】
基台7の上面には1対の案内レール11がY方向に延在して配置されている。案内レール11の上側には移動テーブル12が配置され、移動テーブル12は図示しない直動機構によりY方向に移動可能となっている。Y方向の逆方向の外壁2には案内レール11が貫通して配置され、案内レール11は外壁2より突き出して形成されている。そして、案内レール11の突き出している部分はレール支持部2aにより支持されている。外壁2において案内レール11近辺には開閉可能に形成された除給材扉13が形成されている。除給材扉13は図示しない開閉装置を備えている。そして、移動テーブル12が案内レール11に沿って移動し除給材扉13を通過するとき、除給材扉13が開口する。次に、移動テーブル12が除給材扉13を通過した後、除給材扉13が閉鎖することにより、除給材扉13から気流が流入及び流出しないようになっている。
【0059】
移動テーブル12の上面には、載置面14が形成され、その載置面14には、図示しない吸引式の基板チャック機構が設けられている。そして、載置面14に基板15を載置すると、基板チャック機構によって、その基板15が載置面14の所定位置に位置決め固定されるようになっている。
【0060】
基台7の上側には移動テーブル12の4隅の近くに支持部16が4箇所立設され、各支持部16の上端には各支持部16の間を架橋する架橋部17が形成されている。そして、この架橋部17には8個の液面検出装置18が配置されている。基板15周辺の基板15と対向する場所に液面検出装置18が配置され、基板15のX方向両端の上側に各1個、基板15のY方向両端の上側に各3個の液面検出装置18が配置されている。
【0061】
第1室5の中であって移動テーブル12の上側には整流器19が配置され、この整流器19を通過する気流を整流器19が多方向に分散して流動させている。外壁2の上部中央付近には、供給口20が設けられており、配管21を介して吸気バルブ23と接続されている。そして、吸気バルブ23は配管24を介して気体調整装置25と接続されている。気体調整装置25は通過する気体の湿度及び温度を調整し気体に含まれる塵を除去する装置である。気体調整装置25は配管26を介して窒素ガス供給装置27に接続されている。そして、供給口20からは、塵が除去され温度及び湿度が調整された窒素ガスが供給されるようになっている。
【0062】
第2室6の下部(底面)中央付近には、排気口28が設けられており、排気口28は配管29を介して排気バルブ30と接続されている。そして、排気バルブ30は配管31を介して排気装置32と接続されている。そして、排気装置32、吸気バルブ23、排気バルブ30、連通弁10等により送風部及び減圧部が構成されている。
【0063】
第1室5及び第2室6の側壁には圧力計33が設けられ、第1室5及び第2室6内の減圧状態が測定可能となっている。そして、第1室5の連通口8付近では外壁2及び基台7に流速計34が配置され、連通口8を通過する気流の速度が測定可能となっている。
【0064】
窒素ガス供給装置27が供給する窒素ガスは配管24、吸気バルブ23、配管21、供給口20を通過して乾燥室3の第1室5に供給される。そして、窒素ガスの気流が整流器19を通過するとき気流が分散して基板15の近くを通過する。その後、気流は連通口8を通過して第2室6に流入する。そして、気流は排気口28、配管29、排気バルブ30、配管31を通過して排気装置32により排出される。乾燥室3内の気圧は圧力計33を用いて測定され、連通口8付近の流速は流速計34を用いて測定される。そして、排気装置32が吸引する気圧、吸気バルブ23、連通弁10、排気バルブ30を制御することにより、乾燥室3内の気圧と、内部を流れる気流の流速が制御される。この気圧と気流の流速を調整することにより基板15に塗布された液状体の乾燥速度が制御可能となっている。
【0065】
図2は液面検出装置の構造を示す模式断面図である。図2に示すように、液面検出装置18は照射部37、検出部としての第1検出部38、検出部としての第2検出部39を備えている。そして照射部37が基板15に光40を照射し、基板15にて反射する光40を第1検出部38及び第2検出部39が検出するようになっている。そして、照射部37が照射する光40の光軸41と基板15との成す角度42と第1検出部38の光軸43が基板15と成す角度44とは略同じ角度に設定され、例えば、本実施形態では30度に設定されている。そして、照射部37が照射する光40が基板15にて正反射するとき、この正反射した光40の光量を第1検出部38が検出可能となっている。第2検出部39の光軸45が基板15と成す角度46は、第1検出部38の光軸43が基板15と成す角度44より大きな角度に設定され、例えば、本実施形態では60度に設定されている。そして、照射部37が照射する光40が基板15にて乱反射するとき、この乱反射した光40の一部を第2検出部39が検出可能となっている。
【0066】
照射部37は光源47を備えている。光源47は同一の光量の光を安定して発光するものであれば良く、レーザダイオード、蛍光管、LED(Light Emitting Diode)、白熱灯、冷陰極管等を用いることができる。本実施形態では、例えば、LEDを採用している。光源47の光軸41上には集光レンズ48、絞り板49、コリメートレンズ50が配置されている。光源47が発光する光40は集光レンズ48により集光される。そして、集光される場所に絞り板49の瞳部49aが配置されている。この瞳部49aにコリメートレンズ50の焦点が位置するようにコリメートレンズ50を配置されている。このとき、コリメートレンズ50から照射される光40は略平行な光線となる。
【0067】
第1検出部38は集光レンズ51と光検出部52等により構成されている。そして、基板15にて反射した光40は集光レンズ51により集光され光検出部52を照射する。この光検出部52は光40の光量の増減を電気信号に変換する機能を備え、この光検出部52には光電管、フォトダイオード、等を用いることができる。本実施形態に置いては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラを採用した。CCDカメラは光電変換素子が複数配置されているので、複数の場所から反射される光40を検出することができる。第2検出部39も集光レンズ53と光検出部54等により構成され、第1検出部38と同様の機能を備えている。
【0068】
図3(a)は基板の測定場所を説明する模式平面図である。図3(a)に示すように、基板15は中央に機能領域57が配置され、機能領域57の周辺には予備領域58が配置されている。機能領域57は特定の機能を有する機能膜を形成する領域であり、予備領域58は機能膜の形成以外の用途に用いられる領域である。そして、予備領域58において基板15の4隅と4辺の約中間の場所には液面検出領域59が8箇所設定されている。
【0069】
図3(b)は液面検出領域を説明する模式平面図であり、図3(c)は液面検出領域を説明する模式断面図である。そして、図3(c)は図3(b)のB−B’における断面を示している。図3(b)及び図3(c)に示すように、液面検出領域59には隔壁部60が格子状に配置されている。この隔壁部60に囲まれた複数の塗布領域61は各々略同じ面積に形成され、隔壁部60は略同じ高さに形成されている。そして、この隔壁部60には液状体62が塗布され、この液状体62の塗布量は大中小の3水準形成されている。そして、塗布量が大の領域である大領域63、塗布量が中の領域である中領域64、塗布量が小の領域である小領域65が混在して配置されている。
【0070】
図4は液状体に照射される光の挙動を説明する図である。図4(a)は液状体62が凸状であり、図4(b)は液状体62が平面状であり、図4(c)は液状体62が凹状となっている。図4(a)に示すように、塗布領域61に液状体62が凸状に塗布されている。そして、光40が液状体62に照射されるとき、一部の光40は液状体62の表面で反射し、一部の光40は液状体62の内部に入射する。反射と入射とは液状体62の表面に対する光40の入射角と液状体62の屈折率により切り換わる。そして、液状体62の表面形状が曲面となっているので、反射及び入射した光40が進行する方向は多方向に進行する。そして、液状体62の内部に入射した光40は基板15を照射し、この光40は基板15において反射した後液状体62を通過する。つまり、液状体62が凸状のとき、液状体62において反射及び通過する光40は多方向に進行する。そして、図2に示す照射部37から照射する光40は図2に示す第2検出部39の方向に進行する。
【0071】
図4(b)では、塗布領域61に液状体62が平面状に塗布されている。そして、光40が液状体62に照射されるとき、一部の光40は液状体62の表面で反射し、一部の光40は液状体62の内部に入射する。そして、液状体62の表面形状が平面状となっているので、反射した光40が進行する方向は略1方向に進行する。そして、液状体62の内部に入射した光40は基板15を照射し、この光40は基板15において反射した後、液状体62を通過する。このとき、液状体62は表面と底面とが平行な面となっているので、液状体62の表面で反射する光40の進行方向と液状体62の内部を通過する光40の進行方向は略同一の方向となる。そして、照射部37から照射する光40は図2に示す第1検出部38の方向に進行する。このとき、液状体62を照射する光40と基板15とが成す角度42は、反射する光40が基板15と成す角度44と略同じ角度となる。
【0072】
図4(c)では、塗布領域61に液状体62が凹状に塗布されている。そして、光40が液状体62に照射されるとき、一部の光40は液状体62の表面で反射し、一部の光40は液状体62の内部に入射する。そして、液状体62の表面形状が曲面となっているので、反射及び入射した光40が進行する方向は多方向に進行する。そして、液状体62の内部に入射した光40は基板15を照射し、この光40は基板15において反射した後液状体62を屈折して通過する。つまり、液状体62が凹状のとき、液状体62において反射及び通過する光40は多方向に進行する。
【0073】
図5は液状体の形状と反射光の光量との関係を説明する図である。図5(a)は液状体の形状を示す模式断面図である。図5(b)は液状体の形状と第1検出部が検出する光量との関係を示すグラフであり、図5(c)は液状体の形状と第2検出部が検出する光量との関係を示すグラフである。図5(a)に示すように、隔壁部60に囲まれた塗布領域61に液状体62が塗布されている。そして、隔壁部60の隔壁部上面60aと液状体62の中央部62aのZ方向(液状体62の厚さ方向)の差を突出量66とする。液状体62が凸状のとき突出量66の値は正数となり、液状体62が凹状のとき突出量66の値は負数となる。そして、液状体62の中央部62aが隔壁部上面60aと同じ面になるとき、突出量66の値は零となり、液状体62は略平面状となる。
【0074】
図5(b)において横軸は突出量66を示し、左側が大きく右側が小さくなっている。縦軸は図2に示す第1検出部38が受光する光量67を示し、上側が大きく下側が小さくなっている。そして、受光量曲線68は突出量66の変化に対する光量67の変化の推移を示している。受光量曲線68が示すように突出量66が大きいとき光量67は小さくなっている。このとき、液状体62に入射する光は乱反射する状態となっている。そして、突出量66が零地点66aに近づくにつれて光量67が増加し、突出量66が零地点66aとなるとき変化点としての極値68aとなる。このとき、液状体62は平面状となり、液状体62を照射する光40が正反射するので、第1検出部38が検出する光量67が大きくなる。突出量66が零地点66aの近辺では、正反射する場所の面積が急激に変化するので、受光量曲線68の変化が大きくなる。そして、突出量66がさらに減るとき、液状体62は凹状となり、液状体62を照射する光40が乱反射するので、第1検出部38が検出する光量67が小さくなる。
【0075】
図5(c)において横軸は突出量66を示し、左側が大きく右側が小さくなっている。縦軸は図2に示す第2検出部39が受光する光量67を示し、上側が大きく下側が小さくなっている。そして、受光量曲線69は突出量66の変化に対する光量67の変化の推移を示している。受光量曲線69が示すように突出量66が大きいとき光量67は大きくなっている。このとき、液状体62に入射する光は乱反射する状態となっている。そして、乱反射する光40の一部を第2検出部39が受光しているので、光量67が大きくなっている。次に、突出量66が零地点66aに近づくにつれて光量67が減少し、突出量66が零地点66aとなるとき変化点としての極値69aとなる。このとき、液状体62は平面状となり、液状体62を照射する光40が正反射するので、第2検出部39が検出する光量67が小さくなる。そして、突出量66がさらに減るとき、液状体62は凹状となり、液状体62を照射する光40が乱反射するので、第2検出部39が検出する光量67が大きくなる。以上のように、第1検出部38及び第2検出部39が受光する光量67を検出することにより液状体62の液面の状態を認識することが可能となっている。
【0076】
図6は、乾燥装置の電気制御ブロック図である。図6において、乾燥装置1の制御装置70はプロセッサとして各種の演算処理を行うCPU(演算処理装置)71と、各種情報を記憶するメモリ72とを有している。
【0077】
バルブ駆動装置73、排気装置32、テーブル駆動装置74、連通弁駆動装置75、流速計34、圧力計33は、入出力インターフェース76及びデータバス77を介してCPU71に接続されている。さらに、入力装置78、ディスプレイ装置79も入出力インターフェース76及びデータバス77を介してCPU71に接続されている。
【0078】
バルブ駆動装置73は吸気バルブ23及び排気バルブ30を駆動して各バルブの開閉を制御する装置である。バルブ駆動装置73が吸気バルブ23を閉じると乾燥室3に供給される気体の量が減少する。そして、バルブ駆動装置73が吸気バルブ23を開くと乾燥室3に供給される気体の量が増加するので、バルブ駆動装置73は乾燥室3に供給する気体の量を制御可能となっている。
【0079】
バルブ駆動装置73が排気バルブ30を閉じると乾燥室3から排気される気体の量が減少する。そして、バルブ駆動装置73が排気バルブ30を開くと乾燥室3から排気される気体の量が増加するので、バルブ駆動装置73は乾燥室3から排気する気体の量を制御可能となっている。排気装置32は乾燥室3から気体を排気する装置であり、排気流量を制御する機能を備えている。そして、排気装置32と排気バルブ30とを制御することにより乾燥室3から排気する気体の量を制御可能となっている。
【0080】
テーブル駆動装置74は移動テーブル12の移動及び停止と除給材扉13の開閉を駆動する装置である。連通弁駆動装置75は連通弁10を駆動する装置であり、連通弁10を通過する気流の流量を制御する機能を有している。
【0081】
流速計34は連通弁10付近における気流の流速を測定する機能を備え、気流に影響を与えず測定可能であれば良く、プロペラ式流速計、熱線流速計、レーザドップラー流速計、ピトー管式流速計等を用いることができる。本実施形態においては、例えば、熱線流速計を採用している。
【0082】
圧力計33は第1室5及び第2室6に配置され、各室の気圧を測定する。圧力計33は気圧の差によって伸縮するダイアラムやブルドン管の変位を歪みゲージで測定する計器を用いることができる。他にも、シリコン基板に薄肉部を形成し、薄肉部上に配線を形成し、薄肉部が圧力により変化する変位量を配線抵抗の変化を用いて測定する半導体圧力センサ等を用いることができる。本実施形態においては、例えば、半導体圧力センサを採用している。
【0083】
入力装置78は気圧や気流の流速等の乾燥に係る各種加工条件を入力する装置である。ディスプレイ装置79は加工条件や、作業状況を表示する装置であり、操作者はディスプレイ装置79に表示される情報を基に入力装置78を用いて操作を行う。
【0084】
メモリ72は、RAM、ROM等といった半導体メモリや、ハードディスク、CD−ROMといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、乾燥装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト80を記憶する記憶領域が設定される。さらに、基板15を乾燥するときの条件を示す乾燥条件データ81を記憶するための記憶領域も設定される。他にも、液面検出装置18の出力に応じて乾燥条件を切り換える判断をするときの閾値である判断閾値データ82を記憶するための記憶領域が設定される。さらに、液面を測定するときの測定条件である測定条件データ83や測定した液面測定データ84を記憶するための記憶領域が設定される。他にも、CPU71のためのワークエリアやテンポラリファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域が設定される。
【0085】
CPU71は、メモリ72内に記憶されたプログラムソフト80に従って、基板15を乾燥するための制御を行うものである。具体的な機能実現部として、除給材扉13の開閉や移動テーブル12の移動を制御して、基板15の除給材を行うための演算を行う除給材制御演算部87を有する。さらに、気圧や気流の流速等の乾燥条件を調整する固化条件調整部88を有する。さらに、吸気バルブ23や排気バルブ30の開閉量を演算するバルブ制御演算部89や、連通弁10の開閉量を演算する連通弁制御演算部90を有する。他に、乾燥にかかる時間を測定する乾燥時間演算部91や液面検出装置18の出力から固化具合を判断する固化判断部92等を有する。
【0086】
固化判断部92が液面検出装置18の出力値を用いて液面の固化具合を判断する。そして、固化判断部92が固化条件調整部88に乾燥条件の継続又は変更する指示を出す。固化条件調整部88は圧力計33及び流速計34の測定値を受信して乾燥条件の変更量を演算してバルブ制御演算部89及び連通弁制御演算部90に指示情報を出力する。次に、バルブ制御演算部89は吸気バルブ23及び排気バルブ30の開閉量を演算してバルブ駆動装置73にバルブ開閉量情報を出力する。バルブ駆動装置73はバルブ開閉量情報を受信した後、吸気バルブ23や排気バルブ30の開閉量を変更する。
【0087】
同様に、連通弁制御演算部90は連通弁10の開閉量を演算して連通弁駆動装置75にバルブ開閉量情報を出力する。連通弁駆動装置75はバルブ開閉量情報を受信した後、連通弁10の開閉量を変更する。以上の手順により液面の固化状態に対応して乾燥条件が変更可能となっている。
【0088】
(膜形成方法)
次に、上述した乾燥装置1を使って、基板に塗布された液状体を乾燥して固化する製造方法について図7〜図12にて説明する。図7は、基板上に膜を形成する製造工程を示すフローチャートであり、図8〜図12は、基板上に膜を形成する製造方法を説明する図である。
【0089】
図7のフローチャートにおいて、ステップS1は、隔壁形成工程に相当し、基板上に隔壁を形成する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は、塗布工程に相当し、隔壁に囲まれた領域に液状体を塗布する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS3は、検出工程に相当し、塗布された液面の状態を検出する工程である。次にステップS4移行する。ステップS4は、風速変更判断工程に相当し、液面の状態に応じて装置内の風速を変更するかの判断を行う工程である。風速を変更するとき、ステップS5に移行する。風速を変更しないとき、ステップS6に移行する。ステップS5は、固化条件調整工程に相当し、バルブ及び連通弁を調整する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS6は、固化判断工程に相当し、液状体の固化が完了したかを判断する工程である。固化が完了していないとき(未固化のとき)、ステップS3に移行する。固化が完了したとき(固化済のとき)、ステップS7に移行する。ステップS3〜ステップS6のステップを合わせてステップS11の固化工程とする。このとき、乾燥時間演算部はステップS11にかかる時間を測定する。ステップS7は、保守要否判断工程に相当し、乾燥装置を保守するか否かを判断する工程である。乾燥時間演算部が保守する必要があると判断するとき(必要のとき)、ステップS8に移行する。乾燥時間演算部が保守する必要がないと判断するとき(不要のとき)、製造工程を終了する。ステップS8は、保守工程に相当し、乾燥装置の内壁に結露した液状体を除去する工程である。以上の工程により膜形成方法を終了する。
【0090】
次に、図8を用いて、図7に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。図8(a)〜図8(d)はステップS1に対応する図である。図8(a)及び図8(b)に示すように、基板15を用意し、基板15に隔壁部の材料である隔壁部形成材料95を塗布する。隔壁部形成材料95は特に限定されないが、フロロカーボンガスプラズマ処理によりテフロン(登録商標)化でき、隔壁部60に塗布する液状体62に対して耐久性の良い有機系感光性材料を用いることが好ましい。例えば、感光性アクリル樹脂、感光性エポキシ樹脂、感光性ポリイミド等を用いることができる。本実施形態においては、例えば、感光性ポリイミドを採用している。そして、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等の方法で、基板15上に隔壁部形成材料95を塗布する。次に、塗布された隔壁部形成材料95を乾燥して固化することにより隔壁膜96を形成する。
【0091】
次に、図8(c)に示すように、マスク97を基板15に重ねて、紫外光98を照射する。マスク97には隔壁部60のパターンが形成され、マスク97を通過する紫外光98は隔壁膜96を照射する。そして、照射された隔壁膜96は紫外線により変質した変質部が形成される。次に、基板15を現像する。基板15をアルカリ現像液に浸漬して、変質部を除去する。アルカリ現像液としては、例えば、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)、コリン、珪酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を用いることができる。本実施形態ではTMAHを採用している。変質部を除去した後、純水にてリンスして乾燥する。図8(d)に示すように、現像することにより基板15上に隔壁部60が形成される。次に、基板15及び隔壁部60の表面を改質する。まず隔壁部底面60bの親液性を改善するために大気圧プラズマ処理を行う。具体的には、例えば、ヘリウムに酸素を20%加えた混合ガスに高電圧を印加することによりプラズマ雰囲気を形成する。このプラズマ雰囲気中に基板15を通過させることにより基板15が洗浄される。この洗浄により表面エネルギが向上し隔壁部底面60bの親液性が改善される。
【0092】
次に、隔壁部60を撥液性にする表面改質を行う。表面改質としては、例えば導入ガスにフッ素又はフッ素化合物を含んだガスを使用し、減圧雰囲気下や大気圧雰囲気下でプラズマ照射をする減圧プラズマ処理や大気圧プラズマ処理を行う。フッ素系化合物を含んだガス中でプラズマ処理を行うとき、有機材料表面においてフッ素系化合物分子が有機材料表面に入り込む混入化現象により表面が非極性化される。従って、有機材料をフッ素系化合物が過多の条件でプラズマ処理すると、隔壁部60は極性分子を含んだ流動体に対して非親和性を示し、非極性分子を含んだ流動体に対して親和性を示すようになる。フッ素又はフッ素化合物を含んだガスとしては、例えばCF4、SF6、CHF3等のハロゲンガスを用いることができる。本実施形態では、例えば、CF4を採用している。
【0093】
図8(e)及び図8(f)はステップS2に対応する図である。図8(e)及び図8(f)に示す様に、液滴吐出装置を用いて液状体62を塗布する。この液滴吐出装置はノズル99が形成された液滴吐出ヘッド100を備え、インクジェット法を用いて液滴101を吐出する装置である。隔壁部60により囲われた塗布領域61にノズル99から液滴101を吐出する。このとき、隔壁部60には撥液性となる表面改質が行われているので、液状体62が大量に塗布されても隔壁部上面60aを越え難くなっているので、液状体62は塗布領域61において凸状となる。
【0094】
図8(g)〜図9はステップS3に対応する図である。図8(g)に示すように、液状体62、隔壁部60、基板15に光40を照射する。照射された光40は反射して第1検出部38及び第2検出部39を照射する。第1検出部38及び第2検出部39が受光する光40の光量は液状体62の形状により変化する。
【0095】
図9(a)は第2検出部が受光する光量と測定間隔との関係を示すグラフである。図9(a)において縦軸は第2検出部39が受光する光量102を示し、上側が下側より光量102が小さい量となっている。横軸は第1検出部38及び第2検出部39が測定する測定間隔103を示し、右側が左側より測定間隔103が長くなっている。そして、測定間隔曲線104は第2検出部39が受光する光量102に対して設定される測定間隔103の相関を示している。この測定間隔曲線104は略指数関数曲線となっており、光量102が小さい程測定間隔103が短く設定される。逆に光量102が大きい程測定間隔103が長く設定されるようになっている。液状体62に光40を照射するとき、乱反射する光量102が小さいときに第2検出部39が受光する光量102が小さくなる。つまり、乱反射する光量102が小さいとき、測定間隔103が短くなるように設定する。そして、この測定間隔曲線104のデータはメモリ72に測定条件データ83の一つとして格納されている。又、照射部37は測定するときのみ光40を照射するので、この照射は間欠照射となっている。
【0096】
図9(b)は第2検出部が受光する光量の推移を示すグラフである。そして、図9(c)は検出部における測定間隔の推移を示すグラフである。図9(b)において、縦軸は第2検出部39が受光する光量102を示し、上側が下側より光量102が大きい量となっている。横軸は時間105の経過を示している。そして、光量推移曲線106は第2検出部39が受光する光量102の時間経過に対して変化する様子を示している。そして、光量推移曲線106において光量102が最も下がる下限点106aに対応する時間105を平坦時時間105aとする。このとき、液状体62は図4(b)に示すように平坦となり照射される光40が乱反射し難いので、第2検出部39を照射する光40が小さくなっている。
【0097】
図9(c)において、縦軸は第1検出部38及び第2検出部39が測定する測定間隔103を示し、上側が下側より測定間隔103が短くなっている。横軸は時間105の経過を示している。そして、測定間隔推移曲線107は第1検出部38及び第2検出部39が測定する測定間隔103の時間経過に対して変化する様子を示している。そして、測定間隔推移曲線107が示すように平坦時時間105aに近い時、第2検出部39が受光する光量102が小さいので測定間隔103が短く設定される。そして、平坦時時間105aから離れているとき第2検出部39が受光する光量102が大きくなるので測定間隔103が長く設定される。
【0098】
図10(a)及び図10(b)はステップS4及びステップS5に対応する図である。図10(a)は第2検出部が測定する光量データの推移を示すグラフである。図10(a)において、縦軸は第2検出部39が受光する光量102を示し、上側が下側より光量102が大きい量となっている。横軸は時間105の経過を示している。そして、3回測定したときの測定データ108と、各回における測定データ108の平均値である平均光量109が示されている。図1に示すように乾燥装置1には8個の液面検出装置18が配置されているので、1回の測定により8箇所の光量102データが取得される。
【0099】
図10(b)は平均光量との差に対する風速の補正量を示すグラフである。図10(b)において、縦軸は平均光量との差110であり、測定データ108から平均光量109を引いた演算値を示している。縦軸の上側が正の値を示し、下側が負の値を示している。そして、上側が下側より光量102が大きい量となっている。横軸は風速の補正量111を示し、横軸の右側が正の値を示し、左側が負の値を示している。そして、右側が左側より風速の補正量111が大きい量となっている。平均光量との差110と風速の補正量111との相関関係を風速補正線112が示している。この風速補正線112が示すデータはメモリ72の乾燥条件データ81に格納されている。
【0100】
この風速補正線112が示すように第2検出部39の測定データ108が大きい場所では、風速の補正量111を大きくして風速を大きくする。逆に、第2検出部39の測定データ108が小さい場所では、風速の補正量111を小さくして風速を小さくする。つまり、8箇所の測定場所において液状体62の突出量66が大きい場所では連通弁10を調整することにより風速を大きくして、突出量66が小さい場所の風速を小さくしている。そして、風速の大きい場所では液状体62の乾燥が早く進むので、突出量66が早く小さくなる。従って、第2検出部39が検出する光量102が小さくなる。つまり、第2検出部39が測定する光量102が大きい場所では、連通弁10を制御して風速を大きくすることにより、突出量66が小さく成り易くする。従って、第2検出部39が測定する光量102が他の場所に比べて早く小さくなる。逆に、第2検出部39が測定する光量102が小さい場所では、連通弁10を制御して風速を小さくすることにより、突出量66が小さく成り難くする。そして、第2検出部39が測定する光量102の変化を小さくする。その結果、図10(a)に示すように時間105の経過に従って測定データ108の分散を小さくなる。つまり、基板15の各場所において略同じ速度で固化することが可能となっている。
【0101】
図11はステップS4〜ステップS6に対応する図である。図11(a)は第1検出部が受光する光量の推移を示すグラフであり、図11(b)は乾燥室内の流速の推移を示すグラフである。図11(a)において、縦軸は第1検出部38が受光する光量102を示し、上側が下側より光量102が大きくなっている。横軸は時間105の経過を示している。そして、第1光量推移曲線113、第2光量推移曲線114、第3光量推移曲線115は第1検出部38が受光する光量102の時間経過に対して変化する様子を示している。この第1光量推移曲線113は図3(c)に示す小領域65から正反射する光量102の推移を示している。そして、第2光量推移曲線114は中領域64から正反射する光量102の推移を示し、第3光量推移曲線115は大領域63から正反射する光量102の推移を示している。
【0102】
小領域65の液状体62は中領域64に比べて容量が小さいので、乾燥して他の領域より先に凸状から平坦になる。そして、小領域65の液状体62が乾燥して凸状から平坦になるとき、第1光量推移曲線113は最大になる。このとき第1光量推移曲線113が変化点としての極値113aを超えるときの時間を第1平坦時105bとする。次に、中領域64の液状体62が乾燥して凸状から平坦になり、最後に大領域63の液状体62が乾燥して凸状から平坦になる。中領域64、大領域63の液状体62が平坦になり、第2光量推移曲線114が変化点としての極値114aを越えるときの時間、第3光量推移曲線115が変化点としての極値115aを越えるときの時間、をそれぞれ、第2平坦時105c、第3平坦時105dとする。
【0103】
図11(b)において、縦軸は乾燥室3の流速計34が測定する流速116を示し、上側が下側より流速116が大きい量となっている。横軸は時間105の経過を示している。そして、固化条件調整部88が総ての流速計34が測定する流速の平均を演算し、演算した平均値の推移を平均流速曲線117に示している。
【0104】
図11(b)に示すように、平均流速曲線117は初期速度117aのまま固化工程を継続する。そして、第1平坦時105bにおいて流速116を第1速度117bまで上げる。このとき、液状体62の表面には膜の形成が開始されており、液状体62が流動し難くなっている。次に、第2平坦時105cにおいて流速116を第2速度117cまで上げる。このとき、液状体62の表面に形成された膜の厚みが増しており、液状体62はさらに流動し難くなっている。そして、第3平坦時105dにおいて液状体62が固化されたと判断し、流速116を下げてステップS6を終了する。
【0105】
図12はステップS7に対応する図であり、乾燥所要時間の推移を示すグラフである。図12において、縦軸はステップS11において固化するまでの時間である乾燥所要時間118を示し、上側が下側より長い時間となっている。横軸は前回保守した後、装置を稼動した回数である乾燥装置駆動回数119を示し、右側が左側より多い回数となっている。そして、各回における乾燥所要時間118の推移を乾燥時間推移曲線120が示している。乾燥装置1を連続駆動するとき、乾燥室3の内壁に液状体62が結露することがある。この結露した液状体62の量が増えてくると、基板15に塗布された液状体62が乾燥し難くなるので、乾燥所要時間118が長くなる傾向がある。従って、乾燥時間推移曲線120が示すように乾燥装置駆動回数119が多くなるにつれて乾燥所要時間118が長くなる。
【0106】
制御装置70はメモリ72に格納された判断閾値データ82の一つに閾値としての保守判断閾値121を有している。ステップS11において乾燥所要時間118を測定し、ステップS7において乾燥時間演算部91が乾燥所要時間118と保守判断閾値121とを比較する。そして、乾燥所要時間118が保守判断閾値121を越えるとき、保守を行う必要があると判断する。そして、ステップS8において乾燥室3の内壁に付着した液状体62を除去する。以上の工程により膜を形成する製造工程を終了する。
【0107】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、液状体62に斜めから光40を照射し、液状体62の表面で反射する光40と液状体62の内部に進行して基板15から反射する光40を検出している。このとき、液状体62の形状が変化することより、反射する光40の分布も変化する。そして、液状体62に対して光40を照射して、反射する光40を検出することで、固化状態が判断できることから、簡便な方法で固化状態を判断することができる。
【0108】
(2)本実施形態によれば、正反射する光40を検出している。液状体62が凸状のときと凹状のとき、液状体62に対して斜め方向から光40を照射しても、光40が正反射し難くなっている。そして、液状体62が略平坦のとき、液状体62に対して斜め方向から光40を照射することにより正反射させることができる。従って、正反射する光40を検出することにより液状体62の表面が略平坦な状態になっていることを判断することができる。
【0109】
(3)本実施形態によれば、第2検出部39が正反射する光40以外の光40を検出している。凸状のときと凹状の液状体62に対して斜め方向から光40を照射するとき、反射する光40は指向性の弱い光分布となっている。そして、液状体62が平坦に近づくにつれて、指向性の強い光分布となる。そして、正反射する光40以外の光は、液状体62が平坦に近づくにつれて弱くなる。次に、平坦から凹状に進行するに従い、正反射以外の光40は強くなる。従って、第2検出部39が正反射する光40以外の光40を検出することにより液状体62の表面が凸状又は凹状の状態になっていることを判断することができる。
【0110】
(4)本実施形態によれば、正反射する光40と、正反射する光40以外の光40とを用いて液状体62の固化状態を判断している。正反射する光40を検出するとき、液状体62が略平坦の状態の判断が可能である。そして、正反射する光40以外の光40を検出するとき、液状体62が凸状のときと凹状のときの状態の判断をすることができる。従って、正反射する光40と、正反射する光40以外の光とを用いるとき、液状体62が、略平坦の状態と、凸状又は凹状の状態との両方の判断を行うことができる。
【0111】
(5)本実施形態によれば、複数の液面検出領域59において反射光を検出している。従って、複数の液面検出領域59における固化状態を判断することができる。
【0112】
(6)本実施形態によれば、液面検出領域59には複数の塗布領域61が配置され、塗布領域61には異なる量の液状体62が塗布されている。大量の液状体62が塗布されている大領域63の近くと、小量の液状体62が塗布されている小領域65の近くとでは、局所的に蒸発溶媒の分子分圧差が生じ乾燥速度にムラが生じる。そして、大領域63、中領域64、小領域65が混在して配置されているので、局所的に蒸発溶媒の分子分圧差が生じ難くなっている。従って、乾燥速度のムラに影響を受けずに固化状態を判断することができる。
【0113】
(7)本実施形態によれば、塗布領域61に塗布する液状体62の量を変えることにより、凸状の大きさを変えることができる。そして、塗布する液状体62の量を調整することにより、所定の液状体の量において液状体62が蒸発して略平坦になる時を検出することができる。
【0114】
(8)本実施形態によれば、液状体62の固化状態に応じて連通弁10、吸気バルブ23、排気バルブ30を制御することにより乾燥条件を変更している。従って、乾燥状態に応じて乾燥速度を変更することができる。
【0115】
(9)本実施形態によれば、固化状態を確認してステップS11の固化工程を終了している。通常、固化工程は固化に要する時間を用いて管理することが多い。そして、確実に固化するためには、固化に必要な時間より長い時間乾燥を行う必要がある。この方法では、固化に必要な時間より長い時間乾燥する必要がない。従って、乾燥に要する時間を管理する方法に比べて、生産性良く固化することができる。
【0116】
(10)本実施形態によれば、液状体62の乾燥所要時間118が保守判断閾値121より長いとき保守を行う判断をするので、乾燥所要時間118が長くならないように維持することができる。従って、生産性良く固化することができる。
【0117】
(11)本実施形態によれば、第2検出部39が受光する光量102に応じて測定間隔103を変更している。このとき、液状体62に光40が常時照射されないので、液状体62が光40により加熱され難くなっている。従って、液状体62の乾燥状態が照射する光40の影響を受け難いので、精度良く乾燥状態を判断することができる。
【0118】
(12)本実施形態によれば、液面検出領域59は基板15の外周に配置され、乾燥し易い場所における液状体62の乾燥状態を判断している。そして、乾燥し易い場所は乾燥し難い場所に比べて固化の変化が早いので、変化の早い場所の固化状態に対応して乾燥条件を調整することができる。
【0119】
(13)本実施形態によれば、液状体62の固化状態を判断し、固化状態に応じて気流の速度分布を調整している。気流の速度が速い場所では早く固化させることができることから、基板15内で液状体62が固化する分布を制御することができる。従って、基板15内の塗布領域61において、略同時に固化が終了するように乾燥することができる。一部分が遅れて乾燥するとき、その部分が乾燥する時間だけ長く乾燥時間がかかる。この場合に比べて、生産性良く固化することができる。
【0120】
(第2の実施形態)
本実施形態では、液状体を乾燥して膜を形成する本実施形態の特徴的な乾燥方法の一実施形態について図13を用いて説明する。この実施形態が第1の実施形態と異なるところは、液面検出領域59における大領域63、中領域64、小領域65の配置が異なる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0121】
図13(a)は液面検出領域を説明する模式平面図であり、図13(b)は液面検出領域を説明する模式断面図である。そして、図13(b)は図13(a)のC−C’における断面を示している。そして、図13に示す液面検出領域124は図3に示す液面検出領域59に相当する領域である。図13(a)及び図13(b)に示すように、液面検出領域24には隔壁部60が6行6列の格子状に配置され、隔壁部60に囲まれた塗布領域61には液状体62が塗布されている。この液状体62の塗布量は大中小の3水準形成されている。そして、塗布量が大の領域である大領域63、塗布量が中の領域である中領域64、塗布量が小の領域である小領域65が配置されている。
【0122】
液面検出領域124の最外周には大領域63が配置され、大領域63の内側の行及び列には中領域64が配置されている。そして、中央には小領域65が配置されている。つまり、液面検出領域124の内側の塗布領域61に比べて外側の塗布領域61の方が塗布量が大きくなるように配置されている。この液面検出領域124の状態にて第1の実施形態と同様に膜の形成を行う。
【0123】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、塗布量の小さい小領域65が塗布量の大きい大領域63に囲まれて配置されている。つまり、蒸発溶媒の分子分圧の小さい場所が、蒸発溶媒の分子分圧の大きい場所に囲まれている。従って、蒸発溶媒の分子分圧の小さい場所が、蒸発溶媒の分子分圧の大きい場所の影響を受けて、蒸発溶媒の分子分圧の大きくなり易くなっている。その結果、局所的に蒸発溶媒の分子分圧差が生じ難くなり、乾燥速度のムラに影響を受けずに固化状態を判断することができる。
【0124】
(第3の実施形態)
本実施形態では、液状体を乾燥して膜を形成する本実施形態の特徴的な乾燥装置と基板の一実施形態について図14を用いて説明する。この実施形態が第1の実施形態と異なるところは、液面検出領域が基板15の外周を囲んで配置されている点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0125】
図14(a)は、乾燥装置の構造を示す概略平断面図である。図14(a)に示すように、乾燥装置125は基台7を備え、基台7には支持部16が4箇所立設され、各支持部16の上端には各支持部16の間を架橋する架橋部17が形成されている。そして、X方向に延在する架橋部17には長尺の第1液面検出装置126が配置され、Y方向に延在する架橋部17には短尺の第2液面検出装置127が配置されている。そして第1液面検出装置126及び第2液面検出装置127が矩形の枠状に配置され、基板15の周囲と対向する場所に配置されている。第1液面検出装置126及び第2液面検出装置127の内部構造は図2に示す液面検出装置18と同様の構造となっている。そして、第1液面検出装置126及び第2液面検出装置127が液面検出装置18と異なる点は各光学要素が長く配列して配置されており、長い範囲における液状体62の状態を検出可能となっている。
【0126】
図14(b)は、基板の測定場所を説明する模式平面図であり、図14(c)は、液面検出領域を説明する模式平面図である。図14(b)に示すように、基板15は中央に機能領域57が配置され、機能領域57の周辺には予備領域58が配置されている。そして、予備領域58において機能領域57の周囲を囲んで液面検出領域128が設定されている。
【0127】
図14(c)に示すように、液面検出領域128には矩形の塗布領域61が配列して配置され、各塗布領域61を囲んで隔壁部60が形成されている。そして、隔壁部60に囲まれた塗布領域61には液状体62が塗布されている。この液状体62の塗布量は大中小の3水準形成されている。そして、塗布量が大の領域である大領域63、塗布量が中の領域である中領域64、塗布量が小の領域である小領域65がこの順に並んで配置されている。
【0128】
乾燥装置125を駆動するとき、第1液面検出装置126及び第2液面検出装置127が液面検出領域128に並んで配置された液状体62の状態を検出する。そして、基板15の外周における固化状態の分布を検出しつつ、乾燥を行うことが可能となっている。
【0129】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、第1液面検出装置126及び第2液面検出装置127は複数の光学要素が長く配列して配置され、第1液面検出装置126及び第2液面検出装置127が塗布領域61に塗布された液状体62から反射された反射光の分布を検出することができる。従って、広い範囲の反射光を検出することができる。
【0130】
(第4の実施形態)
本実施形態では、液状体を乾燥して膜を形成する本実施形態の特徴的な乾燥装置と基板の一実施形態について図15を用いて説明する。この実施形態が第1の実施形態と異なるところは、液面検出領域が基板15と異なる場所に配置されている点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0131】
図15(a)は、乾燥装置の構造を示す概略側断面図であり、図15(b)は、乾燥装置の構造を示す概略平断面図である。図15(b)は、図15(a)のD−D’における断面である。図15に示すように、乾燥装置129は移動テーブル12を備え、移動テーブル12の中央に基板15が配置されている。そして、基板15の周囲には検出用基板130が配置されている。検出用基板130は基板15と同様、基板チャック機構により固定されている。
【0132】
検出用基板130において液面検出装置18と対向する場所には図3に示す液面検出領域59が形成されている。そして、液面検出領域59の中には大領域63、中領域64、小領域65に液状体62が塗布される。そして、検出用基板130における固化状態の分布を検出しつつ、乾燥を行うことが可能となっている。
【0133】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、基板15と異なる場所に検出用基板130を配置し、検出用基板130に塗布された液状体62の固化状態を検出している。従って、基板15の中に固化状態を観測するための塗布領域61を設ける必要がない。従って、基板15を効率良く用いることができる。
【0134】
(第5の実施形態)
本実施形態では、液状体を乾燥して膜を形成する本実施形態の特徴的な乾燥方法の一実施形態について図16を用いて説明する。この実施形態が第1の実施形態と異なるところは、検出部が受光する光量と閾値とを比較して固化状態を判断する点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0135】
図16(a)は第1検出部が検出する光量の推移を示すグラフであり、図16(b)は第2検出部が検出する光量の推移を示すグラフである。図16(a)において縦軸は図2に示す第1検出部38が受光する光量67を示し、上側が大きく下側が小さくなっている。横軸は時間105の経過を示している。そして、受光量曲線131は時間105の経過に対する光量67の変化の推移を示している。そして、メモリ72の判断閾値データ82の一つに閾値としての固化判断閾値132を格納する。ステップS6において固化判断部92は第1検出部38が受光する光量67と固化判断閾値132とを比較する。光量67が固化判断閾値132を越えるとき固化を終了する。このときの時間を固化終了時間105eとする。
【0136】
図16(b)において縦軸は図2に示す第2検出部39が受光する光量67を示し、上側が大きく下側が小さくなっている。横軸は時間105の経過を示している。そして、受光量曲線133は時間105の経過に対する光量67の変化の推移を示している。そして、メモリ72の判断閾値データ82の一つに閾値としての固化判断閾値134を格納する。ステップS4において固化判断部92は第2検出部39が受光する光量67と固化判断閾値134とを比較する。光量67が固化判断閾値134を越えるとき固化が進み、液状体62が流動し難い段階に達したことを判断する。このときの時間を非流動化時間105fとする。
【0137】
図16(c)は乾燥室内の流速の推移を示すグラフである。図16(c)において、縦軸は乾燥室3の流速計34が測定する流速116を示し、上側が下側より流速116が大きい量となっている。横軸は時間105の経過を示している。そして、固化条件調整部88が総ての流速計34が測定する流速の平均を演算し、演算した平均値の推移を平均流速曲線135に示している。
【0138】
図16(c)に示すように、平均流速曲線135は初期速度135aのまま固化工程を継続する。そして、非流動化時間105fにおいて流速116を第1速度135bまで上げる。このとき、液状体62の表面には膜の形成が開始されており、液状体62が流動し難くなっている。そして、固化終了時間105eにおいて液状体62が固化されたと判断し、流速116を下げてステップS6を終了する。続いて、以降の工程を行い、膜を形成する工程を終了する。
【0139】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、予め反射光の光量67と固化状態との相関を調べて、固化状態を判断する固化判断閾値132及び固化判断閾値134が設定されている。そして、閾値と比較することにより、簡便に固化状態を判断することができる。
【0140】
(第6の実施形態)
次に、上記の膜形成方法を応用して有機EL装置を製造する一実施形態について図17を用いて説明する。
【0141】
まず、電気光学装置の一つである有機EL装置について説明する。図17は、有機EL装置の構造を示す概略分解斜視図である。
【0142】
図17に示すように、光学素子基板及び電気光学装置としての有機EL装置137は、基板138を備えている。基板138の上側には、絶縁膜139が形成されている。絶縁膜139上には、コンタクト電極140がマトリクス状に形成され、各コンタクト電極140と隣接する場所には、スイッチング機能を有する半導体としてのTFT素子141が形成されている。そして、TFT素子141のドレイン端子にコンタクト電極140が接続されている。
【0143】
各コンタクト電極140及びTFT素子141を囲むように、配線としての走査線142及び配線としてのデータ線143が格子状に形成されている。そして、走査線142は、TFT素子141のゲート端子と接続され、データ線143は、TFT素子141のソース端子と接続されている。
【0144】
そして、コンタクト電極140、TFT素子141、走査線142、データ線143等からなる素子層144が形成されている。素子層144の上側には、絶縁膜145が形成され、絶縁膜145の上側には、隔壁部146が格子状に形成されている。
【0145】
隔壁部146により形成される凹状領域の各底部には、電極としての画素電極147が形成され、画素電極147は、コンタクト電極140と電気的に接続されている。画素電極147の上面には、発光素子としての正孔輸送層148が形成され、正孔輸送層148の上面には、発光素子としての発光層149R,149G,149Bが形成されている。そして、正孔輸送層148と発光層149R,149G,149Bとにより発光素子としての機能層150が形成されている。
【0146】
発光層149Rは、赤色を発光する有機発光材料等により構成された発光層であり、発光素子としての発光層149Gは、緑色を発光する有機発光材料等により構成された発光層である。同様に、発光素子としての発光層149Bは、青色を発光する有機発光材料等により構成された発光層である。
【0147】
機能層150及び隔壁部146の上側全面に渡って、光透過性を有する導電性材料等からなる電極としての陰極151が形成されている。本実施形態においては、陰極151は、例えば、ITOを採用している。
【0148】
陰極151の上面には、光透過性を有する材料等からなる封止膜152が形成され、陰極151及び機能層150が空気中の酸素により酸化されることを防止している。
【0149】
画素電極147と陰極151との間に電圧を印加するとき、正孔輸送層148は、正孔のみを流動する。そして、発光層149R,149G,149Bは、正孔輸送層148から供給される正孔と陰極151から供給される電子とが、合体するときのエネルギにより、発光する性質を持っている。TFT素子141は、スイッチング動作を行い、機能層150にかける電圧をコントロールすることにより、発光層149R,149G,149Bが発光する光量を制御する。このように、発光層149R,149G,149Bが発光する光量を制御することにより、画素毎に光量をコントロールし、画素を明滅させることにより、映像を表示させることができる。
【0150】
画素電極147は、TFT素子141のドレイン端子に電気的に接続されており、TFTを一定期間だけオン状態とすることにより、データ線143から供給される画素信号が各画素電極147に所定のタイミングで供給される。このようにして画素電極147に供給された所定レベルの画素信号の電圧レベルは、陰極151と画素電極147との間で保持され、画素信号の電圧レベルに応じて、発光層149R,149G,149Bが発光する光量が変化する。
【0151】
素子層144に走査線142及びデータ線143の配線を形成する工程において、第1の実施形態における乾燥方法を用いる。具体的には、絶縁膜で隔壁部を形成した後、液滴吐出装置を用いて、この配線の材料液を隔壁部の間に形成された凹部に吐出して塗布する。その後、乾燥装置1を用いて配線の材料液を減圧乾燥して固化することにより陰極151を形成する。
【0152】
このとき、第1の実施形態における固化工程と同様な工程を用いる。つまり、配線の材料液の固化状態を確認して乾燥条件を調整しながら固化する。その後、固化したことを確認した後、乾燥を終了することにより走査線142及びデータ線143を形成する。
【0153】
さらに、素子層144にTFT素子141を形成する工程において、第1の実施形態における乾燥方法を用いる。具体的には、絶縁膜で隔壁部を形成した後、液滴吐出装置を用いて、シリコン等のTFT素子の材料液を隔壁部の間に形成された凹部に吐出して塗布する。その後、乾燥装置1を用いて配線の材料液を減圧乾燥して固化することにより陰極151を形成する。
【0154】
このとき、第1の実施形態における固化工程と同様な工程を用いる。つまり、TFT素子の材料液の固化状態を確認して乾燥条件を調整しながら固化する。その後、固化したことを確認した後、乾燥を終了することによりTFT素子の材料液を結晶化する。その後、イオンドープした後、絶縁膜及び端子を形成することにより、TFT素子141を形成する。
【0155】
さらに、絶縁膜145の表面に画素電極147を形成する工程において、第1の実施形態における乾燥方法を用いる。具体的には、絶縁膜で隔壁部を形成した後、液滴吐出装置を用いて、この画素電極の材料液を隔壁部の間に形成された凹部に吐出して塗布する。その後、乾燥装置1を用いて画素電極の材料液を減圧乾燥して固化することにより画素電極147を形成する。
【0156】
このとき、第1の実施形態における固化工程と同様な工程を用いる。つまり、画素電極の材料液の固化状態を確認して乾燥条件を調整しながら固化する。その後、固化したことを確認した後、乾燥を終了することにより画素電極147を形成する。
【0157】
さらに、画素電極147の表面に正孔輸送層148を形成する工程において、第1の実施形態における乾燥方法を用いる。具体的には、液滴吐出装置を用いて、この正孔輸送層の材料液を画素電極147の表面に吐出して塗布する。その後、乾燥装置1を用いて正孔輸送層の材料液を減圧乾燥して固化することにより正孔輸送層148を形成する。
【0158】
このとき、第1の実施形態における固化工程と同様な工程を用いる。つまり、正孔輸送層の材料液の固化状態を確認して乾燥条件を調整しながら固化する。その後、固化したことを確認した後、乾燥を終了することにより正孔輸送層148を形成する。
【0159】
さらに、正孔輸送層148の表面に発光層149R,149G,149Bを形成する工程において、第1の実施形態における乾燥方法を用いる。具体的には、液滴吐出装置を用いて、この発光層の材料液を正孔輸送層148の表面に吐出して塗布する。その後、乾燥装置1を用いて発光層の材料液を減圧乾燥して固化することにより発光層149R,149G,149Bを形成する。
【0160】
このとき、第1の実施形態における固化工程と同様な工程を用いる。つまり、発光層の材料液の固化状態を確認して乾燥条件を調整しながら固化する。その後、固化したことを確認した後、乾燥を終了することにより発光層149R,149G,149Bを形成する。
【0161】
さらに、機能層150及び隔壁部146の上面に陰極151を形成する工程において、第1の実施形態における乾燥方法を用いる。具体的には、液滴吐出装置を用いて、この陰極の材料液を機能層150及び隔壁部146の上面に吐出して塗布する。その後、乾燥装置1を用いて陰極の材料液を減圧乾燥して固化することにより陰極151を形成する。
【0162】
このとき、第1の実施形態における固化工程と同様な工程を用いる。つまり、陰極の材料液の固化状態を確認して乾燥条件を調整しながら固化する。その後、固化したことを確認した後、乾燥を終了することにより陰極151を形成する。
【0163】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、走査線142及びデータ線143を製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、配線材料を生産性良く固化して走査線142及びデータ線143を製造することができる。
【0164】
(2)本実施形態によれば、TFT素子141を製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、TFT素子の材料を生産性良く固化してTFT素子141を製造することができる。
【0165】
(3)本実施形態によれば、画素電極147及び陰極151を製造する工程において、
第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、電極材料を生産性良く固化して画素電極147及び陰極151を製造することができる。
【0166】
(4)本実施形態によれば、機能層150を製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、発光素子形成材料を生産性良く固化して機能層150を製造することができる。
【0167】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態において、大領域63、中領域64、小領域65の塗布領域61は同じ面積に形成されていたが、各領域の面積を異なる面積に設定しても良い。また、隔壁部の高さを異なる高さに設定しても良い。いずれの方法においても液状体62の表面曲率を検出し易い曲率の範囲にすることにより固化状態を検出し易くすることができる。
【0168】
(変形例2)
前記第1の実施形態において、乾燥室3を流動する気流の流速116を制御したが、第1室5及び第2室6の気圧を制御しても良い。さらに、流速116と気圧との両方を検出して制御しても良い。そして、流速116と気圧の内、測定及び制御し易い方を用いても良い。制御し易い方法を採用する方が精度良く制御することができる。
【0169】
(変形例3)
前記第1の実施形態において、塗布領域61は矩形に形成されているが、これに限らない。平行四辺形、楕円形等配置し易い形状を採用しても良い。基板15を効率良く活用することができる。
【0170】
(変形例4)
前記第1の実施形態において、光検出部52及び光検出部54にCCDカメラを用いた。CCDカメラはエリアセンサであるが、エリアセンサに限らず、検出部が1点のみのセンサでも良く、直線に配列されたラインセンサでも良い。検出する液面検出領域59の形態に合わせて切り換えても良い。センサが簡便な方が簡便な装置にすることができる。
【0171】
(変形例5)
前記第3の実施形態において、第1液面検出装置126及び第2液面検出装置127は
各光学要素を長く配列して配置したが、これに限らない。光源に長尺な発光素子を用いても良い。例えば蛍光管、冷陰極管等を採用しても良い。また、レンズは柱状レンズを採用しても良い。さらに、光検出部にはラインセンサを採用しても良い。個別に光学要素を配列して形成する方法に比べて、簡便に第1液面検出装置126及び第2液面検出装置127を製造することができる。
【0172】
(変形例6)
前記第6の実施形態において、有機EL装置の製造方法に第1の実施形態を活用して製造したが、第2の実施形態〜第5の実施形態を活用して製造しても良い。同様の効果を得ることができる。
【0173】
(変形例7)
前記第1の実施形態〜前記第5の実施形態を用いて、光学レンズを製造しても良い。レンズの平面形状に隔壁部を形成した後、隔壁部内にレンズ形成材料を塗布する。その後、前記第1の実施形態〜前記第5の実施形態を用いてレンズ形成材料を固化する。この場合にも、生産性良くレンズを形成することができる。
【0174】
(変形例8)
前記第1の実施形態〜前記第5の実施形態を用いて、カラーフィルタを製造しても良い。格子状に隔壁部を形成した後、隔壁部内にカラーフィルタ形成材料を塗布する。その後、前記第1の実施形態〜前記第5の実施形態を用いてカラーフィルタ形成材料を固化する。この場合にも、生産性良くカラーフィルタを形成することができる。
【0175】
(変形例9)
前記第1の実施形態において、塗布領域61に塗布する塗布量は3水準にしたが、水準数に限定されない。1水準でも良く、このとき、簡便に判断することができる。また、水準数を多くすることにより、固化状態を細かく検出することができる。
【0176】
(変形例10)
前記第1の実施形態において、液面検出装置18には正反射光を検出する第1検出部38と乱反射光の一部を検出する第2検出部39とを配置したが、どちらか一方を設置しても良い。検出部を減らすことにより簡便な装置にすることができる。
【0177】
(変形例11)
前記第1の実施形態において、光源47と基板15との間に赤外カットフィルタ、紫外カットフィルタ等のフィルタを設けても良い。光40が液状体62に及ぼす影響を少なくすることにより、測定精度を向上することができる。
【0178】
(変形例12)
前記第1の実施形態において、基板15に液面検出領域59を8箇所配置したが、液面検出領域59の設置数に限定されない。液面検出領域59の個数が少ないとき簡便な装置とすることができ、液面検出領域59の個数が多いとき、固化状態の進行具合の分布を精度良く検出することができる。
【0179】
(変形例13)
前記第1の実施形態において、液面検出領域59は基板15の周辺に配置したが、これに限らず、基板15の中央等周辺以外の場所に配置しても良い。流速116の分布が異なる場所に液面検出領域59を配置することにより、各場所における乾燥条件を制御して、膜厚ムラの少ない膜を形成することができる。
【0180】
(変形例14)
前記第1の実施形態において、液面検出領域59は移動テーブル12上の基板15に配置されたが、これに限らず、乾燥室3の内壁等、各所に配置しても良い。各場所の状態を配慮して乾燥条件を制御できる為、膜厚ムラの少ない膜を形成することができる。
【0181】
(変形例15)
前記第1の実施形態において、乾燥室3の流速を初期速度117aから第2速度117cまで上げたが、これに限らない。初期速度117aの流速116が高く、第2速度117cが低くとも良い。液状体62の性質に合わせて切り換えても良い。
【0182】
(変形例16)
前記第1の実施形態において、乾燥室3の内部には圧力計33と流速計34とを配置したが、温度計を加えても良い。そして、固化状態に応じて、乾燥室3内を流動する気流の温度を制御しても良い。温度により乾燥速度を変えられることから、生産性良く固化することができる。
【0183】
(変形例17)
前記第1の実施形態において、乾燥室3の気圧を減圧して、気流の流れを形成して乾燥したが、減圧する方法と気流の流れを活用する方法のどちらか一方を用いてもよい。固化する液状体62の性質に合わせて選択するのが好ましい。膜厚ムラの少ない膜を形成することができる。
【0184】
(変形例18)
前記第1の実施形態において、乾燥室3の気圧を減圧して、気流の流れを形成して乾燥したが、乾燥室3内の温度を上げて乾燥しても良い。ヒータを配置する方法は減圧及び気流を形成する方法に比べて簡便な装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】第1の実施形態に係り、(a)は、乾燥装置の構造を示す概略側断面図、(b)は、乾燥装置の構造を示す概略平断面図。
【図2】液面検出装置の構造を示す模式断面図。
【図3】(a)は、基板の測定場所を説明する模式平面図、(b)は、液面検出領域を説明する模式平面図、(c)は、液面検出領域を説明する模式断面図。
【図4】液状体に照射される光の挙動を説明する図。
【図5】液状体の形状と反射光の光量との関係を説明する図。
【図6】乾燥装置の電気制御ブロック図。
【図7】膜を形成する製造工程を示すフローチャート。
【図8】膜を形成する製造方法を説明する図。
【図9】(a)は、第2検出部が受光する光量と測定間隔との関係を示すグラフ、(b)は、第2検出部が受光する光量の推移を示すグラフ、(c)は、検出部における測定間隔の推移を示すグラフ。
【図10】(a)は、第2検出部が測定する光量データの推移を示すグラフ、(b)は、平均光量との差に対する風速の補正量を示すグラフ。
【図11】(a)は、第1検出部が受光する光量の推移を示すグラフ、(b)は、乾燥室内の流速の推移を示すグラフ。
【図12】乾燥所要時間の推移を示すグラフ。
【図13】第2の実施形態に係り、(a)は、液面検出領域を説明する模式平面図であり、(b)は、液面検出領域を説明する模式断面図。
【図14】第3の実施形態に係り、(a)は、乾燥装置の構造を示す概略平断面図、(b)は、基板の測定場所を説明する模式平面図、(c)は、液面検出領域を説明する模式平面図。
【図15】第4の実施形態に係り、(a)は、乾燥装置の構造を示す概略側断面図、(b)は、乾燥装置の構造を示す概略平断面図。
【図16】第5の実施形態に係り、(a)は第1検出部が検出する光量の推移を示すグラフ、(b)は第2検出部が検出する光量の推移を示すグラフ、(c)は乾燥室内の流速の推移を示すグラフ。(a)は第1検出部が検出する光量の推移を示すグラフであり、図16(b)は第2検出部が検出する光量の推移を示すグラフである。
【図17】第6の実施形態に係る有機EL装置の構造を示す概略分解斜視図。
【符号の説明】
【0186】
1…乾燥装置、3…乾燥室、15…基板、32…送風部及び減圧部としての排気装置、37…照射部、38…検出部としての第1検出部、39…検出部としての第2検出部、40…光、60…隔壁部、61…塗布領域、62…液状体、67…光量、88…固化条件調整部、92…固化判断部、116…流速、121…閾値としての保守判断閾値、132,134…閾値としての固化判断閾値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に塗布された液状体を固化して膜を形成する乾燥方法であって、
前記基板に隔壁部を形成する隔壁形成工程と、
前記隔壁部に囲まれた塗布領域に前記液状体を塗布する塗布工程と、
塗布された前記液状体を乾燥して固化する固化工程と、を有し、
前記固化工程は、前記液状体に対して斜め方向から光を照射し、前記液状体からの反射光の光量を検出する検出工程と
前記反射光の光量を用いて前記液状体の固化状態を判断する固化判断工程とを有することを特徴とする乾燥方法。
【請求項2】
請求項1に記載の乾燥方法であって、
前記検出工程では、前記液状体からの前記反射光の内、正反射する光を検出し、
前記固化判断工程では、光量が増加した後減少するときの変化点を用いて固化状態を判断することを特徴とする乾燥方法。
【請求項3】
請求項1に記載の乾燥方法であって、
前記検出工程では、前記液状体からの前記反射光の内、正反射する光以外の光の少なくとも一部を検出し、
前記固化判断工程では、前記反射光の光量を用いて固化状態を判断することを特徴とする乾燥方法。
【請求項4】
請求項2に記載の乾燥方法であって、
前記検出工程では、前記正反射する光の検出に加え、
前記液状体からの前記反射光の内、前記正反射する光以外の光の少なくとも一部を検出し、
前記固化判断工程では、前記正反射する光の光量と、前記正反射する光以外の光の光量とを用いて固化状態を判断することを特徴とする乾燥方法。
【請求項5】
請求項1に記載の乾燥方法であって、
前記隔壁形成工程では、複数の前記塗布領域を形成し、
前記塗布工程では、複数の前記塗布領域に異なる量の前記液状体を塗布し、
前記検出工程では、複数の前記塗布領域における前記反射光の光量を検出し、
前記固化判断工程では、複数の前記反射光の光量を用いて前記液状体の固化状態を判断することを特徴とする乾燥方法。
【請求項6】
請求項5に記載の乾燥方法であって、
異なる量の前記液状体が塗布された前記塗布領域が混在して配置されることを特徴とする乾燥方法。
【請求項7】
請求項5に記載の乾燥方法であって、
複数配置された前記塗布領域の内側に比べて、外側の前記塗布領域に大きい量の前記液状体が塗布されることを特徴とする乾燥方法。
【請求項8】
請求項5に記載の乾燥方法であって、
複数の前記塗布領域の内、少なくとも一部の前記塗布領域において、前記塗布領域の面積及び前記隔壁部の高さが略同じに形成されていることを特徴とする乾燥方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の乾燥方法であって、
前記固化工程は固化条件調整工程を有し、
前記固化条件調整工程では、前記固化判断工程で判断した固化状態に応じて、
前記液状体の周囲を流動する気流の速度と、前記液状体の周囲の気圧との内少なくとも一方を調整することを特徴とする乾燥方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の乾燥方法であって、
前記固化判断工程は前記固化工程を終了する判断を行うことを特徴とする乾燥方法。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の乾燥方法であって、
前記固化工程では、前記液状体が固化する時間を測定し、
前記液状体が固化する時間を用いて保守を行う判断をする保守要否判断工程を備えることを特徴とする乾燥方法。
【請求項12】
請求項1に記載の乾燥方法であって、
前記検出工程において、前記液状体に照射する光は間欠照射されることを特徴とする乾燥方法。
【請求項13】
請求項1に記載の乾燥方法であって、
前記固化工程では、前記液状体の周囲に気流を形成し、
前記検出工程では、前記気流の流速の早い場所に位置する前記塗布領域に光を照射し、前記液状体からの前記反射光の光量を検出することを特徴とする乾燥方法。
【請求項14】
請求項1に記載の乾燥方法であって、
前記固化工程では、前記液状体の周囲に気流を形成し、
前記固化工程は固化条件調整工程を有し、
前記検出工程では、複数の前記塗布領域に光を照射し、前記液状体からの前記反射光の光量を検出し、
前記固化判断工程では、複数の前記塗布領域における固化状態を判断し、
前記固化条件調整工程では、前記固化判断工程で判断した固化状態に応じて、
複数の前記塗布領域の速度分布を調整することを特徴とする乾燥方法。
【請求項15】
請求項1に記載の乾燥方法であって、
前記検出工程では、前記液状体からの前記反射光の内、正反射する光を検出し、
前記固化判断工程では、光量と閾値とを比較して固化状態を判断することを特徴とする乾燥方法。
【請求項16】
基板の塗布領域に塗布された液状体を乾燥することにより固化して膜を形成する乾燥装置であって、
前記液状体に対して斜め方向から光を照射する照射部と、
前記液状体からの反射光の光量を検出する検出部と、
前記反射光の光量を用いて前記液状体の固化状態を判断する固化判断部とを有することを特徴とする乾燥装置。
【請求項17】
請求項16に記載の乾燥装置であって、
前記照射部は、略平行に進行する光を照射し、
前記検出部は、前記液状体からの前記反射光の内、正反射する光を検出し、
前記固化判断部は、光量が増加した後減少するときの変化点を用いて固化状態を判断することを特徴とする乾燥装置。
【請求項18】
請求項16に記載の乾燥装置であって、
前記検出部は、前記液状体からの前記反射光の内、正反射する光以外の光の少なくとも一部を検出し、
前記固化判断部は、光量を用いて固化状態を判断することを特徴とする乾燥装置。
【請求項19】
請求項17に記載の乾燥装置であって、
前記検出部は、前記正反射する光の検出に加え、
前記液状体からの前記反射光の内、前記正反射する光以外の光の少なくとも一部を検出し、
前記固化判断部は、前記正反射する光の光量と、前記正反射する光以外の光の光量とを用いて固化状態を判断することを特徴とする乾燥装置。
【請求項20】
請求項16〜19のいずれか一項に記載の乾燥装置であって、
前記塗布領域の周囲に気流を形成する送風部と、
前記送風部を制御して前記気流の速度を調整する固化条件調整部とを有し、
前記固化条件調整部は、前記固化判断部が判断した固化状態に応じて、
前記液状体の周囲を流動する前記気流の速度を調整することを特徴とする乾燥装置。
【請求項21】
請求項16〜19のいずれか一項に記載の乾燥装置であって、
前記基板を内部に配置する乾燥室と、
前記乾燥室内の気圧を減圧する減圧部と、
前記減圧部を制御して前記気圧を調整する固化条件調整部とを有し、
前記固化条件調整部は、前記固化判断部が判断した固化状態に応じて、
前記乾燥室内の前記気圧を調整することを特徴とする乾燥装置。
【請求項22】
請求項16に記載の乾燥装置であって、
前記照射部は前記基板と異なる場所に塗布された液状体に対して斜め方向から光を照射し、
前記検出部は前記基板と異なる場所に塗布された前記液状体からの前記反射光の光量を検出することを特徴とする乾燥装置。
【請求項23】
請求項16又は21に記載の乾燥装置であって、
前記検出部は複数の光検出素子が広い範囲に配置されていることを特徴とする乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−76228(P2009−76228A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241909(P2007−241909)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】