二次電池
【課題】薄型化に伴う強度不足を解消し、また製造が容易な二次電池を提供する。
【解決手段】正極、負極及び電解質を包装体23に収納するとともに、正極及び負極からそれぞれ正極端子21及び負極端子22が包装体23の一側面より導出されたバッテリーセル3と、バッテリーセル3の挿入方向両端側に開口部5,7が形成され、正極端子21及び負極端子22が導出された一側面を一方の開口部5側に向けてバッテリーセル3を収納する金属製のバッテリー缶2と、バッテリー缶2の両開口部5,7を閉塞する合成樹脂からなる一対の蓋体4,8とを備え、少なくとも正極端子21及び負極端子22が導出された一側面が向けられた一方の開口部5を閉塞する一方の蓋体4には、正極端子21及び負極端子22が接続されるとともに外方に臨まされることにより電子機器の電極と接続される正極端子部37及び負極端子部38が設けられている。
【解決手段】正極、負極及び電解質を包装体23に収納するとともに、正極及び負極からそれぞれ正極端子21及び負極端子22が包装体23の一側面より導出されたバッテリーセル3と、バッテリーセル3の挿入方向両端側に開口部5,7が形成され、正極端子21及び負極端子22が導出された一側面を一方の開口部5側に向けてバッテリーセル3を収納する金属製のバッテリー缶2と、バッテリー缶2の両開口部5,7を閉塞する合成樹脂からなる一対の蓋体4,8とを備え、少なくとも正極端子21及び負極端子22が導出された一側面が向けられた一方の開口部5を閉塞する一方の蓋体4には、正極端子21及び負極端子22が接続されるとともに外方に臨まされることにより電子機器の電極と接続される正極端子部37及び負極端子部38が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池やリチウムポリマー二次電池といった包装体の内部に発電要素となる電極体が収容され、該電極体が発生する電力を正負一対の電極端子から外部に取り出す二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型パソコン等の情報機器や携帯電話等の移動通信機器、ビデオカメラ等、携帯型電子機器の需要が急増している。このような電子機器の電源として、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の密閉式小形二次電池が多く使用されており、その中でもリチウムイオン二次電池は高電圧、高エネルギー密度、軽量といった特性が活かされ、多種多様な分野で採用されている。
【0003】
特に、液系電解液を用いた場合に問題となる液漏れの対応策として、例えば、電解質として、ポリマーに非水電解液を含浸させてなるゲル状高分子膜を用いたもの、或いは全固体状の電解質を用いた、いわゆるポリマーリチウムイオン二次電池が提案されている。
【0004】
このようなポリマーリチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度、軽量といった電池特性に加え、電池形状の自由度が高い特性を生かして、近年の各種電子機器における小型化、軽量化、薄型化といった需要に応えるべく、さらなる開発が進められているところである。
【0005】
このような電池は、通常、例えば図39に示すように、電池素子がラミネートされてなる単セル301が、保護回路や端子を備えた接続基板302とともに、上下一対のプラスチックケース303,304の内部に収納されて、電池パック300とされている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−8606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電池本体の小型化、軽量化、薄型化を図るとともに、これに伴う強度不足を解消し、また製造が容易な二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明にかかる二次電池は、電子機器に収納されることにより該電子機器に電力を供給する電子機器用の二次電池において、正極、負極及び電解質を包装体に収納するとともに、上記正極及び負極からそれぞれ正極端子及び負極端子が上記包装体の一側面より導出されたバッテリーセルと、上記バッテリーセルの挿入方向両端側に開口部が形成され、上記正極端子及び負極端子が導出された一側面を一方の上記開口部側に向けて上記バッテリーセルを収納する金属製のバッテリー缶と、上記バッテリー缶の両開口部を閉塞する合成樹脂からなる一対の蓋体とを備え、少なくとも上記正極端子及び負極端子が導出された一側面が向けられた一方の上記開口部を閉塞する一方の蓋体には、上記正極端子及び負極端子が接続されるとともに外方に臨まされることにより上記電子機器の電極と接続される正極端子部及び負極端子部が設けられているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる二次電池は、バッテリーセルの挿入方向両端が開口された金属製のバッテリー缶に合成樹脂からなる一対の蓋体を組み付けることにより製造されるものであるため、バッテリー缶2の製造が容易で、かつバッテリーセルの形状に応じた任意の長さで切断することにより形成でき設計の自由度を向上することができる。また、金属製のバッテリー缶を用いることで、薄型化と強度確保を同時に実現することができ、電子機器の小型化、薄型化、軽量化といった要請に応ずることができる二次電池を提供することができる。
【0010】
また、合成樹脂製の蓋体を用いるため、二次電池を電子機器の電池装着部に取り付ける際の取付端となる外形形状を容易に形成することができ、この外形形状によって、電池容量や急速充電の可否、残量表示機能の有無といった機能や属性を識別するための識別部や、非対応の電子機器に対して装着を規制する規制部として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明が適用された二次電池について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明が適用された二次電池1は、例えばポリマーリチウムイオン二次電池であり、図1(a)及び図1(b)に示すように、各種電子機器、例えばデジタルスチルカメラ10等の電子機器に用いられる。具体的に、二次電池1は、図1に示すデジタルスチルカメラ10のグリップ部11内部に設けられた電池収容部12内に収容されることにより、このデジタルスチルカメラ10に駆動電力を供給する。電池収容部12は、二次電池1の形状に応じて略扁平の凹部からなり、デジタルスチルカメラ10の底面部13に回動自在に設けられた電池蓋14が開放されることにより外方に臨まされる。また電池収容部12は、底部に後述する二次電池1に設けられた電極端子部37,38と接触される収容部電極が形成されている。そして、二次電池1は、電極端子部37,38が設けられた端面を挿入端として電池収容部12内に収容されることにより、収容部電極と接続され、デジタルスチルカメラ10に電力を供給する。なお、かかる電池収容部12には、二次電池1を電池収容部12から排出させるための付勢部材(図示せず)と、該付勢部材の付勢力に対抗して二次電池1を電池収容部12内に係止する係止部材19が設けられている。この係止部材19については後述する。
【0012】
以下、かかる二次電池1について説明する。この二次電池1は、図2及び図3に示すように、略扁平状に形成された金属製のバッテリー缶2の第1の開口部5から、電極素子が包装されたバッテリーセル3が挿入されるとともに、バッテリーセル3から導出された正極端子及び負極端子が接続される端子部を備えた第1の電池蓋4によって第1の開口部5が閉塞され、また第1の開口部5と反対側の第2の開口部7が第2の電池蓋8によって閉塞されることにより形成されている。
【0013】
バッテリー缶2は、図3に示すように、略扁平状の立方体の相対向する両面が開放された金属性の筐体からなり、短辺側の稜が円弧状に形成された断面略台形状に形成されている。このバッテリー缶2は、図4に示すように、鉄等の金属板を断面略台形状の筒形に押し出し成形加工した後、バッテリーセル3の形状に応じた任意の長さで切断することによって、バッテリーセル3の挿入方向の両面に第1の開口部5及び第2の開口部7が形成された略扁平状の筒体に形成される。このバッテリー缶2は、壁の厚さが0.3mm程度とされることにより、バッテリーセル3の収納領域を除くと自身の厚みが極力抑えられた薄型形状をなし、同時に金属材料を用いることにより落下や振動等の各種衝撃、あるいは鋭利な刃物等に対する機械的強度を備え、バッテリーセル3の変形や穿孔等を防止することができる。
【0014】
第1の開口部5は、バッテリーセル3が挿入される挿入端とされ、バッテリーセル3の挿入後は、第1の電池蓋4によって閉塞される。このため、第1の開口部5の周囲には、第1の電池蓋4に突設された係合凸部47が係合する係合孔6が複数穿設されている。係合孔6には、第1の電池蓋4が第1の開口部5に挿入されると、第1の電池蓋4に突設された係合凸部47が撓みながら第1の開口部5内に進入し、係合される。これにより第1の電池蓋4がバッテリー缶2に組み付けられる。
【0015】
また第2の開口部7は、第1の開口部5と反対側に形成され、第2の電池蓋8によって閉塞される。このため第2の開口部7の周囲には、第2の電池蓋8に突設された係合凸部50が係合する係合孔9が複数穿設されている。係合孔9には、第2の電池蓋8が第2の開口部7に挿入されると、第2の電池蓋8に突設された係合凸部50が撓みながら第2の開口部7内に進入し、係合される。これにより第2の電池蓋8がバッテリー缶2に組み付けられる。
【0016】
図5に示すように、二次電池1は、バッテリー缶2とともにこの二次電池1が装着される電池収容部12の形状が、短辺側の稜が円弧状に形成された断面略台形状とされることにより、デジタルスチルカメラ10の電池収容部12内への挿入面が規定され、誤挿入を防止することができる。すなわち、図5(a)に示すように、二次電池1の挿入面が正しい場合には、電池収容部12の短辺側の辺と二次電池1の短辺側の主面の形状が合致し、スムーズに挿入することができる。一方、図5(b)に示すように、二次電池1の挿入面が反対の場合、電池収容部12の短辺側に形成された円弧状の稜によって、二次電池1の長辺側の角形の稜が干渉され、挿入が規制される。これにより挿入面が裏表逆の場合に、電池収容部12への挿入を防止するとともに、使用者は容易に挿入面の正否を確認することができる。
【0017】
また、バッテリー缶2には、第2の開口部7が第2の電池蓋8によって閉塞され、かつ、第1の電池蓋4と接続されたバッテリーセル3が挿入され第1の電池蓋4によって第1の開口部5が閉塞された後、絶縁性を有する外装ラベル15が貼着される。外装ラベル15は、二次電池1の化粧ラベルとなるほか、金属製のバッテリー缶2の絶縁を図るためのものである。外装ラベル15は、図3に示すように、略矩形状に形成され、バッテリー缶2の外周を巻回される。このとき、外装ラベル15は、バッテリー缶2が平坦に形成されているため、電池素子20を包装してなるバッテリーセル3の表面に直接貼着する場合よりも貼付作業が容易であり、かつ剥がれにくくなる。
【0018】
なお、バッテリー缶2の長辺側の主面部には二次電池1の各種情報が記載された情報ラベル16が貼着される。
【0019】
次いで、かかるバッテリー缶2に収納されるバッテリーセル3について説明する。図3及び図7に示すように、バッテリーセル3は、帯状の正極と、帯状の負極とが、ポリマー電解質層及び/又はセパレータを介して積層され、長手方向に巻回された電池素子20が包装体23に包装され、正極及び負極から、それぞれ正極端子21と負極端子22とが外部に導出されている。
【0020】
正極は、帯状の正極集電体上に正極活物質層が形成されてなり、さらに正極活物質層上にポリマー電解質層が形成されている。また、負極は、帯状の負極集電体上に負極活物質層が形成されてなり、さらに負極活物質層上にポリマー電解質層が形成されている。正極端子21及び負極端子22は、それぞれ正極集電体及び負極集電体に接合されている。また正極端子21はアルミニウム(Al)からなり、負極端子22はニッケル(Ni)を用いて形成される。これら正極端子21及び負極端子22は、後述する第1の電池蓋4に保持されている正極タブ31及び負極タブ32にそれぞれ接続され、これら正極タブ31及び負極タブ32を介して同じく第1の電池蓋4に設けられている正極端子板33及び負極端子板34と連結される。
【0021】
正極は、目的とする電池の種類に応じて、金属酸化物、金属硫化物または特定の高分子を正極活物質として用いて構成することができる。例えばリチウムイオン電池を構成する場合、正極活物質としては、LixMO2(式中Mは一種以上の遷移金属を表し、xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05以上1.10以下である。)を主体とするリチウム複合酸化物等を使用することができる。このリチウム複合酸化物を構成する遷移金属Mとしては、Co,Ni,Mn等が好ましい。このようなリチウム複合酸化物の具体例としてはLiCoO2,LiNiO2,LiNiyCo1−yO2(式中、0<y<1である。)、LiMn2O4等を挙げることができる。これらリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度的に優れた正極活物質となる。また、正極活物質としてTiS2、MoS2、NbSe2,V2O5等のリチウムを含有しない金属硫化物あるいは酸化物を用いることもできる。正極には、これらの正極活物質の複数種を併せて使用してもよい。また、以上のような正極活物質を使用して正極を形成するに際して、公知の導電剤や結着剤等を添加することができる。
【0022】
負極材料としては、リチウムをドープ、脱ドープできる材料を使用することができる。例えば、難黒鉛化炭素系材料や黒鉛系材料の炭素材料を使用することができる。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス)、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等の炭素材料を使用することができる。このほか、リチウムをドープ、脱ドープできる材料としては、ポリアセチレン、ポリピロール等の高分子やSnO2等の酸化物を使用することもできる。このような材料から負極を形成するに際しては、公知の結着剤等を添加することができる。
【0023】
ポリマー電解質は、高分子材料と電解液と電解質塩とを混合してゲル状化した電解質をポリマー中に取り込んでなる。高分子材料は、電解液に相溶する性質を有し、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリフォスファゼン変性ポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、及びこれらの複合ポリマーや架橋ポリマー、変性ポリマー等、若しくはフッ素系ポリマーとして、例えばポリ(ビニリデンフルオロライド)、ポリ(ビニリデンフルオロライド−co−テトラフルオロサフルオロプロピレン)、或いはポリ(ビニリデンフルオロライド−co−トリフルオロエチレン)等の高分子材料、及びこれらの混合物が各種使用される。
【0024】
電解液成分は、上述した高分子材料を分散可能とし、非プロトン性溶媒として例えばエチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)或いはブチレンカーボネート(BC)等が用いられる。電解質塩には、溶剤に相溶するものが用いられ、カチオンとアニオンとが組み合わされてなる。カチオンには、アルカリ金属やアルカリ土類金属が用いられる。アニオンには、Cl−、Br−、I−、SCN−、ClO4−、BF4−、PF6−、CF3SO3−等が用いられる。電解質塩には、具体的には六フッ化リン酸リチウムや四フッ化ホウ酸リチウムが、電解液に対して溶解可能な濃度で用いられる。
【0025】
このような電池素子20をその内部に収納する包装体23は、図7に示すように、電池素子が収納される収納凹部25が予め複数配列された略長方形状の収納シート24と、電池素子20が収納された収納シート24上から溶着され、各収納凹部25を密閉する密閉シート26とを有するセル集合体27を、各電池素子20毎に切断することにより形成される。
【0026】
収納シート24は、収納凹部25が所定幅の糊代28を隔てて複数配列され、長尺に形成されている。収納凹部25は、電池素子20の形状に応じて略矩形状に形成されている。また、収納凹部25の配列方向は、図7に示すような短辺方向に限らず、長辺方向、あるいは縦横に配列させてもよい。各収納凹部25を隔てる糊代28は、収納凹部25を密閉する密閉シート26の接合面となる。そして、図7中矢印Aで示すように、各収納凹部25に電池素子20がそれぞれ収納されると、糊代28に密閉シート26が熱溶着され、電池素子20が集積されたセル集合体27が形成される。
【0027】
なお、このとき密閉シート26との接合部からは、正極及び負極から延長された正極端子21及び負極端子22が同一方向に導出される。また、このとき、減圧ポンプ(図示せず)を用いて、溶着と同時に減圧も行う。この吸引される力により、電池素子20が、収納シート24と密閉シート26とで覆われて収納凹部25内に密閉される。また収納凹部25内を吸引することにより電池素子20を収納する包装体23が引き絞られて、電池素子20の形状に応じて、収納凹部25の底面側である第2の面側が小さく、開口側である第1の面側が大きい、短辺側の稜が円弧状に形成された断面略台形形状となる。
【0028】
また、バッテリーセル3は、電池素子20と収納シート24の間にクリアランスが設けられ、電池素子20が収納凹部25の側面に押しつけられないようになされている。そして、収納シート24と密閉シート26とが引き絞られながら密閉されることにより、このクリアランスの分、バッテリーセル3の正極端子21及び負極端子22の導出面3aと反対側の面3bには凹部29が形成される(図6参照)。また、収納シート24と密閉シート26との密閉後、各バッテリーセル3は、プレスすることにより密閉シート26側の主面が平坦に形成される。その後、セル集合体27は、糊代28に沿って切断されることにより、電池素子20を密封した包装体23毎に分離され、バッテリーセル3が形成される。
【0029】
なお、バッテリーセル3は、セル集合体27形成し、これを糊代28に沿って切断して形成する以外に、予め個々のバッテリーセル毎に裁断された収納シートに電池素子20を収納し、同様に個々のバッテリーセル毎に裁断された密閉シートを接合させて形成するようにしてもよい。
【0030】
包装体23を構成する収納シート24及び密閉シート26は、図8に示すように、内側から順にポリプロピレン(PP)層52、アルミニウム(Al)層53、ナイロン層54がこの順に積層された積層構造を有する。ここで、アルミニウム層53は包装体23内部への水分の浸入を防止し、電池素子20の膨張を防ぐために用いられる。またポリプロピレン層52は、ポリマー電解質の変質を防ぐとともに、収納シート24及び密閉シート26の接合面となる。すなわち、収納シート24及び密閉シート26を接合する際には、このポリプロピレン層52同士を対向させて約170℃で熱融着することにより行う。
【0031】
なお、包装体23の構成は、これに限定されるものではなく、各種材料及び積層構造を有するラミネートフィルム等を用いることができる。また、その接合方法も熱溶着に限定されるものではない。包装体23の構成材料としては、例えば、アルミニウム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、無軸延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン、アイオノマー、ON等が挙げられる。
【0032】
かかるバッテリーセル3の同一側面から導出されている正極端子21及び負極端子22と接続される端子部を有するとともに、バッテリー缶2の第1の開口部5を閉塞する第1の電池蓋4は、図3に示すように、正極端子21及び負極端子22が接続される正極タブ31及び負極タブ32を挿通保持するホルダ30と、正極タブ31及び負極タブ32と接続される正極端子板33及び負極端子板34を備える基板35と、基板35をホルダ30との間で挟持するとともにバッテリー缶2の第1の開口部5と係合されるトップカバー36とから構成されこれらホルダ30、基板35及びトップカバー36が一体に組み付けられることにより製造される。
【0033】
ホルダ30は、基板35を介してトップカバー36と連結されることにより基板35を挟持するものであり、これにより正極端子部37及び負極端子部38にかかる押圧力をトップカバー36とともに受けて、過剰な負荷が正極端子部37及び負極端子部38にかかることを防止する。このホルダ30は、合成樹脂によりバッテリー缶2の第1の開口部5と略同一形状にモールド成形された、短辺側の稜が円弧状に形成された略台形平板状の部品である。このホルダ30は、短辺側の側面近傍に、正極タブ31及び負極タブ32が挿通される一対の挿通孔41,42が形成され、これら挿通孔41,42に正極タブ31及び負極タブ32を挿通、保持することにより、正極タブ31及び負極タブ32の位置決めを図るとともに、二次電池1の落下や振動等に伴う位置ずれ等を防止している。したがって、正極タブ31及び負極タブ32は、落下や振動等に伴う位置ずれにより正極端子21及び負極端子22との溶接が外れてしまう事態を防止することができる。
【0034】
正極タブ31及び負極タブ32は、バッテリーセル3から導出されている正極端子21及び負極端子22を、二次電池1の電極端子となる基板35に設けられた正極端子板33及び負極端子板34に接続するためのものであり、ホルダ30に挿通支持されることにより、一端31a,32aがバッテリーセル3側に延設され、他端31b,32bが基板35側に延設されて保持されている。これら正極タブ31及び負極タブ32は、ニッケル(Ni)が用いられることにより、一端31a,32aを正極端子21及び負極端子22の上に配設され、他端31b,32bを基板35上に設けられた正極端子板33及び負極端子板34の上に配設された後、スポット溶接によって4点を一括して接合される。これは、正極端子21がアルミ(Al)を用いて形成されているため、正極端子21を直接正極端子板33に溶接すると、アルミが熔解してしまい接続することができない。したがって、正極タブ31及び負極タブ32を介して、これらの上から溶接することにより正極端子21と正極端子板33とを、また負極端子22と負極端子板34とを接続させている。
【0035】
また正極タブ31及び負極タブ32の各一端31a,32aは、図9に示すように、正極端子21及び負極端子22と当接される当接面と反対側の面に向かって先端の辺が折り曲げられる折曲げ部39,40が形成されている。折曲げ部39,40は、図10に示すように、正極タブ31及び負極タブ32の厚さが0.1mmであるのに対して、先端までの高さが0.3mm程度まで折り曲げられている。これにより正極タブ31及び負極タブ32は、先端の辺が折り曲げられることにより円弧状に立ち上げられ、後述するように正極端子21及び負極端子22と接合された後、この接合部45が折り曲げられることにより、先端と正極端子21及び負極端子22とが接触した場合にも、先端の辺によって正極端子21及び負極端子22を損傷させ、あるいは切断してしまう事態を防止することができる。
【0036】
なお負極タブ32には、バッテリー缶2に帯電した電荷を流すアース43が接続されている。アース43は、ホルダ30に支持されることにより一端を負極タブ32に接続され、他端をバッテリー缶2の内面に当接可能とされている。これにより、金属製のバッテリー缶2に電荷が帯電した場合にも、アース43を通じて負極タブ32に落とし込むことができ、バッテリー缶2に帯電した電荷によって二次電池1内のマイコンや二次電池1を装着する電子機器に誤動作等を引き起こす恐れがない。なお、アースは、基板35に接触させ、基板35を介して負極タブ32に電荷を落としてもよい。
【0037】
またホルダ30の上下面30a,30bには、トップカバー36に設けられた連結孔46に挿通係合する連結突起44が長手方向に亘って断続的に複数形成されている。ホルダ30は、この連結突起44が連結孔46に係合することによってトップカバー36と連結され、基板35を挟持する。
【0038】
基板35は、バッテリーセル3から流れる電流を正極端子板33及び負極端子板34を介して電子機器に供給する回路パターンが形成されたリジット基板であり、正極タブ31及び負極タブ32の他端31b,32bと溶接される正極端子板33及び負極端子板34とが実装されている。かかる正極端子板33及び負極端子板34は、実装面と反対側の面に形成された正極端子部37及び負極端子部38と接続されている。そして基板35は、この正極端子部37及び負極端子部38がトップカバー36に設けられた端子孔48を介して外方に臨まされ、デジタルスチルカメラ10や充電器側に設けられた電極端子に接触される。
【0039】
正極端子部37及び負極端子部38は、二次電池1の機能に応じて配置を異ならせて形成されている。これは、各種電子機器に用いられる二次電池1においては、バッテリー缶2や第1の電池蓋4といった外形においては同一形状を有していながら、使用される電子機器に応じて電池容量を異ならせたり、対応可能な電子機器を異ならせることにより、互換性を有しないものとして複数種類の二次電池1が提供されることがある。また、LED表示部や液晶表示部といった残量表示部及び残量表示ボタンを備え、これにより残量表示機能を持たせたタイプと、かかる残量表示機能を持たないタイプ、あるいは急速充電が可能なタイプと不可能なタイプといった機能に違いを持つ複数の二次電池1が提供されることがある。
【0040】
しかし、二次電池1の外形はいずれの機能を持つタイプにおいても同一であるため、被対応の電子機器に装着されるおそれがある。そこで、機能別に正極端子部37及び負極端子部38の配置を異ならせるとともに、対応する電子機器の電極端子の配置を同様に異ならせることで、二次電池の誤装着によるトラブルを防止することが可能となる。
【0041】
具体的に、正極端子部37及び負極端子部38は、機能別に略点対称の位置に配設される。例えば図11(a)に示す電池容量が760mAhのタイプの二次電池1Aと、図11(b)に示すより高容量化した830mAhのタイプの二次電池1Bとでは、正極端子部37及び負極端子部38の配置が180°回転された略点対称の配置とされる。なお、かかる正極端子部37及び負極端子部38の配置は、図12(a)及び図12(b)に示すように、機能別に左右対称としてもよく、また、適宜、略点対称な配置形状は選択することができる。
【0042】
以上のように二次電池1の機能に応じて正極端子部37及び負極端子部38の配置を異ならせるとともに、当該機能に対応した電子機器の電極端子の配置も異ならせることで、当該二次電池1が非対応の電子機器に装着された場合にも、電子機器側の電極端子と二次電池1側の電極端子とが接触することがないため、非対応の二次電池1が装着されることによるトラブルを防止することができる。
【0043】
この基板35は、絶縁基板に貼着された銅箔をエッチングする等により回路パターン、及びランドが形成され、ランド上に正極端子板33及び負極端子板34がリフローはんだ付けされることにより実装される。正極端子板33及び負極端子板34は、上述したように、正極端子21及び負極端子22とともに正極タブ31及び負極タブ32にそれぞれ溶接される。また正極端子部37、負極端子部38は、所定箇所に形成されたランド上に金メッキ等されることにより形成される。
【0044】
なお、基板35は、必要に応じて、二次電池1の温度を検出して充電制御や安全制御などを行うためのPTC(Positive Temperature Coeffcient)等の熱感応素子を設けてもよい。熱感応素子を備えることにより、二次電池1は、温度上昇したときに入出力回路を遮断、制御することができる。
【0045】
この基板35をホルダ30と共に挟持するトップカバー36は、合成樹脂によりバッテリー缶2の第1の開口部5と略同一形状にモールド成形された短辺側の稜が円弧状に形成された略台形平板状の部品であり、第1の開口部5と隙間無く係合可能とされている。このトップカバー36は、短辺側となる上面36a及び長辺側となる下面36bに上記ホルダ30に突設された連結突起44が挿通係合する連結孔46が、連結突起44に対応して断続的に複数形成されている。またトップカバー36は、上面36a及び下面36bにバッテリー缶2の第1の開口部5の周囲に形成された係合孔6に係合される係合凸部47が断続的に複数形成されている。そしてトップカバー36は、上面36a及び下面36bがやや撓みながら第1の開口部5よりバッテリー缶2内に挿入されることにより、この係合凸部47が係合孔6に係合され、バッテリー缶2に組み付けられる。
【0046】
またトップカバー36は、前面36cに基板35に形成された正極端子部37及び負極端子部38を外方に臨ませる端子孔48が穿設され、この端子孔48を介してデジタルスチルカメラ10等の電子機器や充電器側の電極端子と正極端子部37及び負極端子部38とを接触させる。なお端子孔48は、基板35に形成された端子部に応じて例えば三カ所設けられ、それぞれ正極端子用、負極端子用、その他電池残量等の情報端子用とすることができる。なお端子孔48の数は、基板35に設けられた端子部に応じて適宜増減することができる。
【0047】
このトップカバー36は、ホルダ30に保持された正極タブ31及び負極タブ32を介してバッテリーセル3の正極端子21及び負極端子22と、基板35の正極端子板33及び負極端子板34とが接続された後、連結孔46にホルダ30の連結突起44が挿通されることにより、基板35を挟んでホルダ30と連結され、第1の電池蓋4が形成される。その後、第1の電池蓋4は、トップカバー36の係合凸部47がバッテリー缶2の第1の開口部5周辺に形成された係合孔6に係合することによってバッテリー缶2に組み付けられ、二次電池1が形成される。
【0048】
なお、トップカバー36は、図13に示すように、前面36cに電池収納部12とは別に電子機器の筐体に形成された電池装着部に外付けする場合や、充電器の電池装着部に装着させる場合に、電子機器や充電器の電池装着部に突設された係止突部78に係止される係止部49を形成するようにしてもよい。二次電池1は、図14に示すように、この係止部49を係止突部78に係止させた後、後述する第2の電池蓋8に形成された係止部55が係止部材51に係止されることによりバッテリー缶2を装着させる。かかる係止部49は、トップカバー36をモールド成型する際に容易に形成することができる。なお、図13(a)は、係止部49をトップカバー36の前面36c両端部に凹状に形成した例を示したものであり、図13(b)は、凹状の係止部49の両端を切り欠いた例を示したものである。また、図13(c)は、電池装着部に係止凹部を設け、二次電池1のトップカバー36に係止凹部に対応した形状を備える凸状の係止部49を形成した例を示すものである。
【0049】
なお、本明細書では、かかる二次電池1について、バッテリー缶2の短辺側主面を二次電池1の上面1aと、バッテリー缶2の長辺側の主面を二次電池1の下面1bと、トップカバー36の前面36cを二次電池1の前面1cといい、バッテリー缶2の底面部を二次電池1の背面1dという。
【0050】
次いで、バッテリーセル3の正極端子21及び負極端子22が導出された導出面3aと反対側の側面と対峙され、バッテリー缶2の第2の開口部7を閉塞する第2の電池蓋8について説明する。この第2の電池蓋8は、合成樹脂によりバッテリー缶2の第2の開口部7と略同一形状にモールド成形されることにより短辺側の稜が円弧状に形成された略台形平板状の部品であり、第2の開口部7と隙間無く係合可能とされている。
【0051】
また第2の電池蓋8は、上面8a及び下面8bにバッテリー缶2の第2の開口部7の周囲に形成された係合孔9に係合される係合凸部50が断続的に複数形成されている。そして第2の電池蓋8は、上面8a及び下面8bがやや撓みながら第2の開口部7よりバッテリー缶2内に挿入されることにより、この係合凸部50が係合孔9に係合され、バッテリー缶2に組み付けられる。これにより第2の電池蓋8は、バッテリー缶2の底面部を構成する。
【0052】
また第2の電池蓋8は、前面8dの一端部がデジタルスチルカメラ10の電池収容部12に設けられた係止部材19に係止される係止部とされている。すなわち、図15(a)及び図15(b)に示すように、前面8dは、バッテリー缶2をデジタルスチルカメラ10の電池収容部12内に保持する鉤状の係止部材19が係止される係止領域とされ、二次電池1の装着の際、係止部材19が係止される。これにより、付勢部材によって常時、電池収容部12の外方に向かって付勢されている二次電池1は、当該付勢力に対抗して電池収容部12内に係止される。また、二次電池1は、かかる係止部材19が前面8dから外れることにより、電池収容部12から排出される。
【0053】
また、二次電池1が挿入方向を誤って底面部からデジタルスチルカメラ10等の電子機器や充電器に装着された場合にも、正極端子部37及び負極端子部38の位置に対応して設けられたデジタルスチルカメラ10や充電器側の電極と二次電池1の底面部を構成する合成樹脂製の第2の電池蓋8とが接することとなるため、該底面部を金属製のバッテリー缶2にて一体に形成した二次電池と異なり、金属製のバッテリー缶が直に接することによるショートを防止することができる。
【0054】
また第2の電池蓋8は、バッテリーセル3がバッテリー缶2に挿入されることにより、後述する弾性部材60を介してバッテリーセル3の挿入端面3bと接着される。これにより、バッテリーセル3は、バッテリー缶2内に接着されるため、バッテリー缶2内におけるがたつきが防止される。また、二次電池1の落下や振動等によりバッテリーセル3に加わる衝撃を吸収することができ、また正極端子21及び負極端子22と正極タブ31及び負極タブ32との接合部45に過剰な負荷が加わることを防止することができる。
【0055】
なお、かかるバッテリー缶2の底面部を構成する第2の電池蓋8は、図16に示すように、電池収容部12とは別に電子機器の筐体に形成された電池装着部に外付けする場合や、充電器の電池装着部に装着させる場合に、図14に示すように、電子機器や充電器の電池装着部に突設された係止部材51に係止される係止部55を形成するようにしてもよい。
【0056】
この係止部55は、例えば長手方向に沿って略矩形状の凹部が形成されてなり、第2の電池蓋8をモールド成型する際に同時に形成される。そして係止部55は、図14(a)に示すように、例えば電子機器の外筐体に設けられた電池装着部に形成され、係止部55側に回動付勢された鉤状の係止部材51が係止される。なお、図16(a)は、第2の電池蓋8の長手方向の全長に亘って凹状の係止部55を形成した例を示す図であり、図16(b)は、第2の電池蓋8の長手方向の両端部に一対の係止部55,55を形成した例を示す図である。
【0057】
そして係止部55は、図14(b)及び図14(c)に示すように、上述した第1の電池蓋4に形成された係止部49が係止突部78に係止された後、バッテリー缶2の係止方向に回動付勢されている係止部材51に係止されることにより、二次電池1を電子機器等の筐体外部に外付けすることができる。これにより電子機器は、電池収容部に収容された二次電池1の他に、別個の二次電池1を容易に外付けすることができ、電子機器の使用時間を延長させることができる。
【0058】
かかる係止部55は、図16に示す例に限定されることなく適宜、任意の形状で形成できる。また、電池装着部側に凹状の係止部材を設け、第2の電池蓋8にこの係止部材に対応した形状を備える凸状の係止部55を形成するようにしてもよい。
【0059】
なお、この係止孔8は、図6に示すように、後述するバッテリーセル3の挿入端面3bに凹部29が発生することから、かかる凹部29に対応して形成されることにより、バッテリーセル3内に収納されている正極、負極及び電解質からなる電池素子20と干渉することなく形成される。
【0060】
次いで、かかる二次電池1の製造工程について図17を参照しながら説明する。先ず図17(a)に示すように、バッテリーセル3及び基板35を詳細を省略する治具に配設する。なお、このときバッテリーセル3は、セル集合体27の糊代28に沿って切断されるとともに、糊代28をバッテリーセル3の側面に沿って折り曲げて断面略台形状とされ、取扱い易くされるとともに、後述するようにバッテリー缶2内に収納された際に、折り曲げられた糊代28がバッテリー缶2の側面とバッテリーセル3との間に配されることにより緩衝部材として機能する。また基板35は、所定の回路パターン及び正極端子部37及び負極端子部38が形成されるとともに、正極端子板33及び負極端子板34がリフローはんだ付けされている。
【0061】
なお、バッテリーセル3は、セル集合体27形成し、これを糊代28に沿って切断して形成する以外に、個々のバッテリーセル毎に、電池素子20が収納された収納シートに密閉シートを接合させて形成するようにしてもよい。
【0062】
バッテリーセル3は、正極端子21及び負極端子22が導出された収納シート24と密閉シート26との接合面を上側に向けて、収納凹部25の底部を下側に向けるように配設される。すなわち略断面台形状のバッテリーセル3は、短辺側を下方に、正極端子21及び負極端子22が導出された長辺側を上方に向けて配設される。またバッテリーセル3は、正極端子21及び負極端子22が導出された導出面3aを基板35側に向けて配設される。基板35は、正極端子板33及び負極端子板34が実装された実装面を上側に向けるとともに、略台形状の短辺側をバッテリーセル3の導出面3a側に向けて配設される。
【0063】
次いで図17(b)に示すように、ホルダ30に正極タブ31及び負極タブ32を挿通孔41,42に挿通、保持する。またこのときアース43もホルダ30に装着する。次いで図17(c)に示すように、かかるホルダ30を治具に装着することにより、バッテリーセル3と基板35との間に配設する。ホルダ30は、正極タブ31及び負極タブ32を保持する略台形状の短辺側を下に向け、基板35の短辺と位置合わせされる。またホルダ30は、バッテリーセル3の正極端子21の上に正極タブ31の一端31aが重ねられ、負極端子22の上に負極タブ32の一端32aが重ねられる。また基板35の正極端子板33の上に正極タブ31の他端31bが重ねられ、負極端子板34の上に負極タブ32の他端32bが重ねられる。これによりバッテリーセル3の正極端子21及び負極端子22、ホルダ30の正極タブ31及び負極タブ32、基板35の正極端子板33及び負極端子板34は、略同一平面上に載置されることとなる(図18参照)。
【0064】
次いで、正極タブ31の一端31a及び他端31b、負極タブ32の一端32a及び他端32bの各上から4カ所を溶接することにより、バッテリーセル3の正極端子21と正極タブ31の一端31aとを、また、負極端子22と負極タブ32の一端32aとを、また、基板35の正極端子板33と正極タブ31の他端31bとを、また負極端子板34と負極タブ32の他端32bとを、各接合させる。ここで、正極端子21はアルミ(Al)が用いられているが、ニッケル製の正極タブ31の上から溶接されるため、熱によって溶け出すことなく確実に接合することができる。
【0065】
次いで図17(d)に示すように、基板35を立ち上げることによりホルダ30と重ねる。このとき、ホルダ30に保持されている正極タブ31及び負極タブ32の各他端31b,32bは、挿通孔41,42より基板35側に突出する基端部が基板35の立ち上がり方向に沿って折り曲げられる。
【0066】
次いで図17(e)に示すように、正極端子21及び負極端子22と正極タブ31の一端31a及び負極タブ32の一端32aとの接合部45を覆うように、絶縁紙59が貼り付けられる。絶縁紙59は、正負極端子21,22と正負極タブ31,32との接合部45を補強するとともに、金属製のバッテリー缶2と接合部45との接触によるショートや、正極タブ31及び負極タブ32の変形による正極、負極間のショートを防止するためのものである。絶縁紙59は一面側に接着層が形成され、図17(f)に示すように接合部45を挟んで折り曲げられ接着層同士を張り合わせることにより貼り付けられる。
【0067】
次いで図17(g)に示すように、ホルダ30とトップカバー36とを連結することにより第1の電池蓋4を形成する。その後、図17(h)及び図9に示すように、バッテリーセル3の導出面3aと、第1の電池蓋4とが相対向するように絶縁紙59が貼り付けられた正極端子21及び負極端子22と正極タブ31及び負極タブ32との接合部45を略S字状に折り曲げる。このように接合部45を湾曲させた状態でバッテリー缶2に収納することにより、落下や振動等によってバッテリーセル3と第1の電池蓋4との間に衝撃が加わった場合にも、略S字状に折り曲げ収納された接合部45によって衝撃の負荷が吸収され、正極端子21及び負極端子22と、正極タブ31及び負極タブ32とが外れたり切断したりすることを防止することができる(図9(a)及び図9(b)参照)。
【0068】
次いで、図17(i)に示すように、バッテリーセル3は、バッテリー缶2への挿入端面3bに、やや厚みを有し両面に接着剤層が形成された弾性部材60を貼着する。この弾性部材60は、バッテリーセル3をバッテリー缶2内に固定してがたつきを防止するとともに、バッテリーセル3に加わる衝撃を吸収するものであり、例えば基材としてウレタンフォームを用いた両面テープ等である。バッテリーセル3の挿入端面3bは平坦に形成されず形状にばらつきが生じやすい面であるが、弾性部材60によってばらつきを吸収し、バッテリーセル3をバッテリー缶2内に確実に接着することができる。また、弾性部材60は、落下や振動等によりバッテリーセル3に加わる衝撃を吸収することができ、あるいはバッテリーセル3の熱膨張による接合部45への負荷を軽減させることができ、上述した絶縁紙59とともに、正極端子21及び負極端子22と正極タブ31及び負極タブ32とが外れることを防止することができる。
【0069】
この弾性部材60はバッテリーセル3の挿入端面3bの形状に応じて略矩形状に形成されるとともに、長手方向の両端部にバッテリーセル3の側面に沿って配設されることによりバッテリーセル3の糊代28をバッテリー缶2から絶縁する絶縁フィルム61が貼着されている。すなわち、バッテリーセル3の包装体23を構成する収納シート24及び密閉シート26は、上述したように、内側から順にポリプロピレン(PP)層52、アルミニウム(Al)層53、ナイロン層54がこの順に積層されたシートであり、糊代28に沿って切断されると、この切断面にはシートを構成する各層が外部に露呈する。このうち、アルミニウム層53が金属製のバッテリー缶2に直に接触しているとすると、バッテリー缶2が帯電した場合、アルミニウム層53が負極となり、更にポリプロピレン層52に何らかの原因で孔があくと、アルミニウム層53が電触により孔があく。そして、かかる包装体23の孔から水分が浸入することでバッテリーセル3が膨張してしまうおそれがある。そこで、絶縁フィルム61をバッテリーセル3の切断面に沿って配設させることによりバッテリー缶2と包装体23の切断面との絶縁を図り、電池素子20の吸湿によるバッテリーセル3の膨張を防止することとしている。
【0070】
この絶縁フィルム61は、バッテリーセル3の側面に応じた形成された長尺状のフィルムであり、一端を弾性部材60の各端部に貼着されている。この絶縁フィルム61は、バッテリーセル3が挿入端面3bよりバッテリー缶2内に挿入されると、図19及び図20に示すように、バッテリー缶2の第1の開口部5の側縁部によってバッテリーセル3の側面に沿って折り曲げられ、バッテリーセル3の側面に折り曲げられている糊代28の切断面とバッテリー缶2の側面との間に隙間なく配設される。これにより糊代28の切断面に露呈するアルミニウム層53とバッテリー缶2との接触を防止することができる。
【0071】
次いで図17(j)に示すように、バッテリーセル3をバッテリー缶2内に挿入し、第1の電池蓋4によってバッテリー缶2の第1の開口部5を閉塞する。このとき、バッテリー缶2には、予め第2の開口部7に第2の電池蓋8が組み付けられている。バッテリーセル3は、断面略台形状の短辺側と長辺側を、同じく断面略台形状に形成されたバッテリー缶2の短辺側と長辺側と合わせて挿入する。これにより、バッテリー缶2内のスペースを有効に活用でき、バッテリー缶2とバッテリーセル3との間には所定のクリアランスが設けられる。このクリアランスは、図21(a)〜(c)に示すように、バッテリーセル3が熱等によって膨張した場合のマージンとなり、バッテリーセル3の膨張に伴う接合部45への過剰な負荷や、バッテリー缶2の変形を避けることができる。なお、図21(a)は、バッテリーセル3の両主面が均等に膨張した場合を示し、図21(b)及び(c)は、バッテリーセル3の両主面が不均等に膨張した場合を模式的に示している。
【0072】
また、バッテリーセル3の向きを逆にした場合には、バッテリーセル3の長辺側の稜がバッテリー缶2の短辺側に形成された円弧状の稜と干渉し挿入が妨げられるため、誤挿入を防止することができる。
【0073】
バッテリーセル3が挿入されることにより、図19に示すように、絶縁フィルム61がバッテリー缶2の第1の開口部5側縁によってバッテリーセル3の側面に沿って配設されていく。またバッテリーセル3は、挿入端面3bに貼着された弾性部材60によってバッテリー缶2の底面部を構成する第2の電池蓋8の内壁に接着される。バッテリーセル3の挿入に続いて、トップカバー36に突設されている係合凸部47が撓みながら第1の開口部5内に進入し、係合孔6と係合されることにより、第1の電池蓋4がバッテリー缶2の第1の開口部5に組み付けられる。
【0074】
また、バッテリー缶2に第1の電池蓋4が組み付けられることにより、正極端子21及び負極端子22と正極タブ31及び負極タブ32との接合部45は、略S字状に湾曲した状態でバッテリーセル3とホルダ30との間に配設される。
【0075】
次いで図17(k)に示すように、バッテリー缶2の周囲に外装ラベル15が貼着される。最後に図17(l)に示すように、外装ラベル15が貼着されたバッテリー缶2の長辺側の主面部に二次電池1の各種情報が記載された情報ラベル16が貼着され、二次電池1が完成する。
【0076】
以上のような二次電池1によれば、金属製のバッテリー缶2と、モールド成型される第1の電池蓋4及び第2の電池蓋8を組み付けることにより、容易に組み立てることができる。また、バッテリー缶2を金属板を断面略台形状の筒体に形成しバッテリーセル3の形状に応じた任意の長さで切断することにより形成できるため、容易に二次電池を生産することができる。すなわち、バッテリー缶を、バッテリーセル3が挿入される第1の開口部5のみを開口させた場合、深絞り加工を用いて製造することとなり、金型の製造に費用とコストがかかり、またバッテリー缶の製造、加工工程も煩雑となる。一方、本発明のごとく、筒型のバッテリー缶2とすれば、押し出し成形により簡単に製造でき、バッテリー缶2の設計の自由度も向上することができる。また、バッテリー缶2の加工工程も少なくすることができる。さらに、筒型の金属板をバッテリーセルの形状に応じて切断することにより製造するため、長さ寸法の異なる複数種類のバッテリーセルに対応するバッテリー缶2を容易に製造することができる。
【0077】
また、金属製のバッテリー缶2を用いることで、薄型化と強度確保を同時に実現することができ、電子機器の小型化、薄型化、軽量化といった要請に応ずることができる二次電池を提供することができる。
【0078】
さらに、モールド成型してなる第1及び第2の電池蓋4,8を用いることで、二次電池1を電子機器の電池装着部に取り付ける際の取付端となる係止部49や係止部55といった外形形状を容易に形成することができる(図13及び図16)。なお、これら第1、第2の電池蓋4,8に形成される外形形状は、二次電池1の容量や急速充電の可否、残量表示機能の有無といった機能や属性を識別するための識別部として用いることができる。例えば、第1の電池蓋4のトップカバー前面36cに凸状の規制部を設けることで、対応する電子機器以外の電子機器への装着や、急速充電に対応していない二次電池の急速充電を行う充電器への装着を規制することができる。かかる規制部は、電池蓋4,8をモールド成形する際に形成され、二次電池1に対応する電子機器や充電器には、該規制部に対応する凹状の嵌合部が形成されている。これにより、規制部を嵌合する嵌合部を備えない非対応の電子機器や充電器へ二次電池を装着することを防止できる。
【0079】
なお、図22〜図27に係止部49及び係止部55を備えた二次電池1の斜視図(a)及び(b)と、当該斜視図に示された二次電池1の正面図(c)、背面図(d)、左側面図(e)、右側面図(f)、平面図(g)及び底面図(h)を示す。
【0080】
また、二次電池1は、バッテリー缶2及び第1の電池蓋4及び第2の電池蓋8を、短辺側の稜が円弧状とされた断面略台形状に形成され、かつデジタルスチルカメラ10側の電池収容部12の形状も同様にすることで、挿入面が裏表逆の場合、電池収容部12の稜と二次電池1の稜とが干渉し挿入が規制されるため、誤挿入を確実に防止することができる。
【0081】
また、二次電池1は、外装ラベル15が二次電池1の底面部を構成する第2の電池蓋8に貼着されていないことから、電子機器側に設けられた係止部材19が係止する係止部とすることで、繰り返し係止部材19によって摺擦された場合にも、外装ラベル15の破れや剥がれといった事態を防止することができる。
【0082】
また、二次電池1が挿入方向を誤って底面部からデジタルスチルカメラ10等の電子機器や充電器に装着された場合にも、正極端子部37及び負極端子部38の位置に対応して設けられたデジタルスチルカメラ10や充電器側の電極と二次電池1の底面部を構成する合成樹脂製の第2の電池蓋8とが接することとなるため、該底面部を金属製のバッテリー缶2にて一体に形成した二次電池と異なり、金属製のバッテリー缶が直に接することによるショートを防止することができる。
【0083】
さらに、二次電池1は、図28に示すように、外装ラベル15を第1の電池蓋4のトップカバー36及び第2の電池蓋8の各上面36a,8a及び下面36b,8bに掛かるように貼着することで、バッテリー缶2と第1及び第2の電池蓋4,8との組み付け強度を向上させることができる。したがって、バッテリー缶2と係合される第1の電池蓋4及び第2の電池蓋8に形成された係合凸部47,50を係合孔6,9よりバッテリー缶2の上面側に突出させる必要がないため、二次電池1の平坦性や外観を損なうことなく、組立強度を確保することができる。
【0084】
さらに、二次電池1は、バッテリー缶2及び第1及び第2の電池蓋4,8を同一形状としながら、電池容量等の機能の相違に応じて第1の電池蓋4に形成される正極端子部37及び負極端子部38の位置を異ならせることで、互換性を有しないタイプの二次電池1が誤って非対応のデジタルスチルカメラ10に装着された場合でも電極端子が導通することなく、トラブルを未然に防止することができる。
【0085】
さらに、二次電池1は、バッテリー缶2及びバッテリーセル3を短辺側の稜線を円弧状に形成した断面略台形状に形成することで、バッテリーセル3のバッテリー缶2への誤挿入を防止し、バッテリー缶2内のスペースを有効に利用することができる。これによりバッテリーセル3とバッテリー缶2の内壁との間に、バッテリーセル3が熱膨張した際のマージンとなるクリアランスを設けることができる。したがって仮にバッテリーセル3が熱膨張した場合にも、バッテリー缶2に歪みが生じたり、また正極端子21及び負極端子22と正極タブ31と負極タブ32との接合部45に過剰な負荷がかかることがない。
【0086】
さらに、二次電池1は、第1の電池蓋4を、正極タブ31及び負極タブ32の位置決め及び固定を図るホルダ30と、正極端子部37及び負極端子部38を備える基板35と、ホルダ30とともに基板35を挟持するトップカバー36から構成している。これにより、ホルダ30において正極タブ31及び負極タブ32を位置決めを図り、かつ保持することで、正極端子21及び負極端子22あるいは正極端子板33及び負極端子板34との溶接を容易に行うことができ、また二次電池1の落下や振動等の衝撃が加わった場合にも正極タブ31及び負極タブ32がずれることにより溶接箇所が外れてしまう事態を防止することができる。
【0087】
さらに、二次電池1は、バッテリーセル3の挿入端面3bに弾性部材60を介してバッテリー缶2に接着されているため、バッテリー缶2内におけるバッテリーセル3のがたつきを防止するとともに、バッテリー缶2の落下や振動等の衝撃を吸収し、接合部45に衝撃が加わることを防止することができる。また、バッテリーセル3を糊代28を側面に沿って折り返した後バッテリー缶2内に挿入することにより、折り返された糊代がバッテリーセル3とバッテリー缶2との緩衝部材として機能させることができる。
【0088】
さらに、二次電池1は、弾性部材60に絶縁フィルム61を貼着することにより、バッテリーセル3をバッテリー缶2に挿入すると、バッテリー缶2の第1の開口部5の側面にガイドされながらバッテリーセル3の側面に沿って絶縁フィルム61が配設されて、糊代28の切断面に露呈する包装体23のアルミニウム層53を覆い、バッテリー缶2の内壁との絶縁を図ることができる。したがって、金属製のバッテリー缶2が帯電した場合にも、バッテリー缶2と包装体23のアルミニウム層53とが通電して電触を引き起こすことを防止することができる。
【0089】
さらに、二次電池1は、正極端子21及び負極端子22と正極タブ31と負極タブ32との接合部45に、絶縁紙59が貼り付けられているため、接合部45を補強することができるとともに、金属製のバッテリー缶2と接触することによるショートを防止することができる。また、この接合部45が略S字状に湾曲しながらバッテリー缶2内に収納されることにより、二次電池1の落下や振動等によってバッテリーセル3と第1の電池蓋4との間に衝撃が加わった場合にも、略S字状に折り曲げ収納された接合部45が撓むことによって衝撃の負荷が吸収され、正極端子21及び負極端子22と、正極タブ31及び負極タブ32とが外れることを防止することができる。
【0090】
なお、本発明が適用された二次電池1は、図29に示すように、第2の電池蓋8を、第1の電池蓋4と同様に、ホルダ56と基板57とボトムカバー58とで形成することにより、駆動回路や端子を増設することができる。ホルダ56、基板57及びボトムカバー58の構成は、それぞれ上述したホルダ30、基板35及びトップカバー36と同様であるため、その詳細は省略する。基板57には、各種回路パターンや半導体素子等が形成され、第1の電池蓋4を構成する基板35と詳細を省略するフレキシブル基板などによって接続されている。
【0091】
なお、基板57には、基板35に形成したような正極端子部及び負極端子部を設ける必要は必ずしもないため、ボトムカバー58にもトップカバー36に設けられた端子孔48のごとき端子孔は必ずしも形成されない。基板57に正極端子部及び/又は負極端子部あるいはアース電極からなる缶底電極62を設けた場合には、ボトムカバー58にもこの缶底電極62を外方に臨ませる端子孔が形成される。
【0092】
またこのとき、第2の電池蓋8のボトムカバー58に凹状の係止部55が長手方向に亘って形成されていた場合には、図30に示すように、第2の電池蓋8の係止部55に、端子孔を形成し、係止部55を介して基板57に形成された缶底電極62が外部に臨まされる。一方、電子機器側に設けられ、係止部55に係止される係止部材51には、電子機器側の電極あるいはアース部と接続された電極部51aが形成され、第2の電池蓋8の係止部55を係止すると同時に、缶底電極62と接続される。
【0093】
なお、本発明が適用された二次電池1は、上述したように、弾性部材60を介してバッテリーセル3をバッテリー缶2内に接着したが、図31(a)〜図31(c)に示すように、バッテリーセル3の挿入前に、バッテリー缶2内の一主面に接着剤65を塗布し、バッテリー缶2内に挿入されるバッテリーセル3によって該接着剤65がバッテリー缶2内の一主面に引き延ばされることにより、バッテリーセル3をバッテリー缶2に接着するようにしてもよい。かかる構成を用いることによっても、バッテリーセル3をバッテリー缶2内に固定することができ、二次電池1の落下や振動等によってもバッテリーセル3がバッテリー缶2内でがたつくことが防止される。したがって、正極端子21及び負極端子22と正極タブ31と負極タブ32との接合部45に過剰な負荷がかかることなく、正極端子21及び負極端子22と、正極タブ31及び負極タブ32とが外れたり切断することを防止することができる。
【0094】
また、接着剤65を用いてバッテリーセル3をバッテリー缶2内に固定することにより、バッテリー缶2内のスペースを有効に用いることができ、バッテリーセル3の接着面と反対側の主面と該主面と対向するバッテリー缶2の内壁との間に所定のクリアランスを形成することができる。したがって、図32に示すように、バッテリーセル3が熱膨張した場合においても、該クリアランスによってバッテリーセル3の体積膨張に対するマージンを確保しているため、バッテリー缶2に歪みが生じ、また接合部45に過剰な負荷がかかる事態を防止することができる。
【0095】
また、本発明が適用された二次電池1は、図33に示すように、第2の電池蓋8に、バッテリーセル3の挿入端面3bを支持する突起部66を形成してもよい。突起部66は、バッテリーセル3のバッテリー缶2への挿入端面3bを支持することにより、バッテリー缶2の全長よりも短いバッテリーセル3が挿入された場合にも、該バッテリーセル3がバッテリー缶2内でがたつくことなく収納するためのものである。この突起部66は、バッテリーセル3の挿入端面3bと対峙される第2の電池蓋8の内面8cに複数断続的に設けられている。また突起部66は、合成樹脂をモールド成形することにより、第2の電池蓋8と一体に形成される。
【0096】
なお、図33(a)は、第2の電池蓋8に係止部55を設けていない場合を示し、図33(b)は、第2の電池蓋8に凹状の係止部55を設けた場合を示しており、いずれも突起部66に支持されるバッテリーセル3の挿入端面3bには弾性部材60が貼着されておらず、バッテリー缶2に供給された接着剤65によってバッテリーセル3が固定されている。勿論、第2の電池蓋8には、凸状の係止部55を設けてもよい。
【0097】
また、本発明が適用された二次電池1は、第2の電池蓋8の前面8dをバッテリー缶2の断面形状よりも張り出し形成するようにしてもよい。具体的に図34に示すように、この第2の電池蓋8の前面8dを矩形状に形成することにより、短辺側の稜が円弧状に形成された断面略台形状に形成されているバッテリー缶2の、該短辺側の稜から第2の電池蓋8の前面8dの角部が張り出される。
【0098】
このように第2の電池蓋8の前面をバッテリー缶2の外周から張り出し形成することにより、この二次電池1をデジタルスチルカメラ10等の電子機器に形成された電池収納部に逆挿入しようとしても、かかる第2の電池蓋8の前面8dが電池収容部12の挿入口よりも大きく形成されているため、この電池収納部12の周壁によって内部への挿入が規制されるため、二次電池1の前後の逆挿入を防止することができる。
【0099】
なお、二次電池1の裏表の逆挿入に対しては、電池収納部12を短辺側の稜が円弧状に形成された断面略台形状とすることにより、電池装着部の短辺側に形成された円弧状の稜によって、二次電池1の長辺側の角形の稜が干渉されて、挿入が規制される(図5参照)。
【0100】
また、本発明が適用された二次電池1は、図35に示すように、第2の電池蓋8の内面8cから長尺状に形成された一対のフィン68,68を設けてもよい。これら一対のフィン68,68は、バッテリー缶2内に挿入されたバッテリーセル3の側面に折り返されている糊代28の切断面とバッテリー缶2の内壁とを絶縁するために設けられるものであり、第2の電池蓋8の内面8cに、長手方向両端部からバッテリー缶2の側面に沿うように立設されている。
【0101】
フィン68,68は、第2の電池蓋8がバッテリー缶2の第2の開口部7に組み付けられる際にバッテリー缶2の側面に沿って挿入されるものであり、挿入時に折れ曲がったり湾曲することなく真っ直ぐにバッテリー缶2の側面に沿って配設可能な程度の剛性を有する。またフィン68,68は、絶縁性を有する合成樹脂を用いて第2の電池蓋8をモールド成型する際に一体に形成されるものであるが、第2の電池蓋8の形成後に、別途取り付けるようにしてもよい。
【0102】
第2の電池蓋8がバッテリー缶2に組み付けられることにより、絶縁性を有するフィン68,68がバッテリー缶2の内側面に沿って配設されることとなり、次いでバッテリーセル3が挿入されると、バッテリーセル3の側面に臨む糊代28の切断面とバッテリー缶2との間にフィン68,68が介在することによって両者が絶縁される。これにより、糊代28の切断面に臨むアルミニウム(Al)層53と金属製のバッテリー缶2とが直に接触することを防止することができる。したがって、金属製のバッテリー缶2が帯電した場合にも、バッテリー缶2と包装体23のアルミニウム層53とが直に接触して負極となるとともに、ポリプロピレン層52に何らかの原因で孔があくことにより電触を引き起こし、包装体23に孔があいて水分が浸入することでバッテリーセル3が膨張することを防止することができる。
【0103】
また、上述した弾性部材60に貼着された絶縁フィルム61を用いた場合には、弾性部材60の貼りずれや絶縁フィルム61の撓み等を防止するために作業工程が煩雑となり、またコスト高となるが、フィン68,69を突設する場合にはかかる工程の煩雑さやコスト面で有利となる。
【0104】
また、本発明が適用された二次電池1は、図36に示すように、第2の電池蓋8に残量表示部70を設けてもよい。残量表示部70は、第2の電池蓋8の前面8dに、例えば液晶ディスプレイが形成されてなり、二次電池1の残量を表示するものである。また第2の電池蓋8の前面8dには残量表示部70に残量表示させるためのスイッチ71が形成されている。そして、第2の電池蓋8の内面8cには、これら残量表示部70を構成する液晶ディスプレイやスイッチ71が形成されるとともに、駆動回路が形成された回路基板が設けられている(図示せず)。
【0105】
そして残量表示部70は、スイッチ71が押圧操作されると、二次電池1の残量を例えば、使用可能時間などで表示する。したがって、使用者は、電子機器などに装着させる前に二次電池の残量が容易に分かるため、電子機器の駆動中にバッテリー切れを起こすおそれが低減する。
【0106】
なお、残量表示部70は、上記液晶ディスプレイ以外にも有機ELディスプレイや、LED素子を用いて残量を表示させてもよい。また表示方法は、文字によるだけでなく、LEDを点灯させるなどして残量を表示させるようにしてもよい。
【0107】
また、本発明が適用された二次電池1は、図37に示すように、外装ラベル15が、第1の開口部5及び第2の開口部7の間に亘ってバッテリー缶2の外周を巻回する主面部73と、第1の電池蓋4のトップカバー36に巻回される第1の巻回部74と、第2の電池蓋8に巻回される第2の巻回部75とを有するように構成してもよい。
【0108】
これら第1の巻回部74及び第2の巻回部75は、いずれも、バッテリー缶2と第1の電池蓋4及び第2の電池蓋8との組み付け強度を向上させるためのものである。第1の巻回部74及び第2の巻回部75によってバッテリー缶と各電池蓋4,8との組み付け強度が向上されることにより、第1の電池蓋4のトップカバー36及び第2の電池蓋8に設けられた係合凸部47や係合凸部50と、バッテリー缶2の第1の開口部5及び第2の開口部7の周辺に設けられ係合凸部47や係合凸部50と係合する係合孔6や係合孔9との係合深さを大きく設け、係合凸部47や係合凸部50が係合孔6や係合孔9よりバッテリー缶2の上面に突出させることでバッテリー缶2と第1及び第2の電池蓋4,8との組み付け強度を確保する必要がない。したがって、二次電池1の平坦性や外観を損なうことなく、所望の組み付け強度を得ることができる。
【0109】
具体的に、トップカバー36の前面に巻回される第1の巻回部74は、トップカバー36の前面36cに形成された端子孔48を除く領域に巻回される。また、トップカバー36の前面36cに上記係止部49が形成されている場合には、端子孔48及び係止部49を除く領域に巻回される。
【0110】
また、第2の電池蓋8に巻回される第2の巻回部75は、上記電子機器の電池収容部12に形成された係止部材19に係止される長手方向の一端部を除く領域に巻回される。これにより、第2の巻回部75が係止部材19と摺接することによる剥がれを防止することができる。すなわち、第2の電池蓋8のの前面8d全体を覆うように第2の巻回部75がが貼着されていると、電池収容部12に二次電池1が挿脱される度に、係止部材19が第2の巻回部75を摺擦することとなり、次第に外装ラベル15が擦れて剥がれてしまう。この点、二次電池1では、かかる係止部材19に係止される長手方向の一端部を除く領域には外装ラベル15が貼着されないため、電池収容部12へ繰り返し挿脱された場合にも係止部材19による擦れの心配がない。
【0111】
また第2の巻回部75は、第2の電池蓋の前面8dに係止部55が形成されている場合には、該係止部55を除く領域に巻回される。係止部55が前面8dの長手方向に亘って形成されている場合には、係止部55より上側を覆うように巻回される。また係止部55が前面8dの長手方向の両端部に形成されている場合には、前面8dの両端部を除く領域を覆うように巻回される。これにより係止部55が常時、外部に露出させることができる。
【0112】
以上、筒状のバッテリー缶2の前後に第1、第2の開口部5,7を設け、それぞれ第1の電池蓋4、第2の電池蓋8で閉塞する二次電池1について説明したが、本発明は、図38に示すように、金属製のバッテリー缶を、バッテリーセル3の挿入方向の一端のみ開口部を設けるように形成し、バッテリーセル3と接続された合成樹脂製の第1の電池蓋4にて閉塞するように構成してもよい。この場合、バッテリー缶2は、深絞り加工にて形成される。このようなバッテリー缶に5面を設け、一の開口部よりバッテリーセルを挿入して電池蓋で閉塞する二次電池においても、金属製のバッテリー缶を用いることで、薄型化と強度確保を同時に実現することができ、電子機器の小型化、薄型化、軽量化といった要請に応ずることができる。また、合成樹脂製の電池蓋を用いるため、二次電池を電子機器の電池装着部に取り付ける際の取付端となる外形形状を容易に形成することができ、この外形形状によって、電池容量や急速充電の可否、残量表示機能の有無といった機能や属性を識別するための識別部や、非対応の電子機器に対して装着を規制する規制部として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明が適用された二次電池を用いる電子機器の例を示す斜視図である。
【図2】本発明が適用された二次電池を示す斜視図である。
【図3】本発明が適用された二次電池の分解斜視図である。
【図4】バッテリー缶の製造方法を示す斜視図である。
【図5】本発明が適用された二次電池を電子機器の電池収容部へ装着する様子を示す斜視図である。
【図6】バッテリーセルが挿入されたバッテリー缶を示す斜視図である。
【図7】バッテリーセルを示す分解斜視図である。
【図8】バッテリーセルの包装体の構造を示す断面図である。
【図9】バッテリーセルの正負極端子と正負極タブとの接合を示す側面図である。
【図10】正負極端子と正負極タブとの接合部を示す側面図である。
【図11】機能に応じて正負極端子部の配置を異ならせた二次電池を示す斜視図である。
【図12】機能に応じて正負極端子部の配置を異ならせた他の二次電池を示す斜視図である。
【図13】本発明が適用された二次電池の他の例を示す斜視図である。
【図14】本発明が適用された二次電池を電子機器等の外部に設けられた電池装着部へ装着する様子を示す図である。
【図15】外装ラベルが貼着された二次電池を示す図であり、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は正面図である。
【図16】本発明が適用された二次電池の他の例を示す斜視図である。
【図17】本発明が適用された二次電池の製造工程を示す工程図である。
【図18】治具に載置されたバッテリーセル、ホルダ及び基板を示す側面図である。
【図19】バッテリー缶に挿入されているバッテリーセルを示す斜視図である。
【図20】本発明が適用された二次電池を示す断面図である。
【図21】バッテリー缶内におけるバッテリーセルの様子を示す断面図である。
【図22】本発明が適用された二次電池の他の例を示す図である。
【図23】本発明が適用された二次電池の他の例を示す図である。
【図24】本発明が適用された二次電池の他の例を示す図である。
【図25】本発明が適用された二次電池の他の例を示す図である。
【図26】本発明が適用された二次電池の他の例を示す図である。
【図27】本発明が適用された二次電池の他の例を示す図である。
【図28】電池蓋が組み付けられた二次電池の断面図である。
【図29】第2の電池蓋に基板及び電極端子を設けた二次電池を示す断面図である。
【図30】電子機器等の外部に設けられた電池装着部の係止部材に電極部を設けた例を示す側面図である。
【図31】接着剤を用いてバッテリーセルをバッテリー缶内に接着させる様子を示す断面図である。
【図32】接着剤によって接着されたバッテリー缶内に接着されたバッテリーセルの様子を示す断面図である。
【図33】第2の電池蓋にバッテリーセルの挿入端面を支持する突起部を形成した二次電池を示す断面図である。
【図34】第2の電池蓋の前面を電池収容部よりも大きく形成した二次電池を示す斜視図である。
【図35】第2の電池蓋にバッテリーセルとバッテリー缶との接触を防止するフィンを形成した二次電池を示す分解斜視図である。
【図36】第2の電池蓋に残量表示部を設けた二次電池を示す斜視図である。
【図37】外装ラベルに第1及び第2の電池蓋を巻回する巻回部を設けた二次電池を示す分解斜視図である。
【図38】バッテリー缶の開口部を一つだけ設けた二次電池を示す斜視図である。
【図39】従来のポリマーリチウムイオン二次電池を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0114】
1 二次電池、2 バッテリー缶、3 バッテリーセル、4 第1の電池蓋、5 第1の開口部、6 係合孔、7 第2の開口部、8 第2の電池蓋、9 係合孔、15 外装ラベル、16 情報ラベル、19 係止部材、20 電池素子、21 正極端子、22 負極端子、23 包装体、24 収納シート、25 収納凹部、26 密閉シート、27 セル集合体、28 糊代、30 ホルダ、31 正極タブ、32 負極タブ、33 正極端子板、34 負極端子板、35 基板、36 トップカバー、37 正極端子板、38 負極端子板、39,40 折曲げ部、43 アース、45 接合部、48 端子孔、59 絶縁紙、60 絶縁フィルム、62 缶底電極、65 接着剤、66 突起部、68 フィン、70 残量表示部、73 主面部、74 第1の巻回部、75 第2の巻回部
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池やリチウムポリマー二次電池といった包装体の内部に発電要素となる電極体が収容され、該電極体が発生する電力を正負一対の電極端子から外部に取り出す二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型パソコン等の情報機器や携帯電話等の移動通信機器、ビデオカメラ等、携帯型電子機器の需要が急増している。このような電子機器の電源として、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の密閉式小形二次電池が多く使用されており、その中でもリチウムイオン二次電池は高電圧、高エネルギー密度、軽量といった特性が活かされ、多種多様な分野で採用されている。
【0003】
特に、液系電解液を用いた場合に問題となる液漏れの対応策として、例えば、電解質として、ポリマーに非水電解液を含浸させてなるゲル状高分子膜を用いたもの、或いは全固体状の電解質を用いた、いわゆるポリマーリチウムイオン二次電池が提案されている。
【0004】
このようなポリマーリチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度、軽量といった電池特性に加え、電池形状の自由度が高い特性を生かして、近年の各種電子機器における小型化、軽量化、薄型化といった需要に応えるべく、さらなる開発が進められているところである。
【0005】
このような電池は、通常、例えば図39に示すように、電池素子がラミネートされてなる単セル301が、保護回路や端子を備えた接続基板302とともに、上下一対のプラスチックケース303,304の内部に収納されて、電池パック300とされている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−8606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電池本体の小型化、軽量化、薄型化を図るとともに、これに伴う強度不足を解消し、また製造が容易な二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明にかかる二次電池は、電子機器に収納されることにより該電子機器に電力を供給する電子機器用の二次電池において、正極、負極及び電解質を包装体に収納するとともに、上記正極及び負極からそれぞれ正極端子及び負極端子が上記包装体の一側面より導出されたバッテリーセルと、上記バッテリーセルの挿入方向両端側に開口部が形成され、上記正極端子及び負極端子が導出された一側面を一方の上記開口部側に向けて上記バッテリーセルを収納する金属製のバッテリー缶と、上記バッテリー缶の両開口部を閉塞する合成樹脂からなる一対の蓋体とを備え、少なくとも上記正極端子及び負極端子が導出された一側面が向けられた一方の上記開口部を閉塞する一方の蓋体には、上記正極端子及び負極端子が接続されるとともに外方に臨まされることにより上記電子機器の電極と接続される正極端子部及び負極端子部が設けられているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる二次電池は、バッテリーセルの挿入方向両端が開口された金属製のバッテリー缶に合成樹脂からなる一対の蓋体を組み付けることにより製造されるものであるため、バッテリー缶2の製造が容易で、かつバッテリーセルの形状に応じた任意の長さで切断することにより形成でき設計の自由度を向上することができる。また、金属製のバッテリー缶を用いることで、薄型化と強度確保を同時に実現することができ、電子機器の小型化、薄型化、軽量化といった要請に応ずることができる二次電池を提供することができる。
【0010】
また、合成樹脂製の蓋体を用いるため、二次電池を電子機器の電池装着部に取り付ける際の取付端となる外形形状を容易に形成することができ、この外形形状によって、電池容量や急速充電の可否、残量表示機能の有無といった機能や属性を識別するための識別部や、非対応の電子機器に対して装着を規制する規制部として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明が適用された二次電池について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明が適用された二次電池1は、例えばポリマーリチウムイオン二次電池であり、図1(a)及び図1(b)に示すように、各種電子機器、例えばデジタルスチルカメラ10等の電子機器に用いられる。具体的に、二次電池1は、図1に示すデジタルスチルカメラ10のグリップ部11内部に設けられた電池収容部12内に収容されることにより、このデジタルスチルカメラ10に駆動電力を供給する。電池収容部12は、二次電池1の形状に応じて略扁平の凹部からなり、デジタルスチルカメラ10の底面部13に回動自在に設けられた電池蓋14が開放されることにより外方に臨まされる。また電池収容部12は、底部に後述する二次電池1に設けられた電極端子部37,38と接触される収容部電極が形成されている。そして、二次電池1は、電極端子部37,38が設けられた端面を挿入端として電池収容部12内に収容されることにより、収容部電極と接続され、デジタルスチルカメラ10に電力を供給する。なお、かかる電池収容部12には、二次電池1を電池収容部12から排出させるための付勢部材(図示せず)と、該付勢部材の付勢力に対抗して二次電池1を電池収容部12内に係止する係止部材19が設けられている。この係止部材19については後述する。
【0012】
以下、かかる二次電池1について説明する。この二次電池1は、図2及び図3に示すように、略扁平状に形成された金属製のバッテリー缶2の第1の開口部5から、電極素子が包装されたバッテリーセル3が挿入されるとともに、バッテリーセル3から導出された正極端子及び負極端子が接続される端子部を備えた第1の電池蓋4によって第1の開口部5が閉塞され、また第1の開口部5と反対側の第2の開口部7が第2の電池蓋8によって閉塞されることにより形成されている。
【0013】
バッテリー缶2は、図3に示すように、略扁平状の立方体の相対向する両面が開放された金属性の筐体からなり、短辺側の稜が円弧状に形成された断面略台形状に形成されている。このバッテリー缶2は、図4に示すように、鉄等の金属板を断面略台形状の筒形に押し出し成形加工した後、バッテリーセル3の形状に応じた任意の長さで切断することによって、バッテリーセル3の挿入方向の両面に第1の開口部5及び第2の開口部7が形成された略扁平状の筒体に形成される。このバッテリー缶2は、壁の厚さが0.3mm程度とされることにより、バッテリーセル3の収納領域を除くと自身の厚みが極力抑えられた薄型形状をなし、同時に金属材料を用いることにより落下や振動等の各種衝撃、あるいは鋭利な刃物等に対する機械的強度を備え、バッテリーセル3の変形や穿孔等を防止することができる。
【0014】
第1の開口部5は、バッテリーセル3が挿入される挿入端とされ、バッテリーセル3の挿入後は、第1の電池蓋4によって閉塞される。このため、第1の開口部5の周囲には、第1の電池蓋4に突設された係合凸部47が係合する係合孔6が複数穿設されている。係合孔6には、第1の電池蓋4が第1の開口部5に挿入されると、第1の電池蓋4に突設された係合凸部47が撓みながら第1の開口部5内に進入し、係合される。これにより第1の電池蓋4がバッテリー缶2に組み付けられる。
【0015】
また第2の開口部7は、第1の開口部5と反対側に形成され、第2の電池蓋8によって閉塞される。このため第2の開口部7の周囲には、第2の電池蓋8に突設された係合凸部50が係合する係合孔9が複数穿設されている。係合孔9には、第2の電池蓋8が第2の開口部7に挿入されると、第2の電池蓋8に突設された係合凸部50が撓みながら第2の開口部7内に進入し、係合される。これにより第2の電池蓋8がバッテリー缶2に組み付けられる。
【0016】
図5に示すように、二次電池1は、バッテリー缶2とともにこの二次電池1が装着される電池収容部12の形状が、短辺側の稜が円弧状に形成された断面略台形状とされることにより、デジタルスチルカメラ10の電池収容部12内への挿入面が規定され、誤挿入を防止することができる。すなわち、図5(a)に示すように、二次電池1の挿入面が正しい場合には、電池収容部12の短辺側の辺と二次電池1の短辺側の主面の形状が合致し、スムーズに挿入することができる。一方、図5(b)に示すように、二次電池1の挿入面が反対の場合、電池収容部12の短辺側に形成された円弧状の稜によって、二次電池1の長辺側の角形の稜が干渉され、挿入が規制される。これにより挿入面が裏表逆の場合に、電池収容部12への挿入を防止するとともに、使用者は容易に挿入面の正否を確認することができる。
【0017】
また、バッテリー缶2には、第2の開口部7が第2の電池蓋8によって閉塞され、かつ、第1の電池蓋4と接続されたバッテリーセル3が挿入され第1の電池蓋4によって第1の開口部5が閉塞された後、絶縁性を有する外装ラベル15が貼着される。外装ラベル15は、二次電池1の化粧ラベルとなるほか、金属製のバッテリー缶2の絶縁を図るためのものである。外装ラベル15は、図3に示すように、略矩形状に形成され、バッテリー缶2の外周を巻回される。このとき、外装ラベル15は、バッテリー缶2が平坦に形成されているため、電池素子20を包装してなるバッテリーセル3の表面に直接貼着する場合よりも貼付作業が容易であり、かつ剥がれにくくなる。
【0018】
なお、バッテリー缶2の長辺側の主面部には二次電池1の各種情報が記載された情報ラベル16が貼着される。
【0019】
次いで、かかるバッテリー缶2に収納されるバッテリーセル3について説明する。図3及び図7に示すように、バッテリーセル3は、帯状の正極と、帯状の負極とが、ポリマー電解質層及び/又はセパレータを介して積層され、長手方向に巻回された電池素子20が包装体23に包装され、正極及び負極から、それぞれ正極端子21と負極端子22とが外部に導出されている。
【0020】
正極は、帯状の正極集電体上に正極活物質層が形成されてなり、さらに正極活物質層上にポリマー電解質層が形成されている。また、負極は、帯状の負極集電体上に負極活物質層が形成されてなり、さらに負極活物質層上にポリマー電解質層が形成されている。正極端子21及び負極端子22は、それぞれ正極集電体及び負極集電体に接合されている。また正極端子21はアルミニウム(Al)からなり、負極端子22はニッケル(Ni)を用いて形成される。これら正極端子21及び負極端子22は、後述する第1の電池蓋4に保持されている正極タブ31及び負極タブ32にそれぞれ接続され、これら正極タブ31及び負極タブ32を介して同じく第1の電池蓋4に設けられている正極端子板33及び負極端子板34と連結される。
【0021】
正極は、目的とする電池の種類に応じて、金属酸化物、金属硫化物または特定の高分子を正極活物質として用いて構成することができる。例えばリチウムイオン電池を構成する場合、正極活物質としては、LixMO2(式中Mは一種以上の遷移金属を表し、xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05以上1.10以下である。)を主体とするリチウム複合酸化物等を使用することができる。このリチウム複合酸化物を構成する遷移金属Mとしては、Co,Ni,Mn等が好ましい。このようなリチウム複合酸化物の具体例としてはLiCoO2,LiNiO2,LiNiyCo1−yO2(式中、0<y<1である。)、LiMn2O4等を挙げることができる。これらリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度的に優れた正極活物質となる。また、正極活物質としてTiS2、MoS2、NbSe2,V2O5等のリチウムを含有しない金属硫化物あるいは酸化物を用いることもできる。正極には、これらの正極活物質の複数種を併せて使用してもよい。また、以上のような正極活物質を使用して正極を形成するに際して、公知の導電剤や結着剤等を添加することができる。
【0022】
負極材料としては、リチウムをドープ、脱ドープできる材料を使用することができる。例えば、難黒鉛化炭素系材料や黒鉛系材料の炭素材料を使用することができる。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス)、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等の炭素材料を使用することができる。このほか、リチウムをドープ、脱ドープできる材料としては、ポリアセチレン、ポリピロール等の高分子やSnO2等の酸化物を使用することもできる。このような材料から負極を形成するに際しては、公知の結着剤等を添加することができる。
【0023】
ポリマー電解質は、高分子材料と電解液と電解質塩とを混合してゲル状化した電解質をポリマー中に取り込んでなる。高分子材料は、電解液に相溶する性質を有し、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリフォスファゼン変性ポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、及びこれらの複合ポリマーや架橋ポリマー、変性ポリマー等、若しくはフッ素系ポリマーとして、例えばポリ(ビニリデンフルオロライド)、ポリ(ビニリデンフルオロライド−co−テトラフルオロサフルオロプロピレン)、或いはポリ(ビニリデンフルオロライド−co−トリフルオロエチレン)等の高分子材料、及びこれらの混合物が各種使用される。
【0024】
電解液成分は、上述した高分子材料を分散可能とし、非プロトン性溶媒として例えばエチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)或いはブチレンカーボネート(BC)等が用いられる。電解質塩には、溶剤に相溶するものが用いられ、カチオンとアニオンとが組み合わされてなる。カチオンには、アルカリ金属やアルカリ土類金属が用いられる。アニオンには、Cl−、Br−、I−、SCN−、ClO4−、BF4−、PF6−、CF3SO3−等が用いられる。電解質塩には、具体的には六フッ化リン酸リチウムや四フッ化ホウ酸リチウムが、電解液に対して溶解可能な濃度で用いられる。
【0025】
このような電池素子20をその内部に収納する包装体23は、図7に示すように、電池素子が収納される収納凹部25が予め複数配列された略長方形状の収納シート24と、電池素子20が収納された収納シート24上から溶着され、各収納凹部25を密閉する密閉シート26とを有するセル集合体27を、各電池素子20毎に切断することにより形成される。
【0026】
収納シート24は、収納凹部25が所定幅の糊代28を隔てて複数配列され、長尺に形成されている。収納凹部25は、電池素子20の形状に応じて略矩形状に形成されている。また、収納凹部25の配列方向は、図7に示すような短辺方向に限らず、長辺方向、あるいは縦横に配列させてもよい。各収納凹部25を隔てる糊代28は、収納凹部25を密閉する密閉シート26の接合面となる。そして、図7中矢印Aで示すように、各収納凹部25に電池素子20がそれぞれ収納されると、糊代28に密閉シート26が熱溶着され、電池素子20が集積されたセル集合体27が形成される。
【0027】
なお、このとき密閉シート26との接合部からは、正極及び負極から延長された正極端子21及び負極端子22が同一方向に導出される。また、このとき、減圧ポンプ(図示せず)を用いて、溶着と同時に減圧も行う。この吸引される力により、電池素子20が、収納シート24と密閉シート26とで覆われて収納凹部25内に密閉される。また収納凹部25内を吸引することにより電池素子20を収納する包装体23が引き絞られて、電池素子20の形状に応じて、収納凹部25の底面側である第2の面側が小さく、開口側である第1の面側が大きい、短辺側の稜が円弧状に形成された断面略台形形状となる。
【0028】
また、バッテリーセル3は、電池素子20と収納シート24の間にクリアランスが設けられ、電池素子20が収納凹部25の側面に押しつけられないようになされている。そして、収納シート24と密閉シート26とが引き絞られながら密閉されることにより、このクリアランスの分、バッテリーセル3の正極端子21及び負極端子22の導出面3aと反対側の面3bには凹部29が形成される(図6参照)。また、収納シート24と密閉シート26との密閉後、各バッテリーセル3は、プレスすることにより密閉シート26側の主面が平坦に形成される。その後、セル集合体27は、糊代28に沿って切断されることにより、電池素子20を密封した包装体23毎に分離され、バッテリーセル3が形成される。
【0029】
なお、バッテリーセル3は、セル集合体27形成し、これを糊代28に沿って切断して形成する以外に、予め個々のバッテリーセル毎に裁断された収納シートに電池素子20を収納し、同様に個々のバッテリーセル毎に裁断された密閉シートを接合させて形成するようにしてもよい。
【0030】
包装体23を構成する収納シート24及び密閉シート26は、図8に示すように、内側から順にポリプロピレン(PP)層52、アルミニウム(Al)層53、ナイロン層54がこの順に積層された積層構造を有する。ここで、アルミニウム層53は包装体23内部への水分の浸入を防止し、電池素子20の膨張を防ぐために用いられる。またポリプロピレン層52は、ポリマー電解質の変質を防ぐとともに、収納シート24及び密閉シート26の接合面となる。すなわち、収納シート24及び密閉シート26を接合する際には、このポリプロピレン層52同士を対向させて約170℃で熱融着することにより行う。
【0031】
なお、包装体23の構成は、これに限定されるものではなく、各種材料及び積層構造を有するラミネートフィルム等を用いることができる。また、その接合方法も熱溶着に限定されるものではない。包装体23の構成材料としては、例えば、アルミニウム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、無軸延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン、アイオノマー、ON等が挙げられる。
【0032】
かかるバッテリーセル3の同一側面から導出されている正極端子21及び負極端子22と接続される端子部を有するとともに、バッテリー缶2の第1の開口部5を閉塞する第1の電池蓋4は、図3に示すように、正極端子21及び負極端子22が接続される正極タブ31及び負極タブ32を挿通保持するホルダ30と、正極タブ31及び負極タブ32と接続される正極端子板33及び負極端子板34を備える基板35と、基板35をホルダ30との間で挟持するとともにバッテリー缶2の第1の開口部5と係合されるトップカバー36とから構成されこれらホルダ30、基板35及びトップカバー36が一体に組み付けられることにより製造される。
【0033】
ホルダ30は、基板35を介してトップカバー36と連結されることにより基板35を挟持するものであり、これにより正極端子部37及び負極端子部38にかかる押圧力をトップカバー36とともに受けて、過剰な負荷が正極端子部37及び負極端子部38にかかることを防止する。このホルダ30は、合成樹脂によりバッテリー缶2の第1の開口部5と略同一形状にモールド成形された、短辺側の稜が円弧状に形成された略台形平板状の部品である。このホルダ30は、短辺側の側面近傍に、正極タブ31及び負極タブ32が挿通される一対の挿通孔41,42が形成され、これら挿通孔41,42に正極タブ31及び負極タブ32を挿通、保持することにより、正極タブ31及び負極タブ32の位置決めを図るとともに、二次電池1の落下や振動等に伴う位置ずれ等を防止している。したがって、正極タブ31及び負極タブ32は、落下や振動等に伴う位置ずれにより正極端子21及び負極端子22との溶接が外れてしまう事態を防止することができる。
【0034】
正極タブ31及び負極タブ32は、バッテリーセル3から導出されている正極端子21及び負極端子22を、二次電池1の電極端子となる基板35に設けられた正極端子板33及び負極端子板34に接続するためのものであり、ホルダ30に挿通支持されることにより、一端31a,32aがバッテリーセル3側に延設され、他端31b,32bが基板35側に延設されて保持されている。これら正極タブ31及び負極タブ32は、ニッケル(Ni)が用いられることにより、一端31a,32aを正極端子21及び負極端子22の上に配設され、他端31b,32bを基板35上に設けられた正極端子板33及び負極端子板34の上に配設された後、スポット溶接によって4点を一括して接合される。これは、正極端子21がアルミ(Al)を用いて形成されているため、正極端子21を直接正極端子板33に溶接すると、アルミが熔解してしまい接続することができない。したがって、正極タブ31及び負極タブ32を介して、これらの上から溶接することにより正極端子21と正極端子板33とを、また負極端子22と負極端子板34とを接続させている。
【0035】
また正極タブ31及び負極タブ32の各一端31a,32aは、図9に示すように、正極端子21及び負極端子22と当接される当接面と反対側の面に向かって先端の辺が折り曲げられる折曲げ部39,40が形成されている。折曲げ部39,40は、図10に示すように、正極タブ31及び負極タブ32の厚さが0.1mmであるのに対して、先端までの高さが0.3mm程度まで折り曲げられている。これにより正極タブ31及び負極タブ32は、先端の辺が折り曲げられることにより円弧状に立ち上げられ、後述するように正極端子21及び負極端子22と接合された後、この接合部45が折り曲げられることにより、先端と正極端子21及び負極端子22とが接触した場合にも、先端の辺によって正極端子21及び負極端子22を損傷させ、あるいは切断してしまう事態を防止することができる。
【0036】
なお負極タブ32には、バッテリー缶2に帯電した電荷を流すアース43が接続されている。アース43は、ホルダ30に支持されることにより一端を負極タブ32に接続され、他端をバッテリー缶2の内面に当接可能とされている。これにより、金属製のバッテリー缶2に電荷が帯電した場合にも、アース43を通じて負極タブ32に落とし込むことができ、バッテリー缶2に帯電した電荷によって二次電池1内のマイコンや二次電池1を装着する電子機器に誤動作等を引き起こす恐れがない。なお、アースは、基板35に接触させ、基板35を介して負極タブ32に電荷を落としてもよい。
【0037】
またホルダ30の上下面30a,30bには、トップカバー36に設けられた連結孔46に挿通係合する連結突起44が長手方向に亘って断続的に複数形成されている。ホルダ30は、この連結突起44が連結孔46に係合することによってトップカバー36と連結され、基板35を挟持する。
【0038】
基板35は、バッテリーセル3から流れる電流を正極端子板33及び負極端子板34を介して電子機器に供給する回路パターンが形成されたリジット基板であり、正極タブ31及び負極タブ32の他端31b,32bと溶接される正極端子板33及び負極端子板34とが実装されている。かかる正極端子板33及び負極端子板34は、実装面と反対側の面に形成された正極端子部37及び負極端子部38と接続されている。そして基板35は、この正極端子部37及び負極端子部38がトップカバー36に設けられた端子孔48を介して外方に臨まされ、デジタルスチルカメラ10や充電器側に設けられた電極端子に接触される。
【0039】
正極端子部37及び負極端子部38は、二次電池1の機能に応じて配置を異ならせて形成されている。これは、各種電子機器に用いられる二次電池1においては、バッテリー缶2や第1の電池蓋4といった外形においては同一形状を有していながら、使用される電子機器に応じて電池容量を異ならせたり、対応可能な電子機器を異ならせることにより、互換性を有しないものとして複数種類の二次電池1が提供されることがある。また、LED表示部や液晶表示部といった残量表示部及び残量表示ボタンを備え、これにより残量表示機能を持たせたタイプと、かかる残量表示機能を持たないタイプ、あるいは急速充電が可能なタイプと不可能なタイプといった機能に違いを持つ複数の二次電池1が提供されることがある。
【0040】
しかし、二次電池1の外形はいずれの機能を持つタイプにおいても同一であるため、被対応の電子機器に装着されるおそれがある。そこで、機能別に正極端子部37及び負極端子部38の配置を異ならせるとともに、対応する電子機器の電極端子の配置を同様に異ならせることで、二次電池の誤装着によるトラブルを防止することが可能となる。
【0041】
具体的に、正極端子部37及び負極端子部38は、機能別に略点対称の位置に配設される。例えば図11(a)に示す電池容量が760mAhのタイプの二次電池1Aと、図11(b)に示すより高容量化した830mAhのタイプの二次電池1Bとでは、正極端子部37及び負極端子部38の配置が180°回転された略点対称の配置とされる。なお、かかる正極端子部37及び負極端子部38の配置は、図12(a)及び図12(b)に示すように、機能別に左右対称としてもよく、また、適宜、略点対称な配置形状は選択することができる。
【0042】
以上のように二次電池1の機能に応じて正極端子部37及び負極端子部38の配置を異ならせるとともに、当該機能に対応した電子機器の電極端子の配置も異ならせることで、当該二次電池1が非対応の電子機器に装着された場合にも、電子機器側の電極端子と二次電池1側の電極端子とが接触することがないため、非対応の二次電池1が装着されることによるトラブルを防止することができる。
【0043】
この基板35は、絶縁基板に貼着された銅箔をエッチングする等により回路パターン、及びランドが形成され、ランド上に正極端子板33及び負極端子板34がリフローはんだ付けされることにより実装される。正極端子板33及び負極端子板34は、上述したように、正極端子21及び負極端子22とともに正極タブ31及び負極タブ32にそれぞれ溶接される。また正極端子部37、負極端子部38は、所定箇所に形成されたランド上に金メッキ等されることにより形成される。
【0044】
なお、基板35は、必要に応じて、二次電池1の温度を検出して充電制御や安全制御などを行うためのPTC(Positive Temperature Coeffcient)等の熱感応素子を設けてもよい。熱感応素子を備えることにより、二次電池1は、温度上昇したときに入出力回路を遮断、制御することができる。
【0045】
この基板35をホルダ30と共に挟持するトップカバー36は、合成樹脂によりバッテリー缶2の第1の開口部5と略同一形状にモールド成形された短辺側の稜が円弧状に形成された略台形平板状の部品であり、第1の開口部5と隙間無く係合可能とされている。このトップカバー36は、短辺側となる上面36a及び長辺側となる下面36bに上記ホルダ30に突設された連結突起44が挿通係合する連結孔46が、連結突起44に対応して断続的に複数形成されている。またトップカバー36は、上面36a及び下面36bにバッテリー缶2の第1の開口部5の周囲に形成された係合孔6に係合される係合凸部47が断続的に複数形成されている。そしてトップカバー36は、上面36a及び下面36bがやや撓みながら第1の開口部5よりバッテリー缶2内に挿入されることにより、この係合凸部47が係合孔6に係合され、バッテリー缶2に組み付けられる。
【0046】
またトップカバー36は、前面36cに基板35に形成された正極端子部37及び負極端子部38を外方に臨ませる端子孔48が穿設され、この端子孔48を介してデジタルスチルカメラ10等の電子機器や充電器側の電極端子と正極端子部37及び負極端子部38とを接触させる。なお端子孔48は、基板35に形成された端子部に応じて例えば三カ所設けられ、それぞれ正極端子用、負極端子用、その他電池残量等の情報端子用とすることができる。なお端子孔48の数は、基板35に設けられた端子部に応じて適宜増減することができる。
【0047】
このトップカバー36は、ホルダ30に保持された正極タブ31及び負極タブ32を介してバッテリーセル3の正極端子21及び負極端子22と、基板35の正極端子板33及び負極端子板34とが接続された後、連結孔46にホルダ30の連結突起44が挿通されることにより、基板35を挟んでホルダ30と連結され、第1の電池蓋4が形成される。その後、第1の電池蓋4は、トップカバー36の係合凸部47がバッテリー缶2の第1の開口部5周辺に形成された係合孔6に係合することによってバッテリー缶2に組み付けられ、二次電池1が形成される。
【0048】
なお、トップカバー36は、図13に示すように、前面36cに電池収納部12とは別に電子機器の筐体に形成された電池装着部に外付けする場合や、充電器の電池装着部に装着させる場合に、電子機器や充電器の電池装着部に突設された係止突部78に係止される係止部49を形成するようにしてもよい。二次電池1は、図14に示すように、この係止部49を係止突部78に係止させた後、後述する第2の電池蓋8に形成された係止部55が係止部材51に係止されることによりバッテリー缶2を装着させる。かかる係止部49は、トップカバー36をモールド成型する際に容易に形成することができる。なお、図13(a)は、係止部49をトップカバー36の前面36c両端部に凹状に形成した例を示したものであり、図13(b)は、凹状の係止部49の両端を切り欠いた例を示したものである。また、図13(c)は、電池装着部に係止凹部を設け、二次電池1のトップカバー36に係止凹部に対応した形状を備える凸状の係止部49を形成した例を示すものである。
【0049】
なお、本明細書では、かかる二次電池1について、バッテリー缶2の短辺側主面を二次電池1の上面1aと、バッテリー缶2の長辺側の主面を二次電池1の下面1bと、トップカバー36の前面36cを二次電池1の前面1cといい、バッテリー缶2の底面部を二次電池1の背面1dという。
【0050】
次いで、バッテリーセル3の正極端子21及び負極端子22が導出された導出面3aと反対側の側面と対峙され、バッテリー缶2の第2の開口部7を閉塞する第2の電池蓋8について説明する。この第2の電池蓋8は、合成樹脂によりバッテリー缶2の第2の開口部7と略同一形状にモールド成形されることにより短辺側の稜が円弧状に形成された略台形平板状の部品であり、第2の開口部7と隙間無く係合可能とされている。
【0051】
また第2の電池蓋8は、上面8a及び下面8bにバッテリー缶2の第2の開口部7の周囲に形成された係合孔9に係合される係合凸部50が断続的に複数形成されている。そして第2の電池蓋8は、上面8a及び下面8bがやや撓みながら第2の開口部7よりバッテリー缶2内に挿入されることにより、この係合凸部50が係合孔9に係合され、バッテリー缶2に組み付けられる。これにより第2の電池蓋8は、バッテリー缶2の底面部を構成する。
【0052】
また第2の電池蓋8は、前面8dの一端部がデジタルスチルカメラ10の電池収容部12に設けられた係止部材19に係止される係止部とされている。すなわち、図15(a)及び図15(b)に示すように、前面8dは、バッテリー缶2をデジタルスチルカメラ10の電池収容部12内に保持する鉤状の係止部材19が係止される係止領域とされ、二次電池1の装着の際、係止部材19が係止される。これにより、付勢部材によって常時、電池収容部12の外方に向かって付勢されている二次電池1は、当該付勢力に対抗して電池収容部12内に係止される。また、二次電池1は、かかる係止部材19が前面8dから外れることにより、電池収容部12から排出される。
【0053】
また、二次電池1が挿入方向を誤って底面部からデジタルスチルカメラ10等の電子機器や充電器に装着された場合にも、正極端子部37及び負極端子部38の位置に対応して設けられたデジタルスチルカメラ10や充電器側の電極と二次電池1の底面部を構成する合成樹脂製の第2の電池蓋8とが接することとなるため、該底面部を金属製のバッテリー缶2にて一体に形成した二次電池と異なり、金属製のバッテリー缶が直に接することによるショートを防止することができる。
【0054】
また第2の電池蓋8は、バッテリーセル3がバッテリー缶2に挿入されることにより、後述する弾性部材60を介してバッテリーセル3の挿入端面3bと接着される。これにより、バッテリーセル3は、バッテリー缶2内に接着されるため、バッテリー缶2内におけるがたつきが防止される。また、二次電池1の落下や振動等によりバッテリーセル3に加わる衝撃を吸収することができ、また正極端子21及び負極端子22と正極タブ31及び負極タブ32との接合部45に過剰な負荷が加わることを防止することができる。
【0055】
なお、かかるバッテリー缶2の底面部を構成する第2の電池蓋8は、図16に示すように、電池収容部12とは別に電子機器の筐体に形成された電池装着部に外付けする場合や、充電器の電池装着部に装着させる場合に、図14に示すように、電子機器や充電器の電池装着部に突設された係止部材51に係止される係止部55を形成するようにしてもよい。
【0056】
この係止部55は、例えば長手方向に沿って略矩形状の凹部が形成されてなり、第2の電池蓋8をモールド成型する際に同時に形成される。そして係止部55は、図14(a)に示すように、例えば電子機器の外筐体に設けられた電池装着部に形成され、係止部55側に回動付勢された鉤状の係止部材51が係止される。なお、図16(a)は、第2の電池蓋8の長手方向の全長に亘って凹状の係止部55を形成した例を示す図であり、図16(b)は、第2の電池蓋8の長手方向の両端部に一対の係止部55,55を形成した例を示す図である。
【0057】
そして係止部55は、図14(b)及び図14(c)に示すように、上述した第1の電池蓋4に形成された係止部49が係止突部78に係止された後、バッテリー缶2の係止方向に回動付勢されている係止部材51に係止されることにより、二次電池1を電子機器等の筐体外部に外付けすることができる。これにより電子機器は、電池収容部に収容された二次電池1の他に、別個の二次電池1を容易に外付けすることができ、電子機器の使用時間を延長させることができる。
【0058】
かかる係止部55は、図16に示す例に限定されることなく適宜、任意の形状で形成できる。また、電池装着部側に凹状の係止部材を設け、第2の電池蓋8にこの係止部材に対応した形状を備える凸状の係止部55を形成するようにしてもよい。
【0059】
なお、この係止孔8は、図6に示すように、後述するバッテリーセル3の挿入端面3bに凹部29が発生することから、かかる凹部29に対応して形成されることにより、バッテリーセル3内に収納されている正極、負極及び電解質からなる電池素子20と干渉することなく形成される。
【0060】
次いで、かかる二次電池1の製造工程について図17を参照しながら説明する。先ず図17(a)に示すように、バッテリーセル3及び基板35を詳細を省略する治具に配設する。なお、このときバッテリーセル3は、セル集合体27の糊代28に沿って切断されるとともに、糊代28をバッテリーセル3の側面に沿って折り曲げて断面略台形状とされ、取扱い易くされるとともに、後述するようにバッテリー缶2内に収納された際に、折り曲げられた糊代28がバッテリー缶2の側面とバッテリーセル3との間に配されることにより緩衝部材として機能する。また基板35は、所定の回路パターン及び正極端子部37及び負極端子部38が形成されるとともに、正極端子板33及び負極端子板34がリフローはんだ付けされている。
【0061】
なお、バッテリーセル3は、セル集合体27形成し、これを糊代28に沿って切断して形成する以外に、個々のバッテリーセル毎に、電池素子20が収納された収納シートに密閉シートを接合させて形成するようにしてもよい。
【0062】
バッテリーセル3は、正極端子21及び負極端子22が導出された収納シート24と密閉シート26との接合面を上側に向けて、収納凹部25の底部を下側に向けるように配設される。すなわち略断面台形状のバッテリーセル3は、短辺側を下方に、正極端子21及び負極端子22が導出された長辺側を上方に向けて配設される。またバッテリーセル3は、正極端子21及び負極端子22が導出された導出面3aを基板35側に向けて配設される。基板35は、正極端子板33及び負極端子板34が実装された実装面を上側に向けるとともに、略台形状の短辺側をバッテリーセル3の導出面3a側に向けて配設される。
【0063】
次いで図17(b)に示すように、ホルダ30に正極タブ31及び負極タブ32を挿通孔41,42に挿通、保持する。またこのときアース43もホルダ30に装着する。次いで図17(c)に示すように、かかるホルダ30を治具に装着することにより、バッテリーセル3と基板35との間に配設する。ホルダ30は、正極タブ31及び負極タブ32を保持する略台形状の短辺側を下に向け、基板35の短辺と位置合わせされる。またホルダ30は、バッテリーセル3の正極端子21の上に正極タブ31の一端31aが重ねられ、負極端子22の上に負極タブ32の一端32aが重ねられる。また基板35の正極端子板33の上に正極タブ31の他端31bが重ねられ、負極端子板34の上に負極タブ32の他端32bが重ねられる。これによりバッテリーセル3の正極端子21及び負極端子22、ホルダ30の正極タブ31及び負極タブ32、基板35の正極端子板33及び負極端子板34は、略同一平面上に載置されることとなる(図18参照)。
【0064】
次いで、正極タブ31の一端31a及び他端31b、負極タブ32の一端32a及び他端32bの各上から4カ所を溶接することにより、バッテリーセル3の正極端子21と正極タブ31の一端31aとを、また、負極端子22と負極タブ32の一端32aとを、また、基板35の正極端子板33と正極タブ31の他端31bとを、また負極端子板34と負極タブ32の他端32bとを、各接合させる。ここで、正極端子21はアルミ(Al)が用いられているが、ニッケル製の正極タブ31の上から溶接されるため、熱によって溶け出すことなく確実に接合することができる。
【0065】
次いで図17(d)に示すように、基板35を立ち上げることによりホルダ30と重ねる。このとき、ホルダ30に保持されている正極タブ31及び負極タブ32の各他端31b,32bは、挿通孔41,42より基板35側に突出する基端部が基板35の立ち上がり方向に沿って折り曲げられる。
【0066】
次いで図17(e)に示すように、正極端子21及び負極端子22と正極タブ31の一端31a及び負極タブ32の一端32aとの接合部45を覆うように、絶縁紙59が貼り付けられる。絶縁紙59は、正負極端子21,22と正負極タブ31,32との接合部45を補強するとともに、金属製のバッテリー缶2と接合部45との接触によるショートや、正極タブ31及び負極タブ32の変形による正極、負極間のショートを防止するためのものである。絶縁紙59は一面側に接着層が形成され、図17(f)に示すように接合部45を挟んで折り曲げられ接着層同士を張り合わせることにより貼り付けられる。
【0067】
次いで図17(g)に示すように、ホルダ30とトップカバー36とを連結することにより第1の電池蓋4を形成する。その後、図17(h)及び図9に示すように、バッテリーセル3の導出面3aと、第1の電池蓋4とが相対向するように絶縁紙59が貼り付けられた正極端子21及び負極端子22と正極タブ31及び負極タブ32との接合部45を略S字状に折り曲げる。このように接合部45を湾曲させた状態でバッテリー缶2に収納することにより、落下や振動等によってバッテリーセル3と第1の電池蓋4との間に衝撃が加わった場合にも、略S字状に折り曲げ収納された接合部45によって衝撃の負荷が吸収され、正極端子21及び負極端子22と、正極タブ31及び負極タブ32とが外れたり切断したりすることを防止することができる(図9(a)及び図9(b)参照)。
【0068】
次いで、図17(i)に示すように、バッテリーセル3は、バッテリー缶2への挿入端面3bに、やや厚みを有し両面に接着剤層が形成された弾性部材60を貼着する。この弾性部材60は、バッテリーセル3をバッテリー缶2内に固定してがたつきを防止するとともに、バッテリーセル3に加わる衝撃を吸収するものであり、例えば基材としてウレタンフォームを用いた両面テープ等である。バッテリーセル3の挿入端面3bは平坦に形成されず形状にばらつきが生じやすい面であるが、弾性部材60によってばらつきを吸収し、バッテリーセル3をバッテリー缶2内に確実に接着することができる。また、弾性部材60は、落下や振動等によりバッテリーセル3に加わる衝撃を吸収することができ、あるいはバッテリーセル3の熱膨張による接合部45への負荷を軽減させることができ、上述した絶縁紙59とともに、正極端子21及び負極端子22と正極タブ31及び負極タブ32とが外れることを防止することができる。
【0069】
この弾性部材60はバッテリーセル3の挿入端面3bの形状に応じて略矩形状に形成されるとともに、長手方向の両端部にバッテリーセル3の側面に沿って配設されることによりバッテリーセル3の糊代28をバッテリー缶2から絶縁する絶縁フィルム61が貼着されている。すなわち、バッテリーセル3の包装体23を構成する収納シート24及び密閉シート26は、上述したように、内側から順にポリプロピレン(PP)層52、アルミニウム(Al)層53、ナイロン層54がこの順に積層されたシートであり、糊代28に沿って切断されると、この切断面にはシートを構成する各層が外部に露呈する。このうち、アルミニウム層53が金属製のバッテリー缶2に直に接触しているとすると、バッテリー缶2が帯電した場合、アルミニウム層53が負極となり、更にポリプロピレン層52に何らかの原因で孔があくと、アルミニウム層53が電触により孔があく。そして、かかる包装体23の孔から水分が浸入することでバッテリーセル3が膨張してしまうおそれがある。そこで、絶縁フィルム61をバッテリーセル3の切断面に沿って配設させることによりバッテリー缶2と包装体23の切断面との絶縁を図り、電池素子20の吸湿によるバッテリーセル3の膨張を防止することとしている。
【0070】
この絶縁フィルム61は、バッテリーセル3の側面に応じた形成された長尺状のフィルムであり、一端を弾性部材60の各端部に貼着されている。この絶縁フィルム61は、バッテリーセル3が挿入端面3bよりバッテリー缶2内に挿入されると、図19及び図20に示すように、バッテリー缶2の第1の開口部5の側縁部によってバッテリーセル3の側面に沿って折り曲げられ、バッテリーセル3の側面に折り曲げられている糊代28の切断面とバッテリー缶2の側面との間に隙間なく配設される。これにより糊代28の切断面に露呈するアルミニウム層53とバッテリー缶2との接触を防止することができる。
【0071】
次いで図17(j)に示すように、バッテリーセル3をバッテリー缶2内に挿入し、第1の電池蓋4によってバッテリー缶2の第1の開口部5を閉塞する。このとき、バッテリー缶2には、予め第2の開口部7に第2の電池蓋8が組み付けられている。バッテリーセル3は、断面略台形状の短辺側と長辺側を、同じく断面略台形状に形成されたバッテリー缶2の短辺側と長辺側と合わせて挿入する。これにより、バッテリー缶2内のスペースを有効に活用でき、バッテリー缶2とバッテリーセル3との間には所定のクリアランスが設けられる。このクリアランスは、図21(a)〜(c)に示すように、バッテリーセル3が熱等によって膨張した場合のマージンとなり、バッテリーセル3の膨張に伴う接合部45への過剰な負荷や、バッテリー缶2の変形を避けることができる。なお、図21(a)は、バッテリーセル3の両主面が均等に膨張した場合を示し、図21(b)及び(c)は、バッテリーセル3の両主面が不均等に膨張した場合を模式的に示している。
【0072】
また、バッテリーセル3の向きを逆にした場合には、バッテリーセル3の長辺側の稜がバッテリー缶2の短辺側に形成された円弧状の稜と干渉し挿入が妨げられるため、誤挿入を防止することができる。
【0073】
バッテリーセル3が挿入されることにより、図19に示すように、絶縁フィルム61がバッテリー缶2の第1の開口部5側縁によってバッテリーセル3の側面に沿って配設されていく。またバッテリーセル3は、挿入端面3bに貼着された弾性部材60によってバッテリー缶2の底面部を構成する第2の電池蓋8の内壁に接着される。バッテリーセル3の挿入に続いて、トップカバー36に突設されている係合凸部47が撓みながら第1の開口部5内に進入し、係合孔6と係合されることにより、第1の電池蓋4がバッテリー缶2の第1の開口部5に組み付けられる。
【0074】
また、バッテリー缶2に第1の電池蓋4が組み付けられることにより、正極端子21及び負極端子22と正極タブ31及び負極タブ32との接合部45は、略S字状に湾曲した状態でバッテリーセル3とホルダ30との間に配設される。
【0075】
次いで図17(k)に示すように、バッテリー缶2の周囲に外装ラベル15が貼着される。最後に図17(l)に示すように、外装ラベル15が貼着されたバッテリー缶2の長辺側の主面部に二次電池1の各種情報が記載された情報ラベル16が貼着され、二次電池1が完成する。
【0076】
以上のような二次電池1によれば、金属製のバッテリー缶2と、モールド成型される第1の電池蓋4及び第2の電池蓋8を組み付けることにより、容易に組み立てることができる。また、バッテリー缶2を金属板を断面略台形状の筒体に形成しバッテリーセル3の形状に応じた任意の長さで切断することにより形成できるため、容易に二次電池を生産することができる。すなわち、バッテリー缶を、バッテリーセル3が挿入される第1の開口部5のみを開口させた場合、深絞り加工を用いて製造することとなり、金型の製造に費用とコストがかかり、またバッテリー缶の製造、加工工程も煩雑となる。一方、本発明のごとく、筒型のバッテリー缶2とすれば、押し出し成形により簡単に製造でき、バッテリー缶2の設計の自由度も向上することができる。また、バッテリー缶2の加工工程も少なくすることができる。さらに、筒型の金属板をバッテリーセルの形状に応じて切断することにより製造するため、長さ寸法の異なる複数種類のバッテリーセルに対応するバッテリー缶2を容易に製造することができる。
【0077】
また、金属製のバッテリー缶2を用いることで、薄型化と強度確保を同時に実現することができ、電子機器の小型化、薄型化、軽量化といった要請に応ずることができる二次電池を提供することができる。
【0078】
さらに、モールド成型してなる第1及び第2の電池蓋4,8を用いることで、二次電池1を電子機器の電池装着部に取り付ける際の取付端となる係止部49や係止部55といった外形形状を容易に形成することができる(図13及び図16)。なお、これら第1、第2の電池蓋4,8に形成される外形形状は、二次電池1の容量や急速充電の可否、残量表示機能の有無といった機能や属性を識別するための識別部として用いることができる。例えば、第1の電池蓋4のトップカバー前面36cに凸状の規制部を設けることで、対応する電子機器以外の電子機器への装着や、急速充電に対応していない二次電池の急速充電を行う充電器への装着を規制することができる。かかる規制部は、電池蓋4,8をモールド成形する際に形成され、二次電池1に対応する電子機器や充電器には、該規制部に対応する凹状の嵌合部が形成されている。これにより、規制部を嵌合する嵌合部を備えない非対応の電子機器や充電器へ二次電池を装着することを防止できる。
【0079】
なお、図22〜図27に係止部49及び係止部55を備えた二次電池1の斜視図(a)及び(b)と、当該斜視図に示された二次電池1の正面図(c)、背面図(d)、左側面図(e)、右側面図(f)、平面図(g)及び底面図(h)を示す。
【0080】
また、二次電池1は、バッテリー缶2及び第1の電池蓋4及び第2の電池蓋8を、短辺側の稜が円弧状とされた断面略台形状に形成され、かつデジタルスチルカメラ10側の電池収容部12の形状も同様にすることで、挿入面が裏表逆の場合、電池収容部12の稜と二次電池1の稜とが干渉し挿入が規制されるため、誤挿入を確実に防止することができる。
【0081】
また、二次電池1は、外装ラベル15が二次電池1の底面部を構成する第2の電池蓋8に貼着されていないことから、電子機器側に設けられた係止部材19が係止する係止部とすることで、繰り返し係止部材19によって摺擦された場合にも、外装ラベル15の破れや剥がれといった事態を防止することができる。
【0082】
また、二次電池1が挿入方向を誤って底面部からデジタルスチルカメラ10等の電子機器や充電器に装着された場合にも、正極端子部37及び負極端子部38の位置に対応して設けられたデジタルスチルカメラ10や充電器側の電極と二次電池1の底面部を構成する合成樹脂製の第2の電池蓋8とが接することとなるため、該底面部を金属製のバッテリー缶2にて一体に形成した二次電池と異なり、金属製のバッテリー缶が直に接することによるショートを防止することができる。
【0083】
さらに、二次電池1は、図28に示すように、外装ラベル15を第1の電池蓋4のトップカバー36及び第2の電池蓋8の各上面36a,8a及び下面36b,8bに掛かるように貼着することで、バッテリー缶2と第1及び第2の電池蓋4,8との組み付け強度を向上させることができる。したがって、バッテリー缶2と係合される第1の電池蓋4及び第2の電池蓋8に形成された係合凸部47,50を係合孔6,9よりバッテリー缶2の上面側に突出させる必要がないため、二次電池1の平坦性や外観を損なうことなく、組立強度を確保することができる。
【0084】
さらに、二次電池1は、バッテリー缶2及び第1及び第2の電池蓋4,8を同一形状としながら、電池容量等の機能の相違に応じて第1の電池蓋4に形成される正極端子部37及び負極端子部38の位置を異ならせることで、互換性を有しないタイプの二次電池1が誤って非対応のデジタルスチルカメラ10に装着された場合でも電極端子が導通することなく、トラブルを未然に防止することができる。
【0085】
さらに、二次電池1は、バッテリー缶2及びバッテリーセル3を短辺側の稜線を円弧状に形成した断面略台形状に形成することで、バッテリーセル3のバッテリー缶2への誤挿入を防止し、バッテリー缶2内のスペースを有効に利用することができる。これによりバッテリーセル3とバッテリー缶2の内壁との間に、バッテリーセル3が熱膨張した際のマージンとなるクリアランスを設けることができる。したがって仮にバッテリーセル3が熱膨張した場合にも、バッテリー缶2に歪みが生じたり、また正極端子21及び負極端子22と正極タブ31と負極タブ32との接合部45に過剰な負荷がかかることがない。
【0086】
さらに、二次電池1は、第1の電池蓋4を、正極タブ31及び負極タブ32の位置決め及び固定を図るホルダ30と、正極端子部37及び負極端子部38を備える基板35と、ホルダ30とともに基板35を挟持するトップカバー36から構成している。これにより、ホルダ30において正極タブ31及び負極タブ32を位置決めを図り、かつ保持することで、正極端子21及び負極端子22あるいは正極端子板33及び負極端子板34との溶接を容易に行うことができ、また二次電池1の落下や振動等の衝撃が加わった場合にも正極タブ31及び負極タブ32がずれることにより溶接箇所が外れてしまう事態を防止することができる。
【0087】
さらに、二次電池1は、バッテリーセル3の挿入端面3bに弾性部材60を介してバッテリー缶2に接着されているため、バッテリー缶2内におけるバッテリーセル3のがたつきを防止するとともに、バッテリー缶2の落下や振動等の衝撃を吸収し、接合部45に衝撃が加わることを防止することができる。また、バッテリーセル3を糊代28を側面に沿って折り返した後バッテリー缶2内に挿入することにより、折り返された糊代がバッテリーセル3とバッテリー缶2との緩衝部材として機能させることができる。
【0088】
さらに、二次電池1は、弾性部材60に絶縁フィルム61を貼着することにより、バッテリーセル3をバッテリー缶2に挿入すると、バッテリー缶2の第1の開口部5の側面にガイドされながらバッテリーセル3の側面に沿って絶縁フィルム61が配設されて、糊代28の切断面に露呈する包装体23のアルミニウム層53を覆い、バッテリー缶2の内壁との絶縁を図ることができる。したがって、金属製のバッテリー缶2が帯電した場合にも、バッテリー缶2と包装体23のアルミニウム層53とが通電して電触を引き起こすことを防止することができる。
【0089】
さらに、二次電池1は、正極端子21及び負極端子22と正極タブ31と負極タブ32との接合部45に、絶縁紙59が貼り付けられているため、接合部45を補強することができるとともに、金属製のバッテリー缶2と接触することによるショートを防止することができる。また、この接合部45が略S字状に湾曲しながらバッテリー缶2内に収納されることにより、二次電池1の落下や振動等によってバッテリーセル3と第1の電池蓋4との間に衝撃が加わった場合にも、略S字状に折り曲げ収納された接合部45が撓むことによって衝撃の負荷が吸収され、正極端子21及び負極端子22と、正極タブ31及び負極タブ32とが外れることを防止することができる。
【0090】
なお、本発明が適用された二次電池1は、図29に示すように、第2の電池蓋8を、第1の電池蓋4と同様に、ホルダ56と基板57とボトムカバー58とで形成することにより、駆動回路や端子を増設することができる。ホルダ56、基板57及びボトムカバー58の構成は、それぞれ上述したホルダ30、基板35及びトップカバー36と同様であるため、その詳細は省略する。基板57には、各種回路パターンや半導体素子等が形成され、第1の電池蓋4を構成する基板35と詳細を省略するフレキシブル基板などによって接続されている。
【0091】
なお、基板57には、基板35に形成したような正極端子部及び負極端子部を設ける必要は必ずしもないため、ボトムカバー58にもトップカバー36に設けられた端子孔48のごとき端子孔は必ずしも形成されない。基板57に正極端子部及び/又は負極端子部あるいはアース電極からなる缶底電極62を設けた場合には、ボトムカバー58にもこの缶底電極62を外方に臨ませる端子孔が形成される。
【0092】
またこのとき、第2の電池蓋8のボトムカバー58に凹状の係止部55が長手方向に亘って形成されていた場合には、図30に示すように、第2の電池蓋8の係止部55に、端子孔を形成し、係止部55を介して基板57に形成された缶底電極62が外部に臨まされる。一方、電子機器側に設けられ、係止部55に係止される係止部材51には、電子機器側の電極あるいはアース部と接続された電極部51aが形成され、第2の電池蓋8の係止部55を係止すると同時に、缶底電極62と接続される。
【0093】
なお、本発明が適用された二次電池1は、上述したように、弾性部材60を介してバッテリーセル3をバッテリー缶2内に接着したが、図31(a)〜図31(c)に示すように、バッテリーセル3の挿入前に、バッテリー缶2内の一主面に接着剤65を塗布し、バッテリー缶2内に挿入されるバッテリーセル3によって該接着剤65がバッテリー缶2内の一主面に引き延ばされることにより、バッテリーセル3をバッテリー缶2に接着するようにしてもよい。かかる構成を用いることによっても、バッテリーセル3をバッテリー缶2内に固定することができ、二次電池1の落下や振動等によってもバッテリーセル3がバッテリー缶2内でがたつくことが防止される。したがって、正極端子21及び負極端子22と正極タブ31と負極タブ32との接合部45に過剰な負荷がかかることなく、正極端子21及び負極端子22と、正極タブ31及び負極タブ32とが外れたり切断することを防止することができる。
【0094】
また、接着剤65を用いてバッテリーセル3をバッテリー缶2内に固定することにより、バッテリー缶2内のスペースを有効に用いることができ、バッテリーセル3の接着面と反対側の主面と該主面と対向するバッテリー缶2の内壁との間に所定のクリアランスを形成することができる。したがって、図32に示すように、バッテリーセル3が熱膨張した場合においても、該クリアランスによってバッテリーセル3の体積膨張に対するマージンを確保しているため、バッテリー缶2に歪みが生じ、また接合部45に過剰な負荷がかかる事態を防止することができる。
【0095】
また、本発明が適用された二次電池1は、図33に示すように、第2の電池蓋8に、バッテリーセル3の挿入端面3bを支持する突起部66を形成してもよい。突起部66は、バッテリーセル3のバッテリー缶2への挿入端面3bを支持することにより、バッテリー缶2の全長よりも短いバッテリーセル3が挿入された場合にも、該バッテリーセル3がバッテリー缶2内でがたつくことなく収納するためのものである。この突起部66は、バッテリーセル3の挿入端面3bと対峙される第2の電池蓋8の内面8cに複数断続的に設けられている。また突起部66は、合成樹脂をモールド成形することにより、第2の電池蓋8と一体に形成される。
【0096】
なお、図33(a)は、第2の電池蓋8に係止部55を設けていない場合を示し、図33(b)は、第2の電池蓋8に凹状の係止部55を設けた場合を示しており、いずれも突起部66に支持されるバッテリーセル3の挿入端面3bには弾性部材60が貼着されておらず、バッテリー缶2に供給された接着剤65によってバッテリーセル3が固定されている。勿論、第2の電池蓋8には、凸状の係止部55を設けてもよい。
【0097】
また、本発明が適用された二次電池1は、第2の電池蓋8の前面8dをバッテリー缶2の断面形状よりも張り出し形成するようにしてもよい。具体的に図34に示すように、この第2の電池蓋8の前面8dを矩形状に形成することにより、短辺側の稜が円弧状に形成された断面略台形状に形成されているバッテリー缶2の、該短辺側の稜から第2の電池蓋8の前面8dの角部が張り出される。
【0098】
このように第2の電池蓋8の前面をバッテリー缶2の外周から張り出し形成することにより、この二次電池1をデジタルスチルカメラ10等の電子機器に形成された電池収納部に逆挿入しようとしても、かかる第2の電池蓋8の前面8dが電池収容部12の挿入口よりも大きく形成されているため、この電池収納部12の周壁によって内部への挿入が規制されるため、二次電池1の前後の逆挿入を防止することができる。
【0099】
なお、二次電池1の裏表の逆挿入に対しては、電池収納部12を短辺側の稜が円弧状に形成された断面略台形状とすることにより、電池装着部の短辺側に形成された円弧状の稜によって、二次電池1の長辺側の角形の稜が干渉されて、挿入が規制される(図5参照)。
【0100】
また、本発明が適用された二次電池1は、図35に示すように、第2の電池蓋8の内面8cから長尺状に形成された一対のフィン68,68を設けてもよい。これら一対のフィン68,68は、バッテリー缶2内に挿入されたバッテリーセル3の側面に折り返されている糊代28の切断面とバッテリー缶2の内壁とを絶縁するために設けられるものであり、第2の電池蓋8の内面8cに、長手方向両端部からバッテリー缶2の側面に沿うように立設されている。
【0101】
フィン68,68は、第2の電池蓋8がバッテリー缶2の第2の開口部7に組み付けられる際にバッテリー缶2の側面に沿って挿入されるものであり、挿入時に折れ曲がったり湾曲することなく真っ直ぐにバッテリー缶2の側面に沿って配設可能な程度の剛性を有する。またフィン68,68は、絶縁性を有する合成樹脂を用いて第2の電池蓋8をモールド成型する際に一体に形成されるものであるが、第2の電池蓋8の形成後に、別途取り付けるようにしてもよい。
【0102】
第2の電池蓋8がバッテリー缶2に組み付けられることにより、絶縁性を有するフィン68,68がバッテリー缶2の内側面に沿って配設されることとなり、次いでバッテリーセル3が挿入されると、バッテリーセル3の側面に臨む糊代28の切断面とバッテリー缶2との間にフィン68,68が介在することによって両者が絶縁される。これにより、糊代28の切断面に臨むアルミニウム(Al)層53と金属製のバッテリー缶2とが直に接触することを防止することができる。したがって、金属製のバッテリー缶2が帯電した場合にも、バッテリー缶2と包装体23のアルミニウム層53とが直に接触して負極となるとともに、ポリプロピレン層52に何らかの原因で孔があくことにより電触を引き起こし、包装体23に孔があいて水分が浸入することでバッテリーセル3が膨張することを防止することができる。
【0103】
また、上述した弾性部材60に貼着された絶縁フィルム61を用いた場合には、弾性部材60の貼りずれや絶縁フィルム61の撓み等を防止するために作業工程が煩雑となり、またコスト高となるが、フィン68,69を突設する場合にはかかる工程の煩雑さやコスト面で有利となる。
【0104】
また、本発明が適用された二次電池1は、図36に示すように、第2の電池蓋8に残量表示部70を設けてもよい。残量表示部70は、第2の電池蓋8の前面8dに、例えば液晶ディスプレイが形成されてなり、二次電池1の残量を表示するものである。また第2の電池蓋8の前面8dには残量表示部70に残量表示させるためのスイッチ71が形成されている。そして、第2の電池蓋8の内面8cには、これら残量表示部70を構成する液晶ディスプレイやスイッチ71が形成されるとともに、駆動回路が形成された回路基板が設けられている(図示せず)。
【0105】
そして残量表示部70は、スイッチ71が押圧操作されると、二次電池1の残量を例えば、使用可能時間などで表示する。したがって、使用者は、電子機器などに装着させる前に二次電池の残量が容易に分かるため、電子機器の駆動中にバッテリー切れを起こすおそれが低減する。
【0106】
なお、残量表示部70は、上記液晶ディスプレイ以外にも有機ELディスプレイや、LED素子を用いて残量を表示させてもよい。また表示方法は、文字によるだけでなく、LEDを点灯させるなどして残量を表示させるようにしてもよい。
【0107】
また、本発明が適用された二次電池1は、図37に示すように、外装ラベル15が、第1の開口部5及び第2の開口部7の間に亘ってバッテリー缶2の外周を巻回する主面部73と、第1の電池蓋4のトップカバー36に巻回される第1の巻回部74と、第2の電池蓋8に巻回される第2の巻回部75とを有するように構成してもよい。
【0108】
これら第1の巻回部74及び第2の巻回部75は、いずれも、バッテリー缶2と第1の電池蓋4及び第2の電池蓋8との組み付け強度を向上させるためのものである。第1の巻回部74及び第2の巻回部75によってバッテリー缶と各電池蓋4,8との組み付け強度が向上されることにより、第1の電池蓋4のトップカバー36及び第2の電池蓋8に設けられた係合凸部47や係合凸部50と、バッテリー缶2の第1の開口部5及び第2の開口部7の周辺に設けられ係合凸部47や係合凸部50と係合する係合孔6や係合孔9との係合深さを大きく設け、係合凸部47や係合凸部50が係合孔6や係合孔9よりバッテリー缶2の上面に突出させることでバッテリー缶2と第1及び第2の電池蓋4,8との組み付け強度を確保する必要がない。したがって、二次電池1の平坦性や外観を損なうことなく、所望の組み付け強度を得ることができる。
【0109】
具体的に、トップカバー36の前面に巻回される第1の巻回部74は、トップカバー36の前面36cに形成された端子孔48を除く領域に巻回される。また、トップカバー36の前面36cに上記係止部49が形成されている場合には、端子孔48及び係止部49を除く領域に巻回される。
【0110】
また、第2の電池蓋8に巻回される第2の巻回部75は、上記電子機器の電池収容部12に形成された係止部材19に係止される長手方向の一端部を除く領域に巻回される。これにより、第2の巻回部75が係止部材19と摺接することによる剥がれを防止することができる。すなわち、第2の電池蓋8のの前面8d全体を覆うように第2の巻回部75がが貼着されていると、電池収容部12に二次電池1が挿脱される度に、係止部材19が第2の巻回部75を摺擦することとなり、次第に外装ラベル15が擦れて剥がれてしまう。この点、二次電池1では、かかる係止部材19に係止される長手方向の一端部を除く領域には外装ラベル15が貼着されないため、電池収容部12へ繰り返し挿脱された場合にも係止部材19による擦れの心配がない。
【0111】
また第2の巻回部75は、第2の電池蓋の前面8dに係止部55が形成されている場合には、該係止部55を除く領域に巻回される。係止部55が前面8dの長手方向に亘って形成されている場合には、係止部55より上側を覆うように巻回される。また係止部55が前面8dの長手方向の両端部に形成されている場合には、前面8dの両端部を除く領域を覆うように巻回される。これにより係止部55が常時、外部に露出させることができる。
【0112】
以上、筒状のバッテリー缶2の前後に第1、第2の開口部5,7を設け、それぞれ第1の電池蓋4、第2の電池蓋8で閉塞する二次電池1について説明したが、本発明は、図38に示すように、金属製のバッテリー缶を、バッテリーセル3の挿入方向の一端のみ開口部を設けるように形成し、バッテリーセル3と接続された合成樹脂製の第1の電池蓋4にて閉塞するように構成してもよい。この場合、バッテリー缶2は、深絞り加工にて形成される。このようなバッテリー缶に5面を設け、一の開口部よりバッテリーセルを挿入して電池蓋で閉塞する二次電池においても、金属製のバッテリー缶を用いることで、薄型化と強度確保を同時に実現することができ、電子機器の小型化、薄型化、軽量化といった要請に応ずることができる。また、合成樹脂製の電池蓋を用いるため、二次電池を電子機器の電池装着部に取り付ける際の取付端となる外形形状を容易に形成することができ、この外形形状によって、電池容量や急速充電の可否、残量表示機能の有無といった機能や属性を識別するための識別部や、非対応の電子機器に対して装着を規制する規制部として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明が適用された二次電池を用いる電子機器の例を示す斜視図である。
【図2】本発明が適用された二次電池を示す斜視図である。
【図3】本発明が適用された二次電池の分解斜視図である。
【図4】バッテリー缶の製造方法を示す斜視図である。
【図5】本発明が適用された二次電池を電子機器の電池収容部へ装着する様子を示す斜視図である。
【図6】バッテリーセルが挿入されたバッテリー缶を示す斜視図である。
【図7】バッテリーセルを示す分解斜視図である。
【図8】バッテリーセルの包装体の構造を示す断面図である。
【図9】バッテリーセルの正負極端子と正負極タブとの接合を示す側面図である。
【図10】正負極端子と正負極タブとの接合部を示す側面図である。
【図11】機能に応じて正負極端子部の配置を異ならせた二次電池を示す斜視図である。
【図12】機能に応じて正負極端子部の配置を異ならせた他の二次電池を示す斜視図である。
【図13】本発明が適用された二次電池の他の例を示す斜視図である。
【図14】本発明が適用された二次電池を電子機器等の外部に設けられた電池装着部へ装着する様子を示す図である。
【図15】外装ラベルが貼着された二次電池を示す図であり、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は正面図である。
【図16】本発明が適用された二次電池の他の例を示す斜視図である。
【図17】本発明が適用された二次電池の製造工程を示す工程図である。
【図18】治具に載置されたバッテリーセル、ホルダ及び基板を示す側面図である。
【図19】バッテリー缶に挿入されているバッテリーセルを示す斜視図である。
【図20】本発明が適用された二次電池を示す断面図である。
【図21】バッテリー缶内におけるバッテリーセルの様子を示す断面図である。
【図22】本発明が適用された二次電池の他の例を示す図である。
【図23】本発明が適用された二次電池の他の例を示す図である。
【図24】本発明が適用された二次電池の他の例を示す図である。
【図25】本発明が適用された二次電池の他の例を示す図である。
【図26】本発明が適用された二次電池の他の例を示す図である。
【図27】本発明が適用された二次電池の他の例を示す図である。
【図28】電池蓋が組み付けられた二次電池の断面図である。
【図29】第2の電池蓋に基板及び電極端子を設けた二次電池を示す断面図である。
【図30】電子機器等の外部に設けられた電池装着部の係止部材に電極部を設けた例を示す側面図である。
【図31】接着剤を用いてバッテリーセルをバッテリー缶内に接着させる様子を示す断面図である。
【図32】接着剤によって接着されたバッテリー缶内に接着されたバッテリーセルの様子を示す断面図である。
【図33】第2の電池蓋にバッテリーセルの挿入端面を支持する突起部を形成した二次電池を示す断面図である。
【図34】第2の電池蓋の前面を電池収容部よりも大きく形成した二次電池を示す斜視図である。
【図35】第2の電池蓋にバッテリーセルとバッテリー缶との接触を防止するフィンを形成した二次電池を示す分解斜視図である。
【図36】第2の電池蓋に残量表示部を設けた二次電池を示す斜視図である。
【図37】外装ラベルに第1及び第2の電池蓋を巻回する巻回部を設けた二次電池を示す分解斜視図である。
【図38】バッテリー缶の開口部を一つだけ設けた二次電池を示す斜視図である。
【図39】従来のポリマーリチウムイオン二次電池を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0114】
1 二次電池、2 バッテリー缶、3 バッテリーセル、4 第1の電池蓋、5 第1の開口部、6 係合孔、7 第2の開口部、8 第2の電池蓋、9 係合孔、15 外装ラベル、16 情報ラベル、19 係止部材、20 電池素子、21 正極端子、22 負極端子、23 包装体、24 収納シート、25 収納凹部、26 密閉シート、27 セル集合体、28 糊代、30 ホルダ、31 正極タブ、32 負極タブ、33 正極端子板、34 負極端子板、35 基板、36 トップカバー、37 正極端子板、38 負極端子板、39,40 折曲げ部、43 アース、45 接合部、48 端子孔、59 絶縁紙、60 絶縁フィルム、62 缶底電極、65 接着剤、66 突起部、68 フィン、70 残量表示部、73 主面部、74 第1の巻回部、75 第2の巻回部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に収納されることにより該電子機器に電力を供給する電子機器用の二次電池において、
正極、負極及び電解質を包装体に収納するとともに、上記正極及び負極からそれぞれ正極端子及び負極端子が上記包装体の一側面より導出されたバッテリーセルと、
上記バッテリーセルの挿入方向両端側に開口部が形成され、上記正極端子及び負極端子が導出された一側面を一方の上記開口部側に向けて上記バッテリーセルを収納する金属製のバッテリー缶と、
上記バッテリー缶の両開口部を閉塞する合成樹脂からなる一対の蓋体とを備え、
少なくとも上記正極端子及び負極端子が導出された一側面が向けられた一方の上記開口部を閉塞する一方の蓋体には、上記正極端子及び負極端子が接続されるとともに外方に臨まされることにより上記電子機器の電極と接続される正極端子部及び負極端子部が設けられている二次電池。
【請求項2】
上記一対の蓋体の少なくとも一方には、上記電子機器に設けられた電池装着部に形成された係止部材が係止される係止部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項3】
上記係止部には、上記正極端子及び/又は負極端子と接続された電極端子が臨まされ、
上記係止部材には、上記係止部に係止することにより上記電極端子と接続される電極部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の二次電池。
【請求項4】
上記一対の蓋体の少なくとも一方には、互いに異なる機能を有する一の二次電池と他の二次電池とで互いに異なる形状からなる識別部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項5】
上記一対の蓋体の少なくとも一方には、上記バッテリーセルの端面に当接され、上記バッテリー缶内に収納された上記バッテリーセルを支持する突起部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項6】
上記バッテリー缶は、上記バッテリーセルの長さに応じて金属製の筒体を切断して形成されることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項7】
上記一対の蓋体は、上記電子機器の電池装着部への挿入端と反対側の蓋体が、該電池収容部の挿入口よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項8】
上記バッテリー缶は、周囲に絶縁材料からなる外装ラベルが巻回されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項9】
上記外装ラベルは、上記バッテリー缶の外周に巻回される主面部と、上記一対の蓋体の少なくとも一方に巻回される巻回部とを有することを特徴とする請求項8記載の二次電池。
【請求項10】
上記一対の蓋体の少なくとも一方にはバッテリーの残量を表示する残量表示部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項11】
上記バッテリーセルは、上記正極端子及び負極端子が導出された一側面と反対側の他側面に弾性部材からなる両面シールが貼着されるとともに該他側面を上記バッテリー缶への挿入端とされ、該他側面と対峙する上記蓋体に接着されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項12】
上記両面シールには、両端部に長尺の絶縁フィルムが貼着され、
該絶縁フィルムは、上記バッテリーセルの上記バッテリー缶への挿入に伴って上記開口部によって上記バッテリーセルの側面に沿って折り曲げられることにより、上記包装体の切断面を上記バッテリー缶の内周壁から絶縁すること特徴とする請求項11記載の二次電池。
【請求項13】
上記バッテリーセルの挿入端面と対峙する蓋体の両端部には、上記包装体の切断面を上記バッテリー缶の内周壁から絶縁する絶縁材料からなる突片が立設されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項14】
上記バッテリーセルは、上記バッテリー缶の一主面に供給された接着剤によって、一平面部が該バッテリー缶の一主面と接着されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項15】
上記一対の蓋体の少なくとも一方は、上記正極端子部及び負極端子部と該正極端子部及び負極端子部と接続された正極端子板及び負極端子板とが設けられた基板と、上記正極端子及び負極端子と上記正極端子板及び負極端子板とを接続させる正極タブ及び負極タブを保持するホルダと、上記正極端子部及び負極端子部を外方に臨ませる端子孔と上記バッテリー缶の開口部に設けられた被係止部に係止される係止部とが設けられたトップカバーとを有し、上記ホルダ及びトップカバーとで上記基板を挟持していることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項16】
上記正極端子及び負極端子と上記正極タブ及び負極タブとの接続部には、絶縁紙が貼着されることを特徴とする請求項15記載の二次電池。
【請求項17】
上記正極端子にはアルミニウムが用いられ、ニッケル製の上記正極タブの上から溶接されることを特徴とする請求項15記載の二次電池。
【請求項18】
上記正極端子及び負極端子と上記正極タブ及び負極タブとの接続部は、湾曲しながら上記バッテリー缶に収納されていることを特徴とする請求項15記載の二次電池。
【請求項19】
上記正極端子部及び負極端子部は、互いに異なる機能を有する一の二次電池と他の二次電池とで、略点対称の位置に形成されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項1】
電子機器に収納されることにより該電子機器に電力を供給する電子機器用の二次電池において、
正極、負極及び電解質を包装体に収納するとともに、上記正極及び負極からそれぞれ正極端子及び負極端子が上記包装体の一側面より導出されたバッテリーセルと、
上記バッテリーセルの挿入方向両端側に開口部が形成され、上記正極端子及び負極端子が導出された一側面を一方の上記開口部側に向けて上記バッテリーセルを収納する金属製のバッテリー缶と、
上記バッテリー缶の両開口部を閉塞する合成樹脂からなる一対の蓋体とを備え、
少なくとも上記正極端子及び負極端子が導出された一側面が向けられた一方の上記開口部を閉塞する一方の蓋体には、上記正極端子及び負極端子が接続されるとともに外方に臨まされることにより上記電子機器の電極と接続される正極端子部及び負極端子部が設けられている二次電池。
【請求項2】
上記一対の蓋体の少なくとも一方には、上記電子機器に設けられた電池装着部に形成された係止部材が係止される係止部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項3】
上記係止部には、上記正極端子及び/又は負極端子と接続された電極端子が臨まされ、
上記係止部材には、上記係止部に係止することにより上記電極端子と接続される電極部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の二次電池。
【請求項4】
上記一対の蓋体の少なくとも一方には、互いに異なる機能を有する一の二次電池と他の二次電池とで互いに異なる形状からなる識別部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項5】
上記一対の蓋体の少なくとも一方には、上記バッテリーセルの端面に当接され、上記バッテリー缶内に収納された上記バッテリーセルを支持する突起部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項6】
上記バッテリー缶は、上記バッテリーセルの長さに応じて金属製の筒体を切断して形成されることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項7】
上記一対の蓋体は、上記電子機器の電池装着部への挿入端と反対側の蓋体が、該電池収容部の挿入口よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項8】
上記バッテリー缶は、周囲に絶縁材料からなる外装ラベルが巻回されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項9】
上記外装ラベルは、上記バッテリー缶の外周に巻回される主面部と、上記一対の蓋体の少なくとも一方に巻回される巻回部とを有することを特徴とする請求項8記載の二次電池。
【請求項10】
上記一対の蓋体の少なくとも一方にはバッテリーの残量を表示する残量表示部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項11】
上記バッテリーセルは、上記正極端子及び負極端子が導出された一側面と反対側の他側面に弾性部材からなる両面シールが貼着されるとともに該他側面を上記バッテリー缶への挿入端とされ、該他側面と対峙する上記蓋体に接着されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項12】
上記両面シールには、両端部に長尺の絶縁フィルムが貼着され、
該絶縁フィルムは、上記バッテリーセルの上記バッテリー缶への挿入に伴って上記開口部によって上記バッテリーセルの側面に沿って折り曲げられることにより、上記包装体の切断面を上記バッテリー缶の内周壁から絶縁すること特徴とする請求項11記載の二次電池。
【請求項13】
上記バッテリーセルの挿入端面と対峙する蓋体の両端部には、上記包装体の切断面を上記バッテリー缶の内周壁から絶縁する絶縁材料からなる突片が立設されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項14】
上記バッテリーセルは、上記バッテリー缶の一主面に供給された接着剤によって、一平面部が該バッテリー缶の一主面と接着されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項15】
上記一対の蓋体の少なくとも一方は、上記正極端子部及び負極端子部と該正極端子部及び負極端子部と接続された正極端子板及び負極端子板とが設けられた基板と、上記正極端子及び負極端子と上記正極端子板及び負極端子板とを接続させる正極タブ及び負極タブを保持するホルダと、上記正極端子部及び負極端子部を外方に臨ませる端子孔と上記バッテリー缶の開口部に設けられた被係止部に係止される係止部とが設けられたトップカバーとを有し、上記ホルダ及びトップカバーとで上記基板を挟持していることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項16】
上記正極端子及び負極端子と上記正極タブ及び負極タブとの接続部には、絶縁紙が貼着されることを特徴とする請求項15記載の二次電池。
【請求項17】
上記正極端子にはアルミニウムが用いられ、ニッケル製の上記正極タブの上から溶接されることを特徴とする請求項15記載の二次電池。
【請求項18】
上記正極端子及び負極端子と上記正極タブ及び負極タブとの接続部は、湾曲しながら上記バッテリー缶に収納されていることを特徴とする請求項15記載の二次電池。
【請求項19】
上記正極端子部及び負極端子部は、互いに異なる機能を有する一の二次電池と他の二次電池とで、略点対称の位置に形成されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【公開番号】特開2007−73207(P2007−73207A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−255691(P2005−255691)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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