説明

二軸スクリュウ式押出成型機

【課題】一対のスクリュウ軸の咬合回転により被処理物は移送空間で混練圧縮移送され、ダイスプレートの複数個の排出口部から排出され、移送空間での混練圧縮移送及びダイスプレートによる摩擦抵抗により被処理物は減容されつつ加熱され、被処理物内に含まれている樹脂分等が溶融し、被処理物は排出口部から固化成型されて排出され、羽根部による排出口部への送出作用を円滑に行うことができると共にダイスプレートの内面との間の被処理物による切上部の損耗を抑制することができる。
【解決手段】ケーシング1と、一対のスクリュウ軸5と、駆動機構7と、複数個の排出口部12をもつダイスプレート11とからなり、上記羽根部の上記ダイスプレートに対向する先端切上部5d・6dに該ダイスプレートの内面に平行な対向面部5e・6eを回転方向後方に延設してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば高分子を含む一般都市廃棄物や事業所等から排出される廃棄プラスチック等の産業廃棄物等の被処理物を圧縮、減容、固化する際に用いられる二軸スクリュウ式押出成型機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の二軸スクリュウ式押出成型機として、一方側部に被処理物の投入部を設けると共に他方側部に排出部を設けてなるケーシングと、ケーシング内にその螺旋状の羽根部が互いに重なり合った状態で回転自在に並設された一対のスクリュウ軸と、一対のスクリュウ軸を咬合方向に回転させる駆動機構と、ケーシングの排出部に設けられ、一対のスクリュウ軸の咬合回転により混練圧縮移送されてくる被処理物を排出する複数個の排出口部をもつダイスプレートとからなる構造のものが知られている。
【特許文献1】特許第3921614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来構造の場合、上記被処理物は一対のスクリュウ軸の咬合回転によりケーシングの内周面と羽根部との間の移送空間で混練圧縮移送されながら上記ダイスプレートの複数個の排出口部より排出され、このとき、被処理物はスクリュウ軸の羽根部の上記ダイスプレートに対向する先端切上部により排出口部へと排出されることになり、この羽根部の先端切上部は端縁状に形成されているから、ダイスプレートの内面に対しほぼ線接触状態に摺接することになり、このため、先端切上部による排出口部への送出作用が不円滑になることがあると共にダイスプレートの内面との間の被処理物による先端切上部の損耗が激しく生じ、被処理物の処理能率の低下を招くことがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、一方側部に被処理物の投入部を設けると共に他方側部に排出部を設けてなるケーシングと、該ケーシング内にその螺旋状の羽根部が互いに重なり合った状態で回転自在に並設された一対のスクリュウ軸と、該一対のスクリュウ軸を咬合方向に回転させる駆動機構と、該ケーシングの排出部に設けられ、該一対のスクリュウ軸の咬合回転により混練圧縮移送されてくる被処理物を排出する複数個の排出口部をもつダイスプレートとからなり、上記羽根部の上記ダイスプレートに対向する先端切上部に該ダイスプレートの内面に平行な対向面部を回転方向後方に延設してなることを特徴とする二軸スクリュウ式押出成型機にある。
【0005】
又、請求項2記載の発明は、上記排出口部に固化成型用の適宜長さ及び適宜内径をもつ排出ノズルを突設してなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記ダイスプレートに該ダイスプレートから突出する上記一対のスクリュウ軸の突出部を軸受する軸受部を設けてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、ケーシング内に被処理物を投入部から投入すると、ケーシング内の一対のスクリュウ軸の咬合回転により被処理物は移送空間で混練圧縮移送され、ダイスプレートの複数個の排出口部から排出され、移送空間での混練圧縮移送及びダイスプレートによる摩擦抵抗により被処理物は減容されつつ加熱され、この加熱により被処理物内に含まれている樹脂分等が溶融し、樹脂分等がバインダーとなり、被処理物は排出口部から固化成型されて排出されることになり、この際、上記羽根部の上記ダイスプレートに対向する先端切上部にダイスプレートの内面に平行な対向面部を回転方向後方に延設してなるから、被処理物は先端切上部及びダイスプレートの内面に平行な対向面部により排出口部へと排出されることになり、このため、羽根部による排出口部への送出作用を円滑に行うことができると共にダイスプレートの内面との間の被処理物による切上部の損耗を抑制することができ、被処理物の処理能率の向上を図ることができる。
【0007】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記排出口部に固化成型用の適宜長さ及び内径をもつ排出ノズルを突設してなるから、放冷固化成型時間を確保することができ、被処理物の固化成型を良好に行うことができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記ダイスプレートにダイスプレートから突出する上記一対のスクリュウ軸の突出部を軸受する軸受部を設けてなるから、駆動機構側の軸受と軸受部とでスクリュウ軸を両持ち状態で支持することができ、スクリュウ軸の芯ぶれ回転による羽根部やケーシングの損傷を抑制することができると共に消費電力を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1乃至図8は本発明の実施の形態例を示し、1はケーシングであって、一方側部に被処理物Wの投入口部2をもつ投入部3を設けると共に他方側部に排出部4を設けてなり、このケーシング1内に左右異なる螺旋状の羽根部5a・6aが互いに重なり合った状態で回転自在に並設された一対のスクリュウ軸5・6が内装され、この羽根部5a・6aの先端部と底面5b・6bとの間に螺旋状の被処理物Wの移送空間Tを形成している。
【0009】
7は駆動機構であって、この場合、回転数を可変自在なモータ8、減速機9及び歯車機構10からなり、上記一対のスクリュウ軸5・6を図2中の矢印方向の互いに上方から下向きの内向き方向の異方向回転である咬合方向Fに回転させるように構成している。
【0010】
11はダイスプレートであって、上記ケーシング1の排出部4に設けられ、一対のスクリュウ軸5・6の矢印方向の咬合回転により混練圧縮移送されてくる被処理物Wを排出する複数個の排出口部12が設けられている。
【0011】
この場合、図7、図8の如く、上記羽根部5a・6aの上記ダイスプレート11に対向する先端切上部5d・6dにダイスプレート11の内面11aに平行な対向面部5e・6eを異方向回転たる各咬合方向Fの回転方向後方に延設して構成している。なお、図6の如く、各対向面部5e・6eの衝突を考慮し、スクリュウ軸5・6の回転位相差を180度に設定している。
【0012】
この場合、ダイスプレート11の排出口部12に内径Dの装着穴12aを形成し、装着穴12aに固化成型用の適宜長さL及び内径dをもつ排出ノズル14が着脱自在に突設され、かつ、装着穴12aの内径Dに合う外径が共通にして適宜長さL及び内径dをもつサイズの異なる排出ノズル14を着脱して変更可能に設けている。
【0013】
又、この場合、上記ダイスプレート11にダイスプレート11から突出する上記一対のスクリュウ軸5・6の突出部5c・6cを軸受する軸受部15を設けてなり、この場合、ダイスプレート11に平軸受15aからなる軸受部15を設けると共にスクリュウ軸5・6の突出部5c・6cを覆うカバー部材16を設けている。
【0014】
この実施の形態例は上記構成であるから、ケーシング1内に被処理物Wを投入部3から投入すると、ケーシング1内の一対のスクリュウ軸5・6の咬合回転により被処理物Wは移送空間Tで混練圧縮移送され、ダイスプレート11の複数個の排出口部12から排出され、移送空間Tでの混練圧縮移送及びダイスプレート11による摩擦抵抗により被処理物Wは減容されつつ加熱され、この加熱により被処理物W内に含まれている樹脂分等が溶融し、樹脂分等がバインダーとなり、被処理物Wは排出口部12の排出ノズル14から固化成型されて排出されることになる。
【0015】
この際、図7、図8の如く、上記羽根部5・6の上記ダイスプレート11に対向する先端切上部5d・6dにダイスプレートの内面11aに平行な対向面部5e・6eを回転方向後方に延設してなるから、被処理物Wは先端切上部5d・6d及びダイスプレートの内面11aに平行な対向面部5e・6eにより排出口部12へと排出されることになり、このため、羽根部5・6による排出口部への送出作用を円滑に行うことができると共にダイスプレート11の内面との間の被処理物Wによる切上部5d・6dの損耗を抑制することができ、被処理物の処理能率の向上を図ることができる。
【0016】
又、この場合、上記排出口部12に固化成型用の適宜長さL及び内径dをもつ排出ノズル14を突設してなるから、放冷固化成型時間を確保することができ、被処理物Wの固化成型を良好に行うことができ、又、この場合、上記ダイスプレート11にダイスプレート11から突出する上記一対のスクリュウ軸5・6の突出部5c・6cを軸受する軸受部14を設けてなるから、駆動機構7側の軸受と軸受部15とでスクリュウ軸5・6を両持ち状態で支持することができ、スクリュウ軸5・6の芯ぶれ回転による羽根部5a・6aやケーシング1の損傷を抑制することができると共に消費電力を低減することができる。
【0017】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、ケーシング1、スクリュウ軸5・6の形状や大きさ、駆動機構7の構造、対向面部5e・6eの材質や大きさ、排出口部12、排出ノズル14、軸受部15の構造等は適宜変更して設計されものである。
【0018】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態例の全体側面図である。
【図2】本発明の実施の形態例の部分平断面図である。
【図3】本発明の実施の形態例の部分側断面図である。
【図4】本発明の実施の形態例の部分側面図である。
【図5】本発明の実施の形態例の部分拡大平断面図である。
【図6】本発明の実施の形態例の部分拡大側断面図である。
【図7】本発明の実施の形態例の部分拡大側面図である。
【図8】本発明の実施の形態例の部分拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
W 被処理物
F 咬合方向
1 ケーシング
2 投入口部
3 投入部
4 排出部
5 スクリュウ軸
5a 羽根部
5d 先端切上部
5e 対向面部
6 スクリュウ軸
6a 羽根部
6d 先端切上部
6e 対向面部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側部に被処理物の投入部を設けると共に他方側部に排出部を設けてなるケーシングと、該ケーシング内にその螺旋状の羽根部が互いに重なり合った状態で回転自在に並設された一対のスクリュウ軸と、該一対のスクリュウ軸を咬合方向に回転させる駆動機構と、該ケーシングの排出部に設けられ、該一対のスクリュウ軸の咬合回転により混練圧縮移送されてくる被処理物を排出する複数個の排出口部をもつダイスプレートとからなり、上記羽根部の上記ダイスプレートに対向する先端切上部に該ダイスプレートの内面に平行な対向面部を回転方向後方に延設してなることを特徴とする二軸スクリュウ式押出成型機。
【請求項2】
上記排出口部に固化成型用の適宜長さ及び適宜内径をもつ排出ノズルを突設してなることを特徴とする請求項1記載の二軸スクリュウ式押出成型機。
【請求項3】
上記ダイスプレートに該ダイスプレートから突出する上記一対のスクリュウ軸の突出部を軸受する軸受部を設けてなることを特徴とする請求項1又は2記載の二軸スクリュウ式押出成型機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−66999(P2009−66999A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240132(P2007−240132)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(304000663)株式会社ダイコー (6)
【Fターム(参考)】