伝動用チェーン監視システム
【解決手段】伝動用チェーンが、複数のリンクの少なくとも1つに設置されたデータ収集装置を有する。歪みゲージセンサが外側リンクプレートの内向き対向面にその中心線に対して対称的に設置されて該リンクプレートの歪みを測定する。測定値は閾値と比較され、該閾値を超えていれば、チェーンに設置された視覚インジケータを作動させる。データ収集装置は、休止状態と過負荷検出状態との間で該装置を単に切り替える第1のコントローラ装置によって制御することができ、あるいは、第2のコントローラタイプを用いてデータロギング及び分析を行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち上げ装置や伝達装置に対するものを含む駆動系統に使用される動力伝達用チェーンの監視システムに関する。当該チェーンは、一般に、横ピンによって互いに接続された複数のリンクプレートを備えている。
【背景技術】
【0002】
動力伝達用チェーンは、一般にエネルギー及び/又は力の伝達に用いられるが、変動負荷を受けやすい。チェーン駆動装置の動作時に問題が生じた場合、その問題の原因、又は究極的には装置不良の原因を正確に分析することは困難である。当該駆動装置の各部へ確実かつ容易にアクセスすることは不可能であり、これが問題を生じる。故障診断を補助するために、データロギング及びデータ伝送装置を使用することが知られている。フォークリフトトラックのリフトチェーンへの負荷に関する例が、本出願人による欧州特許出願公開第1362003号明細書に記載されている。当該欧州特許出願では、リフトチェーンのリンクプレートの表面に、センサ及びデータロギングユニットが取り付けられている。当該ユニットは、歪みゲージ、関連する回路部品、メモリ及び送受信装置を備えている。歪みゲージ及び関連する信号処理回路要素は、いずれかの時点でチェーンに掛けられた負荷を表す出力信号を出力する。このデータは、送受信装置によってコンピュータに伝送される前に、前記ユニットに格納され、当該ユニットで処理され、分析される。あるいは、データは、処理又は分析されることなしに直接、コンピュータに伝えられてもよい。一旦データが入手可能となると、データを処理及び分析することによって、チェーンの状態を評価し、チェーンの修理や取換えが必要かどうかを決定することができる。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1362003号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
出願人は、上述した種類のデータロギングシステムを、登録商標名「Renold Smartlink」で数年に亘り販売している。当該システムは、チェーンのリンクプレートに取り付けられたユニット及び歪みゲージを備える。歪みゲージ及び関連する信号処理によって得られたデータは、リアルタイム信号処理ソフトウェアを使用してオンラインで分析され、前記ユニットの一部として設けられたメモリに格納される。当該データは、チェーンが静止している場合かチェーンが動作している場合のいずれかで赤外線通信を介して要求されたときに、携帯PCにダウンロードすることができる。前記データは、高いサンプリングレートを用いて短い時間領域バースト(short time domain burst)として収集されるか、リアルタイム・オンボード信号解析を用いて最大数ヵ月の期間に亘って収集される。データロギングシステムの使い易さ及び高度な診断法は、駆動システムにおいて深く隠れた問題を、それを分解する必要なしに確認することができ、これにより付随した破壊及び停止時間が避けられることを意味する。
【0004】
本発明は、動作中でかつ負荷が掛かった伝動用チェーンの状態を監視するために、改良したシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、横ピンによって互いに枢着された複数のチェーンリンクと、該複数のチェーンリンクの少なくとも1つに取り付けられたデータ収集装置とを備える伝動用チェーンにおいて、前記データ収集装置は、前記又は各チェーンリンクに設置され、該チェーンリンクの物理パラメータを検出して、当該物理パラメータの検出値を表す電気出力信号を生成するセンサと、前記物理パラメータの閾値を表す電気信号を格納するためのメモリ記憶装置と、当該物理パラメータの閾値と検出値とを比較して、当該検出値が当該閾値より大きいときに出力警告信号を生成するための比較器と、伝動用チェーンに取り付けられ、比較器の出力部に接続された視覚インジケータとを備え、該視覚インジケータは、比較器の警告信号が受信されたときに警告状態を表示する伝動用チェーンが提供される。
【0006】
視覚インジケータを実際にチェーンに設けることにより、チェーンが動作パラメータ限度を超えたことを使用者が判断する容易な方法が提供される。
【0007】
前記複数のチェーンリンクは、好ましくは複数の内側及び外側リンクプレートを備え、前記ピンは、当該内側及び外側リンクプレートが重なった部分にあって並んでいる開口によって保持され、前記データ収集装置は、当該複数の外側リンクプレートの1つに取り付けられている。
【0008】
前記センサは例えば、1つのリンク上の歪みを検出し、電気抵抗を備える少なくとも1つの歪みゲージのような任意の適切なタイプのものであってよく、前記データ収集装置は、当該歪みゲージの励振のための電力供給装置を更に備える。前記又は各歪みゲージは、外側リンクプレートの内面に取り付けられている。
【0009】
前記データ収集装置は、チェーンの外側リンクプレートに取り付けられている、又は前記外側リンクプレートとして機能する壁を形成している筐体を有してもよい。
【0010】
データ収集装置が取り付けられている外側リンクプレートに隣接して対向している内側リンクプレートにおける開口間を延びるブッシュが設けられてもよく、該ブッシュは、チェーンの片側で内側リンクプレートを越えて延び、前記外側リンクプレートと隣接する内側リンクプレートとの間に隙間が設けられるように前記外側リンクプレートの内向き対向面に当接している。
【0011】
前記視覚インジケータは筐体内に取り付けられてもよいが、筐体に設けられた開口又は窓を通して視認することができる。
【0012】
前記データ収集装置は、遠隔制御装置を用いて無線通信を行うための受信機を備えてもよい。
【0013】
前記センサは、外側リンクプレートの中心線に対して対称的に取り付けられている歪みゲージ網を備えてもよい。これらのゲージは、該ゲージが複数組に分かれて配置されたブリッジネットワークを形成するように配置されてもよく、各組のゲージは、互いに直交する方向における歪みを感知するように構成されている。同じ方向に歪みを感知するように構成されている前記ネットワーク内のゲージは、外側リンクプレートのピンホールから等距離に配置されてもよく、外側リンクプレートの中心線から等距離に配置されてもよい。同じ方向に歪みを感知するように構成されている前記ネットワーク内のゲージは、チェーンのピッチの長さに沿った中間の位置で外側リンクプレートに配置されてもよい。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、横ピンによって互いに枢着された複数のチェーンリンクを備える伝動用チェーンのための監視システムであって、1つのチェーンリンクへの接続のための接続要素を有するデータ収集装置を備える監視システムにおいて、前記データ収集装置は、前記又は各チェーンリンクに設置し、該チェーンリンクの物理パラメータを検出して、当該物理パラメータの検出値を表す電気出力信号を生成するためのセンサと、前記物理パラメータの閾値を表す電気信号を格納するためのメモリ記憶装置と、当該物理パラメータの閾値と検出値とを比較して、当該検出値が当該閾値より大きいときに出力警告信号を生成するための比較器とを備え、前記データ収集装置は、第1の休止モードと、物理パラメータの前記閾値と前記検出値とを比較して当該検出値が当該閾値を超えたときに前記出力警告信号を生成する第2のモードと、検出データを記録して記憶する第3のモードとにおいて動作可能であるように構成されている監視システムが提供される。
【0015】
前記第1及び第2の動作モード間での切り替えを前記データ収集装置に対して行う第1のコントローラが設けられてもよく、当該データ収集装置は、当該第1のコントローラからの制御信号の受信のための受信機を有する。加えて、前記装置は、前記第1又は第2の動作モードと、前記第3の動作モードとの間での切り替えを前記データ収集装置に対して行う第2のコントローラによって操作することができるように構成されてもよく、当該データ収集装置は、当該第2のコントローラからの制御信号の受信のための受信機を有する。このように使用者は、チェーンに第1のコントローラを設けて前記装置を第1及び第2のモードで動作させることができると共に、第2のコントローラタイプにアップグレードして前記装置を第3のデータ収集モードで動作させることができる。
【0016】
前記データ収集装置は、前記第2のコントローラに信号を送信するための送信機を有してもよい。
【0017】
前記第1のコントローラは、スイッチ、送信機、及び論理回路を備え、ハンドホールドフォブの形態であってもよい。
【0018】
前記第2のコントローラは、処理装置、メモリ、送信機、及び受信機を備えてもよい。それは、キーボード、ディスプレイ、及びパーソナルコンピュータと互換性のある接続ポートのいずれか1つを更に備えてもよい。
【0019】
前記データ収集装置用の筐体が設けられてもよく、該筐体は、1つのチェーンリンクに取り付けるための取り付け要素を有する。前記筐体は、前記伝動用チェーンのピンを保持するための開口が設けられた壁を有してもよい。警告信号が生成されたか否かを示すための視覚インジケータが設けられてもよい。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、横ピンによって互いに枢着された複数のチェーンリンクを備える伝動用チェーンの物理パラメータを監視するための方法であって、1つのチェーンリンクに、前記又は各チェーンリンクに設置し、該チェーンリンクの物理パラメータを検出して、当該物理パラメータの検出値を表す電気出力信号を生成するためのセンサと、前記物理パラメータの閾値を表す電気信号を格納するためのメモリ記憶装置と、当該物理パラメータの閾値と検出値とを比較して、当該検出値が当該閾値より大きいときに出力警告信号を生成するための比較器とを備えるデータ収集装置を設置することと、第1のコントローラを用いて第1の休止モードで前記データ収集装置を動作させると共に、前記第1のモードと、監視されている物理パラメータの前記閾値と前記検出値とが比較されて当該検出値が当該閾値を超えたときに出力警告信号を生成する第2のモードとの間での切り替えを前記データ収集装置に対して行うことと、第2のコントローラを別個に用いて、検出データを記録して記憶する第3のモードで前記データ収集装置を動作させることとを含む方法が提供される。
【0021】
本発明の第4の態様によれば、複数の対向内側リンクプレート及び対向外側リンクプレートを備え、重なっている内側及び外側リンクプレートにあって並んでいる開口を通過している横ピンによって前記内側リンクプレートと外側リンクプレートとが接続されている伝動用チェーンに加えられる歪みを検出するための方法であって、外側リンクプレートの内向き対向面に複数の歪みゲージを設置することと、ブリッジネットワーク及び電気回路を形成するようにこれらのゲージを接続することと、前記回路の出力を用いて前記チェーンに加えられた歪みを判断することとを含む方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の具体的実施形態を、単に例として、添付の図面を参照して説明する。
【0023】
図面の図1を参照すると、例示の監視システムは、対向した対として並んだ内側及び外側リンクプレート11,12を備えた伝動用チェーン10(図1では、一部だけが示されている)に関連して示されており、対の一方がチェーンの両側に配置されている(図1ではチェーンの片側だけが示されている)。ピンホール14を貫通する横ピン13によってリンクプレート11,12が枢着されることにより、チェーン10は繋がっている。内側リンクプレート11と外側リンクプレート12は重なっており、ピンホール14は、リンクプレートが重なった両側の部分にあって一列に並んでいる。従来この種のチェーンでは、外側リンクプレート12に対してリンクプレート11がピン13を軸として枢動自在となるように、ピン14は、外側リンクプレート12に対しては締まり嵌めで設計されているが、内側リンクプレート11に対しては動き嵌めで設計されている。
【0024】
チェーン駆動装置アセンブリの一部として用いる場合には、そのようなチェーン10には引張り力が変動しながら掛かる。そのため、プレート材には応力が掛かり、歪みが生じる。そのような力の大きさ、印加の頻度及びパターンは、チェーンの磨耗、チェーンの疲労強度、つまりチェーンの寿命に影響する。
【0025】
伝動用チェーンの外側リンクプレートの一つ12aは、データ収集装置15に取り付けられている。データ収集装置15は、視覚インジケータ25と、受信装置及び/又は送信装置(図1では隠れている)とを備え、2つのコントローラタイプ16,17のいずれかと無線リンクを介した通信が可能となる。第1のコントローラタイプ16は単に、制限された動作モードでデータ収集装置15を動作させるために用いられる。他方、第2のコントローラタイプ17はより精巧に設計されており、データ収集装置15を設定し及び/又は動作させるための情報を送信することができるだけでなく、負荷が掛かったチェーン10の動作中又は動作後にデータ収集装置15によって集められたデータを受信することもできる。
【0026】
データ収集装置15は、図2においてより詳細に示されており、チェーンに関連した物理パラメータを検出するためのセンサ20を有する。例えば、センサ20は、チェーンの外側リンクプレート12aの表面に結合又は他の方法で固定された歪みゲージ網を有する。そして、センサ20は、チェーンに負荷が掛かった結果として生じるチェーンリンクプレート12aの伸びに比例するアナログ電気出力信号を生成する。このため、アナログ電気出力信号は、任意の時点でチェーン10に掛かった負荷を表す。そのような信号は、増幅器21を含んだ信号処理回路に送られ、それからアナログ/デジタル変換装置(ADC)によってデジタルデータに変換され、そして処理装置を含んだマイクロコントローラ装置22に送られる。デジタルデータは、局所メモリ23に格納可能であり、そして/又はマイクロコントローラ22によって要求されたときに赤外線送受信機24を介して送信可能である。マイクロコントローラ22は、局所的に一定量のデータ解析が実行できるように構成されており、少なくとも1つの視覚インジケータ25に接続されている。視覚インジケータ25は、データ収集装置15の状態、及び/又は監視されているチェーン10の状態を表すことができる。バッテリ(図示せず)は、装置内に設けられており、構成部分に電力を供給する。
【0027】
データ収集装置15内に適当なタイプのセンサ20を使用して、チェーンの状態に関係したデータを収集することは理解すべきである。歪みゲージ網は単に、センサの一実施例として示されているにすぎず、歪みゲージに代えて、又はこれと共に、例えば温度変換器や振動変換器のような他のセンサを使用してもよい。
【0028】
第1のコントローラタイプ16は、図1及び図3に示される様に、ボタンスイッチ26、論理回路27及び赤外線送信機28を有する簡素で小型のフォブ(fob)装置である。通常、データ収集装置15は、休止したスタンバイ状態にあるか、消費電力が小さい「スリープ」モード(モード0)の状態にある(図5A参照)。スイッチを操作することで、データ収集装置15に信号が送信され、データ収集装置15が「スリープ」モード(モード0)から第1の動作モード(モード1)に切り替わる。モード1において、データ収集装置15は、センサ出力信号を、チェーンに掛かる負荷の許容限界を表す格納された閾値(又は代わりのパラメータ)と単に比較して、例えば1つ又はそれ以上のLEDである視覚インジケータ25を作動させる。チェーンに掛かる負荷が許容限界を超えた場合には、出力信号は閾値を超え、そしてマイクロコントローラ22は、信号を生成してLED25を視覚警報として機能するように点灯する。図5Aに示される動作モードでは、視覚インジケータは色が異なる2つのLEDを有し、一方のLED(例えば緑色)は、データ収集装置が動作し、チェーンに掛かる負荷が許容限界より小さいとき(即ちモード1のとき)に点灯し、他方のLED(例えば赤色)は、負荷が許容限界を超えたとき(これもまたモード1のとき)に点灯する。ボタンスイッチ26は、図5Aの2番目の部分に示されている様に、モード1からモード0に切り替えることによってデータ収集装置を停止するためにも使用される。
【0029】
第2のコントローラタイプ17は、図4に示される様に、マイクロコントローラ31、キーパッド32、メモリ33、LCDディスプレイ34、赤外線送受信機35、及びPC37に接続するためUSBコネクタのような接続部36を有する携帯端末を備える。このコントローラ17を用いることによって、データ収集装置15は、データロガーとして動作し、一定時間に亘って動作データを取得することができる。図5Bに示される様に、コントローラ17は、データ収集装置15を、前述したスタンバイ状態(モード0)から、データロギングモード(モード2)に切り替えるために用いられる。これにより、センサ出力データが時間とともに記録される。この動作モードではLED25は、第1のコントローラ16との関連で上述したように点灯することができる。データロギング動作の後、データ収集装置15は、モード0に戻ることが可能である。モード2では、センサ20によって取得されたデータは、第2のコントローラ17のマイクロコントローラ31へと、リアルタイムに又は後で赤外線送受信機35を介して送信され、LCD34に表示することが可能である。データには、コントローラ31によって一定量の処理及び解析を施すことが可能である。これに代えて又は加えて、データをPC37に取り込んで、解析又は更なる解析を行ってもよい。
【0030】
実際には、第1のコントローラタイプ16が取り付けられて添付されたデータ収集装置15と共に、伝動用チェーン10を需要者に供給することができる。この監視システムの構成を用いることによって、需要者は、チェーン10上の視覚インジケータ25の効果によって、いつチェーンに負荷が掛かり過ぎたのかを確認することができ、もし必要ならばチェーンの交換を含めた改善措置を講じることができる。もし、より高性能なシステムを需要者が必要とするならば、需要者は、チェーン10又はデータ収集装置15を交換せずに第2のコントローラタイプ17を購入することができる。この第2のコントローラ17によって、需要者は、チェーンの性能及び負荷に関するより詳細な情報を利用することができる。そして需要者は、チェーンの状態に関してより根拠ある判断を行うことができ、以ってチェーンの修理や交換が必要かどうかを決めることができる。
【0031】
データ収集装置15の第2のコントローラ17には、例えばその型や、長さ、保証、今までの修理歴のような、解析されているチェーンに関するデータを予め取り込むことができる。このデータは、チェーンに駆動装置が取り付けられる前に、マイクロコントローラ22,31の一方又は他方の処理装置に対応したメモリ23,33に予めプログラムされてもよい。そのデータは、第2のコントローラ17のキーパッド32から入力されるか、又はPC37から間接的に入力される。
【0032】
データを解析することによって、例えば負荷の大きさについての特定領域内でチェーンが使用されていた平均時間を決めることができる。この情報は、チェーンの使用者、又はチェーン駆動装置を組み込んだ機械の所有者にとって、チェーンがどれだけの期間使用されたかの簡易な表示や、負荷が掛かり過ぎたかどうかを表す簡易な表示よりも、意味がありかつ有益である。これは、チェーンは用途によっては、動いている時間の大部分の間、どのような大きな負荷も受けないかもしれないからである。
【0033】
データを解析することによって、負荷が所定の閾値を超えていた時間、及び/又はそのときの負荷の絶対値を決めることができる。これにより使用者は、推奨されたチェーンの負荷を何回超えたか、そしてこのことが与えるチェーンの故障のリスクに対する影響を判断することができる。データの解析によって、例えば起動時の過度の張力などのように、チェーン駆動装置で生じた障害の診断をも補助してもよい。
【0034】
チェーンの供用状態は、例えば、チェーンの残りの寿命を予測するためにマイナーの規則を収集されたデータに適用することによって分析することができる。この分析は、荷重スペクトルにおける各負荷レベル(したがって、応力レベル)での疲れ損傷に対する部分的な寄与の算出を含む。
【0035】
例えば、チェーンは、所有者によって賃借人に貸されるフォークリフトトラックのリフトチェーンアセンブリの一部であってもよい。このような状況において、賃貸人は、トラックがレンタル期間後返却されるとき情報をダウンロードすることができる。あるいは、チェーンの稼働条件は、ローカル又はワイドエリアネットワークに接続されたコンピュータによってトラックの使用中遠隔で監視することができる。メモリに格納されたデータは、周期的間隔で賃貸人のコンピューターネットワークに送信することができる。データは、有意味な結果を生成するようにコンピューターネットワーク上で動作しているソフトウェアルーチンによって分析される。
【0036】
データがリアルタイムで、又は少なくとも比較的小さい時間遅延の後処理され、チェーン疲労寿命を超えたと判定される場合、警報表示を起動することができるだけでなく、安全性が問題であれば、それを用いてチェーン駆動装置を使用不能にするために用いる遮断回路を制御することもできる。
【0037】
代替構成において、固定遠隔制御器が、循環しているチェーンに近接して、例えばフレームに、又はチェーンが一部を形成している機械の一部に設けられている。チェーンが循環するとき、それが遠隔モニタの近傍を通過するとデータ収集装置は無線でデータを送信する。このように一定間隔でデータを遠隔制御器に収集することができ、ここでそれは処理又はダウンロードされて適切な将来の時間又は日付に処理することができる。
【0038】
図6は、データ収集装置15の機械構造及びチェーン10上の位置を示した概略図である。データ収集装置は、図2に示した構成要素を取り囲んで簡易な固定具によって外側リンクプレート12aに取り付けられている筺体40を有していることがわかる。筺体40は外側を向いた壁41を有し、壁41には少なくとも1つの開口42が貫通している。LED25は、使用時に開口42を通して簡単に視認できるように配置されている。筺体40の上側の壁43は窓44をし、これを介してIR信号が送信される。センサ20は、歪みゲージ網の態様で、外側リンクプレート12aの内側を向いた壁45に取り付けられており、筺体40内において電気信号処理回路(21、ADCなど)に接続されている。
【0039】
図7は、筺体40の例を示す。筺体40は、上面壁50、下面壁51、前面壁52、側面壁53を有している。前面壁51は、データ収集装置15のLED25を保持する3つの開口と、データ収集装置の手動制御スイッチ55を収容するための溝とを有する。筺体40は、L字状の接続用ブラケット56によって外側リンクに接続されるのに適している。接続用ブラケット56は、面が外側リンクプレート11に平行に(つまり筺体40の前面壁52に平行に)拡がった第1の平板(隠れている)を有する。そして、筺体40は、適当な固定手段及び垂直板57によって外側リンクプレート11に接続されている。垂直板57は、クリップ58によって筺体40の上面壁50に固定されている。
【0040】
代替の筺体及び接続の構成が図8に示されている。この図では、筺体60は、1つのチェーンリンク61と共に描かれており、外側リンクプレート12,12a及びピン13だけが示されている。ピン13は、従来のチェーンのピンに比べて長さが延びており、両外側リンクプレートの一方12aの面を越えて横に突出して、筺体60の内側に固定された適当な保持構造(隠れている)に接続されている。
【0041】
図9の実施形態に係る筺体70では、前面壁71は、データ収集装置15の内部が触れるように取り外し可能である。前面壁には2つの固定用の穴72とLED用の開口73とが貫通している。クリップ機構74も、前面壁71を側壁75の一方に固定する役目をしている。上面及び下面壁76、77はそれぞれ、外側リンクプレート12aの周囲に接続する後方突出クリップ78(一方のみを示す、他方は隠れている)を有する。図6の実施形態のように、上面壁76は、赤外信号を通過させる窓79を有する。
【0042】
データ収集装置15及びその筐体の接続及び構造の更なる実施形態が、ローラーブッシュチェーン10に関して図10及び11に示される。図10において、装置15を支持しているチェーン外側リンクプレート12aは、標準的なリンクと比較して延長されて筐体82の後面壁81における一対の開口80に受け止められるピン13を有する。外側リンクプレート12aは、延長されたピン13の端に取り付けられ、筐体82内に完全に取り囲まれている。外側リンクプレート12aはボード83を支持し、その上にデータ収集装置15の電子部品21から24が取り付けられているが、歪みゲージセンサ20は例外的に直接外側リンクプレート12aに固定されている。尚、視覚インジケータはこの特定の図に示されていない。図11において、筐体82’の後面壁81’は外側リンクプレート12a’としての役目もしているので、延長されたピン13’はそれを通過している。電子部品21’から24’のための取り付けボード83’は、ピン13’の端に支持されている。ここでも視覚インジケータはこの図に示されていない。
【0043】
本発明で用いる歪みゲージは、受ける歪みの量に比例して電気抵抗が変化する非常に微細なメタリックワイヤをそれぞれ備えるという点において従来の設計である。ゲージは通常、リンクプレートに結合されている基板上に取り付けられている。基板は例えば、膜、箔又はシリコンウエハという形をとることができる。基板が固定されているリンクプレートが受ける歪みは直接歪みゲージへ伝達される。ゲージは、その抵抗における小さい変化を測定するために、各ゲージがブリッジネットワークのアーム及び励振供給電圧を形成するホイートストンブリッジのような従来のブリッジネットワークに配置される。ゲージの抵抗におけるどのような変化も、ゼロでない出力電圧に反映される。
【0044】
図12から15は、チェーンリンクプレートの歪みゲージセンサ20の位置決めに関するものである。図12A及び12Bはそれぞれ、無負荷及び負荷状態における先行技術のローラチェーン10の一部を示している。チェーン10は、チェーンの長さに沿って対向内側リンクプレート11と交互に配置された対向外側リンクプレート12を具え、両外側リンクプレートは、重なっているプレート11,12に整列配置されたピンホール開口14を貫通する横ピン13によって両内側リンクプレートと枢着されている。ブッシュ90が、両内側リンクプレート11において対向している開口14の間を両側で延び、横ピン13を受け止めている。ブッシュ90には円筒状ローラー91が回転可能に取り付けられている。2つの図の比較から、チェーンが引っ張られて負荷をかけられるとき、ピン13は曲げモーメントを受けることが分かるであろう。これは次には両外側リンクプレート12の負荷分布に影響を及ぼし、これらも図示の如く外向きに曲がる。このような方法で外側リンクプレート12が曲がることは、外側リンクプレート12の内向き対向表面92に対する引張応力を増大させる役目をすると共に、外向き対向表面93に対する引張応力を減少させることが観察されている。外側リンクプレート12に対する引張力及び曲げモーメントに対する正味効果はチェーン10の形状に依存しており、幾つかのリンクチェーンサイズについては、外側リンクプレート12の外面93にほとんど歪みがないという結果である。変動負荷についての歪みゲージ応答に対するチェーン負荷をプロットしている図13のグラフに示す如く、チェーン10に変動する負荷をかけている間、リンクプレート12の外面93に取り付けられた歪みゲージの応答においてかなり多くのヒステリシスがあることが観察されている。これによってチェーン負荷の測定値において曖昧さが生じる可能性がある。これは負荷が増大しているか減少しているかとその速度とに依存するからである。
【0045】
外側リンクプレート12の内向き対向表面92にゲージを配置することによって、上で言及した読み取りに対する歪曲が除去又は著しく緩和されるということが発見されている。
【0046】
外側リンク12の内側表面92に取り付けられるときの歪みゲージへの損傷を回避するため、後者は、内側リンクプレート11の外表面と摩擦接触しないように取り付けなければならない。これは例えば、図10及び11に示した筐体構成を用いることによって、又は、少なくとも図14に示すようにゲージ95が取り付けられているチェーンの側で内側リンクプレート11を越えて延びるブッシュ94を採用することによって達成することができる。
【0047】
外側チェーンリンクプレート12上の歪みゲージ95の従来の位置を図15Aに示すと共に、図15B及び15Cに本発明に従う位置を例示する。図15Aに例示する位置は、引張応力が集中する傾向があるピンホール14の近くにあるので最も直覚的である。しかしながら、図14のブッシュ94又は代替スペーサを用いれば、ゲージ95と摩擦するであろう。しかも、ゲージ95を外側リンクプレート12の内表面92に固定すべきであれば、これはプレートがピン13に取り付けられる前に行わなければならず、さもなければ限定空間を鑑みて達成するのが不可能でないならば非常に困難である。外側リンクプレート12を締り嵌めでピン13に接続するという行為は、ホール14周辺の領域においてプレート12に残留応力(すなわちどのようなチェーン負荷も加えられていない状態でのプレート材料における応力)を誘起し、このことにより歪みゲージ網を不均衡にして読み取りを歪曲している。ピンホール14の中心から等距離、すなわちチェーンピッチPに沿った中間にゲージ網95を配置すると、ゲージ95の性能が悪影響を受けず、ピン13の締り嵌めからの残留応力がゲージ網のバランスに大きな影響を及ぼさないということが出願人によって見出されている。
【0048】
従来の如く、ゲージ95はホイートストンブリッジネットワークに配置され、各ゲージが上述の如くブリッジネットワークの1つのアームを形成している。ブリッジは、バッテリから得られる供給電圧によって励振され、出力電圧はリンクプレートの歪みを表す。完全なブリッジネットワークのためにゲージは2つの2組に配置され、各組のゲージは互いに直交するように配置される。これは図15Cに示されているが、ここでゲージ95は単一の基板96上に配置されており、その膜上の2つの代替ゲージ配置がこの図の右に表されている。歪みゲージ基板96は、ピンホールの中心14から等距離のリンクプレート12の中心線c上に配置されている。矢印は、特定のゲージ95が応答する歪みの方向を例示している。同じ方向に歪みを検出する前記ゲージの内の2つがチェーンの中心線上に配置されているのに対し、他の2つは、中心線cと、ピッチ距離Pに沿って中間の位置で中心線cに対して垂直に延びる線とを中心として対称的に配置されるように配置されていることが分かるであろう。
【0049】
図15Bにおいて代替歪みゲージ構成が表されており、ここで2組のゲージ95がリンクプレート12の中心線cに対して対称的に配置されている。これは、同じ又は別個の基板96上にあってよい。右の差込み図において、各組のゲージ95は、半ブリッジネットワーク(2つのゲージで)に配置され、又は単に1つのゲージであってもよいことが分かる。
【0050】
添付の請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく上述した設計に対する多数の変形を行うことができるということが理解されるであろう。例えば、歪みゲージに代わるものとして任意の適切な形態のセンサ又はトランスデューサを用いて、応力又は歪みの他にチェーンの任意の適切な物理状態、例えば温度、振動等を感知してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係る監視システムを示した図である。
【図2】図1に示される監視システムの一部を形成するデータ収集装置を示したブロック図である。
【図3】図1に示される監視システムの一部を形成する第1のコントローラタイプを示したブロック図である。
【図4】図1に示される監視システムの一部を形成する第2のコントローラタイプを示したブロック図である。
【図5A】図1に示される監視システムの動作モードを示した図である。
【図5B】図1に示される監視システムの動作モードを示した図である。
【図6】データ収集装置が載置されたローラー伝動用チェーンであって、図1に示される監視システムの一部として用いられるものを示した概略図である。
【図7】図6に示されるデータ収集装置用の筐体の実施形態を示した斜視図である。
【図8】伝動用チェーンリンクに載置されたデータ収集装置用の筐体の代替実施形態を示した斜視図である。
【図9】伝動用チェーンリンクに載置されたデータ収集装置用の筐体の更なる代替実施形態を示した斜視図である。
【図10】ローラー伝動用チェーン及びデータ収集装置の一部を示した断面図である。
【図11】ローラー伝動用チェーン及びデータ収集装置の一部を示した断面図である。
【図12A】先行技術のローラー伝動用チェーンについて、負荷のない場合を示した断面図であり、チェーンの使用時にチェーンピン及び外側リンクプレートに掛かる曲げ負荷を示している図である。
【図12B】先行技術のローラー伝動用チェーンについて、負荷が掛かった場合を示した断面図であり、チェーンの使用時にチェーンピン及び外側リンクプレートに掛かる曲げ負荷を示している図である。
【図13】図12A及び図12Bのチェーンの外側リンクプレートの外側に歪みゲージを載置したときの、負荷に対する歪みゲージの応答信号を示したグラフである。
【図14】本発明の用途に応じて構成されたローラーチェーンのチェーンリンクの断面図であり、監視システムの歪みゲージの位置決めを示している。
【図15A】先行技術について、歪みゲージの位置決めを模式的に示したチェーンリンクの前面図である。
【図15B】本発明の監視システムについて、歪みゲージの位置決めを模式的に示したチェーンリンクの前面図である。
【図15C】本発明の監視システムについて、歪みゲージの位置決めを模式的に示したチェーンリンクの前面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち上げ装置や伝達装置に対するものを含む駆動系統に使用される動力伝達用チェーンの監視システムに関する。当該チェーンは、一般に、横ピンによって互いに接続された複数のリンクプレートを備えている。
【背景技術】
【0002】
動力伝達用チェーンは、一般にエネルギー及び/又は力の伝達に用いられるが、変動負荷を受けやすい。チェーン駆動装置の動作時に問題が生じた場合、その問題の原因、又は究極的には装置不良の原因を正確に分析することは困難である。当該駆動装置の各部へ確実かつ容易にアクセスすることは不可能であり、これが問題を生じる。故障診断を補助するために、データロギング及びデータ伝送装置を使用することが知られている。フォークリフトトラックのリフトチェーンへの負荷に関する例が、本出願人による欧州特許出願公開第1362003号明細書に記載されている。当該欧州特許出願では、リフトチェーンのリンクプレートの表面に、センサ及びデータロギングユニットが取り付けられている。当該ユニットは、歪みゲージ、関連する回路部品、メモリ及び送受信装置を備えている。歪みゲージ及び関連する信号処理回路要素は、いずれかの時点でチェーンに掛けられた負荷を表す出力信号を出力する。このデータは、送受信装置によってコンピュータに伝送される前に、前記ユニットに格納され、当該ユニットで処理され、分析される。あるいは、データは、処理又は分析されることなしに直接、コンピュータに伝えられてもよい。一旦データが入手可能となると、データを処理及び分析することによって、チェーンの状態を評価し、チェーンの修理や取換えが必要かどうかを決定することができる。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1362003号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
出願人は、上述した種類のデータロギングシステムを、登録商標名「Renold Smartlink」で数年に亘り販売している。当該システムは、チェーンのリンクプレートに取り付けられたユニット及び歪みゲージを備える。歪みゲージ及び関連する信号処理によって得られたデータは、リアルタイム信号処理ソフトウェアを使用してオンラインで分析され、前記ユニットの一部として設けられたメモリに格納される。当該データは、チェーンが静止している場合かチェーンが動作している場合のいずれかで赤外線通信を介して要求されたときに、携帯PCにダウンロードすることができる。前記データは、高いサンプリングレートを用いて短い時間領域バースト(short time domain burst)として収集されるか、リアルタイム・オンボード信号解析を用いて最大数ヵ月の期間に亘って収集される。データロギングシステムの使い易さ及び高度な診断法は、駆動システムにおいて深く隠れた問題を、それを分解する必要なしに確認することができ、これにより付随した破壊及び停止時間が避けられることを意味する。
【0004】
本発明は、動作中でかつ負荷が掛かった伝動用チェーンの状態を監視するために、改良したシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、横ピンによって互いに枢着された複数のチェーンリンクと、該複数のチェーンリンクの少なくとも1つに取り付けられたデータ収集装置とを備える伝動用チェーンにおいて、前記データ収集装置は、前記又は各チェーンリンクに設置され、該チェーンリンクの物理パラメータを検出して、当該物理パラメータの検出値を表す電気出力信号を生成するセンサと、前記物理パラメータの閾値を表す電気信号を格納するためのメモリ記憶装置と、当該物理パラメータの閾値と検出値とを比較して、当該検出値が当該閾値より大きいときに出力警告信号を生成するための比較器と、伝動用チェーンに取り付けられ、比較器の出力部に接続された視覚インジケータとを備え、該視覚インジケータは、比較器の警告信号が受信されたときに警告状態を表示する伝動用チェーンが提供される。
【0006】
視覚インジケータを実際にチェーンに設けることにより、チェーンが動作パラメータ限度を超えたことを使用者が判断する容易な方法が提供される。
【0007】
前記複数のチェーンリンクは、好ましくは複数の内側及び外側リンクプレートを備え、前記ピンは、当該内側及び外側リンクプレートが重なった部分にあって並んでいる開口によって保持され、前記データ収集装置は、当該複数の外側リンクプレートの1つに取り付けられている。
【0008】
前記センサは例えば、1つのリンク上の歪みを検出し、電気抵抗を備える少なくとも1つの歪みゲージのような任意の適切なタイプのものであってよく、前記データ収集装置は、当該歪みゲージの励振のための電力供給装置を更に備える。前記又は各歪みゲージは、外側リンクプレートの内面に取り付けられている。
【0009】
前記データ収集装置は、チェーンの外側リンクプレートに取り付けられている、又は前記外側リンクプレートとして機能する壁を形成している筐体を有してもよい。
【0010】
データ収集装置が取り付けられている外側リンクプレートに隣接して対向している内側リンクプレートにおける開口間を延びるブッシュが設けられてもよく、該ブッシュは、チェーンの片側で内側リンクプレートを越えて延び、前記外側リンクプレートと隣接する内側リンクプレートとの間に隙間が設けられるように前記外側リンクプレートの内向き対向面に当接している。
【0011】
前記視覚インジケータは筐体内に取り付けられてもよいが、筐体に設けられた開口又は窓を通して視認することができる。
【0012】
前記データ収集装置は、遠隔制御装置を用いて無線通信を行うための受信機を備えてもよい。
【0013】
前記センサは、外側リンクプレートの中心線に対して対称的に取り付けられている歪みゲージ網を備えてもよい。これらのゲージは、該ゲージが複数組に分かれて配置されたブリッジネットワークを形成するように配置されてもよく、各組のゲージは、互いに直交する方向における歪みを感知するように構成されている。同じ方向に歪みを感知するように構成されている前記ネットワーク内のゲージは、外側リンクプレートのピンホールから等距離に配置されてもよく、外側リンクプレートの中心線から等距離に配置されてもよい。同じ方向に歪みを感知するように構成されている前記ネットワーク内のゲージは、チェーンのピッチの長さに沿った中間の位置で外側リンクプレートに配置されてもよい。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、横ピンによって互いに枢着された複数のチェーンリンクを備える伝動用チェーンのための監視システムであって、1つのチェーンリンクへの接続のための接続要素を有するデータ収集装置を備える監視システムにおいて、前記データ収集装置は、前記又は各チェーンリンクに設置し、該チェーンリンクの物理パラメータを検出して、当該物理パラメータの検出値を表す電気出力信号を生成するためのセンサと、前記物理パラメータの閾値を表す電気信号を格納するためのメモリ記憶装置と、当該物理パラメータの閾値と検出値とを比較して、当該検出値が当該閾値より大きいときに出力警告信号を生成するための比較器とを備え、前記データ収集装置は、第1の休止モードと、物理パラメータの前記閾値と前記検出値とを比較して当該検出値が当該閾値を超えたときに前記出力警告信号を生成する第2のモードと、検出データを記録して記憶する第3のモードとにおいて動作可能であるように構成されている監視システムが提供される。
【0015】
前記第1及び第2の動作モード間での切り替えを前記データ収集装置に対して行う第1のコントローラが設けられてもよく、当該データ収集装置は、当該第1のコントローラからの制御信号の受信のための受信機を有する。加えて、前記装置は、前記第1又は第2の動作モードと、前記第3の動作モードとの間での切り替えを前記データ収集装置に対して行う第2のコントローラによって操作することができるように構成されてもよく、当該データ収集装置は、当該第2のコントローラからの制御信号の受信のための受信機を有する。このように使用者は、チェーンに第1のコントローラを設けて前記装置を第1及び第2のモードで動作させることができると共に、第2のコントローラタイプにアップグレードして前記装置を第3のデータ収集モードで動作させることができる。
【0016】
前記データ収集装置は、前記第2のコントローラに信号を送信するための送信機を有してもよい。
【0017】
前記第1のコントローラは、スイッチ、送信機、及び論理回路を備え、ハンドホールドフォブの形態であってもよい。
【0018】
前記第2のコントローラは、処理装置、メモリ、送信機、及び受信機を備えてもよい。それは、キーボード、ディスプレイ、及びパーソナルコンピュータと互換性のある接続ポートのいずれか1つを更に備えてもよい。
【0019】
前記データ収集装置用の筐体が設けられてもよく、該筐体は、1つのチェーンリンクに取り付けるための取り付け要素を有する。前記筐体は、前記伝動用チェーンのピンを保持するための開口が設けられた壁を有してもよい。警告信号が生成されたか否かを示すための視覚インジケータが設けられてもよい。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、横ピンによって互いに枢着された複数のチェーンリンクを備える伝動用チェーンの物理パラメータを監視するための方法であって、1つのチェーンリンクに、前記又は各チェーンリンクに設置し、該チェーンリンクの物理パラメータを検出して、当該物理パラメータの検出値を表す電気出力信号を生成するためのセンサと、前記物理パラメータの閾値を表す電気信号を格納するためのメモリ記憶装置と、当該物理パラメータの閾値と検出値とを比較して、当該検出値が当該閾値より大きいときに出力警告信号を生成するための比較器とを備えるデータ収集装置を設置することと、第1のコントローラを用いて第1の休止モードで前記データ収集装置を動作させると共に、前記第1のモードと、監視されている物理パラメータの前記閾値と前記検出値とが比較されて当該検出値が当該閾値を超えたときに出力警告信号を生成する第2のモードとの間での切り替えを前記データ収集装置に対して行うことと、第2のコントローラを別個に用いて、検出データを記録して記憶する第3のモードで前記データ収集装置を動作させることとを含む方法が提供される。
【0021】
本発明の第4の態様によれば、複数の対向内側リンクプレート及び対向外側リンクプレートを備え、重なっている内側及び外側リンクプレートにあって並んでいる開口を通過している横ピンによって前記内側リンクプレートと外側リンクプレートとが接続されている伝動用チェーンに加えられる歪みを検出するための方法であって、外側リンクプレートの内向き対向面に複数の歪みゲージを設置することと、ブリッジネットワーク及び電気回路を形成するようにこれらのゲージを接続することと、前記回路の出力を用いて前記チェーンに加えられた歪みを判断することとを含む方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の具体的実施形態を、単に例として、添付の図面を参照して説明する。
【0023】
図面の図1を参照すると、例示の監視システムは、対向した対として並んだ内側及び外側リンクプレート11,12を備えた伝動用チェーン10(図1では、一部だけが示されている)に関連して示されており、対の一方がチェーンの両側に配置されている(図1ではチェーンの片側だけが示されている)。ピンホール14を貫通する横ピン13によってリンクプレート11,12が枢着されることにより、チェーン10は繋がっている。内側リンクプレート11と外側リンクプレート12は重なっており、ピンホール14は、リンクプレートが重なった両側の部分にあって一列に並んでいる。従来この種のチェーンでは、外側リンクプレート12に対してリンクプレート11がピン13を軸として枢動自在となるように、ピン14は、外側リンクプレート12に対しては締まり嵌めで設計されているが、内側リンクプレート11に対しては動き嵌めで設計されている。
【0024】
チェーン駆動装置アセンブリの一部として用いる場合には、そのようなチェーン10には引張り力が変動しながら掛かる。そのため、プレート材には応力が掛かり、歪みが生じる。そのような力の大きさ、印加の頻度及びパターンは、チェーンの磨耗、チェーンの疲労強度、つまりチェーンの寿命に影響する。
【0025】
伝動用チェーンの外側リンクプレートの一つ12aは、データ収集装置15に取り付けられている。データ収集装置15は、視覚インジケータ25と、受信装置及び/又は送信装置(図1では隠れている)とを備え、2つのコントローラタイプ16,17のいずれかと無線リンクを介した通信が可能となる。第1のコントローラタイプ16は単に、制限された動作モードでデータ収集装置15を動作させるために用いられる。他方、第2のコントローラタイプ17はより精巧に設計されており、データ収集装置15を設定し及び/又は動作させるための情報を送信することができるだけでなく、負荷が掛かったチェーン10の動作中又は動作後にデータ収集装置15によって集められたデータを受信することもできる。
【0026】
データ収集装置15は、図2においてより詳細に示されており、チェーンに関連した物理パラメータを検出するためのセンサ20を有する。例えば、センサ20は、チェーンの外側リンクプレート12aの表面に結合又は他の方法で固定された歪みゲージ網を有する。そして、センサ20は、チェーンに負荷が掛かった結果として生じるチェーンリンクプレート12aの伸びに比例するアナログ電気出力信号を生成する。このため、アナログ電気出力信号は、任意の時点でチェーン10に掛かった負荷を表す。そのような信号は、増幅器21を含んだ信号処理回路に送られ、それからアナログ/デジタル変換装置(ADC)によってデジタルデータに変換され、そして処理装置を含んだマイクロコントローラ装置22に送られる。デジタルデータは、局所メモリ23に格納可能であり、そして/又はマイクロコントローラ22によって要求されたときに赤外線送受信機24を介して送信可能である。マイクロコントローラ22は、局所的に一定量のデータ解析が実行できるように構成されており、少なくとも1つの視覚インジケータ25に接続されている。視覚インジケータ25は、データ収集装置15の状態、及び/又は監視されているチェーン10の状態を表すことができる。バッテリ(図示せず)は、装置内に設けられており、構成部分に電力を供給する。
【0027】
データ収集装置15内に適当なタイプのセンサ20を使用して、チェーンの状態に関係したデータを収集することは理解すべきである。歪みゲージ網は単に、センサの一実施例として示されているにすぎず、歪みゲージに代えて、又はこれと共に、例えば温度変換器や振動変換器のような他のセンサを使用してもよい。
【0028】
第1のコントローラタイプ16は、図1及び図3に示される様に、ボタンスイッチ26、論理回路27及び赤外線送信機28を有する簡素で小型のフォブ(fob)装置である。通常、データ収集装置15は、休止したスタンバイ状態にあるか、消費電力が小さい「スリープ」モード(モード0)の状態にある(図5A参照)。スイッチを操作することで、データ収集装置15に信号が送信され、データ収集装置15が「スリープ」モード(モード0)から第1の動作モード(モード1)に切り替わる。モード1において、データ収集装置15は、センサ出力信号を、チェーンに掛かる負荷の許容限界を表す格納された閾値(又は代わりのパラメータ)と単に比較して、例えば1つ又はそれ以上のLEDである視覚インジケータ25を作動させる。チェーンに掛かる負荷が許容限界を超えた場合には、出力信号は閾値を超え、そしてマイクロコントローラ22は、信号を生成してLED25を視覚警報として機能するように点灯する。図5Aに示される動作モードでは、視覚インジケータは色が異なる2つのLEDを有し、一方のLED(例えば緑色)は、データ収集装置が動作し、チェーンに掛かる負荷が許容限界より小さいとき(即ちモード1のとき)に点灯し、他方のLED(例えば赤色)は、負荷が許容限界を超えたとき(これもまたモード1のとき)に点灯する。ボタンスイッチ26は、図5Aの2番目の部分に示されている様に、モード1からモード0に切り替えることによってデータ収集装置を停止するためにも使用される。
【0029】
第2のコントローラタイプ17は、図4に示される様に、マイクロコントローラ31、キーパッド32、メモリ33、LCDディスプレイ34、赤外線送受信機35、及びPC37に接続するためUSBコネクタのような接続部36を有する携帯端末を備える。このコントローラ17を用いることによって、データ収集装置15は、データロガーとして動作し、一定時間に亘って動作データを取得することができる。図5Bに示される様に、コントローラ17は、データ収集装置15を、前述したスタンバイ状態(モード0)から、データロギングモード(モード2)に切り替えるために用いられる。これにより、センサ出力データが時間とともに記録される。この動作モードではLED25は、第1のコントローラ16との関連で上述したように点灯することができる。データロギング動作の後、データ収集装置15は、モード0に戻ることが可能である。モード2では、センサ20によって取得されたデータは、第2のコントローラ17のマイクロコントローラ31へと、リアルタイムに又は後で赤外線送受信機35を介して送信され、LCD34に表示することが可能である。データには、コントローラ31によって一定量の処理及び解析を施すことが可能である。これに代えて又は加えて、データをPC37に取り込んで、解析又は更なる解析を行ってもよい。
【0030】
実際には、第1のコントローラタイプ16が取り付けられて添付されたデータ収集装置15と共に、伝動用チェーン10を需要者に供給することができる。この監視システムの構成を用いることによって、需要者は、チェーン10上の視覚インジケータ25の効果によって、いつチェーンに負荷が掛かり過ぎたのかを確認することができ、もし必要ならばチェーンの交換を含めた改善措置を講じることができる。もし、より高性能なシステムを需要者が必要とするならば、需要者は、チェーン10又はデータ収集装置15を交換せずに第2のコントローラタイプ17を購入することができる。この第2のコントローラ17によって、需要者は、チェーンの性能及び負荷に関するより詳細な情報を利用することができる。そして需要者は、チェーンの状態に関してより根拠ある判断を行うことができ、以ってチェーンの修理や交換が必要かどうかを決めることができる。
【0031】
データ収集装置15の第2のコントローラ17には、例えばその型や、長さ、保証、今までの修理歴のような、解析されているチェーンに関するデータを予め取り込むことができる。このデータは、チェーンに駆動装置が取り付けられる前に、マイクロコントローラ22,31の一方又は他方の処理装置に対応したメモリ23,33に予めプログラムされてもよい。そのデータは、第2のコントローラ17のキーパッド32から入力されるか、又はPC37から間接的に入力される。
【0032】
データを解析することによって、例えば負荷の大きさについての特定領域内でチェーンが使用されていた平均時間を決めることができる。この情報は、チェーンの使用者、又はチェーン駆動装置を組み込んだ機械の所有者にとって、チェーンがどれだけの期間使用されたかの簡易な表示や、負荷が掛かり過ぎたかどうかを表す簡易な表示よりも、意味がありかつ有益である。これは、チェーンは用途によっては、動いている時間の大部分の間、どのような大きな負荷も受けないかもしれないからである。
【0033】
データを解析することによって、負荷が所定の閾値を超えていた時間、及び/又はそのときの負荷の絶対値を決めることができる。これにより使用者は、推奨されたチェーンの負荷を何回超えたか、そしてこのことが与えるチェーンの故障のリスクに対する影響を判断することができる。データの解析によって、例えば起動時の過度の張力などのように、チェーン駆動装置で生じた障害の診断をも補助してもよい。
【0034】
チェーンの供用状態は、例えば、チェーンの残りの寿命を予測するためにマイナーの規則を収集されたデータに適用することによって分析することができる。この分析は、荷重スペクトルにおける各負荷レベル(したがって、応力レベル)での疲れ損傷に対する部分的な寄与の算出を含む。
【0035】
例えば、チェーンは、所有者によって賃借人に貸されるフォークリフトトラックのリフトチェーンアセンブリの一部であってもよい。このような状況において、賃貸人は、トラックがレンタル期間後返却されるとき情報をダウンロードすることができる。あるいは、チェーンの稼働条件は、ローカル又はワイドエリアネットワークに接続されたコンピュータによってトラックの使用中遠隔で監視することができる。メモリに格納されたデータは、周期的間隔で賃貸人のコンピューターネットワークに送信することができる。データは、有意味な結果を生成するようにコンピューターネットワーク上で動作しているソフトウェアルーチンによって分析される。
【0036】
データがリアルタイムで、又は少なくとも比較的小さい時間遅延の後処理され、チェーン疲労寿命を超えたと判定される場合、警報表示を起動することができるだけでなく、安全性が問題であれば、それを用いてチェーン駆動装置を使用不能にするために用いる遮断回路を制御することもできる。
【0037】
代替構成において、固定遠隔制御器が、循環しているチェーンに近接して、例えばフレームに、又はチェーンが一部を形成している機械の一部に設けられている。チェーンが循環するとき、それが遠隔モニタの近傍を通過するとデータ収集装置は無線でデータを送信する。このように一定間隔でデータを遠隔制御器に収集することができ、ここでそれは処理又はダウンロードされて適切な将来の時間又は日付に処理することができる。
【0038】
図6は、データ収集装置15の機械構造及びチェーン10上の位置を示した概略図である。データ収集装置は、図2に示した構成要素を取り囲んで簡易な固定具によって外側リンクプレート12aに取り付けられている筺体40を有していることがわかる。筺体40は外側を向いた壁41を有し、壁41には少なくとも1つの開口42が貫通している。LED25は、使用時に開口42を通して簡単に視認できるように配置されている。筺体40の上側の壁43は窓44をし、これを介してIR信号が送信される。センサ20は、歪みゲージ網の態様で、外側リンクプレート12aの内側を向いた壁45に取り付けられており、筺体40内において電気信号処理回路(21、ADCなど)に接続されている。
【0039】
図7は、筺体40の例を示す。筺体40は、上面壁50、下面壁51、前面壁52、側面壁53を有している。前面壁51は、データ収集装置15のLED25を保持する3つの開口と、データ収集装置の手動制御スイッチ55を収容するための溝とを有する。筺体40は、L字状の接続用ブラケット56によって外側リンクに接続されるのに適している。接続用ブラケット56は、面が外側リンクプレート11に平行に(つまり筺体40の前面壁52に平行に)拡がった第1の平板(隠れている)を有する。そして、筺体40は、適当な固定手段及び垂直板57によって外側リンクプレート11に接続されている。垂直板57は、クリップ58によって筺体40の上面壁50に固定されている。
【0040】
代替の筺体及び接続の構成が図8に示されている。この図では、筺体60は、1つのチェーンリンク61と共に描かれており、外側リンクプレート12,12a及びピン13だけが示されている。ピン13は、従来のチェーンのピンに比べて長さが延びており、両外側リンクプレートの一方12aの面を越えて横に突出して、筺体60の内側に固定された適当な保持構造(隠れている)に接続されている。
【0041】
図9の実施形態に係る筺体70では、前面壁71は、データ収集装置15の内部が触れるように取り外し可能である。前面壁には2つの固定用の穴72とLED用の開口73とが貫通している。クリップ機構74も、前面壁71を側壁75の一方に固定する役目をしている。上面及び下面壁76、77はそれぞれ、外側リンクプレート12aの周囲に接続する後方突出クリップ78(一方のみを示す、他方は隠れている)を有する。図6の実施形態のように、上面壁76は、赤外信号を通過させる窓79を有する。
【0042】
データ収集装置15及びその筐体の接続及び構造の更なる実施形態が、ローラーブッシュチェーン10に関して図10及び11に示される。図10において、装置15を支持しているチェーン外側リンクプレート12aは、標準的なリンクと比較して延長されて筐体82の後面壁81における一対の開口80に受け止められるピン13を有する。外側リンクプレート12aは、延長されたピン13の端に取り付けられ、筐体82内に完全に取り囲まれている。外側リンクプレート12aはボード83を支持し、その上にデータ収集装置15の電子部品21から24が取り付けられているが、歪みゲージセンサ20は例外的に直接外側リンクプレート12aに固定されている。尚、視覚インジケータはこの特定の図に示されていない。図11において、筐体82’の後面壁81’は外側リンクプレート12a’としての役目もしているので、延長されたピン13’はそれを通過している。電子部品21’から24’のための取り付けボード83’は、ピン13’の端に支持されている。ここでも視覚インジケータはこの図に示されていない。
【0043】
本発明で用いる歪みゲージは、受ける歪みの量に比例して電気抵抗が変化する非常に微細なメタリックワイヤをそれぞれ備えるという点において従来の設計である。ゲージは通常、リンクプレートに結合されている基板上に取り付けられている。基板は例えば、膜、箔又はシリコンウエハという形をとることができる。基板が固定されているリンクプレートが受ける歪みは直接歪みゲージへ伝達される。ゲージは、その抵抗における小さい変化を測定するために、各ゲージがブリッジネットワークのアーム及び励振供給電圧を形成するホイートストンブリッジのような従来のブリッジネットワークに配置される。ゲージの抵抗におけるどのような変化も、ゼロでない出力電圧に反映される。
【0044】
図12から15は、チェーンリンクプレートの歪みゲージセンサ20の位置決めに関するものである。図12A及び12Bはそれぞれ、無負荷及び負荷状態における先行技術のローラチェーン10の一部を示している。チェーン10は、チェーンの長さに沿って対向内側リンクプレート11と交互に配置された対向外側リンクプレート12を具え、両外側リンクプレートは、重なっているプレート11,12に整列配置されたピンホール開口14を貫通する横ピン13によって両内側リンクプレートと枢着されている。ブッシュ90が、両内側リンクプレート11において対向している開口14の間を両側で延び、横ピン13を受け止めている。ブッシュ90には円筒状ローラー91が回転可能に取り付けられている。2つの図の比較から、チェーンが引っ張られて負荷をかけられるとき、ピン13は曲げモーメントを受けることが分かるであろう。これは次には両外側リンクプレート12の負荷分布に影響を及ぼし、これらも図示の如く外向きに曲がる。このような方法で外側リンクプレート12が曲がることは、外側リンクプレート12の内向き対向表面92に対する引張応力を増大させる役目をすると共に、外向き対向表面93に対する引張応力を減少させることが観察されている。外側リンクプレート12に対する引張力及び曲げモーメントに対する正味効果はチェーン10の形状に依存しており、幾つかのリンクチェーンサイズについては、外側リンクプレート12の外面93にほとんど歪みがないという結果である。変動負荷についての歪みゲージ応答に対するチェーン負荷をプロットしている図13のグラフに示す如く、チェーン10に変動する負荷をかけている間、リンクプレート12の外面93に取り付けられた歪みゲージの応答においてかなり多くのヒステリシスがあることが観察されている。これによってチェーン負荷の測定値において曖昧さが生じる可能性がある。これは負荷が増大しているか減少しているかとその速度とに依存するからである。
【0045】
外側リンクプレート12の内向き対向表面92にゲージを配置することによって、上で言及した読み取りに対する歪曲が除去又は著しく緩和されるということが発見されている。
【0046】
外側リンク12の内側表面92に取り付けられるときの歪みゲージへの損傷を回避するため、後者は、内側リンクプレート11の外表面と摩擦接触しないように取り付けなければならない。これは例えば、図10及び11に示した筐体構成を用いることによって、又は、少なくとも図14に示すようにゲージ95が取り付けられているチェーンの側で内側リンクプレート11を越えて延びるブッシュ94を採用することによって達成することができる。
【0047】
外側チェーンリンクプレート12上の歪みゲージ95の従来の位置を図15Aに示すと共に、図15B及び15Cに本発明に従う位置を例示する。図15Aに例示する位置は、引張応力が集中する傾向があるピンホール14の近くにあるので最も直覚的である。しかしながら、図14のブッシュ94又は代替スペーサを用いれば、ゲージ95と摩擦するであろう。しかも、ゲージ95を外側リンクプレート12の内表面92に固定すべきであれば、これはプレートがピン13に取り付けられる前に行わなければならず、さもなければ限定空間を鑑みて達成するのが不可能でないならば非常に困難である。外側リンクプレート12を締り嵌めでピン13に接続するという行為は、ホール14周辺の領域においてプレート12に残留応力(すなわちどのようなチェーン負荷も加えられていない状態でのプレート材料における応力)を誘起し、このことにより歪みゲージ網を不均衡にして読み取りを歪曲している。ピンホール14の中心から等距離、すなわちチェーンピッチPに沿った中間にゲージ網95を配置すると、ゲージ95の性能が悪影響を受けず、ピン13の締り嵌めからの残留応力がゲージ網のバランスに大きな影響を及ぼさないということが出願人によって見出されている。
【0048】
従来の如く、ゲージ95はホイートストンブリッジネットワークに配置され、各ゲージが上述の如くブリッジネットワークの1つのアームを形成している。ブリッジは、バッテリから得られる供給電圧によって励振され、出力電圧はリンクプレートの歪みを表す。完全なブリッジネットワークのためにゲージは2つの2組に配置され、各組のゲージは互いに直交するように配置される。これは図15Cに示されているが、ここでゲージ95は単一の基板96上に配置されており、その膜上の2つの代替ゲージ配置がこの図の右に表されている。歪みゲージ基板96は、ピンホールの中心14から等距離のリンクプレート12の中心線c上に配置されている。矢印は、特定のゲージ95が応答する歪みの方向を例示している。同じ方向に歪みを検出する前記ゲージの内の2つがチェーンの中心線上に配置されているのに対し、他の2つは、中心線cと、ピッチ距離Pに沿って中間の位置で中心線cに対して垂直に延びる線とを中心として対称的に配置されるように配置されていることが分かるであろう。
【0049】
図15Bにおいて代替歪みゲージ構成が表されており、ここで2組のゲージ95がリンクプレート12の中心線cに対して対称的に配置されている。これは、同じ又は別個の基板96上にあってよい。右の差込み図において、各組のゲージ95は、半ブリッジネットワーク(2つのゲージで)に配置され、又は単に1つのゲージであってもよいことが分かる。
【0050】
添付の請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく上述した設計に対する多数の変形を行うことができるということが理解されるであろう。例えば、歪みゲージに代わるものとして任意の適切な形態のセンサ又はトランスデューサを用いて、応力又は歪みの他にチェーンの任意の適切な物理状態、例えば温度、振動等を感知してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係る監視システムを示した図である。
【図2】図1に示される監視システムの一部を形成するデータ収集装置を示したブロック図である。
【図3】図1に示される監視システムの一部を形成する第1のコントローラタイプを示したブロック図である。
【図4】図1に示される監視システムの一部を形成する第2のコントローラタイプを示したブロック図である。
【図5A】図1に示される監視システムの動作モードを示した図である。
【図5B】図1に示される監視システムの動作モードを示した図である。
【図6】データ収集装置が載置されたローラー伝動用チェーンであって、図1に示される監視システムの一部として用いられるものを示した概略図である。
【図7】図6に示されるデータ収集装置用の筐体の実施形態を示した斜視図である。
【図8】伝動用チェーンリンクに載置されたデータ収集装置用の筐体の代替実施形態を示した斜視図である。
【図9】伝動用チェーンリンクに載置されたデータ収集装置用の筐体の更なる代替実施形態を示した斜視図である。
【図10】ローラー伝動用チェーン及びデータ収集装置の一部を示した断面図である。
【図11】ローラー伝動用チェーン及びデータ収集装置の一部を示した断面図である。
【図12A】先行技術のローラー伝動用チェーンについて、負荷のない場合を示した断面図であり、チェーンの使用時にチェーンピン及び外側リンクプレートに掛かる曲げ負荷を示している図である。
【図12B】先行技術のローラー伝動用チェーンについて、負荷が掛かった場合を示した断面図であり、チェーンの使用時にチェーンピン及び外側リンクプレートに掛かる曲げ負荷を示している図である。
【図13】図12A及び図12Bのチェーンの外側リンクプレートの外側に歪みゲージを載置したときの、負荷に対する歪みゲージの応答信号を示したグラフである。
【図14】本発明の用途に応じて構成されたローラーチェーンのチェーンリンクの断面図であり、監視システムの歪みゲージの位置決めを示している。
【図15A】先行技術について、歪みゲージの位置決めを模式的に示したチェーンリンクの前面図である。
【図15B】本発明の監視システムについて、歪みゲージの位置決めを模式的に示したチェーンリンクの前面図である。
【図15C】本発明の監視システムについて、歪みゲージの位置決めを模式的に示したチェーンリンクの前面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横ピンによって互いに枢着された複数のチェーンリンクと、該複数のチェーンリンクの少なくとも1つに取り付けられたデータ収集装置とを備える伝動用チェーンにおいて、前記データ収集装置は、前記又は各チェーンリンクに設置され、該チェーンリンクの物理パラメータを検出して、当該物理パラメータの検出値を表す電気出力信号を生成するセンサと、前記物理パラメータの閾値を表す電気信号を格納するためのメモリ記憶装置と、当該物理パラメータの閾値と検出値とを比較して、当該検出値が当該閾値より大きいときに出力警告信号を生成するための比較器と、伝動用チェーンに取り付けられ、比較器の出力部に接続された視覚インジケータとを備え、該視覚インジケータは、比較器の警告信号が受信されたときに警告状態を表示する伝動用チェーン。
【請求項2】
前記複数のチェーンリンクは複数の内側及び外側リンクプレートを備え、前記ピンは、当該内側及び外側リンクプレートが重なった部分にあって並んでいる開口によって保持され、前記データ収集装置は、当該複数の外側リンクプレートの1つに取り付けられている、請求項1に記載の伝動用チェーン。
【請求項3】
前記センサは、1つのリンク上の歪みを検出し、電気抵抗を備える少なくとも1つの歪みゲージであり、前記データ収集装置は、当該歪みゲージの励振のための電力供給装置を更に備える、請求項1又は2に記載の伝動用チェーン。
【請求項4】
前記センサは、前記外側リンクプレートに取り付けられている電気抵抗を備える少なくとも1つの歪みゲージであり、前記データ収集装置は、当該歪みゲージの励振のための電力供給装置を更に備える、請求項2に記載の伝動用チェーン。
【請求項5】
前記又は各歪みゲージは、前記外側リンクプレートの内面に取り付けられている、請求項4に記載の伝動用チェーン。
【請求項6】
前記データ収集装置用の筐体を更に備え、該筐体は1つのチェーンリンクに取り付けられている、上記いずれかの請求項に記載の伝動用チェーン。
【請求項7】
前記データ収集装置用の筐体を更に備え、該筐体は前記外側リンクプレートを取り囲むように当該外側リンクプレートに取り付けられている、請求項2、4又は5に記載の伝動用チェーン。
【請求項8】
前記データ収集装置用の筐体を更に備え、該筐体は前記外側リンクプレートとして機能する壁を有し、前記ピンは、前記壁に設けられた開口に保持されている、請求項2、4又は5に記載の伝動用チェーン。
【請求項9】
データ収集装置が取り付けられている外側リンクプレートに隣接して対向している内側リンクプレートにおける開口間を延びる少なくとも1つのブッシュを更に備え、該ブッシュは、チェーンの片側で内側リンクプレートを越えて延び、前記外側リンクプレートと隣接する内側リンクプレートとの間に隙間が設けられるように前記外側リンクプレートの内向き対向面に当接している請求項2、4、5、7又は8のいずれか1つに記載の伝動用チェーン。
【請求項10】
前記視覚インジケータは筐体内に取り付けられているが、筐体に設けられた開口又は窓を通して視認することができる、請求項6、7又は8のいずれか1つに記載の伝動用チェーン。
【請求項11】
前記データ収集装置は、遠隔制御装置を用いて無線通信を行うための受信機を備える、上記いずれかの請求項に記載の伝動用チェーン。
【請求項12】
前記センサは、外側リンクプレートの中心線に対して対称的に取り付けられている歪みゲージ網を備える、請求項2、4、5、7、8、又は9のいずれか1つに記載の伝動用チェーン。
【請求項13】
前記歪みゲージ網は、ホイートストンブリッジネットワークを形成するように配置された4つの歪みゲージを備え、これらのゲージは複数組に分かれて配置され、各組のゲージは、互いに直交する方向における歪みを感知するように構成されている、請求項12に記載の伝動用チェーン。
【請求項14】
同じ方向に歪みを感知するように構成されている前記ネットワーク内のゲージは、外側リンクプレートのピンホールから等距離に配置されている、請求項12又は13に記載の伝動用チェーン。
【請求項15】
同じ方向に歪みを感知するように構成されている前記ネットワーク内のゲージは、外側リンクプレートの中心線から等距離に配置されている、請求項12又は13に記載の伝動用チェーン。
【請求項16】
同じ方向に歪みを感知するように構成されている前記ネットワーク内のゲージは、チェーンのピッチの長さに沿った中間の位置で外側リンクプレートに配置されている、請求項13又は14に記載の伝動用チェーン。
【請求項17】
横ピンによって互いに枢着された複数のチェーンリンクを備える伝動用チェーンのための監視システムであって、1つのチェーンリンクへの接続のための接続要素を有するデータ収集装置を備える監視システムにおいて、前記データ収集装置は、前記又は各チェーンリンクに設置し、該チェーンリンクの物理パラメータを検出して、当該物理パラメータの検出値を表す電気出力信号を生成するためのセンサと、前記物理パラメータの閾値を表す電気信号を格納するためのメモリ記憶装置と、当該物理パラメータの閾値と検出値とを比較して、当該検出値が当該閾値より大きいときに出力警告信号を生成するための比較器とを備え、前記データ収集装置は、第1の休止モードと、物理パラメータの前記閾値と前記検出値とを比較して当該検出値が当該閾値を超えたときに前記出力警告信号を生成する第2のモードと、検出データを記録して記憶する第3のモードとにおいて動作可能であるように構成されている監視システム。
【請求項18】
前記第1及び第2の動作モード間での切り替えを前記データ収集装置に対して行う第1のコントローラが設けられ、当該データ収集装置は、当該第1のコントローラからの制御信号の受信のための受信機を有する、請求項17に記載の監視システム。
【請求項19】
前記第1又は第2の動作モードと、前記第3の動作モードとの間での切り替えを前記データ収集装置に対して行う第2のコントローラが設けられ、当該データ収集装置は、当該第2のコントローラからの制御信号の受信のための受信機を有する、請求項17又は18に記載の監視システム。
【請求項20】
前記データ収集装置は、前記第2のコントローラに信号を送信するための送信機を有する、請求項19に記載の監視システム。
【請求項21】
前記第1のコントローラは、スイッチ、送信機、及び論理回路を備える、請求項18、19又は20に記載の監視システム。
【請求項22】
前記第1のコントローラはハンドホールドフォブの形態である、請求項21に記載の監視システム。
【請求項23】
前記第2のコントローラは、処理装置、メモリ、送信機、及び受信機を備える、請求項17〜22のいずれか1つに記載の監視システム。
【請求項24】
前記第2のコントローラはキーボードを更に備える、請求項23に記載の監視システム。
【請求項25】
前記第2のコントローラはディスプレイを更に備える、請求項23又は24に記載の監視システム。
【請求項26】
前記第2のコントローラは、パーソナルコンピュータと互換性のある接続ポートを更に備える、請求項21〜25のいずれか1つに記載の監視システム。
【請求項27】
前記第2のコントローラは携帯用装置の形態である、請求項19〜26のいずれか1つに記載の監視システム。
【請求項28】
前記センサは、前記チェーンリンク上の歪みを検出するように設計されており、前記センサは、前記伝動用チェーンの外側リンクプレートに取り付けられるように設計された電気抵抗を備える少なくとも1つの歪みゲージであり、前記データ収集装置は、当該歪みゲージの励振のための電力供給装置を更に備える、請求項17〜27のいずれか1つに記載の監視システム。
【請求項29】
前記データ収集装置用の筐体を更に備え、該筐体は、1つのチェーンリンクに取り付けるための取り付け要素を有する、請求項28に記載の監視システム。
【請求項30】
前記筐体は、前記伝動用チェーンのピンを保持するための開口が設けられた壁を有する、請求項29に記載の監視システム。
【請求項31】
警告信号が生成されたか否かを示すための視覚インジケータが設けられた、請求項17〜30のいずれか1つに記載の監視システム。
【請求項32】
前記センサは歪みゲージ網を備える、請求項17〜31のいずれか1つに記載の監視システム。
【請求項33】
横ピンによって互いに枢着された複数のチェーンリンクを備える伝動用チェーンの物理パラメータを監視するための方法であって、1つのチェーンリンクに、前記又は各チェーンリンクに設置し、該チェーンリンクの物理パラメータを検出して、当該物理パラメータの検出値を表す電気出力信号を生成するためのセンサと、前記物理パラメータの閾値を表す電気信号を格納するためのメモリ記憶装置と、当該物理パラメータの閾値と検出値とを比較して、当該検出値が当該閾値より大きいときに出力警告信号を生成するための比較器とを備えるデータ収集装置を設置することと、第1のコントローラを用いて第1の休止モードで前記データ収集装置を動作させると共に、前記第1のモードと、監視されている物理パラメータの前記閾値と前記検出値とが比較されて当該検出値が当該閾値を超えたときに出力警告信号を生成する第2のモードとの間での切り替えを前記データ収集装置に対して行うことと、第2のコントローラを別個に用いて、検出データを記録して記憶する第3のモードで前記データ収集装置を動作させることとを含む方法。
【請求項34】
複数の対向内側リンクプレート及び対向外側リンクプレートを備え、重なっている内側及び外側リンクプレートにあって並んでいる開口を通過している横ピンによって前記内側リンクプレートと外側リンクプレートとが接続されている伝動用チェーンに加えられる歪みを検出するための方法であって、外側リンクプレートの内向き対向面に複数の歪みゲージを設置することと、ブリッジネットワーク及び電気回路を形成するようにこれらのゲージを接続することと、前記回路の出力を用いて前記チェーンに加えられた歪みを判断することとを含む方法。
【請求項35】
前記複数の歪みゲージは、外側リンクプレートの中心線に対して対称的に取り付けられている、請求項34に記載の歪みを検出するための方法。
【請求項36】
前記複数のゲージは複数組に分かれて配置され、各組のゲージは、互いに直交する方向における歪みを感知するように構成されている、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも2つの歪みゲージが、同じ方向に歪みを感知するように構成され、外側リンクプレートのピンホールの中心から等距離に配置されている、請求項34、35又は36に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも2つの歪みゲージは、同じ方向に歪みを感知するように構成され、外側リンクプレートの中心線から等距離に配置されている、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも2つの歪みゲージが、同じ方向に歪みを感知するように構成され、外側リンクプレートの中心線上に配置されている、請求項34、35又は36に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも2つの歪みゲージは、チェーンのピッチの長さに沿った中間と一致する位置から等距離であるように配置されている、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも2つの歪みゲージは、リンクの中心線に垂直であると共にチェーンのピッチの長さに沿った中間である位置で前記中心線と交わる線に対して対称的に配置されるように配置されている、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
少なくとも2つの歪みゲージが、同じ方向に歪みを感知するように構成され、チェーンのピッチの長さに沿った中間の位置で外側リンクプレートに配置されている、請求項34、35又は36に記載の方法。
【請求項1】
横ピンによって互いに枢着された複数のチェーンリンクと、該複数のチェーンリンクの少なくとも1つに取り付けられたデータ収集装置とを備える伝動用チェーンにおいて、前記データ収集装置は、前記又は各チェーンリンクに設置され、該チェーンリンクの物理パラメータを検出して、当該物理パラメータの検出値を表す電気出力信号を生成するセンサと、前記物理パラメータの閾値を表す電気信号を格納するためのメモリ記憶装置と、当該物理パラメータの閾値と検出値とを比較して、当該検出値が当該閾値より大きいときに出力警告信号を生成するための比較器と、伝動用チェーンに取り付けられ、比較器の出力部に接続された視覚インジケータとを備え、該視覚インジケータは、比較器の警告信号が受信されたときに警告状態を表示する伝動用チェーン。
【請求項2】
前記複数のチェーンリンクは複数の内側及び外側リンクプレートを備え、前記ピンは、当該内側及び外側リンクプレートが重なった部分にあって並んでいる開口によって保持され、前記データ収集装置は、当該複数の外側リンクプレートの1つに取り付けられている、請求項1に記載の伝動用チェーン。
【請求項3】
前記センサは、1つのリンク上の歪みを検出し、電気抵抗を備える少なくとも1つの歪みゲージであり、前記データ収集装置は、当該歪みゲージの励振のための電力供給装置を更に備える、請求項1又は2に記載の伝動用チェーン。
【請求項4】
前記センサは、前記外側リンクプレートに取り付けられている電気抵抗を備える少なくとも1つの歪みゲージであり、前記データ収集装置は、当該歪みゲージの励振のための電力供給装置を更に備える、請求項2に記載の伝動用チェーン。
【請求項5】
前記又は各歪みゲージは、前記外側リンクプレートの内面に取り付けられている、請求項4に記載の伝動用チェーン。
【請求項6】
前記データ収集装置用の筐体を更に備え、該筐体は1つのチェーンリンクに取り付けられている、上記いずれかの請求項に記載の伝動用チェーン。
【請求項7】
前記データ収集装置用の筐体を更に備え、該筐体は前記外側リンクプレートを取り囲むように当該外側リンクプレートに取り付けられている、請求項2、4又は5に記載の伝動用チェーン。
【請求項8】
前記データ収集装置用の筐体を更に備え、該筐体は前記外側リンクプレートとして機能する壁を有し、前記ピンは、前記壁に設けられた開口に保持されている、請求項2、4又は5に記載の伝動用チェーン。
【請求項9】
データ収集装置が取り付けられている外側リンクプレートに隣接して対向している内側リンクプレートにおける開口間を延びる少なくとも1つのブッシュを更に備え、該ブッシュは、チェーンの片側で内側リンクプレートを越えて延び、前記外側リンクプレートと隣接する内側リンクプレートとの間に隙間が設けられるように前記外側リンクプレートの内向き対向面に当接している請求項2、4、5、7又は8のいずれか1つに記載の伝動用チェーン。
【請求項10】
前記視覚インジケータは筐体内に取り付けられているが、筐体に設けられた開口又は窓を通して視認することができる、請求項6、7又は8のいずれか1つに記載の伝動用チェーン。
【請求項11】
前記データ収集装置は、遠隔制御装置を用いて無線通信を行うための受信機を備える、上記いずれかの請求項に記載の伝動用チェーン。
【請求項12】
前記センサは、外側リンクプレートの中心線に対して対称的に取り付けられている歪みゲージ網を備える、請求項2、4、5、7、8、又は9のいずれか1つに記載の伝動用チェーン。
【請求項13】
前記歪みゲージ網は、ホイートストンブリッジネットワークを形成するように配置された4つの歪みゲージを備え、これらのゲージは複数組に分かれて配置され、各組のゲージは、互いに直交する方向における歪みを感知するように構成されている、請求項12に記載の伝動用チェーン。
【請求項14】
同じ方向に歪みを感知するように構成されている前記ネットワーク内のゲージは、外側リンクプレートのピンホールから等距離に配置されている、請求項12又は13に記載の伝動用チェーン。
【請求項15】
同じ方向に歪みを感知するように構成されている前記ネットワーク内のゲージは、外側リンクプレートの中心線から等距離に配置されている、請求項12又は13に記載の伝動用チェーン。
【請求項16】
同じ方向に歪みを感知するように構成されている前記ネットワーク内のゲージは、チェーンのピッチの長さに沿った中間の位置で外側リンクプレートに配置されている、請求項13又は14に記載の伝動用チェーン。
【請求項17】
横ピンによって互いに枢着された複数のチェーンリンクを備える伝動用チェーンのための監視システムであって、1つのチェーンリンクへの接続のための接続要素を有するデータ収集装置を備える監視システムにおいて、前記データ収集装置は、前記又は各チェーンリンクに設置し、該チェーンリンクの物理パラメータを検出して、当該物理パラメータの検出値を表す電気出力信号を生成するためのセンサと、前記物理パラメータの閾値を表す電気信号を格納するためのメモリ記憶装置と、当該物理パラメータの閾値と検出値とを比較して、当該検出値が当該閾値より大きいときに出力警告信号を生成するための比較器とを備え、前記データ収集装置は、第1の休止モードと、物理パラメータの前記閾値と前記検出値とを比較して当該検出値が当該閾値を超えたときに前記出力警告信号を生成する第2のモードと、検出データを記録して記憶する第3のモードとにおいて動作可能であるように構成されている監視システム。
【請求項18】
前記第1及び第2の動作モード間での切り替えを前記データ収集装置に対して行う第1のコントローラが設けられ、当該データ収集装置は、当該第1のコントローラからの制御信号の受信のための受信機を有する、請求項17に記載の監視システム。
【請求項19】
前記第1又は第2の動作モードと、前記第3の動作モードとの間での切り替えを前記データ収集装置に対して行う第2のコントローラが設けられ、当該データ収集装置は、当該第2のコントローラからの制御信号の受信のための受信機を有する、請求項17又は18に記載の監視システム。
【請求項20】
前記データ収集装置は、前記第2のコントローラに信号を送信するための送信機を有する、請求項19に記載の監視システム。
【請求項21】
前記第1のコントローラは、スイッチ、送信機、及び論理回路を備える、請求項18、19又は20に記載の監視システム。
【請求項22】
前記第1のコントローラはハンドホールドフォブの形態である、請求項21に記載の監視システム。
【請求項23】
前記第2のコントローラは、処理装置、メモリ、送信機、及び受信機を備える、請求項17〜22のいずれか1つに記載の監視システム。
【請求項24】
前記第2のコントローラはキーボードを更に備える、請求項23に記載の監視システム。
【請求項25】
前記第2のコントローラはディスプレイを更に備える、請求項23又は24に記載の監視システム。
【請求項26】
前記第2のコントローラは、パーソナルコンピュータと互換性のある接続ポートを更に備える、請求項21〜25のいずれか1つに記載の監視システム。
【請求項27】
前記第2のコントローラは携帯用装置の形態である、請求項19〜26のいずれか1つに記載の監視システム。
【請求項28】
前記センサは、前記チェーンリンク上の歪みを検出するように設計されており、前記センサは、前記伝動用チェーンの外側リンクプレートに取り付けられるように設計された電気抵抗を備える少なくとも1つの歪みゲージであり、前記データ収集装置は、当該歪みゲージの励振のための電力供給装置を更に備える、請求項17〜27のいずれか1つに記載の監視システム。
【請求項29】
前記データ収集装置用の筐体を更に備え、該筐体は、1つのチェーンリンクに取り付けるための取り付け要素を有する、請求項28に記載の監視システム。
【請求項30】
前記筐体は、前記伝動用チェーンのピンを保持するための開口が設けられた壁を有する、請求項29に記載の監視システム。
【請求項31】
警告信号が生成されたか否かを示すための視覚インジケータが設けられた、請求項17〜30のいずれか1つに記載の監視システム。
【請求項32】
前記センサは歪みゲージ網を備える、請求項17〜31のいずれか1つに記載の監視システム。
【請求項33】
横ピンによって互いに枢着された複数のチェーンリンクを備える伝動用チェーンの物理パラメータを監視するための方法であって、1つのチェーンリンクに、前記又は各チェーンリンクに設置し、該チェーンリンクの物理パラメータを検出して、当該物理パラメータの検出値を表す電気出力信号を生成するためのセンサと、前記物理パラメータの閾値を表す電気信号を格納するためのメモリ記憶装置と、当該物理パラメータの閾値と検出値とを比較して、当該検出値が当該閾値より大きいときに出力警告信号を生成するための比較器とを備えるデータ収集装置を設置することと、第1のコントローラを用いて第1の休止モードで前記データ収集装置を動作させると共に、前記第1のモードと、監視されている物理パラメータの前記閾値と前記検出値とが比較されて当該検出値が当該閾値を超えたときに出力警告信号を生成する第2のモードとの間での切り替えを前記データ収集装置に対して行うことと、第2のコントローラを別個に用いて、検出データを記録して記憶する第3のモードで前記データ収集装置を動作させることとを含む方法。
【請求項34】
複数の対向内側リンクプレート及び対向外側リンクプレートを備え、重なっている内側及び外側リンクプレートにあって並んでいる開口を通過している横ピンによって前記内側リンクプレートと外側リンクプレートとが接続されている伝動用チェーンに加えられる歪みを検出するための方法であって、外側リンクプレートの内向き対向面に複数の歪みゲージを設置することと、ブリッジネットワーク及び電気回路を形成するようにこれらのゲージを接続することと、前記回路の出力を用いて前記チェーンに加えられた歪みを判断することとを含む方法。
【請求項35】
前記複数の歪みゲージは、外側リンクプレートの中心線に対して対称的に取り付けられている、請求項34に記載の歪みを検出するための方法。
【請求項36】
前記複数のゲージは複数組に分かれて配置され、各組のゲージは、互いに直交する方向における歪みを感知するように構成されている、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも2つの歪みゲージが、同じ方向に歪みを感知するように構成され、外側リンクプレートのピンホールの中心から等距離に配置されている、請求項34、35又は36に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも2つの歪みゲージは、同じ方向に歪みを感知するように構成され、外側リンクプレートの中心線から等距離に配置されている、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも2つの歪みゲージが、同じ方向に歪みを感知するように構成され、外側リンクプレートの中心線上に配置されている、請求項34、35又は36に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも2つの歪みゲージは、チェーンのピッチの長さに沿った中間と一致する位置から等距離であるように配置されている、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも2つの歪みゲージは、リンクの中心線に垂直であると共にチェーンのピッチの長さに沿った中間である位置で前記中心線と交わる線に対して対称的に配置されるように配置されている、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
少なくとも2つの歪みゲージが、同じ方向に歪みを感知するように構成され、チェーンのピッチの長さに沿った中間の位置で外側リンクプレートに配置されている、請求項34、35又は36に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【公表番号】特表2009−503484(P2009−503484A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523429(P2008−523429)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002383
【国際公開番号】WO2007/012796
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(503304773)レノルド ピーエルシー (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002383
【国際公開番号】WO2007/012796
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(503304773)レノルド ピーエルシー (2)
【Fターム(参考)】
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