説明

伝動装置及び画像形成装置

【課題】駆動側歯付プーリと従動側歯付プーリとの間の位相ずれが生じることなく、高精度回転を満足すると共に、駆動トルクの損失を減少し、耐久性の向上させる。
【解決手段】モータ210に接続された駆動側歯付プーリ221と、駆動対象に接続された駆動側歯付プーリ221と、両歯付プーリに巻き掛けられて動力を伝動する歯付ベルト223と、歯付ベルト223の弛み側部分を弾性的に加圧するテンションプーリ232とを備える伝動装置200において、従動側歯付プーリの回転量を検出する回転量検出手段240と、モータ210の起動時に、回転量検出手段240で前記従動側歯付プーリ622の回転を検知したとき、又は、前記駆動側歯付プーリ221の速度と前記従動側歯付プーリ622の速度とが一致したとき前記回転駆動源の起動を開始する制御装置300とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝動装置及び画像形成装置に係り、特に回転駆動源に接続された駆動側歯付プーリと、駆動対象に接続された駆動側歯付プーリと、両歯付プーリに巻き掛けられて動力を伝動する歯付ベルトと、前記歯付ベルトの弛み側部分を弾性的に加圧するテンションプーリとを備える伝動装置及びこれを使用する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置プリンタ、複写機、ファクシミリ、それらの複合機等の感光体や給紙レジストや定着ローラなどへと伝動する伝動装置が備えられている。特に駆動側歯付プーリと従動側歯付プーリとの間に歯付ベルトを掛け渡し、駆動力を駆動側から受動側に伝動する歯付ベルト伝動装置が用いられる。
【0003】
この歯付ベルトを使用する伝動装置は、滑りが発生せず、駆動側と従動側の位相が保たれるためドラム駆動機構、紙搬送機構等の位置合わせを正確に行う必要がある個所には使用される。
【0004】
このように画像形成装置に使用され、滑りが発生しないようにした伝動装置について以下のものが提案されている。
【0005】
図9は従来の伝動装置を示す該略図である。伝動装置700は、スキャナモータ710の出力軸711で駆動されるギヤ712で駆動される駆動側歯付プーリ721と、スキャナ駆動シャフト(図示していない)に取り付けた従動側歯付プーリ722との間に歯付ベルト723を掛け渡して構成している。また、伝動装置700には、テンション部材730を配置し、前記歯付ベルト723の緩みを吸収するようにしている。テンション部材730は、図示していない軸部で回動可能に支持されたブラケット731と、このブラケット731に取り付けられ、前記歯付ベルト723の緩み側723aに接触するテンションプーリ732と、前記ブラケット731を引っ張るスプリング733とを備えている。このような構成により、テンション部材730は、常時スプリング733でテンションプーリ732を引っ張って歯付ベルト723の緩みを吸収するようにしている。
【0006】
このような構成の伝動装置は、特許文献1に記載がある。特許文献1には、スキャナモータの出力軸に取り付けた駆動プーリと、スキャナ駆動シャフトに取り付けた従動プーリとの間にタイミングベルトを掛け渡し、ブラケットに取り付けたテンションプーリを引っ張りスプリングによりタイミングベルトに圧接することで、タイミングベルトにテンションをかけており、前記ブラケットは、軸支部を中心にして先端が自由になっており、これにより常にスプリングの力がテンションプーリを介してタイミングベルトにかけられ、また、軸支部には、ゴムあるいは回転型オイルダンパーが介在されており、ブラケット自体の瞬間的な回転を防止するものが記載されている。
【0007】
また、滑りを防止した伝動装置として特許文献2には、中間転写モータの駆動信号を停止へ切り換えると同時に感光体モータに所定時間だけブレーキ手段にてブレーキをかけ、この後、感光体モータ制御手段は、感光体モータの駆動信号を短時間だけ停止へ切り換えてから感光体モータを逆転駆動させるものが記載されている。
【特許文献1】特開平11−202424号公報
【特許文献2】特開2001−13842公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、複写機等の電子写真を利用した装置において、ドラムや給紙レジスト等の駆動には、高精度回転が要求され、駆動側の駆動量と間で滑りが発生したり、駆動側と従動側との間で位相のずれが発生したりしないことが重要となる。
しかし、上述した従来の伝動装置にあっては、スプリング733の引っ張り力を強くしてテンションプーリ732で歯付ベルト723の緩み側713aを大きく引き、歯付ベルト723のテンションを強くしすぎると、スキャナモータ710の駆動振動が緩衝されることなくそのまま負荷側に伝わることがあり、また、軸受け部の摩耗、ベルトの耐久問題、駆動動力の損失等の問題となる。
【0009】
そこで、テンション部材の加圧力を弱く設定することが考えられる。しかし、テンション部材の加圧力を弱くした状態で高い負荷をかけて伝動装置700を駆動すると一時的に駆動側歯付プーリが逆転する現象が発生する。図10は駆動側プーリの逆転現象を説明するための該略図、図11は駆動側プーリの逆転状態を示すグラフである。即ち、図10に示すように、従動側歯付プーリ722が駆動側歯付プーリ721で駆動されている状態において、歯付ベルト723には張力T1が生じている(図10(a))。この状態で従動側歯付プーリ722が停止すると、駆動側歯付プーリ721は慣性力のため直ちに停止することなく回転を続ける(図10(b)。すると、歯付ベルト723は駆動側歯付プーリ721に引っ張られた状態になり張力T2が生じる(T1<T2)。そして、駆動側歯付プーリ721にスキャナモータ710からの駆動力が伝達されなくなると、歯付ベルト723は、張力T3で駆動側歯付プーリ721を引っ張るため駆動側歯付プーリ721は一時的に逆回転した後停止する(図10(c)、同(d))。
【0010】
また、伝動装置700において、駆動対象の慣性力が大きい場合には、一時的に従動側歯付プーリ722が駆動側歯付プーリ721を駆動する状態となり、停止時において両者に位相のずれが生じる。図12は停止時の位相のずれを示すグラフである。このような現象は、先に駆動側が停止した状態で従動側が回り続けようとするため発生する。
【0011】
そして、上述した2つの状態では、加圧力が弱いテンション部材730は有効に機能せず、図13に示すようにベルトの張り側が大きく緩み、次の起動時に応答性が悪くなるという問題が生じる他、起動時に駆動と従動の位相ずれが発生し、駆動対象の位置制御ができなくなるという問題がある。図14は起動時の駆動側と従動側の位相のずれを示すグラフであり、(a)は位相ずれが発生した状態、(b)は位相がずれない状態を示すものである。
【0012】
図14に示すように、駆動側歯付プーリ721が回転を開始しても歯付ベルト723の弛みのため、従動側歯付プーリ722が直ちに回転を開始せず一定時間遅れて回転をかいしするのである。
【0013】
そして、このような従来の駆動伝動手段を画像形成装置の感光体ドラムやインクジョットプリンタの主走査キャリッジの駆動に適用した場合には、上記のような駆動側歯付プーリ721と従動側歯付プーリ722との間に位相ずれが発生すると色ずれが生じ、画像の劣化をもたらすという問題がある。
【0014】
そこで、本発明の目的は、前記課題を解消し、駆動側歯付プーリと従動側歯付プーリとの間の位相ずれが生じることなく、高精度回転を満足すると共に、駆動トルクの損失を減少し、耐久性の向上させることができる伝動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、回転駆動源に接続された駆動側歯付プーリと、駆動対象に接続された駆動側歯付プーリと、両歯付プーリに巻き掛けられて動力を伝動する歯付ベルトと、前記歯付ベルトの弛み側部分を弾性的に加圧するテンションプーリとを備える伝動装置において、従動側歯付プーリの回転量を検出する回転量検出手段と、前記回転駆動源の起動時に、前記回転量検出手段で前記従動側歯付プーリの回転を検知したとき、又は、前記駆動側歯付プーリの速度と前記従動側歯付プーリの速度とが一致したとき前記回転駆動源の起動を開始する回転駆動源制御手段と、を備えることを特徴とする伝動装置である。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1記載の伝動装置において、前記回転駆動源の停止時に、回転駆動源をショートブレーキで制動し、又は回転駆動源への入力パルスを操作して前記駆動側歯付プーリの周速度を前記回転量検出手段から得られる従動側歯付プーリの周速度と合わせるように減速させる減速手段を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の伝動装置において、前記回転量読取手段は、従動側歯付プーリの回転と共に回転する目盛板と、この目盛板の目盛を読み取る読取装置とを備えて構成されることを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1又は2記載の伝動装置において、前記目盛が前記従動側歯付プーリに形成されていると共に、この目盛を読み取る読取装置を備えて構成されることを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1又は2記載の伝動装置において、前記回転量取得手段は、前記歯付ベルトに記載された目盛と、前記目盛を読み取る読取装置を備えて構成されることを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明は、回転駆動源に接続された駆動側歯付プーリと、駆動対象に接続された駆動側歯付プーリと、両歯付プーリに巻き掛けられて動力を伝動する歯付ベルトと、前記歯付ベルトの弛み側部分を弾性的に加圧するテンションプーリとを備える伝動装置において、前記歯付ベルトの張り側に配置され、前記歯付ベルトとの距離を検知する距離測定手段と、回転駆動源の起動時において、前記距離測定手段と歯付ベルトとの距離が設定距離になったとき回転駆動源の起動を開始する起動制御手段とを備えることを特徴とする伝動装置である。
【0021】
請求項7の発明は、請求項6記載の伝動装置において、回転駆動源停止時に、前記距離測定手段と歯付ベルトとの距離が所定寸法となるように回転駆動源の駆動量をショートブレーキ、又は入力パルスにより減速させていく減速手段を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項8の発明は、回転駆動源に接続された駆動側歯付プーリと、駆動対象に接続された駆動側歯付プーリと、両歯付プーリに巻き掛けられて動力を伝動する歯付ベルトと、前記歯付ベルトの弛み側部分を弾性的に加圧するテンションプーリとを備える伝動装置において、前記テンションプーリの位置を読み取るプーリ位置読取手段と回転駆動源起動時において、前記テンションプーリが基準位置になったとき回転駆動源を起動する起動制御手段とを備えることを特徴とする伝動装置である。
【0023】
請求項9の発明は、請求項8記載の伝動装置において、回転駆動源停止時に、テンションプーリの位置が一定位置となるように回転駆動源の駆動量をショートブレーキ又は入力パルスにより減速させていく減速手段を備えることを特徴とする。
【0024】
請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれか記載の伝動装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る伝動装置及び画像形成装置にあっては、従動側歯付プーリの回転量を検出する回転量検出手段と、前記回転駆動源の起動時に、前記回転量検出手段で前記従動側歯付プーリの回転を検知したとき、又は、前記駆動側歯付プーリの速度と前記従動側歯付プーリの速度とが一致したとき前記回転駆動源の起動を開始する回転駆動源制御手段を備えるので、駆動側歯付プーリと従動側歯付プーリとの間の位相ずれが生じることなく、高精度回転を満足すると共に、駆動トルクの損失を減少し、耐久性の向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下本発明を実施するための最良の形態としての実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0027】
以下本発明に係る画像形成装置について説明する。図1は実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。本例に係る画像形成装置は、フルカラー画像の形成が可能なタンデム型の電子写真装置である。画像形成装置100は、感光体110K、110M、110C、110Yが間隔をおいて並設されている。なお、符号の末尾に付したK、M、C、Yはそれぞれ現像色がブラック、マゼンタ、シアン、イエローを示す。各感光体まわりの部材構成は、現像色が異なっても共通であるので、以下では感光体110Yまわりの構成について説明し、他の感光体110K、110M、110Cまわりの部材については、感光体110Kに関連する部材については図中各部材の符号の末尾にKを付して説明し、感光体110M、110C、110Yの各感光体に関連する部材については図中各部材の符号の末尾にそれぞれM、C、Yの各符号を付して示し説明は省略する。
更に体110Yの周囲には、公知のように、帯電器(図示せず)、現像ローラ120Y、クリーニング装置(図示せず)などが配置されていて、予め帯電器で帯電された感光体110Yは露光装置(図示せず)により原稿画像情報を含む光で露光されて静電潜像が形成され、更にこの静電潜像は現像装置の一部である現像ローラ120Yから供給されるトナーにより可視像化される。
【0028】
一方、当該画像形成装置本体130の下部には給紙部140が配置され、この給紙部140から破線で示すシート搬送路150を経てシート状媒体(図示されず)が搬送されるようになっている。このシート状媒体は一対のレジストローラ151で一旦停止して送り出しのタイミングを整えられて、適時のタイミングで送り出される。
感光体110Y上に形成された各カラートナー画像は図示しない1次転写装置により一旦、ベルト状をした中間転写体160に順次転写されて重ねカラートナー画像が形成される。中間転写体160上の重ねカラートナー画像は、給紙部140よりシート搬送路150をたどって送られ、レジストローラ151を経て送り出されたシート状媒体に、2次転写装置170により一括転写される。転写後のシート状媒体は、定着装置180を通過する間に定着されて排紙トレイ190に排出される。
【0029】
このような画像形成装置100において、感光体、2次転写装置等のドラム駆動機構、やレジストローラや紙搬送機構には実施例に係る伝動装置が使用されている。以下実施例に係る伝動装置について説明する。
【0030】
図2は第1実施例に係る伝動装置を示す模式図、図3は第1実施例に係る伝動装置の制御系を示すブロック図である。本実施例に係る伝動装置200は、パルス制御で駆動されるモータ210の出力軸211で駆動されるギヤ212に取り付けられた駆動側歯付プーリ221と、スキャナ駆動シャフト(図示していない)に取り付けた従動側歯付プーリ222との間に歯付ベルト223を掛け渡して構成している。また、伝動装置200には、テンション部材230を配置し、前記テンションプーリ232の緩みを吸収するようにしている。テンション部材230は、図示していない軸部で回動可能に支持されたブラケット231と、このブラケット231に取り付けられ、前記歯付ベルト223の緩み側213aに接触するテンションプーリ232と、前記ブラケット231を引っ張るスプリング233とを備えている。
【0031】
また、本例では、従動側歯付プーリ222には、この従動側歯付プーリ222の回転量を検出する回転量検出手段240を備えている。この回転量検出手段240は、従動側歯付プーリ222に取り付けられ、パターン242を形成した目盛板であるパターン円板241とこのパターン円板241のパターン242を読み取る、例えばフォトインタラプタからなる読取装置243とを備える。なお、前記パターン円板241を配置するのに換え、従動側歯付プーリ222自体にパターンを付して、このパターンを読取装置243で検出してもよい。このパターンは、例えば、フィルム素材にパターンを付したものを従動側歯付プーリ222に貼り付けたり、パターンが印刷されたシールを従動側歯付プーリ222に貼り付けたりしてもよい。またパターンは円周に沿う模様であっても、放射状の模様でもよい。
【0032】
本例に係る伝動装置200において、モータ210は、制御装置300制御されている。制御装置300は、モータ210をショートブレーキにより制動するブレーキ手段310と、モータ210をパルス制御するモータ制御手段320と、前記回転量検出手段240が検出した従動側歯付プーリ222の回転状態に基づいて前記ブレーキ手段310及びモータ制御手段320を制御するCPU330とを備える。
【0033】
本例では、制御装置300は、モータ210の起動時において、従動側歯付プーリ222が回転を開始した瞬間、又は、モータ210による駆動側歯付プーリ221の速度と従動側歯付プーリ222の速度とが一致した瞬間にモータ210を起動する。
【0034】
また、本例では、制御装置300は、モータ210の停止時及び起動時おいて、従動側歯付プーリ222の回転に合わせて、ブレーキ手段310によるショートブレーキと、モータ制御手段320によるパルス制御を行い、モータ210を駆動する。本例では、駆動側の慣性力が大きい場合と、従動側の慣性力が大きい場合に分け次のような制御を行う。ここで駆動側と従動側の慣性力の比較は、負荷を持たないモータ側の慣性力は常に同じと考えられるため、回転量検出手段240からの信号と比較することにより行う。図4は駆動側の慣性力が大きい場合におけるモータの制御を示すグラフ、図5は従動側の慣性力が大きい場合におけるモータの制御を示すグラフである。
【0035】
停止時において、駆動側の慣性力が大きい場合は、ショートブレーキをかけてモータを通常より早く減速させる。その後入力パルスのデューティを下げていき、従動側の通常の減速より、モータを遅く減速させるのである。この場合、図4(c)に示すように、モータ210をoff状態とした後に、回転量検出手段240で読み取った従動側歯付プーリ222の回転値にあわせて、ショートブレーキのon、offを繰り返し、駆動側歯付プーリ221の速度を従動側歯付プーリ222の速度に合わせるように、減速していき、最後はブレーキを長くして、完全に停止させる。本例では、このような制御を行うことにより、図4(a)に示した従来の状態が是正され、図4(b)に示すように、駆動側と従動側とは同期して停止させることができる。
【0036】
一方従動側の慣性力が大きいときは、入力パルスを下げていき、従動側の通常の減速より、モータを遅く減速させる。この場合、モータ210を停止させるときに、駆動トルクを持ったまま減速させるためブレーキではなく、入力パルスを減少させていき、モータを減速させ、最後はブレーキをかけて、完全に停止させる。
本例では、このような制御を行うことにより、図5(a)に示した従来の状態が是正され、図4(b)に示すように、駆動側と従動側とは同期して停止する。
【0037】
以上のように、第1実施例に係る伝動装置によれば、ベルト張力を維持しながら減速するので、停止時にベルトが弛みまず、次起動のときの応答性を良好なものとすることができる他、テンションプーリの加圧力を弱くできるので、駆動トルクの損失を減少し、耐久性の向上を実現することができる。
【0038】
次に第2実施例について説明する。図6は第2実施例に係る伝動装置を示す模式図であり、(a)は伝動装置の概略構成を示す模式図、(b)は歯付ベルトに付されたパターンを示す模式図である。
【0039】
本例に係る伝動装置400は、回転量検出手段440として、歯付ベルト423に回転量検出用のパターン442を付し、このパターンを検出装置443で検出するようにしたものであり、その他の基本的構成は、前記第1実施例に係る伝動装置200と同様の構成を備える。即ち、本実施例に係る伝動装置400は、モータ410の出力軸411で駆動されるギヤ412に取り付けられた駆動側歯付プーリ421と、スキャナ駆動シャフト(図示していない)に取り付けた従動側歯付プーリ422との間に歯付ベルト423を掛け渡して構成している。また、伝動装置400には、テンション部材430を配置し、前記テンションプーリ432の緩みを吸収するようにしている。テンション部材430は、図示していない軸部で回動可能に支持されたブラケット431と、このブラケット431に取り付けられ、前記歯付ベルト423の緩み側413aに接触するテンションプーリ432と、前記ブラケット431を引っ張るスプリング433とを備えている。
【0040】
前記回転量検出手段440は、図6(b)に示すように、歯付ベルト423の歯424が形成されていない側にパターン442を付し、検出装置443としてこのパターンを光学的に検出する反射式のセンサを備えている。前記パターン442は、歯付ベルト423に印刷されていても、パターンが付されたシールを貼り付けるようにしてもよい。
【0041】
また、本例に係る制御装置300には第1実施例と同様の制御装置が配置されており、制御装置はモータ210を制御する。
【0042】
本例に係る制御装置によれば、第1実施例に係る画像形成装置が奏する効果の他、駆動側歯付プーリに他の部座を取り付けることなく従動側歯付プーリの回転速度を検出でき、構造を簡易なものとすることができる。
【0043】
次に第3実施例について説明する。図7は第3実施例に係る伝動装置を示す模式図である。
【0044】
本例に係る伝動装置500は、モータ510の出力軸511で駆動されるギヤ512に取り付けられた駆動側歯付プーリ521と、スキャナ駆動シャフト(図示していない)に取り付けた従動側歯付プーリ522との間に歯付ベルト523を掛け渡して構成している。また、伝動装置500には、テンション部材530を配置し、前記テンションプーリ532の緩みを吸収するようにしている。テンション部材530は、図示していない軸部で回動可能に支持されたブラケット531と、このブラケット531に取り付けられ、前記歯付ベルト523の緩み側513aに接触するテンションプーリ532と、前記ブラケット531を引っ張るスプリング533とを備えている。更に、本例に係る伝動装置500には第1実施例と同様の制御装置が配置されており、制御装置はモータ510を制御する。
【0045】
そして、伝動装置500には、歯付ベルト523の張側523bに歯付ベルト523との距離d1を検知する超音波式の距離センサ541を備えている。そして、前記制御装置は、モータ510の起動時において、歯付ベルト523と距離センサ541との距離が設定した所定の距離になったときモータ510を起動する。ここで前記設定距離は、駆動側歯付プーリ521と従動側歯付プーリ522とが同期している状態における歯付ベルト523と距離センサ541との距離とすることが好適である。
【0046】
また、本例では、伝動装置500の減速時において、制御装置は前記距離測定手段と歯付ベルトとの距離が所定寸法となるように回転駆動源の駆動量をショートブレーキ、又は入力パルスにより減速させていく。
【0047】
ここで、歯付ベルト523が緩んでいる状態では歯付ベルト523と距離センサ541との距離が短くなり、一方、歯付ベルト523が張っている状態では歯付ベルト523と距離センサ541との距離が長くなる。従って、駆動側歯付プーリ521と従動側歯付プーリ522とが同期している状態を基準にして、設定距離を駆動状態時の歯付ベルト523の位置とすると、歯付ベルト523までの距離が短くなったときは、歯付ベルト523が撓んでおり従動側の慣性力が大きいと判定でき、前述した図4に示した制御を適応する。一方、歯付ベルト523の位置までの距離が長くなったときは、歯付ベルト523が張りすぎており駆動側の慣性力が大きいと判定でき、前述した図5に示した制御を適応する。
【0048】
従って本例に係る伝動装置500によれば、第1実施例に係る画像形成装置が奏する効果の他、駆動側歯付プーリに他の部座を取り付けることなく従動側歯付プーリの回転速度を検出でき、構造を簡易なものとすることができる。
【0049】
次に第4実施例について説明する。図8は第4実施例に係る伝動装置を示す模式図である。
【0050】
本例に係る伝動装置600は、モータ610の出力軸611で駆動されるギヤ612に取り付けられた駆動側歯付プーリ621と、スキャナ駆動シャフト(図示していない)に取り付けた従動側歯付プーリ622との間に歯付ベルト623を掛け渡して構成している。また、伝動装置600には、テンション部材630を配置し、前記テンションプーリ632の緩みを吸収するようにしている。テンション部材630は、図示していない軸部で回動可能に支持されたブラケット631と、このブラケット631に取り付けられ、前記歯付ベルト623の緩み側613aに接触するテンションプーリ632と、前記ブラケット631を引っ張るスプリング633とを備えている。更に、本例に係る伝動装置600には第1実施例と同様の制御装置が配置されており、制御装置はモータ610を制御する。
【0051】
そして、伝動装置600には、歯付ベルト623の張側623bにブラケット631との距離d2を検知する超音波式の距離センサ641を備えている。そして、前記制御装置は、モータ610の起動時において、ブラケット631と距離センサ641との距離が設定した所定の距離になったときモータ610を起動する。ここで前記設定距離は、駆動側歯付プーリ621と従動側歯付プーリ622とが同期している状態におけるブラケット631と距離センサ641との距離とすることが好適である。
【0052】
また、本例では、伝動装置500の減速時において、制御装置はブラケット631と距離センサ641との間の距離d2が所定寸法となるようにモータ610の駆動量をショートブレーキ、又は入力パルスにより減速させていく。
【0053】
ここで、歯付ベルト623が緩んでいる状態ではブラケット631と距離センサ441との距離が長くなり、一方、歯付ベルト623が張っている状態ではブラケット631と距離センサ641との距離が短くなる。従って、駆動側歯付プーリ621と従動側歯付プーリ622とが同期している状態を基準にして設定距離を、駆動状態時のブラケット631の位置とすると、ブラケット631までの距離が長くなったときは、歯付ベルト623が撓んでおり従動側歯付の慣性力が大きいと判定でき、前述した図4に示した制御を適応する。一方、ブラケット631までの距離が短くなったときは、歯付ベルト623が張りすぎており駆動側の慣性力が大きいと判定でき、前述した図5に示した制御を適応する。
【0054】
従って本例に係る伝動装置600によれば、第1実施例に係る画像形成装置が奏する効果の他、駆動側歯付プーリに他の部座を取り付けることなく従動側歯付プーリの回転速度を検出でき、構造を簡易なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】第1実施例に係る伝動装置を示す模式図である。
【図3】第1実施例に係る伝動装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】駆動側の慣性力が大きい場合におけるモータの制御を示すグラフである。
【図5】従動側の慣性力が大きい場合におけるモータの制御を示すグラフである。
【図6】第2実施例に係る伝動装置を示す模式図であり、(a)は伝動装置の概略構成を示す模式図、(b)は歯付ベルトに付されたパターンを示す模式図である。
【図7】第3実施例に係る伝動装置を示す模式図である。
【図8】第4実施例に係る伝動装置を示す模式図である。
【図9】従来の伝動装置を示す該略図である。
【図10】伝動装置における駆動側プーリの逆転現象を説明するための該略図である。
【図11】伝動装置における駆動側プーリの逆転状態を示すグラフである。
【図12】伝動装置における停止時の位相のずれを示すグラフである。
【図13】伝動装置のベルトが緩んだ状態を示す該略図である。
【図14】起動時の駆動側と従動側の位相のずれを示すグラフであり、(a)は位相ずれが発生した状態、(b)は位相がずれない状態を示すものである。
【符号の説明】
【0056】
100 画像形成装置
110K、110M、110C、110Y 感光体
120Y、120M、120C、120Y 現像ローラ
130 画像形成装置本体
140 給紙部
150 シート搬送路
151 レジストローラ
160 中間転写体
170 2次転写装置
180 定着装置
190 排紙トレイ
200 伝動装置
210 モータ
211 出力軸
212 ギヤ
213a 側
221 駆動側歯付プーリ
222 従動側歯付プーリ
223 歯付ベルト
230 テンション部材
231 ブラケット
232 テンションプーリ
233 スプリング
240 回転量検出手段
241 パターン円板
242 パターン
243 読取装置
300 制御装置
310 ブレーキ手段
320 モータ制御手段
330 CPU
400 伝動装置
410 モータ
411 出力軸
412 ギヤ
413a 側
421 駆動側歯付プーリ
422 従動側歯付プーリ
423 歯付ベルト
424 歯
430 テンション部材
431 ブラケット
432 テンションプーリ
433 スプリング
440 回転量検出手段
441 距離センサ
442 パターン
443 検出装置
500 伝動装置
510 モータ
511 出力軸
512 ギヤ
513a 側
521 駆動側歯付プーリ
522 従動側歯付プーリ
523 歯付ベルト
523b 張側
530 テンション部材
531 ブラケット
532 テンションプーリ
533 スプリング
541 距離センサ
600 伝動装置
610 モータ
611 出力軸
612 ギヤ
613a 側
621 駆動側歯付プーリ
622 従動側歯付プーリ
623 歯付ベルト
623b 張側
630 テンション部材
631 ブラケット
632 テンションプーリ
633 スプリング
641 距離センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動源に接続された駆動側歯付プーリと、駆動対象に接続された駆動側歯付プーリと、両歯付プーリに巻き掛けられて動力を伝動する歯付ベルトと、前記歯付ベルトの弛み側部分を弾性的に加圧するテンションプーリとを備える伝動装置において、
従動側歯付プーリの回転量を検出する回転量検出手段と、
前記回転駆動源の起動時に、前記回転量検出手段で前記従動側歯付プーリの回転を検知したとき、又は、前記駆動側歯付プーリの速度と前記従動側歯付プーリの速度とが一致したとき前記回転駆動源の起動を開始する回転駆動源制御手段と、
を備えることを特徴とする伝動装置。
【請求項2】
前記回転駆動源の停止時に、回転駆動源をショートブレーキで制動し、又は回転駆動源への入力パルスを操作して前記駆動側歯付プーリの周速度を前記回転量検出手段から得られる従動側歯付プーリの周速度と合わせるように減速させる減速手段を備えることを特徴とする請求項1記載の伝動装置。
【請求項3】
前記回転量読取手段は、従動側歯付プーリの回転と共に回転する目盛板と、この目盛板の目盛を読み取る読取装置とを備えて構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の伝動装置。
【請求項4】
前記目盛が前記従動側歯付プーリに形成されていると共に、この目盛を読み取る読取装置を備えて構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の伝動装置。
【請求項5】
前記回転量取得手段は、前記歯付ベルトに記載された目盛と、前記目盛を読み取る読取装置を備えて構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の伝動装置。
【請求項6】
回転駆動源に接続された駆動側歯付プーリと、駆動対象に接続された駆動側歯付プーリと、両歯付プーリに巻き掛けられて動力を伝動する歯付ベルトと、前記歯付ベルトの弛み側部分を弾性的に加圧するテンションプーリとを備える伝動装置において、
前記歯付ベルトの張り側に配置され、前記歯付ベルトとの距離を検知する距離測定手段と、
回転駆動源の起動時において、前記距離測定手段と歯付ベルトとの距離が設定距離になったとき回転駆動源の起動を開始する起動制御手段とを備えることを特徴とする伝動装置。
【請求項7】
回転駆動源停止時に、前記距離測定手段と歯付ベルトとの距離が所定寸法となるように回転駆動源の駆動量をショートブレーキ、又は入力パルスにより減速させていく減速手段を備えることを特徴とする請求項6記載の伝動装置。
【請求項8】
回転駆動源に接続された駆動側歯付プーリと、駆動対象に接続された駆動側歯付プーリと、両歯付プーリに巻き掛けられて動力を伝動する歯付ベルトと、前記歯付ベルトの弛み側部分を弾性的に加圧するテンションプーリとを備える伝動装置において、
前記テンションプーリの位置を読み取るプーリ位置読取手段と
回転駆動源起動時において、前記テンションプーリが基準位置になったとき回転駆動源を起動する起動制御手段と、を備えることを特徴とする伝動装置。
【請求項9】
回転駆動源停止時に、テンションプーリの位置が一定位置となるように回転駆動源の駆動量をショートブレーキ又は入力パルスにより減速させていく減速手段を備えることを特徴とする請求項8記載の伝動装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか記載の伝動装置を備えることを特徴とする画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−109713(P2009−109713A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281451(P2007−281451)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】