説明

位相差検出回路、PLL回路、位相差検出方法及び位相差検出プログラム

【課題】 ゼロクロスポイント検出用のハードを用いることなく、位相差の検出機能を実現する。
【解決手段】 位相差検出回路は、検出信号と内部基準信号の位相差を検出するための回路であって、d−q軸変換ユニット5と、1周期全加算ユニット6と、位相差算出ユニット7とを備えている。d−q軸変換ユニット5は、内部基準信号を用いて検出信号をd−q軸変換することで、瞬時値有効分dと瞬時値無効分qとを算出する。1周期全加算ユニット6は、瞬時値有効分dを1周期全加算することで有効分Dを算出して、さらに瞬時値無効分qを1周期全加算することで無効分Qを算出する。位相差算出ユニット7は、有効分Dと無効分Qを用いて位相差を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相差検出回路及びそれを用いたPLL回路に関しており、さらに位相差検出方法及び位相差検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
系統連系に用いられるインバータや無停電電源装置(UPS)では、系統電圧と同期のとれた電流(電力)を入出力している。このような機能を実現するためには、一般に、PLL回路(Phase Locked loop)が用いられている。
【0003】
PLL回路とは、位相同期回路であり、入力周波数とループ内の発信器からの出力周波数とを同期させるように、ループ内の発振器にフィードバック制御をかけて発振させる。PLL回路の基本構成は、位相比較器と、ローパスフィルタと、電圧制御発振器(VCO)と、分周器とからなる。位相比較器は、両周波数の位相差を比較して差信号を発生する。ローパスフィルタは、差信号の交流成分をカットする、つまり、差信号を直流化する。電圧制御発振器は、差信号を積分して、積分量に対応した周波数を出力する。分周器は、この周波数を分周して位相比較器に出力する。この結果、電圧制御発振器の発振周波数が入力周波数の分周数倍された周波数に対して同期する。
【0004】
従来のインバータの制御装置では、従来のアナログ回路の構成をディジタル回路の構成に移行させることを目的として、系統電圧ゼロクロスポイント検出法を採用している(例えば、特許文献1を参照。)。ゼロクロスポイント検出法では、対象となる波形がゼロ軸と交差する点(ゼロクロスポイント)を検出して、次に、系統電圧とインバータ電圧の各ゼロクロスポイント毎の時間差から位相差を得る。そして、PI制御によって位相差をゼロにする。なお、位相を微分したものが周波数でありその周波数を積分すると位相になるため、位相を一定の傾きで進めるためには周波数をステップで上昇させ、位相を一定の傾きで遅らせるには周波数をステップで下降させる。
【0005】
図7に、系統電圧ゼロクロスポイント検出法の概略を示す。図7には、検出電圧及び基準電圧の波形図、検出ゼロクロスコンパレータ及び基準ゼロクロスコンパレータのタイミング図、及び位相差を示す図が示されている。なお、図中では位相差算出を半サイクル毎に行っているが、実際にはエッジ割り込みを使用するため、1サイクル毎に位相算出を行っている。
【特許文献1】特開平7−79571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に示すゼロクロスポイント検出法を用いたPLL回路では、2つの信号の位相差を検出するために2種類のゼロクロス検出器(基準電圧周波数用ゼロクロス検出器とインバータ回路の電圧周波数用ゼロクロス検出器)が必要になり、回路全体が高価になる。
【0007】
本発明の課題は、ゼロクロスポイント検出用のハードを用いることなく、位相差の検出機能を実現することにある。
本発明の他の課題は、ゼロクロスポイント検出用のハードを用いることなく、PLL機能を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の位相差検出回路は、検出信号と内部基準信号の位相差を検出するための回路であって、d−q軸変換ユニットと、単位周期全加算ユニットと、位相差算出ユニットとを備えている。d−q軸変換ユニットは、内部基準信号を用いて検出信号をd−q軸変換することで、瞬時値有効分dと瞬時値無効分qとを算出する。単位周期全加算ユニットは、瞬時値有効分dを単位周期全加算することで有効分Dを算出して、さらに瞬時値無効分qを単位周期全加算することで無効分Qを算出する。位相差算出ユニットは、有効分Dと無効分Qを用いて位相差を算出する。
この回路では、算術計算によって2つの信号の位相差を求めることができる。したがって、ゼロクロス検出器等のハード構成が不要になり、回路が安価になる。
【0009】
請求項2に記載の位相差検出回路では、請求項1において、単位周期全加算ユニットは、最初の単位周期経過後には、前回の有効分Dから最も古い瞬時値有効分dを減算するとともに新たな瞬時値有効分dを加算することで新たな有効分Dを算出し、前回の無効分Qから最も古い瞬時値無効分qを減算するとともに新たな瞬時値無効分qを加算することで新たな無効分Qを算出する。
この回路では、新たな瞬時値が得られるたびに有効分Dと無効分Qが更新されて、その結果、新たに位相差が算出される。つまり、従来に比べて、短い単位で位相差が更新される。
【0010】
請求項3に記載の位相差検出回路では、請求項1又は2において、d−q軸変換ユニットは、内部基準信号として90°の位相差がある2本の基準波形テーブルを有しており、2本の基準波形テーブルに検出信号の瞬時値をそれぞれ乗算することで、瞬時値有効分dと瞬時値無効分qとを算出する。
【0011】
請求項4に記載の位相差検出回路では、請求項3において、2本の基準波形テーブルの波形はcosθとsinθであり、cosθと検出信号の瞬時値を乗算した結果が瞬時値有効分dであり、sinθと検出信号の瞬時値を乗算した結果が瞬時値無効成分qである。
【0012】
請求項5に記載の位相差検出回路では、請求項1〜4のいずれかにおいて、位相差算出ユニットは、tan-1(無効分Q/有効分D)の式から位相差を得る。
【0013】
請求項6に記載のPLL回路は、入力信号と同期した出力信号を出力するための回路であって、請求項1〜5のいずれかに記載の位相差検出回路と、位相差を用いて出力信号を生成する出力信号生成ユニットと、位相差がゼロになるように内部基準信号を変更する制御ユニットとを備えている。
この回路では、算術計算によって2つの信号の位相差を求めることができる。したがって、ゼロクロス検出器等のハード構成が不要になり、回路が安価になる。
【0014】
請求項7に記載のPLL回路は、入力信号と同期した出力信号を出力するための回路であって、請求項3又は4に記載の位相差検出回路と、位相差を用いて出力信号を生成する出力信号生成ユニットと、位相差がゼロになるように内部基準信号を変更する制御ユニットとを備えている。制御ユニットは、位相差に基づいて、2本の基準波形テーブルの周波数を変更する。
この回路では、算術計算によって2つの信号の位相差を求めることができる。したがって、ゼロクロス検出器等のハード構成が不要になり、回路が安価になる。
【0015】
請求項8に記載のPLL回路は、請求項7において、アナログ信号としての入力信号をディジタル信号としての検出信号に変換するA/D変換ユニットをさらに備えている。制御ユニットは、AD変換要求としてキャリア周期をA/D変換ユニットに送出し、キャリア周期を制御することで2本の基準波形テーブルの周波数を変更する。
【0016】
請求項9に記載の位相差検出方法は、検出信号と内部基準信号との位相差を検出するための方法であって、以下のステップを備えている。
◎内部基準信号を用いて検出信号をd−q軸変換することで、瞬時値有効分dと瞬時値無効分qとを算出するd−q軸変換ステップ
◎瞬時値有効分dを単位周期全加算することで有効分Dを出力して、瞬時値無効分qを単位周期全加算することで無効分Qを出力する単位周期全加算ステップ
◎有効分Dと無効分Qを用いて位相差を算出する位相差算出ステップ
この方法では、算術計算によって2つの信号の位相差を求めることができる。したがって、ゼロクロス検出器等のハード構成が不要になり、回路が安価になる。
【0017】
請求項10に記載の位相差検出方法では、請求項9において、単位周期全加算ステップでは、最初の単位周期経過後には、前回の有効分Dから最も古い瞬時値有効分dを減算するとともに新たな瞬時値有効分dを加算することで新たな有効分Dを算出し、前回の無効分Qから最も古い瞬時値無効分qを減算するとともに新たな瞬時値無効分qを加算することで新たな無効分Qを算出する。
この方法では、新たな瞬時値が得られるたびに有効分Dと無効分Qが更新されて、その結果、新たに位相差が算出される。そのため、従来に比べて短い単位で位相差が更新される。
【0018】
請求項11に記載の位相差検出方法では、請求項9又は10において、d−q軸変換ステップでは、基準信号として90°の位相差がある2本の基準波形テーブルを用いており、2本の基準波形テーブルに検出信号の瞬時値を乗算して、瞬時値有効分dと瞬時値無効分qとを算出する。
【0019】
請求項12に記載の位相差検出方法では、請求項11において、2本の基準波形テーブルの波形はcosθとsinθであり、cosθと検出信号の瞬時値を乗算した結果が瞬時値有効分dであり、sinθと検出信号の瞬時値を乗算した結果が瞬時値無効成分qである。
【0020】
請求項13に記載の位相差検出プログラムは、請求項9〜12のいずれかに記載の位相差検出方法をコンピュータハードウェアに実行させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る構成では、ゼロクロスポイント検出用のハードを用いることなく、位相差を検出できたりPLL機能を実現できたりする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1に本発明の一実施例としてのPLL回路1の制御ブロック図を示す。PLL回路1は、系統電圧2からの電圧が入力され、図示しないインバータのPWM発生回路等にキャリア周期を出力するものであり、さらに出力信号を入力信号に同期させる機能を有している。
【0023】
PLL回路1は、PWM発生回路(図示せず)等ととともにPCS(Power Conditioner system)の一部を構成している。
なお、PLL回路1は、コンピュータのCPUやRAM,ROM等のメモリで実現されており、より具体的には、ワンチップマイコンで実現されている。また、別の表現では、PLL回路1は、プログラムやデータによって主な機能が実現されているとも言える。
【0024】
PLL回路1は、AD変換器4と、d−q軸変換ユニット5と、1周期全加算ユニット6と、位相差算出ユニット7と、クロック発生器8と、分周器9とから構成されている。
【0025】
AD変換器4は、分周器9からのAD変換要求(後述)に応じて系統電圧をAD変換する。言い換えると、AD変換器4は、AD変換要求が入力されるタイミングで瞬時値V_ADを出力する。なお、AD変換器4の前段にはオペアンプ(図示せず)が配置されている。
【0026】
d−q軸変換ユニット5は、瞬時値V_ADをd−q軸変換して、瞬時値有効分V_dと瞬時値無効分V_qを出力する。両者を求める式は以下の通りである。
d(有効分:瞬時値)=系統電圧瞬時値(AD値)×内部基準(cosθ)
q(無効分:瞬時値)=系統電圧瞬時値(AD値)×内部基準(sinθ)
内部基準(cosθ)及び内部基準(sinθ)は、PLL回路1の内部のメモリに保持された2本の正弦波による基準波形テーブルであり、単相交流をdq変換するための擬似的な直交座標系に相当する。
【0027】
ここでdq変換について一般的な説明をする。dq変換とは、代数幾何学における直交座標系を回転座標系への変換を行う手法である。三相交流の場合は、最初にαβ変換(三相二相変換)によって直交座標系への変換を行い、Vα、Vβを求める。次に、Vα、Vβをdq変換してVd(有効分)とVq(無効分)を得る。ただし、単相交流の場合は、αβ変換に相当する構成がないため、そのままdq変換を適用することができない。
そこで、d−q軸変換ユニット5において、単相交流をdq変換するための擬似的な直交座標系として、内部基準波形テーブルのcosθ及びsinθが用意されている。
【0028】
1周期全加算ユニット6は、瞬時値有効分V_dと瞬時値無効分V_qをそれぞれ1周期を全加算して、有効分全加算値V_dトータルと無効分全加算値V_qトータルを出力する。両者を求める式は以下の通りである。
D(有効分:スカラー量)=Σd(1周期全加算)
Q(無効分:スカラー量)=Σq(1周期全加算)
【0029】
なお、1周期全加算ユニット6は、最初の1周期経過後には、前回の有効分Dから最も古い瞬時値有効分dを減算するとともに新たな瞬時値有効分dを加算することで、有効分Dを更新しする。さらに、1周期全加算ユニット6は、最初の1周期経過後には、前回の無効分Qから最も古い瞬時値無効分qを減算するとともに新たな瞬時値無効分qを加算することで、無効分Qを更新する。言い換えると、1周期全加算ユニット6は、新たな瞬時値有効分V_dと瞬時値無効分V_qが入力される毎に、最新の有効分全加算値V_dトータルと無効分全加算値V_qトータルを算出する。
【0030】
図2〜図4に、各位相差における内部dq変換のイメージ図を示す。図2は検出信号が内部基準信号に対して10°遅れの場合であり、全加算Dの値が2884645であり、全加算Qの値が508582であり、算出された位相差は9.998868°である。
図3は検出信号が内部基準信号に対して10°進みの場合であり、全加算Dの値が2884645であり、全加算Qの値が−578020であり、算出された位相差は−10.0015°である。図4は両信号が同相の場合であり、全加算Dの値が2929132であり、全加算Qの値が−68であり、算出された位相差は−0.00133°である。
【0031】
位相差算出ユニット7は、有効分全加算値V_dトータルと無効分全加算値V_qトータルから入力信号と内部基準信号との位相差を算出する。位相差を求める式は以下の通りである。
phase error(位相差)=tan-1(V_qトータル/V_dトータル
【0032】
クロック発生器8は、位相差に基づいて、クロック信号Nf0を発生する。つまり、クロック発生器8は位相差をクロック変換する。
分周器9は、クロック信号Nf0の周波数を1/N倍してキャリア周期を発生する。キャリア周期は、AD変換要求としてAD変換器4に送出される。また、分周器9は、キャリア周期を出力信号として図示しないPWM発生回路に出力する。
【0033】
ここで、本発明に係るPLL回路1が採用されたPCSはDDC(Direct Digital Control)制御で構成されており、DDC制御は全同期方式を採用している。そのため、図5に示すように、系統周波数に追従してキャリア周波数も変化する。これは、系統1周期内のパルス数を固定するためである。具体的には、1周期のパルス数は、50Hz地域で170個であり、60Hz地域で140個である。また、図5における各谷点でA/D変換要求を行うことになる。具体的には、A/D変換要求は、コンピュータに対する割り込み要求として実現されている。以上より、PLL回路1においてA/D交換要求のタイミングを制御することで、内部基準波形テーブルの周波数を変更する。そして、周波数が変更されると、位相も変更される。以上より、内部基準波形テーブルを系統電圧に同期させることになる。
【0034】
図6に、PLL回路1の応答特性(ステップ応答の能力)を示す。図において横軸がサイクル数(1メモリが2サイクル)であり、縦軸が位相差とインバータ周波数になっている。ステップ変動条件として、初期位相差は179°であり、系統電圧の周波数が60Hz、初期の内部基準周波数が55Hzであった。
結果は、図から明らかなように、4サイクル経過すると位相差は0°に収束し、さらにインバータ周波数は60Hzに収束した。
以上より、本発明に係るPLL回路では、従来方式と同等又はそれ以上の性能が得られている。
なお、上記実施形態では、位相差検出回路やそれを含むPLL回路が実現されているが、図1の回路ブロック全体は、A/D変換要求を受けてディジタル信号を出力するAD変換回路としても機能している。
【0035】
(本発明の効果)
(1)本発明では、算術計算によって2つの信号の位相差を求めることができる。したがって、ゼロクロス検出器等のハード構成が不要になり、回路が安価になる。
(2)本発明では、フルディジタルの構成にすることで、マイコンによるプログラム制御によって位相差検出及びPLL機能を実現している。したがって、装置の構成が簡単であり、安価になっている。
(3)本発明では、最初の1周期経過後には、新たな瞬時値が得られるたびに有効分Dと無効分Qが更新されて、その結果、新たに位相差が算出される。つまり、従来に比べて、短い単位で位相差が更新される。このため、新たな瞬時値毎に制御を行っていることになり、制御タイミングが大変に短い。そのため、目標値に収束するまでのサイクル数が短くなる。従来であれば、位相差算出を1サイクル毎に行っており、つまり1サイクルに1度のタイミングで制御を行っている。
【0036】
(他の実施形態)
前記実施形態は本発明の一実施例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
前記実施形態では入力信号として系統電圧が用いられているが、本発明はこれに限定されない。例えば、発電機からの電圧であっても良い。
前記実施形態ではPI制御の操作量としてAD変換要求を用いているが、本発明はこれに限定されない。例えば、位相差から周波数fを求めて、それを分周してから周波数変換器に送出することで、周波数を直接制御しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例としてのPLL回路の制御ブロック図。
【図2】PLL回路の内部dq変換(イメージ)を示す図(遅れ位相)。
【図3】PLL回路の内部dq変換(イメージ)を示す図(進み位相)。
【図4】PLL回路の内部dq変換(イメージ)を示す図(同相)。
【図5】DDC制御における系統周波数とキャリア周波数の関係を示す図。
【図6】PLL回路の応答線図。
【図7】従来のゼロクロスコンパレータを用いたPLL回路の動作概略図。
【符号の説明】
【0038】
1 PLL回路
4 AD変換器
5 d−q軸変換ユニット
6 1周期全加算ユニット
7 位相差算出ユニット
8 クロック発生器
9 分周器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出信号と内部基準信号の位相差を検出するための位相差検出回路であって、
前記内部基準信号を用いて前記検出信号をd−q軸変換することで、瞬時値有効分dと瞬時値無効分qとを算出するd−q軸変換ユニットと、
前記瞬時値有効分dを単位周期全加算することで有効分Dを算出して、さらに前記瞬時値無効分qを単位周期全加算することで無効分Qを算出する単位周期全加算ユニットと、
前記有効分Dと前記無効分Qを用いて位相差を算出する位相差算出ユニットと、
を備えた位相差検出回路。
【請求項2】
前記単位周期全加算ユニットは、最初の単位周期経過後には、前回の有効分Dから最も古い瞬時値有効分dを減算するとともに新たな瞬時値有効分dを加算することで新たな有効分Dを算出し、前回の無効分Qから最も古い瞬時値無効分qを減算するとともに新たな瞬時値無効分qを加算することで新たな無効分Qを算出する、請求項1に記載の位相差検出回路。
【請求項3】
前記d−q軸変換ユニットは、前記内部基準信号として90°の位相差がある2本の基準波形テーブルを有しており、前記2本の基準波形テーブルに前記検出信号の瞬時値をそれぞれ乗算することで、前記瞬時値有効分dと前記瞬時値無効分qとを算出する、請求項1又は2に記載の位相差検出回路。
【請求項4】
前記2本の基準波形テーブルの波形はcosθとsinθであり、前記cosθと前記検出信号の瞬時値を乗算した結果が前記瞬時値有効分dであり、前記sinθと前記検出信号の瞬時値を乗算した結果が前記瞬時値無効分qである、請求項3に記載の位相差検出回路。
【請求項5】
前記位相差算出ユニットは、tan-1(前記無効分Q/前記有効分D)の式から前記位相差を得る、請求項1〜4のいずれかに記載の位相差検出回路。
【請求項6】
入力信号と同期した出力信号を出力するためのPLL回路であって、
請求項1〜5のいずれかに記載の位相差検出回路と、
前記位相差を用いて出力信号を生成する出力信号生成ユニットと、
前記位相差がゼロになるように前記内部基準信号を変更する制御ユニットと、
を備えたPLL回路。
【請求項7】
入力信号と同期した出力信号を出力するためのPLL回路であって、
請求項3又は4に記載の位相差検出回路と、
前記位相差を用いて出力信号を生成する出力信号生成ユニットと、
前記位相差がゼロになるように前記内部基準信号を変更する制御ユニットとを備え、
前記制御ユニットは、前記位相差に基づいて、前記2本の基準波形テーブルの周波数を変更する、PLL回路。
【請求項8】
アナログ信号としての前記入力信号をディジタル信号としての前記検出信号に変換するA/D変換ユニットをさらに備え、
前記制御ユニットは、AD変換要求としてキャリア周波数を前記A/D変換ユニットに送出し、前記キャリア周期を制御することで前記2本の基準波形テーブルの周波数を変更する、請求項7に記載のPLL回路。
【請求項9】
検出信号と内部基準信号との位相差を検出するための位相差検出方法であって、
前記内部基準信号を用いて前記検出信号をd−q軸変換することで、瞬時値有効分dと瞬時値無効分qとを算出するd−q軸変換ステップと、
前記瞬時値有効分dを単位周期全加算することで有効分Dを出力して、前記瞬時値無効分qを単位周期全加算することで無効分Qを出力する単位周期全加算ステップと、
前記有効分Dと前記無効分Qを用いて位相差を算出する位相差算出ステップと、
を備えた位相差検出方法。
【請求項10】
前記単位周期全加算ステップでは、最初の単位周期経過後には、前回の有効分Dから最も古い瞬時値有効分dを減算するとともに新たな瞬時値有効分dを加算することで新たな有効分Dを算出し、前回の無効分Qから最も古い瞬時値無効分qを減算するとともに新たな瞬時値無効分qを加算することで新たな無効分Qを算出する、請求項9に記載の位相差検出方法。
【請求項11】
前記d−q軸変換ステップでは、前記基準信号として90°の位相差がある2本の基準波形テーブルを用いており、前記2本の基準波形テーブルに前記検出信号の瞬時値を乗算することで、前記瞬時値有効分dと前記瞬時値無効分qとを算出する、請求項9又は10に記載の位相差検出方法。
【請求項12】
前記2本の基準波形テーブルの波形はcosθとsinθであり、前記cosθと前記検出信号の瞬時値を乗算した結果が前記瞬時値有効分dであり、前記sinθと前記検出信号の瞬時値を乗算した結果が前記瞬時値無効分qである、請求項11に記載の位相差検出方法。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれかに記載の位相差検出方法をコンピュータハードウェアに実行させるための位相差検出プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−177991(P2008−177991A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11293(P2007−11293)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(000144393)株式会社三社電機製作所 (95)
【Fターム(参考)】