説明

位置センサおよび洗濯機

可動物体の位置を決定する位置センサ装置であって、位置センサ装置は、可動物体上に固定されるように構成された磁場ソースと、第1の位置に配置され、第1の位置における磁場ソースによって発生した磁場に対して、第1の磁場信号特性を検出するように適合された第1の磁場検出器と、第2の位置に配置され、第2の位置における磁場ソースによって発生する磁場に対して、第2の磁場信号特性を検出するように適合された第2の磁場検出器と、第1の磁場信号と第2の磁場信号との比較に基づいて磁場ソースの位置を決定するように適合されている位置決定ユニットとを備える、位置センサ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサに関する。特に、本発明は、可動物体の位置を決定するための位置センサ装置、位置センサアレイ、洗濯機、可動物体の位置を決定する方法、およびセンサ配置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの用途にとって、可動物体の位置を正確に測定することは望ましい。例えば、往復動、回転動、または線形の動きを正確に制御するために、往復動、回転動、または線形に動く物体の位置を、効率的な方法で知ることは有利である。
【0003】
従来技術によれば、光学マーカーは可動物体上に提供され、光学的測定は、光学マーカーの位置、すなわち可動物体の位置を推定するために実行される。しかしながら、重大な状況において、光学マーカーは物によって覆われることがあり、光学的検出手段に対して「不可視」となることがある。
【0004】
さらに、光学マーカーは、対象物がある環境の中で、移動または回転している対象物と物理的粒子または化学的粒子との間における摩擦によって磨耗されることがある。
【0005】
あるいは、エングレービング(engraving)などの機械的なマーカーは、移動、回動、または往復動している対象物の位置または速度を検出するために、マーカーとして用いることができる。しかしながら、そのようなエングレービングの構造は、物質で占有されてしまうか、または覆われてしまうことがあり、重大な状況の下で実施するには適さない。機械的なマーカー(エングレービング)はまた、密閉を維持するには課題がある。
【0006】
線形位置センサを必要とする場合、多くの場合において、その業界では、一次元測定感知装置(一つの軸、例えばX軸に沿った変化に敏感)を用いる。二次元方向(二つの軸、例えばX軸およびY軸に沿った変化に敏感)における正確な位置を決定するために、二つの独立して動作している一次元測定装置を用いる。そのような場合、コストおよび必要とされるスペースは文字通り二倍となる。同じことが三次元の測定感知装置(三つの軸、例えばX軸、Y軸、およびZ軸に沿った変化に敏感)にも当てはまる。
【0007】
洗濯機は、二つの主な構成、すなわち「トップローディング」および「フロントローディング」で特に利用可能である。「トップローディング」の設計は、垂直式の円筒内に衣類を置き、プロペラ様の振動器が円筒の底の中央にある。衣類はその機械の上に積まれ、開き戸で覆われる。「フロントローディング」は、その代わりに、水平方向に円筒を搭載しており、衣類はその機械の前のガラス戸を通して積まれる。その円筒はまた、ドラム式とも呼ばれる。振動は、その円筒の前後の回転、および重力によって供給される。洗濯物はドラム内のパドルによって持ち上げられ、次いでドラムの底に落ちる。この動作によって水と洗剤の溶液が繊維に行き渡る。水平軸設計の変形もまた存在し、それはドラムの周囲にあるフラップを介して上から積まれる設計である。これらの機械は通常、より短い円筒を有しており、それゆえ、より小さい。
【0008】
洗濯機および可動物体を有する他の装置の弱点は、洗濯機および他の装置を制御または調節するために必要な、可動物体の位置を決定する正確で安価な手段を欠いていることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、可動物体の位置を決定する正確および安価な実現性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、可動物体の位置を決定する位置センサ装置、位置センサアレイ、洗濯機、および独立項に従って可動物体およびセンサ配置の位置を決定する方法を提供することによって達成される。
【0011】
本発明の例示的実施形態に従い、可動物体の位置を決定する位置センサ装置であって、位置センサ装置は、可動物体上に固定されるように構成された磁場ソースと、第1の位置に配置され、第1の位置における磁場ソースによって発生した磁場に対して、第1の磁場信号特性を検出するように適合された第1の磁場検出器と、第2の位置に配置され、第2の位置における磁場ソースによって発生した磁場に対して、第2の磁場信号特性を検出するように適合された第2の磁場検出器と、第1の磁場信号と第2の磁場信号との比較に基づいて磁場ソースの位置を決定するように適合されている位置決定ユニットとを備える。
【0012】
本発明の他の例示的実施形態によれば、位置センサアレイは、上述の機能を有する位置センサ装置、および位置センサ装置の磁場ソースが固定される可動物体を備えて提供され、該位置センサ装置は可動物体の位置を決定するように適合される。
【0013】
本発明のさらに別の例示的実施形態によれば、静止した支持体と、静止した支持体に関して回動し、かつ被洗浄物を受け取るように適合される回動ドラムと、回動ドラムの位置を決定する位置センサ装置であって、磁場ソースと、磁場ソースによって発生した磁場に対して、磁場信号特性を検出するように適合される磁場検出器と、磁場信号に基づいて回動ドラムの位置を決定するように適合される位置決定ユニットとを含む位置センサ装置とを備え、磁場ソースおよび磁場検出器のうちの一つが静止した支持体に固定され、磁場ソースおよび前記磁場検出器のうちのもう一方が前記回動ドラムに固定される、洗濯機が提供される。
【0014】
本発明のさらなる例示的な実施形態に従うと、静止した支持体と、静止した支持体に関して回動し、かつ被洗浄物を受け取るように適合される回動ドラムと、回動ドラムの位置を決定する位置センサ装置であって、磁場を発生する磁場ソースと、磁場シンクと、磁場ソースによって発生し、磁場シンクによって修正された磁場に対して、磁場信号特性を検出するように適合される磁場検出器と、磁場信号に基づいて回動ドラムの位置を決定するように適合される位置決定ユニットとを含む位置センサ装置とを備え、磁場シンクおよび磁場検出器のうちの一つが静止した支持体に固定され、磁場シンクおよび磁場検出器のうちのもう一方が前記回動ドラムに固定される、洗濯機が提供される。
【0015】
本発明のさらに別の例示的な実施形態に従うと、可動物体の位置を決定する方法であって、可動物体に固定される磁場ソースによって、第1の位置において発生した磁場に対して、第1の磁場信号特性を検出する工程と、磁場ソースによって、第2の位置において発生した磁場に対して、第2の磁場信号特性を検出する工程と、第1の磁場信号と第2の磁場信号との比較に基づいて、磁場ソースの位置を決定する工程とを含む、方法が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の例示的実施形態によれば、センサ配置は、基板と、該基板上に配置された上述の機能を有する複数の位置センサ装置とを含んで提供される。
【0017】
以下に、本発明の上述の独立項の態様を更に詳細に記載する。
【0018】
本発明の1つの着想は、位置センサ装置が提供され、異なる磁場検出器によって検出され、可動物体に取り付けられた磁場ソースから生じる少なくとも2つの異なる磁場信号の比較が実行され、該可動物体に取り付けられた磁場ソースの位置を推定するということにおいて理解できる。このように、2つの磁場信号の比または差が、可動物体が現在どの位置にあるかについて推定するための基礎として使われる。換言すれば、磁場ソースに関して異なる位置に配置される磁場検出器の機能は、可動物体または動いている物体に取り付けられる磁場ソースが現在位置付けされる位置を決定するための情報源として使われる。
【0019】
この原理によって、一次元であるか、二次元であるか、または三次元の位置センサ、すなわち、一次元、二次元、三次元における可動物体の位置を検出することができる位置センサを構成することができる。本発明による位置センサは、正確に三次元空間内の物体の位置を決定することができ、非接触方法にても作動し、低コストでの用途に特に適当である。
【0020】
洗濯物で満たされたドラムの正確な位置を検出するために、洗濯機においてそのようなセンサ(または、1つ以上の磁場検出器を有する類似するタイプのセンサ)を実施する場合、本発明に従った測定は、その洗濯機の負荷状態についての正確な情報を提供する。なぜならば、洗濯物の重力がドラムを、磁気によって検出することができるその位置をわずかに変化させるからである。被洗浄物を受け取るように構成されているドラムについてのこの情報によって、何キログラム(すなわち洗濯物の重さ)がドラム内に置かれているか決定することができ、また、濡れた状態でのドラム負荷がドラム内にて非対称的に置かれている(これは、ドラムが回動している間に、洗濯機が「ホッピング(hopping)」する結果となり得る)かどうかを決定することができる。このように、一次元、二次元、または三次元の位置検出器は、加速度計、体重センサ、そして、位置検出器の機能を提供し、その結果、そのような位置センサ装置を備える装置に、コストを相当に削減し、機能を改良する。
【0021】
電磁原理で作動する一方で、本発明に従ったシステムは、生じ得る任意のタイプの磁気干渉に、有利にも影響されず、また、電装で動くモータまたは電装によるソレノイドの付近に配置される。
【0022】
本発明によれば、非接触測定を実行することが可能であり、従って、殆ど磨耗せず、低コストにて達成することができる。本発明によるシステムは悪環境において使用可能であり、本発明は温度変化および構成要素の耐性にも左右されない。全ての位置検出器(例えば三次元の直線位置センサとして実現される)は、例えば2ユーロ以下といった低コストにて製造可能である。
【0023】
本発明に従った位置センサ装置または位置センサアレイの例示的な用途は、洗濯機、回動式乾燥機、自動車エンジン振動検出ユニット、自動車懸架装置位置検出ユニット(すなわち、カーブや起伏の大きい地形を運転するとき、車両の傾斜を測定するためのシステム)、車両荷重に関連した、あるいは、ツールまたは産業システムのための非接触式比例制御(例えば、接触式のスイッチおよび電位差計を非接触センサに取り替える)のための自動車前照灯調整などである。
【0024】
センサ配置は、基板上に配置された上述の機能を有する複数の位置センサ装置を有する。換言すれば、例えばマトリクス様の方法で、基板表面上に、多くの(たとえば約140個)位置センサまたは曲げセンサを配置することができる。このように、センサの二次元アレイは提供され、空間分解能の方法にて、当該領域における圧力および/またはベンディング力の分布を検出することを可能にする。このアレイは、圧力およびベンディング力を組み合わせた測定に対して用いられることが可能である。そのようなセンサ配置の例示的な用途は、自動車をテストするための衝突実験またはフットプリント重量試験であり、言い換えれば、磁気歪の効果は、センサ(ロードセル)の二次元アレイを実現するために用いられ、力の領域を精査することが可能となる。
【0025】
可動物体の位置を検出することは、曲げセンサとの関連でいえば、曲げられた物体の位置が、曲げセンサに加えられたベンディング力に直接、対応して測定可能であることを意味する。
【0026】
以下に、本発明の第1の独立項の態様に従って可動物体の位置を決定する位置センサ装置に関する例示的な局面を記載する。しかしながら、これらの実施形態はまた、位置センサアレイ、洗濯機、可動物体の位置を決定する方法、そして、本発明の他の独立項の態様によるセンサ配置に対しても適用する。
【0027】
位置センサ装置の磁場ソースは永久磁性素子または領域でもよい。「永続的な磁性物質」という用語は、外部に磁界がなくても、残留する磁化を有する磁化された材料をいう。このように、「永続的な磁性体」は、強磁性体、フェリ磁性物質、等を含む。この磁気領域の材料は、鉄、ニッケルまたはコバルトのような3d−強磁性体でもよいし、希土材料(4f−磁気)でもよい。
【0028】
あるいは、磁場ソースは、電気信号をコイルに印加することによって活性化可能であるコイルでもよい。電流が流れているコイルの環境において、磁場が発生し、第1および第2の磁場検出器のための検出信号として使われることができる。コイルによって発生したそのような磁場の強さの空間依存は公知であるかまたは容易に測定可能であり、第1および第2の磁場検出器の位置における磁場の強さは、可動物体に取り付けられる磁場ソースの位置に対する測定である。
【0029】
特に、コイルは連続電気信号をコイルに印加することによって活性化可能であり得る。例えば、直流は、時間を通じて一定である静磁界を生成するコイルに印加されることができる。このように、磁場検出器によって検出される信号によって、磁場ソースから磁場検出器の距離を逆算することができ、可動物体の位置を計算することができる。
【0030】
あるいは、コイルが交流の(例えば、周期的に振動する)電気信号またはパルス電気信号をコイルに印加することによって活性化可能である。コイルの磁場を生成する磁化信号の規定された時間依存を用いることによって、磁場検出器は、妨害となるバックグラウンド磁気信号(例えば、地磁場)と、磁場ソースに関連し、かつ磁場ソースに固定された可動物体の現在位置を計算できるエンコード位置情報に関連する磁気信号とを区別することができる。例えば、コイルに印加される交流またはコイルに印加されるパルス信号によって、環境から、オフセット信号を妨害することを除去し、精度を改善する。
【0031】
磁場ソースは、可動物体の長手方向に磁化する領域であり得る。したがって、磁気によってエンコードされた領域または磁場ソースの磁化方向は、可動物体の運動方向に沿って方向付けることができる。記載された実施形態に従って可動物体が製造されるべき磁化可能な材料上にて、長手方向に沿って磁化領域を製造する方法は、国際公開第2002/063262号パンフレットにおいて、異なる関連において開示されている。
【0032】
あるいは、磁場ソースは、可動物体の円周方向に磁化された領域でもよい。そのような円周方向に磁化された領域が特に構成されることができ、磁場ソース(それはまた、磁気によってエンコードされた領域として意味されることもできる)は、第一の方向に方向付けられた第1の磁気流の領域、および第2の方向に方向付けられた第2の磁気流の領域によって形成され、第1の方向は第2の方向と正反対である。
【0033】
可動物体の断面において、第1の方向および第1の半径を有する第1の円形磁気流、ならびに第2の方向および第2の半径を有する第2の円形磁気流が存在し得、第1の半径は第2の半径よりも大きい。特に、磁場ソースは、第1の電流パルスを磁化可能な物体に印加する製造工程であって、磁化可能な素子の長手方向軸に沿った第1の方向に第1の電流の流れが存在するように、第1の電流パルスが印加され、電流パルスの印加によって磁化可能な素子において磁場を発生するように、第1の電流パルスが印加される、製造工程にしたがって製造され得る。さらに、第2の電流パルスが磁化可能な素子に印加され、磁気可能な素子の長手方向軸に沿った第2の方向における第2の電流が存在するように、第2の電流パルスが印加され得る。
【0034】
さらにまた、第1および第2の電流パルスの各々が、立上りエッジおよび立下りエッジを有し得、立上りエッジが立下りエッジより急勾配である(例えば図35を参照)。
【0035】
第1の方向は第2の方向と正反対であり得る。
【0036】
本発明の他の実施形態によれば、位置センサ装置は、第1の磁場検出器および第2の磁場検出器のうちの少なくとも1つが、コイルと、ホール効果プローブと、巨大磁気共鳴磁場センサと、磁気共鳴磁場センサからなる群のうちの少なくとも一つを備えるように構成され得る。磁場検出器の任意のコイル軸は、可動物体または動いている物体に対して、および磁場ソースに対して、任意の所望のまたは適切な方向を有することができ、また、磁場ソースによって発生する磁場の方向および強さに依存する。可動磁場ソースがコイルによる磁気流を変調することによって誘導電圧を誘導することができるコイルに代わるものとして、ホール効果プローブが、ホール効果を利用する磁場検出器として使われることができる。あるいは、巨大磁気共鳴磁場センサ、または磁気共鳴磁場センサが磁場検出器として使われることができる。しかしながら、他のいかなる磁場検出器も、磁場発生器までの距離を検出するために用いることができる。
【0037】
位置決定ユニットは、第1の磁場信号と第2の磁場信号との比に基づいて磁場ソースの位置を決定するように適合され得る。換言すれば、位置決定ユニットは独立して個々の信号を処理せず、情報の部分を組み合わせることができる。その結果、空間および信号振幅情報は相互に補間する方法にて組み合わされ得る。特に、検出信号の絶対値だけが、可動物体/磁場ソースの位置を算出するために使われるわけではない。これの代わりに、システムが妨害によるバックグラウンドオフセット効果に影響されないように、信号間の比が使用され得、それにより、改良された精度を提供する。
【0038】
2つの磁場信号間の比が使われる実施形態に加えて、または代替的に、位置決定ユニットは、第1の磁場信号および第2の磁場信号の差に基づいて磁場ソースの位置を決定するように適合されてもよい。この実施形態によれば、精度は、バックグラウンド効果を除去することによって増加させることができる。
【0039】
磁場ソースは、第1の磁場検出器と第2の磁場検出器との間に基本的に対称的に配置されてもよい。この実施形態によれば、特に、2つの磁場検出器および磁場ソースが直線に沿って配置されることが可能であり、磁場ソースは2つの磁場検出器の間に挟まれている。磁場ソースが線に沿って移動する場合において、磁場検出器の一つの信号が増加し、他の信号が減少し、その結果、これらの信号を比較することによって、磁場ソースの位置を決定することができ、可動物体の位置を計算することができる。
【0040】
他の実施形態によれば、第3の位置に配置され、第3の位置における磁場ソースによって発生した磁場に対して、第3の磁場信号特性を検出するように適合された第3の磁場検出器を備え得る。この実施形態によれば、位置決定ユニットは、第1の磁場信号、第2の磁場信号、および第3の磁場信号に基づいて、磁場ソースの位置を決定するように適合され得る。更なる磁場検出器を設けることによって、可動物体の位置の計算が改良されることができ、特に、三角形測量法は、3つの信号から位置を引き出すために適用できる。したがって、部分的に冗長な情報が得られ、精度を増加させることができる。更に、特に非平面の場合において3つの磁場検出器を設けることによって、三次元の位置決定を行うことは可能である。
【0041】
磁場ソースは、実質的に対称に配置され、かつ第1の磁場検出器、第2の磁場検出器、および第3の磁場検出器の重心に実質的に配置され得る。この構成によれば、重心から外れた磁場ソースのわずかな動作さえ、3つの磁場検出器によって検出可能である。なぜならば、磁場検出器の各々の振幅は相当に、かつ特徴的に増減され、磁場ソースの位置を再計算することができるからである。
【0042】
特に、第1の磁場検出器、第2の磁場検出器、および第3の磁場検出器は、磁場ソースが位置付けられている平面に共通である平面に配置されることができる。例えば、第1の磁場検出器、第2の磁場検出器、および第3の磁場検出器は、三角形の隅、特に正三角形内の隅に配置され得る。この実施形態によれば、正三角形の重心から離れた磁場ソースの任意の動きも、高感度で検出できる。
【0043】
位置センサ装置はさらに、第4の位置に配置され、第4の位置における磁場ソースによって発生した磁場に対して、第4の磁場信号特性を検出するように適合された第4の磁場検出器を備え得る。位置決定ユニットは、第1の磁場信号、第2の磁場信号、第3の磁場信号、および第4の磁場信号に基づいて、磁場ソースの位置を決定するように適合され得る。4つの磁場検出器を実装することは、検出スキームの更なる改良を可能にする。
【0044】
特に、磁場ソースが、実質的に対称に配置され、かつ第1の磁場検出器、第2の磁場検出器、第3の磁場検出器、および第4の磁場検出器の重心に実質的に配置され得る。例えば、第1の磁場検出器、第2の磁場検出器、第3の磁場検出器および第4の磁場検出器は、共通面、すなわち同一平面上の方法にて配置できる。また、磁場ソースは、平衡状態にあるとき、この平面において位置決めできる。
【0045】
例えば、特に長方形の隅、より詳細には、正方形の隅に、4つの磁場検出器が配置できる。これにより、磁場ソースの位置の正確な二次元または三次元測定が可能となる。
【0046】
磁場検出器は、例えば、四面体、五面体、立方体の端上などの非平面の方法にて配置できる。例えば、四面体の重心において磁場ソースが位置付けされるとき(平衡状態で)、重心から離れた磁場ソースのいかなる運動も4つの磁場検出器によって検出できる。
【0047】
磁場信号の差に基づいて、そして、磁場信号の振幅に基づいて、磁場ソースの位置を決定するように、位置決定ユニットは適合され得る。この実施形態によれば、例えば、三角形の重心に、平衡状態にて、磁場ソースを配置することは可能であり、磁場検出器は三角形の隅に配置される。信号、すなわち磁場検出器の信号間の差または比を比較することによって、三角形の平面の磁場ソースの位置は、推定できる。磁場ソースが三角形の平面の外側で作動するとき、磁場検出器の各々の信号振幅は減少し、三角形の平面と直角をなす方向において磁場ソースの位置を再計算することができる。この構想はまた、平面または非平面の方法にて配置される磁場検出器の他の構成にも適用可能である。
【0048】
あるいは、磁場信号の差のみに基づいて、磁場ソースの位置を決定するように、位置決定ユニットは適合され得る。特に、磁場検出器またはセンサは三次元の方法にて配置され、絶対値を使用せずに、異なる磁場信号を比較のみすることによって、磁場ソースの現在の位置を計算することが可能である。
【0049】
位置センサ装置はさらに、第1の磁場信号および第2の磁場信号の差に基づいて、可動物体の位置に特徴的な線形信号を生成するように適合されている信号線形化ユニットを備え得る。例えば、コンパレータによって、または、オペアンプによって、2つの信号の間の差を算出することができ、そして、この異なる信号を信号線形化ユニットに提供することによって、可動物体の位置に関する線形信号を算出することができる。
【0050】
位置センサ装置はさらに、ドライバ信号に従って磁場を生成するために、磁場ソースにドライバ信号を提供するように適合され、かつ、ドライバ信号に従って、第1の磁場信号および第2の磁場信号を処理、特に、フィルタリングするように適合されている、ドライバユニットを備え得る。このドライバユニットを用いて、磁場ソースおよび磁場検出器の機能を同期化することができる。例えば、どの活性化信号方式が磁場ソースに適用されるかについて知り、この活性化方式は、明らかにかつ確実に信号を評価するために、磁場検出器の検出信号を処理する間、この活性化方式を用いることができる。
【0051】
ドライバユニットはマイクロプロセッサ(CPU)でもよく、ドライバユニットを作動させる工程はソフトウェア構成要素によってプログラム可能である。本発明によるシステムは、コンピュータープログラム(すなわち、ソフトウェアによって)によって、あるいは、一つ以上の特別な電子最適化回路(すなわち、ハードウェアにおいて)を用いることによって、または、ハイブリッド形(ソフトウェア構成要素およびハードウェア構成要素によって)を用いることによって、実現されることができるかまたは制御されることができる。
【0052】
位置センサ装置は、洗濯機、回動式乾燥機、自動車エンジン振動検出ユニット、自動車懸架装置位置検出ユニット、自動車調光装置および曲げ計測ユニットおよび/または圧力計測ユニットからなる群のうちの少なくとも1つにおいて実装され得る。これらの用途は単なる例示であり、本発明によるシステムの多くの他の用途が可能である。
【0053】
以下に、洗濯機の例示的実施形態を記載する。しかしながら、これらの実施形態は、位置センサ装置、位置センサアレイ、可動物体の位置を決定する方法、および、本発明の他の独立項の局面に従ったセンサ配置に対しても有効である。
【0054】
洗濯機は、位置センサ装置によって、制御ユニットへ提供される回動ドラムの位置に基づいて、洗濯機の作動を制御するように適合される制御ユニットをさらに備え得る。換言すれば、決定された位置情報は、洗濯機の機能を制御するかまたは調整するために用いることができる。例えば、洗濯物が洗濯機に満たされるとき、これは洗濯物に応じた引力のために洗濯機のドラムを下げることができ、これが、ドラムに取り付けられた磁場ソースと洗濯機の静止した支持体に取り付けられた磁場検出器との間の距離(逆もまた然り)を変えることができる。このように、位置検出および重量検出は組み合わされ得る。
【0055】
更に、洗濯機のドラムが回転するとき、この回転の間のドラムの位置は連続的に測定および決定されることができ、洗濯機の機能の任意の問題(不必要な「ホッピング」など)も分析および除去することができる。
【0056】
洗濯機は、回動ドラムの決定された位置に基づいて、回動ドラムによって受け取られる被洗浄物の積載量を決定するように適合される処理手段を含み得る。換言すれば、位置検出は、洗濯機の積載状態に関して情報を引き出すために分析され得る。
【0057】
磁場検出器は複数の空間的に分離された磁場検出器ユニットを備え、磁場検出器ユニットの各々は、個々の磁場検出器ユニットの対応する位置において、磁場ソースによって発生した磁場に対して、磁場信号特性を検出するように適合され得る。複数の磁場検出器を設けることによって、磁場ソースの三次元の位置情報、および純粋な移動情報の代わりに回動の情報を得るかまたは計算することが可能である。
【0058】
例えば、磁場検出器は、長方形の隅に配置される4つの磁場検出器ユニットを含むことができる。これらの4つの磁場検出器は、正方形の隅に配置されてもよい。磁場ソースのxおよびyおよびz座標に加えて、この配置における4つの磁場検出器はまた、傾斜特性も検出することができる。
【0059】
磁場検出器は、共通面に配置される少なくとも4つ、特に9つの磁場検出器ユニットを備え得る。例えば、磁場検出器のこのようなマトリクス様の配置は、好ましくは、磁場ソースとしての永久磁性素子と組み合わせて実現され得る。
【0060】
しかしながら、磁場検出器は、コイルと、ホール効果プローブと、巨大磁気共鳴磁場センサと、磁気共鳴磁場センサからなる群のうちの少なくとも一つを備え得る。しかしながら、磁場センサの他の構成もまた可能である。磁場ソースは電気信号をコイルに印加することによって活性化可能なコイルであってもよい。この信号は、連続電気信号でもよく、交流の電気信号またはパルス電気信号であってもよい。
【0061】
しかしながら、磁場ソースが永久磁性素子であるとき、ケーブル接続を用いず、磁場ソースを実現することが可能であり、したがって、容易に設置できる単純な方法である。
【0062】
以下に、磁場シンクを含む洗濯機の例示的実施形態を記載する。しかしながら、これらの実施形態は、上述の洗濯機、位置センサ装置、位置センサアレイ、可動物体の位置を決定する方法、および、本発明の他の独立項の局面に従ったセンサ配置に対しても有効である。
【0063】
「磁場シンク」という用語は特に、磁場および/または磁場検出器の近傍に磁場シンクが存在するゆえ、特徴的な方法で磁場を吸収または弱め、あるいは修正することによって、現在の磁場(または、より一般的には現在の電磁場)を少なくとも部分的に除去する能力を有する任意の要素、測定、または機能を意味し得る。RFIDタグの場合と同様に、この磁場シンク(それはLC発振回路等でもよい)が磁場近傍にもたらされるとき、選択的に磁場を弱めるために磁場のエネルギーを吸収することができる。磁場強度のこの減少、または、より一般的には、磁場シンクの存在下で引き起こされる磁場特性のこの修正は、磁場検出器によって検出されることができ、または、磁場シンクに関して磁場検出器の位置情報を決定するための基礎として用いられることができ、その逆もまた然りである。
【0064】
磁場シンクは、LC発振回路でもよい。この発振回路は、容量(capacity)、誘電性(inductivity)を含み得、オーム抵抗を含むこともできる。特に十分にLC発振回路の共振振動数に近い特別な周波数間隔で、電磁場の寄与を吸収することによって、磁場検出器の環境に存在するLC発振回路は、特性信号歪が生じ得る。例えば、このLC発振回路は洗濯機の回転ドラムに取り付けられることができ、洗濯機の回転ドラムに取り付けられる磁場シンクが磁場検出器の近傍を通り過ぎるとき、磁場は磁場シンクの存在下で、選択的に修正されることができる。これは、回転ドラムの現在の位置を決定するための情報として使われることができる。
【0065】
磁場ソースは、電気信号をコイルに印加することによって活性化可能なコイルでもよい。それゆえ、磁場ソースは、磁場シンクの存在下で、選択的に弱められ得る静的または時間依存の磁場を発生することができる。
【0066】
コイルは、交流の電気信号をコイルに印加することによって活性化可能でもよい。特に、コイルによって発生する磁場または電磁場は、LC発振回路によって吸収されるように適合された周波数を有することができる。
【0067】
しかしながら、磁場ソースおよび磁場発生器は、共通の素子として形成されることができる。換言すれば、磁場ソースは、例えば、磁場ソースを流れる電流によって、磁場を生成することができる。この磁場ソースがコイルとして実現される場合、このコイルが磁場発生器として用いられることもできる。換言すれば、このコイルによって検出される磁場が、検出信号として使われることができる。この構成によって、洗濯機、特に、少ない労力で洗濯機のセンサ部分を製造することができる。
【0068】
磁場ソースは、各々、個々の磁場を発生するように適合されている複数の磁場ソースユニットを含むことができる。例えば、2つ以上の磁場発生コイルは、規定された空間依存を有する磁場を発生するために配置できる。
【0069】
磁場検出器は、各々、個々の磁場信号を検出するように適合されている複数の磁場検出器ユニットを含むことができる。複数の磁場検出器を設けることによって、位置検出の精度は、更に改善され得る。
【0070】
位置決定ユニットは、個々の磁場信号に基づいて回転ドラムの位置を決定するように適合され得る。従って、評価回路は、複数の磁場信号を共に処理することができるように適合されてもよい。これにより、算出位置の精度および信頼性を改善することができる。
【0071】
以下に、センサ配置の例示的実施形態を記載する。しかしながら、これらの実施形態はまた、位置センサ装置、位置センサアレイ、可動物体の位置を決定する方法、および、本発明の他の独立項の局面に従ったセンサ配置に対しても有効である。
【0072】
センサ配置は、基板上に配置された複数の位置センサ装置に印加された圧力荷重および/または曲げ荷重の空間的パターンを検出するように適合され得る。このように、空間依存の圧力および/またはベンディング力は、検出可能であり、空間的に分解可能である。
【0073】
特に、センサ配置は、衝突実験センサ配置として適合され得る。
【0074】
本発明にかかる上述の態様および他の態様、典型的な実施形態、特長および利点については、以下の記載および添付された請求項、構造図(同様の部分または要素は、同じ参照番号によって示される)から明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
添付図、つまり、本発明の理解を更に助けるために含まれ、且つ明細書の一部を構成する添付図は、本発明の実施形態を示している。
【0076】
本発明は、シャフトなどのセンサ素子を持つセンサに関し、該センサ素子が次の製造ステップに従って製造される。第1の電流パルスをセンサ素子に加えるとともに、この第1の電流パルスは、センサ素子の長手方向に沿った第1の方向に第1の電流が流れるように加えられる。そして、第1の電流パルスを加えることによって、センサ素子には、磁気的にエンコードされた領域が生成される。
【0077】
さらに第2の電流パルスがセンサ要素に加えられることが開示される。第2の電流パルスは、第2の電流がセンサ素子の長手方向の軸に沿った方向に流れるように加えられる。
【0078】
第1および第2の電流パルスの方向が反対となり得ることが開示される。第1および第2の電流パルスの各々が立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを有する。望ましくは、立ち上がりエッジが立ち下がりエッジよりも急勾配である。
【0079】
電流パルスを加えることによってセンサ素子に磁場構造が生じ、センサ素子の断面図において、第1の方向を持つ第1の環状磁気流と、そして第2の方向を持つ第2の磁気流が存在すると考えられる。第1の磁気流の半径は、第2の磁気流の半径より大きい。円形でない横断面を持つシャフトにおいては、磁気流は必ずしも円形でなく、基本的に各々のセンサ素子の横断面に対応し、そしてこれに適合する形状を有する。
【0080】
センサ素子にトルクを加えない場合には、磁場がないか、または基本的に外部で検出できる磁場が存在しないと考えられる。トルクまたは力がセンサ素子にかかる時に、適切なコイルによって検出できるセンサ素子から発生する磁場が存在する。このことについて、以下に詳述する。
【0081】
トルクセンサがセンサ素子のコア領域を取り巻く円周表面を持つ。第1の電流パルスは、センサ素子のコア領域の第1の方向に第1の電流が流れるように円周表面の第1の位置でセンサ素子に導入される。第1の電流パルスは、円周表面の第2の位置でセンサ素子から放出される。この第2の位置は、第1の方向において第1の位置から離れている。第2の電流パルスは、円周表面の第2の位置または第2の位置の近傍でセンサ素子に導入され、それによってセンサ素子のコア領域またはコア領域の近傍で第2の方向に第2の電流が流れる。第2の電流パルスは、円周表面の第1の位置または第1の位置の近傍でセンサ素子から放出される。
【0082】
上述のように、センサ素子はシャフトでもよい。そのようなシャフトのコア領域については、該コア領域がシャフトの中心を取り囲むように、その長手方向に延びてシャフト内部に亘ってもよい。シャフトの円周表面はシャフトの外表面である。第1および第2の位置はそれぞれ、シャフトの外側の円周領域にある。それらの領域を構成する限定された数の接触部分があってもよい。望ましくは、実際の接触領域が、例えば、電極としての、真鍮リングでできた電極領域を設けることによって与えられる。また、導体のコアについては、絶縁なしのケーブルのような導体とシャフトとの間の良好な電気接触を与えるようにシャフトの周りでループ状にされてもよい。
【0083】
第1の電流パルス、そして望ましくは第2の電流パルスは、センサ素子の一端面でセンサ素子に加えられない。第1の電流パルスは、40から1400アンペア、または60から800アンペア、または75から600アンペア、または80から500アンペアの間に最大値を持つことができる。電流パルスは、適切なエンコーディングがセンサ素子になされるように最大値を持ってもよい。但し、各種の使用材料およびセンサ素子の各種形状およびセンサ素子の様々な大きさのために、電流パルスの最大値はこれらのパラメータに従って調節される。第2の電流パルスは、同様の最大値を持ってもよいし、または第1の最大値より約10、20、30、40、または50%だけ小さい最大値を持ってもよい。しかしながら、第2の電流パルスはまた、第1の最大値より約10、20、40、50、60、または80%高くされた、高めの最大値を持ってもよい。
【0084】
これらのパルスの持続時間は同じであってもよい。しかしながら、第1のパルスが第2のパルスより充分に長い持続時間を持つことは可能である。あるいは、第2のパルスが第1のパルスより長い持続時間を持つこともまた可能である。
【0085】
第1および/または第2の電流パルスは、パルスの開始から最大値までの第1の持続時間を持ち、そして最大値から基本的にパルスの終了までの第2の持続時間を持つ。第1の持続時間は、第2の持続時間より十分に長くてもよい。例えば、第1の持続時間は300msより短くてもよく、第2の持続時間は300msより長くてもよい。しかしながら、第1の持続時間が200msより短く、一方、第2の持続時間が400msより長いこともまた可能である。また、第1の持続時間が20msから150msの間にあってもよく、その場合、第2の持続時間は180msから700msの間にあってもよい。
【0086】
上述のように、複数の第1の電流パルスのみでなく複数の第2の電流パルスを加えることも可能である。センサ素子は鋼鉄で作ってもよく、その鋼鉄がニッケルを含んでもよい。一次側センサ、つまりセンサ素子に使用するセンサ材料は、DIN1.2721、または1.4313、または1.4542、または1.2787、または1.4034、または1.4021、または1.5752、または1.6928に記載の、50NiCr13、またはX4CrNi13−4、またはX5CrNiCuNb16−4、またはX20CrNi17−4、またはX46Cr13、またはX20Cr13、または14NiCr14、またはS155であってもよい。
【0087】
第1の電流パルスは、少なくとも第1の電極および第2の電極を持つ電極システムによって加えられる。第1の電極は第1の位置かまたは第1の位置の近傍に配置され、そして第2の電極は第2の位置かまたは第2の位置の近傍に配置される。
【0088】
第1および第2の電極の各々が複数の電極ピンを有する。第1および第2の電極の各々における複数の電極ピンは、センサ素子の周りで円周上に配置され、それによってセンサ素子が第1および第2の位置でシャフトの外部円周表面にある複数の接触点で第1および第2の電極の電極ピンによって接触される。
【0089】
上述のように、電極ピンの代わりに、層状または2次元電極表面を用いてもよい。望ましくは、電極表面は、電極とシャフト材料との間の良好な接触を保証するように、シャフトの表面に適用される。
【0090】
少なくとも第1の電流パルスの1つおよび少なくとも第2の電流パルスの1つをセンサ素子に加えてもよく、それによってセンサ素子が磁気的にエンコードされた領域を持ち、センサ素子の表面に対して基本的に垂直な方向において、センサ素子の磁気的にエンコードされた領域は、第1の磁気流が第1の方向、および第2の磁気流が第2の方向とされるように磁場構造を持つことになる。第1の方向が第2の方向と反対であってもよい。
【0091】
センサ素子の断面において、第1の方向および第1の半径を持つ第1の円形磁気流と、第2の方向および第2の半径を持つ第2の円形磁気流とが存在してもよい。第1の半径は第2の半径より大きくてもよい。
【0092】
さらに、センサ素子は、第1の位置の近くに第1のピン止めゾーンを持ち、第2の位置の近くに第2のピン止めゾーンを持つ。
【0093】
ピン止めゾーンは、以下の製造方法に従って形成できる。この方法によると、第1の位置または第1の位置の近傍に第1のピン止めゾーンを形成するためには、第2の方向に第3の電流が流れるように、第3の電流パルスをセンサ素子の円周表面に加える。この第3の電流は、第2の方向において第1の位置から離れた第3の位置でセンサ素子から放出される。
【0094】
第2のピン止めゾーンを形成するために、第2の位置または第2の位置の近傍で、第1の方向に第4の電流が流れるように第4の電流パルスがセンサ素子に対してその円周表面で加えられる。この第4の電流は、第1の方向において第2の位置から離れた第4の位置で放出される。
【0095】
トルクセンサは、磁気的にエンコードされた領域を持つ第1のセンサ素子を含んで提供され、この第1のセンサ素子は1つの表面を持つ。第1のセンサ素子の表面に対して基本的に垂直な方向において、第1のセンサ素子の磁気的にエンコードされた領域は、第1の方向に第1の磁気流が存在し、且つ第2の方向に第2の磁気流が存在するように磁場構造を持つ。第1および第2の方向は互いに反対方向とされる。
【0096】
トルクセンサはさらに、1つ以上の磁場検出器を用いた第2のセンサ素子を含んでもよい。第2のセンサ素子が磁気的にエンコードされた領域における変化を検出するように構成される。より正確には、第2のセンサ素子は、第1のセンサ素子の磁気的にエンコードされた領域から出る磁場の変動を検出するように構成される。
【0097】
磁気的にエンコードされた領域は、第1のセンサ素子の部分に沿って長手方向に延びるが、第1のセンサ素子の一端面から第1のセンサ素子の他端面にまで延びてはいない。換言すると、磁気的にエンコードされた領域は、第1のセンサ素子の全てに沿って延びるものではなく、その一部分に沿ってのみ延びている。
【0098】
第1のセンサ素子は、第1のセンサ素子の材料における変化を持ち、これは、磁気的にエンコードされた領域を変えるために、または磁気的にエンコードされた領域を生成するために、第1のセンサ素子に加えられる、少なくとも1つの電流パルスまたはサージ電流によって引き起こされる。そのような材料の変化は、例えば、電流パルスを加える電極システムと各センサ素子の表面との間の異なる接触抵抗によって引き起こされる場合がある。また、そのような変化は、例えば、焦げ跡、色の違い、または焼きなまし痕などである。
【0099】
上記の変化はセンサ素子の外表面にあり、第1のセンサ素子の端面にはないが、それは、電流パルスがセンサ素子の外表面に印加され、その端面には印加されないからである。
【0100】
磁気センサのためのシャフトは、その横断面において反対方向に走る少なくとも2つの円形磁気ループを有して提供され得る。そのようなシャフトは、上述の製造方法に従って製造されると考えられる。
【0101】
さらに、シャフトは、同心円状に配置された少なくとも2つの円形磁気ループを持つように提供される。
【0102】
トルクセンサのためのシャフトは、以下の製造ステップに従って製造されて提供され、先ず、第1の電流パルスがシャフトに印加される。この第1の電流パルスは、シャフトの長手方向の軸に沿った第1の方向に第1の電流が流れるようにシャフトに印加される。第1の電流パルスは、電流パルスを加えることにより、シャフト内に磁気的にエンコードされた領域が生成されるように加えられる。これは、上述の電極システムを使用することによって、そして上述の電流パルスを加えることで行われる。
【0103】
電極システムは、トルクセンサのためのセンサ素子に電流サージを加えるために提供されてもよく、電極システムは少なくとも第1の電極および第2の電極を持ち、第1の電極はセンサ素子の外表面の第1の位置に設置される。第2の電極はセンサ素子の外表面の第2の位置に設置される。第1および第2の電極は、第1および第2の位置において少なくとも1つの電流パルスを印加し、そして放出するように構成され、それにより、センサ素子のコア領域内に電流が流れる。少なくとも1つの電流パルスによって、磁気的にエンコードされた領域がセンサ素子の一部分に作られる。
【0104】
電極システムは、各々が複数の電極ピンを含む少なくとも2つのグループの電極を含み得る。各電極の電極ピンは、1つの円上に配置され、センサ素子は、該センサ素子の外表面における複数の接触点で該電極の電極ピンと接触する。
【0105】
センサ素子の外表面はセンサ素子の端面を含まない。
【0106】
図1は、本発明によるトルクセンサの1つの実施形態を示す。トルクセンサは、長方形の横断面を持つ第1のセンサ素子、つまりシャフト2を含む。第1のセンサ素子2は、参照記号Xで示す方向に沿って実質的に延びている。第1のセンサ素子2の中央部には、エンコードされた領域4が存在する。第1の位置は参照番号10で示され、エンコードされた領域の一端部を示し、そして第2の位置は参照番号12で示され、エンコード領域、つまり磁気的にエンコードすべき領域4の他端部を示す。矢印14および16は、電流パルスを加えることを示している。図1に示すように、第1の電流パルスは第1の位置10の隣または近くの外部領域で第1のセンサ素子2に加えられる。望ましくは、後で詳述するように、第1の位置に近く、そして望ましくは第1の位置10に沿って第1のセンサ素子2の外部表面を囲む複数の点または領域で、電流が第1のセンサ素子2に導入される。矢印16で示すように、電流パルスは、例えばエンコードされるべき領域4の端部に沿った複数の場所で第2の位置12の近くまたは隣、またはその場で第1のセンサ素子2から放出される。既述のように、複数の電流パルスを、位置10から位置12へ、または位置12から位置10へと交互に変わる方向をもって順次に加えてもよい。
【0107】
参照番号6は、第2のセンサ素子を示しており、これは、好ましくは、制御回路8に接続されたコイルである。この制御回路8は、第2のセンサ素子6によって出力された信号をさらに処理するように構成され、出力信号は、第1のセンサ素子2に加えられるトルクに対応して制御回路から出力される。制御回路8はアナログまたはデジタル回路でもよい。第2のセンサ素子6は、第1のセンサ素子2のエンコードされた領域4から出る磁場を検出するように構成される。
【0108】
既述のように、第1のセンサ素子2に加えられる応力または力が存在しないならば、第2のセンサ素子6によって検出される磁場は基本的に存在しない。しかしながら、応力または力が第1のセンサ素子2に加えられる場合、エンコードされた領域から出る磁場に変化があり、ほとんど磁場が存在しない状態からの磁場の増加が第2のセンサ素子6によって検出されるようになる。
【0109】
本発明の他の例示的な実施形態によると、たとえ第1のセンサ素子に加えられる応力が存在しない場合でも、第1のセンサ素子2のエンコードされた領域4の外部または近傍で検出可能な磁場が存在し得ることに注意を要する。しかしながら、第1のセンサ素子2に加えられる応力が、エンコードされた領域4から出る磁場の変化を引き起こすことに注意すべきである。
【0110】
次に、図2a、図2b、図3a、図3b、および図4を参照して、本発明の1つの例示的な実施形態によるトルクセンサの製造方法を記述する。特に、その方法は第1のセンサ素子2の磁気的にエンコードされた領域4の磁化に関する。
【0111】
図2aから分るように、電流Iが磁気的にエンコードされる領域4の一端部に加えられる。既述したこの端部は参照番号10で示され、そして第1のセンサ素子2の外表面の円周部であってもよい。電流Iは、磁気的にエンコードされた領域(つまり、磁気的にエンコードされるべき領域)の別の端部で第1のセンサ素子2から放出され、その端部は参照番号12によって示され、これは第2の位置と呼ばれる。電流は、第1のセンサ素子からその外表面で、好ましくは、位置12の近くかまたは近傍の領域において円周方向に第1のセンサ素子から取り出される。位置10および12の間の破線で示すように、位置10にて、または位置10に沿って第1のセンサ素子に導入された電流Iは、コア領域を通してまたはコア領域に平行して位置12に流れる。換言すると、電流Iは第1のセンサ素子2内のエンコードされるべき領域4を通って流れる。
【0112】
図2bは、AA’に沿った断面図を示す。図2bの概略的表現として、電流は×印で図2bの平面内に示される。ここで、電流は、第1のセンサ素子2の横断面の中心部に示される。上述のまたは以下に記述される形状を持ち、そして上述のまたは以下に記述される最大値を持つ電流パルスの導入によって、断面図における1つの方向、ここでは時計回り方向に磁気流方向を持つ磁気流構造20が生じる。図2bに示す磁気流構造20は、基本的に円形で描かれている。しかしながら、磁気流構造20は、第1のセンサ素子2の実際の断面に適合し、例えば、より楕円的であってもよい。
【0113】
図3aおよび図3bは、本発明の1つの例示的な実施形態による方法のステップを示し、これは図2aおよび図2bに示したステップの後に適用できる。図3aは、第2の電流パルスを加える本発明の1つの例示的な実施形態に従った第1のセンサ素子を示し、そして図3bは、第1のセンサ素子2のBB’に沿った断面図を示す。
【0114】
図3aから分るように、図2aに比較して、図3aにおいて矢印16で示された電流Iは、位置12またはその近傍でセンサ素子2に導入され、そして位置10またはその近傍でセンサ素子2から放出され、つまり取り出される。換言すると、電流は図3aにおいて、図2aで導入された場所で放出され、その逆もまた成立する。従って、図3aにおける第1のセンサ素子2への電流Iの導入および放出によって、図2aにおける各電流とは反対に、磁気的にエンコードされるべき領域4を通る電流が生じる。
【0115】
電流は、図3bにおいてセンサ素子2のコア領域に示されている。図2bと図3bとの比較から分るように、磁気流構造22は、図2bにおける磁気流構造20とは反対の方向をもつ。
【0116】
以前に示したように、図2a、図2b、図3a、および図3bに描かれたステップを、個別に適用し、または互いに継続的に適用してもよい。最初に図2aおよび図2bに描かれたステップが行われ、次に図3aおよび図3bに描かれたステップが行われる時、図4に描かれたエンコードされた領域4を通して断面図に描かれた磁気流構造が作られる。図4から分るように、2つの磁気流構造20および22はともに、エンコード領域内にエンコードされる。従って、第1のセンサ素子2の表面に対して基本的に垂直な方向において、センサ素子2のコアに向かう方向に、第1の磁気流が第1の方向を持ち、そしてその下層で第2の磁気流が第2の方向を持つことになる。図4に示すように、磁気流の方向は互いに反対とされる。
【0117】
従って、第1のトルクセンサ素子2にトルクが加わらない場合には、2つの磁気流構造20および22が相殺し、エンコードされた領域の外部では基本的に磁場が存在しない。しかしながら、応力または力が第1のセンサ素子2に加わる場合に、磁気流構造20および22は相殺を止め、エンコードされた領域の外部に磁場が生じ、これが第2のセンサ素子6によって検出される。このことについて、以下に詳述する。
【0118】
図5は、本発明の1つの例示的な実施形態による第1のセンサ素子2の別の典型例を示すが、これは、本発明の1つの例示的な実施形態に従った製造方法によって製造される1つの例示的な実施形態によるトルクセンサに使用してもよい。図5から分るように、第1のセンサ素子2は、望ましくは図2a、図2b、図3a、図3b、および図4に描かれたステップおよび配置に従って好適にエンコードされるエンコ−ド領域4を持つ。
【0119】
位置10および12の近傍に、ピン止めゾーン42および44を配置する。これらのゾーン42および44は、エンコ−ド領域4の不安定性を回避するために設けられる。換言すれば、ピン止めゾーン42および44によって、エンコ−ド領域4の開始位置と終了位置が、より明確になる。
【0120】
要するに、第1のピン止めゾーン42は、例えば、図2aを参照して記述されたのと同じ方法で、第1の位置10の近くまたは近傍で電流38を第1のセンサ素子2に導入することによって形成される。しかしながら、電流Iは、位置10の近く、つまり、そこでエンコードされる領域の端部から離れた第1の位置30において第1のセンサ素子2から放出される。この追加の場所は参照番号30によって示される。この追加の電流パルスIの導入は、矢印38で示され、そしてその放出については矢印40で示す。電流パルスは、上述したのと同じ形状で最大値を有するものとされる。
【0121】
第2のピン止めゾーン44を形成するために、電流は、位置12の近く、つまりその近傍でエンコードされる領域4の端部から離れた位置32で第1のセンサ素子2に導入される。それから、電流は、位置12またはその近くで第1のセンサ素子2から放出される。電流パルスIの導入については、矢印34および36で示す。
【0122】
ピン止めゾーン42および44について好ましくは、これらのピン止めゾーン42および44の磁気流構造が、近接したエンコード領域4において、それぞれに近接する磁気流構造とは反対の方向とされる。図5から分るように、ピン止めゾーンについては、エンコードされた領域4のコーディングまたは完全なコーディングの後で、第1のセンサ素子2にコード化される。
【0123】
図6は、本発明の別の例示的な実施形態を示すが、そこではエンコード領域4が存在しない。換言すれば、本発明の1つの例示的な実施形態によると、ピン止めゾーンについては、磁気的にエンコードされる領域4を実際にコーディングする前に、第1のセンサ素子2にコード化される。
【0124】
図7は、本発明の1つの例示的な実施形態によるトルクセンサのための第1のセンサ素子2を製造する方法についての、単純化したフローチャートを示す。
【0125】
ステップS1での開始後、方法はステップS2に続き、図2aおよび図2bを参照して記述したように、第1のパルスが加えられる。それから、ステップS2の後に、方法はステップS3に続き、図3aおよび図3bを参照して記述したように、第2のパルスが加えられる。
【0126】
それから、方法はステップS4に続き、ピン止めゾーンが第1のセンサ素子2にコードされるべきか否かが決定される。ステップS4においてピン止めゾーンがないと決定される場合に、方法はステップS7に続き、そこで終了する。
【0127】
ステップS4においてピン止めゾーンが第1のセンサ素子2にコードされると決定された場合に、方法はステップS5へと続き、第3のパルスが矢印38および40で示されている方向でピン止めゾーン42に加えられ、そして矢印34および36で示されている方向でピン止めゾーン44に加えられる。それから、方法はステップS6へと続き、第4のパルスがそれぞれのピン止めゾーン42および44に加えられる。ピン止めゾーン42に対して、第4のパルスは、矢印38および40で示した方向と反対の方向で加えられる。また、ピン止めゾーン44に対して、第4のパルスが、矢印34および36と反対の方向を持つピン止めゾーンに加えられる。それから、方法はステップS7に続き、そこで終了する。
【0128】
換言すると、望ましくは2つのパルスが磁気的にエンコードされる領域4をエンコード化するために加えられる。これらの電流パルスは、例えば反対の方向を持つ。更に、それぞれ対応する方向を持つ2つのパルスは、ピン止めゾーン42に加えられ、そしてピン止めゾーン44に加えられる。
【0129】
図8は、磁気的にエンコードされる領域4およびピン止めゾーンに加えられるパルスの電流対時間図形を示す。図8のy軸の正方向が、x方向への電流を示し、そして図8のy軸の負方向が、y方向への電流を示している。
【0130】
図8から分かるように、磁気的にエンコードされる領域4のコーディングのために、最初にx方向への電流パルスを加える。図8から分かるように、パルスの立ち上がりエッジが非常に鋭いのに対して、その立ち下りエッジは、立ち上がりエッジの傾向に比較して比較的長い傾向を持つ。図8に示すように、パルスは約75アンペアの最大値を持ってもよい。他の応用では、パルスは図8に示すほど鋭くなくてもよい。しかしながら、立ち上がりエッジは、立ち下がりエッジよりも更に急傾斜であるか、または短い持続時間を持つべきである。
【0131】
それから、第2のパルスは反対の方向をもって、エンコード領域4に加えられる。該パルスは、第1のパルスと同じ形状を持ってもよい。しかしながら、第2のパルスの最大値はまた、第1のパルスの最大値と異なってもよい。パルスの周辺の形状は異なっていてもよい。
【0132】
それから、ピン止めゾーンのコーディングのために、第一および第2のパルスに類似したパルスが、図5および図6に関連して記述されたように、ピン止めゾーンに加えられる。そのようなパルスが、ピン止めゾーンに同時に加えられてもよいし、また、各々のピン止めゾーンに連続して加えられてもよい。図8に描かれているように、パルスは第1および第2のパルスと基本的に同じ形状を持ってもよい。但し、その最大値はもっと小さくてもよい。
【0133】
図9は、本発明の1つの例示的な実施形態によるトルクセンサの第1のセンサ素子について別の例示的な実施形態を示しており、磁気的にエンコードされる領域4をコード化するために、電流パルスを加える電極配置を示す。図9から分るように、絶縁されていない導線は第1のセンサ素子2の周りにループ状にされてもよく、その場合、この第1のセンサ素子2は、図9から分るように円形の横断面を持つ円形シャフトとされる。導線が第1のセンサ素子2の外表面に密着することを保証するためには、導線を矢印64で示すようにクランプしてもよい。
【0134】
図10aは、本発明の1つの例示的な実施形態による第1のセンサ素子の別の例示的な実施形態を示す。更に、図10aは、本発明の1つの例示的な実施形態による電極システムの別の例示的な実施形態を示す。図10aに示す電極システム80および82は、第1のセンサ素子2に接触し、該素子は、2つの接触点を持つ三角形の横断面を有している。これらの接触点は、領域4、即ち、磁気的なエンコード領域としてエンコードされるべき領域の各側面において、三角形状の第1のセンサ素子の各面に付設される。よって、全体として、領域4の側面には6つの接触点がある。個々の接触点は互いに接続されてから1つの個々の接触点に接続される。
【0135】
電極システムと第1のセンサ素子2との間の接触点が限定された数のみであって、そして印加する電流パルスが非常に高い場合には、電極システムの接触点と第1のセンサ素子2の材料との間の異なる接触抵抗によって、電極システムの接触点で第1のセンサ素子2に焦げ跡をもたらす場合がある。これらの焦げ跡90は、変色であったり、溶接斑点であったり、焼きなまし箇所であったり、または単なる焦げ跡である。本発明の1つの例示的な実施形態では、接触点の数を増やすか、またはそのような焦げ跡90を回避するような接触表面が設けられる。
【0136】
図11は、本発明の1つの例示的な実施形態による円形横断面を持つシャフトである第1のセンサ素子2の別の例示的な実施形態を示す。図11から分るように、磁気的にエンコードされる領域4は、第1のセンサ素子2の一端寄りの領域にある。本発明の1つの例示的な実施形態によると、磁気的にエンコードされる領域4は、第1のセンサ素子2の全長に及んではいない。図11から分るように、それはその一端に設置してもよい。但し、本発明の1つの例示的な実施形態によると、電流パルスは第1のセンサ素子2の外部円周表面から加えられるが、第1のセンサ素子2の端面100から印加されないことに注意を要する。
【0137】
次に、所謂PCME(「Pulse−Current−Modulated−Encoding」パルス電流変調エンコーディング)感知技術について詳述する。それは、本発明の1つの好ましい実施形態によると、本発明によって部分的に消磁される、磁化可能な物体を磁化するために提供できる。そして、PCME技術は、部分的にトルク検出との関連で記述される。しかしながら、この概念は位置検出との関連でも同様に提供される。
【0138】
この記述では、多数の頭字語が使用されるが、そうでないと多くの説明および記述が読みにくくなるからである。「ASIC」、「IC」、および「PCB」の頭字語が既にマーケット標準の定義である一方で、特に磁気歪に基づいたNCT感知技術に関係する多くの用語がある。この記述で、NCT技術、またはPCMEへの言及がある場合に、それは本発明の例示的な実施形態に参照されることに注意を要する。
【0139】
表1は、PCME技術の以下の記述において使用する略語のリストを示す。
【0140】
【表1】

【0141】
磁気の法則に基づく機械的応力の感知技術によって、強磁性材料が使用される場合に応用できる広範囲の「物理パラメータセンサ」(力感知、トルク感知、および材料診断解析など)を設計して、生産することができる。「磁気の法則に基づいた」センサを構築するために用いる最も一般的な技術は、誘導微分変位測定(捩じれシャフトを必要とする)、材料透磁率の変化の測定、そして磁気歪効果の測定である。
【0142】
過去20年以上、多数の様々な会社が、磁気的原理に基づくトルクセンサをどのように設計し、そしてどのように生産するかに関して彼等自身の、そして非常に特殊な解決方法を開発してきた(即ち、ABB、FAST、Frauenhofer Institute、FT、Kubota、MDI、NCTE、RM、Siemens、その他)。これらの技術は、それぞれに開発段階にあり、そして「どのように働くか」、達成できる性能、システムの信頼性、そして製造およびシステム価格において異なっている。
【0143】
これらの技術のあるものは、トルクが測定されるべきシャフトに対して、機械的な変化が加えるか(シェブロン)、または機械的な捩じれ効果(トルクで捩じれる長いシャフトを必要とする)に依存するか、または何かがシャフト自身に付着すること(シャフト表面へのある特性を持つリングの圧入)、または、特殊な物質でシャフト表面をコーティングすることを要求する。これまで誰も、厳しい性能許容値を達成して、(殆ど)どのシャフトサイズにも応用でき、そして既存の技術特許に基づいての大量生産工程を達成し得なかった。
【0144】
次に、磁気歪原理に基づく非接触トルク(NCT)感知技術について記述する。これは以前に利用不可能であった非常に膨大な新しい特長および改良された性能をユーザーに提供する。この技術は、充分に統合された(小さい空間で)、実時間(高い信号バンド幅)でのトルク測定を可能にし、それは信頼性があり、そして望まれる量が如何なる量であっても、手ごろな値段で生産できる。この技術は、PCME(Pulse−Current−Modulated Encoding、パルス電流変調エンコーディング)、または磁気歪横方向トルクセンサと呼ばれる。
【0145】
PCME技術は、シャフトに機械的変化を与えずに、またはシャフトに何も付着しないでシャフトに応用できる。最も重要なことは、PCME技術が、任意のシャフト直径に応用でき(殆ど全ての他の技術はこの点で限界を持つ)、そしてエンコーディング工程の間、シャフトを回転させまたはスピンさせる必要がなく(非常に簡単で低価格な製造工程)、これによって、この技術は大量生産の用途で大いに応用可能である。
【0146】
次に、磁場構造(センサ原理)について記述する。
【0147】
センサの寿命は、「閉ループ」磁場設計に依存する。PCME技術は、互いの上に蓄えられ、反対方向に走っている2つの磁場構造に基づく。トルク応力または運動応力がシャフト(別名センサホスト、またはSH)に加わらない時、SHは磁気的に中性に振舞う(SHの外部で磁場は全く検出されない)。
【0148】
図12は、2つの磁場がシャフト内に生じ、閉じた円内を走っていることを示す。外側の磁場は1つの方向に走るとともに、その一方で内側の磁場はその反対方向に走る。
【0149】
図13は、PCME感知技術が、互いに接近してできる2つの逆方向円形磁場ループを使用することを図示している(ピギーバック(Picky−Back)モード)。
【0150】
機械的応力(往復運動またはトルクのような)が、PCMEで磁化されたSH(センサホストまたはシャフト)の両端に加えられる場合に、両方の磁気構造の磁束線(つまり、ループ)は、加えられたトルクに比例して傾く。
【0151】
図14に示すように、機械的応力がSHに加わらない時、磁束線はその最初の経路内で走る。機械的応力が加えられると、磁束線は加えられた応力(直線運動またはトルクのような)に比例して傾く。
【0152】
加えられたトルクの方向に依存して(SHに関して、時計回りまたは反時計回り)、磁束線は、右に傾くかまたは左に傾く。磁束線が磁気的にエンコードされた領域の境界に到達すると、上層からの磁束線が下層からの磁束線と繋がり、その逆もまた同様である。そして、これは、完全に制御されたトロイダル形状を形成する。
【0153】
そのような磁気構造の利点は、以下の通りである。機械的応力がSHに加えられる場合の、減少した(殆ど排除された)寄生磁場構造(これは、良好なRSU性能をもたらす)。より高いセンサ出力信号勾配。これは、機械的な応力に関係する信号を発生するときに、互いに補足し合う2つの「アクティブな」層があることによる。説明:単層センサ設計を用いる場合、エンコーディング領域境界に存在する「傾いた」磁束線は、1つの境界側から他の側へ「帰り道」を作らなければならない。この労力は、どれだけの信号が二次側センサユニットを持つSHの外部で感知され、そして測定されるために使用できるかに影響する。PCME技術が応用される場合、SH(シャフト)の大きさには殆ど制限がない。2層磁場構造は、如何なる中空ではない、または中空のシャフトの大きさにも応用できる。物理的な大きさおよびセンサ性能を非常に広範にプログラム化でき、従って目標の応用に合わせられる。このセンサ設計によって、シャフトに加えられる直線方向の力(負荷セルとして応用可能)を含む、全ての3次元軸から生じる機械的応力の測定が可能となる。説明:初期の磁気歪センサ設計(例えば、FASTテクノロジーのもの)は、2次元軸のみに感度をもつように制限されており、直線上の力を測定できなかった。
【0154】
図15を参照すると、トルクがSHに加わる時、2つの逆方向の円形磁気ループの磁束線はセンサ領域の境界で互いに接続している。
【0155】
機械的トルク応力がSHに加わる時、磁場はもはや円の中で回らず、加えられたトルク応力に比例して幾分傾く。これは1つの層の磁場線を他の層の磁場線に接続させ、そしてこれによってトロイダル形状を形成する。
【0156】
図16を参照すると、これは、高レベルのトルクがSHに加わる場合、如何にして磁束線が角度を持ったトロイダル構造を形成するかについて、強調して示している。
【0157】
次に、PCMエンコーディング(PCME)工程の特長および利点について記述する。
【0158】
本発明によるNCTEからの磁気歪NCT感知技術は、以下に示す高性能感知特性を提供する。センサホストには、如何なる機械的な変化も要求されない(既存のシャフトをそのままで使用できる)。センサホストに何も付着する必要がない(従って、シャフトの寿命の間、何も外れ落ちることがなく、変化することがない。即ち、高いMTBFである。)。測定中、SHは、あらゆる所望の速度で回転でき、往復運動ができ、または動くことができる(rpmに制限なし)。非常に良好なRSU(Rotational Signal Uniformity回転信号一様性)性能。卓越した測定の線形性(FSの0.01%まで)。高い測定繰り返し性。非常に高い信号分解能(14ビットよりよい)。非常に高い信号帯域(10kHzよりよい)。
【0159】
選択された磁気歪感知技術のタイプおよび選択された物理的なセンサ設計に応じて、機械的パワー伝達シャフト(別名「センサホスト」またはこれを短くした「SH」)は、それに如何なる機械的な変更をも加えることなく、また、シャフトに何ものをも付着せずに「そのままで」使用できる。これは、「真の」非接触トルク測定原理と呼ばれ、これによって、シャフトが自由に、任意の所望の速度をもって両方向において回転できる。
【0160】
本発明の1つの例示的な実施形態によってここで記述されるPCMエンコーディング(PCME)製造工程は、如何なる他の磁気歪技術も提供できない追加的な特長を提供する(本技術のユニーク性)。他の選択肢の磁気歪エンコーディング工程(FASTの「RS」工程のような)と比較して3倍より大きい信号強度。容易で、簡単なシャフト装填工程(高い製造処理量)。磁気エンコーディング工程中に動く構成部品がないこと(複雑でない製造装置、即ち高いMTBFおよび低価格)。1パーセント以下の目標精度を達成するために、NCTセンサの「微調整」を可能にする工程。同一の工程サイクルにおいて、シャフトの「前処理」および「後処理」を可能にする製造工程(高い製造処理量)。感知技術および製造工程はレシオメトリックであり、したがって全てのシャフト径やチューブ直径に応用可能である。PCMエンコーディング工程は、SHが既に組み立てられている間に応用できる(接近可能性に依存する)(保守し易さ)。軸シャフトの運動に敏感でない最終センサ(実際に許容される軸シャフトの運動は磁気的にエンコードされた領域の物理的な「長さ」に依存する)。磁気的にエンコードされたSHは、中性のままであり、力(トルクのような)がSHに加えられないときには、ほとんど無磁場である。全ての3次元軸において機械力に敏感である。
【0161】
次に、SHにおける磁束分布について記述する。
【0162】
PCME処理技術は、強磁性材料の望ましい、永久的な磁気エンコーディングを達成するために、SH(センサホストまたはシャフト)を通して流れる電流を使用することに基づいている。望ましいセンサ性能および特性を得るためには、非常に特殊で良く制御された電流が必要である。DC電流を使用した初期の実験は、どのようにして少量のDC電流と大量のDC電流が導体を流れるかについての理解に欠けていたために失敗した(この場合、「導体」は機械的パワーの伝達シャフトであり、別名センサホストまたは短くして「SH」と呼ばれる)。
【0163】
図17に、導体内の仮定された電流密度を示す。
【0164】
導体内の電流密度は、電流(DC)が導体を流れる時、導体の全横断面に亘って一様に分布すると一般に仮定される。
【0165】
図18に、導体内で電流経路を束ねる磁場を形成する小さな電流を示す。
【0166】
少量の電流(DC)が導体を流れる時、電流密度は導体の中心で最高であるというのが我々の経験である。このことに対する2つの主な原因は、導体を流れる電流が、導体の中心で電流路を一緒に束ねている磁場を発生させること、そしてインピーダンスが導体の中心で最低であることによる。
【0167】
図19に、導体内の小さい電流の1つの典型的な流れを図示する。
【0168】
しかしながら、実際には電流は1つの接続極から他へと、「直」線で流れなくてもよい(天空の電気稲妻の形状のように)。
【0169】
あるレベルの電流では、発生した磁場が強磁性シャフト材料の永久磁化を引き起こすほど充分に大きい。電流がSHの中心の近くまたはそこを流れるとき、永久にもたらされる磁場が同じ場所、即ちSHの中心の近くまたは中心に存在する。今、シャフトに対して振動または往復運動のために機械的なトルクまたは線形力を加える時、内部に磁場をもったシャフトは、加えられた機械力に従ってその磁束経路を傾けることによって応答する。永久にもたらされる磁場がシャフト表面の下深くにあるとき、測定可能な効果は非常に小さく、一様でなく、従って信頼できるNCTセンサシステムを作るには十分でない。
【0170】
図20には、飽和レベルでの導体内における一様な電流密度を示す。
【0171】
飽和レベルでのみ、電流密度(DCを用いる時)は導体全体の横断面に一様に分布する。この飽和レベルを達成する電流量は非常に多く、そして使用される導体の横断面および伝導率(インピーダンス)に主に影響される。
【0172】
図21には、導体の表面下または表面を流れる電流を示す(表皮効果)。
【0173】
また、導体内を交流(ラジオ周波数信号のような)が流れる時、信号が導体の表皮層を流れること、即ち、表皮効果と呼ばれることは一般に広く仮定される。交流の選ばれた周波数は、表皮効果の「場所/位置」(Location/position)および「深さ」を定める。高周波数において、電流は導体の表面をまたは表面の近くを流れ(A)、他方、低周波数(20mm直径のSHの場合、5から10Hzの領域)において、交流電流はシャフト横断面のもっと中心(E)を通過する。また、相対電流密度については、非常に低いAC周波数におけるシャフト中心付近の相対電流密度に比較して、より高いAC周波数において電流が占めている部分の方が高くなる(これは、低いAC周波数において、電流が流れるために利用可能な、より大きな面積があることによる)。
【0174】
図22には、異なる周波数をもって、交流を導体に流す場合における導体の電流密度(電流に対して90度の横断面)を示す。
【0175】
PCMEセンサ技術の望ましい磁場設計図は、2つの円形磁場構造であって、互いに近接する2つの層にもたらされ(「ピギーバック」)、そして互いに反対の方向に走っている(Counter−Circular:逆環状)の構造である。
【0176】
再び図13を参照すると、これは望ましい磁場センサ構造を示しており、つまり、互いに近接して位置し、互いに反対方向に走る、2つの閉じた磁気ループ、即ち、逆環状の「ピギーバック」磁場設計とされる。
【0177】
磁場設計を、SH(シャフト)に加えられる機械的な応力に対して高感度にするため、そして最も大きなセンサ信号を可能にするために、望ましい磁場構造は、シャフト表面に最も近いところに置かなければならない。円形磁場をSHの中心近くに置くことは、ユーザーに利用可能なセンサ出力信号の勾配を減少させ(センサ信号の多くは、強磁性のシャフト材料を通して伝わり、これは該材料が空気に比して一層高い透磁率を持つためである)、そして、センサ信号の不均一性を増加させる(二次側センサに関連するシャフト回転およびシャフトの軸運動に関して)。
【0178】
図23には、シャフト表面の近くにできる磁場構造と、シャフトの中心付近にできる磁場構造を示す。
【0179】
AC(交流)を使用する場合に、SHの望ましい永久的な磁気エンコーディングを達成することは困難であり、これは、作られた磁場の極性が絶えず変化し、それ故にむしろ消磁システムとして働くことによる。
【0180】
PCME技術では、強電流(望ましい磁場構造の消失を防ぐために、「単極性」またはDC)がシャフト表面直下を流れることを要求する(センサ信号がシャフトの外側において一様であって、且つ測定可能であることを保証するため)。また、逆環状のピギーバック磁場構造を形成する必要がある。加えて、逆環状の「ピギーバック」磁場構造を形成する必要がある。
【0181】
シャフトに2つの逆環状磁場構造を置くことは、該シャフトにそれらを交互に備えることによって可能である。最初、内側の層がSHにもたらされ、そして、その後に外側の層がより弱い磁気力(内側の層が偶然に中性化されて消去されることを防止する)を使用することによって生じる。これを達成するためには、FASTテクノロジーの特許に記述されているように、既知の「永久」磁石エンコーディング技術を適用することができ、または、電流エンコーディングと「永久」磁石エンコーディングとの組み合わせを使用することによって行われる。
【0182】
もっと単純で速いエンコーディング工程は、電流のみを用いて、望ましい逆環状の「ピギーバック」磁場構造を実現することである。ここで最も挑戦的な部分は、逆環状の磁場を作ることにある。
【0183】
一様な電流は、電流方向(A)に関して、90度の角度において導電体の周りを走る一様な磁場を生成する。2つの導体を並べて置くと(B)、その時、2つの導体の間において磁場は互いの効果を打ち消し合うようになる(C)。尚、存在してはいるが、近接しておかれた2つの導体間に検出可能な(または測定可能な)磁場はない。多数の導電体を並べて置く時(D)、「測定可能な」磁場は、「平らな」形状をした導体表面の外側を周回するようになる。
【0184】
図24には、一様な電流が流れる導体を横断面で見た時の磁場効果を示す。
【0185】
上記の「平らな」または長方形の形状の導体を、「U」字型に曲げるものとする。「U」字型導体を通って電流を流すとその時、「U」字型の外形に沿った電流は、「U」字の内半部における測定可能な効果を打ち消している。
【0186】
図25を参照すると、「U」字型導体内の領域は、電流が導体を流れている時、磁気的に「中性」に見える。
【0187】
機械的応力が「U」字型導体の横断面に加えられない時、「U」字の内部(F)に磁場は存在しないように見える。しかし、「U」字型導体を曲げたり、または捻ったりすると磁場はもはやその初めの経路(電流に対して90度の角度)に従わなくなる。加えられる機械力に依存して、磁場は幾分その経路を変え始める。その時点で、機械的な応力によってもたらされる磁場ベクトルは、導体の表面で、「U」字型の内部および外部において感知され、そして測定される。この現象は非常に特別な電流レベルでのみ適用されることに注意すべきである。
【0188】
同じことが「O」型導体の設計にも当てはまる。「O」型導体(チューブ)を通して一様な電流を流すと、「O」型導体(チューブ)の内部で測定可能な磁場効果が互いに打ち消されてしまう(G)。
【0189】
図26を参照すると、「O」型導体内部の領域は、電流が導体を流れる時、磁気的に「中性」に見える。
【0190】
しかしながら、機械的な応力が「O」型導体(チューブ)に加えられる時、「O」型導体の内側に存在する磁場があったことが明白になる。内部の逆方向の磁場(外部磁場も同様)は、加えられるトルク応力に関連して傾き始める。この傾きの磁場が明瞭に感知され、そしてこれを測定できる。
【0191】
次に、エンコーディングパルス設計について記述する。
【0192】
SHの内部に望ましい磁場構造(逆環状のピギーバック磁場設計)を実現するために、本発明の方法における1つの例示的な実施形態によると、単極性の電流パルスがシャフト(またはSH)を通過する。「パルス」を使用することによって、望ましい「表皮効果」が得られる。「単極性」の電流方向(その電流の方向が変化しない)を使用することによって、生じる磁場効果が偶然に打ち消されることはなくなる。
【0193】
使用する電流パルスの形状は、望ましいPCMEセンサ設計を達成するために最も重要である。各々のパラメータは正確に且つ再現可能に制御されなければならず、該パラメータには、電流の立ち上がり時間、一定電流のオンタイム、最大電流振幅、そして電流の立ち下がり時間がある。また、電流が全シャフト表面に亘って非常に一様に出入りすることが非常に重要である。
【0194】
次に、長方形の電流パルス形状について記述する。
【0195】
図27に、長方形をした電流パルスを図示する。
【0196】
長方形をした電流パルスは、速い立ち上がり正エッジおよび速い立ち下り電流エッジを持つ。SHを通して長方形をした電流パルスを流す時、立ち上がりエッジはPCMEセンサの目標磁場構造の形成に関与するのに対して、長方形をした電流パルスの平らな「オン」タイムおよび立ち下がりエッジは逆効果を生じる。
【0197】
図28に、長方形をした電流エンコーディングパルス幅(定電流オンタイム)とセンサ出力信号勾配との間の関係を示す。
【0198】
次の例では、長方形状の電流パルスを用いて、直径15mmの14CrNi14シャフト内に逆環状の「ピギーバック」場が生成されて蓄えられた。パルス電流は、約270アンペアで最大値を持つ。また、パルスの「オンタイム」は、電子回路で制御された。エンコーディングパルスの立ち上がりおよび立ち下がりエッジにおける高周波成分のために、この実験は、真のDCエンコーディングSHの効果を精確には示すことができない。したがって、1000msの定電流オンタイムパルスを流す時、センサ出力信号勾配曲線は20mV/Nmよりも上で最終的に平坦となる。
【0199】
速い立ち上がり電流パルスエッジを使用しない場合に(制御された一定のランプ勾配を使用するように)、センサ出力信号勾配は非常に悪化してしまう(10mV/Nm未満)。尚、この実験(14CrNi14を使用)では、信号のヒステリシスがFS信号の約0.95%であった(FS=75Nmのトルク)。
【0200】
図29に、いくつかの長方形の電流パルスを連続して使用することによるセンサ出力信号勾配の増加を示す。
【0201】
センサ出力信号勾配は、いくつかの長方形の電流エンコーディングパルスを連続して使用する場合に改善できる。他のエンコーディングパルス形状に比較すると、長方形の電流パルスにおける、速い立ち下がりの電流パルス信号勾配は、センサ出力信号勾配が最適な性能レベルに到達することを妨げる。少数(2から10)の電流パルスがSH(またはシャフト)に加えられた後では、センサ出力信号勾配がそれ以上大きくならないことを意味する。
【0202】
次に、放電電流パルス形状について記述する。
【0203】
放電電流パルスは定電流オンタイムを持たないし、そして速い立ち下がりエッジを持たない。したがって、SHの磁気エンコーディングにおける主要で切実な作用は、この電流パルス型の速い立ち上がりエッジである。
【0204】
図30に示すように、PCMEセンサを作るとき、急峻な立ち上がり電流エッジおよび典型的な放電曲線が最良の結果を与える。
【0205】
図31に、適正なパルス電流を特定することによるPCMEセンサ出力信号勾配の最適化を示す。
【0206】
パルス電流スケールの非常に低い端部(15mm直径のシャフトで、14CrNi14シャフト材料の場合、0から75アンペア)において、放電電流パルス型は、強磁性シャフト内で持続する磁場を作り出すのに必要とされる磁場の閾値を超えるほどには強力でない。パルス電流振幅を増加すると、2重の円形磁場構造がシャフト表面下に形成され始める。パルス電流振幅を増加すると、二次側センサシステムの達成出来るトルクセンサ出力信号振幅も増加する。約400Aから425Aにおいて最適のPCMEセンサ設計が達成された(2つの逆方向を向いた磁場領域が、最良のセンサ性能に対する、互いの最適距離および正しい磁束密度に達した)。
【0207】
図32に、エンコーディングパルスの間の最適なPCME電流密度および位置を持つセンサホスト(SH)の横断面を示す。
【0208】
更にパルス電流振幅を増加する時、トルク力に関するセンサ信号振幅の絶対値は更に、しばらくの間増加する(図31の曲線2)が、一方で典型的なPCMEの全般的なセンサ性能は減退する(曲線1)。900Aのパルス電流振幅を過ぎると(15mm直径のシャフトの場合)、トルク力に関するセンサ信号振幅の絶対値が同様に降下し(曲線2)、PCMEセンサ性能は、その際、非常に悪くなる(曲線1)。
【0209】
図33に、各種の増加するパルス電流レベルについて、センサホスト(SH)の横断面および電気パルス電流密度を示す。
【0210】
電流がSHにおいて、より大きな横断面を占めるようになると、内部の円形部分と、外部の(シャフト表面の近くで)円形部分との間隔がより大きくなる。
【0211】
図34を参照すると、より良いPCMEセンサ性能が、逆環状の「ピギーバック」場の設計で間隔が狭い場合(A)に達成される。
【0212】
望ましい2重で逆向きの環状磁場構造は、二次側センサの信号振幅をもたらすトルク力の下で閉ループ構造を作り難くなる。
【0213】
図35を参照すると、放電曲線を平らにすることはまた、センサ出力の信号勾配を増加させる。
【0214】
電流パルス放電時間を長くする(電流パルスを幅広くする)(B)と、センサ出力信号勾配が増加する。しかしながら、電流パルスの立ち下がりエッジを減少させるために必要な電流量は非常に多い。最高の実現可能なセンサ出力信号勾配を達成するためには、大きな電流振幅(最適の値で)と、可能な限り遅い放電時間とを組み合わせて使用することが、より実用的である。
【0215】
次に、一次側センサ処理に関連する電気接続装置について記述する。
【0216】
PCME技術(「PCME」技術という用語は、本発明の例示的な実施形態に関して使用されることに注意しなければならない)は、一次側センサが生産される場所でシャフトを通して非常に大量のパルス変調電流を流すことに依存する。シャフトの表面が非常にきれいで、しかも導電性が高い場合に、多点の銅または金の接続は、望ましいセンサ信号の一様性を達成するために充分である。重要なことはインピーダンスがシャフト表面への各々の接続点で同一であるということである。尚、このことは、ケーブルが主要な電流接続点(I)に接続する前に、ケーブル長(L)が同一であることを保証できる場合に、最良に達成できる。
【0217】
図36には、シャフト表面への単純な電気的多点接続を示す。
【0218】
但し、多くの場合、信頼性があって再現性のある多点電気接続は、各々の接続点でインピーダンスが同一で、一定であることを保証することによってのみ達成できる。押圧されたバネを用いて、先鋭なコネクターが、シャフトの表面で可能な酸化または絶縁層(多分、指紋によって作られた)を突き通す。
【0219】
図37に、バネ仕掛けの接触点を持つ多チャネルの電気接続具を図示する。
【0220】
シャフトを処理する時、出来るだけ一様な方法で電流をシャフトに注入し、そして取り出すことが最も重要である。上の図は、シャフトの周りに取り付け具によって固定されている互いに絶縁された幾つかのコネクターを示す。この工具はシャフト処理保持クランプ(または、SPHC)と呼ばれる。SPHCに必要とされる電気コネクターの数は、シャフトの外径に依存する。外径が大きいほど多くのコネクターが必要である。導電体同士の間隔は、1つの接続点から次の接続点まで同じでなければならない。この方法は対称「スポット」接触と呼ばれる。
【0221】
図38に、電気接続点の数を増やすことによって、パルス変調電流の出入りの取り組みを支援することが図示されている。それは、要求される電子回路の制御システムの複雑さを増すことにもなる。
【0222】
図39に、容易なシャフト取り付けのためにSPHCの開け方について1つの例を示す。
【0223】
次に、一次側センサ処理に関するエンコーディングの概要について記述する。
【0224】
主要シャフトのエンコーディングは、回転シャフトに適用される永久磁石を使用するか、またはシャフトの望ましい部分を通して流れる電流を使用することによって行われる。永久磁石を使用するときには、非常に複雑で連続する工程が、シャフト内で互いに接近した2層の閉ループ磁場を作るために必要となる。PCME手順を使用する時は、望ましい性能を達成するために可能な最も対称的な方法で、電流がシャフトに入り、そしてシャフトから出なければならない。
【0225】
図40を参照すると、2つのSPHC(Shaft Processing Holding Clamps:シャフト処理保持クランプ)が、計画された感知エンコーディング領域の境界に位置される。1つのSPHCを通してパルス電流(I)がシャフトに入るが、一方で第二SPHCにおいてパルス電流(I)がシャフトを出る。2つのSPHC間の領域がそのとき一次側センサに変わる。
【0226】
この特別なセンサ工程は、単一磁場(SF)エンコード領域を作る。この設計の1つの利点(以下に記述されるものに比較して)は、この設計が二次検出装置の場所に関してあらゆる軸シャフト運動に対して敏感でないことである。この設計の不利な点は、軸(つまり一列に)に置かれたMFSコイルを使用する時、漂遊磁場(地磁場のような)に対して敏感になることである。
【0227】
図41を参照すると、2重磁場(DF)エンコード領域(並んで反対の極性を持つ2つの独立に機能するセンサ領域を意味する)によって、軸(つまり線上に)に置かれたMFSコイルを使用する場合に、一様な漂遊磁界の効果が消去可能となる。しかしながら、この一次側センサ設計はまた、軸方向における(MFSコイルの場所に関係して)シャフトの運動の許容範囲を狭くする。PCME技術で2重磁場(DF)エンコード領域を作り出す2つの方法がある。それらは、磁気エンコード部分が1つからまた次へと作り出されるところの連続工程と、そして磁気エンコード部分が同時に作り出されるところの並行工程である。
【0228】
連続的な2重磁場設計の第一工程段階は、1つのセンサ部分を磁気的にエンコード化することであり(単一磁場工程と同一に)、それによって2つのSPHCの間隔が、一次側センサ領域の所望の最終長の半分でなければならない。この工程の説明を単純化するため、最終的な一次側センサ領域の中央に置かれるSPHCを中央SPHC(C−SPHC)と呼び、そして中央SPHCの左側に置かれるSPHCをL−SPHCと呼ぶことにする。
【0229】
図42を参照すると、連続的な2重磁場エンコーディングの第二工程段階は、一次側センサ領域の中央に置かれるSPHCと(C−SPHCと呼ばれる)、そして中央SPHCの他の側(右側)に置かれる第二SPHC、R−SPHCと呼ばれるものを使用する。重要なことは、中央SPHC(C−SPHC)における電流方向が両方の工程段階で同一であることである。
【0230】
図43を参照すると、最終的な一次側センサ領域の性能は、2つのエンコード領域を相互の関連において如何に近くに置くことができるかに依存する。そしてこれは、使用される中央SPHCの設計に依存する。C−SPHCの軸方向における接触幅が狭いほど、2重磁場PCMEセンサの性能が良くなる。
【0231】
図44は、本発明の別の例示的な実施形態によるパルスの加え方を示す。上の図から分るように、パルスは、シャフトの3箇所で加えられる。電流Iがシャフトに入る場所の中央電極の両側への電流分布のために、横方向の電極でシャフトを去る電流は、中央電極に入る電流の半分だけ、即ち、I/2である。電極はリングで描かれ、その大きさはシャフトの外表面の大きさに適合される。しかしながら、この本文において後述する複数のピン電極を含む電極のように、他の電極が使用される場合もあることに注意されたい。
【0232】
図45には、シャフトにトルクまたは直線運動応力が加えられない時の2重磁場PCMEセンサ設計における2つのセンサ部分の磁束方向を示す。互いに逆方向の磁束ループ同士は相互作用しない。
【0233】
図46を参照すると、トルク力または線形応力が1つの特別な方向に加えられる時、磁束ループは、シャフト内部において、増加する傾斜角度で走り始める。傾斜した磁束がPCME部分の境界に到達する時、図示のように磁束線は逆流方向の磁束線と相互作用する。
【0234】
図47を参照すると、加えられたトルクの方向が(例えば、時計回り方向から反時計回り方向へと)変化している時、PCMエンコードシャフト内部における逆流の磁束構造についての傾斜角度も変化する。
【0235】
次に、シャフト処理のための多チャネル電流駆動部について記述する。
【0236】
シャフト表面への電流路についての、完全に同一のインピーダンスを保証できない場合には、電流制御駆動ステージがこの問題を克服するために使用される。
【0237】
図48に、小直径センサホスト(SH)のための6チャネル同期パルス電流駆動システムを示す。シャフト直径が大きくなると、電流駆動チャネルの数が多くなる。
【0238】
以下に、真鍮リングの接触および対称「スポット」の接触を記載する。
【0239】
シャフト直径が比較的に小さく、所望の検出領域においてシャフト表面がきれいで、そしていかなる酸化もない場合には、簡単な「真鍮」リング(または銅リング)接触法を、一次側センサの処理に選択することができる。
【0240】
図49では、シャフト表面に対して、しっかりと取り付けられた真鍮リング(または銅リング)が、電線のはんだ接続とともに使用される。2つの真鍮リング(銅リング)の間の領域がエンコードされる領域である。
【0241】
しかしながら、達成できるRSU性能については、対称「スポット」接触法を使用する場合よりも、はるかに低くなってしまう。
【0242】
次に、ホットスポットの概念について記述する。
【0243】
標準の単一磁場(SF)PCMEセンサは、ホットスポット性能において非常に劣る。SF PCMEセンサ部分の外部磁束プロファイル(トルクが加えられたとき)は、近傍の環境における可能な変化(強磁性材料に関して)に非常に敏感である。SFエンコードセンサ部分の磁気境界が明瞭でないので(「ピン止め(pinned down)」されない)、それらは強磁性材料がPCME検出領域の近くに置かれる方向に向かって「拡がる(extend)」ことができる。
【0244】
図50を参照すると、PCME工程の磁化された検出領域は、検出領域の境界に接近する強磁性材料に非常に敏感である。
【0245】
ホットスポットセンサ感度を減少するために、PCMEセンサ部分の境界は、それらをピン止めすることによって、明確に規定されることを要する(それらはもう移動できない)。
【0246】
図51に、2つのピン止め磁場領域を持つPCME処理された検出領域を示すが、その1つが検出領域の各側にある。
【0247】
ピン止め領域を検出領域の両側の近くに置くことによって、検出領域の境界は非常に特定な場所に束縛される。強磁性材料が検出領域に近づいて来る時、それはピン止め領域の外部境界に影響を与えるが、しかしそれは検出領域の境界において非常に限定的な影響を持つ。
【0248】
本発明の例示的な実施形態によると、SH(センサホスト)が、どのように単一磁場(SF)検出領域および2つのピン止め領域を、検出領域の各々の側に1つずつ、得るように処理できるかについて多数の異なる方法がある。各領域が互いの後に処理されるか(順次処理)、あるいは2つまたは3つの領域が同時に処理される(並行処理)。並行処理では、より一様なセンサを供給する(低減された寄生磁場)が、目標のセンサ信号勾配に達するために更により高いレベルの電流を必要とする。
【0249】
図52には、ホットスポットを減少させる(または更に除去する)ために、主要検出領域の各々の側にピン止め領域を持つ単一磁場(SF)PCMEセンサに対する並行処理を例示する。
【0250】
2重磁場PCMEセンサは、センサの中央領域が既にピン止めされているのでホットスポットの効果に対してあまり敏感でない。しかしながら、残留するホットスポット感度は更に、2重センサ領域の両側にピン止め領域を置くことによって減少できる。
【0251】
図53には、両側にピン止め領域を持つ2重磁場(DF)PCMEセンサを示す。
【0252】
ピン止め領域が許容されないかまたは可能でない時(例えば、限られた軸方向の間隔のみ利用できる場合)、検出領域は外部の強磁性材料の影響から磁気的に遮蔽されることを要する。
【0253】
次に、回転信号一様性(RSU)について説明する。
【0254】
現段階の理解によると、RSUセンサ性能は主に、電流が如何に周縁部で一様にSH表面に入って出るか、そして、電流が入る点と出る点との間の物理的な間隔に依存する。電流が入る点と出る点との間隔が大きいほど、RSU性能が良い。
【0255】
図54を参照すると、シャフト直径に対して、個々の円周面上に置かれた電流の流入点間の間隔が比較的に大きい時(そして、円周上に置かれた電流の出口点間の間隔が同じように大きい)、RSU性能が非常に劣ることになる。そのような場合に、PCMエンコーディング部分の長さは、出来るだけ大きくなければならない。そうでないと、生じた磁場が円周上で一様ではなくなる。
【0256】
図55を参照すると、PCMエンコーディング部分を拡げることによって、円周上での磁場分布は、電流が入る点と電流が出る点との間の半分の距離のところで、より一様になる(そしていつかはほぼ完全になる)。したがって、PCMEセンサのRSU性能は、電流入口点と電流出口点の半分の中間地点で最良である。
【0257】
次に、NCTセンサシステムの基本的な設計問題について記述する。
【0258】
PCMエンコーディング技術の詳細に立ち入ることなく、この感知技術のエンドユーザーは、その適用において、該感知概念を利用しおよび使用することを可能にするための、いくつかの設計上の詳細を知る必要がある。以下では、磁気歪に基づいたNCTセンサの基本要素(一次側センサ、二次側センサ、そしてSCSP電子機器のような)と、個々のコンポーネントがどのようなものであるか、そしてこの技術を既存の製品に組み込む時にどのような選択を行う必要があるかについて記述する。
【0259】
原則として、PCME感知技術は、スタンドアローンセンサ製品を製造するために使用できる。しかしながら、既存の工業上の応用において「スタンドアローン」製品のために利用できるものが殆どないか全く無い。PCME技術は、最終の製品を再設計する必要なしに既存の製品に応用できる。
【0260】
スタンドアローンのトルク検出装置または位置検出装置がモータ伝動システムに応用される場合、全システムは、大幅な設計変更を被ることを要求される。
【0261】
次に、図56に、エンジンのシャフトにおけるPCMEセンサの可能な場所を図示する。
【0262】
図56は、本発明の1つの例示的な実施形態による、例えば、モータカーのギアボックスにおけるトルクセンサのための可能な配置場所を示す。図56の上部には、本発明の1つの例示的な実施形態によるPCMEトルクセンサの配置を示す。図56の下部には、本発明の例示的な実施形態の場合のように、ギアボックスの入力シャフトに一体化されていないスタンドアローン検出装置の配置を示す。
【0263】
図56上部から分るように、本発明の1つの例示的な実施形態によるトルクセンサは、ギアボックスの入力シャフトに一体化することができる。換言すると、一次側センサが入力シャフトの一部である。すなわち、入力シャフトは、一次側センサまたはセンサ素子それ自身となるように磁気的にエンコードされてもよい。二次側センサ、即ちコイルは、例えば、入力シャフトのエンコード領域に近いベアリング部に収容されてもよい。これにより、動力源とギアボックスとの間にトルクセンサを配置する場合に、入力シャフトを干渉する必要がなく、図56の下部に示すように、モータにつながるシャフトとギアボックスにつながる別のシャフトとの間に、別のトルクセンサを配置する必要はない。
【0264】
入力シャフトにエンコード領域が一体化されることで、例えば、車の場合、その入力シャフトに如何なる変更をも施すことなく、トルクセンサを設けることができる。このことは、例えば、航空機の部品では非常に重要であり、というのも、各部品が航空機での使用を許可される前に、多数の検査を受けなければならないからである。本発明による、そのようなトルクセンサは多分、当面のシャフトが変更されないので、航空機やタービン内のシャフトに実施される多数の検査なしで済ませることすら可能である。また、重大な影響がシャフトの材料に引き起こされることはない。
【0265】
更には、図56から分るように、本発明の1つの例示的な実施形態に従うトルクセンサによって、ギアボックスと動力源との間の距離を低減させることができる。これは、動力源から出るシャフトとギアボックスへの入力シャフトとの間に、別個のスタンドアローンのトルクセンサを設けることが明白であることによる。
【0266】
次に、センサコンポーネントについて説明する。
【0267】
図57に示すように、非接触磁気歪センサ(NCTセンサ)は、本発明の1つの例示的な実施形態によると、3つの主要な機能要素、つまり、一次側センサ、二次側センサ、並びに信号調整および信号処理(SCSP)電子機器から構成される。
【0268】
適用の種類(量および品質の要請、目標製造コスト、製造工程の流れ)に応じて、顧客は、彼自身の管理下でセンサシステムを製造するために個々のコンポーネントの購入を選択できるし、または個々のモジュールの生産を下請けに外注することができる。
【0269】
図58は、非接触式トルク検出装置のコンポーネントを概略的に示したものである。但し、これらのコンポーネントはまた、非接触式の位置検出装置にも用いることができる。
【0270】
年間の生産目標が数千ユニットである場合に、「一次側センサの磁気エンコーディング工程」を顧客の製造工程に統合することは、より効率的である。そのような場合に、顧客は、特定用途向けの「磁気エンコーディング装置」を購入する必要がある。
【0271】
量産的な適用では、製造工程の価格および統合化が重要であって、典型的には、NCTEが非接触センサの作成に必要な個々の基本コンポーネントおよび装置のみを供給する。IC(表面実装パッケージ、特定用途向け電子回路)。MFSコイル(二次側センサの部品として)。センサホストのエンコーディング装置(シャフト(=一次側センサ)に磁気エンコーディングを適用するための)。
【0272】
要求量に応じて、MFSコイルは、フレーム上に既に組み立てられて提供することが可能で、そして、必要であれば、コネクターをもったワイヤハーネスに電気的に接続されて提供される。同様に、SCSP(信号調整および信号処理)電子機器は、プリント回路基板に組み込まれたMFSコイルを持つかまたは該コイルを持たないプリント回路基板構成で充分な機能をもって提供できる。
【0273】
図59は、検出装置のコンポーネントを示す。
【0274】
図60から分るように、要求されるMFSコイルの数は、物理的なセンサ設計上で予期されるセンサ性能および機械的な許容誤差に依存する。完全なセンサホスト(SHまたは磁気的にコードされたシャフト)を有し、望ましくない寄生磁場からの干渉が最小限とされた、適切に設計されたセンサシステムにおいて、2つのMFSコイルのみが必要である。しかしながら、SHが、二次側センサの位置に関連して径方向または軸方向に1ミリメートルの数分の1よりも大きく動いている場合に、望ましいセンサ性能を達成するため、そのときにはMFSコイルの数を増やす必要がある。
【0275】
次に、制御および/または評価の回路構成について説明する。
【0276】
本発明の1つの例示的な実施形態によると、SCSP電子機器は、NCTE専用IC、多数の外部の受動および能動的電子回路、プリント回路基板(PCB)、およびSCSPハウジングまたはケースから構成される。尚、SCSPユニットが使用される環境に応じて、ケースは適切に密封されることを要する。
【0277】
特定用途の必要条件に応じて、NCTE(本発明の1つの例示的な実施形態によると)は、多数の異なる特定用途向け回路を提供する。基本回路。集積された電圧調節器を有する基本回路。高い信号バンド幅回路。オプションの高電圧およびショート保護装置。オプションの故障検出回路。
【0278】
図61は、単一チャネルとされる、低価格のセンサ電子機器の解決法を示す。
【0279】
図61から分るように、例えば、コイルを含む二次側センサユニットが提供される。これらのコイルは、例えば図60に示すように配置され、一次側センサユニット、即ちセンサシャフトまたはセンサ素子から、トルクがそれに加えられるときに出る磁場の変化を検出する。二次側センサユニットはSCST内の基本ICに接続される。基本ICは、電圧調節器を介して正電源電圧に繋がる。基本ICはまた接地される。基本ICは、SCSTの外部にアナログ出力を与えるように構成され、その出力がセンサ素子に加えられる応力によって引き起こされる磁場の変動に対応する。
【0280】
図62は、一体化された故障検出を有する2チャネルの、ショート保護システム設計を示す。本設計は5個のASICデバイスからなり、高度のシステム安全性を提供する。故障検出ICは、センサシステムのどこかにワイヤの断線が起きた場合に、MFSコイルの故障、または「基本IC」の電子的な駆動ステージの故障を識別する。
【0281】
次に、二次側センサユニットについて説明する。
【0282】
図63に示された1つの実施形態によると、二次側センサは、次の要素、つまり、1乃至8個のMFS(磁場センサ)コイル、位置決めおよび接続用プレート、コネクターを有するワイヤハーネス、および二次側センサハウジングから構成される。
【0283】
MFSコイルは、位置決めプレートに取り付けてもよい。位置決めプレートを使用することにより、通常、各MFSコイルの2つの接続ワイヤを適切な方法で、はんだ付けし、接続することができる。そして、ワイヤハーネスは位置決めプレートに接続される。該プレートは、MFSコイルとワイヤハーネスとともに完全に組み立てられて、それから二次側センサのハウジングによって組み込まれるかまたは保持される。
【0284】
MFSコイルの主要な要素は、アモルファス(非晶質)のような材料で形成されることを要するコアワイヤである。
【0285】
二次側センサユニットが使用される場所の環境に応じて、組み立てられた位置決めプレートは保護材料で覆う必要がある。該材料は、周囲温度の変化時にMFSコイルに機械的な応力または圧力を引き起こすものであってはならない。
【0286】
動作温度が+110℃を超えない場所での適用において、顧客は二次側センサユニット(SSU)の内部にSCSP電子機器(ASIC)を置くという選択肢を持つ。ASICデバイスが+125℃より高い温度で動作する場合、温度に関連した信号オフセットおよび信号利得の変化を補償することが更に困難になる。
【0287】
MFSコイルとSCSP電子機器との間の推奨される最大ケーブル長は2メートルである。適切な接続ケーブルを使用する場合に、10メートルまでの距離については達成可能である。多チャネルの適用において(同一の一次側センサの場所で動作している2つの独立なSSU=冗長なセンサ機能)、信号のクロストークを避けるためには、SSUとSCSP電子機器との間で特別に遮蔽されたケーブルを考慮すべきである。
【0288】
二次側センサユニット(SSU)の生産を計画する場合に、生産者は、SSUのどの部品または複数の部品を下請けから購入すべきであり、そして、どの製造ステップを社内で行うのかを決定しなければならない。
【0289】
次に、二次側センサユニット製造の選択肢について記述する。
【0290】
NCTセンサを、特別注文のツールまたは標準的な伝動システムに一体化する場合に、システムの生産者は、次の項目から選択する、いくつかの選択肢を持つ。カスタムメイドのSSU(ワイヤハーネスおよびコネクターを含む)。選択されたモジュールまたはコンポーネント。最終のSSU組み立ておよびシステム試験は顧客の管理でなされてもよい。重要なコンポーネントのみ(MFSコイルまたはMFSコアワイヤ、特定用途向けIC)、そしてSSUを自社で生産する。
【0291】
図64は、二次側センサユニット組み立ての1つの例示的な実施形態を示す。
【0292】
次に、一次側センサ設計について説明する。
【0293】
SSU(二次側センサユニット)は、磁気的にエンコードされたSH(センサホスト)の外側に置くことができ、また、SHが中空である場合にはSHの内側に置くこともできる。SSUが中空シャフトの内側に置かれる場合に、達成できるセンサ信号振幅は同じ強さであるが、一段と良い信号対ノイズ性能を持つ。
【0294】
図65は、一次側センサおよび二次側センサの幾何学的な配置について2つの形態を示す。
【0295】
改善されたセンサ性能は、磁気的エンコーディング工程を、SH(シャフト)の真っ直ぐで平行な部分に適用する場合に達成される。15mmから25mmの直径を持つシャフトでは、磁気的にエンコードされた領域の最適の最短長が25mmである。センサ性能は、その領域が45mmの長さで作成できる場合(ガード領域を加えて)、更に向上する。複雑で高度に統合された伝動(ギアボックス)システムでは、そのような間隔を見い出すのは困難である。更に理想的な状況では、磁気的にエンコードされた領域を14mmに短くすることができるが、これでは、所望のセンサ性能の全てを達成できないリスクがある。
【0296】
図66に示すように、SSU(二次側センサユニット)とセンサホスト表面との間隔については、本発明の1つの例示的な実施形態によると、実現し得る最良の信号品質を達成するために、できるだけ小さく抑えるべきである。
【0297】
次に、一次側センサエンコーディング装置について記述する。
【0298】
図67に、その一例を示す。
【0299】
どの磁気歪感知技術を選択するかに応じて、センサホスト(SH)は、それに従って加工され、且つ処理される必要がある。その技術は、互いに非常に多様で(ABB、FAST、FT、Kubota、MDI、NCTE、RM、Siemensなど)、そして必要な処理装置もまた同様である。使用できる磁気歪感知技術のいくつかでは、SHになされる如何なる物理的変更も必要とせず、磁気的な処理のみに依る(MDI、FAST、NCTE)。
【0300】
MDI技術は2段階工程であるが、FAST技術は3段階工程であり、そしてNCTE技術は1段階工程であって、PCMエンコーディングと呼ばれる。
【0301】
磁気処理の後、センサホスト(SHまたはシャフト)は「精密測定」装置となり、そしてそれ相応に取り扱うべきであることに注意を要する。磁気処理は、処理されたSHがその最終場所に注意深く置かれる前の、まさに最終ステップとすべきである。
【0302】
磁気処理は、次のような状況下において、顧客の製造工程(社内での磁気処理)の不可欠な部分であるべきものとされる。高生産量(何千の単位のように)。重いSHまたは取り扱いが困難なSH(例えば、高い輸送費)。非常に特別な品質および検査要求(例えば、国防用途)。
【0303】
全ての他の場合には、NCTEのような資格を持った公認の下請業者によって磁気的に処理されたSHを得ることは更にコスト効率が良い。というのも、「社内」の磁気処理のためには、専用の製造装置が要求されるからである。そのような装置は、完全に手動運転され、または半自動的とされ、あるいは完全に自動化することもできる。複雑さおよび自動化のレベルに応じて、装置は20000ユーロから500000ユーロより上の価格とされる。
【0304】
上述の図1から図67で言及した局面の各々は、位置センサ装置または位置検出器アレイ、あるいは洗濯機または本発明に従った方法にて実施できる。
【0305】
以下において、図68を参照して、本発明の一実施形態による位置センサ装置6800を記載する。
【0306】
位置センサ装置6800は、可動物体(図示せず)の位置を決定するように調整されている。位置センサ装置6800には、可動物体(図示せず)に取り付けられるコイル6801を生成している磁場が具備されている。可動物体は、例えば、コンクリートの処理装置の往動シャフト、線形に動くシャフト、または洗濯機のドラムまたはエンジンのシャフトのような、回動する素子であり得る。
【0307】
位置センサ装置6800には、さらに、第1の位置にあって、該第1の位置で磁場発生コイル6801によって発生する磁場に対して、第1の磁場信号特性を検出するように構成された第1の磁場検出器コイル6802が具備されている。更に、位置センサ装置6800には、第2の位置(それは、第1の位置と異なる)にあって、該第2の位置で磁場発生コイル6801によって発生する磁場に対して、第2の磁場信号特性を検出するように構成された第2の磁場検出コイル6803が具備されている。
【0308】
位置決定ユニット6804は、第1の磁場信号と第2の磁場信号との比較に基づいて、磁場発生コイル6801の位置、すなわち磁場発生コイル6801が取り付けられた可動物体の一を決定するように構成されている。位置決定ユニット6804には、第1および第2の磁場信号を比較して、その出力で差信号を設けるコンパレータ6805が具備されている。この差信号は信号線形化ユニット6806に提供され、該ユニットは、第1の磁場信号と第2の磁場信号との違いに基づいて可動物体の位置を特徴付ける線形信号を生成するように構成されている。この出力信号は、位置決定ユニット6804の出力において提供され、磁場ソース6801の現在の位置をエンコードする。
【0309】
非接触位置センサ装置6800は、誘導器6801によって発される磁気信号の差動の測定値に基づく。2台のレシーバ6802、6803によって提供される信号を比較するとき、信号振幅の違いによって、2台の受装置6802、6803に関してx軸に沿って正確に信号送信器6801の位置を決定することができる。
【0310】
図68に示すように、一次元の、非接触、線形位置検出器6800は、2台の磁場センサ6802、6803および磁気信号送信器6801を実装して設けられる。信号送信器6801(リファレンス装置を意味することも可能である)が図68の右側の第2の磁場検出器6803に近づくにつれて、第2の磁場検出器コイル6803によって発生する信号は増加する。同時に、第1の磁場検出器コイル6802で信号は減少する。コンパレータ6805(差動演算回路でもよい)および線形化回路6806は、リファレンス装置6801の現在の位置に関する線形出力信号を生成する。特に信号送信器6801が2台の受信装置6802、6803との間の範囲にあるとき、図68に示すように、差動操作線形位置決めセンサ6800は、正確で有用な信号を出力する。
【0311】
以下、図69を参照すると、図6900は、位置センサ装置6800の機能を図示するために記載されている。
【0312】
図6900は、図68に示されるx軸に沿った磁場発生コイル6801の位置がプロットされる横座標6901を含む。第1の縦座標6902に沿って、第1の磁場検出器6802の信号振幅がプロットされる。第2の縦座標6903に沿って、第2の磁場検出器コイル6803の信号振幅がプロットされる。
【0313】
図6900から理解できるように、2つの磁場検出コイル6802、6803の信号の信号比はいかなる所定の位置「n」でも一意的であり、特定の位置で一度発生するだけである。差動の測定方法を使用することによって、この解決方法は信号送信器6801の絶対信号値に影響されない。正確な線形位置測定のためには、2つの磁場検出器コイル6802、6803によって提供される信号との間の信号比だけを使用することで十分である。
【0314】
図70で分かるように、各シナリオにおいて、位置センサ装置6800は、x軸に対して垂直な方向の信号送信器6801の移動にあまり影響されない。しかしながら、y軸またはz軸に沿った運動が磁場検出器コイル6802および6803で測定される両方の信号の振幅を減少するので、磁場検出器コイル6802、6803で測定される信号の絶対値を評価することでy軸またはz軸に沿った運動を測定することは可能である。
【0315】
しかしながら、リファレンスモジュール6801があまりに磁場検出器コイル6802、6803から遠くで運動している場合、SN比はより少なくなる。リファレンスモジュール6801用の理想的なX軸線は、2つの磁場検出器コイル6802、6803間の最も短い接続を定めることである。
【0316】
信号送信器6801が定磁場ソースまたは交番磁場ソースでもあり得るときに、位置センサ装置6800は適切に動く。交番磁界ソースを使用している利点は、この解決方法が他の(一定の)磁気干渉(電気モータによって生成される地磁場または磁場のような)に影響されないということである。この静的影響力が交番磁場ソースの時間的に変化する影響力から切り離されることが可能なので、強磁性物体がセンサシステム6800の近傍に近づいて来るときでも、精度は改善される。
【0317】
このように、交番磁場ソースを用いることで、干渉磁場に対して、このタイプの線形位置検出を鈍らせることは可能である。更に、定永久磁場ソースを使用するときに、直線位置センサシステム6800がほぼ無制限の信号帯域で機能することが可能である。
【0318】
本発明によるシステムに利用できる周波数スペクトルは、非常に広く、特に下位ヘルツから上の無線周波数値にわたる。洗濯機の選択された対象アプリケーション(高速でドラムを回転させるときに洗濯機の「ホッピング」を防ぐための洗濯機重量測定または洗濯機ドラムバランスセンサのように)は、例えば100Hz未満の位置センサ信号帯域を必要とすると仮定するならば、リファレンスモジュール6801の送信器振動数は任意の他のより高い振動数範囲にも適用できる。
【0319】
更に本発明による直線位置センサ性能を改善するために、信号送信器周波数が、センサ電子技術によって生成可能である。この場合、センサ信号調整電子技術および信号処理電子技術は、磁場検出器コイル6802、6803から信号をモニタリングするときに、どんな信号を期待し、探すべきかについて正確に知っている。この解決方法の利点は、本発明による直線位置センサが電気部品の許容範囲(electric component tolerance)または運転温度の変更における潜在的効果に影響されないということである。
【0320】
以下、図71を参照して、本発明の一実施形態による位置センサ装置7100を記載する。
【0321】
位置センサ装置7100はオシレータおよび信号ドライバユニット7101を含み、ドライバ信号に従って磁場を生成するために、ドライバ信号を磁場発生コイル6801に提供するように構成されている。オシレータおよび信号ドライバユニット7101は同時に、ドライバ信号に従い、第1および第2の磁場検出器コイル6802、6803によって生成された第1の磁場信号および第2の磁場信号をフィルタリングするように構成されている。換言すれば、磁場発生コイル6801が交番磁界(すなわち時間的に変化する磁場)提供するように、オシレータおよび信号ドライバユニット7101は磁場発生コイル6801に供給される交流信号を生成する。従って、この時問依存性は、第1および第2の磁場検出器コイル6802、6803によって検出される信号の時問依存性という結果となる。周波数同期は、オシレータおよび信号ドライバユニット7101が第1の信号バンドパスフィルタ7102に、そして、第2信号バンドパスフィルタ7103に提供する制御命令によって成し遂げられる。第1の磁場検出器コイル6802によって受信される信号は第1の信号バンドパスフィルタ7102によってフィルタリングされ、第2の磁場検出器コイル6803によって検出される信号は第2信号バンドパスフィルタ7103によってフィルタリングされる。2つの信号バンドパスフィルタ7102、7103の出力は、コンパレータ6805の入力部に提供される。これにより、コンパレータ6805の出力で、正確に、磁場発生コイル6801の位置をエンコードする信号が提供されることが可能となる。
【0322】
図71に図示した実施形態によれば、特定または公知の周波数またはパルススペクトルによって、信号送信器6801は給電される。この場合、信号受信器電子技術は、この周波数またはパルススペクトルに特に注意を払っている。図71に示す解決方法は、干渉信号、または別の場合では、変化する動作温度の潜在的効果に対してさらに抵抗力を有する。
【0323】
図72は本発明の一つの実施形態に従い、マイクロコントローラユニット7201が設けられた位置センサ装置7200を示す。さらに、第1から第3の信号フィルタユニット7202から7204が設けられている。マイクロコントローラ7201を使用するとき、リファレンスモジュール6801および第1および第2の磁場検出コイル6802、6803の間の同期、ならびに信号フィルタ7202から7204の信号はコンピュータプログラム(ソフトウェアによる)によって容易に、そして、簡単に制御可能である。そして、小さくて単純かつ効果的な方法で位置センサ装置7200を構成することを可能にする。あるいは、システムは純粋なアナログによる電子技術的な解決方法として実現されてもよい。
【0324】
位置測定のプロセスは、マイクロコントローラユニット7201によって発生する単純なパルス信号によってトリガ可能である。マイクロコントローラユニット7201は、リファレンスモジュール6801が信号バースト(電磁パルス)を意図する正確なタイミングを知っているので、該マイクロコントローラ7201は、2つの信号受信器入力で何を探すべきか知っている。図72に示す解決方法は、センサ環境からほとんどいかなるタイプの干渉にも、非常に抵抗力が高い。
【0325】
以下において、図73を参照して、本発明の例示的実施形態による位置センサ装置7300を記載する。
【0326】
位置センサアレイ7300は、第1および第2の磁場検出コイル6802、6803に加え、第3の磁場検出コイル7301を含む。そこにおいて、位置センサ装置7300は二次元の直線位置センサとして実現される。
【0327】
このように位置センサ装置7300には、第3の位置にあって、該第3の位置で磁場発生コイル6801により生成される磁場に対して、第3の磁場信号特性を検出するように構成された、第3の磁場検出器コイル7301が具備されている。位置決定ユニット(図73に示されない)は、第1の磁場信号、第2の磁場信号、および第3の磁場信号に基づいて磁場発生コイル6801の位置を決定するように構成されている。磁場発生コイル6801は、実質的には対称に配置され、また、3つの磁場検出器コイル6802、6803、および7301の重心に、実質的に配置される。さらに、第1の磁場検出器6802、第2の磁場検出器6803、および第3の磁場検出器7301は平面上、すなわち、図73の紙平面に配置され、そこにおいて、磁場発生コイル6801はまた、その平衡状態の位置にある。3つの磁場検出器コイル6802、6803、および7301は、正三角形7302の隅に配置される。
【0328】
図73に示すように、第3の磁場検出コイル7301を加えて、第1および第2の磁場検出器コイル6802、6803に対して、第3の磁場検出コイル7301を対称的に位置付けるとき、信号送信器6801の正確な位置を計算することは比較的容易である。
【0329】
図74で分かるように、磁場検出器コイル6802、6803、および7301の信号計算が正確な位置情報に結果としてなることを確実にするために、リファレンスモジュール6801は、好ましくはMFSグリッド内部の領域内で、すなわち三角形7302内に残るべきである。
【0330】
第一および第二の磁場検出器コイル6802、6803で測定される信号間の信号振幅比の比較は、リファレンスモジュール6801のx軸位置に結果としてなる。第1のおよび第3磁場検出器コイル6802、7301の間の信号振幅比の比較は、リファレンスモジュール6801のy軸ベクトルの位置に結果としてなる。例えば三角測量によって、リファレンスモジュール6801の正確な位置を算出するために利用できる、当業者に公知のいくつかの数学的解決方法もある。
【0331】
リファレンスモジュール6801の運動の自由の範囲は、磁場検出器コイル6802、6803、7301との間に間隔を増やすか、または、他の磁場検出器コイルを加えることによって、増加可能である。磁場検出器コイル6802、6803、7301との間に間隔を増加させることは、SN比が乏しくなり過ぎることのないように、リファレンスモジュール6801送信器の信号電源もまた増加させることが必要となる。
【0332】
以下において、図75を参照して、本発明の他の実施形態にしたがった位置センサ装置7500を記載する。
【0333】
図73、図74に示す位置センサ装置7300に加えて、位置センサ装置7500は、第4の位置にあって、該第4の位置で磁場発生コイル6801によって生成された磁場に対して第4の磁場信号特性を検出するように構成されている、第4の磁場検出器コイル7501を備える。位置センサ装置7500の位置決定ユニット(図示せず)は、第1の磁場信号、第2の磁場信号、第3の磁場信号および第4の磁場信号に基づいてコイル6800を生成している磁場の位置を決定するように構成されている。図75から分かるように、磁場発生コイル6801は基本的に対称に配置され、また、単一の平面、すなわち図75の紙平面に配置される4つの磁場検出器コイル6802、6803、7301、7501の重心に、基本的に配置される。4つの磁場検出器コイル6802、6803、7301、7501は、正方形7502の隅に配置される。磁場検出器コイル6802、6803、7301、7501を二次グリッド(quadratic grid)に配置することで、入ってくるリファレンスモジュール6801に対して大きな領域を提供し、信号計算を単純にする。
【0334】
三次元の位置センサに、適切に磁場検出器コイルを位置付けることによって(すなわち三次元の方法で)、または、三次元のセンサシステムが、たとえばz軸位置などの第3の軸の指示器としてリファレンスモジュール信号振幅を使用することができることによって、第3の測定次元を加えることは可能である。
【0335】
図76aは、4つの磁場検出コイル6802、6803、7301、7501が正四面体の隅に配置される幾何学的構造を示す。例えば、磁場発生コイル6801は、図76aに示す四面体の重心に配置されてもよい。
【0336】
図76bにおいて、磁場検出器コイル6802、6803、7301、7501、および、さらに磁場検出器コイル7600が立方体の隅に配置されている。
【0337】
完全にリファレンスモジュール信号比計算の方法に依存することによって、図76aまたは図76bに示す三次元の直線位置センサは、この領域の中で作動することができるリファレンスモジュールの領域周辺で磁場検出器コイルを配置することによって構築可能である。図76aおよび図76bは、この構成の2つの可能な例を示す。この構成によれば、位置センサ装置の位置決定ユニットは磁場信号の違いだけに基づいて磁場発生コイルの位置を決定するように構成されており、信号の振幅に関連した情報を考慮しない。
【0338】
この実施形態とは対照的に、図77を参照すると、振幅情報が磁場検出コイルの平面アレイを用いて三次元の方法にて位置を測定するために用いる位置センサ装置7500もまた記載している。
【0339】
位置センサ装置7500によれば、4つの磁場検出器コイル6802、6803、7301、7501は、xy−平面に平面的な方法にて提供される。二次領域の隅に配置される磁場検出器コイル6802、6803、7301、7501の重心に、平衡状態で、磁気電界発生コイル6801は配置される。更に、xy−平面(z軸に沿ってある)と直角をなす方向の磁場発生コイル6801の運動のために、位置決定ユニットは、磁場検出器コイル6802、6803、7301、7501によって検出される磁場信号の違いに基づき、また、これらの磁場信号の振幅に基づいて、磁場発生コイル6801の位置を決定するように構成されている。
【0340】
x軸およびy軸に沿ったリファレンスモジュール6801の移動が信号比測定(磁場検出器コイル6802、6803、7301、7501の信号と比較して)で確認される一方で、z軸位置は信号振幅を用いて確認される。リファレンスモジュール6801が磁場検出器コイル6802、6803、7301、7501が配置される平面の方へ進むとき、信号振幅は最も強い。磁場発生コイル6801がz方向(平面より上に、または、平面の下で)(図77を参照)におけるこの平面から移動するとき、信号振幅は弱まる。
【0341】
以下において、図78から図81を参照して、本発明の例示的実施形態による洗濯機7800を記載する。
【0342】
図78は洗濯機7800の正面図を示し、図79は洗濯機7800の側面図を示す。
【0343】
洗濯機7800には、静的支持ハウジング7801が具備されている。更に、洗濯機7800には、静的支持ハウジング7801に関して回動するように構成され、そして、洗うべき洗濯物を受け取るように構成されている回動ドラム7802が具備されている。
【0344】
更に、洗濯機7800には、回動ドラム7802の位置を決定する位置センサ装置が具備されている。位置センサ装置には、磁場、例えば静磁場または交番磁場などの磁場を生成するように構成されている磁場発生コイル7803が具備されている。磁場検出器コイル7804は、磁場発生コイル7803によって発生する磁場に特徴的な磁場信号を検出するように構成されている。位置決定ユニット(図78から図81に示されない)は、磁場信号に基づいて回動ドラム7802の位置を決定するように構成されている。
【0345】
図79に示すように、磁場検出器コイル7804は、外側の非回動ドラム7806に取り付けられる電気モータ7805に取り付けられている。内側のドラム7802は、ファンベルト7807を介して電気モータ7805によって回動することができる。このように、図78から図81は、洗濯機7800における本発明にしたがって3D位置センサシステムの実施態様を示す。磁場発生コイル7803の、そして、磁場検出器コイル7804の位置は、交換可能である。換言すれば、磁場生成装置7803は電気モータ7805に取り付け可能であり、磁場検出器コイル7804はハウジング7801に取り付け可能である。更に、複数の磁場検出コイル7804を設けることができる。
【0346】
図80は、洗濯物8000が洗濯機7800の内側のドラム7802の中で満たされるシナリオを示す。洗濯機7800のドラム7802に負荷8000(3kgの洗濯物など)を配置するとき、ドラム7802は負荷8000に関して枢支する(わずかに回転するかまたは開口の方へ前方向に回転する)。従って、リファレンスモジュール7803と磁場検出コイル7804との間の相対的位置は、ドラム7802の回動運動に関して変化する(図81を参照)。従って、磁場検出コイル7804で測定される信号は、位置変化に従って修正される。これにより、付加を含んでいる状態のドラム7802の位置を計算することができ、さらに、ドラム7802に加えられている従量を測定することを可能にする。この情報は、どのようにドラム7802が回動するべきか、どの程度の洗剤が適当であるのか、洗浄工程の時間がどの程度かかるのかといったことに関する決定の基礎としてとられることができる。
【0347】
図82は、単一の磁場検出コイル8201の位置で磁場を生成する磁場発生器として永久磁石8200を実装している位置センサ装置の単一のチャネルの解決方法を示す。特定の方向に沿って移動するとき、図82に示すように、磁場検出コイル8201は異なる磁場強度を検出する。なぜなら、永久磁石8200に関するその位置は変化するからである。
【0348】
図82による位置センサ装置が洗濯機に実装されてもよいし、されなくてもよい。
【0349】
更に、図83に示すように、永久磁石8200は、第1の磁場検出コイル8201が第2の磁場検出コイル8300によって補完される構成で実装されることも可能である。次いで、第1の磁場検出コイル8201によって検出される信号は、チャネルAの電子装置8301を通過し、そこからマイクロコントローラユニット7201へ進む。第2の磁場検出器コイル8300によって検出される信号は、チャネルBの電子装置8302に提供され、そこからマイクロコントローラ7201に提供される。
【0350】
図83に示す構成の利点は、干渉磁場(地磁界のような)に対する感度が低下していることである。図83の構成は、リファレンス信号振幅変化(磁場検出コイル8201、8300および永久磁石8200間の間隔の変化)に影響されない。
【0351】
本発明の1つの例示的な実施形態による位置センサ装置8400を示す図である。
【0352】
位置センサ装置8400において、図83の永久磁石8200は磁場発生コイル8401によって取り替えられる。マイクロコントローラ8201は、200Hzフィルター8402と連結する駆動体8405を制御し、磁場発生コイル8401に、磁場発生コイル8401が磁場を生じる方法をエンコードする対応のコマンド信号を提供する。生成された磁気信号は、磁場検出コイル8201および8300によって検出され、それぞれ、チャネルユニット8301および8302に提供される。200Hzフィルタ8403、8404を渡通過した後に、信号は、更なる処理のためにマイクロコントローラ7201に提供される。
【0353】
このように、図84は、マイクロコントローラ7201によって制御される磁場発生コイル8401と組み合わされた磁場検出コイル8201、8300を使用する一つの例を示す。図84は図83と比較すると、より精巧な解決方法である。図83は単純な位置センサを構成するために永久磁場ソース8200の磁場検出コイル8201、8300を使用する一つの例である。図84の実施形態は、いかなる干渉磁場ソースに対しても絶対的に影響を受けない。図84で示した実施形態はさらに、リファレンス信号振幅変化に対しても影響を受けない。
【0354】
以下において、図85および図86を参照すると、本発明による位置センサ装置の物理的設計の上面図(図85)および側面図(図86)を示す。
【0355】
特に、図85は、磁場検出器コイル8201、8300および第3の磁場検出器コイル8501を保持している装置ホルダ8500の物理設計を示す。
【0356】
図87および図88は、本発明の例示的実施形態に従った位置センサ装置のための他の形状を示す。
【0357】
図87および図88は、誘導器8401から2000Hzの正弦波によって生じる差動信号の検出および測定に基づくセンサ原理に関する。リファレンス装置8401として、強磁性コアを有する10mHコイルが用いられ、測定コイル8201、8300、8501として、40mmの直径を有するコイルが用いられる。
【0358】
測定コイル8201、8300、8501上の信号は、リファレンス装置8401と測定コイルセンターとの間の距離の二乗に逆比例する。リファレンス装置8401がいかなる位置でも、測定コイル8201、8300および8501の座標は知られている。更に、測定コイル8201、8300、8501とリファレンス装置8401との間の距離も知られている。
【0359】
以下に、図89に示す形状に基づいて、図87および図88に示すシステムによる計算を説明する。
【0360】
測定コイルの間の距離は、同一で、42mmであるとみなされる。コイルAの座標は、(Xa、Ya、Za)(例えば、(21、36.7、0))、コイルBの座標は、(Xb、Yb、Zb)(例えば、(0、0、0)のために)、およびコイルCの座標は、(Xc、Yc、Zc)(例えば(0、42、0))である。リファレンス装置の座標は、(Xref、Yref、Zref)である。
【0361】
測定結果として、リファレンス装置と測定コイルとの間の距離は、知られている。
【0362】
リファレンス装置とコイルAとの間の距離の数式は以下の通りである。
【数1】

コイルBおよびコイルCに対しては以下の通りである。
【数2】

位置A,B,Cの座標は知られているので、方程式のシステムは以下のように記すことができる。
【数3】

上の式を解くと、その結果が以下である。
【数4】

これと同様の方法で、yrefおよびzrefを計算することができる。
【0363】
図90は、本発明の一実施形態に従った位置センサアレイの電子技術の方式を示す。
【0364】
コイル8401が磁場を生成するときに、この磁場は信号検出器8200、8300、8501によって検出可能である。これらの磁場検出器コイル8200、8300、8501によって受け取られる信号は、バンドパスフィルタ9000によってバンドパスフィルタリングされ、このフィルタリングの結果はアクティブ整流器ユニット9001に提供される。
【0365】
図91は、本発明の例示的な実施形態に従って、位置センサ装置の回路列を示す。
【0366】
リファレンス装置は、PICからの方形波によってドライブされる。U8Bは、範囲0から5ボルトから−12から+12ボルトへ、信号を変えている。第4のチャネルを用いる必要はない。信号の帯域幅およびノイズ除去は、バンドパスフィルタおよびリファレンスコイルクロックのみによって制限される。ドイツでは9から10kHzの周波数範囲が適当である。
【0367】
図92は、信号がリファレンスコイル8401と測定コイル8201との間の距離と比例しているだけでなく、角度αにも依存していることを示す。この状況を改善するために、図93に示すように、リファレンスコイル8401は、丸みを帯びたコアの端部を備えることも可能である。
【0368】
図94は、3本のチャネル(3つの磁場検出コイルのための)のための電子技術の方式を示す。
【0369】
本発明による位置センサ装置はビームに加えられるベンディング力を測定するフレームで実装されることもできる。そこにおいて、ビームの一部の位置はベンディング力のために変わる。本発明によるベンディング力センサおよび機械力センサの物理設計を、図95から図100を参照して記載する。
【0370】
本明細書において記載されている非接触式力測定技術は、固定具あるいは回動するかまたは移動する装置に、取り外せないような形で実装されて、既存の機械装置に容易に適用することができる。いずれの場合においても、検知ビームは、ベンディング力が発生するために費やされる短い領域で磁気によって処理されることを必要とする(多くのケースにおいてこれはベンディングシャフトが組立てベース板に実装される位置に近い)。
【0371】
図95から図97は、3つの異なる形状を示し、図98を参照して後述するような方法で曲げられることができるベンディングビーム9500を示す。
【0372】
図95はベンディングビーム9500の位置を検出するための位置センサアレイを示し、2つの磁場検出コイル6802、6803は線形の方法にて配置される。ベンディングビーム9500は2つの磁場検出コイル6802、6803との間に位置付けられる。換言すれば、図95によるシステムは、ベンディングビーム9500の1つの軸におけるベンディングに影響される。
【0373】
図96の場合、2つの軸における感度は2つのさらなる磁場検出コイル7301、7501を設けることによって成し遂げられる。その結果、ベンディングビーム9500は平面の正方形の隅に配列される4つの磁場検出コイル6802、6803、7301、7501の重心に位置付けられる。
【0374】
図97は3つの磁場検出コイル6802、6803、7301を有する構成を示し、ベンディングビーム9500は平衡状態にあり、磁場検出コイル6802、6803、7301によって形成される三角形の重心に位置する。このように、図96および図97はそれぞれ、2つの軸における感度システムを示す。ベンディングビーム9500は、以下で後述するように、磁場検出コイル6802、6803、7301、7501の磁場信号が生じる磁場ソースを備えている。
【0375】
ベンディングビーム9500の、磁気的に処理される検出領域の近くで、磁場検出コイルは、位置付けられる。目的が一次元の軸だけの曲がりを検出することであるときに、図95に示すように、2つの磁場検出コイル6802、6803が実装される。そこにおいて、磁場検出コイル6802、6803は各々の反対側に位置付けられる。曲がりが二次元の方法にて測定される場合、図96に示すように、4つの磁場検出コイルは、良い結果を提供し、ベンディングシャフト9500の周囲に、90度毎に位置付けられることが好ましい。しかしながら、図97に示すように、他の設計も可能であり、例えばそれは、二次元の方法における曲がりを測定するために、3つの磁場検出コイルを用い、予想されるセンサ性能および必要とされる電子技術の許容煩雑性に依存する。
【0376】
図98は、本発明の一実施形態による位置センサアレイ9800を示す。
【0377】
ベンディングセンサシャフト9500は、曲がっていない状態、および、曲がっている状態9801を示す。位置センサアレイ9800は、PCME処理された領域(それは磁気的にエンコードされた領域である。特に図1から図67、およびそれに対応する記載を参照)、すなわちセンサシャフト9500中に設けられる磁場ソース9806を備える。磁場検出コイル6802、6803は、ハウジング9802中に設けられている。ネジ9803、9804を介して、磁場検出コイル6802、6803を含むハウジング9802は、組立てベースプレート9805に据えることができる。
【0378】
上記したPCME技術は、既存のシャフトが強磁性鋼または磁化可能な材料の他の種類でできているならば、それらを処理することができる。PCME処理された領域9806は、磁場検出コイル6802、6803の位置で磁場を生成する領域である。ハウジング9802は、射出成形可能であり、磁場検出コイル6802、6803がその中にある。ハウジング9802に使用される材料は非磁性であるべきである。例えば、ハウジングは、PCME処理された検出領域9806の最も近くに、対称的に位置付けられ得る。
【0379】
図99は位置センサアレイ9900の他の形状を示し、ベンディングセンサビーム9500はセンサハウジング9802に据えられている。この場合、センサビーム9500およびセンサハウジング9802は、1台の完全なベンディングセンサモジュールになる。必要であれば、センサ電子技術は、センサハウジングの基部9805に一体化され得る。
【0380】
図100は、センサハウジング9802の三次元の図を示す。
【0381】
PCME技術は、非常に安い経費にて、いかなるタイプの機械的検出装置(曲がり、トルク、および負荷)も製造することを可能にする。PCMEセンサは、空気/ガス、水性の液体、および油などの中における、最も厳しい状況および機能の下でさえ、使用可能である。ベンディングビームが機械的に損傷を受けていない限り、センサはその較正設定を保って、基本的に手入れが要らない。
【0382】
以下において、図101を参照すると、本発明の例示的な実施形態によるセンサ装置10100が記載されている。
【0383】
二次元のセンサの配列10100は、基板10101とマトリクス様のパターンの基板10100に配置される複数のセンサ装置とを具備している。センサ装置の各々は、磁気によってエンコードされた領域(たとえば永久磁石またはPCMEエンコードされた領域)を有するベンディングシャフト10102(それは、図98、図99に示されるベンディング軸9500と類似していてもよい)と4つの磁場検出コイル10103とを具備している。その配列は、図96と類似しているが、図95または図97のそれと類似していてもよい。センサ装置10100は、圧力の空間パターンおよび/または複数の位置センサ装置に加えられた曲げ荷重を検出するように構成されている。
【0384】
図102は、図101によるセンサの配列10100が使われることができるシナリオを示す。
【0385】
センサ配列10100は、衝突実験センサ装置として構成されている。図102で分かるように、センサ配列10100は、壁10201上へ螺着される。試験車10202は、壁10201上のセンサ配列10100の方向を目指す。衝突をシミュレーションするために、試験車10202が壁10201上のセンサ配列10100上に衝突するとき、特定の圧力およびベンディング力は壁10201上のセンサ配列10100のセンサの各々の作動をパターン化する。このように、車10202が壁10201に衝突すると、センサ配列10100上にて作動する圧力およびベンディング力を空間的に把握することも可能である。
【0386】
図103は長方形の基板部材10300を有するセンサ配列を示し、4台の磁場検出装置10301は該基板部材10300の四隅に設けられている。基板部材10300は、洗濯機の固定支点として設けられることができる。
【0387】
図103には示されないが、磁場発生コイル10302は洗濯機の回動ドラムに取り付けられている。ドラムが回動する場合、磁場信号が磁場検出器10301を通過するとき、磁場発生コイル10302は回動ドラムで作動し、磁場信号を発する。この信号は、磁場発生コイル10302に関する磁場検出器10301の相対位置、そして、磁場発生コイル10302の運動に特徴的である、振幅および時間依存性を用いて、磁場検出器10301の各々によって検出可能である。
【0388】
4つの検出コイル10301によって検出される信号の組合せから、回動ドラムに取り付けられる磁場発生器10302のx、y、およびzの座標情報を導き出すだけでなく、曲線の矢印を用い図103にて図式的に示されているように、角度可変の情報または回動情報もまた導き出すことが可能である。
【0389】
あるいは、支持部材10300を回動ドラムに取り付けて、空間に取り付けられて、すなわち静止した支持体に取り付けられるコイル10302を生成している磁場を設けることも可能である。
【0390】
すでに前述した様に、検出情報は位置情報を算出するために使われることができ、この位置情報は、高精度で制御可能な洗濯機の洗濯時の負荷または動作モードを表すことができる。
【0391】
このように、センサは、回動ドラムの位置の偏差、ならびに、実際の位置特性と所望の位置特性との違いを測定する。この測定をすることによって、洗濯機がいつ共鳴条件に接近する動作状況になるかを検出することが可能になる。共振効果が洗濯機の機能の妨げとなり得る共鳴状態に近いこの不必要な動作モードにおいて、不必要な動作モードを防止でき、洗濯機が所望の動作モードに戻ることができるように、洗濯機を制御、駆動、および調整するための制御信号として、センサ信号を用いることができる。
【0392】
コイル10301および10302は、プリント基板(PCB)コイルでもよい。
【0393】
図103の構成を用いて、マイクロメータ、またはそれより細かい分解能にて位置を測定することが可能である。
【0394】
xおよびyの座標は、コイル10301の検出信号の差に基づいて検出可能である。上述の座標値は、検出信号の振幅に基づいて検出可能である。回動に関する情報は、検出信号の組合せから、さらに引き出すことができる。
【0395】
例えば、磁場発生コイル10302は、例えば10kHzの周波数を有する交流電流の供給によって駆動可能である。この周波数値は、洗濯機を所望の動作状態にするように修正または調整することができる。
【0396】
また、検出コイル10301の振幅は、調整可能の信号として使用可能である。この構成において、単純で安価なADCを使用可能である。ACコイル10302の周波数および電流振幅を、センサアレイを調整するために、適当なパラメータとして使用可能である。
【0397】
図104は、永久磁性素子10400を設けることによって、磁場ソースのためのワイヤレスの解決法を示す。また、永久磁石10400は、洗濯機の回動ドラムに取り付けることができる。洗濯機の静止した支持体は、基板10300に接続されてもよく、複数の(たとえば9つ)マトリクス様に配置された磁場検出コイル10301に接続されてもよい。
【0398】
このように、図104は、放出(emission)コイル10302に接続する配線のない解決法を示す。この目的のために、永久磁石10400を使用できる。
【0399】
図105は、洗濯機の回動ドラムの位置情報を決定する位置検出器システムのための代替の解決法を示す。
【0400】
静止した支持体10300は、4つの検出コイル10301と発信コイル10500とを具備している。コイル10301は、それらのそれぞれの位置でローカル磁場を検出するための磁場検出コイルとして構成される。発信コイル10500は、電磁場を流れる電流を供給されることによって、該電磁場を生成する。
【0401】
図105に示す回動可能な(矢印を参照)ドラム10501には、LCオシレータ10502が設けられる。LCオシレータは、コイル、コンデンサおよびオーム抵抗から成る回路である。したがって、LCオシレータ10502は発信コイル10500によって発生する磁場となり、この磁場の周波数がLC発振回路10502の共振振動数からあまり間隔をおいて配置されない場合、LCオシレータ10502は発信コイル10500によって発生する、時間依存の磁場から電磁エネルギーを吸収することができる。換言すれば、発信コイル10500によって発生する磁場は、LCオシレータ10502が発信コイル10500に近接しているドラム10501の回動状態において、少なくとも部分的に除去される。
【0402】
磁場の位置依存の部分的な消去は、磁場検出器10301によって検出でき、ならびに、LC発振回路10502の現在の位置を表し、かつ洗濯機の回動ドラム10501の振動状態を表す距離または位置情報に再計算されることが可能となる。
【0403】
以下において、図106を参照して、代替の配置構造を説明する。
【0404】
図106の構成において、第1の発信コイル10601および第2の発信コイル10602が設けられており、互いに近くに配置される。第1の発信コイル10601は30kHzの周波数を有する磁場を生成し、第2の発信コイル10602は40kHzの周波数を有する磁場を生成する。コイル10601および10602の2つの周波数は、異なるように選択され得る。
【0405】
磁場シンクとしての受信コイル10603は、洗濯機(図106に示されない)の回動ドラムに取り付けられる。図106の矢印によって示される回動ドラムが作動するときに、受信コイル10603はコイル10601、10602のアクティブ磁場上を移動する。従って、受信コイル10603が何らかのLCオシレータであるので、それはコイル10601または10602のうちの1つによって発生する電磁エネルギーを吸収することができ、この電磁エネルギーはコイル10601、10602の磁場の修正という結果になるシステムから除去され、それは検出可能である。従って、コイル10601および10602によって検出された信号を組み合わせることによって、可動受信コイル10603の現在の位置を評価することができる。このように、コイル10601および10602は、検出コイルとして役立つこともできる。
【0406】
あるいは、別個の検出コイルもまた実装可能である。
【0407】
図107は、図106のシステムと類似したシステムがどのように機能することができるかについて説明する回路図を示す。
【0408】
第1の発信コイル10601は、オーム抵抗10700と、オシレータ10701と、コンデンサ10702と、誘導器10703とを備えている。対応する素子は、第2の発信コイル10602において予見されている。それは、オーム抵抗器10705と、オシレータ10706と、キャパシタンス10707と、誘導器10708とを備えている。
【0409】
発信コイル10601および10602の両方が単一の一般の共有されたオシレータによって作動される実施形態を実現することもまた可能である。
【0410】
受信コイル10603(図107に示されない)が発信コイル10601、10602の環境を通過するとき、受信コイル10603は、回路10601、10602の範囲内で信号を修正する発信コイル10601および/または10602によって発生する電磁エネルギーを吸収する。これらの信号は、コンパレータ10710の出力において、受信コイル10603の現在の位置を表すことができる検出信号10711が提供されるように、コンパレータ10710によって比較される。
【0411】
従って、受信コイル10603は、磁気エネルギーを消耗する構成要素として作用する。
【0412】
図108は、第1の層において設けられる発信コイル10601および10602に加えて、更なる発信コイル10800、10801が構成要素10601、10602の層の下の層に配置される上述の検出原理の更なる改善を示す。更に、コイル10800、10801の方向は異なり、好ましくは、コイル10601、10602の方向に対して垂直である。
【0413】
図109は、この構成の平面図を示し、コイル10601、10602および共通面の10800、10801が、受信コイル10603(図109に示されない)の位置についてのさらなる情報を提供するために、それぞれのコンパレータ10710によって比較される信号を提供することを示す。
【0414】
図109の回路に代わるものとして、弱電流および低いエネルギー消費を備えるシステムを作動するために、4つのコイル10601、10602、10800、10801の全てかまたは一部に対して、マルチプレクサを使用することも可能である。コイル10601、10602、10801、10800に対して、異なる送信周波数または同じ送信周波数を用いることもまた可能である。
【0415】
複数の受信コイル10603を使用することもまた可能である。
【0416】
次に、本発明の例示的実施形態に従い、直線位置センサのさらなる例示的実施形態を説明する。
【0417】
以下に、絶対位置検出器用の用途を説明する。
【0418】
図110は、直線位置センサ技術系統の異なるセンサタイプを図示する。
【0419】
図111から図113は、本発明の例示的実施形態に従って、低コストの3D直線位置センサを図示する。
【0420】
このセンサ装置は、非接触の3つの軸の直線位置センサとして構成されることができる。検出域は、45×45×45 mmであってもよい。それは、リアルタイム同期測定を可能にする。信号分解能は8ビットより大きくてもよい。
【0421】
図111は、リファレンス装置10302を有する電気モータ11100および受信パッド10300を有するモータ制御ユニット11101を図示する。電気モータ11100は、洗濯機に接続されてもよく、またはその一部を形成してもよい。
【0422】
図112から分かるように、ドラム(洗濯機の中の)の動き11200が回転しているとき(すなわちドラムのアンバランスが発生する)、電気モータ11100の動き11200が発生し得、ドラムが負荷を受けるとき(すなわち、重量の増加が発生する)、電気モータ11100の動き11201が発生し得る。
【0423】
図113は本発明の1つの例示的な実施形態によるトルクセンサを示す図である。
【0424】
本発明の例示的実施形態によるセンサアレイのための適用分野のための実施形態として、消費者向けの洗濯機11400を図114に示す。図78および図79を参照する。
【0425】
図114は、外側ドラム7806(回動しない)に取り付けられる電気モータ11100を示す。さらにまた、内側ドラム7802(回動する)を図114に示す。リファレンス磁場は、リファレンス磁気磁場発生ユニット7803によって発生することができる。位置検出器モジュール7804は、電気モータ11100および/またはドラム7806、7802の位置を測定するために用いることができる。
【0426】
このシステムは、リアルタイム制御なしで作動されることができる。増加した重量(たとえばコンクリートブロック)を、機械的処理を安定させるために用いることができる。しかしながら、さらなる「非消費者におけるマーケット」のセンサに対しては、コストは上昇し得る。これ以外に、さらなる部品が加わると、さらに複雑になり得る。
【0427】
しかしながら、システムは、リアルタイム制御によって作動されることができる。これは、より低い全体の重量(製造コストおよび輸送コストの低下)、より高いパフォーマンス、およびより低い全体のコストを含み得る。
【0428】
図115は、システム機能モジュールを図示する。
【0429】
このモジュールは、リファレンス装置10302、受信パッド10300、SCSP電子技術11500、単一の電源電圧11501、およびユーザーインターフェース11502を含む。受信パッド10300、電子技術11500およびユーザーインターフェース11502が1台の共有されたユニットとして実現されることも可能でもある。
【0430】
ユーザーインターフェース11502は、機能指示器11503を備えていてもよく、アナログ出力信号が設けることができるデータインターフェース11504を含むこともできる。
【0431】
図116から分かるように、異なる測定レンジを用いることができる。標準分解能装置として、または高分解能装置としてシステムを実装することも可能である。洗濯機が作動中でないときに、高分解能測定モードを用いることができる。その結果、ドラム重量測定(1つの軸モード)を実行できる。洗濯機が作動中のときに、標準測定モードにおいて、ドラム位置測定(3つの軸モード)を実行できる。
【0432】
次に、本発明の例示的実施形態による無線による絶対3D直線位置センサの更なる実施形態を説明する。
【0433】
図117は、この無線3D位置センサ装置11700を示す。
【0434】
送受信パッド10300は、空間において固定して配置され得、送信コイル10500によって、所定周波数を有する磁場を生成することができる。検出器コイル10301は、それらのそれぞれの位置で磁気信号を検出することができる。リファレンス装置10502(洗濯機の回動ドラムと接続可能である)が送受信パッド10300の検出器10301に関してその相対的な位置を移動して、このように変化するとき、磁場および検出信号はそれにしたがって、修正される。4つの検出コイル10301の信号は、リファレンス装置10502の位置、および送受信パッド10300に関する洗濯機の回動ドラムの位置を検出するために用いることができる。
【0435】
電子技術11500は、検出された信号を評価することができ、該検出された検出信号から位置情報を引き出すことができる。
【0436】
図118は、X、Y、Z座標システムの定義を示す。
【0437】
また、2つの実施形態は、高分解能測定領域、および標準分解能(ABS)測定領域に関連して区別されることができる。
【0438】
図119は、再び、プリント基板(PCB)素子として実現されることができる構成要素を有する図117の主センサを示す。
【0439】
図117および図119に示すリファレンス装置10502は、LC発振回路である。この回路は、送受信パッド10300の発生コイル10500によって発生する電磁場から、電磁エネルギーを吸収することができる。しかしながら、特に、例えば100kHz以上の周波数(特に400kHzから1000kHzの間の範囲において)が使われるときに、LC発振回路10502はまた単純な金属片(例えばアルミニウムでできている)によって代用することもでき、または磁気遮蔽コイルによって代用することもできる。制動コイルが単純な金属片または磁気遮蔽箔によって交換されることができるので、この構成は装置のコスト効率的な製造を可能にする。この金属片は、ディスク様の要素、ボール様の要素、板状の要素でもよく、または他のいかなる形状を有することができる。
【0440】
以下に、例示的な実施形態に従った無線による絶対3Dセンサ装置の一部の有利な機能を説明する。3本の軸(x、yおよびz)の絶対位置測定を可能にする。非常に少ない構成部品の数にて可能であり、したがって設計が複雑ではない。過酷な状況(温度範囲、環境清浄度、振動、など)の下でも使用可能である。非常に堅牢であり、使い易い設計である。2つのキー測定素子は、プリント基板として実現されてもよい。大部分のシステムの特徴は、ソフトウェアによって規定され得、かつ影響され得る。低い消費電力が達成可能である。閉じたループとしてEMIに対して高い免疫を有することは可能である。差動モード信号処理を用いたAC結合の感知原理も使用可能である。
【0441】
図120は、メイン感知ボードレイアウトの基部設計を図示する。
【0442】
図120から分かるように、電磁場生成素子および電磁界検出素子による多層構造が達成されてもよい。したがって、x軸、y軸およびz軸に沿った検出が、平面状の装置を用いて可能となる。
【0443】
3D座標計算プロセスに関して、図121を参照する。
【0444】
x−軸およびz−軸の計算を終えるとき、y軸位置は主に信号の振幅変調によって定義でき、修正/最適化可能である。
【0445】
x−軸位置およびz−軸位置は「差動」測定によって規定可能であり、ルックアップ表(必要であれば)でy軸値および最終的なチューニングによって最適化される。
【0446】
3Dセンサシステムセンター位置(通常の洗濯および回転モードの間)は、ソフトウェア(それは、連続自己較正機能として意味されることができる)によって規定され得る。
【0447】
図121の座標システムを参照して、x−軸測定およびz−軸測定は、最も正確であり得る。
【0448】
図122は、本発明の例示的実施形態に従って、固定周波数の無線による3D位置センサ装置12200を示す。
【0449】
その3つの軸測定装置12200は図121に示す感知誘導器を有することができ、図120にて図示したものと同様の方法で構成可能である。
【0450】
図123は、固定周波数負荷回路12300を示す。
【0451】
図122および図123の実施形態は共に、固定周波数の無線による3D位置検出器を形成することができる。
【0452】
図124は、用いられることができる広い周波数帯の負荷回路12400を示す。
【0453】
図122および図124の実施形態は共に、周波数帯の無線による3D位置検出器の基礎でもよい。
【0454】
これらの実施形態を用いて、改良された感知システム性能を得ることができる。大部分の測定(x−軸、y−軸、およびz−軸)は、基本的に線形で、限られた修正を必要としてもよい。測定された信号のAUは、単調でもよいし、繰返し性でもよい。
【0455】
図125は、本発明の例示的実施形態に従って、無線3Dセンサシステム12500のブロック図を示す。
【0456】
図125の実施形態は、低信号周波数設計であって、少ない数の構成部品で作動されることができ、ソフトウェア要素の実施態様による最大の制御を可能にする。
【0457】
図126は、本発明の他の例示的実施形態に従って、無線3Dセンサシステムの他のブロック図12600を示す。
【0458】
図126の構成は高周波数設計であり、自動感知パッド温度補償が可能である。より遅いMCU装置を使用することも更に可能である。図126の実施形態を用いて、低供給電力消費が可能となる。
【0459】
図125は、マイクロコントローラ(MCU)12501によって発せられ、バッファユニット12502に供給されるオシレータ信号OSCを含む。オシレータ機能は、図125のMCU12501に統合される。これと対照的に、図126において、スイープ信号は、MCU12501から別個のオシレータユニット12601に供給され、ついで、オシレータ信号を発する。
【0460】
温度が測定の間に修正されることも起こり得る。このシナリオにおいて、更にセンサシステムの精度および堅牢性を改善するために、何らかの温度補償を提供することは有利であり得る。
【0461】
例えば、図125または図126のマイクロコントローラユニット12501のソフトウェアは、温度効果(「周波数スイープ」)を補償するために、システムの作業周波数を適応させることができる。この目的のために、図125を参照して、出力信号OSCは、測定されることができ(例えば、その振幅は測定可能である)、検出信号と比較されてもよい。この比較は、温度効果を補償するための基礎とされ得る。
【0462】
図125において、Rsは測定抵抗であって、実質的に、温度から独立した抵抗であるべきである。
【0463】
図126は、MCU12501がスイープ信号を発して、後者を別々のオシレータユニット12601に提供することを示す。この場合、オシレータ12601は周波数変換器に対する電圧であり得る。すなわちスイープ信号の電圧値はシステムの周波数を調整する基礎とされ得る。
【0464】
以下に、出力信号オプションを説明する。
【0465】
個々のアナログ信号(x、y、z)も可能である。さらに、多重化されたアナログ信号(x−y−z−x−y−z...)も可能である。デジタルシリアルデータストリームも可能である。デジタルバスシステム(標準プロトコル)を実装可能である。デジタルバスシステム(カスタムのプロトコル)を実装可能である。単一のデジタル運動閾値信号も使用可能である。さらに、複数レベルのデジタル運動閾値信号も使用可能である。
【0466】
次に、温度安定制御メカニズムを説明する。
【0467】
感知パッドに関して、信号ゲイン(y軸)を考慮することができる。これに関連して、システム自己較正のために、通常の間隔にて周波数スイープが実行可能である。さらに、信号ゲイン(x−軸およびz−軸)を想定することができ、差動測定を実行可能である。さらに、信号のオフセット(x−、y−およびz−軸)を考慮することができ、ソフトウェア補償はこの関連において実装されることができる。
【0468】
レファレンス装置に関して、固定周波数動作モードにて作動可能である。これは、正しい構成要素を選択することによって達成することができる。リファレンス装置は、周波数帯タイプにても作動可能である。
【0469】
マイクロコントローラを参照すると、閉じたループ信号制御設計(ソフトウェア較正も可能)も可能である。
【0470】
図127および図128は、感知パッド、信号調整、および信号処理電子技術設計の実施形態を示す。
【0471】
図127は、より大きいPCBボードの空間を有する実施形態を示し、信号対雑音比は改善されている。
【0472】
図128の実施形態は、減少したPCBボードの空間を有すが、さらなる増幅およびフィルタ要素の潜在的必要がある。
【0473】
以下に、リファレンス装置の感度の更なる局面を述べる。
【0474】
リファレンス装置は、固定周波数リファレンス装置として提供され得る。それは低周波数で作動することができ、その結果、他の金属物に影響されない。それはより高い周波数で作動されることもでき、低電力消費、より小さいボード空間、増加した信号ゲインおよび選択的な金属材料に対する増加した感度を可能にする。
【0475】
周波数帯リファレンス装置としてリファレンス装置を実装することも可能である。高周波数の実装の場合、選択的な金属材料に対する増加した感度、リファレンス装置の非常に低コスト設計、および非常に低い故障率を有する極めて堅牢な設計が可能である。
【0476】
この無線による絶対3Dセンサシステムは、1MHzまでの可聴周波数の範囲の周波数で作動することができる。低周波数域においては、10kHzから100kHzの間の周波数が可能である。このセンサが3Dセンサの近くで金属物に完全に影響されないように、対応の設計は最適化が可能である。しかしながら、金属物が感知パッドとリファレンス装置との間にあることは、防止されなければならない。
【0477】
低周波の用途において、リファレンスコイルおよび感知コイルがより大きければ、選択された構成要素のコストもより大きくなる。
【0478】
高周波操作モードにおいて、300kHz以上の周波数を用いて、コストおよび必要とされるスペースを含め、多くのシステム特性を改善することができる。さらに、金属物(静的なおよび動的な)に対する増加した感度もまた、生じ得る。
【0479】
動作周波数の好適な範囲は、300kHzおよび400kHzの間にある。
【0480】
「備える(comprising)」という用語は、他の要素またはステップを除外しないし、そして「a」または「an」は複数を除外しない。また、異なる実施形態に関連して記述された要素は結合されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0481】
【図1】本発明の1つの例示的な実施形態によるトルクセンサを製造する方法を説明するために、本発明の1つの例示的な実施形態によるセンサ素子を持つトルクセンサを示す図である。
【図2A】本発明の原理および本発明の製造方法における1つの例示的な実施形態を更に説明するために、本発明によるトルクセンサのセンサ素子における1つの例示的な実施形態を示す図である。
【図2B】図2aのAA’線に沿った断面図を示す。
【図3A】本発明の原理および本発明によるトルクセンサの製造方法における1つの例示的な実施形態を更に説明するために、本発明によるトルクセンサのセンサ素子の別の例示的な実施形態を示す図である。
【図3B】図3aのBB’線に沿った横断面を示す図である。
【図4】本発明の1つの例示的な実施形態による方法に従って製造された図2aおよび3aにおけるトルクセンサのセンサ素子の横断面を示す図である。
【図5】本発明によるトルクセンサを製造するための製造方法の例示的な実施形態を更に説明するために、本発明によるトルクセンサのセンサ素子における別の例示的な実施形態を示す図である。
【図6】本発明によるトルクセンサの製造方法の例示的な実施形態を更に説明するために、本発明によるトルクセンサのセンサ素子における別の例示的な実施形態を示す図である。
【図7】本発明によるトルクセンサを製造する方法の、ある例示的な実施形態を更に説明するためのフローチャートを示す図である。
【図8】本発明の1つの例示的な実施形態による方法を更に説明するための電流対時間を示すグラフ図である。
【図9】本発明の1つの例示的な実施形態による電極システムを持った、本発明によるトルクセンサのセンサ素子における別の例示的な実施形態を示す図である。
【図10A】本発明の1つの例示的な実施形態による電極システムを持った、本発明によるトルクセンサの別の例示的な実施形態を示す図である。
【図10B】図10aの電極システムによる電流サージを加えた後の図10aのセンサ素子を示す図である。
【図11】本発明によるトルクセンサのためのトルクセンサ素子における別の例示的な実施形態を示す図である。
【図12】2つの磁場がシャフトに生じて、閉じた円内を走っている様子を示す図であり、本発明の別の例示的な実施形態によるトルクセンサのセンサ素子の概略図を示す。
【図13】本発明による製造方法に従って作られる2つの逆方向サイクル、つまり、磁場ループを使用するPCME感知技術を図示するための別の概略図を示す。
【図14】機械的応力が本発明の1つの例示的な実施形態によるセンサ素子に加わらない時、磁束線がその初めの経路を走ることを図示するための別の概略図を示す。
【図15】本発明の1つの例示的な実施形態の原理を更に説明するための別の概略図を示す。
【図16】本発明の1つの例示的な実施形態の原理を更に説明するための別の概略図を示す。
【図17】本発明の1つの例示的な実施形態の原理を更に説明するための概略図である。
【図18】本発明の1つの例示的な実施形態の原理を更に説明するための概略図である。
【図19】本発明の1つの例示的な実施形態の原理を更に説明するための概略図である。
【図20】本発明の1つの例示的な実施形態の原理を更に説明するための概略図である。
【図21】本発明の1つの例示的な実施形態の原理を更に説明するための概略図である。
【図22】本発明の1つの例示的な実施形態の原理を更に説明するための概略図である。
【図23】本発明の1つの例示的な実施形態の原理を更に説明するための別の概略図を示す。
【図24】本発明の1つの例示的な実施形態の原理を更に説明するための概略図を示す。
【図25】本発明の1つの例示的な実施形態の原理を更に説明するための概略図を示す。
【図26】本発明の1つの例示的な実施形態の原理を更に説明するための概略図を示す。
【図27】本発明の1つの例示的な実施形態の製造方法によるセンサ素子に加えられる電流パルスを図示するための電流対時間図である。
【図28】本発明の1つの例示的な実施形態による出力信号対電流パルス長を示す図である。
【図29】本発明の方法によるセンサ素子に加えられる本発明の1つの例示的な実施形態による電流パルスとともに電流対時間を示す図である。
【図30】本発明の1つの例示的な実施形態の方法によるシャフトのようなセンサ素子に加えられる電流パルスについて、好ましい例示的な実施形態を示す別の電流対時間図である。
【図31】本発明の1つの例示的な実施形態に従う信号および信号効率対電流図である。
【図32】本発明の1つの例示的な実施形態による望ましいPCME電流密度を持つセンサ素子の断面図を示す。
【図33】本発明の1つの例示的な実施形態による、各種の増加するパルス電流レベルでのセンサ素子およびパルス電流密度の断面図を示す。
【図34】本発明によるセンサ素子において、異なる電流パルスの磁気流によって達成される間隔を示す図である。
【図35】本発明の1つの例示的な実施形態によるセンサ素子に加えられる電流パルスの電流対時間図を示す。
【図36】本発明の1つの例示的な実施形態によるセンサ素子への電気的な多点接続を示す図である。
【図37】本発明の1つの例示的な実施形態によるセンサ素子に対して、電流パルスを加えるバネ装填の接触点を有する多チャネルの電気接続具を示す図である。
【図38】本発明の1つの例示的な実施形態による増加された数の電気接続点を持つ電極システムを示す図である。
【図39】図37の電極システムにおける1つの例示的な実施形態を示す。
【図40】本発明の1つの例示的な実施形態による方法で使用するシャフト処理保持クランプを示す図である。
【図41】本発明によるセンサ素子の2重磁場エンコード領域を示す図である。
【図42】本発明の1つの例示的な実施形態による、順次の2重磁場エンコーディングの工程段階を示す図である。
【図43】本発明の別の例示的な実施形態による2重磁場エンコーディングの別の工程段階をす図である。
【図44】本発明の別の例示的な実施形態に従って、電流パルスの印加の説明を含む、センサ素子における別の例示的な実施形態を示す図である。
【図45】応力が加えられない時の本発明によるセンサ素子内の磁束方向を記した概略図を示す。
【図46】応力が加えられた時に図45のセンサ素子内における磁束方向を示す図である。
【図47】加えられたトルクの方向が変化している時に図45のPCMエンコードされたシャフト内部の磁束を示す図である。
【図48】本発明の1つの例示的な実施形態による6チャネル同期パルス電流駆動システムを示す図である。
【図49】本発明の別の例示的な実施形態による電極システムを簡略化して示す図である。
【図50】本発明の1つの例示的な実施形態によるセンサ素子を示す図である。
【図51】2つのピン止め磁場領域とともにPCME処理検出領域を有する、本発明によるセンサ素子の別の例示的な実施形態を示す図である。
【図52】1つのエンコードされた領域およびピン止め領域を持つセンサ素子の製造のために、本発明の1つの例示的な実施形態による製造方法を説明するための概略図である。
【図53】本発明の1つの例示的な実施形態による製造方法に従って本発明の1つの例示的な実施形態によるセンサ素子を示す別の概略図である。
【図54】本発明の1つの例示的な実施形態を更に説明するための簡略化された概略図である。
【図55】本発明の1つの例示的な実施形態を更に説明するための簡略化された別の概略図である。
【図56】モータのギアボックスにおける本発明の1つの例示的な実施形態によるトルクセンサの適用を示す図である。
【図57】本発明の1つの例示的な実施形態によるトルクセンサを示す図である。
【図58】本発明の1つの例示的な実施形態による非接触トルク検出装置における構成要素の概略図である。
【図59】本発明の1つの例示的な実施形態による検出装置の構成要素を示す図である。
【図60】本発明の1つの例示的な実施形態によるセンサ素子のコイル配置を示す図である。
【図61】本発明の1つの例示的な実施形態による単一チャネルセンサ機器を示す図である。
【図62】本発明の1つの例示的な実施形態による2チャネルの短絡保護システムを示す図である。
【図63】本発明の別の例示的な実施形態によるセンサを示す図である。
【図64】本発明の1つの例示的な実施形態による二次側センサユニット組み立てについて、1つの例示的な実施形態を示す図である。
【図65】本発明の1つの例示的な実施形態による一次側センサおよび二次側センサの幾何学的な配置の2形態を示す図である。
【図66】二次側センサユニットとセンサホストとの間隔が出来るだけ小さい方が望ましいことを説明するための概略図である。
【図67】一次側センサエンコーディング装置について実施形態を示す図である。
【図68】本発明の1つの例示的な実施形態によるトルクセンサを示す図である。
【図69】図68に示される位置センサ装置の機能を示す図である。
【図70】図68に図示される位置センサの別の略図を示す。
【図71】本発明の1つの実施形態によるトルクセンサを示す図である。
【図72】本発明の1つの実施形態によるトルクセンサを示す図である。
【図73】本発明の1つの実施形態によるトルクセンサを示す図である。
【図74】図73に図示す位置センサ装置の機能を示す図を示す。
【図75】本発明の一実施形態による位置センサ装置の略図を示す。
【図76】本発明の一実施形態による磁場検出器を位置センサアレイに配置するための形状を示す。
【図77】本発明による位置センサ装置の機能を図示する。
【図78】本発明の一実施形態による洗濯機の異なる図および動作モードを示す。
【図79】本発明の一実施形態による洗濯機の異なる図および動作モードを示す。
【図80】本発明の一実施形態による洗濯機の異なる図および動作モードを示す。
【図81】本発明の一実施形態による洗濯機の異なる図および動作モードを示す。
【図82】本発明の一実施形態による洗濯機のための、磁場ソースおよび位置センサ装置の単一の磁場検出器を示す。
【図83】洗濯機のための位置センサアレイの別の実施形態を示す。
【図84】本発明による位置センサ装置の一実施形態を示す。
【図85】本発明の一実施形態による位置センサ装置の実施形態を示す。
【図86】本発明による位置センサ装置の一実施形態を示す。
【図87】本発明の一実施形態による位置センサ装置の形状を示す。
【図88】図87に従った位置センサ装置の別の図を示す。
【図89】本発明の位置センサ装置の一実施形態による磁場ソースおよび磁場検出装置を配置するための幾何形状を示す。
【図90】本発明による位置を検出するためのデータの処理の方式を示す図を示す。
【図91】本発明による位置センサ装置の回路アレイを示す。
【図92】本発明による位置センサ装置のための配置の側面図を示す。
【図93】本発明による丸みをおびたコアの端部を有する磁場ソースを示す。
【図94】本発明の一実施形態による位置センサ装置において測定されるデータが処理される方法について説明する略回路図を示す。
【図95】本発明の一実施形態による一次元の曲げセンサ装置を示す。
【図96】本発明の一実施形態による二次元のベンディングセンサ装置を示す。
【図97】本発明の一実施形態による二次元のベンディングセンサ装置を示す。
【図98】本発明による曲げセンサ軸シャフトを示す。
【図99】本発明による曲げセンサ装置の別の実施形態を示す。
【図100】図99に関連したセンサハウジングを示す。
【図101】本発明の1つの例示的な実施形態によるセンサ配置を示す図である。
【図102】図101によるセンサ配置が使用可能なシナリオを示す。
【図103】洗濯機の回転ドラムに関連して実装されることができる本発明の例示的実施形態に従った位置センサ装置を図示する。
【図104】洗濯機の回転ドラムに関連して実装されることができる本発明の例示的実施形態に従った位置センサ装置を図示する。
【図105】洗濯機の回転ドラムに関連して実装されることができる本発明の例示的実施形態に従った位置センサ装置を図示する。
【図106】本発明の例示的実施形態に従って、位置センサアレイの略平面図を図示する。
【図107】本発明の例示的実施形態に従って、位置センサ装置の電子特性を図示する。
【図108】本発明の例示的実施形態に従って、位置センサアレイを略図で例示する。
【図109】本発明の例示的実施形態に従って、位置センサアレイを略図で例示する。
【図110】直線位置センサ技術系統の部材を示す図を略図で例示する。
【図111】本発明の例示的実施形態に従って、センサシステムを有する電気モータを図示する。
【図112】本発明の例示的実施形態に従って、センサシステムを有する可動電気モータを図示する。
【図113】本発明の1つの例示的な実施形態によるセンサ配置を示す図である。
【図114】本発明の例示的実施形態に従って、センサシステムを有する洗濯機を図示する。
【図115】本発明の1つの例示的な実施形態によるセンサアレイの構成要素を示す図である。
【図116】本発明の1つの例示的な実施形態によるセンサ配置を示す図である。
【図117】本発明の例示的実施形態に従って、無線3D位置センサ装置を図示する。
【図118】本発明の例示的実施形態に従って、無線3D位置センサ装置のための座標システム定義を図示する。
【図119】本発明の例示的実施形態に従って、無線3D位置センサアレイの略図を図示する。
【図120】本発明の例示的実施形態に従って、センサシステムのメイン感知ボードのレイアウトを図示する。
【図121】本発明の例示的実施形態に従って、3D座標計算プロセスに関連した幾何形状を図示する。
【図122】本発明の例示的実施形態に従って、無線3D位置センサ装置の3つの軸測定システムを示す。
【図123】本発明の例示的実施形態に従って、センサアレイの固定周波数負荷回路を示す。
【図124】本発明の例示的実施形態に従って、広周波数帯負荷回路を示す。
【図125】本発明の例示的実施形態に従って、無線3Dセンサシステムの回路図を示す。
【図126】本発明の例示的実施形態に従って、無線3Dセンサシステムの回路図を示す。
【図127】本発明の例示的実施形態に従って、感知パッド、およびセンサアレイの信号調整および信号処理の電子設計を示す。
【図128】本発明の例示的実施形態に従って、別の感知パッド、およびセンサアレイの信号調整および信号処理の電子設計を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動物体の位置を決定する位置センサ装置であって、
可動物体上に固定されるように構成された磁場ソースと、
第1の位置に配置され、前記第1の位置における磁場ソースによって発生した磁場に対して、第1の磁場信号特性を検出するように適合された第1の磁場検出器と、
第2の位置に配置され、前記第2の位置における磁場ソースによって発生した磁場に対して、第2の磁場信号特性を検出するように適合された第2の磁場検出器と、
前記第1の磁場信号と前記第2の磁場信号との比較に基づいて磁場ソースの位置を決定するように適合されている位置決定ユニットと
を備える、位置センサ装置。
【請求項2】
前記磁場ソースが永久磁性素子である、請求項1に記載の位置センサ装置。
【請求項3】
前記磁場ソースは電気信号をコイルに印加することによって活性化可能なコイルである、請求項1に記載の位置センサ装置。
【請求項4】
前記コイルは連続電気信号をコイルに印加することによって活性化可能である、請求項3に記載の位置センサ装置。
【請求項5】
前記コイルは交流の電気信号またはパルス電気信号をコイルに印加することによって活性化可能である、請求項3に記載の位置センサ装置。
【請求項6】
前記磁場ソースは前記可動物体の長手方向に磁化された領域である、請求項1に記載の位置センサ装置。
【請求項7】
前記磁場ソースは前記可動物体の円周方向に磁化された領域である、請求項1に記載の位置センサ装置。
【請求項8】
前記磁場ソースが、第1の方向に方向付けられた第1の電磁流量領域によって、および、第2の方向に方向付けられた第2の電磁流量領域によって形成され、前記第1の方向が前記第2の方向と正反対である、請求項7に記載の位置センサ装置。
【請求項9】
可動物体の断面において、前記第1の方向および第1の半径を有する第1の円形磁気流、ならびに前記第2の方向および第2の半径を有する第2の円形磁気流が存在し、前記第1の半径は前記第2の半径よりも大きい、請求項8に記載の位置センサ装置。
【請求項10】
前記磁場ソースは、第1の電流パルスを磁化可能な素子に印加する製造工程であって、前記磁化可能な素子の長手方向軸に沿った第1の方向に第1の電流の流れが存在するように、前記第1の電流パルスが印加され、前記電流パルスの印加によって前記磁化可能な素子において磁場を発生するように、前記第1の電流パルスが印加される、製造工程にしたがって製造される、請求項1または7から9のいずれか一項に記載の位置センサ装置。
【請求項11】
第2の電流パルスが磁化可能な素子に印加され、前記磁気可能な素子の長手方向軸に沿った第2の方向における第2の電流が存在するように、前記第2の電流パルスが印加される、請求項10に記載の位置センサ装置。
【請求項12】
第1および第2の電流パルスの各々が、立上りエッジおよび立下りエッジを有し、立上りエッジが立下りエッジより急勾配である、請求項10または11に記載の位置センサ装置。
【請求項13】
前記第1の方向が前記第2の方向と正反対である、請求項11または12に記載の位置センサ装置。
【請求項14】
前記第1の磁場検出器および前記第2の磁場検出器のうちの少なくとも1つが、
コイルと、
ホール効果プローブと、
巨大磁気共鳴磁場センサと、
磁気共鳴磁場センサと
からなる群のうちの少なくとも一つを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の位置センサ装置。
【請求項15】
前記位置決定ユニットが前記第1の磁場信号および前記第2の磁場信号の比に基づいて磁場ソースの位置を決定するように適合されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の位置センサ装置。
【請求項16】
前記位置決定ユニットは、前記第1の磁場信号および前記第2の磁場信号の差に基づいて磁場ソースの位置を決定するように適合されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の位置センサ装置。
【請求項17】
前記磁場ソースが、前記第1の磁場検出器と前記第2の磁場検出器との間に実質的に対称に配置される、請求項1から16のいずれか一項に記載の位置センサ装置。
【請求項18】
第3の位置に配置され、前記第3の位置における磁場ソースによって発生する磁場に対して、第3の磁場信号特性を検出するように適合された第3の磁場検出器を備え、
前記位置決定ユニットは、前記第1の磁場信号、前記第2の磁場信号、および前記第3の磁場信号に基づいて、磁場ソースの位置を決定するように適合されている、請求項1から16のいずれか一項に記載の位置センサ装置。
【請求項19】
磁場ソースが、実質的に対称に配置され、かつ第1の磁場検出器、第2の磁場検出器、および第3の磁場検出器の重心に実質的に配置される、請求項18に記載の位置センサ装置。
【請求項20】
前記第1の磁場検出器、前記第2の磁場検出器、前記第3の磁場検出器、および前記磁場ソースが平面に配置されている、請求項18または19に記載の位置センサ装置。
【請求項21】
前記第1の磁場検出器、前記第2の磁場検出器、および前記第3の磁場検出器は、正三角形の隅に配置される、請求項18から20のいずれか一項に記載の位置センサ装置。
【請求項22】
第4の位置に配置され、前記第4の位置における磁場ソースによって発生する磁場に対して、第4の磁場信号特性を検出するように適合された第4の磁場検出器を備え、
前記位置決定ユニットは、前記第1の磁場信号、前記第2の磁場信号、前記第3の磁場信号、および前記第4の磁場信号に基づいて、磁場ソースの位置を決定するように適合されている、請求項1から18のいずれか一項に記載の位置センサ装置。
【請求項23】
磁場ソースが、実質的に対称に配置され、かつ第1の磁場検出器、第2の磁場検出器、第3の磁場検出器、および第4の磁場検出器の重心に実質的に配置される、請求項22に記載の位置センサ装置。
【請求項24】
前記第1の磁場検出器、前記第2の磁場検出器、前記第3の磁場検出器、前記第4の磁場検出器、および前記磁場ソースが平面に配置されている、請求項22または23に記載の位置センサ装置。
【請求項25】
前記第1の磁場検出器、前記第2の磁場検出器、前記第3の磁場検出器、および前記第4の磁場検出器は、長方形の隅に配置される、請求項22から24のいずれか一項に記載の位置センサ装置。
【請求項26】
前記磁場検出器および前記磁場ソースが非平面に配置されている、請求項18、19、21から23のいずれか一項に記載の位置センサ装置。
【請求項27】
前記磁場検出器は、四面体または立方体の隅に配置される、請求項26に記載の位置センサ装置。
【請求項28】
前記位置決定ユニットは、前記磁場信号の差に基づき、かつ前記磁場信号の振幅に基づいて、前記磁場ソースの位置を決定するように適合される、請求項20または24に記載の位置センサ装置。
【請求項29】
前記位置決定ユニットは磁場信号の差のみに基づいて前記磁場ソースの位置を決定するように適合されている、請求項26に記載の位置センサ装置。
【請求項30】
前記第1の磁場信号および前記第2の磁場信号の差に基づいて、可動物体の位置に特徴的な線形信号を生成するように適合されている信号線形化ユニットを備える、請求項1から29のいずれか一項に記載の位置センサ装置。
【請求項31】
ドライバ信号に従って磁場を生成するために、磁場ソースに前記ドライバ信号を提供するように適合され、かつ、前記ドライバ信号に従って、前記第1の磁場信号および前記第2の磁場信号を処理、特に、フィルタリングするように適合されている、ドライバユニットを備える、請求1から30のいずれか一項に記載の位置センサ装置。
【請求項32】
前記ドライバユニットがマイクロプロセッサである、請求項31に記載の位置センサ装置。
【請求項33】
前記ドライバユニットがコンピュータープログラム要素を備える、請求項31または32に記載の位置センサ装置。
【請求項34】
洗濯機、回動式乾燥機、自動車エンジン振動検出ユニット、自動車懸架装置位置検出ユニット、自動車調光装置および曲げ計測ユニットおよび/または圧力計測ユニットからなる群のうちの少なくとも1つにおいて実装される位置センサ装置として構成される、請求項1から33のいずれか一項に記載の位置センサ装置。
【請求項35】
請求項1から34のいずれか一項に記載の位置センサ装置と、
前記位置センサ装置の磁場ソースが固定される可動物体と
を含み、前記位置センサ装置は、前記可動物体の位置を決定するように適合される、位置センサアレイ。
【請求項36】
静止した支持体と、
前記静止した支持体に関して回動し、かつ被洗浄物を受け取るように適合される回動ドラムと、
前記回動ドラムの位置を決定する位置センサ装置であって、
磁場ソースと、
前記磁場ソースによって発生した磁場に対して、磁場信号特性を検出するように適合される磁場検出器と、
前記磁場信号に基づいて回動ドラムの位置を決定するように適合される位置決定ユニットと、
を含む位置センサ装置と
を備え、前記磁場ソースおよび前記磁場検出器のうちの一つが前記静止した支持体に固定され、前記磁場ソースおよび前記磁場検出器のうちのもう一つが前記回動ドラムに固定される、洗濯機。
【請求項37】
前記位置センサ装置によって、制御ユニットへ提供される回動ドラムの位置に基づいて、前記洗濯機の作動を制御するように適合される制御ユニットをさらに備える、請求項36に記載の洗濯機。
【請求項38】
前記回動ドラムの決定された位置に基づいて、前記回動ドラムによって受け取られる被洗浄物の積載量を決定するように適合される処理手段を含む、請求項36または37に記載の洗濯機。
【請求項39】
前記磁場検出器は複数の空間的に分離された磁場検出器ユニットを備え、前記磁場検出器ユニットの各々は、個々の磁場検出器ユニットの対応する位置において、磁場ソースによって発生する磁場に対して、磁場信号特性を検出するように適合されている、請求項36から38のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項40】
磁場検出器は長方形の隅に配置される4つの磁場検出器ユニットを備える、請求項39に記載の洗濯機。
【請求項41】
磁場検出器は、共通面に配置される少なくとも4つ、特に9つの磁場検出器ユニットを備える、請求項39または40に記載の洗濯機。
【請求項42】
前記磁場検出器は、
コイルと、
ホール効果プローブと、
巨大磁気共鳴磁場センサと、
磁気共鳴磁場センサと
からなる群のうちの少なくとも一つを備える、請求項36から41のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項43】
前記磁場ソースは電気信号をコイルに印加することによって活性化可能なコイルである、請求項36から42のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項44】
前記コイルは連続電気信号をコイルに印加することによって活性化可能である、請求項43に記載の洗濯機。
【請求項45】
前記コイルは交流の電気信号またはパルス電気信号をコイルに印加することによって活性化可能である、請求項43に記載の洗濯機。
【請求項46】
前記磁場ソースは永久磁性素子である、請求項36から42のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項47】
静止した支持体と、
前記静止した支持体に関して回動し、かつ被洗浄物を受け取るように適合される回動ドラムと、
前記回動ドラムの位置を決定する位置センサ装置であって、
磁場を発生する磁場ソースと、
磁場シンクと、
前記磁場ソースによって発生し、前記磁場シンクによって修正された磁場に対して、磁場信号特性を検出するように適合される磁場検出器と、
前記磁場信号に基づいて回動ドラムの位置を決定するように適合される位置決定ユニットと
を含む位置センサ装置と
を備え、前記磁場シンクおよび前記磁場検出器のうちの一つが前記静止した支持体に固定され、前記磁場シンクおよび前記磁場検出器のうちのもう一つが前記回動ドラムに固定される、洗濯機。
【請求項48】
前記磁場シンクがLC発振回路である、請求項47に記載の洗濯機。
【請求項49】
前記磁場ソースは電気信号をコイルに印加することによって活性化可能なコイルである、請求項47または48のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項50】
前記コイルは交流の電気信号をコイルに印加することによって活性化可能である、請求項49に記載の洗濯機。
【請求項51】
前記磁場ソースおよび前記磁場検出器が共通の素子として形成される、請求項47から50のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項52】
前記磁場ソースが複数の磁場ソースユニットを備え、前記磁場ソースユニットの各々が個々の磁場を発生するように適合されている、請求項47から51のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項53】
前記磁場検出器が複数の磁場検出器ユニットを備え、前記磁場ソースユニットの各々が個々の磁場信号を検出するように適合されている、請求項47から52のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項54】
前記位置決定ユニットは、前記個々の磁場信号に基づいて、回動ドラムの位置を決定するように適合されている、請求項53に記載の洗濯機。
【請求項55】
可動物体の位置を決定する方法であって、
前記可動物体に固定される磁場ソースによって、第1の位置において発生した磁場に対して、第1の磁場信号特性を検出する工程と、
前記磁場ソースによって、第2の位置において発生する磁場に対して、第2の磁場信号特性を検出する工程と、
前記第1の磁場信号と前記第2の磁場信号との比較に基づいて、磁場ソースの位置を決定する工程と
を含む、方法。
【請求項56】
基板と、
前記基板上に配置された請求項1から34のいずれか一項に記載の複数の位置センサ装置と
を含む、センサ配置。
【請求項57】
前記基板上に配置された前記複数の位置センサ装置に印加された圧力荷重および/または曲げ荷重の空間的パターンを検出するように適合された、請求項56に記載のセンサ配置。
【請求項58】
衝突実験センサ配置として構成される、請求項56または57に記載のセンサ配置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【図92】
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【図93】
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【図94】
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【図95】
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【図96】
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【図97】
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【図98】
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【図99】
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【図100】
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【図101】
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【図102】
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【図103】
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【図104】
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【図105】
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【図106】
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【図107】
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【図108】
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【図109】
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【図110】
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【図111】
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【図112】
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【図113】
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【図114】
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【図115】
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【図116】
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【図117】
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【図118】
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【図119】
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【図120】
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【図121】
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【図122】
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【図123】
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【図124】
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【図125】
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【図126】
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【図127】
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【図128】
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【公表番号】特表2008−528986(P2008−528986A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552601(P2007−552601)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000894
【国際公開番号】WO2006/082047
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(506225857)エヌシーティーエンジニアリング ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】