説明

位置決め装置の設計方法、位置決め装置の製造方法、位置決め装置、及び露光装置

【課題】位置決めを高精度に実行することができる位置決め装置の設計方法、位置決め装置の製造方法、位置決め装置、及び露光装置を提供する。
【解決手段】第1方向に移動可能なXステージ100と、結合部により該Xステージ100に結合され、該Xステージ100に対して第2方向に移動可能なYステージ200と、Xステージ100を第1方向に移動させるモータ(不図示)と、を備える位置決め装置において、モータ(不図示)がXステージ100を移動させる力と、第1方向における該Yステージ200の位置と、の関係を表す伝達関数に基づく、剛体モードと、1次共振と、2次共振と、の関係に基づいて、位置決め装置のXステージ100及びYステージ200の少なくとも一方の作製上の諸元が定められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め装置の設計方法、位置決め装置の製造方法、位置決め装置、及び露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステージ装置(特許文献1参照)に代表される位置決め装置を設計する手順には、位置決め装置の構造物としての構造設計を行う第1フェーズと、該構造物の位置決めを実行する制御系の設計を行う第2フェーズとがある。
【0003】
そして、第1フェーズにおいて位置決め装置が構造設計された後、構造設計された位置決め装置が高精度に位置決めされるように、第2フェーズにおいて制御系の設計を行う、という手順が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−14915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、制御系の設計を行う際には、位置決め装置の構造物としての振動特性が、すでに定められていた。そして、制御系が制御しきれない振動特性を位置決め装置が有している場合、位置決め装置、特に「ガントリ型超精密位置決め装置」は、位置決めを高精度に実行することができない、という問題があった。
【0006】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、位置決めを高精度に実行することができる位置決め装置の設計方法、位置決め装置の製造方法、位置決め装置、及び露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、第1方向に移動可能な第1ステージと、結合部により該第1ステージに結合され、該第1ステージに対して第2方向に移動可能な第2ステージと、前記第1ステージを前記第1方向に移動させる駆動部と、を備える位置決め装置の設計方法において、前記駆動部が前記第1ステージを移動させる力と、前記第1方向における該第2ステージの位置と、の関係を表す伝達関数を算出し、該伝達関数に基づいて、剛体モードを示す式と、1次共振を示す式と、2次共振を示す式と、を算出し、前記剛体モードに対する前記1次共振の位相と、前記剛体モードに対する前記2次共振の位相とに基づいて、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の作製上の諸元を定めることを特徴とする位置決め装置の設計方法である。
【0008】
また、本発明は、位置決め装置の設計方法を用いて、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方を作製することを特徴とする位置決め装置の製造方法である。
【0009】
また、本発明は、第1方向に移動可能な第1ステージと、結合部により該第1ステージに結合され、該第1ステージに対して第2方向に移動可能な第2ステージと、前記第1ステージを前記第1方向に移動させる駆動部と、を備える位置決め装置において、前記駆動部が前記第1ステージを移動させる力と、前記第1方向における該第2ステージの位置と、の関係を表す伝達関数に基づく、剛体モードと、1次共振と、2次共振と、の関係に基づいて、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の作製上の諸元が定められた位置決め装置である。
【0010】
また、本発明は、マスクステージに保持されたマスクのパターンを基板ステージに保持された感光基板に露光する露光装置であって、前記マスクステージと前記基板ステージの少なくとも一方のステージとして、位置決め装置を備えることを特徴とする露光装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、位置決め装置は、位置決めを高精度に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ステージ装置の構成を示す図である。
【図2】ステージ装置の力学系モデルを示す図である。
【図3】2慣性系モデルで使用するパラメータを示す表である。
【図4】位置決め装置の振動特性を表すボーデ線図である。
【図5】閉ループの離散系と、閉ループの連続系と、のゲイン特性及び位相特性を比較した図である。
【図6】1次共振を示す式が複素数表示(フェザー表示)された、ナイキスト線図である。
【図7】1次共振を示す式のナイキスト線図である。
【図8】図8(A)は、剛体部と一次共振を示す式のナイキスト線図である。図8(B)は、PIDコントローラを介した状態を示すナイキスト線図である。
【図9】従来設計(Normal)における一巡伝達関数のボーデ線図とナイキスト線図である。
【図10】2慣性系モデルに、提案設計1を適用した場合における、1次共振のモード影響定数Dの符号(正負)の変化と、2次共振のモード影響定数Fの符号(正負)の変化とを示す図である。
【図11】提案設計1(Proposed1)における一巡伝達関数のボーデ線図とナイキスト線図である。
【図12】2慣性系モデル(図2を参照)に、提案設計2を適用した場合における、1次共振のモード影響定数Dの符号(正負)の変化と、2次共振のモード影響定数Fの符号(正負)の変化とを示す図である。
【図13】提案設計2(Proposed2)におけるモード影響定数を示す図と、一巡伝達関数のナイキスト線図である。
【図14】提案設計3(Proposed3)におけるモード影響定数を示す図と、一巡伝達関数のナイキスト線図である。
【図15】提案設計1〜3と、従来設計とを比較するための感度関数のボーデ線図である。
【図16】慣性モーメントIと、距離Lと、モード影響定数D及びFとの関係と、慣性モーメントIと、距離Lと、モード影響定数D及びFとの関係とを示す図である。
【図17】提案設計4(Proposed4)における一巡伝達関数のボーデ線図とナイキスト線図である。
【図18】提案設計4(Proposed4)における感度関数のボーデ線図である。
【図19】提案設計5(Proposed5)におけるコントローラのボーデ線図である。
【図20】プラント(制御対象)と、コントローラ(制御器)とを組み合わせた閉ループを示すブロック図である。
【図21】提案設計5において、最も高帯域な制御系が実現された場合における、感度関数の周波数応答特性を示す図と、ステップ応答を示す図である。
【図22】慣性モーメント調整部201の模式図である。
【図23】Xリニアモータ推力点位置調整部202の断面図の第1の例である。
【図24】Xリニアモータ推力点位置調整部202の断面図(一部)の第2の例である。
【図25】ステージ装置を適用した露光装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1には、本発明の第1実施形態におけるステージ装置の構成が示されている。
【0014】
ベース1の上面には、X方向に延在するX軸ガイド2がY方向に間隔をあけて2本平行に敷設されており(図ではそのうちの1本が示されている)、これら各X軸ガイド2の両側部及び上部を跨ぐようにXキャリッジ3がそれぞれ移動自在に設けられている。Xキャリッジ3の上部には、Y方向(紙面に垂直な方向)に沿って延在し、2つのXキャリッジ3を結ぶブリッジ状にYビームガイド4が懸架されて締結固定されている。
【0015】
Xキャリッジ3とXガイド2との間には、エアベアリング5が複数配置されている。エアベアリング5はXキャリッジ3に固定されており、Xガイド2に対してフローティング(非接触)支持されたXキャリッジ3及びYビームガイド4は、Xガイド2にガイドされてX方向に移動自在の構成となっている。
【0016】
Yビームガイド4の上部には、Yキャリッジ7が載置されている。Yキャリッジ7とYビームガイド4の上面との間には、エアベアリング8(ベースベアリング)が複数配置されており、Yキャリッジ7とYビームガイド4の両側面との間には、エアベアリング9(サイドベアリング)が複数配置されている。これらエアベアリング8、9はYキャリッジ7に固定されており、Yビームガイド4にフローティング(非接触)支持されたYキャリッジ7は、Yビームガイド4にガイドされてY方向に移動自在の構成となっている。
【0017】
Yキャリッジ7上には、プレートテーブル10が複数の支持機構(不図示)で支持されている。プレートテーブル10上には、ガラス基板等を吸着保持するプレートホルダ11と、位置を計測するための位置センサ12とが設けられている。この位置センサ12(測定対象部)は、例えば干渉計測器(レーザ干渉計)の一部を構成する移動鏡であって、外部に設けられた光源からのレーザ光を測定光としてこの移動鏡に照射して反射させ、上記干渉計測器内で参照光と干渉を生じさせることにより、プレートホルダ11の位置を精密に計測する。
【0018】
Yビームガイド4の両端部(紙面の手前側と奥側)には、図示しないアクチュエータ(駆動部、例えばXリニアモータ)が設けられ、このXリニアモータの駆動によってXキャリッジ3に搭載された構造物がXガイド2に沿ってX方向に移動する。また、Yキャリッジ7の側面部には、Yリニアモータ6が設けられ、このYリニアモータ6の駆動によってYキャリッジ7に搭載された構造物がYビームガイド4に沿ってY方向に移動する。換言すれば、Xキャリッジ3とYビームガイド4とXリニアモータとによりXステージ100が形成され、Xステージ100がX方向に移動するとともに、Yキャリッジ7とプレートテーブル10とプレートホルダ11と位置センサ12とYリニアモータ6とによりYステージ200が形成され、Yステージ200がY方向に移動するように、本ステージ装置が構成されている。
【0019】
次に、モデル設計について説明する。
図2には、上記ステージ装置の力学系モデル(2質点4自由度モデル)が示されている。この力学系モデルを、以下、「2慣性系モデル」ということがある。
【0020】
Xステージ100は、質量Mを有し、ベース1と減衰係数(粘性係数)Cで結合している。例えば、Xステージ100がベース1に対してエアベアリング5によって相対移動可能に支持されているとすると、このエアベアリング5に起因する減衰係数が減衰係数Cである。
【0021】
Yステージ200は、質量mを有し、回転中心Oのまわりの回転運動に対する減衰係数μθおよびねじり剛性kθでXステージ100と結合している。XリニアモータによってXステージ100に力Fを加えると、Xステージ100およびXステージ100上のYステージ200はX方向に沿って移動する。
【0022】
このとき、Yステージ200は更に、減衰係数μθおよび「ねじり剛性」kθの存在により、図2に示すように回転中心Oのまわりに微少量θだけ回転を行う。本実施形態においては、エアベアリング8,9が有限の剛性値を持つバネ成分として作用し、これによりYステージ200とXステージ100との間に回転運動成分が生じるものとする。この回転運動の中心を回転中心Oと設定する。
【0023】
なお、前述のようにXステージ100がベース1に対してエアベアリング5を介して支持される場合は、ここにも有限の剛性値を持つバネ成分(ばね定数)kと、減衰係数(粘性係数)Cが作用する。
【0024】
また、本実施形態の説明においては、或る複数の部材(例えば、Xステージ100やYステージ200)が所定の条件で関わり合っていることを、適宜、結合、という表現で表すものとする。機械的に直接接触した状態であってもよいし、気体等を介在させた非接触の状態であってもよい。
【0025】
例えば、Yステージ200はエアベアリング8,9を介してXステージ100に搭載されており、Xステージ100がX方向に移動するとYステージ200も同様にX方向に移動するようになっている。
【0026】
さらに、Yステージ200はエアベアリング8,9によって、Xステージ100に対してY方向に相対移動できるようになっている。さらに、前述のように、Xステージ100とYステージ200との間には回転運動が生じ、図2の力学系モデルに表されるような回転中心Oが存在するようになっている。
【0027】
また、Xステージ100の重心Gから、駆動部による力Fまでの距離を、Lとする。また、Xステージ100の重心Gから、回転中心Oまでの距離を、Lとする。また、Xステージ100の重心Gから回転中心Oまでを結ぶ線と、Z軸とが成す角度を、θとする。
【0028】
また、回転中心OからYステージ200の重心Gまでの距離を、Lとする。また、Xステージ100の重心Gから回転中心Oまでを結ぶ線と、回転中心OからYステージ200の重心Gまでを結ぶ線とが成す角度を、θとする。
【0029】
また、Xステージ100の回転運動は、並進センサ(ステージセンサ)により測位され。Xで示される。そして、並進センサは、減衰係数(粘性係数)Cを示すエアベアリング5の位置から、Z軸の負の方向(鉛直下方向)に、距離Lx1離れた位置を測位するものとする。
【0030】
また、Yステージ200の回転運動は、並進センサ(ステージセンサ)により測位され。Xで示される。そして、Yステージ200の重心Gの位置から、Z軸の正の方向(鉛直上方向)に、距離Lx2離れた位置を測位するものとする。
【0031】
また、Xステージ100の慣性モーメントを、Iとする。同様に、Yステージ200の慣性モーメントを、Iとする。
【0032】
また、Xステージ100の重心Gから、バネ成分(ばね定数)kと減衰係数(粘性係数)Cとの結合点までのX軸方向の距離を、lとする。
【0033】
<質点Mについて>
図2に示した力学系モデルから、質点Mの運動エネルギーは、式(1)で表される。また、質点Mの重心(x,z)は、式(2)に示す関係により、式(3)で表される。
【0034】
【数1】

【0035】
そして、式(1)〜(3)から、式(4)及び(5)が導かれる。これにより、質点Mの位置エネルギーは、式(5)で表される。
【0036】
【数2】

【0037】
<質点mについて>
質点mの重心(x,z)は、式(6)で表される。そして、式(6)から、式(7)〜(8)が導かれる。
【0038】
【数3】

【0039】
これにより、質点mの運動エネルギーは、式(9)で表される。また、質点mの位置エネルギーは、式(10)で表される。
【0040】
【数4】

【0041】
<散逸関数について>
モデル全体の散逸関数は、式(11)で表される。
【0042】
【数5】

【0043】
<ラグランジアンについて>
式(4)、(5)、(9)、(10)から、K、K、U、Uをラグランジアン関数に代入すると、式(12)を得る。
【0044】
【数6】

【0045】
<xに関する運動方程式について>
式(13)〜(16)から、xに関する運動方程式である式(17)を得る。
【0046】
【数7】

【0047】
【数8】

【0048】
ここで、式(17)を線形化するために、「θ1、θ<<1」とすると、xに関する運動方程式は、式(18)で表される。
【0049】
【数9】

【0050】
<θに関する運動方程式、及びθに関する運動方程式について>
xに関する運動方程式の場合と同様に、θに関する運動方程式は、式(19)で表される。また、θに関する運動方程式は、式(20)で表される。
【0051】
【数10】

【0052】
<伝達関数について>
式(18)〜(20)を、それぞれラプラス変換すると、式(21)〜(23)を得る。
【0053】
【数11】

【0054】
そして、式(21)〜(23)を変形すると、式(24)を得る。
【0055】
【数12】

【0056】
また、式(24)から、式(25)を得る。
【0057】
【数13】

【0058】
そして、伝達関数は、式(25)の「D(s)」を含む式(26)〜(28)と、式(29)及び(30)とで表される。
【0059】
【数14】

【0060】
【数15】

【0061】
制御器(制御装置)は、主にステージセンサ(X)の測距に基づいてサーボをかけるため、以下では、「X(s)/F(s)」をプラント(制御対象)として扱う。
【0062】
<重心の位置について>
図3には、2慣性系モデルで使用するパラメータが示されている。ここで、ばね定数(ねじり剛性)kθを無限大にすることで、2慣性系モデルを1慣性系モデルに近似して、式(31)を計算すると、「L=+36.8[mm]」となる。
【0063】
【数16】

【0064】
ここで、「L=+36.8[mm]」は、Xステージ100の重心Gから、近似した1慣性系モデルにおける重心までの距離を示す。そして、Xステージ100の重心Gに、Xリニアモータ(駆動部)の作用点がある場合、構造物としての位置決め装置は、制御系が制御しきれない振動特性(周波数特性)を有することがある。
【0065】
図4には、位置決め装置の振動特性を表すボーデ線図が示されている。そして、図4には、1慣性系モデル(One−mass)と2慣性系モデル(Two−mass)とでは、全く異なる振動特性(周波数特性)となることが示されている。
【0066】
<コントローラ(制御器)について>
図5には、閉ループの離散系と、閉ループの連続系と、のゲイン特性及び位相特性を比較した図が示されている。このように、本発明の実施形態を説明する上では、閉ループの離散系と、閉ループの連続系とでは、ゲイン特性及び位相特性が、ほとんど一致する。そこで、以下では、連続系を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0067】
式(30)の剛体部をノミナルモデルのプラント(以下、「ノミナルプラント」ということがある)とすれば、式(32)を得る。また、式(32)に基づいて、PID極配置設計されたコントローラは、式(33)で表される。また、位相安定化のための位相遅れ補償を実行するコントローラは、式(34)で表される。
【0068】
【数17】

【0069】
次に、モード分解について説明する。
留数定理に基づいて、式(30)を部分展開すると、式(35)を得る。
【0070】
【数18】

【0071】
ここで、N(s)は、式(35)の分子における定数(係数)である。そして、式(35)のAは、Lを含まない定数(係数)である。また、式(35)のB〜Fは、それぞれLを含む定数(係数)である。
【0072】
そして、式(35)は、剛体部を示す式と、共振部を示す式と、に分解されることが可能である。ここで、剛体部を示す式からは、剛体モードが算出される。
【0073】
さらに、共振部を示す式は、1次共振を示す式と、2次共振を示す式とに分解されることが可能である。ここで、1次共振を示す式からは、1次の共振周波数が算出される。また、2次共振を示す式からは、2次の共振周波数が算出される。このように、式(35)は、剛体部を示す式と、1次共振を示す式と、2次共振を示す式とに分解されることが可能である(モード分解)。
【0074】
以下では、式(35)のA〜Fの値及び符号(正負)に基づいて、構造物としての位置決め装置の振動特性(周波数特性)を説明する。また、式(35)のA〜Fを、それぞれ「モード影響定数」ということがある。
【0075】
次に、2慣性系モデルにおけるモード影響定数の符号変化について説明する。
共振部のモード影響定数C〜Fの符号(正負)は、構造物としての位置決め装置の振動特性(共振特性)に影響を及ぼす。そして、共振部のモード影響定数D及びFの符号(正負)を定めることで、制御系の有する位相遅れ特性により、共振モードを安定化することが可能である。以下に、これを説明する。
【0076】
<共振部のナイキストについて>
2慣性系モデルの1次共振を示す式は、式(35)の項「(Cs+D)/(s+b’s+b’)」で表される。そして、1次共振を示す式を、分母と分子とに分けると、式(36)を得る。
【0077】
【数19】

【0078】
図6には、1次共振を示す式が複素数表示(フェザー表示)された、ナイキスト線図が示されている。1次共振を示す式のナイキスト線図では、虚部Cωの値と、実部Dの値とにより定まるφに応じて、ナイキスト線図における軌跡(ナイキスト円)の位置と大きさが定まる。なぜなら、位置決め装置が共振周波数(ω=ω)で共振する場合、φは「−90[deg]」となるからである。
【0079】
また、共振部のモード影響定数Cの符号及びDの符号に応じて、すなわち、共振部のモード影響定数Cが正値又は負値のいずれであるかと、共振部のモード影響定数Dが正値又は負値のいずれであるかとに応じて、1次共振を示す式のナイキスト線図は、「(C,D)=(++,+−,−+,−−)」の4通りとなる。
【0080】
図7には、1次共振を示す式のナイキスト線図が、共振部のモード影響定数Cの符号(正負)及びDの符号(正負)ごとに示されている。
【0081】
図7(A)には、モード影響定数Cが正値、かつモード影響定数Dが負値である場合における、1次共振を示す式のナイキスト線図が示されている。また、図7(B)には、モード影響定数Cが正値、かつモード影響定数Dが正値である場合における、1次共振を示す式のナイキスト線図が示されている。また、図7(C)には、モード影響定数Cが負値、かつモード影響定数Dが負値である場合における、1次共振を示す式のナイキスト線図が示されている。また、図7(D)には、モード影響定数Cが負値、かつモード影響定数Dが負値である場合における、1次共振を示す式のナイキスト線図が示されている。
【0082】
<2慣性系モデルのナイキストについて>
図2に示した2慣性系モデルでは、モード影響定数Cは、モード影響定数Dに対して、十分小さい。このため、φを0[deg]又は180度[deg]とすることができる。したがって、1次共振を示す式のナイキスト線図は、モード影響定数Dが正値である場合と、モード影響定数Dが負値である場合とに応じて、2通りとなる。
【0083】
図8(A)には、プラント(制御対象)の剛体部と1次共振を示す式のナイキスト線図が、モード影響定数Dが正値である場合と、モード影響定数Dが負値である場合とに応じて、2通り示されている。
【0084】
また、図8(B)には、PIDコントローラを介した状態を示すナイキスト線図が示されている。ここで、1次共振を示す式のナイキスト線図は、モード影響定数Dが正値である場合と、モード影響定数Dが負値である場合とに応じて、2通り示されている。そして、プラントP(s)と、CPID(s)とが組み合わされた場合、ナイキスト線図における軌跡と、(Real,Imaginary)=点(−1,0)との位置関係から、モード影響定数Dが正値であれば、位相が安定することが判る。
【0085】
次に、2慣性系モデルについて検証する。
位置決め装置の制御性能を向上させるため、以下では、コントローラの極(ω)を、高帯域化させる。また、制御の仕様条件を、以下のように定める。
【0086】
仕様条件1:位相余裕30[deg]以上
仕様条件2:ばね定数(ねじり剛性)kθの変化幅は、「0.1〜30.0」倍
【0087】
<従来設計について>
「L=+36.8[mm]」、「kθ=1370[N・m/rad]」であるプラント(制御対象)を、PID極配置設計されたコントローラと、位相安定化のための位相遅れ補償を実行するコントローラとにより制御する設計を、以下、「従来設計」という。
【0088】
図7(B)に示すナイキスト線図における軌跡と、(Real,Imaginary)=点(−1,0)との位置関係から、モード影響定数Dが正値となり、かつモード影響定数Fが正値となる場合に、最も位相が安定することが判る。
【0089】
一方、従来設計では、モード影響定数Dが負値となり、かつモード影響定数Fが負値となる場合に、仕様条件1が満たされる。したがって、従来設計では、仕様条件1を満たし、かつモード影響定数Dを正値とし、かつモード影響定数Fを正値とすることができないので、位相の安定化が困難である。
【0090】
図9(A)には、従来設計(Normal)におけるボーデ線図が示されている。また、図9(B)には、従来設計におけるナイキスト線図が示されている。そして、図9(A)及び(B)から、従来設計では、位相余裕を「33.2[deg]」として、「ω=2π×5.5[rad/sec]」までしか、コントローラの極を高帯域化することができないことが判る。
【0091】
<提案設計1について>
距離Lを変化させる設計を、以下、「提案設計1」という。
【0092】
図10には、2慣性系モデル(図2を参照)に、提案設計1を適用した場合における、1次共振のモード影響定数Dの符号(正負)の変化と、2次共振のモード影響定数Fの符号(正負)の変化とが示されている。
【0093】
図10に示されているように、距離Lを変化させても、モード影響定数Dが正値となり、かつモード影響定数Fが正値となる場合がないので、提案設計1では、高帯域化が困難である。
【0094】
図11(A)には、提案設計1(Proposed1)における一巡伝達関数のボーデ線図が示されている。また、図11(B)には、提案設計1におけるナイキスト線図が示されている。そして、図11(A)及び(B)から、提案設計1では、位相余裕を「32.7[deg]」として、「ω=2π×17.1[rad/sec]」までしか、コントローラの極を高帯域化することができないことが判る。また、この場合、「L=+323[mm]」となる。
【0095】
<提案設計2について>
ばね定数(ねじり剛性)kθのみを変化させる設計を、以下、「提案設計2」という。
【0096】
図12には、2慣性系モデル(図2を参照)に、提案設計2を適用した場合における、1次共振のモード影響定数Dの符号(正負)の変化と、2次共振のモード影響定数Fの符号(正負)の変化とが示されている。
【0097】
図12に示されているように、ばね定数(ねじり剛性)kθを変化させても、モード影響定数Dが正値となり、かつモード影響定数Fが正値となる場合がないので、提案設計2では、高帯域化が困難である。
【0098】
図13(A)には、提案設計2(Proposed2)におけるモード影響定数が示されている。ここで、横軸には、ばね定数(ねじり剛性)kθが示されている。また、縦軸には、モード影響定数が示されている。また、図13(B)には、提案設計2におけるナイキスト線図が示されている。そして、図13(A)及び(B)から、提案設計2では、位相余裕を「43.7[deg]」として、「ω=2π×17[rad/sec]」までしか、コントローラの極を高帯域化することができないことが判る。また、この場合、ばね定数(ねじり剛性)kθの変化幅は、「30」倍となる(仕様条件2を参照)。
【0099】
<提案設計3について>
距離Lと、ばね定数(ねじり剛性)kθとを変化させる設計を、以下、「提案設計3」という。
【0100】
距離Lと、ばね定数(ねじり剛性)kθとを変化させても、モード影響定数Dが正値となり、かつモード影響定数Fが正値となる場合がないので、提案設計3では、高帯域化が困難である。
【0101】
図14(A)には、提案設計3(Proposed3)におけるモード影響定数が示されている。ここで、横軸には、ばね定数(ねじり剛性)kθが示されている。また、縦軸には、モード影響定数が示されている。また、図14(B)には、提案設計2におけるナイキスト線図が示されている。そして、図14(A)及び(B)から、提案設計3では、位相余裕を「38.8[deg]」として、「ω=2π×16[rad/sec]」までしか、コントローラの極を高帯域化することができないことが判る。また、この場合、「L=+425[mm]」となる。また、ばね定数(ねじり剛性)kθの変化幅は、「0.75」倍となる(仕様条件2を参照)。
【0102】
そして、提案設計1及び2と比較して、ここまで高帯域化できたのは、図14(A)に示されているように(60〜70[Hz]を参照)、1次共振の共振部と反共振部とを相殺させたためである。
【0103】
<提案設計1〜3と、従来設計との比較について>
図15には、提案設計1〜3と、従来設計とを比較するための感度関数のボーデ線図が示されている。特に低域の周波数において、提案設計1〜3の感度関数(ゲイン)は、従来設計の感度関数(ゲイン)よりも小さくなっている。このことから、提案設計1〜3により設計された位置決め装置は、従来設計により設計された場合と比較して、外乱をより抑圧することが判る。
【0104】
<提案設計4について>
イナーシャ(慣性モーメント)を変化させる設計を、以下、「提案設計4」という。位置決め装置(ガントリ型)の実際の設計において、ばね定数(ねじり剛性)kθを大きくすることは、困難である場合がある。そこで、提案設計4では、イナーシャ(慣性モーメント)を変化させる。
【0105】
図16(A)には、慣性モーメントIと、距離Lと、モード影響定数D及びFとの関係が示されている。また、図16(B)には、慣性モーメントIと、距離Lと、モード影響定数D及びFとの関係が示されている。
【0106】
そして、図16(A)及び(B)の横軸には、提案設計4における慣性モーメントを、従来設計における慣性モーメント(図3を参照)で除算した値が示されている。また、縦軸には、モード影響定数D及びFの値が示されている。
【0107】
また、図16(A)及び(B)には、一例として、「距離L=5,10,20,30,40[cm]」ごとに、モード影響定数D及びFが示されている。ここで、矢印の向きは、「距離L=5,10,20,30,40[cm]」順を示す。そして、矢印の先が示す部分には、「距離L=40[cm]」とした場合における、モード影響定数D及びFが示されている。
【0108】
そして、図16(B)には、慣性モーメントIを従来設計の約1.2倍以上にすれば、モード影響定数Dが正値となり、かつモード影響定数Fが正値となることが示されている。したがって、慣性モーメントIを従来設計の約1.2倍以上にすれば、高帯域化が可能である。
【0109】
図17(A)には、提案設計4(Proposed4)における一巡伝達関数のボーデ線図が示されている。また、図17(B)には、提案設計4におけるナイキスト線図が示されている。そして、図17(A)及び(B)から、提案設計4では、慣性モーメントIを従来設計の1.9倍とすれば、位相余裕を「34.4[deg]」として、「ω=2π×50[rad/sec]」まで、コントローラの極を高帯域化できることが判る。また、この場合、「L=+370[mm]」となる。
【0110】
図18には、提案設計4(Proposed4)における感度関数のボーデ線図が示されている。特に低域の周波数において、提案設計4の感度関数(ゲイン)は、提案設計1〜3及び従来設計の感度関数(ゲイン)よりも小さくなっている(図15(A)を参照)。このことから、提案設計4により設計された位置決め装置は、提案設計1〜3により設計された場合及び従来設計により設計された場合と比較して、外乱をより抑圧することが判る。
【0111】
<提案設計5について>
プラント(制御対象)の振動(共振)を制御する高帯域な制御系を実現するため、ノッチフィルタと、PID制御を実行する制御系とを設計する方法について説明する。以下、この方法による設計を「提案設計5」という。
【0112】
図19には、提案設計5におけるコントローラのボーデ線図(Frequency response of plant)が示されている。また、図20には、プラント(制御対象)と、コントローラ(制御器)とを組み合わせた閉ループが、ブロック図で示されている。
【0113】
提案設計5では、剛体モードと、図4に示す2つの共振のうちの1次の共振モードとをあわせた周波数応答特性(図19の実線(Nominal Plant)を参照)を有する伝達関数を、ノミナルモデルとする。そして、提案設計5では、このノミナルモデルを用いて、制御器(図20を参照)を設計する。
【0114】
具体的には、図20に示す閉ループにおいて、プラントの1次の共振モードに相当する特性方程式を、R(s)とする。そして、このR(s)を相殺するような零点を持つノッチフィルタと、外乱抑圧のための積分器とを含むように、4次の制御器の係数を決定すればよい。ここで、制御器の係数は、例えば、極配置設計を用いて決定されてもよい。
【0115】
そして、提案設計5により設計されたコントローラ(制御器)と、プラント(制御対象)とを組み合せれば、高帯域な制御系を実現できる。例えば、共振部のモード影響定数(D,F)の符号が(−,−)であり、かつ、「L=−5[mm]」である場合、プラントの周波数応答特性は、図19に破線(Proposed Plant L=−0.005)で示された特性となる。そして、この場合、提案設計5において、最も高帯域な制御系が実現される。
【0116】
図21(A)には、提案設計5において、最も高帯域な制御系が実現された場合における、感度関数の周波数応答特性(Frequency response of S(s))が示されている。また、図21(B)には、提案設計5において、最も高帯域な制御系が実現された場合における、ステップ応答が示されている。
【0117】
以上のように、位置決め装置は、X軸方向に移動可能なXステージ100と、結合部によりXステージ100に結合され、Xステージ100に対してY軸方向に移動可能なYステージ200と、Xステージ100をX軸方向に移動させるXリニアモータと、を備え、XリニアモータがXステージ100を移動させる力と、X軸方向におけるYステージ200の位置と、の関係を表す伝達関数に基づく、剛体モードと、1次共振と、2次共振と、の関係に基づいて、Xステージ100及びYステージ200の少なくとも一方の作製上の諸元が定められる。
【0118】
そして、Xステージ100及びYステージ200の少なくとも一方の作製上の諸元が定められることにより、コントローラの極が高帯域化されるので、位置決め装置は、位置決めを高精度に実行することができる。
【0119】
また、提案設計1に示したように、位置決め装置は、X軸方向に移動可能なXステージ100と、結合部によりXステージ100に結合され、Xステージ100に対してY軸方向に移動可能なYステージ200と、Xステージ100をX軸方向に移動させるXリニアモータと、を備え、XリニアモータがXステージ100を移動させる力と、X軸方向におけるYステージ200の位置と、の関係を表す伝達関数に基づく、剛体モードと、1次共振と、2次共振と、の関係が、剛体モードに対して1次共振が同相であり、かつ剛体モードに対して2次共振が逆相である関係となるように、Xステージ100及びYステージ200の少なくとも一方の重心から、Xリニアモータの力の作用点までの距離が定められる。
【0120】
そして、Xステージ100及びYステージ200の少なくとも一方の重心から、Xリニアモータの力の作用点までの距離が定められることにより、コントローラの極が高帯域化されるので、位置決め装置は、位置決めを高精度に実行することができる。
【0121】
また、提案設計2に示したように、位置決め装置は、X軸方向に移動可能なXステージ100と、結合部によりXステージ100に結合され、Xステージ100に対してY軸方向に移動可能なYステージ200と、Xステージ100をX軸方向に移動させるXリニアモータと、を備え、XリニアモータがXステージ100を移動させる力と、X軸方向におけるYステージ200の位置と、の関係を表す伝達関数に基づく、剛体モードと、1次共振と、2次共振と、の関係が、剛体モードに対して1次共振が逆相であり、かつ剛体モードに対して2次共振が逆相である関係となるように、結合部の剛性が定められる。
【0122】
そして、結合部の剛性が定められることにより、コントローラの極が高帯域化されるので、位置決め装置は、位置決めを高精度に実行することができる。
【0123】
また、提案設計3に示したように、位置決め装置は、X軸方向に移動可能なXステージ100と、結合部によりXステージ100に結合され、Xステージ100に対してY軸方向に移動可能なYステージ200と、Xステージ100をX軸方向に移動させるXリニアモータと、を備え、XリニアモータがXステージ100を移動させる力と、X軸方向におけるYステージ200の位置と、の関係を表す伝達関数に基づく、剛体モードと、1次共振と、2次共振と、の関係が、剛体モードに対して1次共振が同相であり、かつ剛体モードに対して2次共振が逆相である関係となるように、Xステージ100及びYステージ200の少なくとも一方の重心から、Xリニアモータの力の作用点までの距離と、結合部の剛性と、が定められる。
【0124】
そして、Xステージ100及びYステージ200の少なくとも一方の重心から、Xリニアモータの力の作用点までの距離と、結合部の剛性と、が定められることにより、コントローラの極が高帯域化されるので、位置決め装置は、位置決めを高精度に実行することができる。
【0125】
また、提案設計4に示したように、位置決め装置は、X軸方向に移動可能なXステージ100と、結合部によりXステージ100に結合され、Xステージ100に対してY軸方向に移動可能なYステージ200と、Xステージ100をX軸方向に移動させるXリニアモータと、を備え、XリニアモータがXステージ100を移動させる力と、X軸方向におけるYステージ200の位置と、の関係を表す伝達関数に基づく、剛体モードと、1次共振と、2次共振と、の関係が、剛体モードに対して1次共振が同相であり、かつ剛体モードに対して2次共振が同相である関係となるように、Yステージ200の慣性モーメントが定められる。
【0126】
そして、慣性モーメントが定められることにより、コントローラの極が高帯域化されるので、位置決め装置は、位置決めを高精度に実行することができる。
【0127】
また、提案設計5に示したように、位置決め装置は、X軸方向に移動可能なXステージ100と、結合部によりXステージ100に結合され、Xステージ100に対してY軸方向に移動可能なYステージ200と、4次以上の多項式で表される伝達関数に基づいて、Xステージ100及びYステージ200の少なくとも一方のノミナルモデルの共振に対応する極を相殺するように、Xステージ100をX軸方向に移動させるXリニアモータを備え、XリニアモータがXステージ100を移動させる力と、X軸方向におけるYステージ200の位置と、の関係を表す伝達関数に基づく、剛体モードと、1次共振と、2次共振と、の関係が、剛体モードに対して1次共振が逆相であり、かつ剛体モードに対して2次共振が逆相である関係となるように、Xステージ100及びYステージ200の少なくとも一方の重心から、Xリニアモータの力の作用点までの距離が定められる。
【0128】
そして、Xステージ100及びYステージ200の少なくとも一方の重心から、Xリニアモータの力の作用点までの距離が定められることより、コントローラの極が高帯域化されるので、位置決め装置は、位置決めを高精度に実行することができる。
【0129】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について図面を参照して詳細に説明する。第2実施形態では、位置決め装置が、Xステージ100及びYステージ200の少なくとも一方のイナーシャ(慣性モーメント)を調整する慣性モーメント調整部を備える点が、第1実施形態と異なる。
【0130】
また、第2実施形態では、位置決め装置が、Xリニアモータ(駆動部)の力の作用点を移動させる距離調整部を備える点が、第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0131】
まず、Xステージ100及びYステージ200の少なくとも一方のイナーシャ(慣性モーメント)を調整する慣性モーメント調整部について説明する。
【0132】
図22には、慣性モーメント調整部201の模式図が示されている。慣性モーメント調整部201は、Xステージ100及びYステージ200の少なくとも一方に備えられる。ここで、Xステージ100及びYステージ200の少なくとも一方は、その構造に空洞を有していてもよい。また、その空洞は、複数あってもよい。
【0133】
そして、慣性モーメント調整部201は、Xステージ100及びYステージ200の少なくとも一方のイナーシャ(慣性モーメント)を調整する。例えば、慣性モーメント調整部201は、Yステージ200の空洞に着脱されることで、Yステージ200の慣性モーメント(イナーシャ)Iを調整する。
【0134】
次に、Xリニアモータの力の作用点を移動させる、Xリニアモータ推力点位置調整部(距離調整部)について説明する。
【0135】
Xリニアモータ推力点位置調整部202は、Xステージ100に備えられる。Xリニアモータ推力点位置調整部202は、可動部300と、ブラケット301−1及び2と、マグネット302−1及び2と、コイル303−1及び2と、調整用板304−1及び2と、マグネットスタンド305−1及び2と、ガイド306とを備える。
【0136】
図23には、Xリニアモータ推力点位置調整部202の断面図が、第1の例として示されている。マグネットスタンド305−1は、マグネット302−1を支持する。そして、マグネット302−1のZ軸方向(調整方向)における位置は、マグネット302−1とマグネットスタンド305−1との間に設けられた調整用板304−1により、調整可能とされる。また、マグネット302−1のZ軸方向(調整方向)における位置は、別途設けたアクチュエータ(不図示)により駆動されることで、調整可能とされてもよい。
【0137】
一方、ブラケット301−1及びコイル303−1のZ軸方向(調整方向)における位置は、長穴化された「取り付けねじ部(不図示)」により、調整可能とされる。また、ブラケット301−1及びコイル303−1のZ軸方向における位置は、別途設けたアクチュエータ(不図示)により駆動されることで、調整可能とされてもよい。
【0138】
このようにして、コイル303−1及びマグネット302−1により構成されるリニアモータの推力点(力の作用点)の高さと、可動部300の重心の高さとのZ軸方向(調整方向)における相対距離(L)は、調整される。
【0139】
そして、マグネット302−1とコイル303−1との相対位置は、調整後に固定される。また、ブラケット301−2、マグネット302−1、コイル303−2、調整用板304−2、及びマグネットスタンド305−2についても、上記と同様である。
【0140】
ガイド306は、可動部300の移動方向を、X軸方向に制限する。また、コイル303−1は、コントローラ(不図示)による制御に応じて、マグネット302−1から発生する磁力と協働させて、ローレンツ力をX軸方向に発生させる。そして、コイル303−1からブラケット301−1を介して伝達されたローレンツ力により、可動部300は、ガイド306に沿って移動する。これにより、Xステージ100は、X軸方向に移動する。
【0141】
図24には、Xリニアモータ推力点位置調整部202の断面図(一部)の第2の例が示されている。図23に示す構成では、Xリニアモータの取り付け位置を変更することで、距離Lを調整可能としていた。
【0142】
一方、図24に示す構成では、可動部300の重心の高さに対してZ軸方向(上下)の位置に、Xリニアモータが配置されている。そして、上側のXリニアモータ(上リニアモータ401−1及び2)の推力と、下側のXリニアモータ(下リニアモータ402−1及び2)の推力との比を変更することで、Xリニアモータの全体の推力点(力の作用点)の位置は、Z軸方向に調整可能とされる。これにより、距離Lは、調整される。
【0143】
ここで、「リニアモータの推力点の高さと上リニアモータ401−1の高さとの差h1:リニアモータの推力点の高さと下リニアモータ402−1の高さとの差h2=下リニアモータ推力402−1の推力:上リニアモータ401−1の推力」という関係がある。また、上リニアモータ401−2及び下リニアモータ402−2についても、上記と同様である。
【0144】
このようにして、Xリニアモータ推力点位置調整部202は、Xステージ100の重心の高さから、Xリニアモータによる力の作用点の高さまでの距離Lを調整する。
【0145】
なお、Yステージ200には、Xリニアモータ推力点位置調整部202と同様に構成された「Yリニアモータ推力点位置調整部(不図示)」が備えられてもよい。
【0146】
以上のように、位置決め装置は、Xステージ100及びYステージ200の少なくとも一方の重心から、Xリニアモータによる力の作用点までの距離を調整する距離調整部を備える。そして、Xリニアモータによる力の作用点までの距離を調整することにより、コントローラの極が高帯域化されるので、位置決め装置は、位置決めを高精度に実行することができる。
【0147】
また、位置決め装置は、Xステージ100及びYステージ200の少なくとも一方の慣性モーメントを調整する慣性モーメント調整部を備える。そして、慣性モーメントを調整することにより、コントローラの極が高帯域化されるので、位置決め装置は、位置決めを高精度に実行することができる。
【0148】
次に、露光装置用のステージ装置について説明する。
以上に説明した本実施形態によるステージ装置(位置決め装置)は、例えば微細な回路パターンをガラス基板や半導体基板に焼き付ける露光装置用のステージ装置として用いることができる。
【0149】
図25は、上述のステージ装置を適用した露光装置の構成図である。露光装置31は、照明光学系32と、マスクMを保持して移動するマスクステージ装置33と、投影光学系PLと、ガラス基板Pを保持して移動する基板ステージ装置35と、を含んで構成される。
【0150】
照明光学系32は、いずれも図示していない光源ユニット、シャッタ、2次光源形成光学系、ビームスプリッタ、集光レンズ系、レチクルブラインド、および結像レンズ系から構成され、マスクステージ装置33に保持されたマスクM上の所定の照明領域(回路パターンを含んでいる)を照明光ILにより均一な照度で照明する。
【0151】
投影光学系PLは、光軸AX方向に沿って所定間隔で配置された複数枚のレンズエレメントを有する光学系(例えば屈折光学系)であり、照明光学系32からの照明光ILによってマスクMの照明領域が照明されると、このマスクMを通過した照明光により、投影光学系PLを介してマスクM上の照明領域の回路パターンの所定倍率の正立像がガラス基板P上に投影され、これによりガラス基板Pの表面に塗布されたフォトレジストが露光される。
【0152】
マスクステージ装置33または基板ステージ装置35の少なくともいずれか一方には、上述した図1のステージ装置を用いる。ここで、マスクステージ装置33として用いる場合にはプレートホルダ11にマスクMが保持され、基板ステージ装置35として用いる場合にはプレートホルダ11にガラス基板Pが保持される。
【0153】
以上のように、露光装置は、マスクステージに保持されたマスクのパターンを基板ステージに保持された感光基板に露光する露光装置であって、マスクステージと基板ステージの少なくとも一方のステージとして、位置決め装置を備える。
【0154】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0155】
例えば、ステージ装置(位置決め装置)のテーブル部は、オートフォーカス/レベリング制御により、そのピッチング、ローリング、及び高さが調節されてもよい。ここで、オートフォーカス/レベリング制御とは、テーブル部を垂直方向に駆動するアクチュエータにより、加速時におけるテーブル部の垂直方向の変動を、打ち消す制御である。
【0156】
また、例えば、コントローラは、イメージセンサにより撮像されたテーブル部の画像に基づいて、テーブル部の「たわみ」を測位してもよい。そして、オートフォーカス/レベリング制御により、ステージ装置(位置決め装置)のテーブル部の「たわみ」が、調節されてもよい。
【0157】
また、例えば、PID制御における微分は、擬似微分であってもよい。
【0158】
また、例えば、図23及び24におけるXYZ座標系は、図1におけるXYZ座標系とは異なる座標系であってもよい。
【0159】
なお、以上説明したようなステージ装置(位置決め装置)の設計方法又は製造方法を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0160】
本発明によるステージ装置(位置決め装置)は、露光装置に用いるステージ装置に限定されるものではなく、その適用範囲は任意であって、例えば、ロボットアーム等にも適用することが可能である。また、実施形態で説明したステージ装置では、測定対象部が設けられる第2ステージと第1ステージとを別部材とし、第1、第2ステージが第1方向(X方向に)に移動し、第2ステージが第1ステージに対して第2方向(Y方向)に移動できるように構成してあるが、このような構成に限定されるものでもない。並進(例えば、X方向への移動)方向に運動できる部材と回転方向に運動できる部材とをリンク機構で接続させたような構成に適用させることもできる。また、自由度を1つ(例えば1軸方向の並進運動)に制限した構成であっても、その構成が複数の質量体(慣性体)からなり、それらの質量体で挟まれた部分の剛性が弱い場合には、並進運動に加えて回転運動が組み合わされたように振舞う可能性がある。さらに、質量体が一体的であっても、或る部分の剛性が相対的に弱い場合には、等価的に見るとその箇所を境に複数の質量体からなるといえ、その箇所で回転運動が発生してしまうようなことも考えられる。そのような場合、回転運動を行なう箇所を境にして複数の質量体(部位)がバネ(ねじりバネ)成分を介して連結されていることと等価と見なせる。したがって、この回転運動の中心を回転中心Oと設定して、本発明を適用させることができる。
【符号の説明】
【0161】
1…ベース 2…X軸ガイド 3…Xキャリッジ 4…Yビームガイド 5,8,9…エアベアリング 6…Yリニアモータ 7…Yキャリッジ 10…プレートテーブル 11…プレートホルダ 12…位置センサ 100…Xステージ 200…Yステージ 201…慣性モーメント調整部 202…Xリニアモータ推力点位置調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に移動可能な第1ステージと、結合部により該第1ステージに結合され、該第1ステージに対して第2方向に移動可能な第2ステージと、前記第1ステージを前記第1方向に移動させる駆動部と、を備える位置決め装置の設計方法において、
前記駆動部が前記第1ステージを移動させる力と、前記第1方向における該第2ステージの位置と、の関係を表す伝達関数を算出し、該伝達関数に基づいて、剛体モードを示す式と、1次共振を示す式と、2次共振を示す式と、を算出し、
前記剛体モードに対する前記1次共振の位相と、前記剛体モードに対する前記2次共振の位相とに基づいて、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の作製上の諸元を定めることを特徴とする位置決め装置の設計方法。
【請求項2】
前記剛体モードに対する前記1次共振が同相となり、かつ前記剛体モードに対する前記2次共振が同相となるように、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の作製上の諸元を定めることを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置の設計方法。
【請求項3】
前記剛体モードに対して前記1次共振が同相となり、かつ前記剛体モードに対して前記2次共振が逆相となるように、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の重心から前記力の作用点までの距離を定めることを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置の設計方法。
【請求項4】
前記剛体モードに対して前記1次共振が逆相となり、かつ前記剛体モードに対して前記2次共振が逆相となるように、前記結合部の剛性を定めることを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置の設計方法。
【請求項5】
前記剛体モードに対して前記1次共振が同相となり、かつ前記剛体モードに対して前記2次共振が逆相となるように、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の重心から前記力の作用点までの距離と、前記結合部の剛性と、を定めることを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置の設計方法。
【請求項6】
前記剛体モードに対して前記1次共振が同相となり、かつ前記剛体モードに対して前記2次共振が同相となるように、前記第2ステージの慣性モーメントを定めることを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置の設計方法。
【請求項7】
4次以上の多項式で表される伝達関数に基づいて、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方のノミナルモデルの共振に対応する極を相殺するように、前記第1ステージを前記第1方向に移動させる前記駆動部を備える位置決め装置の設計方法において、
前記剛体モードに対して前記1次共振が逆相となり、かつ前記剛体モードに対して前記2次共振が逆相となるように、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の重心から前記力の作用点までの距離を定めることを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置の設計方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の設計方法を用いて、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方を作製することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の位置決め装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の設計方法を用いて決定した位置に、前記駆動部による前記力の作用点を定めることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の位置決め装置の製造方法。
【請求項10】
第1方向に移動可能な第1ステージと、結合部により該第1ステージに結合され、該第1ステージに対して第2方向に移動可能な第2ステージと、前記第1ステージを前記第1方向に移動させる駆動部と、を備える位置決め装置において、
前記駆動部が前記第1ステージを移動させる力と、前記第1方向における該第2ステージの位置と、の関係を表す伝達関数に基づく、剛体モードと、1次共振と、2次共振と、の関係に基づいて、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の作製上の諸元が定められた位置決め装置。
【請求項11】
前記駆動部が前記第1ステージを移動させる力と、前記第1方向における該第2ステージの位置と、の関係を表す伝達関数に基づく、剛体モードと、1次共振と、2次共振と、の関係が、前記剛体モードに対する前記1次共振が同相であり、かつ前記剛体モードに対する前記2次共振が同相である関係となるように、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の作製上の諸元が定められた請求項10に記載の位置決め装置。
【請求項12】
前記駆動部が前記第1ステージを移動させる力と、前記第1方向における該第2ステージの位置と、の関係を表す伝達関数に基づく、剛体モードと、1次共振と、2次共振と、の関係が、前記剛体モードに対して前記1次共振が同相であり、かつ前記剛体モードに対して前記2次共振が逆相である関係となるように、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の重心から前記力の作用点までの距離が定められた請求項10に記載の位置決め装置。
【請求項13】
前記駆動部が前記第1ステージを移動させる力と、前記第1方向における該第2ステージの位置と、の関係を表す伝達関数に基づく、剛体モードと、1次共振と、2次共振と、の関係が、前記剛体モードに対して前記1次共振が逆相であり、かつ前記剛体モードに対して前記2次共振が逆相である関係となるように、前記結合部の剛性が定められた請求項10に記載の位置決め装置。
【請求項14】
前記駆動部が前記第1ステージを移動させる力と、前記第1方向における該第2ステージの位置と、の関係を表す伝達関数に基づく、剛体モードと、1次共振と、2次共振と、の関係が、前記剛体モードに対して前記1次共振が同相であり、かつ前記剛体モードに対して前記2次共振が逆相である関係となるように、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の重心から前記力の作用点までの距離と、前記結合部の剛性と、が定められた請求項10に記載の位置決め装置。
【請求項15】
前記駆動部が前記第1ステージを移動させる力と、前記第1方向における該第2ステージの位置と、の関係を表す伝達関数に基づく、剛体モードと、1次共振と、2次共振と、の関係が、前記剛体モードに対して前記1次共振が同相であり、かつ前記剛体モードに対して前記2次共振が同相である関係となるように、前記第2ステージの慣性モーメントが定められた請求項10に記載の位置決め装置。
【請求項16】
4次以上の多項式で表される伝達関数に基づいて、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方のノミナルモデルの共振に対応する極を相殺するように、前記第1ステージを前記第1方向に移動させる前記駆動部を備える位置決め装置において、
前記駆動部が前記第1ステージを移動させる力と、前記第1方向における該第2ステージの位置と、の関係を表す伝達関数に基づく、剛体モードと、1次共振と、2次共振と、の関係が、前記剛体モードに対して前記1次共振が逆相であり、かつ前記剛体モードに対して前記2次共振が逆相である関係となるように、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の重心から前記力の作用点までの距離が定められた請求項10に記載の位置決め装置。
【請求項17】
前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の重心から前記力の作用点までの距離を調整する距離調整部を備えることを特徴とする請求項10から請求項16のいずれか1つに記載の位置決め装置。
【請求項18】
前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の慣性モーメントを調整する慣性モーメント調整部を備えることを特徴とする請求項10から請求項17のいずれか1つに記載の位置決め装置。
【請求項19】
マスクステージに保持されたマスクのパターンを基板ステージに保持された感光基板に露光する露光装置であって、
前記マスクステージと前記基板ステージの少なくとも一方のステージとして、請求項10から請求項18のいずれか1つに記載の位置決め装置を備えることを特徴とする露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−187584(P2011−187584A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49856(P2010−49856)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(504182255)国立大学法人横浜国立大学 (429)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】