説明

低吸湿性ハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、及び放射線検出器及び検査装置

【課題】陽電子放出核種断層撮影装置、シングルフォトン断層法、コンピューター断層撮影装置等に有用な、高発光量・短蛍光寿命を有するシンチレータ単結晶、並びに該単結晶の製造法の提供。
【解決手段】RERE’(F1−dで表されることを特徴とするハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料。(REはCe,Prのいずれか1種以上、RE’はLa,Gd,Yb,Lu,Yから選ばれた1種又は2種以上、Mは、Li,Na,K,Cs,Rb,Mg,Ca,Sr,Ba,Alから選ばれた1種又は2種以上、XはCl,Br,Iから選ばれた1種又は2種以上である。)該単結晶の製造法は、前記で表される組成の融液から、マイクロ引き下げ法により単結晶を育成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフッ素イオンを他のハロゲンイオン(Cl,Br,I)で一部置換した低吸湿性のハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料及びその製造方法並びに放射線検出器及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
陽電子放出核種断層撮影装置(PET)装置においては、比較的エネルギーの高いガンマ線(消滅ガンマ線:511eV)が同時計数により検出されるため、感度が高くかつ高速応答が得られるシンチレーション検出器が採用されてきた。検出器特性には、高計数率特性や偶発同時計数ノイズ除去のための高い時間分解能が要求され、さらに体内からの散乱線除去のためエネルギー分解能が良いことも望まれる。
【0003】
そこで、これらの要求を満たす検出器に適するシンチレータとして、検出効率の点から密度が高く原子番号が大きいこと(光電吸収比が高いこと)、高速応答の必要性や高エネルギー分解能の点から発光量が多く、蛍光寿命(蛍光減衰時間)の短いことが望まれる。また、近年のシステムでは多層化・高分解能化のため、多量のシンチレータを微細で細長い形状で稠密に並べる必要から、取り扱い易さ、加工性、さらには価格も重要な選定要因となっている。
【0004】
Tl:NaIは、発光量が多く比較的安価なため、シンチレーション検出器に最も一般的に使用されていたが、低密度ゆえ、検出器の感度向上が期待できないことに加え、潮解性による取り扱いにくさから、BiGe12(BGO)に取って代わられた。
【0005】
BGOは、波長490nm,屈折率は2.15、密度は7.13g/cmでTl:NaIの2倍の密度を持つため、ガンマ線に対してより高い線エネルギー吸収係数をもっている。また、Tl:NaIには吸湿性があるのに対して、BGOは吸湿性がなく、加工し易い利点もある。欠点としては、BGOの蛍光変換効率がTl:NaIのそれの8%と小さいので、ガンマ線に対する光出力はTl:NaIより小さく、またエネルギー分解能は1MeVのガンマ線に対してTl:NaIが7%であるのに対して、BGOでは15%である点が挙げられる。また蛍光減衰時間が300nsec程度と比較的長いので、PETやSPECTなどのフォトンカウンティングを行うデバイスへの応用のためには更なる短寿命のシンチレータの開発が望まれている。
【0006】
BaFは、紫外域(〜220nm付近)に非常に早い成分(〜0.8nsec)が存在するため、高時間分解能が期待出来る。この高速性を用い、飛行時間差を利用したタイム・オブ・フライト(TOF)型PET用シンチレータの有力候補材とされた。しかし、得られた時間分解能は400psec程度(位置分解能に換算して6cmほど)であったため、直接イメージングに時間情報を使用するに至らず、信号対雑音比や計数率特性向上をもたらすにとどまった。また光電子増倍管(PMT)に関しても、220nm付近という波長を透過させる場合、高価な窓材が必要となり、デバイスのコスト増に繋がる。しかも、BaFはBGOに比較して検出効率が有意に劣るため、解像力や感度特性が低く、現在はTOF型のみに特化したPETの開発はほとんど行われていない。
【0007】
Ce:GdSiO(Ce:GSO)は、我が国で開発されたもので、BGOと比べ検出感度ではやや劣るが、密度(6.71g/cm)、光量(BGOの2倍)、応答速度(30〜60nsec )、放射線耐性(>105gray)ともにバランスのとれた高性能シンチレータである。しかしながら、やや遅い立ち上がり、放射線に対するpositive−hysteresis(照射によって光量が増加する性質)、強い劈開性といった問題も有する。
【0008】
現在、最先端とされるシンチレータ結晶はCe添加LuSiO(Ce:LSO)であり、高密度(〜7.39g/cm)・短寿命(約50nsec)・高発光量(BGOの3倍以上)という優れたシンチレータ特性を有する。このLSO結晶はチョコラルスキー法で作製可能であるため、CTI Molecular Imaging Inc.(CTI)、Crystal Photonics Inc.(CPI)など、米国企業を中心に数百億円の市場を有する。しかしながら、一方で、2150℃という極めて高い融点と線膨張係数の異方性が高いなどの特徴から、製造・加工のコストが高く、歩留まりも悪いという問題を抱えている。一般に高融点酸化物単結晶の融液成長にはイリジウム(Ir)という金属が坩堝材として用いられるが、2000℃を超える温度は、Irの軟化温度に近いため、LSOの結晶製造には極めてシビアな温度制御が要求される。加えて、Ir坩堝の使用可能寿命も短いため、膨大な坩堝改鋳費用も製造メーカーにとって大きな負担となっている。更に、この超高温を実現するために高周波発振機も高出力が必要となるため、総じてランニングコストが高くなってしまっている。
【0009】
さらに近年、希土類塩化物や臭化物結晶などのハロゲン系結晶のシンチレータについて精力的に研究が進められている。これらハロゲン系結晶のうち、Ce:LaBrはTl:NaIに比較して密度が40%大きい5.3g/cm、発光出力が1.6倍と優れた特性をもっている。しかし、これら塩化物、臭化物、沃化物などのハロゲン化物材料はフッ化物とは異なり、ほとんど全ての化合物は、吸湿性が極めて強いため、結晶成長及びその後の取り扱いにかなりの困難が予想される。
【0010】
シンチレータ用発光材料として使用されているCe:GSO、Ce:LSOは、発光元素であるCeが多量に含まれる方が発光量は増えるが、数%を超えるとコンセントレーションクエンチング(濃度消光)が顕著となり、シンチレータ効果を示さなくなってしまう。更に、Ceは希土類イオンの中でもLaに次いで大きく、母結晶における代表的な希土類イオン(Y, Gd, Lu)と比して有意に大きいため、Ceの実効偏析係数が1から大きくずれてしまう。すなわち、育成方向に沿ったCeの組成変動が避けられない。この現象は、蛍光減衰時間、発光量等の物性値を変化させてしまう原因となり、高精度仕様のPET等に用いる際に大きな問題となっている。
【0011】
一方、特開2005−54044などに示されるように、フォトンカウンティングを要するシンチレータではないものの、高感度高画質の放射線像変換パネル用の輝尽性蛍光体の原料として、希土類元素含有BaFI結晶、BaFBr結晶が現在使用され始めている。しかしこれらは、原料となるフッ化バリウム、沃化バリウム、臭化バリウム、希土類元素ハロゲン化物等を一緒にして乾式法により混合するか、又は溶媒中にこれらの化合物を懸濁させて混合した後、焼成、粉砕する方法により製造されている。さらに、輝尽性蛍光体層の層厚は、通常、10μm〜1000μmほどの薄膜であるため、この程度の薄膜では、透過性は特に問題とならないが、シンチレータ用の結晶は、前記の1000倍以上の厚みであるため、前記の方法で作成した結晶は光散乱が起き、透過性がほとんど無く、シンチレータ結晶として使用は困難となる。さらにシンチレータ結晶に要求されている短蛍光寿命(減衰時間)は、放射線像変換パネル用の輝尽性蛍光体は特に考慮されていないため、一般的に長寿命(500nsec、もしくは1000nsec以上)であり、特開2005−54044などの放射線像変換パネル用の輝尽性蛍光体は、フォトンカウンティングを要するシンチレータとして使用することは困難である。
【0012】
このような中で、現在、コストも含め、一層高いエネルギー吸収係数を有し、非吸湿性でエネルギー分解能や時間分解能の高い次世代シンチレータの開発が望まれている。コストの観点からは酸化物よりも、より融点の低いフッ化物が望まれる。さらにフッ化物の中には、吸湿性の強いものもあるが、大部分は非吸湿性であるため、塩化物、臭化物が有する潮解性の問題をクリアすることが可能であるため、フッ化物を母結晶とし、さらに発光量の期待が持てるハロゲン置換フッ化物材料とすることが望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は前記のような問題点を解決するために提案されたもので、その目的とするところは、非吸湿性であり、且つBGO以上の性能を有し、高発光量(BGOの2倍以上)且つ短蛍光寿命(減衰時間)等の物性を有しつつ、製造コストの低減を実現することである。さらには、このように優れたシンチレータ材料を、酸化物に比して融点の低いハロゲン置換フッ化物材料で達成することが目的とするところである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するために、本発明者等が鋭意研究を行なったところ、フッ化物が有する非吸湿性と、塩化物、臭化物、沃化物が有する高発光量を組み合わせ、最適な組成としたハロゲン置換フッ化物固溶体を形成し、さらにハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料中の残存酸素成分を低減させることで、非吸湿性でありながら、高絶対光収率且つ、高発光量で短蛍光寿命(減衰時間)を達成し、本発明を為すに至った。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、非吸湿性でありながら、BGO以上の高絶対光収率且つ、高発光量で短蛍光寿命(減衰時間)性能を有するハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料を見出した。また、低融点(〜1500℃)であるため、結晶の製造にかかる電力量、冷却水量等の減少が期待される。また、坩堝材として、PtやIrも使用可能であるが、それらに比して安価なカーボン坩堝も使用可能であり、この点も製造コストの低減に繋がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明においては、RERE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、好ましくはCeRE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、又は、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、その中でも特に好ましくは、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料を用いることによって、絶対光収率をBGOの8200光子/MeVより大幅に向上させることが可能となる。
【0017】
但し、REはCe,Prのいずれか1種以上の希土類元素であるが、その中でも特にCeが好ましい。またRE’はLa,Ce,Gd,Yb,Lu,Yから選ばれた1種又は2種以上の希土類元素であるが、その中でも特にY,Gd,Yb,Luが好ましい。
【0018】
さらに、Mは、Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Ca,Sr,Ba,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Pd,Cd,Pb,Zr,Hfのいずれか1種以上であれば特に限定されないが、好ましくはLi,Na,K,Cs,Rb,Mg,Ca,Sr,Ba,Alから選ばれた1種又は2種以上、その中でも特にアルカリ土類金属(AE)であるMg,Ca,Sr,Baが好ましい。
【0019】
また、XはCl,Br,Iのいずれか1種以上であれば特に限定されないが、着色等の問題を加味すると、好ましくは、Cl,Brのいずれか1種以上、さらに特に好ましくはClである。
【0020】
一方、上記ハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料としては、結晶欠陥による消光や長寿命成分の増加を考慮すると、ハロゲン置換フッ化物単結晶であることが好ましいが、ガラス状態であっても構わなく、ハロゲン置換フッ化物透明セラミックスを用いることも可能である。
【0021】
本発明のハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料として具体的には、以下のように表される。
【0022】
CeF1.50Cl1.50、CeF2。00Cl1.00、CeF2.50Cl0.50、CeF2.9Cl0.10、CeF2.99Cl0.01、CeF1.50Br1.50、CeF2.00Br1.00、CeF2.50Br0.50、CeF2.90Br0.10、CeF2.95Br0.05、CeF1.501.50、CeF2。001.00、CeF2.500.50、CeF2.900.10、CeF2.990.01、CeF1.50Cl1.00Br0.50、CeF2。00Cl1.00、CeF2.50Cl0.100.40、CeF2.90Cl0.09Br0.01、CeF2.98Br0.010.01、Pr0.01Ce0.991.50Cl1.50、Pr0.10Ce0.902.5Br0.5、Pr0.50Ce0.502.900.10、Ce0.01BaFCl0.01、Ce0.05BaF1.95Br0.10、Ce0.10BaF1.600.50、Ce0.01CaF1.50Cl0.51、Ce0.05CaF1.55Br0.50、Ce0.10CaF1.600.50、Ce0.01SrF1.01Cl1.00、Ce0.05SrF1.55Br0.50、Ce0.10SrF1.600.50、Ce0.01MgF1.50Cl0.51、Ce0.05MgF1.55Br0.50、Ce0.10MgF1.600.50、Ce0.02Gd0.430.552.99Cl0.01、Ce0.01Gd0.44Lu0.552.98Cl0.02、Ce0.02Gd0.43Yb0.552.99Br0.01、Ce0.01Gd0.44Lu0.552.98Br0.02、Ce0.02Gd0.43Yb0.552.990.01、Ce0.01Gd0.44Lu0.552.980.02、Sr0.01Ce0.01Gd0.430.552.95Cl0.04、 Sr0.02Ce0.01Gd0.42Lu0.552.95Cl0.03、Sr0.01Ce0.01Gd0.430.552.95Br0.04、 Sr0.02Ce0.01Gd0.42Lu0.552.95Br0.03、Sr0.01Ce0.01Gd0.43Yb0.552.950.04、 Sr0.02Ce0.01Gd0.42Lu0.552.950.03、Ce0.01Gd0.78Sr0.152.50Cl0.35、Ce0.01Gd0.78Sr0.152.50Br0.35、Ce0.01Gd0.78Sr0.152.500.35、Ce0.01Gd0.78Ca0.152.50Cl0.35、Ce0.01Gd0.78Ca0.152.50Br0.35、Ce0.01Gd0.78Ca0.152.500.35、Ce0.032.971.009.00Cl1.00、Ce0.032.971.008.00Br2.00、Ce0.032.971.007.003.00、Pr0.032.971.009.00Cl1.00、Pr0.032.971.008.00Br2.00、Pr0.032.971.007.003.00、Pr0.03Gd1.20Yb1.77Li1.006.00Cl4.00、Pr0.03Gd1.20Yb1.77Li1.007.00Br3.00、Pr0.03Gd1.20Yb1.77Li1.007.502.50、Ce0.03Lu1.201.771.007.70Cl2.30、Ce0.03Lu1.201.771.008.70Br1.30、Ce0.03Lu1.201.771.009.700.30、Pr0.03Lu1.201.771.007.70Cl2.30、Pr0.03Lu1.201.771.008.70Br1.30、Pr0.03Lu1.201.771.009.700.30、Pr0.01Ba1.00Mg1.003.01Cl1.00、Ce0.01Ba1.00Mg1.003.01Cl1.00、Pr0.01Ba1.00Mg1.002.01Br2.00、Ce0.01Ba1.00Mg1.003.011.00、Pr0.01Ba2。000.994.00Cl3.00、Pr0.01Ba2。000.996.00Br1.00、Pr0.01Ba2。000.995.002.00、Ce0.01Ba2。000.994.00Cl3.00、Pr0.01Ba2。00Yb0.994.00Cl3.00、Pr0.01Ba2。00Yb0.996.00Br1.00、Pr0.01Ba2。00Yb0.995.002.00、Ce0.01Ba2。00Yb0.994.00Cl3.00、Pr0.01Ba2。000.995.00Cl3.00、Pr0.01Ba2。000.996.00Br1.00、Pr0.01Ba2。000.996.002.00、Ce0.01Ba2。000.995.00Cl3.00、Ce0.03Lu2.971.009。00Cl1.00、Pr0.03Lu2.971.009。00Cl1.00、Pr0.03Lu2.971.009。00Br1.00、Pr0.03Lu2.971.009。001.00などが挙げられる。
【0023】
RERE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、好ましくはCeRE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、又は、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、その中でも特に好ましくは、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料組成において、絶対光収率(光子/MeV)は、1000〜200000(光子/MeV)程度が可能であるが、好ましくは、8000〜200000(光子/MeV)、さらに特に好ましくは、80000〜200000(光子/MeV)、その中でも8000〜120000(光子/MeV)が好ましく、さらに好ましくは、16000〜80000(光子/MeV)であり、非常に高発光量を持ったハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料である。つまり、BGOに対する絶対光収率比が、0.125〜25倍、好ましくは1〜25倍、さらに特に好ましくは10〜25倍である。また、エネルギー遷移による蛍光寿命の長時間化との関連性を考慮に入れた技術効果の観点からは、1〜15倍が好ましく、2〜10倍がさらに好ましい。
【0024】
さらに、RERE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、好ましくはCeRE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、又は、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、その中でも特に好ましくは、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料組成において、REであるCe,Pr、その中でも特に好ましくはCeであるが、REの濃度aは0.0000≦a<1.0000であり、好ましくは0.0000<a≦0.5000、より好ましくは0.0050≦a≦0.4000、特に好ましくは0.0100≦a≦0.3000である。
【0025】
RERE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、好ましくはCeRE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、又は、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、その中でも特に好ましくは、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料の特徴は、Ce,Pr、その中でも特に好ましくはCeを高濃度で固溶させた場合(0.5000≦a<1.0000、好ましくは0.7000≦a<1.0000、特に好ましくは0.9000≦a<1.0000)において、CeFよりも、非常に優れたシンチレータ材料となる。
【0026】
RERE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、好ましくはCeRE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、又は、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、その中でも特に好ましくは、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料組成において、bの範囲は、0.0000≦b<5.0000が好ましい。
【0027】
さらにRERE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、好ましくはCeRE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、又は、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、その中でも特に好ましくは、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料組成において、cの範囲は0.0000≦c<5.0000である。
【0028】
加えて、RERE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、好ましくはCeRE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、又は、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、その中でも特に好ましくは、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料組成において、Fの量を表すeの範囲は、1.0000≦e≦20.000である。
【0029】
一方、RERE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、好ましくはCeRE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、又は、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、その中でも特に好ましくは、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料組成において、フッ化とフッ化物以外のハロゲン化物の比を表すdの値は、発光量を加味すると出来る限り高い方が有利であり、0.0001≦d≦0.9999であるが、吸湿性を加味した場合、より好ましくは0.0001≦d≦0.5000、さらに特に好ましくは0.0001≦d≦0.1000である。
【0030】
フッ化物を除くハロゲン化物(塩化物、臭化物、沃化物)原料としては、一般的なハロゲン化物原料が使用可能であるが、シンチレータ材料として使用する場合、特に目的とする組成以外の金属不純物が極力少ない(例えば1ppm以下)ものが特に好ましい。しかし、これらフッ化物を除くハロゲン化物は、非常に吸湿性が高いため、短時間でも大気中に放置するだけで、水和物の形態となってしまう。そこで、シンチレータ材料として使用する場合、Nなどの不活性ガス中で予備乾燥を行い、即座に取り出し、水分の極めて低い雰囲気下で秤量、混合を行うか、以下のフッ化物原料と一旦固溶体を作成した後に、ハロゲン置換フッ化物中の水分を除去しても構わない。
【0031】
さらに、用いるハロゲン化物は、CeCl、CeBr、CeIなどの賦活剤の形態で添加することが好ましいが、LaCl、LaBr、LaI、BaCl、BaBr、BaI、CaCl、CaBr、CaIなどの形態で添加しても構わない。
【0032】
一方、吸湿性が非常に低いフッ化物出発原料としては、一般的なフッ化物原料が使用可能であるが、シンチレータ材料用単結晶として使用する場合、99.9%以上(3N以上)の高純度フッ化物原料を用いることが特に好ましく、これらの出発原料を目的組成となるように秤量、混合したものを用いる。さらにこれらの原料中には、特に目的とする組成以外の不純物が極力少ない(例えば1wtppm以下)ものが特に好ましい。また使用する原料の酸素濃度は、より低いものが好ましい。しかし、酸素濃度が高い原料を使用する場合は、フッ素化合物ガス雰囲気下で前処理を行う、もしくはフッ素化合物をスカベンジャーとして10wt%以下添加することにより、低酸素状態のメルトとすることが必要である。
【0033】
さらに結晶製造過程において、真空雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、極低酸素雰囲気下に加え、フッ素化合物を含むガス雰囲気下での製造が好ましい。また単結晶製造工程に加えて、原料の溶融操作などの前工程・アニールなどの後工程においても同様である。ここで、フッ素化合物を含むガスとしては、一般的に使用されているCFが特に好ましいが、Fガス、HF、BFガス等も使用することが出来る。さらにこれらのガスは、不活性ガス(例えば、Ar、N、He等)で希釈されたものを使用しても構わない。
【0034】
RERE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、好ましくはCeRE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、又は、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、その中でも特に好ましくは、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料は、微量の酸素が残存していると、容易に希土類オキシフロライドになる。
【0035】
本発明者等が研究を行なったところ、シンチレータ材料中の残存酸素成分(含オキシフロライド)は、発光量の低下に繋がることを発見した。その結果、ハロゲン置換フッ化物単結晶、又はハロゲン置換フッ化物透明セラミックス中の残存酸素濃度が10000wtppm未満、さらに好ましくは1000wtppm未満、さらに特に好ましくは100wtppm未満に抑えることによって、高発光量を維持できることが判明した。
【0036】
RERE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、好ましくはCeRE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、又は、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、その中でも特に好ましくは、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、さらにその中でもこれら単結晶作成方法として、マイクロ引き下げ法、チョコラルスキー法、ブリッジマン法、ゾーンメルト法、又はEFG法等、特に制限なく、使用可能であるが、歩留まりを向上させ、相対的には加工ロスを軽減させる目的で、大型単結晶を得るためには、チョコラルスキー法又はブリッジマン法が好ましい。一方、シンチレータ結晶として小型の単結晶のみを使用するのであれば、後加工の必要が無いあるいは少ないことから、ゾーンメルト法、EFG法、マイクロ引き下げ法が好ましいが、坩堝との濡れ性などの理由から、マイクロ引き下げ法、ゾーンメルト法が特に好ましい。さらにその中でもRERE’(F1−dで表される組成の融液から、マイクロ引き下げ法により単結晶を育成することが特に好ましい。
【0037】
また使用するフッ化物原料の融点はいずれも1500℃未満であるため、マイクロ引き下げ法、チョコラルスキー法、ブリッジマン法、ゾーンメルト法、又はEFG法等のいずれの結晶育成操作においても、使用する温度は1500℃未満で十分である。従って、高周波発振機の出力もGSOに比して優位に低減されるため、製造コストの低減に繋がる。さらに高周波発振機のみならず抵抗加熱法の使用も可能である。また、使用する坩堝・アフターヒータは、白金、イリジウム、ロジウム、レニウム、またはこれらの合金を使用することも可能であるが、GSO等の酸化物の結晶作成工程には適していない、カーボンを使用することが可能となるため、さらに製造コストの低減に繋がる。
【0038】
以下に本発明の発光材料について、マイクロ引下げ法を用いた単結晶製造法を以下に一例として示すが、これに限定されたものではない。
【0039】
マイクロ引下げ法については、高周波誘導加熱による精密雰囲気制御型マイクロ引下げ装置を用いて行う。マイクロ引下げ装置は、坩堝と、坩堝底部に設けた細孔から流出する融液に接触させる種を保持する種保持具と、種保持具を下方に移動させる移動機構と、該移動機構の移動速度制御装置と、坩堝を加熱する誘導加熱手段とを具備した一方向凝固結晶成長装置である。
【0040】
該坩堝はカーボン、白金、イリジウム、ロジウム、レニウム、またはこれらの合金であり、坩堝底部外周にカーボン、白金、イリジウム、ロジウム、レニウム、またはこれらの合金からなる発熱体であるアフターヒータを配置する。坩堝及びアフターヒータは、誘導加熱手段の出力調整により、発熱量の調整を可能とすることによって、坩堝底部に設けた細孔から引き出される融液の固液境界領域の温度およびその分布の制御を可能としている。
【0041】
またこの精密雰囲気制御型マイクロ引き下げ装置は、ハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料の結晶成長を可能にするため、チャンバー内の雰囲気を精密に制御できる。チャンバーの材質にはSUS、窓材にはCaFを採用し、フッ化物結晶育成で最も重要である高真空排気を可能にするため、既設のローターリポンプにディフュージョンポンプあるいはターボ分子ポンプを付随し、真空度が1×10−3Pa以下にすることを可能にした装置である。また、チャンバーへは付随するガスフローメータにより精密に調整された流量でCF、Ar、N、Hガス等を導入できるものである。
【0042】
この装置を用いて、上述の方法にて準備した原料を坩堝に入れ、炉内を高真空排気した後、表面に吸着している水分を除去するために、ベーキングを行い、その後、高純度Arガス(6N品)や高純度CFガス(6N品)を炉内に導入することにより、炉内を不活性ガスあるいはフッ素化合物ガス雰囲気とし、高周波誘導加熱コイルに高周波電力を徐々に印加することにより坩堝を加熱して、坩堝内の原料を完全に融解する。
【0043】
続いて、次のような手順で結晶を成長させる。種結晶を所定の速度で徐々に上昇させて、その先端を坩堝下端の細孔に接触させて充分になじませたら、融液温度を調整しつつ、引下げ軸を下降させることで結晶を成長させる。種結晶としては、結晶成長対象物と同等ないしは、構造・組成ともに近いものを使用することが好ましいがこれに限定されたものではない。また種結晶として方位の明確なものを使用することが好ましい。準備した材料が全て結晶化し、融液が無くなった時点で結晶成長終了となる。一方、組成を均一に保つ目的および長尺化の目的で、原料の連続チャージ用機器を取り入れても構わない。
【0044】
このようにして得られたハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料の1時間当たりの吸湿量(湿度50%雰囲気下)はいずれも15wt%未満であった。一方、塩化物、臭化物、沃化物単体では、いずれも15wt%以上であった。従って、RERE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、好ましくはCeRE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、又は、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、その中でも特に好ましくは、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料の24時間当たりの吸湿量(湿度50%雰囲気下)は、好ましくは5wt%未満、さらに好ましくは1wt%以下、特に好ましくは0.5wt%以下であることが特徴である。
【0045】
本発明のシンチレータに入射される放射線(励起光)としては、シンチレータに吸収された際にその結晶中に励起状態を形成するものであればよく、例えばγ線、α線、β線、X線、紫外線、中性子線が挙げられる。
【0046】
RERE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、好ましくはCeRE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、又は、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、その中でも特に好ましくは、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料よりなるシンチレータと光応答手段とを組み合わせることで、放射線検出器としての使用が可能となる。さらに、これらの放射線検出器を放射線検出器として備えたことを特徴とする放射線検査装置としても使用可能である。
【0047】
また、RERE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、好ましくはCeRE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、又は、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、その中でも特に好ましくは、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料の出現により、高解像度の撮影画像を得ることが可能な放射線検査装置を提供することが可能となる。
【0048】
放射線検査装置としては、医用画像処理装置、例えば、PET、X線CT、SPECTなどが好適である。また、PETは、特に限定されることは無いが、2次元型PET、三次元型PET、TOF型PET、深さ検出(DOI)型PETが好ましい。さらに、これらを組み合わせて使用しても構わない。
【0049】
シンチレータ用発光材料として使用されているBGOの蛍光減衰時間が室温にて、300nsecであり、高時間分解能は期待出来ない。
【0050】
一方、RERE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、好ましくはCeRE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、又は、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、その中でも特に好ましくは、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料は、BGOに対する絶対光収率比が、0.125〜25倍、好ましくは1〜25倍、さらに特に好ましくは10〜25倍であり、非常に高発光量を有しながらも、これら結晶の蛍光成分のうちの少なくとも一つの減衰時間が室温にて50nsec以下(400nm付近)であり、高時間分解能が期待出来る。
【0051】
一方現在、様々なフッ化物結晶等において蛍光成分のうちの少なくとも一つの減衰時間が室温にて〜50nsec以下のものも発明されているが、これらはいずれも発光量が極めて低いため、シンチレータ材料としては未だ使用されていないのが実情であるため、該ハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料の優位性が示される。
【0052】
さらに前記結晶を使用した超短寿命シンチレータと位置検出型光電子増倍管(PS−PMT)、フォトダイオード(PD)またはアバランシェ―フォトダイオード(APD)と光応答手段とを組み合わせることで、放射線検出器としての使用が可能となる。さらに、これらの放射線検出器を放射線検出器として備えたことを特徴とする放射線検査装置としても使用可能である。また放射線検査装置は単体、または、磁気共鳴画像(MRI)、コンピューター断層撮影装置(CT)、シングルフォトン断層法(SPECT)、ガンマカメラのいずれか、もしくはこれらを組み合わせて使用しても構わない。
【実施例】
【0053】
以下、本発明の具体例について、図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。
【0054】
(例)
マイクロ引下げ法により、RERE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ単結晶育成を行った。
【0055】
得られた結晶写真を図1〜図3に示したが、いずれも、無色透明な結晶が得られた。図1はCeF2.975Cl0.025であり、図2はCe0.03Ba0.971.94Cl0.09であり、図3はCe0.01BaF1.011.00である。
【0056】
図4は、BGOとCeF2.975Cl0.025、Ce0.03Ba0.971.94Cl0.09、Ce0.01BaF1.011.00の発光特性をRadioluminescenceにて測定した結果である。
【0057】
さらに、CeF2.975Cl0.025の290nmにおける蛍光減衰時間をPhotoluminescenceにて測定した結果、17.0nsecであった。また、370nmにおける蛍光減衰時間をPhotoluminescenceにて測定した結果、17.6nsecであり、非常に短寿命であることが判明した。さらに、Ce0.01BaF1.011.00の340nmにおける蛍光減衰時間をPhotoluminescenceにて測定した結果、29.4nsecであった。
【0058】
また表1は、湿度50%での24時間当たりの吸湿率を測定した結果である。
【表1】

【0059】
これらの結果からもわかる通り、本発明におけるRERE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、好ましくはCeRE’(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、又は、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料、その中でも特に好ましくは、Ce(F1−dで表されるハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料は非吸湿性であり、且つその発光量は、酸素濃度が1000ppm以下のものについては、BGOに対し6〜17倍であり、非常に高絶対光収率である。さらに蛍光減衰時間は、50nsec未満であり、シンチレータ材料として非常に優れていることが分かる。
【0060】
以上のことより、本実施例は、非吸湿性でありながら、400nm付近においては、BGOに比べ数倍の高発光量と短蛍光寿命を有するハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料である。さらに、安価なカーボン坩堝も使用可能であり、且つ、低融点であるため、単結晶育成時の電力量が低減可能であるなど、製造コストの低減に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明による、マイクロ引下げ法にて作成した、CeF2.975Cl0.025の結晶写真の一例である。
【図2】本発明による、マイクロ引下げ法にて作成した、Ce0.03Ba0.971.94Cl0.09の結晶写真の一例である。
【図3】本発明による、マイクロ引下げ法にて作成した、Ce0.01BaF1.011.00の結晶写真の一例である。
【図4】BGOとCeF2.975Cl0.025、Ce0.03Ba0.971.94Cl0.09、Ce0.01BaF1.011.00の発光特性をRadioluminescenceにて測定した結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RERE’(F1−dで表されることを特徴とするハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料
但し、REはCe,Prのいずれか1種以上、RE’はLa,Gd,Yb,Lu,Yから選ばれた1種又は2種以上、Mは、Li,Na,K,Cs,Rb,Mg,Ca,Sr,Ba,Alから選ばれた1種又は2種以上、XはCl,Br,Iから選ばれた1種又は2種以上である。
【請求項2】
CeRE’(F1−dで表されることを特徴とする請求項1記載のハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料。但し、RE’はLa,Gd,Yb,Lu,Yから選ばれた1種又は2種以上、XはCl,Br,Iから選ばれた1種又は2種以上である。
【請求項3】
Ce(F1−dで表されることを特徴とする請求項1又は2記載のハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料。但し、Mは、Mg,Ca,Sr,Ba,Alから選ばれた1種又は2種以上、XはCl,Br,Iから選ばれた1種又は2種以上である。
【請求項4】
Ce(F1−dで表されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料。但し、XはCl,Br,Iから選ばれた1種又は2種以上である。
【請求項5】
前記シンチレータ材料は、ハロゲン置換フッ化物単結晶、ハロゲン置換フッ化物多結晶、又はハロゲン置換フッ化物透明セラミックスであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料
【請求項6】
0.0000<a≦1.0000、0.0000≦b<5.0000、0.0000≦c<5.0000、1.0000≦e≦20.000であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料
【請求項7】
0.0001≦d≦0.9999であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料
【請求項8】
0.0001≦d≦0.5000であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料
【請求項9】
0.0001≦d≦0.1000であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料
【請求項10】
湿度50%での24時間当たりの吸湿量が5wt%未満であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載のハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料
【請求項11】
湿度50%での24時間当たりの吸湿量が0.5wt%以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載のハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料
【請求項12】
前記結晶は、マイクロ引き下げ法、チョコラルスキー法、ブリッジマン法、帯溶融法(ゾーンメルト法)、縁部限定薄膜供給結晶成長(EFG法)のいずれかにより育成されたものであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載のハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料
【請求項13】
RERE’(F1−dで表される組成の融液から、マイクロ引き下げ法により単結晶を育成することを特徴とする1乃至12のいずれか1項記載のハロゲン置換フッ化物単結晶の製造方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項記載のハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料よりなるシンチレータと光応答手段(光電子増倍管(PMT),位置検出型光電子増倍管(PS−PMT)、フォトダイオード(PD)又はアバランシェーフォトダイオード(APD)など)とを組み合わせてなることを特徴とする放射線検出器。
【請求項15】
請求項14記載の放射線検出器を放射線検出器として備えたことを特徴とする放射線検査装置。
【請求項16】
前記ハロゲン置換フッ化物シンチレータ材料の蛍光成分のうちの少なくとも一つの減衰時間が室温にて50nsec以下であることを特徴とする、請求項17記載の放射線検出装置。
【請求項17】
前記放射線検査装置は、陽電子放出核種断層撮影装置(PET)であることを特徴とする請求項16記載の医用画像処理装置用放射線検査装置。
【請求項18】
前記PETは、2次元型PET、三次元型PET、タイム・オブ・フライト(TOF)型PET、深さ検出(DOI)型PET、もしくはそれらの組み合わせ型であることを特徴とする請求項15記載の医用画像処理装置用放射線検査装置。
【請求項19】
前記医用画像処理装置用放射線検査装置は単体、又は磁気共鳴画像装置(MRI)、コンピューター断層撮影装置(CT)、シングルフォトン断層法(SPECT)、ガンマカメラのいずれか、もしくはこれらの組み合わせ型であることを特徴とする請求項15記載の医用画像処理装置用放射線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−45869(P2007−45869A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−229090(P2005−229090)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(000162847)ステラケミファ株式会社 (81)
【Fターム(参考)】