説明

低抵抗材料のビーム誘起堆積

【課題】低抵抗率金属を堆積することができるビーム堆積方法を提供する。
【解決手段】ヘキサメチル二スズのようなメチル化又はエチル化金属などの低抵抗率の金属材料を堆積できる前駆体を試料表面に向けて導入し、ガリウム集束イオンビームを試料表面の所望の位置に照射して、その位置に40μΩ・cmと低い抵抗率のスズ膜を堆積する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子及びイオンビーム誘起堆積に関し、特に、金属スズ、酸化スズ及び/又は窒化スズのビーム誘起堆積に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、電子ビーム誘起堆積(EBID)及びイオンビーム誘起堆積(IBID)を経て基板上に材料を堆積することが知られている。既知の方法によれば、基板は、荷電粒子ビーム装置、典型的には、電子ビーム(E−beam)システム又は集束イオンビーム(FIB)システムのいずれかの排気可能な試料室に設置される。荷電粒子(又は他の)ビームは、前駆体気体とも呼ばれる堆積気体の存在下で基板の表面に当てられる。前駆体気体の層は、ワークピースの表面に吸着する。その層の厚さは、基板表面上での気体分子の吸着と脱着の均衡によって支配され、それらは、順に、例えば、気体分圧(秒当たりにいくつの分子が吸着されるか決定する)、及び付着係数(一分子が平均してどのくらいの時間、表面に吸着しているかを示す)に依存する。その結果として得られる層は、典型的には、1個又は数個の単原子の層から形成されるものとなる。
【0003】
荷電粒子ビームが前駆体気体の吸着層を伴う基板に照射されると、二次電子が基板から放出される。これらの二次電子、並びに一次電子及び後方散乱電子は、吸着している前駆体気体分子の分解を引き起こす。分解した前駆体材料の一部は、基板表面上に堆積物を形成し、一方、前駆体気体粒子の残りの部分は、揮発性の副生成物を形成し、装置の真空系によって排出される。
【0004】
ビーム誘起堆積(BID)は、半導体ウエハや磁気記憶媒体などの基板のターゲット表面上に材料を堆積させるような各種幅広い用途に利用されている。薄膜表面、電気的接続、半導体素子の特性評価及び分析のための保護コーティングを形成するため、及びTEM試料のような微小試料をマニピュレータ又は試料ホルダー(以下に詳述する)に接続するためなど、さまざまな理由で材料は堆積される。気体、基板及びビームの様々な組合わせが、様々な堆積方法の実現のために用いられてよい。堆積される特定の材料は、通常、用途、下地のターゲット表面、及びどのように材料がビーム又は表面と反応するかに依存する。同様に、各種ビームが二次電子、二次イオン、光子、フォノン、プラズモンなどを生成するために用いられてよい。これらは、イオン、電子及びレーザービームを含む。
【0005】
既知のビーム誘起堆積方法の欠点は、ビーム誘起技術を使用して堆積させることができる金属、半導体及び誘電体が幅広く存在するものの、BIDの純度及び材料特性は、ほとんど常にバルク特性より大きく劣っていることである。このことは、広く先行技術に記載されている。懸念される堆積材料の共通の特性の一つは、堆積物の金属抵抗率である。前駆体及び堆積材料並びにビーム方式に応じて、抵抗率の値は、典型的には、バルク金属の抵抗率より10〜1000倍以上の範囲も大きいものとなる。
【0006】
BIDを経て堆積した導電性材料の抵抗率の増加は、回路形成(CE)の用途にとって特別な関心事となる。集積回路(IC)上でFIBを使用して回路形成を実行することは、設計のデバッグと不良解析にとって不可欠なものである。今日の高周波ICデバイスは、チップの性能向上のために、極めて低抵抗率のインターコネクトを必要とし、チップ上のインターコネクト遅延に起因する性能のボトルネックを低減するため、50μΩ・cm程度の抵抗率がさらに望ましい。回路形成による抵抗率が作りこまれた配線の値に概ね近づけば、ICデバイスの性能を確保できるFIB回路形成の用途はもっと効果的なものとなる。典型的な従来技術の方法を使用すると、IBIDを経て堆積された導電体の最も低い抵抗率は、200μΩ・cm以下の抵抗率の値を有するタングステンであり、ICのインターコネクトに望ましい50μΩ・cmの抵抗率よりずっと大きいものである。
【0007】
したがって、従来の方法を経て堆積された導電体より低い抵抗率、好ましくは50μΩ・cm程度の抵抗率を有するBID経由の導電体を堆積できるビーム誘起堆積方法が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、改善されたビーム堆積方法を提供することである。本発明の好ましい実施形態では、スズなどの低抵抗率の金属材料を堆積させるための新しい集束イオンビーム誘起堆積(FIBID)前駆体を使用して、かかる課題に対処し、解決する。出願人は、ヘキサメチル二スズ(hexamethylditin)(HMDT)などのメチル化又はエチル化金属を前駆体として使用することによって、40μΩ・cmと低い抵抗率を有する材料を堆積させることができることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のいくつかの実施形態によれば、基板上に低抵抗率の材料を堆積する方法は、前記基板表面に向けてメチル化又はエチル化金属を含む前駆体気体を導入し、前記前駆体気体の存在下で前記基板表面をイオンビームで照射し、前記粒子ビームの存在下で前記前駆体気体を分解させて前記基板表面上に前記低抵抗率の材料を堆積する。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記イオンビームは、ガリウムイオンビームであり、前記堆積材料は、ガリウム及び前記前駆体気体から分解された金属を含む。いくつかの実施形態において、前記前駆体気体は、ヘキサメチル二スズを含む。いくつかの実施形態において、前記前駆体気体は、メチルスズトリクロリド(methyl tin trichloride)、ヘキサエチル二スズ(hexaethylditins)又はトリブチルスズ(hexabutylditins)を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記堆積材料は、120μΩ・cm未満の抵抗率を有する。いくつかの実施形態において、堆前記低抵抗率の堆積材料は、80μΩ・cm未満の抵抗率を有する。いくつかの実施形態において、前記低抵抗率の堆積材料は、50μΩ・cm未満の抵抗率を有する。いくつかの実施形態において、前記堆積材料は、オーミックである。いくつかの実施形態において、前記堆積材料は、バルク金属の5倍以内の抵抗率を有する。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記粒子ビームは、ガリウムイオンビームであり、前記前駆体気体から分解した金属は、スズを含み、前記堆積材料は、スズとガリウムを含む。いくつかの実施形態において、前記堆積材料は、少なくとも95%のスズである。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記イオンビームは、ガリウムの集束イオンビームを含む。いくつかの実施形態において、前記イオンビームは、プラズマ源を用いて生成された集束イオンビームを含む。いくつかの実施形態において、前記イオンビームは、質量選別イオン源を用いて生成される。いくつかの実施形態において、前記集束イオンは、キセノン、アルゴン又はヘリウムイオンである。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、基板上に低抵抗率の材料を堆積する方法は、前記基板表面に向けてヘキサメチル二スズを含む前駆体気体を導入し、前記前駆体気体の存在下で前記基板表面をガリウムイオンビームで照射し、前記粒子ビームの存在下で前記前駆体気体を反応させて前記基板表面上に材料を堆積し、前記堆積材料が、スズ及びガリウムを含み、120μΩ・cm未満の抵抗率を有する。
【0015】
いくつかの実施形態において、スズ及びガリウムを含む堆積材料は、50μΩ・cm未満の抵抗率を有する。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ビーム誘起堆積方法は、基板表面に向けて前駆体気体を導入し、前記前駆体気体の存在下で前記基板表面をガリウムイオンビームで照射し、前記ガリウムイオンビームの存在下で前記前駆体気体を反応させて基板表面に、ガリウムの共晶組成又は固溶体と前記前駆体気体から分解された金属とを含む材料を堆積する。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記前駆体気体は、メチル化又はエチル化の金属を含む。いくつかの実施形態では、前記前駆体気体は、スズを含み、前記前駆体気体は、前記基板表面上で酸化スズを堆積するように酸素を含む化合物と混合される。いくつかの実施形態において、前記前駆体気体は、前記基板表面上で窒化スズを堆積するように窒素を含む化合物と混合される。
【0018】
上記は、本発明の特徴と技術的利点を概説したものであり、以下に記載された本発明の詳細な説明をより良く理解できるようにするためのものである。その他の本発明の特徴と利点は以下に説明する。当業者によれば、ここに開示された概念及び特定の実施形態は、本発明と同様の目的を達成するために、改良や他の構成に変形する基礎として利用できるものと理解される。また、当業者は、それらと均等な構成についても、添付された特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨と範囲から逸脱しないことを理解する。
【0019】
本発明及びその利点をより完全に理解するため、添付の図面と併せて以下の説明を参照されたい。
【0020】
添付の図面は縮尺どおりに描かれるように意図されたものではない。図面中、各図において図示された同一の及びほぼ同一の構成については同様の符号によって表わされる。簡明を図るため、全ての図において、全ての構成が表記されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】HMDTを前駆体として利用した集束イオンビーム誘起堆積による微細構造の堆積を示すSEM顕微鏡写真である。
【図2】HMDTを前駆体として利用した集束イオンビーム誘起堆積による微細構造の堆積を示す別のSEM顕微鏡写真である。
【図3】FIBID堆積物のEDSスペクトルであり、ガリウム、少量の炭素及び酸素の残量を伴った純度約97%のスズを示す。
【図4A】HMDTを前駆体として使用した異なる各FIBID堆積物のそれぞれの電気抵抗率を示すグラフであり、各堆積物の半値全幅の関数である(間接的な電流密度の測定)。
【図4B】測定された電気抵抗率に基づく異なる各堆積物の電流密度の計算を示すグラフである。
【図5A】典型的な集積回路の一部を概略的に示す断面図である。
【図5B】図5Aの集積回路上で実行される回路形成を示す断面図である。
【図6】本発明の好ましい実施形態に従って、HMDTを前駆体として使用してスズ層を堆積する方法を実施するための手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明による方法を実行するように備えられた典型的なデュアルビームSEM/FIBシステムの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
当業者であれば理解されるように、材料堆積に適した前駆体の特定は、しばしば非常に困難なものとなる。考慮しなければならない競合する要因及びトレードオフが多数ある。一つは、高い蒸気圧、安定性、及び長時間にわたって再現可能な方法で堆積物を生成可能な生存時間を有する前駆体を選択する必要がある。前駆体は、抵抗率を損なう酸化反応に対して低い親和性を有することが好ましい。しかしながら、貴金属化合物などの酸化反応に対抗する化合物は、最も反応性が高く、不安定であり、不可能でないにしても合成することが困難である。有機金属は、非常に安定しており、比較的容易に合成できるが、炭素を多量に有し、これは金属構造中への炭素系の配位子材料の混入によって、結果物として得られる堆積物の純度及び金属特性を大きく損なう可能性がある。金属ハロゲン化物は、炭素の問題を回避し、解決するかもしれないが、実際にはFIBによるエッチングを高め、及び/又はまったく堆積しない可能性がある。
【0023】
ヘキサメチル二スズ(HMDT)は、分子式C618Sn2を有する有機スズ化合物であり、一般に有機合成反応に使用され、23℃の融点を持ち、BIDに対して十分な量の前駆体を強力に供給するように室温でかなり高い蒸気圧を有する。HMDTがEBIDでの電子ビームの前駆体として使用されると、結果物と得られる堆積物は、酸化スズと炭素の混合物になると考えられる。この材料の抵抗率は、好ましいものではなく、非オーミックの電気的性質(非線形の電流/電圧応答)を有する。これらの特性は、低抵抗率が要求される回路形成には望ましくない。しかしながら、酸化スズ及び窒化スズは半導体として振る舞うことができ、そのため、他の分野に応用することはできる。
【0024】
しかしながら、出願人は、HMDTなどのメチル化又はエチル化金属を用いたガリウムイオンビームでの堆積、及びガリウムが堆積物に結合した生成物は、オーミック(線形の電流/電圧応答)である材料となり、優れた抵抗率(スズバルクの5倍以内)の材料となることを発見した。イオンビームによって堆積するスズ及びガリウムは、固溶体及び共融混合物を形成する可能性があり、これらは測定される抵抗率を追加的に押し上げる可能性がある。堆積物において観察された幾つかの形態は、部分的な共融固化反応が想起されるが、確かではない。図1及び図2は、HMDTでのFIBIDにおいて現れる微細構造の例を示す。
【0025】
堆積の正確なメカニズムは明確でないが、FIBID対するHMDTの新しい利用法によれば、高純度(スズ100%に近い)で優れた電気特性を有する堆積材料を生成することが実験的に示されている。図3は、HMDTを前駆体として使用したFIBID堆積物のEDSスペクトルであり、ガリウム、少量の炭素及び酸素を残量に含んだ純度約97%のスズに示す。簡明のため、図3ではSiO2のバックグラウンドスペクトルが差し引かれている。好ましくは、本発明による堆積材料は、前駆体気体から分解した金属について少なくとも90%の純度を有し、さらに好ましくは、堆積材料は、分解した金属について少なくとも95%の純度を有する。
【0026】
図4Aは、各FIBID堆積物の測定された電気抵抗を表示するプロットであり、各堆積物の半値全幅の関数として表示される(間接的な電流密度の測定)。ここでは、金属線を堆積させるために異なるビーム電流が使用されている。図4Aのプロットは、ビーム径がいくらか未知の量ずつ増加しながら、ビーム電流が増加すること(左から右へ)を示す。堆積物の半値全幅値は、実際のビーム径と相関を有するものと推測でき、そして、この相関は電流密度を評価するのに用いることができる。図4Bは、測定された電気抵抗率に基づく堆積物毎の計算された電流密度を表示するプロットである。流束が増加すると抵抗率が減少し、電流密度が増加すると抵抗率が減少することが示されており、最も低い抵抗率は、電流密度及び流束の両方を最大にすることによって得られる。
【0027】
図4A及び4Bに示したとおり、出願人は、HMDTなどのメチル化又はエチル化金属を前駆体として用いることによって、極めて低抵抗率の材料を堆積できることを発見した。本明細書中で使用される用語「低抵抗率」は、120μΩ・cmより小さい抵抗率をいう。最も低抵抗率の堆積のためには、電流密度(単位時間当たり単位面積当たりのイオン)を最大化する必要があり、流束(単位面積当たりのイオン)も同様とする。図4A及び図4Bに示されるように、HMDT前駆体を使用すると、スズが40μΩ・cmと低い抵抗率で堆積される。この場合、30kVで500pAのビームを用い、30ミクロン長の線の堆積物に対して20秒間負のビームが重ねられ、約40μΩ・cmの抵抗率を有するスズが堆積された。低抵抗率の材料を堆積させるため、他の環境では、HMDTに加えて、例えば、メチルスズトリクロリド(methyl tin trichlorides)、ヘキサエチル二スズ(hexaethylditins)及びトリブチルスズ(hexabutylditins)を含む他のメチル化及びエチル化金属を使用してもよい。
【0028】
このように、本発明の実施形態は、回路形成中に導電性材料を堆積させる用途に用いることに適している。例えば、図5Aは、典型的な集積回路550の一部の概略を示す断面図である。図5に示されたように、集積回路550は、基板552と誘電体絶縁層542を含む。金属インターコネクト520及び524は、拡散層532、534及び536に接続される。拡散層534は、金属インターコネクト524を介して拡散層536に接続され、拡散層532は拡散層534には接続されない。
【0029】
図5Bは、図5Aの集積回路550上で実行される回路形成を示す断面図である。集積回路550は、基板552及び誘電体絶縁層542を含む。金属インターコネクト520及び524は、拡散層532、534及び536に接続される。また、図5Bに示されるように、回路形成は、拡散層532を拡散層534に接続するように実施される。ホール545は、金属インターコネクト522及び金属インターコネクト524の一部が、誘電体絶縁層542を通じて露出するようにミリングされる。そして、導電体546は、金属インターコネクト522を金属インターコネクト524に接続するように堆積され、それによって拡散層532を拡散層534に接続する。上述したように、高周波ICデバイスには、チップの性能を向上させるために非常に低いインターコネクト抵抗率が求められており、チップ上のインターコネクト遅延に起因するいずれかの性能上のボトルネックを低減するため、50μΩ・cm程度の抵抗率がさらに好ましい。回路形成による抵抗率が作りこまれた配線の値に概ね近づけば、ICデバイスの性能を確保できるFIB回路形成の用途はもっと効果的なものとなる。
【0030】
図6は、本発明の好ましい実施形態に従って、HMDTを前駆体として使用してスズ層を堆積する方法を実施するための手順を示すフローチャートである。ステップ600では、試料が適当な粒子ビームシステムに搬入される。当業者であれば、粒子ビームシステムは、堆積材料に応じた特定の用途次第であることを理解する。TEM試料の準備に適した粒子ビームシステムは、例えば、図7を参照して後述されるようなデュアルビームSEM/FIBシステムであってもよい。ステップ601では、堆積物汚染の可能性を最小限に抑えるために、任意選択のプラズマクリーニングの手順を実行して、残留炭化水素を除去するようにしてもよい。任意選択のステップ602では、例えば、揮発性炭化水素やその他の残留汚染物質からの汚染を最小限に抑えるため、システムの最大のベース圧力に達するまで、堆積を止めておいてもよい。
【0031】
ステップ603では、HMDTなどのメチル化又はエチル化金属を含む前駆体気体が、材料が堆積される試料表面に導入される。前駆体気体は、ガス供給ニードル又はキャピラリを介してその表面に向けられて、ミリバールの範囲内の局所的ガス圧を生成することが好ましい。一つの好ましい実施形態では、前駆体気体を含まない真空圧は約3×10-6ミリバールとなり、前駆体気体を含む場合の真空室内の圧力は約5×10-5ミリバールに上昇する。当業者であれば理解されるように、システムのベース圧力を超える圧力上昇は、気体の化学的性質の点においては十分であるが、圧力上昇はシステムの露出を最小にするように制限され、システムの真空制限を超過しないことが望ましい。一般的には、相当な圧力を達成するようなシステムの温度より数度以上前駆体を加熱する必要はない。流量を減少させる開口部は、実際には、顕微鏡の負荷を最小限に抑えるために低い気体圧力で作動を可能にするように設けられてもよい。
【0032】
次いで、ステップ604では、集束イオンビームが使用され、沈降した材料が堆積する表面に照射される。局所的な材料堆積の速さは変化させることができるが、好ましい実施形態では、約6μm3/minとすることができる。好ましい実施形態では、ガリウムイオンビームが使用される。また、本発明は、イオン、例えば、キセノン、アルゴン又はヘリウムイオンが選択可能なFIBプラズマ源を使用して実行することもできる。また、異なる電荷の大きなイオン配列、同様に、二量体、三量体及びそれらの各イオンを供給可能な質量選別のFIBイオン源が、本発明に従ったビームの化学反応を誘導するために適している。さらに、例えば、反応性プラズマ源からの生成されたもの又は酸素原子ビームを使用して、酸化スズの堆積を実施することができる。
【0033】
任意選択のステップ605では、堆積後、イオンビームは、ミル処理によって望ましくない周囲の堆積を除去するのに使用され、その結果、はみ出しのない精度のよいパターンを得ることができる。最後に、任意選択のステップ606では、堆積材料は、さらに抵抗率を改善(より低く)するように真空中又は減圧環境下で加熱することによって処理される。数分から数時間にかけて、金属の融点に近づくような温度でアニーリングする場合、活発な熱運動によって、金属の秩序化及び結晶化が可能となる。これは、電子運動を阻害する欠陥による散乱数を低減することによって、通常、金属の抵抗率を低減させる効果を持つ。減圧環境とする場合の目的は、堆積中に真空室残留ガスに起因して生起する可能性のある金属スズの酸化に対抗することである。例えば、反応性の高い水素原子で酸化金属を還元するように商業用の水素原子発生器を使用してもよい。この反応は、酸化型から酸化数なしの状態へとスズを還元する結果となり、電子輸送にとってより好ましい(抵抗率を下げる)。また、堆積材料の抵抗率は、イオンビーム、電子ビーム、レーザーを介在した材料のアニーリングによって改善することができるし、あるいは金属を介した電流の通過によって電気的に改善することができる。
【0034】
本発明の他の好ましい実施形態では、スズ前駆体は、酸化スズを形成するように酸素や水と混合させてもよいし、窒化スズを形成するようにアミンや窒素含有化合物と混合させてもよい。このように、異なる材料を同じ前駆体を使用して堆積させることができ、堆積材料は、前駆体と混合された化合物に応じて、導電体、絶縁体又は半導体として作用する。堆積材料の抵抗率は、所望の用途に応じて容易に制御でき、したがって、スズ堆積プロセスの有用性は大きく拡がる。
【0035】
図7は、本発明による方法を実行するように備えられた典型的なデュアルビームSEM/FIBシステム210の例示的な実施形態を示す。本発明の実施形態は、低抵抗率の材料を基板のターゲット表面上に堆積する用途の種々の変形に広く用いることができる。かかる試料の準備及び分析は、典型的には、ここで説明しているようなデュアルビーム、電子ビーム/集束イオンビームシステムにおいて実行される。適切なデュアルビームシステムは、例えば、本出願の譲受人であるFEI社、オレゴン州ヒルズボロ、から市販されている。適切なハードウェアの例は以下で説明されるが、これに限定されず、本発明はいずれの特定の形式のハードウェアでも実行することができる。
【0036】
デュアルビームシステム710は、排気可能な試料室726上に、垂直に設けられた電子ビームカラムと、垂線から約52°の角度をもって設けられた集束イオンビーム(FIB)カラムとを有する。試料室は、例えば、ターボ分子ポンプ、又は、油拡散ポンプ、イオンゲッターポンプ、スクロールポンプなどの他の公知の排気手段によって排気されてもよい。
【0037】
電子ビームカラム741は、電子を発生させる電子源752と、微細に集束する電子ビーム743を形成する電子光学レンズ756及び758とを有する。電子ビーム743は、偏向コイル760によって、基板722の表面上に定められ、かつ基板722の表面を走査することができる。レンズ756、758及び偏向コイル760の動作は、電源及び制御ユニット745によって制御される。なお、レンズ及び偏向ユニットは電場を利用して電子ビームを操作してよいし、磁場を利用してもよい。あるいは、それらを組み合わせて利用してもよい。
【0038】
電子ビーム743は、試料室726内の下部に位置する可動式X−Y−Z試料台725上の基板722の上に集束される。電子ビーム中の電子が基板722に衝突する場合、2次電子が放出される。これらの2次電子は、Everhard−Thornley型検出器又は低エネルギー電子を検出可能な半導体デバイスなどの二次電子検出器740によって検出される。検出器信号はコントローラ719へ供給される。また、かかるコントローラ719は、検出器信号、レンズ、電子源、GIS、試料台とポンプ、及び他の装置構成部を制御する。モニタ744は、検出器719の信号を用いて基板の画像を表示するのに用いられる。TEM試料ホルダ724及び試料台725の付近に設けられたSTEM検出器762は、TEM試料ホルダ上に載置された試料を透過する電子を収集することができる。
【0039】
気体注入システム(GIS)746が真空室に設けられている。GISは、前駆体材料を保持する容器(図示せず)及びHDMT前駆体材料を基板表面へ導入するニードル770を備える。GISは、さらに、基板への前駆体材料の供給を制御する手段771を備える。この例では、制御手段は、調節バルブとして図示されているが、例えば、前駆体材料を加熱制御する構成としてもよい。
【0040】
また、デュアルビームシステム710は、集束イオンビーム(FIB)システム711を含み、FIBシステム711は、上部ネック部分712を有する排気された真空室を備える。上部ネック部分712内には、イオン源714と、引き出し電極及び静電光学系を含む集束カラム716が設けられている。集束カラム716の軸は、電子カラムの軸から52°傾いている。イオンカラム712は、イオン源714、引き出し電極715、集束素子717、偏向素子720、及び集束イオンビーム718を有する。イオンビーム718は、イオン源714から、カラム716を通り、概略的に表されている静電偏向手段720の間を通って、基板722へ向かう。基板722は、例えば、真空室726下部内の可動X−Y−Zステージ725上に設けられた半導体デバイスを含む。
【0041】
また、試料台725は、1つ以上のTEM用試料ホルダ724を支持することができ、これにより、試料を半導体デバイスから取り出し、TEM用試料ホルダへ移動させることができる。試料台725は、水平面(X軸及びY軸)及び垂直方向(Z軸)に移動可能であることが好ましい。試料台725は、約60°傾斜することが可能であり、Z軸の周りを回転することも可能である。一部の実施形態では、独立したTEM用試料台(図示されていない)が用いられる。そのようなTEM用試料台もまた、X軸、Y軸、及びZ軸について可動することが好ましい。基板722をX−Y−Zステージ725へ挿入するため、及びガスを供給器に補充するため、それが使用される場合、ドア761は開放される。ドアは、システムが真空状態にある場合に開放できないようにインターロックされる。
【0042】
ネック部分712を排気するためにイオンポンプ768が用いられる。真空室726は、真空コントローラ732の制御下で、ターボ分子ポンプ及び機械式排気システム730によって排気される。真空システムは、真空室726内部で、約3×10-6mbarの真空度を提供する。適切な前駆体気体が試料表面に導入される場合、真空室のバックグラウンド圧力は、典型的には約5×10-5mbarにまで上昇することがある。
【0043】
高電圧電源734は、液体金属イオン源714、並びにイオンビーム集束カラム716内の適切な電極に接続され、約1keV〜60keVのイオンビーム718を生成し、そのイオンビーム718を試料へ導く。パターン生成装置738によって提供される所定のパターンに従って動作する偏向コントローラ及び増幅器736は、偏向板720と結合し、ここで、イオンビーム718は、基板722の上側表面上の対応するパターンをなぞるように手動又は自動で制御されてもよい。一部のシステムでは、当業者に周知なように、偏向板は最終レンズの前段に設けられる。イオンビーム集束カラム216内のビームブランキング電極(図示せず)は、ビームビームブランキングコントローラ(図示せず)がブランキング電圧をビームブランキング電極(図示せず)に印加する場合、イオンビーム718を、基板722の代わりにブランキングアパーチャ(図示せず)へ衝突させる。
【0044】
液体金属イオン源714は、典型的には、ガリウムの金属イオンビームを提供する。イオンミリング、エンハンストエッチング、材料堆積による基板722の改質の場合、又は基板722を画像化する目的の場合、液体金属イオン源714は、典型的には基板722で0.1μm未満の幅のビームを集束させることができる。
【0045】
システムコントローラ719は、デュアルビームシステム710の各種構成部の動作を制御する。システムコントローラ719を介して、利用者は、従来のユーザーインターフェース(図示せず)へのコマンドの入力によって、イオンビーム718又は電子ビーム743を所望の動作で走査させることができる。代替方法として、システムコントローラ719は、プログラムの命令に従ってデュアルビームシステム710を制御してもよい。
【0046】
本発明の好ましい方法又は装置は多くの新規の態様を持っており、そして、本発明は、目的に合わせて様々な方法又は装置で具体化することができるので、すべての態様がすべての実施形態に示される必要はない。さらに、記載された実施形態の多くの態様は個々に特許性があるものと考えられる。本発明は、幅広い適用性を有しており、上記の例に記載され、示されたとおり、多くの利点を提供することができる。本実施形態は、特定の適用に応じて様々な変更が可能であるが、必ずしも全部の実施形態がすべての利点を提供できるものではなく、本発明に従って達成できるすべての目的を満たすものではない。
【0047】
上記の本発明の説明は主に低抵抗材料のビーム誘起堆積のための方法に関するが、かかる方法の動作を実行する装置も、さらに本発明の範囲内であることを認識すべきである。さらに、本発明の実施形態は、コンピュータハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合わせによって、又は非一時的(non−transitory)なコンピュータが読み取り可能なメモリに格納されたコンピュータ命令によって、実施可能であることを認識すべきである。本方法は、標準的なプログラミング技術を利用したコンピュータプログラム−コンピュータプログラムを伴って構成される非一時的なコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であって、本明細書に記載された方法及び図面に従う特定の定義済みの方法でコンピュータを動作させるように構成された記憶媒体を含む−によって実施することができる。各プログラムは、コンピュータシステムと通信するために、高級の手続き型言語又はオブジェクト指向プログラミング言語によって実施可能である。ただし、プログラムは、必要に応じてアセンブリ言語又は機械語によって実施されてもよい。いずれの場合でも、言語はコンパイル言語又はインタープリタ言語であってよい。さらに、プログラムは、その目的のためにプログラムされた専用の集積回路上で実行することができる。
【0048】
また、この方法は、いずれの形式のコンピュータプラットフォームでも実施可能である。これは特に限定されるものでなく、パーソナルコンピュータ、ミニコンピュータ、メインフレーム、ワークステーション、ネットワーク又は分散コンピューティング環境、分離しているコンピュータプラットフォーム、荷電粒子装置又は他の撮像素子と統合された又は通信可能な機器などを含む。本発明の態様は、非一時的な記憶媒体又はデバイスに格納された機械可読コードにおいて実施でき、記憶媒体又はデバイスは、可搬式であってもよいし、コンピュータプラットフォームと一体であってもよく、例えば、ハードディスク、光学式読み取り・書き込み可能な記憶媒体、RAM、ROMなどがある。すなわち、本明細書に記載の手順を実行するコンピュータによって記憶媒体又はデバイスが読み出されたとき、そのコンピュータを設定・動作させることができように、プログラムで制御できるコンピュータによって読み取り可能なものであればよい。さらに、機械可読コード又はその一部は、有線又は無線ネットワーク経由で送信することができる。本明細書に記載された発明は、マイクロプロセッサ又は他のデータプロセッサと協働して上記の手順を実行するための命令又はプログラムを含む場合、これら又はその他の各種の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含むものである。また、本発明は、本明細書に記載された方法及び技術に従ってプログラムされている場合、コンピュータそれ自体も含むものである。
【0049】
コンピュータプログラムには、ここに記載された関数を演算するための入力データを適用することができ、出力データを生成するように入力データを変換することができる。出力情報は、ディスプレイモニターなどの1つ又は複数の出力デバイスに適用されてもよい。本発明の好ましい実施形態では、変換されたデータは、物理的な及び有形のオブジェクトを表すものであり、これらはディスプレイ上で物理的な及び有形のオブジェクトの特定の視覚的描写を生成する。
【0050】
また、本発明の好ましい実施形態では、ビームの粒子を用いて試料を画像化するために、FIB又はSEMなどの粒子ビーム装置を使用してもよい。試料の画像化に使用されるこのような粒子は、試料と固有の相互作用を生じるものであり、ある程度の物理的な変化を引き起こす。さらに、本明細書においては、例えば、「計算する」「決定する」「測定する」「生成する」「検出する」「形成する」などの用語を利用した議論は、コンピュータシステム、又は同様の電子機器の動作、プロセスにも及ぶものである。これらコンピュータシステム又は同様の電子機器は、コンピュータシステム内で物理量として示されるデータを、コンピュータシステム又は他の情報ストレージ、送信デバイス又はディスプレイデバイス内で物理量として示される他の類似のデータに変換する。
【0051】
前述した例は本発明を回路形成に適用するものであったが、本発明は基板上に低抵抗の金属を堆積させる前駆体を必要とするいずれかの用途、又は同じ前駆体気体を使用して金属酸化物、窒化物を堆積させる用途に利用することができる。前述した記載の多くは半導体ウエハや磁気記憶媒体に向けられているが、本発明は、適当ないずれの基板ないし表面にも適用することができる。用語「ワークピース」「試料」「基板」「標本」は、特に明記しない限り、この出願においてほとんど同じ意味で使用されている。さらに、用語「自動的」「自動化された」又は同様の用語が本明細書において使用される場合、これらの用語は、手動によって開始される自動的な又は自動化されたプロセス若しくは手順を含むものと解される。
【0052】
用語「集積回路」は、マイクロチップの表面上にパターン化された、電子部品の組及びそれらの相互接続(総称して内部の回路素子)を指すものである。用語「半導体」又は「半導体デバイス」は、一般的には、集積回路(IC)を指すものであり、半導体ウエハに集積化され、ウエハから個々に切り出され、回路基板上で使用するためにパッケージ化されるものである。ここで用いられる用語「FIB」又は「集束イオンビーム」は、任意のコリメートされたイオンビームを指すものであり、イオン光学系によって集束されたビーム、及び整形されたイオンビームを含んでいる。
【0053】
本明細書の説明、及び特許請求の範囲では、用語「含む」及び「備える」は、オープンエンド方式の意で使用されており、これらは、「〜を含むが、これに限定されない」のように解釈されるべきである。本明細書において用語が特に定義されていない場合、その用語は平易かつ通常の意味をもって与えられることを意図している。添付された図面は、本発明の理解を助けるために意図されたものであるので、特に断らない限りは、縮尺のとおりに描かれていない。本発明を実施するのに適した粒子ビームシステムは、例えば、本出願の譲受人であるFEI社から市販されている。
【0054】
本発明及びその利点について詳細に説明したが、ここに記載された実施形態に対しては、添付された特許請求の範囲により定められる本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換及び修正が可能であると理解されるべきである。さらに、本出願の範囲については、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法及びステップの特定の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、本発明、プロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法又はステップの開示によって、既存の技術、又は本明細書に記載された実施形態に対応し、実質的に同じ機能を果たしたり、実質的に同じ効果を奏したりする将来技術についても、本発明に従って利用可能であると容易に理解することができる。したがって、添付された特許請求の範囲は、上記のようなプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法及びステップをその範囲に含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に低抵抗率の材料を堆積する方法であって、
前記基板表面に向けてメチル化又はエチル化金属を含む前駆体気体を導入し、
前記前駆体気体の存在下で前記基板表面をイオンビームで照射し、
前記粒子ビームの存在下で前記前駆体気体を分解させて前記基板表面上に前記低抵抗率の材料を堆積することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記イオンビームは、ガリウムイオンビームであり、
前記堆積材料は、ガリウム及び前記前駆体気体から分解された金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前駆体気体は、ヘキサメチル二スズを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記前駆体気体は、メチルスズトリクロリド(methyl tin trichloride)、ヘキサエチル二スズ(hexaethylditins)又はトリブチルスズ(hexabutylditins)を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記堆積材料は、120μΩ・cm未満の抵抗率を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記低抵抗率の堆積材料は、80μΩ・cm未満の抵抗率を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記低抵抗率の堆積材料は、50μΩ・cm未満の抵抗率を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記堆積材料は、オーミックであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記堆積材料は、バルク金属の5倍以内の抵抗率を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記粒子ビームは、ガリウムイオンビームであり、
前記前駆体気体から分解した金属は、スズを含み、
前記堆積材料は、スズとガリウムを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記堆積材料は、少なくとも95%のスズであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記堆積材料は、50μΩ・cm未満の抵抗率を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記イオンビームは、ガリウムの集束イオンビームを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記イオンビームは、プラズマ源を用いて生成された集束イオンビームを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記集束イオンは、キセノン、アルゴン又はヘリウムイオンであることを特徴とする請求項14の方法。
【請求項16】
前記イオンビームは、質量選別イオン源を用いて生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
基板上に低抵抗率の材料を堆積する方法であって、
前記基板表面に向けてヘキサメチル二スズを含む前駆体気体を導入し、
前記前駆体気体の存在下で前記基板表面をガリウムイオンビームで照射し、前記粒子ビームの存在下で前記前駆体気体を反応させて前記基板表面上に材料を堆積し、
前記堆積材料が、スズ及びガリウムを含み、120μΩ・cm未満の抵抗率を有することを特徴とする方法。
【請求項18】
前記堆積材料は、少なくとも95%のスズであることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
スズ及びガリウムを含む堆積材料は、50μΩ・cm未満の抵抗率を有することを特徴とする方法。
【請求項20】
ビーム誘起堆積方法であって、
基板表面に向けて前駆体気体を導入し、
前記前駆体気体の存在下で前記基板表面をガリウムイオンビームで照射し、前記ガリウムイオンビームの存在下で前記前駆体気体を反応させて基板表面に材料を堆積し、
前記堆積材料がガリウムの共晶組成又は固溶体と、前記前駆体気体から分解された金属とを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記前駆体気体は、メチル化又はエチル化の金属を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記前駆体気体は、ヘキサメチル二スズを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記前駆体気体は、メチルスズトリクロリド(methyl tin trichloride)、ヘキサエチル二スズ(hexaethylditins)、又はトリブチルスズ(hexabutylditins)を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記堆積材料は、120μΩ・cm未満の抵抗率を有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記低抵抗率の堆積材料は、50μΩ・cm未満の抵抗率を有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記前駆体気体は、スズを含み、前記前駆体気体は、前記基板表面上で酸化スズを堆積するように酸素を含む化合物と混合されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記前駆体気体は、前記基板表面上で窒化スズを堆積するように窒素を含む化合物と混合されることを特徴とする請求項20に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−158833(P2012−158833A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−14799(P2012−14799)
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【出願人】(501233536)エフ イー アイ カンパニ (87)
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
【住所又は居所原語表記】7451 NW Evergreen Parkway, Hillsboro, OR 97124−5830 USA
【Fターム(参考)】