説明

体液を調節する薬剤及びその使用方法

陽圧での適用に適合した、対象中の所望の部位で体液を調節する治療用製剤、治療用製剤を含む吸収剤物品、及び治療用製剤で被覆した抗感染性器具が開示され、前記製剤は、約25重量%〜約99重量%の液晶形成化合物及び0重量%〜約75重量%の溶媒を含む。さらに、対象中の所望の部位で体液を調節する方法、失血を調節する方法、及び対象中の所望の部位で血管創傷又は切開部位の有効な閉鎖を促進する方法を含めて、前記製剤を使用する方法が開示され、その方法は本明細書に記載された液晶形成化合物及び溶媒を含む特定の製剤を投与するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、疎水性又は両親媒性である組成物及び液晶製剤、並びにそれを外科的補助療法、止血剤として、また硬組織及び軟組織の創傷についての第一の治療法としても整容的医療器具の基礎としても使用する方法に関する。
【0002】
[背景技術]
止血剤及び止血用器具の使用は、現代の外科手術において一般的に実施されることである。その全体的な分野は、収斂剤(アルミニウム及びマグネシウム塩)、加水分解したゼラチン(Gelfoam(登録商標)−Pharmacia)や酸化セルロース(Surgicel(登録商標)−Johnson&Johnson)など物理的に存在することにより局所作用を示す作用物質の使用から、トロンビン及びフィブリンに基づく系などの生理的機構を利用しようとする製品に及ぶ。しかし、その分野は、有効性の限られた製剤、及び最終的に患者を有害な免疫応答の高いリスクにさらす系で苦慮している。様々な身体状態に適用して二次的な免疫応答のリスクを伴わずに止血を迅速確実に確立することができる製剤が非常に望ましく、商業的関心が大きいはずである。
【0003】
[発明の概要]
本発明の第1の実施形態では、陽圧での適用に適合し、対象中の所望の部位で体液を調節するのに有効な治療用製剤が提供され、その製剤は、約25重量%〜約99重量%の液晶形成化合物及び0重量%〜約75重量%の溶媒を含み、その製剤は、対象中の所望の部位で体液を有効に調節する。関連する実施形態では、溶媒は、極性溶媒、無極性溶媒、半極性溶媒又はそれらの組合せでも良く、特定の製剤は、約97%の液晶形成化合物及び約3%の生理食塩水;約65%の液晶形成化合物及び約15%の生理食塩水;約35%の液晶形成化合物及び約65%の生理食塩水;約92.5%のヒアルロン酸塩;約95%の液晶形成化合物及び約5%のミリスチン酸イソプロピル;約95%の液晶形成化合物及び約5%の190プルーフエタノール;又は約80%の液晶形成化合物及び約20%の綿実油を含んでも良い。
【0004】
他の特定の実施形態は、上記で言及した溶媒に加えて、又はその代わりに、血小板、血小板に富む血漿、血漿又は全血を含んで良い。従って、いくつかの特定の実施形態は、約97%の液晶形成化合物及び約3%の全血;約80%の液晶形成化合物及び約9%の全血;約65%の液晶形成化合物及び約15%の全血;約35%の液晶形成化合物及び約25%の血漿;約97%の液晶形成化合物及び約3%の血漿;約65%の液晶形成化合物及び約15%の血漿;又は約35%の液晶形成化合物及び約25%の血漿を含んでも良い。
【0005】
他の実施形態では、吸収層、及びヒト又は獣医学的対象の体液を調節するのに有効な製剤を含む吸収剤物品が提供され、その製剤は、約25重量%〜99重量%の液晶形成化合物及び約0重量%〜75重量%の溶媒を含み、その物品内又はその物品の少なくとも一部分の上に存在する。関連する実施形態は、吸収性付加剤をさらに含む吸収層;内部表面及び外部表面を有し、その内部表面が吸収層の外部表面と本質的に同一の広がりを有する液体浸透性及び水蒸気浸透性の外部層;内部表面及び外部表面を有し、その内部表面が吸収層の外部表面と本質的に同一の広がりを有する液体不浸透性及び水蒸気浸透性の外部層;内部表面及び外部表面を有し、その内部表面が吸収層の外部表面と本質的に同一の広がりを有する液体不浸透性及び水蒸気不浸透性の外部層をさらに含む吸収剤物品;創傷に対して非接着性であるようにし、吸収層が液体浸透性のライナーと外部層の間に位置するように吸収層の内部表面と実質的に同一の広がりを有する表面を有する液体浸透性のライナー;又はその任意の組合せを含んでも良い。
【0006】
他の実施形態では、物品中における、体液を調節するのに有効な組成物は、物品と体組織の間の抗接着物としての有用性をもたらして、物品を置き、又は使用部位からそれを取り外す際の助けとなり、それによって前記物品を適用し又は取り外すことによる外傷を減少させ、体液調節製剤は、噴霧被覆、熱溶解被覆、浸漬被覆、直接の移動、手動での適用、又はそれらの組合せによって物品に適用することができる。特定の実施形態は物品を提供し、その物品は、創傷被覆材、医療用スポンジ、止血用物品、鼻の止血用物品、ガーゼ付絆創膏、創傷充填材、内部血管閉鎖充填材、外部血管閉鎖被覆材、膨張性吸収剤物品、線維性創傷充填材物品、又は婦人衛生用製品のいずれかで良く、液晶形成化合物は、脂肪酸エステル、ポリエチレンオキシド、糖脂質、ポリエステル、ポリエチレングリコール、又はそれらの組合せのいずれかで良い。関連する実施形態では、脂肪酸エステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル、又はそれらの混合物で良く、モノエステルは、モノアラキドン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、モノリノレン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミトオレイン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、及びモノステアリン酸グリセリル;モノアラキドン酸イソプロピル、モノラウリン酸イソプロピル、モノリノール酸イソプロピル、モノリノレン酸イソプロピル、モノミリスチン酸イソプロピル、モノパルミトオレイン酸イソプロピル、モノオレイン酸イソプロピル、及びモノステアリン酸イソプロピル;モノアラキドン酸メチル、モノラウリン酸メチル、モノリノール酸メチル、モノリノレン酸メチル、モノミリスチン酸メチル、モノパルミトオレイン酸メチル、モノオレイン酸メチル、及びモノステアリン酸メチル;並びにモノアラキドン酸プロピレングリシル、モノラウリン酸プロピレングリシル、モノリノール酸プロピレングリシル、モノリノレン酸プロピレングリシル、モノミリスチン酸プロピレングリシル、モノパルミトオレイン酸プロピレングリシル、モノオレイン酸エステル、及びモノステアリン酸プロピレングリシル、又はそれらの組合せで良い。
【0007】
他の特定の実施形態は、感染抵抗性器具を提供し、その器具は、約25重量%〜99重量%の脂肪酸又は脂肪酸エステルを含む抗感染性製剤で処理され、前記抗感染性製剤は、器具上又は隣接する組織中での病原体増殖物の形成を阻害し、それにより、器具に対して感染抵抗性が付与される。関連する実施形態では、抗感染性製剤は、約0%〜75%の溶媒をさらに含み、脂肪酸又は脂肪酸エステルは液晶形成化合物で良く、いくつかの実施形態では、液晶の形成後に、抗感染性製剤はそれによって体組織内又は体組織上での移動度を小さくし、器具が置かれた部位、あるいは器具が対象内に置かれた場所に隣接し又は近い部位からの製剤の排除を減少させる。さらに他の実施形態では、液晶製剤は、製剤からの分解産物の徐放性送達系として作用することができ、前記分解産物はさらなる抗感染効果をもたらす。
【0008】
関連する実施形態は、急性又は慢性の創傷の治療に有効である器具を提供し、急性の創傷は、擦過傷、火傷、裂傷、穿刺傷又は切傷で良く、慢性の創傷は、脚の潰瘍、褥瘡、真菌性潰瘍、糖尿病性潰瘍、胃潰瘍、足の潰瘍、仙骨潰瘍又は無痛潰瘍を含めた潰瘍で良い。他の実施形態では、器具は、外傷、疾患又は外科的処置により生じた組織の空隙の充填剤として有効である可能性があり、さらに他の実施形態では、器具は、噴霧被覆、熱溶解被覆、浸漬被覆又はそれらの組合せによって使用前に抗感染性製剤で処理することができる。いくつかの実施形態では、器具は、有機物質、無機物質、又はそれらの組合せから構成されるものでも良く、さらに他の実施形態では、器具は、月経用吸収器具、コンドーム、予防薬、医療用スポンジ、外科用被覆材、創傷被覆材、ガーゼ付絆創膏又はそれらの組合せで良い。あるいは、器具は、人工装具、インプラント、又はそれらの組合せでも良い。関連する実施形態では、人工装具又はインプラントの型は、脊髄用、整形外科用、歯科用、心臓用、神経用又は整容的な人工装具又はインプラントの型、あるいはそれらの組合せで良い。特定の実施形態では、整形外科用の人工装具又はインプラントは、人工関節、骨折修復用金属製品、人工軟骨、プレート、ねじ、釘、針金、又はそれらの組合せで良く、歯科用の人工装具又はインプラントは、歯根型、下顎枝フレーム、経骨インプラント、ブレード型、骨折修復用金属製品、人工装具、一般的金属製品、プレート、ねじ、針金、又はそれらの組合せで良く、心臓用の人工装具又はインプラントは、ペースメーカー、除細動器、心臓弁、人工血管、又はそれらの組合せで良く、整容的な人工装具又はインプラントは、乳房インプラント、皮膚充填剤、組織空隙充填剤、臀部インプラント、顔面インプラント、又はそれらの組合せで良い。
【0009】
さらに他の実施形態は、感染抵抗性器具を提供し、その器具は抗感染性製剤で処理され、抗感染性製剤は、重量で約25%〜99%の液晶形成化合物、約0%〜50%の脂肪酸及び約0%〜50%の溶媒;重量で約90%の液晶形成化合物、約5%のラウリン酸及び約5%の溶媒;重量で約65%の液晶形成化合物、約10%のミリスチン酸及び約25%の溶媒;又は重量で約35%の液晶形成化合物、約15%のパルミチン酸、及び約40%の溶媒を含む。
【0010】
他の実施形態は、ヒト又は獣医学的対象中の所望の部位で出血を調節するのに有効な止血用製剤を提供し、その組成物は、25重量%〜約99重量%の液晶形成化合物及び0重量%〜約75重量%の溶媒を含み、その止血用製剤は、組織上又は組織内における陽圧での適用に適合し、止血を実施し、約15分以内に所望の部位で局所効果を誘導し、それによって出血を調節する。より具体的には、止血を実施し、適用してから約10分以内に、さらにより具体的には適用してから約5分以内に、さらにより具体的には適用してから約2分以内に、さらにより具体的には適用してから約30秒以内に、その部位で局所効果を誘導することができる。
【0011】
止血用製剤に関連する実施形態では、溶媒は、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、水、等張水溶液、体液、生理的緩衝系、尿、唾液、漿液、滑液、胃分泌液、脳脊髄液、硝子体液、リンパ液、創傷滲出液、コレステロール、生理的緩衝系又はそれらの組合せのいずれかで良く、液晶形成化合物は、脂肪酸、脂肪酸モノエステル、脂肪酸ジエステル、脂肪酸トリエステル、又は不飽和炭素間結合を少なくとも1つ含むそれらの組合せのいずれかで良い。より具体的には、液晶形成薬剤は、グリセリルのモノエステル、ジエステル、トリエステル、又はそれらの組合せでも良く、さらにより具体的には、液晶形成化合物はモノオレイン酸グリセリルで良い。
【0012】
さらに他の実施形態は、約25〜99重量%の液晶形成化合物及び約0%〜75重量%の溶媒からなるトロンビン阻害製剤を提供し、その製剤は、対象中の所望の部位への陽圧での適用に適合する。関連する実施形態では、液晶形成化合物は脂肪酸エステルで良い。より具体的には、トロンビン阻害製剤は、外傷、疾患又は外科的処置によって生じるような組織空隙の充填剤として有効である可能性があり、より具体的には、トロンビン阻害製剤はまた神経保護剤でも良い。
【0013】
他の実施形態は、対象中の所望の部位において軟組織を模倣するのに有効な整容的製剤を提供し、その製剤は、約25重量%〜99重量%の液晶形成化合物と、約0%〜約75重量%の溶媒と、必要に応じて、軟組織を模倣するのに有効な粘性及び質感をもたらす他の化合物とを含む。関連する実施形態では、整容的製剤はさらに抗酸化剤を含み、抗酸化剤は、ビタミンC、重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、塩酸システイン、チオグリコール酸、二酸化硫黄、アスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、レシチン、プロピルガレート、ビタミンD、又はその任意の組合せのいずれかを含めて、水溶性の抗酸化剤でも良く、あるいは油溶性の抗酸化剤でも良い。
【0014】
本発明の実施形態はまた、止血物質;凝固増大作用物質;血管作用薬;組織増殖刺激薬;治癒促進剤;抗感染剤;接着増強剤;膨張剤;増粘剤;麻酔薬;溶媒;共溶媒;低粘調化剤;充填剤;抗瘢痕化剤;抗炎症剤;生理的に適合する一価イオン、二価イオン、三価イオン、及びそれらの塩;歯白化剤、過酸化物を含めた漂白剤;種々の薬物;徐放性増大物質;塞栓増大物質;又はそれらの任意の組合せを含めた、増大作用物質又は治療用薬剤をさらに含み得るいずれかの開示された製剤をも提供する。さらに、任意の開示された製剤において、製剤中に増大作用物質又は薬物を懸濁又は溶解することができ、徐放性送達構成成分は生体分解性ポリマーで良く、膨張増強剤は、デンプン、天然ゴム、セルロースポリマー、ピロリドンポリマー、ポリアクリル酸、又はそれらの組合せで良い。さらに、任意の開示された製剤は液体、ゲル、又は半固体で良く、それは適用の前後に立方相を形成することができ、液晶形成化合物は疎水性及び/又は両親媒性で良く、任意の開示された製剤は、好ましくは生体適合性及び/又は生体分解性である。
【0015】
製剤の特定の実施形態では、増大作用物質又は治療用薬剤は、エピネフリンなどのカテコールアミン、リン脂質、ゼラチン、コラーゲン、キトサン、n−アセチルグルコサミンなどのグルコサミン、酵素、酵素阻害剤、脂肪酸、ホルモン、シリコーン化合物、ベントナイト、ヒュームドシリカ、コロイドシリカ、微粉化シリカ、ケイソウ土、滑石、二酸化チタン、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化アンモニウム、硫酸第二鉄、塩基性硫酸鉄、硫酸銅、収斂剤、全血、血漿、(a)血小板、(b)プロトロンビン、(c)トロンビン、(d)フィブリン、(e)フィブリノーゲン、(f)トロンボプラスチン、(g)凝固因子などの血液産物、(a)臭化カルシウム、(b)酸化カルシウム、(c)塩化カルシウムなどの発熱性化合物を含めた止血物質及び凝固増大作用物質;あるいは血管収縮薬、コリン様作用薬、抗コリン作用薬、コリン作用遮断薬、交感神経作用物質、抗アドレナリン作用薬、アドレナリン作用遮断薬、免疫原性作用物質、バソプレッシンなどのホルモン、収斂剤、血漿、(a)血小板、(b)プロトロンビン、(c)トロンビン、(d)フィブリン、(e)フィブリノーゲン、(f)トロンボプラスチン、(g)凝固因子などの血液産物、酵素、酵素阻害剤を含めた血管作用薬;あるいはゼラチン、コラーゲン、全血、血漿、(a)血小板、(b)プロトロンビン、(c)トロンビン、(d)フィブリン、(e)フィブリノーゲン、(f)トロンボプラスチン、(g)凝固因子などの血液産物、インスリン様成長因子、血管内皮増殖因子、ホルモン、ヒドロキシアパタイト、血小板増殖因子、酵素、酵素阻害剤、幹細胞、ホルモン、トロンビン阻害剤、ペプシンを含めた組織増殖及び治癒刺激物質;あるいはティーツリー油、過酸化物、アンピシリンなどの抗生物質、脂肪酸、抗真菌薬、抗ウイルス薬、免疫原性作用物質を含めた抗感染薬;あるいは天然ポリマー、合成ポリマー、セルロースポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール又はPEG誘導体、ポリブチレンテレフタレート又はPBT誘導体、ポリエチレンオキシド又はPEO誘導体、ポリアクリル酸、ポリメチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、ポリメチルビニルエーテル/マレイン酸コポリマー、マレイン酸ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、カチオン性ポリアクリルアミドポリマー、アルギン酸誘導体、キトサン、n−アセチルグルコサミンなどのグルコサミン、天然又は合成タンパク質、グルテン、ゼラチン、コラーゲン、アンピシリン、ゴム、カラヤゴム、セルロースゴム、リン脂質、脂肪酸、ベントナイト、ヒュームドシリカ、コロイドシリカ、微粉化シリカ、ケイソウ土、滑石、二酸化チタンを含めた接着増強剤;あるいは天然又は合成の膨張性ポリマー、カラヤゴム、セルロースゴム、アルギン酸誘導体、ゼラチン、キトサン、n−アセチルグルコサミンなどのグルコサミンを含めた膨張剤;あるいは天然ポリマー、合成ポリマー、セルロースポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール又はPEG誘導体、ポリブチレンテレフタレート又はPBT誘導体、ポリエチレンオキシド又はPEO誘導体、ポリメチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、ポリメチルビニルエーテル/マレイン酸コポリマー、マレイン酸ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、カチオン性ポリアクリルアミドポリマー、アルギン酸誘導体、キトサン、n−アセチルグルコサミンなどのグルコサミン、天然又は合成タンパク質、グルテン、ゼラチン、コラーゲン、アンピシリン、ゴム、カラヤゴム、セルロースゴム、リン脂質、脂肪酸、多粒子、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)多粒子、ベントナイト、ヒュームドシリカ、コロイドシリカ、微粉化シリカ、ケイソウ土、滑石、二酸化チタン、油脂性軟膏基剤、吸収性軟膏基剤、エマルジョン軟膏基剤を含めた増粘剤;あるいはチョウジ油−オイゲノール、ティーツリー油、ベンゾカイン、リドカイン、ジブカイン、プラモキシン、ジクロニンを含めた麻酔薬;あるいはドデカン、過酸化物、リン脂質、脂肪酸、ポリエチレングリコール又はPEG誘導体、ポリエチレンオキシド又はPEO誘導体、ポリブチレンテレフタレート又はPBT誘導体、全血、血漿を含めた溶媒及び/又は共溶媒;あるいは天然又は合成ポリマー、極性又は無極性溶媒、エタノール、ドデカン、リン脂質、脂肪酸、ポリエチレングリコール又はPEG誘導体、(a)臭化カルシウム、(b)酸化カルシウム、(c)塩化カルシウムなどの発熱性化合物を含めた低粘調化剤;あるいはヒアルロン酸、脂肪酸、ポリエチレングリコール又はPEG誘導体、ポリエチレンオキシド又はPEO誘導体、コラーゲン、全血、血漿、血液産物を含めた充填剤;あるいはタマネギ抽出物、UV照射遮断薬、ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、油脂性軟膏基剤、吸収性軟膏基剤、エマルジョン軟膏基剤、酵素、酵素阻害剤、組織増殖阻害剤を含めた抗瘢痕化剤/抗炎症剤/治癒促進剤;あるいはカルシウム誘導体、カリウム誘導体、硫酸塩誘導体、塩化物誘導体、フッ化物誘導体、硫酸アルミニウムカリウム、塩化アルミニウム、塩化アンモニウム、硫酸第二鉄、塩基性硫酸鉄、硫酸銅を含めた生理的に適合する一価イオン、二価イオン又は三価イオン、及びそれらの塩;あるいは歯白化剤、過酸化物を含めた漂白剤;あるいはボツリヌス毒素を含めた種々の薬物;あるいは多粒子、薬物を含む多粒子、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)多粒子を含めた徐放性増大物質;あるいは多粒子、薬物を含む多粒子、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)多粒子を含めた塞栓増大物質;あるいはそれらの任意の組合せのいずれかで良い。
【0016】
他の実施形態は、対象中の所望の部位で体液を有効に調節する方法を提供し、その方法は、有効量の、約25重量%〜100重量%の液晶形成化合物及び約0重量%〜約75重量%の溶媒を含む治療用製剤を、目的の部位の体液を調節するのに有効なしばらくの間、所望の部位に投与するステップを含む。関連する実施形態では、対象中の所望の部位で体液を有効に調節する方法が提供され、その方法は、所望の部位で体液を調節するのに有効なしばらくの間、上記で開示された有効量の任意の製剤を投与するステップを含む。そのような実施形態では、その方法は、所望の部位での止血を促進すること;所望の部位での凝固を促進すること;所望の部位での局所効果を誘導することにより治癒を促進すること;及び/又は特に所望の部位が火傷であるときに所望の部位での湿度を維持することによって体液をさらに有効に調節することができる。
【0017】
さらに他の実施形態は、上記で開示された任意の製剤を供給することによって対象中の所望の部位で体液を有効に調節する方法を提供し、その製剤は組織充填剤を含み、所望の部位又はその近傍での滞留時間を延長させ、その結果、その製剤が身体からの排除に抵抗する。関連する実施形態では、滞留時間の延長をもたらすことはさらに液晶製剤の投与を含み、それによって所望の部位内及びその周囲での移動度を小さくし、その結果、その部位での滞留時間が延長する。そのような方法では、組織充填剤は皮膚充填剤、骨充填剤、脳充填剤、滑液充填剤又は筋肉充填剤でも良く、皮膚充填剤は唇の増大に使用することができ、あるいはそれを使用して皮膚の見かけの張りを調整し又はしわの外観を和らげることもでき、滑液充填剤を滑液代替媒体として使用することができ、組織充填剤を針の到達により部位に注射することができる。
【0018】
さらに他の実施形態は、上記で開示された任意の製剤を供給することによって対象中の所望の部位で体液を有効に調節する方法を提供し、体液を有効に調節することは、所望の部位での保護シーラントを形成し、その結果、体液の流動及び交換が調節され、その部位での保護シーラントの形成により組織の密封が促進されるステップをさらに含む。関連する実施形態では、その製剤は、組織再増殖のための治癒用基盤をもたらすことができ、その組織は、対象の上皮、結合、骨格、腺、筋肉又は神経組織部位で良く、所望の部位は、骨組織、硬膜組織、血管組織、脊髄組織、又は肝組織で良い。
【0019】
他の特定の実施形態は、上記で開示された任意の製剤を供給することによって対象中の所望の部位で体液を有効に調節する方法を提供し、体液を有効に調節することは、外科的癒着の形成を遅延させ、その結果、手術後の期間中に外科的介入の部位又はそれに隣接した部位において生じる可能性がある所望されない瘢痕組織の形成が阻害されるステップをさらに含む。関連する実施形態では、外科的癒着の形成を遅延させるステップは、製剤を投与し、その結果、その製剤が内部組織を被覆し、部位の瘢痕化の生理的な刺激物質を含む体液の密接な接触及び交換を妨げ、それによって、任意の外科的組織癒着の発生を遅延させるステップをさらに含む。より具体的な実施形態では、その製剤は液晶系を形成し、それによって体組織内又は体組織上での移動度を小さくし、形成された液晶系の接着、粘性及び粘着を介して適用部位からの製剤の排除を減少させ、投与するステップは、瘢痕組織増殖阻害剤を含む製剤を投与して、内部の外科的瘢痕組織癒着の形成をさらに遅延させるステップをさらに含んでも良く、瘢痕組織増殖阻害剤は、抗腫瘍剤、抗炎症剤、抗生剤又はそれらの組合せでも良い。
【0020】
さらに他の関連する実施形態では、外科手術領域又は部位を、噴霧被覆、熱溶解被覆、直接の移動、手動での適用、又はそれらの組合せによって製剤で処置することができ、体液は、血液、尿、唾液、漿液、滑液、胃分泌液、脳脊髄液、汗、涙、胆汁、硝子体液、糜粥、粘液、リンパ液又は創傷滲出液のいずれかで良く、所望の部位は、膣、子宮又は子宮頚部を含む女性の婦人科領域の一部でも良い。
【0021】
対象中の所望の部位で体液を有効に調節することについて開示された方法のいずれかでは、体液を有効に調節することは、治癒を促進するために所望の部位に局所効果を誘導するステップ、増大作用物質又は薬物、あるいはそれらの組合せを含む製剤を投与するステップをさらに含んでも良く、その部位は、急性外傷の創傷又は慢性の創傷で良く、急性外傷の創傷は、擦過傷、火傷、裂傷、穿刺傷又は切傷で良く、慢性の創傷は、脚の潰瘍、褥瘡、真菌性潰瘍、糖尿病性潰瘍、胃潰瘍、足の潰瘍、仙骨潰瘍又は無痛潰瘍で良い。
【0022】
関連する実施形態では、有効に調節することは、軟膏剤、ゲル剤、浣腸剤若しくは座剤の適用により大腸、直腸又は肛門腔へと製剤を送達するステップ;外傷、疾患若しくは外科的処置により生じた組織の空隙を充填するステップ;融解状態で製剤を投与するステップ;陽圧下での連続的若しくは断続的投与により製剤を投与するステップ;及び/又は腹腔鏡検査法、灌注、連続的噴霧、断続的噴霧、連続的流動、断続的流動、洗浄、圧注、浣腸、インプラント、沈着、手動での直接投与若しくは医療用物品中への組み込みにより部位へと製剤を投与するステップをさらに含んでも良い。医療用物品中への組み込みにより製剤を投与する実施形態では、医療用物品は、創傷被覆材、スポンジ、鼻用物品、ガーゼ付絆創膏、創傷充填材、内部血管閉鎖充填材、外部血管閉鎖被覆材、膨張性吸収剤物品、線維性創傷充填材、又は婦人衛生用物品で良い。関連する実施形態では、投与するステップは、圧注、座剤、浣腸、灌注、噴霧、流動、手動での適用、洗浄、又は医療用物品の含浸により投与するステップをさらに含んでも良く、手動での直接投与は、手による直接移動、又は手によって制御される器具により行って良く、手動での間接適用は、部位への製剤の移動の助けとなる製剤用の担体又は製剤を含浸させた器具を利用することにより行って良く、移動は、組織部位上及び/又は組織部位中に手動で製剤をこすり、塗り又は保持するステップを含む。
【0023】
他の特定の実施形態では、対象中の部位で失血を調節する方法が提供され、その方法は、対象中の失血部位に上記で開示されたトロンビン阻害製剤を投与するステップを含み、その製剤は血液凝固を促進し、それによってその部位で失血が調節される。関連する実施形態では、失血は、月経、分娩後出血、生殖器系の管の出血のいずれか、あるいは水を含む任意の体液又は滲出液の放出であり、失血は内部でも良く、あるいは外部でも良い。そのような実施形態では、投与するステップは、外傷、疾患若しくは外科的処置により生じた組織の空隙を充填するステップ;陽圧下での連続的若しくは断続的投与により投与するステップ;融解状態で製剤を投与するステップ;又は腹腔鏡検査法、灌注、連続的噴霧、断続的噴霧、連続的流動、断続的流動、洗浄、圧注、浣腸、インプラント、沈着、手動での直接適用若しくは医療用物品中への組み込みによりその部位へと投与するステップをさらに含んでも良い。特定の関連する実施形態では、医療用物品は、創傷被覆材、スポンジ、鼻用物品、ガーゼ付絆創膏、創傷充填材、内部血管閉鎖充填材、外部血管閉鎖被覆材、膨張性吸収剤物品、線維性創傷充填材、又は婦人衛生用物品のいずれかで良い。
【0024】
さらに他の特定の実施形態は、上記に記載された任意の治療用製剤を投与する方法を提供し、その方法は、対象中の血管到達部位において静脈若しくは動脈組織に製剤を直接投与するステップ;対象中の血管到達部位に隣接する組織と接触するように製剤を投与するステップ;血管到達部位から表皮まで製剤で到達用の管を埋め戻すことによって投与するステップ;静脈若しくは動脈到達部位の表在組織に製剤を送達するステップ;及び/又は製剤を含浸している投与用インプラント物品を利用するステップを含む。そのような実施形態では、その物品は、コラーゲン、ゼラチン、キトサン、キチン、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリn−アセチルグルコサミン又はそれらの組合せを含んで良く、投与するステップは、到達部位から針、鞘又は到達用カテーテルを抜く間又は抜いた直後の治療用製剤の適用をさらに含んで良い。
【0025】
他の特定の実施形態は、対象中の所望の組織部位に上記に記載された任意の治療用製剤を投与する方法を提供し、その方法は、所望の組織部位に製剤を投与して組織密封を実施するステップを含み、組織は、上皮、結合、骨格、腺、筋肉及び神経組織からなる群から選択される。関連する実施形態では、投与するステップは、神経組織に投与して麻痺の進行を阻害するステップをさらに含んで良く、製剤は、溶媒として脳脊髄液を含み、脳脊髄液は対象から得られる。他の関連する実施形態は、骨組織部位に製剤を投与して開口部を密封し、それによって体液の喪失を阻害し開口部に保護障壁をもたらすステップをさらに含んで良く、製剤は、溶媒として全血、血小板、血小板に富む血漿、又は血漿を含み、全血あるいは血小板、血小板に富む血漿、又は血漿は対象から得られ、投与するステップは骨の再生を促進するステップをさらに含む。
【0026】
関連するより具体的な実施形態では、対象中の所望の組織部位に上記に記載された任意の治療用製剤を投与して組織密封を実施する方法が提供され、組織密封を実施するステップは、外傷、疾患若しくは外科的処置により生じた組織の空隙を充填するステップをさらに含み、投与するステップは、陽圧下での連続的又は断続的投与;融解状態で製剤を投与するステップ;及び/又は腹腔鏡検査法、灌注、連続的噴霧、断続的噴霧、連続的流動、断続的流動、洗浄、圧注、浣腸、インプラント、沈着、手動での直接適用若しくは医療用物品中への組み込みによりその部位へと投与するステップをさらに含んでも良い。そのような実施形態では、医療用物品は、創傷被覆材、スポンジ、鼻用物品、ガーゼ付絆創膏、創傷充填材、内部血管閉鎖充填材、外部血管閉鎖被覆材、膨張性吸収剤物品、線維性創傷充填材、又は婦人衛生用物品のいずれかで良い。
【0027】
さらに他の特定の実施形態は、対象中の所望の部位で血管創傷又は切開部位の有効な閉鎖を促進する方法を提供し、その方法は、場合によっては陽圧により、血管創傷部位又は切開部位に生体適合性生体分解性治療用製剤を有効量投与するステップを含み、その製剤は約25重量%〜100重量%の液晶形成化合物及び約0重量%〜約75重量%の溶媒を含み、その製剤は、血流を物理的に止めることによって止血を行い、液を吸収し、その部位に投与してから約10分以内にその部位で局所効果を誘導し、それによって血管創傷又は切開の有効な閉鎖が促進される。関連する特定の実施形態では、その製剤は血流を物理的に止め、液を吸収し、約5分以内に、より具体的には約1分以内に、さらにより具体的には約30秒以内に局所効果を誘導する。
【0028】
さらに他の特定の実施形態は、対象中の所望の部位に上記に記載された任意の製剤を送達する方法を提供し、その方法は、注射により所望の部位に製剤を送達するステップを含み、より具体的には、対象の循環系内に直接注射することにより製剤を投与するステップを含み、さらにより具体的にはワイヤーガイドカテーテルなどの到達用器具を介して注射するステップを含み、さらにより具体的には注射しそれによって塞栓治療法用の製剤を送達するステップを含む。そのような実施形態では、塞栓治療法は腫瘍の治療、又は出血の治療である。
【0029】
他の特定の実施形態は、医療用物品との組織癒着を阻害する方法を提供し、その方法は、前記医療用物品を上記に記載された任意の製剤で被覆し、それによって、前記物品との組織癒着が阻害され、医療用物品の適用及びその後の除去時の痛み及び外傷が減少するステップを含む。特定の関連する実施形態では、医療用物品は、創傷被覆材、火傷被覆材、線維性充填材、ガーゼ付絆創膏、鼻出血の止血用物品、ヒト又は獣医学的対象用に意図された植え込み可能な医療用物品又は医療用金属製品である。
【0030】
さらに他の特定の実施形態は、上記に記載された任意の製剤又はそのような製剤を含む器具を滅菌する方法を提供し、その方法は、使用前に製剤又は製剤を含む器具の滅菌ろ過を行うステップ、製剤又は製剤を含む器具を蒸留するステップ、熱にさらすステップ、電離放射線にさらすステップ、無菌的に処理するステップ、加圧下で蒸気を伴って加熱するステップ、加圧を伴って加熱するステップ、又はガスにさらすステップを含む。
【0031】
他の特定の実施形態は、約15分以内に対象中の出血部位での止血を行う止血緊急キットを提供し、そのキットは、上記に記載された任意の滅菌製剤、及びその製剤を出血部位に適用する手段を含む。関連するより具体的な実施形態では、製剤を適用する手段は、陽圧灌注器具、スワブ、噴霧アプリケーター、シリンジ、点眼容器、創傷被覆材、ガーゼ付絆創膏、圧搾バルブ、ピペット、浣腸、座剤、開封後出血部位に直接適用するための密封容器、又は前記製剤の適用に適した任意の他の手段のいずれかである。
【0032】
他の関連する実施形態では、キットは、上記で開示された体液を調節する方法、治癒を促進する方法、火傷を治療する方法、創傷を被覆する方法、組織を密封する方法などの他の治療方法用に調製することができ、前記キットは、適当な滅菌製剤及びそのような製剤を適用する手段を供給する。関連する実施形態はさらに、包帯、ガーゼ、栓、縫合糸、清浄物質などの創傷被覆材物品を含んで良く、それらはすべて必要な治療用の滅菌製剤で処理され又はそれを含み、キットは使用しやすい容器に構築されている。
【0033】
他の特定の実施形態は、対象中の所望の部位において軟部体組織を有効に模倣する方法を提供し、その方法は、上記で開示された有効量の整容的製剤を所望の部位の内部に投与するステップを含む。関連する実施形態では、その製剤は液体、ゲル又は半固体のいずれかであり、その製剤は、整容的再建的インプラント器具用の充填媒体としての使用に適合することができ、その製剤は、その器具を充填した後に立方相を形成することができ、その製剤は、その器具を充填する前に立方相を形成することができる。他の関連する実施形態では、インプラント器具は乳房インプラント、組織空隙インプラント、臀部インプラント、顔面インプラント又は胸部インプラントであり、インプラントが対象の皮膚の直下に位置するとき、製剤充填媒体を、インプラントへの到達部位を介して増加、減少又は交換することができ、インプラント器具は、媒体を保持する複数の区画から構築することができ、その区画は区画間での媒体の移動を許容し、区画は開口部によってつながり、その開口部のサイズが区画間での媒体の移動の速度に影響を及ぼし;インプラント器具は、媒体を保持する複数の区画から構築することができ、その区画は区画間の媒体の移動を許容せず;又は複数の区画が楔形を有し、各区画が中心点から伸張し、円グラフと同様にその点を中心として区画が接触する。
【0034】
以下の本発明の特徴は、添付した図面を参照しながら、下記の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解されるであろう。
【0035】
[具体的な実施形態の詳細な説明]
定義。本記載及び添付する特許請求の範囲で使用するとき、下記の用語は、文脈上別の解釈を要する場合でない限り、示した意味を有するものとする:
【0036】
本明細書において「液晶」とは、その物理的状態の1つとして液晶の状態を有する任意の物質を意味する。液晶は通常中程度のサイズの有機分子であるが、それは大きい可能性もあり(すなわち、ポリマー)、長く伸び長方形の形状となる傾向があるが、様々な他の形状も同様にあり得る。その長く伸びた形状のため、適当な条件下でその分子は配向秩序を示すことができ、その結果、すべての軸が特定の方向に整列する。その結果、大量でのその秩序はその物質の物理化学的特性及びその物質の作用の仕方に深い影響を及ぼす。例えば、配向性の方向が空間中で変化する場合、光の配向性(すなわち、偏光)は、この変化に従う可能性がある。この現象の有名な適用例は、至る所に存在する液晶ディスプレイである。他の状況下で、その分子は、一方向に沿って大量の層を形成することがあるが、層内では(並進秩序の欠如の点から)液体様のままである。系がこれらの相の1つから他の相に変化するとき、感受性や熱容量などの様々な物理的パラメーターが「転移前挙動」を示す。もっぱら対称性に基づいて、この挙動は、超電導、磁気や超流動など他の物理系と関係する可能性があり、これが、この相転移のいわゆる「普遍性」である。本明細書において、「液晶」はまた、(事実上等方性であり、光学的に、磁気的に、電気的になど、どの視点からも同じようにみえる通常の流体と対照的に)異方性の巨視的挙動が生じる大きなクラスの高度に非等軸な分子をも包含し、それは、通常でなく、魅力的であり、潜在的、技術的かつ生物学的に重要な挙動を引き起こす。そのような分子の例には、ポリマー、ミセル、マイクロエマルジョン、及び脂肪酸、DNAや膜などの生物学的に重要な物質がある。本明細書において、液晶形成化合物を含む開示された製剤は、液体、ゲル又は半固体で良く、それは適用の前後に立方相を形成することができ、液晶形成化合物は疎水性及び/又は両親媒性で良い。さらに、液晶形成化合物を含む開示された製剤は、好ましくは生体適合性及び/又は生体分解性である。
【0037】
本明細書において「モノオレイン酸グリセリル」は、モノオレイン酸グリセロールを包含し、その2つを同義的に使用して、オレイン酸とグリセロールの反応の間に形成される同じモノエステルを表す。従って、本明細書において、「GMO」とは、モノオレイン酸グリセリル又はモノオレイン酸グリセロールを表し、その2つは1つの同じ化合物であることが理解される。すべての製剤では、液晶形成化合物、特にモノオレイン酸グリセリルの正確な百分率は、その化合物の供給元又は供給業者に応じて様々であり得るが、それは市販されている試薬のすべてが同一ではなく、正確な純度が様々であり得るからである。例えば、GMOの商業的供給元の1つは、モノオレイン酸グリセリル80%以上として純度を記載している。
【0038】
本明細書において「陽圧」とは、噴霧又はポンプ装置、手動で、直接的又は間接的に適用される物理的圧力、器具の手動又は自動での使用による力の適用を介するものであるかどうかを問わず、既存の大気、重力又は生物の体系的な力のみによって存在する力より大きな圧力を生じさせる力の使用を意味する。「陽圧の適用」などで、適用と併せて使用する語句は、スワブ、噴霧アプリケーター、シリンジ、点眼容器、創傷被覆材、ガーゼ付絆創膏、圧搾バルブ、ピペット、浣腸、座剤、開封後出血部位に直接適用するための密封容器や、直接的又は間接的な力の使用と併せての製剤の適用に適した任意の他の手段などの陽圧灌注器具を使用することによる、本明細書で開示された製剤、又は本明細書で開示された製剤を含む器具の適用を含む。例えば、静脈又は動脈の創傷で、心臓からのポンプ作用によって失血が悪化する場合、陽圧とは、失血に寄与する心臓からの力より大きい程度の、開示された製剤又はそのような製剤からなる器具を適用するための、その部位での力の使用を意味する。陽圧の他の例には、火傷など所望の部位への開示された製剤の噴霧又はパルス流動での適用によって生じた力の使用があり、その結果、重力より大きい力を使用して製剤が所望の部位に誘導される。
【0039】
本発明の特定の一実施形態は、粘性の異なる流体の形態又は流体でない形態で製剤することができる液晶製剤を作製する方法を提供し、その形態をヒト又は動物中の損傷部位又は組織破壊部位に適用して、血液又は体液の喪失を遅くし又は停止させることができる。その方法は、液晶前駆物質、例えばモノオレイン酸グリセリル(GMO)を水和又は溶媒和することによって液晶製剤を作製するステップを含んで良い。モノオレイン酸グリセリルの液晶製剤は、水性溶媒系を添加して物質を加熱して融解することによって作製する。結晶前駆物質への添加に適した水性溶媒系の特定の例は塩化ナトリウム溶液(食塩水溶液)である。流体として又は液体の状態で製剤される液晶製剤の例は、約5%w/wの生理食塩水を含む(NaClの終濃度約0.045重量%)、GMOに基づく製剤であり、粘性約80〜300センチポアズの製剤が生じる。半固体の流体として製剤される液晶製剤の例は、約10%の食塩水を含む、GMOに基づく製剤であり、粘性約1000〜5000センチポアズの製剤が生じる。流体でない製剤として製剤される液晶製剤のさらなる例は、約30%の食塩水を含む、GMOに基づく製剤であり、粘性が約1,200,000センチポアズを上回る製剤が生じる。適用方法の例には、シリンジ又は他の類似する器具により行われる加圧灌注がある。
【0040】
本発明の他の実施形態は、ヒト又は動物中の損傷部位又は組織破壊部位に適用して、血液又は体液の喪失を遅くし又は停止させることができる、粘性の異なる流体の形態又は流体でない形態で製剤することができる液晶製剤を作製する方法であり、その方法は、液晶前駆物質を水和又は溶媒和することによって液晶製剤を作製するステップを含む。液晶前駆物質の例はモノオレイン酸グリセリル(GMO)である。モノオレイン酸グリセリルの液晶製剤は、非水性溶媒製剤を添加して物質を加熱して融解することによって作製する。非水性溶媒系の例はミリスチン酸イソプロピルである。流体又は液体の状態として製剤される液晶製剤の例は、約10%のミリスチン酸イソプロピルを含む、GMOに基づく製剤であり、粘性約80〜500センチポアズの製剤が生じる。
【0041】
本発明の他の実施形態は、ヒト又は動物中の損傷部位又は組織破壊部位に適用して、血液又は体液の喪失を遅くし又は停止させることができる、粘性の異なる流体の形態又は流体でない形態で製剤することができる液晶製剤を作製する方法であり、その方法は、液晶前駆物質を水和又は溶媒和することによって液晶製剤を作製するステップを含む。液晶前駆物質の例はモノオレイン酸グリセリル(GMO)である。モノオレイン酸グリセリルの液晶製剤は、非水性半極性溶媒系を添加して物質を加熱して融解することによって作製する。非水性半極性溶媒系の例はポリエチレングリコール200である。流体又は液体の状態として製剤される液晶製剤の例は、約10%のポリエチレングリコールを含む、GMOに基づく製剤であり、粘性約80〜500センチポアズの製剤が生じる。
【0042】
本発明の他の実施形態は、ヒト又は動物中の損傷部位又は組織破壊部位に適用して、血液又は体液の喪失を遅くし又は停止させることができる、粘性の異なる流体の形態又は流体でない形態で製剤することができる液晶製剤を作製する方法であり、その方法は、液晶前駆物質を水和又は溶媒和することによって液晶製剤を作製するステップを含む。液晶前駆物質の例はモノオレイン酸グリセリル(GMO)である。モノオレイン酸グリセリルの液晶製剤は、水性及び非水性溶媒系の混合物を添加して物質を加熱して融解することによって作製する。流体又は液体の状態として製剤される液晶製剤の例は、約5%の生理食塩水及び約5%のエタノールを含む、GMOに基づく製剤であり、粘性約80〜500センチポアズの製剤が生じる。
【0043】
(増大作用物質/治療用薬剤を含むLCSを作製する方法)
他の実施形態は、ヒト又は動物中の損傷部位又は組織破壊部位に適用して、血液又は体液の喪失を遅くし又は停止させることができる、液晶形成化合物及び増大作用物質又は治療用薬剤を含む医薬品製剤を提供する。より具体的には、その製剤は、液晶製剤の作製前に水性溶媒系中に治療用薬剤又は増大作用物質を溶解、懸濁又は分散させた、溶媒和又は水和液晶製剤を含む。水性溶媒系の例は精製水である。増大作用物質又は治療用薬剤の例は、グルコン酸カルシウムや塩化カルシウムなどの可溶性のカルシウム塩である。
【0044】
他の実施形態は、ヒト又は動物中の損傷部位又は組織破壊部位に適用して、血液又は体液の喪失を遅くし又は停止させることができる、増大作用物質/治療用薬剤を含む液晶製剤を作製する方法を提供し、その製剤は、液晶製剤の作製前に水性溶媒系中に1つ又は複数の治療用薬剤を溶解又は分散させた、溶媒和又は水和液晶製剤を含む。水性溶媒系の例は精製水である。治療用薬剤の例はコロイド状二酸化ケイ素である。
【0045】
他の実施形態は、ヒト又は動物中の損傷部位又は組織破壊部位に適用して、血液又は体液の喪失を遅くし又は停止させることができる、治療用薬剤を含む液晶製剤を作製する方法を提供し、その製剤は、液晶製剤の作製前に非水性溶媒系中に1つ又は複数の治療用薬剤を溶解又は分散させた、溶媒和又は水和液晶製剤を含む。非水性溶媒系の例はエタノールである。治療用薬剤の例はベンゾカインである。
【0046】
他の実施形態は、ヒト又は動物中の損傷部位又は組織破壊部位に適用して、血液又は体液の喪失を遅くし又は停止させることができる、治療用薬剤を含む液晶製剤を作製する方法を提供し、その製剤は、液晶製剤の作製前に非水性溶媒系中に1つ又は複数の治療用薬剤を懸濁、溶解又は分散させた、溶媒和又は水和液晶製剤を含む。非水性溶媒系の例は綿実油である。治療用薬剤の例は硫酸アルミニウムカリウムである。
【0047】
他の実施形態は、ヒト又は動物中の損傷部位又は組織破壊部位に適用して、血液又は体液の喪失を遅くし又は停止させることができる、増大作用物質/治療用薬剤を含む液晶製剤を作製する方法を提供し、その製剤は、液晶製剤の作製前に液晶前駆物質中に1つ又は複数の増大作用物質/治療用薬剤を溶解又は分散させた、溶媒和又は水和液晶製剤を含む。増大作用物質/治療用薬剤の例はホスファチジルセリンである。
【0048】
他の実施形態は、ヒト又は動物中の損傷部位又は組織破壊部位に適用して、血液又は体液の喪失を遅くし又は停止させることができる、増大作用物質/治療用薬剤を含む液晶製剤を作製する方法を提供し、その製剤は、液晶製剤の作製前に液晶前駆物質中に1つ又は複数の増大作用物質/治療用薬剤を懸濁又は分散させた、溶媒和又は水和液晶製剤を含む。増大作用物質/治療用薬剤の例はコラーゲンである。
【0049】
(LCSの適用/送達方法)
本発明の他の実施形態は、二次汚染の可能性を低下させる、損傷部位又は組織破壊部位への送達の改良法を提供する。その送達の改良法は、初期パッケージング容器(最終的に滅菌)による製剤の重力誘導性流動(stream又はflow)を含む。
【0050】
本発明の他の実施形態は、二次汚染の可能性を低下させる、損傷部位又は組織破壊部位への送達の改良法を提供する。その送達の改良法は、プランジャー又はピストン型の系などのような機械的加圧による製剤の誘導性加圧噴霧又は流動を含む。
【0051】
本発明の他の実施形態は、二次汚染の可能性を低下させる、損傷部位又は組織破壊部位への送達の改良法を提供する。その送達の改良法は、圧搾容器型の系などのような機械的加圧による製剤の誘導性加圧噴霧又は流動を含む。
【0052】
本発明の他の実施形態は、二次汚染の可能性を低下させる、損傷部位又は組織破壊部位への送達の改良法を提供する。その送達の改良法は、エアロゾル型の系などのようなガス噴射による製剤の誘導性加圧噴霧又は流動を含む。
【0053】
(二次的医療用構造物内又はその上のLCSの適用/送達方法)
本発明の他の実施形態は、損傷部位又は組織破壊部位への送達方法を提供する。その送達方法は、外科用ガーゼなどの医療用構造物内又はその上での運搬を介する製剤の送達を含む。
【0054】
本発明の他の実施形態は、損傷部位又は組織破壊部位への送達方法を提供する。その送達方法は、綿スワブ器具などの医療用構造物内又はその上での運搬を介する製剤の送達を含む。
【0055】
本発明の他の実施形態は、損傷部位又は組織破壊部位への送達方法を提供する。その送達方法は、初期密封型又は非密封型包帯などの医療用構造物内又はその上での運搬を介する製剤の送達を含む。
【0056】
(LCSの適用/送達方法−血管閉鎖)
本発明の他の実施形態は、静脈又は動脈到達部位の周囲にある組織への送達方法を提供する。その送達方法は、針又は到達用カテーテルを抜いた後の、到達用の管中への直接的な注射又は点滴注入による製剤の送達を含む。
【0057】
本発明の他の実施形態は、静脈又は動脈到達部位の周囲にある組織への送達方法を提供する。その送達方法は、到達用の管の埋め戻しに使用する複数管バルーンカテーテル系を介した注射又は点滴注入による製剤の送達を含む。そのカテーテル系は、本発明を置いた後に抜く。
【0058】
本発明の他の実施形態は、静脈又は動脈到達部位の表在組織への送達方法を提供する。その送達方法は、針又は到達用カテーテルを抜く間又はその直後の、表在する到達用の管への直接適用による製剤の送達を含む。本発明は、その部位に単独で置いても良く、あるいは密封型若しくは非密封型被覆材又は圧迫用被覆材と組み合わせて置いても良い。
【0059】
(LCSの適用/送達方法−塞栓治療法)
本発明の他の実施形態は、塞栓治療法のための循環系への送達方法を提供する。その送達方法は、ワイヤーガイドカテーテルなどの静脈内又は動脈内到達方法を介した注射による製剤の送達を含む。
【0060】
(LCSの適用/送達方法−婦人衛生)
本発明の他の実施形態は、女性生殖管への送達方法を提供する。その送達方法は、タンポンや女性用ナプキン又はパッドなどの、女性生殖管内又はその上での月経用製品内又はその上での運搬を介する製剤の送達を含む。
【0061】
本発明の他の実施形態は、女性生殖管への送達方法を提供する。その送達方法は、圧注の形での運搬を介する製剤の送達を含む。
【0062】
本発明の他の実施形態は、女性生殖管への送達方法を提供する。その送達方法は、座剤又は膣座剤の形での運搬を介する製剤の送達を含む。
【0063】
(LCSの適用/送達方法−下部GI〜直腸)
本発明の他の実施形態は、大腸、直腸及び肛門構造物への送達方法を提供する。その送達方法は、浣腸の形での運搬を介する製剤の送達を含む。
【0064】
本発明の他の実施形態は、大腸、直腸及び肛門構造物への送達方法を提供する。その送達方法は、座剤の形での運搬を介する製剤の送達を含む。
【0065】
本発明の他の実施形態は、大腸、直腸及び肛門構造物への送達方法を提供する。その送達方法は、半固体の軟膏剤の形での運搬を介する製剤の送達を含む。
【0066】
(潤滑剤)
本発明の他の実施形態は、体内に器具又は構造物を置き、又は取り外す際の助けとなる持続性潤滑化の方法を提供する。その方法は、外科用鼻出血ガーゼや鼻用充填材などの器具又は構造物内又はその上での製剤の適用を含む。液晶製剤は、組織と器具又は構造物との間に物理的な不溶性障壁をもたらし、それは、挿入し又は適用部位から取り外すための表面の向きを変え、及びそれを潤滑化することを容易にする。
【0067】
(整容手術)
本発明の他の実施形態は、組織の直接の整容的増大のための実用的方法を提供する。その方法は、組織の体積を増大させて美的特徴を向上させる身体の組織中への製剤の注射を含む。
【0068】
本発明の他の実施形態は、乳房や臀部のインプラントなどの植え込み可能な整容的増大器具における実用的方法を提供する。その方法は、所望の脂肪又は筋肉組織の硬度を有する製剤の作製、及びその後のポリマー性又はエラストマー性の植え込み用外被中への組み込みを含む。
【0069】
(生体用金属製品)
本発明の他の実施形態は、細菌のバイオフィルム感染症の形成を減少又は消失させる植え込み可能な人工装具用金属製品の適用方法を提供する。その方法は、植え込み前又はその時点での噴霧被覆、熱溶解被覆又は浸漬被覆の方法による、金属製器具又は構造物の内部又はその上での製剤の適用を含む。液晶製剤は、物理的な不溶性障壁をもたらし、それは、バイオフィルム感染症を生じさせることができる細菌の接着又は沈着に抵抗する。
【0070】
(創傷治癒)
本発明の他の実施形態は、褥瘡などの軟組織の慢性創傷への適用方法を提供する。その方法は、清浄又は創面切除後の創床への製剤の適用を含む。液晶製剤は、物理的な不溶性障壁をもたらし、それは、汚染に抵抗するだけでなく、障壁下の有利な湿度の均衡をも維持する。
【0071】
(癒着)
本発明の他の実施形態は、外科的癒着の形成を減少又は消失させる方法を提供する。その方法は、外科的操作部位の近傍又はその上で製剤を適用するステップを含む。液晶製剤は、操作した組織間に物理的な不溶性障壁をもたらし、それは、組織癒着につながる過形成性瘢痕化の傾向を低下させる。
【0072】
(実施例1)
精製水USP 5%
モノオレイン酸グリセリル 95%
精製水USPを約40℃まで加熱した。モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。精製水をGMOと混合した。得られた系を十分に混ぜ、そのままの状態で周囲温度まで戻した。得られた混合物から、粘性約80〜500センチポアズである濁りを帯びた液体製剤が生じた。
【0073】
本実施例は、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血、流体調節及び/又は創傷治癒作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。その製剤はまた、様々な程度の火傷治療用の創傷被覆材物品で使用して、火傷表面を微生物への曝露から保護しそれにより感染を阻止し、流体(滲出)を調節し、擦過傷や被覆材の交換時の組織の新たな損傷/喪失から火傷表面を保護することもできる。
【0074】
(実施例2)
注射用生理食塩水USP 5%
モノオレイン酸グリセリル 95%
注射用生理食塩水USPを約40℃まで加熱した。モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。生理食塩水をGMOと混合した。得られた系を十分に混ぜ、そのままの状態で周囲温度まで戻した。得られた混合物から、粘性約80〜500センチポアズである濁りを帯びた液体製剤が生じた。
【0075】
本実施例は、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血、流体調節及び/又は創傷治癒作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。その製剤はまた、様々な程度の火傷治療用の創傷被覆材物品で使用して、火傷表面を微生物への曝露から保護しそれにより感染を阻止し、流体(滲出)を調節し、擦過傷や被覆材の交換時の組織の新たな損傷/喪失から火傷表面を保護することもできる。
【0076】
(実施例3)
190プルーフエタノール 5%
モノオレイン酸グリセリル 95%
閉じた容器中で95%エタノールを約40℃まで加熱した。モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。エタノールをGMOと混合した。得られた系を十分に混ぜ、そのままの状態で周囲温度まで戻した。得られた混合物から、粘性約80〜500センチポアズである濁りを帯びた液体製剤が生じた。
【0077】
本実施例は、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血、流体調節及び/又は創傷治癒作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。その製剤はまた、様々な程度の火傷治療用の創傷被覆材物品で使用して、火傷表面を微生物への曝露から保護しそれにより感染を阻止し、流体(滲出)を調節し、擦過傷や被覆材の交換時の組織の新たな損傷/喪失から火傷表面を保護することもできる。
【0078】
(実施例4)
190プルーフエタノール 5%
注射用生理食塩水USP 5%
モノオレイン酸グリセリル 90%
閉じた容器中でエタノール及び生理食塩水を完全に混ぜ、それを約40℃まで加熱した。モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。エタノール/生理食塩水混合物をGMOと混合した。得られた系を十分に混ぜ、そのままの状態で周囲温度まで戻した。得られた混合物から、粘性約80〜500センチポアズである濁りを帯びた液体製剤が生じた。
【0079】
本実施例は、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血、流体調節及び/又は創傷治癒作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。その製剤はまた、様々な程度の火傷治療用の創傷被覆材物品で使用して、火傷表面を微生物への曝露から保護しそれにより感染を阻止し、流体(滲出)を調節し、擦過傷や被覆材の交換時の組織の新たな損傷/喪失から火傷表面を保護することもできる。
【0080】
(実施例5)
プロピレングリコールUSP 5%
モノオレイン酸グリセリル 95%
プロピレングリコールUSPを約40℃まで加熱した。モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。プロピレングリコールをGMOと混合した。得られた系を十分に混ぜ、そのままの状態で周囲温度まで戻した。得られた混合物から、粘性約80〜200センチポアズである透明な液体製剤が生じた。
【0081】
本実施例は、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血、流体調節及び/又は創傷治癒作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。その製剤はまた、様々な程度の火傷治療用の創傷被覆材物品で使用して、火傷表面を微生物への曝露から保護しそれにより感染を阻止し、流体(滲出)を調節し、擦過傷や被覆材の交換時の組織の新たな損傷/喪失から火傷表面を保護することもできる。
【0082】
(実施例6)
綿実油NF 20%
モノオレイン酸グリセリル 80%
綿実油NFを約40℃まで加熱した。モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。綿実油をGMOと混合した。得られた系を十分に混ぜ、そのままの状態で周囲温度まで戻した。得られた混合物から、粘性約80〜200センチポアズである透明な液体製剤が生じた。
【0083】
本実施例は、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血、流体調節及び/又は創傷治癒作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。その製剤はまた、様々な程度の火傷治療用の創傷被覆材物品で使用して、火傷表面を微生物への曝露から保護しそれにより感染を阻止し、流体(滲出)を調節し、擦過傷や被覆材の交換時の組織の新たな損傷/喪失から火傷表面を保護することもできる。本実施例での無極性溶媒の使用により、その系の特徴だけでなく最終的な液晶状態への転換の速度をも変化させることができた。この場合、転換の速度は遅くなって終了に2〜5分を要する過程となり、最終状態の粘性が低下した。
【0084】
(実施例7)
ホスファチジルセリン20%粉末 10%
注射用生理食塩水USP 5%
モノオレイン酸グリセリル 85%
ホスファチジルセリン20%(PS)粉末を注射用生理食塩水USP中に分散させ、それで水和させた。モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。PS混合物をGMOと混合し、それを十分に混ぜた。得られた混合物から、粘性約800〜2000センチポアズである茶色がかった黄色のゲル製剤が生じた。
【0085】
本実施例は、適用の正確さ、及びその領域中又は周囲組織へのその系の潜在的な移動度の低下が所望される場合に、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。ホスファチジルセリンの添加は、正常な凝固カスケードにおける潜在的な媒介物質として補助的な役割を果たす。
【0086】
(実施例8)
ホスファチジルセリン20%粉末 10%
注射用生理食塩水USP 5%
モノオレイン酸グリセリル 85%
モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。ホスファチジルセリン20%(PS)粉末を融解GMO中に分散させた。次いで注射用生理食塩水USPで融解混合物を混合しながら水和した。PS混合物をGMOと混合し、それを十分に混ぜた。得られた混合物から、粘性約60〜200センチポアズである茶色がかった黄色の液体製剤が生じた。
【0087】
本実施例は、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。ホスファチジルセリンの添加は、正常な凝固カスケードにおける潜在的な媒介物質として補助的な役割を果たす。
【0088】
(実施例9)
注射用アンピシリン250mg粉末
モノオレイン酸グリセリル qs 1ml
モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。再構成用アンピシリン250mg粉末を融解GMO中に分散させた。得られた混合物から、粘性の高い接着性弾性塊が生じた。
【0089】
本実施例により、静脈うっ血及び糖尿病性の足の潰瘍によって生じる創床中に挿入しその上に接着させる治療用被覆系として実施可能な接着性弾性製剤が生じた。その製剤は治癒を促進し、それを使用してこれらの状態にしばしば伴う二次的な細菌感染を防止し又は治療することができる。その製剤はまた、様々な程度の火傷治療用の創傷被覆材物品で使用して、感染を調節し、流体(滲出)を調節し、擦過傷や被覆材の交換時の組織の新たな損傷/喪失から火傷表面を保護することもできる。
【0090】
(実施例10)
塩化カリウム溶液1meq/mL 10%
モノオレイン酸グリセリル 90%
濃縮塩化カリウム(KCl)2meq/mLを、注射用水USPを使用して濃度1meq/mLに希釈した。この希釈液を約40℃まで加熱した。モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。KCl溶液をGMOと混合し、それを十分に混ぜた。得られた混合物から、粘性が約120万センチポアズを超える透明な固体製剤が生じた。
【0091】
(実施例11)
塩化カリウム溶液1meq/mL 5%
モノオレイン酸グリセリル 95%
塩化カリウム(KCl)2meq/mLを、注射用水USPを使用して濃度1meq/mLに希釈した。この希釈液を約40℃まで加熱した。モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。KCl溶液をGMOと混合し、それを十分に混ぜた。得られた混合物から、粘性約80〜200センチポアズである濁りを帯びた液体製剤が生じた。
【0092】
本実施例は、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。
【0093】
(実施例12)
コレステロールUSP 10%
注射用生理食塩水USP 5%
モノオレイン酸グリセリル 85%
モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。コレステロールUSP粉末を融解GMO中に分散させた。次いで注射用生理食塩水USPで融解混合物を混合しながら水和した。得られた混合物から、粘性約60〜200センチポアズである白色の液体製剤が生じた。
【0094】
本実施例は、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血作用物質として、又は創傷治癒作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。コレステロールの添加は、最終相への転換の速度を遅くするだけでなく、最終相が硬くなることを遅くするのにも役立つ。
【0095】
(実施例13)
クロスポビドンNF 10%
注射用生理食塩水USP 5%
モノオレイン酸グリセリル 85%
モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。クロスポビドンNF粉末を融解GMO中に分散させた。次いで注射用生理食塩水USPで融解混合物を混合しながら水和させた。得られた混合物から、粘性約10,000〜30,000センチポアズである堅い白色のゲル製剤が生じた。本実施例は、適用の正確さ、及びその領域中又は周囲組織へのその系の潜在的な移動度の低下が所望される場合に、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。クロスポビドンの添加は、血液又は体液を吸収し、その後調節可能な形で膨張して、治療した領域に二次的な物理的圧力をさらにかけることができる膨張剤として補助的な役割を果たす。
【0096】
(実施例14)
クロスポビドンNF 10%
注射用生理食塩水USP 5%
モノオレイン酸グリセリル 85%
モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。ポビドンK29/32、NF粉末を融解GMO中に分散させた。次いで注射用生理食塩水USPで融解混合物を混合しながら水和した。得られた混合物から、粘性約2000〜5000センチポアズである濃い不透明な絹様のゲル製剤が生じた。
【0097】
本実施例は、適用の正確さ、及びその領域中又は周囲組織へのその作用物質の潜在的な移動度の低下が所望される場合に、洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する送達用製剤中での止血作用物質又は治療用創傷治癒作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。その製剤はまた、様々な程度の火傷治療用の創傷被覆材物品で使用して、火傷表面を微生物への曝露から保護しそれにより感染を阻止し、流体(滲出)を調節し、擦過傷や被覆材の交換時の組織の新たな損傷/喪失から火傷表面を保護することもできる。クロスポビドンの添加は、組織接着を増大させる作用物質として補助的な役割を果たす。
【0098】
(実施例15)
Pemulen(登録商標)TR2 1%
注射用生理食塩水USP 5%
モノオレイン酸グリセリル 85%
モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。Pemulen(登録商標)TR2、NF粉末を融解GMO中に分散させた。次いで注射用生理食塩水USPで融解混合物を混合しながら水和させた。得られた混合物から、粘性約100,000〜300,000センチポアズである接着性弾性ゲル製剤が生じた。本実施例で、他のメタクリル酸コポリマー及びその誘導体とPemulen(登録商標)TR2を交換できることが理解される。本実施例は、適用の正確さ、及びその領域中又は周囲組織へのその作用物質の潜在的な移動度の低下が所望される場合に、洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する送達用製剤中での止血作用物質又は治療用創傷治癒作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。
【0099】
(実施例16)
ポリエチレングリコール(PEG)400、NF 10%
ポリエチレングリコール(PEG200、NF 5%
モノオレイン酸グリセリル 85%
PEG400、NF及びPEG200、NFを混ぜ、それを約40℃まで加熱した。モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。PEG混合物をGMOと混合した。得られた系を十分に混ぜ、そのままの状態で周囲温度まで戻した。得られた混合物から、粘性約80〜200センチポアズである透明な液体製剤が生じた。本実施形態では、他のMWのPEGも同様に有用である可能性があり、それを上記に記載のものと交換して、そのような製剤を止血作用物質として実施可能にする同様の特性を有する代替の製剤を作製することができる。
【0100】
本実施例は、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血、流体調節及び/又は創傷治癒作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。その製剤はまた、様々な程度の火傷治療用の創傷被覆材物品で使用して、火傷表面を微生物への曝露から保護しそれにより感染を阻止し、流体(滲出)を調節し、擦過傷や被覆材の交換時の組織の新たな損傷/喪失から火傷表面を保護することもできる。
【0101】
(実施例17)
ミリスチン酸イソプロピルNF 5%
モノオレイン酸グリセリル 95%
ミリスチン酸イソプロピルNF(IPM)を約40℃まで加熱した。モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。IPMをGMOと混合した。得られた系を十分に混ぜ、そのままの状態で周囲温度まで戻した。得られた混合物から、粘性約800〜3000センチポアズである濁りを帯びたゲル製剤が生じた。
【0102】
本実施例は、適用の正確さ、及びその領域中又は周囲組織へのその系の潜在的な移動度の低下が所望される場合に、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。
【0103】
(実施例18)
グルコン酸カルシウム10%溶液 5%
モノオレイン酸グリセリル 95%
グルコン酸カルシウム溶液を約40℃まで加熱した。モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。グルコン酸カルシウムをGMOと混合した。得られた系を十分に混ぜ、そのままの状態で周囲温度まで戻した。得られた混合物から、粘性約80〜200センチポアズである濁りを帯びた液体製剤が生じた。
【0104】
本実施例は、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。カルシウムイオンの添加は、正常な凝固カスケードを補う生理的な媒介物質として補助的な役割を果たした。
【0105】
(実施例19)
ヒアルロン酸ナトリウム 2.5%
注射用生理食塩水USP 5%
モノオレイン酸グリセリル 92.5%
ヒアルロン酸ナトリウムを生理食塩水中に溶解し、それを約35℃まで加熱した。モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。ヒアルロン酸ナトリウム溶液をGMOと混合した。得られた系を十分に混ぜ、そのままの状態で周囲温度まで戻した。得られた混合物から、粘性約1000〜3000センチポアズである濁りを帯びた液体製剤が生じた。
【0106】
本実施例は、適用の正確さ、及びその領域中又は周囲組織へのその系の潜在的な移動度の低下が所望される場合に、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。その製剤はまた、様々な程度の火傷治療用の創傷被覆材物品で使用して、火傷表面を微生物への曝露から保護しそれにより感染を阻止し、流体(滲出)を調節し、擦過傷や被覆材の交換時の組織の新たな損傷/喪失から火傷表面を保護することもできる。ヒアルロン酸塩の添加は、治癒の生理的過程で助けとなる補助物質として働く。
【0107】
(実施例20)
ヒアルロン酸ナトリウム 2.5%
注射用生理食塩水USP 5%
モノオレイン酸グリセリル 92.5%
モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。ヒアルロン酸ナトリウムをGMO中で撹拌しながら分散させた。生理食塩水をGMO混合物と混合した。得られた系を十分に混ぜ、そのままの状態で周囲温度まで戻した。得られた混合物から、粘性約1000〜3000センチポアズである濁りを帯びた液体製剤が生じた。
【0108】
本実施例は、適用の正確さ、及びその領域中又は周囲組織へのその系の潜在的な移動度の低下が所望される場合に、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。その製剤はまた、様々な程度の火傷治療用の創傷被覆材物品で使用して、火傷表面を微生物への曝露から保護しそれにより感染を阻止し、流体(滲出)を調節し、擦過傷や被覆材の交換時の組織の新たな損傷/喪失から火傷表面を保護することもできる。ヒアルロン酸塩の添加は、治癒の生理的過程で助けとなる補助物質として働く。
【0109】
(実施例21)
水素化レシチン 5%
注射用生理食塩水USP 5%
モノオレイン酸グリセリル 90%
水素化レシチンを生理食塩水中に分散させ、それを約40℃まで加熱した。モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。水素化レシチン溶液をGMOと混合した。得られた系を十分に混ぜ、そのままの状態で周囲温度まで戻した。得られた混合物から、粘性約50,000〜100,000センチポアズである濁りを帯びた液体製剤が生じた。
【0110】
本実施例は、適用の正確さ、及びその領域中又は周囲組織へのその系の潜在的な移動度の低下が所望される場合に、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。レシチンの添加は、宿主の正常な凝固カスケードを強める生理的なリン脂質中間体の供給源として働く。
【0111】
(実施例22)
水素化レシチン 5%
注射用生理食塩水USP 5%
モノオレイン酸グリセリル 90%
モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。水素化レシチンをGMO中で撹拌しながら分散させた。生理食塩水をGMO混合物と混合した。得られた系を十分に混ぜ、そのままの状態で周囲温度まで戻した。得られた混合物から、粘性約1000〜3000センチポアズである濁りを帯びた液体製剤が生じた。
【0112】
本実施例は、適用の正確さ、及びその領域中又は周囲組織へのその系の潜在的な移動度の低下が所望される場合に、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。レシチンの添加は、宿主の正常な凝固カスケードを強める生理的なリン脂質中間体の供給源として働く。
【0113】
(実施例23)
プロピレングリコールUSP 5%
注射用水USP 2.5%
エタノールUSP 2.5%
モノオレイン酸グリセリル 90%
モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。プロピレングリコール、注射用水及びエタノールを混合し、良く混ぜて均質な溶液にした。融解GMO及びPG/水/エタノール溶液を勢い良く混ぜながら混合した。得られた系をそのままの状態で周囲温度まで戻した。得られた混合物から、粘性約80〜200センチポアズである透明な〜濁りを帯びた液体製剤が生じた。
【0114】
本製剤は、低圧及び高圧での送達方法による止血での適用に十分適するものである。製造後、その製剤を圧縮空気エアロゾル系に入れた。その製剤は、細かい霧から勢い良く進む噴霧にわたる速度で適用することが容易である。この送達方法により、広い表面積にわたる都合の良いかつ均一な適用が可能となる。本実施例は、火傷への直接噴霧での適用で、又は様々な程度の火傷治療用の創傷被覆材物品で使用して、火傷表面を微生物への曝露から保護しそれにより感染を阻止し、流体(滲出)を調節し、擦過傷や被覆材の交換時の組織の新たな損傷/喪失から火傷表面を保護する製剤中での流体調節、及び/又は創傷治癒作用物質としてそれを特に実施可能にする特徴を有する。
【0115】
(実施例24)
プロピレングリコールUSP 2.56%
注射用水USP 5.1%
モノオレイン酸グリセリル 92.3%
モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。プロピレングリコール及び注射用水を混合し、良く混ぜて均質な溶液にした。融解GMO及びPG/水溶液を勢い良く混ぜながら混合した。得られた系をそのままの状態で周囲温度まで戻した。得られた混合物から、粘性約3000〜5000センチポアズである透明な〜濁りを帯びた液体製剤が生じた。
【0116】
本製剤は、低圧及び高圧での送達方法による止血での適用に十分適するものである。製造後、その製剤をポンプ型噴霧用ビンに入れた。その製剤は、弱い流動及び勢い良く進む噴霧として適用することが容易である。この送達方法により、特定の組織表面領域に対する都合の良いかつ誘導性の適用が可能となる。本実施例は、火傷への直接噴霧での適用で、又は様々な程度の火傷治療用の創傷被覆材物品で使用して、火傷表面を微生物への曝露から保護しそれにより感染を阻止し、流体(滲出)を調節し、擦過傷や被覆材の交換時の組織の新たな損傷/喪失から火傷表面を保護する製剤中での流体調節、及び/又は創傷治癒作用物質としてそれを特に実施可能にする特徴を有する。
【0117】
(実施例25)
トロンビン 1000U/g
注射用生理食塩水USP 5%
モノオレイン酸グリセリル 95%
注射用生理食塩水USPを約40℃まで加熱した。モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。生理食塩水をGMOと混合した。得られた系を十分に混ぜ、そのままの状態で周囲温度まで戻した。トロンビンを系中で穏やかに混ぜながら分散させた。得られた混合物から、粘性約80〜500センチポアズである濁りを帯びた液体製剤が生じた。
【0118】
本実施例は、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対して、洗浄又は灌注並びに加圧送達方法によって送達する止血作用物質としてそれを実施可能にする低粘性を有する。トロンビンの添加は、正常な凝固カスケードを補う生理的な媒介物質として補助的な役割を果たした。
【0119】
(実施例26A)
血漿、血小板、血小板に富む血漿、又は全血 約1〜約45重量%
モノオレイン酸グリセリル 約35〜約99重量%
【0120】
(実施例26B)
血漿、血小板、血小板に富む血漿、又は全血 約6重量%
モノオレイン酸グリセリル 約94重量%
治療する患者又は他の許容できる血液供与源に由来する、疾患を有さず薬物を含まない血小板、血小板に富む血漿、血漿又は全血を約40℃まで加熱した。モノオレイン酸グリセリル(GMO)を加熱して融解させた。次いで血小板、血小板に富む血漿、血漿又は全血をGMOと混合した。得られた系を十分に混ぜ、そのままの状態で周囲温度まで戻した。得られた混合物から、粘性が比較的低い液体製剤が生じた。
【0121】
本実施例は、表在又は内部の創傷、及び罹患組織に対する洗浄又は灌注並びに加圧送達方法による送達用製剤中での止血、流体調節及び/又は創傷治癒作用物質としてそれを実施可能にする特徴を有する。
【0122】
上記の実施例1〜25で明記した他の製剤のほとんどではないとしてもその多くを、記載された溶媒の代わりに、又はそれに加えて供与者級の血小板、血小板に富む血漿、血漿又は全血で調合して、様々な止血、流体調節及び/又は創傷治癒の目的に適した製剤を作製できることが想像される。
【0123】
(実施例27−吸収剤物品)
一実施形態では、内部表面及び外部表面を有する液体不浸透性及び水蒸気浸透性の外部層を含む吸収層が提供され、その内部表面は、吸収層の外部表面と本質的に同一の広がりを有する。液体浸透性のライナーは、吸収層が液体浸透性のシートと外部層の間に位置するように吸収層の内部表面と実質的に同一の広がりを有する表面を有しても良い。さらに、その物品は、外部層の内部表面と同一の広がりを有する反対側の液体浸透性のライナーの少なくとも一部の表面上に生体適合性生体分解性の疎水性組成物を有し、その組成物は、約50重量%〜99重量%の液晶形成化合物及び約0重量%〜50重量%の溶媒を含む。吸収用器具を創傷被覆材として使用する場合、それで創傷を覆い、吸収層を創傷に隣接させることができる。次いで、例えばテープ又は接着性のラップによってその器具を創傷の周りの皮膚に接着させることができる。
【0124】
他の実施形態では、吸収層及び外部層は実質的に同一の広がりを有さず、他の層が吸収層の外辺部の少なくとも一部を越えて延長して、上部及び下部表面を有する延長部分を形成する。延長部分の下部表面は吸収層と隣接し、下部表面の少なくとも一部は、創傷の周りの皮膚への吸収剤物品の接着に使用することができる接着層を有する。場合によっては、この実施形態はさらに、外部層と実質的に同一の広がりを有し、接着層により液体浸透性のライナーと接着する開放用ライナーを含むこともできる。次いで、創傷又は適用部位への物品の適用前に、吸収剤物品から開放用ライナーを取り外す。
【0125】
液体浸透性の層は、創傷又は治療部位から吸収層中への液体、例えば滲出液の通過を可能にし、好ましくは、物品の適用部位への吸収層の接着を防止する。水性媒体吸収用器具はしばしば、実質的に水性媒体不浸透性及び水蒸気浸透性の外部層を含み、その層は、ポリエチレン、ポリプロピレンやポリウレタンなどの任意の適切な物質を含んで良く、その厚さは吸収物質内に流体を保持する助けとなるように約0.02mmである。外部層はまた、撥水物質で処理された織物を含んでも良い。外部層はまた、米国特許第4,726,989号明細書に記載されているような水蒸気浸透性の接着性被覆フィルムでも良い。
【0126】
液体浸透性の層は、ポリエステル、ポリオレフィン、レーヨンなど、実質的に多孔性であり、それを介して水性媒体をその下にある吸収剤中心部へと容易に通過させる任意の物質を含んで良い。接着層に適した接着剤の例には、HL−1685−XやHL−1710−Xを含めた熱融解噴霧接着剤などの任意の非細胞傷害性接着剤があり、それらはどちらも、H.B.Fuller Co.、ミネソタ州St.Paulから市販されている。熱融解接着剤は、Nordson Corporation、ジョージア州Duluthから市販されているものなどのらせん型噴霧接着系を使用して適用することができる。そのような系を使用した典型的な接着適用程度は、約6〜10g/mである。吸収層はまた、木材パルプ、セルロース、綿、レーヨン、再生セルロース、細断されたセルローススポンジ及びバインダーや、細断されたケラチンなど、通常使用される物質と混合して吸収性の織物又はバットを調製する繊維を含んでも良い。通常、吸収層の厚さは約0.5〜10mmである。開放用ライナーは、開放用ライナーとして有用な、当技術分野で知られている任意のポリマーフィルム、紙又は箔からなるもので良い。有用なライナーの例には、Day Cedex、仏国から入手可能な坪量50g/mのSC501FM40白色Sopal Flexible Packagingがある。
【0127】
記載された実施形態は、無菌条件下で調製され、創傷又は他の所望の部位で直接使用するための無菌パッケージ中に予め包装されている、接着剤を添加した又は単にその物品単独の、包帯、ガーゼ被覆材、スポンジ被覆材、又は任意の他の吸着剤物品で良い。
【0128】
(実施例28−止血系としての有用性−ネズミモデルでの肝裂傷)
動物#1−成体げっ歯類に麻酔をかけ、次いで尾部を完全に引き裂いて37℃食塩水中に激しい動脈出血を生じさせた。遅れる又は中断することなく2分後に、尾部を食塩水から取り出し、製剤#2を1滴適用した。出血は停止し、その約1分後、遅い滲出が始まった。この二次的出血は、2回目の適用で完全に停止した。
【0129】
動物#2−動物#1と同様に尾部の出血を誘導した。37℃食塩水に入れて10秒後、激しく出血している尾部を食塩水から取り出し、1滴の製剤#2で被覆した。これにより、動脈圧からの突破をいくらか伴う出血が非常に遅くなった。2回目及び3回目の滴下で出血は大部分調節されたが、完全には調節されなかった。側腹切開を行って腹腔を露出した。肝を露出する過程で、大血管(特定せず)の意図していない創傷からの出血が起こった。この創傷からの出血は、2滴の製剤#2で完全に調節された。
【0130】
動物#3−麻酔状態の段階を確立し、側腹切開を行った後、肝を引き裂き、30秒間ガーゼ上で自由に出血させ、そのときに裂傷の表面及び周囲の領域を製剤#2でたっぷりと満たした。出血は即座に調節された。1分後に過剰な製剤#2の付いたガーゼを取り除き、次いで引き裂いた臓器の下に2枚目のガーゼを置いた。最小限の血液が創傷部位から2枚目のガーゼ上に沈着した。動物#1と同様に尾部の出血を誘導し、次いで2滴の製剤#2でそれは完全に調節された。
【0131】
in vivo出血実験に関する全体的な結論−製剤#2の適用により、毛細血管及び小血管に由来する出血はうまく調節される。大動脈の出血には、機械的な強化のためGMOを浸透させた基盤が必要である可能性がある。
【0132】
(実施例29−止血系としての有用性−ネズミモデルでの肝裂傷)
雄Sprague−Dawleyラット(400〜450g)8匹に、ケタミン90mg/kg及びキシラジン10mg/kgを使用してi.p.で麻酔をかけた。麻酔状態の誘導後、側腹切開を行って肝を露出した。初めに中葉の切開を行ってその葉の約25%の量を除去し、その後治療し、2回目の損傷は、その葉の約50%の量を除去する中葉の切断であった。灌注及び陽圧噴霧技術で行った、実施例2で提供された製剤の適用により、5〜10分以内にモデル損傷から放血させた対照動物と比較して、すべての動物(n=8)における出血を20秒以内(範囲10〜45秒)で調節することができた。出血の調節を30分間にわたって確認し、その後動物を安楽死させた。
【0133】
(実施例30−止血系としての有用性−ネズミモデルでの伏在静脈切断)
雄Sprague−Dawleyラット(400〜450g)8匹に、ケタミン90mg/kg及びキシラジン10mg/kgを使用してi.p.で麻酔をかけた。麻酔状態の誘導後、鼠径部を切開して表在する伏在静脈を露出した。単一の垂直の切り込みによりその静脈を切断した。灌注及び陽圧噴霧技術で行った、実施例2で提供された製剤の適用により、6〜10分以内にモデル損傷から放血させた対照動物と比較して、すべての動物(n=8)における出血を10〜45秒以内で調節することができた。出血の調節を30分間にわたって確認し、その後動物を安楽死させた。
【0134】
(実施例31−止血系としての有用性−ブタモデルでの肝裂傷)
約30kgの飼育ブタ1匹に麻酔をかけ、側腹切開を行って肝を露出した。外側の縁から約2.5cmで肝を切断して、治療せず放置した場合約10分以内に放血する損傷となる広汎な毛細血管床の損傷を生じさせた。その損傷を、Rylo MG19(Danisco Corp.)94.5%、ドデカン5%及びエピネフリン0.5%からなる灌注で治療した。約10mlを1回適用した後、出血は十分に調節され、損傷した床中に滲出が少量認められた。外縁から約5cmで肝の葉の一部を除去することにより、続いての損傷を加えた。この損傷は、支持的治療及び調節を行わないと5分以内に死亡する複数の小動脈の切断を伴う広範囲の毛細血管床の損傷となった。Rylo/ドデカン/エピネフリン製剤の再度の灌注により、毛細血管の出血の十分な調節が維持された。それは、動脈の損傷には十分でなかった。しかし、Rylo/ドデカン/エピネフリンを浸透させたガーゼを損傷に適用した。その適用により、置いている間の毛細血管及び動脈の出血の十分な調節が維持された。ガーゼを取り除いた後、毛細血管床内で止血は維持されたが、動脈の損傷は十分に調節されなかった。
【0135】
(実施例32−止血系としての有用性−外傷性頬部裂傷)
4歳白人女性被験者が遊び場での落下に伴って右下の小臼歯の隣接部に外傷性裂傷を起こした。約5分間圧力をかけ冷湿布をあてた試みの後、その裂傷から多量に出血した。実施例#2で開示された製剤約1mlをその損傷に適用した。30秒以内に止血が確立され、その後の治療をさらには必要としなかった。
【0136】
2歳白人女性被験者が他の小児との不注意による衝突に伴って下切歯の隣接部に外傷性裂傷を起こした。約3〜5分間圧力をかけ冷湿布をあてた試みの後、その裂傷から多量に出血した。実施例#2で開示された製剤約1mlをその損傷に適用した。30秒以内に止血が確立され、その後の治療をさらには必要としなかった。
【0137】
(実施例33−止血系としての有用性−イヌのかみつき)
38歳白人男性が、左親指の末節骨の前方に爪床まで伸びている長さ約1.5cmの単一の刺創及び裂傷を起こし、それは直接圧力をかけたにも関わらず自由に出血した。その後、実施例#2で開示された製剤約0.5mlをその損傷に適用した。その最初の適用により刺創部位上にゲルが形成されたが、出血は完全には調節されなかった。その後、予め形成したゲルを刺創部位内に向けて圧力をかけながら適用した。2回目の適用により、30〜45秒以内に止血が確立され、損傷後2〜4日間にわたって創傷の滲出は少量しか伴わなかった。
【0138】
(実施例34−止血系としての有用性−鼻出血治療)
過去に病歴のない37歳白人男性が急性の突発性鼻出血を起こした。従来の治療を行い、圧力をかけても、5〜10分後に利点を示さなかった。綿スワブを使用して、実施例#5で開示された製剤約0.25mlの適用を行った。適用後、鼻孔を約10秒間つまんで鼻腔中に物質を分散させた。単回の適用後、さらなる出血を伴わずに即座に止血が実現された。
【0139】
(実施例35−治療的/保護的創傷治癒系としての有用性−イヌの足蹠潰瘍化)
過去に糖尿病及び発作性疾患の病歴を有する9歳のYorkshire Terrierが、4肢すべてに広範な足蹠潰瘍化を起こし、それによって歩行が次第に困難になった。その動物の左前肢及び右後肢の足蹠創傷は1日おきに実施例#2及び26Bでそれぞれ開示された製剤で清浄及び被覆を行い、右前肢及び左後肢の足蹠は単に清浄及び被覆を行い治療はしなかった。30日間にわたって、治療した足蹠の潰瘍化は、改善されたとしてもわずかしか改善しなかった、治療しなかった足蹠より著しく急速に改善し治癒した。治療した足蹠は、30日の期間内に潰瘍化の消散を示した。さらに、治療しなかった潰瘍の一方は30日の期間が終了する前に感染を起こした。他方の治療しなかった潰瘍は、30日の期間後の週中に感染を起こした。治療したどちらの潰瘍も感染の徴候を示さずに治癒した。
【0140】
(実施例36−保護的創傷治癒系としての有用性−連鎖球菌性咽頭炎)
36歳白人男性に、急性扁桃炎及びA型連鎖球菌感染に伴う口咽頭領域中に深在性の疼痛が起こった。綿スワブを使用して、GMO85%及びPEG400、10%及びPEG200、5%からなる製剤を適用した。その系は炎症領域上に保護的ゲル被覆を形成し、約4時間の疼痛の緩和及び液体の消費を可能にした。
記載された本発明の実施形態は単に例示的であるものとし、多数の変更形態及び改変形態が当業者には明らかとなるであろう。特定の成分について異なる銘柄品を使用することができ、類似した物理化学的特性を有する他の化合物を記載のものと交換して、所望の止血、創傷治癒、流体吸収、抗菌及び/又は疼痛緩和の特徴を有する代替の製剤を得ることができる。そのような変更形態及び改変形態はすべて、添付した特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内にあるものとする。
【0141】
(実施例37−治療的/保護的創傷治癒系としての有用性−火傷)
第2度及び第3度の火傷に苦しむ患者を、実施例27に記載されたように吸収剤物品で治療し、創傷被覆材物品、特に実施例1〜6、9、11、16、19、20、23及び24に記載された創傷治癒、流体吸収用製剤を注入し又はそれで被覆したその物品の表面を、清浄後に火傷領域に適用する。記載された製剤を含む滅菌吸収剤物品での火傷表面の清浄及び被覆を1日おきに、毎日、又は必要に応じてより頻繁に行う。対照として、同程度の火傷領域を、他の従来の創傷被覆材物品及び火傷治療用製剤で同時に、対照領域と本明細書に記載された製剤で治療する火傷領域のどちらについても同一な火傷領域の清浄及び被覆の手順で治療する。本明細書で開示された製剤を注入し又はそれで被覆した吸収剤物品で治療した火傷領域は、従来の創傷被覆材物品及び火傷治療用製剤で治療した領域より著しく速い速度で改善し治癒する。さらに、上記に記載された製剤が創傷被覆材物品の材料中又は表面上に存在する、本明細書で開示された吸収剤物品及び創傷被覆材物品を使用するとき、被覆材交換時の組織の剥離が著しく少なく、速い治癒が認められ、滲出及び感染症が少ない。
【0142】
あるいは、火傷領域は、実施例1〜6、9、11、19、20、23又は24の製剤で、火傷領域上に製剤を直接噴霧し、被覆し、それに浸し、又はその他の形で適用することによって治療し、本明細書で開示された製剤の適用後に従来のガーゼや他の包帯などの創傷被覆材料を適用することもできる。
【0143】
(実施例38−保護的創傷治癒系としての有用性−開放性潰瘍)
褥瘡、剥離性火傷、腐食性火傷や、開放性滲出性潰瘍を生じさせる類似の創傷などの開放性潰瘍に苦しむ患者を、実施例27に記載されたように吸収剤物品で治療し、創傷被覆材物品、上記の実施例に記載された創傷治癒、流体吸収用製剤を注入し又はそれで被覆したその物品の表面を、清浄後に開放性潰瘍領域に適用する。記載された製剤を含む滅菌吸収剤物品での潰瘍表面の清浄及び被覆を1日おきに、毎日、又は必要に応じてより頻繁に行う。対照として、同程度の火傷領域を、他の従来の創傷被覆材物品及び開放性潰瘍治療用製剤で同時に、対照領域と本明細書に記載された製剤で治療する火傷領域のどちらについても同一な潰瘍領域の清浄及び被覆の手順で治療する。本明細書で開示された製剤を注入し又はそれで被覆した吸収剤物品で治療した開放性潰瘍領域は、従来の創傷被覆材物品及び開放性潰瘍治療用製剤で治療した領域より著しく速い速度で改善し治癒する。さらに、上記に記載された製剤が創傷被覆材物品の材料中又は表面上に存在する、本明細書で開示された吸収剤物品及び創傷被覆材物品を使用するとき、被覆材交換後の組織の剥離が著しく少なく、速い治癒が認められ、滲出及び感染症が少ない。
【0144】
あるいは、開放性潰瘍領域は、上記に記載された実施例の製剤で、開放性潰瘍領域上に製剤を噴霧し、被覆し、それに浸し、又はその他の形で直接適用することによって治療することもでき、本明細書で開示された製剤の適用後に従来のガーゼや他の包帯などの創傷被覆材料を適用する。
【0145】
記載された本発明の実施形態は単に例示的であるものとし、多数の変更形態及び改変形態が当業者には明らかとなるであろう。特定の成分について異なる銘柄品を使用することができ、類似した物理化学的特性を有する他の化合物を記載のものと交換して、所望の止血、創傷治癒、流体吸収、抗菌及び/又は疼痛緩和の特徴を有する代替の製剤を得ることができる。そのような変更形態及び改変形態はすべて、添付した特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内にあるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】図1Aは左から右の順に、それぞれ液体、より粘性のある液体又は堅い半固体である、本発明による止血用組成物の3種の物理的状態を示す写真である。
【図2】図2A、2B及び2Cは左から右の順に、それぞれ噴霧することができる低粘性の液体、シリンジから押し出すことができる粘性のゲル、又は堅い半固体である本発明による止血用組成物を表す一連の写真である。
【図3A】図3A及び3Bはラット尾部切断部位に適用される従来技術の止血剤(A)及び出血の調節の失敗(B)を示す図である。
【図3B】図3A及び3Bはラット尾部切断部位に適用される従来技術の止血剤(A)及び出血の調節の失敗(B)を示す図である。
【図4A】図4A及び4Bはラット尾部切断部位に適用すると、灌注直後の止血(A)及び出血の全体的調節(B)が生じる、本発明による止血剤を示す図である。
【図4B】図4A及び4Bはラット尾部切断部位に適用すると、灌注直後の止血(A)及び出血の全体的調節(B)が生じる、本発明による止血剤を示す図である。
【図5A】図5A及び5Bはラット伏在静脈裂傷への本発明による止血剤の適用(A)、その後の灌注後止血及び出血の調節(B)を示す図である。
【図5B】図5A及び5Bはラット伏在静脈裂傷への本発明による止血剤の適用(A)、その後の灌注後止血及び出血の調節(B)を示す図である。
【図6A】図6A及び6Bはブタ肝の葉に対する(ラット肝葉の50%及び25%の切除での)放血性損傷の数秒後の、本発明による止血剤のパルス圧力流動による適用(A)、その後の灌注直後止血及び出血の全体的調節(B)を示す図である。
【図6B】図6A及び6Bはブタ肝の葉に対する(ラット肝葉の50%及び25%の切除での)放血性損傷の数秒後の、本発明による止血剤のパルス圧力流動による適用(A)、その後の灌注直後止血及び出血の全体的調節(B)を示す図である。
【図7A】図7A及び7Bはブタ肝に対する10分で放血する損傷(2cmの切り込み)の数秒後の、本発明による止血剤の最適でない注ぐ技術を使用した適用(A)、不適切な技術の適用にも関わらず生じた、その後の灌注直後止血及び出血の調節(B)を示す図である。
【図7B】図7A及び7Bはブタ肝に対する10分で放血する損傷(2cmの切り込み)の数秒後の、本発明による止血剤の最適でない注ぐ技術を使用した適用(A)、不適切な技術の適用にも関わらず生じた、その後の灌注直後止血及び出血の調節(B)を示す図である。
【図8】図8A及び8Bはブタ肝の葉に対する放血性損傷の数秒後の、本発明による止血剤の最適でない注ぐ技術を使用した適用(B)と比較した、ブタ肝の葉に対する放血性損傷の数秒後の、本発明による止血剤のパルス圧力流動による適用(A)を示す図である。
【図9A】図9A及び9Bはブタ肝葉に対する5分で放血する損傷(3cmの切り込み)での、本発明による止血剤のパルス陽圧流動技術を使用した適用(A)、その後の灌注後止血、本発明による止血製剤で処理したガーゼを使用した出血の調節、及び出血のきれいな即時調節(B)を示す図である。
【図9B】図9A及び9Bはブタ肝葉に対する5分で放血する損傷(3cmの切り込み)での、本発明による止血剤のパルス陽圧流動技術を使用した適用(A)、その後の灌注後止血、本発明による止血製剤で処理したガーゼを使用した出血の調節、及び出血のきれいな即時調節(B)を示す図である。
【図10A】図10AからEは、ヒト親指でのイヌのかみつきに適用した、本発明による止血剤の適用(A)、その後の灌注後止血及び出血の調節(B)、12時間後の止血の継続(C)、並びに損傷部位の組織の外観が損なわれた状態及び瘢痕化が最小限であること(D及びE)を示す図である。
【図10B】図10AからEは、ヒト親指でのイヌのかみつきに適用した、本発明による止血剤の適用(A)、その後の灌注後止血及び出血の調節(B)、12時間後の止血の継続(C)、並びに損傷部位の組織の外観が損なわれた状態及び瘢痕化が最小限であること(D及びE)を示す図である。
【図10C】図10AからEは、ヒト親指でのイヌのかみつきに適用した、本発明による止血剤の適用(A)、その後の灌注後止血及び出血の調節(B)、12時間後の止血の継続(C)、並びに損傷部位の組織の外観が損なわれた状態及び瘢痕化が最小限であること(D及びE)を示す図である。
【図10D】図10AからEは、ヒト親指でのイヌのかみつきに適用した、本発明による止血剤の適用(A)、その後の灌注後止血及び出血の調節(B)、12時間後の止血の継続(C)、並びに損傷部位の組織の外観が損なわれた状態及び瘢痕化が最小限であること(D及びE)を示す図である。
【図10E】図10AからEは、ヒト親指でのイヌのかみつきに適用した、本発明による止血剤の適用(A)、その後の灌注後止血及び出血の調節(B)、12時間後の止血の継続(C)、並びに損傷部位の組織の外観が損なわれた状態及び瘢痕化が最小限であること(D及びE)を示す図である。
【図11】図11AからDは、対象中の出血部位に本発明による止血剤を適用してから2秒後(A)、1分後(B)、5分後(C)及び10分後(D)の走査型電子顕微鏡(SEM)の画像である。(A)で認められるように、血小板が2秒で無作為にでなくその部位で並び、多数の血小板が1分の間にその部位に集まり(B)、第3の証拠である凝固/治癒が5分後に明らかとなり(C)、凝固/治癒の継続が適用の10分後に明らかとなる(D)。
【図12A】図12A及び12Bは、立方的液晶相中にモノオレイン酸グリセリル及び全血を含む、本発明による止血製剤を示す図であり、ゆがんだ全赤血球が液晶GMO製剤に結合して認められ、20秒での活性化した血小板及びフィブリンの薄い網目(A)も、製剤と結合した活性化血小板の拡大写真(B)も認められる。
【図12B】図12A及び12Bは、立方的液晶相中にモノオレイン酸グリセリル及び全血を含む、本発明による止血製剤を示す図であり、ゆがんだ全赤血球が液晶GMO製剤に結合して認められ、20秒での活性化した血小板及びフィブリンの薄い網目(A)も、製剤と結合した活性化血小板の拡大写真(B)も認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽圧での適用に適合し、対象中の所望の部位で体液を調節するのに有効な治療用製剤であって、
約25重量%〜約99重量%の液晶形成化合物と、
0重量%〜約75重量%の溶媒と
を含み、対象中の所望の部位で体液を有効に調節する治療用製剤。
【請求項2】
溶媒が、極性溶媒、無極性溶媒、半極性溶媒及びそれらの組合せ、からなる群から選択される、請求項1に記載の治療用製剤。
【請求項3】
約97%の液晶形成化合物及び約3%の生理食塩水を含む、請求項2に記載の治療用製剤。
【請求項4】
約65%の液晶形成化合物及び約15%の生理食塩水を含む、請求項2に記載の治療用製剤。
【請求項5】
約35%の液晶形成化合物及び約65%の生理食塩水を含む、請求項2に記載の治療用製剤。
【請求項6】
約92.5%の液晶形成化合物、約5%の生理食塩水、及び約2.5%のヒアルロン酸ナトリウムを含む、請求項2に記載の治療用製剤。
【請求項7】
約95%の液晶形成化合物及び約5%のミリスチン酸イソプロピルを含む、請求項2に記載の治療用製剤。
【請求項8】
約95%の液晶形成化合物及び約5%の190プルーフエタノールを含む、請求項2に記載の治療用製剤。
【請求項9】
約80%の液晶形成化合物及び約20%の綿実油を含む、請求項2に記載の治療用製剤。
【請求項10】
血小板、血小板に富む血漿、血漿又は全血を含む、請求項2に記載の治療用製剤。
【請求項11】
約97%の液晶形成化合物及び約3%の全血を含む、請求項10に記載の治療用製剤。
【請求項12】
約80%の液晶形成化合物及び約9%の全血を含む、請求項10に記載の治療用製剤。
【請求項13】
約65%の液晶形成化合物及び約15%の全血を含む、請求項10に記載の治療用製剤。
【請求項14】
約35%の液晶形成化合物及び約25%の全血を含む、請求項10に記載の治療用製剤。
【請求項15】
約97%の液晶形成化合物及び約3%の血漿を含む、請求項10に記載の治療用製剤。
【請求項16】
約65%の液晶形成化合物及び約15%の血漿を含む、請求項10に記載の治療用製剤。
【請求項17】
約35%の液晶形成化合物及び約25%の血漿を含む、請求項10に記載の治療用製剤。
【請求項18】
(a)吸収層と、
(b)対象の体液を調節するのに有効な製剤と
を含む吸収剤物品であって、
製剤が、約25重量%〜99重量%の液晶形成化合物及び約0重量%〜75重量%の溶媒を含み、その物品内又はその物品の少なくとも一部分の上に存在する吸収剤物品。
【請求項19】
吸収層が吸収性添加剤をさらに含む、請求項18に記載の吸収剤物品。
【請求項20】
内部表面及び外部表面を有し、前記内部表面が吸収層の外部表面と本質的に同一の広がりを有する液体浸透性及び水蒸気浸透性の外部層をさらに含む、請求項18に記載の吸収剤物品。
【請求項21】
内部表面及び外部表面を有し、前記内部表面が吸収層の外部表面と本質的に同一の広がりを有する液体不浸透性及び水蒸気浸透性の外部層をさらに含む、請求項18に記載の吸収剤物品。
【請求項22】
内部表面及び外部表面を有し、前記内部表面が吸収層の外部表面と本質的に同一の広がりを有する液体不浸透性及び水蒸気不浸透性の外部層をさらに含む、請求項18に記載の吸収剤物品。
【請求項23】
創傷に対して非接着性であるようにし、吸収層が液体浸透性のライナーと外部層の間に位置するように吸収層の内部表面と実質的に同一の広がりを有する表面を有する液体浸透性のライナーをさらに含む、請求項18〜22のいずれか一項に記載の吸収剤物品。
【請求項24】
体液を調節するのに有効な組成物が、物品と体組織の間の抗接着物としての有用性をもたらして、物品を置き、又は使用部位から物品を取り外す際の助けとなることによって前記物品を適用し又は取り外すことによる外傷を減少させる、請求項18に記載の吸収剤物品。
【請求項25】
体液調節製剤を、噴霧被覆、熱溶解被覆、浸漬被覆、直接の移動、手動での適用、又はそれらの組合せによって物品に適用する、請求項18に記載の吸収剤物品。
【請求項26】
物品が、創傷被覆材、医療用スポンジ、止血用物品、鼻の止血用物品、ガーゼ付絆創膏、創傷充填材、内部血管閉鎖充填材、外部血管閉鎖被覆材、膨張性吸収剤物品、線維性創傷充填材物品、又は婦人衛生用製品のいずれかである、請求項18〜23のいずれか一項に記載の吸収剤物品。
【請求項27】
液晶形成化合物が、脂肪酸、脂肪酸エステル、ポリエチレンオキシド、糖脂質、ポリエステル、ポリエチレングリコール、又はそれらの組合せのいずれかである、請求項18〜23のいずれか一項に記載の吸収剤物品。
【請求項28】
脂肪酸エステルが、モノエステル、ジエステル、トリエステル、又はそれらの混合物である、請求項27に記載の吸収剤物品。
【請求項29】
モノエステルが、モノアラキドン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、モノリノレン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミトオレイン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、及びモノステアリン酸グリセリル;モノアラキドン酸イソプロピル、モノラウリン酸イソプロピル、モノリノール酸イソプロピル、モノリノレン酸イソプロピル、モノミリスチン酸イソプロピル、モノパルミトオレイン酸イソプロピル、モノオレイン酸イソプロピル、及びモノステアリン酸イソプロピル;モノアラキドン酸メチル、モノラウリン酸メチル、モノリノール酸メチル、モノリノレン酸メチル、モノミリスチン酸メチル、モノパルミトオレイン酸メチル、モノオレイン酸メチル、及びモノステアリン酸メチル;並びにモノアラキドン酸プロピレングリシル、モノラウリン酸プロピレングリシル、モノリノール酸プロピレングリシル、モノリノレン酸プロピレングリシル、モノミリスチン酸プロピレングリシル、モノパルミトオレイン酸プロピレングリシル、モノオレイン酸プロピレングリシル、及びモノステアリン酸プロピレングリシルからなる群から選択される、請求項28に記載の吸収剤物品。
【請求項30】
約25重量%〜99重量%の脂肪酸又は脂肪酸エステルを含む抗感染性製剤で処理される感染抵抗性器具であって、前記抗感染性製剤が、器具上又は隣接する組織中での病原体の増殖の形成を阻害することにより、器具に対して感染抵抗性が付与される感染抵抗性器具。
【請求項31】
抗感染性製剤が約0%〜75%の溶媒をさらに含み、脂肪酸又は脂肪酸エステルが液晶形成化合物である、請求項30に記載の感染抵抗性器具。
【請求項32】
液晶の形成後に、抗感染性製剤が液晶の形成によって体組織内又は体組織上での移動度を小さくし、器具が置かれた部位、あるいは器具が対象内に置かれた場所に隣接し又は近い部位からの製剤の排除を減少させる、請求項31に記載の感染抵抗性器具。
【請求項33】
液晶製剤が、製剤からの分解産物の徐放性送達系として作用し、前記分解産物がさらなる抗感染効果をもたらす、請求項32に記載の感染抵抗性器具。
【請求項34】
急性又は慢性の創傷の治療に有効である、請求項33のいずれかに記載の感染抵抗性器具。
【請求項35】
急性の創傷が、
擦過傷、火傷、裂傷、穿刺傷及び切傷
からなる群から選択される、請求項34に記載の感染抵抗性器具。
【請求項36】
急性の創傷が、脚の潰瘍、褥瘡、真菌性潰瘍、糖尿病性潰瘍、胃潰瘍、足の潰瘍、仙骨潰瘍及び無痛潰瘍からなる群から選択される潰瘍化である、請求項34に記載の感染抵抗性器具。
【請求項37】
外傷、疾患又は外科的処置により生じた組織の空隙の充填剤として有効である、請求項32のいずれかに記載の感染抵抗性器具。
【請求項38】
噴霧被覆、熱溶解被覆、浸漬被覆又はそれらの組合せによって使用前に抗感染性製剤で処理される、請求項30に記載の感染抵抗性器具。
【請求項39】
有機物質、無機物質、又はそれらの組合せから構成される、請求項30〜38のいずれか一項に記載の感染抵抗性器具。
【請求項40】
月経用吸収器具、コンドーム、予防薬、医療用スポンジ、外科用被覆材、創傷被覆材、ガーゼ付絆創膏又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項39に記載の器具。
【請求項41】
人工装具、インプラント、又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項39に記載の器具。
【請求項42】
人工装具又はインプラントの型が、脊髄用、整形外科用、歯科用、心臓用、神経用及び整容的な人工装具若しくはインプラントの型、あるいはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項41に記載の器具。
【請求項43】
整形外科用の人工装具又はインプラントが、人工関節、骨折修復用金属製品、人工軟骨、プレート、ねじ、釘、及び針金、又はそれらの組合せからなる群からさらに選択される、請求項42に記載の器具。
【請求項44】
歯科用の人工装具又はインプラントが、歯根型、下顎枝フレーム、経骨インプラント、ブレード型、骨折修復用金属製品、人工装具、一般的金属製品、プレート、ねじ、釘、及び針金、又はそれらの組合せからなる群からさらに選択される、請求項42に記載の器具。
【請求項45】
心臓用の人工装具又はインプラントが、ペースメーカー、除細動器、心臓弁、及び人工血管、又はそれらの組合せからなる群からさらに選択される、請求項42に記載の器具。
【請求項46】
整容的な人工装具又はインプラントが、乳房インプラント、皮膚充填剤、組織空隙充填剤、臀部インプラント、及び顔面インプラント、又はそれらの組合せからなる群からさらに選択される、請求項42に記載の器具。
【請求項47】
抗感染性製剤が、重量で約25%〜99%の液晶形成化合物、約0%〜50%の脂肪酸及び0%〜50%の溶媒を含む、請求項39に記載の器具。
【請求項48】
抗感染性製剤が、重量で約90%の液晶形成化合物、約5%のラウリン酸及び約5%の溶媒を含む、請求項47に記載の器具。
【請求項49】
抗感染性製剤が、重量で約65%の液晶形成化合物、約10%のミリスチン酸及び約25%の溶媒を含む、請求項47に記載の器具。
【請求項50】
抗感染性製剤が、重量で約35%の液晶形成化合物、約15%のパルミチン酸、及び約40%の溶媒を含む、請求項47に記載の器具。
【請求項51】
対象中の所望の部位で出血を調節するのに有効な止血用製剤であって、
25重量%〜約99重量%の液晶形成化合物と、
0重量%〜約75重量%の溶媒と
を含み、組織上又は組織内における陽圧での適用に適合し、止血を実施し、約15分以内に所望の部位で局所効果を誘導することによって出血を調節する止血用製剤。
【請求項52】
止血を実施し、適用してから約10分以内に適用部位で局所効果を誘導する、請求項51に記載の止血用製剤。
【請求項53】
止血を実施し、適用してから約5分以内に適用部位で局所効果を誘導する、請求項51に記載の止血用製剤。
【請求項54】
止血を実施し、適用してから約2分以内に適用部位で局所効果を誘導する、請求項51に記載の止血用製剤。
【請求項55】
止血を実施し、適用してから約30秒以内に適用部位で局所効果を誘導する、請求項51に記載の止血用製剤。
【請求項56】
前記溶媒が、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、水、等張水溶液、体液、尿、唾液、漿液、滑液、胃分泌液、脳脊髄液、硝子体液、リンパ液、創傷滲出液、コレステロール、生理的緩衝系又はそれらの組合せのいずれかで良い、請求項51に記載の止血用製剤。
【請求項57】
前記液晶形成化合物が、
脂肪酸、脂肪酸モノエステル、脂肪酸ジエステル、脂肪酸トリエステル、又は不飽和炭素間結合を少なくとも1つ含むそれらの組合せ
のいずれかで良い、請求項51に記載の止血用製剤。
【請求項58】
前記液晶形成作用物質が、グリセリルのモノエステル、ジエステル、トリエステル、又はそれらの組合せである、請求項57に記載の止血用製剤。
【請求項59】
前記液晶形成作用物質がモノオレイン酸グリセリルである、請求項58に記載の止血用製剤。
【請求項60】
約25〜99重量%の液晶形成化合物及び約0%〜75重量%の溶媒からなるトロンビン阻害製剤であって、対象中の所望の部位への陽圧での適用に適合するトロンビン阻害製剤。
【請求項61】
液晶形成化合物が脂肪酸エステルである、請求項60に記載のトロンビン阻害製剤。
【請求項62】
外傷、疾患又は外科的処置によって生じるような組織空隙の充填剤として有効である、請求項60に記載のトロンビン阻害製剤。
【請求項63】
神経保護剤でもある、請求項60に記載のトロンビン阻害製剤。
【請求項64】
対象中の所望の部位において軟組織を模倣するのに有効な整容的製剤であって、
約25重量%〜99重量%の液晶形成化合物と、
約0%〜約75重量%の溶媒と、
必要に応じて、軟組織を模倣するのに有効な粘性及び質感をもたらす他の化合物と
を含む整容的製剤。
【請求項65】
さらに抗酸化剤を含む、請求項64に記載の整容的製剤。
【請求項66】
抗酸化剤が、水溶性又は油溶性の抗酸化剤である、請求項65に記載の整容的製剤。
【請求項67】
抗酸化剤が、ビタミンC、重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、塩酸システイン、チオグリコール酸、二酸化硫黄、アスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、レシチン、プロピルガレート、ビタミンD、又はその任意の組合せのいずれかで良い、請求項66に記載の整容的製剤。
【請求項68】
増大作用物質、薬物又はそれらの組合せをさらに含む、請求項1、51、60又は64のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項69】
増大作用物質又は薬物が、
止血物質;凝固増大作用物質;血管作用薬;組織増殖刺激薬;治癒促進剤;抗感染剤;接着増強剤;膨張剤;増粘剤;麻酔薬;溶媒;共溶媒;低粘調化剤;充填剤;抗瘢痕化剤;抗炎症剤;生理的に適合する一価イオン、二価イオン、三価イオン、及びその塩;歯白化剤、過酸化物を含めた漂白剤;種々の薬物;徐放性増大物質;塞栓増大物質;又はその任意の組合せ
のいずれかである、請求項68に記載の製剤。
【請求項70】
製剤中に増大作用物質又は薬物を懸濁又は溶解する、請求項69に記載の製剤。
【請求項71】
徐放性送達構成成分をさらに含む、請求項69に記載の製剤。
【請求項72】
徐放性送達構成成分が生体分解性ポリマーである、請求項71に記載の製剤。
【請求項73】
膨張増強剤が、デンプン、天然ゴム、セルロースポリマー、ピロリドンポリマー、ポリアクリル酸、又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項69に記載の製剤。
【請求項74】
液体、ゲル、又は半固体である、請求項1、51、60、64又は68のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項75】
適用の後に立方相を形成する、請求項74に記載の製剤。
【請求項76】
適用の前に立方相を形成する、請求項74に記載の製剤。
【請求項77】
液晶形成化合物が疎水性及び/又は両親媒性である、請求項74に記載の製剤。
【請求項78】
生体適合性及び/又は生体分解性である、請求項74に記載の製剤。
【請求項79】
対象中の所望の部位で体液を有効に調節する方法であって、
所望の部位で体液を調節するのに有効なしばらくの間、液晶形成化合物を含む有効量の治療用製剤を所望の部位に陽圧によって投与するステップ
を含む方法。
【請求項80】
対象中の所望の部位で体液を有効に調節する方法であって、
所望の部位で体液を調節するのに有効なしばらくの間、請求項1〜10又は請求項51〜78のいずれか一項に記載の有効量の製剤を投与するステップ
を含む方法。
【請求項81】
製剤が、液体、ゲル、又は半固体である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
部位への適用の後に製剤が立方相を形成する、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
部位への適用の前に製剤が立方相を形成する、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
体液を有効に調節することが
所望の部位での止血を促進するステップ
をさらに含む、請求項81に記載の方法。
【請求項85】
体液を有効に調節することが
所望の部位での凝固を促進するステップ
をさらに含む、請求項81に記載の方法。
【請求項86】
体液を有効に調節することが
所望の部位での局所効果を誘導することにより治癒を促進するステップ
をさらに含む、請求項79又は80に記載の方法。
【請求項87】
治癒を促進するステップが
所望の部位での湿度を維持するステップ
をさらに含み、所望の部位が火傷である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
製剤が、増大作用物質又は薬物あるいはそれらの組合せをさらに含む、請求項81に記載の方法。
【請求項89】
体液を有効に調節することが
組織充填剤として製剤を供給し、所望の部位での又は所望の部位の近傍での滞留時間を延長させた結果、製剤が身体からの排除に抵抗するステップ
をさらに含む、請求項81又は88に記載の方法。
【請求項90】
滞留時間の延長をもたらすステップが、液晶製剤を形成させ投与することによって所望の部位内及び所望の部位の周囲での移動度を小さくした結果、所望の部位での滞留時間が延長するステップをさらに含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
組織充填剤が、皮膚充填剤、骨充填剤、脳充填剤、滑液充填剤又は筋肉充填剤である、請求項89に記載の方法。
【請求項92】
皮膚充填剤を唇の増大に使用する、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
皮膚充填剤を使用して皮膚の見かけの張りを調整し又はしわの外観を和らげる、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
滑液充填剤を滑液代替媒体として使用する、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
組織充填剤を針の到達により部位に注射する、請求項91に記載の方法。
【請求項96】
体液を有効に調節することが、
所望の部位での保護シーラントを形成した結果、体液の流動及び交換が調節され、所望の部位での保護シーラント障壁の形成により組織の密封が促進されるステップ
をさらに含む、請求項81に記載の方法。
【請求項97】
製剤が組織再増殖のための治癒用基盤をもたらす、請求項81に記載の方法。
【請求項98】
組織が、対象の上皮、結合、骨格、腺、筋肉又は神経組織部位で良い、請求項96又は97に記載の方法。
【請求項99】
所望の部位が、骨組織、硬膜組織、血管組織、脊髄組織、胃組織又は肝組織で良い、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
体液を有効に調節することが、
外科的癒着の形成を遅延させた結果、外科的介入の部位で又は外科的介入の部位に隣接して生じる可能性がある手術後の所望されない瘢痕組織の形成が阻害されるステップ
をさらに含む、請求項79又は80に記載の方法。
【請求項101】
外科的癒着の形成を遅延させるステップが、
製剤を投与した結果、製剤が内部組織を被覆し、部位の瘢痕化の生理的な刺激物質を含む体液の密接な接触及び交換を妨げることによって、任意の外科的組織癒着の発生を遅延させるステップ
をさらに含む、請求項101に記載の方法。
【請求項102】
投与時に、製剤が液晶系を形成することによって体組織内又は体組織上での移動度を小さくし、形成された液晶系の接着、粘性及び粘着を介して適用部位からの製剤の排除を減少させる、請求項102に記載の方法。
【請求項103】
投与するステップが、瘢痕組織増殖阻害剤を含む製剤を投与して、内部の外科的瘢痕組織癒着の形成をさらに遅延させるステップをさらに含む、請求項102又は103に記載の方法。
【請求項104】
瘢痕組織増殖阻害剤が、抗腫瘍剤、抗炎症剤、抗生剤又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項104に記載の方法。
【請求項105】
外科手術領域又は部位を、噴霧被覆、熱溶解被覆、直接の移動、手動での適用、又はそれらの組合せによって製剤で処置する、請求項101に記載の方法。
【請求項106】
体液が、
血液、尿、唾液、漿液、滑液、胃分泌液、脳脊髄液、汗、涙、胆汁、硝子体液、糜粥、粘液、リンパ液又は創傷滲出液
のいずれかで良い、請求項79又は80に記載の方法。
【請求項107】
所望の部位が、膣、子宮、子宮頚部を含む女性の婦人科領域の一部である、請求項79又は80に記載の方法。
【請求項108】
体液を有効に調節することが、
治癒を促進するために所望の部位に局所効果を誘導するステップ
をさらに含む、請求項79又は80に記載の方法。
【請求項109】
体液を有効に調節することが、
増大作用物質又は薬物、あるいはそれらの組合せを含む製剤を投与するステップ
をさらに含む、請求項109に記載の方法。
【請求項110】
部位が急性外傷の創傷又は慢性の創傷である、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
急性外傷の創傷が、擦過傷、火傷、裂傷、穿刺傷及び切傷からなる群から選択される、請求項111に記載の方法。
【請求項112】
慢性の創傷が、脚の潰瘍、褥瘡、真菌性潰瘍、糖尿病性潰瘍、胃潰瘍、足の潰瘍、仙骨潰瘍及び無痛潰瘍からなる群から選択される、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
有効に調節することが、
軟膏剤、ゲル剤、浣腸剤若しくは座剤の適用により大腸、直腸又は肛門腔へと製剤を送達するステップ
をさらに含む、請求項81に記載の方法。
【請求項114】
体液を有効に調節することが、
外傷、疾患又は外科的処置により生じた組織の空隙を充填するステップ
をさらに含む、請求項81に記載の方法。
【請求項115】
投与するステップが、融解状態で製剤を投与するステップをさらに含む、請求項81のいずれかに記載の方法。
【請求項116】
投与するステップが、陽圧下での連続的又は断続的投与をさらに含む、請求項81のいずれかに記載の方法。
【請求項117】
投与するステップが、
腹腔鏡検査法、灌注、連続的噴霧、断続的噴霧、連続的流動、断続的流動、洗浄、圧注、浣腸、座剤、インプラント、沈着、手動での直接若しくは間接投与又は医療用物品中への組み込みにより部位へと投与するステップ
をさらに含む、請求項81に記載の方法。
【請求項118】
医療用物品が、
創傷被覆材、スポンジ、鼻用物品、ガーゼ付絆創膏、創傷充填材、内部血管閉鎖充填材、外部血管閉鎖被覆材、膨張性吸収剤物品、線維性創傷充填材、又は婦人衛生用物品
で良い、請求項118に記載の方法。
【請求項119】
投与するステップが、圧注、座剤、浣腸、灌注、噴霧、流動、手動での適用、洗浄、又は医療用物品の含浸により投与するステップをさらに含む、請求項79〜116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
手動での直接投与を、手による直接移動、又は手によって制御される器具により行って良い、請求項118に記載の方法。
【請求項121】
手動での間接適用を、部位への製剤の移動の助けとなる製剤用の担体又は製剤を含浸させた器具を利用することにより行って良い、請求項118に記載の方法。
【請求項122】
移動が、組織部位上及び/又は組織部位中に手動で製剤をこすり、塗り又は保持するステップを含む、請求項121又は122に記載の方法。
【請求項123】
対象中の部位で失血を調節する方法であって、
対象中の失血部位に請求項60〜63のいずれか一項に記載のトロンビン阻害製剤を投与するステップ
を含み、製剤が血液凝固を促進することによって部位で失血が調節される方法。
【請求項124】
製剤が、増大作用物質又は薬物あるいはそれらの組合せをさらに含む、請求項124に記載の失血を調節する方法。
【請求項125】
失血が、月経、分娩後出血、生殖器系の管の出血のいずれか、あるいは水を含む任意の体液又は滲出液の放出である、請求項124又は125に記載の失血を調節する方法。
【請求項126】
失血が内部又は外部の失血である、請求項126に記載の失血を調節する方法。
【請求項127】
投与するステップが、
外傷、疾患若しくは外科的処置により生じた組織の空隙を充填するステップ
をさらに含む、請求項124又は125に記載の方法。
【請求項128】
投与するステップが、
陽圧下での連続的又は断続的投与
をさらに含む、請求項124〜128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
投与するステップが、融解状態で製剤を投与するステップをさらに含む、請求項124に記載の方法。
【請求項130】
投与するステップが、
腹腔鏡検査法、灌注、連続的噴霧、断続的噴霧、連続的流動、断続的流動、洗浄、圧注、浣腸、インプラント、沈着、手動での直接若しくは間接適用又は医療用物品中への組み込みにより部位へと投与するステップ
をさらに含む、請求項124〜130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
医療用物品が、
創傷被覆材、スポンジ、鼻用物品、ガーゼ付絆創膏、創傷充填材、内部血管閉鎖充填材、外部血管閉鎖被覆材、膨張性吸収剤物品、線維性創傷充填材、又は婦人衛生用物品
のいずれかで良い、請求項131に記載の方法。
【請求項132】
対象中の血管到達部位において静脈又は動脈組織に製剤を直接投与するステップ
を含む、請求項1〜10又は51〜78のいずれか一項に記載の治療用製剤を投与する方法。
【請求項133】
対象中の血管到達部位に隣接する組織と接触するように製剤を投与するステップ
を含む、請求項1〜10又は51〜78のいずれか一項に記載の治療用製剤を投与する方法。
【請求項134】
製剤が、増大作用物質、薬物又はそれらの組合せをさらに含む、請求項133又は134に記載の方法。
【請求項135】
投与するステップが、血管到達部位から表皮まで製剤で到達用の管を埋め戻すステップをさらに含む、請求項133に記載の方法。
【請求項136】
投与するステップが、静脈又は動脈到達部位の表在組織に製剤を局所送達するステップをさらに含む、請求項134に記載の方法。
【請求項137】
投与するステップが、製剤を含浸している投与用インプラント物品を利用するステップをさらに含む、請求項133〜137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
物品が、コラーゲン、ゼラチン、キトサン、キチン、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリn−アセチルグルコサミン又はそれらの組合せを含む、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
投与するステップが、到達部位から針、鞘又は到達用カテーテルを抜く間又は抜いた直後の治療用製剤の適用をさらに含む、請求項133〜138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
対象中の所望の組織部位に請求項1〜10又は51〜78のいずれか一項に記載の治療用製剤を投与する方法であって、所望の組織部位に製剤を投与して組織密封を実施するステップを含み、組織が、上皮、結合、骨格、腺、筋肉及び神経組織からなる群から選択される方法。
【請求項141】
製剤が、増大作用物質又は薬物あるいはそれらの組合せをさらに含む、請求項140に記載の方法。
【請求項142】
投与するステップが、神経組織に投与して麻痺の進行を阻害するステップをさらに含む、請求項140又は141に記載の方法。
【請求項143】
製剤が溶媒として脳脊髄液を含む、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
脳脊髄液が対象から得られる、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
投与するステップが、骨組織部位に製剤を投与して骨の開口部を密封することによって体液の喪失を阻害し開口部に保護障壁をもたらすステップをさらに含む、請求項140又は141に記載の方法。
【請求項146】
製剤が、溶媒として全血、血漿、血小板に富む血漿、又は血小板を含む、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
全血又は血漿が対象から得られる、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
投与するステップが骨の再生を促進するステップをさらに含む、請求項145又は146に記載の方法。
【請求項149】
組織密封を実施するステップが、
外傷、疾患又は外科的処置により生じた組織の空隙を充填するステップ
をさらに含む、請求項140又は141に記載の方法。
【請求項150】
投与するステップが、
陽圧下での連続的又は断続的投与
をさらに含む、請求項140又は141に記載の方法。
【請求項151】
投与するステップが、融解状態で製剤を投与するステップをさらに含む、請求項140又は141に記載の方法。
【請求項152】
投与するステップが、
腹腔鏡検査法、灌注、連続的噴霧、断続的噴霧、連続的流動、断続的流動、洗浄、圧注、浣腸、インプラント、沈着、手動での直接適用又は医療用物品中への組み込みにより部位へと投与するステップ
をさらに含む、請求項140又は141に記載の方法。
【請求項153】
医療用物品が、
創傷被覆材、スポンジ、鼻用物品、ガーゼ付絆創膏、創傷充填材、内部血管閉鎖充填材、外部血管閉鎖被覆材、膨張性吸収剤物品、線維性創傷充填材、又は婦人衛生用物品
のいずれかで良い、請求項152に記載の方法。
【請求項154】
対象中の所望の部位で血管創傷又は切開部位の有効な閉鎖を促進する方法であって、
血管創傷部位又は切開部位に生体適合性生体分解性治療用製剤を有効量投与するステップであり、製剤が約25重量%〜100重量%の液晶形成化合物及び約0重量%〜約75重量%の溶媒を含むステップ
を含み、
製剤が、血流を物理的に止めることによって止血を行い、液を吸収し、部位に投与してから約10分以内に部位で局所効果を誘導することによって血管創傷又は切開の有効な閉鎖が促進される方法。
【請求項155】
製剤が血流を物理的に止め、液を吸収し、約5分以内に局所効果を誘導する、請求項154に記載の有効な閉鎖を促進する方法。
【請求項156】
製剤が血流を物理的に止め、液を吸収し、約1分以内に局所効果を誘導する、請求項154に記載の有効な閉鎖を促進する方法。
【請求項157】
製剤が血流を物理的に止め、液を吸収し、約30秒以内に局所効果を誘導する、請求項154に記載の有効な閉鎖を促進する方法。
【請求項158】
注射により所望の部位に製剤を送達するステップ
を含む、対象中の所望の部位に請求項1〜10又は51〜78のいずれか一項に記載の製剤を送達する方法。
【請求項159】
製剤が、増大作用物質、薬物又はそれらの組合せをさらに含む、請求項158に記載の方法。
【請求項160】
対象の循環系内に直接注射することにより製剤を投与するステップをさらに含む、請求項157〜159のいずれか一項に記載の製剤を投与する方法。
【請求項161】
ワイヤーガイドカテーテルなどの到達用器具を介して注射するステップをさらに含む、請求項160に記載の製剤を投与する方法。
【請求項162】
注射するステップが、塞栓治療法用の製剤を送達するステップをさらに含む、請求項157〜161のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
塞栓治療法が腫瘍の治療である、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
治療法が出血の治療である、請求項162のいずれかに記載の方法。
【請求項165】
医療用物品への組織癒着を阻害する方法であって、前記医療用物品を請求項1〜10又は51〜78のいずれか一項に記載の製剤で被覆することによって、前記物品への組織癒着が阻害され、医療用物品の適用及びその後の除去時の痛み及び外傷が減少するステップを含む方法。
【請求項166】
医療用物品が、創傷被覆材、火傷被覆材、線維性充填材、ガーゼ付絆創膏、鼻出血の止血用物品、対象について意図された植え込み可能な医療用物品又は医療用金属製品である、請求項165に記載の組織癒着を阻害する方法。
【請求項167】
請求項1〜10又は51〜78のいずれか一項に記載の製剤又は前記製剤を含む器具を滅菌する方法であって、
使用前の製剤又は製剤を含む器具を滅菌ろ過するステップ、蒸留するステップ、熱にさらすステップ、電離放射線にさらすステップ、無菌的に処理するステップ、加圧下で蒸気を伴って加熱するステップ、又はガスにさらすステップ
を含む方法。
【請求項168】
約15分以内に対象中の出血部位での止血を行う止血緊急キットであって、
請求項1〜10又は51〜78のいずれか一項に記載の滅菌製剤と、
製剤を出血部位に適用する手段と
を含むキット。
【請求項169】
適用する手段が、陽圧灌注器具、スワブ、噴霧アプリケーター、シリンジ、点眼容器、創傷被覆材、ガーゼ付絆創膏、圧搾バルブ、ピペット、浣腸、座剤、開封後出血部位に直接適用するための密封容器、又は前記製剤の適用に適した任意の他の手段のいずれかである、請求項168に記載のキット。
【請求項170】
対象中の所望の部位において軟部体組織を有効に模倣する方法であって、
請求項64〜67のいずれか一項に記載の有効量の製剤を所望の部位の内部に投与するステップ
を含む方法。
【請求項171】
製剤が液体、ゲル又は半固体のいずれかである、請求項170に記載の方法。
【請求項172】
製剤が、整容的及び/又は再建的インプラント器具用の充填媒体としての使用に適合する、請求項170に記載の方法。
【請求項173】
器具を充填した後に立方相を形成する、請求項172に記載の製剤。
【請求項174】
器具を充填する前に立方相を形成する、請求項172に記載の製剤。
【請求項175】
インプラント器具が乳房インプラント、組織空隙インプラント、臀部インプラント、顔面インプラント又は胸部インプラントのいずれかである、請求項172に記載の方法。
【請求項176】
インプラントが対象の皮膚の直下に位置するとき、製剤充填媒体を、インプラントへの到達部位を介して増加、減少又は交換することができる、請求項172に記載の方法。
【請求項177】
インプラント器具が、媒体を保持する複数の区画から構築され、区画が区画間での媒体の移動を許容し、区画が開口部によってつながり、開口部のサイズが区画間での媒体の移動の速度に影響を及ぼす、請求項172に記載の方法。
【請求項178】
インプラント器具が、媒体を保持する複数の区画から構築され、区画が区画間の媒体の移動を許容しない、請求項172に記載の方法。
【請求項179】
複数の区画が楔形を有し、各区画が中心点から伸張し、円グラフと同様に中心点を中心として区画が接触する、請求項177又は178に記載の方法。
【請求項180】
投与するステップが、陽圧により投与するステップをさらに含む、請求項154に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【公表番号】特表2008−523149(P2008−523149A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546823(P2007−546823)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/045034
【国際公開番号】WO2006/065800
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(507196099)サウスイースタン メディカル テクノロジーズ (1)
【Fターム(参考)】