説明

作業管理装置及びこれを備えた作業機械

【課題】オペレータの所望する様々な表示態様に対応し、作業効率を向上させることができる作業管理装置及びこれを備えた作業機械を提供する。
【解決手段】作業機械の作業状況を管理する作業管理装置において、表示装置の表示画面101上に作業機械シンボル100を主体として表示させ、作業機械の移動に応じて作業対象エリアである大ブロック102を移動させる表示態様の作業機主体表示モード、及び地形の任意選択位置を画面中央に固定して表示させ、固定表示した大ブロック102に対して作業機械シンボル100を移動させる表示態様の地形主体表示モードを選択的に切り換えるためのフォーカス選択ボタン110とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の作業状況を管理する作業管理装置及びこれを備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械の作業状況を管理する作業管理装置として、例えばGPS装置を利用して転圧ローラ車の位置及び姿勢を転圧ローラ車内の画面にリアルタイム表示するものが知られている(例えば特許文献1参照)。この従来技術においては、画面上にメッシュ画像で区割り表示した作業対象エリアに転圧ローラ車を重ねて表示し、区割りした各区分における転圧ローラ車の通過回数を転圧回数とすることで作業対象エリア内の転圧作業の進捗状況を画面上で確認しながら作業できるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−311022公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、表示の主体が作業対象エリアに固定されており、作業対象エリア内を作業機械のシンボルが移動する態様でモニタ画面が表示される。そのため、実際に作業対象エリア内に進入しないと画面上に作業機械が表示されず、例えば作業当日に事務所から作業対象エリアに向かうときのように作業機械が作業対象エリアから離れているとき、作業機械と作業対象エリアとの位置関係が画面上で把握できない。また、作業対象エリア全体をメッシュ表示すると表示が煩雑となって却って作業状況が画面上で把握しづらくなるため、大雑把な作業状態が確認できた方が便利な場合もある。このように、従来技術では、作業機械と作業対象エリアとの位置関係や作業対象エリアの大雑把な作業状況等といったオペレータの所望する態様での現状把握がしづらい場合があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、オペレータの所望する様々な表示態様に対応し、作業効率を向上させることができる作業管理装置及びこれを備えた作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明は、作業機械の作業状況を管理する作業管理装置において、基準局からの補正データを受信する無線機と、この無線機を介して受信した補正データとGPS衛星からの信号とに基づいて前記作業機械に設置した複数のGPSアンテナの位置を演算するGPS受信機と、前記作業機械の作業データを検出する各種可動部センサと、前記GPS受信機からの位置データと前記各種可動部センサからの作業データに基づいて作業対象エリアの作業進捗状況と前記作業機械の位置及び姿勢とを演算する演算装置と、前記作業機械の運転室内に設置され、前記演算装置からの表示信号を入力して前記作業対象エリアの作業進捗状況及び前記作業機械の位置及び姿勢を重ねて表示する表示装置と、この表示装置の画面上に作業機械シンボルを主体として表示させ、前記作業機械の移動に応じて作業対象エリアを移動させる表示態様の作業機主体表示モード、及び地形の任意選択位置を画面中央に固定して表示させ、固定表示した作業対象エリアに対して前記作業機械シンボルを移動させる表示態様の地形主体表示モードを選択的に切り換えるための表示主体切換手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記作業機主体表示モードは、作業対象エリアと作業機械とが画面に納まるように、作業機械と作業対象エリアとの距離に応じて画面表示の倍率及び焦点位置を自動的に最適化する機能を有することを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記地形主体表示モードのとき、画面表示の倍率を手動で変更するための倍率変更手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
第4の発明は、第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記地形主体表示モードのとき、画面中央に固定する前記任意選択位置を手動で移動させるための表示位置移動手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
第5の発明は、第1乃至第4の発明のいずれかにおいて、前記表示装置の画面における上側を北に対応付けて前記作業対象エリアの向きを固定して表示する絶対方位表示モード、及び前記表示装置の画面における上側を前記作業機械のフロント方向に対応付けて作業機械の向きを固定して表示する相対方位表示モードを選択的に切り換えるための表示方向切換手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
第6の発明は、第1乃至第5の発明のいずれかにおいて、メッシュを構成単位とする小ブロックの集合体である大ブロックにより前記作業対象エリアを表現し、前記表示装置の画面に前記小ブロックを表示単位として大ブロック全体を表示させる大ブロック表示モード、及び前記メッシュを表示単位として任意の小ブロックを表示させる小ブロック表示モードを選択的に切り換えるための表示エリア切換手段と、大ブロック表示モード時、小ブロック1つ分の領域の作業状態をメッシュ表示するメッシュブロックを任意に移動させ、小ブロック表示モードに切り換えることなく所望箇所の作業状態を表示させるメッシュブロック移動手段と
を備えたことを特徴とする。
【0012】
第7の発明は、作業機械の作業状況を管理する作業管理装置において、基準局からの補正データを受信する無線機と、この無線機を介して受信した補正データとGPS衛星からの信号とに基づいて前記作業機械に設置した複数のGPSアンテナの位置を演算するGPS受信機と、前記作業機械の作業データを検出する各種可動部センサと、前記GPS受信機からの位置データと前記各種可動部センサからの作業データに基づいて作業対象エリアの作業進捗状況と前記作業機械の位置及び姿勢とを演算する演算装置と、前記作業機械の運転室内に設置され、前記演算装置からの表示信号を入力して前記作業対象エリアの作業進捗状況及び前記作業機械の位置及び姿勢を重ねて表示する表示装置と、メッシュを構成単位とする小ブロックの集合体である大ブロックにより前記作業対象エリアを表現し、前記表示装置の画面に前記小ブロックを表示単位として大ブロック全体を表示させる大ブロック表示モード、及び前記メッシュを表示単位として任意の小ブロックを表示させる小ブロック表示モードを選択的に切り換えるための表示エリア切換手段と、大ブロック表示モード時、小ブロック1つ分の領域の作業状態をメッシュ表示するメッシュブロックを任意に移動させ、小ブロック表示モードに切り換えることなく所望箇所の作業状態を表示させるメッシュブロック移動手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
第8の発明は、基準局からの補正データを受信する無線機と、GPS衛星からの信号を受信する複数のGPSアンテナと、前記無線機を介して受信した補正データと前記GPS衛星からの信号とに基づいて前記複数のGPSアンテナの位置を演算するGPS受信機と、作業データを検出する各種可動部センサと、前記GPS受信機からの位置データと前記各種可動部センサからの作業データに基づいて作業対象エリアの作業進捗状況と現在の位置及び姿勢とを演算する演算装置と、運転室内に設置され、前記演算装置からの表示信号を入力して前記作業対象エリアの作業進捗状況及び現在の位置及び姿勢を重ねて表示する表示装置と、この表示装置の画面上に作業機械シンボルを主体として表示させ、機体の移動に応じて作業対象エリアを移動させる表示態様の作業機主体表示モード、及び地形の任意選択位置を画面中央に固定して表示させ、固定表示した作業対象エリアに対して前記作業機械シンボルを移動させる表示態様の地形主体表示モードを選択的に切り換えるための表示主体切換手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
第9の発明は、基準局からの補正データを受信する無線機と、GPS衛星からの信号を受信する複数のGPSアンテナと、前記無線機を介して受信した補正データと前記GPS衛星からの信号とに基づいて前記複数のGPSアンテナの位置を演算するGPS受信機と、作業データを検出する各種可動部センサと、前記GPS受信機からの位置データと前記各種可動部センサからの作業データに基づいて作業対象エリアの作業進捗状況と現在の位置及び姿勢とを演算する演算装置と、運転室内に設置され、前記演算装置からの表示信号を入力して前記作業対象エリアの作業進捗状況及び現在の位置及び姿勢を重ねて表示する表示装置と、メッシュを構成単位とする小ブロックの集合体である大ブロックとして前記作業対象エリアを表現し、前記表示装置の画面に前記小ブロックを表示単位として大ブロック全体を表示させる大ブロック表示モード、及び前記メッシュを表示単位として任意の小ブロックを表示させる小ブロック表示モードを選択的に切り換えるための表示エリア切換手段と、大ブロック表示モード時、小ブロック1つ分の領域の作業状態をメッシュ表示するメッシュブロックを任意に移動させ、小ブロック表示モードに切り換えることなく所望箇所の作業状態を表示させるメッシュブロック移動手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、オペレータの所望する様々な表示態様に対応して表示を切り換えることができるので、作業効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、例えば地雷処理作業、地盤改良作業、地形変更作業、転圧作業、浚渫作業等といった作業対象エリア内の各位置での作業状態をオペレータ等が管理・把握するのに好適である。
以下、図面を用い、本発明を地雷処理作業に適用した場合を例にとってその一実施の形態を説明する。
【0017】
<全体構成>
本発明の一実施の形態に係る作業管理装置のシステムブロック図を、当該作業管理装置を搭載した作業機械の外観とともに図1に表す。
図1において、作業機械30は、油圧建設機械として良く知られている油圧ショベルをベースマシンとした地雷処理機であり、旋回体31と運転室32と走行体33とフロント作業機34とを有している。旋回体31は走行体33上に回転可能に装架され、本例においては、旋回体31の前部左側に運転室32が位置している。走行体33はクローラ式であるが、車輪を有するホイールタイプであっても良い。
【0018】
フロント作業機34はブーム35とアーム36とを有し、ブーム35は旋回体31の前部中央に上下方向に回動可能に取り付けられ、アーム36はブーム35の先端に前後方向に回動可能に取り付けられ、それぞれブームシリンダ37及びアームシリンダ38によって回動駆動される。アーム36の先端には図示したロータリカッタ装置40かスケルトンバケット(図示せず)が選択的に取り付けられる。ロータリカッタ装置40或いはスケルトンバケットはアーム36に対し前後方向に回動可能であり、アタッチメントシリンダ41によって回動駆動される。アーム36の側部にはレーダ式の爆発物探査センサ42が取り付けられている。このセンサ18は伸縮アーム43によりアーム36の長手方向に移動可能であり、また、探査センサ用シリンダ44により伸縮アーム43に対して回転可能である。
【0019】
ロータリカッタ装置40は、例えば灌木、葦、草等の植生をカッタで除去したり、地上に塗料を噴射してマーキングしたり、検出した爆発物をレーキで露出させてカッタで破壊したりするのに用いられる。また、スケルトンバケットは、土壁、土塁、堤防等の崩壊土砂を除去したり、検出した爆発物を露出させたりするのに用いられ、作業対象エリアの状態に応じて付け替えられる。
【0020】
こうした地雷処理機の構成及び動作は日本国特許第3016018号公報に詳しい。作業機械30はクローラ式の油圧ショベル以外、例えばホイール式の油圧ショベル、ホイールローダ、ブルドーザ、特開平7−71898号公報に記載のような無限軌道車をベースマシンとしても良い。
【0021】
作業機械30には、その作業データを検出するものとして各種の可動部センサ55(ブロック図参照)が設けられている。これら可動部センサ55のそれぞれについては特に図示していないが、本実施の形態においては、旋回体31に対するブーム35の回動角度を検出する角度センサ、ブーム35に対するアーム36の回動角度を検出する角度センサ、アーム36に対するロータリカッタ装置40の回動角度を検出する角度センサ、伸縮アーム43のストロークを検出するストロークセンサ、伸縮アーム43に対する爆発物探査センサ42の回動角度を検出する角度センサ、旋回体31の前後方向の傾斜角度(ピッチ角度)を検出する傾斜センサ等が設けられている。
【0022】
作業機械30にはまた、GPS衛星20からの信号を受信する複数(2本)のGPSアンテナ46,47、及び基準局10からの補正データを受信するための無線アンテナ48が設置されている。GPSアンテナ46,47は旋回体31の後部左右両側に設置されている。
【0023】
本実施の形態において、作業機械30はその作業状態を管理する作業管理装置50を備えている。作業管理装置50は、無線機51、分配機52、GPS受信機53,54、上述した可動部センサ55、ロータリカッタ動作スイッチ56、探査センサ動作スイッチ57、作業開始スイッチ58、各種トリガ入力スイッチ59、コントローラ60、車載コンピュータ(タブレットコンピュータ等)61を備えている。特に図示していないが、アンテナを介して車載コンピュータ61からの計測データを統括管理する事務所(図示せず)等に送信する無線機を備えていても良い。
【0024】
上記無線機51は無線アンテナ48を介して基準局10からの補正データ(後述)を受信し、分配機52は無線機51で受信した補正データを分配する。そして、GPS受信機53,54は、分配機52で分配された補正データとGPSアンテナ46,47により受信されるGPS衛星20からの信号とに基づいてGPSアンテナ46,47の3次元位置をリアルタイムに計測する。
【0025】
また、探査センサ動作スイッチ57は爆発物探査センサ42の動作をON/OFFし、ロータリカッタ動作スイッチ56はロータリカッタ装置40の動作をON/OFFする。トリガ入力スイッチ59は、例えば可動部センサ55や各スイッチ56〜58等からの入力信号を入力するトリガスイッチ、探査の結果対人地雷が検出されたことを入力するトリガスイッチ、探査の結果対戦車地雷が検出されたことを入力するトリガスイッチ、探査の結果不発弾が検出されたことを入力するトリガスイッチ、対戦車地雷や不発弾を撤去したことを入力するトリガスイッチ等を含む。
【0026】
コントローラ60は、GPS受信機53,54からの位置データと上記の各種可動部センサ55からの作業状況に関するデータ、各スイッチ56〜58、トリガ入力スイッチ59から得られるデータを集約する役割を果たす。
【0027】
車載コンピュータ61は、例えばタブレットコンピュータ等で構成され、少なくとも作業データを記憶する記憶装置62、演算結果を表示する表示装置63を備えている。記憶装置62には、周辺地形の地図データや作業進捗データ等が格納される。表示装置63は、運転席に着いたオペレータと対面するように運転室32内に設置されている。また、この車載コンピュータ61には、コントローラ60で集約したデータを基に作業機械30の位置及び姿勢・作業対象エリアの作業進捗状況・爆発物探査センサ42の位置・ロータリカッタ装置42の位置等を演算し、この演算結果に基づいて表示装置63に出力する表示信号を生成する演算装置64が備えられている。車載コンピュータ61は、タブレットコンピュータの他、例えばノートPCやボックスコンピュータ、パネルコンピュータ等であっても良い。
【0028】
<作業モニタ画面>
図2は、本発明の一実施の形態に係る作業管理装置の作業モニタ画面の一構成例を表す図である。
図2に示した作業モニタ画面では、システム起動後に演算装置64からの表示信号を入力すると、作業機械シンボル100が現在の位置及び姿勢で周囲の地形と重ね合わせて表示画面(表示領域)101上に表示される。後述する手順でオペレータが作業対象エリアを確定すると、表示画面101に作業対象エリアモデルである大ブロック102が表示される。この作業モニタ画面はタッチパネル操作式で、後述する各ボタンのオブジェクトをタッチ操作することで表示態様が様々に変更される。
【0029】
大ブロック102は、図3に示すように、微小面積の平面を表すメッシュを最小構成単位とするもので、メッシュ104を構成単位とする小ブロック103をさらに構成単位とした集合体として表現される。本実施の形態では、1メッシュは例えば1辺が25cmの正方形の平面であり、先の記憶装置62には1メッシュ毎のデータが作業データとして記憶・管理され、作業の進捗とともに更新される。1ブロックはメッシュを40×40(=1600)個集めた1辺が10mの正方形の平面、1エリアはブロックを5×5(=25)個集めた1辺が50mの正方形の平面であり、車載コンピュータ61の記憶装置62には、大ブロック102全体のデータが記憶される。また図2のようなエリア表示のときは、メッシュ単位での作業進捗状況を表示したメッシュブロック105を1ブロックだけ選択可能となっている(詳細は後述)。
【0030】
作業モニタ画面の上部には、種々の表示切換ボタンが配置されている。本実施の形態においては、左側からフォーカス選択ボタン110、作業エリア選択ボタン111、画面上方向選択ボタン112、表示エリア選択ボタン113、車体表示選択ボタン114の順に配置されている。
【0031】
フォーカス選択ボタン110は、表示画面101上に作業機械シンボル100を主体として表示させ、作業機械の移動に応じて大ブロック102を移動させる表示態様の作業機主体表示モードと、地形の任意選択位置を画面の中央に固定して表示させ、固定表示した大ブロック102に対して作業機械シンボル100を移動させる表示態様の地形主体表示モードとを選択的に切り換えるための表示主体切換手段として機能する。
【0032】
作業機主体表示モードは、フォーカス選択ボタン110をタッチ操作してそのオブジェクト上の表示を「自動」に切り換えることにより選択される。すると、ソフトウェア上において、仮想の表示カメラ(図示せず)の焦点が作業機械シンボル100に合わさり、表示カメラが作業機械シンボル100に追従して移動することにより、表示画面101には作業機械シンボル100に相対して大ブロック102が移動する態様で表示される。この表示態様は、表示装置63からの操作信号とコントローラ60からのデータとに基づいて演算装置64によって予め格納されたプログラムに従って演算され、その演算結果に基づいて生成された表示信号が表示装置63に入力されることによってなされる。
【0033】
但し、作業機械シンボル100が大ブロック102から離れると、表示画面101上で大ブロック102との位置関係や現在位置が把握しづらいため、作業機主体表示モードのとき、演算装置64は、プログラムに従って、大ブロック102と作業機械シンボル100とが同時に表示画面101に納まるように、作業機械シンボル100と大ブロック102との距離に応じ、作業機械シンボル100と大ブロック102との間に表示カメラの焦点を移動させるとともに画面表示の倍率を自動的に変更する。作業機械シンボル100と大ブロック102とが離れているときの作業機主体表示モードの作業モニタ画面の一例を図4に示した。
【0034】
地形主体表示モードは、フォーカス選択ボタン110をタッチ操作してそのオブジェクト上の表示を図5に示したように「手動」に切り換えることにより選択される。すると、例えば大ブロック102全体を主体表示させる場合、図6に模式的に表したようにソフトウェア上において仮想の表示カメラ(図示せず)の焦点が大ブロック102の中央に固定される。これにより、表示画面101には大ブロック102に相対して作業機械シンボル100が移動する態様で表示される。
【0035】
ここで、表示装置63の作業モニタ画面には、地形主体表示モードのとき、画面表示の倍率を手動で変更するための倍率変更手段である拡大/縮小ボタン115が画面右側に配置されている。この拡大/縮小ボタン115の「拡大」ボタンをタッチ操作することにより表示画面101の表示倍率が例えば10%ずつ高くなり、「縮小」ボタンをタッチ操作すると表示倍率が例えば10%ずつ低くなる。
【0036】
また、拡大/縮小ボタン115の下側には、地形主体表示モードのとき、画面の中央に固定する任意選択位置(つまり表示カメラの焦点位置)を手動で移動させるための表示位置移動手段である移動ボタン116が配置されている。この移動ボタン116は、それぞれ焦点位置を上下左右に移動させる「↑」ボタン、「↓」ボタン、「←」ボタン、「→」ボタンからなり、これら4つのボタンのいずれかをタッチ操作するとボタンオブジェクトの表示方向に対応した方向に焦点位置が移動し画面がスクロールする。この表示態様も、表示装置63からの操作信号とコントローラ60からのデータとに基づいて演算装置64によって予め格納されたプログラムに従って演算され、その演算結果に基づいて生成された表示信号が表示装置63に入力されることによって処理される。
【0037】
これら拡大/縮小ボタン115は、フォーカス選択ボタン110で「手動」が選択されているとき(地形主体表示モード時)にのみ機能が有効となる。つまり、先述の作業機主体表示モードでは表示カメラの焦点位置や表示倍率が作業機械シンボル100の移動や大ブロック102との位置関係に応じて自動的に変更されるようにしたが、地形主体表示モードにおいては、表示カメラの焦点位置や表示倍率は拡大/縮小ボタン115及び移動ボタン116によって手動で変更できるようになっている。
【0038】
作業エリア選択ボタン111は、大ブロック102の位置を確定する際に操作される。例えば作業当日に大ブロック102の位置を確定する際、作業機械30を目的地まで走行させ、表示装置63の画面でGPSによる現在位置を確認した上で作業エリア選択ボタン111をタッチ操作すると、この操作信号に応じてプログラムに従い演算装置64から出力される表示信号により、表示画面101には、作業機械シンボル100の爆発物探査センサ42の設定箇所を原点とし、その原点の北東(NE)・北西(NW)・南東(SE)・南西(SW)のいずれかに大ブロック102が表示される。先の図2は大ブロック102を原点の北東(NE)に表示させた例を表している。図2の状態から作業エリア選択ボタン111を繰り返しタッチ操作すると、作業エリア選択ボタン111のオブジェクト表示がNEから順に切換わり、それに対応して表示画面101上の作業機械シンボル100に対する大ブロック102の位置も表示変更される。この要領で大ブロック102の位置を決定したら、上記作業開始スイッチ58を操作することにより大ブロック102の位置が確定(登録)される。
【0039】
上記のように確定した大ブロック102の位置データは、作業の時間や進捗、ブロックやメッシュの設定のデータ等とともに図7に示したようなオブジェクトファイルとして車載コンピュータ61の記憶装置62に記憶される。したがって、その日の作業終了時にアプリケーション終了ボタン117をタッチ操作して作業機械100を事務所に戻しても、次回に作業するときに作業管理装置を起動すると、例えばフォーカス選択ボタン110で「自動」を選択しておけば、先に図4に示したように現在位置にある作業機械シンボル100と大ブロック102とが表示画面101上に同時に表示され、その表示画面101を見ながら作業機械30を進行させればオペレータは迷うことなく大ブロック102に向かうことができる。
【0040】
画面上方向選択ボタン112は、表示装置63の画面における上側を北方位に対応付けて大ブロック102の向きを固定して表示する絶対方位表示モード、及び表示装置63の画面における上側を作業機械シンボル100のフロント方向に対応付けて作業機械シンボル100の向きを固定して表示する相対方位表示モードを選択的に切り換えるための表示方向切換手段である。
【0041】
絶対方位表示モードでは、図8に示したように常に表示画面101の上側に方位の北が対応して表示され、実際の作業機械30の向きが変化すると作業機械シンボル100の方向が変化する。図8ではフォーカス選択ボタン110で地形主体表示モードを選択した際の絶対方位表示モードの作業モニタ画面を表している。図8に示すように、画面上方向と北方向が対応付けられるので、表示画面101の右側に配置した方位表示領域118では北向きを表す矢印が常に画面上方向を向く。
【0042】
相対方位表示モードでは、図9に示したように常に表示画面101の上側に作業機械シンボル100のフロント方向(つまりフロント作業機34側であって運転室32の前方側)が対応して表示され、実際の作業機械30の向きが変化しても表示画面101上では作業機械シンボル100の向きは変化せずに周囲の地形(大ブロック102等)が移動する。図9ではフォーカス選択ボタン110で作業機主体表示モードを選択した際の相対方位表示モードの作業モニタ画面を表している。図9に示すように、画面上方向が作業機械のフロント方向に対応付けられるので、方位表示領域118では北向きを表す矢印が常に画面上方向を向くとは限らない。図9では作業機械30が実際にはほぼ北東の方向を向いているので、方位表示領域118の北向き矢印は画面に向かって左上方向を指している。
【0043】
車体表示選択ボタン114は、作業機械シンボル100をシェーディングモデルかワイヤーフレームモデルのいずれかに表示を切り替えるためのボタンである。本実施の形態においては、各図とも作業機械シンボル100をシェーディングモデルで表示した例を図示しているが、この車体表示選択ボタン114をタッチ操作すれば、輪郭線のみで表した透視モデルであるワイヤーフレームモデルに作業機械シンボル100の表示が切り換わる。
【0044】
表示エリア選択ボタン113は、メッシュ104を構成単位とする小ブロック103の集合体である作業対象エリアを大ブロック102により表現し、表示装置63の画面に小ブロック103を表示単位として大ブロック102全体を表示させる大ブロック表示モード、及びメッシュ104を表示単位として任意の小ブロック103を表示させる小ブロック表示モードを選択的に切り換えるための表示エリア切換手段である。表示エリア選択ボタン113をタッチ操作してそのオブジェクト表示を「小ブロック」又は「大ブロック」に切り換えると、それぞれ小ブロック表示モード又は大ブロック表示モードに切換わる。これら小ブロック表示モード及び大ブロック表示モードの表示態様も、表示装置63からの操作信号とコントローラ60からのデータとに基づいて演算装置64によって予め格納されたプログラムに従って演算され、その演算結果に基づいて生成された表示信号が表示装置63に入力されることによってそれぞれなされる。
【0045】
また、表示エリア選択ボタン113を繰り返しタッチ操作すると、そのオブジェクトには「小ブロック」「大ブロック」以外にも「全体」の文字が表示される。タッチ操作によって表示エリア選択ボタン113の表示を「全体」に切り換えると、表示モードは全体表示モードに切換わり、先に図4や図5に表したように作業機械シンボル100が大ブロック102から離れた位置にある場合、大ブロック102の全体と作業機械シンボル100とが同時に表示画面101に表示される。
【0046】
なお、表示装置63の作業モニタ画面の右側のエリアには、上から作業情報表示領域120、車体情報表示領域121、地雷検出・処理情報表示領域122が配置され、その下側にさらに上記拡大/縮小ボタン115、移動ボタン116、アプリケーション終了ボタン117が配置してある。
【0047】
作業情報表示領域120は、作業日、現在時刻、作業開始時刻、作業開始後の経過時間の各表示領域が設けられており、作業日時に関する作業情報をオペレータに提示する。
【0048】
車体情報表示領域121は、GPS受信機53,54によるGPS衛星20からの信号の受信状態等をオペレータに提示する。
【0049】
地雷検出・処理情報表示領域122は、小型危険物(例えば対人地雷)、大型危険物(例えば対戦車地雷)、フロント作業機34では処理できない地中に埋もれた地下危険物といった処理対象物の検出数及び処理数に関する作業状況を表示する。
【0050】
また、本実施の形態において、上記した方位表示領域118の上下には、それぞれ小ブロック識別表示領域123、メッシュ識別表示領域124がそれぞれ配置されている。
【0051】
本実施の形態においては、オペレータが作業の進捗状況を視覚的に把握し易いように、大ブロック102全体が表示されているとき、記憶装置62に記憶した作業データに基づき、図10に示したように作業進捗状況に応じて大ブロック102を構成する各小ブロック103が色分け表示される。小ブロック識別表示領域123は、その小ブロック103の表示色と作業進捗状況との対応を示したもので、未作業領域であることを表す「未作業」、現在作業中の領域であることを表す「作業中」、作業が未完の領域であることを表す「作業途中」、作業が一応完了している領域であることを表す「作業完了候補」を各表示色に対応付けている。
【0052】
同様に、小ブロック表示モードのときには、小ブロック102を構成する各メッシュ104が色分け表示される(図8、図9参照)。メッシュ識別表示領域124は、そのメッシュ104の表示色と作業進捗状況との対応を示したもので、未作業領域であることを表す「未作業」、事前探査済みの領域であることを表す「事前探査済」、検出した危険物が粉砕処理済みの領域であることを表す「粉砕処理済」、事前探査や粉砕処理後の最終探査まで終了している領域であることを表す「最終探査済」、地下危険物が存在する領域であることを表す「地下危険物」を各表示色に対応付けている。
【0053】
各メッシュのステータス(作業進捗状況)は、ソフトウェア上では、図11に示したよう特定の数値に対応付けられて管理される。図11では、1:安全領域(作業不要)、2:未作業領域、7:事前探査済み領域、8:粉砕処理領域、9:最終探査領域、10:地下危険物というふうな対応付けとなっている。このうち、本実施の形態においては、2:未作業領域、7:事前探査済み領域、8:粉砕処理領域、9:最終探査領域、10:地下危険物がメッシュ識別表示領域124に対応しており、それぞれ表示された識別色に色分けされて各メッシュの作業進捗状況が表示画面101に表示されたメッシュに反映される。勿論、1:安全領域(作業不要)を特定の識別色とともにメッシュ識別表示領域124に追加し、そのステータス情報を表示画面101のメッシュに色分け表示しても良い。図12は大ブロック102全体のメッシュのステータス情報を表した図で、この大ブロック102全体のメッシュのステータス情報は、図13のようなデータ形式で記憶装置62に記憶され、作業進捗状況とともに更新される。
【0054】
図14は小ブロック識別表示領域123における小ブロックのステータス(状態)毎の定義及び識別色の対応関係を表した図である。
本実施の形態においては、図11のように、小ブロック中の全メッシュの状態が未作業の状態の小ブロックを「未作業領域」として特定の識別色(白)に対応付けている。「作業中」はメッシュブロック105が重なっている小ブロックを意味し、特定の識別色(黄色)に対応付けている。また、小ブロック中のメッシュ状態に1つでも未作業又は地下危険物のメッシュ状態を含むときその小ブロックを「作業途中」と定義し、特定の識別色(赤色)に対応付けている。さらに、小ブロック中のメッシュの状態に1つも未作業又は地下危険物のメッシュを含まないとき、その小ブロックを「作業完了候補」と定義し、特定の識別色(灰色)に対応付けている。このような管理情報のテーブルが記憶装置62には記憶されており、このテーブルと図13に示したメッシュの作業情報とに基づいて演算装置64にて所定の演算処理が行われ、この演算結果に基づいた表示信号を入力することによって、図10に示したように表示装置63に小ブロックの色分け表示がされる。
【0055】
また、表示画面101は、大ブロック表示モード時、小ブロック1つ分の領域の作業状態をメッシュ表示するメッシュブロック105を任意に移動させ、小ブロック表示モードに切り換えることなく所望箇所の作業状態を表示させるメッシュブロック移動手段としての機能も備えている。本実施の形態においては、メッシュブロック105の最小移動単位は小ブロック半個分で、半個単位で移動する場合の移動方向は8方向(北・南・西・東・北東・北西・南東・南西)であり、任意に選択した小ブロックに直接移動することも可能である。
【0056】
図15乃至図18はメッシュブロック105を小ブロック半個ずつ移動させる場合の操作例を表す説明図である。
図15乃至図18に示したように、本実施の形態においては、メッシュブロック105に隣接する小ブロック、小ブロックの境界線を跨いでメッシュブロック105が部分的に重なっている小ブロック、又はこれに隣接する小ブロックをタッチ操作することにより、タッチ操作した小ブロックとメッシュブロック105との位置関係に応じた方向にメッシュブロック105が小ブロック半個分ずつ移動する。
【0057】
例えば図15(a)においては、メッシュブロック105は1つの小ブロックに完全に一致して重なっている。この状態においてメッシュブロック105の東西南北に隣接する小ブロックを選択してタッチ操作すると、選択した小ブロックの方向にメッシュブロック105が小ブロック半個分移動する。例えば、東側(右側)に隣接する小ブロックを選択してタッチ操作すると、図15(b)のようにメッシュブロック105は選択した小ブロックの方向(東側)に小ブロック半個分移動する。図15(b)の状態では、東西に隣接する2つの小ブロックに小ブロック間の境界線を跨いでメッシュブロック105が重なる。この場合でも東側に隣接する(一部重なる)小ブロックをタッチ操作すると、図15(c)のようにメッシュブロック105はさらに東側に小ブロック半個分移動して移動先の小ブロックに一致して重なる。
【0058】
また、図16(a)に示したように、メッシュブロック105が1つの小ブロックに一致している場合、東・西・南・北に限らず北東・北西・南東・南西に隣接する小ブロックを選択してタッチ操作すると、選択した小ブロックに向かって斜め方向にメッシュブロック105が小ブロック半個分移動する。例えば、南東側(右下側)に隣接する小ブロックを選択してタッチ操作すると、図16(b)のようにメッシュブロック105は選択した小ブロックの方向(南東側)に小ブロック半個分移動する。図16(b)の状態では、4つの小ブロックに小ブロック間の境界線を跨いでメッシュブロック105が重なる。この場合でも南東側に隣接する(一部重なる)小ブロックをタッチ操作すると、図16(c)のようにメッシュブロック105はさらに南東側に小ブロック半個分移動して移動先の小ブロックに一致して重なる。
【0059】
また図17(a)においては、メッシュブロック105は東西に隣接する2つの小ブロックに境界線を跨いで重なっている。この状態においてメッシュブロック105を南北に小ブロック半個分移動させるには、メッシュブロック105の南北に隣接する小ブロックをタッチ操作すれば良い。例えば、メッシュブロック105の南側(下側)に隣接する2つの小ブロックのいずれかを選択してタッチ操作すると、図17(b)のようにメッシュブロック105は選択した小ブロックの方向(南側)に小ブロック半個分移動する。図17(b)の状態では、4つの小ブロックに境界線を跨いでメッシュブロック105が重なる。この場合にメッシュブロック105を南北に小ブロック半個分移動させるには、メッシュブロック105を移動させたい方向に隣接する(一部重なる)小ブロックに対しさらに移動方向に隣接する小ブロックをタッチ操作すれば良い。例えば、図17(b)において南側に隣接する(一部重なる)2つの小ブロックのいずれかのさらに南側の小ブロックをタッチ操作すると、図17(c)のようにメッシュブロック105はさらに南側に小ブロック半個分移動する。
【0060】
図18(a)においては、メッシュブロック105は南北に隣接する2つの小ブロックに境界線を跨いで重なっている。この状態においてメッシュブロック105を東西に小ブロック半個分移動させるには、メッシュブロック105の東西に隣接する小ブロックをタッチ操作すれば良い。例えば、メッシュブロック105の東側(右側)に隣接する2つの小ブロックのいずれかを選択してタッチ操作すると、図18(b)のようにメッシュブロック105は選択した小ブロックの方向(東側)に小ブロック半個分移動する。図18(b)の状態では、4つの小ブロックに境界線を跨いでメッシュブロック105が重なる。この場合にメッシュブロック105を東西に小ブロック半個分移動させるには、メッシュブロック105を移動させたい方向に隣接する(一部重なる)小ブロックに対しさらに移動方向に隣接する小ブロックをタッチ操作すれば良い。例えば、図18(b)において東側に隣接する(一部重なる)2つの小ブロックのいずれかのさらに東側の小ブロックをタッチ操作すると、図18(c)のようにメッシュブロック105はさらに東側に小ブロック半個分移動する。
【0061】
図19乃至図22はメッシュブロック105を任意の小ブロックに直接移動させる場合の操作例を表す説明図である。
図19乃至図22に示したように、本実施の形態においては、メッシュブロック105を半個ずつ移動させる際に選択する小ブロック以外の小ブロックをタッチ操作することにより、メッシュブロック105はタッチ操作した小ブロックと一致するように直接移動する。図19のように1つの小ブロックに一致している場合でも、図20及び図21のように2つの小ブロックに跨っているときでも、図22のように4つの小ブロックに跨っているときでも、小ブロック半個分移動させる位置関係の小ブロック以外の小ブロックをタッチ操作すれば、現在の小ブロックとの重なり具合とは無関係に選択した小ブロックにメッシュブロックが移動して一致する。そこからさらに小ブロック半個分移動させるときは、図15乃至図18と同様にして操作する。
【0062】
<システムの動作>
図23は本実施の形態の作業管理装置のシステム動作の全体の流れを概略して表すフローチャートである。
図23に示すように、作業管理装置の処理手順は、まずステップ100でシステムを起動した後、ステップ200で作業エリア(大ブロック102)を設定する。そしてステップ300でフォーカス設定処理、ステップ400で画面上方向設定処理、ステップ500で表示エリア設定処理を行った後、ステップ600で目的の作業(本例では地雷除去作業)を開始する場合を図示している。そして、目的の作業の進捗とともに作業管理装置はその作業データを記録・更新し(ステップ700)、作業終了時には目的の作業の終了に伴う処理(ステップ800)を行って手順を終了する。なお、作業エリア設定処理を行ってから作業終了までの間、ステップ300〜500の処理は作業の進捗に応じてオペレータにより指令されたらその都度実行され、ステップ700の処理は、例えば一定時間毎に記憶される作業履歴が作業終了時に記憶装置62に記憶される。
【0063】
図24はシステム起動処理(ステップ100)の処理手順を表したフローチャートである。
このシステム起動処理の際、まずステップ101でオペレータによって車載コンピュータ61の電源スイッチが入れられると、演算装置64は、ステップ102にて先に図7に一例を示したオブジェクトファイルを記憶装置62から読み込み、図13に一例を示したメッシュステータスファイルを生成する。演算装置64は、続くステップ103においてGPS受信機53,54の演算結果を基に作業機械の位置及び姿勢を演算し、オブジェクトファイルとメッシュステータスファイルに基づいてステップ104で表示装置63に表示信号を出力して作業モニタ画面を表示させ、さらにステップ105で位置及び姿勢を演算した作業機械シンボルを表示画面101に表示する。
【0064】
図25は作業エリア設定処理(ステップ200)の処理手順を表したフローチャートである。
作業エリア設定処理の際、オペレータは、まずステップ201で作業機械を所望の位置まで移動させ、設定する大ブロックの原点位置となる部位(例えばフロント作業機34のロータリカッタ装置40や爆発物探査センサ42)を所望する地点に合わせる。続くステップ202で、演算装置64は、この状態で作業エリア選択ボタン111がタッチ操作されて表示装置63から作業対象エリア選択トリガを受信したかどうかを判定する。作業対称エリア選択トリガの入力がなくステップ202の判定が満たされない場合、演算装置64は手順をステップ201に戻す。作業エリア選択トリガの入力を確認しステップ202の判定が満たされたら、演算装置64は手順をステップ203に移す。
【0065】
ステップ203では入力された作業エリア選択トリガが、原点位置の北東(NE)方向のエリアを大ブロックの設定領域の候補として指定するものであったかどうかを判定する。選択方向がNEであってステップ203の判定が満たされれば、演算装置64はステップ204に移行し、所定のプログラムに従って作業機械の北東方向に大ブロック102を表示させる表示信号を演算し表示装置63に出力する。これにより表示画面101上において作業機械シンボル100の北東側のエリアに大ブロック102が表示される(図2参照)。ステップ204の処理実行後、又はステップ203の判定が満たされなかった場合、演算装置64は手順をステップ205に移す。
【0066】
ステップ205では入力された作業エリア選択トリガが、原点位置の北西(NW)方向のエリアを大ブロックの設定領域の候補として指定するものであったかどうかを判定する。選択方向がNWであってステップ205の判定が満たされれば、演算装置64はステップ206に移行し、所定のプログラムに従って作業機械の北西方向に大ブロック102を表示させる表示信号を演算し表示装置63に出力する。これにより表示画面101上において作業機械シンボル100の北西側のエリアに大ブロック102が表示される。ステップ206の処理実行後、又はステップ205の判定が満たされなかった場合、演算装置64は手順をステップ207に移す。
【0067】
ステップ207では入力された作業エリア選択トリガが、原点位置の南東(SE)方向のエリアを大ブロックの設定領域の候補として指定するものであったかどうかを判定する。選択方向がSEであってステップ207の判定が満たされれば、演算装置64はステップ208に移行し、所定のプログラムに従って作業機械の南東方向に大ブロック102を表示させる表示信号を演算し表示装置63に出力する。これにより表示画面101上において作業機械シンボル100の南東側のエリアに大ブロック102が表示される。ステップ208の処理実行後、又はステップ207の判定が満たされなかった場合、演算装置64は手順をステップ209に移す。
【0068】
ステップ209では入力された作業エリア選択トリガが、原点位置の南西(SW)方向のエリアを大ブロックの設定領域の候補として指定するものであったかどうかを判定する。選択方向がSWであってステップ209の判定が満たされれば、演算装置64はステップ210に移行し、所定のプログラムに従って作業機械の南西方向に大ブロック102を表示させる表示信号を演算し表示装置63に出力する。これにより表示画面101上において作業機械シンボル100の南西側のエリアに大ブロック102が表示される。ステップ210の処理実行後、又はステップ209の判定が満たされなかった場合、演算装置64は手順をステップ211に移す。
【0069】
ステップ211で、演算装置64は、作業機械シンボル100の所望の方向に表示させた大ブロック103を作業対象エリアとして決定するための作業開始トリガが入力されたかどうかを判定する。オペレータが作業開始スイッチ58を押下して作業開始トリガが入力された場合、演算装置64はステップ212に手順を移して決定した大ブロック103の原点座標データをオブジェクトファイルに記録して図25の手順を終了する。作業開始トリガの入力がなくステップ211の判定が満たされなかった場合、演算装置64はステップ201に手順を戻す。
【0070】
なお、この図25の作業エリア設定処理は作業対象となる大ブロックが未登録の場合に要求される手順であり、例えば過去の作業時においてステップ200の作業エリア設定処理が既に終了している場合はこの手順は不要である。
【0071】
図26はフォーカス設定処理(ステップ300)の処理手順を表したフローチャートである。
オペレータは、現在の作業対象エリアと作業機械の位置関係等が把握し易いように、或いは作業を進め易いように、表示画面101の表示態様を自動表示モード(作業機主体表示モード)又は手動表示モード(地形主体表示モード)のいずれかに設定する。フォーカス設定処理の際、演算装置64は、まずステップ301でフォーカス選択ボタン110がタッチ操作されて表示装置63からフォーカス切換トリガを受信したかどうかを判定する。フォーカス切換トリガの入力がなくステップ301の判定が満たされない場合、演算装置64はこのステップ301の手順を繰り返す。フォーカス切換トリガの入力を確認しステップ301の判定が満たされたら、演算装置64は手順をステップ302に移す。
【0072】
ステップ302で、演算装置64は、受信したフォーカス切換トリガが自動表示モードを選択するものであったかどうかを判定する。自動表示モードが選択されてステップ302の判定が満たされれば、演算装置64は、ステップ303で記憶装置62に格納したオブジェクトファイルから大ブロックの原点座標位置と大ブロックの設定を読み出し、現在位置を踏まえてステップ304で予め格納されたプログラムに従って作業機械シンボル100と大ブロック103の全体が表示画面101全体に納まるような表示倍率及び焦点(画面の中心点)を自動的に演算し、この演算結果に従って表示装置63に表示信号を出力する。これにより、表示画面101には、作業機械と作業対象エリアの距離に応じた倍率及び焦点位置で作業機械シンボル100と大ブロック103が表示される。この自動表示モードは、作業機械の移動に伴って常に倍率及び焦点位置が適正化され、システム終了までの間は、手動表示モードへの切換信号が入力されない限り有効である。
【0073】
一方、先のステップ302で自動表示モードが選択されなかった場合、演算装置64は手順をステップ305に移す。ステップ302では、演算装置64は、受信したフォーカス切換トリガが手動表示モードを選択するものであったかどうかを判定する。入力されたフォーカス切換信号が手動表示モードを選択するものでなかった場合、ステップ305の判定も満たされず、演算装置64は手順をステップ301に戻す。
【0074】
ステップ305においてフォーカス切換トリガが手動表示モードを選択するものであってその判定が満たされれば、演算装置64は、ステップ306で記憶装置62に格納したオブジェクトファイルから大ブロックの原点座標位置と大ブロックの設定を読み出し、ステップ307で予め格納されたプログラムに従って大ブロック103の中央に焦点を固定して表示画面101に大ブロック103全体を表示する。
【0075】
続くステップ308では、演算装置64は、移動ボタン116がタッチ操作されて表示装置63から移動トリガの入力があったかどうかを判定する。移動トリガが入力されステップ308の判定が満たされたら、演算装置64は、ステップ309に手順を移して入力した移動トリガに応じた表示変更処理を行う(この処理の詳細な手順は後述する)。
【0076】
ステップ309の処理を実行した後、又はステップ続くステップ308の判定が満たされなかった場合、演算装置64は、手順をステップ310に移す。ステップ310では、演算装置64は、拡大/縮小ボタン115がタッチ操作されて表示装置63から倍率変更トリガの入力があったかどうかを判定する。倍率変更トリガが入力されステップ310の判定が満たされたら、演算装置64は、ステップ311に手順を移して入力した倍率変更トリガに応じた表示変更処理を行う(この処理の詳細な手順は後述する)。
【0077】
この手動表示モードも、システム終了までの間は自動表示モードへの切換信号が入力されない限り有効である。なお、移動トリガの受信の有無を判定後、倍率変更トリガの有無を判定したがこの順番は逆であっても良い。また、手動表示モードが継続している間は、移動トリガ及び倍率変更トリガの入力が何度あったとしてもそれに対応して表示変更処理が繰り返し行われる。
【0078】
そして、ステップ311の処理実行後、又はステップ310の判定が満たされなかった場合、或いは先のステップ304の処理実行後、演算装置64は、図26の手順を終了する。
【0079】
図27は移動トリガ受信後の表示変更処理(ステップ309)の詳細を表すフローチャートである。
先のステップ308で移動トリガの入力が確認されたら、演算装置64は手順をステップ320に移す。
【0080】
ステップ320では入力された移動トリガが、表示画面101上の表示を現在の状態から画面の上方向に移動させることを選択するものであったかどうか(タッチ操作されたのが「↑」ボタンであったかどうか)を判定する。選択方向が上方向であってステップ320の判定が満たされれば、演算装置64はステップ321に移行し、所定のプログラムに従って画面表示をY軸プラス方向(画面上方向)に移動させる表示信号を演算し表示装置63に出力する。このときの移動量は、例えば表示画面101の10%程度である。これにより表示画面101には、それまで表示されていたエリアよりも画面上方向にずれたエリアが表示される。ステップ321の処理実行後、又はステップ320の判定が満たされなかった場合、演算装置64は手順をステップ322に移す。
【0081】
ステップ322では入力された移動トリガが、表示画面101上の表示を現在の状態から画面の下方向に移動させることを選択するものであったかどうか(タッチ操作されたのが「↓」ボタンであったかどうか)を判定する。選択方向が下方向であってステップ322の判定が満たされれば、演算装置64はステップ323に移行し、所定のプログラムに従って画面表示をY軸マイナス方向(画面下方向)に移動させる表示信号を演算し表示装置63に出力する。このときの移動量は、ステップ321における移動量と同じで良い。これにより表示画面101には、それまで表示されていたエリアよりも画面下方向にずれたエリアが表示される。ステップ323の処理実行後、又はステップ322の判定が満たされなかった場合、演算装置64は手順をステップ324に移す。
【0082】
ステップ324では入力された移動トリガが、表示画面101上の表示を現在の状態から画面の右方向に移動させることを選択するものであったかどうか(タッチ操作されたのが「→」ボタンであったかどうか)を判定する。選択方向が右方向であってステップ324の判定が満たされれば、演算装置64はステップ325に移行し、所定のプログラムに従って画面表示をX軸プラス方向(画面右方向)に移動させる表示信号を演算し表示装置63に出力する。このときの移動量も、ステップ321における移動量と同じで良い。これにより表示画面101には、それまで表示されていたエリアよりも画面右方向にずれたエリアが表示される。ステップ325の処理実行後、又はステップ324の判定が満たされなかった場合、演算装置64は手順をステップ326に移す。
【0083】
ステップ326では入力された移動トリガが、表示画面101上の表示を現在の状態から画面の左方向に移動させることを選択するものであったかどうか(タッチ操作されたのが「←」ボタンであったかどうか)を判定する。選択方向が左方向であってステップ326の判定が満たされれば、演算装置64はステップ327に移行し、所定のプログラムに従って画面表示をX軸マイナス方向(画面左方向)に移動させる表示信号を演算し表示装置63に出力する。このときの移動量も、ステップ321における移動量と同じで良い。これにより表示画面101には、それまで表示されていたエリアよりも画面左方向にずれたエリアが表示される。ステップ327の処理実行後、又はステップ326の判定が満たされなかった場合、演算装置64は図27の手順を終了する。
【0084】
図28は倍率変更トリガ受信後の表示変更処理(ステップ311)の詳細を表すフローチャートである。
先のステップ310で倍率変更トリガの入力が確認されたら、演算装置64は手順をステップ330に移す。
【0085】
ステップ330では入力された倍率変更トリガが、表示画面101上の表示を現在の状態から倍率を上げる(拡大する)ことを選択するものであったかどうか(タッチ操作されたのが「+」ボタンであったかどうか)を判定する。タッチ操作されたのが「+」ボタンであってステップ330の判定が満たされれば、演算装置64はステップ331に移行し、所定のプログラムに従って画面表示の倍率を上げて表示画面101の表示を拡大する。このときの拡大量は、例えば現状の5%程度である。これにより表示画面101には、それまで表示されていたエリアよりも小さなエリアが拡大表示される。ステップ331の処理実行後、又はステップ330の判定が満たされなかった場合、演算装置64は手順をステップ332に移す。
【0086】
ステップ332では入力された倍率変更トリガが、表示画面101上の表示を現在の状態から倍率を下げる(縮小する)ことを選択するものであったかどうか(タッチ操作されたのが「−」ボタンであったかどうか)を判定する。タッチ操作されたのが「−」ボタンであってステップ332の判定が満たされれば、演算装置64はステップ333に移行し、所定のプログラムに従って画面表示の倍率を下げて表示画面101の表示を縮小する。このときの縮小量は、例えば現状の5%程度である。これにより表示画面101には、それまで表示されていたエリアよりも大きなエリアが縮小表示される。ステップ333の処理実行後、又はステップ331の判定が満たされなかった場合、演算装置64は図28の手順を終了する。
【0087】
図29は画面上方向設定処理(ステップ400)の処理手順を表したフローチャートである。
画面上方向設定処理の際、演算装置64は、まずステップ401で画面上方向選択ボタン112がタッチ操作されて表示装置63から画面上方向選択トリガを受信したかどうかを判定する。画面上方向選択トリガの入力がなくステップ401の判定が満たされない場合、演算装置64はこのステップ401の手順を繰り返す。画面上方向選択トリガの入力を確認しステップ401の判定が満たされたら、演算装置64は手順をステップ402に移す。
【0088】
ステップ402で、演算装置64は、受信した画面上方向選択トリガが北方位に画面上方向を合わせることを指令するものであったかどうかを判定する。画面上方向に合わせる方向として北方位が選択されてステップ402の判定が満たされれば、演算装置64は、ステップ403で予め格納したプログラムに従って方位角を求めて実際の北方位を画面の上方向に合わせて表示する表示信号を表示装置63に出力する。これにより表示画面101の表示態様が先に図8に示したようになる。一方、ステップ402の判定が満たされなかった場合、演算装置64はステップ404に手順を移す。
【0089】
ステップ404では、演算装置64は、受信した画面上方向選択トリガがフロント方向に画面上方向を合わせることを指令するものであったかどうかを判定する。画面上方向に合わせる方向として作業機械のフロント方向が選択されてステップ404の判定が満たされれば、演算装置64は、ステップ405で予め格納したプログラムに従って方位角を求めて作業機械の運転室32のフロント方向を画面の上方向に合わせて表示する表示信号を表示装置63に出力する。これにより表示画面101の表示態様が先に図9に示したようになる。ステップ403又は405の処理を実行した後、演算装置64は図29の手順を終了する。
【0090】
図30は表示エリア設定処理(ステップ500)の処理手順を表したフローチャートである。
表示エリア設定処理の際、演算装置64は、まずステップ501で表示エリア選択ボタン113がタッチ操作されて表示装置63から表示エリア切換トリガを受信したかどうかを判定する。表示エリア切換トリガの入力がなくステップ501の判定が満たされない場合、演算装置64はこのステップ501の手順を繰り返す。表示エリア切換トリガの入力を確認しステップ501の判定が満たされたら、演算装置64は手順をステップ502に移す。
【0091】
ステップ502では、演算装置64は、受信した表示エリア切換トリガが大ブロック表示モードを指令するものであったかどうかを判定する。大ブロック表示モードが選択されてステップ502の判定が満たされれば、演算装置64は、ステップ503でオブジェクトファイルに記憶した大ブロックの原点座標を取得して、続くステップ504で大ブロックの中央に焦点を合わせて表示画面101に大ブロック全体を表示する(図2等参照)。
【0092】
ステップ505に手順を移すと、演算装置64は、大ブロック表示上の小ブロックがタッチ操作されて表示装置63からメッシュブロック移動トリガを受信したかどうかを判定する。メッシュブロック移動トリガが入力されステップ505の判定が満たされたら、演算装置64は手順をステップ506に移してメッシュブロック105の現在位置を取得し、続くステップ507において、図15〜図22に示したように小ブロックのタッチ操作に応じてメッシュブロックの移動先を演算する。この演算結果に基づいて生成した表示信号を演算装置64は表示装置63に出力し、表示画面101上ではメッシュブロックの位置が移動して表示される。
【0093】
一方、先のステップ502の判定が満たされなかった場合、演算装置64はステップ508に手順を移し、受信した表示エリア切換トリガが小ブロック表示モードを指令するものであったかどうかを判定する。小ブロック表示モードを選択するものでなくステップ508の判定が満たされない場合、手順をステップ501に戻す。例えば表示エリア切換トリガが前述した全体表示モードを指令するものである場合、ステップ508の処理実行後に対応する態様の表示を表示装置63に指令して手順をステップ501に戻す。
【0094】
表示エリア切換トリガが小ブロック表示モードを指令するものであってステップ508の判定が満たされれば、演算装置64は、ステップ509で小ブロック(現在のメッシュブロック)の原点座標を取得して、続くステップ510でそのメッシュブロックの中央に焦点を合わせて表示倍率を上げて表示画面101にメッシュブロック全体を表示する(図8及び図9参照)。
【0095】
ステップ507又は510の処理実行後、或いはステップ505の判定は満たされなかった場合、演算装置64はこの図30の手順を終了する。
【0096】
図31は作業データ記録・更新処理(ステップ700)の処理手順を表したフローチャートである。
作業データ記録・更新処理の際、演算装置64は、ステップ701で例えば作業開始時等にオブジェクトファイルに作業開始日時を記録する。そして作業中、ステップ702としてフロント作業機の位置するメッシュの作業状態に関する作業データを取得し、ステップ703において、取得した作業データを図13に示したようなステータスファイルに随時記録していく。その後、演算装置64は、アプリケーション終了ボタン117がタッチ操作されて作業終了が指令されたかどうかを判定する(ステップ704)。判定が満たされなければ手順をステップ702に戻してステップ702,703の手順を繰り返す。ステップ704の判定が満たされれば、演算装置64は、オブジェクトファイルに作業終了日時・作業経過時間・作業実績(地雷検出数・処理数)等を記録して図31の手順を終了する。
【0097】
<作用効果>
以上に説明した本実施の形態の作業管理装置によれば、作業エリア設定処理(図23のステップ200)を済ませれば、次に作業するときに事務所から作業対象エリアに向かうときのように作業機械が作業対象エリアから離れているときでも、作業機主体表示モードを選択して作業機械シンボル100と大ブロック103との位置関係を表示画面101上で容易に把握できるので、オペレータは最適な経路で作業対象エリアに向かうことができる。また、地形主体表示モードを選択すれば、必要に応じて表示の倍率や焦点位置も任意に設定でき、オペレータの要望に柔軟に対応して確認したい地点の状態を表示することができる。
【0098】
また、作業対象エリア全体をメッシュ表示すると表示が煩雑となって却って作業状況が作業モニタ上で把握しづらくなる場合があるが、本実施の形態においては、大ブロック表示のとき、小ブロック単位で作業状態を表示することにより、オペレータは大ブロック内の大雑把な作業状態を把握することができる。また、大ブロック表示のままでも、小ブロック1つ分の面積の任意に選択したメッシュブロック105のみをメッシュ単位で表示することができるので、必要に応じてメッシュブロックを移動させて各小ブロックの詳細な作業状態を順次確認することができ、その後の作業順を把握する上でも利便性も高い。
【0099】
また、北方位を作業モニタの上方向に固定する絶対方位表示モードの場合、例えば小ブロック内において繊細な作業を進めていくとき、進行方向が北向きのとき以外、オペレータから見ると表示上での作業機械の進行方向が実際の進行方向と異なるので、方向感覚がつかみにくく操作し難い場合もある。このような場合には方向の誤認から誤操作を招く恐れもあるが、本実施の形態は、絶対方位表示モードのみならず、運転室のフロント方向を画面上方向に対応付けて常にオペレータ目線から見た周囲の地形との位置関係を表示する相対方位表示モードが選択的に表示可能であるため、オペレータは、その感覚に近い表示態様の作業モニタ画面を見ながら作業を進めることができる。
【0100】
以上のように、本実施の形態によれば、オペレータの所望する様々な表示態様に対応することができるので、作業性及び操作性が格段に向上し、作業効率を向上させることができる。
【0101】
さらに、大ブロック表示モードのときに、仮に大ブロック全体をメッシュ表示すると表示データが膨大となるため、作業モニタ画面に作業状況を逐次表示させるには、処理速度や記憶容量に優れたコンピュータが必要となり、装置のコストが高騰する。それに対して、本実施の形態においては、大ブロック表示モードのときには選択したメッシュブロックのみをメッシュ表示させるので、表示データを最小限に抑制することができ、安価なコンピュータでも十分に実用に耐える構成となっているから、装置にかかるコストを低減することもできる。
【0102】
なお、本実施の形態においては、本発明の作業管理装置を地雷処理機の作業管理に適用した例を説明したが、その他の作業、例えば土質改良機やスタビライザ等を用いて地盤に固化材を添加して混合することにより地盤を強化する地盤改良作業、油圧ショベル等を用いてある地形を所望の形状に整地する地形変更作業、振動ローラ等を用いて地盤を踏み固める転圧作業、或いは浚渫作業等といった特定の作業対象領域での作業において、作業対象エリア内の各位置での作業状態をオペレータ等が管理・把握するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置のシステムブロック図を、当該作業管理装置を搭載した作業機械の外観とともに表した概略構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置の作業モニタ画面の一構成例を表す図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置が管理対象とする作業対象エリアの説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置の作業モニタ画面の一構成例を表す図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置の作業モニタ画面の一構成例を表す図である。
【図6】ソフトウェア上での仮想の表示カメラの焦点位置と表示画面との関係を説明する模式図である。
【図7】記憶装置に記憶されるオブジェクトファイルの概要を表す図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置の作業モニタ画面の一構成例を表す図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置の作業モニタ画面の一構成例を表す図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置の作業モニタ画面の一構成例を表す図である。
【図11】記憶されたメッシュステータスファイルの管理情報を表す図である。
【図12】大ブロック全体のメッシュのステータス情報を表した図である。
【図13】大ブロック全体のメッシュのステータス情報をデータ形式で表した図である。
【図14】小ブロック識別表示領域における小ブロックのステータス(状態)毎の定義及び識別色の対応関係を表した図である。
【図15】メッシュブロックを小ブロック半個ずつ移動させる場合の操作例を表す説明図である。
【図16】メッシュブロックを小ブロック半個ずつ移動させる場合の操作例を表す説明図である。
【図17】メッシュブロックを小ブロック半個ずつ移動させる場合の操作例を表す説明図である。
【図18】メッシュブロックを小ブロック半個ずつ移動させる場合の操作例を表す説明図である。
【図19】メッシュブロックを任意の小ブロックに直接移動させる場合の操作例を表す説明図である。
【図20】メッシュブロックを任意の小ブロックに直接移動させる場合の操作例を表す説明図である。
【図21】メッシュブロックを任意の小ブロックに直接移動させる場合の操作例を表す説明図である。
【図22】メッシュブロックを任意の小ブロックに直接移動させる場合の操作例を表す説明図である。
【図23】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置のシステム動作の全体の流れを概略して表すフローチャートである。
【図24】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置のシステム起動処理の処理手順を表したフローチャートである。
【図25】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置の作業エリア設定処理の処理手順を表したフローチャートである。
【図26】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置のフォーカス設定処理の処理手順を表したフローチャートである。
【図27】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置の移動トリガ受信後の表示変更処理の詳細を表すフローチャートである。
【図28】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置の倍率変更トリガ受信後の表示変更処理の詳細を表すフローチャートである。
【図29】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置の画面上方向設定処理の処理手順を表したフローチャートである。
【図30】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置の表示エリア設定処理の処理手順を表したフローチャートである。
【図31】本発明の一実施の形態に係る作業管理装置の作業データ記録・更新処理の処理手順を表したフローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
10 基準局
20 GPS衛星
30 作業機械
32 運転室
46,47 GPSアンテナ
50 作業管理装置
51 無線機
53,54 GPS受信機
55 可動部センサ
63 表示装置
64 演算装置
100 作業機械シンボル
101 表示画面
102 大ブロック
103 小ブロック
104 メッシュ
105 メッシュブロック
110 フォーカス選択ボタン
112 画面上方向選択ボタン
113 表示エリア選択ボタン
115 拡大/縮小ボタン
116 移動ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の作業状況を管理する作業管理装置において、
基準局からの補正データを受信する無線機と、
この無線機を介して受信した補正データとGPS衛星からの信号とに基づいて前記作業機械に設置した複数のGPSアンテナの位置を演算するGPS受信機と、
前記作業機械の作業データを検出する各種可動部センサと、
前記GPS受信機からの位置データと前記各種可動部センサからの作業データに基づいて作業対象エリアの作業進捗状況と前記作業機械の位置及び姿勢とを演算する演算装置と、
前記作業機械の運転室内に設置され、前記演算装置からの表示信号を入力して前記作業対象エリアの作業進捗状況及び前記作業機械の位置及び姿勢を重ねて表示する表示装置と、
この表示装置の画面上に作業機械シンボルを主体として表示させ、前記作業機械の移動に応じて作業対象エリアを移動させる表示態様の作業機主体表示モード、及び地形の任意選択位置を画面中央に固定して表示させ、固定表示した作業対象エリアに対して前記作業機械シンボルを移動させる表示態様の地形主体表示モードを選択的に切り換えるための表示主体切換手段と
を備えたことを特徴とする作業管理装置。
【請求項2】
前記作業機主体表示モードは、作業対象エリアと作業機械とが画面に納まるように、作業機械と作業対象エリアとの距離に応じて画面表示の倍率及び焦点位置を自動的に最適化する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の作業管理装置。
【請求項3】
前記地形主体表示モードのとき、画面表示の倍率を手動で変更するための倍率変更手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の作業管理装置。
【請求項4】
前記地形主体表示モードのとき、画面中央に固定する前記任意選択位置を手動で移動させるための表示位置移動手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の作業管理装置。
【請求項5】
前記表示装置の画面における上側を北に対応付けて前記作業対象エリアの向きを固定して表示する絶対方位表示モード、及び前記表示装置の画面における上側を前記作業機械のフロント方向に対応付けて作業機械の向きを固定して表示する相対方位表示モードを選択的に切り換えるための表示方向切換手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の作業管理装置。
【請求項6】
メッシュを構成単位とする小ブロックの集合体である大ブロックにより前記作業対象エリアを表現し、前記表示装置の画面に前記小ブロックを表示単位として大ブロック全体を表示させる大ブロック表示モード、及び前記メッシュを表示単位として任意の小ブロックを表示させる小ブロック表示モードを選択的に切り換えるための表示エリア切換手段と、
大ブロック表示モード時、小ブロック1つ分の領域の作業状態をメッシュ表示するメッシュブロックを任意に移動させ、小ブロック表示モードに切り換えることなく所望箇所の作業状態を表示させるメッシュブロック移動手段と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の作業管理装置。
【請求項7】
作業機械の作業状況を管理する作業管理装置において、
基準局からの補正データを受信する無線機と、
この無線機を介して受信した補正データとGPS衛星からの信号とに基づいて前記作業機械に設置した複数のGPSアンテナの位置を演算するGPS受信機と、
前記作業機械の作業データを検出する各種可動部センサと、
前記GPS受信機からの位置データと前記各種可動部センサからの作業データに基づいて作業対象エリアの作業進捗状況と前記作業機械の位置及び姿勢とを演算する演算装置と、
前記作業機械の運転室内に設置され、前記演算装置からの表示信号を入力して前記作業対象エリアの作業進捗状況及び前記作業機械の位置及び姿勢を重ねて表示する表示装置と、
メッシュを構成単位とする小ブロックの集合体である大ブロックにより前記作業対象エリアを表現し、前記表示装置の画面に前記小ブロックを表示単位として大ブロック全体を表示させる大ブロック表示モード、及び前記メッシュを表示単位として任意の小ブロックを表示させる小ブロック表示モードを選択的に切り換えるための表示エリア切換手段と、
大ブロック表示モード時、小ブロック1つ分の領域の作業状態をメッシュ表示するメッシュブロックを任意に移動させ、小ブロック表示モードに切り換えることなく所望箇所の作業状態を表示させるメッシュブロック移動手段と
を備えたことを特徴とする作業管理装置。
【請求項8】
基準局からの補正データを受信する無線機と、
GPS衛星からの信号を受信する複数のGPSアンテナと、
前記無線機を介して受信した補正データと前記GPS衛星からの信号とに基づいて前記複数のGPSアンテナの位置を演算するGPS受信機と、
作業データを検出する各種可動部センサと、
前記GPS受信機からの位置データと前記各種可動部センサからの作業データに基づいて作業対象エリアの作業進捗状況と現在の位置及び姿勢とを演算する演算装置と、
運転室内に設置され、前記演算装置からの表示信号を入力して前記作業対象エリアの作業進捗状況及び現在の位置及び姿勢を重ねて表示する表示装置と、
この表示装置の画面上に作業機械シンボルを主体として表示させ、機体の移動に応じて作業対象エリアを移動させる表示態様の作業機主体表示モード、及び地形の任意選択位置を画面中央に固定して表示させ、固定表示した作業対象エリアに対して前記作業機械シンボルを移動させる表示態様の地形主体表示モードを選択的に切り換えるための表示主体切換手段と
を備えたことを特徴とする作業機械。
【請求項9】
基準局からの補正データを受信する無線機と、
GPS衛星からの信号を受信する複数のGPSアンテナと、
前記無線機を介して受信した補正データと前記GPS衛星からの信号とに基づいて前記複数のGPSアンテナの位置を演算するGPS受信機と、
作業データを検出する各種可動部センサと、
前記GPS受信機からの位置データと前記各種可動部センサからの作業データに基づいて作業対象エリアの作業進捗状況と現在の位置及び姿勢とを演算する演算装置と、
運転室内に設置され、前記演算装置からの表示信号を入力して前記作業対象エリアの作業進捗状況及び現在の位置及び姿勢を重ねて表示する表示装置と、
メッシュを構成単位とする小ブロックの集合体である大ブロックとして前記作業対象エリアを表現し、前記表示装置の画面に前記小ブロックを表示単位として大ブロック全体を表示させる大ブロック表示モード、及び前記メッシュを表示単位として任意の小ブロックを表示させる小ブロック表示モードを選択的に切り換えるための表示エリア切換手段と、
大ブロック表示モード時、小ブロック1つ分の領域の作業状態をメッシュ表示するメッシュブロックを任意に移動させ、小ブロック表示モードに切り換えることなく所望箇所の作業状態を表示させるメッシュブロック移動手段と
を備えたことを特徴とする作業機械。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate


【公開番号】特開2006−132132(P2006−132132A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320354(P2004−320354)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】