説明

作業車両用制動装置および作業車両

【課題】 作業車両の制動時において、回生制動によるエネルギ回収量の向上を図るとともに、信頼性の低下を防止することができる作業車両を提供する。
【解決手段】 運転者が操作するブレーキ操作部9と、ブレーキ操作部9の操作量を検知する操作量検出部11と、車輪33の回転を電気エネルギに変換することにより、車輪33の回転を制動する回生部35と、操作量検出部11の出力に基づいて回生部35を制御する制御部39と、操作量が所定値より小さいときには操作量の伝達を遮断し、操作量が所定値以上のときには、操作量から所定値を除去した操作量を伝達する伝達部17と、伝達部17から伝達された操作量に基づいて、車輪33の回転を摩擦力により制動する制動部45と、が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両用制動装置および作業車両、特に駆動源として電動機を備え、荷役、土木等の作業を行う作業車両用制動装置および作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両において駆動源として電動機(モータ)を用いる作業車両、例えば、モータのみで駆動されるバッテリ式作業車両や、モータおよびエンジンで駆動されるハイブリッド式作業車両では、制動時にモータを発電機とした回生制動を行い、車両の運動エネルギを電気エネルギとして回収する方法が知られている(例えば、特許文献1および2参照。)。
上述の回生制動では、ブレーキペダルの操作量から制動トルクが算出され、モータにより求められた制動トルクを発生させ、制動力と回生動力とを得る方法が一般的である。
【0003】
また、上述のモータを用いた回生制動では制動力が不足する場合や、バッテリの過充電やモータの故障等により制動力を発揮できない場合のバックアップとして、一般的な機械式ブレーキによる制動が併せて使用されることが多い。
機械式ブレーキにおける制動力は以下のようにして発生している。
例えば、ブレーキペダルが踏まれると、リンク機構により連結されたマスタシリンダが圧縮される。圧縮されたマスタシリンダにはブレーキ圧が発生し、ブレーキ圧がブレーキシリンダに伝わる。ブレーキシリンダはドラムブレーキを押し広げ、ドラムブレーキは車輪の内面に押し付けられる。押し付けられたドラムブレーキと車輪との間に働く摩擦力により、制動力が生じている。
【特許文献1】特開2004−338546号公報
【特許文献2】特開平10−271608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリ式作業車両や、ハイブリッド式作業車両では、制動時に機械式ブレーキとモータを用いた回生制動とを同時に使用して、モータによる制動力の発揮と、運動エネルギの回収とを図っている。
しかしながら、機械式ブレーキとモータを用いた回生制動とを同時に使用すると、機械式ブレーキが支配的に作用し、モータによるエネルギ回収量が著しく減少するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、作業車両の制動時において、回生制動によるエネルギ回収量の向上を図るとともに、信頼性の低下を防止することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の作業車両用制動装置は、運転者が操作するブレーキ操作部と、該ブレーキ操作部の操作量を検知する操作量検出部と、車輪の回転を電気エネルギに変換することにより、前記車輪の回転を制動する回生部と、前記操作量検出部の出力に基づいて前記回生部を制御する制御部と、前記操作量が所定値より小さいときには前記操作量の伝達を遮断し、前記操作量が前記所定値以上のときには、前記操作量から前記所定値を除去した操作量を伝達する伝達部と、該伝達部から伝達された前記操作量に基づいて、前記車輪の回転を摩擦力により制動する制動部と、が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、ブレーキ操作部の操作量が所定値より小さいときには、操作量検出部の出力に基づいて、回生部による回生制動が行われる一方、伝達部から制動部に操作量が伝達されず、制動部による摩擦による制動は行われない。
つまり、作業車両の初期制動時(操作量が所定値より小さいとき)において、作業車両の運動エネルギが摩擦制動により消耗されることなく、回生部による電気エネルギに変換されるため、電気エネルギの回収量向上が図られる。
【0008】
操作量が所定値以上のときには、操作量検出部の出力に基づいて、回生部による回生制動が行われるとともに、伝達部から制動部に操作量が伝達され、制動部による摩擦制動も行われる。
そのため、例えば作業車両の制動に対して回生制動のみの制動力では不足する場合に、ブレーキ操作部の操作量を増やすことで回生制動と摩擦制動とを同時に行うことができ、作業車両を制動するために十分な制動力が確保される。
また、回生された電気を蓄えるバッテリの過充電などの原因により回生制動が十分に行えない場合にも、ブレーキ操作部の操作量を増やすことで摩擦制動を行うことができ、作業車両を制動する制動力が確保される。
【0009】
なお、操作量の所定値は、回生制動によるエネルギ回収量の向上と、摩擦制動による制動の確実性の確保とのバランスにより設定される値である。
【0010】
上記発明においては、前記ブレーキ操作部の操作に対して反力を発生させる反力発生部が設けられていることが望ましい。
【0011】
本発明によれば、ブレーキ操作部の操作量が所定値より少ない場合でも、運転者はブレーキ操作部を操作するのに反力(抵抗力)を受けるため、制動部のみを備えた従来の作業車両用制動装置と同等な操作感が得られる。
【0012】
上記発明においては、前記反力発生部が、前記操作量に基づいて変形することにより前記反力を発生する弾性部材であり、前記反力発生部の配置位置を変更することで、前記反力の強さを調節する反力調節部が設けられていることが望ましい。
【0013】
本発明によれば、操作量に比例して発生する反力の強さが変化するため、制動部のみを備えた従来の作業車両用制動装置と同等な操作感が得られる。
反力調節部により反力発生部の配置位置をブレーキ操作部の移動方向に変更して、弾性部材の変形量を調節することで、反力が発生する最低限の操作量や発生する反力の強さが調節される。このような調節により、例えば、作業車両の車速に応じて回生制動のみが働く操作量の範囲や、運転者に伝わる反力を調節することができ、常に同じ制動力や減速度が得られる。
【0014】
上記発明においては、前記反力発生部が、前記操作量に基づいて変形することにより前記反力を発生する弾性部材であり、該弾性部材の一方の端部に、有底円筒状の反力シリンダ部および該反力シリンダ部の内部に相対移動可能に配置された棒状の反力ピストン部の一方が配置され、前記反力シリンダ部と前記反力ピストン部との間の反力空間に液体が満たされ、前記反力シリンダの外部と前記反力空間とを繋ぐ流路に、前記液体の流れを制御する反力制御弁が設けられていることが望ましい。
【0015】
本発明によれば、反力制御弁が開かれているときは、液体は流路を介して反力空間から流入流出するため、反力シリンダ部と反力ピストン部とは相対移動が可能で、弾性部材は自由に移動する。すると、回生制動のみが働く操作量の範囲における反力が無くなる。一方、反力制御弁が閉じられると、液体は反力空間内に封じ込められ反力シリンダ部と反力ピストン部とは相対移動できなくなる。すると、回生制動のみが働く操作量の範囲においても反力が発生する。
【0016】
そのため、反力制御弁が開かれているときに、反力制御弁が閉じているときと同じ力でブレーキ操作部を操作すると、操作量が回生制動のみが働く操作量の範囲を容易に超えて直ちに制動部による制動が行われる。
【0017】
上記発明においては、前記制動部には、前記伝達部から伝達された前記操作量に基づいて流体の圧力を高める圧力発生部と、前記流体の圧力に基づいて前記車輪との間で摩擦力を発生させる摩擦発生部と、が設けられていることが望ましい。
【0018】
本発明によれば、操作量に基づいて流体圧力が高められ、その流体圧力に基づいて摩擦制動力が発生されるため、圧力発生部と摩擦発生部とを離れた位置に配置しても、複数の車輪に対して略同時に、かつ、略同じ強さの制動力が作用される。
【0019】
上記発明においては、前記伝達部は、前記ブレーキ操作部に接続された入力部と、前記圧力発生部に接続されるとともに前記入力部に対して相対移動可能に配置された出力部と、を有し入力部および出力部の少なくとも一方には、前記相対移動可能な距離を制限する制限部が設けられていることが望ましい。
【0020】
本発明によれば、入力部と出力部とが相対移動することにより、ブレーキ操作部の操作量は入力部から出力部へ伝達されない。一方、相対移動の距離が大きくなり、入力部と出力部の相対移動が制限部により制限されると、ブレーキ操作部の操作量は入力部から出力部へ伝達される。
【0021】
上記発明においては、前記入力部と前記出力部との相対移動可能な距離を調節する伝達調節部が設けられていることが望ましい。
【0022】
本発明によれば、相対移動可能な距離を調節することにより、制動部による摩擦制動が作用する最低限のブレーキ操作部の操作量が調節される。このような調節により、例えば、作業車両の車速に応じて回生制動のみが働く操作量の範囲を調節することができ、同じ操作量で常に同じ制動力や減速度が得られる。
【0023】
上記発明においては、前記入力部および前記出力部の一方が有底円筒状の伝達シリンダ部であって、他方が前記伝達シリンダ部の内部に相対移動可能に配置された棒状の伝達ピストン部であり、前記伝達シリンダ部と前記伝達ピストン部との間の伝達空間に液体が満たされ、前記伝達シリンダの外部と前記伝達空間とを繋ぐ流路に、前記液体の流れを制御する伝達制御弁が設けられたことが望ましい。
【0024】
本発明によれば、伝達制御弁が開かれているときは、液体は流路を介して伝達空間から流入流出するため、伝達シリンダ部と伝達ピストン部とは相対移動が可能で、ブレーキ操作部の操作量は圧力発生部に伝達されない。一方、相対移動の距離が大きくなり、伝達ピストン部が伝達シリンダ部の底面に接触すると、ブレーキ操作部の操作量は圧力発生部に伝達される。
また、伝達制御弁が閉じられると、液体は伝達空間内に封じ込められ伝達シリンダ部と伝達ピストン部とは相対移動できなくなる。そのため、ブレーキ操作部の操作量は圧力発生部に直接伝達される。
【0025】
上記発明においては、前記圧力発生部の流体圧力を検出する圧力検出部が設けられ、前記制御部は、少なくとも前記操作量検出部の出力と前記圧力検出部の出力とに基づいて、前記回生部が発生する制動力を制御することが望ましい。
【0026】
本発明によれば、操作量に基づいて高められた流体圧力を検出することにより、制動部による摩擦制動力が推定され、推定された摩擦制動力に基づいて回生部による回生制動力が制御される。
このように制御されることで、回生制動力のみが作用している状態および回生制動力および摩擦制動力が作用している状態のいずれであっても、操作量に応じた制動力が車輪に作用し、操作量と作業車両の減速度との関係が一定に保たれ、過大または過小な制動力が車輪に作用することが防止される。
【0027】
本発明の作業車両は、走行の動力源に用いられる電動機と、上記本発明の作業車両用制動装置と、が設けられ、前記電動機が、前記制動装置の回生部として用いられることを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、上記本発明の作業車両用制動装置が設けられているため、回生部による電気エネルギの回収量の向上が図られる。
また、走行に用いられる電動機を回生部として用いるため、電動機と回生部とを別々に設ける場合と比較して、作業車両の構成が簡略化される。
【発明の効果】
【0029】
本発明の作業車両用制動装置および作業車両によれば、ブレーキ操作部の操作量が所定値より小さいときには、回生部による回生制動が行われる一方、制動部による摩擦による制動は行われない。また、操作量が所定値以上のときには、回生部による回生制動が行われるとともに、制動部による摩擦制動も行われるため、作業車両の制動時において、回生制動によるエネルギ回収量の向上を図るとともに、信頼性の低下を防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係るフォークリフトついて図1から図6を参照して説明する。
なお、本実施形態では、本発明を電動モータ35およびエンジン(図示せず)を動力源とするハイブリッド式フォークリフトまたは電動モータにより駆動されるバッテリ式フォークリフト(以下、フォークリフトと表記する。)に適用して説明する。
図1は、本実施形態に係るフォークリフトにおける制動装置の構成を説明するものである。
【0031】
フォークリフト(作業車両)1は、図1に示すように、オペレータ(運転者)がブレーキペダル9を踏むことで制動指示を入力する入力部3と、フォークリフト1の運動エネルギから電気エネルギを回収することにより制動を行う回生制動部5と、フォークリフトの運動エネルギを熱エネルギに変換することにより制動を行う機械式制動部7と、を備えている。
【0032】
入力部3は、オペレータが踏むブレーキペダル(ブレーキ操作部)9と、ブレーキペダル9の踏み込み量(操作量)を検出するストロークセンサ(操作量検出部)11と、踏み込み量に応じてブレーキペダル9に反力を発生させる反力バネ(反力発生部、弾性部材)13と、踏み込み量をマスタシリンダ15に伝達するガタ部(伝達部)17と、を備えている。
【0033】
ブレーキペダル9には、オペレータが踏む踏み部19と、ブレーキペダル9を回転可能に支持する支持部21と、オペレータが踏み部19を踏むことにより回動するストローク部23とが設けられている。
【0034】
ストロークセンサ11は支持部21に配置され、ブレーキペダル9の回動角度を検出することにより踏み込み量を検出している。ストロークセンサ11の検出信号は制御器39に入力される。なお、ストロークセンサとしては、公知の角度センサを用いることができ、特に限定するものではない。
【0035】
反力バネ13は、一方の端部がストローク部23に固定され、他方の端部がフォークリフト1のフレームなどの壁部Wに固定されている。踏み部19が踏まれてストローク部23が回動すると、反力バネ13は伸ばされて踏み込みに対する反力を発生する。
【0036】
ガタ部17は、有底円筒状の伝達シリンダ部(出力部)25と、伝達シリンダ部25の内部に伝達シリンダ部25と相対移動可能に配置された棒状の伝達ピストン部(入力部)27とを、備えている。伝達シリンダ部25はマスタシリンダ15に接続され、伝達ピストン部27はストローク部23に接続されている。
伝達シリンダ部25の底面(制限部)29は伝達ピストン部27との相対移動を制限する役割を果たす。伝達シリンダ部25と伝達ピストン部27との間の間隔(所定値)31は伝達ピストン部27から伝達シリンダ部25への踏み込み量の伝達を制限する機械的不感帯として働くものである。
【0037】
回生制動部5は、車輪33と電動モータ35との間で動力を伝達する動力伝達機構34と、車輪33の回転により発電する電動モータ(回生部)35と、電動モータ35の制動トルクを制御するインバータ(制御部)37および制御器(制御部)39と、発電された電気が蓄えられるバッテリ41と、を備えている。
【0038】
動力伝達機構34は車輪33と電動モータ35との間に配置され、トランスミッションやデファレンシャルギアや車軸など(図示せず)を含むものである。
電動モータ35は車輪33の回転により発電を行って回生制動を行う一方、インバータ37から供給された交流電流により動力を発生して車輪33を回転駆動するものである。
【0039】
インバータ37は、回生制動時に電動モータ35が発電した交流電流を直流電流に変換する一方、バッテリ41から供給された直流電流を電動モータ35の駆動に用いる交流電流に変換するものである。
【0040】
制御器39は、インバータ37を制御することにより、回生制動時に電動モータ35が発生する制動トルク(または回生トルク)を制御する一方、供給する交流電流を制御して電動モータ35が発生する駆動トルクを制御するものである。
バッテリ41はインバータ37と電気的に接続され、回生制動時にはインバータ37において変換された直流電流(回生電流)が蓄電される一方、インバータ37に直流電流を供給して(放電して)電動モータ35を回転駆動させるものである。
【0041】
機械式制動部7は、伝達された踏み込み量に応じて油圧を発生するマスタシリンダ15と、マスタシリンダ15との間で油の流入流出がされるリザーバタンク43と、発生した油圧により車輪33の回転を制動するドラムブレーキ(制動部、摩擦発生部)45と、を備えている。
このような構成にすることで、マスタシリンダ15とドラムブレーキ45とを離れた位置に配置しても、複数の車輪33に対して略同時に、かつ、略同じ強さの制動力を作用させることができる。
【0042】
マスタシリンダ15は内部に油を蓄え、ガタ部17により伝達された踏み込み量に応じて、内部の油を押圧して油圧を発生させるものである。マスタシリンダ15には、発生した油圧をブレーキシリンダ51に伝達するブレーキ配管47が設けられている。
【0043】
リザーバタンク43は、マスタシリンダ15との間で油の流通が可能に接続された油の貯留部である。
ドラムブレーキ45は、車輪33に固定されたドラム49と、油圧に応じてブレーキシュー53を押し広げるブレーキシリンダ51と、ドラム49の内周面に押し付けられ摩擦力により制動力を発揮するブレーキシュー53とを備えている。
【0044】
次に、上記の構成からなるフォークリフトにおける制動時の動作について、図1から図6を参照しながら説明する。
図2は、図1のフォークリフトにおける制動時の制御を説明するフローチャートである。図3は、制御器で決定される制動トルクと、車速および踏み込み量との関係を説明するグラフである。
走行しているフォークリフト1の制動を行う場合には、図1に示すように、オペレータがブレーキペダル9の踏み部19を踏む(ステップS1)。
【0045】
踏まれたブレーキペダル9は支持部21を中心に回動し、回動角はストロークセンサ11に検出される(ステップS11)。
一方、ブレーキペダル9のストローク部23は、マスタシリンダ15側に向って回動し、反力バネ13を伸ばす(ステップS21)とともに、ガタ部17の伝達ピストン部27をマスタシリンダ15側に移動させる。伸ばされた反力バネ13は、ストローク部23の回動方向とは反対向きに働く反力(オペレータ反力)を発生する(ステップS22)。
【0046】
ブレーキペダル9の踏み込み量が間隔31より少ない場合には、伝達ピストン部27の移動は、伝達ピストン部27と伝達シリンダ部25との間の間隔31(ガタ部17の隙間)に吸収される。そのため、ガタ部17の隙間が残っている間は、マスタシリンダ15は圧縮されない(ステップS23、ステップS24)。
この場合、機械式制動部7による制動は行われない。
【0047】
ストロークセンサ11の検出信号は回生制動部5の制御器39に入力され、制御器39は電動モータ35において発生させる制動トルクを決定する(ステップS12)。
制動トルクの決定は、図3に示すように、ストロークセンサ11の検出信号(踏み込み量)の他にフォークリフト1の走行速度(車速)にも基づいて行われる。
なお、制動トルクの決定に用いられる車速は、図1に示すように、制御器39に入力される電動モータ35の回転数に係る信号に基づいて算出される。
【0048】
制御器39は、決定した制動トルクを電動モータ35に発生させるため、制動トルク指令をインバータ37に出力する(ステップS13)。インバータ37は制動トルク指令に基づいて駆動され回生電力を発生する(ステップS14)。発生された回生電力はバッテリ41に蓄電される。
一方、電動モータ35は制動トルクを発生し(ステップS15)、発生された制動トルクは動力伝達機構34に伝達され(ステップS16)、車輪33において制動力(回生制動力)が発揮される(ステップS30)。
【0049】
オペレータがブレーキペダル9の踏み込み量を増やし、ガタ部17の隙間がゼロになると(ステップS23)、伝達シリンダ部25の底面29に伝達ピストン部27が接触する。そのため、ブレーキペダル9からマスタシリンダ15に踏み込み量が伝達され、内部の油が押圧、圧縮され(ステップS25)、ブレーキ圧が発生する(ステップS26)。
ブレーキ圧が発生すると、ストローク部23の回動方向とは反対向きに働く反力(オペレータ反力)も発生する(ステップS22)。
【0050】
一方、ブレーキ圧はブレーキ配管47を通してブレーキシリンダ51に伝達され、ブレーキシリンダ51が押し広げられる(ステップS27)。ブレーキシリンダは、ブレーキシューを押し広げ、ドラムの内周面に押し付ける(ステップS28)。ブレーキシューとドラムとの間に摩擦力が働き、車輪33において摩擦力による制動力(機械制動力)が発揮される(ステップS30)。
【0051】
図4は、ブレーキペダルの踏み込み量と制動力との関係を示すグラフである。
このように制御することで、図4に示すように、ブレーキペダル9の踏み込み量が小さいときには、回生制動力Rのみが作用する。ブレーキペダル9の踏み込み量が大きくなると、機械制動力Fが作用し始める。
なお、図4における破線は機械式制動部のみを備えた従来のフォークリフトにおける制動力を示すものである。
【0052】
図5は、ブレーキペダルの踏み込み量とオペレータに伝わる反力との関係を示すグラフである。
また、オペレータに伝わるオペレータ反力は、図5に示すように、ブレーキペダル9の踏み込み量が小さく回生制動力のみが作用している範囲であっても、反力バネ13により発生している。ブレーキペダル9の踏み込み量が大きくなり、機械制動力が発生し始めると、マスタシリンダ15により発生する反力も加わり、オペレータ反力は大きくなる。
なお、オペレータ反力は機械式制動部のみを備えた従来のフォークリフトにおけるオペレータ反力と同等となっている。
【0053】
上記の構成によれば、ブレーキペダル9の踏み込み量が間隔31より小さいときには、ストロークセンサ11の検出信号に基づいて、電動モータ35による回生制動が行われる一方、ガタ部17からドラムブレーキ45に踏み込み量が伝達されず、ドラムブレーキ45による制動は行われない。
つまり、フォークリフト1の初期制動時において、フォークリフト1の運動エネルギが摩擦制動により消耗されることなく、電動モータ35により電気エネルギに変換される。そのため、本実施形態のフォークリフト1では、電気エネルギの回収量の向上が図られ、高い回生能力を得ることができる。
【0054】
具体的には、ガタ部17の伝達ピストン部27と伝達シリンダ部25とが相対移動することにより、ブレーキペダル9の踏み込み量はガタ部17の間隔31に吸収される。そのため、伝達ピストン部27から伝達シリンダ部25への踏み込み量の伝達を遮断することができる。
【0055】
一方、踏み込み量が間隔31以上のときには、ストロークセンサ11の出力に基づいて、電動モータ35による回生制動が行われるとともに、ガタ部17からドラムブレーキ45に踏み込み量が伝達され、ドラムブレーキ45による摩擦制動も行われるため、機械式制動部のみを備えた従来のフォークリフトと同じ程度の信頼性を確保することができる。
例えばフォークリフト1の制動に対して回生制動のみの制動力では不足する場合に、ブレーキペダル9の踏み込み量を増やすことで回生制動と摩擦制動とを同時に行うことができ、フォークリフト1を制動するために十分な制動力が確保される。
また、回生された電気を蓄えるバッテリ41の過充電などの原因により回生制動が十分に行えない場合にも、ブレーキペダル9の踏み込み量を増やすことで摩擦制動を行うことができ、フォークリフト1を制動する制動力を確保することができる。
【0056】
具体的には、踏み込み量が大きくなり、伝達ピストン部27と伝達シリンダ部25との相対移動の距離が大きくなると、伝達シリンダ部25の底面29に伝達ピストン部27が接触する。すると、伝達ピストン部27と伝達シリンダ部25のそれ以上の相対移動が制限され、ガタ部17は踏み込み量を伝達ピストン部27から伝達シリンダ部25へ伝達することができる。
【0057】
ブレーキペダル9の踏み込み量が間隔31より少ない場合でも、オペレータはブレーキペダル9を操作するのに反力バネ13から反力(抵抗力)を受けるとともに、踏み込み量に比例して発生する反力の強さが変化するため、機械式制動部のみを備えた従来のフォークリフトと同じ程度の操作感を確保することができる。
【0058】
ガタ部17の伝達ピストン部27と伝達シリンダ部25とが相対移動することにより、ブレーキペダル9の踏み込み量はガタ部17の間隔31に吸収され、伝達ピストン部27から伝達シリンダ部25へ伝達されず、遮断される。この間はフォークリフト1の運動エネルギが摩擦制動により消耗されることなく、電動モータ35により電気エネルギに変換される。そのため、本実施形態のフォークリフト1では、電気エネルギの回収量の向上が図られ、高い回生能力を得ることができる。
【0059】
図6は、図1のストロークセンサの他の実施例を説明するものである。
なお、上述の実施形態のように、ストロークセンサ11としてブレーキペダル9の回動角を検出する角度センサを用いてもよいし、図6に示すように、ストローク部23の回動距離を検出するストロークセンサ11Aをセンサとして用いてもよく、特に限定するものではない。
【0060】
なお、上述の実施形態のように、ストロークセンサが検出したブレーキペダルの回動角から踏み込み量を算出して、算出された踏み込み量に基づいて回生制動部を制御してもよいし、ストロークセンサの代わりにロードセルなどの荷重センサを用いて、オペレータがブレーキペダルを踏む踏み込み力を検出し、検出された踏み込み力に基づいて回生制動部を制御してもよく、特に限定するものではない。
【0061】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図7および図8を参照して説明する。
本実施形態のフォークリフトの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、回生制動部の制御方法が異なっている。よって、本実施形態においては、図7および図8を用いて回生制動部の制御方法およびそれに関する構成要素のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図7は、本実施形態に係るフォークリフトにおける制動装置の構成を説明するものである。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0062】
フォークリフト(作業車両)101は、図7に示すように、オペレータがブレーキペダル9を踏むことで制動指示を入力する入力部3と、フォークリフト101の運動エネルギから電気エネルギを回収することにより制動を行う回生制動部105と、フォークリフト101の運動エネルギを熱エネルギに変換することにより制動を行う機械式制動部107と、を備えている。
【0063】
回生制動部105は、車輪33と電動モータ35との間で動力を伝達する動力伝達機構34と、車輪33の回転により発電する電動モータ35と、電動モータ35の制動トルクを制御するインバータ37および制御器(制御部)139と、発電された電気が蓄えられるバッテリ41と、を備えている。
【0064】
制御器139は、インバータ37を制御することにより、回生制動時に電動モータ35が発生する制動トルク(または回生トルク)を制御する一方、供給する交流電流を制御して電動モータ35が発生する駆動トルクを制御するものである。
制動トルクの制御方法については、以下の本実施形態のフォークリフト101の制動時の動作の説明において詳細に説明する。
【0065】
機械式制動部107は、伝達された踏み込み量に応じて油圧を発生するマスタシリンダ15と、マスタシリンダ15との間で油の流入流出がされるリザーバタンク43と、発生した油圧により車輪33の回転を制動するドラムブレーキ45と、を備えている。
マスタシリンダ15には、発生した油圧をブレーキシリンダ51に伝達するブレーキ配管147が設けられ、ブレーキ配管147には発生した油圧を計測する圧力センサ(圧力検出部)148が配置されている。圧力センサ148の出力が制御器139に入力されている。
【0066】
次に、上記の構成からなるフォークリフトにおける制動時の動作について、図7および図8を参照しながら説明する。
図8は、図7のフォークリフトにおける制動時の制御のうち、本実施形態に特有な部分を説明するフローチャートである。
なお、機械式制動部107における制動時の動作は、第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0067】
走行しているフォークリフト101の制動を行う場合には、図8に示すように、オペレータがブレーキペダル9の踏み部19を踏む(ステップS1)。
踏まれたブレーキペダル9は支持部21を中心に回動し、回動角はストロークセンサ11に検出される(ステップS11;図2参照)。
ストロークセンサ11の検出信号は回生制動部105の制御器139に入力され、制御器139は車輪33に作用させる制動力Tを算出する(ステップS112)。
【0068】
一方、圧力センサ148によりブレーキ配管147における油圧が測定され、圧力センサ148の出力が制御器139に入力される(ステップS113)。制御器139は、入力された油圧の測定値に基づいて、機械式制動部107による摩擦制動力Fを算出する(ステップS114)。
制御器139は、以下に示す式(1)に基づいて、回生制動部105による回生制動力Rを算出する(ステップS115)。
R=T−F ・・・(1)
【0069】
回生制動力Rが算出されると、算出された回生制動力Rを電動モータ35に発生させるため、制動トルク指令をインバータ37に出力する(ステップS116)。
以後の回生制動部105における制動時の動作は第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
踏み込み量
【0070】
上記の構成によれば、踏み込み量に応じて高められたブレーキ圧を検出することにより、ドラムブレーキ45による摩擦制動力が推定され、推定された摩擦制動力に基づいて電動モータ35による回生制動力が制御される。
このように制御されることで、回生制動力のみが作用している状態、および、回生制動力および摩擦制動力が作用している状態のいずれであっても、踏み込み量に応じた制動力を車輪33に作用させることができ、踏み込み量とフォークリフト101の減速度との関係を一定に保つことができ、過大または過小な制動力が車輪33に作用することを防止することができる。
【0071】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図9および図10を参照して説明する。
本実施形態のフォークリフトの基本構成は、第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態とは、機械式制動部の制御方法が異なっている。よって、本実施形態においては、図9および図10を用いて機械式制動部の制御方法およびそれに関する構成要素のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図9は、本実施形態に係るフォークリフトにおける制動装置の構成を説明するものである。
なお、第2の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0072】
フォークリフト(作業車両)201は、図9に示すように、オペレータがブレーキペダル9を踏むことで制動指示を入力する入力部203と、フォークリフト201の運動エネルギから電気エネルギを回収することにより制動を行う回生制動部205と、フォークリフト201の運動エネルギを熱エネルギに変換することにより制動を行う機械式制動部107と、を備えている。
【0073】
入力部203は、オペレータが踏むブレーキペダル9と、ブレーキペダル9の踏み込み量(操作量)を検出するストロークセンサ11と、踏み込み量に応じてブレーキペダル9に反力を発生させる反力バネ13と、踏み込み量をマスタシリンダ15に伝達するガタ部(伝達部)217と、を備えている。
【0074】
ガタ部217は、有底円筒状の伝達シリンダ部25と、伝達シリンダ部25の内部に伝達シリンダ部25と相対移動可能に配置された棒状の伝達ピストン部27と、伝達シリンダ部25と伝達ピストン部27との間の伝達空間231を密封するシール部233とを、備えている。シール部233により密封された伝達空間231には、リザーバタンク43に貯留されている油と同じ油が封入されている。
【0075】
伝達空間231とリザーバタンク43とは、制御配管235により油が流通可能に接続され、制御配管235には油の流れを制御する電磁弁である制御弁(伝達制御弁)237が配置されている。制御弁237には、制御器239から弁の開閉を制御する制御信号が入力されている。
伝達シリンダ部25の底面29は伝達ピストン部27との相対移動を制限する役割を果たす。伝達シリンダ部25と伝達ピストン部27との間の伝達空間231は伝達ピストン部27から伝達シリンダ部25への踏み込み量の伝達を制限する機械的不感帯として働くものである。
【0076】
回生制動部205は、車輪33と電動モータ35との間で動力を伝達する動力伝達機構34と、車輪33の回転により発電する電動モータ35と、電動モータ35の制動トルクを制御するインバータ37および制御器(制御部)239と、発電された電気が蓄えられるバッテリ41と、を備えている。
【0077】
制御器239は、インバータ37を制御することにより、回生制動時に電動モータ35が発生する制動トルク(または回生トルク)を制御する一方、供給する交流電流を制御して電動モータ35が発生する駆動トルクを制御するものである。
また、制御器239は制御弁237の開閉を制御するものである。制御弁237の開閉制御については、以下の本実施形態のフォークリフト201の制動時の動作の説明において詳細に説明する。
【0078】
次に、上記の構成からなるフォークリフトにおける制動時の動作について、図9および図10を参照しながら説明する。
図10は、図9のフォークリフトにおける制動時の制御のうち、本実施形態に特有な部分を説明するフローチャートである。
なお、回生制動部205における制動時の動作は、第2の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0079】
フォークリフト201を制動させる場合、オペレータはブレーキペダル9を踏む。踏まれたブレーキペダル9は支持部21を中心に回動し、回動角はストロークセンサ11に検出される(ステップS11;図2参照。)。
制御器239は、電動モータ35に設けられた温度センサ(図示せず)の出力や、電動モータ35からインバータ37に流れる電流や、バッテリ41の電圧などに基づいて、回生制動が行えるか否かを判断する(ステップS223)。
具体的には、電動モータ35の故障により回生制動が行えるか否か、バッテリ41の過充電により回生制動が行えるか否か等を判断する。
【0080】
回生制動が行える場合には、制御器239は制御弁237を開く制御信号(OFF信号)を出力し、制御弁237が開かれる(ステップS224)。すると、伝達空間231とリザーバタンク43との間で油が自由に流通し、伝達シリンダ部25と伝達ピストン部27とが相対移動可能となる。以後の機械式制動部107における制動動作は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0081】
一方、回生制動が行えない場合には、制御器239は制御弁237を閉じる制御信号(ON信号)を出力し、制御弁237を閉じる(ステップS225)。すると、伝達空間231とリザーバタンク43との間で油の流通が遮断され、伝達空間231内の油が封入状態となる。
この状態では、伝達シリンダ部25と伝達ピストン部27とは相対移動できず、踏み込み量はストローク部23からマスタシリンダ15に伝達される(ステップS23、ステップS24)。
以後の機械式制動部107における制動動作は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0082】
上記の構成によれば、制御器239により回生制動可能と判断された場合には、制御弁237は開かれ、油は制御配管235を介して伝達空間231から流入流出するため、伝達シリンダ部25と伝達ピストン部27とは相対移動が可能となる。すると、第1の実施形態と同様に、相対移動の距離が小さいときには、踏み込み量はマスタシリンダ15に伝達されない。一方、相対移動の距離が大きくなり、伝達ピストン部27が伝達シリンダ部25の底面29に接触すると、踏み込み量はマスタシリンダ15に伝達される。
【0083】
一方、制御器239により回生制動ができないと判断された場合には、制御弁237は閉じられ、油は伝達空間231内に封じ込められ伝達シリンダ部25と伝達ピストン部27とは相対移動できなくなる。そのため、踏み込み量はマスタシリンダ15に直接伝達され、機械式制動部107による機械制動を優先的に作用させることができ、機械式制動部のみを備えた従来のフォークリフトと同じ程度の操作性を確保することができる。
【0084】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について図11および図12を参照して説明する。
本実施形態のフォークリフトの基本構成は、第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態とは、機械式制動部の制御方法が異なっている。よって、本実施形態においては、図11および図12を用いて機械式制動部の制御方法およびそれに関する構成要素のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図11は、本実施形態に係るフォークリフトにおける制動装置の構成を説明するものである。
なお、第2の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0085】
フォークリフト(作業車両)301は、図11に示すように、オペレータがブレーキペダル9を踏むことで制動指示を入力する入力部303と、フォークリフト301の運動エネルギから電気エネルギを回収することにより制動を行う回生制動部305と、フォークリフト301の運動エネルギを熱エネルギに変換することにより制動を行う機械式制動部107と、を備えている。
【0086】
入力部303は、オペレータが踏むブレーキペダル9と、ブレーキペダル9の踏み込み量(操作量)を検出するストロークセンサ11と、踏み込み量に応じてブレーキペダル9に反力を発生させる反力バネ13と、反力バネ13による反力の発生を調整する反力調節部314と、踏み込み量をマスタシリンダ15に伝達するガタ部17と、を備えている。
【0087】
反力調節部314は、壁部Wに固定された油圧シリンダ(反力シリンダ部)315と、反力バネ13の他方の端部に固定された油圧ピストン(反力ピストン部)316と、油圧シリンダ315とリザーバタンク43との間を繋ぐ油配管317と、油配管317内の油の流通を制御する電磁弁である制御弁(反力制御弁)318とを備えている。
【0088】
油圧ピストン316はストローク部23の回動方向に移動可能に配置され、油圧シリンダ315と油圧ピストン316との間の空間(反力空間)319には油が満たされている。油は油圧ピストン316の移動により、油配管317を通って油圧シリンダ315とリザーバタンク43との間を流通する。
制御弁318には制御器339から弁の開閉を制御する開閉信号が入力されることにより、油配管317内の油の流通を制御する。制御弁318が閉じられると、油配管317内の油の流通が止められ、油圧ピストン316の移動が規制される一方、制御弁318が開かれると、油配管317内の油の流通が自由となり、油圧ピストン316は自由に移動できる。
【0089】
回生制動部305は、車輪33と電動モータ35との間で動力を伝達する動力伝達機構34と、車輪33の回転により発電する電動モータ35と、電動モータ35の制動トルクを制御するインバータ37および制御器(制御部)339と、発電された電気が蓄えられるバッテリ41と、を備えている。
【0090】
制御器339は、インバータ37を制御することにより、回生制動時に電動モータ35が発生する制動トルク(または回生トルク)を制御する一方、供給する交流電流を制御して電動モータ35が発生する駆動トルクを制御するものである。
また、制御器339は制御弁318の開閉を制御するものである。制御弁318の開閉制御については、以下の本実施形態のフォークリフト301の制動時の動作の説明において詳細に説明する。
【0091】
次に、上記の構成からなるフォークリフトにおける制動時の動作について、図11および図12を参照しながら説明する。
図12は、図10のフォークリフトにおける制動時の制御のうち、本実施形態に特有な部分を説明するフローチャートである。
なお、回生制動部305における制動時の動作は、第2の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0092】
踏まれたブレーキペダル9は支持部21を中心に回動し、回動角はストロークセンサ11に検出される(ステップS11;図2参照。)。
制御器239は、電動モータ35に設けられた温度センサ(図示せず)の出力や、電動モータ35からインバータ37に流れる電流や、バッテリ41の電圧などに基づいて、回生制動が行えるか否かを判断する(ステップS223)。
【0093】
回生制動が行える場合には、制御器339は制御弁318を閉じる制御信号(ON信号)を出力し、制御弁318が開かれる(ステップS324)。すると、空間319とリザーバタンク43との間の油の流通が遮断され、空間319内の油が封入状態となる。
この状態では、油圧シリンダ31525の移動が規制され、踏み込み量に応じて反力バネ13が伸ばされ反力を発生させる。
以後の機械式制動部107における制動動作は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0094】
一方、回生制動が行えない場合には、制御器339は制御弁318を開く制御信号(OFF信号)を出力し、制御弁318を開く(ステップS325)。すると、空間319とリザーバタンク43との間で油が自由に流通し、油圧ピストン316が移動可能となる。
この状態で、オペレータがブレーキペダル9を踏むと、油圧ピストン316は反力バネ13およびストローク部23と共に移動して反力バネ13による反力が発生しないため、伝達ピストン部27が伝達シリンダ部25に容易に接触する。そのため、ブレーキペダル9を踏むことにより、機械式制動部107による制動が直ちに開始される。
以後の機械式制動部107における制動動作は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0095】
上記の構成によれば、制御器339により回生制動ができないと判断された場合には、制御弁318が開かれ、油は油配管317を介して空間319から流入流出するため、油圧ピストン316は移動可能となり、反力バネ13は自由に移動する。すると、回生制動のみが働く踏み込み量の範囲における反力が無くなる。
一方、制御器239により回生制動可能と判断された場合には、制御弁318が閉じられ、油は空間319内に封じ込められ油圧ピストン316移動できなくなる。すると、回生制動のみが働く踏み込み量の範囲においても反力が発生する。
【0096】
そのため、制御弁318が開かれているときに、制御弁318が閉じているときと同じ力でブレーキペダル9を踏むと、踏み込み量が回生制動のみが働く踏み込み量の範囲を容易に超えて直ちに機械式制動部107による制動が行われる。言い換えると、電動モータ故障時、バッテリ満充電による回生制動が不可能の場合には、機械式制動部107を優先的に作用させることができ、機械式制動部のみを備えた従来のフォークリフトと同じ程度の操作性を確保することができる。
【0097】
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態について図13および図14を参照して説明する。
本実施形態のフォークリフトの基本構成は、第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態とは、機械式制動部の制御方法が異なっている。よって、本実施形態においては、図13および図14を用いて機械式制動部の制御方法およびそれに関する構成要素のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図13は、本実施形態に係るフォークリフトにおける制動装置の構成を説明するものである。
なお、第2の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0098】
フォークリフト(作業車両)401は、図13に示すように、オペレータがブレーキペダル9を踏むことで制動指示を入力する入力部403と、フォークリフト401の運動エネルギから電気エネルギを回収することにより制動を行う回生制動部405と、フォークリフト401の運動エネルギを熱エネルギに変換することにより制動を行う機械式制動部107と、を備えている。
【0099】
入力部403は、オペレータが踏むブレーキペダル9と、ブレーキペダル9の踏み込み量(操作量)を検出するストロークセンサ11と、踏み込み量に応じてブレーキペダル9に反力を発生させる反力バネ13と、踏み込み量をマスタシリンダ15に伝達するガタ部(伝達部)417と、を備えている。
【0100】
ガタ部417は、有底円筒状の伝達シリンダ部25と、伝達シリンダ部25の内部に伝達シリンダ部25と相対移動可能に配置された棒状の伝達ピストン部27と、底面29に設けられた電動アクチュエータ(伝達調節部)431とを備えている。
電動アクチュエータ431は、制御器439から電動アクチュエータ431を制御する制御信号が入力され、制御信号に基づいて伸縮するものである。伸縮することにより電動アクチュエータ431は、伝達シリンダ部25と伝達ピストン部27との相対移動可能な距離を調節する役割を果たす。
【0101】
回生制動部205は、車輪33と電動モータ35との間で動力を伝達する動力伝達機構34と、車輪33の回転により発電する電動モータ35と、電動モータ35の制動トルクを制御するインバータ37および制御器(制御部)439と、発電された電気が蓄えられるバッテリ41と、を備えている。
【0102】
制御器439は、インバータ37を制御することにより、回生制動時に電動モータ35が発生する制動トルク(または回生トルク)を制御する一方、供給する交流電流を制御して電動モータ35が発生する駆動トルクを制御するものである。
また、制御器439は電動アクチュエータ431の伸縮を制御するものである。電動アクチュエータ431の伸縮制御については、以下の本実施形態のフォークリフト401の制動時の動作の説明において詳細に説明する。
【0103】
次に、上記の構成からなるフォークリフトにおける制動時の動作について、図13および図14を参照しながら説明する。
図14は、図13のフォークリフトにおける制動時の制御のうち、本実施形態に特有な部分を説明するフローチャートである。
なお、回生制動部205における制動時の動作は、第2の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0104】
フォークリフト201を制動させる場合、オペレータはブレーキペダル9を踏む。踏まれたブレーキペダル9は支持部21を中心に回動し、回動角はストロークセンサ11に検出される(ステップS11;図2参照。)。
制御器239は、電動モータ35に設けられた温度センサ(図示せず)の出力や、電動モータ35からインバータ37に流れる電流や、バッテリ41の電圧などに基づいて、回生制動が行えるか否かを判断する(ステップS223)。
具体的には、電動モータ35の故障により回生制動が行えるか否か、バッテリ41の過充電により回生制動が行えるか否か等を判断する。
【0105】
回生制動が行える場合には、制御器439は電動アクチュエータ431を縮める制御信号を出力し、電動アクチュエータ431が縮む(ステップS424)。すると、伝達シリンダ部25と伝達ピストン部27とが相対移動可能な距離が確保される。以後の機械式制動部107における制動動作は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0106】
なお、電動アクチュエータ431の縮め量は、制御器439においてフォークリフト401の車速や電動モータ35の特性などに基づいて算出される。具体的には、車速が早いときには縮め量を減らし、遅いときには縮め量を増やす。また、電動モータの発生する制動トルクが大きいときには縮め量を増やし、小さいときには縮め量を減らす。
【0107】
一方、回生制動が行えない場合には、制御器439は電動アクチュエータ431を伸ばす制御信号を出力し、電動アクチュエータ431が伸ばされる(ステップS425)。電動アクチュエータ431の伸ばし量は、制御器439においてフォークリフト401の車速などに基づいて算出される。具体的には、車速が早いときには伸ばし量を増やし、遅いときには伸ばし量を減らす。
【0108】
電動アクチュエータ431が伸びると、伝達シリンダ部25と伝達ピストン部27とが相対移動可能な距離が短くなる。この状態では、伝達シリンダ部25は小さな踏み込み量で電動アクチュエータ431と接触し、踏み込み量はストローク部23からマスタシリンダ15に伝達される。
【0109】
上記の構成によれば、電動アクチュエータ431により、伝達シリンダ部25と伝達ピストン部27との相対移動可能な距離を調節することにより、機械式制動部107による摩擦制動が作用する最低限の踏み込み量を調節することができる。そのため、フォークリフト401の車速に応じて回生制動のみが働く踏み込み量の範囲を調節することができ、同じ踏み込み量で常に同じ制動力や減速度を得ることができる。
【0110】
また、電動モータ35の故障時や、バッテリ41の満充電時における回生制動が行えない場合であっても、機械式制動部107を優先的に作用させることができ、機械式制動部のみを備えた従来のフォークリフトと同じ程度の操作性を確保することができる。
【0111】
〔第6の実施形態〕
次に、本発明の第6の実施形態について図15および図16を参照して説明する。
本実施形態のフォークリフトの基本構成は、第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態とは、機械式制動部の制御方法が異なっている。よって、実施形態においては、図15および図16を用いて機械式制動部の制御方法およびそれに関する構成要素のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図15は、本実施形態に係るフォークリフトにおける制動装置の構成を説明するものである。
なお、第2の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0112】
フォークリフト(作業車両)601は、図15に示すように、オペレータがブレーキペダル9を踏むことで制動指示を入力する入力部603と、フォークリフト601の運動エネルギから電気エネルギを回収することにより制動を行う回生制動部605と、フォークリフト601の運動エネルギを熱エネルギに変換することにより制動を行う機械式制動部107と、を備えている。
【0113】
入力部403は、オペレータが踏むブレーキペダル9と、ブレーキペダル9の踏み込み量(操作量)を検出するストロークセンサ11と、踏み込み量に応じてブレーキペダル9に反力を発生させる反力バネ13と、反力バネ13による反力の発生を調整する電動アクチュエータ(伝達調節部)631と、踏み込み量をマスタシリンダ15に伝達するガタ部17と、を備えている。
【0114】
電動アクチュエータ631は壁部Wと反力バネ13との間に配置されている。また、電動アクチュエータ631は、制御器639から電動アクチュエータ631を制御する制御信号が入力され、制御信号に基づいて伸縮するものである。
【0115】
回生制動部605は、車輪33と電動モータ35との間で動力を伝達する動力伝達機構34と、車輪33の回転により発電する電動モータ35と、電動モータ35の制動トルクを制御するインバータ37および制御器(制御部)639と、発電された電気が蓄えられるバッテリ41と、を備えている。
【0116】
制御器639は、インバータ37を制御することにより、回生制動時に電動モータ35が発生する制動トルク(または回生トルク)を制御する一方、供給する交流電流を制御して電動モータ35が発生する駆動トルクを制御するものである。
また、制御器639は電動アクチュエータ631の伸縮を制御するものである。電動アクチュエータ631の伸縮制御については、以下の本実施形態のフォークリフト601の制動時の動作の説明において詳細に説明する。
【0117】
次に、上記の構成からなるフォークリフトにおける制動時の動作について、図15および図16を参照しながら説明する。
図16は、図15のフォークリフトにおける制動時の制御のうち、本実施形態に特有な部分を説明するフローチャートである。
なお、回生制動部205における制動時の動作は、第2の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0118】
フォークリフト601を制動させる場合、オペレータはブレーキペダル9を踏む。踏まれたブレーキペダル9は支持部21を中心に回動し、回動角はストロークセンサ11に検出される(ステップS11;図2参照。)。
制御器639は、電動モータ35に設けられた温度センサ(図示せず)の出力や、電動モータ35からインバータ37に流れる電流や、バッテリ41の電圧などに基づいて、回生制動が行えるか否かを判断する(ステップS223)。
具体的には、電動モータ35の故障により回生制動が行えるか否か、バッテリ41の過充電により回生制動が行えるか否か等を判断する。
【0119】
回生制動が行える場合には、制御器639は電動アクチュエータ631を縮める制御信号を出力し、電動アクチュエータ631が縮む(ステップS624)。
電動アクチュエータ631が縮むと、反力バネ13により反力が発生しない踏み込み量の範囲が狭くなる。ブレーキペダル9が踏まれると、反力バネ13により反力が発生するため、ブレーキペダル9の踏み込み量は、回生制動が行われる踏み込み量の範囲に留まりやすく、回生制動部605による回生制動が行われる。
以後の機械式制動部107における制動動作は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0120】
なお、電動アクチュエータ631の縮め量は、制御器639においてフォークリフト601の車速や電動モータ35の特性などに基づいて算出される。具体的には、車速が早いときには縮め量を減らし、遅いときには縮め量を増やす。また、電動モータの発生する制動トルクが大きいときには縮め量を増やし、小さいときには縮め量を減らす。
【0121】
一方、回生制動が行えない場合には、制御器639は電動アクチュエータ631を伸ばす制御信号を出力し、電動アクチュエータ631が伸ばされる(ステップS625)。電動アクチュエータ631の伸ばし量は、制御器639においてフォークリフト601の車速などに基づいて算出される。具体的には、車速が早いときには伸ばし量を増やし、遅いときには伸ばし量を減らす。
【0122】
電動アクチュエータ631が伸びると、反力バネ13により反力が発生しない踏み込み量の範囲が広くなる。
この状態では、ブレーキペダル9が踏まれると、反力が発生しないため、ブレーキペダル9の踏み込み量は回生制動が行われる踏み込み量範囲を容易に超える。そのため、伝達シリンダ部25は比較的早く伝達ピストン部27と接触し、踏み込み量はストローク部23からマスタシリンダ15に伝達される。
【0123】
上記の構成によれば、電動アクチュエータ631により、反力バネ13の配置位置をストローク部の移動方向に変更して、反力バネ13の変形量を調節することで、反力が発生する最低限の踏み込み量や発生する反力の強さを調節することができる。そのため、フォークリフト601の車速に応じて回生制動のみが働く踏み込み量の範囲や、オペレータ反力の強さを調節することができ、常に同じ制動力や減速度を得ることができる。
【0124】
また、電動モータ35の故障時や、バッテリ41の満充電時における回生制動が行えない場合であっても、機械式制動部107を優先的に作用させることができ、機械式制動部のみを備えた従来のフォークリフトと同じ程度の操作性を確保することができる。
【0125】
さらに、オペレータが電動アクチュエータ631の伸縮を調節することにより、オペレータ反力や、機械式制動部107が作用し始める踏み込み量を調節することもできる。
このような調節を行う場合には、オペレータによる調節をリセットする手段が設けられていることが好ましい。例えば、フォークリフト601の電源が切られると自動的に電動アクチュエータ631の伸縮が初期値に戻される方法が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るフォークリフトにおける制動装置の構成を説明する模式図である。
【図2】図1のフォークリフトにおける制動時の制御を説明するフローチャートである。
【図3】制御器で決定される制動トルクと、車速および踏み込み量との関係を説明するグラフである。
【図4】ブレーキペダルの踏み込み量と制動力との関係を示すグラフである。
【図5】ブレーキペダルの踏み込み量とオペレータに伝わる反力との関係を示すグラフである。
【図6】図1のストロークセンサの他の実施例を説明する模式図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るフォークリフトにおける制動装置の構成を説明するものである。
【図8】図7のフォークリフトにおける制動時の制御のうち、本実施形態に特有な部分を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るフォークリフトにおける制動装置の構成を説明するものである。
【図10】図9のフォークリフトにおける制動時の制御のうち、本実施形態に特有な部分を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施形態に係るフォークリフトにおける制動装置の構成を説明するものである。
【図12】図10のフォークリフトにおける制動時の制御のうち、本実施形態に特有な部分を説明するフローチャートである。
【図13】本発明の第5の実施形態に係るフォークリフトにおける制動装置の構成を説明するものである。
【図14】図13のフォークリフトにおける制動時の制御のうち、本実施形態に特有な部分を説明するフローチャートである。
【図15】本発明の第6の実施形態に係るフォークリフトにおける制動装置の構成を説明するものである。
【図16】図15のフォークリフトにおける制動時の制御のうち、本実施形態に特有な部分を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0127】
1,101,201,301,401,601 フォークリフト(作業車両)
9 ブレーキペダル(ブレーキ操作部)
11 ストロークセンサ(操作量検出部)
13 反力バネ(反力発生部、弾性部材)
17,217,417 ガタ部(伝達部)
25 伝達シリンダ部(出力部)
27 伝達ピストン部(入力部)
29 底面(制限部)
31 間隔(所定値)
35 電動モータ(回生部)
37 インバータ(制御部)
39,139,239,339,439,539,639 制御器(制御部)
45 ドラムブレーキ(制動部、摩擦発生部)
148 圧力センサ(圧力検出部)
231 伝達空間
237 制御弁(伝達制御弁)
314 反力調節部
315 油圧シリンダ(反力シリンダ部)
316 油圧ピストン(反力ピストン部)
318 制御弁(反力制御弁)
319 空間(反力空間)
431 電動アクチュエータ(伝達調節部)
631 電動アクチュエータ(伝達調節部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が操作するブレーキ操作部と、
該ブレーキ操作部の操作量を検知する操作量検出部と、
車輪の回転を電気エネルギに変換することにより、前記車輪の回転を制動する回生部と、
前記操作量検出部の出力に基づいて前記回生部を制御する制御部と、
前記操作量が所定値より小さいときには前記操作量の伝達を遮断し、前記操作量が前記所定値以上のときには、前記操作量から前記所定値を除去した操作量を伝達する伝達部と、
該伝達部から伝達された前記操作量に基づいて、前記車輪の回転を摩擦力により制動する制動部と、が設けられていることを特徴とする作業車両用制動装置。
【請求項2】
前記ブレーキ操作部の操作に対して反力を発生させる反力発生部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の作業車両用制動装置。
【請求項3】
前記反力発生部が、前記操作量に基づいて変形することにより前記反力を発生する弾性部材であり、
前記反力発生部の配置位置を変更することで、前記反力の強さを調節する反力調節部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の作業車両用制動装置。
【請求項4】
前記反力発生部が、前記操作量に基づいて変形することにより前記反力を発生する弾性部材であり、
該弾性部材の一方の端部に、有底円筒状の反力シリンダ部および該反力シリンダ部の内部に相対移動可能に配置された棒状の反力ピストン部の一方が配置され、
前記反力シリンダ部と前記反力ピストン部との間の反力空間に液体が満たされ、
前記反力シリンダの外部と前記反力空間とを繋ぐ流路に、前記液体の流れを制御する反力制御弁が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の作業車両用制動装置。
【請求項5】
前記制動部には、前記伝達部から伝達された前記操作量に基づいて流体の圧力を高める圧力発生部と、前記流体の圧力に基づいて前記車輪との間で摩擦力を発生させる摩擦発生部と、が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の作業車両用制動装置。
【請求項6】
前記伝達部は、前記ブレーキ操作部に接続された入力部と、前記圧力発生部に接続されるとともに前記入力部に対して相対移動可能に配置された出力部と、を有し
入力部および出力部の少なくとも一方には、前記相対移動可能な距離を制限する制限部が設けられていることを特徴とする請求項5記載の作業車両用制動装置。
【請求項7】
前記入力部と前記出力部との相対移動可能な距離を調節する伝達調節部が設けられていることを特徴とする請求項6記載の作業車両用制動装置。
【請求項8】
前記入力部および前記出力部の一方が有底円筒状の伝達シリンダ部であって、他方が前記伝達シリンダ部の内部に相対移動可能に配置された棒状の伝達ピストン部であり、
前記伝達シリンダ部と前記伝達ピストン部との間の伝達空間に液体が満たされ、
前記伝達シリンダの外部と前記伝達空間とを繋ぐ流路に、前記液体の流れを制御する伝達制御弁が設けられたことを特徴とする請求項6または7に記載の作業車両用制動装置。
【請求項9】
前記圧力発生部の流体圧力を検出する圧力検出部が設けられ、
前記制御部は、少なくとも前記操作量検出部の出力と前記圧力検出部の出力とに基づいて、前記回生部が発生する制動力を制御することを特徴とする請求項5から8のいずれかに記載の作業車両用制動装置。
【請求項10】
走行の動力源に用いられる電動機と、
請求項1から請求項9のいずれかに記載の作業車両用制動装置と、
が設けられ、
前記電動機が、前記制動装置の回生部として用いられることを特徴とする作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−120157(P2008−120157A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303779(P2006−303779)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】