説明

保持テーブル、被保持物品の処理装置、及び半導体ウェーハの処理装置

【課題】サイズや形状にかかわらず被保持物品を保持することができ、作業用の電力等を抑制し、コスト削減が可能なシンプルな構成の保持テーブル、被保持物品の処理装置、及び半導体ウェーハの処理装置を提供する。
【解決手段】バックグラインド装置1の処理台3に設けられる基台40と、基台40の表面に平面円形に凹み形成される窪み穴41と、窪み穴41を被覆して半導体ウェーハWを着脱自在に密着保持する変形可能な保持層43と、保持層43に被覆された窪み穴41内の空気を真空ポンプ45の駆動に基づき外部に排気する排気路44とを備える。半導体ウェーハWの大きさに対応できるよう保持層43の大きさを設定すれば、設定以下のサイズの半導体ウェーハW等をそのまま使用しても、空気がリークせず、小口径の半導体ウェーハWをも密着し続けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等の被保持物品を着脱自在に保持する保持テーブル、被保持物品の処理装置、及び半導体ウェーハの処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造工程では、半導体ウェーハを加工する間、位置ずれを起こさないよう半導体ウェーハを固定する必要がある。このため、半導体製造装置には、半導体ウェーハを固定するための保持テーブルが設置されている。
一方、半導体の製造工程におけるバックグラインド工程で750μmから50μm程度まで薄片化された半導体ウェーハは、回路形成による内部応力の蓄積により、大きく弓なりに反ることがある。
【0003】
そこで、半導体製造装置の保持テーブルには、半導体ウェーハの全面を保持してその反りを矯正できる機能が求められる。このような保持テーブルとしては、図7に示すポーラステーブル9が知られている。
従来のポーラステーブル9は、同図に示すように、半導体ウェーハW以上の大きさを有する円板形のベース板10を備え、このベース板10の表面には、平面円形の窪み穴11が形成され、この窪み穴11には、多孔質セラミック製の多孔質体12が嵌合して接着されており、この多孔質体12上に半導体ウェーハWが高精度に位置決め固定される。
【0004】
ベース板10の底部には、多孔質体12の気孔に連通する排気孔13が穿孔され、この排気孔13には真空ポンプ14が接続されており、この真空ポンプ14が駆動することにより、負圧状態が生じて多孔質体12の平坦な表面に半導体ウェーハWが真空吸着されることとなる(特許文献1、2参照)。
【0005】
ところで、従来のポーラステーブル9は、テーブルの全面が塞がれないと、塞がれていない部分から空気がリークし、テーブルのどの面に対しても負圧がかからないという問題を抱えている。このため、従来のポーラステーブル9は、窪み穴11を囲むベース板10の周壁10a上に半導体ウェーハWの周縁部を接触させ、多孔質体12を半導体ウェーハWのサイズに応じた大きさに構成せざるを得ない。
【0006】
この点に鑑み、特許文献3には、半導体ウェーハWの複数のサイズに対応可能なユニバーサルポーラステーブルが開示されているが、このユニバーサルポーラステーブルは、そのベース板の周壁内に、半導体ウェーハWのサイズに対応する薄い環状壁が同心円状に配置され、環状壁と環状壁との間の部屋には、多孔質セラミックからなる通気性部材が組み込まれており、各通気性部材には、エア吸引源が接続されて独立制御可能に構成されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2005‐177901号公報
【特許文献2】特開2005‐59173号公報
【特許文献3】特開2002‐324831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3におけるユニバーサルポーラステーブルは、例えばオリエンテーションフラット付きの半導体ウェーハWを位置決め固定する場合には、半導体ウェーハWと同形状の環状壁と仕切り壁とを配設しなければならず、多種類の規格に合わせようとすると、構成が複雑化するという問題がある。また、ポーラステーブル9に、規格外の形状を有する被保持物品を固定することは殆ど不可能である。
【0008】
また、ポーラステーブル9に限らず、真空ポンプ14により被保持物品を保持する従来の保持テーブルは、常に真空ポンプ14を駆動し続けなければ、被保持物品を保持する保持力を得ることができないので、被保持物品の加工の前後で真空ポンプ14駆動用の電力等を少なからず消費し、ランニングコストを削減することができないという問題もある。
【0009】
本発明は上記に鑑みなされたもので、サイズや形状にかかわらず、被保持物品を保持することのできるシンプルな構成の保持テーブルを提供することを目的としている。また、作業用の電力等を抑制し、コストを削減することのできる保持テーブル、被保持物品の処理装置、及び半導体ウェーハの処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明においては上記課題を解決するため、被保持物品を着脱自在に保持するテーブルであって、
基台に形成される凹部と、この凹部を被覆して被保持物品を着脱自在に密着保持する変形可能な保持層と、この保持層に被覆された凹部内の気体を外部に排気する排気路とを含んでなることを特徴としている。
【0011】
なお、排気路に接続され、凹部を負圧にして保持層を変形させる負圧源を含むことが好ましい。
また、凹部に、保持層を支持する複数の支持突起を設けることが好ましい。
【0012】
また、本発明においては上記課題を解決するため、上記の保持テーブルを被保持物品の処理装置に備えてなることを特徴としている。
さらに、本発明においては上記課題を解決するため、上記の保持テーブルを半導体ウェーハの処理装置に備えてなることを特徴としている。
【0013】
ここで、特許請求の範囲における被保持物品としては、例えばシリコン等からなる半導体ウェーハ(口径200mmや300mmの未研磨ウェーハ、あるいはこれをバックグラインドして300μm以下の厚さとしたウェーハ等)、1mm以下の薄さが要求されるガラス基板、100μm以下の薄さが要望される可撓性の高密度フレキシブル配線板、プリント配線板、液晶セル、光学フィルム、セラミックコンデンサやその材料、あるいは各種の電子部品等があげられる。
【0014】
基台や凹部は、平面視で円形、矩形、多角形等に形成することができる。また、凹部、保持層、排気路は、単数複数を特に問うものではない。保持層は、被保持物品の大きさに対応する大きさであれば、被保持物品に対して同等の形状で略同サイズでも良いし、被保持物品の底面よりも面積が広く、これをカバーする大きさでも良い。また、この保持層は、単数のエラストマーからなるものでも良いし、性質(材料、硬度、弾性等)の異なる積層した複数のエラストマー等とすることもできる。
【0015】
負圧源は、例えば各種の真空ポンプ等からなり、エジェクタ取り付けの有無を特に問うものではない。また、複数の支持突起は、凹部に規則的に配列されるものでも良いし、不規則に配列されるものでも良く、凹部と一体構造あるいは別体として設けることができる。各支持突起は、円錐台形、角柱形、角錐台形等に形成することができ、保持層に接着していても良いし、そうでなくても良い。
【0016】
さらに、本発明に係る保持テーブルは、独立した装置として使用することができるが、被保持物品の処理装置に組み込まれた装置として使用することもできる。被保持物品の処理装置として、被保持物品が薄片化された半導体ウェーハの場合には、バックグラインド装置、ストレスリリーフ装置、保護シートやダイアタッチフィルムの貼付装置、保護シートの剥離装置等があげられる。
【0017】
本発明によれば、保持テーブルに被保持物品をセットしたい場合には、保持テーブルの保持層に被保持物品を重ねて接触させれば、保持層が有する密着力により被保持物品を密着支持させることができる。
また、保持テーブルから被保持物品を取り外したい場合には、保持テーブルの排気路に接続した負圧源を駆動すれば良い。すると、凹部の気体が外部に排気され、保持層が凹部の底方向に変形し、保持層と被保持物品との間に隙間が生じてこれらの接触部分が減少する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、シンプルな構成の保持テーブルに様々な形状や大きさを有する被保持物品を固定することができ、さらには保持テーブルの交換の必要性を廃したり、保持テーブルの交換回数を減少させることができるという効果がある。また、被保持物品が半導体ウェーハの場合、半導体ウェーハと同形状の環状壁や仕切り壁を複数設ける必要がないので、保持テーブルの構成の簡素化を図ることができる。また、負圧効果を利用しなくても、保持テーブルに被保持物品を固定し続けることができるので、作業用の電力等を低減し、コストを効率的に削減することができる。
【0019】
また、凹部を負圧にして保持層を変形させる負圧源を利用すれば、凹部の気体を排気して保持層と被保持物品との非接触部分を増大させることができるので、保持層に密着した被保持物品を取り外すことが可能になる。
さらに、凹部に、保持層を支持する複数の支持突起を設ければ、保持層が必要以上に大きく凹んだり、保持層に密着した被保持物品の姿勢が崩れたり、位置ずれするのを防ぐことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を、被保持物品である半導体ウェーハWをバックグラインド工程で半導体ウェーハの処理装置を用いて薄片化する研削処理に適用した場合について説明する。
【0021】
半導体ウェーハの処理装置は、図1や図2に示すバックグラインド装置1からなり、架台2の作業面中央に回転可能に支持される処理台3と、この処理台3に半導体ウェーハW用の加工テーブルとして配設される複数の保持テーブル4と、架台2の作業面後方に設置されて保持テーブル4に位置決め保持された半導体ウェーハWの裏面に粗研削処理を施す粗研削装置5と、この粗研削装置5に隣接設置されて粗研削された半導体ウェーハWの裏面に仕上げ研削処理を施す仕上研削装置6と、架台2の作業面前方に設置される半導体ウェーハW用の洗浄装置7とを備えて構成される。
【0022】
処理台3は、複数の保持テーブル4よりも大きい平面円形に形成され、架台2の作業面前方に位置するハンドリング装置8と粗研削装置5及び仕上研削装置6との間に位置するとともに、後部が粗研削装置5と仕上研削装置6の回転砥石50・60の下方に位置し、回転(図1の矢印参照)して半導体ウェーハWを架台2の作業面前方と後方との間で搬送するよう機能する。
【0023】
複数(本実施形態では3個)の保持テーブル4は、粗研削用の半導体ウェーハWを保持する保持テーブル4と、仕上げ研削用の半導体ウェーハWを保持する保持テーブル4と、待機中の半導体ウェーハWを保持したり、基板収納カセットに半導体ウェーハWを搬入搬出する保持テーブル4とを備え、処理台3の周方向に所定の間隔で並設される。これら複数の保持テーブル4は、処理台3が回転することにより、それぞれの位置が変更され、半導体ウェーハWに順次処理が施される。
【0024】
各保持テーブル4は、処理台3の平坦な表面に設けられる基台40と、この基台40に形成される窪み穴41と、この窪み穴41を被覆して半導体ウェーハWを着脱自在に密着保持する変形可能な保持層43と、この保持層43に被覆された窪み穴41内の空気を外部に排気する排気路44とを備え、半導体ウェーハWと同形状の環状壁や仕切り壁を要しないシンプルな構造に構成される。
【0025】
基台40は、所定の材料を使用して半導体ウェーハWよりも大きい平坦な円板形に形成される。この基台40の材料としては、特に限定されるものではないが、例えばアルミニウム合金、マグネシウム合金、ステンレス等の金属材料、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル等の樹脂成形材料、ガラス等があげられる。
【0026】
窪み穴41は、基台40の表面における周縁部以外の大部分に浅く凹み形成され、半導体ウェーハWと同じ大きさか、あるいは小さい円形に形成される。この窪み穴41の底面には、保持層43を下方から接着支持する複数の支持突起42が隙間をおいて規則的に配列され、各支持突起42が窪み穴41の深さと略同じ長さ・高さの円柱形に形成される。複数の支持突起42は、例えばサンドブラスト法やエッチング法により基台40に窪み穴41を形成する際、部分的に凹ませないことにより形成することができる。また、基台40の成形時に窪み穴41と複数の支持突起42とを同時に成形することもできる。
【0027】
保持層43は、可撓性、密着性、弾性の材料を使用して半導体ウェーハWよりも大きい平面円形の柔軟な薄膜に成形され、基台40の表面における窪み穴41の周縁部に積層して接着されるとともに、各支持突起42の平坦な表面に接着されており、窪み穴41を被覆してその底面との間に空気流通用の空間を区画する。
【0028】
保持層43の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば耐熱性、耐候性、耐水性、剥離性、経時安定性等に優れるシリコーン系、ウレタン系、オレフィン系、フッ素系のエラストマーが使用される。この保持層43は、基本的には黒色、濃紺、茶色等の暗色が着色され、この暗色が光の反射により画像解析に支障を来たしたり、汚れが顕在化するのを有効に防止する。
【0029】
排気路44は、基台40の下部に穿孔されてその下流部が処理台3内の真空ポンプ45に通気用のチューブを介し接続されており、この真空ポンプ45の駆動に基づき、保持層43に被覆された窪み穴41内の空気を外部に排気するよう機能する。そして、この空気の排気により平坦な保持層43は、窪み穴41の底面方向に変形し、半導体ウェーハWから部分的に離隔して密着した半導体ウェーハWの剥離を容易化する。
【0030】
バックグラインド装置1により薄片化される半導体ウェーハWは、特に限定されるものではないが、例えば未だ研磨されていない口径300mmのシリコンウェーハからなり、周縁部に結晶方向の判別や整列を容易にするノッチnが平面略半円形に切り欠かれる。この半導体ウェーハWの回路が形成された表面には、図示しない保護シートが貼付される。
【0031】
このように半導体ウェーハWが口径300mmの場合、この大きさに対応することができるよう保持層43の大きさを設定すれば、口径200mmあるいはそれ以下のサイズの半導体ウェーハWをそのまま使用しても、従来のポーラステーブル9のように空気のリークする現象が起きず、小口径の半導体ウェーハWを密着し続けることができる。また、ノッチnの代わりにオリエンテーションフラットが形成された半導体ウェーハWであっても、さらには、割れたり、破損したりした不定形の半導体ウェーハWであっても、保持テーブル4を交換することなく使用することができる。
【0032】
本実施形態において、保持テーブル4に半導体ウェーハWを保持させる場合には、半導体ウェーハWの表面に貼付された保護シート面を、保持テーブル4の保持層43に気密状態になるよう載置すれば良い。
この際、半導体ウェーハWの回路を保護する保護機能を保持層43に期待できるのであれば、半導体ウェーハWに貼付した保護シートを省略することができる。また、半導体ウェーハWの精密な位置合わせは特に必要としない。
【0033】
このようにして保持テーブル4に載置された半導体ウェーハWは、保持層43の密着力により保持層43に確実に固定され、回転砥石50・60により順次研削しても、密着状態の解かれることがない。また、研削処理を行っている間においても、保持テーブル4との密着固定を維持するため、何らの動力もエネルギーも要しないので、大幅なコスト削減が達成できる。
【0034】
作業が終了して保持テーブル4から半導体ウェーハWを取り外したい場合には、保持テーブル4の排気路44に接続した真空ポンプ45を駆動すれば良い。すると、窪み穴41の空間の空気が外部に排気され、平坦な保持層43が複数の支持突起42に沿い凹凸に変形し、保持層43と半導体ウェーハWとの界面に空気流入用の隙間が多数形成されて半導体ウェーハWを簡単に取り外すことができる。
【0035】
この際、窪み穴41の底面に、保持層43を接着支持する複数の支持突起42が配列されているので、保持層43が広範囲に亘って過剰に大きく凹んだり、保持層43上の半導体ウェーハWの姿勢が崩れて傾斜したり、位置ずれして脱落するのを確実に防止することが可能になる。さらに、従来例のように窪み穴41に多孔質体12を接着剤により接着する構成ではないので、接着剤の膨潤や収縮に伴い、保持層43や半導体ウェーハWの高さが変化して適正な定位置を維持できなくなるのを確実に防止することが可能になる。
【0036】
半導体ウェーハWを研削処理し、例えば50μm程度の厚さまで薄片化すると、回路形成の処理工程で蓄積した内部応力が開放され、半導体ウェーハWに反りの発生することがある。
しかしながら、本発明によれば、半導体ウェーハWが保持テーブル4に密着している間は、反りを矯正することができるので、半導体ウェーハWを平坦に保つことができる。
【0037】
このような平坦の半導体ウェーハWを取り外す場合には、真空ポンプ45を駆動して半導体ウェーハWを保持テーブル4から取り外す直前に、半導体ウェーハWの反対面(研磨面)にその全面を支持するハンドリング装置8の吸着アームをセットするか、あるいは半導体ウェーハWの反対面全面を保持できる別体のウェーハ固定治具にセットし、半導体ウェーハWの反りを矯正し続けながら保持テーブル4から取り外せば良い。
【0038】
次に、図3、図4は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、保持テーブル4を、バックグラインド装置1に組み込んだ加工テーブルとするのではなく、携帯可能な独立タイプとするようにしている。
保持テーブル4は、剛性を有する円形の基台40を備え、この基台40に単一の窪み穴41が同心円状に形成され、この窪み穴41に平面円形の保持層43と排気路44とがそれぞれ配設されており、窪み穴41と保持層43との間には、複数の支持突起42が配列される。
【0039】
排気路44は、基台40の内部下方の周縁寄りに屈曲して形成され、その下流部が基台40の周面に開口されるとともに、この下流部に別体の真空ポンプ45が通気用のチューブを介し着脱自在に接続される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、保持テーブル4が携帯可能であるから、半導体製造の他、精密測定や検査等の分野に使用することができるのは明らかである。
【0040】
次に、図5は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、基台40、窪み穴41、及び保持層43をそれぞれ平面矩形に形成し、保持層43上に半導体ウェーハWを密着保持させるようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、保持テーブル4の形状の多様化を図ることができるので、用途に応じて最適な保持テーブル4を選択することができるのは明らかである。
【0041】
次に、図6は本発明の第4の実施形態を示すもので、この場合には、基台40の表面に、窪み穴41の周面上部に連通する排気路44を略溝形に切り欠くとともに、この排気路44を基台40の外周面まで伸ばし、この排気路44を拡大した保持層43に被覆させるようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0042】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、排気路44の構成の多様化を図ることができる他、排気路44を基台40の内部ではなく、加工の容易な表面側に設けるので、製造を容易化することができるのは明白である。
【0043】
なお、上記実施形態では処理台3上に加工テーブルとして保持テーブル4の基台40を別に設けたが、処理台3自体を基台40とし、この処理台3に複数の窪み穴41、支持突起42、保持層43、排気路44を配設しても良い。また、上記実施形態では基台40を平面体に形成したが、何らこれに限定されるものではなく、立体や多面体等に形成しても良い。具体的には、基台40を円柱形に形成してその外周面に窪み穴41や保持層43を複数配設しても良い。また、基台40を円錐形や円錐台形に形成し、この基台40の周面や傾斜面に窪み穴41や保持層43を複数配設しても良い。
【0044】
また、基台40を角錐台形に形成してその傾斜面に窪み穴41や保持層43を複数配設することもできる。また、窪み穴41の周面に保持層43の周縁部を接着支持させ、窪み穴41の底面と保持層43との間に空間を区画することもできる。また、複数の保持層43の一部と残部の大きさや形状を必要に応じ、異ならせることもできる。さらに、真空ポンプ45は、架台2や保持テーブル4の基台40に内蔵しても良いし、そうでなくても良い。さらにまた、負圧源として、真空ポンプ45とコンプレッサを組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る保持テーブル、被保持物品の処理装置、及び半導体ウェーハの処理装置の実施形態におけるバックグラインド装置を模式的に示す平面説明図である。
【図2】本発明に係る保持テーブル、被保持物品の処理装置、及び半導体ウェーハの処理装置の実施形態におけるバックグラインド装置を模式的に示す部分断面説明図である。
【図3】本発明に係る保持テーブルの第2の実施形態を模式的に示す斜視説明図である。
【図4】図3の断面図である。
【図5】本発明に係る保持テーブルの第3の実施形態を模式的に示す斜視説明図である。
【図6】本発明に係る保持テーブルの第4の実施形態を模式的に示す断面説明図である。
【図7】従来のポーラステーブルを示す断面説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 バックグラインド装置(被保持物品の処理装置、半導体ウェーハの処理装置)
2 架台
3 処理台
4 保持テーブル
5 粗研削装置
6 仕上研削装置
7 洗浄装置
8 ハンドリング装置
9 ポーラステーブル
40 基台
41 窪み穴(凹部)
42 支持突起
43 保持層
44 排気路
45 真空ポンプ(負圧源)
W 半導体ウェーハ(被保持物品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保持物品を着脱自在に保持する保持テーブルであって、基台に形成される凹部と、この凹部を被覆して被保持物品を着脱自在に密着保持する変形可能な保持層と、この保持層に被覆された凹部内の気体を外部に排気する排気路とを含んでなることを特徴とする保持テーブル。
【請求項2】
排気路に接続され、凹部を負圧にして保持層を変形させる負圧源を含んでなる請求項1記載の保持テーブル。
【請求項3】
凹部に、保持層を支持する複数の支持突起を設けた請求項1又は2記載の保持テーブル。
【請求項4】
請求項1、2、又は3記載の保持テーブルを備えてなることを特徴とする被保持物品の処理装置。
【請求項5】
請求項1、2、又は3記載の保持テーブルを備えてなることを特徴とする半導体ウェーハの処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−168025(P2007−168025A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369778(P2005−369778)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】