説明

個人認証装置

【課題】指の認証時に撮影された画像情報を利用することにより、撮影された顔画像の状態に応じて付加的操作機能を割り当て可能とし、高機能を実現するとともに操作を簡略化した個人認証装置を得る。
【解決手段】利用者に対して電気錠12の解錠制御のための認証を行うために、顔を認証する顔認証手段1〜4と、指を認証する指認証手段5〜8と、顔状態を検出する顔状態検出部20と、顔認証手段1〜4および指認証手段5〜8の認証結果と顔状態検出部20の検出結果とに基づいて、通常機能および付加的機能を判定する機能パターン判定部21と、機能パターン判定部21の判定結果に応じて電気錠12の解錠制御を行う電気錠制御部11とを備えている。顔状態検出部20は、指認証手段5〜8の認証処理実行中における顔状態を検出し、機能パターン判定部21は、指の認証時において、指と顔状態とを組み合わせて、通常機能と付加的機能とを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気錠を有する入退室管理システムに適用される個人認証装置に関し、特に、出退勤操作やパニックオープンまたはホールドアップなどの付加的機能を、認証時に同時かつ容易に操作するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の個人認証装置は、指紋認証手段および顔認証手段を組み合わせた技術を適用している(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1に記載された従来の個人認証装置は、たとえば電気錠の近傍を撮影するカメラと、顔検出部と、顔画像照合部と、顔データと、指紋センサと、指紋検出部と、指紋画像照合部と、指データと、通行許可判定部と、操作履歴記録部と、電気錠制御部とを備えている。
【0003】
上記個人認証装置において、カメラで撮影された画像は、顔検出部に送られて、顔画像の有無が検出される。顔画像が検出されると、顔画像照合部により、顔データ内の登録データと顔画像とが照合される。顔データの照合結果がOKであれば、続いて、指データの照合が行われる。
【0004】
すなわち、顔データの照合の場合と同様に、指紋センサで撮影された画像は、指紋検出部に送られて、指紋画像の有無が検出される。指紋画像が検出されると、指紋画像照合部により、指データ内の登録データと指紋画像とが照合される。
指データの照合結果もOKであれば、通行許可判定部により通行が許可され、電気錠制御部により、電気錠が解錠される。また、通行許可判定部の判定結果は、操作履歴記録部にログとして記録される。
【0005】
さらに、顔および指の認証後の付加的操作機能として、出退勤操作機能、パニックオープン機能、ホールドアップ機能などがあるが、これらの操作機能は、たとえばボタン操作などにより行われる。なお、出退勤操作機能とは、認証OKの後に、「出勤」、「退勤」、「外出」、「戻り」などのボタンを操作し、電気錠制御部に、各操作に対応したログを残す機能である。また、パニックオープン機能とは、火災報知器などと連動して扉を解錠状態にする機能であり、ホールドアップ機能とは、犯罪者などに脅迫されて入退室することを通知する機能である。
【0006】
【特許文献1】特開2006−192011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の個人認証装置では、顔および指を個別に認証していたので、認証OK後の付加的操作に関しては、たとえばボタンなどを用いて別途に操作する必要があり、操作に手間が掛かるという課題があった。
【0008】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、指の認証時に、顔認証用のカメラで操作中の様子を撮影し、撮影された画像情報を利用することにより、撮影された顔画像の状態に応じて付加的操作機能を割り当て可能とし、高機能を実現するとともに操作を簡略化した個人認証装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による個人認証装置は、利用者に対して電気錠の解錠制御のための認証を行う個人認証装置であって、利用者の顔を認証する顔認証手段と、利用者の指を認証する指認証手段と、利用者の顔状態を検出する顔状態検出手段と、顔認証手段および指認証手段の認証結果と顔状態検出手段の検出結果とに基づいて、通常機能および付加的機能を判定する機能パターン判定手段と、機能パターン判定手段の判定結果に応じて電気錠の解錠制御を行う電気錠制御部とを備え、顔状態検出手段は、指認証手段の認証処理実行中における利用者の顔状態を検出し、機能パターン判定手段は、指の認証時において、指と顔状態とを組み合わせて、通常機能と付加的機能とを判定するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、指の認証時に撮影された画像情報を利用することにより、撮影された顔画像の状態に応じて付加的操作機能を割り当て可能とし、高機能を実現するとともに操作を簡略化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る個人認証装置を示すブロック図である。
図1において、個人認証装置は、電気錠12の近傍を撮影するカメラ1と、カメラ1の撮影画像から顔画像を検出する顔検出部2と、検出された顔画像を登録データと照合する顔画像照合部3と、登録データが格納された顔データ4と、電気錠12の近傍に設置された指紋センサ5と、指紋センサ5の撮影画像から指紋画像を検出する指紋検出部6と、検出された指紋画像を登録データと照合する指紋画像照合部7と、登録データが格納された指データ8と、通行許可判定部9と、通行許可判定部9による操作履歴を記録する操作履歴記録部10と、通行許可判定部9の結果に応じて電気錠を制御する電気錠制御部11とを備えている。
【0012】
上記カメラ1〜電気錠制御部11は、従来装置に対応した構成である。
カメラ1、顔検出部2、顔画像照合部3および顔データ4は、利用者の顔を認証するための顔認証手段を構成している。
また、指紋センサ5、指紋検出部6、指紋画像照合部7および指データ8は、利用者の顔を認証するための顔認証手段を構成している。
【0013】
また、この発明の実施の形態1に係る個人認証装置は、顔検出部2により検出された顔画像に基づき顔の向きを検出する顔向き検出部20と、各照合部3、7の照合結果および顔向き検出部20の検出結果に基づき付加的な機能パターンを判定する機能パターン判定部21と、機能パターン判定部21に属する機能パターンテーブル22とを備えている。
【0014】
機能パターンテーブル22は、顔の向き(上下左右)と指の情報とを組み合わせたデータを、出退勤操作、パニックオープン、ホールドアップなどの付加的機能に、それぞれ割り当てて、登録パターンとしてあらかじめ格納している。したがって、顔の向きと指の情報とが確定すれば、付加的機能も一義的に確定することになる。
機能パターン判定部21の判定結果は、通行許可判定部9に入力される。
【0015】
次に、図2のフローチャートを参照しながら、図1に示したこの発明の実施の形態1による照合動作および機能パターン判定動作について説明する。なお、図2内の各ステップS1、S2、S4、S6、S8は、従来装置と同様の処理である。
図2において、まず、カメラ1および顔検出部2に関連した顔画像照合部3は、顔データ4を用いて顔の照合を行い(ステップS1)、顔の照合がOKか否かを判定する(ステップS2)。
【0016】
ステップS2において、顔の照合がNGである(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS8(後述する)に進む。
一方、ステップS2において、顔の照合がOKである(すなわち、YES)と判定されれば、続いて、指紋センサ5および指紋検出部6に関連した指紋画像照合部7は、指データ8を用いて指紋(指)の照合を行い(ステップS3)、指の照合がOKか否かを判定する(ステップS4)。
【0017】
このとき、指紋画像照合部7は、指置き部に置かれている利用者の手が右手か左手かを判定し、たとえば、右手の人差し指であると判定された場合には、指認証に利用する指データ8内の登録指データを右手の人差し指のみに限定して照合処理を行い、照合条件を絞り込む。
【0018】
なお、ステップS3の指照合処理と平行して(同時に)、カメラ1は顔画像を撮影しており、顔向き検出部20は、顔画像に基づいて顔の向き(上下左右)を検出する。
ステップS4において、指の照合がNGである(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS8(後述する)に進む。
【0019】
一方、ステップS4において、指の照合がOKである(すなわち、YES)と判定されれば、続いて、機能パターン判定部21は、指紋画像照合部7で照合された指と、顔向き検出部20で検出された顔の向きとの組み合わせが、登録パターンに存在する(機能パターンテーブル22内に機能パターンとして登録されている)か否かを判定する(ステップS5)。
【0020】
ステップS5において、検出された指と顔の向きとの組み合わせが、登録パターンとして存在しない(すなわち、NO)と判定されれば、利用者が付加的操作機能を特に意図しない状態と見なされるので、機能パターン判定部21は、通行許可判定部9および電気錠制御部11を介して、通常の電気錠12の解錠制御を指示する(ステップS6)。
【0021】
一方、ステップS5において、検出された指と顔の向きとの組み合わせが、登録パターンとして存在する(すなわち、YES)と判定されれば、機能パターン判定部21は、判定された機能パターンに応じて、出退勤操作、パニックオープン、またはホールドアップの各付加的機能を実行するための制御を電気錠制御部11に指示する(ステップS7)。
最後に、ステップS6、S7に続いて、操作履歴記録部10は、通行操作履歴を記録して(ステップS8)、図2の処理ルーチンを終了する。
【0022】
このように、指の認証時に、同時に顔認証用のカメラ1で認証操作中の様子を撮影し、撮影された画像情報を利用して利用者の顔の向き(顔状態)を検出することにより、機能パターン判定部21は、指認証時の顔状態に応じて、認証OK時の制御または操作方法を識別する。
【0023】
具体例として、たとえば、機能パターン判定部21は、出退勤操作に関して、指認証時に顔が右向きであれば「出勤」の操作、顔が左向きであれば「退勤」の操作と判定する。
また、指認証時に顔が上向きであれば「パニックオープン」の操作、顔が下向きであれば「ホールドアップ」の操作と判定し、各機能に応じた制御モードに切り替えて、電気錠制御部11に対する指令を送信する。
【0024】
以上のように、この実施の形態1に係る個人認証装置は、利用者に対して電気錠12の解錠制御のための認証を行う個人認証装置であって、利用者の顔を認証する顔認証手段(カメラ1、顔検出部2、顔画像照合部3、顔データ4)と、利用者の指を認証する指認証手段(指紋センサ5、指紋検出部6、指紋画像照合部7、指データ8)と、利用者の顔の向き(顔状態)を検出する顔向き検出部(顔状態検出手段)20と、顔認証手段および指認証手段の認証結果と顔向き検出部20の検出結果とに基づいて、通常機能および付加的機能を判定する機能パターン判定部21と、機能パターン判定部21の判定結果に応じて電気錠12の解錠制御を行う電気錠制御部11とを備えている。
【0025】
また、顔向き検出部20は、指認証手段の認証処理実行中における利用者の顔状態(顔の向き)を検出し、機能パターン判定部21は、指の認証時において、指と顔状態とを組み合わせて、通常機能と付加的機能とを判定する。
これにより、指の認証時に、顔認証用のカメラ1で撮影された画像情報を利用して、顔画像の状態(顔の向き)に応じて付加的操作機能(電気錠の解錠機能、出退勤操作機能、パニックオープン機能、ホールドアップ機能など)を割り当てることができ、高機能を実現するとともに操作を簡略化することができる。
【0026】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図1)では、顔状態検出手段として、利用者の顔の向きを検出する顔向き検出部20を用いたが、図3に示すように、利用者の顔のパターンを顔状態として検出する顔パターン検出部30および顔パターンデータ31を用いてもよい。
【0027】
図3はこの発明の実施の形態2に係る個人認証装置を示すブロック図である。図3において、前述(図1参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「A」を付して詳述を省略する。
この場合、顔パターン検出部30は、指認証時に、顔検出部2からの顔画像と顔パターンデータ31内の登録データとを照合し、検出した顔パターン(目または口の表情を示す顔状態)を機能パターン判定部21Aに入力する。
【0028】
機能パターン判定部21Aは、機能パターンテーブル22Aを参照して、認証時における付加的な機能パターンを判定する。機能パターンテーブル22A内には、指紋画像照合部7で照合された指と、顔パターン検出部30で検出された顔のパターンとの組み合わせがテーブルとして、あらかじめ格納されている。
【0029】
次に、図4のフローチャートを参照しながら、この発明の実施の形態2による照合動作および機能パターン判定動作について説明する。
なお、図4において、前述(図2参照)と同様の処理(ステップS1、S2、S4、S6〜S7)については、前述と同一符号が付されている。また、指紋画像照合部7および顔パターン検出部30の処理(ステップS3A)と、機能パターン判定部21Aの処理(ステップS5A)とは、それぞれ、図2内のステップS3、S5に対応している。
【0030】
まず、前述と同様に、顔画像照合部3により顔照合を行い(ステップS1)、顔照合がOKか否かを判定し(ステップS2)、顔照合がNG(すなわち、NO)であれば、ステップS8に進む。
一方、ステップS2において、顔照合がOK(すなわち、YES)であれば、続いて、指紋画像照合部7により指紋(指)照合を行うと同時に、顔パターン検出部30により、顔パターン(ウィンク、または、口を開けた状態など)を検出する(ステップS3A)。
【0031】
続いて、指紋画像照合部7は、指照合がOKか否かを判定し(ステップS4)、指照合がNG(すなわち、NO)であれば、ステップS8に進む。
一方、ステップS4において、指照合がOK(すなわち、YES)であれば、続いて、機能パターン判定部21Aは、指紋画像照合部7で照合された指と、顔パターン検出部30で検出された顔のパターンとの組み合わせが、登録パターンに存在する(機能パターンテーブル22A内に機能パターンとして登録されている)か否かを判定する(ステップS5A)。
【0032】
以下、ステップS5Aにおいて、検出された指と顔パターンとの組み合わせが、登録パターンとして存在しない(すなわち、NO)と判定されれば、利用者が付加的操作機能を特に意図しない状態と見なされるので、機能パターン判定部21Aは、通行許可判定部9および電気錠制御部11を介して、通常の電気錠12の解錠制御を指示する(ステップS6)。
【0033】
一方、ステップS5Aにおいて、検出された指と顔パターンとの組み合わせが、登録パターンとして存在する(すなわち、YES)と判定されれば、機能パターン判定部21Aは、判定された機能パターンに応じて、出退勤操作、パニックオープン、またはホールドアップの各付加的機能を実行するための制御を電気錠制御部11に指示する(ステップS7)。
最後に、ステップS6、S7に続いて、操作履歴記録部10は、通行操作履歴を記録して(ステップS8)、図4の処理ルーチンを終了する。
【0034】
このように、指の認証時に、同時に顔認証用のカメラ1で認証操作中の様子を撮影し、撮影された画像情報を利用して利用者の顔パターン(顔状態)を検出することにより、機能パターン判定部21Aは、指認証時の顔状態に応じて、認証OK時の制御または操作方法を識別する。
【0035】
具体例として、たとえば、機能パターン判定部21Aは、出退勤操作に関して、指認証時に右目を閉じていれば「出勤」の操作、左目を閉じていれば「退勤」の操作と判定する。
また、指認証時に口を開けていれば「パニックオープン」の操作、両目を閉じていれば「ホールドアップ」の操作と判定し、各機能に応じた制御モードに切り替えて、電気錠制御部11に対する指令を送信する。
【0036】
以上のように、この実施の形態2に係る個人認証装置は、利用者に対して電気錠12の解錠制御のための認証を行う個人認証装置であって、利用者の顔を認証する顔認証手段(カメラ1、顔検出部2、顔画像照合部3、顔データ4)と、利用者の指を認証する指認証手段(指紋センサ5、指紋検出部6、指紋画像照合部7、指データ8)と、利用者の顔のパターン(顔状態)を検出する顔パターン検出部(顔状態検出手段)30および顔パターンデータ31と、顔認証手段および指認証手段の認証結果と顔パターン検出部30の検出結果とに基づいて、通常機能および付加的機能を判定する機能パターン判定部21Aと、機能パターン判定部21Aの判定結果に応じて電気錠12の解錠制御を行う電気錠制御部11とを備えている。
【0037】
また、顔パターン検出部30は、指認証手段の認証処理実行中における利用者の顔パターン(顔状態)を検出し、機能パターン判定部21Aは、指の認証時において、指と顔状態(ウィンク、口を開けるなど)とを組み合わせて、通常機能と付加的機能とを判定する。
これにより、指の認証時に、顔認証用のカメラ1で撮影された画像情報を利用して、顔画像の状態(顔パターン)に応じて付加的操作機能(電気錠の解錠機能、出退勤操作機能、パニックオープン機能、ホールドアップ機能など)を割り当てることができ、高機能を実現するとともに操作を簡略化することができる。
【0038】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態2(図3)では、顔状態検出手段として、利用者の顔パターンを検出する顔パターン検出部30および顔パターンデータ31を用いたが、図5に示すように、利用者の顔に関連した動作パターン(顔・動作パターン)を顔状態として検出する顔・動作パターン検出部40および顔・動作パターンデータ41を用いてもよい。
【0039】
図5はこの発明の実施の形態3に係る個人認証装置を示すブロック図である。図5において、前述(図1、図3参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「B」を付して詳述を省略する。
この場合、顔・動作パターン検出部40は、指認証時に、顔検出部2からの顔画像と顔・動作パターンデータ41内の登録データとを照合し、検出した顔・動作パターン(左右の手を顔の付近に挙げた顔状態や、目または口を手で覆うなどの顔状態)を機能パターン判定部21Bに入力する。
【0040】
機能パターン判定部21Bは、機能パターンテーブル22Bを参照して、認証時における付加的な機能パターンを判定する。機能パターンテーブル22B内には、指紋画像照合部7で照合された指と、顔・動作パターン検出部40で検出された顔・動作パターンとの組み合わせがテーブルとして、あらかじめ格納されている。
【0041】
次に、図6のフローチャートを参照しながら、この発明の実施の形態3による照合動作および機能パターン判定動作について説明する。
なお、図6において、前述(図2、図4参照)と同様の処理(ステップS1、S2、S4、S6〜S7)については、前述と同一符号が付されている。また、指紋画像照合部7および顔・動作パターン検出部40の処理(ステップS3B)と、機能パターン判定部21Bの処理(ステップS5B)とは、それぞれ、図4内のステップS3A、S5Aに対応している。
【0042】
まず、前述と同様に、顔画像照合部3により顔照合を行い(ステップS1)、顔照合がOKか否かを判定し(ステップS2)、顔照合がNG(すなわち、NO)であれば、ステップS8に進む。
一方、ステップS2において、顔照合がOK(すなわち、YES)であれば、続いて、指紋画像照合部7により指紋(指)照合を行うと同時に、顔・動作パターン検出部40により、顔・動作パターンを検出する(ステップS3B)。
【0043】
続いて、指紋画像照合部7は、指照合がOKか否かを判定し(ステップS4)、指照合がNG(すなわち、NO)であれば、ステップS8に進む。
一方、ステップS4において、指照合がOK(すなわち、YES)であれば、続いて、機能パターン判定部21Bは、指紋画像照合部7で照合された指と、顔・動作パターン検出部40で検出された顔・動作パターンとの組み合わせが、登録パターンに存在する(機能パターンテーブル22B内に機能パターンとして登録されている)か否かを判定する(ステップS5B)。
【0044】
以下、ステップS5Bにおいて、検出された指と顔・動作パターンとの組み合わせが、登録パターンとして存在しない(すなわち、NO)と判定されれば、利用者が付加的操作機能を特に意図しない状態と見なされるので、機能パターン判定部21Bは、通行許可判定部9および電気錠制御部11を介して、通常の電気錠12の解錠制御を指示する(ステップS6)。
【0045】
一方、ステップS5Bにおいて、検出された指と顔・動作パターンとの組み合わせが、登録パターンとして存在する(すなわち、YES)と判定されれば、機能パターン判定部21Bは、判定された機能パターンに応じて、出退勤操作、パニックオープン、またはホールドアップの各付加的機能を実行するための制御を電気錠制御部11に指示する(ステップS7)。
最後に、ステップS6、S7に続いて、操作履歴記録部10は、通行操作履歴を記録して(ステップS8)、図6の処理ルーチンを終了する。
【0046】
このように、指の認証時に、同時に顔認証用のカメラ1で認証操作中の様子を撮影し、撮影された画像情報を利用して利用者の顔・動作パターン(顔状態)を検出することにより、機能パターン判定部21Bは、指認証時の顔状態に応じて、認証OK時の制御または操作方法を識別する。
【0047】
具体例として、たとえば、機能パターン判定部21Bは、出退勤操作に関して、指認証時に右手を顔付近に挙げていれば「出勤」の操作、左手を挙げていれば「退勤」の操作と判定する。
また、指認証時に口を手で覆っていれば「パニックオープン」の操作、両手を挙げていれば「ホールドアップ」の操作と判定し、各機能に応じた制御モードに切り替えて、電気錠制御部11に対する指令を送信する。
【0048】
以上のように、この実施の形態3に係る個人認証装置は、利用者に対して電気錠12の解錠制御のための認証を行う個人認証装置であって、利用者の顔を認証する顔認証手段(カメラ1、顔検出部2、顔画像照合部3、顔データ4)と、利用者の指を認証する指認証手段(指紋センサ5、指紋検出部6、指紋画像照合部7、指データ8)と、利用者の顔・動作パターン(顔状態)を検出する顔・動作パターン検出部(顔状態検出手段)40および顔・動作パターンデータ41と、顔認証手段および指認証手段の認証結果と顔・動作パターン検出部40の検出結果とに基づいて、通常機能および付加的機能を判定する機能パターン判定部21Bと、機能パターン判定部21Bの判定結果に応じて電気錠12の解錠制御を行う電気錠制御部11とを備えている。
【0049】
また、顔・動作パターン検出部40は、指認証手段の認証処理実行中における利用者の顔・動作パターン(顔状態)を検出し、機能パターン判定部21Bは、指の認証時において、指と顔状態(手を顔の付近に挙げる、または、目、口を手で覆うなど)とを組み合わせて、通常機能と付加的機能とを判定する。
これにより、指の認証時に、顔認証用のカメラ1で撮影された画像情報を利用して、顔画像の状態(顔・動作パターン)に応じて付加的操作機能(電気錠の解錠機能、出退勤操作機能、パニックオープン機能、ホールドアップ機能など)を割り当てることができ、高機能を実現するとともに操作を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の実施の形態1に係る個人認証装置を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による認証処理および機能パターン判定処理を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態2に係る個人認証装置を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2による認証処理および機能パターン判定処理を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態3に係る個人認証装置を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態3による認証処理および機能パターン判定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 カメラ、2 顔検出部、3 顔画像照合部、4 顔データ、5 指紋センサ、6 指紋検出部、7 指紋画像照合部、8 指データ、9 通行許可判定部、10 操作履歴記録部、11 電気錠制御部、12 電気錠、20 顔向き検出部、21、21A、21B 機能パターン判定部、22、22A、22B 機能パターンテーブル、30 顔パターン検出部、31 顔パターンデータ、40 顔・動作パターン検出部、41 顔・動作パターンデータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に対して電気錠の解錠制御のための認証を行う個人認証装置であって、
前記利用者の顔を認証する顔認証手段と、
前記利用者の指を認証する指認証手段と、
前記利用者の顔状態を検出する顔状態検出手段と、
前記顔認証手段および前記指認証手段の認証結果と前記顔状態検出手段の検出結果とに基づいて、通常機能および付加的機能を判定する機能パターン判定手段と、
前記機能パターン判定手段の判定結果に応じて前記電気錠の解錠制御を行う電気錠制御部とを備え、
前記顔状態検出手段は、前記指認証手段の認証処理実行中における前記利用者の顔状態を検出し、
前記機能パターン判定手段は、前記指の認証時において、前記指と前記顔状態とを組み合わせて、前記通常機能と前記付加的機能とを判定することを特徴とする個人認証装置。
【請求項2】
前記顔状態検出手段は、前記利用者の顔の向きを前記顔状態として検出することを特徴とする請求項1に記載の個人認証装置。
【請求項3】
前記顔状態検出手段は、前記利用者の顔のパターンを前記顔状態として検出することを特徴とする請求項1に記載の個人認証装置。
【請求項4】
前記顔状態検出手段は、前記利用者の顔に関連した動作パターンを前記顔状態として検出することを特徴とする請求項1に記載の個人認証装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−20735(P2009−20735A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183243(P2007−183243)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】