光が透過可能な材料の段差構造測定方法
【課題】可視光、近赤外光または赤外光が透過する材料に設けられた高アスペクト比の穴の深さ等の段差構造の形状を正確且つ高速に測定する。
【解決手段】可視光、近赤外光または赤外光の測定用光Lを未貫通ビア104が形成されたシリコンウェーハ101の裏面103側から照射し、共焦点測定法により、測定用光Lがシリコンウェーハ101の表面102及び未貫通ビア104の底面105に焦点を結ぶ位置を測定することによって未貫通ビア104の見かけ上の形状を測定し、予め取得したシリコンウェーハ101の屈折率または屈折率を測定する屈折率測定手段によって測定したシリコンウェーハ101の屈折率を用いて、前記測定した形状を換算することにより未貫通ビア104の実際の形状を算出する。
【解決手段】可視光、近赤外光または赤外光の測定用光Lを未貫通ビア104が形成されたシリコンウェーハ101の裏面103側から照射し、共焦点測定法により、測定用光Lがシリコンウェーハ101の表面102及び未貫通ビア104の底面105に焦点を結ぶ位置を測定することによって未貫通ビア104の見かけ上の形状を測定し、予め取得したシリコンウェーハ101の屈折率または屈折率を測定する屈折率測定手段によって測定したシリコンウェーハ101の屈折率を用いて、前記測定した形状を換算することにより未貫通ビア104の実際の形状を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光、近赤外光または赤外光が透過可能な材料に設けられた有底穴等の段差のある構造の形状の測定方法に関し、例えば、積層LSI(Large Scale Integrated circuit)チップ作成の際に積層のために用いるシリコン貫通電極(Through Silicon Via(TSV);貫通ビア)の深さ等の段差のある形状を予め把握するために、貫通ビアを完成する前の未貫通ビアの形状等を測定する段差構造測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体の微細加工技術は現時点では65nm前後であるが25nmに向かって量産化が進んでいる。しかし、数年後には微細化の限界が来るのではないかと予測されている。
また、製造装置価格も高額となり、半導体メーカー1社では設備投資の限界を超えているといわれる。
このように、二次元では限界が近づいてきており、三次元へのアプローチが始まった。
【0003】
LSIを三次元化するためにはシリコンに貫通穴を設け、電極を通し、バンプで接続して積層していくことになる。
例えば、積層DRAM(Dynamic Random Access Memory)を形成する方法として、DRAM素子を形成する前に貫通電極を形成するVia First法があるが、Via First法によってDRAM素子を形成する場合、概略次のような工程を経て行われる。
【0004】
1.シリコンウェーハをドライエッチングでエッチングして貫通ビア用の有底穴(未貫通ビア)を形成し、
2.CVD(Chemical Vapor Deposition)で未貫通ビアの側壁に絶縁膜を形成し、
3.CVDで未貫通ビアに高P(リン)濃度のポリシリコンを充填し、
4.CMP(Chemical Meshanical Polishing)でシリコンウェーハ表面のポリシリコンを除去し、
5.DRAM素子形成後に電界めっきでシリコンウェーハ表面側にマイクロバンプを形成し、
6.シリコンウェーハをBG(Back Grinding)とCMPで50μm程度の所定厚まで薄化して貫通ビアを形成し、
7.CVDで窒化膜を形成し、
8.ドライエッチングで貫通電極部を開口することによってして配線を形成し、
9.電解メッキで裏面側にマイクロバンプを形成した後、ダイシングする。
【0005】
前記の如くして積層DRAM等の積層LSIチップが形成されるため、貫通ビアを構成する貫通穴の深さ等の形状の測定と、品質保証のために、市場で不良になる可能性を十分に予測できる検査をしておかなければならない。
これは、電気的な検査だけで検出することはできず、内部解析で異常につながる可能性を画像で捕まえる必要が出てくる。
【0006】
まず始めに、貫通穴の深さや径等の形状が安定してできていることを検査することが、積層前には必要になる。
しかし、要求される貫通穴の仕様は、例えば直径2μm、深さ50μmという、アスペクト比1:25の穴であり、通常の光学測定では回折現象のため困難な要求もある。これは積層した構造で、熱を放出できなければ、設計の自由度が狭くなるため、小さなギャップにして、なおかつ熱伝導の良い材料(例えば、シリコンコンパウンド)等の充填により、熱対策をとることが必須になることに関係している。
【0007】
例えば、図1に示すように、シリコンウェーハ101の表面102から裏側103方向に所定の径及び深さ(例えば直径2μm、深さ50μm)に形成される高アスペクト比の貫通ビアの深さ等の形状を、貫通ビア完成前の未貫通ビア104の段階で、未貫通ビア104に測定用の可視光Lを入射させることにより測定する方法が考えられる。
しかしながら、可視光Lは未貫通ビア104に入射しても、回折現象によって未貫通ビア104の底面105からは測定に必要な所定量以上の光Lが戻ってこないため、未貫通ビア104の深さ等の形状が測定困難である。
尚、図1において、未貫通ビア104を貫通ビアにする際には、シリコンウェーハ101は裏面103から破線C位置まで削除される。
【0008】
一方、近赤外光または赤外光はシリコンをある程度透過できるので、これを用いてシリコンウェーハ101の内部が観察可能である。
しかしながら、未貫通ビア104の屈折率(未貫通ビアに含まれる空気の屈折率)が略1でありシリコンウェーハ101の屈折率が約3.4〜3.8である。したがって、図2に示すように未貫通ビア104の側壁で反射してしまい、近赤外光または赤外光Lを未貫通ビア104の底面105まで進入させることが困難である。
【0009】
よって、測定に光線を使う限り、干渉法、共焦点法等の他の測定法でも前記のような高アスペクト比の穴の深さ等の形状の測定はシリコンウェーハの表面側からの測定では困難である。
他方、特許文献1には、高アスペクト比の微小穴の一種であるトレンチの深さを裏面から赤外光で測定するようにした発明が開示されている。
【0010】
しかし、特許文献1の請求項1には、<ウェーハを透過可能な波長の光源を使用し、前記ウェーハの前面及び背面からの反射光を受光することと、前記前面がトレンチの内部を支持するようにされており、更に、トレンチの突出部の高さを測定する作業と、突出部の高さを、前記前面と前記背面間の前記測定高さの差の変換によって較正する作業とによってトレンチ深さを測定する方法。>と記載されている。
【0011】
これを分かりやすく理解するためには、特許文献1の図11のフロー図で理解が容易になる。このフロー図のポイントを見ると、次のようになる。
1.まず、ウェーハの表面、裏面からの応答を受信する。
2.次に各センサからの前記表面及び裏面の各高さ値を記録する。
3.前記各高さ値に基づいて厚さ値に変換する。
4.ウェーハの形状変化を計算表示する。
と記載されている。
【0012】
つまり、簡単に言うと、シリコンウェーハの厚さからトレンチの底の位置を比例的に計算している。
しかし、この場合、基準となるシリコンウェーハの厚みにバラツキがあると、それはそのまま、トレンチ深さの測定値のバラツキになってしまう。実際シリコンウェーハは、例えば12インチウェーハでは、厚さ0.775mm±0.025mmのバラツキを持っている。つまり±3.2%のバラツキがあり、これがそのままトレンチ深さの測定誤差になるため、測定精度が悪いという問題がある。
この問題を解決するためには、予めシリコンウェーハの厚みを測っておき、前記厚みによって測定値を補正する必要がある。しかしながら、予めシリコンウェーハの厚みを測るために測定時間がかかるため、高速な測定が困難という問題がある。
【0013】
また、上記のような高アスペクト比の穴を赤外光干渉法によって測定できる可能性があると推測される測定装置がフランスのFOGALE社から、製品名DeeProbeとして販売されている。しかしながら前記測定装置では、一穴測定するのに2秒近くを要し、この方式では大幅な高速化は困難であり、生産のインライン検査で使用する場合、生産タクトを下げてしまう問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−83059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、可視光、近赤外光または赤外光が透過する材料に設けられた高アスペクト比の穴の深さ等の段差構造を正確且つ高速に測定することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、可視光、近赤外光または赤外光が透過する材料に設けられた未貫通ビア、トレンチまたはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微少電気機械素子)等の段差構造を測定する段差構造測定方法において、可視光、近赤外光または赤外光の測定用光を前記段差構造が形成された面の裏側から照射し、前記測定用光が前記材料に焦点を結ぶ位置を測定することによって又は前記材料からの反射光を測定することによって前記段差構造の形状を測定し、予め取得した前記材料の屈折率を用いて又は屈折率を測定する屈折率測定手段によって測定した前記材料の屈折率を用いて、前記測定した形状を換算することにより前記段差構造の実際の形状を算出することを特徴とする段差構造測定方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、可視光、近赤外光または赤外光が透過する材料に設けられた高アスペクト比の穴の深さ等の段差構造を正確且つ高速に測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】可視光を用いた一般的な測定方法を示す説明図である。
【図2】近赤外光を用いた一般的な測定方法を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態の動作を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に使用する共焦点顕微鏡の概略図である。
【図5】本発明の実施の形態に使用するXYスキャン部の概略図である。
【図6】本発明の実施の形態の動作を説明する説明図で、高NAの光線図である。
【図7】本発明の実施の形態の動作を説明する説明図で、低NAの光線図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるXYスキャンの概略図である。
【図9】本発明の実施の形態で使用するブリュースター角の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態ににおける密集した未貫通ビアと光線の関係を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態においてブリュースター角測定からシリコンウェーハの屈折率を求める方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
前述したように、例えば直径2μm、深さ50μmのような高アスペクト比の有底穴等の頑さ構造の形状測定は、可視光の場合は回折現象によって未貫通ビア104の底面105からは測定に必要な量の光が戻ってこず、又、近赤外光または赤外光の場合においては表面側から穴に光を進入させることが困難であったり、光線が散乱し計測の大きな障害になる等のため、測定が困難である。
本発明の実施の形態では、前記問題を解決するために発想を全く変えて未貫通ビア等の段差構造に測定用光を入射させようとせずに、逆に段差構造を有する材料(例えばシリコンウェーハ)の裏側(段差構造が形成されている面(表面)の裏側)から近赤外光又は赤外光を照射し、段差構造の外側から観察、検査することで穴等の段差構造のアスペクト比がいくら高くても測定可能な方法を実現している。
【0020】
ここで、段差構造とは、ガラスのような透明体やシリコンウェーハ等の可視光、近赤外光又は赤外光が透過可能な材料の表面側から裏面側に向かって形成された未貫通ビアやトレンチ等の有底穴や有底溝、MEMS等、シリコンウェーハ表面との間に段差を有する構造を意味している。また、形状とは、有底穴等の段差構造の深さ、径、長さ、面積等の可視光、近赤外光又は赤外光によって測定可能な形を意味している。
以下、本発明の実施の形態に関して図面を参照しながら、高アスペクト比でシリコンウェーハにドライエッチング等で深堀りされた未貫通ビアの深さ等の形状を高精度で高速に測定する例を説明する。
【0021】
尚、本発明の実施の形態において、測定に使用する光としては可視光、近赤外光又は赤外光を使用できるが、波長350nm以上の可視光は例えばガラスのような透明体に対して有効である。また、シリコンウェーハについては900nm〜3000nmの範囲内の近赤外光又は赤外光が好ましい。このような波長の近赤外光又は赤外光が好ましい理由としては、900nm未満の光はシリコンを透過しないためである。尚、以下の記載においては、シリコンウェーハ材料について記述しているが、本発明では材料を光が透過する場合は、その波長の光を使用することができるので、材料はシリコンウェーハに限定されるものではない。
また、測定用光の波長が長くなることによって分解能の目安となるエアリーディスク半径(=0.61λ/NA(但し、λは使用する測定光の波長、NAは開口率である。))が大きくなり、これによって測定精度が大きく劣化するため、必要な測定精度が得られる上限の波長として上限値3000nmに設定している。
【0022】
図3は、本発明の実施の形態に係る段差構造測定方法の概略説明図である。
図3の例は、シリコンウェーハ101の表面102と未貫通ビア104の底面105とによって段差(本例では未貫通ビア104の深さに相当)が形成された段差構造の例である。未貫通ビア104は、貫通ビアを形成する前段階のものであり、シリコンウェーハ101の表面102側から裏面103側に向かって所定径で所定深さに形成された有底穴であり、シリコンウェーハ101の表面102側に露出している。
【0023】
先ず、段差構造の形状(例えば未貫通ビア104の深さ)を測定する場合、シリコンウェーハ101の裏面103側から、シリコンウェーハの表面102、及び、未貫通ビア104の底面105に、可視光、近赤外光または赤外光の中の所定波長の光である測定用光Lを照射する。
次に、共焦点測定法等の測定方法を用いて、シリコンウェーハ102の表面102及び未貫通ビア104の底面105で反射した測定用光Lを検出し、基準となる所定位置から表面102までの距離と、前記所定位置から底面105までの距離を測定する。前記所定位置から表面102までの距離と前記所定位置から底面105までの距離との差を算出することによって、見かけ上の未貫通ビア104の深さを測定する。
【0024】
次に、予め情報として取得していたシリコンウェーハ101の屈折率を用いて、或いは、シリコンウェーハ101の屈折率を測定する屈折率測定手段を用いて測定したシリコンウェーハ101の屈折率を用いて、前記見かけ上の形状に前記屈折率による換算処理を施して実寸法の形状を算出するようにしている。
前記特許文献1と大きく異なるところは、この屈折率の情報を用いて直接的に実際の値を測定する点である。
尚、図3において未貫通ビア104から貫通ビアを形成する際には、シリコンウェーハ101は裏面103から破線C位置まで削除される。
【0025】
本実施の形態に係る測定方法により、可視光、近赤外光または赤外光(シリコンの透過しやすさという点から1127nm以上の波長がより好ましく且つ一定以上の分解能を得るという点から3000nm以下の波長がより好ましい。)の測定用光Lをシリコンウェーハ101の裏面103側から照射することにより、未貫通ビア104のアスペクト比が1:25でも1:200でもそれ以上でも問題なく測定できる。また、屈折率による換算処理によって、より高精度な形状測定が可能になる。
【0026】
尚、詳細は後述するが、屈折率を測定するためにブリュースター角を短時間で測定し、なおかつ正確に求めるために、1つの屈折率測定点の屈折率を複数回測定してそれらの平均値をとり、さらにシリコンウェーハの測定対象領域においてXY方向の複数の屈折率測定点で測定している。
また、例えば後述する共焦点法で測定する場合、1画素当たり1μm角の領域として2000×2000画素分の領域を、1回に測定する1単位領域として、シリコンウェーハの測定対象領域を複数の単位領域に区分し、各単位領域毎に段差構造の形状(段差形状)を測定し、これをシリコンウェーハの全測定対象領域について行うようにしている。
【0027】
この場合、段差構造の測定開始時(各単位領域毎に見かけ上の段差形状を測定する直前)に、段差形状を測定する測定用光と同じ波長の測定用光を用いてシリコンウェーハの各単位領域の屈折率を測定し、前記測定用光によって測定した各単位領域の形状の測定値を、当該単位領域の屈折率(屈折率の精度を上げるためには当該単位領域において複数回測定した屈折率の平均値でもよい。)に基づいて換算して実際の形状を求めることにより、シリコンウェーハ内で屈折率の分布が変化しても誤差が生じないようにしている。これにより、十分な測定精度が確保できる。
屈折率の測定は、段差構造の測定開始時ではなく、段差構造の測定終了時(各単位領域に見かけ上の段差形状を測定終了した直後)に行うようにしてもよい。
【0028】
TSVの穴の場合には、直径2μmでピッチが6μmで形成される場合もあるので、TSVが所定密度以上に密集する場合、図7に示すように対物レンズ407の前段に配置したアパーチャ601を小さくすることによって、未貫通ビアの側壁で測定用光が反射しないように開口数NAを小さくした方が、コントラストの高い像が得られる場合がある。
【0029】
また、TSVが所定密度以上に密集していない場所での測定は、図6に示すように対物レンズ407の前段に配置したアパーチャを大きくすることによって、開口数NAを大きくして集光スポットを小さくした方が分解能が良くなる。この集光スポットは一般的にエアリーディスクと呼ばれ、エアリーディスク半径ε=0.61λ/NAできまる。これは、光の波としての性質のために回折現象が生じるからである。
【0030】
本発明の実施の形態では、図6又は図7のように、段差構造の形状測定に使用する光学系の開口数NAを、段差構造の形状にあわせて変えるようにしている。
また、エアリーディスクが大きくならないように、近赤外光の波長は1127nm以上が好ましいと言えども、上限で3000nm以下に抑えることが好ましく、1500nm以下に抑えることがより好ましい。
これにより、良品のLSIチップ同士を複数枚接合したときに、接合部分とその周辺に異常はないか、また製品出荷後に接合異常が発生しないか、マイクロクラック等が存在して、それが成長して市場で不良になり、不良回収につながる不具合発生の可能性はないか等、三次元画像で検査できるようになる。
【0031】
次に、本発明の実施の形態に係る段差構造の測定方法に使用する測定装置の概略構成と測定動作について詳細に説明する。
図4は、本実施の形態で使用する共焦点レーザ顕微鏡の光学系を示す構成図である。
図4において、レーザ光源401は、可視光、近赤外光または赤外光における所定波長の測定用光Lを出力し、測定用光Lをエキスパンダ402及びコリメータ403で平行光に広げ、偏光ビームスプリッタ404で測定用光LのS偏光成分を反射してXYスキャナ部405に導出する。
【0032】
XYスキャナ部405は図5のように、測定用光LをX方向にスキャンするための共振型レゾナントスキャナ501及び測定用光LをX方向に直角なY方向にスキャンするガルバノスキャナ502を備えている。
レゾナントスキャナ501は共振型で高速にミラー駆動が可能なスキャナである。本実施の形態で使用するレゾナントスキャナ501は約8KHzで往復動作する。つまり、0.0625msecで1行の走査が行える。
【0033】
ガルバノスキャナ502は測定用光LをY方向に所定行(例えば2000行)走査する。
レゾナントスキャナ501からの測定用光Lを、2000行ガルバノスキャナ502で列方向に走査することで1画面(例えばX方向2000画素×Y方向2000画素)の像が125msecで得られることになる。これは形状測定の1単位である2000×2000画素の画像を8フレーム/秒で取得できることになる。
【0034】
これから、1画素当たりの取得時間を算出すると、31.25nsecになり、読み出し速度は32MHzの光検出器が必要になるが、浜松ホトニクス株式会社製の製品G8376−03は2.5nsecである。A/D(アナログ/デジタル)変換器も32MHz以上で10ビットのものがあればよく、例えばナショナルセミコンダクター社製のAD12V170は12ビット、170MSPS(メガサンプルパーセコンド)ものがあり、速度にもまだ余裕がある。
レゾナントスキャナ501の速度が上がれば、さらに画像取得速度が上がる。また、要求仕様を満たすMEMSスキャナができれば、これを使用することも可能である。
【0035】
XYスキャナ部405を介して出力された測定用光Lは、λ/4波長板406によって円偏光の測定用光Lに変換された後、対物レンズ407を介して測定対象物であるシリコンウェーハ101に照射される。λ/4波長板406は偏光ビームスプリッタ404とともに用いて、シリコンウェーハ101からの反射光がレーザ光源401に戻らないようにするためのものである。
【0036】
これによりシリコンウェーハ101は裏面103側から測定用光Lによって走査されることになるが、図8に示すようにXY方向に、シリコンウェーハ101の1単位領域(本実施の形態ではX方向2000画素×Y方向2000画素)801毎に測定用光Lで走査が行われる。
前記走査によって、各単位領域毎に各画素において、シリコンウェーハ101の表面102及び未貫通ビア104の底面105で測定用光Lが反射する。
【0037】
前記反射した測定用光Lは、対物レンズ407、λ/4波長板406、XYスキャナ部405、偏光ビームスプリッタ404を順に通過し、結像レンズ408及びピンホール409を介して光検出器410で検出される。
前記測定動作を、所定長単位でZ軸方向にスキャンしながら行う。光検出器410によって鮮明な像が検出されたときのZ方向位置が所定位置を基準とするシリコンウェーハ101の表面102及び未貫通ビア104の底面105の位置となる。表面102と底面105の位置の差をとることによって未貫通ビア104の見かけ上の深さが求められる。
【0038】
前記動作をシリコンウェーハ101の全測定対象領域にわたって行うことにより、シリコンウェーハ101の全測定対象領域における表面102及び未貫通ビア104の底面105の見かけ上の位置を測定し、シリコンウェーハ101の全測定対象領域に設けられた未貫通ビア104の見かけ上の深さを測定する。
【0039】
その後、予め情報として得ていたシリコンウェーハ101の屈折率を用いて、あるいは、前記測定動作開始時若しくは前記測定動作終了時に測定したシリコンウェーハ101の屈折率を用いて、前記見かけ上の測定値を実際の値に換算して、未貫通ビア104の実際の深さを算出する。例えば、未貫通ビア104の見かけの深さをDM、空気の屈折率をn1、シリコンウェーハ101の屈折率をn2とすると、実際の深さDSはDM・n2/n1となる。
【0040】
尚、本実施の形態では、段差形状を測定する単位領域毎に屈折率を複数回測定してそれらの平均値を算出し、前記平均値を当該単位領域の屈折率として用いて、当該単位領域の測定値を実際の値に変換するようにしているが、シリコンウェーハ101全体から複数の点を選択して屈折率を測定し、それらの平均値を各単位領域に共通するシリコンウェーハ101の1つの屈折率として用いて、各単位領域毎の測定値を、前記1つの屈折率によって換算して実際の値を求めるようにする等、種々の変更が可能である。
【0041】
前記仕様でシリコンウェーハ101に形成された、表面102から深さ50μの未貫通ビア104の深さを測るための方法をより詳細に示せば、以下の通りである。
1.シリコンウェーハ101の測定を開始するために、まず自動位置決めを行う。これはシリコンウェーハ101表面に設けられたシリコンウェーハ101の位置決めマーク(図示せず)または一定以上の距離を持った複数の未貫通ビア104により、少なくとも2点のXY(水平)位置及びZ(垂直)位置を決めて取り込む。
これには、例えば5秒程度の時間があれば可能である。 −−−−−−−(1)
【0042】
2.最初のシリコンウェーハ101内の測定チップに移動し、XYZ位置を決める。これには、例えば1秒程度の時間があれば可能である。 −−−−−−−(2)
3.次に、例えば、1画素当たり1μm角で2000×2000画素の2mm角を1単位の領域として測定を開始する。
【0043】
4.段差構造の形状測定の最初のステップはシリコンウェーハ101の屈折率測定から行う。屈折率の測定は表面102ではなく、裏面103側からの測定(例えばブリュースター角による反射測定)になるため、ウェーハ101の厚み方向Zの無駄な移動を防ぐために、まずある単位(例えば2mm間隔)でシリコンウェーハ101全体の屈折率分布(複数の点の屈折率)を、未貫通ビア104を測定する全測定対象領域について測定し必要に応じて平均化により各測定値の測定誤差を低減する。例えば、未貫通ビア104の実際の形状を算出する際にシリコンウェーハ101全体について1つの屈折率を使用する場合には全測定対象領域について屈折率を平均化して1つの屈折率を算出する。また、各単位領域毎の屈折率を用いて形状を算出する場合には、各単位領域毎に複数回測定した屈折率を平均化して、各単位領域毎の屈折率を算出する。
ここで、<300mmウェーハの回路領域はオリフラと外周部を考慮して直径300mmの面積の85%に回路が形成されており、そのうち10%がTSVの領域である>と仮定すると、測定の必要な面積(全測定対象領域の面積)は、
3.1415×150×150×0.85×0.1=6008mm2
となる。2mm角の単位で屈折率を複数回測定し平均化して測定精度を上げて1箇所に付き10msecで屈折率測定および屈折率のデータ取り込みを行う場合、2mmの移動時間を0.2秒とすると、1シリコンウェーハ101あたり、次の時間で屈折率の分布データを取り込むことになる。
0.21秒×(6008/4)=315.42秒 −−−−−−(3)
ここで、(6008/4)は、全測定対象領域における取り込み領域数である。
【0044】
5.次に、シリコンウェーハ101において未貫通ビア104の深さを測定する最初の表面102の位置を検出する。
これは、例えば1秒程度の時間があれば可能である。 −−−−−−(4)
6.ここから、未貫通ビア104の深さの測定を開始する。測定は精度を確保するために、シリコンウェーハ101の表面102から未貫通ビア104の深さ方向に測定することが好ましい。
戻って表面102位置にセットするのに、例えば0.1秒程度の時間があれば可能である。これに必要な時間は、
0.1秒×((6008/4)−1)=150.1秒 −−−−−−(5)
【0045】
7.深さ測定に必要な時間は、例えば、次の表1ようなステップで深さ方向(Z方向)にスキャンすることで効率的に精度良く測定することができる。
【表1】
【0046】
表1で測定する場合、垂直(Z)方向には11画面の画像を取り込むことになる。測定時間は、表1から取り込み領域数をかけて、
1.445秒×(6008/4)=2170秒 −−−−−−(6)
1ウェーハ当たりの測定時間は、上記時間(1)から(6)を合計して、2642秒(44.04分)となる。
1日に測定できる枚数は、60分×24÷39.04分/枚=32.7枚となり、1ヶ月では981枚/30日の測定が可能になる。
ウェーハ1枚当たりのLSIの取れ数を600とすると、58万8千チップ/月の測定速度になる。
尚、シリコンウェーハ101についての前記屈折率測定は、全測定対象領域の見かけ上の形状測定が終了した時点で行うようにしてもよい。
【0047】
次に、材料の屈折率を測定する方法について具体的に説明する。
屈折率を測定するには、分光エリプソ測定器を用いる場合とブリュースター角を測定して屈折率を求める場合の2種類が考えられる。
一般的には、分光エリプソ測定器で測る方がより精度が高いといわれるが、モデリング、マッチング等に測定時間がかかるので、時間を短縮するためにはブリュースター角を精度よく測ることの方が装置の高速化には向いている。
そこで、本実施の形態では、ブリュースター角測定から屈折率を求める方法を記載する。
但し、分光エリプソ測定器を用いて屈折率を測るようにしてもよい。
【0048】
2つの屈折率の異なる材質の界面にある角度をもって光が入射する時、入射面に平行な偏光成分(P偏光成分)と、入射面に垂直な偏光成分(S偏光成分)とでは反射率が異なり、P偏光成分はある角度(ブリュースター角θp)で反射率が0まで減少し、その後増加する。S偏光成分は反射率が単調に増加する。
ブリュースター角θpは2つの材質の屈折率n1、n2から次式によって求められる。
ブリュースター角θp=Arctan(n2/n1)
n1は入射側材質(本実施の形態では空気)の屈折率、n2は透過側材質(本実施の形態ではシリコン)の屈折率である。したがって、入射側材質の屈折率n1が既知の場合、ブリュースター角θpを測定することによって透過側材質の屈折率n2を求めることができる。
【0049】
例えば、ガラス(n=1.52)の場合、P偏光成分とS偏光成分およびブリュースター角θpの関係は図9のように表わされる。
上記の式より、ガラス(n=1.52)の場合、空気の屈折率nをn=1.000292とした場合、ブリュースター角θはθp=56.65度、シリコンの屈折率が例えば同じ近赤外光でn=3.412とすると、θp=73.66度となる。逆に、ブリュースター角θpを正確に求めると、正確に屈折率nを求めることができる。
【0050】
図11は前記原理を用いて、ブリュースター角θp測定から測定対象物の屈折率を求める方法の説明図である。
図11において、レーザ光源1101は屈折率測定用の測定用光Lを測定対象物に対して可変な角度で照射する光源であり、偏光板1102は測定用光LのP偏光成分を通過させる偏光板、受光器1103は測定対象で反射した測定用光Lを検出する光検出手段であり、これらによって、ブリュースター角測定によって屈折率を測定する屈折率測定器が構成されている。また、レーザ光源1101、偏光板1102及び受光器1103は屈折率測定手段を構成している。
【0051】
レーザ光源1101から出射した屈折率測定用の測定用光Lは、空気(屈折率がn1)1104中に配置された偏光板1102を通って、屈折率測定の対象物であるシリコンウェーハ(屈折率がn2)1105で反射した後、受光器1103によってP偏光成分の測定用光Lが検出される。
レーザ光源1101から偏光板1102を介して測定用光Lがシリコンウェーハ1105に入射する角度を変えながら、受光器1103によってP偏光成分の測定用光Lを検出し、受光器1103によって検出されるP偏光成分が0になるときの入射角度を測定する。P偏光成分が0になるときの入射角度がブリュースター角θpである。
屈折率測定用のレーザ光源1101から出力される測定用光Lを、段差形状測定用のレーザ光源401から出力される可視光、近赤外光又は赤外光と同じ波長の光とすることにより、屈折率を正確に測定することが可能になり、その結果、実際の段差形状を正確に測定することが可能になる。
【0052】
このようにして、シリコンウェーハ1105の複数の点で屈折率を測定し、全測定点の屈折率をシリコンウェーハ全体の1つの屈折率として使用し、測定した形状に、屈折率による換算を行って実際の形状を算出する。あるいは、測定した各単位領域の屈折率をシリコンウェーハ1105の各単位領域の屈折率として使用して、形状を測定する単位領域毎に該単位領域の屈折率を用いて、測定した形状に、屈折率による換算を行って実際の形状を算出するようにしてもよい。
【0053】
次に、図6、図7に関して説明したように、有効な測定を行えるよう、測定対象に応じて光学系の開口数NAを変えるようにしており、以下、開口数NAを小さくした方が有利な場合について説明する。
開口数NAを小さくすることは、焦点を小さくすること、言い換えればエアリディスクを小さくすることにおいては不利になるが、図10のようにシリコンウェーハ101内に高アスペクト比の未貫通ビア104が所定密度以上の高い密度で密集する場合は有利になることがある。
【0054】
これはその密集した未貫通ビア104の壁で全反射または反射した測定用光Lがノイズとなり、像のコントラストを落とす場合がある。このようなときには、開口数NAを小さくしたほうが正確な測定ができる。
したがって測定対象物の形状にあわせて開口数NAを変えることが有効であり、例えば図10のようにシリコンウェーハ101内に未貫通ビア104が所定値以上の密度で密集した場合にはあえて開口数NAが小さくなるように変えて測定を行う。
【0055】
本実施の形態では、共焦点測定法を用いて焦点を結ぶ位置を測定することによって段差構造の見かけ上の位置(換言すれば見かけ上の形状)を測定したが、光干渉測定法又はレーザ三角測定法を用いて反射光を測定することによって見かけ上の形状を測定し、前記測定した形状に、既知の屈折率または測定した屈折率による換算を行って実際の形状を算出するように構成してもよい。
また、本実施の形態では、屈折率測定手段として、ブリュースター角測定によって屈折率を求める手段を用いたが、分光エリプソ測定器を用いるようにしてもよい。
【0056】
また、本実施の形態では、シリコンウェーハの屈折率を屈折率測定手段によって測定して求めるようにしたが、全体としての1つの屈折率が予め既知であれば、当該既知の屈折率を用いて、測定した形状を換算し、実際の形状を算出するようにしてもよい。また、シリコンウェーハの複数の点の屈折率が既知の場合には、形状を測定する領域毎に、測定した形状に屈折率による換算を行って実際の形状を得るようにしてもよい。
また、本実施の形態では、段差形状が設けられた材料としてシリコンウェーハの例で説明したが、可視光、近赤外光又は赤外光が透過可能な材料であれば適用可能であり、例えば、ガラス、セラミック、化合物半導体の場合にも適用可能である。
【0057】
以上述べたように、本発明の実施の形態によれば、可視光、近赤外光または赤外光が透過する材料に設けられた未貫通ビア、トレンチまたはMEMS等の段差構造を測定する測定方法において、可視光、近赤外光または赤外光の測定用光を前記段差構造が形成された面の裏側から照射し、前記測定用光が前記材料に焦点を結ぶ位置を測定することによって又は前記材料からの反射光を測定することによって前記段差構造の見かけ上の形状を測定し、予め取得した前記材料の屈折率または測定によって得た前記材料の屈折率を用いて前記測定した形状を換算して実際の形状を算出することを特徴としている。
【0058】
また例えば、可視光、近赤外光または赤外光の測定用光Lを未貫通ビア104が形成されたシリコンウェーハ101の裏面103側から照射し、共焦点測定法により、測定用光Lがシリコンウェーハ101の表面102及び未貫通ビア104の底面105に焦点を結ぶ位置を測定することによって未貫通ビア104の見かけ上の形状を測定し、予め取得したシリコンウェーハ101の屈折率または屈折率を測定する屈折率測定手段によって測定したシリコンウェーハ101の屈折率を用いて、前記測定した見かけ上の形状を換算して未貫通ビア104の実際の形状を算出するようにしている。
したがって、可視光、近赤外光または赤外光が透過する材料に設けられた高アスペクト比の穴の深さ等の段差構造の形状を正確且つ高速に測定することが可能になる。
【0059】
ここで、前記段差構造の形状測定方法として、前記測定用光が前記材料に焦点を結ぶ位置を測定することによって前記段差構造の形状を測定する共焦点測定法を用いることにより、高速且つ高精度な測定が可能になる。
また、前記段差構造の形状測定方法として、前記材料からの反射光を測定することによって前記段差構造の形状を測定する光干渉測定法を用いることにより、より高精度な測定が可能になる。
また、前記段差構造の形状測定方法として、前記材料からの反射光を測定することによって前記段差構造の形状を測定するレーザ三角測定法を用いることもできる。
また、前記屈折率測定手段にブリュースター角測定によって屈折率を測定する屈折率測定器を用いることにより、より高速な屈折率測定が可能になる。
また、前記屈折率測定手段に分光エリプソ測定器を用いることにより、より高精度な屈折率測定が可能になる。
また、前記材料の屈折率を測定する光の波長と、前記段差構造を測定する測定用光の波長を同じ波長とすることにより、より正確な屈折率測定が可能になる。
【0060】
また、前記段差構造の形状測定開始時または形状測定終了時にまとめて、前記材料の屈折率または屈折率分布を測定対象領域の裏面から測定することにより、総測定時間を短縮化することが可能になる。
また、前記段差構造の形状測定に使用する光学系の開口数NAを段差構造の形状にあわせて可変とすることにより、測定対象の形状等に応じた高精度な測定が可能になる。
【0061】
また、シリコンウェーハの厚みのバラツキに影響されることがなく又、シリコンウェーハの裏面から表面に焦点を合わせて測定し、穴の深さ方向に焦点移動させ、全ての穴の深さのが測定できた時点で測定を終了すればよいため厚みを測る必要はない。言い換えると、例えば厚みが0.775mmのウェーハでも穴の深さが50μmであり、バラツキで最も深くなった穴を例えば55μmとすれば、その時点で測定を終了させればいいので、測定時間が早くなる。また、穴の深さ測定おいてはウェーハ裏面の測定は全く必要ない。
したがって、高アスペクト比の穴等の段差構造の形状を、直接的に、正確に又高速に測定することが可能である。
【0062】
また、直径2μm、深さ50μmのアスペクト比1:25の穴の深さ等の形状を高速に測定でき、生産のインラインで生産タクトを落とさずに高速に精度よく測定することが可能になる。
また、シリコンに形成された、小さな穴(2μm〜100μm)、直径と深さのアスペクト比が1:25以上の大きなものであっても、アスペクト比に左右されず穴の深さ、形状の測定が可能になる。
【0063】
また、良品のLSIチップ同士を複数枚接合したときに、接合部分とその周辺に異常が発生する可能性の有無、製品出荷後に接合異常が発生する可能性の有無、マイクロクラック等が存在して、それが成長して市場不良、不良回収につながる不具合発生の可能性の有無等を三次元画像で検査することが可能になる。
また、積層したシリコンウェーハの接続部およびその周辺等の観察が同じ方法と装置で実現できるようになり、積層ウェーハ技術を支える検査、品質を出荷時だけでなく出荷後の品質の保証も実現でき、市場での品質異常、不良回収を未然に防ぐことができるようになる等の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0064】
シリコンウェーハに設けられた微細、高アスペクト比の有底穴、階段形状等の段差構造の測定のみならず、可視光、近赤外光または赤外光が透過するシリコン以外の材料、例えば、ガラス、セラミック、化合物半導体に設けられた段差構造の測定・検査に適用できる。
【符号の説明】
【0065】
101・・・シリコンウェーハ
102・・・表面
103・・・裏面
104・・・未貫通ビア
105・・・底面
401、1101・・・レーザ光源
402・・・エキスパンダ
403・・・コリメータ
404・・・偏光ビームスプリッタ
405・・・XYスキャナ部
406・・・λ/4波長板
407・・・対物レンズ
408・・・結像レンズ
409・・・共焦点ピンホール
410・・・光検出器
501・・・共振型レゾナントスキャナ
502・・・ガルバノスキャナ
601・・・アパーチャ
801・・・1単位領域
1102・・・偏光板
1103・・・受光器
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光、近赤外光または赤外光が透過可能な材料に設けられた有底穴等の段差のある構造の形状の測定方法に関し、例えば、積層LSI(Large Scale Integrated circuit)チップ作成の際に積層のために用いるシリコン貫通電極(Through Silicon Via(TSV);貫通ビア)の深さ等の段差のある形状を予め把握するために、貫通ビアを完成する前の未貫通ビアの形状等を測定する段差構造測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体の微細加工技術は現時点では65nm前後であるが25nmに向かって量産化が進んでいる。しかし、数年後には微細化の限界が来るのではないかと予測されている。
また、製造装置価格も高額となり、半導体メーカー1社では設備投資の限界を超えているといわれる。
このように、二次元では限界が近づいてきており、三次元へのアプローチが始まった。
【0003】
LSIを三次元化するためにはシリコンに貫通穴を設け、電極を通し、バンプで接続して積層していくことになる。
例えば、積層DRAM(Dynamic Random Access Memory)を形成する方法として、DRAM素子を形成する前に貫通電極を形成するVia First法があるが、Via First法によってDRAM素子を形成する場合、概略次のような工程を経て行われる。
【0004】
1.シリコンウェーハをドライエッチングでエッチングして貫通ビア用の有底穴(未貫通ビア)を形成し、
2.CVD(Chemical Vapor Deposition)で未貫通ビアの側壁に絶縁膜を形成し、
3.CVDで未貫通ビアに高P(リン)濃度のポリシリコンを充填し、
4.CMP(Chemical Meshanical Polishing)でシリコンウェーハ表面のポリシリコンを除去し、
5.DRAM素子形成後に電界めっきでシリコンウェーハ表面側にマイクロバンプを形成し、
6.シリコンウェーハをBG(Back Grinding)とCMPで50μm程度の所定厚まで薄化して貫通ビアを形成し、
7.CVDで窒化膜を形成し、
8.ドライエッチングで貫通電極部を開口することによってして配線を形成し、
9.電解メッキで裏面側にマイクロバンプを形成した後、ダイシングする。
【0005】
前記の如くして積層DRAM等の積層LSIチップが形成されるため、貫通ビアを構成する貫通穴の深さ等の形状の測定と、品質保証のために、市場で不良になる可能性を十分に予測できる検査をしておかなければならない。
これは、電気的な検査だけで検出することはできず、内部解析で異常につながる可能性を画像で捕まえる必要が出てくる。
【0006】
まず始めに、貫通穴の深さや径等の形状が安定してできていることを検査することが、積層前には必要になる。
しかし、要求される貫通穴の仕様は、例えば直径2μm、深さ50μmという、アスペクト比1:25の穴であり、通常の光学測定では回折現象のため困難な要求もある。これは積層した構造で、熱を放出できなければ、設計の自由度が狭くなるため、小さなギャップにして、なおかつ熱伝導の良い材料(例えば、シリコンコンパウンド)等の充填により、熱対策をとることが必須になることに関係している。
【0007】
例えば、図1に示すように、シリコンウェーハ101の表面102から裏側103方向に所定の径及び深さ(例えば直径2μm、深さ50μm)に形成される高アスペクト比の貫通ビアの深さ等の形状を、貫通ビア完成前の未貫通ビア104の段階で、未貫通ビア104に測定用の可視光Lを入射させることにより測定する方法が考えられる。
しかしながら、可視光Lは未貫通ビア104に入射しても、回折現象によって未貫通ビア104の底面105からは測定に必要な所定量以上の光Lが戻ってこないため、未貫通ビア104の深さ等の形状が測定困難である。
尚、図1において、未貫通ビア104を貫通ビアにする際には、シリコンウェーハ101は裏面103から破線C位置まで削除される。
【0008】
一方、近赤外光または赤外光はシリコンをある程度透過できるので、これを用いてシリコンウェーハ101の内部が観察可能である。
しかしながら、未貫通ビア104の屈折率(未貫通ビアに含まれる空気の屈折率)が略1でありシリコンウェーハ101の屈折率が約3.4〜3.8である。したがって、図2に示すように未貫通ビア104の側壁で反射してしまい、近赤外光または赤外光Lを未貫通ビア104の底面105まで進入させることが困難である。
【0009】
よって、測定に光線を使う限り、干渉法、共焦点法等の他の測定法でも前記のような高アスペクト比の穴の深さ等の形状の測定はシリコンウェーハの表面側からの測定では困難である。
他方、特許文献1には、高アスペクト比の微小穴の一種であるトレンチの深さを裏面から赤外光で測定するようにした発明が開示されている。
【0010】
しかし、特許文献1の請求項1には、<ウェーハを透過可能な波長の光源を使用し、前記ウェーハの前面及び背面からの反射光を受光することと、前記前面がトレンチの内部を支持するようにされており、更に、トレンチの突出部の高さを測定する作業と、突出部の高さを、前記前面と前記背面間の前記測定高さの差の変換によって較正する作業とによってトレンチ深さを測定する方法。>と記載されている。
【0011】
これを分かりやすく理解するためには、特許文献1の図11のフロー図で理解が容易になる。このフロー図のポイントを見ると、次のようになる。
1.まず、ウェーハの表面、裏面からの応答を受信する。
2.次に各センサからの前記表面及び裏面の各高さ値を記録する。
3.前記各高さ値に基づいて厚さ値に変換する。
4.ウェーハの形状変化を計算表示する。
と記載されている。
【0012】
つまり、簡単に言うと、シリコンウェーハの厚さからトレンチの底の位置を比例的に計算している。
しかし、この場合、基準となるシリコンウェーハの厚みにバラツキがあると、それはそのまま、トレンチ深さの測定値のバラツキになってしまう。実際シリコンウェーハは、例えば12インチウェーハでは、厚さ0.775mm±0.025mmのバラツキを持っている。つまり±3.2%のバラツキがあり、これがそのままトレンチ深さの測定誤差になるため、測定精度が悪いという問題がある。
この問題を解決するためには、予めシリコンウェーハの厚みを測っておき、前記厚みによって測定値を補正する必要がある。しかしながら、予めシリコンウェーハの厚みを測るために測定時間がかかるため、高速な測定が困難という問題がある。
【0013】
また、上記のような高アスペクト比の穴を赤外光干渉法によって測定できる可能性があると推測される測定装置がフランスのFOGALE社から、製品名DeeProbeとして販売されている。しかしながら前記測定装置では、一穴測定するのに2秒近くを要し、この方式では大幅な高速化は困難であり、生産のインライン検査で使用する場合、生産タクトを下げてしまう問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−83059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、可視光、近赤外光または赤外光が透過する材料に設けられた高アスペクト比の穴の深さ等の段差構造を正確且つ高速に測定することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、可視光、近赤外光または赤外光が透過する材料に設けられた未貫通ビア、トレンチまたはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微少電気機械素子)等の段差構造を測定する段差構造測定方法において、可視光、近赤外光または赤外光の測定用光を前記段差構造が形成された面の裏側から照射し、前記測定用光が前記材料に焦点を結ぶ位置を測定することによって又は前記材料からの反射光を測定することによって前記段差構造の形状を測定し、予め取得した前記材料の屈折率を用いて又は屈折率を測定する屈折率測定手段によって測定した前記材料の屈折率を用いて、前記測定した形状を換算することにより前記段差構造の実際の形状を算出することを特徴とする段差構造測定方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、可視光、近赤外光または赤外光が透過する材料に設けられた高アスペクト比の穴の深さ等の段差構造を正確且つ高速に測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】可視光を用いた一般的な測定方法を示す説明図である。
【図2】近赤外光を用いた一般的な測定方法を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態の動作を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に使用する共焦点顕微鏡の概略図である。
【図5】本発明の実施の形態に使用するXYスキャン部の概略図である。
【図6】本発明の実施の形態の動作を説明する説明図で、高NAの光線図である。
【図7】本発明の実施の形態の動作を説明する説明図で、低NAの光線図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるXYスキャンの概略図である。
【図9】本発明の実施の形態で使用するブリュースター角の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態ににおける密集した未貫通ビアと光線の関係を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態においてブリュースター角測定からシリコンウェーハの屈折率を求める方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
前述したように、例えば直径2μm、深さ50μmのような高アスペクト比の有底穴等の頑さ構造の形状測定は、可視光の場合は回折現象によって未貫通ビア104の底面105からは測定に必要な量の光が戻ってこず、又、近赤外光または赤外光の場合においては表面側から穴に光を進入させることが困難であったり、光線が散乱し計測の大きな障害になる等のため、測定が困難である。
本発明の実施の形態では、前記問題を解決するために発想を全く変えて未貫通ビア等の段差構造に測定用光を入射させようとせずに、逆に段差構造を有する材料(例えばシリコンウェーハ)の裏側(段差構造が形成されている面(表面)の裏側)から近赤外光又は赤外光を照射し、段差構造の外側から観察、検査することで穴等の段差構造のアスペクト比がいくら高くても測定可能な方法を実現している。
【0020】
ここで、段差構造とは、ガラスのような透明体やシリコンウェーハ等の可視光、近赤外光又は赤外光が透過可能な材料の表面側から裏面側に向かって形成された未貫通ビアやトレンチ等の有底穴や有底溝、MEMS等、シリコンウェーハ表面との間に段差を有する構造を意味している。また、形状とは、有底穴等の段差構造の深さ、径、長さ、面積等の可視光、近赤外光又は赤外光によって測定可能な形を意味している。
以下、本発明の実施の形態に関して図面を参照しながら、高アスペクト比でシリコンウェーハにドライエッチング等で深堀りされた未貫通ビアの深さ等の形状を高精度で高速に測定する例を説明する。
【0021】
尚、本発明の実施の形態において、測定に使用する光としては可視光、近赤外光又は赤外光を使用できるが、波長350nm以上の可視光は例えばガラスのような透明体に対して有効である。また、シリコンウェーハについては900nm〜3000nmの範囲内の近赤外光又は赤外光が好ましい。このような波長の近赤外光又は赤外光が好ましい理由としては、900nm未満の光はシリコンを透過しないためである。尚、以下の記載においては、シリコンウェーハ材料について記述しているが、本発明では材料を光が透過する場合は、その波長の光を使用することができるので、材料はシリコンウェーハに限定されるものではない。
また、測定用光の波長が長くなることによって分解能の目安となるエアリーディスク半径(=0.61λ/NA(但し、λは使用する測定光の波長、NAは開口率である。))が大きくなり、これによって測定精度が大きく劣化するため、必要な測定精度が得られる上限の波長として上限値3000nmに設定している。
【0022】
図3は、本発明の実施の形態に係る段差構造測定方法の概略説明図である。
図3の例は、シリコンウェーハ101の表面102と未貫通ビア104の底面105とによって段差(本例では未貫通ビア104の深さに相当)が形成された段差構造の例である。未貫通ビア104は、貫通ビアを形成する前段階のものであり、シリコンウェーハ101の表面102側から裏面103側に向かって所定径で所定深さに形成された有底穴であり、シリコンウェーハ101の表面102側に露出している。
【0023】
先ず、段差構造の形状(例えば未貫通ビア104の深さ)を測定する場合、シリコンウェーハ101の裏面103側から、シリコンウェーハの表面102、及び、未貫通ビア104の底面105に、可視光、近赤外光または赤外光の中の所定波長の光である測定用光Lを照射する。
次に、共焦点測定法等の測定方法を用いて、シリコンウェーハ102の表面102及び未貫通ビア104の底面105で反射した測定用光Lを検出し、基準となる所定位置から表面102までの距離と、前記所定位置から底面105までの距離を測定する。前記所定位置から表面102までの距離と前記所定位置から底面105までの距離との差を算出することによって、見かけ上の未貫通ビア104の深さを測定する。
【0024】
次に、予め情報として取得していたシリコンウェーハ101の屈折率を用いて、或いは、シリコンウェーハ101の屈折率を測定する屈折率測定手段を用いて測定したシリコンウェーハ101の屈折率を用いて、前記見かけ上の形状に前記屈折率による換算処理を施して実寸法の形状を算出するようにしている。
前記特許文献1と大きく異なるところは、この屈折率の情報を用いて直接的に実際の値を測定する点である。
尚、図3において未貫通ビア104から貫通ビアを形成する際には、シリコンウェーハ101は裏面103から破線C位置まで削除される。
【0025】
本実施の形態に係る測定方法により、可視光、近赤外光または赤外光(シリコンの透過しやすさという点から1127nm以上の波長がより好ましく且つ一定以上の分解能を得るという点から3000nm以下の波長がより好ましい。)の測定用光Lをシリコンウェーハ101の裏面103側から照射することにより、未貫通ビア104のアスペクト比が1:25でも1:200でもそれ以上でも問題なく測定できる。また、屈折率による換算処理によって、より高精度な形状測定が可能になる。
【0026】
尚、詳細は後述するが、屈折率を測定するためにブリュースター角を短時間で測定し、なおかつ正確に求めるために、1つの屈折率測定点の屈折率を複数回測定してそれらの平均値をとり、さらにシリコンウェーハの測定対象領域においてXY方向の複数の屈折率測定点で測定している。
また、例えば後述する共焦点法で測定する場合、1画素当たり1μm角の領域として2000×2000画素分の領域を、1回に測定する1単位領域として、シリコンウェーハの測定対象領域を複数の単位領域に区分し、各単位領域毎に段差構造の形状(段差形状)を測定し、これをシリコンウェーハの全測定対象領域について行うようにしている。
【0027】
この場合、段差構造の測定開始時(各単位領域毎に見かけ上の段差形状を測定する直前)に、段差形状を測定する測定用光と同じ波長の測定用光を用いてシリコンウェーハの各単位領域の屈折率を測定し、前記測定用光によって測定した各単位領域の形状の測定値を、当該単位領域の屈折率(屈折率の精度を上げるためには当該単位領域において複数回測定した屈折率の平均値でもよい。)に基づいて換算して実際の形状を求めることにより、シリコンウェーハ内で屈折率の分布が変化しても誤差が生じないようにしている。これにより、十分な測定精度が確保できる。
屈折率の測定は、段差構造の測定開始時ではなく、段差構造の測定終了時(各単位領域に見かけ上の段差形状を測定終了した直後)に行うようにしてもよい。
【0028】
TSVの穴の場合には、直径2μmでピッチが6μmで形成される場合もあるので、TSVが所定密度以上に密集する場合、図7に示すように対物レンズ407の前段に配置したアパーチャ601を小さくすることによって、未貫通ビアの側壁で測定用光が反射しないように開口数NAを小さくした方が、コントラストの高い像が得られる場合がある。
【0029】
また、TSVが所定密度以上に密集していない場所での測定は、図6に示すように対物レンズ407の前段に配置したアパーチャを大きくすることによって、開口数NAを大きくして集光スポットを小さくした方が分解能が良くなる。この集光スポットは一般的にエアリーディスクと呼ばれ、エアリーディスク半径ε=0.61λ/NAできまる。これは、光の波としての性質のために回折現象が生じるからである。
【0030】
本発明の実施の形態では、図6又は図7のように、段差構造の形状測定に使用する光学系の開口数NAを、段差構造の形状にあわせて変えるようにしている。
また、エアリーディスクが大きくならないように、近赤外光の波長は1127nm以上が好ましいと言えども、上限で3000nm以下に抑えることが好ましく、1500nm以下に抑えることがより好ましい。
これにより、良品のLSIチップ同士を複数枚接合したときに、接合部分とその周辺に異常はないか、また製品出荷後に接合異常が発生しないか、マイクロクラック等が存在して、それが成長して市場で不良になり、不良回収につながる不具合発生の可能性はないか等、三次元画像で検査できるようになる。
【0031】
次に、本発明の実施の形態に係る段差構造の測定方法に使用する測定装置の概略構成と測定動作について詳細に説明する。
図4は、本実施の形態で使用する共焦点レーザ顕微鏡の光学系を示す構成図である。
図4において、レーザ光源401は、可視光、近赤外光または赤外光における所定波長の測定用光Lを出力し、測定用光Lをエキスパンダ402及びコリメータ403で平行光に広げ、偏光ビームスプリッタ404で測定用光LのS偏光成分を反射してXYスキャナ部405に導出する。
【0032】
XYスキャナ部405は図5のように、測定用光LをX方向にスキャンするための共振型レゾナントスキャナ501及び測定用光LをX方向に直角なY方向にスキャンするガルバノスキャナ502を備えている。
レゾナントスキャナ501は共振型で高速にミラー駆動が可能なスキャナである。本実施の形態で使用するレゾナントスキャナ501は約8KHzで往復動作する。つまり、0.0625msecで1行の走査が行える。
【0033】
ガルバノスキャナ502は測定用光LをY方向に所定行(例えば2000行)走査する。
レゾナントスキャナ501からの測定用光Lを、2000行ガルバノスキャナ502で列方向に走査することで1画面(例えばX方向2000画素×Y方向2000画素)の像が125msecで得られることになる。これは形状測定の1単位である2000×2000画素の画像を8フレーム/秒で取得できることになる。
【0034】
これから、1画素当たりの取得時間を算出すると、31.25nsecになり、読み出し速度は32MHzの光検出器が必要になるが、浜松ホトニクス株式会社製の製品G8376−03は2.5nsecである。A/D(アナログ/デジタル)変換器も32MHz以上で10ビットのものがあればよく、例えばナショナルセミコンダクター社製のAD12V170は12ビット、170MSPS(メガサンプルパーセコンド)ものがあり、速度にもまだ余裕がある。
レゾナントスキャナ501の速度が上がれば、さらに画像取得速度が上がる。また、要求仕様を満たすMEMSスキャナができれば、これを使用することも可能である。
【0035】
XYスキャナ部405を介して出力された測定用光Lは、λ/4波長板406によって円偏光の測定用光Lに変換された後、対物レンズ407を介して測定対象物であるシリコンウェーハ101に照射される。λ/4波長板406は偏光ビームスプリッタ404とともに用いて、シリコンウェーハ101からの反射光がレーザ光源401に戻らないようにするためのものである。
【0036】
これによりシリコンウェーハ101は裏面103側から測定用光Lによって走査されることになるが、図8に示すようにXY方向に、シリコンウェーハ101の1単位領域(本実施の形態ではX方向2000画素×Y方向2000画素)801毎に測定用光Lで走査が行われる。
前記走査によって、各単位領域毎に各画素において、シリコンウェーハ101の表面102及び未貫通ビア104の底面105で測定用光Lが反射する。
【0037】
前記反射した測定用光Lは、対物レンズ407、λ/4波長板406、XYスキャナ部405、偏光ビームスプリッタ404を順に通過し、結像レンズ408及びピンホール409を介して光検出器410で検出される。
前記測定動作を、所定長単位でZ軸方向にスキャンしながら行う。光検出器410によって鮮明な像が検出されたときのZ方向位置が所定位置を基準とするシリコンウェーハ101の表面102及び未貫通ビア104の底面105の位置となる。表面102と底面105の位置の差をとることによって未貫通ビア104の見かけ上の深さが求められる。
【0038】
前記動作をシリコンウェーハ101の全測定対象領域にわたって行うことにより、シリコンウェーハ101の全測定対象領域における表面102及び未貫通ビア104の底面105の見かけ上の位置を測定し、シリコンウェーハ101の全測定対象領域に設けられた未貫通ビア104の見かけ上の深さを測定する。
【0039】
その後、予め情報として得ていたシリコンウェーハ101の屈折率を用いて、あるいは、前記測定動作開始時若しくは前記測定動作終了時に測定したシリコンウェーハ101の屈折率を用いて、前記見かけ上の測定値を実際の値に換算して、未貫通ビア104の実際の深さを算出する。例えば、未貫通ビア104の見かけの深さをDM、空気の屈折率をn1、シリコンウェーハ101の屈折率をn2とすると、実際の深さDSはDM・n2/n1となる。
【0040】
尚、本実施の形態では、段差形状を測定する単位領域毎に屈折率を複数回測定してそれらの平均値を算出し、前記平均値を当該単位領域の屈折率として用いて、当該単位領域の測定値を実際の値に変換するようにしているが、シリコンウェーハ101全体から複数の点を選択して屈折率を測定し、それらの平均値を各単位領域に共通するシリコンウェーハ101の1つの屈折率として用いて、各単位領域毎の測定値を、前記1つの屈折率によって換算して実際の値を求めるようにする等、種々の変更が可能である。
【0041】
前記仕様でシリコンウェーハ101に形成された、表面102から深さ50μの未貫通ビア104の深さを測るための方法をより詳細に示せば、以下の通りである。
1.シリコンウェーハ101の測定を開始するために、まず自動位置決めを行う。これはシリコンウェーハ101表面に設けられたシリコンウェーハ101の位置決めマーク(図示せず)または一定以上の距離を持った複数の未貫通ビア104により、少なくとも2点のXY(水平)位置及びZ(垂直)位置を決めて取り込む。
これには、例えば5秒程度の時間があれば可能である。 −−−−−−−(1)
【0042】
2.最初のシリコンウェーハ101内の測定チップに移動し、XYZ位置を決める。これには、例えば1秒程度の時間があれば可能である。 −−−−−−−(2)
3.次に、例えば、1画素当たり1μm角で2000×2000画素の2mm角を1単位の領域として測定を開始する。
【0043】
4.段差構造の形状測定の最初のステップはシリコンウェーハ101の屈折率測定から行う。屈折率の測定は表面102ではなく、裏面103側からの測定(例えばブリュースター角による反射測定)になるため、ウェーハ101の厚み方向Zの無駄な移動を防ぐために、まずある単位(例えば2mm間隔)でシリコンウェーハ101全体の屈折率分布(複数の点の屈折率)を、未貫通ビア104を測定する全測定対象領域について測定し必要に応じて平均化により各測定値の測定誤差を低減する。例えば、未貫通ビア104の実際の形状を算出する際にシリコンウェーハ101全体について1つの屈折率を使用する場合には全測定対象領域について屈折率を平均化して1つの屈折率を算出する。また、各単位領域毎の屈折率を用いて形状を算出する場合には、各単位領域毎に複数回測定した屈折率を平均化して、各単位領域毎の屈折率を算出する。
ここで、<300mmウェーハの回路領域はオリフラと外周部を考慮して直径300mmの面積の85%に回路が形成されており、そのうち10%がTSVの領域である>と仮定すると、測定の必要な面積(全測定対象領域の面積)は、
3.1415×150×150×0.85×0.1=6008mm2
となる。2mm角の単位で屈折率を複数回測定し平均化して測定精度を上げて1箇所に付き10msecで屈折率測定および屈折率のデータ取り込みを行う場合、2mmの移動時間を0.2秒とすると、1シリコンウェーハ101あたり、次の時間で屈折率の分布データを取り込むことになる。
0.21秒×(6008/4)=315.42秒 −−−−−−(3)
ここで、(6008/4)は、全測定対象領域における取り込み領域数である。
【0044】
5.次に、シリコンウェーハ101において未貫通ビア104の深さを測定する最初の表面102の位置を検出する。
これは、例えば1秒程度の時間があれば可能である。 −−−−−−(4)
6.ここから、未貫通ビア104の深さの測定を開始する。測定は精度を確保するために、シリコンウェーハ101の表面102から未貫通ビア104の深さ方向に測定することが好ましい。
戻って表面102位置にセットするのに、例えば0.1秒程度の時間があれば可能である。これに必要な時間は、
0.1秒×((6008/4)−1)=150.1秒 −−−−−−(5)
【0045】
7.深さ測定に必要な時間は、例えば、次の表1ようなステップで深さ方向(Z方向)にスキャンすることで効率的に精度良く測定することができる。
【表1】
【0046】
表1で測定する場合、垂直(Z)方向には11画面の画像を取り込むことになる。測定時間は、表1から取り込み領域数をかけて、
1.445秒×(6008/4)=2170秒 −−−−−−(6)
1ウェーハ当たりの測定時間は、上記時間(1)から(6)を合計して、2642秒(44.04分)となる。
1日に測定できる枚数は、60分×24÷39.04分/枚=32.7枚となり、1ヶ月では981枚/30日の測定が可能になる。
ウェーハ1枚当たりのLSIの取れ数を600とすると、58万8千チップ/月の測定速度になる。
尚、シリコンウェーハ101についての前記屈折率測定は、全測定対象領域の見かけ上の形状測定が終了した時点で行うようにしてもよい。
【0047】
次に、材料の屈折率を測定する方法について具体的に説明する。
屈折率を測定するには、分光エリプソ測定器を用いる場合とブリュースター角を測定して屈折率を求める場合の2種類が考えられる。
一般的には、分光エリプソ測定器で測る方がより精度が高いといわれるが、モデリング、マッチング等に測定時間がかかるので、時間を短縮するためにはブリュースター角を精度よく測ることの方が装置の高速化には向いている。
そこで、本実施の形態では、ブリュースター角測定から屈折率を求める方法を記載する。
但し、分光エリプソ測定器を用いて屈折率を測るようにしてもよい。
【0048】
2つの屈折率の異なる材質の界面にある角度をもって光が入射する時、入射面に平行な偏光成分(P偏光成分)と、入射面に垂直な偏光成分(S偏光成分)とでは反射率が異なり、P偏光成分はある角度(ブリュースター角θp)で反射率が0まで減少し、その後増加する。S偏光成分は反射率が単調に増加する。
ブリュースター角θpは2つの材質の屈折率n1、n2から次式によって求められる。
ブリュースター角θp=Arctan(n2/n1)
n1は入射側材質(本実施の形態では空気)の屈折率、n2は透過側材質(本実施の形態ではシリコン)の屈折率である。したがって、入射側材質の屈折率n1が既知の場合、ブリュースター角θpを測定することによって透過側材質の屈折率n2を求めることができる。
【0049】
例えば、ガラス(n=1.52)の場合、P偏光成分とS偏光成分およびブリュースター角θpの関係は図9のように表わされる。
上記の式より、ガラス(n=1.52)の場合、空気の屈折率nをn=1.000292とした場合、ブリュースター角θはθp=56.65度、シリコンの屈折率が例えば同じ近赤外光でn=3.412とすると、θp=73.66度となる。逆に、ブリュースター角θpを正確に求めると、正確に屈折率nを求めることができる。
【0050】
図11は前記原理を用いて、ブリュースター角θp測定から測定対象物の屈折率を求める方法の説明図である。
図11において、レーザ光源1101は屈折率測定用の測定用光Lを測定対象物に対して可変な角度で照射する光源であり、偏光板1102は測定用光LのP偏光成分を通過させる偏光板、受光器1103は測定対象で反射した測定用光Lを検出する光検出手段であり、これらによって、ブリュースター角測定によって屈折率を測定する屈折率測定器が構成されている。また、レーザ光源1101、偏光板1102及び受光器1103は屈折率測定手段を構成している。
【0051】
レーザ光源1101から出射した屈折率測定用の測定用光Lは、空気(屈折率がn1)1104中に配置された偏光板1102を通って、屈折率測定の対象物であるシリコンウェーハ(屈折率がn2)1105で反射した後、受光器1103によってP偏光成分の測定用光Lが検出される。
レーザ光源1101から偏光板1102を介して測定用光Lがシリコンウェーハ1105に入射する角度を変えながら、受光器1103によってP偏光成分の測定用光Lを検出し、受光器1103によって検出されるP偏光成分が0になるときの入射角度を測定する。P偏光成分が0になるときの入射角度がブリュースター角θpである。
屈折率測定用のレーザ光源1101から出力される測定用光Lを、段差形状測定用のレーザ光源401から出力される可視光、近赤外光又は赤外光と同じ波長の光とすることにより、屈折率を正確に測定することが可能になり、その結果、実際の段差形状を正確に測定することが可能になる。
【0052】
このようにして、シリコンウェーハ1105の複数の点で屈折率を測定し、全測定点の屈折率をシリコンウェーハ全体の1つの屈折率として使用し、測定した形状に、屈折率による換算を行って実際の形状を算出する。あるいは、測定した各単位領域の屈折率をシリコンウェーハ1105の各単位領域の屈折率として使用して、形状を測定する単位領域毎に該単位領域の屈折率を用いて、測定した形状に、屈折率による換算を行って実際の形状を算出するようにしてもよい。
【0053】
次に、図6、図7に関して説明したように、有効な測定を行えるよう、測定対象に応じて光学系の開口数NAを変えるようにしており、以下、開口数NAを小さくした方が有利な場合について説明する。
開口数NAを小さくすることは、焦点を小さくすること、言い換えればエアリディスクを小さくすることにおいては不利になるが、図10のようにシリコンウェーハ101内に高アスペクト比の未貫通ビア104が所定密度以上の高い密度で密集する場合は有利になることがある。
【0054】
これはその密集した未貫通ビア104の壁で全反射または反射した測定用光Lがノイズとなり、像のコントラストを落とす場合がある。このようなときには、開口数NAを小さくしたほうが正確な測定ができる。
したがって測定対象物の形状にあわせて開口数NAを変えることが有効であり、例えば図10のようにシリコンウェーハ101内に未貫通ビア104が所定値以上の密度で密集した場合にはあえて開口数NAが小さくなるように変えて測定を行う。
【0055】
本実施の形態では、共焦点測定法を用いて焦点を結ぶ位置を測定することによって段差構造の見かけ上の位置(換言すれば見かけ上の形状)を測定したが、光干渉測定法又はレーザ三角測定法を用いて反射光を測定することによって見かけ上の形状を測定し、前記測定した形状に、既知の屈折率または測定した屈折率による換算を行って実際の形状を算出するように構成してもよい。
また、本実施の形態では、屈折率測定手段として、ブリュースター角測定によって屈折率を求める手段を用いたが、分光エリプソ測定器を用いるようにしてもよい。
【0056】
また、本実施の形態では、シリコンウェーハの屈折率を屈折率測定手段によって測定して求めるようにしたが、全体としての1つの屈折率が予め既知であれば、当該既知の屈折率を用いて、測定した形状を換算し、実際の形状を算出するようにしてもよい。また、シリコンウェーハの複数の点の屈折率が既知の場合には、形状を測定する領域毎に、測定した形状に屈折率による換算を行って実際の形状を得るようにしてもよい。
また、本実施の形態では、段差形状が設けられた材料としてシリコンウェーハの例で説明したが、可視光、近赤外光又は赤外光が透過可能な材料であれば適用可能であり、例えば、ガラス、セラミック、化合物半導体の場合にも適用可能である。
【0057】
以上述べたように、本発明の実施の形態によれば、可視光、近赤外光または赤外光が透過する材料に設けられた未貫通ビア、トレンチまたはMEMS等の段差構造を測定する測定方法において、可視光、近赤外光または赤外光の測定用光を前記段差構造が形成された面の裏側から照射し、前記測定用光が前記材料に焦点を結ぶ位置を測定することによって又は前記材料からの反射光を測定することによって前記段差構造の見かけ上の形状を測定し、予め取得した前記材料の屈折率または測定によって得た前記材料の屈折率を用いて前記測定した形状を換算して実際の形状を算出することを特徴としている。
【0058】
また例えば、可視光、近赤外光または赤外光の測定用光Lを未貫通ビア104が形成されたシリコンウェーハ101の裏面103側から照射し、共焦点測定法により、測定用光Lがシリコンウェーハ101の表面102及び未貫通ビア104の底面105に焦点を結ぶ位置を測定することによって未貫通ビア104の見かけ上の形状を測定し、予め取得したシリコンウェーハ101の屈折率または屈折率を測定する屈折率測定手段によって測定したシリコンウェーハ101の屈折率を用いて、前記測定した見かけ上の形状を換算して未貫通ビア104の実際の形状を算出するようにしている。
したがって、可視光、近赤外光または赤外光が透過する材料に設けられた高アスペクト比の穴の深さ等の段差構造の形状を正確且つ高速に測定することが可能になる。
【0059】
ここで、前記段差構造の形状測定方法として、前記測定用光が前記材料に焦点を結ぶ位置を測定することによって前記段差構造の形状を測定する共焦点測定法を用いることにより、高速且つ高精度な測定が可能になる。
また、前記段差構造の形状測定方法として、前記材料からの反射光を測定することによって前記段差構造の形状を測定する光干渉測定法を用いることにより、より高精度な測定が可能になる。
また、前記段差構造の形状測定方法として、前記材料からの反射光を測定することによって前記段差構造の形状を測定するレーザ三角測定法を用いることもできる。
また、前記屈折率測定手段にブリュースター角測定によって屈折率を測定する屈折率測定器を用いることにより、より高速な屈折率測定が可能になる。
また、前記屈折率測定手段に分光エリプソ測定器を用いることにより、より高精度な屈折率測定が可能になる。
また、前記材料の屈折率を測定する光の波長と、前記段差構造を測定する測定用光の波長を同じ波長とすることにより、より正確な屈折率測定が可能になる。
【0060】
また、前記段差構造の形状測定開始時または形状測定終了時にまとめて、前記材料の屈折率または屈折率分布を測定対象領域の裏面から測定することにより、総測定時間を短縮化することが可能になる。
また、前記段差構造の形状測定に使用する光学系の開口数NAを段差構造の形状にあわせて可変とすることにより、測定対象の形状等に応じた高精度な測定が可能になる。
【0061】
また、シリコンウェーハの厚みのバラツキに影響されることがなく又、シリコンウェーハの裏面から表面に焦点を合わせて測定し、穴の深さ方向に焦点移動させ、全ての穴の深さのが測定できた時点で測定を終了すればよいため厚みを測る必要はない。言い換えると、例えば厚みが0.775mmのウェーハでも穴の深さが50μmであり、バラツキで最も深くなった穴を例えば55μmとすれば、その時点で測定を終了させればいいので、測定時間が早くなる。また、穴の深さ測定おいてはウェーハ裏面の測定は全く必要ない。
したがって、高アスペクト比の穴等の段差構造の形状を、直接的に、正確に又高速に測定することが可能である。
【0062】
また、直径2μm、深さ50μmのアスペクト比1:25の穴の深さ等の形状を高速に測定でき、生産のインラインで生産タクトを落とさずに高速に精度よく測定することが可能になる。
また、シリコンに形成された、小さな穴(2μm〜100μm)、直径と深さのアスペクト比が1:25以上の大きなものであっても、アスペクト比に左右されず穴の深さ、形状の測定が可能になる。
【0063】
また、良品のLSIチップ同士を複数枚接合したときに、接合部分とその周辺に異常が発生する可能性の有無、製品出荷後に接合異常が発生する可能性の有無、マイクロクラック等が存在して、それが成長して市場不良、不良回収につながる不具合発生の可能性の有無等を三次元画像で検査することが可能になる。
また、積層したシリコンウェーハの接続部およびその周辺等の観察が同じ方法と装置で実現できるようになり、積層ウェーハ技術を支える検査、品質を出荷時だけでなく出荷後の品質の保証も実現でき、市場での品質異常、不良回収を未然に防ぐことができるようになる等の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0064】
シリコンウェーハに設けられた微細、高アスペクト比の有底穴、階段形状等の段差構造の測定のみならず、可視光、近赤外光または赤外光が透過するシリコン以外の材料、例えば、ガラス、セラミック、化合物半導体に設けられた段差構造の測定・検査に適用できる。
【符号の説明】
【0065】
101・・・シリコンウェーハ
102・・・表面
103・・・裏面
104・・・未貫通ビア
105・・・底面
401、1101・・・レーザ光源
402・・・エキスパンダ
403・・・コリメータ
404・・・偏光ビームスプリッタ
405・・・XYスキャナ部
406・・・λ/4波長板
407・・・対物レンズ
408・・・結像レンズ
409・・・共焦点ピンホール
410・・・光検出器
501・・・共振型レゾナントスキャナ
502・・・ガルバノスキャナ
601・・・アパーチャ
801・・・1単位領域
1102・・・偏光板
1103・・・受光器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光、近赤外光または赤外光が透過する材料に設けられた未貫通ビア、トレンチまたはMEMS等の段差構造を測定する段差構造測定方法において、
可視光、近赤外光または赤外光の測定用光を前記段差構造が形成された面の裏側から照射し、
前記測定用光が前記材料に焦点を結ぶ位置を測定することによって又は前記材料からの反射光を測定することによって前記段差構造の形状を測定し、
予め取得した前記材料の屈折率を用いてまたは屈折率を測定する屈折率測定手段によって測定した前記材料の屈折率を用いて、前記測定した形状を換算することにより前記段差構造の実際の形状を算出することを特徴とする段差構造測定方法。
【請求項2】
前記段差構造の形状測定に共焦点測定法を使用することを特徴とする請求項1記載の段差構造測定方法。
【請求項3】
前記段差構造の形状測定に光干渉測定法を使用することを特徴とする請求項1記載の段差構造測定方法。
【請求項4】
前記段差構造の形状測定にレーザ三角測定法を使用することを特徴とする請求項1記載の段差構造測定方法。
【請求項5】
前記屈折率測定手段にブリュースター角測定によって屈折率を測定する屈折率測定器を使用することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の段差構造測定方法。
【請求項6】
前記屈折率測定手段に分光エリプソ測定器を使用することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の段差構造測定方法。
【請求項7】
前記材料の屈折率を測定する光の波長と、前記段差構造を測定する測定用光の波長を同じ波長とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の段差構造測定方法。
【請求項8】
前記段差構造の形状測定開始時または形状測定終了時に、前記材料の屈折率または屈折率分布を測定対象領域の裏面から測定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の段差構造測定方法。
【請求項9】
前記段差構造の形状測定に使用する光学系の開口数NAを段差構造の形状にあわせて可変としたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載の段差構造測定方法。
【請求項10】
前記段差構造は近赤外光または赤外光が透過する材料に設けられた未貫通ビアであり、
前記測定用光は近赤外光または赤外光であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の段差構造測定方法。
【請求項1】
可視光、近赤外光または赤外光が透過する材料に設けられた未貫通ビア、トレンチまたはMEMS等の段差構造を測定する段差構造測定方法において、
可視光、近赤外光または赤外光の測定用光を前記段差構造が形成された面の裏側から照射し、
前記測定用光が前記材料に焦点を結ぶ位置を測定することによって又は前記材料からの反射光を測定することによって前記段差構造の形状を測定し、
予め取得した前記材料の屈折率を用いてまたは屈折率を測定する屈折率測定手段によって測定した前記材料の屈折率を用いて、前記測定した形状を換算することにより前記段差構造の実際の形状を算出することを特徴とする段差構造測定方法。
【請求項2】
前記段差構造の形状測定に共焦点測定法を使用することを特徴とする請求項1記載の段差構造測定方法。
【請求項3】
前記段差構造の形状測定に光干渉測定法を使用することを特徴とする請求項1記載の段差構造測定方法。
【請求項4】
前記段差構造の形状測定にレーザ三角測定法を使用することを特徴とする請求項1記載の段差構造測定方法。
【請求項5】
前記屈折率測定手段にブリュースター角測定によって屈折率を測定する屈折率測定器を使用することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の段差構造測定方法。
【請求項6】
前記屈折率測定手段に分光エリプソ測定器を使用することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の段差構造測定方法。
【請求項7】
前記材料の屈折率を測定する光の波長と、前記段差構造を測定する測定用光の波長を同じ波長とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の段差構造測定方法。
【請求項8】
前記段差構造の形状測定開始時または形状測定終了時に、前記材料の屈折率または屈折率分布を測定対象領域の裏面から測定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の段差構造測定方法。
【請求項9】
前記段差構造の形状測定に使用する光学系の開口数NAを段差構造の形状にあわせて可変としたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載の段差構造測定方法。
【請求項10】
前記段差構造は近赤外光または赤外光が透過する材料に設けられた未貫通ビアであり、
前記測定用光は近赤外光または赤外光であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の段差構造測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−191285(P2011−191285A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155366(P2010−155366)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000002842)株式会社高岳製作所 (72)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000002842)株式会社高岳製作所 (72)
【Fターム(参考)】
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