説明

光スイッチング電子源及びそれを用いた電子線描画装置

【課題】ブランカを用いない光スイッチング電子源及びそれを用いた電子線描画装置を提供する。
【解決手段】光スイッチング電子源1は、光源2と、光源2からの断続光が照射されることで電子を発生する電子発生部3と、を備え、電子発生部3は、光励起によって電子を発生する電子源9と、電子源から電子を引き出す電極7と、電子を引き出す電源8と、を備えている。電子源9は、pn接合又はpin接合9a等を用いることができ、pn接合9ap層6a又はn層6bが突起形状を有していてもよい。pn接合9aがアレイ状に配設されていれば、複数の電子線12を発生することができる。さらに、電子発生部3の電子出射側に電子線整形部4が配設されていてもよい。電子線整形部4は、アインツェルレンズ41と、アインツェルレンズ用電源11と、から構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光スイッチング電子源及びそれを用いた電子線描画装置に関する。さらに詳しくは、本発明は半導体装置の製造に使用される電子線描画装置等に用いられる光スイッチング電子源とこの電子源を用いた電子線描画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置やマイクロマシンの製造においては、微細なパターンを形成するためにリソグラフィ工程が使用されている。リソグラフィ工程は、例えば、酸化膜が形成された半導体基板上にレジストを被覆し、前加熱を行った後、ステッパ等の紫外線露光装置から出力された光が、半導体基板と光源の間に載置されるマスクを介して照射されることで露光される。光露光用のレジストはフォトレジストと呼ばれている。光を用いたリソグラフィ工程は、フォトリソグラフィと呼ばれている。マスクは、石英ガラス基板上に形成されたクロム(Cr)等の金属層を電子線描画装置を用いたリソグラフィ工程によって作製している。フォトリソグラフィの最小加工寸法は、紫外線露光装置の光源の波長で決まる(非特許文献1参照)。最先端の加工寸法であるマスクの最小線幅を45nmとした場合、集積回路を製造するために必要な1組のマスクの価格は例えば約2億円掛かり、納期は2〜3週間を要する。
【0003】
電子線描画装置は、電子線をレジストに照射することによってマスクを使用しないで直接基板上に形成したレジストに描画することができ、10nm程度までの線幅が得られる。しかしながら、電子線描画装置による場合には、フォトリソグラフィのように一括露光ができないので、単位時間当たりの基板処理枚数が少ない、つまり生産性(スループット)が低いという欠点がある。
【0004】
図22は、従来の電子線描画装置の構成を示す模式的な断面図である。
図22に示すように、従来の電子線描画装置50は、真空容器51と、真空容器51の上部に配設される電子源52と、電子源52の下部に配設される電子レンズ53と、電子レンズ53の下部に配設されるブランカ54と、ブランカ54の下部に配設されるスキャナ55と、スキャナ55の下部に配設されるレジスト付き基板56と、レジスト付き基板56の下部に配設され、かつレジスト付き基板56が載置されるステージ57等を含んで構成されている。
【0005】
ブランカ54は、電子源52から照射される電子線の開口部となるアパーチャ54aと電子線を曲げる電極54bとから構成されている。電子線を曲げる電極54bに電圧をかけ電子線をアパーチャ54aから外すことで電子線をレジスト付き基板56に照射しない状態とすることができる。逆に電子線を曲げる電極54bに電圧を印加しない場合にはレジスト付き基板56に電子線を照射することができる。つまり、ブランカ54は、レジスト付き基板56への電子線の照射をオンオフするスイッチ作用を有している。図22に示す電子線描画装置50のブランカ54以外の構成は、走査型電子顕微鏡と同様の構成であるので説明は省略する。
【0006】
従来の電子線描画装置50は、電子源52から一つの電子線でレジスト付き基板56上のレジストの描画を行うので、一括露光はできない。このため、従来の電子線描画装置50では生産性(スループット)が低いという欠点がある。
【0007】
従来の電子線描画装置50のスループットを向上させるために、電子線描画装置50は種々の改良がされている。例えば、電子線の並列化が非特許文献1で報告され、さらに、単一の電子源を磁気プリズムやパターンジェネレータと組み合わせた電子線描画装置が研究されている(非特許文献2参照)。図23に示すように、従来の並列型の電子線描画装置60は、複数の電子源62を備えており、この複数の電子源62に対応する何れも複数からなる電子レンズ63と、ブランカ64と、スキャナ65と、から構成されている。並列型の電子線描画装置60は、複数の電子源62を備えているので、図22の電子線描画装置50よりもスループットは向上する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】羽入勇、「45nm以降に向けたリソグラフィ技術−ArF液浸への期待とその後の展開−」、STRJWS, March 4, 2005,リソグラフィ
【非特許文献2】Semiconductor INTERNATIONAL,1267529433547_0.html,2009年9月15日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図22に示す従来の電子線描画装置50は、電子線を高速でオンオフするためのブランカ54が必要である。ブランカ54を高速で切り替えるためには、電子線を曲げる電極に印加する電圧が一定にならず、後段の電子光学系での集光に悪影響を与えてしまい、ビームを小さく絞ることが難しくなることや、機構が複雑になるという課題がある。さらに、図23に示す従来の並列型の電子線描画装置60は、スループットは向上するものの、複数のブランカ64が必要となり、ビームを小さく絞ること及び機構がさらに複雑になるという課題がある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、ブランカを用いない光スイッチング電子源及びそれを用いた電子線描画装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記第1の目的を達成するため、本発明の光スイッチング電子源は、光源と、光源からの断続光が照射されることで電子を発生する電子発生部と、を備え、電子発生部は、光励起によって電子を発生する電子源と、電子源から電子を引き出す電極と、電子を引き出す電源と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
上記構成において、好ましくは、電子源は、フォトダイオード、光導電セル、光導電効果を有する素子、及びフォトダイオード又は光導電セルに電子放出素子が接続された素子の何れかである。
電子源は、好ましくはpn接合又はpin接合からなり、pn接合又はpin接合のp層又はn層が突起形状を有している。
pn接合又はpin接合がアレイ状に配設されていてもよい。
pn接合又はpin接合のアレイが基板上に配設され、pn接合又はpin接合の近傍には光照射用の開口部が配設されていてもよい。
前記pn接合又はpin接合のp層又はn層には、さらにカーボンナノチューブが配設されていてもよい。
【0013】
上記構成において、好ましくは、さらに、電子発生部の電子出射側に電子線整形部が配設されている。電子線整形部として、好ましくは電界レンズ又は磁気レンズからなる。
電界レンズは、好ましくは、アインツェルレンズと、アインツェルレンズ用電源と、からなる。
【0014】
上記第2の目的を達成するため、本発明の電子線描画装置は、光源と、光源からの断続光が照射されることで電子を発生する電子発生部と、電子発生部の電子出射側に配設される電子線整形部と、を含み、電子発生部は、光励起によって電子を発生する電子源と、電子源から電子を引き出す電極と、電子を引き出す電源と、を備えていることを特徴とする。
【0015】
上記構成において、電子源は、好ましくはフォトダイオード、光導電セル、光導電効果を有する素子、及びフォトダイオード又は光導電セルに電子放出素子が接続された素子の何れかである。
光源と電子発生部との間に、光源スイッチ部が配設されていてもよい。
光源スイッチ部は、デジタルミラー素子又はレーザスキャンナを備えていてもよい。さらに、この光源スイッチ部は、光変調器を備えていてもよい。
電子線整形部は、好ましくは電界レンズ又は磁気レンズからなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光スイッチング電子源によれば、光源からの光の断続により電子線のオンオフを行うことが可能となり、並列した電子源を容易に発生することができ、ブランカを使用しない簡便な光スイッチング電子源を提供することができる。
【0017】
本発明の電子線描画装置によれば、電子線の発生にブランカが不要な光スイッチング電子源を用いるので、ブランカに用いる電子光学系が一つ不要となり、レンズ収差などの問題が軽減され、電子線描画装置全体の光学精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光スイッチング電子源の構成を示す模式図である。
【図2】電子発生部の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】電子発生部から電子を発生させる機構を説明する模式図である。
【図4】図1のアインツェルレンズの断面図である。
【図5】アインツェルレンズの動作を説明する模式図である。
【図6】電子発生部の製造方法の一例を順次に示す概略断面図である。
【図7】Siデバイス層に形成したレジストを用いたSiの等方性エッチングを説明する模式的な断面図であり、それぞれ(A)がエッチング前、(B)及び(C)がエッチングの途中状態を、(D)がエッチング終了時を示している。
【図8】作製したpn接合のレジスト除去前の走査型電子顕微鏡像(SEM像)を示す図である。
【図9】作製した電子発生部のpn接合において、レジスト除去後の形状を示すもので、(A)は査型電子顕微鏡像(SEM像)を示す図、(B)は等方性エッチングで形成されたpn接合の寸法を示す断面図である。
【図10】本発明の別の光スイッチング電子源の構成を模式的に示す図である。
【図11】電子発生部へ照射されるスイッチング光と、電子発生部から発生した出射電子線の電流を示す図であり、それぞれ(A)がエミッション電流測定用抵抗(R)が1MΩの場合、(B)がエミッション電流測定用抵抗(R)が10kΩの場合を示している。
【図12】電子発生部へ印加される電子引き出し用電源の電圧と発生する出射電子線の電流の関係を示す図であり、それぞれ電圧が(A)38V、(B)39V、(C)40V、(D)41V、(E)42Vの場合を示している。
【図13】電子発生部に印加される電圧(V)の逆数(V―1)とI/Vの関係を示す図である。
【図14】アインツェルレンズの製造方法の一例を順次に示す概略断面図である。
【図15】作製したアインツェルレンズの斜視形状を示す光学顕微鏡像である。
【図16】作製したアインツェルレンズにおいて、(A)が開口部を観察した走査型電子顕微鏡像(SEM像)を、(B)が図15のI−I線に沿う断面の走査型電子顕微鏡像(SEM像)を示す図である。
【図17】電子発生部の構成の変形例を模式的に示すもので、それぞれ(A)がフォトダイオードと電子放出素子との組み合わせを、(B)が光導電セルと電子放出素子との組み合わせを、(C)が電子放出素子を光導電効果を有する材料から構成した場合を示している。
【図18】本発明の電子線描画装置の構成を示す模式図である。
【図19】本発明の電子線描画装置の変形例の構成を示す模式図である。
【図20】本発明の電子線描画装置の変形例2の構成を示す模式図である。
【図21】本発明の電子線描画装置の変形例3の構成を示す模式図である。
【図22】従来の電子線描画装置の構成を示す模式的な断面図である。
【図23】従来の並列型の電子線描画装置を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面により詳細に説明する。各図において同一又は対応する部材には同一符号を用いる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光スイッチング電子源1の構成を示す模式図である。
図1に示すように、光スイッチング電子源1は、光源2と、電子発生部3と、電子線整形部4と、を含んで構成されている。電子発生部3及び電子線整形部4は、図示しない真空容器に収容されている。
【0020】
光源2は、例えばレーザ光源からなり、オンオフする断続した光、すなわち、スイッチング光2aを電子発生部3へ照射する機能を有している。
【0021】
図2は、電子発生部3の構成を模式的に示す断面図であり、図3は、電子発生部3から電子を発生させる機構を説明する模式図である。
図2に示すように、電子発生部3は、アレイ状に配設された各種の光を励起源として電子を発生する電子源9と、電子引き出し用電極7と、電子引き出し用電源8と、から構成されている。図示の電子発生部3は、電子源9がアレイ状に配設されたpn接合、又はpin接合から構成されている。電子源9のpn接合9aは基板6上に形成されている。基板6の表面側にはp層6aが形成され、このp層6aには選択的にn層6bが形成されている。つまり、基板6上には、二次元状に上記のpn接合9aが形成されている。
【0022】
pn接合で成る電子源9の下部の基板6は除去されて開口部10が形成されている。この開口部10に、光源2からのスイッチング光2aが照射される。電子引き出し用電源8は直流電源である。この直流電源8の正電圧が電子引き出し用電極7に印加され、負電圧がpn接合9aのp層6a側に印加される。開口部10は、pn接合9aの真下である必要はなく、開口部10はpn接合で成る電子源9に光が照射される位置に形成されていればよい。光源2からのスイッチング光2aが、pn接合9a又はpin接合9aに照射されることによって電子を発生する。
【0023】
図3に示すように、基板6の開口部10にスイッチング光2aが照射されると、電子源9としてのpn接合a又はpin接合9a中で電子及び正孔が生じ、電子引き出し用電極7に印加されている正電圧によってpn接合9aで生じた電子(e−)が真空中に放出される。pn接合9aがアレイ状に形成されている場合には、複数の電子線12を発生させることができる。ここで、pn接合9aは、Siや化合物半導体からなる所謂フォトダイオードや光導電セルを用いることができる。
【0024】
電子発生部3において、pn接合9aの突起の先端に、カーボンナノチューブを成長させて電子部9を構成してもよい。さらに、このような電子部9から成るアレイ構造としてもよい。この場合には、カーボンナノチューブは電界集中によって電子放出が容易なために、電子発生部3から発生する電流を増大させることができる。
【0025】
図1において、電子線整形部4は、電子発生部3から放出された電子線12を試料(図示しない)へ収束させる機能を有している。電子線整形部4は、例えば電界レンズから構成することができる。図1に示す電子線整形部4は、所謂アインツェルレンズからなるアレイ(アインツェルレンズアレイとも呼ぶ)から構成されている。
【0026】
図4は、図1の電子線整形部4としてのアインツェルレンズ41の断面図である。
図4に示すように、アインツェルレンズアレイ41は、第1〜3の電極4a,4b,4cと、第1の電極4aと第2の電極4bとの間に挿入され第1の絶縁板4dと、第2の電極4bと第3の電極4cとの間に挿入される第2の絶縁板4eと、から構成されている。第1〜3の電極4a,4b,4cは、電子発生部3のpnダイオード9アレイの位置に対応して、多数の孔、つまりアインツェルレンズアレイ41の開口部5が配設されている。
ここで、第1〜3の電極4a,4b,4cは、導電性のSi基板を用いて形成することができる。第1〜3の電極4a,4b,4cを互いに絶縁する第1の絶縁板4d及び第2の絶縁板4eは、絶縁物、例えばガラスを用いて形成することができる。
【0027】
図5は、電子線整形部4としてのアインツェルレンズ41の動作を説明する模式図である。
図5に示すように、アインツェルレンズ41には、直流のアインツェルレンズ用電源11が接続される。第1及び第3の電極4a,4cには正電圧が印加され、第2の電極4bには負電圧が印加される。第1の電極4aには正電圧が印加され、第2の電極4bには負電圧が印加されるので、第1の電極4aと第2の電極4b間には、図5の上部から入射される入射電子線12に対して減速電界が形成される。第2の電極4bには負電圧が印加され、第3の電極4cには正電圧が印加されるので、第2の電極4bと第3の電極4c間には、第2の電極4bを通過する電子線12に対しては加速電界が形成される。これにより、図5の上部から、つまり電子発生部3の入射電子線12aは、上記減速電界及び加速電界によって、レンズ通過前後で電子の運動エネルギーが変化しないで収束され、出射電子線12bとなる。
【0028】
本発明の光スイッチング電子源1によれば、電子線12のオン,オフをスイッチング光2aによって制御して、複数の電子線12を発生することができる。さらに、例えば3つの電極4a,4b,4cからなるアインツェル型の電界レンズアレイにより、電子発生部3からの出射した電子線12を収束させることができる。
【0029】
本発明の光スイッチング電子源1によれば、光源2からの光の断続により電子線12のオンオフを行うことが可能となり、従来の電子源で必要であったブランカが不要となり、簡便な光スイッチング電子源1を提供することができる。ブランカが不要となるので、例えば電子線描画装置に用いれば、ブランカに用いる電子光学系が一つ不要となる。これにより、レンズ収差などの問題が無くなり、電子線描画装置全体の光学精度を上げることができる。
【0030】
電子発生部3及び電子線整形部4は、大規模集積回路(LSI)や微小機械システム(マイクロマシンやMEMSとも呼ばれている)の製作技術を用いて製造することができる。
先ず、電子発生部3の作製について説明する。
図6は、電子発生部3の製造方法の一例を順次に示す概略断面図である。
図6(A)に示すように、SOI(Silicon on Insulator)基板6を用意する。このSOI基板6は、上側から順に、p型のSiデバイス層6a,SiO層6c,Siハンドル層6dから構成されている。Siデバイス層6a,SiO層6c,Siハンドル層6dの厚さは、例えば、それぞれ10μm、1μm、300〜350μm程度である。
上記Siデバイス層6aの表面に、図6(B)に示すように熱酸化膜13を形成する。次に、p型のSiデバイス層6aにn型の不純物を選択拡散するためのパターンを形成する。このパターンは所謂リソグラフィ法や熱酸化膜13のエッチングによって形成することができる。このパターンを使用して、p型のSiデバイス層6aへn型不純物の拡散を行い、n層6bを形成する。
n層6bを形成した後、図6(C)に示すように、Siデバイス層6aの表面の熱酸化膜13を除去し、n層6b上を被覆するマスクパターンをレジスト14で形成する。
次に、図6(D)に示すように、Siデバイス層6aに形成されたn層6bのエッチングを行い、n層6bを錘状の突起形状とする。このエッチングには、Siの等方性エッチングを使用することが好ましい。
次工程として、図6(E)に示すように、Siデバイス層6a上のレジスト14を除去し、Siハンドル層6dに開口部10を形成するためのマスクパターンをレジスト14で形成する。
最後に、図6(F)に示すように、Siハンドル層6dのSiエッチングを行い、次に、SiO層6cを反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)等によってエッチングして開口部10を形成し、レジスト14を除去する。これにより、電子発生部3に用いるpn接合アレイ9aが完成する。
【0031】
図7は、Siデバイス層6aに形成したレジスト14を用いたSiの等方性エッチングを説明する模式的な断面図であり、それぞれ(A)がエッチング前、(B)及び(C)がエッチングの途中状態を、(D)がエッチング終了時を示している。
図7(A)に示すように、Siデバイス層6aにレジスト14を選択マスクとして形成した後、Siの等方性エッチングを行うと、最初は選択マスクとなるレジスト14で被覆されていないSiデバイス層6aがエッチングされ、次にレジスト14の下部が徐々にエッチングされるようになる。このため、レジスト14で被覆されたSiデバイス層6aはテーパ状、所謂メサ形状にエッチングされる(図7(B)参照)。レジスト14で被覆されたSiデバイス層6aがさらにエッチングされると、選択マスク下部14のサイドエッチングが進行し、レジスト14で被覆されたSiデバイス層6aが突起状から針状となる(図7(C)参照)。レジスト14を除去すると、Siデバイス層6aには、n層6bが針状となったpn接合9aがアレイ状に形成される(図7(D)参照)。
【0032】
次に、電子発生部3の製作例について説明する。
厚さが10μmのp型のSiデバイス層6aと、厚さが10μmのSiO層6cと、厚さが325μmのSiハンドル層6dとを有するSOI基板6を用いて、図7で説明した製作工程によって電子発生部3を作製した。p層からなるSiデバイス層6aとSiデバイス層6a上に選択的に形成したpn接合9aを、XeFガスを用いたRIEでエッチングした。RIEは下記条件で行った。
XeFガス圧力:0.15Torr、
待機時間30秒、
1パルス20ns、148回
【0033】
図8は、上記した条件で作製したpn接合9aのレジスト14の除去前の走査型電子顕微鏡像(SEM像)を示す図である。電子の加速電圧は20kVであり、倍率は6000倍である。
図8から明らかなように、レジスト14の下部に形成されるpn接合9aは錘状の突起形状であることが分かる。
【0034】
図9は、作製した電子発生部3のpn接合9aにおいて、レジスト14の除去後の形状を示すもので、(A)は査型電子顕微鏡像(SEM像)を示す図、(B)は等方性エッチングで形成されたpn接合9aの寸法を示す断面図である。図9(A)において、電子の加速電圧は20kVであり、倍率は6000倍である。
図9(A)から明らかなように、レジスト14が剥離され、pn接合9aは錘状の突起形状を有しており、pn接合9aの突起の高さは5μmであり、n層6bの厚さが1.24μmであることが分かる(図9(B)参照)。
【0035】
次に作製した電子発生部3からの電子線12の発生について説明する。
図10は、本発明の光スイッチング電子源1aの構成を模式的に示す図である。
図10に示すように、光スイッチング電子源1aは、電子発生部3と、電子発生部3を収容する真空容器15と、真空容器15を真空に排気するための真空排気部16と、電子発生部3へ光スイッチングを行う光源2と、電子発生部3へ電圧を印加する電子引き出し用電源8と電子引き出し用電極7と、を含んで構成されている。
【0036】
光源2は、パルスレーザ光源を使用することができる。光源2からのスイッチング光2aは、電子発生部3の光スイッチングを行う。このスイッチング光2aは、真空容器15に設けた光を透過する窓15aとミラー15bとを介して、pn接合9aの開口部10に照射される。
【0037】
真空容器15は、真空排気部16のゲートバルブ16aを介して真空ポンプに接続され真空引きされる。真空ポンプは、例えばロータリーポンプ16bとターボ分子ポンプ16cとの組み合わせにより、10−5Pa以下に真空引きされる。
【0038】
pn接合9aのp層6aには抵抗Rを介して電子引き出し用電源8の負側に接続され、電子引き出し用電源8の正側が電子引き出し用電極7に接続されている。これにより、pn接合9aは逆方向にバイアスされる。
【0039】
pn接合9aへスイッチング光2aが照射された場合、電子発生部3から電子引き出し用電極7に流れる電子線12は、抵抗Rに流れる電流Iによる電圧降下で測定することができる。図10では、オシロスコープ17を使用して、抵抗Rに流れる電流Iによる電圧降下と、光源2となるレーザの光スイッチング部2bから発生される制御信号(V’(t))とを測定している。
【0040】
pn接合9aのn層6bの先端部と電子引き出し用電極7との間隔を20μmに設定してから、真空容器15を2.7×10―6Paまで排気した。次に、電子引き出し用電源8によってpn接合9aに逆方向バイアスを印加し、pn接合9aの裏面の開口部10へスイッチング光2aを照射することによってpn接合9a中の空乏層内の電子を、真空中へ励起した。
【0041】
図11は、電子発生部3へ照射されるスイッチング光2aと、電子発生部3から発生した出射電子線12bの電流を示すもので、それぞれ(A)はエミッション電流測定用抵抗(R)が1MΩの場合を、(B)はエミッション電流測定用抵抗(R)が10kΩの場合を示している。図11の横軸は時間であり、上の縦軸はレーザのオンオフを制御する制御信号(V)であり、下の縦軸は電子発生部3で発生した出射電子線12bの電流(μA)である。スイッチング光2aのオンオフの繰り返し周波数は10Hzである。従って、オンオフの1周期は0.1秒(100ms)である。
図11(A)から明らかなように、エミッション電流測定用抵抗(R)が1MΩの場合にはスイッチング光2aがオン状態では約5μAの出射電子線12bが得られることが分かる。図11(B)に示すように、エミッション電流測定用抵抗(R)が10kΩの場合にはスイッチング光2aがオン状態では約35μAの出射電子線12bが得られることが分かる。つまり、スイッチング光2aに同期して出射電子線12bが発生している。
【0042】
図12は、電子発生部3へ印加される電子引き出し用電源8の電圧と発生する出射電子線12bの電流の関係を示し、電圧がそれぞれ、(A)38V、(B)39V、(C)40V、(D)41V、(E)42Vの場合を示している。図8の横軸は時間であり、縦軸は発生した出射電子線12bの電流(任意目盛り)である。
図12から明らかなように、電子引き出し用電源8の電圧が38V〜42Vと大きくなると共に、電子発生部3から発生する出射電子線12bの電流が増大することが分かった。
【0043】
図13は、電子発生部3へ印加される電圧(V)の逆数(V―1)とI/Vの関係を示す図である。Iは出射電子線12bの電流(A)である。図13は片対数グラフであり、横軸は(1/V)(V―1)、縦軸は対数表示のI/V(A/V)である。
図13から明らかなように、log(I/V)が1/Vに対して直線関係となることからファウラ−ノルトハイム則を満たす、即ち電子発生部3で発生する電流は、ファウラ−ノルトハイム−トンネル効果による電界放出電流であることが分かった。
【0044】
次に、電子線整形部4に使用するアインツェルレンズ41の作製について説明する。
図14は、アインツェルレンズ41の製造方法の一例を順次に示す概略断面図である。
最初に、図14(A)に示すようにガラス基板21を用意する。このガラス基板21の厚さは200μm程度である。
図14(B)に示すように、第1のガラス基板21に電子の通路となる領域つまり開口部5をエッチング等の方法を用いて形成する。電子の通路となる開口部5をサンドブラストで形成してもよい。このようなガラス基板21を2枚作成し、これらを第1のガラス基板21aと、第2のSi基板22bと呼ぶ。
次に、図14(C)に示すように、第1のSi基板22aと、第1のガラス基板21aと、第2のSi基板22bと、第2のガラス基板21bと、第3のSi基板22cとの順に重ね合わせ、陽極接合を施す。
そして、図14(D)に示すように、第1のSi基板22aの表面にAl(アルミニウム)層を堆積し、第3のSi基板22cの表面にはSi基板をエッチングするためのレジスト23のパターンを形成する。このエッチングには、Siの等方性エッチングを使用することが好ましい。
続いて、図14(E)に示すように、第1〜3のSi基板22a、22b、22cをエッチングして、電子の通路となる領域を形成する。
電子の通路を形成した後、図14(E)に示す点線箇所に沿って第1〜3のSi基板22a、22b、22c及び第1〜2のガラス基板21a,21bの切断を行う。
最後に、図14(F)に示すように、第1〜3のSi基板22a、22b、22cの表面にAl層を堆積し、アインツェルレンズ41の電極24を形成する。これにより、アインツェルレンズ41が完成する。アインツェルレンズ41への給電は、アインツェルレンズ用電源11から第1〜3のSi基板22a、22b、22cのアインツェルレンズ41の電極24へボンディングワイヤ25をボンディングによって接続して行うことができる。
【0045】
図15は、作製したアインツェルレンズ41の斜視形状を示す図である。図15から明らかなように、電極となるSi基板22には、6×6のマトリクス状にアインツェルレンズアレイ41の開口部5が形成されていることが分かる。
【0046】
図16は、作製したアインツェルレンズ41において、(A)がアインツェルレンズアレイ41の開口部5を観察した走査型電子顕微鏡像(SEM像)で、(B)は図15のI−I線に沿う断面の走査型電子顕微鏡像(SEM像)である。電子の加速電圧は5kVであり、倍率は600倍である。
図16(A)から明らかなように、各アインツェルレンズアレイ41の開口部5の直径は400μmであり、図16(B)から、第1〜第3のSi電極22a、22b、22cに形成される各アインツェルレンズアレイ41の開口部5との間に絶縁板となるガラス基板22が挿入されていることが分かる。このようなアインツェルレンズ41は、マイクロマシンの製造方法を適用することによって、電子線12が入射する方向(軸方向とも呼ぶ)で5μm以下の精度を得ることができた。
【0047】
上記したように、pn接合アレイ9aとアインツェルレンズ41とは別々に作製することができる。図1に示すように、電子線12の収差を少なくするために,pn接合アレイ9aとアインツェルレンズ41は、ボールレンズ4gを介して精密に位置合わせをすることができる。ボールレンズ4gは、pn接合アレイ9a内において、例えばSiの異方性エッチングによって形成される溝部6fに配設することができる。
【0048】
(電子発生部3の変形例)
図2に示した電子発生部3は、アレイ状に配設されたpn接合9a等からなる電子源9として説明したが、以下で説明するように他の構成の電子源も使用することができる。
図17は、電子発生部3の構成の変形例を模式的に示し、それぞれ(A)はフォトダイオード27と電子放出素子28との組み合わせを、(B)は光導電セル29と電子放出素子28との組み合わせを、(C)は電子放出素子28が光導電効果を有する材料から構成されている場合を示すものである。
図17(A)では、電子発生部3aにおいて、フォトダイオード27の一端に電子放出素子28の一端を接続した構造を有している。電子放出素子28の他端は原子オーダーの針状として電子放出ができるように形成されている。これにより、フォトダイオード27への励起光2aの照射で発生した電子を、電子放出素子28からの先端から放出することができる。電子放出素子28の材料としては金属又は半導体等を用いることができる。
【0049】
図17(B)では、電子発生部3bにおいて、フォトダイオード27の代わりに光導電セル29を用いた以外は、図17(A)の電子発生部3aと同様の構成を有しているので説明は省略する。
【0050】
図17(C)では、電子発生部3cは、電子放出素子28が光導電効果を有する材料から構成されている。電子放出素子28の先端は原子オーダーの針状として電子放出ができるように形成されている。電子放出素子28の材料としては、Si、Ge、ダイヤモンド、CdS、CdSe、PbSe、PbTe、InSbのような化合物半導体や、Si、Ge、ダイヤモンドを用いることができる。これにより、電子放出素子28への励起光2aの照射で発生した電子を、電子放出素子28の先端から放出することができる。
【0051】
(電子線描画装置)
次に、本発明の第2の実施形態として、光スイッチング電子源を用いた電子線描画装置について説明する。
図18は、本発明の電子線描画装置30の構成を示す模式図である。
図18に示すように、電子線描画装置30は、電子発生部3と、電子発生部3に励起光を照射する光源2と、光源2と電子発生部3との間に配設され光のオンオフを行う光スイッチング部2bと、電子線整形部4として電子レンズと、露光する基板32を載置するステージ33を含んで構成されている。
ここで、光源2が連続波の場合には、光スイッチング部2bとしては、2次元の画像を電子放出素子の裏面に投影できればよいので、シャッター作用を有している後述するデジタルミラー素子や液晶素子を用いることができる。
【0052】
デジタルミラー素子(DMD又はDLP素子とも呼ばれている)2bは、Si基板上に多数の鏡が形成され、個々の鏡が光のオンオフを制御することができるMEMS素子である。例えば、図18の光スイッチング部2bは、TI(Texas Instruments)社製の*1076N631cW、*1076N732c、*1076N732(UV)等のDLP素子を使用することができる。これらのDLP素子は、XGA(1024×768)表示に対応し、ミラー面は11mm×8mm(1ミラーは、10μm×10μm)であり、外形はおよそ50mm×25mmである。
【0053】
本発明の電子線描画装置30によれば、発生する出射電子線12bのビームサイズの半値幅を、数nm〜数十nmとすることができる。例えば5nm〜50nmである。
【0054】
(電子線描画装置の変形例1)
次に、本発明の光スイッチング電子源を用いた電子線描画装置の変形例30aについて説明する。
図19は、本発明の電子線描画装置の変形例30aの構成を示す模式図である。
図19に示すように、電子線描画装置30aは、電子線整形部4が磁気レンズ35から構成されている点が、図18に示す電子線整形部4とは異なっている。電子線描画装置の変形例30aの他の構成は、図18の電子線描画装置30と同様の構成を有しているので説明は省略する。
【0055】
(電子線描画装置の変形例2)
次に、本発明の光スイッチング電子源を用いた電子線描画装置の変形例30bについて説明する。
図20は、本発明の電子線描画装置の変形例30bの構成を示す模式図である。
図20に示すように、電子線描画装置30bは、電子発生部3と、電子発生部3にパルス励起光を照射する光源2と、光源2と電子発生部3との間に配設され電子発生部3にパルス励起光を反射し、かつ走査するレーザスキャナ2cと、電子線整形部4として電子レンズと、露光する基板32を載置するステージ33と、を含んで構成されている。電子線描画装置30bの光スイッチング部2cは、図18に示した電子線描画装置30で用いたデジタルミラー素子2bの替わりにポリゴンミラーやガルバノミラーを用いたレーザスキャナ2cを用いている。他の構成は、図18の電子線描画装置30と同様の構成を有しているので説明は省略する。
【0056】
レーザスキャナ2cは、光源2から出射されるレーザ光を反射し走査することができるガルバノミラーやポリゴンミラーから構成される。ガルバノミラーでは、小型の鏡をモーターにより駆動し、光源2から照射されるレーザ光の反射方向を一次元や二次元方向に変えることによって電子発生部3の任意の位置にレーザ光を照射することができる。ガルバノミラーの替わりに、4角形や6角形の多角形の形状を有しているポリゴンミラーを用いてもよい。
【0057】
上記のパルス励起光を照射する光源2のオンやオフの時間が遅い場合や、光源2が連続波の場合には、電子線描画装置30bは、さらに図20に図示するように光変調器2dを設けてもよい。光変調器2dは、光源2とレーザスキャナ2cとの間に配設される。光源2からの励起光を高速にオンオフするために、光変調器2dとしては、電気光学結晶からなる光変調器等を用いることができる。
【0058】
(電子線描画装置の変形例3)
次に、本発明の光スイッチング電子源を用いた電子線描画装置の変形例30cについて説明する。
図21は、本発明の電子線描画装置の変形例30cの構成を示す模式図である。
図21に示すように、電子線描画装置30cは、電子線整形部4が磁気レンズ35から構成されている点が、図20に示す電子線整形部4とは異なっている。電子線描画装置の変形例30cの他の構成は、図20の電子線描画装置30bと同様の構成を有しているので説明は省略する。
【0059】
本発明の光スイッチング電子源を用いた電子線描画装置30,30a,30b,30cによれば、何れも光源2からの光の断続により電子線12のオンオフを行うことが可能となり、ブランカが不要となる。ブランカが不要となるので、ブランカに用いる電子光学系が一つ不要となる。これにより、レンズ収差などの問題が低減され、電子線描画装置30,30a,30b,30c全体の光学精度を上げることができる。
【0060】
本発明は上記した実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれる。例えば、上記実施の形態では、pn接合9aやアインツェルレンズ41の作製にSiを基板6,22に使用した例を説明したが、基板6,22はSiに限らず、各種基板に適用することができ、pn接合9aのアレイの寸法等も目的とする光スイッチング電子源1,1aの性能に応じて適宜に選定し得る。
【符号の説明】
【0061】
1,1a:光スイッチング電子源
2:光源
2a:スイッチング光
2b:光スイッチング部
2c:レーザスキャナ
2d:光変調器
3,3a,3b,3c:電子発生部
4:電子線整形部
4a:第1の電極
4b:第2の電極
4c:第3の電極
4d:第1の絶縁板
4e:第2の絶縁板
4g:ボールレンズ
5:アインツェルレンズの開口部
6:基板
6a:p層
6b:n層
6c:SiO
6d:Siハンドル層
6f:溝部
7:電子引き出し用電極
8:電子引き出し用電源
9:電子源
9a:pn接合
10:開口部
11:アインツェルレンズ用電源
12:電子線
12a:入射電子線
12b:出射電子線
13:熱酸化膜
14,23:レジスト
15:真空容器
15a:窓
15b:ミラー
16:真空排気部
16a:ゲートバルブ
16b:ロータリーポンプ
16c:ターボ分子ポンプ
17:オシロスコープ
21:ガラス基板
21a:第1のガラス基板
21b:第2のガラス基板
21c:第3のガラス基板
22:Si基板
22a:第1のSi基板
22b:第2のSi基板
22c:第3のSi基板
24:アインツェルレンズの電極
25:ボンディングワイヤ
27:フォトダイオード
28:電子放出素子
29:光導電セル
30,30a,30b,30c:電子線描画装置
32:基板
33:ステージ
35:磁気レンズ
41:アインツェルレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と該光源からの断続光が照射されることで電子を発生する電子発生部とを備え、
上記電子発生部は、光励起によって電子を発生する電子源と、該電子源から電子を引き出す電極と、該電子を引き出す電源と、を備えたことを特徴とする、光スイッチング電子源。
【請求項2】
前記電子源は、フォトダイオード、光導電セル、光導電効果を有する素子、及びフォトダイオード又は光導電セルに電子放出素子が接続された素子の何れかであることを特徴とする、請求項1に記載の光スイッチング電子源。
【請求項3】
前記電子源は、pn接合又はpin接合からなり、該pn接合又はpin接合のp層又はn層が突起形状を有していることを特徴とする、請求項1に記載の光スイッチング電子源。
【請求項4】
前記pn接合又はpin接合がアレイ状に配設されていることを特徴とする、請求項3に記載の光スイッチング電子源。
【請求項5】
前記pn接合又はpin接合のアレイが基板上に配設され、該pn接合又はpin接合の近傍には光照射用の開口部が配設されていることを特徴とする、請求項3に記載の光スイッチング電子源。
【請求項6】
前記pn接合又はpin接合のp層又はn層には、さらにカーボンナノチューブが配設されていることを特徴とする、請求項3〜5の何れかに記載の光スイッチング電子源。
【請求項7】
さらに、前記電子発生部の電子出射側に電子線整形部が配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の光スイッチング電子源。
【請求項8】
前記電子線整形部が、電界レンズ又は磁気レンズからなることを特徴とする、請求項7に記載の光スイッチング電子源。
【請求項9】
前記電界レンズは、アインツェルレンズと、アインツェルレンズ用電源と、からなることを特徴とする、請求項8に記載の光スイッチング電子源。
【請求項10】
光源と、該光源からの断続光が照射されることで電子を発生する電子発生部と、該電子発生部の電子出射側に配設される電子線整形部と、を含み、
上記電子発生部は、光励起によって電子を発生する電子源と、該電子源から電子を引き出す電極と、該電子を引き出す電源と、を備えていることを特徴とする、電子線描画装置。
【請求項11】
前記電子源は、フォトダイオード、光導電セル、光導電効果を有する素子、及びフォトダイオード又は光導電セルに電子放出素子が接続された素子の何れかであることを特徴とする、請求項10に記載の電子線描画装置。
【請求項12】
前記光源と前記電子発生部との間に配設される光源スイッチ部を備えていることを特徴とする、請求項10に記載の電子線描画装置。
【請求項13】
前記光源スイッチ部は、デジタルミラー素子又はレーザスキャンナを備えていることを特徴とする、請求項12に記載の電子線描画装置。
【請求項14】
前記光源スイッチ部は、光変調器を備えていることを特徴とする、請求項12又は13に記載の電子線描画装置。
【請求項15】
前記電子線整形部が、電界レンズ又は磁気レンズからなることを特徴とする、請求項10に記載の電子線描画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−181416(P2011−181416A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45994(P2010−45994)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年9月8日 社団法人 応用物理学会発行の「2009年(平成21年)秋季 第70回応用物理学会学術講演会講演予稿集 第2分冊」に発表
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度文部科学省、科学技術振興調整費「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成マイクロシステム融合研究開発拠点」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】