説明

光センサ、光センサアレイ、撮像素子、撮像装置および光センサの製造方法

【課題】光電変換層に有機化合物を用いた場合でも光電変換層におけるリーク電流(暗電流)の発生量を低減することができる光センサ、光センサアレイ、撮像素子および撮像装置ならびに光センサの製造方法を提供する。
【解決手段】基板と、基板上に、光の入射により電荷を生じさせる有機化合物である光電変換層と、光電変換層で生じた電荷を集電するための画素電極と、入射光を光電変換層の方向に集光するための集光部材と、を備え、集光部材が光電変換層に隣り合う位置に設置されている光センサ、その光センサを含む光センサアレイ、撮像素子および撮像装置ならびにその光センサの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサ、光センサアレイ、撮像素子、撮像装置および光センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グレッツェルらは酸化チタン等の透明電極上に光電変換機能を有する有機色素の膜を形成することにより、アモルファスシリコン光電変換素子に近い性能を有する色素増感型光電変換素子(グレッツェルセル)を報告している(たとえば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、近年、ナノテクノロジーの手法を用いて、フラーレンを有する単分子膜を用いた色素増感型光電変換素子についても報告されている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
これらの色素増感型光電変換素子は、対電極との電気的接合を液体レドックス電解質等の電解液によって行なう湿式の光電変換素子であるため、長期にわたって使用した場合には、上記の電解液の枯渇により光電変換機能が著しく低下してしまい、光電変換素子として機能しなくなることが懸念される。
【0005】
また、電解液を用いない有機色素による光電変換素子として、透明電極と対電極との間に電子供与体と電子受容体とを混合した層を形成したバルクヘテロ接合型光電変換素子、あるいは透明電極と対電極との間に電子供与体層と電子受容体層とを挟んだスタック型(積層型)光電変換素子が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0006】
この光電変換素子の動作原理は、光励起により電子供与体(あるいは電子供与体層)から電子受容体(あるいは電子受容体層)への電子の移動により正孔と電子とが発生し、内部電界により正孔は電子供与体間(あるいは電子供与体層間)を通り、一方の電極に運ばれ、電子は電子受容体間(あるいは電子受容体層間)を通り、もう一方の電極へ運ばれ、光電流が観測されるというものである。
【0007】
次に、上記の構成の光電変換素子を応用したX線画像検出器について説明する。アモルファスシリコン光電変換素子は、太陽電池や複写機の感光ドラムとしての用途以外にも、フラットパネル型の放射線ディテクタ(FPD)として医療分野でも応用されている。また、有機色素による光電変換素子においても、FPDへの応用が提案されている(たとえば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2000−261016号公報
【特許文献2】特開2002−94146号公報
【特許文献3】特表2002−502129号公報
【特許文献4】特開2003−50280号公報
【非特許文献1】Journal of the American Chemical Society 115 (1993) 6382
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
FPDとは、デジタル式のX線画像検出器の一種で、放射線画像をデジタル信号として読み出し、放射線写真フィルム(レントゲンフィルム等)を用いずに、パソコン等のモニターで診断することができるといったシステムである。FPDには、光電変換素子がX線を直接に吸収し、光電変換するもの(直接型FPD)と、蛍光体によってX線を蛍光に変換し、その蛍光を光電変換素子が吸収して光電変換するもの(間接型FPD)とがあり、アモルファスシリコン光電変換素子や有機色素による光電変換素子は、後者の間接型FPDに用いられる。
【0009】
アモルファスシリコン光電変換素子を用いた間接型FPDの利点は、従来のアナログシステムに匹敵するほどの高画質の画像が得られることであるが、アモルファスシリコン光電変換素子は、アモルファスシリコン等の無機半導体物質を薄膜トランジスタ(TFT)上に微細加工する必要があり、非常に高度な技術と設備とを要するため、製品価格が非常に上昇してしまうという問題があった。
【0010】
一方、有機色素による光電変換素子を用いた間接型FPDは、有機物を用いるため加工が非常に容易であり、製品価格が非常に安くなるといった利点がある。
【0011】
しかしながら、有機色素による光電変換素子を用いた場合には、光電変換層におけるリーク電流(暗電流)が大きくなってしまい、暗く表示されるべき箇所が明るく表示されてしまうという問題があった。
【0012】
このようなリーク電流の影響を小さくする方法としては、補助容量部を設けて、補助容量部の静電容量を利用するという方法がある。
【0013】
しかしながら、光電変換層について工夫せずに、補助容量部の静電容量を大きくするだけでは、読み出し時定数が増大して、情報の読み出しが遅くなるという問題があった。また、光電変換素子の構成上の制限から補助容量部を大きくすることができないという問題もあった。
【0014】
また、図23に、従来のCCDデバイスの画素部の一例の模式的な断面図を示す。このCCDデバイスの画素部は、シリコン基板231上の光電変換素子230の受光面の面積が画素部の面積よりも小さい構成となっている。また、シリコン基板231上にはポリシリコン膜232も形成されており、ポリシリコン膜232および光電変換素子231の表面の一部には遮光膜233が形成されている。
【0015】
また、遮光膜233の上方にはインナーレンズ234が設置されており、インナーレンズ234の上方にはカラーフィルタ235が設置されている。さらに、カラーフィルタ235の上方にはマイクロレンズ236が設置されている。
【0016】
そして、マイクロレンズ236の上方からの入射光237はマイクロレンズ236によって屈折し、カラーフィルタ235を通って、さらにインナーレンズ236によって屈折した後に、光電変換素子230に集光される。
【0017】
しかしながら、このCCDデバイスにおいては、画素部の面積が小さいために、光電変換素子230の上方にマイクロレンズ236およびインナーレンズ234を設置せざるを得なくなっており、これらのレンズによる入射光の吸収によるロスが生じるという問題があった。
【0018】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、光電変換層に有機化合物を用いた場合でも光電変換層におけるリーク電流(暗電流)の発生量を低減することができる光センサ、光センサアレイ、撮像素子および撮像装置ならびに光センサの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、基板と、基板上に、光の入射により電荷を生じさせる有機化合物である光電変換層と、光電変換層で生じた電荷を集電するための画素電極と、入射光を光電変換層の方向に集光するための集光部材と、を備え、集光部材が光電変換層に隣り合う位置に設置されている光センサである。
【0020】
ここで、本発明の光センサにおいては、基板上に補助容量部が設けられており、光電変換層における静電容量が補助容量部における静電容量よりも小さいことが好ましい。
【0021】
また、本発明の光センサにおいては、光電変換層の厚さが20nm以上200nm以下であることが好ましい。
【0022】
また、本発明の光センサにおいては、光電変換層が、画素電極の側面を被覆していることが好ましい。
【0023】
また、本発明は、上記の光センサが格子状に配列されている光センサアレイである。
また、本発明は、上記の光センサアレイを含む撮像素子である。
【0024】
また、本発明は、上記の撮像素子を含む撮像装置である。
さらに、本発明は、基板上に画素電極および集光部材を形成する工程と、画素電極上に光の入射により電荷を生じさせる有機化合物である光電変換層を形成する工程と、光電変換層上に共通電極を形成する工程と、を含み、光電変換層および共通電極の少なくとも一方を液体を滴下させて形成する光センサの製造方法である。なお、本発明の光センサの製造方法においては、画素電極と集光部材の形成順序は特に限定されない。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、光電変換層に有機化合物を用いた場合でも光電変換層におけるリーク電流(暗電流)の発生量を低減することができる光センサ、光センサアレイ、撮像素子および撮像装置ならびに光センサの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0027】
図1(a)に、本発明の光センサの一例の模式的な上面図を示し、図1(b)に、図1(a)に示す光センサの模式的な断面図を示す。
【0028】
ここで、光センサは、基板1上にゲート電極11と補助容量電極9とが形成されており、ゲート電極11および補助容量電極9を覆うようにしてゲート絶縁膜10が形成されている。また、ゲート絶縁膜10上にはソース電極19とドレイン電極12とが形成されており、ソース電極19およびドレイン電極12を覆うようにして活性層13が形成されている。そして、ゲート絶縁膜10、ゲート電極11、ドレイン電極12、ソース電極19および活性層13から能動素子としてのTFT(Thin Film Transistor)が構成されている。
【0029】
また、ゲート絶縁膜10のソース電極19側の端部が引き伸ばされることによって補助容量電極9を覆っている。保護層2を挟んで補助容量電極9と画素電極7とが重なっている部分により補助容量部が構成されている。
【0030】
また、上記構成のTFTを覆うようにして保護層2が形成されており、保護層2の表面上には接着層3および画素電極7が所定の間隔を空けてそれぞれ交互に帯状に形成されている。
【0031】
また、それぞれの接着層3上には三角柱状の集光部材4が形成されており、集光部材4の間に設置されている画素電極7上には、光の入射により電荷を生じさせる有機化合物である光電変換層6が形成されている。さらに、光電変換層6上には共通電極5が形成されている。また、保護層2にはソース電極19と電気的に接続している連結電極8が形成されており、画素電極7は連結電極8と電気的に接続されているため、連結電極8は画素電極7とソース電極19とを電気的に接続する役割を果たしている。
【0032】
以上のような構成の光センサにおいては、集光部材4の上方から入射した光は直接光電変換層6に入射または集光部材4で反射した後に光電変換層6に入射し、当該光の入射によって光電変換層6で電荷が生じる。そして、共通電極5と画素電極7との間に印加されているバイアス電圧によって、画素電極7から電荷が取り出される。そして、画素電極7から連結電極8を介してTFTのソース電極19に電荷が転送される。
【0033】
そして、ゲート電極11への電圧の印加により、TFTのソース電極19および/または補助容量部に保持されている電荷のドレイン電極12への転送が行なわれて外部に取り出される。すなわち、ゲート電極11への電圧の印加の有無により、TFTの電荷の放出の制御が行なわれる。
【0034】
以上のような構成の本発明の光センサにおいては、集光部材4が光電変換層6に隣り合う位置に設置されており、この集光部材4の上方から入射した光は、集光部材4の表面で反射等して光電変換層6に入射させることができ、光電変換層6の受光面(集光部材4の設置側の表面)に集光することができるため、光電変換層6に入射する光量を多くすることができる。
【0035】
したがって、本発明の光センサにおいては、光電変換層6の受光面の面積を小さくすることができるため、光電変換層6で発生するリーク電流(暗電流)の絶対量を低減することができることから、従来と比べて、光電変換層6に有機化合物を用いた場合でも光電変換層6におけるリーク電流(暗電流)の発生量を低減することができる。
【0036】
すなわち、光電変換層6の受光面を小さくすることにより、光電変換層6で発生するリーク電流(暗電流)の絶対量を低減することができるが、この場合には、光電変換層6の受光面の面積が小さくなる分だけ入射光の光量のロスが大きくなる。そこで、光電変換層6に隣り合う位置に、上記のように光電変換層6の受光面に集光することができる集光部材4を設置することにより、入射光の光量のロスを抑えることができるようになる。
【0037】
たとえば、本発明の光センサにおいては、画素電極7の表面(集光部材4の設置側の表面)の面積は1画素の画素エリアの面積(図1(a)の破線によって区切られている1マスの領域の面積)の約20%程度まで小さくすることができ、これにより、光電変換層6で発生するリーク電流(暗電流)の絶対量を低減することができる。そして、画素電極7の表面を小さくしたことによる容量の不足分は上記の補助容量部で補い、光量のロスは集光部材4によって補う。
【0038】
このような構成とすることにより、本発明の光センサにおいては、従来の光特性を維持しながら、光電変換層6におけるリーク電流(暗電流)の発生量を低減することができる。
【0039】
なお、上記の1画素の画素エリアは、たとえば1辺が400μmの正方形状とすることができるが、これに限定されない。
【0040】
ここで、本発明の光センサにおいては、光電変換層6における静電容量が上記の補助容量部における静電容量よりも小さいことが好ましい。この場合には、光電変換層6におけるリーク電流(暗電流)の発生量をより低減することができる傾向にある。
【0041】
なお、光電変換層6における静電容量C1は下記の式(1)により算出することができ、補助容量部における静電容量C2は下記の式(2)により算出することができる。
【0042】
C1=(真空の誘電率ε0)×(光電変換層6の比誘電率εr)×(画素電極7の表面(集光部材4の設置側の表面)の面積S1)/(光電変換層6の厚さD1) …(1)
C2=(真空の誘電率ε0)×(補助容量電極9と画素電極7との間に挟まれている部分の保護層2の表面(集光部材4の設置側の表面)の面積S2)/[{(ゲート絶縁膜10上の保護層2の厚さT1)/(保護層2の比誘電率ε1)}+{(ゲート絶縁膜10の厚さT2)/(ゲート絶縁膜10の比誘電率ε2)}] …(2)
また、光電変換層6の厚さD1は20nm以上200nm以下であることが好ましい。光電変換層6の厚さD1が20nm未満である場合には光電変換層6中の凝集物が原因となって、リーク電流(暗電流)が急激に増大するおそれがある。光電変換層6の厚さD1が200nmを超える場合には光電変換層6において電流が流れる領域が大きくなってリーク電流(暗電流)が急激に増大するおそれがある。
【0043】
図18(a)に実験装置の一例の模式的な上面構成図を示し、図18(b)に図18(a)に示す実験装置の模式的な断面構成図を示す。図18(a)および図18(b)に示すように、この実験装置は、ガラス基板183上に、ITOからなる下部電極182、P3HT(Poly(3-hexylthiophene))とPCBM(phenyl C61-butyric acid methyl ester)との混合物からなるバルクヘテロ接合型の光電変換層6、およびAlからなる上部電極181を順次積層した素子を10個並列に接続した構成となっている。なお、図18(a)および図18(b)においては、説明の便宜のため、2個の素子のみを示している。
【0044】
ここで、上部電極181は1辺が180μmの正方形状に形成されており、光電変換層6および下部電極182はそれぞれ1辺が400μmの正方形状に形成されている。
【0045】
この実験装置は以下のようにして作製されたものである。まず、ITO付きガラス基板のITOの表面上にフォトリソグラフィ技術を用いて下部電極182の形状となるレジストパターンを形成し、レジストパターンにより覆われていないITOをエッチングすることによってガラス基板183上にITOからなる下部電極182を形成する。
【0046】
次に、CF4ガスを用いた減圧プラズマ法によって下部電極182が形成されたガラス基板183の全体を撥液処理する。そして、ガラス基板183の表面の下部電極182以外の部分をメタルマスクで遮蔽した後にUVオゾン照射することによって下部電極182の親液処理をする。
【0047】
その後、P3HTとPCBMとの混合液をガラス基板183の表面の全体にスピンコート法により塗布する。これにより、上記の親液処理がされた下部電極182の部分のみに光電変換層6が形成される。最後にメタルマスクを用いてAlを上部電極181の形状に真空蒸着法により光電変換層6の表面上に蒸着させることによって、図18(a)および図18(b)に示す構成の実験装置を作製した。
【0048】
なお、P3HTとPCBMとの混合液は、図19に示すようにして作製された。まず、メルク社製のP3HTを1重量%添加したクロロホルムに超音波を5分間印加した溶液192を第1の容器190に収容し、フロンティアカーボン社製のPCBMを1重量%添加したクロロホルムに超音波を5分間印加した溶液193を第2の容器191に収容した。そして、第1の容器190に収容された溶液192と第2の容器191に収容された溶液193とを混合比率(重量比)が1:1の割合で混合するように第3の容器194中に収容し、その後、超音波を5分間印加することによってP3HTとPCBMとの混合液195を作製した。
【0049】
そして、上記のようにして、光電変換層6の厚さ(上部電極181と下部電極182との間の最短距離)の異なる(10nm〜1000nm)実験装置をそれぞれ作製し、それぞれの実験装置の上部電極181に0ボルトの電圧を印加するとともに、下部電極182に−2ボルトの電圧を印加して、電流密度を測定した。その結果を表1に示す。なお、電流密度の測定時には、実験装置を構成する素子は暗箱内に設置された。
【0050】
【表1】

【0051】
表1に示すように、光電変換層6の厚さが20nm以上200nm以下である場合には測定した電流密度は0.1μA/cm2となって、光電変換層6の厚さが18nm以下の場合および205nm以上の場合と比べて電流密度が低減できていることが確認された。
【0052】
これは、光電変換層6の厚さが18nm以下である場合には、未溶解のP3HTおよび/またはPCBMが凝集物となってリークパスを生じていると考えられるためである。確認のために、図19に示すようにして作製したP3HTとPCBMとの混合液195をガラス基板の表面上に塗布し、顕微鏡観察を行なったところ、粒径が10〜20nm弱程度の凝集物が多く観察された。
【0053】
また、光電変換層6の厚さが200nmを超えている場合には、光電変換層6において電流が流れる領域が大きく、すなわち、電界が広がるためと考えられる。また、光電変換層6が厚く形成されることによる光電変換層6のムラに起因する電界集中も考えられる。
【0054】
また、本発明においては、たとえば図1(a)に示すように、光電変換層6が、画素電極7の側面を覆っていることが好ましい。この場合には、画素電極7からの電流のリークを有効に抑止することができる傾向にある。ここで、光電変換層6は、画素電極7の側面の少なくとも一部を覆っていればよいが、たとえば図1(a)に示すように、画素電極7の全側面を覆っていることがより好ましい。
【0055】
なお、上記において、基板1としては、絶縁性材料からなる基板であれば特に限定なく用いることができ、たとえば、ガラス基板またはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム基板を用いることができる。
【0056】
また、上記において、保護層2としては、絶縁性材料からなる材料からなるものであれば特に限定なく用いることができる。
【0057】
また、上記において、接着層3としては、集光部材4を接着することができる機能を有する材質からなるものであれば特に限定なく用いることができる。
【0058】
また、上記において、集光部材4としては、入射光を反射させることにより光電変換層6に入射光を集光する反射部材が用いられているが、光電変換層6に隣り合う位置に配置されて入射光を光電変換層6に集光できる機能を有する部材であれば特に限定なく用いることができる。
【0059】
また、上記において、画素電極7、連結電極8、補助容量電極9、ゲート電極11、ドレイン電極12およびソース電極19としては、それぞれ導電性材料であれば特に限定なく用いることができ、たとえば、Al、Cr、Au、Ag等の金属、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、SnO、ZnO等の透明導電膜または従来から公知の導電性有機材料等を用いることができる。また、共通電極5としては、入射光を透過させる導電性材料を特に限定なく用いることができる。
【0060】
また、上記において、光電変換層6としては、光の入射により電荷を生じさせる従来から公知の有機化合物を用いることができ、たとえば、電子供与体として機能する有機化合物と電子受容体として機能する有機化合物とを混合した層からなるバルクヘテロ接合型または電子供与体として機能する有機化合物からなる層と電子受容体として機能する有機化合物からなる層とを積層したスタック型の光電変換層等を用いることができる。ここで、電子供与体として機能する有機化合物としてはP3HT等を用いることができ、電子受容体として機能する有機化合物としてはPCBM等を用いることができる。
【0061】
また、上記においては、光電変換層6と画素電極7との間に、たとえば、PEDOT(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene))とPSS(Poly(4-styrenesulfonate))との混合物からなるバッファ層等が形成されていてもよい。
【0062】
また、上記において、ゲート絶縁膜10としては、絶縁性材料であれば特に限定なく用いることができるが、たとえば、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリイミド系等の熱可塑性または熱硬化性の樹脂等を用いることができる。
【0063】
また、上記において、活性層13としては、絶縁性有機材料に限定されるものではないが、印刷や塗布等の方法により活性層13を形成することができる点で絶縁性有機材料を用いることが好ましい。活性層13に用いられる絶縁性有機材料としては、たとえば、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)等のポリチオフェン類、チオフェンの6量体を基本に側鎖を有するオリゴチオフェン等の芳香族オリゴマー類、ペンタセンに置換基を持たせ溶解性を高めたペンタセン類、フルオレンとバイチオフェンとの共重合体(F8T2)、ポリチエニレンビニレンまたはフタロシアニン等を用いることができる。
【0064】
以下に、上記の構成を有する本発明の光センサの製造方法の一例について説明する。まず、図2の模式的断面図に示すように、基板1上に帯状にパターンニングされたゲート電極11および補助容量電極9を形成する。
【0065】
ここで、ゲート電極11および補助容量電極9は、たとえば、フォトリソグラフィ技術を利用して、基板1の表面上に、ゲート電極11および補助容量電極9の形成領域以外の領域を被覆するようにレジストパターンを形成し、真空蒸着法等によって金属等を積層した後に、リフトオフによって積層した金属等とともにレジストパターンを除去することにより形成することができる。
【0066】
なお、ゲート電極11および補助容量電極9の形成方法は上記の方法に限定されず、ゲート電極11および補助容量電極9を所望の形状にパターンニングできる形成方法であれば特に限定なく用いることができ、たとえば、上記以外にもマスク蒸着法または各種印刷法等を用いることもできる。また、上記の方法では、特にリフトオフを用いなくてもよく、通常のフォトリソグラフィ技術を用いてゲート電極11および補助容量電極9を所望の形状にパターンニングしてもよい。
【0067】
次に、図3の模式的断面図に示すように、基板1の表面上に、ゲート電極11および補助容量電極9を覆うようにゲート絶縁膜10を形成する。
【0068】
ここで、ゲート絶縁膜10の形成方法としては、ゲート絶縁膜10を所望の形状にパターンニングできる形成方法であれば特に限定なく用いることができ、たとえば、ゲート絶縁膜10を構成する樹脂を塗布する方法等を用いることができる。
【0069】
続いて、図4の模式的断面図に示すように、ゲート絶縁膜10の表面上にソース電極19およびドレイン電極12を形成し、ソース電極19およびドレイン電極12のそれぞれの表面の一部を覆うようにしてゲート絶縁膜10に接する活性層13を形成する。
【0070】
ここで、ソース電極19およびドレイン電極12の形成方法は、ソース電極19およびドレイン電極12を所望の形状にパターンニングできる形成方法であれば特に限定なく用いることができ、たとえば上記のゲート電極11および補助容量電極9と同様の方法で形成することができる。
【0071】
また、活性層13の形成方法も特に限定されず、たとえば、活性層13を構成する絶縁性有機材料を印刷または塗布する方法により形成することができる。
【0072】
以上により、ゲート絶縁膜10、ゲート電極11、ドレイン電極12、ソース電極19および活性層13からなるTFTが形成される。
【0073】
次に、図5の模式的断面図に示すように、上記のようにして基板1上に形成されたTFTを覆うようにして保護層2を形成する。
【0074】
ここで、保護層2の形成方法は特に限定されず、たとえば、スピンコート法等を用いることができる。
【0075】
次に、図6の模式的断面図に示すように、保護層2の一部をゲート絶縁膜10の表面が露出するまで除去することによりコンタクトホール14を形成する。
【0076】
ここで、コンタクトホール14の方法としては、たとえば、フォトリソグラフィ技術を利用して、保護層2の表面上の保護層2の除去領域以外の領域を被覆するようにレジストパターンを形成した後に、エッチング等によってゲート絶縁膜10が露出するまで保護層2の一部を除去し、その後、レジストパターンを除去することによって、コンタクトホール14を形成することができる。なお、コンタクトホール14の形成方法は上記の方法に限定されず、保護層2の一部を除去できる形成方法であれば特に限定なく用いることができる。
【0077】
次に、図7の模式的断面図に示すように、コンタクトホール14を導電性材料で埋めることによって連結電極8を形成する。
【0078】
ここで、連結電極8の形成方法は特に限定されず、たとえば、フォトリソグラフィ技術を利用して、上記のコンタクトホール14の形成後の保護層2の表面上にコンタクトホール14の形成領域に開口部を有するマスクを設置し、その後、スパッタ法または真空蒸着法等によってコンタクトホール14を金属等で埋めることによって形成することができる。
【0079】
次に、図8の模式的断面図に示すように、保護層2の表面から露出している連結電極8に接するように画素電極7を形成し、保護層2の表面上の画素電極7の間の領域に接着層3を形成する。
【0080】
ここで、画素電極7の形成方法は、画素電極7の形状を所望の形状にパターンニングできる形成方法であれば特に限定なく用いることができる。
【0081】
また、接着層3の形成方法も特に限定なく、たとえば、接着剤を所定のパターンに塗布する方法等を用いることができる。
【0082】
次に、図9の模式的断面図に示すように、接着層3の表面上に集光部材4を設置して、接着層3に集光部材4を貼り付ける。
【0083】
その後、図10の模式的断面図に示すように、たとえばインクジェット法を用いて、第1のインクジェットヘッドノズル15から光電変換層6形成用の液体(たとえば、P3HTとPCBMとの混合液)である光電変換層液状前駆体17を集光部材4の間の領域に塗布することによって光電変換層6を形成した後に、第2のインクジェットヘッドノズル16から共通電極5形成用の液体(たとえば、PEDOTとPSSとの混合液)である共通電極液状前駆体18を塗布することによって共通電極5を形成する。
【0084】
これにより、図1(a)および(b)に示す構成の本発明の光センサを作製することができる。
【0085】
図11に、本発明の光センサの他の一例の模式的な上面図を示す。図11に示す光センサにおいては、光電変換層6の外周がすべて集光部材4で取り囲まれていることを特徴としている。すなわち、本発明においては、入射光を光電変換層6の方向に集光するための集光部材4が光電変換層6に隣り合う位置に設置されていれば、光電変換層6の外周の一部が光電変換層6に隣り合っていてもよく、光電変換層6の外周のすべてが光電変換層6に隣り合っていてもよい。また、本発明においては、光電変換層6と集光部材4とは必ずしも接している必要はなく、光電変換層6と集光部材4とが間隔を空けて配置されていてもよい。
【0086】
なお、本発明に用いられる集光部材4は、たとえば以下のようにして作製することができる。まず、図12の模式的断面図に示すように、所定の形状に溝が形成された金型120を用意し、その金型120の溝に樹脂を充填した後に樹脂を剥離することによって、金型120の溝の形状に成形された樹脂からなる集光部材前駆体121を形成する。ここで、たとえば、集光部材前駆体121の略三角形状の断面の底辺は約250μm程度の長さとし、高さは約300μm程度とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0087】
次に、その集光部材前駆体121の表面にAl等の反射率の高い金属を蒸着等することによって集光部材4を形成する。そして、上記のようにして形成された集光部材4を図13の模式的斜視図に示すようにシート130上に設置する。そして、シート130とシート130上に設置された集光部材4とからなる集光部材シートが形成される。その後、集光部材シートから集光部材4を切り取って上記の接着層3上に貼り付けることによって、集光部材4を接着層3上に設置することができる。なお、本発明においては、集光部材4を切り取らずに集光部材シートをそのまま接着層3に貼り付けてもよい。
【0088】
また、集光部材シートの作製方法の他の一例を図14〜図16に図解する。まず、図14の模式的構成図に示すように、片面が易接着処理された2軸延伸PETで厚さが75μmのフィルム基材140をプライマーの塗布ロール143と圧胴ロール144との間を通過させる。ここで、インキパン142に収容されたプライマー141は、塗布ロール143に転写され、塗布ロール143に転写されたプライマーは、フィルム基材140が塗布ロール143と圧胴ロール144との間を通過する時にフィルム基材140に転写される。
【0089】
次に、プライマーの転写後のフィルム基材140は乾燥ゾーン145で乾燥された後に、フィルム基材140のプライマー塗布側の表面を、ノズル塗工装置1410から排出された紫外線硬化型樹脂1411が凹部に充填されたロール凹版149の表面上にニップロール146によって密着させる。
【0090】
続いて、紫外線照射装置147から紫外線を紫外線硬化型樹脂1411に照射することによって、紫外線硬化型樹脂1411を硬化させてフィルム基材140と一体化させる。
【0091】
その後、フィルム基材140がニップロール148を通過する時に、ロール凹版149からフィルム基材140を剥離することによって賦型フィルムシート1412を得る。
【0092】
ここで、上記において、紫外線硬化型樹脂1411としては、たとえば、ウレタンアクリル系多官能プレポリマーを主成分とするもの等を用いることができる。
【0093】
図15(a)〜(c)に、上記のようにして作製した賦型フィルムシート1412の一例の模式的な斜視図を示す。ここで、図15(a)に示す構成の賦型フィルムシート1412においては、紫外線硬化型樹脂1411が三角プリズム形状に形成されている。また、図15(b)に示す賦型フィルムシート1412においては、紫外線硬化型樹脂1411が波形状に形成されている。また、図15(c)に示す賦型フィルムシート1412においては、紫外線硬化型樹脂1411がピラミッド形状に形成されている。
【0094】
次に、図16(a)の模式的断面図に示すように、たとえば図15(a)に示す賦型フィルムシート1412を射出成形機の金型内にセットする。ここで、賦型フィルムシート1412は、平板状の雌型166と口の字状の雌型165との間に挟まれ、口の字状の雌型165側に開口部163を有する雄型164が設置されている。
【0095】
続いて、図16(b)の模式的断面図に示すように、口の字状の雌型165の表面上に雄型164が接するようにして設置される。そして、図16(c)の模式的断面図に示すように、雄型164の開口部163から樹脂167を注入する。その後、樹脂167を冷却等することによって樹脂167を硬化させる。
【0096】
次に、図16(d)の模式的断面図に示すように、口の字状の雌型165、平板状の雌型166および雄型164をそれぞれ互いに引き離すことによって脱型を行なう。そして、樹脂167が硬化された後の賦型フィルムシート1412を射出成形機の金型から取り出し、図16(e)の模式的断面図に示すように、賦型フィルムシート1412から樹脂167を脱離させる。その後、賦型フィルムシート1412から脱離させた樹脂167の表面上にAl等の反射率の高い金属を蒸着等することによって集光部材4を形成して集光部材シートが形成される。
【0097】
また、集光部材シートの作製方法のさらに他の一例を図17(a)〜(c)の模式的断面図に図解する。
【0098】
まず、図17(a)に示すように、たとえば図15(b)に示す構成の賦型フィルムシート1412を加熱プレス機の金型内にセットする。ここで、賦型フィルムシート1412は、上部加熱板170と下部加熱板174との間に樹脂167とともに設置する。
【0099】
次に、図17(b)に示すように、上部加熱板170を下部加熱板174側にプレスすることによって樹脂167を加熱して溶融させるとともに賦型フィルムシート1412の紫外線硬化型樹脂1411の形状に樹脂167を成形する。
【0100】
続いて、成形された樹脂167を冷却等することによって樹脂167を硬化させた後に、図17(c)に示すように、賦型フィルムシート1412から樹脂167を脱離させる。その後、賦型フィルムシート1412から脱離させた樹脂167の表面上にAl等の反射率の高い金属を蒸着等することによって集光部材4を形成して集光部材シートが形成される。
【0101】
なお、集光部材4の形成方法は上記の方法に限定されず、たとえば、フォトリソグラフィ技術、マイクロコンタクトプリント、ダイシング(切削)加工、電気鋳造法等を利用して適宜作製することが可能である。
【0102】
また、上記構成の本発明の光センサは、格子状に配列させられることによって光センサアレイを構成し、そのように構成された光センサはたとえば撮像素子に好適に用いることができる。また、本発明の光センサを含む撮像素子は、たとえばFPD等の撮像装置に好適に用いることができる。
【0103】
図20に、本発明の光センサが格子状に配列させられることによって形成された光センサアレイを含む撮像素子の一例である放射線画像検出器の模式的な斜視透視図を示す。
【0104】
ここで、放射線画像検出器には、撮像パネル201、放射線画像検出器の動作を制御する制御回路205、書き換え可能な読み出し専用メモリ(たとえばフラッシュメモリ)等を用いて撮像パネル201から出力された画像信号を記憶し、記憶した画像信号の読み出しが可能なメモリ部206、放射線画像検出器の動作を切り換えるための操作部203、放射線画像の撮影準備の完了やメモリ部206に所定量の画像信号が書き込まれたことを示す表示部202、撮像パネル201を駆動して画像信号を得るために必要とされる電力を供給する電源部209、放射線画像検出器とその放射線画像検出器を含む撮像装置の画像処理部との間で通信を行うための通信用のコネクタ204およびこれらを収納する筐体200が設けられている。
【0105】
また、撮像パネル201は、照射された放射線の強度に応じて蓄積された電荷を読み出す走査駆動回路208および蓄積された電荷を画像信号として出力する信号選択回路207を有している。
【0106】
図21に、図20に示す放射線画像検出器の回路構成を示す。撮像パネル201にはたとえば図1(a)および図1(b)に示される本発明の光センサが設置されており、本発明の光センサの1つの画素電極7が放射線画像の1画素に対応する。なお、この放射線画像検出器においては、画素電極7は本発明の光センサに照射された放射線の強度に応じて蓄積された電荷を読み出すために用いられる。
【0107】
ここで、画素間には走査線213−1、213−2、213−3・・・213−mと信号線212−1、212−2、212−3、・・・212−nとがたとえば直交するように配設されている。
【0108】
また、撮像パネル201には、図1(a)および図1(b)に示される本発明の光センサのゲート絶縁膜10、ゲート電極11、ドレイン電極12、ソース電極19および活性層13から構成されているTFT211−(1,1)が設置されている。
【0109】
また、撮像パネル201には、図1(a)および図1(b)に示される本発明の光センサの補助容量部210−(1,1)が設置されている。
【0110】
なお、上記で説明したように、画素電極7、補助容量部210−(1,1)およびTFT211−(1,1)は電気的に接続されている。また、撮像パネル201に設置された本発明の光センサのTFTのゲート電極11は走査線213−1に接続されており、ドレイン電極12は信号線212−1に接続されている。また、本発明の光センサのTFTのソース電極19は画素電極7に接続されている。また、本発明の光センサの共通電極5は図示しないバイアス電源に接続されており、共通電極5には負のバイアス電圧が印加されている。ここでは、1つの画素に注目して説明したが、他の画素についても同様に、画素電極、補助容量部、TFT、走査線および信号線が接続される。
【0111】
また、撮像パネル201には、信号線212−1、212−2、212−3、・・・212−nに、たとえばドレイン電極が接続された初期化用のトランジスタ215−1、215−2、215−3、・・・215−nが設けられている。この初期化用のトランジスタ215−1、215−2、215−3、・・・215−nのソース電極は接地されている。また、この初期化用のトランジスタ215−1、215−2、215−3、・・・215−nのゲート電極はリセット線214と接続されている。
【0112】
また、撮像パネル201の走査線213−1、213−2、213−3・・・213−mとリセット線214は走査駆動回路208に接続されている。
【0113】
このような回路構成を有する放射線画像検出器においては、走査駆動回路208から走査線213−1、213−2、213−3・・・213−mのうちの1つ走査線213−p(pは1〜mのいずれか1つの値)に読出信号RSが供給されると、この走査線223−pに接続されたTFT211−(p,1)〜211−(p,n)がオン状態にされて、蓄積された電荷が信号線212−1、212−2、212−3〜212−nにそれぞれ読み出される。信号線212−1、212−2、212−3〜212−nは、信号選択回路207の信号変換器216−1、216−2、216−3、・・・216−nに接続されており、信号変換器216−1、216−2、216−3、・・・216−nでは信号線212−1、212−2、212−3〜212−n上に読み出された電荷量に比例する電圧信号SV−1、SV−2、SV−3、・・・SV−nを生成する。この信号変換器216−1、216−2、216−3、・・・216−nから出力された電圧信号SV−1、SV−2、SV−3、・・・SV−nはレジスタ217に供給される。
【0114】
レジスタ217では、供給された電圧信号が順次選択されて、A/D変換器218で(たとえば、12ビットないし14ビットの)1つの走査線に対するディジタルの画像信号DPとされて制御回路205に供給される。また、制御回路205は、走査駆動回路208に読出信号RCを供給して、走査線213−1、213−2、213−3・・・213−mの各々について順次、走査駆動回路208を介して読出信号RSを供給して画像走査を行い、上記と同様にして走査線毎のディジタルの画像信号を取り込む。そして、放射線画像の画像信号の生成を行う。なお、制御回路205は、制御信号SCを信号選択回路207に供給して、信号選択回路207の制御を行なう。
【0115】
なお、走査駆動回路208からリセット信号RTをリセット線214に供給してトランジスタ215−1〜215−nをオン状態とするとともに、走査線213−1〜213−mに読出信号RSを供給してTFT211−(1,1)〜211(m,n)をオン状態とすると、蓄えられた電荷が初期化用のトランジスタ215−1、215−2、215−3、・・・215−nを介して放出して撮像パネル201の初期化を行なうことができる。
【0116】
また、制御回路205には、表示部202、操作部203、コネクタ204およびメモリ部206が接続されており、これらは電源部209からの電力の供給により駆動する。ここで、制御回路205においては、操作部203からの操作信号PSに基づいて放射線画像検出器の動作が制御される。操作部203には複数のスイッチが設けられており、操作部203からのスイッチ操作に応じた操作信号PSが制御回路205に供給されることにより、制御回路205にて撮像パネル201の初期化や放射線画像の画像信号の生成が行われる。また、放射線画像の画像信号の生成は、放射線発生器から放射線照射終了信号DFEがコネクタ204を介して供給されたときに行うものとすることもできる。さらに、制御回路205で生成した画像信号DTをメモリ部206に記憶させる処理等も行うことができる。また、制御回路205から表示信号DSを表示部202に供給することによって、表示部202は放射線画像の撮影準備の完了やメモリ部206に所定量の画像信号が書き込まれたことを表示する。
【0117】
図22に、図20に示す構成の放射線画像検出器を含む撮像装置の一例の模式的な構成を示す。ここで、この撮像装置においては、放射線発生器222から放射された放射線は、被写体(医療施設ではたとえば患者)220を通して図20に示す構成の放射線画像検出器221に照射される。そして、放射線画像検出器221では、照射された放射線の強度に基づいて画像信号DFEを生成する。この生成された画像信号DFEは、放射線画像検出器221に接続されている画像処理部223によって読み出される。または、放射線画像検出器221に装着されたたとえば半導体メモリカード等の携帯可能な記録媒体に蓄積された後、この記録媒体を放射線画像検出器221から取り外して画像処理部223に装着することによって画像処理部223に供給される。
【0118】
画像処理部223においては、放射線画像検出器221で生成された画像信号DFEに対してシェーディング補正やゲイン補正、階調補正、エッジ強調処理、ダイナミックレンジ圧縮処理等を施して、診断等に適した画像信号となるように処理を行なうことができる。また、画像処理部223には、陰極管や液晶表示素子あるいはプロジェクタ等を用いて構成された画像表示部225が接続されており、この画像処理部223においては、画像処理中の画像信号や画像処理完了後の画像信号に基づく画像を表示することができる。
【0119】
また、画像処理部223においては、画像の拡大や縮小を行うとともに画像信号の蓄積や転送を容易とするために画像信号の圧縮や伸長処理も行なうことができる。このため、画像表示部225に表示されている画像を拡大したり縮小することで、撮影部位の確認や処理状態を容易に行うことができる。また、表示された画像や表示された画像の領域を指定させて、指定された画像や指定された領域に対して適切な画像処理を自動的に行うことも可能となる。
【0120】
また、画像処理部223には、キーボード、マウス、ポインターなどを用いて構成された情報入力部224が接続されており、この情報入力部224によって患者情報等を入力し、付加情報を画像信号に付け加えることができる。また、画像処理の指定や画像信号の保存や読み出し、ネットワークを介した画像信号の送受信を行う際の指示等も情報入力部224から行なわれる。
【0121】
また、画像処理部223には、さらに、画像出力部228、画像保存部226およびコンピュータ支援画像自動診断部(CAD)227がそれぞれ接続されている。
【0122】
また、画像出力部228では、記録紙やフイルム等に放射線画像を表示させて出力する。たとえば、銀塩写真フィルムを用いるものとして、画像信号に基づき露光を行ない、この露光された銀塩写真フィルムの現像処理を行なうことで放射線画像を銀画像として描き出して出力することができる。
【0123】
また、記録紙に放射線画像を印刷して出力する場合には、画像信号に基づいてインクに圧力をかけて細いノズルの先端からインクを記録紙に吹き付けて印刷するインクジェットプリンタ、画像信号に基づいてインクを溶融あるいは昇華させて記録紙に画像を転写するサーマルプリンタ、画像信号に基づきレーザ光で感光体上を走査して、感光体上に付着したトナーを紙に転写してから熱と圧力で定着させることにより記録紙に画像を形成するレーザプリンタ等を用いて画像出力部228を構成することができる。
【0124】
また、画像保存部226においては、放射線画像の画像信号を必要に応じて適宜読み出すことができるように保存することができる。この画像保存部226は、たとえば磁気的、ホログラム素子、穿孔、色素分布変化等を利用することにより画像信号を保存することができる。
【0125】
また、CAD227は、たとえば、撮影された放射線画像のコンピュータ処理やコンピュータ解析を行い、診断に必要な情報を医師に提供することで病変の見落としがないように診断支援を行なうことができる。また、CAD227は、たとえば、コンピュータ処理やコンピュータ解析結果に基づいて、診断を自動的に行なうことができる。
【0126】
また、放射線画像の画像信号は、上述の画像出力部228、画像保存部226およびCAD227だけでなく、いわゆるLAN、インターネットおよびPACS(医療画像ネットワーク)等のネットワーク2214を介して、病院施設内の他の部署あるいは遠隔地にも送付することができる。
【0127】
また、このネットワーク2214を介して、CT(Computed Tomography)229やMRI(Magnetic Resonance Imaging)2210から得られた画像信号、CR(Computed Radiography)や他のFPD2211から得られた画像信号、およびその他の検査情報等も送付可能とされており、放射線画像検出器221で得られた放射線画像と比較検討するために、ネットワーク2214を介して送付されてきた画像信号や検査情報等を画像表示部225で表示したり画像出力部228から出力させることもできる。
【0128】
また、送付されてきた画像信号や検査情報等を画像保存部226に保存させることもできる。また、放射線画像検出器221で得られた放射線画像の画像信号等を外部画像保存装置2212に保存させるものとしたり、外部画像表示装置2213の表示画面上に、放射線画像検出器221で得られた放射線画像を表示することも行なうこともできる。
【0129】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明によれば、光電変換層に有機化合物を用いた場合でも光電変換層におけるリーク電流(暗電流)の発生量を低減することができる光センサ、光センサアレイ、撮像素子および撮像装置ならびに光センサの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】(a)は本発明の光センサの一例の模式的な上面図であり、(b)は(a)に示す光センサの模式的な断面図である。
【図2】図1に示す構成を有する本発明の光センサの製造方法の一例の工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図3】図1に示す構成を有する本発明の光センサの製造方法の一例の工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図4】図1に示す構成を有する本発明の光センサの製造方法の一例の工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図5】図1に示す構成を有する本発明の光センサの製造方法の一例の工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図6】図1に示す構成を有する本発明の光センサの製造方法の一例の工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図7】図1に示す構成を有する本発明の光センサの製造方法の一例の工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図8】図1に示す構成を有する本発明の光センサの製造方法の一例の工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図9】図1に示す構成を有する本発明の光センサの製造方法の一例の工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図10】図1に示す構成を有する本発明の光センサの製造方法の一例の工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図11】本発明の光センサの他の一例の模式的な上面図である。
【図12】本発明に用いられる集光部材シートの作製方法の一例の工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図13】本発明に用いられる集光部材シートの作製方法の一例の工程の一部を図解する模式的な斜視図である。
【図14】本発明に用いられる集光部材シートの作製方法の他の一例の工程の一部を図解する模式的構成図である。
【図15】(a)〜(c)は本発明に用いられる賦型フィルムシートの一例の模式的な斜視図である。
【図16】(a)〜(e)は本発明に用いられる集光部材シートの作製方法の他の一例の工程の一部を図解する模式的断面図である。
【図17】(a)〜(c)は本発明に用いられる集光部材シートの作製方法のさらに他の一例の工程の一部を図解する模式的断面図である。
【図18】(a)は実験装置の一例の模式的な上面構成図であり、(b)は(a)に示す実験装置の模式的な断面構成図である。
【図19】実験で用いられた光電変換層を作製するための混合液の調製方法を図解する模式図である。
【図20】本発明の光センサが格子状に配列させられることによって形成された光センサアレイを含む撮像素子の一例である放射線画像検出器の模式的な斜視透視図である。
【図21】図20に示す放射線画像検出器の回路構成図である。
【図22】図20に示す構成の放射線画像検出器を含む撮像装置の一例の模式的な構成図である。
【図23】従来のCCDデバイスの画素部の一例の模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0132】
1 基板、2 保護層、3 接着層、4 集光部材、5 共通電極、6 光電変換層、7 画素電極、8 連結電極、9 補助容量電極、10 ゲート絶縁膜、11 ゲート電極、12 ドレイン電極、13 活性層、14 コンタクトホール、15 第1のインクジェットヘッドノズル、16 第2のインクジェットヘッドノズル、17 光電変換層液状前駆体、18 共通電極液状前駆体、19 ソース電極、120 金型、121 集光部材前駆体、130 シート、140 フィルム基材、141 プライマー、142 インキパン、143 塗布ロール、144 圧胴ロール、145 乾燥ゾーン、146,148 ニップロール、147 紫外線照射装置、149 ロール凹版、163 開口部、164 雄型、165,166 雌型、167 樹脂、170 上部加熱板、174 下部加熱板、181 上部電極、182 下部電極、183 ガラス基板、190 第1の容器、191 第2の容器、192,193 溶液、194 第3の容器、195 混合液、201 撮像パネル、202 表示部、203 操作部、204 コネクタ、205 制御回路、206 メモリ部、207 信号選択回路、208 走査駆動回路、209 電源部、210 補助容量部、211 TFT、212 信号線、213 走査線、214 リセット線、215 トランジスタ、216 信号変換器、217 レジスタ、218 A/D変換器、220 被写体、221 放射線画像検出器、222 放射線発生器、223 画像処理部、224 情報入力部、225 画像表示部、226 画像保存部、227 CAD、228 画像出力部、229 CT、230 光電変換素子、231 シリコン基板、232 ポリシリコン膜、233 遮光膜、234 インナーレンズ、235 カラーフィルタ、236 マイクロレンズ、237 入射光、1410 ノズル塗工装置、1411 紫外線硬化型樹脂、1412 賦型フィルムシート、2210 MRI、2211 FPD、2212 外部画像保存装置、2213 外部画像表示装置、2214 ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に、光の入射により電荷を生じさせる有機化合物である光電変換層と、前記光電変換層で生じた電荷を集電するための画素電極と、入射光を前記光電変換層の方向に集光するための集光部材と、を備え、
前記集光部材が前記光電変換層に隣り合う位置に設置されていることを特徴とする、光センサ。
【請求項2】
前記基板上に補助容量部が設けられており、前記光電変換層における静電容量が前記補助容量部における静電容量よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の光センサ。
【請求項3】
前記光電変換層の厚さが20nm以上200nm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の光センサ。
【請求項4】
前記光電変換層が、前記画素電極の側面を被覆していることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の光センサ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の光センサが格子状に配列されていることを特徴とする、光センサアレイ。
【請求項6】
請求項5に記載の光センサアレイを含む、撮像素子。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像素子を含む、撮像装置。
【請求項8】
基板上に画素電極および集光部材を形成する工程と、
前記画素電極上に光の入射により電荷を生じさせる有機化合物である光電変換層を形成する工程と、
前記光電変換層上に共通電極を形成する工程と、を含み、
前記光電変換層および前記共通電極の少なくとも一方を液体を滴下させて形成することを特徴とする、光センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−158798(P2009−158798A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337006(P2007−337006)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】