説明

光センサ

光ビームが種々異なる方向に放射されて、場合によっては既存の対象で反射され、再度受信され、方向及び伝搬時間により、前記対象の3次元画像で評価されるセンサにおいて、光ビームの形成のために、光源が2次元マトリックスの形式で設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ビームが種々異なる方向に放射されて、場合によっては既存の対象で反射され、再度受信され、方向及び伝搬時間により、前記対象の3次元画像で評価されるセンサに関する。
【0002】
このようなセンサは、Lidar(Light Detection and Ranging)センサという名称で公知であり、市販されている。その際、種々異なる2つの構成形式間で区別されており、即ち、例えば水平方向面に固定の測定ビーム装置を有しているセンサと、例えば、鏡により機械的にビーム旋回するセンサとが区別されている。このような機構により、固定のライン状測定ビーム装置の場合の角度分解能よりも一層精密な角度分解能が可能となるけれども、機械的な手段の欠点、即ち、機械的な応力に対する感度、摩耗及び比較的コスト高な製造という欠点がある。
【0003】
公知のLidarセンサは、環境センサに基づく自動車用のアシスタントシステムで、対象検出用、距離及び相対速度の測定用に使用され得る。現在、機能ACC(=adaptive cruise control,Abstandregeltempomat及びDistronic というブランドでも知られている)が重要になっており、その際、狭開角で約3m〜120mの測定範囲が必要である。自動車の領域では、”Low Speed Following(ロースピードフォローイング)”, ”Blind Spot Detection(ブラインドスポットデテクション)”, ”Backing Aid(バッキングアイド)”又は”PreCrash(プリクラッシュ)”のような距離30m迄の近領域内での一連の機能を、水平方向及び垂直方向での幅広の検出領域が、両方向での十分に高い角度分解能で既存の場合、Lidarセンサを用いて実施することができる。
【0004】
本発明の課題は、殊に、製造可能性、高い信頼度、堅牢性及び寿命に関しての自動車での要求を満たすセンサを提供することにある。
【0005】
発明の利点
本発明のセンサでは、この課題は、光ビームの形成のために、光源が2次元マトリックスの形式で設けられていることにより解決される。
【0006】
本発明のセンサは、例えば、ミスによる機械的な可動部品の振動のような、厳しい環境条件下でも、長い寿命を有している。更に、光源及び場合によってはオブチック装置をプリント配線板上に平坦に構成することにより、製造コストを遺作することができる。
【0007】
所定の用途では、各光源が相互に種々異なる距離を有するようにすると有利である。
【0008】
入手しうる構成部品を用いた本発明のセンサの容易な製造性に関して、実施例によると、光源は、列状の構成群上に設けられているようにされている。しかし、製造方法により、光源を個別構成素子としてプリント配線板上に、例えば、チップオンボード技術で取り付けることができることが公知である。
【0009】
本発明の別の実施例では、個別光源は、各々の列内でジグザグ状にずらされている。
【0010】
前述の利点の他に、本発明のセンサの構成では、各光源が相互に独立して制御可能であることにより、高いフレキシビリティの利点を有する。
【0011】
例えば、検出領域を作動中非常に迅速に走行状況乃至対象のシーンに適合することができ、その結果、例えば、高速で移動する対象を所期のように追跡することができる。この能力は、例えば、PreCrash(プリクラッシュ)のような安全上重要な機能にとって重要である。
【0012】
個別光源の電子制御のために、適切にプログラミングされたプロセッサ及び別の電子回路が使われる。例えば、光源の制御の形式は、連続運転中非常に迅速に変えることができ、例えば、幾つかの測定モードで種々の角度検出領域及び測定サイクル時間で必要に応じて切り換えることができる。つまり、測定ビームの行毎のスキャンによる全領域の完全な走査を、比較的長いサイクル時間で行うことができる。択一的に、行又は列の走査を、所定の高さ及び幅で行うことが可能である。結局、個別測定ビームを、個別対象を正確且つ迅速に追跡するように形成することができる。そうすることによって、それと同時に、種々の機能、例えば、ロースピードフォローイング及びPreCrash(プリクラッシュ)のような機能を、個別センサの種々の測定モード間で座標を切換ることによって行うことができる。
【0013】
モード切替乃至注意力喚起の制御のために、本発明のセンサでは、特に以下のように制御することができる:
−水平方向−30°〜+30°の平均面上で周期的に繰り返して水平方向にラインスキャンする。
−垂直方向の対象の位置を測定するために、並びに、走行路の表面に対して相対的に車両の位置を測定するために、比較的大きな時間間隔で、比較的高い面も比較的低い面もスキャンされる。
−必要に応じて(ピッチ角又は走行路の湾曲の影響)、直ぐ次のラインスキャンサイクルが、比較的低い面上又は比較的高い面上で切り換えられる。
【0014】
本発明のセンサでは、光源は、発光ダイオード(光放射ダイオード)又はレーザダイオードによって形成されている。
【0015】
有利な実施例によると、各光源の各々の前に、収束レンズが設けられているようにするとよい。基本的には、この収束レンズを光ビームを形成するように構成する殊が可能である。しかし、収束レンズを、各々の光源から、できる限り多く放射された光を、複数のレンズの組合せとして構成してもよい、共通の収束レンズで同心円状に形成するために使用することが屡々行われている。
【0016】
個別詳細での用途に応じて、光ビームの横断面形状が重要である。そのために、本発明の実施例では、個別光源の光ビームのビーム成形のために、光導波路を設けるとよい。
【0017】
例えば、相互に垂直方向の2つの方向に種々異なる角度分解能が必要とされる場合、個別光源から放射された光ビームは、楕円形の横断面を有しているようにすると有利である。
【0018】
本発明は、更に、対象によって反射されたビームの受光のために、集束レンズと光感応面を有する受光器が設けられている。その際、光感応面は、光電変換器、例えば、相応の大きな面積のPINダイオードによって構成するとよい。
【0019】
受光器の有利な実施例の別の手段では、光感応面は、マトリックス状に設けられた光電変換器によって構成されている。この構成の利点は、一方では、小さなダイオードの比較的高い切換速度にあり、それにより、比較的高い測定精度と半径方向での分離度が達成され、他方では、比較的大きな角度弁別性が達成され、それにより、各測定ビーム間のクロストークを回避することができ、前述の角度弁別性は、この際に分かる。光感応面の両実施例では、中間の解決手段も用いることができ、つまり、例えば、列状のPINダイオードからなるアレイを用いてもよい。
【0020】
図面
本発明の実施例について、複数の図示の実施例を用いて以下詳細に説明する。その際:
図1は、マトリックスでの各光源の配列構成の略図、
図2は、本発明の2つのセンサを設けた自動車の略図、
図3は、各々1つのビームセンサと1つの受光器を備えたセンサの横断面略図、
図4は、受光器の別の実施例を示す図
である。
【0021】
実施例の説明
図1は、各々楕円形の横断面の光源1の10個の行を示す。所定の対象で達成可能な垂直方向の検出角度は、この例では、−10°〜+12°である。行相互の間隔は、垂直方向の検出角度が大きくなるに連れて0°から出発して次第に大きくなる。従って、一般的に、水平方向面でセンサ組込み位置の高さで、一層正確な角度分解能が必要であるという事情を考慮することができる。
【0022】
例えば、更に、マトリックスの左側部分では、各光源間の間隔が大きく選定されており、その結果、ここでは、角度分解能は小さくなる。その際、この領域内では、各光源は、低い垂直方向の検出角度で相互にずらされており、その結果、例えば、対象の垂直方向のエッジは、比較的大きな間隔にも拘わらず、比較的良好な解像度で検出することができる。
【0023】
図2には、道路2上の自動車1が、詳細に図示していない2つのセンサによって形成される検出範囲を示して図示されており、各センサは、光ビーム3を放射して対象からの反射を受光する。その際、図1に示されているように、右の車両側に設けられたセンサでは、左側の4°での角度分解能が、それ以外の水平方向の検出領域では2°に低減されており、左の車両側に設けられたセンサでは、右側の4°での角度分解能が、それ以外の水平方向の検出領域では2°に低減されている。この手段は、各発光ダイオードを節約するが、そうすることによって、有利には、総体的に、比較的重要な領域内での分解能を維持して、比較的僅かなサイクル時間が可能であるようにすることができる。
【0024】
図3には、レンズ13を有する発光器11及びレンズ14を有する受光器12を備えた、本発明のセンサが示されている。受光器のプリント配線板15には、例えば、図1に示した分布の発光ダイオード16が配列されており、これら発光ダイオードは、各々レンズ17を備えており、これらレンズ17により、発光ダイオードにより形成された光の、できる限り大部分がレンズ13に入射し、従って、光ビーム用に利用される。発光ダイオード16は、レンズ13の焦点面に配設され、その結果、各々発光ダイオード16によって形成された光が、平行ビーム束18を形成する。図示していない対象によって反射されたビーム束19は、図3の実施例の受光器12のところで、大きな面積のPINダイオード20の所定の点に集光される。
【0025】
適切な電子制御回路21は、発光ダイオード16のシーケンシャルパルス制御用に使われ、その際、用途事例に応じて種々異なるモードが可能である。どの発光ダイオード16をどの時点で光を放射するかという情報は、受光器の評価回路22に伝送され、その結果、PINダイオード20によって形成されたパルスを、発光ダイオード16から放射された光パルスに対応付けることができ、その際、伝搬時間が求められる。従って、光ビームの方向情報と一緒に、検出されるシーンの3次元イメージを形成することができる。
【0026】
図4には、発光器に相応する個数のPINダイオード25が設けられているプリント配線板24を備えた受光器12(図3)用の択一実施例23が示されており、冒頭に記載したように、特に、各個別光ビーム間のクロストークに対する安全性を高めることができる。受光器23の評価回路26は、相応に多数の受光路を有している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】マトリックスでの各光源の配列構成の略図
【図2】本発明の2つのセンサを設けた自動車の略図
【図3】各々1つのビームセンサと1つの受光器を備えたセンサの横断面略図
【図4】受光器の別の実施例を示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームが種々異なる方向に放射されて、場合によっては既存の対象で反射され、再度受信され、方向及び伝搬時間により、前記対象の3次元画像で評価されるセンサにおいて、
光ビームの形成のために、光源(16)が2次元マトリックスの形式で設けられている
ことを特徴とするセンサ。
【請求項2】
各光源(16)が相互に種々異なる距離を有する請求項1記載のセンサ。
【請求項3】
光源は、列状の構成群上に設けられている請求項1又は2記載のセンサ。
【請求項4】
光源は、個別構成素子としてプリント配線板上に取り付けられている請求項1から3迄の何れか1記載のセンサ。
【請求項5】
個別光源(16)は、各々の列内でジグザグ状にずらされている請求項1から4迄の何れか1記載のセンサ。
【請求項6】
各光源は、相互に独立して制御可能である請求項1から5迄の何れか1記載のセンサ。
【請求項7】
光源は、発光ダイオード(16)によって形成されている請求項1から6迄の何れか1記載のセンサ。
【請求項8】
光源は、レーザダイオードによって形成されている請求項1から6迄の何れか1記載のセンサ。
【請求項9】
各光源(16)の各々の前に、収束レンズ(17)が設けられている請求項1から8迄の何れか1記載のセンサ。
【請求項10】
共通の収束レンズ(13)が設けられている請求項1から9迄の何れか1記載のセンサ。
【請求項11】
個別光源の光ビームのビーム形成のために、光導波路が設けられている請求項1から10迄の何れか1記載のセンサ。
【請求項12】
個別光源(16)から放射された光ビームは、楕円形の横断面を有している請求項1から11迄の何れか1記載のセンサ。
【請求項13】
対象によって反射されたビームの受光のために、集束レンズ(14)と光感応面(20,25)を有する受光器(12,23)が設けられている請求項1から12迄の何れか1記載のセンサ。
【請求項14】
光感応面(20,25)は、光電変換器(20)によって構成されている請求項13記載のセンサ。
【請求項15】
光感応面は、マトリックス状に設けられた光電変換器(25)によって構成されている請求項13記載のセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−503271(P2006−503271A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543931(P2004−543931)
【出願日】平成15年8月11日(2003.8.11)
【国際出願番号】PCT/DE2003/002706
【国際公開番号】WO2004/036248
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】