説明

光ディスク記録再生装置の信号生成回路

【課題】 安定したアドレス情報の読み取りと、トラッキング、フォーカス等のアクチュエータ制御を行うことができる光ディスク記録再生装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 光ディスクの記録領域の蛇行に基づくウォブル信号を検出する信号生成回路において、光ピックアップの受光素子からの信号のウォブル信号帯域に近い周波数の低域部分のみを通過させる低域フィルター(LPF)15、または前記受光素子からの信号のウォブル信号周波数帯域の一定範囲の周波数のみを通過させる帯域フィルター(BPF)16を備え、受光素子からの信号上に重畳している記録パルスの影響をLPF15またはBPF16によって除去する構成とする。この構成によれば、前記記録パルスの影響がLPF15またはBPF16によって除去され、ノイズの影響によりアドレス情報の取得エラーが減少され、安定した記録動作が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク記録再生装置の信号生成回路、特にデータ記録中の信号生成回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスク記録再生装置では、光ピックアップのレーザー光を光ディスクの信号面に照射し、その反射光を4分割受光素子で受け、この4分割受光素子の出力をI−V変換した後、所定の受光素子出力の差をとることにより、例えばフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号のようにアクチュエータ制御に使用する誤差信号の生成、あるいはアドレス情報を取得するために使用するウォブル信号の生成を行っている。
【0003】
光ディスク記録再生装置は、これらの誤差信号やウォブル信号を用いて記録可能な光ディスクにデータを記録したり、記録可能な光ディスクに記録されているデータを再生したりしており、誤差信号の場合であれば、位相補償回路やドライブ回路を介して光ピックアップアクチュエータのフォーカスコイルやトラッキングコイルを駆動するようにサーボ回路を形成し、またウォブル信号であれば、記録可能な光ディスクの記録時及び再生時に光ピックアップの位置制御、及びスピンドルモータの回転制御を正確に行う為に必要なアドレス情報を取得して所定の位置へ光ピックアップを移動するとともに、ウォブル信号に含まれている光ディスクの回転制御に必要な情報を用いてモーターの回転数を制御し、ピットを正確に記録している。
【0004】
つまり、ウォブル信号によりアドレス情報が正しく検出できないと、光ディスクの回転と記録しているデータとの同期が取れなくなり、記録に失敗する可能性がある。特にCD−Rのような書き換え不可能な記録メディアにおいては、記録に失敗するとその時点でそのCD−Rは使えなくなる場合が多い。従って記録中の正確なアドレス情報の検出およびアクチュエータ制御は非常に重要である。
【0005】
光ディスクの再生時にはレーザー光のパワーは一定であるが、CD−R、RW、DVD−R、RW等の記録可能な光ディスクの記録時には、光ピックアップのレーザー光はEFM信号のピット列を作るため、レーザー光のパワーが変化する。パワーが変化すると前記サーボ回路のループゲインが変動するとともに、ウォブル信号では、信号レベルが変動することとなり安定した記録動作を行えない。従って光ディスクへデータを記録する時には、レーザー光の受光素子出力をサンプルホールドするサンプルホールド回路が用いられていた。
【0006】
そのような従来のサンプルホールド回路を用いたウォブル信号生成回路を図6に、サーボ信号生成回路を図7に示す。また図5に、光ピックアップ受光素子部分の構成を説明するブロック図を示す。図5に示すように、光ピックアップ受光素子1は、光ディスクのピットが形成されるグルーブに位置する4分割受光素子A,B,C,Dと、このグルーブの光ディスク半径方向両側に位置する2つの4分割受光素子(E1,E2,E3,E4),(F1,F2,F3,F4)から形成されており、光ピックアップ受光素子A,B,C,Dの出力電流はそれぞれ、I−V変換器2で電圧出力信号MA,MB,MC,MDに変換され、また光ピックアップ受光素子(E1,E2,E3,E4)(F1,F2,F3,F4)の同じ位置の出力電流(E1orF1),(E2orF2),(E3orF3),(E4orF4)はそれぞれ、I−V変換器2で電圧出力信号SE,SF,SG,SHに変換されて、図6のウォブル信号生成回路と図7のサーボ信号生成回路へ出力される。
【0007】
まず、図6及び図7に示されているサンプルホールド回路6について説明を行う。
このサンプルホールド回路6はサンプルパルス信号5がH(ハイ)である期間は入力端子を通して入力電圧を出力端子に出力するとともに入力電圧をコンデンサに蓄え、サンプルパルス信号5がL(ロー)である期間は入力端子と出力端子を遮断し、その間コンデンサの電圧を出力する回路である。
【0008】
次に図6に示すウォブル生成回路に関して説明を行う。
前記I−V変換器2の出力信号MA,MB,MC,MDは、出力信号MAとMDが加算され、出力信号MBとMCが加算されてそれぞれVGA回路7に入力され、各VGA回路7にて、一定量ゲインアップ、またはゲインダウンされた後それぞれサンプルホールド回路6に入力される。上述した各サンプルホールド回路6の出力電圧はそれぞれVGA回路8によって一定電圧に変換され、これらVGA回路8の出力電圧は、誤差増幅器9により減算され、VGA回路10によって振幅調整された後、BPF11にてウォブル周波数帯域の信号のみが抽出されウォブル信号4が生成される。演算式に置き換えると、
(MA+MD)−(MB+MC)=ウォブル信号4 ・・・(1)
となる。このように、誤差増幅器9により減算されて求められた信号よりBPF11にてウォブル周波数帯域の信号のみを抽出する方法は、たとえば特許文献1に開示されている。
【0009】
次に図7のサーボ信号生成回路12に関して説明を行う。
前記I−V変換器2の出力信号(MA,MB,MC,MD)と(SE,SF,SG,SH)はそれぞれ、VGA回路13にて、一定量ゲインアップ、またはゲインダウンされた後サンプルホールド回路6に入力される。上述した各サンプルホールド回路6の出力電圧(SMA,SMB,SMC,SMD)と(SSE,SSF,SSG,SSH)はそれぞれ誤差信号生成回路14へ入力され、次の様な演算式に当てはめられサーボ制御信号が出力される。例として、
(SMA+SMD)−(SMB+SMC)−(SSE+SSG)−(SSF+SSH)=トラッキングエラー信号 ・・・(2)
(SMA+SMC)−(SMB+SMD)+(SSE+SSH)−(SSF+SSG)=フォーカスエラー信号 ・・・(3)
などがあげられる。式(2)はトラッキング制御信号演算式、式(3)はフォーカス制御信号演算式である。
【0010】
図8(a)にI−V変換器2の出力信号、図8(b)にサンプルパルス信号5、図8(c)にサンプルホールド回路6の出力信号を示し、図9(e)に図8(a)のI−V変換器2の出力信号の拡大図、図9(f)に図8(b)に示すサンプルパルス信号5の拡大図、図9(g)に図8(c)に示すサンプルホールド回路6の出力信号の拡大図を示す。
【特許文献1】特開2002−100041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図9(e)に示すように、I−V変換器2の立ち上がり、及び立ち下がり後にはリンギングhを生じる。従って、上記した従来のサンプルホールド回路6のサンプルホールド後の信号にはリンギングhを含む信号を出力するため、ウォブル信号4及び各制御信号にノイズiが含まれることなる。また、リンギングh部分を含まない形でサンプリングを行おうとするとサンプリングできる区間j領域が狭くなり、実信号との差が大きくなり誤作動する恐れが高くなる。
【0012】
実際に、24倍速以上の記録のような高倍速記録では、記録するための照射パワーも大きくなり、それに添ってリンギング区間kも増加する。従ってサンプル区間jが狭くなるとともに記録中のサーボ信号にノイズがのり、記録動作が安定しないという問題があった。また、ウォブル信号4の場合も制御信号と同様のことがいえ、ノイズiの影響によりアドレス情報の取得エラーが増加するという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、安定したアドレス情報の読み取りと、トラッキング、フォーカス等のアクチュエータ制御を行うことができる光ディスク記録再生装置の信号生成回路を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明(光ディスク記録再生装置の信号生成回路)は、記録面にスパイラル状又は同心円状に記録領域が形成された光ディスクに照射されるスポット光の前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ中の受光素子からの信号に基づいて、前記記録領域の蛇行に基づくウォブル信号を検出する光ディスク記録再生装置の信号生成回路であって、
前記受光素子の信号からウォブル信号帯域に近い周波数の低域部分のみを通過させる低域フィルター、または前記受光素子の信号からウォブル信号周波数帯域の一定範囲の周波数のみを通過させる帯域フィルターを備え、前記受光素子からの信号上に重畳している記録パルスの影響を前記低域フィルターまたは帯域フィルターによって除去することを特徴とするものである。
【0015】
上記構成によれば、ウォブル信号を検出するに際して、受光素子からの信号上に重畳している記録パルスの影響が低域フィルターまたは帯域フィルターによって除去され、ノイズの影響によりアドレス情報の取得エラーが減少され、安定した記録動作が得られる。
【0016】
また請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明であって、前記受光素子からの信号をサンプリングするサンプルホールド回路を設け、このサンプルホールド回路の出力信号を前記低域フィルターまたは帯域フィルターへ入力し、前記受光素子の信号から記録パワーによる変動領域をサンプルホールド回路によって除去し、前記サンプルホールド回路の信号からレベル変動による立ち下がり時と立ち上がり時のリンギング周波数を前記低域フィルターまたは帯域フィルターによって除去することを特徴とするものである。
【0017】
上記構成によれば、記録パワーによる変動は受光素子の信号からサンプルホールド回路によって除去され、サンプルホールド回路の信号からレベル変動による立ち下がり時と立ち上がり時のリンギング周波数は前記低域フィルターまたは帯域フィルターによって除去するため、ノイズの影響によるアドレス情報の取得エラーが減少され、安定した記録動作が得られる。
【0018】
また請求項3に記載の発明は、記録可能な光ディスクの情報記録面にスポット光を照射し前記情報記録面からの反射光を検出する光ピックアップ中の受光素子の信号に基づいて、前記光ディスクの情報面に対する光ビームの制御上の相対的な誤差を示す誤差信号を生成し出力する光ディスク記録再生装置の信号生成回路であって、
前記受光素子の信号からアクチュエータの制御を行える低域周波数のみを通過させる低域フィルター、または前記受光素子の信号からアクチュエータの制御を行える周波数帯域のみを通過させる帯域フィルターを備え、前記受光素子からの信号上に重畳している記録パルスの影響を前記低域フィルターまたは帯域フィルターによって除去することを特徴とするものである。
【0019】
上記構成によれば、光ディスクの情報面に対する光ビームの制御上の相対的な誤差を示す誤差信号を生成するに際して、記録中のサーボ信号に重畳するノイズはカットされ、安定した記録動作が得られる。
【0020】
また請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明であって、前記受光素子の信号からサンプリングを行うサンプルホールド回路を設け、このサンプルホールド回路の出力信号を前記低域フィルターまたは帯域フィルターへ入力し、前記受光素子の信号から記録パワーによる変動をサンプルホールド回路によって除去し、前記サンプルホールド回路の信号からレベル変動による立ち下がり時と立ち上がり時のリンギング周波数を前記低域フィルターまたは帯域フィルターによって除去することを特徴とするものである。
【0021】
上記構成によれば、記録パワーによる変動は受光素子の信号からサンプルホールド回路によって除去され、前記サンプルホールド回路の信号からレベル変動による立ち下がり時と立ち上がり時のリンギング周波数は低域フィルターまたは帯域フィルターによって除去するため、記録中のサーボ信号に重畳するノイズはカットされ、安定した記録動作が得られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の光ディスク記録再生装置の信号生成回路は、上記構成を有し、アドレス情報の取得エラーを減少させ、またノイズのないサーボ信号を生成できるため、安定した記録動作を得ることができるという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明では、受光素子1の記録パワーの出力変動によるI−V変換器2の出力信号のレベル変動、及び立ち下がり時と立ち上がり時のリンギング周波数に近い高周波部分と、サーボ制御、ウォブル信号の帯域に近い低周波部分とに分けて考え、ウォブル信号、トラッキングエラー、フォーカスエラー等のアクチュエータ制御信号から、レベル変動、及び立ち下がり時と立ち上がり時のリンギングを除いて安定した記録動作を行う。
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、光ディスクには、記録面にスパイラル状、又は同心円状に記録領域が形成され、前記記録領域は蛇行しているものとする。
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1における光ディスク記録再生装置のウォブル信号生成回路(信号生成回路の一例)のブロック図であり、有機色素を用いた光ディスクの記録に適用した場合の低域フィルター(low pass filter:以下、LPFと記す)におけるウォブル信号生成回路の構成を示す。なお、図6に示す従来のウォブル信号生成回路と同一の構成には同一の符号を付している。
【0025】
図1に示すように、図5のI−V変換器2の出力信号MA,MB,MC,MDは、出力信号MAとMDが加算され、出力信号MBとMCが加算されてそれぞれVGA回路7に入力され、各VGA回路7にて、振幅を調整された後(一定量ゲインアップ、またはゲインダウンされた後)それぞれ、ウォブル信号の帯域に近い低周波部分のみを通過させるLPF15に入力される。前記LPF15によりウォブル信号の帯域に近い低周波部分のみを通過させた信号は、それぞれVGA回路8によって一定振幅に調整され、これらVGA回路8からの出力信号は、誤差増幅器9により減算され、VGA回路10によって振幅調整された後、BPF11にてウォブル周波数帯域の信号のみが抽出されウォブル信号4が生成される。演算式に置き換えると、上記式(1)、すなわち
(MA+MD)−(MB+MC)=ウォブル信号4
となる。
【0026】
記録されるEFM信号の周波数帯域は、1倍速では3T:約1.44MH〜11T:約393KHz(クロックパルス周期)の間となり、最も遅い周波数でも11T記録時の約393KHzとなる。ウォブル信号の周波数帯域は、1倍速では1T:約21.05KHz〜3T:約23.05KHzの間となり、最も早い周波数でも1T再生時の約21.05KHzとなる。このように記録されるEFM信号周波数と再生されるウォブル信号周波数には差があることが分かる。これを利用し、ウォブル信号の周波数帯域を含み、EFM信号の周波数帯域中最も遅い周波数(393KHz)未満の周波数のみを通過させるLPF15、例えば200KHz以下の周波数のみを通過させるLPF15とすると、記録しているために発生するEFM信号に同期した受光素子出力の記録パワーによる変動はもちろん、前記記録パワーによる変動よりも周波数の高いI−V変換器2の出力信号のレベル変動による立ち下がり時と立ち上がり時のリンギング周波数に関してもカットされた信号を出力することができVGA回路8に入力される時には記録パルスに影響されないノイズのない信号が入力されるため、アドレス情報の取得エラーを減少させることができ、安定した記録動作を提供することができる。
【0027】
なお、本実施の形態1において使用されているLPF15に代えて、ウォブル信号周波数帯域の一定範囲の周波数のみを通過させる帯域フィルター(band pass filter:以下、BPFと記す)16を使用することもできる。EFM信号の周波数帯域中最も遅い周波数(393KHz)未満で、ウォブル信号の周波数帯域を通過させるBPF16、例えば30KHz〜10KHzの周波数帯域のみを通過させるBPF16とすると、記録しているために発生するEFM信号に同期した受光素子出力の記録パワーによる変動はもちろん、前記記録パワーによる変動よりも周波数の高いI−V変換器2の出力信号のレベル変動による立ち下がり時と立ち上がり時のリンギング周波数に関してもカットされた信号を出力することができ、VGA回路8に入力される時には記録パルスに影響されないノイズのない信号が入力されるため、アドレス情報の取得エラーを減少させることができ、安定した記録動作を提供することができる。
[実施の形態2]
図2は本発明の実施の形態2における光ディスク記録再生装置のサーボ信号生成回路(信号生成回路の一例)のブロック図であり、記録可能な光ディスクへ記録した場合を示す。なお、図7に示す従来のサーボ信号生成回路と同一の構成には同一の符号を付している。
【0028】
図5のI−V変換器2の出力信号(MA,MB,MC,MD)と(SE,SF,SG,SH)はそれぞれ、VGA回路13にて、振幅を調整された後(一定量ゲインアップ、またはゲインダウンされた後)、アクチュエータの制御を行える低域周波数のみを通過させるLPF18に入力される。これらLPF18の出力信号(SMA,SMB,SMC,SMD)と(SSE,SSF,SSG,SSH)はそれぞれ、光ディスクの情報面に対する光ビームの制御上の相対的な誤差を示す誤差信号として、誤差信号生成回路14へ入力され、上記式(2),(3)等で示すサーボ制御信号(トラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号等)が形成される。
【0029】
記録されるEFM信号の周波数帯域は、1倍速では3T:約1.44MH〜11T:約393KHz(クロックパルス周期)の間となり、最も遅い周波数でも11T記録時の約393KHzとなる。標準的な光ディスクドライブでアクチュエータの制御を行える周波数帯域は約100KHz前後である。つまりアクチュエータ制御信号自体も100KHz前後迄の周波数が正常に出力されていればアクチュエータを制御するには問題ない、前記の通り記録されるEFM信号周波数とアクチュエータ制御周波数には差があることから、これを利用し、アクチュエータの制御を行える周波数帯域を含み、EFM信号の周波数帯域中最も遅い周波数(393KHz)未満の低域周波数のみを通過させるLPF18、例えば200KHz以下の低域周波数のみを通過させるLPF18だとすると、記録しているために発生するEFM信号に同期した受光素子出力の記録パワーによる変動はもちろん、前記記録パワーによる変動よりも周波数の高い出力信号のレベル変動によるI−V変換器2の立ち下がり時と立ち上がり時のリンギング周波数に関してもカットされた信号を出力することができ、誤差信号生成回路14に入力される時には記録パルスに影響されないノイズのない信号が入力されるのでサーボ制御信号(アクチュエータ制御信号)にノイズが重畳することはなく、ノイズのないサーボ信号を生成できるため、安定した記録動作を提供することができる。
【0030】
なお、本実施の形態2において使用されているLPF18に代えて、アクチュエータの制御を行える周波数帯域のみを通過させるBPF17を使用することもできる。EFM信号の周波数帯域中最も遅い周波数(393KHz)未満で、アクチュエータの制御を行える周波数帯域を通過させるBPF17、例えば10KHz〜120Hzの周波数帯域のみを通過させるBPF17とすると、記録しているために発生するEFM信号に同期した受光素子からの出力変動はもちろん、前記受光素子からの出力変動よりも周波数の高いI−V変換器2の出力信号のレベル変動による立ち下がり時と立ち上がり時のリンギング周波数に関してもカットされた信号を出力することができ、誤差信号生成回路14に入力される時には記録パルスに影響されないノイズのない信号が入力されるため、ノイズのないサーボ信号を生成でき安定した記録動作を提供することができる。
[実施の形態3]
以下、本発明の実施の形態3を図3に基づいて説明する。この実施の形態3は、実施の形態1におけるVGA7とLPF15間に、図6に示すサンプルホールド回路6を挿入した構成としている。
【0031】
この構成によれば、記録しているために発生するEFM信号に同期した受光素子出力の記録パワーによる変動領域がサンプルホールド回路6で取り除かれ、I−V変換器2の出力信号のレベル変動による立ち下がり時と立ち上がり時のリンギング周波数に関しては、サンプルホールド回路6の信号からLPF15にて取り除かれる。つまりVGA回路8に入力される時には記録パルスに影響されないノイズのない信号が入力されるため、アドレス情報の取得エラーを減少させることができ、安定した記録動作を提供することができる。
【0032】
なお、本実施の形態3において使用されているLPF15に代えて、BPF16を使用することもできる。この構成によれば、同様に、記録しているために発生するEFM信号に同期した受光素子出力の記録パワーによる変動がサンプルホールド回路6で取り除かれ、I−V変換器2の出力信号のレベル変動及び立ち下がり時と立ち上がり時のリンギング周波数に関しては、BPF16にて取り除かれる。つまりVGA回路8に入力される時には記録パルスに影響されないノイズのない信号が入力されるため、アドレス情報の取得エラーを減少させることができ、安定した記録動作を提供することができる。
[実施の形態4]
以下、本発明の実施の形態4を、図4に基づいて説明する。この実施の形態4は、実施の形態2におけるVGA13とLPF18間に、図7に示すサンプルホールド回路6を挿入した構成としている。
【0033】
この構成によれば、記録中のEFM信号に同期した受光素子出力の記録パワーによる変動領域がサンプルホールド回路6で取り除かれ、I−V変換器2の出力信号のレベル変動による立ち下がり時と立ち上がり時のリンギング周波数に関しては、サンプルホールド回路6の信号からLPF18にて取り除かれるため、誤差信号生成回路14に入力される時には記録パルスに影響されないノイズのない信号が入力されるのでサーボ信号にノイズが重畳することはなく、ノイズのないサーボ信号を生成でき、安定した記録動作を提供することができる。
【0034】
なお、本実施の形態4において使用されているLPF18に代えて、BPF17を使用することもできる。この構成によれば、同様に、記録中のEFM信号に同期した受光素子出力の記録パワーによる変動がサンプルホールド回路6で取り除かれ、I−V変換器2の出力信号のレベル変動による立ち下がり時と立ち上がり時のリンギング周波数に関しては、BPF17にて取り除かれるため、つまり誤差信号生成回路14に入力される時には記録パルスに影響されないノイズのない信号が入力されるのでサーボ信号にノイズが重畳することがなく、ノイズのないサーボ信号を生成でき、安定した記録動作を提供することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、記録面にスパイラル状又は同心円状に記録領域が形成され、この記録領域が蛇行している光ディスクを対象としているが、本実施の形態2と本実施の形態4においてはこのようなウォブルが形成された光ディスクに限ることはなく、データを記録可能な光ディスクであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明にかかる光ディスク記録再生装置の信号生成回路は、アドレス情報の取得エラーを減少させ、またノイズのないサーボ信号を生成できるため、安定した記録動作を得ることができるという効果を有し、DVDやCDにデータやアドレスを記録する技術分野等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態1における光ディスク記録再生装置の信号生成回路において、ウォブル信号生成回路を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2における光ディスク記録再生装置の信号生成回路において、サーボ信号生成回路を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態3における光ディスク記録再生装置の信号生成回路において、ウォブル信号生成回路を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態4における光ディスク記録再生装置の信号生成回路において、サーボ信号生成回路を示すブロック図である。
【図5】光ピックアップ受光素子部分の構成を説明するためのブロック図である。
【図6】ウォブル信号生成回路に関する課題を説明するためのブロック図である。
【図7】サーボ信号生成回路に関する課題を説明するためのブロック図である。
【図8】ウォブル生成回路及びサーボ信号生成回路の信号を示す信号波形図である。
【図9】ウォブル信号生成回路及びサーボ信号生成回路に関する課題を説明する為の信号波形図である。
【符号の説明】
【0038】
1 光ピックアップ受光素子
2 I−V変換器
4 ウォブル信号
5 サンプルパルス信号
6 サンプルホールド回路
7 VGA回路(サンプルホールド前:ウォブル生成回路)
8 VGA回路(サンプルホールド後:ウォブル生成回路)
9 誤差増幅器
10 VGA回路(誤差増幅器後)
11 BPF(誤差増幅器後の帯域フィルター)
13 VGA回路(サンプルホールド前:サーボ信号生成回路)
14 誤差信号生成回路
15 LPF(低域フィルター:ウォブル信号生成回路)
16 BPF(帯域フィルター:ウォブル信号生成回路)
17 BPF(帯域フィルター:サーボ信号生成回路)
18 LPF(低域フィルター:サーボ信号生成回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録面にスパイラル状又は同心円状に記録領域が形成された光デッスクに照射されるスポット光の前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ中の受光素子の信号に基づいて、前記記録領域の蛇行に基づくウォブル信号を検出する光ディスク記録再生装置の信号生成回路であって、
前記受光素子の信号からウォブル信号帯域に近い周波数の低域部分のみを通過させる低域フィルター、または前記受光素子の信号からウォブル信号周波数帯域の一定範囲の周波数のみを通過させる帯域フィルターを備え、
前記受光素子からの信号上に重畳している記録パルスの影響を前記低域フィルターまたは帯域フィルターによって除去すること
を特徴とする光ディスク記録再生装置の信号生成回路。
【請求項2】
前記受光素子の信号をサンプリングするサンプルホールド回路を設け、このサンプルホールド回路の出力信号を前記低域フィルターまたは帯域フィルターへ入力し、
前記受光素子の信号から記録パワーによる変動領域をサンプルホールド回路によって除去し、前記サンプルホールド回路の信号からレベル変動による立ち下がり時と立ち上がり時のリンギング周波数を前記低域フィルターまたは帯域フィルターによって除去すること
を特徴とする請求項1に記載の光ディスク記録再生装置の信号生成回路。
【請求項3】
記録可能な光ディスクの情報記録面にスポット光を照射し前記情報記録面からの反射光を検出する光ピックアップ中の受光素子の信号に基づいて、前記光ディスクの情報面に対する光ビームの制御上の相対的な誤差を示す誤差信号を生成し出力する光ディスク記録再生装置の信号生成回路であって、
前記受光素子の信号からアクチュエータの制御を行える低域周波数のみを通過させる低域フィルター、または前記受光素子の信号からアクチュエータの制御を行える周波数帯域のみを通過させる帯域フィルターを備え、
前記受光素子からの信号上に重畳している記録パルスの影響を前記低域フィルターまたは帯域フィルターによって除去すること
を特徴とする光ディスク記録再生装置の信号生成回路。
【請求項4】
前記受光素子からの信号のサンプリングを行うサンプルホールド回路を設け、このサンプルホールド回路の出力信号を前記低域フィルターまたは帯域フィルターへ入力し、
前記受光素子の信号から記録パワーの変動領域をサンプルホールド回路によって除去し、前記サンプルホールド回路の信号からレベル変動による立ち下がり時と立ち上がり時のリンギング周波数を前記低域フィルターまたは帯域フィルターによって除去すること
を特徴とする請求項3に記載の光ディスク記録再生装置の信号生成回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−40489(P2006−40489A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222663(P2004−222663)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】