説明

光ピックアップ及び光ディスク装置

【課題】光ディスクに記録された情報の再生精度を高め得る。
【解決手段】光ピックアップ7は、光ビームL1を信号光ビームLsig1と参照光ビームLref1とに分離し、光ディスク100において反射した反射信号光ビームLsig1を無偏光ビームスプリッタ17に入射させる。また音響光学変調器18は、参照光ビームLref1の周波数を変調して変調参照光ビームLref2を生成する。続いて光路長調整部20は、信号光路長LPsigと参照光路長LPrefとの光路長差が光ビームL1の可干渉距離以下になるよう参照光路長LPrefを調整する。さらに光ピックアップ7は、変調参照光ビームLref2と反射信号光ビームLsig2とを無偏光ビームスプリッタ17において合波して合成光ビームLmulを生成し、検出器21により受光して受光信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ピックアップ及び光ディスク装置に関し、例えば光ディスクに対し情報を記録し、また当該光ディスクから情報を再生する光ディスク装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスク装置においては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)及びBlu−ray Disc(登録商標、以下BDと呼ぶ)等、光ディスクに対して光ビームを照射し、その反射光を読み取ることにより情報を再生するようになされたものが広く普及している。
【0003】
かかる光ディスク装置では、音楽コンテンツや映像コンテンツ等の各種コンテンツ、或いはコンピュータ用の各種データ等のような種々の情報を光ディスクに記録するようになされている。特に近年では、映像の高精細化や音楽の高音質化等により情報量が増大し、また1枚の光ディスクに記録するコンテンツ数の増加が要求されているため、当該光ディスクのさらなる大容量化が求められている。
【0004】
そこで光ディスク装置のなかには、複数層の記録層を有する多層光ディスクに対して情報を記録することにより、光ディスクの大容量化を図ったものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−305254公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでこのような多層光ディスクの場合、一層のみの記録層を有する光ディスクと比較して記録層の反射率が低下するため、光ディスクから反射される反射光の光強度が低下してしまう。このため光ディスク装置においては、光ディスクに記録された情報の再生精度が低下してしまう恐れがあるという問題があった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、光ディスクに記録された情報の再生精度を高め得る光ピックアップ及び光ディスク装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる問題を解決するため本発明の光ピックアップにおいては、光ビームを出射する光源と、光ビームを互いに異なる方向へ進行する信号光ビームと参照光ビームとに分離する光分離部と、信号光ビームを光ディスクの記録層に集光する対物レンズと、参照光ビームを所定の変調周波数だけ変調する周波数変調部と、参照光ビームと、記録層により反射された信号光ビームとを合波し合成光ビームを生成する光合成素子と、信号光ビームにおける光分離部から光合成素子までの光路長である信号光路長と、参照光ビームにおける光分離部から光合成素子までの光路長である参照光路長との光路長差を、光源から出射された光ビームにおける可干渉距離以下に抑えるよう参照光路長を調整する光路長調整部と、合成光ビームを受光して受光信号を生成する検出器とを設けるようにした。
【0009】
この光ピックアップにおいて、合成光ビームには、光ディスクから反射され当該光ディスクに記録された情報が含まれた信号光ビームと、当該信号光ビームよりも光強度が高い参照光ビームとが現れ、これらが干渉する。これにより光ピックアップは、光ディスクから反射された光ビームの信号光強度を増大させて検出することができる。
【0010】
また本発明の光ディスク装置においては、光ビームを出射する光源と、光ビームを互いに異なる方向へ進行する信号光ビームと参照光ビームとに分離する光分離部と、信号光ビームを光ディスクの記録層に集光する対物レンズと、対物レンズを光ディスクに離接する方向であるフォーカス方向へ移動させるレンズ移動部と、参照光ビームを所定の変調周波数だけ変調する周波数変調部と、参照光ビームと、記録層により反射された信号光ビームとを合波し合成光ビームを生成する光合成素子と、信号光ビームにおける光分離部から光合成素子までの光路長である信号光路長と、参照光ビームにおける光分離部から光合成素子までの光路長である参照光路長との光路長差を、光源から出射された光ビームにおける可干渉距離以下に抑えるよう参照光路長を調整する光路長調整部と、合成光ビームを受光して受光信号を生成する検出器と、フォーカス方向に関する対物レンズの記録層に対する焦点のずれ量を表すフォーカスエラー信号を受光信号に基づき生成する生成信号処理部と、フォーカスエラー信号に基づきレンズ移動部を介して対物レンズをフォーカス方向へ移動させ、対物レンズの焦点を記録層に合わせる駆動制御部とを設けるようにした。
【0011】
この光ディスク装置において、合成光ビームには、光ディスクから反射され当該光ディスクに記録された情報が含まれた信号光ビームと、当該信号光ビームよりも光強度が高い参照光ビームとが現れ、これらが干渉する。これにより光ディスク装置は、光ディスクから反射された光ビームの信号光強度を増大させて検出することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光ディスクから反射され当該光ディスクに記録された情報が含まれた信号光ビームと、当該信号光ビームよりも光強度が高い参照光ビームとが合成光ビームに現れ、これらが干渉する。これにより光ディスクから反射された光ビームの信号光強度を増大させて検出することができ、かくして光ディスクに記録された情報の再生精度を高め得る光ピックアップ及び光ディスク装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】光ディスク装置の構成を示す略線図である。
【図2】第1の実施の形態による光ピックアップの構成を示す略線図である。
【図3】光ディスクの構成を示す略線図である。
【図4】信号光路長及び参照光路長を示す略線図である。
【図5】音響光学変調器の構成を示す略線図である。
【図6】音響光学変調器による参照光ビームの周波数変調を示す略線図である。
【図7】第1及び第2の実施の形態による光路長調整部の構成を示す略線図である。
【図8】光ビームの強度を示す略線図である。
【図9】反射信号光ビーム及びビート信号の周波数特性を示す略線図である。
【図10】第2の実施の形態による光ピックアップの構成を示す略線図である。
【図11】合成光ビームの偏光方向を示す略線図である。
【図12】第3の実施の形態による光ピックアップの構成を示す略線図である。
【図13】第3の実施の形態による光路長調整部の構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(合波する際ハーフミラーを用いる例)
2.第2の実施の形態(合成光ビームの差動検出を行う例)
3.第3の実施の形態(光路長調整部として1枚のミラーを用いる例)
4.他の実施の形態
【0015】
<1.第1の実施の形態>
[1−1.光ディスク装置の構成]
図1に示すように、光ディスク装置1は統括制御部2を中心に構成されており、光ディスク100に対し情報を記録し、また当該光ディスク100から情報を再生し得るようになされている。
【0016】
光ディスク100は、例えば4層の記録層Y0、Y1、Y2及びY3(以下、これらをまとめて記録層Yとも呼ぶ)を有している。また光ディスク100は、記録層Yにおいて、螺旋状又は同心円状のトラック溝が形成されており、当該トラック溝に沿って情報が記録されるようになされている。
【0017】
統括制御部2は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、各種プログラム等が格納されるROM(Read Only Memory)と、当該CPUのワークメモリとして用いられるRAM(Random Access Memory)とによって構成されている。
【0018】
統括制御部2は、光ディスク100から情報を再生する場合、駆動制御部3を介してスピンドルモータ5を回転駆動させ、ターンテーブル5Tに載置された光ディスク100を所望の速度で回転させる。
【0019】
また統括制御部2は、駆動制御部3を介してスレッドモータ6を駆動させることにより、光ピックアップ7を移動軸に沿ってトラッキング方向、すなわち光ディスク100の内周側又は外周側へ向かう方向へ移動させるようになされている。
【0020】
光ピックアップ7は、対物レンズ8や2次元アクチュエータ9等の複数の部品が取り付けられており、統括制御部2の制御に基づいて光ディスク100へ光ビームを照射するようになされている。
【0021】
因みに統括制御部2は、光ディスク100に光ビームを照射する場合、記録層Y0〜Y3のうち情報を読み出す対象とする記録層Y、すなわち光ビームの焦点を合わせるべき記録層Yを対象記録層YTとして選定するようになされている。
【0022】
駆動制御部3は、統括制御部2から対象記録層YTの通知を受け、当該対象記録層YTに光ビームの焦点を合わせるようになされている。
【0023】
また光ピックアップ7は、光ビームが光ディスク100により反射されてなる反射光ビームを受光し、その受光結果に応じた受光信号を生成して信号処理部4へ供給するようになされている。
【0024】
信号処理部4は、供給された受光信号を用いた所定の演算処理を行うことによりフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をそれぞれ生成し、これらを駆動制御部3へ供給する。
【0025】
駆動制御部3は、供給されたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を基に、対物レンズ8を駆動するための駆動信号を生成し、これを光ピックアップ7の2次元アクチュエータ9へ供給する。
【0026】
光ピックアップ7の2次元アクチュエータ9は、この駆動信号に基づいて対物レンズ8のフォーカス制御及びトラッキング制御等を行い、当該対物レンズ8により集光される光ビームの焦点位置を調整するようになされている。
【0027】
信号処理部4は、受光信号に対し所定の演算処理、復調処理及び復号化処理等を施すことにより、光ディスク100に記録されている情報を再生し得るようになされている。
【0028】
また統括制御部2は、光ディスク100に情報を記録する場合、図示しない外部機器等から記録すべき情報を受け付け、これを信号処理部4へ供給する。信号処理部4は、当該情報に対し所定の符号化処理や変調処理等を施すことにより記録用信号を生成し、これを光ピックアップ7へ供給する。
【0029】
光ピックアップ7は、光ビームを記録用の強度とすると共に記録用信号に応じて変調させることにより、記録用信号に応じた記録マークを形成していく。例えば光ディスク100がBD−RE(Blu-ray Disc-Rewritable)と同様の記録方式である場合、光ピックアップ7は、記録すべき情報が変調された所定の長さだけ、記録層を形成する材料をトラック溝に沿って局所的に相変化させることにより記録マークを形成する。
【0030】
これにより光ディスク100のそれぞれの記録層Yには、記録すべき情報が信号処理部4により変調され、ROMパターンとして記録される。
【0031】
このように光ディスク装置1は、光ディスク100に対し光ピックアップ7から光ビームを照射させ、その反射光を基にフォーカス制御及びトラッキング制御を行いながら、情報の再生処理や記録処理を行い得るようになされている。
【0032】
[1−2.光ピックアップの構成]
光ディスク100に記録されている情報を再生する際、図2に示す光ピックアップ7においてレーザダイオード10は、波長約405[nm]の青色レーザ光でなる光ビームL1を射出し、コリメータレンズ11へ入射させる。
【0033】
コリメータレンズ11は光ビームL1を発散光から平行光に変換して、アナモプリズム12により強度分布を成形し1/2波長板13へ入射させる。
【0034】
このとき光ビームL1は1/2波長板13により直線偏光の偏光方向が所定角度回転された後、偏光ビームスプリッタ14へ入射される。
【0035】
偏光ビームスプリッタ14は、反射透過面14Sにおいて、光ビームの偏光方向に応じて異なる割合で当該光ビームを反射又は透過するようになされている。例えば反射透過面14Sは、S偏光の光ビームをほぼ100%の割合で反射すると共にP偏光の光ビームをほぼ100%の割合で透過させるようになされている。以下では、光ビームの電場ベクトルの振動方向が図2における紙面に平行な場合をP偏光、紙面に垂直な場合をS偏光と呼ぶ。
【0036】
実際上、偏光ビームスプリッタ14は、光ビームL1のうちS偏光の成分を反射透過面14Sによりほぼ100%の割合で反射すると共にP偏光の成分を透過させる。以下では、反射透過面14Sにより反射された光ビームL1を参照光ビームLref1、反射透過面14Sを透過した光ビームL1を信号光ビームLsig1と呼ぶ。また以下では、1/2波長板13及び偏光ビームスプリッタ14を光分離部22とも呼ぶ。
【0037】
光分離部22においては、1/2波長板13により回転させる光ビームL1の偏光方向の回転角度と、偏光ビームスプリッタ14の反射透過面14Sにおける光ビームL1の偏光方向に対する反射/透過の割合を調整することで、信号光ビームLsig1と参照光ビームLref1との光強度比を設定し得るようになされている。
【0038】
偏光ビームスプリッタ14を透過した信号光ビームLsig1は偏光ビームスプリッタ15へ入射する。
【0039】
偏光ビームスプリッタ15の反射透過面15Sは、S偏光の光ビームをほぼ100%の割合で反射すると共にP偏光の光ビームをほぼ100%の割合で透過させるようになされている。実際上偏光ビームスプリッタ15は、P偏光でなる信号光ビームLsig1を反射透過面15Sにおいてそのまま透過させ、1/4波長板16により直線偏光(P偏光)から円偏光(右円偏光)に変換させた上で、対物レンズ8へ入射させる。
【0040】
図3に示す対物レンズ8は、信号光ビームLsig1を集光し、光ディスク100における対象記録層YTの目標位置に照射する。
【0041】
信号光ビームLsig1の周波数は、対象記録層YTの目標位置におけるROMパターンの周波数に応じて変調され、反射される。
【0042】
また光ディスク100は、記録層Y0〜Y3における反射率が低く、例えば5[%]となっている。このため光ディスク100に入射される信号光ビームLsig1は、対象記録層YTにより反射され、その光強度が5[%]となる。
【0043】
図2に示すように対物レンズ8は、2次元アクチュエータ9と一体に構成されている。2次元アクチュエータ9は駆動制御部3の制御により、対物レンズ8をフォーカス方向及びトラッキング方向の2次元方向へ駆動し得るようになされている。
【0044】
ところで光ディスク装置1(図1)では、回転する光ディスク100において面ブレ等が発生する可能性があるため、光ピックアップ7に対する光ディスク100の目標位置が変動する場合がある。
【0045】
このため光ディスク装置1において、駆動制御部3は信号処理部4からフォーカスエラー信号を供給され、当該フォーカスエラー信号に基づき対物レンズ8をフォーカス方向に移動させることにより、信号光ビームLsig1の焦点を光ディスク100の目標位置に追従させるようになされている。
【0046】
信号光ビームLsig1は光ディスク100の対象記録層YTで反射されることにより、左円偏光でなる反射信号光ビームLsig2となり、対物レンズ8を介して1/4波長板16に入射される。
【0047】
1/4波長板16は反射信号光ビームLsig2を円偏光(左円偏光)から直線偏光(S偏光)に変換させた上で、偏光ビームスプリッタ15へ入射させる。
【0048】
偏光ビームスプリッタ15は、反射透過面15Sにおいて反射信号光ビームLsig2を反射し、無偏光ビームスプリッタ17へ入射させる。
【0049】
ここで、図2の光ピックアップ7の構成の一部を図4に示すように、偏光ビームスプリッタ14の反射透過面14Sにおいて信号光ビームLsig1が出射される点を始点Psig1とする。また、無偏光ビームスプリッタ17の反射透過面17Sにおいて反射信号光ビームLsig2が入射する点を終点Psig2とする。
【0050】
以下では、始点Psig1から終点Psig2までの光学的距離を示す光路長を、信号光路長LPsigと呼ぶ。
【0051】
一方、図2に示した偏光ビームスプリッタ14により反射された参照光ビームLref1は、音響光学変調器18へ入射する。
【0052】
図5に示すように音響光学変調器18は、ドライバ30、トランデューサ31及び音響光学媒体32により構成されている。
【0053】
ドライバ30は、駆動制御部3(図2)の制御により超音波33を発生させるようになされている。このとき超音波33は、トランデューサ31により励振され、音響光学媒体32内部に周波数屈折率分布を形成する。
【0054】
参照光ビームLref1は、周波数屈折率分布が形成された音響光学媒体32に所定の入射角で入射する。このとき、ブラッグ回折により0次回折光、1次回折光、2次回折光…が発生する。因みに図5においては2次以上の回折光を省略している。
【0055】
本実施の形態においては、1次回折光が変調参照光ビームLref2としてミラー19(図2)へ入射するようになされている。
【0056】
このとき音響光学変調器18へ入射された周波数n[Hz]でなる参照光ビームLref1は、図6に示すように、ブラッグ回折によりΔn[Hz](例えば200[MHz])だけ変調される。このため音響光学変調器18から出射された変調参照光ビームLref2の周波数は、n+Δn[Hz]となる。
【0057】
このように音響光学変調器18は、入射された参照光ビームLref1の周波数を+Δn[Hz]シフト(すなわち変調)させ、変調参照光ビームLref2としてミラー19に照射するようになされている。
【0058】
図2に示したように、変調参照光ビームLref2はミラー19により反射され、光路長調整部20により光路長を調整されて(詳しくは後述する)上述した無偏光ビームスプリッタ17へ入射する。
【0059】
ここで、図4に示すように、偏光ビームスプリッタ14の反射透過面14Sにおいて参照光ビームLref1が出射される点を始点Pref1とし、無偏光ビームスプリッタ17の反射透過面17Sにおいて変調参照光ビームLref2が入射する点を終点Pref2とする。
【0060】
以下では、始点Pref1から終点Pref2までの光学的距離を示す光路長を、参照光路長LPrefと呼ぶ。
【0061】
光路長調整部20は、図7(A)に示すようにミラー40、41、42及び43と、1次元アクチュエータ44とにより構成されている。ミラー19(図2)から入射した変調参照光ビームLref2は、ミラー40、41、42及び43により順次反射され、光路長調整部20から出射される。
【0062】
ミラー41及び42は、1次元アクチュエータ44と一体に構成されている。1次元アクチュエータ44は、駆動制御部3(図2)の制御により、図7(B)に示すようにミラー41及び42を1次元方向に駆動し得るようになされている。
【0063】
上述したように、光ディスク100においては、面ブレ等が発生する場合がある。当該面ブレが発生した場合、光ピックアップ7と光ディスク100との間隔が変化するため、信号光路長LPsig(図4)は変化することとなる。
【0064】
実際上信号処理部4は、検出器21から送出された受光信号に応じてフォーカスエラー信号を生成し、駆動制御部3へ供給する。
【0065】
このフォーカスエラー信号は、光ピックアップ7と光ディスク100の目標位置との距離に応じて変化することとなる。このためフォーカスエラー信号の変化と信号光路長LPsigの変化とは関係付けられることとなる。
【0066】
駆動制御部3は、当該フォーカスエラー信号に基づき光路長調整部20の1次元アクチュエータ44を制御し、面ブレに追従してミラー41及び42を駆動する。これにより光路長調整部20は、参照光路長LPref(図4)を変化させ、当該参照光路長LPrefと信号光路長LPsigとの光路長差を、光ビームL1の可干渉距離(コヒーレンス長)以内に収めるようになされている。
【0067】
無偏光ビームスプリッタ17(図2)はハーフミラーでなり、光路長を調整された変調参照光ビームLref2を反射透過面17Sにより50%の割合で反射すると共に残りの50%を透過させる。
【0068】
また無偏光ビームスプリッタ17は、反射信号光ビームLsig2を反射透過面17Sにより50%の割合で反射すると共に残りの50%を透過させる。
【0069】
無偏光ビームスプリッタ17においては、反射透過面17Sにより透過された反射信号光ビームLsig2と、当該反射透過面17Sにより反射された変調参照光ビームLref2とが合波され、合成光ビームLmulとして検出器21に照射される。
【0070】
このとき、反射信号光ビームLsig2と変調参照光ビームLref2とが干渉する。これにより、検出器21は、上述した音響光学変調器18における変調周波数であるΔn[Hz]の周波数を有するビートを検出する(詳しくは後述する)。
【0071】
検出器21は合成光ビームLmulを受光し、このとき検出した光強度に応じて受光信号を生成して信号処理部4へ送出する。信号処理部4は供給された受光信号に基づき、光ディスク100に記録された情報を再生する。
【0072】
[1−3.光ビームの強度特性]
次に光ビームの強度特性について説明する。まず、無偏光ビームスプリッタ17に入射する反射信号光ビームLsig2は、図8(A)に示すように光強度Isigでなる信号波形となっている。当該信号波形の光強度は、反射信号光ビームLsig2の信号強度を示したものともいえる。また当該反射信号光ビームLsig2には、光ディスク100に記録された情報が含まれており、光強度Isigは低いものとなっている。
【0073】
また、合成光ビームLmulに含まれる反射信号光ビームLsig2の電場は、式(1)に示す電場Esig1となる。式(1)において、無偏光ビームスプリッタ17に入射する反射信号光ビームLsig2の電場振幅の絶対値が電場Esigとして示されている。また、時間を時間t、反射透過面17Sによる反射率を反射率R、レーザダイオード10から射出された光ビームL1の周波数を周波数nとする。ここで、上述した光強度Isigは電場Esigの自乗により示される。
【0074】
【数1】

【0075】
さらに、合成光ビームLmulに含まれる変調参照光ビームLref2の電場は、式(2)に示す電場Eref1となる。式(2)において、無偏光ビームスプリッタ17に入射する変調参照光ビームLref2の電場振幅の絶対値が電場Erefとして示されている。また、音響光学変調器18における変調周波数を周波数Δn、参照光路長LPrefと信号光路長LPsigとの光路長差から生じる位相差を位相ΔΦとする。
【0076】
【数2】

【0077】
このとき検出器21において検出される合成光ビームLmulの信号波形を図8(C)に示す。当該信号波形の光強度は、合成光ビームLmulの信号強度を示したものともいえる。
【0078】
合成光ビームLmulの信号波形には、光ディスク100に記録された情報が含まれた反射信号光ビームLsig2が現れている。また合成光ビームLmulの信号波形には、反射信号光ビームLsig2よりも光強度が高い変調参照光ビームLref2の光強度が現れている。
【0079】
合成光ビームLmulは、式(3)に示す光強度Iでなる信号波形となっている。式(3)において、無偏光ビームスプリッタ17に入射する変調参照光ビームLref2の光強度を光強度Irefとする。光強度Irefは電場Erefの自乗により示される。
【0080】
【数3】

【0081】
(3)式における第1項((1−R)・Isig+R・Iref)は、図8(C)に示すように合成光ビームLmulの信号波形におけるオフセットを示している。また第2項(2((1−R)・R)1/2(Isig・Iref)1/2・cos(2πΔnt+ΔΦ)は、光ディスク100に記録された情報を含む、周波数Δn(すなわち音響光学変調器18における変調周波数)のビート信号を表している。
【0082】
本実施の形態において、第2項におけるビート信号の周波数Δnは位相ΔΦの変化量に比べて十分に大きいため、位相ΔΦは無視することができる。
【0083】
信号処理部4は、検出器21により検出された合成光ビームLmulを包絡線検波し、図8(D)に示す検波後信号Smul_eの信号波形を得る。
【0084】
検波後信号Smul_eの信号強度(2((1−R)・R)1/2(Isig・Iref)1/2)と、反射信号光ビームLsig2(図8(A))の光強度(すなわち信号強度)Isigとを比較すると、検波後信号Smul_eは反射信号光ビームLsig2を(2((1−R)・R)1/2・(Iref/Isig)1/2)倍だけ増幅したものとなる。すなわち、検波後信号Smul_eの、反射信号光ビームLsig2に対する信号増幅率A1は2((1−R)・R)1/2・(Iref/Isig)1/2となる。
【0085】
ここで例えば反射率Rを1/2とした場合、(3)式の第1項における反射率Rに1/2を代入することにより、合成光ビームLmul(図8(C))のオフセットは(Isig+Iref)/2となる。また、上述した信号増幅率A1は式(4)により表される。
【0086】
【数4】

【0087】
因みに、仮に光ディスク100の代わりにミラーを用いた場合、光検出器21は図8(B)に示す合成光ビームLmul2を検出する。合成光ビームLmul2は変調周波数Δnの周波数を有するが、当該合成光ビームLmul2を包絡線検波した場合、信号強度は一定となる。
【0088】
ここで無偏光ビームスプリッタ17(図2)へ入射する光ビームについて着目し、例えば反射信号光ビームLsig2の光強度Isigを1、変調参照光ビームLref2の光強度Irefを100とした場合を想定する。このとき信号増幅率A1は、式(4)より10倍となる。すなわち検出器21は、反射信号光ビームLsig2の光強度Irefが10倍された信号波形を検出することとなる。
【0089】
このように光ディスク装置1においては、微弱な反射信号光ビームLsig2が、変調参照光ビームLref2の光強度Irefに応じて増幅されることとなる。
【0090】
またここで光分離部22から出射される光ビームについて着目し、例えば信号光ビームLsig1の光強度を20、参照光ビームLref1の光強度を100となるように、1/2波長板13における偏光方向の回転角度と偏光ビームスプリッタ14における光ビームの偏光方向(P偏光、S偏光)に対する透過/反射割合を調整した場合を想定する。
【0091】
ここで、光ディスク100の対象記録層YTの反射率が5[%]の場合、信号光ビームLsig1が対象記録層YTにより反射されて反射信号光ビームLsig2となったときの光強度Isigは1となる。
【0092】
このため上述したように反射信号光ビームLsig2の光強度Isigが1、変調参照光ビームLref2の光強度Irefが100となり、信号増幅率A1は式(4)より10倍となる。すなわち検出器21は、反射信号光ビームLsig2の光強度Irefが10倍された信号波形を検出することとなる。
【0093】
また1/2波長板13における偏光方向の回転角度と偏光ビームスプリッタ14における光ビームの偏光方向に対する透過/反射割合を変化させ、例えば信号光ビームLsig1の光強度を20よりも低くすると、それに応じて反射信号光ビームLsig2の光強度Isigは1よりも低くなる。それと共に参照光ビームLref1の光強度を100よりも高くすると、変調参照光ビームLref2の光強度Irefも同様に100よりも高くなる。このため式(4)より、信号増幅率A1はさらに高くなる。
【0094】
このように光ピックアップ7においては、1/2波長板13における偏光方向の回転角度と偏光ビームスプリッタ14における光ビームの偏光方向(P偏光、S偏光)に対する透過/反射割合を調整することにより、反射信号光ビームLsig2の信号増幅率A1を設定することができる。
【0095】
ところで図9に示すように、反射信号光ビームLsig2により示される、光ディスク100に記録されたROMパターンに含まれる信号の周波数(すなわち光ディスク100に記録された情報を再生した際の信号に含まれる周波数)の最大値をNs[Hz]とする。このとき、ビート信号の周波数Δn(すなわち音響光学変調器18における変調周波数)は2Ns[Hz]よりも高く設定されている。
【0096】
このように反射信号光ビームLsig2の信号波形が有する周波数の2倍以上の周波数で標本化することにより(すなわちサンプリング定理)、検出器21は反射信号光ビームLsig2の信号波形を精度良く検出できる。このため、信号処理部4は光ディスク100に記録された情報を精度良く再生することができる。
【0097】
ここで仮に、音響光学変調器18により参照光ビームLref1の周波数を変調せずに、無偏光ビームスプリッタ17において反射信号光ビームLsig2と合波した場合について検討する。
【0098】
この場合、検出器21は式(5)に示す光強度でなる合成光ビームLmulを検出する。式(5)は上述した式(3)と比較して、第2項におけるcosineの2πΔntがなくなり、位相ΔΦのみによりcosineの位相が示されている。
【0099】
【数5】

【0100】
このため、式(5)においては位相ΔΦが0[度]であるとき最大の光強度が得られるが、位相ΔΦが0[度]からずれていくと光強度が低下していき、90[度]になると完全に光強度が0になってしまう。
【0101】
上述したように、位相ΔΦは参照光路長LPrefと信号光路長LPsigとの光路長差から生じる位相差である。よって、音響光学変調器18により参照光ビームLref1の周波数を変調しない場合、参照光路長LPrefを信号光路長LPsigに合わせるためには、光路長調整部20において極めて細かい光路長の調整が必要となる。
【0102】
これに対し本実施の形態においては、式(3)に示したように、光強度Iには位相ΔΦの変化量よりも十分に大きい周波数Δnが含まれている。
【0103】
このため式(3)においては、参照光路長LPrefと信号光路長LPsigとの光路長差から生じる位相差である位相ΔΦの変化量を無視することができる。
【0104】
すなわち光ピックアップ7においては、音響光学変調器18による変調周波数(Δn[Hz])の信号波形を搬送波として光ディスク100からの反射信号光ビームLsig2の信号波形に合成することにより、変調周波数Δnよりも小さい周波数変動である、光ディスク100の面ブレに起因する光路長差を無視することができるようになされている。
【0105】
以上のように光ピックアップ7においては、反射信号光ビームLsig2と、当該反射信号光ビームLsig2よりも高い光強度を有する変調参照光ビームLref2とを合波し干渉させることによりビート信号を検出する。これにより光ピックアップ7は、微弱な反射信号光ビームLsig2を増幅し、高い信号強度を得るようになされている。
【0106】
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において光ピックアップ7は、光ビームL1を信号光ビームLsig1と参照光ビームLref1とに分離し、光ディスク100において反射した反射信号光ビームLsig2を無偏光ビームスプリッタ17に入射させる。
【0107】
また音響光学変調器18は、参照光ビームLref1の周波数を変調して変調参照光ビームLref2を生成する。
【0108】
続いて光路長調整部20は、信号光路長LPsigと参照光路長LPrefとの光路長差が光ビームL1の可干渉距離以下になるよう参照光路長LPrefを調整する。
【0109】
さらに光ピックアップ7は、変調参照光ビームLref2と反射信号光ビームLsig2とを無偏光ビームスプリッタ17において合波して合成光ビームLmulを生成し、検出器21により受光する。
【0110】
合成光ビームLmulは、反射信号光ビームLsig2と、当該反射信号光ビームLsig2よりも光強度が高い変調参照光ビームLref2の光強度とが現れている。
【0111】
すなわち合成光ビームLmulは、光ディスク100に記録された情報を含むと共に、反射信号光ビームLsig2の光強度が増幅されたものとなる。
【0112】
このため光ピックアップ7は、検出器21において検出する、光ディスク100から反射された反射信号光ビームLsig2の信号強度を増大させることができる。
【0113】
また音響光学変調器18は、光ディスク100に記録されているROMパターンに含まれる信号における最大周波数の2倍以上の周波数だけ参照光ビームLref1の周波数をシフトするようにした。このため光ピックアップ7は、光ディスク100に記録された情報を精度良く再生することができる。
【0114】
さらに光路長調整部20は、光ディスク100の面ブレに追従して参照光路長LPrefを調整するようにした。このため光ピックアップ7は、光ディスク100に面ブレが発生することにより信号光路長LPsigが変化することがあっても、光ディスク100に記録された情報を精度良く再生することができる。
【0115】
ところで信号光ビームと参照光ビームとを干渉させ、光ディスクに記録された情報を再生する方法として、ホモダイン検出方式を用いた光ディスク装置も考えられる(例えば特開2008−244373)。
【0116】
しかしながらこのような光ディスク装置の場合、信号光路長と参照光路長との光路長差を光ビームの可干渉距離以内に収めると共に、さらに信号光ビームと参照光ビームとの光路長の位相差を0[度]に近づけるよう光路長差を調整しなれば、精度良く情報を再生することはできない。
【0117】
これに対し本実施の形態による光ディスク装置1では、上述したように音響光学変調器18による変調周波数(Δn[Hz])の信号波形を搬送波として光ディスク100からの反射信号光ビームLsig2の信号波形に合成する。
【0118】
このため光ディスク装置1では、変調周波数Δnよりも小さい周波数変動である光ディスク100の面ブレに起因する、信号光路長LPsigと参照光路長LPrefとの位相差を無視することができる。
【0119】
これにより光ディスク装置1では、信号光路長LPsigと参照光路長LPrefとの光路長差を光ビームL1の可干渉距離内に収めるだけで済み、信号光路長LPsigと参照光路長LPrefとの位相差を0[度]に近づける必要がないため、参照光路長LPrefの調整処理を極めて格段に簡略化することができる。
【0120】
例えば、光ディスク装置1において信号光路長LPsigと参照光路長LPrefとの光路長差を光ビームL1の可干渉距離内に収めるためには、参照光路長LPrefの光路長を0.1[mm]オーダで調整するだけで済む。
【0121】
これに対し、ホモダイン検出方式を用いた光ディスク装置において信号光路長と参照光路長との位相差0[度]に近づけるよう調整するためには、参照光路長の光路長を100[nm]オーダで調整しなければならず、極めて細かい調整が必要となる。
【0122】
また、そのような光路長の微調整をする必要があるという問題を解決するため、ホモダイン検出方式を用いた光ディスク装置において、参照光ビームと信号光ビームとの位相関係が90[度]ずつずれた4種類の干渉状態の検出器出力を同時に得て演算することにより、光路長調整を簡略化することも考えられる(例えば特開2008−65961)。
【0123】
しかしながらこの場合複数の干渉状態を同時に検出するために多数の検出器を光ピックアップ内部に設ける必要があり、部品点数が増大し構成が複雑化してしまう。
【0124】
これに対し本実施の形態による光ディスク装置1の場合、検出器の数量を抑えたまま、高精度な情報の再生を行うことができる。
【0125】
以上の構成によれば光ピックアップ7は、光ビームL1を信号光ビームLsig1と参照光ビームLref1とに分離し、光ディスク100において反射した反射信号光ビームLsig1を無偏光ビームスプリッタ17に入射させる。また音響光学変調器18は、参照光ビームLref1の周波数を変調して変調参照光ビームLref2を生成する。続いて光路長調整部20は、信号光路長LPsigと参照光路長LPrefとの光路長差が光ビームL1の可干渉距離以下になるよう参照光路長LPrefを調整する。さらに光ピックアップ7は、変調参照光ビームLref2と反射信号光ビームLsig2とを無偏光ビームスプリッタ17において合波して合成光ビームLmulを生成し、検出器21により受光して受光信号を生成する。これにより光ピックアップ7は、光ディスク100から反射された反射信号光ビームLsig2の信号強度を増大させることができる。
【0126】
<2.第2の実施の形態>
[2−1.光ピックアップの構成]
図10に示す第2の実施の形態による光ピックアップ107は、第1の実施の形態による光ピックアップ7(図2)と比較して全体としては類似しているものの、一部の構成が異なっている。
【0127】
光ピックアップ107は、光ピックアップ7における無偏光ビームスプリッタ17に代えて偏光ビームスプリッタ111が設けられている。
【0128】
また光ピックアップ107は、偏光ビームスプリッタ111と偏光ビームスプリッタ15との間に1/2波長板110が設けられている。
【0129】
さらに光ピックアップ107は、検出器21に代えて検出器114及び115が設けられ、当該検出器114及び115と偏光ビームスプリッタ111との間に1/2波長板112が設けられている。
【0130】
レーザダイオード10から射出された光ビームL1は、コリメータレンズ11、アナモプリズム12、1/2波長板13を介した後偏光ビームスプリッタ14に入射する。
【0131】
偏光ビームスプリッタ14を透過した信号光ビームLsig1は、偏光ビームスプリッタ15、1/4波長板16及び対物レンズ8を介して光ディスク100の対象記録層YTに入射する。
【0132】
光ディスク100により反射された反射信号光ビームLsig2は、対物レンズ8、1/4波長板16、偏光ビームスプリッタ15を介して1/2波長板110に入射する。
【0133】
1/2波長板110は、反射信号光ビームLsig2の偏光方向を回転させることによりS偏光からP偏光へ変換し、偏光ビームスプリッタ111に入射させる。
【0134】
一方偏光ビームスプリッタ14により反射された参照光ビームLref1は、音響光学変調器18により周波数変調されて変調参照光ビームLref2となり、ミラー19と光路長調整部20とを介して偏光ビームスプリッタ111に入射する。
【0135】
偏光ビームスプリッタ111の反射透過面111Sは、P偏光の光ビームをほぼ100%の割合で透過させると共にS偏光の光ビームをほぼ100%の割合で反射するようになされている。
【0136】
実際上偏光ビームスプリッタ111は、P偏光でなる反射信号光ビームLsig2を反射透過面111Sにより透過させると共にS偏光でなる変調参照光ビームLref2を反射することにより合波し、合成光ビームLmulとして1/2波長板112に入射させる。
【0137】
合成光ビームLmulに含まれる反射信号光ビームLsig2の電場Esig1と変調参照光ビームLref2の電場Eref1とは、図11(A)に示すように、光軸方向から見た際の偏光方向が互いに90[度]ずれている。
【0138】
因みに図11においては、x方向及びその反対方向がP偏光方向に対応し、y方向及びその反対方向がS偏光方向に対応している。
【0139】
1/2波長板112(図10)は、合成光ビームLmulの直線偏光の偏光方向を図11(B)に示すように45[度]回転させた後、偏光ビームスプリッタ113へ入射させる。
【0140】
偏光ビームスプリッタ113の反射透過面113Sは、P偏光の光ビームをほぼ100%の割合で透過させると共にS偏光の光ビームをほぼ100%の割合で反射するようになされている。
【0141】
実際上偏光ビームスプリッタ113は、合成光ビームLmulにおけるP偏光成分を反射透過面113Sにおいてそのまま透過させ、検出器114に照射する。
【0142】
このとき、合成光ビームLmulに含まれる反射信号光ビームLsig2のP偏光成分と変調参照光ビームLref2のP偏光成分とが干渉する。これにより検出器114は、
音響光学変調器18における変調周波数である周波数Δn[Hz]を有するビートを検出し、このとき検出した光強度に応じて受光信号を生成し、信号処理部4へ送出する。
【0143】
一方偏光ビームスプリッタ113は、合成光ビームLmulにおけるS偏光成分を反射透過面113Sにおいて反射し、検出器115に照射する。
【0144】
このとき、合成光ビームLmulに含まれる反射信号光ビームLsig2のS偏光成分と変調参照光ビームLref2のS偏光成分とが干渉する。これにより検出器115は、
周波数Δn[Hz]を有するビートを検出し、このとき検出した光強度に応じて受光信号を生成し、信号処理部4へ送出する。
【0145】
信号処理部4は検出器114及び115から供給された受光信号の差動を算出することにより、光ディスク100に記録された情報を再生する(詳しくは後述する)。
【0146】
[2−2.光ビームの強度特性]
次に光ビームの強度特性について説明する。第2の実施の形態による光ピックアップ107における光ビームの強度特性は、上述した第1の実施の形態による光ピックアップ7とは一部が異なっている。
【0147】
図11(A)に示した、偏光ビームスプリッタ111から出射された直後の合成光ビームLmulに含まれる反射信号光ビームLsig2の電場は、式(1)において(1−R)1/2=1とすると、式(6)に示す電場Esig1となる。
【0148】
【数6】

【0149】
また図11(A)に示した、偏光ビームスプリッタ111から出射された直後の合成光ビームLmulに含まれる変調参照光ビームLref2の電場は、式(2)においてR1/2=1とすると、式(7)に示す電場Eref1となる。
【0150】
【数7】

【0151】
続いて、図11(B)に示した、1/2波長板112により45[度]回転された合成光ビームLmulにおける反射信号光ビームLsig2のx方向成分の電場は、式(8)に示す電場Esig1_xとなる。
【0152】
【数8】

【0153】
同様に、合成光ビームLmulにおける反射信号光ビームLsig2のy方向成分の電場は、式(9)に示す電場Esig1_yとなる。
【0154】
【数9】

【0155】
さらに合成光ビームLmulにおける変調参照光ビームLref2のx方向成分及びy方向の電場は、それぞれ式(10)及び式(11)に示す電場Eref1_x及び電場Eref1_yとなる。
【0156】
【数10】

【0157】
【数11】

【0158】
式(11)に示した電場Eref1_yは、図11(B)からも明らかなように、負の値となっている。
【0159】
このとき検出器114において検出される、合成光ビームLmulにおけるP偏光成分の光強度は、式(12)に示す光強度I1となる。式(12)においては、偏光ビームスプリッタ111に入射する反射信号光ビームLsig2の光強度を光強度Isigとし、当該光強度Isigは電場Esigの自乗により示される。また偏光ビームスプリッタ111に入射する変調参照光ビームLref2の光強度を光強度Irefとし、当該光強度Irefは電場Erefの自乗により示される。
【0160】
【数12】

【0161】
式(12)における第2項(Isig・Iref)1/2・cos(2πΔnt+ΔΦ))は、光ディスク100に記録された情報を含む周波数Δnのビート信号を表している。
【0162】
また検出器115において検出される、合成光ビームLmulにおけるS偏光成分の光強度は、式(13)に示す光強度I2となる。
【0163】
【数13】

【0164】
さらに、信号処理部4において光強度I1と光強度I2との差動を算出し、式(14)に示す光強度I3が得られる。
【0165】
【数14】

【0166】
式(14)においては、式(12)及び式(13)の第1項であり、オフセットを示す(Isig+Iref)/2が打ち消されている。
【0167】
また偏光ビームスプリッタ111に入射する反射信号光ビームLsig2の光強度である光強度Isigと、式(14)に示した光強度I3とを比較すると、当該光強度I3は、光強度Isigを(2×(Iref/Isig)1/2)倍だけ増幅したものとなっている。すなわち、信号処理部4により算出された光強度I3の、反射信号光ビームLsig2に対する信号増幅率A2は式(15)により表される。
【0168】
【数15】

【0169】
この信号増幅率A2は、上述した第1の実施の形態における光ピックアップ7による信号増幅率A1(式(4))と比べて2倍となっている。
【0170】
このように第2の実施の形態による光ピックアップ107は、光ピックアップ7と比較して、さらに反射信号光ビームLsig2を増幅することができる。
【0171】
[2−3.動作及び効果]
以上の構成において光ピックアップ107は、光ディスク100において反射した反射信号光ビームLsig1を、1/2波長板110によりS偏光からP偏光へ変換し偏光ビームスプリッタ111に入射させる。
【0172】
また光ピックアップ107は、S偏光でなる変調参照光ビームLref2とP偏光でなる反射信号光ビームLsig2とを偏光ビームスプリッタ111において合波して合成光ビームLmulを生成し、1/2波長板112により偏光方向を45[度]回転させて偏光ビームスプリッタ113に入射させる。
【0173】
さらに光ピックアップ107は合成光ビームLmulに含まれる反射信号光ビームLsig2及び変調参照光ビームLref2のx方向成分を検出器114により、y方向成分を検出器115により検出する。
【0174】
続いて信号処理部4は、検出器114及び115から供給された受光信号の差動を算出することにより、光ディスク100に記録された情報を再生する。
【0175】
このため光ピックアップ107は、光ピックアップ7(図2)における無偏光ビームスプリッタ17のように反射信号光ビームLsig2と変調参照光ビームLref2との光量を無駄にすることなく、偏光ビームスプリッタ111により合波することができる。このため光ピックアップ107は光ピックアップ7と比較して、反射信号光ビームLsig2の信号増幅率をさらに高めることができる。
【0176】
これにより光ピックアップ107は、光ディスク100から反射された反射信号光ビームLsig2の信号強度をさらに増大させることができる。
【0177】
本実施の形態においては、1/2波長板112により合成光ビームLmulの偏光方向が45[度]回転されているため、図11(B)に示した合成光ビームLmulに含まれる反射信号光ビームLsig2のy方向成分の電場Eref1_yは、式(11)に示したように負の値となる。このため式(13)に示した光強度I2における第2項は負の値となる。
【0178】
このため式(14)に示したように光強度I1から光強度I2を減算すると、式(12)の第2項であるビート信号と、式(13)の第2項であるビート信号とが足し合わされる。これにより光ピックアップ107は、より高い光強度を持つビート信号を検出することができる。
【0179】
以上の構成によれば光ピックアップ107は、合成光ビームLmulに含まれる反射信号光ビームLsig2及び変調参照光ビームLref2のx方向成分を検出器114により、y方向成分を検出器115により検出する。さらに信号処理部4は、検出器114及び115から供給された受光信号の差動を算出することにより、光ディスク100に記録された情報を再生する。
【0180】
これにより光ピックアップ107は、反射信号光ビームLsig2と変調参照光ビームLref2との光量を無駄にすることなく合波することができるため、光ディスク100から反射された反射信号光ビームLsig2の信号強度をさらに増大された信号を信号処理部4により算出することができる。
【0181】
<3.第3の実施の形態>
[3−1.光ピックアップの構成]
図12に示す第3の実施の形態による光ピックアップ207は、第2の実施の形態による光ピックアップ107(図10)と比較して全体としては類似しているものの、一部の構成が異なっている。
【0182】
光ピックアップ207は、光ピックアップ107における光路長調整部20に代えて光路長調整部220が設けられている。
【0183】
また光ピックアップ207は、光ピックアップ107の偏光ビームスプリッタ111に代えて偏光ビームスプリッタ211が設けられていると共に、1/2波長板110が削除されている。
【0184】
さらに光ピックアップ207は、ミラー19に代えて偏光ビームスプリッタ216及び1/4波長板217が設けられている。
【0185】
偏光ビームスプリッタ216の反射透過面216Sは、S偏光の光ビームをほぼ100%の割合で反射すると共にP偏光の光ビームをほぼ100%の割合で透過させるようになされている。
【0186】
実際上偏光ビームスプリッタ216は、音響光学変調器18から入射された変調参照光ビームLref2を反射透過面216Sにおいて反射し、1/4波長板217により直線偏光(S偏光)から円偏光(左円偏光)に変換させた上で、光路長調整部220へ入射させる。
【0187】
図13に示すように、光路長調整部220はミラー240と当該ミラー240を駆動する1次元アクチュエータ244とにより構成されている。
【0188】
実際上1次元アクチュエータ244は、駆動制御部3(図12)の制御に基づき図13に示すようにミラー240を光ディスク100の面ブレに追従させて1次元方向に駆動することにより、参照光路長LPrefを調整するようになされている。
【0189】
変調参照光ビームLref2はミラー240により反射され、左円偏光から右円偏光に変更されて光路長調整部220から1/4波長板217(図12)に入射される。
【0190】
1/4波長板217は、光路長を調整された変調参照光ビームLref2を円偏光(右円偏光)から直線偏光(P偏光)に変換させた上で、偏光ビームスプリッタ216へ入射させる。
【0191】
偏光ビームスプリッタ216は、P偏光でなる変調参照光ビームLref2を反射透過面216Sにおいてそのまま透過させ、偏光ビームスプリッタ211へ入射させる。
【0192】
偏光ビームスプリッタ211の反射透過面211Sは、S偏光の光ビームをほぼ100%の割合で反射すると共にP偏光の光ビームをほぼ100%の割合で透過させるようになされている。
【0193】
実際上偏光ビームスプリッタ211は、S偏光でなる反射信号光ビームLsig2を反射透過面211Sにおいて反射すると共にP偏光でなる変調参照光ビームLref2を透過させることにより合波し、1/2波長板112に入射させる。
【0194】
以降、光ピックアップ207は光ピックアップ107(図10)と同様の処理を行うことにより、光ディスク100に記録された情報の再生信号を生成する。
【0195】
[3−2.動作及び効果]
以上の構成において光ピックアップ207は、光ビームL1を信号光ビームLsig1と参照光ビームLref1とに分離し、光ディスク100において反射した反射信号光ビームLsig2を偏光ビームスプリッタ211に入射させる。
【0196】
また光路長調整部220においては、1次元アクチュエータ244が1枚のミラー240を駆動することにより、参照光路長LPrefを調整する。
【0197】
このため光ピックアップ207は、光路長調整部220に用いるミラーの数量を減少させることができ、構成を簡素化することができる。
【0198】
偏光ビームスプリッタ211は、反射信号光ビームLsig2と、参照光路長LPrefを調整された変調参照光ビームLref2とを合波して合成光ビームLmulを生成する。
【0199】
続いて光ピックアップ207は、第2の実施の形態と同様の処理を施し、光ディスク100に記録された情報を再生する。
【0200】
これにより光ピックアップ207は、簡素な構成により、光ディスク100から反射された反射信号光ビームLsig2の信号強度をさらに増大させることができる。
【0201】
<4.他の実施の形態>
なお上述した実施の形態においては、複数の記録層を有し、記録層を形成する材料をトラック溝に沿って局所的に相変化させることにより記録マークが形成される記録形式でなる光ディスク100に対し本発明を適用する場合について述べた。
【0202】
本発明はこれに限らず、例えば単数の記録層でなる光ディスクに対して本発明を適用しても良い。また、記録層内部にホログラムが形成されることにより情報が記録されたマイクロホログラム形式の光ディスクや、記録層内部に空孔が形成されることにより情報が記録されたマイクロリフレクタ形式の光ディスクなど、種々の記録形式でなる光ディスクに対して本発明を適用して良い。
【0203】
この場合、光ビームに対する反射率が低い光ディスクほど本発明の効果を顕著に奏する。また光ディスクの反射率が低くない場合であっても、例えばレーザダイオードからの光ビームの光強度が低い場合など、結果的に検出器において検出される光ビームの光強度が低くなってしまう場合においても本発明の効果を奏する。
【0204】
また上述した実施の形態においては、光分離部22における1/2波長板13及び偏光ビームスプリッタ14により、信号光ビームLsig1と参照光ビームLref1との光強度比を調整する場合について述べた。
【0205】
本発明はこれに限らず、1/2波長板13を省略し、レーザダイオード10の光ピックアップ7に対する取り付け角度を調整することにより、光ビームL1の偏光方向の回転角度を調整し、信号光ビームLsig1と参照光ビームLref1との光強度比を設定しても良い。
【0206】
また上述した実施の形態においては、音響光学変調器18により参照光ビームLref1の周波数を高い周波数(+Δn[Hz])へ変調させる場合について述べた。
【0207】
本発明はこれに限らず、参照光ビームLref1の周波数を低い周波数(−Δn[Hz])へ変調してもよく、光ディスク100のROMパターンに含まれる信号の最大周波数の2倍以上であれば種々の周波数へ変調することができる。但しこの場合、音響光学変調器18における変調周波数に対応し、ビート信号を検出可能な検出器を用いる必要がある。
【0208】
さらに上述した実施の形態においては、音響光学変調器18から出射された変調参照光ビームLref2の光路長を光路長調整部20により調整する場合について述べた。
【0209】
本発明はこれに限らず、偏光ビームスプリッタ14から出射された参照光ビームLref1の光路長を光路長調整部20により調整した後に音響光学変調器18に入射するようにしても良い。
【0210】
また光路長調整部20は、信号光ビームLsig1又は反射信号光ビームLsig2の光路中に設けられ、信号光路長LPsigを調整するようにしても良い。
【0211】
要は音響光学変調器18は、信号光ビームLsig1、反射信号光ビームLsig2、参照光ビームLref1又は変調参照光ビームLref2のいずれかの光路中に設けられ、信号光路長LPsigと参照光路長LPrefとの光路長差を光ビームL1の可干渉距離以内に収めることができれば良い。
【0212】
さらに上述した実施の形態においては、フォーカスエラー信号に基づき光路長調整部20を制御する場合について述べた。本発明はこれに限らず、フォーカスエラー信号に連動せずに光路長調整部20を制御するようにしても良い。
【0213】
さらに上述した実施の形態においては、レーザダイオード10から射出する光ビームL1の波長を405[nm]とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、光ディスク100に対応した任意の波長でなる光ビームを出射するようにして良い。
【0214】
さらに上述した第1及び第2の実施の形態による光路長調整部20においては、4枚のミラー40、41、42及び43を設けて、そのうちミラー41及び42を移動させることにより、参照光路長LPrefを調整する場合について述べた。
【0215】
また上述した第3の実施の形態による光路長調整部220においては、1枚のミラー240を設けて、当該ミラー240を移動させることにより、参照光路長LPrefを調整する場合について述べた。
【0216】
本発明はこれに限らず、1枚以上のミラーを設けそれら1枚以上のミラーを移動させるなど、種々の方法により参照光路長LPrefを調整して良い。
【0217】
さらに上述した実施の形態においては、光源としてのレーザダイオード10と、光分離部としての光分離部22と、対物レンズとしての対物レンズ8と、周波数変調部としての音響光学変調器18と、光合成素子としての無偏光ビームスプリッタ17、偏光ビームスプリッタ111又は211と、光路長調整部としての光路長調整部20又は220と、検出器としての検出器21又は、検出器114及び115とによって光ピックアップとしての光ピックアップ7、107又は207を構成する場合について述べた。
【0218】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる光源と、光分離部と、対物レンズと、周波数変調部と、光合成素子と、光路長調整部と、検出器とによって光ピックアップを構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0219】
本発明は、種々の情報を記録し、また再生する種々の方式に対応する光ディスク装置でも利用できる。
【符号の説明】
【0220】
1……光ディスク装置、2……統括制御部、3……駆動制御部、4……信号処理部、5……スピンドルモータ、5T……ターンテーブル、6……スレッドモータ、7、107、207……光ピックアップ、8……対物レンズ、9……2次元アクチュエータ、10……レーザダイオード、11……コリメータレンズ、12……アナモプリズム、13、110、112……1/2波長板、14、15、111、113、211、216……偏光ビームスプリッタ、16、217……1/4波長板、17……無偏光ビームスプリッタ、18……音響光学変調器、19、40、41、42、43、240……ミラー、20、220……光路長調整部、21、114、115……検出器、22……光分離部、30……ドライバ、31……トランデューサ、32……音響光学媒体、33……超音波、44、244……1次元アクチュエータ、L1……光ビーム、Lsig1……信号光ビーム、Lsig2……反射信号光ビーム、Lref1……参照光ビーム、Lref2……変調参照光ビーム、Lmul……合成光ビーム、100……光ディスク、Y0〜Y3……記録層、YT……対象記録層、LPsig……信号光路長、LPref……参照光路長。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを出射する光源と、
上記光ビームを互いに異なる方向へ進行する信号光ビームと参照光ビームとに分離する光分離部と、
上記信号光ビームを光ディスクの記録層に集光する対物レンズと、
上記参照光ビームを所定の変調周波数だけ変調する周波数変調部と、
上記参照光ビームと、上記記録層により反射された上記信号光ビームとを合波し合成光ビームを生成する光合成素子と、
上記信号光ビームにおける上記光分離部から上記光合成素子までの光路長である信号光路長と、上記参照光ビームにおける上記光分離部から上記光合成素子までの光路長である参照光路長との光路長差を、上記光源から出射された上記光ビームにおける可干渉距離以下に抑えるよう上記参照光路長を調整する光路長調整部と、
上記合成光ビームを受光して受光信号を生成する検出器と
を有する光ピックアップ。
【請求項2】
上記対物レンズを上記光ディスクに離接する方向へ移動させるレンズ移動部をさらに有し、
上記光路長調整部は、上記参照光ビームの光路中に設けられ、上記対物レンズの移動量に基づいて上記参照光路長を調整する
請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項3】
上記周波数変調部における上記変調周波数は、
上記光ディスクに記録された情報を再生した際の信号に含まれる最大の周波数の2倍以上である
請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項4】
複数の上記検出器である第1検出器及び第2検出器と、
光ビームの光軸に対する偏光方向に応じた割合で当該光ビームを透過又は反射する偏光ビームスプリッタと
をさらに有し、
上記光合成素子は、上記光軸に対する偏光方向が互いに異なる上記信号光ビームと上記参照光ビームとを合波し上記合成光ビームを生成して上記偏光ビームスプリッタに入射させ、
上記偏光ビームスプリッタは、上記合成光ビームに含まれる上記信号光ビームと上記参照光ビームとを、偏光方向に応じた割合で互いに異なる方向へ進行する第1検出ビームと第2検出ビームとに分離し、
上記第1検出器は、上記第1検出ビームを受光して第1受光信号を生成し、
上記第2検出器は、上記第2検出ビームを受光して第2受光信号を生成し、
所定の信号処理部により上記第1受光信号と上記第2受光信号との差動を算出し上記記録層に記録された情報を再生する
請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項5】
上記光分離部は、
上記光源から出射された上記光ビームの光軸に対する偏光方向を変更する偏光方向変換素子と、
偏光方向が変更された上記光ビームが入射され、当該光ビームの光軸に対する偏光方向に応じた割合で当該光ビームを上記参照光ビームと上記信号光ビームとに分離する光分離部偏光ビームスプリッタと
を有する請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項6】
光ビームを出射する光源と、
上記光ビームを互いに異なる方向へ進行する信号光ビームと参照光ビームとに分離する光分離部と、
上記信号光ビームを光ディスクの記録層に集光する対物レンズと、
上記対物レンズを上記光ディスクに離接する方向であるフォーカス方向へ移動させるレンズ移動部と、
上記参照光ビームを所定の変調周波数だけ変調する周波数変調部と、
上記参照光ビームと、上記記録層により反射された上記信号光ビームとを合波し合成光ビームを生成する光合成素子と、
上記信号光ビームにおける上記光分離部から上記光合成素子までの光路長である信号光路長と、上記参照光ビームにおける上記光分離部から上記光合成素子までの光路長である参照光路長との光路長差を、上記光源から出射された上記光ビームにおける可干渉距離以下に抑えるよう上記参照光路長を調整する光路長調整部と、
上記合成光ビームを受光して受光信号を生成する検出器と、
上記フォーカス方向に関する上記対物レンズの上記記録層に対する焦点のずれ量を表すフォーカスエラー信号を上記受光信号に基づき生成する信号処理部と、
上記フォーカスエラー信号に基づき上記レンズ移動部を介して上記対物レンズを上記フォーカス方向へ移動させ、上記対物レンズの焦点を上記記録層に合わせる駆動制御部と
を有する光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−187118(P2011−187118A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50594(P2010−50594)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】