説明

光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置

【課題】振動・衝撃発生位置を特定可能にした光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置を提供する。
【解決手段】2つの光学系3A、3Bで共用する第2光ファイバF2上でのみ、振動・衝撃によって発生した光波の偏波変動を検知する。つまり、第2光ファイバF2のみが振動・衝撃を検知する検知線となっている。第2光ファイバF2に加わった外力は、これを互いに逆方向に伝搬する第1光波と第2光波の両方に偏波変動を同時に発生させ、第1光波、第2光波に生じる偏波変動A波、偏波変動B波は、第1受光器2A、第2受光器2Bに個別に入射し、電気信号に変換される。これにより、偏波変動A波と偏波変動B波を分離して検出できる。また、両受光器2A,2Bの出力に基づき両偏波変動波の到達時間差Δtを計測することで、振動・衝撃発生位置の特定が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ中を進行する光波に、光ファイバに加わった外力によって生じる偏波変動を検出して、振動・衝撃等の外力の加わった位置を特定する光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバに加わった外力(振動・衝撃)を検知する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この文献に開示された検知装置は、光ファイバに外力(振動・衝撃)が加わった場合に、光ファイバ中を伝搬する光波の偏光が変動する現象を捉えて、例えば落石の有無を検知したり、侵入者の侵入を検知したりする。
【特許文献1】特開2007−139740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術では、測定領域光ファイバに外力(振動・衝撃)が加わったことは検知できるが、測定領域光ファイバのどの位置に外力が加わったかを検知することができなかった。落石を検知する場合、例えば、道路沿いの落石現場では、光ファイバを道路に沿って張ることで落石の有無を検知できるが、道路沿いの、どの位置で落石が発生したかという、落石発生位置の特定ができなかった。同様に、侵入者を検知する場合、侵入防止フェンスに沿って光ファイバを張ることで、侵入者がフェンスをよじ登って侵入しようとしたときに、フェンスに沿って張った光ファイバが振動・衝撃を受け、侵入者の有無を検知できるが、侵入防止フェンスの、どの位置で侵入者が侵入したのかを特定することができなかった。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて為されたもので、その目的は、振動・衝撃発生位置を特定可能にした光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置は、非偏光の光波又は偏光光を送出する光源手段と、第1受光器と、第2受光器と、第1経路および第2経路の光学系と、を備え、前記第1経路の光学系は、前記光源手段から送出される非偏光の光波を偏光光に変換した第1光波或いは前記光源手段から送出される偏光光である第1光波が一方向に伝搬する光ファイバで、振動・衝撃を検知する検知線を有し、前記第2経路の光学系は、前記光源手段から送出される非偏光の光波を偏光光に変換した第2光波或いは前記光源手段から送出される偏光光である第2光波が前記第1光波とは逆方向に伝搬する光ファイバで、振動・衝撃を検知する検知線を有し、前記第1経路の光学系の前記検知線と前記第2経路の光学系の前記検知線は同じ1本の光ファイバで構成され、前記第1光波が前記検知線を一方向に伝搬した後、前記第1受光器に入射し、前記第2光波が前記検知線を前記第1光波とは逆方向に伝搬した後、前記第2受光器に入射する構成を有する、ことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、検知線に加わった外力は、検知線を互いに逆方向に伝搬する第1光波と第2光波の両方に偏波変動を同時に発生させるので、第1光波および第2光波にそれぞれ生じる両偏波変動波の波形は、同一時刻に発生し、かつ波形の形状も似た形となる。また、第1光波および第2光波にそれぞれ生じる偏波変動波は、第1受光器および第2受光器に個別に入射し、電気信号に変換される。これにより、第1光波に生じる偏波変動波と第2光波に生じる偏波変動波を分離して検出することができる。そして、第1受光器および第2受光器でそれぞれ受信した第1光波の偏波変動波と第2光波の偏波変動波は、各々の光波が通過した光路長が異なるため、両受光器の出力に基づき両偏波変動波の到達時間差(Δt)を計測することで、振動・衝撃発生位置を特定することが可能となる。
【0007】
請求項2に記載の発明に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置は、前記第1経路の光学系は、前記光源手段から送出される非偏光の光波が第1光ファイバを伝搬して第1偏光子を通過し、該第1偏光子により前記非偏光の光波が偏光光に変換された第1光波が第1線路手段の第1光路を経由して前記検知線としての第2光ファイバを一方向に伝搬し、第2線路手段の第1光路と偏波変動に応じた強度の光波を出射する第1フィルタ手段を経由して前記第1受光器に入射する構成を有し、前記第2経路の光学系は、前記光源手段から送出される非偏光の光波が第3偏光子を通過し、該第3偏光子により前記非偏光の光波が偏光光に変換された第2光波が前記第2線路手段の第2光路を経由して前記第2光ファイバを前記第1光波とは逆方向に伝搬し、前記第1線路手段の第2光路と偏波変動に応じた強度の光波を出射する第2フィルタ手段を経由し、第3光ファイバを伝搬して前記第2受光器に入射する構成を有する、ことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、第1光ファイバを伝搬した非偏光の光波が第1偏光子により偏光光に変換され、この偏光光に変換された第1光波が第1線路手段を経由して検知線としての第2光ファイバを一方向に伝搬し、さらに第2線路手段と第1フィルタ手段を経由して第1受光器に入射する。一方、第2経路の光学系では、光源手段から送出される非偏光の光波が第3偏光子により偏光光に変換され、この偏光光に変換された第2光波が第2線路手段を経由して検知線としての第2光ファイバを第1光波とは逆方向に伝搬し、第1線路手段と第2フィルタ手段を経由し、第3光ファイバを伝搬して第2受光器に入射する。
【0009】
第1経路の光学系の第1光ファイバは、光源手段と第1偏光子とによって挟まれた区間で、非偏光の光波が伝搬しているので、第1光ファイバでは、振動・衝撃による偏波変動が低減され、大きな偏波変動は発生しない。また、第2経路の光学系の第3光ファイバは、第2フィルタ手段と第2受光器とに挟まれた区間であり、第3光ファイバ上で偏波変動が発生したとしても、第2受光器は光強度変化のみを検知するため、振動・衝撃による偏波変動は検知しない。したがって、第1経路の光学系と第2経路の光学系で共用している第2光ファイバ上でのみ、振動・衝撃によって発生した光波の偏波変動を検知することになる。つまり、第2光ファイバのみが振動・衝撃を検知する光ファイバである。
【0010】
この第2光ファイバに加わった外力は、第2光ファイバを互いに逆方向に伝搬する第1光波と第2光波の両方に偏波変動を同時に発生させるので、第1光波および第2光波にそれぞれ生じる両偏波変動波の波形は、同一時刻に発生し、かつ波形の形状も似た形となる。また、第1光波および第2光波にそれぞれ生じる偏波変動波は、第1受光器および第2受光器に個別に入射し、電気信号に変換される。これにより、第1光波に生じる偏波変動波と第2光波に生じる偏波変動波を分離して検出することができる。そして、第1受光器および第2受光器でそれぞれ受信した第1光波の偏波変動波と第2光波の偏波変動波は、各々の光波が通過した光路長が異なるため、両受光器の出力に基づき両偏波変動波の到達時間差(Δt)を計測することで、振動・衝撃発生位置を特定することが可能となる。
【0011】
さらに、第1光波および第2光波にそれぞれ生じる両偏波変動波の波形は、同一時刻に発生し、かつ波形の形状も似た形となるので、両偏波変動波の到達時間差(Δt)の計測誤差を少なくすることができ、振動・衝撃発生位置を精度良く特定することが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置は、前記第1経路の光学系は、前記光源手段から送出される非偏光の光波が伝搬する第1光ファイバと、該第1光ファイバを伝搬した非偏光の光波を偏光光に変換する第1偏光子と、該第1偏光子により偏光光にされた第1光波が一方向に伝搬する前記検知線としての第2光ファイバと、該第2光ファイバを伝搬する間に前記第1光波に生じた偏波変動に応じて通過する光波の強度を変化させて、その光波を前記第1受光器へ出力する第1フィルタ手段と、を含み、前記第2経路の光学系は、前記光源手段から送出される非偏光の光波を偏光光に変換する第3偏光子と、該第3偏光子により偏光光にされた第2光波が前記第1光波とは逆方向に伝搬する前記第2光ファイバと、該第2光ファイバを伝搬する間に前記第2光波に生じた偏波変動に応じて通過する光波の強度を変化させる第2フィルタ手段と、該記第2フィルタ手段を通過した光波を前記第2受光器へ伝搬させる第3光ファイバと、を含み、さらに、前記第2光ファイバには、前記第1偏光子を通過後、前記第2光ファイバを一方向に伝搬する第1光波と、前記第2光ファイバを前記第1光波とは逆方向に伝搬して前記第2フィルタ手段へ向かう第2光波とを個別に通過させる第1線路手段と、前記第2光ファイバを一方向に伝搬して前記第1フィルタ手段へ向かう第1光波と、前記第3偏光子を通過後、前記第2光ファイバを一方向に伝搬する第2光波とを個別に通過させる第2線路手段とが配置されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、両受光器の出力に基づき両偏波変動波の到達時間差(Δt)を計測することで、振動・衝撃発生位置を特定することが可能となる。また、同じ第2光ファイバに加わった外力により、第2光ファイバを互いに逆方向に伝搬する第1光波と第2光波の両方に偏波変動を同時に発生させるので、第1光波および第2光波にそれぞれ生じる両偏波変動波の波形は、同一時刻に発生し、かつ波形の形状も似た形となる。これにより、両偏波変動波の到達時間差(Δt)の計測誤差を少なくすることができ、振動・衝撃発生位置を精度良く特定することが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置は、前記光源手段は、第1光源と、該第1光源からの出射光を非偏光の光波に変換する第1デポラライザと、第2光源と、該第2光源からの出射光を非偏光の光波に変換する第2デポラライザとを含み、前記第1デポラライザから出射される非偏光の光波が前記第1光ファイバに導入され、前記第2デポラライザから出射される非偏光の光波が前記第3偏光子に導入されることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置は、前記光源手段は、一つの光源と、該光源からの出射光を非偏光の光に変換する一つのデポラライザと、該デポラライザから出射される非偏光の光を2分岐して前記第1光ファイバと前記第3偏光子へ導入する分岐器とを含むことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、非偏光の光波を送出する光源手段を、一つの光源と、一つのデポラライザと、分岐器とを有する一つの光源で共通化することができ、部品点数が削減され、コストの低減を図れる。
【0017】
請求項6に記載の発明に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置は、振動・衝撃を検知する検知線としての第1光ファイバの一端側から該第1光ファイバに非偏光の光波又は偏光光を送出する第1光源手段と、前記第1光ファイバの他端側から該第1光ファイバに非偏光の光波又は偏光光を送出する第2光源手段と、第1受光器と、第2受光器と、第1経路および第2経路の光学系と、を備え、前記第1経路の光学系は、前記第1光源手段から送出される非偏光の光波が偏光光に変換された第1光波或いは前記第1光源手段から送出される偏光光である第1光波が第1線路手段の第1光路を経由して前記第1光ファイバを一方向に伝搬し、第2線路手段の第1光路と偏波変動に応じた強度の光波を出射する第1フィルタ手段を経由して前記第1受光器に入射する構成を有し、前記第2経路の光学系は、前記第2光源手段から送出される非偏光の光波或いは前記第2光源手段から送出される偏光光である第2光波が第2線路手段の第2光路を経由して前記第1光ファイバを前記第1光波とは逆方向に伝搬し、前記第1線路手段の第2光路と偏波変動に応じた強度の光波を出射する第2フィルタ手段を経由し、第2光ファイバを伝搬して前記第2受光器に入射する構成を有することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、第1光ファイバに、その一端側と他端側からそれぞれ偏光光の光波を導入させるので、利用する光ファイバ(光ファイバ心線)の数を最小にした構成となり、コストの低減を図れる。
【0019】
請求項7に記載の発明に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置は、振動・衝撃を検知する検知線としての第1光ファイバの一端側から該第1光ファイバに非偏光の光波又は偏光光を送出する第1光源手段と、前記第1光ファイバの他端側から該第1光ファイバに非偏光の光波又は偏光光を送出する第2光源手段と、を備え、前記第1経路の光学系は、前記第1光源手段から送出される非偏光の光波或いは偏光光の第1光波が第1線路手段の第1光路を経由して第1偏光子を通過し、前記第1光ファイバを一方向に伝搬し、第2偏光子を通過した後、第2線路手段の第1経路を経由して前記第1受光器に入射する構成を有し、前記第2経路の光学系は、前記第2光源手段から送出される非偏光の光波或いは偏光光の第2光波が第2線路手段の第2光路を経由して第2偏光子を通過し、前記第1光ファイバを前記第1光波とは逆方向に伝搬し、前記第1偏光子を通過した後、前記第1線路手段の第2光路を経由し、第2光ファイバを伝搬して前記第2受光器に入射する構成を有することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、第1光ファイバに、その一端側と他端側からそれぞれ偏光光の光波を導入させるので、利用する光ファイバ(光ファイバ心線)の数を最小にした構成となり、コストの低減を図れる。また、第1経路の光学系および第2経路の光学系で、2つの偏光子を共用しているので、これによってもコストの低減を図れる。
【0021】
請求項8に記載の発明に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置は、前記第1フィルタ手段および前記第2フィルタ手段はそれぞれ偏光子であることを特徴とする。
【0022】
請求項9に記載の発明に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置は、前記第1フィルタ手段および前記第2フィルタ手段はそれぞれ、入射する光波を複数に分岐する分岐器と、該分岐器により分岐された複数の光路に配置され、角度の異なる偏光成分の光波のみを通過させる複数の偏光子とを含むことを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、光波の偏波変動を角度の異なる3つの方向を持つ複数の偏光子を用いて、さらに細かな偏波変動の状態の計測、解析が可能となり、振動・衝撃発生位置の特定精度が向上する。
【0024】
請求項10に記載の発明に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置は、前記第1線路手段および第2線路手段は、それぞれ光サーキュレータであることを特徴とする。
【0025】
請求項11に記載の発明に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置は、前記第1受光器および第2受光器の出力に基づき、前記第1受光器で受信した第1光波の偏波変動波と、前記第2受光器で受信した第2光波の偏波変動波との到達時間差を演算して、前記検知線に加わった振動・衝撃の発生位置を算出する偏光解析装置を備えることを特徴とする。
【0026】
請求項12に記載の発明に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置は、前記偏光解析装置は、前記第1受光器および第2受光器の出力をA/D変換するA/D変換器と、CPUおよびメモリを有する演算手段とを備えることを特徴とする。
【0027】
請求項13に記載の発明に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置は、前記検知線を伝搬する前記第2光波を遅延させるダミーファイバが、該第2光波が通過する前記第1線路手段の近傍に配置されていることを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、ダミーファイバを挿入することで、第2光波に生じる偏波変動波の到達時間が長くなる。ダミーファイバを挿入すると、到達時間差(Δt)を見かけ上長くすることができるため、第1光波、第2光波にそれぞれ生じる偏波変動の波形を偏光解析装置がデータ化、処理する過程の演算等の負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、振動・衝撃発生位置を特定することが可能となる。
例えば、落石を検知する場合、光ファイバを道路に沿って張ることで落石の有無を検知できるが、道路沿いの、どの位置で落石が発生したかという、落石発生位置を特定することができる。また、侵入者を検知する場合、侵入防止フェンスに沿って光ファイバを張ることで侵入者の有無を検知できるが、侵入防止フェンスの、どの位置で侵入者が侵入したかという、侵入発生位置を特定することができる。
【0030】
さらに、振動・衝撃発生位置の特定が可能となるので、落石位置や侵入者の侵入位置の特定が可能となるだけではなく、トンネル、道路、河川等の長大な構造物に対して光ファイバを神経網として、振動や衝撃位置を遠隔地から検知でき、社会の様々なインフラ設備の遠隔監視も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態の説明において同様の部位には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0032】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置を図1乃至図3に基づいて説明する。
【0033】
光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置は、光ファイバ中を進行する光波に、光ファイバに加わった外力によって生じる偏波変動を検出して、振動・衝撃等の外力の加わった位置を特定する装置である。
【0034】
この光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置(以下、単に「振動・衝撃位置検知装置」と言う。)は、図1に示すように、非偏光の光波を送出する光源手段としての光源1と、第1受光器2Aと、第2受光器2Bと、第1経路の光学系(A系)3Aと、第2経路の光学系(B系)3Bと、を備える。
【0035】
光源1は、第1光源4Aと、第1光源4Aからの出射光を非偏光の光波に変換する第1デポラライザ5Aと、第2光源4Bと、第2光源4Bからの出射光を非偏光の光波に変換する第2デポラライザ5Bとを含む。
【0036】
第1経路の光学系3Aは、第1デポラライザ5Aから送出される非偏光の光波が伝搬する第1光ファイバF1と、第1光ファイバF1を伝搬した非偏光の光波を偏光光に変換する第1偏光子A1と、第1偏光子A1により偏光光に変換された第1光波が一方向に伝搬する検知線としての第2光ファイバF2と、第2偏光子A2と、を含む。第1フィルタ手段としての第2偏光子A2は、第1光波が第2光ファイバF2を伝搬する間にこの第1光波に生じた偏波変動(偏波変動A波)に応じた強度の光波を出射する。第2偏光子A2を通過した偏波変動A波を含む光波は第1受光器2Aで受光される。
【0037】
第2経路の光学系3Bは、第2デポラライザ5Bから送出される非偏光の光波を偏光光に変換する第3偏光子B1と、第3偏光子B1により偏光光に変換された第2光波が第1光波とは逆方向に伝搬する第2光ファイバF2と、第4偏光子B2と、第4偏光子B2を通過した光波を第2受光器2Bへ伝搬させる第3光ファイバF3と、を含む。第2フィルタ手段としての第4偏光子B2は、第2光波が第2光ファイバF2を伝搬する間に第2光波に生じた偏波変動(偏波変動B波)に応じた強度の光波を出射する。第4偏光子B2を通過した偏波変動B波を含む光波は、第3光ファイバF4を伝搬して第2受光器2Aで受光される。
【0038】
第2光ファイバF2には、第1線路手段としての光サーキュレータ6と、第2線路手段としての光サーキュレータ7とが配置されている。光サーキュレータ6は、第1偏光子A1から第2光ファイバF2へ一方向に進む第1光波と、第2光ファイバF2から第4偏光子B2へ第1光波とは逆方向に進む第2光波とを個別に通過させる。一方、光サーキュレータ7は、第2光ファイバF2から第2偏光子A2へ一方向に進む第1光波と、第3偏光子B1から第2光ファイバF2へ第1光波とは逆方向に進む第2光波とを個別に通過させる。
【0039】
第1経路の光学系3Aでは、デポラライザ5Aから送出される非偏光の光波が第1光ファイバF1を伝搬して第1偏光子A1を通過し、第1偏光子A1により非偏光の光波が偏光光に変換された第1光波(A波)が光サーキュレータ6の第1光路(A系光路a2)を経由して第2光ファイバF2に導入され、この第2光ファイバF2を一方向に伝搬する。さらに、第1光波は、光サーキュレータ7の第1光路(A系光路a4)と、偏波変動に応じた強度の光波を出射する第2偏光子A2とを経由して第1受光器2Aに入射する。
【0040】
このように、第1経路の光学系3Aでは、光波が、A系光路a1(第光ファイバF1)→A系光路a2→A系光路a3(第2光ファイバF2)→A系光路a4の順に伝達する。
【0041】
一方、第2経路の光学系3Bでは、デポラライザ5Bから送出される非偏光の光波が第3偏光子B1を通過し、第3偏光子B1により非偏光の光波が偏光光に変換された第2光波(B波)が光サーキュレータ7の第2光路(B系光路b1)を経由して第2光ファイバF2に導入され、この第2光ファイバF2を第1光波とは逆方向に伝搬する。さらに、第2光波は、光サーキュレータ6の第2光路(B系光路b3)と、偏波変動に応じた強度の光波を出射する第4偏光子B2とを経由して第3光ファイバF3を伝搬し、第2受光器2Bに入射する。
【0042】
このように、第2経路の光学系3Bでは、光波が、B系光路b1→B系光路b2(第2光ファイバF2)→B系光路b3→B系光路b4(第3光ファイバF3)の順に伝達する。
【0043】
また、振動・衝撃位置検知装置は、第1受光器2Aおよび第2受光器2Bの出力に基づき、第1受光器2Aで受信した第1光波の偏波変動波(偏波変動A波)と、第2受光器2Bで受信した第2光波の偏波変動波(偏波変動B波)との到達時間差Δtを演算して、第2光ファイバF2に加わった振動・衝撃発生位置を算出する偏光解析装置10を備える。
【0044】
なお、本実施形態では、第1光ファイバF1、第2光ファイバF2および第3光ファイバF3の全長は、図1に示す起点からそれぞれL[m]である。
【0045】
これら3本の第1光ファイバF1、第2光ファイバF2および第3光ファイバF3の一方の端部には電源を必要とする第1構成装置群が、その他方の端部には電源を必要としない第2構成装置群が配置される。第1構成装置群には、第1光源4A、第1デポラライザ5A、第2光源4B、第2デポラライザ5B、第3偏光子B1、光サーキュレータ7、第2偏光子A2、第1受光器2A、第2受光器2Bおよび偏光解析装置10が含まれる。第2構成装置群には、第1偏光子A1、第4偏光子B2および光サーキュレータ6が含まれる。
【0046】
3本の第1光ファイバF1、第2光ファイバF2および第3光ファイバF3は、振動・衝撃を検知する測定領域に敷設される。例えば、振動・衝撃位置検知装置が、道路沿いの崖等における落石等の発生箇所を検知する場合には、そのような崖にそれらの光ファイバが敷設される。また、振動・衝撃位置検知装置が、空港等の施設内への侵入の発生位置を検知する場合には、その侵入を防止するための侵入防止フェンス等にそれらの光ファイバが敷設される。電源を必要としない第2構成装置群は、そのような測定領域の近くに配置される。そして、電源を必要とする第1構成装置群は、そのような測定領域から離れた監視施設(事務所)内に配置される。
【0047】
以上の構成を有する第1実施形態に係る振動・衝撃位置検知装置において、例えば図1に示す振動・衝撃発生位置で振動・衝撃が発生し、第2光ファイバF2に外力が加わったとする。この外力が加わった位置は、図1に示す起点から見てX[m]の位置とする。第2光ファイバF2に加わった外力は、第1経路の光学系3Aで伝搬する光波と、第2経路の光学系3Bで伝搬する光波の両方に、偏波変動を同時に発生させる。つまり、第1デポラライザ5Aから送出されて第1光ファイバF1を伝搬した非偏光の光波が第1偏光子A1により偏光光に変換された光波で、光サーキュレータ6を経由して第2光ファイバF2に導入される第1光波に、第2光ファイバF2に加わった外力により偏波変動が生じる。これと同時に、第2デポラライザ5Bから送出された非偏光の光波が第3偏光子B1により偏光光に変換された光波で、光サーキュレータ7を経由して第2光ファイバF2に導入される第2光波にも、第2光ファイバF2に加わった外力により偏波変動が生じる。
【0048】
第1光波に生じる偏波変動A波は、第2光ファイバF2を一方向(図1の左方向)に伝搬し、光サーキュレータ7を経由するA系光路a4を通り、第2偏光子A2を通過して受光器Aに導入され、電気信号に変換される。一方、第2光波に生じる偏波変動B波は、第1光波とは逆方向(図1の右方向)に第2光ファイバF2を伝搬し、光サーキュレータ6を経由するB系光路b3を通り、第3偏光子B2を通過し、第3光ファイバF3を伝搬して第2受光器2Bに導入され、電気信号に変換される。
【0049】
第1受光器2Aおよび第2受光器2Bで受信した第1光波(A系の光波)および第2光波(B系の光波)は、各々の光波が通過した光路長が異なるため、時間差Δtを持って、電気信号として受信される。この様子を図2(A),(B)に示す。図2(A)は第1受光器2Aの出力電気信号を、図2(B)は第2受光器2Bの出力電気信号をそれぞれ示す波形図である。
【0050】
第1受光器2Aで受信される第1光学系(A系)3Aの光波については、第2光ファイバF2上のX[m]位置の外力で発生した偏波変動波A波が、第2光ファイバF2上の距離X[m]を伝搬し、第1受光器2Aで検出される。このときの振動・衝撃発生時刻から受光器Aで検出されるまでの時間を
Ta[s]とすると、Taは下記の式1で表される。
【0051】


【0052】
第2受光器2Bで受信される第2光学系(B系)3Bの光波については、第2光ファイバF2上のX[m]の位置の外力で発生した偏波変動波B波が、第2光ファイバF2上の距離L−X[m]と第3光ファイバF3上の距離L[m]とを伝搬し、第2受光器2Bで検出される。このときの振動・衝撃発生時刻から第2受光器2Bで検出されるまでの時間をTb[s]とすると、Tbは下記の式2で表される。
【0053】

【0054】
式1、式2から、偏波変動A波と偏波変動B波の到達時間差Δt[s]は、下記の式3で表される。
【0055】

【0056】
式3から、起点から振動・衝撃発生位置までの距離X[m]は、下記の式4で表される。
【0057】

【0058】
したがって、偏波変動A波と偏波変動B波の到達時間差Δtを計測すれば、振動・衝撃発生位置を特定することが可能となる。これらの処理を、偏光解析装置10で演算し位置を特定する。
【0059】
ところで、ここまでの説明では、第2光ファイバF2に対する振動・衝撃発生位置での2つの偏波変動波の発生と、その伝搬時間の差(到達時間差Δt)から距離Xを求めることができることを説明した。しかし、3本の光ファイバF1、F2、F3を同一のケーブルとした場合、図1に示す振動・衝撃発生位置Xでは、第2光ファイバF2だけではなく、光ファイバF1、F3も振動・衝撃を受けることとなる。ここで、第1光ファイバF1は、第1デポラライザ5Aと第1偏光子A1とによって挟まれた区間で、非偏光の光波が伝搬している。そのため、第1光ファイバF1では、振動・衝撃による偏波変動が低減され、大きな偏波変動は発生しない。また、第3光ファイバF3は、第2デポラライザ5Bから送出された光波の帰路であるが、第4偏光子B2と第2受光器2Bとに挟まれた区間である第3光ファイバF3上の振動・衝撃発生位置で偏波変動が発生したとしても、第2受光器2Bは光強度変化のみを検知するため、振動・衝撃による偏波変動は検知しない。したがって、第1実施形態に係る振動・衝撃位置検知装置によれば、振動・衝撃によって第2光ファイバF2上に発生した光波の偏波変動のみを検知することになる。
【0060】
またこの振動・衝撃位置検知装置では、2つの偏波変動波の到達時間差Δtを検出するために、第1光学系(A系)3Aと第2光学系(B系)3Bとを各々伝搬する光波の振動・衝撃による偏波変動A波、偏波変動B波を、各々分離して受信、計測する点が重要である。到達時間差Δtを検知するには、偏波変動A波、偏波変動B波の各々の、どのポイント(時刻)を到達時間(到達時刻)とするかを決める必要がある。この振動・衝撃位置検知装置では、偏波変動A波および偏波変動B波は、個別に計測されるので、例えば、図2(A),(B)に示したように、波形の立ち上がり時間(時刻)を到達時間(到達時刻)として計測してもよいし、図3(A),(B)に示すように、波形の第一の立ち上がり波形部分のピーク時間(時刻)を到達時間(到達時刻)として計測してもよい。これは、振動・衝撃のような、振動周波数成分が低く、また振動・衝撃波の波尾が長い場合には有効な方法となる。すなわち、光波の偏波変動は、光ファイバ中を光速定数c(光速定数:約3×10の8乗[m/s])をn(屈折率:一般的な光ファイバで、n=1.5))で割った速度(すなわち約2×10の8乗[m/s]で伝搬しているので、伝搬遅延時間を計測するために、例えば、到達時間の計測では、1μsの誤差が、振動・衝撃発生位置Xに与える誤差は約200mとなる。偏波変動A波、偏波変動B波の、どの時間を到達時間とするかは、振動・衝撃発生位置の計測に大きな誤差を与える。偏波変動A波、偏波変動B波を個別に受信できる本実施形態に係る振動・衝撃位置検知装置は、その計測に最適である。
【0061】
また、振動・衝撃波は、光波の伝達時間よりも、非常に長い時間の波尾を持っている。光ファイバの全長Lが、例えば30kmの場合を想定する。振動・衝撃発生位置が全長L[m]の半分、すなわちX=L/2の場合、B波の光路長は45kmなので、偏波変動B波の伝搬時間は、225μsとなる。これに対して、実際の振動・衝撃波は機械的な振動現象なので、オーダーとして数秒は継続することが多く、長い波尾(波形の発生時間)を持つ。したがって、実際には偏波変動A波の立ち上がり時刻で、すでに偏波変動B波の立ち上がりが開始されているので、到達時間は、立ち上がり時間としたほうが計測は容易である。
以上のように構成された第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0062】
○ 第1経路の光学系3Aでは、第1光ファイバF1を伝搬した非偏光の光波が第1偏光子A1により偏光光に変換され、この偏光光に変換された第1光波が光サーキュレータ6を経由して第2光ファイバF2を一方向に伝搬し、さらに光サーキュレータ7と第2偏光子A2を経由して第1受光器2Aに入射する。一方、第2経路の光学系3Bでは、光源から送出される非偏光の光波が第3偏光子B1により偏光光に変換され、この偏光光に変換された第2光波が光サーキュレータ7を経由して第2光ファイバF2を第1光波とは逆方向に伝搬し、光サーキュレータ6と第4偏光子B2を経由し、第3光ファイバF3を伝搬して第2受光器2Bに入射する。
【0063】
このように、第1経路の光学系3Aの第1光ファイバF1は、第1デポラライザ5Aと第1偏光子A1とによって挟まれた区間で、非偏光の光波が伝搬しているので、第1光ファイバF1では、振動・衝撃による偏波変動が低減され、大きな偏波変動は発生しない。また、第2経路の光学系3Bの第3光ファイバF3は、第4偏光子B2と第2受光器2Bとに挟まれた区間であり、第3光ファイバF3上で偏波変動が発生したとしても、第2受光器2Bは光強度変化のみを検知するため、振動・衝撃による偏波変動は検知しない。したがって、第1経路の光学系3Aと第2経路の光学系3Bで共用している第2光ファイバF2上でのみ、振動・衝撃によって発生した光波の偏波変動を検知することになる。つまり、第2光ファイバF2のみが振動・衝撃を検知する検知線となっている。
【0064】
この第2光ファイバF2に加わった外力は、第2光ファイバF2を互いに逆方向に伝搬する第1光波と第2光波の両方に偏波変動を同時に発生させるので、第1光波および第2光波にそれぞれ生じる両偏波変動波の波形は、同一時刻に発生し、かつ波形の形状も似た形となる。第1光波および第2光波にそれぞれ生じる偏波変動波(偏波変動A波と偏波変動B波)は、第1受光器2Aおよび第2受光器2Bに個別に入射し、電気信号に変換される。これにより、第1光波に生じる偏波変動A波と第2光波に生じる偏波変動B波を分離して検出することができる。また、第1受光器2Aおよび第2受光器2Bでそれぞれ受信した第1光波の偏波変動A波と第2光波の偏波変動B波は、各々の光波が通過した光路長が異なるため、両受光器2A,2Bの出力に基づき両偏波変動波の到達時間差Δtを計測することで、振動・衝撃発生位置を特定することが可能となる。
【0065】
○ 同じ第2光ファイバF2に加わった外力により、第2光ファイバF2を互いに逆方向に伝搬する第1光波と第2光波の両方に偏波変動を同時に発生させるので、第1光波および第2光波にそれぞれ生じる両偏波変動波の波形は、同一時刻に発生し、かつ波形の形状も似た形となる。これにより、両偏波変動波の到達時間差Δtの計測誤差を少なくすることができ、振動・衝撃発生位置を精度良く特定することが可能となる。
【0066】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る振動・衝撃位置検知装置を図4に基づいて説明する。
この振動・衝撃位置検知装置では、第1光源4Aおよび第2光源4Bとして、半導体レーザダイオードを用い、第1デポラライザ5Aおよび第2デポラライザ5Bは、結晶型あるいは偏波保存ファイバ形等の光学部品でそれぞれ構成する。偏光子A1、A2、B1,B2は、光学結晶素子として入手が可能なものである。受光器2A,2Bは、例えばフォトダイオード等により光信号を電気信号に変換する装置である。偏光解析装置10は、第1受光器2Aおよび第2受光器2Bの出力をA/D変換するA/D変換器11と、CPUおよびメモリ等を有する演算手段としてのPC(パーソナルコンピュータ)12とで構成し、受光器2A,2Bからそれぞれ出力される偏波変動の電気信号波形をデジタル的にサンプリングしてデータ化する。また、偏光解析装置10は、第1経路の光学系3Aと第2経路の光学系3Bで生じた各々の偏波変動波の到達時間を、例えば、波形の立ち上がり時間(時刻)として計測し、各々の波形の立ち上り時間(時刻)の差、すなわち偏波変動A波、偏波変動B波の到達時間差Δt[s]をPC12で演算する。そして、式4にしたがって、起点から振動・衝撃発生位置までの距離X[m]を算出し、表示する。
【0067】
また本実施形態では、第2光ファイバF2を伝搬する第2光波を遅延させる、長さ(Ld[m])のダミーファイバ20が、第2光波が通過する光サーキュレータ6の近傍に配置されている。ここでは、ダミーファイバ20が、光サーキュレータ6の上流側に配置されている。ダミーファイバ20とは、例えば数km〜数十kmの長さの光ファイバである。
【0068】
以上のように構成された第2実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて以下の作用効果を奏する。
【0069】
○ 図4に示すように、第2光ファイバF2を伝搬する第2光波を遅延させるダミーファイバ20が光サーキュレータ6の近傍に配置されているので、偏波変動B波の到達時間が長くなり、到達時間差Δtを見かけ上長くすることができる。このため、偏波変動A波、偏波変動B波の波形をPC12がデータ化、処理する過程の演算等の負荷を軽減することができる。
【0070】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る振動・衝撃位置検知装置を図5に基づいて説明する。
【0071】
この振動・衝撃位置検知装置は、図4に示す上記第2実施形態において、第2偏光子A2に代えて第1フィルタ手段としての3成分偏光子ユニット30を、第4偏光子B2に代えて第2フィルタ手段としての3成分偏光子ユニット40をそれぞれ配置したものである。
【0072】
3成分偏光子ユニット30および40はそれぞれ、入射する光波を4つに分岐する3つのハーフミラー(分岐器)51,52,53と、これらのハーフミラーにより分岐された4つの光路に配置され、角度の異なる偏光成分の光波のみを通過させる3つの偏光子61,62,63と、1/4波長板64とを備えている。
【0073】
また、3成分偏光子ユニット30と第1受光器2Aとの間は、4本の光ファイバF2Aで接続されており、3成分偏光子ユニット40と第2受光器2Bとの間は、第3光ファイバとしての4本の光ファイバF3Aで接続されている。
【0074】
以上のように構成された第3実施形態によれば、上記第2実施形態の奏する作用効果に加えて以下の作用効果を奏する。
【0075】
○ 光波の偏波変動を角度の異なる3つの方向を持つ偏光子61,62,63を用いて、さらに細かな偏波変動の状態の計測、解析が可能となり、振動・衝撃発生位置の特定精度が向上する。
【0076】
この構成の場合、受光器2A,2Bは、各々4chの光信号を同時に受信する構成とし、またA/D変換器11も8ch(4ch×2回路)の構成とする。さらにPC12は、3成分偏光子ユニット30,40がそれぞれ出力する3つの偏光子61,62,63を通過した3つの光信号成分の各々について、対応する光信号成分同士を比較し、受光器2Aおよび受光器2Bから出力される電気信号の到達時間差を計測・演算する。
【0077】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る振動・衝撃位置検知装置を図6に基づいて説明する。
この振動・衝撃位置検知装置は、図1に示す上記第1実施形態において、光源1に代えて光源手段としての光源1Aを用いている。この光源1Aは、一つの光源4Cと、光源4Cからの出射光を非偏光の光に変換する一つのデポラライザ5Cと、デポラライザ5Cから出射される非偏光の光を2分岐して第1光ファイバF1と第3偏光子B1へ送出する分岐器70とを備える。
【0078】
以上のように構成された第4実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて以下の作用効果を奏する。
○ 第1経路の光学系3Aの第1光ファイバF1に非偏光の光波を送出する光源と、第2経路の光学系3Bの第3偏光子B1に非偏光の光波を送出する光源とを、一つの光源4Cと、一つのデポラライザ5Cと、分岐器70とを有する一つの光源1Aで共通化することができ、部品点数が削減され、コストの低減を図れる。
【0079】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る振動・衝撃位置検知装置を図7に基づいて説明する。
この振動・衝撃位置検知装置は、非偏光の光波を送出する光源手段と、第1受光器2Aと、第2受光器2Bと、第1経路の光学系(A系)3Aと、第2経路の光学系(B系)3Bと、を備える。この振動・衝撃位置検知装置は、光源手段として、第1光ファイバF4の一端側から第1光ファイバF4に非偏光の光波を導入する第1光源手段としての第1光源4Aおよび第1デポラライザ5Aと、第1光ファイバF4の他端側から第1光ファイバF4に非偏光の光波を導入する第2光源手段としての第2光源4Bおよび第2デポラライザ5Bとを有する。
【0080】
第1経路の光学系(A系)3Aでは、図7の実線矢印で示すように、第1デポラライザ5Aから送出される非偏光の光波が第1偏光子A1を通過し、第1偏光子A1により非偏光の光波が偏光光に変換された第1光波が光サーキュレータ6の第1光路を経由して検知線としての第1光ファイバF4を一方向に伝搬する。第1光波はさらに、光サーキュレータ7の第1光路と第1フィルタ手段としての第2偏光子A2を経由して第1受光器2Aに入射するようになっている。
【0081】
一方、第2経路の光学系(B系)3Bは、図7の破線矢印で示すように、第2デポラライザ5Bから送出される非偏光の光波が第3偏光子B1を通過し、第3偏光子B1により非偏光の光波が偏光光に変換された第2光波が光サーキュレータ7の第2光路を経由して第1光ファイバF4を第1光波とは逆方向に伝搬する。第2光波はさらに、光サーキュレータ6の第2光路と第2フィルタ手段としての第4偏光子B2を経由し、第2光ファイバF5を伝搬して第2受光器Bに2入射するようになっている。
【0082】
また、第1光ファイバF4のうち、第1偏光子A1と第2偏光子A2との間が、衝撃・振動を検知する第1経路の光学系における検知線(衝撃・振動検知区間)であり、第1光ファイバF4のうち、第3偏光子B1と第4偏光子B2との間が衝撃・振動を検知する第2経路の光学系における検知線(衝撃・振動検知区間)である。
【0083】
このような構成を有する第5実施形態に係る振動・衝撃位置検知装置においても、上記第1実施形態と同様に、第1受光器2Aおよび第2受光器2Bでそれぞれ受信した第1光波の偏波変動A波と第2光波の偏波変動B波(図1参照)は、各々の光波が通過した光路長が異なる。このため、図示を省略した偏光解析装置(図1に示す偏光解析装置10)により、両受光器2A,2Bの出力に基づき両偏波変動波の到達時間差Δtを計測することで、振動・衝撃発生位置を特定することが可能となる。
【0084】
以上のように構成された第5実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて以下の作用効果を奏する。
【0085】
○第1光ファイバF4に、その一端側と他端側からそれぞれ非偏光の光波を導入させるので、利用する光ファイバ(光ファイバ心線)の数を最小にした構成となり、コストの低減を図れる。
【0086】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態に係る振動・衝撃位置検知装置を図8に基づいて説明する。
この振動・衝撃位置検知装置は、図8に示すように、図7に示す上記第5実施形態において、第1経路の光学系(A系)3Aと第2経路の光学系(B系)3Bで、2つの偏光子を共用するように構成したものである。
【0087】
具体的には、第1経路の光学系(A系)3Aでは、図8の実線矢印で示すように、第1デポラライザ5Aから送出される非偏光の光波が光サーキュレータ6の第1光路を経由して第1偏光子C1を通過し、第1偏光子C1により非偏光の光波が偏光光に変換された第1光波が検知線としての第1光ファイバF4を一方向に伝搬する。さらに第1光波は、第2偏光子C2を通過した後、光サーキュレータ7の第1経路を経由して第1受光器2Aに入射するようになっている。
【0088】
一方、第2経路の光学系(B系)3Bは、図8の破線矢印で示すように、第2デポラライザ5Bから送出される非偏光の光波が光サーキュレータ7の第2光路を経由して第2偏光子C2を通過し、第2偏光子C2により非偏光の光波が偏光光に変換された第2光波が第1光ファイバF4を第1光波とは逆方向に伝搬する。さらに第2光波は、第1偏光子C1を通過した後、光サーキュレータ6の第2光路を経由し、第2光ファイバF5を伝搬して第2受光器2Bに入射するようになっている。
【0089】
そして、第1光ファイバF4のうち、第1偏光子C1と第2偏光子(C2)との間が、第1経路の光学系(A系)3Aおよび第2経路の光学系(B系)3Bにおける衝撃・振動を検知する検知線(衝撃・振動検知区間)である。
【0090】
このような構成を有する第6実施形態に係る振動・衝撃位置検知装置においても、上記第1実施形態と同様に、第1受光器2Aおよび第2受光器2Bでそれぞれ受信した第1光波の偏波変動A波と第2光波の偏波変動B波(図1参照)は、各々の光波が通過した光路長が異なる。このため、図示を省略した偏光解析装置(図1に示す偏光解析装置10)により、両受光器2A,2Bの出力に基づき両偏波変動波の到達時間差Δtを計測することで、振動・衝撃発生位置を特定することが可能となる。
【0091】
以上のように構成された第6実施形態によれば、上記第5実施形態の奏する作用効果に加えて以下の作用効果を奏する。
【0092】
○第1経路の光学系(A系)3Aおよび第2経路の光学系(B系)3Bで、2つの偏光子C1,C2を共用しているので、これによって更にコストを低減することができる。
【0093】
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
【0094】
・上記第1実施形態では、図2(A),(B)に示すように、波形の立ち上がり時間(時刻)を到達時間(到達時刻)として計測する場合、或いは、図3(A),(B)に示すように、波形の第一の立ち上がり波形部分のピーク時間(時刻)を到達時間(到達時刻)として計測する場合について説明した。波形の強度(光受信強度)が所定のしきい値に達した時間(時刻)を到達時間(到達時刻)として計測しても良い。
・上記各実施形態では、説明を簡単にするために、第1光ファイバF1、第2光ファイバF2および第3光ファイバF3の全長は、図1に示す起点からそれぞれL[m]としたが、第1光ファイバF1および第3光ファイバF3の長さは、通常、上記第1構成装置群が配置される監視施設(事務所)と上記測定領域との距離に応じて第2光ファイバF2よりも長くなる。
【0095】
・上記第1乃至第4実施形態では、検知線としての第2光ファイバF2に、第1偏光子A1から第2光ファイバF2へ一方向に進む第1光波と、第2光ファイバF2から第4偏光子B2或いは3成分偏光子ユニット40へ進む第2光波とを個別に通過させる第1線路手段として、光サーキュレータ6を用いているが、その第1線路手段は光サーキュレータ6に限らない。光サーキュレータ6に代えて、2つの光波を逆方向に個別に通過させる構成の光学部品を用いてもよい。同様に、第2光ファイバF2から第2偏光子A2或いは3成分偏光子ユニット30へ進む第1光波と、第3偏光子B1から第2光ファイバF2へ進む第2光波とを個別に通過させる第2線路手段として、光サーキュレータ7を用いているが、その第2線路手段は光サーキュレータ7に限らない。光サーキュレータ7に代えて、2つの光波を逆方向に個別に通過させる構成の光学部品を用いてもよい。
【0096】
同様に、図7に示す上記第5および図8に示す第6実施形態においても、光サーキュレータ6、7に代えて、2つの光波を逆方向に個別に通過させる構成の光学部品をそれぞれ用いてもよい。
【0097】
・上記第2実施形態では、ダミーファイバ20が、光サーキュレータ6の上流側に配置されているが、ダミーファイバ20を、光サーキュレータ6の下流側に配置した構成にも、本発明は適用可能である。
【0098】
・図1、図4および図5に示す上記第1、第2および第3実施形態において、光源4Bと偏光子B1の間(光源4Bから起点までの距離)が短い場合には、光源4Bの発生する偏光光をデポラライズしたり(非偏光の光波にしたり)、偏光子を通過させる必要が無いので、デポラライザ5Bと偏光子B1は無くても良い。
【0099】
また、図1、図4に示す上記第1、第2実施形態で、デポラライザ5Bと偏光子B1を無くした構成において、偏光子A1、偏光子A2,偏光子B2を設ける代わりに、第2光ファイバF2の、光サーキュレータ6,7間に2つの偏光子を設けてよい。この場合、第2光ファイバF2の、2つの偏光子間の区間が衝撃・振動を検知する検知線となる。
【0100】
・図7に示す上記第5実施形態において、第1光ファイバF4のうち、第1光源4Aと光サーキュレータ6の区間および第2光源4Bと光サーキュレータ7の区間が短い場合には、第1デポラライザ5A、第2デポラライザ5B,第1偏光子A1および第2偏光子B1が無くても第5実施形態と同様の作用効果を奏する。なぜならば、第1光ファイバF4のそれらの区間が短い場合、つまり、振動衝撃検知区間の両側直近に第1光源4A、第2光源4Bを配置した場合、わざわざ非偏光の光を作らなくても、それらの区間で振動・衝撃は受けないからである。また、半導体レーザダイオード(LD)でそれぞれ構成された第1光源4Aおよび第2光源4Bは偏光された光を出すのが一般的なので、偏光子A1,B1は無くても良い。このような構成の場合、第1光源4Aが偏光光を送出する第1光源手段であり、第2光源4Bが偏光光を送出する第2光源手段である。但し、図7に示す第5実施形態のように、第1デポラライザ5A、第2デポラライザ5B,第1偏光子A1および第2偏光子B1を設けてある構成の方が、性能を安定化させるためには好ましい。
【0101】
・同様に、図8に示す上記第6実施形態においても、第1光ファイバF4のうち、第1光源4Aと光サーキュレータ6の区間および第2光源4Bと光サーキュレータ7の区間が短い場合、第1デポラライザ5Aおよび第2デポラライザ5Bが無くても第6実施形態と同様の作用効果を奏する。この構成の場合も、第1光源4Aが偏光光を送出する第1光源手段であり、第2光源4Bが偏光光を送出する第2光源手段である。但し、図8に示す第6実施形態のように、第1デポラライザ5Aおよび第2デポラライザ5Bを設けてある構成の方が、性能を安定化させるためには好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】第1実施形態に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】(A)は第1受光器の出力電気信号を、(B)は第2受光器の出力電気信号をそれぞれ示す波形図で、偏波変動A波と偏波変動B波の到達時間差Δtの説明図。
【図3】(A)は第1受光器の出力電気信号を、(B)は第2受光器の出力電気信号をそれぞれ示す波形図で、偏波変動A波と偏波変動B波の到達時間差Δtの説明図。
【図4】第2実施形態に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置の概略構成を示すブロック図。
【図5】第3実施形態に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置の概略構成を示すブロック図。
【図6】第4実施形態に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置の概略構成を示すブロック図。
【図7】第5実施形態に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置の概略構成を示すブロック図。
【図8】第6実施形態に係る光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置の概略構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0103】
1,1A・・・光源
2A・・・第1受光器
2B・・・第2受光器
3A・・・第1経路の光学系
3B・・・第2経路の光学系
4A・・・第1光源
4B・・・第2光源
4C・・・一つの光源
5A・・・第1デポラライザ
5B・・・第2デポラライザ
5C・・・一つのデポラライザ
6,7・・・光サーキュレータ
10・・・偏光解析装置
11・・・A/D変換器
12・・・PC(パーソナルコンピュータ)
a1,a2,a3,a4・・・A系光路
b1,b2,b3,b4・・・B系光路
A1・・・第1偏光子
A2・・・第2偏光子
B1・・・第3偏光子
B2・・・第4偏光子
C1・・・第1偏光子
C2・・・第2偏光子
F1・・・第1光ファイバ
F2・・・第2光ファイバ
F3・・・第3光ファイバ
F4・・・第1光ファイバ
F5・・・第2光ファイバ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非偏光の光波又は偏光光を送出する光源手段と、第1受光器と、第2受光器と、第1経路および第2経路の光学系と、を備え、
前記第1経路の光学系は、前記光源手段から送出される非偏光の光波を偏光光に変換した第1光波或いは前記光源手段から送出される偏光光である第1光波が一方向に伝搬する光ファイバで、振動・衝撃を検知する検知線を有し、
前記第2経路の光学系は、前記光源手段から送出される非偏光の光波を偏光光に変換した第2光波或いは前記光源手段から送出される偏光光である第2光波が前記第1光波とは逆方向に伝搬する光ファイバで、振動・衝撃を検知する検知線を有し、
前記第1経路の光学系の前記検知線と前記第2経路の光学系の前記検知線は同じ1本の光ファイバで構成され、
前記第1光波が前記検知線を一方向に伝搬した後、前記第1受光器に入射し、前記第2光波が前記検知線を前記第1光波とは逆方向に伝搬した後、前記第2受光器に入射する構成を有する、ことを特徴とする光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置。
【請求項2】
前記第1経路の光学系は、前記光源手段から送出される非偏光の光波が第1光ファイバを伝搬して第1偏光子を通過し、該第1偏光子により前記非偏光の光波が偏光光に変換された第1光波が第1線路手段の第1光路を経由して前記検知線としての第2光ファイバを一方向に伝搬し、第2線路手段の第1光路と偏波変動に応じた強度の光波を出射する第1フィルタ手段を経由して前記第1受光器に入射する構成を有し、
前記第2経路の光学系は、前記光源手段から送出される非偏光の光波が第3偏光子を通過し、該第3偏光子により前記非偏光の光波が偏光光に変換された第2光波が前記第2線路手段の第2光路を経由して前記第2光ファイバを前記第1光波とは逆方向に伝搬し、前記第1線路手段の第2光路と偏波変動に応じた強度の光波を出射する第2フィルタ手段を経由し、第3光ファイバを伝搬して前記第2受光器に入射する構成を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置。
【請求項3】
前記第1経路の光学系は、前記光源手段から送出される非偏光の光波が伝搬する第1光ファイバと、該第1光ファイバを伝搬した非偏光の光波を偏光光に変換する第1偏光子と、該第1偏光子により偏光光にされた第1光波が一方向に伝搬する前記検知線としての第2光ファイバと、該第2光ファイバを伝搬する間に前記第1光波に生じた偏波変動に応じて通過する光波の強度を変化させて、その光波を前記第1受光器へ出力する第1フィルタ手段と、を含み、
前記第2経路の光学系は、前記光源手段から送出される非偏光の光波を偏光光に変換する第3偏光子と、該第3偏光子により偏光光にされた第2光波が前記第1光波とは逆方向に伝搬する前記第2光ファイバと、該第2光ファイバを伝搬する間に前記第2光波に生じた偏波変動に応じて通過する光波の強度を変化させる第2フィルタ手段と、該記第2フィルタ手段を通過した光波を前記第2受光器へ伝搬させる第3光ファイバと、を含み、
さらに、前記第2光ファイバには、前記第1偏光子を通過後、前記第2光ファイバを一方向に伝搬する第1光波と、前記第2光ファイバを前記第1光波とは逆方向に伝搬して前記第2フィルタ手段へ向かう第2光波とを個別に通過させる第1線路手段と、前記第2光ファイバを一方向に伝搬して前記第1フィルタ手段へ向かう第1光波と、前記第3偏光子を通過後、前記第2光ファイバを一方向に伝搬する第2光波とを個別に通過させる第2線路手段とが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置。
【請求項4】
前記光源手段は、第1光源と、該第1光源からの出射光を非偏光の光波に変換する第1デポラライザと、第2光源と、該第2光源からの出射光を非偏光の光波に変換する第2デポラライザとを含み、前記第1デポラライザから出射される非偏光の光波が前記第1光ファイバに導入され、前記第2デポラライザから出射される非偏光の光波が前記第3偏光子に導入されることを特徴とする請求項2又は3に記載の光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置。
【請求項5】
前記光源手段は、一つの光源と、該光源からの出射光を非偏光の光に変換する一つのデポラライザと、該デポラライザから出射される非偏光の光を2分岐して前記第1光ファイバと前記第3偏光子へ導入する分岐器とを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置。
【請求項6】
振動・衝撃を検知する検知線としての第1光ファイバの一端側から該第1光ファイバに非偏光の光波又は偏光光を送出する第1光源手段と、前記第1光ファイバの他端側から該第1光ファイバに非偏光の光波又は偏光光を送出する第2光源手段と、第1受光器と、第2受光器と、第1経路および第2経路の光学系と、を備え、
前記第1経路の光学系は、前記第1光源手段から送出される非偏光の光波が偏光光に変換された第1光波或いは前記第1光源手段から送出される偏光光である第1光波が第1線路手段の第1光路を経由して前記第1光ファイバを一方向に伝搬し、第2線路手段の第1光路と偏波変動に応じた強度の光波を出射する第1フィルタ手段を経由して前記第1受光器に入射する構成を有し、
前記第2経路の光学系は、前記第2光源手段から送出される非偏光の光波或いは前記第2光源手段から送出される偏光光である第2光波が第2線路手段の第2光路を経由して前記第1光ファイバを前記第1光波とは逆方向に伝搬し、前記第1線路手段の第2光路と偏波変動に応じた強度の光波を出射する第2フィルタ手段を経由し、第2光ファイバを伝搬して前記第2受光器に入射する構成を有することを特徴とする光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置。
【請求項7】
振動・衝撃を検知する検知線としての第1光ファイバの一端側から該第1光ファイバに非偏光の光波又は偏光光を送出する第1光源手段と、前記第1光ファイバの他端側から該第1光ファイバに非偏光の光波又は偏光光を送出する第2光源手段と、を備え、
前記第1経路の光学系は、前記第1光源手段から送出される非偏光の光波或いは偏光光の第1光波が第1線路手段の第1光路を経由して第1偏光子を通過し、前記第1光ファイバを一方向に伝搬し、第2偏光子を通過した後、第2線路手段の第1経路を経由して前記第1受光器に入射する構成を有し、
前記第2経路の光学系は、前記第2光源手段から送出される非偏光の光波或いは偏光光の第2光波が第2線路手段の第2光路を経由して第2偏光子を通過し、前記第1光ファイバを前記第1光波とは逆方向に伝搬し、前記第1偏光子を通過した後、前記第1線路手段の第2光路を経由し、第2光ファイバを伝搬して前記第2受光器に入射する構成を有することを特徴とする光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置。
【請求項8】
前記第1フィルタ手段および前記第2フィルタ手段はそれぞれ偏光子であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一つに記載の光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置。
【請求項9】
前記第1フィルタ手段および前記第2フィルタ手段はそれぞれ、入射する光波を複数に分岐する分岐器と、該分岐器により分岐された複数の光路に配置され、角度の異なる偏光成分の光波のみを通過させる複数の偏光子とを含むことを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一つに記載の光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置。
【請求項10】
前記第1線路手段および第2線路手段は、それぞれ光サーキュレータであることを特徴とする請求項2乃至9のいずれか一つに記載の光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置。
【請求項11】
前記第1受光器および第2受光器の出力に基づき、前記第1受光器で受信した第1光波の偏波変動波と、前記第2受光器で受信した第2光波の偏波変動波との到達時間差を演算して、前記検知線に加わった振動・衝撃の発生位置を算出する偏光解析装置を備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載の光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置。
【請求項12】
前記偏光解析装置は、前記第1受光器および第2受光器の出力をA/D変換するA/D変換器と、CPUおよびメモリを有する演算手段とを備えることを特徴とする請求項11に記載の光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置。
【請求項13】
前記検知線を伝搬する前記第2光波を遅延させるダミーファイバが、該第2光波が通過する前記第1線路手段の近傍に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の光ファイバによる振動・衝撃位置検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−75000(P2009−75000A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245711(P2007−245711)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】