説明

光ファイバセンサおよび光ファイバセンシング方法

【課題】測定精度を向上させた光ファイバセンサおよび光ファイバセンシング方法を提供すること。
【解決手段】パルス状のポンプ光を出力する光源と、前記ポンプ光が入力され、該ポンプ光によってブリユアン散乱光を発生するセンサ用光ファイバと、前記センサ用光ファイバから出力された前記ブリユアン散乱光を受光する受光器と、を備え、入力される前記ポンプ光のパルスの長さの1/2をΔz(m)、ピーク光強度をI(mW)とすると、前記センサ用光ファイバは、長さをz(m)、伝送損失をa(dB/km)、ブリユアン利得係数gと有効コア断面積Aeffとの比をg/Aeff(m−1−1)とした場合に、所定の式を満たすように長さzが設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバセンサおよび光ファイバセンシング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを用いて電気的な接触無く被測定物の温度や歪みを測定する光ファイバセンサが開示されている。光ファイバセンサの方式には様々なものがあるが、たとえば、ブリユアン散乱光を用いる方式がある。この方式では、たとえば被測定物に沿って配置した光ファイバにポンプ光を入力し、光ファイバ中の熱エネルギーにより発生している縦波音響波とポンプ光の光波との相互作用によってブリユアン散乱光を発生させ、このブリユアン散乱光の周波数シフト量を測定する。そして、光ファイバの長手方向の各地点からのブリユアン散乱光の周波数シフト量を測定することにより、各地点での被測定物の温度や歪み、および温度や歪みの分布状態を求めることができる。このようなブリユアン散乱光を用いる測定方法(光ファイバセンシング方法)として、BOTDR(Brillouin Optical Time Domain Reflectometer)、BOTDA(Brillouin Optical Time Domain Analysis),BOCDA(Brillouin Optical Correlation-Domain Analysis)などがある(非特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】C.C.Lee, P.W.Chiang and S.Chi “Utilization of a Dispersion-Shifted Fiber for Simultaneous Measurement of Distributed Strain and Temperature Through Brillouin Frequency Shift” IEEE Photonics Technology Letters, Vol.13, No.10, p.1094, 2001
【非特許文献2】Y.Mizuno, Z.He, K.Hotate “One-End -Access High-Speed Distributed Strain Measurement with 13-mm Spatial Resolution based on Brillouin Optical Correlation-Domain Reflectometry” IEEE Photonics Technology Letters, Vol.21, No.7, P.474, 2009
【非特許文献3】T.Horiguchi, K.Shimizu, T.Kurashima and Y.Koyamada “Advances in distributed sensing techniques using Brillouin scattering,” Proc. SPIE 2507, 1995, pp.126-137
【非特許文献4】R.W.Boyd, Nonlinear Optics, Academic Press, New York, 1992, pp.325-364.
【非特許文献5】R.W.TKACH, A.R.CHRAPLYVY, R.M.DEROSIER, “Spontanenous Brillouin Scattering For Single-Mode Optical-Fibre Characterisation” Electron. Lett., Vol.22, No.19,pp.1011-1013, 1986.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ファイバセンサに対しては、よりいっそう測定精度を向上させることが強く要求されている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、測定精度を向上させた光ファイバセンサおよび光ファイバセンシング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光ファイバセンサは、パルス状のポンプ光を出力する光源と、前記ポンプ光が入力され、該ポンプ光によってブリユアン散乱光を発生するセンサ用光ファイバと、前記センサ用光ファイバから出力された前記ブリユアン散乱光を受光する受光器と、を備え、入力される前記ポンプ光のパルスの長さの1/2をΔz(m)、ピーク光強度をI(mW)とすると、前記センサ用光ファイバは、長さをz(m)、伝送損失をa(dB/km)、ブリユアン利得係数gと有効コア断面積Aeffとの比をg/Aeff(m−1−1)とした場合に、以下の式を満たすように長さzが設定されていることを特徴とする。
【数1】

【0007】
また、本発明に係る光ファイバセンサは、上記の発明において、前記センサ用光ファイバは、以下の式を満たすように長さzが設定されていることを特徴とする。
【数2】

【0008】
また、本発明に係る光ファイバセンサは、上記の発明において、前記センサ用光ファイバは、前記ポンプ光の波長における有効コア断面積Aeffが15μm以下であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る光ファイバセンサは、上記の発明において、前記センサ用光ファイバは、前記ポンプ光の波長における比g/Aeffが0.6m−1−1以上であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る光ファイバセンサは、上記の発明において、前記センサ用光ファイバは、10mmの曲げ半径で一周回曲げた状態での前記ポンプ光の波長における曲げ損失が0.1dB以下であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る光ファイバセンサは、上記の発明において、前記ポンプ光の波長は1550nmであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る光ファイバセンサは、上記の発明において、複数の前記センサ用光ファイバと、前記複数のセンサ用光ファイバの間に介挿された、前記複数のセンサ用光ファイバよりも伝送損失が小さい接続用光ファイバとを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る光ファイバセンシング方法は、上記の発明のいずれか一つに記載の光ファイバセンサによって測定対象の温度または歪みを測定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る光ファイバセンシング方法は、上記の発明において、前記センサ用光ファイバの少なくとも一箇所を10mm以上の曲げ半径で曲げた状態で前記測定対象に設置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、センサ用光ファイバで発生するブリユアン散乱光の強度を高くすることができるので、測定精度を向上させた光ファイバセンサおよび光ファイバセンシング方法を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、実施の形態1に係る光ファイバセンサの構成図である。
【図2】図2は、ブリユアン散乱光の発生について説明する図である。
【図3】図3は、比較例、実施例1〜3の光ファイバセンサに使用される光ファイバの特性を示す図である。
【図4】図4は、比較例、実施例1〜3の光ファイバセンサに使用される光ファイバの特性を示す図である。
【図5】図5は、ポンプ光のパルス時間幅が100nsの場合の、式(1a)にて等号が成り立つ光ファイバの長さzとg/Aeffとの関係を示す図である。
【図6】図6は、ポンプ光のパルス時間幅が100nsの場合の光ファイバの長さとブリユアン散乱光の受光強度との関係を示す図である。
【図7】図7は、ポンプ光のパルス時間幅が10nsの場合の、式(1b)にて等号が成り立つ光ファイバの長さzとg/Aeffとの関係を示す図である。
【図8】図8は、ポンプ光のパルス時間幅が10nsの場合の光ファイバの長さとブリユアン散乱光の受光強度との関係を示す図である。
【図9】図9は、比較例における光ファイバの長手方向でのブリユアンスペクトル強度分布を示す図である。
【図10】図10は、実施例1における光ファイバの長手方向でのブリユアンスペクトル強度分布を示す図である。
【図11】図11は、比較例における光ファイバの長手方向でのブリユアンスペクトルピーク周波数分布を示す図である。
【図12】図12は、実施例1における光ファイバの長手方向でのブリユアンスペクトルピーク周波数分布を示す図である。
【図13】図13は、比較例における光ファイバの長手方向でのブリユアンスペクトルピーク周波数分布を示す図である。
【図14】図14は、実施の形態2に係る光ファイバセンサの構成図である。
【図15】図15は、実施の形態3に係る光ファイバセンサの構成図である。
【図16】図16は、実施の形態4に係る光ファイバセンサの構成図である。
【図17】図17は、実施の形態5に係る光ファイバセンサの構成図である。
【図18】図18は、実施の形態6に係る光ファイバセンサの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して本発明に係る光ファイバセンサおよび光ファイバセンシング方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。なお、本明細書で特に定義しない用語については、ITU−T(国際電気通信連合) G.650.1における定義、測定方法に従うものとする。
【0018】
(実施の形態)
図1は、実施の形態1に係る光ファイバセンサの構成図である。図1に示すように、この光ファイバセンサ100は、BOTDR装置10と、BOTDR装置10に接続したセンサ用の光ファイバ20とを備えている。
【0019】
BOTDR装置10は、光源11と、光サーキュレータ12と、受光器13と、信号発生器14と、合波器15と、電気増幅器16と、時間波形測定器17とを備えている。
【0020】
光ファイバセンサ100の動作を説明する。光ファイバセンサ100を使用する際は、まず、温度や歪みを測定したい測定対象に沿って光ファイバ20を設置する。
【0021】
光源11は、パルス状のポンプ光を出力する。出力されたポンプ光は、光サーキュレータ12を通過して光ファイバ20に入力される。光ファイバ20では、ポンプ光が伝搬中にブリユアン散乱が発生する。光ファイバ20の長手方向の各地点で発生したブリユアン散乱光(ストークス光)は後方散乱し、BOTDR装置10側に伝搬する。光サーキュレータ12は光ファイバ20から伝搬してきたブリユアン散乱光を受光器13に導く。受光器13はブリユアン散乱光を受光してこれを電気信号に変換して出力する。信号発生器14は正弦波電気信号を出力する。合波器15は、受光器13が出力した電気信号と信号発生器14が出力した正弦波電気信号とを合波して出力する。
【0022】
電気増幅器16は合波された電気信号を増幅して時間波形測定器17に出力する。時間波形測定器17では、増幅された電気信号の波形の時間依存性を測定することができる。このとき、信号発生器14が出力する正弦波電気信号の周波数を変化させ、それぞれの周波数に対する増幅された電気信号の波形の時間依存性を時間波形測定器17で測定することにより、光ファイバ20の長手方向各地点におけるブリユアン散乱光の分布を求めることができる。このブリユアン散乱光の分布を求めることによって、光ファイバ20を設置した測定対象の温度や歪みを、光ファイバ20の長手方向にわたって分布的に測定することができる。
【0023】
BOTDR装置10としては、各構成機器を組み合わせて構成したものを用いてもよい。また、市販のBOTDR装置(たとえば、横河電機製BOTDR装置AQ8603)を用いてもよい。
【0024】
ここで、光ファイバ20は、入力されるポンプ光のパルスの長さの1/2をΔz(m)、ピーク光強度をI(mW)、長さをz(m)、伝送損失をa(dB/m)、ブリユアン利得係数gと有効コア断面積Aeffとの比をg/Aeff(m−1−1)とした場合に、以下の式(1a)、より好ましくは(1b)を満たすように長さzが設定されている。これによって、光ファイバ20中で発生するブリユアン散乱光の強度を高くすることができるので、BOTDR装置10の受光器13で受光するブリユアン散乱光の強度も高くなる。その結果、時間波形測定器17で測定する電気信号の波形の強度も高くなるので、光ファイバセンサ100の温度等の測定精度を向上させることができる。
【0025】
【数3】

【0026】
以下、具体的に説明する。図2は、ブリユアン散乱光の発生について説明する図である。長さがLの光ファイバ20の長手方向に沿ってz座標を定義し、ポンプ光S1が入力される一方の端部のz座標をz=0とし、もう一方の端部のZ座標をz=Lとする。この光ファイバ20に、パルスの長さがΔLpのポンプ光S1を入力した場合に、位置z=lで発生するブリユアン散乱光を考える。ここで、パルスの長さとは、パルスの時間幅での光ファイバ中の伝送距離を意味する。
【0027】
このとき入力するポンプ光S1は、位置z=lに到達するまでに、光ファイバ20の伝送損失によって強度が減衰する。そして、位置z=lでは、減衰した光強度のポンプ光S1にてブリユアン散乱効果が発生する。ブリユアン散乱で発生したブリユアン散乱光B1(ストークス光)は後方散乱し、光ファイバ20の伝送損失によって強度が減衰しながら、位置z=0に到達する。パルス光であるポンプ光S1入力端(位置z=0)において、後方散乱したブリユアン散乱光を受光する場合、入力端(位置z=0)から入射するポンプ光S1は有限のパルスの長さΔLpを持っているために、受光部13で任意の時間tに受光した光に含まれる散乱は、光ファイバ20中のΔLp/2の長さの光ファイバからの散乱が含まれている。このΔLp/2を作用長と呼び、Δzとする。
【0028】
光ファイバ20中でポンプ光S1と逆方向に伝搬しているブリユアン散乱光の強度Iと入力されたポンプ光の強度Iとの関係は一般に以下の式(2a)、(2b)で表される。
【0029】
【数4】

ここで、αは光ファイバ20の損失係数、gはブリユアン利得係数、Aeffは有効断面積を示す。α、g、Aeffはポンプ光S1の波長における値である。なお、ポンプ光S1の波長は特に限定されないが、以下では例示として1550nmとする。また、ブリユアン散乱光の波長はポンプ光S1の波長よりもブリユアンシフト量だけ長波長側にシフトしている。
【0030】
光ファイバ20の長さの単位をkmで考えた場合に、損失係数αは、光ファイバについて一般的に使用されているパラメータである伝送損失a(dB/km)とは以下の式(3a)、(3b)で示される関係にある。
【0031】
【数5】

【0032】
ここで、上述したように、ブリユアン散乱効果が作用するのはポンプ光S1のパルス時間幅相当の長さである。通常のポンプ光S1のパルス時間幅は100ns程度であり、このパルス時間幅でのポンプ光S1の伝搬距離の1/2に相当する長さΔz(作用長)は10mである。この短い長さでは伝送損失が極めて小さい。そこで、この作用長での伝送損失の影響を無視し、式(2a)、(2b)での損失係数αの項を削除して、光ファイバ20中の任意の位置z=lからz=l+Δzの間での強度Iについて求めると、式(4)のようになる。
【0033】
【数6】

【0034】
式(4)の強度I(Δz)は、光ファイバ20の位置z=lに入力される、ブリユアン散乱光(ストークス光)の強度を示す。
【0035】
なお、BOTDR方式では、ポンプ光の入力側とは反対の端面から入力する光は存在せず、自然放出ブリユアン散乱によって発生するストークス光が種光となる。このような場合、I(Δz)は、一般にポンプ光の入力時の強度I(z=0)に対して微小な値(たとえば、I(0)/I(Δz)=1012をみたすようなI(Δz)の値)として計算される(たとえば、非特許文献4参照)。また、BOTDA方式の場合は、I(Δz)は、ポンプ光とは反対端から入射するプローブ光となる。
【0036】
つぎに、式(4)において位置z=0からz=lまでの往復の伝送損失を考慮すると、z=0でのブリユアン散乱光B1の強度I(0)は以下に式(5)で表される。
【0037】
【数7】

【0038】
式(5)より、測定対象となるブリユアン散乱光B1の強度I(0)を高くするためには、g/Aeffが大きく、損失係数αが小さいことが好ましい。
【0039】
従来の光ファイバセンサでは、センサ用の光ファイバとして、たとえばITU−T G.652に準拠する通信用の標準シングルモード光ファイバ(以下、SMF(Single Mode optical Fiber)とする)が用いられていた。これに対して、光ファイバセンサ100では、センサ用の光ファイバ20として、上記式(1a)、好ましくは式(1b)を満たすg/Aeff、a、および長さzを有する光ファイバを用いている。その結果、式(5)における強度I(0)が、同じ長さのSMFを用いた場合よりも高くなる。これによって、受光器13において受光されるブリユアン散乱光B1の強度も高くなる。その結果、光ファイバセンサ100は測定精度が向上したものになる。
【0040】
たとえば、SMFのg/Aeffをg/Aeff−Sとし、損失係数αをαとする。また、本実施の形態1に係る光ファイバ20のg/Aeffをg/Aeff−Fとし、損失係数αをαとする。SMFと光ファイバ20との長さをLとして、2つの光ファイバに対して同じ強度のI(0)およびI(Δz)を仮定した場合に、式(5)より、以下の式(6)が成立すれば、光ファイバ20を用いた場合に、SMFを用いた場合よりもI(0)が大きくなる。
【0041】
【数8】

【0042】
ここで、公知のSMFについては、たとえばコアが純シリカからなる純シリカ光ファイバの場合にgが最も大きいと考えられる。純シリカ光ファイバの理論値のgは2.8×10−11m・W−1である。したがって、通常のSMFであれば、gは2.8×10−11m・W−1以下であると考えられる。また、SMFの典型的なAeff−Sは約80μmである。したがって、典型的なSMFであれば、g/Aeff−Sは0.35m−1−1以下であると考えられる。また、伝送損失aについては、純シリカ光ファイバの場合が最も低いと考えられる。公知の純シリカ光ファイバの場合のaは0.148dB/kmである。したがって、通常のSMFであれば、aは0.148dB/km以上であると考えられる。
【0043】
/Aeff−S=0.35m−1−1、a=0.148dB/kmを用いると、式(3a)より、以下の式が成り立つ。ただし、zの単位はkmである。
【0044】
【数9】

【0045】
式(6)においてLをzに置き換えて、この式を式(6)に代入し、長さzの単位をmに換算すると、式(6)が成り立つg/Aeff−Fの条件は、以下の式(7a)となる。なお、I(0)=Iとし、単位をmWとする。式(7a)においてg/Aeff−Fをg/Aeffとすると式(1b)となる。
【0046】
【数10】

【0047】
また、公知のSMFの典型的な値として、g/Aeff−S=0.162m−1−1、伝送損失a=0.20dB/kmを用いると、式(6)が成り立つg/Aeff−Fの条件は、以下の式(7b)となる。式(7b)においてg/Aeff−Fをg/Aeffとすると式(1a)となる。
【0048】
【数11】

【0049】
すなわち、式(7b)、より好ましくは式(7a)が成り立つように、センサ用の光ファイバ20の長さzを設定することによって、光ファイバセンサ100は測定精度が向上する。
【0050】
なお、g/Aeffについては、ポンプ光の波長、たとえば波長1550nmにおけるg/Aeffが0.6m−1−1以上であれは、公知のSMFよりも十分にI(0)が大きくなるので好ましい。このようなg/Aeffが0.6m−1−1以上となる光ファイバとしては、たとえば高非線形光ファイバと呼ばれる、光ファイバ中の光学非線形性を利用して各種光増幅や信号処理などを行うための光ファイバを用いることができる。
【0051】
ここで、典型的なBOTDR装置では、ポンプ光のパルス時間幅は10ns〜200nsであり、平均光強度は−5dBmであり、測定距離レンジは1km〜80kmである。
【0052】
測定距離レンジを10kmとし、ポンプ光の平均光強度を−5dBmとし、パルス時間幅を10nsすなわち作用長Δzを1mとすると、ピーク光強度はIは3160mWになる。したがって、式(7b)にΔz=1、I=3160mWを代入すると、式(8)となる。
【数12】

【0053】
つぎに、実施例1〜3、比較例の光ファイバを用いて、実施の形態1における好ましい光ファイバ20の長さについて説明する。図3、4は、比較例、実施例1〜3の光ファイバセンサに使用される光ファイバの特性を示す図である。比較例の光ファイバはSMFである。なお、図4において、dB/ターンとは、光ファイバを所定の曲げ半径で一周回曲げた状態での一周回あたりの光損失をdBで表した単位である。また、図3、4における伝送損失、Aeff、g、g/Aeff、曲げ損失はポンプ光の波長である1550nmの値である。
【0054】
なお、ブリユアン散乱を用いた光ファイバセンサは、構造物の温度や歪を測定する場合に好適に使用される。この場合、測定対象である構造物のサイズに応じて使用する光ファイバの長さを設定することが好ましい。
【0055】
また、市販のBOTDR装置においては、ポンプ光のパルス時間幅は最小で10ns程度である。そこで、以下では、パルス時間幅が100ns(Δzは約10m)および10ns(Δzは約1m)の2つの場合について説明する。また、ポンプ光のピーク強度Iは1000mWとする。
【0056】
はじめに、パルス時間幅が100nsの場合について説明する。図5は、ポンプ光のパルス時間幅が100nsの場合の、式(1a)にて等号が成り立つ光ファイバの長さzとg/Aeffとの関係を、様々の伝送損失に対して示す図である。図5は、構造物のサイズ等に応じて使用する光ファイバの長さzが定められた場合に、その光ファイバの伝送損失に対応する実線よりも大きいg/Aeffにすれば、式(1a)が成立することを示している。
【0057】
図5から、たとえば、使用する光ファイバの長さzが3000mと定められた場合に、伝送損失を1.39dB/kmとすると、g/Aeffが0.58m−1−1以上の光ファイバを用いればよい。また、伝送損失を0.96dB/kmとすると、g/Aeffが0.37m−1−1以上の光ファイバを用いればよい。さらに、伝送損失を0.36dB/kmとすると、g/Aeffが0.19m−1−1以上の光ファイバを用いればよい。
【0058】
図3からわかるように、実施例1〜3の光ファイバはいずれも上記の伝送損失とg/Aeffとの関係を満たすので、長さzが3000mの場合に、式(1a)を満たすような測定精度が向上した光ファイバセンサ100の光ファイバ20として使用できるものである。
【0059】
また、たとえば、使用する光ファイバの長さzが5000mと定められた場合に、伝送損失を1.39dB/kmとすると、g/Aeffが1.31m−1−1以上の光ファイバを用いればよい。また、伝送損失を0.96dB/kmとすると、g/Aeffが0.65m−1−1以上の光ファイバを用いればよい。さらに、伝送損失を0.36dB/kmとすると、g/Aeffが0.22m−1−1以上の光ファイバを用いればよい。
【0060】
図3からわかるように、実施例1、2の光ファイバはいずれも上記の伝送損失とg/Aeffとの関係を満たすので、長さzが5000mの場合に、式(1a)を満たすような測定精度が向上した光ファイバセンサ100の光ファイバ20として使用できるものである。
【0061】
また、たとえば、使用する光ファイバの長さzが10000mと定められた場合に、伝送損失を0.96dB/kmとすると、g/Aeffが2.52m−1−1以上の光ファイバを用いればよい。さらに、伝送損失を0.36dB/kmとすると、g/Aeffが0.31m−1−1以上の光ファイバを用いればよい。
【0062】
図3からわかるように、実施例1の光ファイバは上記の伝送損失とg/Aeffとの関係を満たすので、長さzが10000mの場合に、式(1a)を満たすような測定精度が向上した光ファイバセンサ100の光ファイバ20として使用できるものである。このように、必要な光ファイバの長さzに応じて、式(1a)を用いることによって、測定精度を向上させることができる光ファイバを選択することができる。なお、上記では式(1a)を用いて光ファイバを選択しているが、式(1b)を用いてもよい。
【0063】
図6は、ポンプ光のパルス時間幅が100nsの場合の光ファイバの長さとブリユアン散乱光の受光強度との関係を示す図である。なお、図6において、横軸の光ファイバの長さzは、式(5)におけるlをzに置き換えたものであり、受光強度は、式(5)における強度I(0)である。
【0064】
図6に示すように、実施例1〜3の光ファイバの場合は、少なくとも長さ3000mまでは比較例の光ファイバの場合よりも大幅に受光強度が高い。また、長さが619mより短い場合は実施例3の光ファイバの場合が受光感度が高く、619mより長く1360mより短い場合は実施例2の光ファイバの場合が受光感度が高く、1360mより長い場合は実施例1の光ファイバの場合が受光感度が高い。このように、必要な光ファイバの長さに応じて、測定精度を向上させることができる光ファイバを選択することができる。または、使用する光ファイバに対して、測定精度を向上させることができるように光ファイバの長さzを設定することができる。
【0065】
つぎに、パルス時間幅が10nsの場合について説明する。図7は、ポンプ光のパルス時間幅が10nsの場合の、式(1a)にて等号が成り立つ光ファイバの長さzとg/Aeffとの関係を、様々の伝送損失に対して示す図である。
【0066】
図7から、たとえば、使用する光ファイバの長さzが1000mと定められた場合に、伝送損失を1.39dB/kmとすると、g/Aeffが0.59m−1−1以上の光ファイバを用いればよい。また、伝送損失を0.96dB/kmとすると、g/Aeffが0.41m−1−1以上の光ファイバを用いればよい。さらに、伝送損失を0.36dB/kmとすると、g/Aeffが0.21m−1−1以上の光ファイバを用いればよい。
【0067】
図3からわかるように、実施例1〜3の光ファイバはいずれも上記の伝送損失とg/Aeffとの関係を満たすので、長さzが1000mの場合に、式(1a)を満たすような測定精度が向上した光ファイバセンサ100の光ファイバ20として使用できるものである。
【0068】
また、たとえば、使用する光ファイバの長さzが3000mと定められた場合に、伝送損失を1.39dB/kmとすると、g/Aeffが2.51m−1−1以上の光ファイバを用いればよい。また、伝送損失を0.96dB/kmとすると、g/Aeffが1.29m−1−1以上の光ファイバを用いればよい。さらに、伝送損失を0.36dB/kmとすると、g/Aeffが0.32m−1−1以上の光ファイバを用いればよい。
【0069】
図3からわかるように、実施例1の光ファイバは上記の伝送損失とg/Aeffとの関係を満たすので、長さzが5000mの場合に、式(1a)を満たすような測定精度が向上した光ファイバセンサ100の光ファイバ20として使用できるものである。また、実施例1の光ファイバを使用する場合は、6550mより短ければ、式(1a)を満たすので、測定精度を向上させることができる。
【0070】
図8は、ポンプ光のパルス時間幅が10nsの場合の光ファイバの長さとブリユアン散乱光の受光強度との関係を示す図である。
【0071】
図8に示すように、実施例1〜3の光ファイバの場合は、少なくとも長さ1000mまでは比較例の光ファイバの場合よりも受光強度が高い。また、長さが303mより短い場合は実施例3の光ファイバの場合が受光感度が高く、303mより長く622mより短い場合は実施例2の光ファイバの場合が受光感度が高く、622mより長い場合では実施例1の光ファイバの場合が受光感度が高い。このように、必要な光ファイバの長さに応じて、測定精度を向上させることができる光ファイバを選択することができる。または、使用する光ファイバに対して、測定精度を向上させることができるように光ファイバの長さzを設定することができる。
【0072】
なお、上記では式(1a)を用いて光ファイバを選択しているが、式(1b)を用いて光ファイバを選択してもよい。
【0073】
つぎに、実施例1および比較例の光ファイバを用いて図1に示すような光ファイバセンサを構成し、光ファイバの長手方向でのブリユアンスペクトル強度分布を測定した。なお、光ファイバへ入力するポンプ光の平均光強度は30mW、パルス時間幅は100nsとした。また、得られたデータは時間平均した。平均化時間幅は30秒とした。なお、実施例1および比較例の光ファイバの長さはいずれも3000mとした。
【0074】
図9は、比較例の光ファイバの長手方向でのブリユアンスペクトル強度分布を示す図である。図10は、実施例1の光ファイバの長手方向でのブリユアンスペクトル強度分布を示す図である。図9、10において、位置はパルス光の入力側を0とした位置である。また、光強度の単位は光電気変換した電気信号を測定しているため電圧V(ボルト)である。また、周波数は、ブリユアンシフト量を示すものである。図9、10の比較から解るように、図10の実施例1の光ファイバを用いた場合の方がピークの光強度が高く、かつスペクトル分布のばらつきが少なかった。
【0075】
つぎに、図9、10のデータから、光ファイバの長手方向におけるブリユアンスペクトルのピーク周波数の分布を求めた。図11は、比較例における光ファイバの長手方向でのブリユアンスペクトルピーク周波数分布を示す図である。図12は、実施例1における光ファイバの長手方向でのブリユアンスペクトルピーク周波数分布を示す図である。図11に示すように、比較例の光ファイバを用いた図9の場合は、全長でのブリユアンスペクトルのピーク周波数に関して、平均値は10.85GHzであり、ばらつきについては分散(σ)が0.0178であった。
【0076】
これに対して、図12に示すように、実施例1の光ファイバを用いた図10の場合は、全長でのブリユアンスペクトルのピーク周波数に関して、平均値は9.266GHzであった。また、ばらつきについては分散(σ)が0.00096であり、比較例の場合よりもきわめて小さかった。また、実施例1の光ファイバの全長のブリユアンスペクトルのピーク周波数を、非特許文献5に開示された別の方法によって測定したところ、9.270GHzであり、上記のBOTDR装置を用いた測定値と略一致していた。
【0077】
ブリユアン散乱光を用いた光ファイバセンサでは、測定対象物の温度や歪を測定する場合には、ブリユアンスペクトルのピーク周波数の変化から温度や歪みの変化を算出し、これをもとに温度や歪みを測定する。したがって、ブリユアンスペクトルのピーク周波数のばらつきが小さい実施例1の光ファイバを用いた光ファイバセンサは、比較例1の光ファイバを用いた場合よりも測定精度が高い。
【0078】
つぎに、比較例1の光ファイバを用いた光ファイバセンサにおいて、平均化時間幅を300秒とした。図13は、平均化時間幅を300秒とした場合の、比較例における光ファイバの長手方向でのブリユアンスペクトルのピーク周波数分布を示す図である。この場合、全長でのブリユアンスペクトルのピーク周波数に関して、平均値は10.85GHzであった。また、ばらつきについては分散(σ)が0.00106であり、実施例1の光ファイバを用いた場合と同程度の分散(σ)となった。しかし、この場合は、実施例1の光ファイバを用いた場合よりも測定時間は10倍必要となる。すなわち、同程度の測定精度を実現しようとする場合、実施例1の場合は、比較例1の場合よりも、測定時間が約1/10に短縮されることになる。
【0079】
以上説明したように、本実施の形態1に係る光ファイバセンサ100は、測定精度が向上したものとなる。
【0080】
(実施の形態2)
図14は、実施の形態2に係る光ファイバセンサの構成図である。図14に示すように、この光ファイバセンサ200は、実施の形態1に係る光ファイバセンサ100と同じBOTDR装置10と光ファイバ20とを備えている。ただし、この光ファイバセンサ200では、光ファイバ20の一部はシート30上に渦巻き状に巻かれた状態で布線されている(以下、シート30に光ファイバ20が布線されたものをファイバシートとする)。ここで、シート30としては、たとえば可とう性を有する樹脂等のシートや、金属、プラスチック等の可とう性を有さないシートを用いることができる。また、光ファイバ20としては、たとえば実施例1〜3の光ファイバを、内径D1を6.0cm、外径D2を14cmとして長さ50mだけ渦巻き状に巻いたものを使用することができる。
【0081】
光ファイバセンサ200は、たとえばファイバシートを測定対象物に付着等によって取り付け、その測定対象物の温度変化を測定する際に使用することができる。また、ファイバシートを構成することによって、より長い光ファイバ20を特定の測定対象箇所に集中的に配置することができる。これによって、測定対象箇所の温度を、より長い光ファイバで測定することができるので、測定感度および測定精度がより向上する。この場合、よりコンパクトにより長い光ファイバ20をシート30上に布線することが、測定感度および測定精度の向上に有効である。
【0082】
(実施の形態3)
図15は、実施の形態3に係る光ファイバセンサの構成図である。図15に示すように、この光ファイバセンサ300は、光ファイバセンサ200において、光ファイバ20の一部をシート30上に布線した複数の光ファイバシートを直列に接続したものである。この光ファイバセンサ300は、複数の測定対象箇所に対して各光ファイバシートを取り付けて使用することができる。これによって、各測定対象箇所の温度変化を、より高い測定感度および測定精度で測定することができる。
【0083】
(実施の形態4)
図16は、実施の形態4に係る光ファイバセンサの構成図である。図16に示すように、この光ファイバセンサ400は、実施の形態1に係る光ファイバセンサ100において、光ファイバ20が1箇所以上の曲げ部20a、20b、20c、20dを有する。最も曲率半径が小さい曲げ部20bでは、曲げ半径Rが10mmである。
【0084】
ここで、比較例の光ファイバのようなSMFをセンサ用光ファイバとして用いた場合、曲げ部における曲げ損失によってブリユアン散乱光の強度が低下するので、BOTDR装置10における受光感度が低下する。これに対して、光ファイバセンサ400では、光ファイバ20として、図4の実施例1〜3のような、曲げ半径が10mmの場合の曲げ損失が0.1dB/ターンより小さい光ファイバを用いている。その結果、曲げ部20bのように曲げ半径が10mmの部分があったとしても受光感度の低下が抑制されるので、向上した測定精度が維持される。なお、光ファイバ20として使用する光ファイバの曲げ半径が10mmの場合の曲げ損失については、0.1dB/ターン以下であれば好ましい。
【0085】
なお、このように光ファイバ20に曲げ半径が10mmの曲げ部を形成することができる場合、たとえば形状が複雑な測定対象物であっても、それに沿った形状に光ファイバ20を布設して光ファイバセンシングを行うことができるので好ましい。また、光ファイバ20を測定対象物の内部空間に配置する場合に、その内部空間が狭い場合にも、それに沿った形状に光ファイバ20を布設することができるので好ましい。
【0086】
(実施の形態5)
図17は、実施の形態5に係る光ファイバセンサの構成図である。図17に示すように、この光ファイバセンサ500は、BOTDR装置10と、3本の光ファイバ20とを備えている。BOTDR装置10と、光ファイバ20との間、および光ファイバ20同士は光ファイバ40を介して接続している。また、光ファイバ20と光ファイバ40とは光コネクタ50によって接続している。光ファイバ40としては、たとえば伝送損失が小さいSMFを用いることができる。
【0087】
光ファイバセンサ500は、たとえば測定対象物が3つあり、各測定対象物間の距離が離れている場合に好適に使用することができる。すなわち、光ファイバセンサ500を使用する際に、センサ用の光ファイバ20は測定対象物に設置する。一方、光ファイバセンシングを行わなくてよい各測定対象物間では、比較的に伝送損失が低い光ファイバ40で光ファイバ20同士を接続する。これによって、光ファイバ40中では伝送損失が小さいために受光感度の低下が抑制されるので、測定精度の低下が抑制される。なお、使用する光ファイバ20の数は、3本に限らず、測定対象物の数に応じて適宜2以上の値とすることができる。
【0088】
(実施の形態6)
図18は、実施の形態6に係る光ファイバセンサの構成図である。図18に示すように、この光ファイバセンサ600は、BOTDA装置60と、BOTDA装置60に接続したセンサ用の光ファイバ20とを備えている。BOTDA装置60は、図1に示すBOTDR装置10と同様に構成された光源11、光サーキュレータ12、受光器13、信号発生器14、合波器15、電気増幅器16、および時間波形測定器17とを備えている。
【0089】
さらに、BOTDA装置60は、光ファイバ20の光サーキュレータ12と接続された側とは反対側の端部に接続したプローブ連続光源68を備えている。プローブ連続光源68はプローブ光を出力するものである。このプローブ光は、光ファイバ20で発生するブリユアン散乱光と同じ波長を有し、かつ連続光である。
【0090】
このようなBOTDA装置60を用いた光ファイバセンサ600においても、光ファイバ20が、以下の式(1a)、より好ましくは(1b)を満たすように長さzが設定されているので、光ファイバセンサ100と同様に、温度等の測定精度を向上させることができる。
【0091】
なお、上記実施の形態において、BOTDR装置10およびBOTDA装置60の光源11と光ファイバ20との間に、光源11から出力されるポンプ光を増幅するための光増幅器を設けてもよい。また、ラマン増幅用の励起光を発生する励起光源を光ファイバセンサのいずれかの箇所に設けてもよい。そして、光ファイバ20自体をラマン増幅用光ファイバとし、ブリユアン散乱光をラマン増幅するように構成してもよい。これらの光増幅器やラマン増幅用励起光源を設けることによって、ブリユアン散乱光の受光強度を高めることができるので、さらに測定精度を向上させることができる。
【0092】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上記各実施形態の各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。たとえば、実施の形態5における光ファイバ20を実施の形態2のようにファイバシート状にしてもよい。その他、上記実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
10 BOTDR装置
11 光源
12 光サーキュレータ
13 受光器
14 信号発生器
15 合波器
16 電気増幅器
17 時間波形測定器
20、40 光ファイバ
20a、20b、20c、20d 曲げ部
30 シート
50 光コネクタ
60 BOTDA装置
68 プローブ連続光源
100〜600 光ファイバセンサ
B1 ブリユアン散乱光
D1 内径
D2 外径
R 半径
S1 ポンプ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス状のポンプ光を出力する光源と、
前記ポンプ光が入力され、該ポンプ光によってブリユアン散乱光を発生するセンサ用光ファイバと、
前記センサ用光ファイバから出力された前記ブリユアン散乱光を受光する受光器と、
を備え、入力される前記ポンプ光のパルスの長さの1/2をΔz(m)、ピーク光強度をI(mW)とすると、前記センサ用光ファイバは、長さをz(m)、伝送損失をa(dB/km)、ブリユアン利得係数gと有効コア断面積Aeffとの比をg/Aeff(m−1−1)とした場合に、以下の式を満たすように長さzが設定されていることを特徴とする光ファイバセンサ。
【数1】

【請求項2】
前記センサ用光ファイバは、以下の式を満たすように長さzが設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
【数2】

【請求項3】
前記センサ用光ファイバは、前記ポンプ光の波長における有効コア断面積Aeffが15μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバセンサ。
【請求項4】
前記センサ用光ファイバは、前記ポンプ光の波長における比g/Aeffが0.6m−1−1以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光ファイバセンサ。
【請求項5】
前記センサ用光ファイバは、10mmの曲げ半径で一周回曲げた状態での前記ポンプ光の波長における曲げ損失が0.1dB以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光ファイバセンサ。
【請求項6】
前記ポンプ光の波長は1550nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光ファイバセンサ。
【請求項7】
複数の前記センサ用光ファイバと、前記複数のセンサ用光ファイバの間に介挿された、前記複数のセンサ用光ファイバよりも伝送損失が小さい接続用光ファイバとを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の光ファイバセンサ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の光ファイバセンサによって測定対象の温度または歪みを測定することを特徴とする光ファイバセンシング方法。
【請求項9】
前記センサ用光ファイバの少なくとも一箇所を10mm以上の曲げ半径で曲げた状態で前記測定対象に設置することを特徴とする請求項8に記載の光ファイバセンシング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−44614(P2013−44614A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181975(P2011−181975)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】