説明

光制御素子、発光素子、光回路装置

【課題】 光制御素子や発光素子において光子の横方向への導出入を可能とすること。
【解決手段】 発光素子、光制御素子は、所定の光波長の光共振域を備える微小な光共振器(誘電体領域4)と結合光導波路10とを一体に備えた構成とし、光共振器に対して結合光導波路を介して所定波長の光子を導入及び/又は導出する。下部電極5を含む基板2上に多層反射層3と誘電体領域4と上部電極6を順に層状に備え、誘電体領域4の少なくとも一つの側部に結合光導波路10を横方向に一体に備え、誘電体領域4は所定の光波長の光共振域を備える光共振器を形成する光共振器と結合光導波路とを一体形成することによって、光共振器からの光子の横方向への導出、及び光共振器への光子の横方向からの導入を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子化された光子を制御する光制御素子、量子化された光子を発光する発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
量子情報処理や量子暗号通信等においては単一光子の発光、制御が必要である。通常知られている光源を用いて単一光子を発生させるには、光源の出力を減衰させることが考えられる。しかしながら、通常の光源から発生される光の粒子数分布はポアソン分布に従うため、一つのパルス内に複数の光子が含まれる可能性がある。そのため、単一光子を制御することができる光学素子が求められている。
【0003】
通常光場は連続的なモード密度を持つが、共振器構造によって光モードを離散化させることができる。従来、種々の光共振器が提案されている。例えば、内壁の全反射を繰り返すWhispering-Gallery(WG)モードにより高いQ値を持つ光共振モードを得る構成として、微粒子(Micro particle)やマイクロディスク(Micro disc)による光共振器が提案されている。上記構成の光共振器は、全反射を用いているため、外部への光の取り出しの点で問題がある。
【0004】
また、上下の分布反射ミラー(DBR)で構成した微小光共振器(Micro cavity)構造として柱状構造(Pillar)のものが知られており、ドライエッチング等によって細い柱状構造に加工し、上下のDBRと横方向の空気との屈折率差によって、光場を3次元的に閉じこめている。図14(a)は柱状構造の一例であり、Cd0.88Zn0.12Teの基板100上に活性層102を挟んでCd0.40Zn0.60TeZnとCd0.75Zn0.25Teの積層101,103を柱状に重ねて生成する。(非特許文献1,2参照)。
【0005】
柱状構造の共振器では、横方向の量子化をするために柱のサイズを小さくしていくと、構造の安定性の点や、ドライエッチングによる非発光再結合の増加の点で懸念がある。このような表面損傷を抑える観点から表面が結晶面によって自然形成される半導体の選択成長技術を用いてピラミッド構造を形成し、このピラミッド構造により光場を3次元的に閉じこめる光共振器も提案されている。図14(b)はピラミッド構造の一例であり、ピラミッド形状の共振器104はGaAs基板上に正方形マスクによりZnSを選択成長させることによって、ZnSの側面はGaAs基板の(001)表面から37°の角度に向いた等価な4つの{034}結晶面となる。(非特許文献2参照)。
【0006】
また、長波長系のInAs量子ドットを含む周期的多層膜構造において、エッチング技術を用いてポスト型に形成した共振器が提案されている(非特許文献3参照)。この構成では、GaAs中の一つのInAs量子ドットをλ/4の厚さのGaAsとAlAsを交互に並べたDBRで、ドット層の上部に12組、下部に30組を配置した共振器構造として、三次元的に光子を閉じ込め、基板に垂直な方向に放射光が得られるように設計されている(非特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2003−143046号公報
【非特許文献1】“Optical confinement in CdTe-based photonic dots” APPLIED PHYSICS LETTERS VOLUM80, NUMBER 8 (25 FEBRUARY 2002)
【非特許文献2】“Size Dependence of Confined Optical Modes in Photonic Quantum Dots” PHYSICAL REVIRW LETTERS VOLUM78, NUMBER 2 (13 JANUARY 1997)
【非特許文献3】“ワイドギャップ半導体量子ドットの自己形成とフォトニック・ドットの選択成長”電子科学研究Vol.7,1999、p1〜p6
【非特許文献3】C.Santori,M/Pelton,G.Solomon,Y.Dale.andY.Yamamoto:Phys.Rev.Lett.,Vol.86,p.1502(2001)
【非特許文献4】「ナノエレクトロニクス」ナノテクノロジー基礎シリーズ p148,149 榊裕之、横山直樹 オーム社 2004.3.25
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
量子情報処理を固体素子で行うには、面内に複数の演算素子を配置し、これら演算子の間で光子の導出入を行う必要がある。このためには、同一基板面上において光子の授受を行うことができる光制御素子や発光素子が求められる。
【0009】
これに対して、従来の発光素子では、(a)光の取り出し方向が垂直であるため、導波路を形成することができないという問題があり、同一基板面上において光子の授受を行うことができる光制御素子や発光素子を構成することができない。また、電極を取り付けることができないとため、励起は光励起となる。
【0010】
上記の問題の他、従来の発光素子では、(b)共振器を多層膜ミラーにより形成しているため、量子化には膜厚や膜間隔を高い精度で制御する必要があり、高い成膜技術と手間が必要であるという問題がある。また、発光する光の波長は多層膜ミラーの膜間隔に依存するため、有効な波長が限定的となるという問題がある。
【0011】
また、従来の発光素子では、(c)活性層の品質がエッチングにより劣化するという問題がある。
【0012】
また、従来の発光素子では、(d)共振器の共振モードが固定であるため、光特性を可変とすることができないという問題がある。
【0013】
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、光制御素子や発光素子において光子の横方向への導出入を可能とし、これによって同一基板面上における光子の授受を可能とすることを目的とする。また、本発明の他の目的は、電気による励起を可能とすることにある。
【0014】
また、簡易な成膜技術で生成することができ、エッチングにより活性層の劣化を防止することを目的とする。
【0015】
また、制御あるいは発光する光子の特性を可変とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、光制御素子、発光素子、及び光回路装置の各態様とすることができる。
【0017】
本発明の光制御素子の態様は、所定の光波長の光共振域を備える光共振器と結合光導波路とを一体に備えた構成とし、光共振器に対して結合光導波路を介して所定波長の光子を導入及び/又は導出する。光共振器と結合光導波路とを一体形成することによって、光共振器からの光子の横方向への導出、及び光共振器への光子の横方向からの導入を行うことができる。
【0018】
本発明の光制御素子は、下部電極を含む基板上に多層反射層と誘電体領域と上部電極を順に層状に備え、誘電体領域の少なくとも一つの側部に結合光導波路を横方向に一体に備え、誘電体領域は所定の光波長の光共振域を備える光共振器を形成する。
【0019】
この構成において、光共振器は、光波長によって光共振域内に存在しえる光を量子化し、所定の光波長のみの光のみが光共振器内に存在することができる。所定波長の光のみが光共振器内に存在することができ、光共振器内に存在する光は光共振器に一体形成された結合光導波路を介して横方向に導出することができ、結合光導波路を介して光共振器内に導入することができる。
【0020】
誘電体領域の面内及び上下の3次元方向におけるサイズは、それぞれ光波長程度、例えば光波長の数倍から数分の一である。
【0021】
基板の下面を除く外面を金属反射膜で被覆することで、光共振器内に光を効率的に閉じ込めることができる。光共振器の下部での光の閉じ込めは、基板の下面側に設けた多層反射層によって行うことができる。
【0022】
また、光共振器の外周に金属反射膜を設け、他方、結合光導波路の外周には金属反射膜を設けない構成とすることができ、これによって、光共振器と結合光導波路との境界において光の反射が生じ、光共振器内への光の閉じ込めをより効率的なものとすることができる。
【0023】
光制御素子を構成する誘電体領域はフォトニックドットを構成する。また、光制御素子を構成する光共振器は、光共振域における共振モードを可変とし、これにより光子の生成、及び/又は光子の特性を制御する。光共振域は多層反射層及び誘電体領域を含む構成とすることができ、この多層反射層の屈折率を変化させることで光共振域の共振モードを可変とすることができ、この共振モードを変えることで光子の生成、及び/又は光子の特性を制御することができる。例えば、光共振器から取り出される光の波長、あるいは光共振器から取り出す光の取り出し方向等の光子特性を制御することができる。
【0024】
多層反射層の屈折率変化は、多層反射層への電流供給、多層反射層への光照射、多層反射層の温度、及び多層反射層と誘電体領域との距離の少なくとも一要素を変化することで行うことができる。
【0025】
また、これらの屈折率変化させる要素から選択した一要素により基準屈折率を設定し、他に選択した一要素により基準屈折率に対して屈折率を変化させてもよい。
【0026】
次に、本発明の発光素子の態様は、発光部の側部に結合光導波路を一体に備える構成であり、所定の光波長の光共振域を有する光共振器と発光域とを備える発光部と、結合光導波路とを備え、発光部の側部に結合光導波路を一体形成した構成とし、結合光導波路を介して所定波長の光子を発光部に対して導入及び/又は導出する。光共振器と結合光導波路とを一体形成することによって、光共振器からの光子の横方向への導出、及び光共振器への光子の横方向からの導入を行うことができる。
【0027】
本発明の発光素子は、下部電極を含む基板上に多層反射層と誘電体領域と上部電極を順に層状に備え、誘電体領域の全体あるいはその一部に活性域を備え、誘電体領域の少なくとも一つの側部に結合光導波路を横方向に一体に備えた構成とする。
【0028】
活性域は上下電極を介して注入される電流により励起して発光する。誘電体領域は光共振器を形成して活性域で発光した光子の生成を制御する。光共振器は、光波長によって光共振域内に存在しえる光を量子化し、所定の光波長のみの光のみが光共振器内に存在することができる。所定波長の光のみが光共振器内に存在することができ、光共振器内に存在する光は光共振器に一体形成された結合光導波路を介して横方向に導出することができる。また、結合光導波路を介して光共振器内に導入することもできる。
【0029】
誘電体領域の面内及び上下の3次元方向におけるサイズは、それぞれ光波長程度、例えば光波長の数倍から数分の一である。
【0030】
基板の下面を除く外面を金属反射膜で被覆することで、光共振器内に光を効率的に閉じ込めることができる。光共振器の下部での光の閉じ込めは、基板の下面側に設けた多層反射層によって行うことができる。
【0031】
また、光共振器の外周に金属反射膜を設け、他方、結合光導波路の外周には金属反射膜を設けない構成とすることができ、これによって、光共振器と結合光導波路との境界において光の反射が生じ、光共振器内への光の閉じ込めを、より効率的なものとすることができる。
【0032】
活性域は所定波長域のエネルギー準位を有する量子ドットで構成し、誘電体領域は量子ドットが生成する光子の波長域を含む誘電体バンドを有するフォトニックドットで構成することができる。
【0033】
発光素子を構成する光共振器は、光共振域における共振モードを可変とし、これにより光子の生成、及び/又は光子の特性を制御する。光共振域は多層反射層及び誘電体領域を含む構成とすることができ、この多層反射層の屈折率を変化させることで光共振域の共振モードを可変とすることができ、この共振モードを変えることで光子の生成、及び/又は光子の特性を制御することができる。例えば、光共振器から取り出される光の波長、あるいは光共振器から取り出す光の取り出し方向等の光子特性を制御することができる。
【0034】
多層反射層の屈折率変化は、多層反射層への電流供給、多層反射層への光照射、多層反射層の温度、及び多層反射層と誘電体領域との距離の少なくとも一要素を変化することで行うことができる。
【0035】
また、これらの屈折率変化させる要素から選択した一要素により基準屈折率を設定し、他に選択した一要素により基準屈折率に対して屈折率を変化させてもよい。
【0036】
本発明の光学回路装置の態様は、本発明の光制御素子や発光素子を組み合わせる構成であり、これらの光制御素子や発光素子を結合光導波路を介して光学的に接続し、素子間において結合光導波路を介して光子を送る。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように、本発明によれば、光制御素子や発光素子において光子の横方向への導出入を可能とし、これによって同一基板面上における光子の授受を可能とすることができる。
【0038】
また、本発明の発光素子によれば、上下電極により量子ドットに電流を注入することにより、発光の励起を電気的に行うことができる。
【0039】
また、本発明の発光素子によれば、基板上に設ける多層膜反射層、フォトニクスドットは、半導体成膜技術を適用して容易に生成することができる。この成膜処理では、特に発光部位となる活性域が誘電体の内部に存在する場合には、エッチングにより活性域の劣化を防止することができる。
【0040】
また、本発明によれば、制御あるいは発光する光子の特性を可変とすることによって、光子の波長や取り出し方向を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。本発明の発光素子と光制御素子とは発光部位を除けば共通する構成を有しているため、以下では主に発光素子の構成について説明する。
【0042】
図1は本発明の発光素子の概略構成を説明するための図である。なお、図1(a)は概略斜視図であり、図1(b)は上方から見た図であり、図1(c)は断面図である。
【0043】
図1において、発光素子1は、基板2上に多層反射層3を生成し、当該多層反射層3上に誘電体領域4と結合光導波路10を一体で生成してなり、誘電体領域4中に発光部位7を備え、基板2の下面に下部電極5を備え、誘電体領域4の上面に上部電極6を備える。
【0044】
基板2はInPやGaAsの半導体基板を用いることができ、この基板2上に生成する多層反射層3は半導体多層膜を用いることができる。半導体多層膜は、面発光レーザー(VCSEL)で用いる多層膜を転用することができる。GaAsベースの面発光レーザー(VCSEL)は、例えば、GaInP/AlInP,AlAs/GaAs,又はAlGaAs/AlAs材料系を使用しており、この材料系では層内のアルミニウム材の含量を変えることによって対になっている各層が異なる屈折率を持つようにし、高い反射率を得るために、層の反射率に依存してスタック当たりのミラー数を30から55のレンジとすることができる(特開平10−200202)。
【0045】
多層反射層3を形成する半導体多層膜の混晶半導体組成は、基板2と格子整合する条件により決定することができる。例えば、GaAs基板であれば、AlAs/Al(0.6)Ga(0.4)As層を50周期重ねた構成とすることができる。
【0046】
誘電体領域4は上記半導体多層膜と同様の光半導体素子の製造工程により生成することができ、例えばGaAsによって構成する。本発明において、フォトニックドットは光共振器を構成する。本発明の発光素子は、この光共振器によって活性域による発光について光共振器の共振モードに対応する所定波長の光のみを光として発生させ、光共振器の共振モードに対応しないものについては光として発生させないことにより、光の発光制御を行う。また、本発明の光制御素子は、この光共振器によって光共振器の共振モードに対応する光のみを通過させ、光共振器の共振モードに対応しない光は通過させないことにより、光の通過制御を行う。
【0047】
図中3Aは多層反射層の主表面であり、光共振器と光導波路とはこの主表面3A上に一体的に結合されて延在して配置される。
【0048】
図1(c)において、光共振器は、フォトニックドットを形成する誘電体領域4と多層反射層3とで囲まれるキャビティを備えている。このキャビティの上下方向は、誘電体領域4の上端と多層反射層3で定まり、キャビティに横方向は誘電体領域4の側面で定まり、共振モード30を定めている。光共振器内では共振モードに一致する光子のみが存在することができ、活性域で発生した光子の内は共振モードが一致する光子のみが結合光導波路10を介して取り出される。
【0049】
本発明の発光素子及び光制御素子は、誘電体領域4と結合光導波路10とを一体で生成することを一つの特徴とし、結合光導波路10は誘電体領域4と共に光半導体素子の製造工程により一体生成することができる。結合光導波路10は、形状的には結合部11において誘電体領域4の側面に結合した形状によって一体生成される。
【0050】
フォトニックドットを形成する誘電体領域4及び結合光導波路10の製造は、例えば以下の工程により行うことができる。
【0051】
基板2上に多層反射層3をエピタキシャル成長によって形成した上に、MBE(分子線エピキタシー)やMOVPE(有機金属気相成長法)によって誘電体領域4を成膜する。この成膜上にレジストをコーティングして、電子線リソグラフィによりフォトニックドット及び結合光導波路10の平面形状をパターンイングして現像し、レジストで覆った以外の部分をドライエッチングして除去する。ドライエッチングは、例えば、RIE(reactive ion etching)やICP(induced combined plasma)を用いることができる。
【0052】
ドライエッチングにより、フォトニックドット及び結合光導波路10の形状を形成した後、レジストを除去する。この後、表面に金属膜を蒸着し、金属反射膜を生成する。金属反射膜は、フォトニックドット内での反射率を高めるためであり、この構成については後述する。
【0053】
また、活性域7は光子を発生する発光部位であり、結晶成長させる際において、基板と薄膜との格子定数の相違により生じるひずみの力を利用するSKモードと呼ばれる結晶成長モードによる自己形成によって誘電体領域4中に量子ドットを形成することで生成することができる。なお、活性域(量子ドット)7は共振モードのほぼ中央に位置するように設けることが望ましい。
【0054】
したがって、本発明の発光素子は、活性域7の量子ドットで発生した光子を誘電体領域4のフォトニックドットの光共振器で制御して発光を行い、また、本発明の光制御素子は、誘電体領域4のフォトニックドットの光共振器により光の通過制御を行う。なお、発光素子においても、発光を行わない場合には光の通過を制御する光制御素子として動作させることもできる
【0055】
本発明は、フォトニックドットを構成する誘電体領域4の側面に結合光導波路10を一体生成する形態とすることによって、量子ドットで発生した光子を横方向に取り出すことができる。
【0056】
また、光子の横方向への移動を可能とし、フォトニックドットに対して横方向から光子の導入及び導出が可能な構成とすることで、上下方向に電極(下部電極5,上部電極6)を設けることができ、活性域7に対する電流注入による光子の励起を行うことができる。
【0057】
誘電体領域4と結合光導波路10との結合は種々の態様とすることができる。図2,3は誘電体領域と結合光導波路との結合態様を説明するための図である。
【0058】
誘電体領域4と結合光導波路10とは結合部11において結合している。結合光導波路10の幅は光子が光導波路10を伝搬する伝搬モードにより定まり、誘電体領域4の寸法に対して大となる場合の他、誘電体領域4の寸法によりも小となる場合もある。図2は結合光導波路10の幅が誘電体領域4の寸法によりも大となる構成例を示し、図3は結合光導波路10の幅が誘電体領域4の寸法によりも小となる構成例を示している。
【0059】
いずれの構成においても、誘電体領域4内の光子を結合光導波路10を通して横方向に導出する他、光子を結合光導波路10を通して誘電体領域4内に横方向の導入することができる。
【0060】
なお、図2,3において、結合光導波路10a、10bでは、誘電体領域4と結合光導波路10との間の光子の導出入を妨げない形状に形成する。この構成例においても、光共振器と光導波路とは多層反射層の主表面3A上に一体的に結合されて延在して配置される。
【0061】
本発明の発光素子及び光制御素子は、光共振器内において光を効率的に閉じ込める構成として、外周面に金属反射膜を設ける構成とすることができる。以下、この金属反射膜を設ける構成について、図4、図5を用いて説明する。
【0062】
図4において、発光素子1の上面部分に金属反射膜20を設け、光共振器8(発光部9)内での反射効率を高めることによって光を効率的に閉じ込める。図4では、前記図1に示す構成の発光素子1の上面に金属を蒸着した状態を示しており、結合光導波路10の外周面にも金属を成膜した状態を示している。
【0063】
また、図5は前記図1に示す構成の発光素子1の上面に金属を蒸着した状態を示し、結合光導波路10の外周面には金属を成膜しない構成を示している。図5に示す構成では、発光素子1の内で結合光導波路10を除く部分に金属反射膜20を設ける。この結合光導波路10に金属反射膜20を設けない構成とすることで、光共振器8(発光部9)内での反射効率を高めると共に、光共振器8と結合光導波路10と境界において反射率を異ならせることで、光共振器8(発光部9)と結合光導波路10の境界面で光を反射させて、フォトニックドット内に光のより効率的な閉じ込めを行う。
【0064】
なお、金属反射膜20は、例えばAu,Pt,Ti等の金属を蒸着等の成膜処理で設けることができる。なお、Au,Pt,Tiの各金属の反射率は、例えば1.5ミクロンではそれぞれ98.2%,75%,65%である。
【0065】
本発明の発光素子及び光制御素子において、光共振器(キャビティ部分)のサイズを可変とすることによって光共振器の共振モードの変更し、これによって、発光制御や、光子の特性制御を行うことができる。
【0066】
図6(a),(b)を用いて、光共振器の共振モードの変更による発光制御及び光子の特性制御について説明する。
【0067】
はじめに、発光制御について図6(a)を用いて説明する。図6(a)は、光共振器の共振モードの変更による発光制御を説明するための図であり、横軸にエネルギーの大きさを示し縦軸に状態密度を示している。
【0068】
図6(a)において、量子ドットの活性域で発生する光子の状態をAにより、また、光共振器の共振モードの状態をBによりそれぞれ模式的に示している。
【0069】
このとき、光共振器内での共振モードがB2の場合には、光子と共振モードとのエネルギー分布が一致していないため、この光共振器内において光子は存在することができず、光子を結合光導波路10から取り出すことができない。このエネルギー分布のずれは、光子の波長と光共振器(キャビティ部分)のサイズとの不一致として表すことができる。
【0070】
一方、光共振器内での共振モードがB1の場合には、光子と共振モードとのエネルギー分布が一致しているため、この光共振器内において光子は存在することができ、結合光導波路から光子を取り出すことができる。このエネルギー分布の一致は、光子の波長と光共振器(キャビティ部分)のサイズとの一致として表すことができる。
【0071】
次に、光子の特性制御について図6(b)を用いて説明する。ここで、光共振器の共振モードの変更により制御することができる光子の特性として、波長、及び光共振器から取り出す方向とすることができる。
【0072】
図6(b)は、光共振器の共振モードの変更による光子の波長特性の制御を説明するための図であり、横軸に波長を示し縦軸に光強度を示している。
【0073】
図6(b)において、量子ドットの活性域で発生する光子の波長、あるいは光共振器内に導入される光子の波長をCにより、また、結合光導波路とよく光結合している光共振器の共振モードの状態をDによりそれぞれ模式的に示している。
【0074】
このとき、光共振器内での共振モードがD1の場合には、波長C1の光子と共振モードD1との一致によって、波長C1の光子を結合光導波路10から取り出すことができが、波長C2の光子は共振モードD1と不一致であるため、波長C2の光子を結合光導波路10から取り出すことはできない。
【0075】
一方、光共振器内での共振モードがD2の場合には、波長C2の光子と共振モードD1との一致によって、波長C2の光子を結合光導波路10から取り出すことができるが、波長C1の光子は共振モードD2と不一致であるため、波長C1の光子を結合光導波路10から取り出すことはできない。上記のように、光共振器の共振モードの状態によって、取り出す光子の波長を制御することができる。また、光共振器内への光子の導入においても同様とすることができる。
【0076】
上記では、光子の特性として波長について示したが、光共振器と光結合する結合光導波路の方向としてフォトニックドットから取り出される光子の方向を変更することができる。
【0077】
以下、図7〜図13を用いて光共振器(キャビティ部分)のサイズを可変とする構成、及びこれにより発光制御、光子の特性制御について説明する。なお、図7〜図11は発光素子において発光と光子の特性を制御するであり、図12,13は光制御素子において光子の特性を制御する例である。
【0078】
以下、光共振器(キャビティ部分)のサイズを可変とする機構として、多層反射層における屈折率を可変とすることによる機構、物理的に光共振器のキャビティ長を可変とすることによる機構、及び温度変化により可変とすることによる機構の例について説明する。
【0079】
はじめに、多層反射層における屈折率の変化による可変機構について、2つの例について図7〜図9を用いて説明する。
【0080】
図7,8は多層反射層における屈折率を可変とする機構によって、光共振器(キャビティ部分)のサイズ可変機構を構成する第1の例である。
【0081】
このサイズ可変機構は電流注入によるものであり、多層反射層3部分に電流を注入することによって多層反射層3にキャリアプラズマを発生させ、これによって多層反射層3での屈折率を変え、光共振器における共振モードを変更する。
【0082】
図7(a)において、多層反射層3部分に電流を注入する構成として、誘電体領域4のフォトニックドットを挟む位置において、多層反射層3に制御電極21a,21bを設ける。図7(a)に示す構成では、上部表面に設けた金属反射膜20との絶縁をとるために、制御電極21a,21bと金属反射膜20との間に絶縁部22を設けている。
【0083】
制御電極21a,21bに電流を流すことによって、フォトニックドットの下方に位置する多層反射層3部分に電流が注入される。多層反射層3では、この電流注入によるキャリアプラズマ効果によって屈折率が変化する。多層反射層3での屈折率変化は、フォトニックドットが形成する光共振器のサイズを変化させ、共振モードを変化させる。
【0084】
図7(b),(c)は、電流注入によって光を取り出す場合について示している。図7(b)の状態は、活性域7で発光した光子の波長と光共振器の共振モード30aとが不一致であるため、光子を結合光導波路10から取り出せない状態を示している。
【0085】
制御電流21a,21bから多層反射層3に電流を注入して屈折率を変化させると、光共振器の共振モードが変化する。この共振モードの変化によって、活性域7で発光した光子の波長と共振モード30bが一致すると、光子は光共振器内での存在が可能となり、結合光導波路10からの取り出しが可能となる(図7(c))。また、波長λ1,λ2を選択して取り出すこともできる。図7(d,e))
【0086】
なお、制御電極21は、図7に示す構成の他、図8に示す構成としてもよい。図8に示す構成は、誘電体領域4のフォトニックドットを挟む位置において、金属反射膜20の一部に絶縁部23で囲んだ制御電極21c,21dを設ける構成である。その他の構成は、前記した図7と同様に構成とすることができる。
【0087】
この電流注入による屈折率変化による可変機構は、成膜工程と同時に組み込むことができるため製造が容易であり、また電流注入によるため制御が容易であるという利点がある。
【0088】
次に、図9は多層反射層における屈折率を可変とする機構によって、光共振器(キャビティ部分)のサイズ可変機構を構成する第2の例である。
【0089】
このサイズ可変機構は光励起によるものであり、多層反射層3部分に制御光を照射することによって多層反射層3に電子正孔対を発生させ、これによって多層反射層3での屈折率を変え、光共振器における共振モードを変更する。
【0090】
図9(a)において、多層反射層3部分に励起光を照射する構成として、基板2の下方から制御光40を導入する構成とする。制御光40の導入は、例えば、基板2の下方部分に光導波路を配設することで行うことができる。
【0091】
制御光40の導入によって、フォトニックドットの下方に位置する多層反射層3部分に励起光が照射される。多層反射層3では、この励起光照射による電子正孔対によって屈折率が変化する。多層反射層3での屈折率変化は、フォトニックドットが形成する光共振器のサイズを変化させ、共振モードを変化させる。
【0092】
図9(b),(c)は、光励起によって光を取り出す場合について示している。図9(b)の状態は、活性域7で発光した光子の波長と光共振器の共振モード30cとが不一致であるため、光子を結合光導波路10から取り出せない状態を示している。
【0093】
光励起によって多層反射層3の屈折率を変化させると、光共振器の共振モードが変化する。この共振モードの変化によって、活性域7で発光した光子の波長と共振モード30dが一致すると、光子は光共振器内での存在が可能となり、結合光導波路10からの取り出しが可能となる(図9(c))。
【0094】
この光励起による屈折率変化による可変機構は、高速な切り替えを行うことができるという利点がある。
【0095】
次に、光共振器における温度変化による可変機構について、図10を用いて説明する。図10は誘電体領域における温度変化によって、光共振器(キャビティ部分)のサイズ可変機構を構成する例である。
【0096】
このサイズ可変機構は、発光部のバンドギャップエネルギーの温度依存性によるものであり、フォトニックドットを構成する活性域7の温度を変え、これによって活性域7での共振モードのエネルギーの温度依存性に基づいて、光共振器における共振モードを変更する。
【0097】
図10(a)において、活性域7の温度を変更する構成として、基板2の下方に温度制御装置12を設ける構成とする。温度制御装置12は、例えばペルチェ素子を用いることができ、電流制御によって活性域7の温度を制御することができる。なお、温度制御装置12は、ペルチェ素子に限らず他の装置を用いることができる。
【0098】
温度制御装置12によって、誘電体領域4の温度が変化する。フォトニックドットが形成する光共振器のエネルギー分布は温度依存性があり、温度制御によって共振モードを変化させることができる。
【0099】
図10(b)〜(d)は、温度制御によって光を取り出す場合について示している。図10(b)の状態は、活性域7で発光した光子の波長と光共振器の共振モード30eとが不一致であるため、光子を結合光導波路10から取り出せない状態を示している。
【0100】
温度制御によって活性域7の温度を変化させると、活性域の波長が変化する。この変化によって、活性域7で発光した光子の波長と共振モード30fが一致すると、光子は光共振器内での存在が可能となり、結合光導波路10からの取り出しが可能となる(図10(c))。
【0101】
さらに、温度制御によって活性域7の温度をさらに変化させると、光子の他の波長と共振モード30gが一致すると、光子は光共振器内での存在が可能となり、結合光導波路10からの異なる波長λ1の光の取り出しが可能となる(図10(d))。
【0102】
この温度制御は、複数の発光素子あるいは複数の光制御素子を含む所定範囲について可変とすることができるという利点がある。また、この温度制御により複数の発光素子や光制御素子を同一の基準となる共振モードに制御することができ、さらに、この同一基準を元にして、他の可変機構により個々の発光素子や光制御素子を個別に可変とする構成とすることもできる。
【0103】
次に、機械的な可変機構について図11を用いて説明する。図11は誘電体領域と多層反射層との間の距離を機械的に変えることによって、光共振器(キャビティ部分)のサイズ可変機構を構成する例である。
【0104】
このサイズ可変機構は、フォトニックドットを構成する誘電体領域4と多層反射層3との間の物理的な距離を変え、これによって光共振器における共振モードを変更する。
【0105】
図11(a)において、誘電体領域4と多層反射層3との間の物理的な距離を変える構成として、マイクロマシン等による移動機構13を用いて構成する。移動機構13は、光共振器8あるいは発光部9を結合光導波路10と共に、基板2乃至多層反射層3に対してその間隔が変更する方向に移動可能とする。
【0106】
移動機構13によって、光共振器8(あるいは発光部9)及び結合光導波路10と、多層反射層3との距離が変化する。これにより、光共振器8のキャビティ長が物理的に変更し、共振モードを変化させることができる。
【0107】
図11(b)〜(c)は、移動機構によって光を取り出す場合について示している。図11(b)の状態は、光共振器8と多層反射層3との距離が長く、活性域7で発光した光子の波長による光共振器の共振モード30hと不一致であるため、光子を結合光導波路10から取り出せない状態を示している。
【0108】
移動機構によって光共振器8と多層反射層3との距離を変化させると、光共振器の共振モードが変化する。この共振モードの変化によって、活性域7で発光した光子の波長と共振モード30iが一致すると、光子は光共振器内での存在が可能となり、結合光導波路10からの取り出しが可能となる(図11(c))。
【0109】
なお、図11では、光共振器8あるいは発光部9と結合光導波路10とを、基板2及び多層反射層3に対して移動させる構成としているが、基板2及び多層反射層3を移動させる構成としてもよい。この構成によれば、複数の発光素子や光制御素子を一つの移動制御によって同時に制御することができる。
【0110】
次に、光制御素子において光子の特性を制御する例について説明する。光制御素子は、光の導出入の制御や、取り出す光子の波長を変更する等の特性を制御する機能を備える。以下、図12を用いて一例を説明する。
【0111】
図12は導入した光の通過不通過の制御、及び導出する光の波長の制御を行う構成例である。図12(a)において、光制御素子1′は図7(a)で示した発光素子1とほぼ同様な構成とすることができ、光共振器8に複数の結合光導波路10a,10bを備える。なお、発光を行わない構成では、活性域7を不要とすることができる。
【0112】
ここで、結合光導波路10aから導入した光を結合光導波路10bから導出する例について説明する。図12(b),(c)は、制御電極21a,21bからの電流注入によって導入光の通過・不通過を制御する。図12(b)では、共振モードが導入した光の波長とずれているため光は著しく弱められる。一方、図12(c)では、共振モードが導入した光の波長と一致しているため光は通過する。
【0113】
また、図12(d)〜(f)は、制御電極21a,21bからの電流注入によって導入された光について波長により選択的に通過・不通過を制御する。ここで、波長λ1,λ2が導入されるとする。図12(d)では、共振モードが導入した光の波長λ1,λ2のいずれともずれているため光は著しく弱められる。
【0114】
図12(e)では、共振モードの変更により波長λ1の光が通過し、図12(f)では、共振モードの変更により波長λ2の光が通過する。
【0115】
また、図13は本発明の発光素子及び/又は光制御素子を用いた光回路装置の概略上面パターン配置の一例を示している。
【0116】
光回路装置50は、発光素子1や光制御素子を組み合わせ、これらを結合光導波路10を介して光学的に接続して構成する。図14に示す構成例では、複数の発光素子1を格子状に配列し、格子の方向(図の上下方向及び左右方向)で隣接する発光素子との間を光導波路54によって光学的に接続する。この光導波路54(図中の破線)は、各発光素子1によって制御された光を演算光として隣接する発光素子1に送る。
【0117】
また、この構成では、各発光素子1の励起を励起光で行うものとし、そのための制御光を送るために光導波路53(図中の斜め方向の実線)を配置する。制御光は、超短パルス発生装置51から発したパルス光を光−光スイッチ52を介して光導波路53に流すことで各発光素子1を制御する。
【0118】
なお、図13では、各発光素子1の活性域から光を励起するための構成は示していない。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、光制御素子や発光素子において光子の横方向への導出入を可能とすることができ、これによって同一基板面上における光子の授受を可能とすることができる。
【0120】
また、電気による励起を可能とすることができる。
【0121】
また、光制御素子や発光素子を簡易な成膜技術で生成することができ、エッチングにより活性層の劣化を防止することができる。
【0122】
また、光制御素子や発光素子の制御あるいは発光する光子の特性を可変とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の発光素子の概略構成を説明するための図である。
【図2】本発明の誘電体領域と結合光導波路との結合態様を説明するための図である。
【図3】本発明の誘電体領域と結合光導波路との結合態様を説明するための図である。
【図4】本発明の金属反射膜を設ける発光素子の概略構成を説明するための図である。
【図5】本発明の金属反射膜を設ける発光素子の概略構成を説明するための図である。
【図6】本発明の光共振器の共振モードの変更による発光制御及び光子の特性制御を説明するための図である。
【図7】本発明のサイズ可変機構を構成において多層反射層における屈折率を可変とする機構の第1の例を説明するための図である。
【図8】本発明のサイズ可変機構を構成において多層反射層における屈折率を可変とする機構の第1の例を説明するための図である。
【図9】本発明のサイズ可変機構を構成において多層反射層における屈折率を可変とする機構の第2の例を説明するための図である。
【図10】本発明のサイズ可変機構を構成において光共振器における温度変化による可変機構を説明するための図である。
【図11】本発明のサイズ可変機構を構成において機械的な可変機構を説明するための図である。
【図12】本発明の導入した光の通過不通過の制御、及び導出する光の波長の制御を行う構成例を説明するための図である。
【図13】本発明の発光素子及び/又は光制御素子を用いた光回路装置の概略上面パターン配置の一例を説明するための図である。
【図14】従来の共振器構造を説明するための図である。
【符号の説明】
【0124】
1…発光素子
1′…光制御素子
2…基板
3…多層反射層
4…誘電体領域
5…下部電極
6…上部電極
7…活性域(量子ドット)
8…光共振器
9…発光部
10,10a,10b…結合光導波路
11,11a,11b…結合部
12…温度制御装置
13…移動機構
20…金属反射膜
21,21a,〜21d…制御電極
22,23…絶縁部
30,30a〜30i…共振モード
40…制御光
50…光回路装置
51…超短パルス発生装置
52…光−光スイッチ
53,54…光導波路
100…基板
101,103…積層
102…活性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の光波長の光共振域を備える光共振器と結合光導波路とを一体に備え、
前記光共振器に対して前記結合光導波路を介して所定波長の光子を導入及び/又は導出することを特徴とする光制御素子。
【請求項2】
下部電極を含む基板上に多層反射層と誘電体領域と上部電極を順に層状に備え、
前記誘電体領域の少なくとも一つの側部に結合光導波路を横方向に一体に備え、
前記誘電体領域は所定の光波長の光共振域を備える光共振器を形成し、
前記光共振器は光子を制御し、
前記結合光導波路は光共振器に対して所定波長の光子を横方向に導入及び/又は導出することを特徴とする光制御素子。
【請求項3】
前記誘電体領域の面内および上下の3次元方向におけるサイズが、それぞれ光波長程度であることを特徴とする請求項2に記載の光制御素子。
【請求項4】
前記基板の下面を除く外面を金属反射膜で被覆することを特徴とする、請求項1又は2に記載の光制御素子。
【請求項5】
前記光共振器の外周に金属反射膜を設け、結合光導波路の外周には金属反射膜を設けないことを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載の光制御素子。
【請求項6】
前記光共振器の光共振域における共振モードを可変とし、光子の生成、及び/又は光子の特性を制御することを特徴とする、請求項1乃至5の何れかに記載の光制御素子。
【請求項7】
前記光共振域は前記多層反射層及び誘電体領域を含み、
前記多層反射層の屈折率の変化により光共振域における共振モードを可変とし、光子の生成、及び/又は光子の特性を制御することを特徴とする、請求項2乃至6の何れかに記載の光制御素子。
【請求項8】
前記光子の特性は、前記光共振器から取り出される光の波長、及び/又は前記光共振器から取り出す光の取り出し方向であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の光制御素子。
【請求項9】
前記多層反射層への電流供給、前記多層反射層への光照射、前記多層反射層の温度、及び多層反射層と誘電体領域との距離の少なくとも一要素を変化することで前記屈折率を変化させることを特徴とする、請求項7又は8に記載の光制御素子。
【請求項10】
前記屈折率変化させる要素から選択した一要素により基準屈折率を設定し、他の選択した一要素により当該基準屈折率に対して屈折率を変化させることを特徴とする、請求項9に記載の光制御素子。
【請求項11】
発光部の側部に結合光導波路を一体に備えることを特徴とする発光素子。
【請求項12】
所定の光波長の光共振域を有する光共振器と発光域とを備える発光部と、結合光導波路とを備え、
前記発光部の側部に結合光導波路を一体形成し、当該結合光導波路を介して所定波長の光子を前記発光部に対して導入及び/又は導出することを特徴とする発光素子。
【請求項13】
下部電極を含む基板上に多層反射層と誘電体領域と上部電極を順に層状に備え、
前記誘電体領域の全体あるいはその内部の一部に活性域を備え、
前記誘電体領域の少なくとも一つの側部に結合光導波路を横方向に一体に備え、
前記活性域は前記電極を介して注入される電流により励起して発光し、
前記誘電体領域は光共振器を形成して活性域で発光した光子の生成を制御し、
前記結合光導波路は、前記誘電体領域で生成された光子を横方向に取り出すことを特徴とする発光素子。
【請求項14】
前記誘電体領域の面内および上下の3次元方向におけるサイズが、それぞれ光波長程度であることを特徴とする請求項13に記載の発光素子。
【請求項15】
前記基板の下方を除く外周に金属反射膜を設けることを特徴とする、請求項13に記載の発光素子。
【請求項16】
前記発光部の外周に金属反射膜を設けることを特徴とする、請求項13に記載の発光素子。
【請求項17】
前記金属反射膜は、前記誘電体領域の外周のみに設けることを特徴とする、請求項13に記載の発光素子。
【請求項18】
前記活性域は所定波長域のエネルギー準位を有する量子ドットであることを特徴とする請求項13乃至17のいずれかに記載の発光素子。
【請求項19】
前記光共振器の光共振域における共振モードを可変とし、光子の生成、及び/又は光子の特性を制御することを特徴とする、請求項11乃至18の何れかに記載の発光素子。
【請求項20】
前記光共振域は前記多層反射層及び誘電体領域を含み、
前記多層反射層の屈折率の変化により光共振域における共振モードを可変とし、光子の生成、及び/又は光子の特性を制御することを特徴とする、請求項11乃至18の何れかに記載の発光素子。
【請求項21】
前記光子の特性は、前記光共振器から取り出される光の波長、及び/又は前記光共振器から取り出す光の取り出し方向であることを特徴とする、請求項19又は20に記載の発光素子。
【請求項22】
前記多層反射層への電流供給、前記多層反射層への光照射、前記多層反射層の温度、及び多層反射層と誘電体領域との距離の少なくとも一要素を変化することで前記屈折率を変化させることを特徴とする、請求項11乃至21のいずれかに記載の発光素子。
【請求項23】
前記屈折率変化させる要素から選択した一要素により基準屈折率を設定し、他の選択した一要素により当該基準屈折率に対して屈折率を変化させることを特徴とする、請求項22に記載の発光素子。
【請求項24】
前記請求項1乃至請求項10に記載の光制御素子、及び/又は前記請求項11乃至請求項23に記載の発光素子を組み合わせ、これら光制御素子及び/又は発光素子を結合光導波路を介して光学的に接続してなる光回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−41013(P2006−41013A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215574(P2004−215574)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(504182255)国立大学法人横浜国立大学 (429)
【Fターム(参考)】