説明

光合分波素子およびそれを用いた光回路

【課題】 結合係数が大きく、高密度に集積することができ、広い波長選択幅を持つ光合分波素子及びそれを用いた光回路を提供すること。
【解決手段】 基板(1)と、下部クラッド(2)と、光を伝搬する第1コア(3)と、光を伝搬し、第1コア(3)の表面の所定領域にのみ接触して第1コア(3)に積層され、第1コア(3)と共にY字型分岐導波路を形成する第2コア(5)と、第1コア(3)及び第2コア(5)が所定領域で接触して形成する結合部(8)に形成されたグレーティング(6)と、テーパー部(7a、7b)を有し、下部クラッド(2)の上に形成される第1コア(3)及び第2コア(5)の間に、所定領域を除いて形成される上部クラッド(4)とを備え、グレーティング(6)が、光の基本モード及び1次モード間の反射機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長の異なる光を多重し、多重された光から所定の波長の光を分離する光合分波素子およびそれを用いた光回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信ネットワークにおいて高速且つ大容量のデータ伝送が要求されており、光波長多重伝送技術が研究、開発されている。例えば、下記特許文献1には、積層型と横型(光の導波路を積層方向に垂直な方向に配置)とを組み合わせた、非対称方向性結合器の結合領域に分布ブラッグ反射器を持つ光合分波素子が開示されている。この光合分波素子は、2つの導波路の実効屈折率が違うため、分布ブラッグ反射器の動作波長のみにおいて、2つの導波路の間で光パワーを交換することができる。
【0003】
下記特許文献2には、特許文献1に開示されている光合分波素子の特性を改善するために、2つの導波路がX字型に立体交差した光合分波素子が開示されている。また、下記特許文献3及び特許文献4には、特許文献1の構造を用い、光検出器と一体化した光合分波素子が開示されている。
【0004】
下記特許文献5には、横型の方向性結合器の結合領域に分布ブラッグ反射器を持つ光合分波素子が開示されている。この光合波素子では、2つの導波路が同じ構造であるため、広い波長範囲において導波路間で光パワーを授受でき、分布ブラッグ反射器の動作波長の光のみが反射され、その他の光とは別に出力される。
【0005】
下記特許文献6には、横型の非対称方向性結合器の結合領域に分布ブラッグ反射器を持つ光結合素子が開示されている。この光合分波素子では、2つの導波路の実効屈折率が違うため、分布ブラッグ反射器の動作波長のみにおいて、導波路間で光パワーを交換できる。
【0006】
下記特許文献7には、横型のY分岐導波路の結合領域に分布ブラッグ反射器を持つ光分波素子が開示されている。この光合分波素子では、分布ブラッグ反射器の動作波長のみが反射する。
【0007】
下記非特許文献1には、横型のY分岐導波路の結合領域に傾斜した分布ブラッグ反射器を持つ光合分波素子が開示されている。Y分岐導波路のアーム部分は非対称であり、結合部分は2モード導波路になっている。この光合分波素子では、Yアームの幅の太い方から伝搬する多重光が結合部の基本モードに結合し、分布ブラッグ反射器によってその動作波長の光のみが結合部の1次モードに反射結合し、この反射された光がYアームの幅の細い側に選択的に結合して伝搬することによって、光の分離が行われる。また、光の多重は、光の分離と逆の動作で行われる。
【0008】
また、下記非特許文献2には、光ファイバを用いて、非特許文献1とほぼ同じ原理で実現された光フィルタが開示されている。
【特許文献1】特開平9−218316号公報
【特許文献2】特開2002−277653号公報
【特許文献3】特開2001−290039号公報
【特許文献4】特開2001−290180号公報
【特許文献5】特開平11−52153号公報
【特許文献6】特開昭63−163803号公報
【特許文献7】特開2001−66560号公報
【非特許文献1】D.F.Geraghty,et al.,”Ion−exchanged waveguide add/drop filter”,Electronics Letters,Vol.37,PP.829−831(2001).
【非特許文献2】A.S.Kewitsch,et al.,”All−fiber zero−insertion−loss add−drop filter for wavelength−division multiplexing”,Optics Letters,Vol.23,PP.106−108 (1998).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記特許文献1〜6の方向性結合器型の光合分波素子では、結合係数を大きくすることが難しく、高い変換効率を得るには長い距離が必要となり、また波長選択性が鋭い、即ち反射可能な波長帯域が狭い問題がある。
【0010】
また、特許文献1〜7及び非特許文献1、2の光合分波素子では、横型構造が含まれており、比較的広いスペースが必要となる。
【0011】
また、特許文献7では、導波路が対称型であるため、出力効率は最大で25%にしかならない。また、入力側にも光が反射するため、アイソレータが必要となる。
【0012】
また、横型のY分岐構造を利用した非特許文献1の光合分波素子では、分布ブラッグ反射器を導波路に対して傾斜させて形成しなければならず、製造が容易ではない。
【0013】
上記の問題を解決するために、本発明の目的は、結合係数が大きく、高密度に集積することができ、広い波長選択幅を持つ光合分波素子及びそれを用いた光回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、以下の手段によって達成される。
【0015】
即ち、本発明に係る光合分波素子(1)は、光を伝搬する第1コアと、光を伝搬し、前記第1コアの表面の所定領域にのみ接触して前記第1コアに積層され、前記第1コアと共にY字型分岐導波路を形成する第2コアと、前記第1コア及び前記第2コアが前記所定領域で接触して形成する結合部に形成されたグレーティングとを備え、前記グレーティングが、光の基本モード及び1次モード間の反射機能を有することを特徴としている。
【0016】
また、本発明に係る光合分波素子(2)は、上記光合分波素子(1)において、下部クラッドと、厚さが緩やかに0まで減少するテーパー部を有し、前記下部クラッドの上に形成される前記第1コア及び前記第2コアの間に、前記所定領域を除いて形成される上部クラッドとを更に備えることを特徴としている。
【0017】
また、本発明に係る光合分波素子(3)は、上記光合分波素子(1)において、平坦部及び該平坦部まで厚さが緩やかに増大するテーパー部からなる凸部を有する下部クラッドと、厚さが緩やかに0まで減少するテーパー部を有し、前記下部クラッドの上に形成される前記第1コア及び前記第2コアの間に、前記所定領域を除いて形成される上部クラッドとを更に備えることを特徴としている。
【0018】
また、本発明に係る光合分波素子(4)は、上記光合分波素子(1)〜(3)の何れかにおいて、第1コア層及び第2コア層をさらに備え、前記第1コアが、前記第1コア層の
厚さが周辺部よりも厚く形成された第1の所定部分であり、前記第2コアが、前記第1の所定部分に対応する、前記第2コア層の厚さが周辺部よりも厚く形成された第2の所定部分であることを特徴としている。
【0019】
また、本発明に係る光合分波素子(5)は、上記光合分波素子(1)〜(3)の何れかにおいて、第1コア層及び第2コア層をさらに備え、前記第1コアが、前記第1コア層の厚さが周辺部よりも厚く形成された所定部分であり、且つ、前記第2コアが、前記所定部分に対応する位置に配置され、屈折率が周辺に位置する前記第2コア層の屈折率と異なる、又は、前記第1コアの屈折率が周辺部に位置する第1コア層の屈折率と異なり、且つ、前記第2コアが、前記第1コアに対応し、第2コア層の厚さが周辺部よりも厚く形成された所定部分であることを特徴としている。
【0020】
また、本発明に係る光合分波素子(6)は、上記光合分波素子(1)〜(3)の何れかにおいて、第1コア層及び第2コア層をさらに備え、前記第1コアの屈折率が周辺部に位置する第1コア層の屈折率と異なり、前記第2コアが、前記第1コアに対応する位置に配置され、屈折率が周辺に位置する前記第2コア層の屈折率と異なることを特徴としている。
【0021】
また、本発明に係る光合分波素子(7)は、上記光合分波素子(1)〜(6)の何れかにおいて、前記グレーティングが、前記第1コアに形成された周期的な切り欠きと、該切り欠きを充填する物質とによって形成され、前記物質の屈折率が、前記第1コアの屈折率及び前記第2コアの屈折率と異なることを特徴としている。
【0022】
また、本発明に係る光合分波素子(8)は、上記光合分波素子(1)〜(6)の何れかにおいて、前記グレーティングが、前記第1コアに形成された周期的な切り欠きと、前記切り欠きを充填する前記第2コアとによって形成されることを特徴としている。
【0023】
また、本発明に係る光合分波素子(9)は、上記光合分波素子(1)〜(8)の何れかにおいて、前記第1コア、前記第2コア、前記下部クラッド及び前記上部クラッドの各々が、ガラスまたは樹脂で形成されていることを特徴としている。
【0024】
本発明に係る光合分波素子(10)は、上記光合分波素子(1)〜(9)の何れかにおいて、前記第1コア及び前記第2コアの前記結合部を除いた部分が、光の単一モード導波路であることを特徴としている。
【0025】
また、本発明に係る光合分波素子(11)は、上記光合分波素子(1)〜(10)の何れかにおいて、前記第1コアの一端から波長多重された入力光が入力される場合、前記入力光のうち、前記グレーティングの動作波長の光のみが、前記グレーティングによって前記結合部の1次モードで反射され、前記入力光のうち、前記反射される光を除いた光が、前記結合部の基本モードで前記結合部を伝搬し、前記反射された光が、前記結合部以外の前記第2コアにおいて、前記第2コアの基本モードで伝搬することによって、波長多重された前記入力光から前記グレーティングの動作波長の光を分波することを特徴としている。
【0026】
また、本発明に係る光合分波素子(12)は、上記光合分波素子(1)〜(11)の何れかにおいて、前記第2コアの一端から前記グレーティングの動作波長のアド光が入力され、前記第1コアの一端から入力光が入力される場合、前記アド光が、前記結合部以外の前記第2コアにおいて基本モードで伝搬し、前記結合部において前記結合部の1次モードで伝搬し、前記グレーティングによって前記結合部の基本モードで反射され、前記反射された前記アド光が、前記結合部以外の前記第1コアにおいて、前記第1コアの基本モード
で伝搬することによって、前記入力光に多重されることを特徴としている。
【0027】
また、本発明に係る光合分波素子(13)は、上記光合分波素子(1)〜(12)の何れかにおいて、前記結合部を除き、前記第1コアと前記第2コアとの実効屈折率が異なることを特徴としている。
【0028】
また、本発明に係る光合分波素子(14)は、上記光合分波素子(2)〜(13)の何れかにおいて、前記第1コアの屈折率が、前記第2コアの屈折率よりも大きく、前記第2コアの屈折率が、前記上部クラッド及び前記下部クラッドの何れの屈折率よりも大きいことを特徴としている。
【0029】
また、本発明に係る光合分波素子(15)は、上記光合分波素子(1)〜(14)の何れかにおいて、厚さが緩やかに0まで減少する前記テーパー部の縦断面の表面形状が、直線状、円弧を2つ接続したS字形状、又は半周期のコサイン曲線状であることを特徴としている。
【0030】
また、本発明に係る光回路(1)は、上記光合分波素子(1)〜(15)の何れかと、前記第2コアの一端から前記第2コアに光を入力する光入力手段、又は、前記第2コアの一端から出力される光を受光する受光手段とを備えることを特徴としている。
【0031】
また、本発明に係る光回路(2)は、上記光回路(1)において、前記光入力手段が半導体レーザを備え、前記半導体レーザから出力される光が、前記第2コアの一端から前記第2コアに入射するように、前記第2コア及び前記上部クラッドの一部が所定の厚さで除去されて、前記光入力手段が前記光合分波素子に配置されていることを特徴としている。
【0032】
また、本発明に係る光回路(3)は、上記光回路(1)において、前記光入力手段が面発光半導体レーザを備え、前記第2コアの一部が除去されて凹面ミラーが形成され、前記面発光半導体レーザから出力される光が、前記凹面ミラーによって反射されて前記第2コアの一端から前記第2コアに入射するように、前記光入力手段が前記光合分波素子に配置されていることを特徴としている。
【0033】
また、本発明に係る光回路(4)は、上記光回路(1)において、前記光入力手段が面発光半導体レーザ及び集光レンズを備え、前記第2コアの一部が除去されて平面ミラーが形成され、前記面発光半導体レーザから出力される光が、前記平面ミラーによって反射されて前記第2コアの一端から前記第2コアに入射するように、前記光入力手段が前記光合分波素子に配置されていることを特徴としている。
【0034】
また、本発明に係る光回路(5)は、上記光回路(1)〜(4)の何れかにおいて、複数の前記光回路が直列に接続されて形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、積層構造を採用していることにより、必要な幅方向のスペースを狭くすることができ、より高密度に集積された光合分波素子及びそれを用いた光回路を実現することができる。
【0036】
また、結合係数を大きくすることができるため、光の多重及び分離に必要な伝搬距離を短くすることができ、さらに高密度な集積化が可能である。
【0037】
また、結合係数を大きくすることができるため、広い波長選択幅を実現すること、即ち1つの光合分波素子で多重、分離可能な波長幅を広くすることができる。
【0038】
また、第2コアのサイズを大きくすることできるため、外部光との接続効率が上昇し、比較的低い精度で、光合分波素子に発光手段、受光手段を実装することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明に係る実施の形態を、添付した図面に基づいて説明する。
【0040】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光合分波素子を示す縦断面図である。また、図2は、図1に示した光合分波素子の縦断面図の一例であり、(a)、(b)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線に沿った断面図である。
【0041】
本光合分波素子は、基板1と、基板1の上に形成された下部クラッド2と、下部クラッド2の上に形成された第1コア3と、第1コア3の一部の上に形成された上部クラッド4と、上部クラッド4及び第1コア3の上に形成された第2コア5とを備えている。ここで、上部クラッド4は、その厚さが緩やかに0まで減少し(以下、この領域をテーパー部7a、7bと記す)、第1コア3の表面の一部を露出して形成されている。従って、第2コア5は、テーパー部7a、7bを含む上部クラッド4の上、及び第1コア3の露出部分の上に形成されている。また、第1コア3及び第2コア5が接触する部分(以下、結合部8と記す)には、グレーティング6が形成されている。このように、第2コア5は、第1コア3の表面の所定領域(露出部分)にのみ接触して第1コア3に積層され、第1コア3と共にY字型の構造を形成している。
【0042】
第1コア3、第2コア5は、ガラス、プラスチックなどの光を透過させる物資で形成され、第2コア5は第1コア3よりも厚く形成されている。また、図2の(a)、(b)に示したように、第1コア3は、第1コア層21の所定部分の厚さが周辺部よりも厚く形成されたものであり、第2コア5は、第2コア層22の、第1コア3に対応する所定部分の厚さが周辺部よりも厚く形成されたものである。
【0043】
グレーティング6は、第1コア3が、所定の長さLにわたって、所定の間隔ΔL(以下、周期と記す)、所定の深さDで除去されて周期的な切り欠きが形成されており、この切り欠きに、第1コア3及び第2コア5とは光の屈折率が異なる物質が充填されている。ここで、切り欠きを境界として屈折率が変化していればよく、切り欠きに積極的に物質が充填されずに中空(例えば、空気が存在する)のままでもよい。
【0044】
次に、図1、2に示した本実施の形態に係る光合分波素子の機能を説明する。
【0045】
第1コア3に波長多重された入力光9(波長λ=λ1,・・・,λm)が入力されると、グレーティング6の動作波長λj、即ちグレーティング6の周期ΔL、結合部8の基本モ
ードに対する実効屈折率N0及び結合部8の1次モードに対する実効屈折率N1で決まる特定の波長λjの光のみが、グレーティング6により反射され、第2コア5を経由してドロッ
プ光12として出力される。一方、波長λj以外の波長の光は、グレーティング6を通過
して出力光10として出力される。
【0046】
ここで、光は、第1コア層21では第1コア3を伝搬し、第2コア層22では第2コア5を伝搬する。図1には、本光合分波素子を伝搬する光のモードの内、第1コア3の基本モード13、第2コア5の基本モード14、結合部8の基本モード15、結合部8の1次モード16を、概念的な電磁場分布として示している。
【0047】
また、第2コア5に、前記波長λjのアド光11が入力されると、その光はグレーティ
ング6によって反射され、第1コア3を経由して出力光10に多重されて出力される。即ち、図1に示した光合分波素子は、波長多重光から所定の波長λjの光を取り出し、外部
から入力される同じ波長λjの光を多重することができる。
【0048】
ここで、図1におけるA−A断面図、B−B断面図は図2に示した断面図に限定されない。例えば、図3〜10に示した断面図であってもよい。図3〜10は、何れも図1に示した光合分波素子の縦断面図の一例であり、(a)、(b)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線に沿った断面図である。
【0049】
図3〜5に示した例では、図2と同様に、第1コア層21及び第2コア層22の対応する所定部分を、それぞれ周辺部よりも厚くして、第1コア3及び第2コア5を形成している。図2〜5において、第1コア3及び第2コア5はそれぞれ、第1コア層21及び第2コア層22の各々の一方の面における凸形状によって形成されており、図2〜5に示した断面図は、この凸形状が形成された面の配置に応じた4つのパターンに対応している。即ち、図2に示した断面図では、第1コア層21及び第2コア層22の凸形状が同じ方向の面(上側面)に形成されている。図3に示した断面図では、第1コア層21及び第2コア層22の凸形状が反対方向の面(接しない面)に形成されている。図4に示した断面図では、第1コア層21及び第2コア層22の凸形状が同じ方向の面(下側面)に形成されている。図5に示した断面図では、第1コア層21及び第2コア層22の凸形状が反対方向の面(接する面)に形成されている。図2〜5では、第1コア層21及び第2コア層22の各々の一方の面にのみ凸形状が形成された場合を示しており、製造が比較的容易である点でこれらが望ましいが、これらに限定されず、光が伝搬する領域を画定することさえできれば、第1コア層21及び第2コア層22の各々の両面に凸形状が形成されてもよい。
【0050】
また、図6〜9に示した例では、第1コア層21及び第2コア層22の一方に凸形状を形成し、他方に凸形状を形成せずに異なる屈折率の物質を用いて、第1コア3又は第2コア5を形成している。図6、7に示した断面図では、第1コア3は第1コア層21と光の屈折率が異なる物質(ガラスや樹脂など)で形成され、第1コア層21の表面と第1コア3の表面とは段差を形成しておらず、第2コア層22には凸形状が形成されている。図6、7に示した断面図では、凸形状が形成される第2コア層22の面が異なる。また、図8、9に示した断面図では、第1コア層21に凸形状が形成され、第2コア5は第2コア層22と光の屈折率が異なる物質(ガラスや樹脂など)で形成され、第2コア層22の表面と第2コア5の表面とは段差を形成していない。図8、9に示した断面図では、凸形状が形成される第1コア層21の面が異なる。図6〜9に示した断面図において、第1コア層21又は第2コア層22の両面に凸形状を形成し、第1コア3又は第2コア5を形成してもよい。また、図6〜9に示した断面図において、第1コア層21又は第2コア層22とは屈折率の異なる物質を用いて第1コア3又は第2コア5を形成する場合、光が伝搬する領域を画定することさえできれば、第1コア層21の表面と第1コア3の表面とに段差があってもよく、第2コア層22の表面と第2コア5の表面とに段差があってもよい。
【0051】
また、図10に示した例では、第1コア3が第1コア層21と光の屈折率が異なる物質(ガラスや樹脂など)で形成され、第1コア層21の表面と第1コア3の表面とは段差を形成しておらず、第2コア5が第2コア層22と光の屈折率が異なる物質(ガラスや樹脂など)で形成され、第2コア層22の表面と第2コア5の表面とは段差を形成していない。ここで、光が伝搬する領域を画定することさえできれば、第1コア層21の表面と第1コア3の表面とに段差があってもよく、第2コア層22の表面と第2コア5の表面とに段差があってもよい。
【0052】
(第2の実施の形態)
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る光合分波素子を示す縦断面図である。図1
1に示した光合分波素子の構成は、グレーティング6aを除いて図1と同様であるので、同じ構成要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0053】
図11においては、グレーティング6aは、結合部8において第1コアの一部が所定の周期で除去されて切り欠きが形成され、その上に、第1コア3と密着し、即ち、第1コア3が除去された部分を充填して第2コア5が形成されている。従って、図11に示した光合分波素子は、図1に示した光合分波素子と同様に、波長多重光から所定の波長の光を分離し、外部から入力される所定の波長の光を多重することができる。
【0054】
図11のC−C線に沿った断面図、D−D線に沿った断面図は、第1の実施の形態と同様に、図2〜10の何れの断面図であってもよい。
【0055】
(第3の実施の形態)
図12は、本発明の第3の実施の形態に係る光合分波素子を示す縦断面図である。図12に示した光合分波素子の構成は、下部クラッド2a、第1コア3a、上部クラッド4a、第2コア5a、テーパー部7c、7dを除いて図1と同様であるので、同じ構成要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0056】
図12においては、下部クラッド2aは、その厚さが所定の厚さから緩やかに増大し、一定の厚さを維持し、その後厚さが緩やかに減少する凸部を有する。下部クラッド2aの厚さが緩やかに変化する領域をテーパー部7c、7dと呼び、それらに挟まれた一定の厚さを維持する領域を平坦部と呼ぶ。第1コア3aは、凸部を有する下部クラッド2aの上に形成されている。下部クラッド2aの平坦部上の第1コア3aを除いて、第1コア3aの上に、平坦部上の第1コア3aの表面と同じ高さで、段差を生じることなく、上部クラッド4aが形成されている。さらに、第2コア5aが、第1コア3a及び上部クラッド4aの上に形成されている。第1コア3a及び第2コア5aが部分的に直接接触する部分(結合部8)に、第1の実施の形態と同様にグレーティング6が形成されている。
【0057】
従って、図12に示した光合分波素子は、図1、11に示した光合分波素子と同様に、波長多重光から所定の波長の光を取り出し、外部から入力される所定波長の光を多重することができる。
【0058】
尚、図12のE−E線に沿った断面図、F−F線に沿った断面図は、第1及び第2の実施の形態と同様に、図2〜10の何れの断面図であってもよい。
【0059】
(第4の実施の形態)
図13は、本発明の第4の実施の形態に係る光合分波素子を示す縦断面図である。図13に示した光合分波素子の構成は、グレーティング6aを除いて図12と同様であるので、同じ構成要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0060】
図13において、グレーティング6aは、第1の実施の形態と同様に、結合部8において第1コア3aの一部が所定の周期で除去されて切り欠きが形成され、その上に、第1コア3aと密着し、即ち、第1コア3aが除去された部分を充填して第2コア5aが形成されている。従って、図13に示した光合分波素子は、図1、11、12に示した光合分波素子と同様に、波長多重光から所定の波長の光を取り出し、外部から入力される所定波長の光を多重することができる。
【0061】
尚、図13のG−G線に沿った断面図、H−H線に沿った断面図は、第1〜第3の実施の形態と同様に、図2〜10の何れの断面図であってもよい。
【0062】
以上、第1〜第4の実施の形態に係る光合分波素子において、上部クラッド又は下部クラッドのテーパー部を直線状に形成する場合を説明したが、これに限定されず、その上に形成される第1コア又は第2コアが滑らかに変化する形状であればよく、例えば、接続部で接線が一致するように、2つの円弧を接続して形成したS字形状(図14の(a))、半周期分のコサイン曲線形状(図14の(b))であってもよい。図14の(a)には、2つ円弧の中心を点O、Oで示している。
【0063】
また、以上では基板の上に下部クラッドを備えている場合を説明したが、基板と下部クラッドとを一体に形成してもよい。例えば、図12、13に示した第3、第4の実施の形態の場合には、下部クラッド2aを無くし、基板を下部クラッドのように凸部を備えて形成し、その上に第1コアを形成してもよい。
【0064】
(第5の実施の形態)
図15〜17は、本発明の第5の実施の形態に係る光回路を示す縦断面図である。本実施の形態に係る光回路は、本発明に係る第1〜第4の何れかの実施の形態に係る光合分波素子(図1、11、12、13参照)と、光入力手段とを備えている。図15〜17には、異なる光入力手段と、その光入力手段に応じて光の入力部が加工された光合分波素子とを示している。
【0065】
図15は、光入力手段が、半導体レーザコア32を備えた半導体レーザ31である場合を示している。図15に示したように、半導体レーザコア32から出力される光が第2コア5の一端から第2コア5に入射するように、第2コア5及び上部クラッド4の一部を所定の厚さで除去し、ボンディング部33を用いて半導体レーザ31を光合分波素子に固定している。半導体レーザコア32から出力された光は、第2コア5に入射し、上記したように光合分波素子によって合波される。
【0066】
図16は、光入力手段が、発光部35を備えた面発光半導体レーザ34である場合を示している。図16に示したように、第2コア5の一部を除去して凹面ミラー36を形成し、発光部35から出力される光が第2コア5の一端から入射するように、面発光半導体レーザ34を、光合分波素子の上方に配置する。発光部35から出力された光は、凹面ミラー36によって反射されて第2コア5に入射し、上記したように光合分波素子によって多重される。
【0067】
図17は、光入力手段が、発光部35を備えた面発光半導体レーザ34と集光レンズ38とから構成される場合を示している。図17に示したように、面発光半導体レーザ34に集光レンズ38を取り付け、第2コア5の一部を除去して平面ミラー37を形成し、発光部35から出力される光が第2コア5に入射するように、面発光半導体レーザ34を光合分波素子の上方に配置する。発光部35から出力された光は、集光レンズ38によって集光され、平面ミラー37によって反射されて第2コア5に入射し、上記したように光合分波素子によって合波される。
【0068】
以上では、発光手段としてレーザを用いる場合を説明したが、これに限定されず、LEDなど、光伝送技術で使用される発光素子を用いることができる。
【0069】
また、以上では、本発明に係る第1〜第4の何れかの実施の形態に係る1つの光合分波素子と、1つの光入力手段とから構成される光回路を説明したが、図15〜17に示した光回路を複数直列に接続して、複数の波長の光を合波する光多重回路を構成することもできる。即ち、図18に示したように、波長λ1を反射することができるグレーティングを
備えた本発明に係る第1の光回路と、λ2を反射することができるグレーティングを備え
た本発明に係る第2の光回路とを、第1コア同士及び第2コア同士を接触させて接続する
こともできる。これによって、光入力手段31aから出力される波長λ1と、光入力手段
31bから出力される波長λ2(λ2≠λ1)の光とが多重された光を出力することができ
る。
【0070】
また、以上では、光入力手段を備えた光回路を説明したが、本発明に係る第1〜第4の何れかの実施の形態に係る光合分波素子と受光素子とを備えて光回路を形成することができる。また、本実施の形態に係る光合分波素子と受光素子とを備えた光回路を複数備えて光分離回路を形成すれば、複数波長の多重光から波長の異なる光を分離することができる。
【0071】
上記した、複数の光多重回路を送信側に、光分離回路を受信側に備え、光ファイバーなどを用いた光伝送路を介してそれらの間を接続することによって、光多重システムとして使用することができる。
【0072】
上記の第1〜第5の実施の形態で示した光合分波素子は、周知の半導体プロセスを用いて形成することができる。特に、テーパー部は、例えば、下部クラッドをシャドーマスクを用いたシャドー堆積法で作成する方法、下部クラッド層上に塗布したフォトレジストを、グレーマスク(光の透過率が分布を持つマスク)を用いて露光した後にドライエッチングする方法、下部クラッド上に塗布した電子ビームレジストを、ドーズ量を制御して露光した後にドライエッチングする方法などを用いて形成することができる。
【実施例1】
【0073】
以下に実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にする。
【0074】
図1に示した第1の実施の形態に係る光合分波素子において、下部クラッド2の屈折率を1.46、第1コア3の屈折率を1.54、その厚さを0.83μm、上部クラッド4の屈折率を1.46、その厚さを5μm、第2コア5の屈折率を1.47、その厚さを4μm、グレーティング6の周期ΔLを0.285μm、その全長Lを300μm、グレーティング6を形成する切り欠き、即ち第1コア3の一部が除去されて形成された切り欠きに充填された物質の屈折率を2.0、その切り欠きの深さDを0.03μm、下部クラッド2のテーパー部7a、7bの各々の長さを約240μm、テーパー部7a、7bの縦断面形状をS字形状に形成した場合、この光合分波素子への波長0.85μmの入力光9は、98%の効率でドロップ光12として取り出される。また、この光合分波素子への波長0.85μmのアド光11は、98%の効率で出力光10として取り出される。この場合の波長許容幅は0.002μmであり、この範囲外の波長の入力光9は、グレーティング6による影響を殆ど受けること無く、99%以上の効率で出力光10として取り出される。即ち、この光合分波素子の特定の波長(0.85μm)の光に対する波長選択性が非常に高く、それ以外の波長の光に対する透過性が非常に高いことが分かる。
【実施例2】
【0075】
図12に示した第3の実施の形態に係る光合分波素子において、下部クラッド2aの屈折率を1.46、第1コア3aの屈折率を1.54、その厚さを0.83μm、上部クラッド5aの屈折率を1.46、その厚さを5μm、第2コア3aの屈折率を1.47、その厚さを4μm、グレーティング6の周期ΔLを0.285μm、その全長Lを300μm、グレーティング6を形成する切り欠きに充填された物質の屈折率を2.0、その切り欠きの深さDを0.03μm、下部クラッドのテーパー部7c、7dの各々の長さを約190μm、テーパー部7c、7dの縦断面形状をS字形状に形成した場合、この光合分波素子への波長0.85μmの入力光9は、98%の効率でドロップ光12として取り出される。また、この光合分波素子への波長0.85μmのアド光11は、98%の効率で出力光10として取り出される。この場合の波長許容幅は0.002μmであり、この範囲
外の波長の入力光9は、98%以上の効率で出力光10として取り出される。即ち、実施例1と同様に、この光合分波素子の特定の波長(0.85μm)の光に対する選択性が非常に高く、それ以外の波長の光に対する透過性が非常に高いことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光合分波素子を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る光合分波素子の縦断面図の一例であり、(a)、(b)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線に沿った断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る光合分波素子の縦断面図の別の例であり、(a)、(b)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る光合分波素子の縦断面図の別の例であり、(a)、(b)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線に沿った断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る光合分波素子の縦断面図の別の例であり、(a)、(b)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線に沿った断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る光合分波素子の縦断面図の別の例であり、(a)、(b)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線に沿った断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る光合分波素子の縦断面図の別の例であり、(a)、(b)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線に沿った断面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る光合分波素子の縦断面図の別の例であり、(a)、(b)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線に沿った断面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る光合分波素子の縦断面図の別の例であり、(a)、(b)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線に沿った断面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る光合分波素子の縦断面図の別の例であり、(a)、(b)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線に沿った断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る光合分波素子を示す縦断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る光合分波素子を示す縦断面図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係る光合分波素子を示す縦断面図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る光合分波素子のテーパー部の例を示す断面図であり、(a)は2つの円弧からなるS字形状、(b)はコサイン曲線に形成されたテーパー部を示す。
【図15】本発明の第5の実施の形態に係る光回路の一例を示す縦断面図である。
【図16】本発明の第5の実施の形態に係る光回路の別の例を示す縦断面図である。
【図17】本発明の第5の実施の形態に係る光回路別の例を示す縦断面図である。
【図18】本発明の光回路を直列に接続した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 基板
2、2a 下部クラッド
3、3a 第1コア
4、4a 上部クラッド
5、5a 第2コア
6、6a グレーティング
7a、7b、7c、7d テーパー部
8 結合部
9 入力光
10 出力光
11 アド光
12 ドロップ光
13 第1コアの基本モード
14 第2コアの基本モード
15 結合部の基本モード
16 結合部の1次モード
21 第1コア層
22 第2コア層
31、31a、31b 半導体レーザ
32 半導体レーザコア
33 ボンディング部
34 面発光半導体レーザ
35 発光部
36 凹面ミラー
37 平面ミラー
38 集光レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を伝搬する第1コアと、
光を伝搬し、前記第1コアの表面の所定領域にのみ接触して前記第1コアに積層され、前記第1コアと共にY字型分岐導波路を形成する第2コアと、
前記第1コア及び前記第2コアが前記所定領域で接触して形成する結合部に形成されたグレーティングとを備え、
前記グレーティングが、光の基本モード及び1次モード間の反射機能を有することを特徴とする光合分波素子。
【請求項2】
下部クラッドと、
厚さが緩やかに0まで減少するテーパー部を有し、前記下部クラッドの上に形成される前記第1コア及び前記第2コアの間に、前記所定領域を除いて形成される上部クラッドとを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光合分波素子。
【請求項3】
平坦部及び該平坦部まで厚さが緩やかに増大するテーパー部からなる凸部を有する下部クラッドと、
厚さが緩やかに0まで減少するテーパー部を有し、前記下部クラッドの上に形成される前記第1コア及び前記第2コアの間に、前記所定領域を除いて形成される上部クラッドとを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光合分波素子。
【請求項4】
第1コア層及び第2コア層をさらに備え、
前記第1コアが、前記第1コア層の厚さが周辺部よりも厚く形成された第1の所定部分であり、
前記第2コアが、前記第1の所定部分に対応する、前記第2コア層の厚さが周辺部よりも厚く形成された第2の所定部分であることを特徴とする請求項1〜3の何れかの項に記載の光合分波素子。
【請求項5】
第1コア層及び第2コア層をさらに備え、
前記第1コアが、前記第1コア層の厚さが周辺部よりも厚く形成された所定部分であり、且つ、前記第2コアが、前記所定部分に対応する位置に配置され、屈折率が周辺に位置する前記第2コア層の屈折率と異なる、又は、
前記第1コアの屈折率が周辺部に位置する第1コア層の屈折率と異なり、且つ、前記第2コアが、前記第1コアに対応し、第2コア層の厚さが周辺部よりも厚く形成された所定部分であることを特徴とする請求項1〜3の何れかの項に記載の光合分波素子。
【請求項6】
第1コア層及び第2コア層をさらに備え、
前記第1コアの屈折率が周辺部に位置する第1コア層の屈折率と異なり、
前記第2コアが、前記第1コアに対応する位置に配置され、屈折率が周辺に位置する前記第2コア層の屈折率と異なることを特徴とする請求項1〜3の何れかの項に記載の光合分波素子。
【請求項7】
前記グレーティングが、前記第1コアに形成された周期的な切り欠きと、該切り欠きを充填する物質とによって形成され、
前記物質の屈折率が、前記第1コアの屈折率及び前記第2コアの屈折率と異なることを特徴とする請求項1〜6の何れかの項に記載の光合分波素子。
【請求項8】
前記グレーティングが、
前記第1コアに形成された周期的な切り欠きと、
前記切り欠きを充填する前記第2コアとによって形成されることを特徴とする請求項1
〜6の何れかの項に記載の光合分波素子。
【請求項9】
前記第1コア、前記第2コア、前記下部クラッド及び前記上部クラッドの各々が、ガラスまたは樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1〜8の何れかの項に記載の光合分波素子。
【請求項10】
前記第1コア及び前記第2コアの前記結合部を除いた部分が、光の単一モード導波路であることを特徴とする請求項1〜9の何れかの項に記載の光合分波素子。
【請求項11】
前記第1コアの一端から波長多重された入力光が入力される場合、
前記入力光のうち、前記グレーティングの動作波長の光のみが、前記グレーティングによって前記結合部の1次モードで反射され、
前記入力光のうち、前記反射される光を除いた光が、前記結合部の基本モードで前記結合部を伝搬し、
前記反射された光が、前記結合部以外の前記第2コアにおいて、前記第2コアの基本モードで伝搬することによって、波長多重された前記入力光から前記グレーティングの動作波長の光を分波することを特徴とする請求項1〜10の何れかの項に記載の光合分波素子。
【請求項12】
前記第2コアの一端から前記グレーティングの動作波長のアド光が入力され、前記第1コアの一端から入力光が入力される場合、
前記アド光が、前記結合部以外の前記第2コアにおいて基本モードで伝搬し、前記結合部において前記結合部の1次モードで伝搬し、前記グレーティングによって前記結合部の基本モードで反射され、
前記反射された前記アド光が、前記結合部以外の前記第1コアにおいて、前記第1コアの基本モードで伝搬することによって、前記入力光に多重されることを特徴とする請求項1〜11の何れかの項に記載の光合分波素子。
【請求項13】
前記結合部を除き、前記第1コアと前記第2コアとの実効屈折率が異なることを特徴とする請求項1〜12の何れかの項に記載の光合分波素子。
【請求項14】
前記第1コアの屈折率が、前記第2コアの屈折率よりも大きく、
前記第2コアの屈折率が、前記上部クラッド及び前記下部クラッドの何れの屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項2〜13の何れかの項に記載の光合分波素子。
【請求項15】
厚さが緩やかに0まで減少する前記テーパー部の縦断面の表面形状が、直線状、円弧を2つ接続したS字形状、又は半周期のコサイン曲線状であることを特徴とする請求項1〜14の何れかの項に記載の光合分波素子。
【請求項16】
請求項1〜15の何れかの項に記載の光合分波素子と、
前記第2コアの一端から前記第2コアに光を入力する光入力手段、又は、前記第2コアの一端から出力される光を受光する受光手段とを備えることを特徴とする光回路。
【請求項17】
前記光入力手段が半導体レーザを備え、
前記半導体レーザから出力される光が、前記第2コアの一端から前記第2コアに入射するように、前記第2コア及び前記上部クラッドの一部が所定の厚さで除去されて、前記光入力手段が前記光合分波素子に配置されていることを特徴とする請求項16に記載の光回路。
【請求項18】
前記光入力手段が面発光半導体レーザを備え、
前記第2コアの一部が除去されて凹面ミラーが形成され、
前記面発光半導体レーザから出力される光が、前記凹面ミラーによって反射されて前記第2コアの一端から前記第2コアに入射するように、前記光入力手段が前記光合分波素子に配置されていることを特徴とする請求項16に記載の光回路。
【請求項19】
前記光入力手段が面発光半導体レーザ及び集光レンズを備え、
前記第2コアの一部が除去されて平面ミラーが形成され、
前記面発光半導体レーザから出力される光が、前記平面ミラーによって反射されて前記第2コアの一端から前記第2コアに入射するように、前記光入力手段が前記光合分波素子に配置されていることを特徴とする請求項16に記載の光回路。
【請求項20】
複数の前記光回路が直列に接続されて形成されることを特徴とする請求項16〜19の何れかの項に記載の光回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−208524(P2006−208524A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17795(P2005−17795)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】