説明

光増幅装置、ラマン増幅器、光波長多重伝送システム、光波長多重伝送方法

【課題】 波長多重通信の光伝送路において、使用する波長数の増減に影響されることなく、信号光の断検出を正確に行う。
【解決手段】 波長の異なる複数の光信号107aを波長多重化して波長多重信号光107として光伝送路104を経由して伝送する光波長多重伝送システムの光伝送路104上に設けられた光増幅装置108において、ラマン増幅器10とEDFA部20の間に半導体光増幅器30を配置し、伝送可能な複数の波長数のうち一部の波長を用いてシステムを運用する場合に、波長多重信号光107の波長域以外の波長域のASEやASS等のノイズ光成分を吸収して、波長多重信号光107とノイズ光とのS/N比を向上させ、半導体光増幅器30の後段に設けられた光パワーモニタ部15にて行われる波長多重信号光107のレベルの閾値判定による断検出を確実に行わせるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光増幅装置、ラマン増幅器、光波長多重伝送システム、光波長多重伝送方法に関し、特に、多波長の信号光を波長多重して長距離伝送する光伝送技術等に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の光通信技術では、情報通信量の増大に伴って1本の伝送路ファイバを用いて、波長の異なる複数の信号光を波長多重して長距離伝送する波長多重(Wavelength Division Multiplexing)技術が用いられている。
【0003】
従来は伝送路ファイバによる信号光パワーの減衰を抑え、長距離伝送を実現するために、信号光波長から短波長側に100nm程度離れた波長の励起信号光を入れ、伝送路ファイバ内の非線形効果(ラマン効果)により、伝送中の複数の信号光を増幅するラマン増幅器と、エルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA(Erbium-Doped Fiber Amplifier))を組み合わせて、長距離化を実現している。
【0004】
ラマン増幅器では、トータルパワー制御、EDFAに由来するASE(Amplified Spontaneous Emission)雑音(自然放出光の一部が光ファイバの基本モードに結合し、さらに誘導放出による増幅を受けて発生したノイズ光)の補正、信号断検出等の制御を行うために、光パワーモニタ部にてモニタされた励起光出力量から、伝送路ファイバ内で発生するASS(Amplified Spontaneous Raman Scattering)光の発生量を見積もる必要があるが、ある特定のファイバの測定データから決定していた。
【0005】
ASSは、ラマン増幅による雑音光であり、信号光が入力されていない状態でラマン励起光だけを増幅媒体(伝送路ファイバ)に入射した場合に発生する雑音光であって、一般的にはポンプ光によるラマン散乱光などと呼ばれているものである。
【0006】
ところで、伝送路ファイバの種類は同じでも、ラマン増幅器から見た伝送路の条件(損失係数、局所損失等)は初回測定データと実際の伝送路とでは一般に異なるため、特に、多重可能な定格波長数よりも少ない数の一部の信号光しか用いない少数波長時は、信号光レベルに比べASS光発生量が十分小さくない条件にて励起LDを出力制御する場合があるために主信号断検出精度、トータルパワー制御精度を著しく悪化させていた。
【0007】
すなわち、図16(a)に示されるように、多数の信号光を用いる場合には、信号光のレベルの総和に対してノイズ光(ASE+ASS)レベルが占める割合は小さく、信号光のレベル検出に基づく各種の制御誤差は小さく抑えられるが、一部の信号光しか用いない少数波長時には、図16(b)のように信号光のレベルの総和に対するノイズ光レベルの比率が大きくなり、信号光の閾値判定による制御が困難になる。
【0008】
これによりASS等のノイズ光量が信号断検出の閾値に比べ大きくなる動作状態が発生し、動作条件によっては信号断検出の閾値の感度が悪く、伝送路ファイバの切断等によって信号光が入力断となってもノイズ光量が閾値を下回らずに信号断を検出せず、励起光出力の自動切断制御(Automatic Power ShutDown)が機能しない場合があった。
【0009】
なお、特許文献1には、所定の光強度レベルまでの入力光に対しては吸収体として働き、それ以上の光強度レベルに対しては入力光を透過させる透明体として働く物質からなる過飽和吸収体を光フィルタとして用いることにより、自然放出光のノイズを除去する技術が開示されているが、増幅器とは別に光フィルタを設ける必要があり、構造が複雑化する。
【0010】
また、特許文献2には、希土類添加光ファイバ増幅器において、希土類添加光ファイバから外部に漏出する自然放出光を積分球にて捕捉し、その積分値を光検出器にて検出して利得制御に用いるようにした技術が開示されているが、自然放出光と複数の信号光が混在する場合における上述のような技術的課題は認識されていない。
【特許文献1】特開平11−168431号公報
【特許文献2】特許第2648643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、波長多重通信の光伝送路において、使用する波長数の増減に影響されることなく、信号光の断検出を正確に行うことが可能な増幅技術を提供することにある。
本発明の他の目的は、信号光のレベル判定に基づく各種制御を的確に行うことが可能な増幅技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の観点は、波長の異なる複数の信号光が伝送される光伝送路に配置される光増幅装置であって、
前記光伝送路に配置された第1光増幅器と、前記第1光増幅器を制御するために前記第1光増幅器の下流側に設けられた光パワーモニタ部と、前記第1光増幅器と前記光パワーモニタ部との間に配置され、光の増幅帯域および吸収帯域を可変に制御可能な第2光増幅器と、を含む光増幅装置を提供する。
【0013】
本発明の第2の観点は、波長の異なる複数の信号光が伝送される光伝送路に配置されるラマン増幅器であって、
励起光を前記光伝送路に注入するための合波部と前記ラマン増幅器を制御するために前記合波部の下流側に設けられた光パワーモニタ部との間に、半導体光増幅器を配置したラマン増幅器を提供する。
【0014】
本発明の第3の観点は、信号光が伝送される光伝送路と、波長の異なる複数の前記信号光を統合して前記光伝送路に送り込む合波器と、前記光伝送路から波長の異なる複数の前記信号光を分岐して取り出す分波器と、前記光伝送路上に設けられ、前記信号光の増幅を行う光増幅装置とを含む光波長多重伝送システムであって、
前記光増幅装置は、
前記光伝送路に配置された第1光増幅器と、前記第1光増幅器を制御するために前記第1光増幅器の下流側に設けられた光パワーモニタ部と、前記第1光増幅器と前記光パワーモニタ部との間に配置され、光の増幅帯域および吸収帯域を可変に制御可能な第2光増幅器と、を含む光波長多重伝送システムを提供する。
【0015】
本発明の第4の観点は、波長の異なる複数の信号光が伝送される光伝送路にラマン増幅器を配置して前記信号光の増幅を行う光波長多重伝送方法であって、
前記光伝送路に対するラマン励起光の合波部と光パワーモニタ部との間に半導体光増幅器を配置し、使用される前記信号光の数の増減に応じて、使用される前記信号光の帯域外の光を前記半導体光増幅器にて吸収するようにした光波長多重伝送方法を提供する。
【0016】
本発明の第5の観点は、複数の信号光が伝送される光伝送路に対するラマン励起光の合波部と光パワーモニタ部および希土類添加光ファイバ増幅器との間に半導体光増幅器を配置したラマン増幅器を提供する。
【0017】
上記した本発明によれば、半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifier)の増幅特性および吸収特性を用いることにより、波長多重通信の光伝送路において、使用する波長数の増減に応じて、当該波長数に対応した信号光の帯域外の波長範囲のノイズ光を除去するので、比較的少数の信号光を用いて波長多重通信を稼働させる場合に、ASEやASS等のノイズ光に信号光が埋もれて閾値による信号光のレベルの判定が不能になることが確実に回避される。
【0018】
その結果、使用する波長数の増減に影響されることなく、信号光の断検出を正確に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、波長多重通信の光伝送路において、使用する波長数の増減に影響されることなく、信号光の断検出を正確に行うことが可能となる。
また、所定の閾値等を用いた信号光のレベル判定に基づく各種制御を的確に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である光増幅装置の構成の一例を示す概念図であり、図2は、この光増幅装置を含む光波長多重伝送システムの構成の一例を示す概念図である。
【0021】
図2に例示されるように、本実施の形態の光波長多重伝送システム100は、送信情報を含む電気信号を、互いに異なる複数の波長の光信号107aに変換する電気/光変換器101と、波長の異なる複数の光信号107aを合波して一つの波長多重信号光107に多重化する光合波器102と、この波長多重信号光107が伝送される光ファイバからなる光伝送路104と、この光伝送路104に波長多重信号光107を増幅して送出する送信元増幅器103と、波長多重信号光107の受信側に設けられ、波長多重信号光107を元の複数の光信号107aに分岐して取り出す光分波器105と、分岐された個々の光信号107aを電気信号に変換する光/電気変換器106を含んでいる。
【0022】
波長多重信号光107が伝送される光伝送路104の途中には、伝送中に減衰する波長多重信号光107を増幅するための一つまたは複数の光増幅装置108が設けられている。
【0023】
ここで、光合波器102にて合波可能な最大の波長数(光信号107aの数)をKとすると、たとえば帯域需要が少ない場合には、K個の光信号107aのすべてを使用せずに、短波長側から一部の数本(ここではS本とする。)の光信号107aのみを使用する場合(少数波長時という)も生じる。
【0024】
この場合、光伝送路104上に設けられた送信元増幅器103や光増幅装置108では、すべてのK個の光信号107aを包含する帯域で増幅が行われるように増幅特性が設定されているため、この広い帯域でASEやASS等のノイズ光も発生する。このため、K個の中の一部S個のみを使用する場合、波長多重信号光107の光量に対するノイズ光の光量が相対的に大きくなり、波長多重信号光107の光量の大小の閾値判定に基づく断検出が困難になる場合がある。
【0025】
すなわち、そのままで、ノイズ光の影響を受けることなく断検出が可能な限界の波長数を断検出可能波長数mとすると、S<mの場合には、そのままでは断検出が困難になる。そこで、本実施の形態のでは、以下のようにしてこの技術的課題を解決する。
【0026】
図2に例示されるように、個々の光増幅装置108は、ラマン増幅器10(第1光増幅器)と、その後段に配置されたEDFA部20、全体を制御する装置制御部40を備えている。装置制御部40には、光合波器102で合波可能な最大の波長数K(光信号107aの数)と、実際に使用される波長数S(光信号107aの数)、ノイズ光の影響を受けることなく断検出が可能な限界の波長数を断検出可能波長数m、等の情報が設定されている。
【0027】
ラマン増幅器10は、光伝送路104上に設けられた合波器11と、この合波器11を通じて、光伝送路104に対して波長多重信号光107の伝送方向とは逆方向に励起光12aを送出するレーザダイオードなどからなる励起光源(励起LDブロック)12と、この励起光源12を制御するラマン増幅制御部13と、光伝送路104から一部の波長多重信号光107を分岐して取り出すための分岐器14と、この分岐器14にて分岐された波長多重信号光107の光量を監視し、断検出信号15aをラマン増幅制御部13や後述のEDFA制御部22に出力する光パワーモニタ部15と、を備えている。
【0028】
そして、波長多重信号光107が伝送される光伝送路104を構成する光ファイバ自体を増幅媒体として用いることにより、少なくとも一つの光信号107aを含む波長多重信号光107の増幅を行う。すなわち、本実施の形態のラマン増幅器10は、伝送中に減衰する波長多重信号光107を増幅し、後段のEDFA部20のダイナミックレンジに入るような信号レベルまで回復させる動作を行う。
【0029】
EDFA部20は、たとえば、特定の希土類元素(たとえばエルビウム)が添加された光ファイバを増幅媒体として用いるEDFA(エルビウム添加光ファイバ増幅器)21と、このEDFA21の励起光等を制御するEDFA制御部22と、増幅される波長多重信号光107に含まれる光スペクトルや光SN比(信号光と、ASS+ASEとの比)等の情報をラマン増幅制御部13に出力する光スペクトルアナライザ23を備えている。
【0030】
そして、光パワーモニタ部15にて、波長多重信号光107の光量レベルが所定の閾値以下になったことが検出された場合には、なんらかの原因で、たとえば光伝送路104が破断したと判断して断検出信号15aがラマン増幅制御部13およびEDFA制御部22に出力され、ラマン増幅制御部13は、光伝送路104への励起光12aの出力を停止し、EDFA制御部22は、EDFA21における励起光の出力を停止する動作を行う。
【0031】
本実施の形態の場合、上述のような構成の光増幅装置108において、ラマン増幅器10の合波器11と分岐器14の間には、光伝送路104を伝送される光の増幅/吸収を行う機能を備えた半導体光増幅部31と、この半導体光増幅部31を制御する半導体光増幅制御部32からなる半導体光増幅器30(第2光増幅器)が設けられている。
【0032】
図3に例示されるように、半導体光増幅部31は、たとえば、半導体からなる活性層31aと、この活性層31aを挟むように配置されたP型半導体層31bおよびN型半導体層31cと、電流注入のための電極31dを備えた構造となっている。
【0033】
すなわち、この半導体光増幅部31としては、半導体光増幅媒体として例えばレーザダイオードの端面(活性層31a、P型半導体層31b、N型半導体層31cの断面)に無反射コートを施し、等価的にミラー機能を除去したInGaAsPダブルヘテロ型半導体レーザを用いることができる。
【0034】
活性層31aに光が入射する場合、電流注入が無ければ(OFF)、価電子帯の電子が光を吸収し、電子自身は伝導帯へ遷移する(吸収)。価電子帯電子の近傍を禁制帯幅に相当するエネルギーをもつ光が通過すると、電子は価電子帯へ遷移すると同時に入力光と周波数、位相、方向の等しい光を放出する(誘導放出)。半導体光増幅部31ではPN接合を形成し、電流注入(ON)によって反転分布(キャリア密度が高い状態)を作り出し、入射光(波長多重信号光107)を増幅(誘導放出)することが可能となる。
【0035】
図4は、この半導体光増幅部31の特性を示す線図であり、注入電流(制御電流32a)のON/OFFに応じて、半導体光増幅部31の吸収領域と利得領域の切り替えを行うことが可能である。
【0036】
すなわち、半導体光増幅部31(SOA)は図4に示すように電流を注入しないと入射した光を吸収する(OFF状態)が、電流を注入すると注入電流に応じた利得(入力信号光に対する光学利得)を持つ(ON状態)。
【0037】
この場合、半導体光増幅部31の吸収特性が変化する波長範囲の下限λminは、図5に例示されるように、部分的に使用される波長多重信号光107(光信号107a)の波長範囲の長波長側の近傍に設定されている。これにより、部分的に使用される光信号107aが吸収特性の影響を受けることはない。
【0038】
なお、半導体光増幅器における注入電流による増幅/吸収特性の制御については、半導体フォトニクス工学:池上、土屋、三上(コロナ社)P442、あるいは、S.Oku et al:“Design and
performance of monolithic LD optical matrix switches”, Photon.Switching '90, Tech
.Dig.,13C-17(1990)、等の文献に記載がある。
【0039】
図1の構成の光増幅装置108において装置制御部40からの波長数情報(実際に使用されている波長数の情報)を元に、半導体光増幅制御部32において少数波長時には半導体光増幅部31が図5に示す利得、吸収特性を示す様に制御電流32aにて電流制御することにより、ASS,ASE光等の雑音光成分を低減し、少数波長時に信号光と雑音光の比率を変化させ、光パワーモニタ部15において、信号断時に確実に断検出をモニタする。
【0040】
以下、本実施の形態の作用の一例を、図7のフローチャート等を参照して説明する。
まず、光波長多重伝送システム100の稼働に先立って、光合波器102、光分波器105の機構的な仕様により利用可能な最大の光信号107aの数(K)のうち、いくつを実際に使用するかが決定され、この値(S)が、波長数情報として、装置制御部40に設定されている。
【0041】
そして、個々の光増幅装置108では、装置制御部40から波長数Sの情報を読み出し(ステップ201)、波長数Sが断検出可能波長数mより小さければ、半導体光増幅器30の半導体光増幅部31に対する電流注入をOFFとし(ステップ207)、図5に例示されるように、使用される光信号107aよりも長波長側の帯域で吸収特性を示すように半導体光増幅部31を制御する(ステップ209)。
【0042】
この半導体光増幅部31の制御により、半導体光増幅部31を通過した後の波長多重信号光107では、使用している光信号107a以外の波長域におけるASE、ASSの光量が削減され、光信号107aに対するノイズ光(ASE、ASS)の光量が小さくなり、ノイズ光の影響を受けることなく、光パワーモニタ部15における波長多重信号光107(光信号107aの和)の光量の閾値による大小判定に基づく断検出を正確に行うことが可能になる。
【0043】
ステップ206で、波長数Sが断検出可能波長数mより多ければ、半導体光増幅器30の半導体光増幅部31に対する電流注入をONとし(ステップ208)、図6の多波長時の増幅特性を示すように半導体光増幅器30を制御する。これにより、使用されている複数の光信号107a(波長多重信号光107)はすべて半導体光増幅部31を通過し、波長多重信号光107の伝送が阻害されることはない。
【0044】
また、上述のステップ201、ステップ206〜ステップ209の処理と並行して、ラマン増幅器10用の励起光源12を制御し(ステップ202)、光パワーモニタ部15で光レベルを監視し(ステップ203)、一定のレベルを超えてからEDFA部20による増幅制御を行う(ステップ204)。
【0045】
また、光スペクトルアナライザ23の光SN情報等をラマン増幅制御部13にフィードバックする制御を行い、ラマン増幅器10の励起光源12を制御することによりチルト制御(波長多重信号光107に含まれる複数の光信号107aの信号レベルを揃える制御)を行う(ステップ205)。
【0046】
このように、本実施の形態によれば、光信号107aの数が少ない状態で光波長多重伝送システム100を稼働させる場合でも、ASEやASS等のノイズ光の影響を受けることなく、光増幅装置108における波長多重信号光107の断検出を正確に行うことが可能になる。
【0047】
図8は、光パワーモニタ部15にてモニタされる波長多重信号光107の光量の変化を示す説明図である。少数波長時において、本実施の形態の半導体光増幅器30を設けない場合は、左端のように、光スペクトルアナライザ23からの光スペクトルや光SN等の出力情報をラマン増幅制御部13にフィードバックしてASE、ASSのノイズ光を減少させても、実際の伝送路(実伝送路)内では、当該ノイズ光の光量は、信号断検出の閾値を超えてしまい、正確な断検出は困難となる。
【0048】
これに対して、図8の中央のように、本実施の形態の半導体光増幅器30を機能させてノイズ光の吸収を行った場合には、実伝送路内では、当該ノイズ光の光量は、信号断検出の閾値を超えることはなく、図8の右端のように光伝送路104の断線等の原因で波長多重信号光107が消失した場合には、ノイズ光を含む波長多重信号光107のレベルは信号断検出閾値を確実に下回り、光パワーモニタ部15にて正確に断検出が行われる。
【0049】
次に、本実施の形態の変形例について説明する。図9は、本実施の形態の変形例の光増幅装置108の構成を示す概念図である。
この図9の構成例では、半導体光増幅器30Aは、半導体光増幅部31と、この半導体光増幅部31に対する制御光33aの入力を行う制御光源33と、この制御光源33を制御する半導体光増幅光制御部34を備えている。そして、制御光源33から半導体光増幅部31に入力される制御光33aにて、半導体光増幅部31における光の増幅/吸収の帯域制御を行う。
【0050】
半導体光増幅部31の構成は、図3に例示したものと同様であり、活性層31aに対して、制御光33aを注入することにより、光の増幅/吸収の帯域制御を行う。
すなわち、半導体光増幅部31の活性層31aの屈折率はキャリア密度に依存している。定常状態で電流注入されている半導体光増幅部31(SOA)に十分な強度の光の注入を行うと、キャリア再結合によりキャリア密度が減少し、光注入を中止すると元の状態に増加する。従って、活性層31aに対する光(制御光33a)の注入のON、OFFによりキャリア密度を変化させ、半導体活性層31aの屈折率を変化させることができる。
【0051】
このことを図10を参照して説明する。波長多重信号光107の波長をλs、制御光33aの波長をλcとすると、十分な強度の制御光33a(λs<λc)を半導体光増幅部31に入射すると、誘導放出により、伝導帯下端付近のキャリアが価電子帯に緩和し、伝導帯下端付近のキャリア密度が減少してホールバーニングが発生する。信号光に対する準位も含め、伝導帯内の準位にある電子は、ホールバーニングを埋めるべく制御光準位に緩和するために制御光強度に応じて信号光に対する利得は減少する。半導体光増幅部31としては、図3の場合と同様に、半導体光増幅媒体である半導体光増幅部31としては、例えばレーザダイオードの端面に無反射コートを施し、等価的にミラー機能を除去したInGaAsPダブルヘテロ型半導体レーザを用いることができる。
【0052】
図11に、半導体光増幅部31における利得スペクトルの変化と信号光波長における利得変化の関係を示す。制御光33a(λc)、波長多重信号光107(λs)の各波長は増幅媒質の利得スペクトルにより決められる。利得スペクトルはキャリア密度Nにより決定され低密度(N1)の場合、信号光は吸収されL1の損失となる。
【0053】
なお、光による半導体光増幅器の制御については、特公平7−111528号公報に記載がある。
図9の構成の光増幅装置108において、装置制御部40からの波長数情報(m)を元に、半導体光増幅光制御部34において少数波長時(S<m)には半導体光増幅部31が、図5に示す利得、吸収特性を示す様に制御光33aにて光制御することにより、ASS,ASE光等の雑音光成分を低減し、少数波長時に信号光と雑音光の比率を変化させ、波長多重信号光107の信号断時に確実に断検出をモニタすることが可能となる。
【0054】
図12に光増幅装置108の動作のフローチャートを示す。上述の図7のフローチャートとほぼ同様であり、当該図7のフローチャートのステップ209における制御電流32aによる半導体光増幅部31の増幅/吸収特性の制御の代わりに、半導体光増幅光制御部34による制御光33aの制御によって(ステップ209a)、半導体光増幅部31の増幅/吸収特性の制御を行う点が異なっている。
【0055】
この実施の形態の場合にも、少数波長時(S<m)において、ASEやASS等のノイズ光の影響を受けることなく、光パワーモニタ部15による波長多重信号光107の断検出を正確に行うことが可能になる。
【0056】
次に、本実施の形態のさらに他の変形例について説明する。
この変形例では、半導体光増幅部31として、図13に例示される構造の半導体光増幅部31を用いる。この場合、半導体光増幅部31は、多重量子井戸構造31eからなる半導体活性層がP電極31fおよびN電極31gで挟まれた構造を呈しており、外部からP電極31fおよびN電極31gに電界が作用される構成となっている。
【0057】
多重量子井戸(MQW)構造をもつ半導体活性層(多重量子井戸構造31e)では励起子吸収が観測され、この吸収ピーク波長は井戸層に垂直な方向に電界を掛けられると、電界強度の2乗に比例して(図14参照)、図15に例示されるように、長波長側にシフトする(量子閉じ込めシュタルク効果QCSE)。
【0058】
すなわち、量子井戸(QW:Quantum Well)半導体構造では、その薄い層構造に垂直に電界を加えたとき、量子井戸に閉じ込められた励起子が、かなり高い電界のもとで壊れずに存在し、結果として電界強度の2乗に比例した長波長側への鋭い吸収端のシフトが見られる(QCSE)。吸収媒体(半導体光増幅部31)としてInGaAs/InAlAsのMQWを用いた場合、電圧を一方向に印加した場合、入力光は吸収される。
【0059】
なお、電界の印加による吸収波長帯域のシフトに関しては、たとえば、半導体フォトニクス工学:池上、土屋、三上(コロナ社)P421、等の文献に記載がある。
図1の光増幅装置108において、半導体光増幅部31として、活性層に、図13に例示される構造の多重量子井戸構造31eを備えた構成とし、制御電流32aの制御の代わりに半導体光増幅制御部32から印加電圧を制御する。
【0060】
すなわち、装置制御部40からの波長数情報を元に、少数波長時(S<m)には半導体光増幅器の代わりにMQWで構成された光変調部が図5に示す利得、吸収特性を示す様に電界制御する。これにより、波長多重信号光107に含まれる、必要な帯域外のASS,ASE光等の雑音光成分を吸収して低減させ、波長多重信号光107と雑音光の比率を変化させ、光パワーモニタ部15にて波長多重信号光107の信号断時に確実に断検出を行う。
【0061】
同様な効果を得るためにQCSEの代わりにフランツ・ケルディシュ効果(FK)によるInGaAs/InP系半導体を用いても良い。
図15に示すようにMQWを用いた半導体光増幅部31(光変調器)は光吸収電流に波長依存性がある。この特性を利用して上述の図13の構成において、図6に示す様に少数波長時(S<m)は半導体増幅器がλminにおいて吸収特性を示すように電界制御を行い、多数波長時(S≧m)においては信号波長領域において増幅特性を示す様に電界制御を行うこともできる。
【0062】
すなわち、図6(a)に示す様な少数波長時には、印加電界を(+)側に大きくして、短波長側にシフトさせ、少数の光信号107aの帯域の外側近傍にλminが位置するように制御して、波長多重信号光107に含まれる、必要な帯域外のASS,ASE光等の雑音光成分を吸収して低減させ、波長多重信号光107と雑音光の比率を変化させ、光パワーモニタ部15にて波長多重信号光107の信号断時に確実に断検出を行う。
【0063】
また、使用する光信号107aが多数(S≧m)の場合には、図6(b)に示されるように、多重量子井戸構造31eに対する印加電界を(−)側に大きくして、吸収帯域を長い波長側にシフトさせ、波長多重信号光107の帯域全体が、多重量子井戸構造31eの利得域に入るように制御する。
【0064】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、少数波長時においても信号断検出を行うことが可能となり、光出力遮断制御(Automatic Power ShutDown)を確実に行うことが可能となる効果がある。また、従来、少数波長時(S<m)には波長多重信号光107に対してASE光の比率が大きいため光SN劣化を改善するために行っていたASE補正制御が不用となり、光波長多重伝送システム100や光増幅装置108等の装置立上げの高速化を実現できる効果がある。逆に多数波長時(S≧m)には半導体光増幅器30の本来の増幅特性領域に制御することにより更なる長距離伝送を行うことが可能となる。
【0065】
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
(付記1)
波長の異なる複数の信号光が伝送される光伝送路に配置される光増幅装置であって、
前記光伝送路に配置された第1光増幅器と、前記第1光増幅器を制御するために前記第1光増幅器の下流側に設けられた光パワーモニタ部と、前記第1光増幅器と前記光パワーモニタ部との間に配置され、光の増幅帯域および吸収帯域を可変に制御可能な第2光増幅器と、を含むことを特徴とする光増幅装置。
【0066】
(付記2)
付記1記載の光増幅装置において、
前記第1光増幅器は、前記光伝送路に励起光を注入することで前記信号光の増幅を行うラマン増幅器であり、前記第2光増幅器は、半導体光増幅器であり、使用される前記信号光の数の増減に応じて、波長の異なる複数の前記信号光のうちで使用される前記信号光以外の帯域の光の通過を制限するように、前記半導体光増幅器の吸収特性領域が設定されることを特徴とする光増幅装置。
【0067】
(付記3)
付記1記載の光増幅装置において、
前記光伝送路における前記光パワーモニタ部の下流側に、前記信号光の増幅を行う第3光増幅器をさらに備え、前記光パワーモニタ部にて前記第3光増幅器が制御されることを特徴とする光増幅装置。
【0068】
(付記4)
波長の異なる複数の信号光が伝送される光伝送路に配置されるラマン増幅器であって、
励起光を前記光伝送路に注入するための合波部と前記ラマン増幅器を制御するために前記合波部の下流側に設けられた光パワーモニタ部との間に、半導体光増幅器を配置したことを特徴とするラマン増幅器。
【0069】
(付記5)
付記4記載のラマン増幅器において、波長の異なる複数の前記信号光のうち使用される前記信号光の帯域外に前記半導体光増幅器の吸収特性領域が設定されることを特徴とするラマン増幅器。
【0070】
(付記6)
付記4記載のラマン増幅器において、
前記半導体光増幅器に加えられる電流を制御することで、使用される前記信号光の帯域外に前記半導体光増幅器の吸収特性領域が設定されることを特徴とするラマン増幅器。
【0071】
(付記7)
付記4記載のラマン増幅器において、
前記半導体光増幅器に制御光を加えることで、使用される前記信号光の帯域外に前記半導体光増幅器の吸収特性領域が設定されることを特徴とするラマン増幅器。
【0072】
(付記8)
付記4記載のラマン増幅器において、
前記半導体光増幅器は、多重量子井戸構造を持つ活性層を備え、前記活性層に印加される電界を制御することで、前記活性層の光吸収係数を制御し、使用される前記信号光の帯域外に前記半導体光増幅器の吸収特性領域が設定されることを特徴とするラマン増幅器。
【0073】
(付記9)
信号光が伝送される光伝送路と、波長の異なる複数の前記信号光を統合して前記光伝送路に送り込む合波器と、前記光伝送路から波長の異なる複数の前記信号光を分岐して取り出す分波器と、前記光伝送路上に設けられ、前記信号光の増幅を行う光増幅装置とを含む光波長多重伝送システムであって、
前記光増幅装置は、
前記光伝送路に配置された第1光増幅器と、前記第1光増幅器を制御するために前記第1光増幅器の下流側に設けられた光パワーモニタ部と、前記第1光増幅器と前記光パワーモニタ部との間に配置され、光の増幅帯域および吸収帯域を可変に制御可能な第2光増幅器と、を含むことを特徴とする光波長多重伝送システム。
【0074】
(付記10)
付記9記載の光波長多重伝送システムにおいて、
前記第1光増幅器は、ラマン増幅器であり、前記第2光増幅器は半導体光増幅器であり、前記半導体光増幅器の活性層に印加される電流または光または電界を制御することで、波長の異なる複数の前記信号光のうちで使用される前記信号光以外の帯域の光の通過を制限するように、前記半導体光増幅器の吸収特性領域が設定されることを特徴とする光波長多重伝送システム。
【0075】
(付記11)
波長の異なる複数の信号光が伝送される光伝送路にラマン増幅器を配置して前記信号光の増幅を行う光波長多重伝送方法であって、
前記光伝送路に対するラマン励起光の合波部と光パワーモニタ部との間に半導体光増幅器を配置し、使用される前記信号光の数の増減に応じて、使用される前記信号光の帯域外の光を前記半導体光増幅器にて吸収することを特徴とする光波長多重伝送方法。
【0076】
(付記12)
付記11記載の光波長多重伝送方法において、
使用される前記信号光の増減に応じて、前記半導体光増幅器の吸収特性領域が前記信号光の帯域外となるように前記半導体光増幅器に印加される電流を制御することを特徴とする光波長多重伝送方法。
【0077】
(付記13)
付記11記載の光波長多重伝送方法において、
使用される前記信号光の増減に応じて、前記半導体光増幅器の吸収特性領域が前記信号光の帯域外となるように、前記半導体光増幅器に加えられる制御光を制御することを特徴とする光波長多重伝送方法。
【0078】
(付記14)
付記11記載の光波長多重伝送方法において、
前記半導体光増幅器は、多重量子井戸(MQW)構造をもつ活性層を備え、使用される前記信号光の増減に応じて、前記半導体光増幅器の吸収特性領域が前記信号光の帯域外となるように、前記活性層に印加される電界を制御して、前記活性層の光吸収係数を制御することを特徴とする光波長多重伝送方法。
【0079】
(付記15)
複数の信号光が伝送される光伝送路に対するラマン励起光の合波部と光パワーモニタ部および希土類添加光ファイバ増幅器との間に半導体光増幅器を配置したことを特徴とするラマン増幅器。
【0080】
(付記16)
付記15記載のラマン増幅器において、
使用される前記信号光の増減に応じて、前記半導体光増幅器の吸収特性領域が前記信号光の帯域外となるように前記半導体光増幅器に印加される電流を制御することにより、ASE(Amplified Spontaneous Emission)およびASS(Amplified Spontaneous Raman Scattering)光量を低減し、前記信号光の断検出を確実に行うことを特徴とするラマン増幅器。
【0081】
(付記17)
付記15記載のラマン増幅器において、
使用される前記信号光の増減に応じて、前記半導体光増幅器の吸収特性領域が前記信号光の帯域外となるように、前記半導体光増幅器に加えられる制御光を制御することにより、ASEおよびASS光量を低減し、前記信号光の断検出を確実に行うことを特徴とするラマン増幅器。
【0082】
(付記18)
付記15記載のラマン増幅器において、
前記半導体光増幅器は、多重量子井戸(MQW)構造をもつ活性層を備え、使用される前記信号光の増減に応じて、前記半導体光増幅器の吸収特性領域が前記信号光の帯域外となるように、前記活性層に印加される電界を制御して、前記活性層の光吸収係数を制御することにより、ASEおよびASS光量を低減し、前記信号光の断検出を確実に行うことを特徴とするラマン増幅器。
【0083】
(付記19)
付記15記載のラマン増幅器において、
前記半導体光増幅器は、多重量子井戸(MQW)構造をもつ活性層を備え、複数の前記信号光の波長域の長波長端の外側近傍のλminにおいて吸収特性を示すように電界制御を行い、任意の波長から吸収、増幅を行うことを特徴とするラマン増幅器。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施の形態である光増幅装置の構成の一例を示す概念図でである。
【図2】本発明の一実施の形態である光増幅装置を含む光波長多重伝送システムの構成の一例を示す概念図である。
【図3】本発明の一実施の形態である光増幅装置を構成する半導体光増幅器の構成の一例を示す略断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態である光増幅装置を構成する半導体光増幅器の特性を示す線図である。
【図5】本発明の一実施の形態である光増幅装置を構成する半導体光増幅器によるノイズ光の吸収の一例を示す説明図である。
【図6】(a)および(b)は、本発明の一実施の形態である光増幅装置を構成する半導体光増幅器の少数波長時および多波長時における作用の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態である光増幅装置の作用の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態である光増幅装置の断検出の作用の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施の形態である光増幅装置の構成の変形例を示す概念図でである。
【図10】本発明の一実施の形態である光増幅装置の構成の変形例を構成する半導体光増幅器の作用の一例を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施の形態である光増幅装置の構成の変形例を構成する半導体光増幅器の作用の一例を示す線図である。
【図12】本発明の一実施の形態である光増幅装置の構成の変形例を構成する半導体光増幅器の作用の一例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施の形態である光増幅装置の構成の変形例を構成する半導体光増幅器の構成の一例を示す断面図である。
【図14】本発明の一実施の形態である光増幅装置の構成の変形例を構成する半導体光増幅器の構成の一例を示す線図である。
【図15】本発明の一実施の形態である光増幅装置の構成の変形例を構成する半導体光増幅器の構成の一例を示す線図である。
【図16】(a)および(b)は、本発明の参考技術である光波長多重伝送システムにおける技術的課題を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0085】
10 ラマン増幅器
11 合波器
12 励起光源
12a 励起光
13 ラマン増幅制御部
14 分岐器
15 光パワーモニタ部
15a 断検出信号
20 EDFA部
21 EDFA
22 EDFA制御部
23 光スペクトルアナライザ
30 半導体光増幅器
30A 半導体光増幅器
31 半導体光増幅部
31a 活性層
31b P型半導体層
31c N型半導体層
31d 電極
31e 多重量子井戸構造
31f P電極
31g N電極
32 半導体光増幅制御部
32a 制御電流
33 制御光源
33a 制御光
34 半導体光増幅光制御部
40 装置制御部
100 光波長多重伝送システム
101 電気/光変換器
102 光合波器
103 送信元増幅器
104 光伝送路
105 光分波器
106 光/電気変換器
107 波長多重信号光
107a 光信号
108 光増幅装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長の異なる複数の信号光が伝送される光伝送路に配置される光増幅装置であって、
前記光伝送路に配置された第1光増幅器と、前記第1光増幅器を制御するために前記第1光増幅器の下流側に設けられた光パワーモニタ部と、前記第1光増幅器と前記光パワーモニタ部との間に配置され、光の増幅帯域および吸収帯域を可変に制御可能な第2光増幅器と、を含むことを特徴とする光増幅装置。
【請求項2】
波長の異なる複数の信号光が伝送される光伝送路に配置されるラマン増幅器であって、
励起光を前記光伝送路に注入するための合波部と前記ラマン増幅器を制御するために前記合波部の下流側に設けられた光パワーモニタ部との間に、半導体光増幅器を配置したことを特徴とするラマン増幅器。
【請求項3】
信号光が伝送される光伝送路と、波長の異なる複数の前記信号光を統合して前記光伝送路に送り込む合波器と、前記光伝送路から波長の異なる複数の前記信号光を分岐して取り出す分波器と、前記光伝送路上に設けられ、前記信号光の増幅を行う光増幅装置とを含む光波長多重伝送システムであって、
前記光増幅装置は、
前記光伝送路に配置された第1光増幅器と、前記第1光増幅器を制御するために前記第1光増幅器の下流側に設けられた光パワーモニタ部と、前記第1光増幅器と前記光パワーモニタ部との間に配置され、光の増幅帯域および吸収帯域を可変に制御可能な第2光増幅器と、を含むことを特徴とする光波長多重伝送システム。
【請求項4】
波長の異なる複数の信号光が伝送される光伝送路にラマン増幅器を配置して前記信号光の増幅を行う光波長多重伝送方法であって、
前記光伝送路に対するラマン励起光の合波部と光パワーモニタ部との間に半導体光増幅器を配置し、使用される前記信号光の数の増減に応じて、使用される前記信号光の帯域外の光を前記半導体光増幅器にて吸収することを特徴とする光波長多重伝送方法。
【請求項5】
複数の信号光が伝送される光伝送路に対するラマン励起光の合波部と光パワーモニタ部および希土類添加光ファイバ増幅器との間に半導体光増幅器を配置したことを特徴とするラマン増幅器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図10】
image rotate

【図13】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2006−66610(P2006−66610A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−246864(P2004−246864)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】