説明

光学フィルム用樹脂組成物及びその積層体

【課題】 明所でのコントラストを向上させて視認性を改善させ、かつ外部からの紫外線などによる発光輝度の低下や発光色の退色を防止し、繰り返し使用時での安定性や耐久性に優れた、有機EL素子用の樹脂組成物の提供を目的とする。
【解決手段】α,β−不飽和化合物を重合させてなる共重合体であって、プロペン酸、2−メチルプロペン酸、プロペン酸誘導体、2−メチルプロペン酸誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物及び/またはアルケニル基含有化合物を含んでなる共重合体(A)、特定の構造を有するβジケトン化合物(B)及び共重合体(A)中の官能基と反応し得る反応性化合物(C)を含むことを特徴とする樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、明所でのコントラストを向上させて視認性を改善させ、かつ外部からの紫外線などによる発光輝度の低下や発光色の退色を防止し、繰り返し使用時での安定性や耐久性に優れた、有機EL素子用の樹脂組成物に関する。詳しくは、本発明は、被着体との密着性、耐熱性、耐湿熱性および透明性だけでなく、紫外線遮蔽能にも優れた樹脂層を形成し得る樹脂組成物およびそれを用いてなる積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレクトロルミネッセンス素子(以下、「EL素子」と略記する。)は自己発光性であるため視認性が高く、かつ完全固体素子であるため、耐衝撃性に優れるとともに、取扱いが容易であることから、各種表示装置における発光素子としての利用が注目されている。EL素子には、発光材料に無機物質を用いた無機EL素子と有機物質を用いた有機EL素子とがあり、このうち、有機EL素子は、印加電圧を大幅に低くしうるために、その実用化研究が積極的になされている。
【0003】
有機物質を使用したEL素子(以下、「有機EL素子」と略記する。)は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子としての用途が有望視され、多くの開発が行われている。一般にELは、発光層および該層をはさんだ一対の対向電極から構成されている。発光は、両電極間に電界が印加されると、陰極側から電子が注入され、陽極側から正孔が注入される。さらに、この電子が発光層において正孔と再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出する現象である。
【0004】
従来の有機EL素子は、無機EL素子に比べて駆動電圧が高く、発光輝度や発光効率も低かった。また、特性劣化も著しく実用化には至っていなかった。近年、10V以下の低電圧で発光する高い発光効率を持った有機化合物を含有した薄膜を積層した有機EL素子が報告され、関心を集めている(例えば、非特許文献1参照。)。
この方法では、金属キレート錯体を蛍光体層、アミン系化合物を正孔注入層に使用して、高輝度の緑色発光を得ており、6〜7Vの直流電圧で輝度は100cd/m2 、最大発光効率は1.5lm/Wを達成して、実用領域に近い性能を持っている。このような有機EL素子を実用に供する場合、単色のみでなく、赤,緑,青の3原色や白色などの各色を揃えることが望ましく、従来、各色ごとに発光材料の研究がなされてきた。
【0005】
有機EL素子の構造としては、陽極と陰極間に一層もしくは多層の有機薄膜を形成した素子であり、一層型の場合、陽極と陰極との間に発光層を設けている。多層型は、(陽極/正孔注入層/発光層/陰極)、(陽極/発光層/電子注入層/陰極)、(陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極)の多層構成で積層したもの等がある。しかしながら、現在までの有機EL素子は、構造の改善により発光強度は改良されているが、外部からの光にも反応するため、例えば蛍光灯などの照明下や太陽光下においては、発光素子が点灯しているかどうかの視認性が低下する。すなわち、通常の使用環境では、発光素子の非点灯時にも外部からの光により発光層が励起され、本来の点灯時と非点灯時の明るさの比が低下するのを免れず、このため、明所でのコントラストが低下し、表示品質が悪いものになるという問題が生じる。
【0006】
さらに、このような有機EL素子の多層構造を組み合わせたものを、外部からの紫外線に対し、特に日光の290nm〜400nmの波長を有する不可視の紫外(UV)線等に長時間曝露した場合、発光層中の発光材料や、正孔注入層や正孔輸送層中の有機材料に変質が起こり、発光の退色や発光輝度の低下が生じる。この現象は、長期間の自然光による露光により、所定の輝度や発光色が得られなくなるという不都合を生じ、繰り返し使用時の安定性に劣るという大きな問題を持っている。
【0007】
前記したように、繰り返し使用時での安定性や耐久性の優れた、更に視認性の良好な有機EL素子の開発のためには、波長が400nm以下の紫外線遮蔽能を付与することが必須であり、これらの問題を解決するために、様々な構成が提案されてきた。
【0008】
例えば、塗料及び各種の樹脂に2−シアノプロペン酸エステル系紫外線吸収剤を添加して耐光性を向上させることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
例えば、紫外線吸収剤としてジフェニルメタノン系材料を使用して、紫外線吸収機能をガラス層に付与したり、あるいは樹脂層として発光変換膜に紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を配合して紫外線遮蔽を施すことが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0010】
例えば、高分子材料にヒンダートアミン系光安定剤とオリゴマー化されたジフェニルメタノン系紫外線吸収剤とを含有して、長期の耐候性を向上することが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0011】
例えば、液晶表示装置において、紫外線吸収手段としてフィルム層にジフェニルメタノン系、ベンゾトリアゾール系またはサリチル酸フェニル系の材料を練り込んだり、コーティングしたりすることが知られている。(例えば、特許文献4参照。)。
【0012】
例えば、高分子材料にトリアジン系紫外線吸収剤を含有して、長期の耐光性を付与した組成物などが知られている(例えば、特許文献5参照。)。
【0013】
例えば、接着性のある樹脂に光安定のs−トリアジン紫外線吸収剤またはそれらの混合物を配合した組成物や積層体が知られている(例えば、特許文献6参照。)。
【0014】
例えば、接着性のある樹脂に耐久性及び波長が350nm〜400nmの範囲での吸収を有する有効量のベンゾトリアゾール紫外線吸収剤を配合した組成物や積層体が知られている(例えば、特許文献7参照。)。
【0015】
例えば、紫外線吸収剤としてベンゾオキサジン系化合物を含有するポリエステルを主要構成成分としたポリエステルフィルムの少なくとも片面に皮膜を塗設した接着性積層フィルムが知られている(例えば、特許文献8参照。)。
【0016】
例えば、蛍光染料やジフェニルメタノン系紫外線吸収剤を配合した接着性組成物や積層体が知られている(例えば、特許文献9参照。)。
【0017】
しかしながら、これらに使用されている紫外線遮蔽剤は、ベンゾトリアゾール系,ベンゾオキサジン系、サリチル酸エステル系,ジフェニルメタノン系,2−シアノプロペン酸エステル系等であり、380nm以下の波長に対する遮蔽能は充分に有するが、有機EL素子の耐久性を左右する、波長が380〜400nmの範囲の光を遮蔽するには不十分である。上記の紫外線遮蔽剤の中で380〜400nmの波長の光を遮蔽できる紫外線遮蔽剤については、420nm以上の波長の光も吸収してしまい、紫外線遮蔽剤自体が黄色く着色するという問題がある。また、透明ではあるが遮蔽剤自体が劣化するという問題もあり、また使用量が少ないと紫外線遮断効果が不十分であり、多い場合はマイグレーションする問題も避けて通ることができないため、繰り返し使用時での安定性や耐久性に優れ、視認性の良好な有機EL素子は得られていないのが現状である。
【特許文献1】特開平7−102239号公報
【特許文献2】特開平9−115668号公報
【特許文献3】特開平9−194740号公報
【特許文献4】特開平9−325333号公報
【特許文献5】特開平10−17557号公報
【特許文献6】特表2002−543265号公報
【特許文献7】特表2002−543266号公報
【特許文献8】特開2003−171487号公報
【特許文献9】特表2004−182822号公報
【非特許文献1】アプライド・フィジクス・レターズ、51巻、913ページ、1987年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、このような状況下で、明所でのコントラストを向上させて視認性を改善させ、かつ外部からの紫外線などによる発光輝度の低下や発光色の退色を防止し、繰り返し使用時での安定性や耐久性に優れた有機EL素子用の樹脂組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記問題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に達した。
即ち、本発明は、α,β−不飽和化合物を重合させてなる共重合体であって、プロペン酸、2−メチルプロペン酸、プロペン酸誘導体、2−メチルプロペン酸誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物及び/またはアルケニル基含有化合物を含んでなる共重合体(A)、一般式(I)で示される化合物(B)及び共重合体(A)中の官能基と反応し得る反応性化合物(C)を含むことを特徴とする樹脂組成物に関する。
[一般式(I)中、R1〜R10はH、OH、COOH、CH2CH2CH2−DMSi(DMSi:ジメチルポリシロキシ基)、アミン系官能基、炭素数1〜26である直鎖もしくは分岐鎖状あるいは脂環状炭化水素基、炭素数1〜26であるアルコキシ基及び炭素数2ないし3であるポリオキシアルキレン基から選ばれるいずれかであり、更に、R1、R6はヘテロ原子を含んでいても良い環状炭化水素基または環状炭化水素のアルコキシ基であっても良い。]
【0020】
【化2】

【0021】
また、本発明は、共重合体(A)100重量部に対して化合物(B)0.01〜20重量部及び反応性化合物(C)0.001〜20重量部を含むことを特徴とする上記発明の樹脂組成物に関する。
【0022】
また、本発明は、共重合体(A)中の官能基がカルボキシル基及び/またはヒドロキシル基であることを特徴とする上記発明の樹脂組成物に関する。
【0023】
また、本発明は、共重合体(A)中のカルボキシル基がプロペン酸及び/または2−メチルプロペン酸から由来することを特徴とする上記発明の樹脂組成物に関する。
【0024】
また、本発明は、共重合体(A)を構成するα,β−不飽和化合物の合計100重量%中、反応性化合物(C)と反応し得る官能基を有する化合物を0.01〜20重量%の割合で含むことを特徴とする上記発明の樹脂組成物に関する。
【0025】
また、本発明は、反応性化合物(C)が、共重合体(A)中の官能基と反応し得る官能基を1分子中に2個以上有することを特徴とする上記発明の樹脂組成物に関する。
【0026】
また、本発明は、共重合体(A)100重量部に対して、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光増白剤から選ばれるいずれかの1種以上を0.001〜20重量部含むことを特徴とする上記発明の樹脂組成物に関する。
【0027】
また、本発明は、樹脂組成物が光学用感圧式接着剤組成物であることを特徴とする上記発明の樹脂組成物に関する。
【0028】
さらに、本発明は、上記発明の光学用感圧式接着剤組成物から形成される樹脂層及び光学部材とからなることを特徴とする樹脂積層体に関する。
【0029】
さらにまた、本発明は、有機エレクトロルミネッセンス用ガラス部材、上記発明の光学用感圧式接着剤組成物から形成される樹脂層及び光学部材が順次積層されてなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスセル用部材に関する。
【発明の効果】
【0030】
本発明の樹脂組成物を用いることにより、特に明所でのコントラストを向上させて視認性を改善させ、かつ外部からの紫外線などによる発光輝度の低下や発光色の退色を防止し、繰り返し使用時での安定性や耐久性に優れた、有機EL素子用の光学部材を提供できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明に用いられる共重合体(A)は、分子内に重合性のα,β−不飽和二重結合を保有する化合物を重合させてなる共重合体であり、前記α,β−不飽和二重結合を保有する化合物がプロペン酸、2−メチルプロペン酸、プロペン酸誘導体、2−メチルプロペン酸誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物及び/またはアルケニル基含有化合物を含んでなるものであれば特に制限はない。
プロペン酸誘導体あるいは2−メチルプロペン酸誘導体としては、例えば、(2−メチル)プロペン酸メチル〔プロペン酸メチルと2−メチルプロペン酸メチルとを併せて「(2−メチル)プロペン酸メチル」と表記する。以下同様。〕、(2−メチル)プロペン酸エチル、(2−メチル)プロペン酸1−プロピル、(2−メチル)プロペン酸2−プロピル、(2−メチル)プロペン酸n−ブチル、(2−メチル)プロペン酸sec−ブチル、(2−メチル)プロペン酸iso−ブチル、(2−メチル)プロペン酸tert−ブチル、(2−メチル)プロペン酸n−アミル、(2−メチル)プロペン酸iso−アミル、(2−メチル)プロペン酸n−ヘキシル、(2−メチル)プロペン酸2−エチルヘキシル、(2−メチル)プロペン酸n−オクチル、(2−メチル)プロペン酸iso−オクチル、(2−メチル)プロペン酸n−ノニル、(2−メチル)プロペン酸iso−ノニル、(2−メチル)プロペン酸デシル、(2−メチル)プロペン酸ドデシル、(2−メチル)プロペン酸オクタデシル、(2−メチル)プロペン酸ラウリル、(2−メチル)プロペン酸ステアリルなどの(2−メチル)プロペン酸アルキルエステル類;
【0032】
例えば、(2−メチル)プロペン酸シクロヘキシル、(2−メチル)プロペン酸ベンジル、(2−メチル)プロペン酸iso−ボニル、(2−メチル)プロペン酸フェニル、(2−メチル)プロペン酸2−フェノキシエチル、(2−メチル)プロペン酸2-オキソ-1,2-フェニルエチル、(2−メチル)プロペン酸2-オキソ-1,2-ジフェニルエチルなどの(2−メチル)プロペン酸環状エステル類;
【0033】
例えば、(2−メチル)プロペン酸アリル、(2−メチル)プロペン酸1−メチルアリル、(2−メチル)プロペン酸2−メチルアリル、(2−メチル)プロペン酸1−ブテニル、(2−メチル)プロペン酸2−ブテニル、(2−メチル)プロペン酸3−ブテニル、(2−メチル)プロペン酸1,3−メチル−3−ブテニル、(2−メチル)プロペン酸2−クロルアリル、(2−メチル)プロペン酸3−クロルアリル、(2−メチル)プロペン酸−o−アリルフェニル、(2−メチル)プロペン酸2−(アリルオキシ)エチル、(2−メチル)プロペン酸アリルラクチル、(2−メチル)プロペン酸シトロネリル、(2−メチル)プロペン酸ゲラニル、(2−メチル)プロペン酸ロジニル、(2−メチル)プロペン酸シンナミル、(2−メチル)プロペン酸ビニル等のさらに不飽和基を含有する(2−メチル)プロペン酸エステル類;
【0034】
例えば、(2−メチル)プロペン酸パーフルオロメチル、(2−メチル)プロペン酸パーフルオロエチル、(2−メチル)プロペン酸パーフルオロプロピル、(2−メチル)プロペン酸パーフルオロブチル、(2−メチル)プロペン酸パーフルオロオクチル、(2−メチル)プロペン酸トリフルオロメチルメチル、(2−メチル)プロペン酸2−トリフルオロメチルエチル、(2−メチル)プロペン酸ジパーフルオロメチルメチル、(2−メチル)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(2−メチル)プロペン酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(2−メチル)プロペン酸トリパーフルオロメチルメチル、(2−メチル)プロペン酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(2−メチル)プロペン酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(2−メチル)プロペン酸2−パーフルオロデシルエチル、(2−メチル)プロペン酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどの(2−メチル)プロペン酸パーフルオロアルキルエステル類;
【0035】
例えば、(2−メチル)プロペン酸2−ヒドロキシエチル、(2−メチル)プロペン酸1−ヒドロキシプロピル、(2−メチル)プロペン酸2−ヒドロキシプロピル、(2−メチル)プロペン酸2−メトキシエチル、(2−メチル)プロペン酸2−エトキシエチル、(2−メチル)プロペン酸2−ヒドロキシブチル、(2−メチル)プロペン酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基もしくはアルコキシ基含有(2−メチル)プロペン酸エステル類;
【0036】
例えば、(2−メチル)プロペン酸N−メチルアミノエチル、(2−メチル)プロペン酸N−トリブチルアミノエチル、(2−メチル)プロペン酸N,N−ジメチルアミノエチル、(2−メチル)プロペン酸N,N−ジエチルアミノエチルなどのアミノ基含有(2−メチル)プロペン酸エステル類;
【0037】
例えば、(2−メチル)プロペン酸グリシジル、(2−メチル)プロペン酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、(2−メチル)プロペン酸(3−メチル−3−オキセタニル)メチル、(2−メチル)プロペン酸テトラヒドロフルフリル等の複素環含有(2−メチル)プロペン酸エステル類;
【0038】
例えば、3−(2−メチルプロパン−2−エノイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、3−(2−メチルプロパン−2−エノイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、3−(2−メチルプロパン−2−エノイルオキシプロピル)トリイソプロポキシシラン、3−(2−メチルプロパン−2−エノイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3−(2−メチルプロパン−2−エノイルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−(プロパン−2−エノイルオキシプロピル)トリメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有(2−メチル)プロペン酸エステル類;
【0039】
例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシプロピルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシプロピルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系の(2−メチル)プロペン酸誘導体類;
【0040】
例えば、2−ヒドロキシ−4−{2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシ}エトキシジフェニルメタノン、
2−ヒドロキシ−4−{2−((2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシ}ブトキシジフェニルメタノン、2, 2'−ジヒドロキシ−4−{2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシ}エトキシジフェニルメタノン、2−ヒドロキシ−4−{2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシ}エトキシ−4'−(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルメタノン等のジフェニルメタノン系の(2−メチル)プロペン酸誘導体類;
【0041】
例えば、2, 4−ジフェニル−6−[ 2−ヒドロキシ−4−(2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)] −S−トリアジン、2, 4−ビス(2−メチルフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−(2−プ(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ) ]−S−トリアジン、2, 4−ビス(2−メトキシフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−(2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)] −S−トリアジン、2, 4−ビス(2−エチルフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−(2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)] −S−トリアジン、2, 4−ビス(2−エトキシフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−(2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)] −S−トリアジン、2, 4−ビス(2, 4−ジメトキシフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−(2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)] −S−トリアジン、2, 4−ビス(2, 4−ジメチルフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−(2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)] −S−トリアジン、2, 4−ビス(2, 4−ジエトキシルフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−(2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)] −S−トリアジン、2, 4−ビス(2, 4−ジエチルフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−(2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)] −S−トリアジン等のトリアジン系の(2−メチル)プロペン酸誘導体類;
【0042】
例えば、(2−メチル)プロペン酸の酸化エチレン付加物などのアルキレンオキサイド含有(2−メチル)プロペン酸誘導体類;
【0043】
例えば、ジ(2−メチル)プロペン酸エチレングリコール、ジ(2−メチル)プロペン酸トリエチレングリコール、ジ(2−メチル)プロペン酸テトラエチレングリコール、トリ(2−メチル)プロペン酸トリメチロールプロパン、トリ(2−メチル)プロペン酸ペンタエリスリトール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、トリ(2−メチル)プロペン酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、トリ(2−メチル)プロペン酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパン等の多官能(2−メチル)プロペン酸エステル類などが挙げられる。
【0044】
アルケニル基含有化合物としては、例えば、エテニルベンゼン、α−イソプロペニルベンゼン、β−イソプロペニルベンゼン、1−メチルエテニルベンゼン、2−メチルエテニルベンゼン、3−メチルエテニルベンゼン、1−ブチルエテニルベンゼン、1−クロロ−4−イソプロペニルベンゼン、エテニルベンゼンスルホン酸およびそのナトリウム塩やカリウム塩などの芳香族ビニル系単量体;
【0045】
例えば、パーフルオロエテン、パーフルオロプロペン、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、フッ化エテニリデンなどのフッ素含有ビニル系単量体;
【0046】
例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのトリアルキルオキシシリル基含有ビニル系単量体類;
【0047】
例えば、cis-ブテン二酸ジアリル、2−メチリデンコハク酸ジアリル、 (E)−ブタ−2−エン酸ビニル、(Z) −オクタデカ−9−エン酸ビニル,(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエン酸ビニル等のさらに不飽和結合を含有するビニルエステル系単量体類;
【0048】
例えば、2−プロペンニトリル、2−メチル−2−プロペンニトリルなどのニトリル基含有ビニル系単量体類;
【0049】
例えば、プロペンアミド、2−メチルプロペンアミドなどのアミド基含有ビニル系単量体類;
【0050】
例えば、エタン酸ビニル、プロパン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ベンゼンカルボン酸ビニル、3−フェニル−2−プロペン酸ビニルなどのビニルエステル類;
【0051】
例えば、プロペン酸2−カルボキシエチル、2-メチリデンコハク酸、cis-ブテン二酸、trans-ブテン二酸、ペンタ-2-エン二酸、2-メチルフマル酸等の不飽和カルボン酸類;
【0052】
例えば、2,5−ジヒドロフラン−2,5−ジオン等の不飽和カルボン酸無水物類;
【0053】
例えば、上記不飽和カルボン酸類のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル類;
【0054】
例えば、クロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン、アリルクロライド、アリルアルコールなどが挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
【0055】
また、本発明に用いられる共重合体(A)を得るにあたっては、必要に応じてこれら以外のα,β−不飽和二重結合を保有する化合物も使用することができ、そのような化合物の例としては、例えば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド誘導体類;
【0056】
例えば、エテン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、2−メチルプロペンなどのアルケン類;
【0057】
例えば、アレン、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1、3−ブタジエンなどのジエン類などが挙げられる。
【0058】
本発明において用いられる共重合体(A)は、重合に供するα,β−不飽和化合物を適宜選択することにより、その構造中にヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、マレイミド基、ニトリル基、エポキシ基、アルコキシシリル基、アリル基などの各種の官能基を有することができる。後述する反応性化合物(C)との架橋反応性を考慮すると、カルボキシル基及び/またはヒドロキシル基を有することが好ましい。
【0059】
上記共重合体(A)は、バランスの良い接着特性(特に、タックと凝集力の両立)を発揮し得るように、ガラス転移点(Tg)が−80〜−20℃である共重合体を形成し得るようにα,β−不飽和化合物を選択することが好ましく、ガラス転移点(Tg)が−60〜−30℃である共重合体を形成し得るようにα,β−不飽和化合物を選択することがより好ましい。
共重合体のガラス転移点が−80℃未満の場合、該共重合体を用いて得られる樹脂層の凝集力が低下し、浮き剥がれが生じやすくなる。 一方、ガラス転移点が−20℃を超えると、樹脂層の十分な接着力を得ることができない可能性がある。
【0060】
従って、α,β−不飽和化合物としては、ガラス転移点(Tg)が−50℃以下のホモポリマーを形成し得る、プロペン酸2−エチルヘキシル、プロペン酸n−ブチル、プロペン酸n−オクチル、プロペン酸iso−オクチル、プロペン酸iso−オクチル、プロペン酸n−ノニル、プロペン酸iso−ノニル、ペプロペン酸n−デシル、プロペン酸ラウリル、プロペン酸ステアリル、2−メチルプロペン酸デシル、2−メチルプロペン酸ラウリル、2−メチルプロペン酸ステアリル等のアルキル側鎖のプロペン酸エステルあるいは2−メチルプロペン酸エステルをα,β−不飽和化合物の合計100重量%中、20〜80重量%含有していることが好ましい。
上記のα,β−不飽和化合物と共重合に供する他の化合物としては、凝集力の制御や耐熱性の向上のために、ガラス転移点(Tg)が−20〜100℃の範囲のホモポリマーを形成し得る、アルケニル基含有化合物やα,β−不飽和カルボン酸エステルであって、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、マレイミド基、ニトリル基、エポキシ基、アルコキシシリル基、アリル基などの官能基を有するものが好ましい。更に反応性化合物(C)との間に、疎密分布を明確に表さないような均質な架橋構造を形成するためには、前記官能基がカルボキシル基及び/またはヒドロキシル基であることがより好ましい。
さらに、前記官能基がカルボキシル基である場合には、カルボキシル基を有する化合物として、プロペン酸及び/または2−メチルプロペン酸を使用することが好ましい。
【0061】
前記の、反応性化合物(C)と反応し得る各種の官能基を有する化合物の使用量は、共重合体(A)を構成するα,β−不飽和化合物の合計100重量%中0.01〜20重量%であることが好ましい。0.01重量%未満では充分な架橋構造が得られないため、樹脂層の凝集力が低く、繰り返し使用時での安定性や耐久性に劣り、好ましくない。
また、20重量%を超えた場合、樹脂層の凝集力が高くなりすぎるため、積層されたガラス面との間で、環境変化により剥離し易くなるため、好ましくない。
【0062】
本発明における共重合体(A)は、その構造中に反応性化合物(C)と反応可能な官能基を有するものであり、上記したようなα,β−不飽和化合物を重合してなるものである。例えばα,β−不飽和化合物の合計100重量部に対して、0.001〜5重量部の重合開始剤を用いて塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの方法により合成される。好ましくは溶液重合で合成される。
【0063】
重合開始剤の例としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリルや2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)や2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)やジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)や2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]などのアゾ系化合物が挙げられる。
【0064】
また、過酸化ベンゾイルやtert−ブチルパーベンゾエート、クメンヒドロパーオキシドやジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートやジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエートやtert−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシドやジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシドなどの有機過酸化物が挙げられる。
【0065】
また合成時には、ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、リモネン等の連鎖移動剤を使用しても良い。
【0066】
上記、共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、50,000〜2,000,000であることが接着性の点で好ましく、200,000〜1,500,000の範囲がより好ましい。Mwが2,000,000を越えると共重合体の流動性が不良となって、樹脂積層体を作製することが困難となり、50,000未満では樹脂層の凝集破壊が起こりやすくなるので好ましくない。
【0067】
本発明における化合物(B)とは、その構造が一般式(I)で示されるジフェニルβジケトン誘導体であり、日光の290〜400nmの波長を遮蔽できる紫外線遮蔽能を有し、特に330〜400nmの範囲の吸光係数が最大値となるような特徴を持つ化合物である。
【0068】
【化3】

【0069】
なお、一般式(I)中、R1〜R10はH、OH、COOH、CH2CH2CH2−DMSi(DMSi:ジメチルポリシロキシ基)、アミン系官能基、炭素数1〜26である直鎖もしくは分岐鎖状あるいは脂環状炭化水素基、炭素数1〜26であるアルコキシ基及び炭素数2ないし3であるポリオキシアルキレン基から選ばれるいずれかであり、更に、R1、R6はヘテロ原子を含んでいても良い環状炭化水素基または環状炭化水素のアルコキシ基であっても良い。
【0070】
上記、ジフェニルβジケトン誘導体としては、例えば、ジフェニル−1,3−プロパンジオン《R1=R2=R3=R4=R5=R6=R7=R8=R9=R10=H》、
1−(o−メチルフェニル)−3−フェニル−1,3−プロパンジオン《R1=CH3、R2=R3=R4=R5=R6=R7=R8=R9=R10=H》、
ジ−(o−メチルフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=R6=CH3、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H》、
1−(p−iso−プロピルフェニル)−3−フェニル−1,3−プロパンジオン《R1=CH(CH32、R2=R3=R4=R5=R6=R7=R8=R9=R10=H》、
1−(p−iso−プロピルフェニル)−3−(p−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=CH(CH32、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OCH3》、
1−(p−tert−ブチルフェニル)−3−(p−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=C(CH33、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OCH3》、
1−(p−iso−プロピルフェニル)−3−(p−(2’−エチルヘキシルオキシ)フェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=CH(CH32、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OCH2CH(C25)C49》、
1−(p−iso−プロピルフェニル)−3−(p−ヒドロキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=CH(CH32、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OH》、
1−(p−tert−ブチルフェニル)−3−(p−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=C(CH33、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OCH3》、
1−(p−tert−ブチルフェニル)−3−(p−iso−プロポキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=C(CH33、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OCH(CH32》、
1−(p−tert−ブチルフェニル)−3−{p−(2’−エチルヘキシルオキシ)フェニル}−1,3−プロパンジオン《R1=C(CH33、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OCH2CH(C25)C49》、
1−(p−tert−ブチルフェニル)−3−(p−シクロヘキシルフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=C(CH33、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=C611》、
1−(p−tert−ブチルフェニル)−3−(p−ヒドロキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=C(CH33、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OH》、
1−(p−tert−ブチルフェニル)−3−(o−ヒドロキシ−p−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=C(CH33、R2=R3=R5=R7=R8=R9=R10=H、R4=OH、R6=OCH3 》、
1−(p−tert−ブチルフェニル)−3−(p−フェノキシ−o−ジメトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=C(CH33、R2=R3=R5=R7=R8=R9=R10=H、R4=R6=OCH3 》、
ジ−(p−ヒドロキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=R6=OH、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H》、
1−(p−ヒドロキシフェニル)−3−フェニル−1,3−プロパンジオン《R1=OH、R2=R3=R4=R5=R6=R7=R8=R9=R10=H》、
1−(p−ヒドロキシフェニル)−3−(p−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=OH、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OCH3》、
1−{p−(2’−ヒドロキシ)エトキシフェニル}−3−(p−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=OCH2CH2OH、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OCH3》、
1−{p−(2’−ヒドロキシ)エトキシフェニル}−3−(p−フェノキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=OCH2CH2OH、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OC65》、
1−{p−(2’−ヒドロキシ)エトキシフェニル}−3−(p−フェノキシ−o−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=OCH2CH2OH、R2=R3=R5=R7=R8=R9=R10=H、R4=OCH3、R6=OC65》、
1−{p−(2’−ヒドロキシ)エトキシフェニル}−3−(o−ジエトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=OCH2CH2OH、R2=R3=R5=R6=R7=R9=R10=H、R4=R8=OCH2CH3
1−{p−(2’−ヒドロキシ)エトキシフェニル}−3−(p−シクロヘキシルフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=OCH2CH2OH、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=C611》、
1−{p−(2’−ヒドロキシ)エトキシフェニル}−3−{p−(o−メチル)モルホリノフェニル}−1,3−プロパンジオン《R1=OCH2CH2OH、R2=R3=R4=R7=R8=R9=R10=H、R5=CH3、R6=モルホリノ基(C48NO)》、
1−{p−(2’−ヒドロキシ)エトキシフェニル}−3−フェニル−1,3−プロパンジオン《R1=OCH2CH2OH、R2=R3=R4=R5=R6=R7=R8=R9=R10=H》、
1−(p−ヒドロキシフェニル)−3−{p−(2’−エチルヘキシルオキシ)フェニル}−1,3−プロパンジオン《R1=OH、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OCH2CH(C25)C49》、
1−(p−ベンジルオキシフェニル)−3−(p−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=CH2OC65、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OCH3》、
1−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−フェニル−1,3−プロパンジオン《R1=N(CH32、R2=R3=R4=R5=R6=R7=R8=R9=R10=H》、
1−(p−トルイルフェニル)−3−(p−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=C64CH3、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OCH3》、
1−{p−(2’−イル−ピリジン)−フェニル}−3−(p−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=NC54、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OCH3》、
1−(p−tert−ブチルフェニル)−3−(p−フェノキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=C(CH33、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OC65》、
1−(p−ポリオキシエチレンフェニル)−3−(p−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=(OCH2CH2OH(n=1〜6)、R2=R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OCH3》、
1−(m−ジメチルポリシロキシブチル−p−ヒドロキシフェニル)−3−(p−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R1=OH、R2=CH2CH2CH2−DMSi、R3=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OCH3》、
1−(o−カルボキシフェニル)−3−(p−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン《R3=COOH、R1=R2=R4=R5=R7=R8=R9=R10=H、R6=OCH3》、
その他、1−(o−カルボキシフェニル)−3−(p−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオンのトリエチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩やナトリウム、カリウムあるいはアルミニウム等の金属塩などが挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
【0071】
上記、ジフェニルβジケトン誘導体は、種々の公知の手段で製造することができる。
例えば、
Ann.Chim.(Rone),48,762(1958)、J.Chem.Soc.,2063(1952)、J.Org.Chem.,36,1447(1971)、
Peatic Sei.,4,473(1973)、アメリカ特許出願USP-4381360号公報、フランス特許出願FR-A-2326405号公報及びFR-A-2440933号公報、欧州特許出願EP-A-0114607号公報等が代表的であり、主に、2つの製造方法が知られており、(1)芳香族カルボン酸ビニルエステルをフリーデルクラフト条件下で塩化アルミニウムと反応させることで製造する手法、(2)芳香族カルボン酸やそのエステル化合物と置換型アセトフェノン等の芳香族ケトン化合物とのクライゼン縮合で製造する手法、という製造方法であり、(2)が一般的な手法である。
【0072】
本発明における化合物(B)は、共重合体(A)100重量部に対して0.01〜20重量部用いられることが好ましく、0.1〜10重量部用いられることがより好ましい。0.01重量部未満であると紫外線遮蔽機能は期待できないし、10重量部以上では、共重合体(A)や、該共重合体を用いて得られる積層体の透明性が低下したりするため、好ましくない。
【0073】
本発明に用いられる反応性化合物(C)は、前記した共重合体(A)中の官能基と反応しうる官能基を分子内に保有した化合物であり、このような化合物としてはポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物及び金属キレートなどが挙げられるが、これらの中でも、架橋剤として作用するために、共重合体(A)中の官能基と反応し得る官能基を分子内に2個以上保有した化合物が好ましく用いられる。
【0074】
共重合体(A)中の官能基がカルボキシル基の場合、反応性化合物(C)の官能基としてはイソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、アジリジル基、オキサゾリン基が挙げられ、
共重合体(A)中の官能基がヒドロキシル基の場合は、反応性化合物(C)の官能基としてはイソシアネート基、N−メチロール基が挙げられる。
特にポリイソシアネート化合物は、架橋反応後の樹脂組成物の接着性や被覆層への密着性に優れていることから好ましく用いられる。
【0075】
例えば、ポリイソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0076】
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
【0077】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0078】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0079】
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0080】
また一部上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアヌレート環を有する3量体等も併用することができる。ポリフェニルメタンポリイソシアネート(PAPI)、ナフチレンジイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネート変性物等を使用し得る。なおポリイソシアネート変性物としては、カルボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、水と反応したビュレット基、イソシアヌレート基のいずれかの基、またはこれらの基の2種以上を有する変性物を使用できる。ポリオールとジイソシアネートの反応物もポリイソシアネートとして使用することができる。
【0081】
これらポリイソシアネート化合物としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、キシリレンジイソシネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)等の無黄変型または難黄変型のポリイシソアネート化合物を用いると耐候性の点から、特に好ましい。
【0082】
反応性化合物(C)としてポリイソシアネート化合物を使用する場合、反応促進のため、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。例えば三級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられ、単独でもあるいは複数を使用することもできる。
【0083】
3級アミン系化合物としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等が挙げられ、場合によっては単独、もしくは併用することもできる。
【0084】
有機金属系化合物としては、錫系化合物、非錫系化合物を挙げることができる。
錫系化合物としては、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物としては、例えばジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系、安息香酸コバルト、2−エチルヘキ酸コバルトなどのコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記触媒の中で、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、2−エチルヘキサン酸錫等が反応性や衛生性の点で好ましい。
【0085】
また、エポキシ化合物の例としては、ビスフェノールA−エピクロロヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1、3−ビス(N、N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0086】
アミン化合物の例としては、好ましくは1級アミノ基を2個以上有するポリアミンであり、硬化速度が優れる点から、芳香環に直接結合していない1級アミノ基を2個以上有するポリアミンである脂肪族系ポリアミン(その骨格に芳香環を含んでも良い)が好ましい。
脂肪族系ポリアミンとしては、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メンセンジアミン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、分子両末端のプロピレン分岐炭素にアミノ基が結合したポリプロピレングリコール(プロピレン骨格のジアミン、例えば、サンテクノケミカル社製「ジェファーミンD230」、「ジェファーミンD400」等、プロピレン骨格のトリアミン、例えば、「ジェファーミンT403」等。)、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノプロパン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、H2N(CH2CH2O)2(CH22NH2[サンテクノケミカル社製「ジェファーミンEDR148」(エチレングリコール骨格のジアミン)]等のアミン窒素にメチレン基が結合したポリエーテル骨格のジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(デュポン・ジャパン社製「MPMD」)、メタキシリレンジアミン(MXDA)、ポリアミドアミン(三和化学社製「X2000」)、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(三菱ガス化学社製「1,3BAC」)、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン(三井化学社製「NBDA」)等を挙げることができる。
これらの中でも、特に硬化速度が高いことから、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン、メタキシリレンジアミン、H2N(CH2CH2O)2(CH22NH2(エチレングリコール骨格のジアミン)、プロピレン骨格のジアミン、プロピレン骨格のトリアミン、ポリアミドアミン(商品名:X2000)が有用に使用される。
【0087】
またこれらのポリアミンとケトンとの反応物であるケチミンもアミノ系化合物に含まれ、安定性、反応性の調整および重ね塗り性の観点から、アセトフェノンまたはプロピオフェノンと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの;アセトフェノンまたはプロピオフェノンとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの;アセトフェノンまたはプロピオフェノンとメタキシリレンジアミンとから得られるもの;アセトフェノンまたはプロピオフェノンと、エチレングリコール骨格またはプロピレン骨格のジアミンであるジェファーミンEDR148、ジェファーミンD230、ジェファーミンD400等またはプロピレン骨格のトリアミンであるジェファーミンT403等とから得られるもの等も使用することができる。
【0088】
アジリジン化合物の例としては、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1、3、5−トリアジン、トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)ブチレート]、トリメチロールプロパントリス[3−(1−(2−メチル)アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)−2−メチルプロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラ[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ジフェニルメタン−4,4−ビス−N,N′−エチレンウレア、1,6−ヘキサメチレンビス−N,N′−エチレンウレア、2,4,6−(トリエチレンイミノ)−Syn−トリアジン、ビス[1−(2−エチル)アジリジニル]ベンゼン−1,3−カルボン酸アミド等が挙げられる。
【0089】
カルボジイミド化合物としては、カルボジイミド基(−N=C=N−)を分子内に2個以上有する化合物が好ましく用いられ、公知のポリカルボジイミドを用いることができる。
【0090】
また、カルボジイミド化合物としては、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させることによって生成した高分子量ポリカルボジイミドも使用できる。
このような化合物としては、以下のジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させたものが挙げられる。
ジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートの内の一種、またはこれらの混合物を使用することができる。
【0091】
カルボジイミド化触媒としては、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、あるいはこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシドを利用することができる。
【0092】
このような高分子量ポリカルボジイミドとしては日清紡績株式会社製のカルボジライトシリーズが挙げられる。その中でもカルボジライトV−01,03,05,07,09は有機溶剤との相溶性に優れており好ましい。
【0093】
オキサゾリン化合物としては、分子内にオキサゾリン基を2個以上有する化合物が好ましく用いられ、具体的には、2′−メチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−プロピレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4−フェニレンビス−2−オキサゾリン)、2,2′−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−o−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)等を挙げることができる。または、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンや、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリンなどのビニル系単量体とこれらのビニル系単量体と共重合しうる他の単量体との共重合体でもよい。
【0094】
メラミン化合物としては、トリアジン環を分子内に有する化合物であり、メラミン、ベンゾグアナミン、シクロヘキサンカルボグアナミン、メチルグアナミン、ビニルグアナミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン等が挙げられる。また、これらの低縮合化物やアルキルエーテル化ホルムアルデヒド樹脂やアミノプラスト樹脂を使用しても良い。
【0095】
金属キレート化合物の例としては、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウムなどの多価金属がアセチルアセトンやアセト酢酸エチルに配位した化合物を挙げられる。
【0096】
本発明の樹脂組成物は、共重合体(A)100重量部に対して、反応性化合物(C)を0.001〜20重量部含有することが好ましく、0.01〜10重量部含有することがより好ましい。反応性化合物(C)の使用量が、20重量部を越えると得られる樹脂組成物の接着性が低下傾向となり、また0.001重量部未満では凝集力が低下し、耐熱性、耐湿熱性が低下する傾向にある。
共重合体(A)中の官能基と反応性化合物(C)中の官能基との反応により、樹脂組成物が三次元架橋し、各種被着体との密着性を確保するだけでなく、含有している化合物(B)の局在化による遮蔽性能変化を防止し、従来よりも過酷な条件下における耐熱性及び耐湿熱性をも向上することができるため、光学部材用として好ましく使用することができる。
【0097】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤や光安定剤あるいは蛍光増白剤を共重合体(A)100重量部に対して、0.001〜20重量部の割合で含有することができる。これらは400nm以下の波長を有する紫外線を確実に遮蔽するために、いずれも化合物(B)の補助的に使用され得るものであるが、0.001重量部未満であると紫外線遮蔽補助機能は期待できないし、10重量部以上では、共重合体(A)や該共重合体を用いて得られる積層体の透明性が低下したり、化合物自身の色による着色が問題となるため、好ましくない。
なお、上記の紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光増白剤としての複数の効能を有する化合物も使用可能である。
【0098】
ここに、紫外線吸収剤とは、一般的に波長約200〜380nmの紫外線を吸収して熱や赤外線などのエネルギーに変化させて放出させる効能を有する化合物である。
紫外線吸収剤としては、例えば、無機系化合物として、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化タリウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物微粒子を用いることができる。なかでも酸化亜鉛が無色、透明性の点から好ましい。
また有機系化合物として、例えば、ベンゾトリアゾール系,トリアジン系,ベンゾオキサジン系、サリチル酸エステル系,ジフェニルメタノン系,2−シアノプロペン酸エステル系、アントラニレート系、ケイヒ酸誘導体系、カンファー誘導体系、ベンザルマロネート誘導体系、レゾルシノール系、オキザリニド系、クマリン誘導体系等が使用できる。
【0099】
ベンゾトリアゾール系としては、例えば2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]〕、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール等を挙げることができる。
【0100】
トリアジン系としては、例えば2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2,4,6−トリス−(ジイソブチル4’−アミノ−ベンザルマロネート)−s−トリアジン、4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。
【0101】
ジフェニルメタノン系としては、例えば、ジフェニルメタノン、メチルジフェニルメタノン、4−ヒドロキシジフェニルメタノン、4−メトキシジフェニルメタノン、4−オクトキシジフェニルメタノン、4−デシルオキシジフェニルメタノン、4−ドデシルオキシジフェニルメタノン、4−ベンジルオキシジフェニルメタノン、4,2′,4′−トリヒドロキシジフェニルメタノン、2′−ヒドロキシ−4,4′−ジメトキシジフェニルメタノン、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ−ジフェニルメタノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾインエチルエーテルなどが挙げられる。
【0102】
2−シアノプロペン酸エステル系としては、例えば、エチルα−シアノ−β,β−ジフェニルプロペン酸エステル、イソオクチル α−シアノ−β,β−ジフェニルプロペン酸エステル等が挙げられる。
【0103】
サリチル酸エステル系としては、例えば、サリチル酸イソセチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸グリコール、サリチル酸フェニルなどが挙げられる。
アントラニレート系としては、例えば、メンチルアントラニレート等が挙げられる。
ケイヒ酸誘導体系としては、例えば、エチルヘキシルメトキシシンナメート、イソプロピルメトキシシンナメート、イソアミルメトキシシンナメート、ジイソプロピルメチルシンナメート、グリセリル−エチルヘキサノエートジメトキシシンナメート、メチル−α−カルボメトキシシンナメート、メチル−α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート等が挙げられる。
【0104】
カンファー誘導体としては、例えば、ベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファースルホン酸、カンファーベンザルコニウムメトスルフェート、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー等が挙げられる。
レゾルシノール系としては、例えば、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−tert−ブチルベンゾイルレゾルシノール)等が挙げられる。
オキザリニド系としては、例えば、4,4′−ジ−オクチルオキシオキザニリド、2,2′−ジエトキシオキシオキザニリド、2,2′−ジ−オクチルオキシ−5,5′−ジ−tert−ブチルオキザニリド、2,2′−ジ−ドデシルオキシ−5,5′−ジ−tert−ブチルオキザニリド、2−エトキシ−2′−エチルオキザニリド、N,N′−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキザニリド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2′−エトキシオキザニリド等が挙げられる。
クマリン誘導体系としては、例えば、7−ヒドロキシクマリン等が挙げられる。
【0105】
光安定剤とは、光エネルギーによって発生したラジカルによる自動酸化分解を低減させ、樹脂劣化を抑制する効能を有する化合物である。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物(「HALS」と略記する。)等が使用できる。ヒンダードアミン系としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)アルキルアミンニッケル、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物等を挙げることができる。
【0106】
蛍光増白剤とは、染料の一種であり、紫外線を吸収して、青白い光(蛍光)に変えて、白色感を増加させる効能を有する化合物である。
蛍光増白剤としては、ベンズオキサゾ−ル系、トリアジン系、ピラゾリン系、クマリン系化合物等を挙げることができる。
【0107】
本発明の樹脂組成物は、光学用感圧式接着剤組成物として好適であり、有機溶剤を含有することが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で有れば、各種樹脂、シランカップリング剤、軟化剤、染料、顔料、酸化防止剤、タッキファイヤ、可塑剤、充填剤および老化防止剤等を配合しても良い。
【0108】
本発明の樹脂組成物を使用して、樹脂層とシート状基材とからなる積層製品(以下、「接着シート」という。)を得ることができる。
例えば、種々のシート状基材に本発明の樹脂組成物を塗工、乾燥・硬化することによって接着シートを得ることができる。
樹脂組成物を塗工するに際し、適当な液状媒体、例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、その他の炭化水素系溶媒等の有機溶媒や、水をさらに添加して、粘度を調整することもできるし、樹脂組成物を加熱して粘度を低下させることもできる。
【0109】
シート状基材としては、セロハン、各種プラスチックシート、ゴム、布帛、ゴムびき布、樹脂含浸布、ガラス板、金属板、木材等の平たい形状のものが挙げられる。また、各種基材は単独でも用いることもできるし、複数の基材を積層してなる多層状態にあるものも用いることができる。さらに表面を剥離処理したものを用いることもできる。
【0110】
各種プラスチックシートとしては、各種プラスチックフィルムともいわれ、ポリビニルアルコールフィルムやトリアセチルセルロースフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂のフィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂のフィルム、ポリカーボネート系樹脂のフィルム、ポリノルボルネン系樹脂のフィルム、ポリアリレート系樹脂のフィルム、アクリル系樹脂のフィルム、ポリフェニレンサルファイド樹脂のフィルム、ポリスチレン樹脂のフィルム、ビニル系樹脂のフィルム、ポリアミド系樹脂のフィルム、ポリイミド系樹脂のフィルム、エポキシ系樹脂のフィルムなどが挙げられる。
【0111】
常法にしたがって適当な方法で上記シート状基材に樹脂組成物を塗工した後、樹脂組成物が有機溶媒や水等の液状媒体を含有する場合には、加熱等の方法により液状媒体を除去したり、樹脂組成物が揮発すべき液状媒体を含有しない場合は、溶融状態にある樹脂層を冷却して固化したりして、シート状基材の上に樹脂層を形成することができる。
樹脂層の厚さは、0.1μm〜200μmであることが好ましく、0.1μm〜100μmであることがより好ましい。0.1μm未満では十分な接着力が得られないことがあり、200μmを超えても接着力等の特性はそれ以上向上しない場合が多い。
【0112】
本発明の樹脂組成物をシート状基材に塗工する方法としては、特に制限は無く、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーター等種々の塗工方法が挙げられる。
乾燥方法には特に制限はなく、熱風乾燥、赤外線や減圧法を利用したものが挙げられる。乾燥条件としては樹脂組成物の硬化形態、膜厚や選択した溶剤にもよるが、通常60〜180℃程度の熱風加熱でよい。
【0113】
次に本発明の樹脂積層体、並びに有機ELセル用部材について説明する。
本発明の樹脂積層体は、有機EL素子の陽極側に積層される反射防止フィルム、輝度向上フィルム等の光学特性を持つ、いわゆるシート(前述の通りフィルムともいう)状の光学部材に、上記本発明の樹脂組成物から形成される樹脂層が積層されてなるものである。樹脂層の他の面には、剥離処理されたシート状基材を積層することもできる。
【0114】
本発明の樹脂積層体は、
(ア)剥離処理されたシート状基材の剥離処理面に樹脂組成物を塗工し、必要に応じて液状媒体を除去して樹脂層を設け、シート状の光学部材を樹脂層の表面に積層したり、
(イ)シート状の光学部材に樹脂組成物を塗工し、必要に応じて液状媒体を除去して樹脂層を設け、樹脂層の表面に剥離処理されたシート状基材の剥離処理面を積層したりすることによって得ることができる。
官能基を有する共重合体(A)と、該官能基と反応し得る官能基を有する反応性化合物(C)との架橋反応は、樹脂組成物の乾燥時、及び形成された樹脂層表面にシート状の光学部材や剥離処理されたシート状基材を積層する際さらには積層した後に進行する。
【0115】
このようにして得た樹脂積層体から樹脂層の表面を覆っていた剥離処理されたシート状基材を剥がし、露出した樹脂層を有機EL用ガラス部材に貼着することによって、シート状の光学部材/樹脂層/有機EL用ガラス部材という構成の有機ELセル用部材を得ることができる。
【0116】
また本発明の樹脂組成物は、液晶セル部材に使用される偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、紫外線吸収フィルム、ウィンドウフィルム等の光学特性を持つ、いわゆるシート(前述の通りフィルムともいう)状の光学部材にも使用できる。
【0117】
本発明の樹脂組成物は、120℃における剪断貯蔵弾性率が、1×104〜1×106dyn/cm2の、好適には1×104〜5×105dyn/cm2の樹脂層を形成し得る。剪断貯蔵弾性率は、レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製の粘弾性スペクトロメーターRDS−IIを用いて測定することができる。
樹脂層の120℃における剪断貯蔵弾性率が、1×104dyn/cm2より小さい場合には、樹脂積層体を有機EL用ガラス部材に貼着した後、高温暴露した場合、樹脂層が軟化して、発泡や膨れやハガレが起こり易くなる。一方、樹脂層の120℃における剪断貯蔵弾性率が、1×106dyn/cm2より大きい場合には、耐熱性は十分に高くなるものの、室温では樹脂層が硬く、樹脂積層体を有機EL用ガラス部材に貼着する際に、樹脂層が有機EL用ガラス部材の表面に十分なじまず、その結果、接着力が低下する。
つまり、本発明の樹脂組成物は、120℃における剪断貯蔵弾性率が1×104〜1×106dyn/cm2の接着層を形成し得るので、この接着層を介して反射防止フィルムや輝度向上フィルム等とガラス板とを積層してなる積層物を120℃の環境下で1000時間放置した後の浮きハガレ(耐熱性能)、80℃、相対湿度90%の環境下で1000時間放置した後の浮きハガレ(耐湿熱性)、およびこの80℃相対湿度90%の環境下で1000時間放置した後の反射防止フィルムや輝度向上フィルム等とガラス板の構成物に光を透過させたときのヘイズが抑制されるので、光学部材用の樹脂組成物として好適である。
【実施例】
【0118】
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されない。また、下記実施例および比較例中、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
<共重合体(A)の製造>
(合成例1)
重合槽、攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた重合反応装置の重合槽及び滴下装置に、下記α、β−不飽和化合物をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
【0119】
[重合槽]
プロペン酸n−ブチル 29部
プロペン酸メチル 15部
2−ヒドロキシ−4−[2−(2−メチルプロパン)−2−エノイル
オキシ]エトキシジフェニルメタノン 5部
プロペン酸 0.5部
プロペン酸4−ヒドロキシエチル 0.5部
酢酸エチル 30部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
[滴下装置]
プロペン酸n−ブチル 49部
プロペン酸 0.5部
プロペン酸4−ヒドロキシエチル 0.5部
酢酸エチル 36部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
【0120】
重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中、環流温度下で反応を開始した。重合率が約70%まで達したところで、滴下装置から上記α、β−不飽和化合物と重合開始剤及び有機溶剤との混合物の滴下を開始した。滴下終了後、さらに攪拌しながら8時間熟成した後、トルエン:197部を加えて室温まで冷却し、α、β−不飽和化合物の共重合体を含む透明な溶液を得た。
【0121】
(合成例2)
合成例1において用いたα、β−不飽和化合物の組成を変更して、重合槽及び滴下装置にそれぞれ下記の比率で仕込み、それ以外は合成例1と同様にして重合し、α、β−不飽和化合物の共重合体を含む透明な溶液を得た。
[重合槽]
プロペン酸2−エチルヘキシル 30部
プロペン酸n−ブチル 14部
2−メチルプロペン酸メチル 10部
2−(2’−ヒドロキシ−5’−プロパン−2−エノイルオキシ
プロピルフェニル−2−H−ベンゾトリアゾール 5部
プロペン酸 1部
酢酸エチル 30部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
[滴下装置]
プロペン酸2−エチルヘキシル 45部
プロペン酸n−ブチル 4部
プロペン酸 1部
酢酸エチル 36部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
【0122】
(合成例3)
合成例1において用いたα、β−不飽和化合物の組成を変更して、重合槽及び滴下装置にそれぞれ下記の比率で仕込み、それ以外は合成例1と同様にして重合し、α、β−不飽和化合物の共重合体を含む透明な溶液を得た。
[重合槽]
2−メチルプロペン酸ラウリル 25部
プロペン酸エチル 4部
エタン酸ビニル 10部
2,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−プロパン−2−
エノイルオキシエトキシ)]−s−トリアジン 5部
プロペン酸2−ヒドロキシエチル 1部
酢酸エチル 30部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
[滴下装置]
2−メチルプロペン酸ラウリル 45部
プロペン酸エチル 4部
プロペン酸2−ヒドロキシエチル 1部
酢酸エチル 36部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
【0123】
(合成例4)
α,β−不飽和化合物に加えて更に紫外線吸収剤を加えて、重合槽及び滴下装置にそれぞれ下記の比率で仕込み、それ以外は合成例1と同様にして重合し、α、β−不飽和化合物の共重合体を含む透明な液体を得た。
[重合槽]
プロペン酸n−ブチル 31部
プロペン酸メチル 15部
プロペン酸 0.5部
プロペン酸4−ヒドロキシエチル 0.5部
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テト
ラメチルブチル)フェノール 2部
酢酸エチル 30部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
[滴下装置]
プロペン酸n−ブチル 50部
プロペン酸 0.5部
プロペン酸4−ヒドロキシエチル 0.5部
酢酸エチル 36部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
【0124】
(合成例5)
合成例1において用いたα、β−不飽和化合物の組成を変更して、重合槽及び滴下装置にそれぞれ下記の比率で仕込み、それ以外は合成例1と同様にして重合し、α、β−不飽和化合物の共重合体を含む透明な溶液を得た。
【0125】
[重合槽]
プロペン酸n−ブチル 34部
プロペン酸メチル 15部
プロペン酸 0.5部
プロペン酸4−ヒドロキシエチル 0.5部
酢酸エチル 30部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
[滴下装置]
プロペン酸n−ブチル 49部
プロペン酸 0.5部
プロペン酸4−ヒドロキシエチル 0.5部
酢酸エチル 36部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
【0126】
(合成例6)
合成例1において用いたα、β−不飽和化合物の組成を変更して、重合槽及び滴下装置にそれぞれ下記の比率で仕込み、それ以外は合成例1と同様にして重合し、α、β−不飽和化合物の共重合体を含む透明な溶液を得た。
【0127】
[重合槽]
プロペン酸n−ブチル 19.5部
プロペン酸メチル 4部
2−メチルプロペン酸4−ヒドロキシエチル 1.5部
酢酸エチル 30部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
[滴下装置]
プロペン酸n−ブチル 19.5部
プロペン酸メチル 4部
2−メチルプロペン酸4−ヒドロキシエチル 1.5部
酢酸エチル 36部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
【0128】
<ジフェニルβジケトン誘導体(B)の製造>
(合成例7)
(I)置換型ベンゼンカルボン酸の合成
温度計、コンデンサー、滴下ロート及び撹拌機を備えた1lの四つ口フラスコに窒素気流下で、水 250ml、イソプロピルアルコール(IPA)100ml、4−ヒドロキシ安息香酸69.1g(0.5mol)、48%水酸化ナトリウム水溶液 100.0g、ヨウ化カリウム 0.85gを仕込み、60℃に昇温し加熱撹拌した。そこに、エチレンクロロヒドリン 48.3gを1時間かけて滴下し、滴下終了後80℃に昇温し、その温度を維持しながら3時間反応を続けた。その後、水 150mlを加えてから30℃に冷却し、75%硫酸水溶液でpH3に調製して析出した結晶を濾過し、得られた結晶をメタノールで再結晶して4−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸68.7gを得た。
【0129】
(II)置換型ベンゼンカルボン酸エステルの合成
温度計、コンデンサー、滴下ロート及び撹拌機を備えた1lの四つ口フラスコに窒素気流下で、メタノール 260g、上記(I)で得た4−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸56.0g(0.5mol)、98%硫酸水溶液14.0gを仕込み、65℃で10時間反応させた。反応終了後、メタノールを除去し、5℃まで冷却した後、水 70ml、トルエン220mlを投入し、48%水酸化ナトリウム水溶液でpH6.5付近に調製した。その後、30℃で分液ロートにて下層を分液し、上層のトルエン層を50mlの水で水洗した後、5℃まで冷却し析出した結晶を濾過し、4−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸メチルエステル55.3gを得た。
【0130】
(III)ジフェニルβジケトンの合成(クライゼン縮合反応)
温度計、コンデンサー、滴下ロート及び撹拌機を備えた1lの四つ口フラスコに窒素気流下で、テトラヒドロフラン(THF) 65mlと、ナトリウムアミド12.0gを水8.0gに溶解した水溶液20.0gを仕込み、これに4′−メトキシアセトフェノン 24.0g(0.16mol)をTHF 35mlに溶解させた溶液を滴下した。40℃に昇温した後、上記(II)で得た4−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸メチルエステル 31.7g(0.18mol)をTHF 80mlに溶解させた溶液を滴下し、滴下終了後60℃に昇温して10時間反応を行った。反応終了後、40℃に冷却し、水 200ml、トルエン 120mlを投入し、75%硫酸水溶液でpHを3付近に調製し、分液ロートにて下層を分液し、上層のトルエン層を50mlの水で水洗した後、このトルエン層をエバポレーターで濃縮した後、IPAで再結晶を行い、融点 120℃である白色結晶性粉末の1−[p−(2−ヒドロキシ)エトキシフェニル]−3−(p−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン 46.0g(収率:82.6%)を得た。
【0131】
(合成例8〜26)
合成例7と同様にして、置換型芳香族カルボン酸類と置換型芳香族ケトン類から、表2に示すようにジフェニルβジケトン誘導体をそれぞれ作製した。
【0132】
合成例1〜6で得られたα,β−不飽和化合物の共重合体(A)について、
溶液外観、不揮発分濃度(%)、溶液粘度、重量平均分子量(Mw)を以下の方法に従って求め、結果を表1に示した。
【0133】
また、合成例7〜26で得られたジフェニルβジケトン誘導体(B)について、色相、形状、収率(%)及び融点(Tm)について、以下の方法に従って求め、結果を表3に示した。
【0134】
《溶液外観》
共重合体(A)溶液の外観を目視にて評価した。
【0135】
《不揮発分濃度の測定》
共重合体(A)の各溶液、約1gを金属容器に秤量し、150℃オーブンにて20分間乾燥して、残分を秤量して残率計算をし、不揮発分濃度(%)とした。
【0136】
《溶液粘度の測定》
共重合体(A)の各溶液を23℃中でB型粘度計(東京計器社製)にて、#3のローターを使用して12rpm、1分間回転の条件で測定し、溶液粘度(mPa・s)とした。
【0137】
《重量平均分子量(Mw)の測定》
Mwの測定は昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「ShodexGPC System−21」を用いた。GPCは溶媒に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、重量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。
【0138】
《色相》
ジフェニルβジケトン誘導体(B)の色相を目視にて評価した。
【0139】
《性状》
ジフェニルβジケトン誘導体(B)の性状を目視にて評価した。
【0140】
《収率》
原料成分の置換型芳香族カルボン酸エステルと置換型芳香族ケトンの重量及び生成したジフェニルβジケトン誘導体の重量とから算出し、収率として百分率(%)で示した。
【0141】
《融点(Tm)の測定》
ロボットDSC(示差走査熱量計)「RDC220」(セイコーインスツルメンツ社製)に「SSC5200ディスクステーション」(セイコーインスツルメンツ社製)を接続して測定した。試料約10mgを秤量し、アルミニウムパンに調整後、DSC装置にセットした(リファレンス:試料を入れていない同タイプのアルミニウムパン)。窒素気流下、この試料を10℃/分で昇温し、そのDSCチャートの吸熱ピークから融点を測定した。
【0142】
(実施例1)
合成例1で得られた共重合体の溶液100重量部に対して、合成例7で作製したジフェニルβジケトン誘導体を0.3重量部加え、更に反応性化合物(C)として、TAT(トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1、3、5−トリアジン)0.06重量部を加えてよく撹拌して、樹脂組成物を得た。これを剥離処理されたポリエステルフィルム(以下、「剥離フィルム」という。)上に乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、100℃で2分間乾燥させ、樹脂層を形成した。
形成された樹脂層に、反射防止フィルムの片面を接触させ、剥離フィルム/樹脂層/反射防止フィルムという構成の積層体を得た。
次いで、得られた積層体を温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成(暗反応)させて、樹脂層の架橋反応を進行させ、感圧式接着加工した反射防止板(積層体)を得た。
【0143】
(比較例1〜6)
実施例1で使用したジフェニルβジケトン誘導体の代わりに、表4に従い、トリアジン系紫外線吸収剤として2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−ノニルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−5−α−クミルフェニル]−s−トリアジン(比較例1)を、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]〕(比較例2)を、ジフェニルメタノン系紫外線吸収剤として、4,2′,4′−トリヒドロキシジフェニルメタノン(比較例3)を、2−シアノプロペン酸エステル系紫外線吸収剤として、エチルα−シアノ−β,β−ジフェニルプロペン酸エステル(比較例4)を、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤として、サリチル酸イソセチル(比較例5)を、また蛍光染料として、商品名「EZCG8006」(イージーブライト社製)(比較例6)を、それぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、感圧式接着加工した反射防止板(積層体)を得た。
【0144】
(実施例2〜20)
実施例1で使用したジフェニルβジケトン誘導体の代わりに、合成例8〜26で得られたジフェニルβジケトン誘導体をそれぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感圧式接着加工した反射防止板(積層体)を得た。
【0145】
(実施例21、22)
合成例1で得られた共重合体溶液の代わりに、合成例2,3で得られた共重合体溶液をそれぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感圧式接着加工した反射防止板(積層体)を得た。
【0146】
(実施例23)
反応性化合物(C)として、TATに代えてTDI/TMP(トルレンジイソシネートのトリメチローププロパンアダクト体)0.06部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感圧式接着加工した反射防止板(積層体)を得た。
【0147】
(実施例24)
合成例1で得られた共重合体溶液の代わりに、合成例4で得られた共重合体溶液を用いたこと以外は、実施例23と同様にして、感圧式接着加工した反射防止板(積層体)を得た。
【0148】
(実施例25〜28)
実施例15の樹脂組成物に、更に紫外線吸収剤として、トリアジン系紫外線吸収剤として2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−ノニルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−5−α−クミルフェニル]−s−トリアジン(実施例25)を、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]〕(実施例26)を、ジフェニルメタノン系紫外線吸収剤として、4,2′,4′−トリヒドロキシジフェニルメタノン(実施例27)を、ヒンダードアミン系安定剤として、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(実施例28)を、それぞれ0.01部加えたこと以外は実施例15と同様にして、感圧式接着加工した反射防止板(積層体)を得た。
【0149】
(実施例29、30)
合成例1で得られた共重合体溶液の代わりに、合成例5、6で得られた共重合体溶液をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、感圧式接着加工した反射防止板(積層体)を得た。
【0150】
実施例および比較例での各配合比率については、表4に示す。
【0151】
《剪断貯蔵弾性率(G’)の測定》
実施例および比較例で得られた樹脂組成物を剥離フィルム上に塗工し、150℃のオーブンにて乾燥して、厚さ0.3mm程度の樹脂層を設けた後、この樹脂層同士を繰り返し貼り合わせて積層させ、樹脂層の厚さを2mm程度にした。これを、直径8mmの円柱状にポンチで打ち抜き、剪断貯蔵弾性率測定用の試料とした。レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製の粘弾性スペクトロメーター「RDS−II」を用いて周波数1Hz、剪断ひずみ0.1πラジアン、温度120℃の条件下で測定した。結果を表5に示す。
【0152】
実施例および比較例で得られた感圧式接着加工した反射防止板(積層体)について、耐熱性能、耐湿熱性能、光学特性(ヘイズ)および紫外線遮蔽性能を以下の方法で評価した。結果を表5に示す。
【0153】
《耐熱性能、耐湿熱性能の評価方法》
感圧式接着加工した反射防止板(積層体)を150mm×80mmの大きさにカットし、剥離フィルムを剥がし、厚さ1.1mmのフロートガラス板の両面にラミネーターを用いてそれぞれ貼着した。続いて、この反射防止板が貼り付けられたガラス板を50℃5気圧の条件のオートクレーブ内に20分保持させて反射防止板をガラス板に密着させた。更に、この反射防止板とガラス板の積層物を120℃の環境下で1000時間放置した後の浮きハガレ(耐熱性能)、80℃、相対湿度90%の環境下で1000時間放置した後の浮きハガレ(耐湿熱性)を目視で観察し、3段階で評価した。
○:「浮きハガレ・フィルム白化が全く認められない。実用上全く問題ない。」
△:「若干浮きハガレ・フィルム白化が認められるが、実用上問題がない。」
×:「全面的に浮きハガレ・フィルム白化があり、実用不可である。」
【0154】
《光学特性(ヘイズ)の評価方法》
各実施例、比較例で得られた樹脂組成物を、剥離処理されたポリエステルフィルムに塗工して乾燥させ、厚さ25μmの樹脂層を設けた後に、更に剥離処理されたポリエステルフィルムを被せた。この剥離処理ポリエステルフィルムに挟まれた樹脂層を温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成させた後、剥離処理ポリエステルフィルムを取り除き、樹脂層単体の外観を目視判定するとともに、ヘイズを「NDH−300A」[日本電色工業(株)社製]で測定した。
○:「実用上全く問題がない。ヘイズ:1未満。」
△:「曇り等は認められない。ヘイズ:1以上3未満。実用上問題がない。」
×:「若干曇りが認められ、実用上問題がある。ヘイズ:3以上。」
【0155】
《紫外線遮蔽能の評価方法》
各実施例、比較例で得られた感圧式接着加工した反射防止板を25mm×150mmの大きさにカットし、剥離フィルムを剥がし、厚さ1.1mmのフロートガラスの一方の面にラミネータを用いて貼り付け、50℃5気圧の条件のオートクレーブ内に20分保持させてガラス板に密着させた構成物と、更に、この積層物を120℃の環境下で1000時間放置した構成物及び80℃、相対湿度90%の環境下で1000時間放置した構成物を準備し、それぞれの構成物の、400nm以下の紫外線遮蔽能を、23℃相対湿度50%の条件下で「Ubest V−570」(日本分光(株)社製)を用いて測定し、3段階で評価した。
○:「各構成物とも400nm以下の紫外線のカット率が100%であり、実用上全く問題なし。」
△:「各構成物とも400nm以下の紫外線のカット率95%以上100%未満であり、実用上問題がある。」
×:「いずれか1つ以上の構成物の400nm以下の紫外線のカット率95%未満であり、実用不可である。」
【0156】
【表1】

【0157】
【表2】

【0158】
【表3】

【0159】
【表4】

【0160】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明の樹脂組成物は、α,β−不飽和化合物の種類や強力な紫外線遮蔽能を有する一般式(I)に示す化合物(B)の種類を任意に選択することにより、得られる樹脂層が透明性、耐候性、耐水性、耐加水分解性、耐薬品性、耐熱性、耐湿熱性、紫外線遮蔽性を有するという特性を発揮し得る。従って、外部からの紫外線などによる発光輝度の低下や発光色の退色の防止だけでなく、明所でのコントラストを向上させることができるため、有機EL素子等に好適に用いられる。
そこで、光学部材用樹脂組成物として好適であるほか、塗料、弾性壁材、塗膜防水材、床材、タッキファイヤ、接着剤、積層構造体用接着剤、シーリング剤、成形材料、表面改質用コーティング剤、バインダー(磁気記録媒体、インキバインダー、鋳物バインダー、焼成レンガバインダー、グラフト材、マイクロカプセル、グラスファイバーサイジング等)、ウレタンフォーム(硬質、半硬質、軟質)、ウレタンRIM、UV・EB硬化樹脂、ハイソリッド塗料、熱硬化型エラストマー、マイクロセルラー、繊維加工剤、可塑剤、吸音材料、制振材料、界面活性剤、ゲルコート剤、人工大理石用樹脂、人工大理石用耐衝撃性付与剤、インキ用樹脂、フィルム(ラミネート接着剤、保護フィルム等)、合わせガラス用樹脂、反応性希釈剤、各種成形材料、弾性繊維、人工皮革、合成皮革等の原料として、また、各種樹脂添加剤およびその原料等としても非常に有用に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α,β−不飽和化合物を重合させてなる共重合体であって、プロペン酸、2−メチルプロペン酸、プロペン酸誘導体、2−メチルプロペン酸誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物及び/またはアルケニル基含有化合物を含んでなる共重合体(A)、一般式(I)で示される化合物(B)及び共重合体(A)中の官能基と反応し得る反応性化合物(C)を含むことを特徴とする樹脂組成物。
[一般式(I)中、R1〜R10はH、OH、COOH、CH2CH2CH2−DMSi(DMSi:ジメチルポリシロキシ基)、アミン系官能基、炭素数1〜26である直鎖もしくは分岐鎖状あるいは脂環状炭化水素基、炭素数1〜26であるアルコキシ基及び炭素数2ないし3であるポリオキシアルキレン基から選ばれるいずれかであり、更に、R1、R6はヘテロ原子を含んでいても良い環状炭化水素基または環状炭化水素のアルコキシ基であっても良い。]
【化1】

【請求項2】
共重合体(A)100重量部に対して化合物(B)0.01〜20重量部及び反応性化合物(C)0.001〜20重量部を含むことを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
共重合体(A)中の官能基がカルボキシル基及び/またはヒドロキシル基であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
【請求項4】
共重合体(A)中のカルボキシル基がプロペン酸及び/または2−メチルプロペン酸から由来することを特徴とする請求項3記載の樹脂組成物。
【請求項5】
共重合体(A)を構成するα,β−不飽和化合物の合計100重量%中、反応性化合物(C)と反応し得る官能基を有する化合物を0.01〜20重量%の割合で含むことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の樹脂組成物。
【請求項6】
反応性化合物(C)が、共重合体(A)中の官能基と反応し得る官能基を1分子中に2個以上有することを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の樹脂組成物。
【請求項7】
共重合体(A)100重量部に対して、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光増白剤から選ばれるいずれかの1種以上を0.001〜20重量部含むことを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の樹脂組成物。
【請求項8】
樹脂組成物が光学用感圧式接着剤組成物であることを特徴とする請求項1ないし7いずれか記載の樹脂組成物。
【請求項9】
請求項8記載の光学用感圧式接着剤組成物から形成される樹脂層及び光学部材とからなることを特徴とする樹脂積層体。
【請求項10】
有機エレクトロルミネッセンス用ガラス部材、請求項8記載の光学用感圧式接着剤組成物から形成される樹脂層及び光学部材が順次積層されてなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスセル用部材。

【公開番号】特開2007−162012(P2007−162012A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310896(P2006−310896)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】