説明

光学系及びそれを有する光学機器

【課題】色収差をはじめとする諸収差を良好に補正し、高い光学性能が容易に得られる光学系を得ること。
【解決手段】光学全長をLt、焦点距離をftとするとき、Lt/ft<1.0を満足し、光路中に1以上の屈折率分布素子を有する光学系において、該屈折率分布素子の媒質中におけるg線とF線に関する部分分散比の最大値と最小値を各々θgF(pmax)、θgF(pmin)、該屈折率分布素子における屈折率分布の基準屈折率をとる媒質中の位置を基準位置P0とするとき、基準位置P0とは異なる媒質中の位置p1における、等価異常分散性をΔθgFgi(p1)とするとき、θgF(pmax)、θgF(pmin)、ΔθgFgi(p1)が、適切に設定された条件を満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折率分布素子を有する光学系に関し、例えば銀塩写真用カメラ、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、プロジェクター、望遠鏡、画像読取装置等の光学機器に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、長焦点距離の撮影光学系として物体側から像側へ順に正の屈折力を有する前方レンズ群と、負の屈折力を有する後方レンズ群より成る所謂望遠タイプの撮影光学系(望遠レンズ)が知られている。一般的に焦点距離の長い望遠レンズでは全系の小型化を図るほど、また焦点距離が延びるに従って、緒収差のうち、特に軸上色収差及び倍率色収差などの色収差が悪化する傾向にある。
【0003】
近年、デジタルカメラやビデオカメラ等の光学機器に用いられる撮影光学系は高性能で、かつ全体が小型軽量であることが求められている。撮影光学系の小型化を図りつつ軸上色収差及び倍率色収差等の色収差を良好に補正するには、既存のガラス等の光学材料のみを用いただけでは難しい。従来より、このような課題を解決する手段として、光学系の一部に屈折率分布素子(屈折率分布レンズ)を用いて収差を補正する方法が知られている(特許文献1)。特許文献1では、媒質の屈折率が均質なレンズと比較して収差補正の自由度が大きく、色収差の補正が容易な屈折率分布レンズを用いた光学系を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−078543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1ではラジアル型屈折率分布レンズを用いてg線を含めて色収差を良好に補正した光学系を開示している。屈折率分布レンズを用いて色収差を良好に補正するには屈折率分布による屈折作用における波長分散特性を十分に考慮する必要がある。ここで屈折率分布による屈折作用の波長分散特性は、屈折率分布レンズを、屈折作用によるレンズと等価として扱うように、焦点距離や材料のアッベ数及び部分分散比等の値を等価的に定義した場合、等価アッベ数及び等価部分分散比等によって表すことができる。波長分散特性としてはd線、C線、F線の3波長に加えて、g線を含めた4波長での屈折率分布による屈折作用における分散特性を考慮することが、2次スペクトルを良好に補正し、可視光領域において良好な光学性能を得るのに重要になってくる。
【0006】
この他、屈折率分布レンズを作成するための材料の特性を適切に設定することが色収差を良好に補正し、高い光学性能を得るのに重要になってくる。
【0007】
本発明は、屈折率分布素子の屈折率分布や材料を適切に設定することによって、色収差をはじめとする諸収差を良好に補正し、高い光学性能が容易に得られる光学系及びそれを有する光学機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光学系は、光学全長をLt、焦点距離をftとするとき
Lt/ft < 1.0
を満足し、光路中に1以上の屈折率分布素子を有する光学系において、該屈折率分布素子の媒質中におけるg線とF線に関する部分分散比の最大値と最小値を各々θgF(pmax)、θgF(pmin)、該屈折率分布素子における屈折率分布の基準屈折率をとる媒質中の位置を基準位置P0とするとき、基準位置P0とは異なる媒質中の位置p1における、等価異常分散性をΔθgFgi(p1)とするとき
|θgF(pmax)−θgF(pmin)|>0.02
0.0272<|ΔθgFgi(p1)|<1.0000
なる条件式を満足することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、色収差をはじめとする諸収差を良好に補正し、高い光学性能が容易に得られる光学系が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】数値実施例1のレンズ断面図
【図2】数値実施例1の収差図
【図3】数値実施例2のレンズ断面図
【図4】数値実施例2の収差図
【図5】数値実施例3のレンズ断面図
【図6】数値実施例3の収差図
【図7】数値実施例4のレンズ断面図
【図8】数値実施例4の収差図
【図9】数値実施例5のレンズ断面図
【図10】数値実施例5の収差図
【図11】数値実施例6の広角端におけるレンズ断面図
【図12】(a)数値実施例6の広角端における収差図 (b)数値実施例6の中間位置における収差図 (c)数値実施例6の望遠端における収差図
【図13】数値実施例7のレンズ断面図
【図14】数値実施例7の収差図
【図15】色収差係数の波長特性に関する説明図
【図16】本発明の撮像装置の要部概略図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の光学系について説明する。本発明の光学系は、光学全長をLt、焦点距離をftとするとき
Lt/ft < 1.0
を満足する望遠型のレンズ系である。そして、光路中に1以上の屈折率分布素子を有する。
【0012】
本発明の光学系は、媒質中に屈折率分布を有する屈折率分布素子(屈折率分布レンズ)1以上有し、屈折率分布素子の波長特性を特定している。各実施例の光学系は、デジタルカメラ・銀塩フィルム用カメラ・デジタルビデオカメラ・ビデオカメラ・望遠鏡・双眼鏡・複写機・プロジェクター等の光学機器の光学系として用いられる。
【0013】
屈折率分布素子を構成する固体材料は、光学系に適用して使用する状態で固体の材料を指し、製造時などの光学系に使用する前での状態は、どのような状態であっても良い。例えば、製造時には液体材料であっても、それを硬化させて固体材料としたものも、本発明でいう固体材料に該当する。
【0014】
本発明の光学系は焦点距離よりも光学全長(レンズ第1面から像面までの距離)が小さい(短い)、所謂テレフォトタイプの望遠レンズが該当する。光学系の焦点距離をft、光学全長をLtとすると、本発明の光学系は以下の条件式を満足する。
【0015】
Lt/ft < 1.0 …(0)
好ましくは
0.45 < Lt/ft < 0.95
を満足する光学系である。
【0016】
本発明の光学系が有する屈折率分布素子は、媒質中の位置(光軸方向や光軸と直交する方向の位置)によって屈折率差があり、これによって入射光に位相差を与え、例えば均質媒質の正レンズ及び負レンズのような光線の収束作用及び発散作用を発現する。
【0017】
媒質中における屈折率の分布の種類としては、例えば、光軸と垂直方向に媒質中に屈折率分布を有するラジアル屈折率分布や、光軸方向に媒質中に屈折率分布を有するアキシャル屈折率分布等が挙げられる。屈折率分布素子では、界面(光入出射面)での屈折に加えて、媒質中で光線を屈折させることが可能となる。このため、均質媒質のレンズと比較すると、収差補正の自由度が大きいという特徴がある。媒質中に屈折率分布を作る方法は従来より種々提案されている。例えば、イオン交換法や、ゾルゲル法、3次元プリンティング技術などが挙げられる。
【0018】
イオン交換法では、イオン交換が可能なイオンを含有する媒質を溶液に浸水させ、媒質のドーパントを拡散作用によって組成比を変化させることで屈折率分布を得る。ゾルゲル法では、シリコンを主成分としたゾルを調合しゲルを得て、溶液に浸水させることでドーパントに濃度分布を成形してゲルに所望の屈折率分布を付与し、乾燥・焼結等によりガラス体を得る。3次元プリンティング技術では、ドーパントの濃度を変化させた媒質等の、屈折率の異なる層を複数層成形して、屈折率分布を付与することで屈折率分布を得る。これらの方法では、媒質中の屈折率の異なる複数材料に、所望の組成比率の分布を作成することで屈折率分布を得ている。
【0019】
屈折率分布の波長分散を考えると、各波長について同様の屈折率分布がある場合には、媒質中の屈折成分としては色収差が発生しない。しかし、上記のように複数材料の組成比率を分布させて屈折率分布を作る場合には、各波長での屈折率分布変化量がゼロとはならず、屈折率分布の波長分散が存在することになる。本発明における屈折率分布素子の屈折率分布における波長分散特性はは、以下の条件式を満足する。
【0020】
|θgF(pmax)−θgF(pmin)|>0.02 …(1)
0.0272<|ΔθgFgi(p1)|<1.0000 …(2)
である。ここで媒質中の位置pでの波長λにおける屈折率をnλ(p)とし、p0を屈折率分布の基準屈折率をとる位置、p1は位置p0と異なる媒質中の位置とする。いま、材料のg線とF船に関する部分分散比θgF、g線とd線に関する部分分散比θgd及びアッベ数は次のとおりである。
【0021】
フラウンフォーファ線のg線(435.8nm)、F線(486.1nm)、d線(587.6nm)、C線(656.3nm)に対する屈折率をそれぞれng、nF、nd、nCとする。このときd線に関するアッベ数νd、g線とd線に関する部分分散比θgd、g線とF線に関する部分分散比θgFは次のとおりである。
【0022】
νd=(nd−1)/(nF−nC)
θgd=(ng−nd)/(nF−nC)
θgF=(ng−nF)/(nF−nC)
これより媒質中での位置Pでのg線、F線、d線、C線の屈折率を順にng(P)、nF(P)、nd(P)、nC(P)とする。またアッベ数をνd(P)とする。そうすると位置Pでのアッベ数νd(P)と部分分散比θgd(P)、θgF(P)は次のようになる。
【0023】
νd(p) ={nd(p)−1}/{nF(p)−nC(p)}
θgd(p) ={ng(p)−nd(p)}/{nF(p)−nC(p)}
θgF(p) ={ng(p)−nF(p)}/{nF(p)−nC(p)}
g線とd線に関する異常分散性Δθgd、及びg線とF線に関する異常分散性ΔθgFは次のとおりである。一般的な光学材料の部分分散比は、アッベ数の変化に対してほぼ同傾向に変化する。この時の部分分散比の標準値θgd0、θgF0をd線に関するアッベ数νdの関数として以下のように表す。
θgd0=−1.687×10−7νd+5.702×10−5νd
−6.603×10−3νd+1.462
θgF0=−1.665×10−7νd+5.213×10−5νd
−5.656×10−3νd+0.7278
この時、異常分散性とはこの標準値からの差分を指す。すなわち異常分散性Δθgd、ΔθgFは各々
Δθgd=θgd−θgd0
ΔθgF=θgF−θgF0
と表される。
【0024】
本発明の屈折率分布素子は、媒質中に屈折率分布を有しているため、媒質中の位置p(光軸方向又は光軸と直交する方向の位置)によって屈折率が変化する。そのため、アッベ数及び部分分散比についても位置pによってその値が変化する。
【0025】
条件式(1)におけるpmaxとは、媒質中でg線とF線に関する部分分散比θgF(p)が最も大きな値をとる位置を表している。pminとは、媒質中でg線とF線に関する部分分散比θgF(p)が最も小さい値をとる位置を表している。また、本発明における媒質の屈折における等価部分分散比θgdgi、θgFgi、等価アッベ数νdgiは次のとおりである。屈折率が媒質中で均質である光学素子において、光線は媒質と雰囲気との界面で屈折をして、媒質中では光線は屈折しない。媒質の屈折率は波長によって変化するため、均質光学素子で屈折した光線には色収差が生じる。
【0026】
屈折作用とは光束の位相差から生じる現象であり、均質光学素子においては光学素子と雰囲気との界面の形状を変化させることで位相差を与えている。光学素子が空気中に配置されている場合には、光学素子と空気との屈折率差から屈折作用を考えることができる。このとき、波長分散とは各波長における屈折作用の違いによって生じるものであり、その指標となるd線に関するアッベ数は、空気の屈折率を1としたときの空気との屈折率差の比で表されている。
【0027】
一方、媒質が屈折率分布を有する屈折率分布素子の場合には、媒質と雰囲気との界面における屈折に加え、媒質中においても光線は屈折をする。上記のとおり媒質と雰囲気との界面における屈折では波長分散が生じるが、それと同様に屈折率分布の波長分散によって、媒質中での屈折においても色収差が発生する。媒質中の屈折率分布による位相差は、媒質中の基準となる位置での屈折率と、光線が通過する位置での屈折率の差分によって生じる。このため、媒質中の屈折における波長分散は、光線通過位置における屈折率と、基準位置における屈折率の差分の比となる。
【0028】
ここで、媒質中における基準となる屈折率をとる位置としては、ラジアル屈折率分布素子においては光軸上の位置とすることが一般的である。また、アキシャル屈折率分布素子では最も光入射側もしくは最も光射出側の位置をすることが一般的である。本発明ではラジアル屈折率分布素子の基準となる屈折率をとる位置を光軸上、アキシャル屈折率分布素子では最も光入射側の位置とする。尚、本発明が適用可能であれば、屈折率分布素子の媒質中における基準となる屈折率をとる位置は上記には限らない。
【0029】
これにより求まる波長分散は、媒質中での屈折を、色収差が等しくなる波長分散特性を有する仮想ガラスとして置き換えて考えると、仮想ガラスの波長分散として等価的に扱うことが可能となる。つまり、媒質中の屈折における波長分散は、以下で定義する等価アッベ数νdgi、及び等価部分分散比θgFgiを用いることで、仮想的な屈折レンズと置き換えることが可能となる。
【0030】
媒質中に屈折率分布を有するときの、各波長での基準位置P0の屈折率をnλ(p0)とする。このとき、位置p0とは異なる媒質中の位置p1における屈折率差δnλ(p1)は次のとおりである。更に、d線に関する等価アッベ数νdgi(p1)、g線とF線に関する等価部分分散比θgFgi(p1)、g線とd線に関する等価部分分散比θgdgi(p1)は以下のように表す。
【0031】
ここで位置p1に関してg、F、d、C線における屈折率差はδng(p1)、δnF(p1)、δnd(p1)、δnC(p1)である。位置p0ではδng(p0)、δnF(p0)、δnd(p0)、δnC(p0)である。
【0032】
δnλ(p1)=nλ(p1)−nλ(p0)
νdgi(p1)=δnd(p1)/{δnF(p1)−δnC(p1)}
θgFgi(p1)={δng(p1)−δnF(p1)}/{δnF(p1)−δnC(p1)}
θgdgi(p1)={δng(p1)−δnd(p1)}/{δnF(p1)−δnC(p1)}
媒質の屈折におけるg線とF線に関する等価異常分散性ΔθgFgi、g線とd線に関する等価異常分散性Δθgdgiは各々以下のように表される。
【0033】
Δθgdgi=θgdgi−θgdgi0
ΔθgFgi=θgFgi−θgFgi0
但し、等価部分分散比の標準値θgdgi0、θgFgi0は各々等価アッベ数νdgiの関数であり、次式によって表される。
【0034】
θgdgi0=−1.687×10−7νdgi+5.702×10−5νdgi
−6.603×10−3νdgi+1.462
θgFgi0=−1.665×10−7νdgi+5.213×10−5νdgi
−5.656×10−3νdgi+0.7278
媒質中において、光軸と垂直方向に屈折率が変化する屈折率分布を、ラジアル屈折率分布と定義する。このとき、波長λにおける屈折率は、光軸と垂直方向の距離rとすると、例えば次のような数式で表現できる。
【0035】
【数1】

【0036】
g、F、d、C線のラジアル屈折率を順にngR(r)、nFR(r)、ndR(r)、nCR(r)とする。このとき、d線に関するラジアルアッベ数νdR、g線とd線に関する部分分散比θgdR、g線とF線に関するラジアル部分分散比θgFRは次式で表現される。
【0037】
νdR(r)={ndR(r)−1}/{nFR(r)−nCR(r)}
θgdR(r)={ngR(r)−ndR(r)}/{nFR(r)−nCR(r)}
θgFR(r)={ngR(r)−nFR(r)}/{nFR(r)−nCR(r)}
ラジアル屈折率分布では、光軸上の屈折率を基準屈折率とし、媒質中の屈折率差δnλR(r)は以下の式で表すことができる。波長λでの距離rと標準値(r=0)でのラジアル屈折率をnλR(r)、nλR(0)とする。このとき
δnλR(r)=nλR(r)−nλR(0)
又、0より大きいr1で、ラジアル屈折率分布における等価アッベ数νdgiR(r1)、等価部分分散比θgFgiR(r1)を表すと、以下のようになる。
【0038】
距離r1でのg、F、d、C線のラジアル屈折率差を順にδngR(r1)、δnFR(r1)、δndR(r1)、δnCR(r1)とする。このとき、
νdgiR(r1)=δndR(r1)/{δnFR(r1)−δnCR(r1)}
θgFgiR(r1)={δngR(r1)−δnFR(r1)}/{δnFR(r1)−δnCR(r1)}
θgdgiR(r1)={δngR(r1)−δndR(r1)}/{δnFR(r1)−δnCR(r1)}
ラジアル屈折率分布での、媒質の屈折におけるg線とF線に関するラジアル等価異常分散性ΔθgFgiR、g線とd線に関するラジアル等価異常分散性ΔθgdgiRは各々次のように表される。
【0039】
ΔθgdgiR=θgdgiR−θgdgiR0
ΔθgFgiR=θgFgiR−θgFgiR0
但し、ラジアル等価部分分散比の標準値θgdgiR0、θgFgiR0は各々等価アッベ数νdgiRの関数であり、以下のように表される。
【0040】
θgdgiR0=−1.687×10−7νdgiR+5.702×10−5νdgiR−6.603×10−3νdgiR+1.462
θgFgiR0=−1.665×10−7νdgiR+5.213×10−5νdgiR−5.656×10−3νdgiR+0.7278
ラジアル屈折率分布素子の光線有効半径をreaとすると、光軸からの距離rea及び光軸上(距離0)(標準値)における、g線とF線に関するラジアル部分分散比θgFR(rea)、θgFR(0)は以下の条件式を満足する。
【0041】
|θgFR(rea)−θgFR(0)|>0.02 …(3)
また、ラジアル屈折率分布の等価屈折力φgiRは、媒質の厚みをdgiとすると、次の式のように表現できる。波長λにおける標準値でのラジアル屈折率をN0λRとする。
【0042】
φgiR=−2N0λR×dgi
媒質中において、光軸方向に屈折率が変化する屈折率分布を、アキシャル屈折率分布という。アキシャル屈折率分布の波長λにおける屈折率は、媒質中の最も光入射側の点から光軸方向の距離tとすると、次の数式で表現できる。
【0043】
【数2】

【0044】
このとき、d線に関するアキシャルアッベ数νdA、g線とd線に関するアキシャル部分分散比θgdA、g線とF線に関するアキシャル部分分散比θgFAとおく。そして光軸方向の距離tにおけるアキシャルアッベ数νdA(t)、アキシャル部分分散比θgdA(t)、アキシャル部分分散比θgFA(t)は次式で表現される。
【0045】
ここで光軸方向の距離tでのg、F、d、C線におけるアキシャル屈折率を順にngA(t)、nFA(t)、ndA(t)、nCA(t)とする。このとき
νdA(t)={ndA(t)−1}/{nFA(r)−nCA(t)}
θgdA(t)={ngA(t)−ndA(t)}/{nFA(t)−nCA(t)}
θgFA(t)={ngA(t)−nFA(t)}/{nFA(t)−nCA(t)}
アキシャル屈折率分布では、媒質中の屈折率差δnλA(t)は次式で表現できる。波長λでの距離tと標準値(t=0)でのアキシャル屈折率をnλA(t)、nλA(0)とする。このとき
δnλA(t)=nλA(t)−nλA(0)
又、0より大きいt1で、アキシャル屈折率分布における等価アッベ数νdgiA(t1)、等価部分分散比θgdgiA(t1)を表すと、以下のようになる。距離t1でのg、F、d、C線におけるアキシャル屈折率差をδndA(t1)、δnFA(t1)、δnCA(t1)、δnCA(t1)とする。このとき
νdgiA(t1)=δndA(t1)/{δnFA(t1)−δnCA(t1)}
θgFgiA(t1)={δngA(t1)−δnFA(t1)}/{δnFA(t1)−δnCA(t1)}
θgdgiA(t1)={δngA(t1)−δndA(t1)}/{δnFA(t1)−δnCA(t1)}
媒質の屈折におけるg線とF線に関するアキシャル等価異常分散性ΔθgFgiA、g線とd線に関するアキシャル等価異常分散性ΔθgdgiAは各々以下のように表される。
【0046】
ΔθgdgiA=θgdgiA−θgdgiA0
ΔθgFgiA=θgFgiA−θgFgiA0
但し、等価部分分散比の標準値θgdgiA0、θgFgiA0は各々等価アッベ数νdgiAの関数であり、以下のように定義する。
【0047】
θgdgiA0=−1.687×10−7νdgiA+5.702×10−5νdgiA−6.603×10−3νdgiA+1.462
θgFgiA0=−1.665×10−7νdgiA+5.213×10−5νdgiA−5.656×10−3νdgiA+0.7278
媒質中において、光軸方向で最も光入射側の点をtobj、最も光射出側の点をtimgとすると、g線とF線に関するアキシャル部分分散比θgFA(tobj)、θgFA(timg)は以下の条件式を満足する。
【0048】
|θgFA(tobj)−θgFA(timg)|>0.02 …(4)
また、アキシャル屈折率分布の等価屈折力φgiAは次の式のように表現できる。波長λにおける点tobj、点timgにおけるアキシャル屈折率をNλA(tobj)、NλA(timg)とする。
φgiA={NλA(timg)−1}÷rA1−{NλA(tobj)−1}÷rA2
但し、rA1はアキシャル屈折率分布素子の物体側の曲率半径、rA2は像側の曲率半径とする。
【0049】
屈折率分布を有する光学素子(屈折率分布素子)を作成する方法として、光学素子を構成する媒質は、固体材料と、1以上の光学材料の混合体からなる場合を考える。屈折率分布を作るには、例えば固体材料と、1以上の光学材料の組成比率を、媒質中で分布させればよい。固体材料と光学材料の、g線とF線に関する異常分散性を各々ΔθgFs、ΔθgFmとするとき、以下の条件式を満足することが望ましい。
【0050】
|ΔθgFs−ΔθgFm|>0.027 …(5)
このとき、固体材料固体材料のd線に関するアッベ数、及びg線とF線に関する部分分散比を各々νds、θgFsとする。同様に固体材料のd線に関するアッベ数、及びg線とF線に関する部分分散比を各々νdm、θgFmとする。また、本発明の屈折率分布素子の波長分散特性は以下の条件式を満足することが望ましい。光軸からの距離rにおけるラジアル等価アッベ数をνdgiR(r)とする。光軸方向の距離tにおけるアキシャル等価アッベ数をνdgiA(t)とする。位置p1での等価異常分散性をΔθgdgi(p1)とする。媒質中で最も大きな等価部分分散比をθgFgi(pmaxgi)とする。媒質中で最も小さな等価部分分散比をθgFgi(pmingi)とする。
【0051】
|Δθgdgi(p1)|>0.0250 …(6)
|θgFgi(pmaxgi)−θgFgi(pmingi)|<0.1 …(7)
0<νdgiR(r)<80 …(8)
0<νdgiA(t)<200 …(9)
次に、前述の各条件式の技術的意味について説明する。前述の各条件式は、本発明の光学系が有する屈折率分布素子において、屈折率分布の波長分散特性について規定をしている。条件式(1)及び(2)を満足する波長分散特性を満足するとき、光学系の諸収差、特に色収差を、良好に補正することが容易となる。
【0052】
ここで、光学系において可視光における短波長領域まで良好に補正する手段について述べる。一般的な光学材料において、その波長分散は前述したように、アッベ数に対してほぼ一様な傾向を有していて、本発明ではその特性を上記のように部分分散比の標準値θgF0及びθgd0等として表現している。d線、F線、C線に加えg線の4波長での収差補正をする場合には、上記の異常分散性ΔθgF及びΔθgdの絶対値が大きい、異常分散性を有する光学材料を用いる等の手段が考えられる。
【0053】
屈折率分布による屈折作用の波長分散についても同様に考えられ、等価部分分散比が異常分散性を有する光学素子を用いることによって、可視光の短波長領域も含めて、広範囲の波長領域において良好に色収差を補正することが可能となる。つまり、屈折率分布による屈折作用において、g線の屈折率変化が、他の波長の屈折率変化と比較して、大きい時等価異常分散性ΔθgFgiは正の値をとり、条件式(2)の数値範囲を満足すれば、色収差を良好に補正することが容易である。また、g線の屈折率変化が、他の波長の屈折率変化と比較して、大きく異ならない時には、等価異常分散性ΔθgFgiは負の値をとり、条件式(2)の数値範囲を満足すれば、色収差を良好に補正することが容易である。
【0054】
条件式(1)が成り立つとき、屈折率分布による屈折作用が有する異常分散性がより顕著となる。これは、他波長に対するg線の屈折率変化の比が、媒質中において大きく変化することを意味している。このように、g線とF線に関する位置pにおける部分分散θgF(p)が媒質中の位置によって大きく異なる時、2次スペクトルを良好に補正することが容易となる。
【0055】
屈折率分布素子がラジアル屈折率分布を有する場合には、部分分散比θgFR(rea)、θgFR(0)が条件式(3)を満足すれば、色収差を良好に補正することが容易となる。屈折率分布素子がアキシャル屈折率分布を有する場合には、部分分散比θgFA(tobj)、θgFA(timg)が条件式(4)を満足すれば、色収差を良好に補正することが容易となる。
【0056】
上記の屈折率分布素子を作成する方法として、固体材料と1以上の光学材料を混合し、それらの組成比率を、媒質中で変化させる方法がある。このとき、条件式(5)を満足するような固体材料と光学材料を選択する場合、条件式(1)及び(2)を満足する屈折率分布を実現することが容易となる。
【0057】
例えば、固体材料に下記無機酸化微粒子を混合させ、その混合比率を媒質中で変化させたものは、上記の条件式(1)及び(2)を満足する。無機酸化物としては、例えばTiO(nd=2.304,νd=13.8)、Nb(nd=2.367,νd=14.0)、ITO(nd=1.8571,νd=5.69)がある。更に、CrO(nd=2.2178,νd=13.4)、BaTiO(nd=2.4362,νd=11.3)等が挙げられる。
【0058】
これらの無機酸化物の中で、TiO微粒子、ITO(Indium−Tin−Oxide)微粒子を固体材料中に適切なる体積比で分散させ、その組成比を変化させる場合、上記条件式を満足する屈折率分布素子が得られる。材料の散乱を考慮すると、固体材料に混合するこれらの微粒子の粒径は、大きくても100nm以下程度がよく、凝集を抑制するために分散剤等を添加してもよい。尚、上記条件式を満足すれば、これらの製法及び材料に限定するものではない。微粒子を分散させた混合体において、波長λでの屈折率N(λ)は、よく知られたDrudeの式から導き出された次式によって、簡単に計算することができる。
【0059】
N(λ)=[1+V{N(λ)−1}+(1−V){N(λ)−1}]1/2
ここで、λは任意の波長、Nは分散する微粒子等の屈折率、Nは微粒子等を分散させる媒質、例えばポリマー等の屈折率、Vは媒質の体積に対する微粒子等の総体積の分率である。表9に上記媒質及び微粒子等の各波長における屈折率、d線に対するアッベ数νd、g線とF線に関する部分分散比θgF及びg線とd線に関する部分分散比θgdを示す。
【0060】
本発明によって可視域の波長帯の色収差を良好に低減するためには、条件式(1)の数値範囲を満足することに加えて、g線とd線の等価部分分散比が条件式(6)を満足することが好ましい。条件式(6)を満足しない場合には、可視域全域での色収差低減効果を得ることができない。
【0061】
本発明の屈折率分布素子において、光線の通過高さによって等価異常分散特性が変動すると色の球面収差や色のコマ収差、色の像面特性を補正することが困難になる。そのため、条件式(7)の数値範囲を満足することが好ましい。
【0062】
本発明では屈折率分布素子に比較的大きな色収差を発生させ、光学系全体としての色収差低減をしている。このため、屈折率分布素子の等価アッベ数が低分散の場合には大きな屈折力変化を与えないと、本発明の効果を得ることができない。屈折力分布素子に大きな屈折力を与えると、色収差とその他の収差を同時に補正することが困難となりやすいので、等価アッベ数は比較的高分散特性を有していることが望ましい。つまり、条件式(8)乃至条件式(9)の数値範囲を満足することが好ましい。
【0063】
本発明の光学系が有する屈折率分布素子では、媒質中の位置pによって媒質となる固体材料と分散体である光学材料の組成比を変化させている。これによれば、媒質中の位置pによって波長分散特性が変化する。このとき、媒質中の位置pに関して、部分分散比θgF(p)の変化量を大きくするほど、媒質での屈折に関する等価部分分散比の等価異常分散性ΔθgFgi(p)の絶対値が大きくなる傾向にある。位置pでの等価異常分散性ΔθgFgi(p)の絶対値が大きいほど、以下で説明する色収差補正効果をより得やすくなる。
【0064】
各実施例では、一般的な光学材の部分分散比と比較して、等価部分分散比の値が大きい、もしくは小さい屈折率分布素子を用いることにより、良好な色収差補正を容易としている。光学材料の屈折率における波長分散特性において、アッベ数及び等価アッベ数は分散特性曲線の傾きを表し、部分分散比及び等価部分分散比は分散特性曲線の曲がり具合を表すものである。特にg線とF線に関する部分分散比θgF及び等価部分分散比θgFgiは、可視光における短波長領域での分散特性曲線の曲がりを表す。
【0065】
一般的な特性を有する光学材料で屈折率分布素子を作成すると、次のようになる。可視光領域における、短波長側の屈折率分布が長波長側の屈折率分布よりも変化が大きく、d線における等価アッベ数νdgi、g線とF線に関する等価部分分散比θgFgi、g線とd線に関する等価部分分散比θgdgiは各々正の値をとる。このため、分散特性曲線(波長に対する屈折率の特性)は短波長側になるにつれて波長の変化に対する屈折率分布の変化は大きくなる。また、一般的な特性を有する光学材料において、部分分散比はアッベ数に対して低分散領域ではほぼ直線的な変化をし、高分散になるにつれて変化の度合いが大きくなる傾向にある。このような分布から外れたものが異常分散性を有する光学材料である。
【0066】
等価部分分散比が大きな屈折率分布素子を用いた光学系部分GNLと、等価部分分散比が小さな屈折率分布素子を用いた光学系部分GLと、部分分散比が一般的な値である屈折率分布素子を用いた屈折光学系部分Gより構成される光学系の色収差を説明する。
【0067】
図15において、屈折光学系部分Gが部分系としてある程度、色収差が補正された状態の色収差係数の波長特性曲線(以下、色収差係数曲線とも記載する)を破線Gで示す。補正後の曲線(実線GE)は屈折光学系部分Gに、光学系部分GNLおよびGLを導入して色収差を補正した場合の色収差係数曲線を示している。
【0068】
一般的に色収差が補正された光学系における色収差係数曲線は、破線Gのように短波長側に曲がりを残した状態で、色収差のバランスをとっていることが多く、一般的な特性を有する光学材料のみを使用して、色収差をさらに良好に補正するのは困難である。このような屈折光学系部分Gに対して、光学系部分GNLを導入し適当なパワーを与えると、設計基準波長を中心にして色収差係数の傾きが変化する。この時、光学系部分GNLは一般の光学材料に比べて等価部分分散比が大きいため、短波長側での色収差係数曲線の変化がより大きくなる。このとき、光学系部分GNLで発生している色収差係数曲線の傾きを適切に補正すれば、屈折光学系部分Gの短波長領域における曲がりを打ち消し、曲線GEの如く広い波長領域において色収差を良好に補正することができる。
【0069】
光学系部分GLは一般的な光学材料と比較して等価部分分散比が小さい光学系で構成されている。このため、色収差係数曲線は比較的線形性を示す。このとき、屈折光学系部分Gのパワーを緩めて、光学系部分GLに適切なるパワーを与えると、色収差係数曲線の短波長領域における曲がりを緩めることができる。これによれば、可視光における短波長領域まで含めた領域において、良好に色収差を補正することが可能である。
【0070】
本発明の光学素子(屈折率分布素子)は、一般の光学材料と組み合わせて、色収差をはじめとする諸収差を補正する。このため、等価部分分散比は異常分散性を持つことが収差補正上必要ではあるが、異常分散性が大きすぎると色収差の補正が困難となる。
【0071】
一般の光学材料と大きく異なる特性を有するレンズ(光学素子)を用いた場合、色収差係数の波長依存特性の変化は特に大きくなる。その大きな変化を補正して色収差補正をするには、他のレンズのパワーも大きく変化させる必要がある。このとき、パワーを大きく変化させると球面収差やコマ収差や非点収差などに大きな影響を及ぼすため、収差補正が困難となる。このため、屈折率分布素子の波長分散に関する条件式(1)の数値範囲を、以下の範囲とすれば、更に良好に色収差を補正することができる。
【0072】
0.020<|θgF(pmax)−θgF(pmin)|<0.800…(1a)
また、収差補正の観点から、更に望ましくは、(1a)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0.030<|θgF(pmax)−θgF(pmin)|<0.750…(1b)
更に望ましくは、(1b)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0.040<|θgF(pmax)−θgF(pmin)|<0.700…(1c)
屈折率分布素子の媒質の屈折における、g線とF線の等価部分分散比に関する条件式(2)の数値範囲は、以下の範囲とすれば、更に良好に色収差を補正することが可能となる。
【0073】
0.0272<|ΔθgFgi(p1)|<0.980 …(2a)
また、収差補正の観点から、更に望ましくは、(2a)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0.050<|ΔθgFgi(p1)|<0.900 …(2b)
更に望ましくは、(2b)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0.080<|ΔθgFgi(p1)|<0.800 …(2c)
屈折率分布素子の媒質の屈折における、g線とd線の等価部分分散比は、以下の数値範囲を満足すれば、更に良好に色収差を補正することが可能となる。
0.025<|Δθgdgi(p1)|<1.000 …(6a)
更に望ましくは、(6a)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0.050<|Δθgdgi(p1)|<0.900 …(6b)
更に望ましくは、(6b)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0.080<|Δθgdgi(p1)|<0.800 …(6c)
屈折率分布素子の媒質の屈折における、g線とF線の等価部分分散比は、以下の数値範囲とすれば、更に良好に色収差を補正することが可能となる。
【0074】
|θgFgi(pmaxgi)−θgFgi(pmingi)|<0.09…(7a)
更に望ましくは、(7a)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
|θgFgi(pmaxgi)−θgFgi(pmingi)|<0.08…(7b)
ラジアル屈折率分布に関するg線とF線の部分分散比に関する条件式(3)の数値範囲は、以下の範囲とすれば、更に良好に色収差を補正することが可能となる。
0.020<|θgFR(rea)−θgFR(0)|<0.800 …(3a)
更に望ましくは、(3a)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0.024<|θgFR(rea)−θgFR(0)|<0.750 …(3b)
更に望ましくは、(3b)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0.028<|θgFR(rea)−θgFR(0)|<0.700 …(3c)
ラジアル屈折率分布におけるd線の等価アッベ数は、以下の数値範囲とすれば、更に良好に色収差を補正することが可能となる。
【0075】
0<νdgiR(r)<60 …(8a)
更に望ましくは、(8a)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0<νdgiR(r)<40 …(8b)
アキシャル屈折率分布に関するg線とF線の部分分散比は、以下の範囲とすれば、更に良好に色収差を補正することが可能となる。
0.020<|θgFA(tobj)−θgFA(timg)|<0.800…(4a)
更に望ましくは、(4a)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0.030<|θgFA(tobj)−θgFA(timg)|<0.750…(4b)
更に望ましくは、(4b)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0.050<|θgFA(tobj)−θgFA(timg)|<0.700…(4c)
アキシャル屈折率分布におけるd線の等価アッベ数は、以下の数値範囲とすれば、更に良好に色収差を補正することが可能となる。
【0076】
0<νdgiA(t)<100 …(9a)
更に望ましくは、(9a)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0<νdgiA(t)<60 …(9b)
更に望ましくは、(9b)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0<νdgiA(t)<40 …(9c)
各実施例では、条件式(1)及び(2)を満足する屈折率分布素子を光学系中に適用している。
【0077】
これらの屈折率分布素子で構成された光学素子の、屈折面を非球面形状としても良く、これによれば色の球面収差などの色収差フレアを補正することが容易となる。また、これらの屈折率分布素子と空気などの雰囲気や、屈折率差が大きい光学材料とで境界面を形成すれば、境界面の僅かな曲率変化で色収差を比較的大きく変化させることができて、色収差の補正が容易となる。
【0078】
本発明の光学系は以下の条件式(10)を満足するような光学系であり、例えば望遠レンズに用いられるテレフォトタイプの光学系や、望遠ズームレンズ等の光学系が挙げられる。本発明において、光学系全系の屈折力をφtとおく。屈折率分布素子の等価ラジアル屈折力をφgiRとする。この場合には、以下の条件式を満足することが望ましい。
0.001<|φgiR/φt|<0.4 …(10)
条件式(10)の下限を下回ると、屈折率分布素子の色収差補正効果を十分に得ることが難しい。また、上限を上回ると、屈折率分布素子において発生する色収差以外の諸収差の影響が大きくなり、光学系全系として諸収差を良好に補正することが困難である。条件式(10)は好ましくは以下の数値範囲とすれば、さらに色収差を良好に補正することが可能である。
【0079】
0.003<|φgiR/φt|<0.39 …(10a)
さらに望ましくは、(10a)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0.005<|φgiR/φt|<0.38 …(10b)
また、屈折率分布素子の等価アキシャル屈折力をφgiAとする。この場合には、以下の条件式を満足することが望ましい。
【0080】
0.001<|φgiA/φt|<0.4 …(11)
条件式(11)の下限を下回ると、屈折率分布素子の色収差補正効果を十分に得ることが難しい。また、上限を上回ると、屈折率分布素子において発生する色収差以外の諸収差の影響が大きくなり、光学系全系として諸収差を良好に補正することが困難である。条件式(11)は好ましくは以下の数値範囲とすれば、さらに色収差を良好に補正することが可能である。
0.003<|φgiA/φt|<0.39 …(11a)
さらに望ましくは、(11a)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0.005<|φgiA/φt|<0.38 …(11b)
以下、本発明の光学素子を用いた光学系の具体的な実施例について説明する。
【0081】
図1は本発明の実施例1の光学系のレンズ断面図である。図2は実施例1の光学系が無限遠物体に合焦したときの収差図である。図3は実施例2の光学系のレンズ断面図である。図4は実施例2の光学系が無限遠物体に合焦したときの収差図である。図5は実施例3の光学系のレンズ断面図である。図6は実施例3の光学系が無限遠物体に合焦したときの収差図である。図7は実施例4の光学系のレンズ断面図である。図8は実施例4の光学系が無限遠物体に合焦したときの収差図である。図9は実施例5の光学系のレンズ断面図である。図10は実施例5の光学系が無限遠物体に合焦したときの収差図である。図11は本発明の実施例6の光学系の広角端(短焦点距離端)におけるレンズ断面図である。図12(a)、(b)、(c)は各々実施例6の光学系が広角端、中間のズーム位置、望遠端(長焦点距離端)において無限遠物体に合焦したときの収差図である。図13は本発明の実施例7の光学系のレンズ断面図である。図14は実施例7の光学系が無限遠物体に合焦したときの収差図である。
【0082】
各実施例の光学系は、ビデオカメラやデジタルカメラそして銀塩フィルムカメラ等の撮像装置に用いられる撮影レンズ系である。レンズ断面図において、左方が物体側(前方)、右方が像側(後方)である。尚、各実施例の光学系をプロジェクター等の投射レンズとして用いるときは、左方がスクリーン、右方が被投射画像となる。レンズ断面図において、OLは光学系である。iは物体側からのレンズ群の順番を示し、Liは第iレンズ群である。SPは開口絞りである。IPは像面であり、ビデオカメラやデジタルスチルカメラの撮影レンズとして使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面に、銀塩フィルム用カメラのときはフィルム面に相当する感光面が置かれる。Ggij(j=1、2、3….)は屈折率分布を有するレンズを表す。
【0083】
各実施例の光学系は、前述した屈折率分布を有するレンズを1以上備えている。収差図においてd、g、C、Fは各々d線、g線、C線及びF線である。ΔM、ΔSはメリディオナル像面、サジタル像面である。倍率色収差はg線によって表している。ωは半画角、FnoはFナンバーである。
【0084】
図1の本発明の実施例1の光学系OLは、フォーカスに際して不動である正の屈折力の第1レンズ群L1と、フォーカスのために移動する負の屈折力の第2レンズ群L2、フォーカスに際して不動である正の屈折力の第3レンズ群L3より構成されている。この光学系OLは倒立1回結像の縮小型の結像光学系である。
【0085】
実施例1の光学系は、焦点距離392mm、望遠比(第1レンズ面から像面までの光軸方向に沿う長さを焦点距離で割った値)0.71の望遠レンズである。実施例1では、第1レンズ群L1に、UV硬化樹脂1にTiO微粒子を組成比を変化させて分散させた屈折率分布レンズGgi1を用いている。この第1レンズ群中に含まれる屈折率分布レンズは光軸と垂直方向に屈折率が変化する、ラジアル屈折率分布レンズである。UV硬化樹脂1に対するTiO微粒子の体積比で、最大で8.05%、最小で0.87%分散させた混合体となっている。屈折率分布レンズGgi1の光軸から径方向にTiO微粒子の組成比が減少している。このため、屈折率分布レンズGgi1において、g線とF線に関する部分分散比θgFは、光軸上で最大値をとり、有効径位置(最外位置)で最小値となる。g線とF線に関する等価部分分散比は、光軸上で最小値をとり、有効径位置で最大値をとる。
【0086】
実施例1に適用した屈折率分布レンズGgi1は、媒質の屈折力は正の屈折力を有していて、g線とF線における等価部分分散比は、一般的な光学材料と比較して大きい。実施例1の光学系OLは物体側のレンズ群L1、L2の合成の屈折力が正、像側のレンズ群L3の屈折力が負となる、テレフォトタイプのパワー配置をしている。実施例1では、開口絞りSPよりも物体側で、近軸軸上光線の通過位置が比較的高い、開口絞りSPよりも前方の第1レンズ群L1に、本発明の屈折率分布レンズGgi1を配置させることで諸収差、特に色収差を良好に補正している。
【0087】
図3の本発明の実施例2の光学系OLは、フォーカスに際して不動である正の屈折力の第1レンズ群L1と、フォーカスのために移動する負の屈折力の第2レンズ群L2、フォーカスに際して不動である正の屈折力の第3レンズ群L3より構成されている。この光学系OLは倒立1回結像の縮小型の結像光学系である。
【0088】
実施例2の光学系は、焦点距離392mm、望遠比0.71の望遠レンズである。実施例2では、第1レンズ群L1に、UV硬化樹脂1にTiO微粒子を組成比を変化させて分散させた屈折率分布レンズGgi1を用いている。この屈折率分布レンズGgi1は光軸と垂直方向に屈折率が変化する、ラジアル屈折率分布レンズである。UV硬化樹脂1に対するTiO微粒子の体積比で、最大で8.05%、最小で0.00%分散させた混合体となっている。屈折率分布レンズGgi1の光軸から径方向にTiO微粒子の組成比が減少している。このため、屈折率分布レンズ1Ggi1において、g線とF線に関する部分分散比θgFは、光軸上で最大値をとり、有効径位置で最小値となる。g線とF線に関する等価部分分散比は、光軸上で最小値をとり、有効径位置で最大値をとる。
【0089】
実施例2に適用した屈折率分布レンズGgi1は、媒質の屈折力は正の屈折力を有していて、g線とF線における等価部分分散比は、一般的な光学材料と比較して大きい。実施例2の光学系OLは物体側のレンズ群L1、L2の合成の屈折力が正、像側のレンズ群L3の屈折力が負となる、テレフォトタイプのパワー配置をしている。実施例2では、開口絞りSPよりも物体側で、近軸軸上光線の通過位置が比較的高い、開口絞りSPよりも前方の第1レンズ群L1に、本発明の屈折率分布レンズGgi1を配置させることで諸収差、特に色収差を良好に補正している。
【0090】
図5の本発明の実施例3の光学系OLは、最も広い空気間隔を挟んで正の屈折力の第1レンズ群L1と、負の屈折力の第2レンズ群L2より構成されている。この光学系OLは倒立1回結像の縮小型の結像光学系である。実施例3の光学系OLは、焦点距離200mm、望遠比0.90の望遠レンズである。実施例3では、第1レンズ群L1に、アクリル樹脂1にITO微粒子を組成比を変化させて分散させた屈折率分布レンズGgi1を用いている。
【0091】
この屈折率分布レンズGgi1は光軸と垂直方向に屈折率が変化する、ラジアル屈折率分布レンズである。アクリル樹脂1に対するITO微粒子の体積比で、最大で12.06%、最小で0.00%分散させた混合体となっている。屈折率分布レンズGgi1の光軸から径方向にITO微粒子の組成比が増加している。このため、屈折率分布レンズGgi11において、g線とF線に関する部分分散比θgFは、光軸上で最大値をとり、有効径位置で最小値となる。g線とF線に関する等価部分分散比は、光軸上で最大値をとり、有効径位置で最小値をとる。
【0092】
実施例3に適用した屈折率分布レンズGgi1は、媒質の屈折力は負の屈折力を有していて、g線とF線における等価部分分散比は、一般的な光学材料と比較して小さい。実施例3の光学系OLは物体側のレンズ群L1の屈折力が正、像側のレンズ群L2の屈折力が負となる、テレフォトタイプのパワー配置をしている。実施例3では、開口絞りSP位置で、近軸軸上光線の通過位置が比較的高い、第1レンズ群L1に、本発明の屈折率分布レンズGgi1を配置させることで諸収差、特に色収差を良好に補正している。
【0093】
図7の本発明の実施例4の光学系OLは、フォーカスに際して不動である正の屈折力の第1レンズ群L1と、フォーカスのために移動する負の屈折力の第2レンズ群L2、フォーカスに際して不動である正の屈折力の第3レンズ群L3より構成されている。この光学系OLは倒立1回結像の縮小型の結像光学系である。実施例4の光学系OLは、焦点距離294mm、望遠比0.815の望遠レンズである。実施例4では、第1レンズ群L1に、UV硬化樹脂1にTiO微粒子を組成比を変化させて分散させた屈折率分布レンズGgi1を用いている。
【0094】
この屈折率分布レンズGgi1は光軸と垂直方向に屈折率が変化する、ラジアル屈折率分布レンズである。UV硬化樹脂1に対するTiO微粒子の体積比で、最大で1.00%、最小で0.24%分散させた混合体となっている。屈折率分布レンズGgi1の光軸から径方向にTiO微粒子の組成比が減少している。このため、屈折率分布レンズGgi1において、g線とF線に関する部分分散比θgFは、光軸上で最大値をとり、有効径位置で最小値となる。g線とF線に関する等価部分分散比は、光軸上で最小値をとり、有効径位置で最大値をとる。
【0095】
実施例4に適用した屈折率分布レンズGgi1は、媒質の屈折力は正の屈折力を有していて、g線とF線における等価部分分散比は、一般的な光学材料と比較して大きい。実施例4の光学系OLは物体側のレンズ群L1、L2の合成の屈折力が正、像側のレンズ群L3の屈折力が負となる、テレフォトタイプのパワー配置をしている。実施例4では、開口絞りSPよりも物体側で、近軸軸上光線の通過位置が比較的高い、開口絞りSPよりも前方の第1レンズ群L1に、本発明の屈折率分布レンズGgi1を配置させることで諸収差、特に色収差を良好に補正している。
【0096】
図9の本発明の実施例5の光学系OLは、フォーカスに際して不動である正の屈折力の第1レンズ群L1と、フォーカスのために移動する負の屈折力の第2レンズ群L2、フォーカスに際して不動である正の屈折力の第3レンズ群L3より構成されている。この光学系OLは倒立1回結像の縮小型の結像光学系である。実施例5の光学系OLは、焦点距離294mm、望遠比0.816の望遠レンズである。実施例5では、第1レンズ群L1に、無機ガラス1にTiO微粒子を組成比を変化させて分散させた屈折率分布レンズGgi1を用いている。この無機ガラス1は通常のガラス材料よりも部分分散比が大きい、異常分散性を有する光学材料と成っている。このような異常分散性を有する光学材料に、異常分散性を有する微粒子等を分散させて屈折率分布を作成すると、一般的な分散特性を有する材料に分散させるよりも等価部分分散比が異常分散性特性を発現しやすいのでよい。
【0097】
この屈折率分布レンズGgi1は光軸と垂直方向に屈折率が変化する、ラジアル屈折率分布レンズである。無機ガラス1に対するTiO微粒子の体積比で、最大で10.00%、最小で0.70%分散させた混合体となっている。屈折率分布レンズGgi1の光軸から径方向にTiO微粒子の組成比が減少している。このため、屈折率分布レンズGgi1において、g線とF線に関する部分分散比θgFは、光軸上で最大値をとり、有効径位置で最小値となる。g線とF線に関する等価部分分散比は、光軸上で最小値をとり、有効径位置で最大値をとる。
【0098】
実施例5に適用した屈折率分布レンズGgi1は、媒質の屈折力は正の屈折力を有していて、g線とF線における等価部分分散比は、一般的な光学材料と比較して大きい。実施例5の光学系OLは物体側のレンズ群L1、L2の合成の屈折力が正、像側のレンズ群L3の屈折力が負となる、テレフォトタイプのパワー配置をしている。実施例5では、開口絞りSPよりも物体側で、近軸軸上光線の通過位置が比較的高い、開口絞りSPよりも前方の第1レンズ群L1に、本発明の屈折率分布レンズGgi1を配置させることで諸収差、特に色収差を良好に補正している。
【0099】
図11の本発明の実施例6の光学系OLは、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4から構成されている。本実施例の光学系OLはズーム比約15.4倍の4群構成のズームレンズである。図11中の矢印は、広角端から望遠端へのズーミングに際して、各レンズ群の移動軌跡を示している。ズーミングに際して、各レンズ群は各レンズ群間隔が変化するように移動している。また、第4レンズ群L4はフォーカスのために光軸方向に移動する。この光学系は、倒立1回結像の、縮小型の結像光学系である。
【0100】
実施例6では、第1レンズ群L1に、屈折率分布レンズGgi1を適用している。屈折率分布レンズGgi1は、UV硬化樹脂1に、ITO微粒子を組成比を変化させて分散させている。屈折率分布レンズGgi1は、光軸と垂直方向に屈折率が変化する、ラジアル屈折率分布レンズである。屈折率分布レンズGgi1では、UV硬化樹脂1に対するITO微粒子の体積比で、最大で3.14%、最小で0.0%分散させている。光軸から径方向に、ITO微粒子の組成比が増加している。このため、屈折率分布レンズGgi1において、g線とF線に関する部分分散比θgFは、光軸上で最大値をとり、有効径位置で最小値となる。g線とF線に関する等価部分分散比は、光軸上で最大値をとり、有効径位置で最小値をとる。
【0101】
実施例6に適用した屈折率分布レンズGgi1は、曲面形状をしており、2個の光学素子の間に密着接合されていて、雰囲気と屈折率分布レンズGgi1の境界において屈折力を有する。媒質の屈折力は、負の屈折力を有している。g線とF線における等価部分分散比は、一般的な光学材料と比較して小さい。実施例6では、ズームレンズを構成する各レンズ群のうち、開口絞りSPよりも物体側で、望遠端において、近軸軸上光線の光軸からの通過位置が比較的高くなる物体側の第1レンズ群L1に、屈折率分布レンズGgi1を配置させている。これにより、諸収差、特に色収差を良好に補正している。
【0102】
図13の本発明の実施例7の光学系OLは、フォーカスに際して不動である正の屈折力の第1レンズ群L1と、フォーカスのために移動する負の屈折力の第2レンズ群L2、フォーカスに際して不動である負の屈折力の第3レンズ群L3より構成されている。この光学系は倒立1回結像の縮小型の結像光学系である。実施例7の光学系OLは、焦点距離294mm、望遠比0.816の望遠レンズである。実施例7では、第1レンズ群L1に、UV硬化樹脂2にITO微粒子を組成比を変化させて分散させた屈折率分布レンズGgi1を用いている。
【0103】
屈折率分布レンズGgi1は光軸方向に屈折率が変化する、アキシャル屈折率分布レンズである。UV硬化樹脂1に対するITO微粒子の体積比で、最大で9.00%、最小で3.33%分散させた混合体となっている。屈折率分布レンズGgi1の光軸方向の物体側から像側にかけて、ITO微粒子の組成比が減少している。屈折率分布レンズGgi1において、g線とF線に関する部分分散比θgFは、最も物体側で最小値をとり、最も像側で最大値となる。g線とF線に関する等価部分分散比は、最も物体側で最小値をとり、最も像側で最大値をとる。また、媒質の屈折力は正の屈折力を有していて、g線とF線における等価部分分散比は、一般的な光学材料と比較して大きい。
【0104】
実施例7の光学系OLは絞りSPより物体側のレンズ群Lの屈折力が正、像側のレンズ群L2、L3の合成の屈折力が負となる、テレフォトタイプのパワー配置をしている。実施例7では、開口絞りSPよりも物体側で、近軸軸上光線の通過位置が比較的高い、開口絞りSPよりも前方の第1レンズ群L1に、本発明の屈折率分布レンズGgi1を配置させることで諸収差、特に色収差を良好に補正している。
【0105】
以下、各実施例に対応する数値実施例について具体的な数値データを示す。各数値実施例において、iは物体側から数えた面の番号を示し、例えばRiは第i番目の光学面(第i面)の曲率半径であり、Diは第i面と第(i+1)面との間の軸上間隔である。Ndi、νdiはそれぞれd線に対する第i番目の光学部材の材料の屈折率、アッベ数を表す。第i番目の光学部材が屈折率分布レンズの場合は、Ngi、νdgiと表記し、屈折率分布の波長分散については別途表記する。また、非球面形状は、Xを光軸方向の面頂点からの変位量、hを光軸と垂直な方向の光軸からの高さ、rを近軸曲率半径、kを円錐定数、B,C,D,E…を各次数の非球面係数とするとき、
【0106】
【数3】

【0107】
で表す。なお、各数値における「E±XX」は「×10±XX」を意味している。条件式(0)、条件式(1)〜条件式(10)と各実施例との対応関係を表1−aに示す。各実施例の屈折率分布の材料特性について表1−aに示す。本発明の屈折率分布レンズで使用した光学材料の、d線、g線、C線、F線における屈折率、及びアッベ数、部分分散比等の数値を表1−bに示す。また、各実施例の屈折率分布の材料特性について、表1−aに示す。本発明の実施例においては、屈折率分布を以下の式で近似している。
【0108】
【数4】

【0109】
尚、屈折率分布の近似式は上式に限定されるわけではなく、任意の近似式を用いることが可能である。各数値実施例においては屈折率分布特性として、d線、g線、C線、F線、及びe線(546.1nm)での屈折率分布の近似式の係数を記載する。
【0110】
(数値実施例1)
面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 129.772 6.45 1.85026 32.3 95.35
2 266.122 3.75 Ngi νdgi 94.79
3* 285.266 9.52 1.51633 64.1 93.62
4 -463.735 1.03 92.41
5 84.422 9.64 1.51633 64.1 82.72
6 290.490 3.69 81.33
7 -1311.268 3.00 1.84666 23.8 81.09
8 121.786 13.54 75.93
9 70.407 9.00 1.51823 58.9 68.85
10 389.159 0.15 67.87
11 67.059 4.00 1.84666 23.8 62.00
12 44.629 (可変) 55.87
13 350.423 4.00 1.62041 60.3 47.88
14 92.021 (可変) 45.44
15(絞り) ∞ 18.79 38.86
16 105.523 1.50 1.88300 40.8 34.67
17 53.252 4.80 1.53172 48.8 34.16
18 -185.409 0.15 34.09
19 29.081 5.38 1.51742 52.4 32.90
20 140.883 1.50 1.84666 23.8 32.22
21 32.112 11.30 30.04
22 -109.675 1.80 1.88300 40.8 29.57
23 73.404 1.74 29.96
24 146.084 8.50 1.72825 28.5 30.53
25 -23.906 1.50 1.69350 53.2 30.99
26 614.184 41.55 32.49
27 102.407 6.00 1.62588 35.7 49.48
28 -209.813 64.82 49.53
像面 ∞

非球面データ
第3面
K = 4.50679e-001 B= 2.43864e-009 C6= 2.08439e-013 D=-2.88363e-016

各種データ
焦点距離 392.00
Fナンバー 4.12
画角 3.15
像高 21.64
レンズ全長 279.32
BF 64.82

物体距離 無限遠 3500 20000
d12 19.82 65.01 22.12
d14 22.19 7.00 19.90

屈折率分布特性
第2面 g線 F線 e線 d線 C線
Nr0 1.70689 1.68248 1.66534 1.65774 1.64896
Nr2 -6.5550e-05 -5.8659e-05 -5.4049e-05 -5.2117e-05 -4.9940e-05
Nr4 -1.4459e-09 -1.1583e-09 -9.8420e-10 -9.1570e-10 -8.4154e-10

【0111】
(数値実施例2)
面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 128.451 6.94 1.84666 23.9 95.15
2 156.124 12.56 1.51823 58.9 93.37
3 -442.862 1.10 92.53
4 87.145 9.73 1.51823 58.9 84.45
5 254.667 3.80 82.82
6* -3540.011 3.38 Ngi νdgi 82.60
7 -972.205 4.50 1.84666 23.9 81.00
8 124.599 18.79 75.56
9 70.393 9.00 1.51742 52.4 67.74
10 404.946 0.15 66.73
11 69.299 4.00 1.84666 23.9 61.62
12 46.162 (可変) 55.94
13 259.328 3.92 1.48749 70.2 48.00
14 87.025 (可変) 45.64
15(絞り) ∞ 10.87 36.74
16 111.588 1.50 1.84666 23.9 33.31
17 39.069 5.66 1.60342 38.0 32.74
18 -237.446 0.15 32.70
19 30.846 5.63 1.51742 52.4 32.00
20 170.638 1.50 1.88300 40.8 31.09
21 40.557 9.70 29.58
22 -356.827 1.80 1.88300 40.8 28.79
23 66.858 2.36 28.69
24 134.079 7.28 1.69895 30.1 29.26
25 -26.473 2.30 1.65100 56.2 29.48
26 81.609 31.68 30.12
27 91.787 6.00 1.59551 39.2 42.78
28 -336.666 64.82 42.92
像面 ∞

非球面データ
第6面
K = 1.96971e+003 B=-1.08101e-008 C= 2.94558e-012 D=-9.50457e-017

各種データ
焦点距離 392.00
Fナンバー 4.12
画角 3.16
像高 21.64
レンズ全長 279.32
BF 64.82

物体距離 無限遠 3500 20000
d12 20.66 43.21 23.99
d14 29.55 7.00 26.22

屈折率分布特性
第6面 g線 F線 e線 d線 C線
Nr0 1.70689 1.68248 1.66534 1.65774 1.64896
Nr2 -9.4392e-05 -8.4470e-05 -7.7831e-05 -7.5049e-05 -7.1914e-05
Nr4 -2.9983e-09 -2.4019e-09 -2.0408e-09 -1.8988e-09 -1.7450e-09

【0112】
(数値実施例3)
面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1(絞り) ∞ 1.00 1.51633 64.1 34.67
2 ∞ 0.34 Ngi νdgi 34.92
3 ∞ 1.00 1.51633 64.1 34.88
4 ∞ 0.50 34.74
5 74.315 3.48 1.62041 60.3 34.69
6 -645.547 2.04 34.51
7 -245.117 1.62 1.80518 25.4 34.32
8 -7464.930 109.88 34.32
9 -38.621 1.50 1.51742 52.4 33.96
10 564.424 0.20 35.83
11 147.671 3.47 1.88300 40.8 36.39
12 -193.683 54.98 36.62
像面 ∞

各種データ
物体距離 無限遠
焦点距離 200.00
Fナンバー 5.77
画角 6.18
像高 21.64
レンズ全長 180.00
BF 54.98

屈折率分布特性
第2面 g線 F線 e線 d線 C線
Nr0 1.50279 1.49774 1.49374 1.49171 1.48917
Nr2 1.9572e-04 1.7818e-04 1.6006e-04 1.4837e-04 1.2844e-04
Nr4 -1.2065e-08 -1.0079e-08 -8.1943e-09 -7.0728e-09 -5.3389e-09

【0113】
(数値実施例4)
面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 115.069 9.56 1.48749 70.2 71.20
2 -255.189 14.61 70.91
3* 155.575 9.00 Ngi νdgi 61.72
4 698.100 2.57 58.88
5 -363.361 5.15 1.80518 25.4 58.41
6 195.114 10.58 56.29
7 59.814 7.57 1.67790 55.3 53.01
8 559.784 0.15 51.99
9 50.120 3.00 1.80518 25.4 47.35
10 37.982 11.26 43.62
11(絞り) ∞ (可変) 40.48
12 -11061.726 3.76 1.84666 23.8 38.00
13 -72.439 2.00 1.88300 40.8 37.58
14 81.708 (可変) 35.61
15 138.393 1.60 1.72825 28.5 31.98
16 26.489 8.40 1.67003 47.2 30.83
17 -71.380 1.59 30.53
18 106.560 7.95 1.84666 23.8 28.00
19 -43.405 1.68 1.85026 32.3 26.24
20 34.693 9.29 24.90
21 -29.813 1.50 1.72000 50.2 25.89
22 -79.285 0.15 27.63
23 155.486 5.67 1.67270 32.1 29.00
24 -42.355 3.92 1.84666 23.8 29.70
25 -53.707 94.08 31.19
像面 ∞

非球面データ
第3面
K =-2.34972e+000 B=-1.42570e-007 C=-5.02286e-011 D=-1.04328e-014

各種データ
焦点距離 294.00
Fナンバー 4.14
画角 4.21
像高 21.64
レンズ全長 239.85
BF 94.08

物体距離 無限遠 1500 15000
d11 4.02 17.44 5.07
d14 20.79 7.37 19.74

屈折率分布特性
第3面 g線 F線 e線 d線 C線
Nr0 1.55916 1.55091 1.54450 1.54138 1.53762
Nr2 -1.7455e-05 -1.5472e-05 -1.4166e-05 -1.3623e-05 -1.3015e-05
Nr4 -9.9702e-11 -7.8578e-11 -6.6045e-11 -6.1170e-11 -5.5931e-11

【0114】
(数値実施例5)
面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 ∞ 2.49 Ngi νdgi 71.22
2 ∞ 0.15 71.21
3 169.088 9.88 1.48749 70.2 71.12
4 -164.055 2.67 70.78
5 116.718 6.00 1.51823 58.9 65.55
6 771.172 3.68 64.55
7 -188.064 3.40 1.84666 23.8 64.38
8 408.814 16.48 62.82
9 69.724 7.65 1.51823 58.9 57.26
10 963.130 10.16 56.36
11 60.148 3.00 1.56732 42.8 46.25
12 41.614 9.88 42.98
13(絞り) ∞ (可変) 40.51
14 214.371 3.72 1.76182 26.5 38.00
15 -112.398 2.00 1.88300 40.8 37.52
16 81.708 (可変) 35.75
17 151.080 2.97 1.76182 26.5 30.83
18 32.447 6.85 1.63930 44.9 29.64
19 -74.283 0.15 29.37
20 48.267 5.47 1.88300 40.8 28.01
21 -48.458 2.36 1.80400 46.6 27.52
22 29.012 4.73 24.69
23 -43.819 1.50 1.77250 49.6 24.69
24 270.763 4.94 25.64
25 77.740 7.00 1.62588 35.7 29.00
26 -29.938 4.00 1.88300 40.8 29.32
27 -65.055 90.04 31.12
像面 ∞

各種データ
焦点距離 294.00
Fナンバー 4.14
画角 4.21
像高 21.64
レンズ全長 240.00
BF 90.04

物体距離 無限遠 1500 15000
d13 4.00 25.49 5.62
d16 24.83 3.35 23.22

屈折率分布特性
第1面 g線 F線 e線 d線 C線
Nr0 2.14068 2.08990 2.05376 2.03742 2.01840
Nr2 -8.7907e-05 -7.8129e-05 -7.1639e-05 -6.8980e-05 -6.6004e-05
Nr4 -1.9551e-09 -1.5700e-09 -1.3364e-09 -1.2464e-09 -1.1492e-09

【0115】
(数値実施例6)
面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 78.356 2.00 1.85026 32.3 29.23
2 33.025 1.33 Ngi νdgi 28.28
3 33.877 5.29 1.49700 81.5 28.20
4 -227.700 0.15 28.12
5 32.264 3.24 1.74100 52.6 27.66
6 138.108 (可変) 27.28
7 46.808 0.90 1.83481 42.7 16.44
8 8.163 3.99 12.76
9 -26.774 0.75 1.55880 62.5 12.72
10 24.197 0.78 12.70
11 15.522 1.77 1.92286 18.9 13.12
12 35.584 (可変) 12.86
13(絞り) ∞ (可変) 6.74
14* 7.096 3.00 1.55880 62.5 9.00
15 -177.293 1.69 8.60
16 27.393 0.70 1.85026 32.3 8.10
17 6.763 0.90 7.90
18 20.783 1.70 1.75500 52.3 8.10
19 -1818.569 (可変) 8.40
20 ∞ (可変) 7.66
21 16.975 2.62 1.73400 51.5 9.13
22 -11.713 0.80 1.67270 32.1 9.06
23 92.710 (可変) 8.89
像面 ∞

非球面データ
第14面
K =-4.42169e-001 B=-5.95459e-005 C=-4.50730e-007 D=-1.01817e-008 E= 2.38618e-010

各種データ
ズーム比 14.97
広角 中間位置 望遠
焦点距離 6.15 26.41 92.07
Fナンバー 2.88 3.78 3.49
画角 30.32 7.72 2.20
像高 3.60 3.60 3.60
レンズ全長 80.78 86.56 89.56
BF 11.66 17.22 6.89

d 6 0.80 20.42 34.13
d12 28.38 8.97 1.36
d13 4.24 1.20 1.20
d19 1.10 1.10 1.10
d20 3.00 6.04 13.28
d23 11.66 17.22 6.89

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長
1 1 50.18 12.00
2 7 -10.60 8.19
3 14 23.21 7.99
4 21 24.09 3.42

屈折率分布特性
第2面 g線 F線 e線 d線 C線
Nr0 1.53706 1.53133 1.52658 1.52415 1.52117
Nr2 7.1550e-05 6.4788e-05 5.7810e-05 5.3288e-05 4.5532e-05
Nr4 -1.5399e-09 -1.2760e-09 -1.0264e-09 -8.7763e-10 -6.4732e-10

【0116】
(数値実施例7)

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 175.015 9.48 1.48749 70.2 71.27
2 -155.858 2.20 Ngi νdgi 71.05
3 -155.858 0.15 70.90
4 114.104 6.39 1.48749 70.2 66.81
5 956.586 5.68 65.84
6 -176.476 3.40 1.85280 39.0 64.27
7 576.433 17.87 62.91
8 69.911 8.11 1.48749 70.2 56.98
9 10584.932 6.64 56.03
10 59.073 5.71 1.67300 38.1 47.86
11 41.604 9.80 42.77
12(絞り) ∞ (可変) 40.30
13 287.551 3.84 1.80518 25.4 37.91
14 -92.454 2.00 1.88300 40.8 37.46
15 81.708 (可変) 35.65
16 157.218 2.58 1.69895 30.1 31.56
17 29.858 7.42 1.63854 55.4 30.41
18 -78.410 0.34 30.12
19 38.741 6.30 1.85026 32.3 28.00
20 -70.523 1.50 1.78590 44.2 26.98
21 26.073 4.62 24.31
22 -53.104 1.50 1.86400 40.6 24.31
23 124.067 5.85 25.04
24 70.561 7.00 1.57501 41.5 29.00
25 -31.751 4.00 1.88300 40.8 29.37
26 -58.305 90.54 31.18
像面 ∞

各種データ
焦点距離 294.00
Fナンバー 4.14
画角 4.21
像高 21.64
レンズ全長 239.86
BF 90.54

物体距離 無限遠 1500 15000
d12 4.00 24.75 5.56
d15 22.94 2.19 21.38

屈折率分布特性
第2面 g線 F線 e線 d線 C線
Nr0 1.70038 1.67900 1.66231 1.65388 1.64278
Nr2 -2.4868e-03 -2.2802e-03 -2.0151e-03 -1.8221e-03 -1.4641e-03
Nr4 -1.8595e-06 -1.5806e-06 -1.2442e-06 -1.0207e-06 -6.6130e-07

【0117】
【表1】

【0118】
【表2】

【0119】
次に各実施例に示した光学系を撮影光学系として用いたデジタルスチルカメラ(光学機器)の実施形態を、図16を用いて説明する。図16において、20はカメラ本体である。21は各実施例で説明したいずれかの光学系によって構成された撮影光学系である。22はカメラ本体に内蔵され、撮影光学系21によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。23は固体撮像素子22によって光電変換された被写体像に対応する情報を記録するメモリである。24は液晶ディスプレイパネル等によって構成され、固体撮像素子22上に形成された被写体像を観察するためのファインダである。このように本発明の光学系をデジタルスチルカメラに適用することにより、小型で高い光学性能を有する光学機器が実現できる。
【符号の説明】
【0120】
Ggij 屈折率分布レンズ L1 第1レンズ群 L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群 L4 第4レンズ群 SP 開口絞り IP 像面
d d線 g g線 C C線 F F線 ΔM メリディオナル像面
ΔS サジタル像面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学全長をLt、焦点距離をftとするとき
Lt/ft < 1.0
を満足し、光路中に1以上の屈折率分布素子を有する光学系において、該屈折率分布素子の媒質中におけるg線とF線に関する部分分散比の最大値と最小値を各々θgF(pmax)、θgF(pmin)、該屈折率分布素子における屈折率分布の基準屈折率をとる媒質中の位置を基準位置P0とするとき、基準位置P0とは異なる媒質中の位置p1における、等価異常分散性をΔθgFgi(p1)とするとき
|θgF(pmax)−θgF(pmin)|>0.02
0.0272<|ΔθgFgi(p1)|<1.0000
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記屈折率分布素子は光軸と垂直方向に屈折率分布を有することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記屈折率分布素子の光線有効半径をrea、光軸から垂直方向の距離reaと距離0におけるg線とF線に関する部分分散比を各々θgFR(rea)、θgFR(0)とするとき、
|θgFR(rea)−θgFR(0)|>0.02
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項4】
前記屈折率分布素子は光軸方向に屈折率分布を有することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項5】
光軸方向において前記屈折率分布素子で最も光入射側の点をtobj、最も光射出側の点をtimgとし、該屈折率分布素子の光軸方向の点tobjと点timgにおけるg線とF線に関する部分分散比を各々θgFA(tobj)、θgFA(timg)とするとき、
|θgFA(tobj)−θgFA(timg)|>0.02
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は4に記載の光学系。
【請求項6】
前記光学系は、物体側より像側へ順に、フォーカスに際して不動の正の屈折力の第1レンズ群、フォーカスのために光軸方向へ移動する負の屈折力の第2レンズ群、フォーカスの際に不動の正の屈折力の第3レンズ群より構成され、前記屈折率分布素子は、該第1レンズ群中に含まれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項の光学系。
【請求項7】
前記光学系は、物体側より像側へ順に、最も広い空気間隔を挟んで正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群より構成され、前記屈折率分布素子は、該第1レンズ群中に含まれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項の光学系。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項の光学系を有することを特徴とする光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−22105(P2012−22105A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159294(P2010−159294)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】