説明

光検知装置、ベルト装置、転写装置及び画像形成装置

【課題】簡易な構成により、ベルトの巻き掛けられた部分以外に対向して配設しても安定した検知精度を得ることが可能な光検知装置を提供する。
【解決手段】複数の支持部材に巻き掛けられた無端状のベルト8上に光を照射して、当該ベルト8上の検知対象に照射された光の反射光を検知する光検知装置24である。当該光検知装置24は、ベルト8の支持部材に巻き掛けられていない部分に対向して配設される発光部及び受光部と、発光部から照射される光をベルト8の支持部材に巻き掛けられた部分Eへ反射すると共に、当該ベルト8からの反射光を受光部へ反射する反射手段25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト上の検知対象に照射された光の反射光を検知する光検知装置、その光検知装置を備えたベルト装置、転写装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、トナー画像の濃度や位置を適正に制御するために、従来から、トナー濃度検出用又はトナー位置検出用のトナーパターンを中間転写ベルト等の無端状ベルトの表面に形成し、これに検出光を照射して反射光を受光することにより、トナーパターンの濃度又は位置を検出する方法が広く行われている。
【0003】
一般に、上記トナーパターンを検知する検知手段としては、光を照射する発光部と反射光を受光する受光部とを有する反射型の光学式センサが使用されている。画像の濃度や位置ずれの修正が精度良く行なわれるためには、何よりもセンサによるトナーパターンの検出精度が安定している必要がある。しかしながら、ベルトの癖付き(波打ち)や振動等によって、センサからベルト上のトナーパターンまでの距離が変化して、精度の良い検出が確保できない場合があった。
【0004】
そこで、斯かる問題を解決するため、従来からいくつかの対策が提案されている。例えば、下記特許文献1に示される画像形成装置では、センサを、ベルトの支持ローラに巻き掛けられている部分に対向して配設し、ベルトの癖付きや振動の発生しにくい箇所で検知するようにしている。
【0005】
また、下記特許文献2に示されている画像形成装置においては、ベルト上のセンサで検知する検知領域の背面側に平面状の当接部材を当接させ、検知領域におけるベルトの振動を生じにくくしている。
【0006】
また、下記特許文献3に示される画像形成装置では、上記平面状の当接部材の代わりに、一対のローラに巻き掛けられた小型のベルトを検知対象のベルトの背面に当接させ、これによりベルトにテンションを与えてベルトの癖付きや振動を抑制するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に示される画像形成装置の構成は、センサや基盤等を、ベルトが支持ローラに巻き掛けられている部分に対向して配設しなければならないといった制約があるため、小型化などのための装置内のレイアウト設計に対応しにくいといった欠点がある。例えば、図9に示すような2つの支持ローラ200,300にベルト400を巻き掛けた構成において、センサ500を、ベルト400が一方の支持ローラ200に巻き掛けた部分の外側に配設した場合、装置のサイズがベルト400の長手方向(図の左右方向)に大きくなるといった課題がある。
【0008】
また、特許文献2に示される画像形成装置は、ベルトの背面に平面状の当接部材を当接させているが、ベルトに癖付きがあった場合はその影響を抑制するには不十分であり、誤検知が生じる虞がある。これを解決するには、ベルトに癖が付かないようするために、非駆動時においてベルトの張力を緩める機構が必要となり、装置が大型化する問題が生じる。また、ベルトの背面に当接部材を当接させているため、ベルトの摩耗や、ベルトに負荷がかかることによる駆動エネルギー効率の低下等の問題もある。
【0009】
また、特許文献3に示される画像形成装置では、ベルトの内側に一対のローラに巻き掛けられた小型のベルトを配設しているため、部品点数が増え、それに伴う構造の複雑化や占有スペースの増大の問題がある。
【0010】
本発明は、斯かる事情に鑑み、簡易な構成により、ベルトの巻き掛けられた部分以外に対向して配設しても安定した検知精度を得ることが可能な光検知装置、その光検知装置を備えたベルト装置、転写装置及び画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、複数の支持部材に巻き掛けられた無端状のベルト上に光を照射して、当該ベルト上の検知対象に照射された光の反射光を検知する光検知装置であって、前記ベルトの前記支持部材に巻き掛けられていない部分に対向して配設される発光部及び受光部と、前記発光部から照射される光を前記ベルトの前記支持部材に巻き掛けられた部分へ反射すると共に、当該ベルトからの反射光を前記受光部へ反射する反射手段とを備えたものである。
【0012】
これにより、発光部からの光を反射手段によってベルトの巻き掛けられた部分に照射し、その反射光を受光することができるので、ベルトの癖付きや振動の発生しにくい箇所において検知することができる。このため、ベルトの癖付きや振動による誤検知を防止することができ、高精度に検知することが可能である。また、反射手段を用いることにより、発光部と受光部をベルトの巻き掛けられた部分に対向して配設しなくても、ベルトの巻き掛けられた部分の表面に光を照射してその反射光を受光することができる。このように、反射手段を所定の位置に設けるだけの簡易な構成によって、発光部と受光部をベルトの巻き掛けられた部分以外に対向して配設しても安定した検知精度を得られる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光検知装置において、前記ベルト上の光が照射される部分を巻き掛ける前記支持部材が回転可能なローラ部材であって、前記反射手段から前記ベルトへ反射される光の光路の延長線が前記ローラ部材の回転中心を通過するように、前記反射手段を配設したものである。
【0014】
反射手段からベルトへ反射される光の光路の延長線がローラ部材の回転中心を通過するように反射手段を配設することで、反射手段からベルトへ向かう光と、ベルトから反射手段へ向かう光とが、同じ光路を通るようになる。これにより、発光部から照射した光を反射手段を経由して受光部へと戻すことができる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2に記載の光検知装置において、前記反射手段を保持する保持部材を揺動可能に構成し、前記保持部材を付勢手段によって付勢して前記ローラ部材に当接させたものである。
【0016】
このように構成することで、ローラ部材が変位しても、保持部材がローラ部材に追従して揺動するので、当該ローラ部材に巻き掛けられたベルトの表面と反射手段との相対的位置の変動を抑制することができる。これにより、ローラ部材が変位することによる誤検知を防止することが可能となる。
【0017】
請求項4の発明は、請求項2に記載の光検知装置において、前記反射手段を保持する保持部材を揺動可能に構成し、前記保持部材を付勢手段によって付勢して前記ローラ部材の軸端部に設けたコロに当接させたものである。
【0018】
この場合、ローラ部材の軸位置が変位しても、保持部材がコロに追従して揺動するので、ローラ部材が変位することによる誤検知を防止することができる。
【0019】
請求項5の発明は、請求項3に記載の光検知装置において、前記保持部材を、前記ローラ部材の前記ベルトを巻き掛けていない表面に当接させたものである。
【0020】
ローラ部材が偏芯している場合、ローラ部材が回転すると、それに伴って巻き掛けられているベルトの表面位置も変動するが、この場合、保持部材がローラ部材の表面に追従して揺動するため、偏芯していることによるノイズの影響を受けない。これにより、誤検知を防止することができるようになる。
【0021】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の光検知装置において、前記反射手段を保持する保持部材と、前記発光部及び前記受光部を保持する保持部材とを一体構成したものである。
【0022】
保持部材を一体構成することで、部品点数を減らして検知精度の向上を図れる。
【0023】
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の光検知装置において、前記反射手段の反射面を平坦面に形成したものである。
【0024】
反射面を平坦面に形成することにより、部品の公差等による光の入射位置のずれを抑制でき、検知精度を向上させることができる。
【0025】
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の光検知装置において、前記反射手段の反射面の面粗さRaを、0.05[μm]以下に設定したものである。
【0026】
反射手段の反射面の面粗さRaを、0.05[μm]以下に設定することにより、誤検知を防止できる。
【0027】
請求項9の発明は、複数の支持部材に巻き掛けられた無端状のベルトと、前記ベルト上に光を照射して当該ベルト上の検知対象に照射された光の反射光を検知する光検知装置を備えたベルト装置において、前記光検知装置として、請求項1から8のいずれか1項の光検知装置を備えたものである。
【0028】
ベルト装置が、請求項1から8のいずれか1項に記載の光検知装置を備えているので、これらの光検知装置による上記効果が得られる。
【0029】
請求項10の発明は、複数の支持部材に巻き掛けられて駆動回転される無端状のベルトを備えたベルト装置を用いて像担持体上に形成した画像を記録媒体に転写する転写装置において、前記ベルト装置として、請求項9に記載のベルト装置を用いるものである。
【0030】
転写装置が、請求項9に記載のベルト装置を用いているので、請求項1から8のいずれか1項に記載の光検知装置の上記効果が得られる。
【0031】
請求項11の発明は、画像を担持する像担持体と、当該像担持体上に画像を形成する画像形成部と、前記像担持体上に形成した画像を記録媒体に転写する転写装置とを備えた画像形成装置において、前記転写装置として、請求項10に記載の転写装置を備えたものである。
【0032】
画像形成装置が、請求項10に記載の転写装置を備えているので、請求項1から8のいずれか1項に記載の光検知装置の上記効果が得られる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、反射手段を所定の位置に設けるだけの簡易な構成によって、発光部及び受光部をベルトの巻き掛けられた部分に対向して配設しなくても、その巻き掛けられた部分の表面に光を照射すると共にその反射光を受光でき、高精度に検知することが可能となる。また、発光部及び受光部をベルトの巻き掛けられた部分に対向して配設しなくてもよいので、発光部及び受光部の配置の自由度が高まり、小型化などのための装置内のレイアウト設計に対応しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】前記画像形成装置に搭載されている転写装置の拡大図であって、本発明の第1実施形態に係る構成を示す図である。
【図3】反射面の面粗さRaと濃度検知センサの検出電圧ずれ量との関係を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態の構成を示す図である。
【図5】本発明の第3実施形態の構成を示す図である。
【図6】本発明の第4実施形態の構成を示す図である。
【図7】本発明の第5実施形態の構成を示す図である。
【図8】本発明の第6実施形態の構成を示す図である。
【図9】従来のセンサの配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0036】
図1は、本発明に係るカラー画像形成装置の概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkを並べて配設したタンデム型の画像形成部を備える。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、画像形成装置本体100に着脱可能に構成されており、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。
【0037】
具体的には、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電ローラ3等を備えた帯電装置と、感光体2の表面にトナー(現像剤)を供給する現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするための感光体クリーニングブレード5等を備えたクリーニング装置などで構成されている。なお、図1では、イエローのプロセスユニット1Yが備える感光体2、帯電ローラ3、現像装置4、クリーニングブレード5のみに符号を付しており、その他のプロセスユニット1C,1M,1Bkにおいては符号を省略している。
【0038】
感光体2は、直径φ24mmの円筒形の感光体ドラムであり、図示しない駆動源によって周速100〜180mm/sで回転する。
帯電ローラ3は、感光体2の表面に圧接されており、感光体2の回転により従動回転する。また、帯電ローラ3には、図示しない高圧電源からDCあるいはDCにACが重畳されたバイアスが印加されるようになっている。
現像装置4は、トナーから成る1成分現像剤を収容している。また、現像装置4は、図示しない高圧電源から供給される所定の現像バイアスによって現像剤を感光体2へ供給するように構成されている。
【0039】
図1において、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの上方には、感光体2の表面を露光する露光手段としての露光装置6が配設されている。露光装置6は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体2の表面へレーザ光を照射するようになっている。
【0040】
また、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、転写装置7が配設されている。転写装置7は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト8を有する。中間転写ベルト8としては、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、TPE(熱可塑性エラストマー)等にカーボンブラック等の導電性材料を分散させ樹脂フィルム状のエンドレスベルトとしたものが用いられる。本実施形態では、さらに、引張弾性率が1000〜2000MPaとなる厚さ90〜160μm、幅230mmのベルトを用いている。
【0041】
中間転写ベルト8は、支持部材としての駆動ローラ9とテンションローラ10に巻き掛けられ張架されている。駆動ローラ9は、図示しない駆動源によって回転駆動されるようになっており、駆動ローラ9が図の反時計回りに回転することによって、中間転写ベルト8は図の矢印に示す方向に周回走行(回転)する。テンションローラ10は、直径φ16〜φ20mmのアルミニウム製のパイプから成り、その両端部がバネ等の付勢部材で中間転写ベルト8側へ加圧されることにより、中間転写ベルト8に所定の張力が付与されている。また、テンションローラ10の両端部には直径φ22mmのフランジが圧入され、中間転写ベルト8の蛇行を規制するようにしている。また、駆動ローラ9と従動ローラ10は、図示しない側板によって両端部が支持されている。
【0042】
4つの感光体2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11が配設されている。各一次転写ローラ11はそれぞれの位置で中間転写ベルト8の内周面を押圧しており、中間転写ベルト8の押圧された部分と各感光体2とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。ここでは、一次転写ローラ11として、直径φ8〜φ12mmの金属ローラを用いている。なお、金属ローラの代わりに、導電性のスポンジローラや導電性のブレード等を適用してもよい。また、各一次転写ローラ11は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が一次転写ローラ11に印加されるようになっている。
【0043】
また、駆動ローラ9に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。この二次転写ローラ12は、直径φ6mmのSUS等の金属芯金上に、導電性材料によって所定の抵抗値に調整されたウレタン等の弾性体を被覆することで直径φ19〜φ22mm、幅222mmに構成されている。その材料としては、導電性ローラや電子導電タイプのローラ(EPDM)等が用いられるが、本実施形態では直径φ20mm、アスカーC硬度35〜50°のローラを用いた。なお、二次転写ローラ12の抵抗値測定は、導電性の金属製板にローラを設置し、芯金と前記金属製板との間に100〜1kVの電圧を印加したときに流れる電流値から算出した。二次転写ローラ12は中間転写ベルト8の外周面を押圧しており、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。また、二次転写ローラ12には、一次転写ローラ11と同様に、図示しない電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ12に印加されるようになっている。
【0044】
中間転写ベルト8の図の右端側の外周面には、中間転写ベルト8の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置13が配設されている。このベルトクリーニング装置13は、クリーニング部材としてのクリーニングブレード13aを有している。クリーニングブレード13aは、金属製のクリーニング対向ローラ21に対向した位置で中間転写ベルト8の表面に対してカウンタ方向で(クリーニングブレード13aの先端部が中間転写ベルト8の回転方向に対して反対方向を向いて)当接している。クリーニングブレード13aとしては、厚さ1.5〜3mm、ゴム硬度65〜80°のウレタンゴムを用いている。また、中間転写ベルト8上のクリーニングブレード13aが当接する部分、あるいはクリーニングブレード13aの当接部分の少なくとも一方に、組み付け時に潤滑剤を塗布することにより、クリーニングニップ部におけるブレード捲れ上がりを防止できると共に、クリーニングニップ部にダム層を形成しクリーニング性能を高めることが可能である。また、ベルトクリーニング装置13から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、転写装置7の下方に配設された廃トナー収容器14の入り口部に接続されている。
【0045】
画像形成装置本体100の下部には、紙やOHP等のシート状の記録媒体Pを収容した給紙カセット15が配設されている。給紙カセット15には、収容されている記録媒体Pを送り出す給紙ローラ16が設けてある。一方、画像形成装置本体の上部には、記録媒体を外部へ排出するための一対の排紙ローラ17と、排出された記録媒体をストックするための排紙トレイ18とが配設されている。
【0046】
画像形成装置本体100内には、記録媒体Pを給紙カセット15から二次転写ニップを通って排紙トレイ18へ搬送するための搬送路Rが配設されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ12の位置よりも記録媒体搬送方向上流側には一対のレジストローラ19が配設されている。また、二次転写ローラ12の位置よりも記録媒体搬送方向下流側には、定着装置20が配設されている。
【0047】
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2が図の時計回りに回転駆動され、帯電ローラ3によって各感光体2の表面が所定の極性に一様に帯電される。図示しない読取装置によって読み取られた原稿の画像情報に基づいて、露光装置6から各感光体2の帯電面にレーザ光が照射されて、各感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0048】
中間転写ベルト8を張架する駆動ローラ9が回転駆動し、中間転写ベルト8を図の矢印の方向に周回走行させる。また、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加されることによって、各一次転写ローラ11と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各感光体2上の各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト8はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。また、中間転写ベルト8に転写しきれなかった各感光体2上のトナーは、クリーニングブレード5によって除去される。
【0049】
また、作像動作が開始されると、給紙ローラ16が回転して、給紙カセット15から記録媒体Pが搬出される。搬出された記録媒体Pは、レジストローラ19によってタイミングを計られて、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ12には、中間転写ベルト8上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上のトナー画像が記録媒体P上に一括して転写される。その後、記録媒体Pは定着装置20に送り込まれトナー画像が記録媒体P上に定着される。そして、記録媒体Pは一対の排出ローラ17によって排紙トレイ18に排出される。また、画像転写後の中間転写ベルト8上に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置13のクリーニングブレード13aによって除去され、除去されたトナーは、廃トナー収容器14へ搬送され回収される。
【0050】
以上の説明は、記録媒体にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0051】
以下、本発明の特徴部分について説明する。
図2は、上記本発明の画像形成装置に搭載されている転写装置の拡大図であって、本発明の第1実施形態に係る構成を示す図である。
図2に示すように、中間転写ベルト8のテンションローラ10側の外周には、トナー濃度を検知する濃度検知センサ24と、濃度検知センサ24を保持する保持部材としてのセンサホルダ26と、光を反射する反射手段としての反射板25と、反射板25を保持する保持部材としての反射板ホルダ27が配設されている。濃度検知センサ24は、発光部と受光部を有する反射型の光検知装置である。発光部から照射された光(赤外線)は図の矢印A→B→C→Dの順に入射と反射を繰り返して受光部で受光される。すなわち、発光部から反射板25へ照射された光は、反射板25によって中間転写ベルト8の表面へ反射され、中間転写ベルト8からの反射光は、反射板25によって受光部へ反射され受光されるようになっている。
【0052】
図2において、符号Eで示す範囲を、中間転写ベルト8のテンションローラ10によって巻き掛けられた部分(テンションローラ10と接触している部分)とすると、濃度検知センサ24は、その巻き掛けられた部分Eを除く位置に配設されている。すなわち、濃度検知センサ24は、中間転写ベルト8のテンションローラ10(及び駆動ローラ)に巻き掛けられていない部分に対向して配設されている。
【0053】
一方、反射板25は、上記中間転写ベルト8の巻き掛けられている部分Eに対向して配設されている。また、反射板25の向きは、濃度検知センサ24の発光部からの光を中間転写ベルト8上の巻き掛けられている部分Eに向かって反射するように設定されている。また、反射板25から中間転写ベルト8へ反射される光の光路の延長線Sは、テンションローラ10の回転中心(軸心)Qを通過するように設定されている。このように反射板25を配設していることで、反射板25から中間転写ベルト8へ向かう光(矢印B方向の光)と、中間転写ベルト8から反射板25へ向かう光(矢印C方向の光)とが、同じ光路を通るようになる。また、これにより、発光部から反射板25へ向かう光(矢印A方向の光)の入射角θ1と、中間転写ベルト8から反射板25へ向かう光(矢印C方向の光)の入射角θ2とが同じとなるので、濃度検知センサ24(発光部)から照射した光は反射板25を経由して再び濃度検知センサ24(受光部)へと戻ってくるようになっている。
【0054】
本実施形態では、反射板25として、その反射面が平坦面に形成されたものを用いている。反射面が湾曲しているものを用いた場合は、部品の公差等により光の入射位置が狙いの位置からずれると、中間転写ベルト8への光の入射位置のずれ量が大きくなる。一方、反射面が平坦面の場合は、前記部品の公差等による光の入射位置のずれを抑制できるので、平坦面の反射面である方が検知精度を向上させ得る点で好ましい。
【0055】
図3に、反射面の面粗さRaと濃度検知センサの検出電圧ずれ量との関係を示す。
図3に示すように、反射面の面粗さが大きくなるにつれて、検知電圧ずれ量も大きくなっている。これは、反射面の面粗さが大きくなると、光が拡散してしまい光量が減少するからである。また、検知電圧ずれ量が大きくなると、トナー濃度の誤検知や検知できないなどのエラーが発生する場合がある。そのため、反射面の面粗さは小さい方が望ましい。具体的に図3に示す例では、濃度誤検知等のエラーが発生するのは、面粗さRaが0.05より大きくなった場合であるので、面粗さRaは0.05[μm]以下であることが望ましい。本実施形態では、反射面の面粗さRaを0.02[μm]以下にしている。
【0056】
上記濃度検知センサ24によるトナー濃度の検知は、中間転写ベルト8の表面に形成されたトナー濃度検出用のトナーパターンに光を照射し、その反射光を受光することにより行う。詳しくは、濃度検知センサ24の発光部から光を照射し、その光を反射板25で反射して中間転写ベルト8のテンションローラ10に巻き掛けられた部分に照射する。そして、中間転写ベルト8上のトナーパターンを形成したパターン形成部とそれ以外の部分(ベルト地肌部)のそれぞれにおける反射光を、反射板25を経由して受光部で受光し、そのときの各部分の光反射率の検出出力値の比から画像濃度を求める。
【0057】
トナーパターンを形成するパターン形成手段は、感光体、帯電ローラ、現像装置、露光装置と、これらを制御する制御手段としてのCPU等で構成され、上述の通常の画像形成と同様の画像形成行程を経て中間転写ベルト8上にトナーパターンが形成される。また、上記検知した画像濃度に基づいて、現像装置の現像バイアス、帯電装置の帯電バイアス、露光装置のレーザパワー等の各種画像形成条件(パラメータ)が制御され、最適となるように調整される。
【0058】
図4は、本発明の第2実施形態の構成を示す図である。
本発明の第2実施形態では、濃度検知センサ24を保持する保持部材と、反射板25を保持する保持部材とを一体構成し、1つの一体ホルダ28によって両者を保持している。それ以外は、上記第1実施形態と同様に構成されている。このように、保持部材を一体構成することで、部品点数を減らして検知精度の向上を図れる。これにより、トナー濃度の誤検知を防止することが可能となり、高画質の画像形成装置を提供することができるようになる。
【0059】
図5は、本発明の第3実施形態の構成を示す図である。
本発明の第3実施形態では、反射板25を保持する反射板ホルダ33を、支点29を中心として図の矢印F方向に揺動可能に構成している。反射板ホルダ33の上端部は、画像形成装置本体の壁面31に設けられた付勢手段としてのバネ32によって、テンションローラ10の軸端部に設けられたコロ30側へ付勢されている。これにより、反射板ホルダ33の上端部はコロ30に当接した状態で維持されている。また、その反射板ホルダ33のコロ30と当接する当接面33aは、コロ30の外周面に沿った円形又は略円形を成す曲面状に形成されている。以上、説明した構成以外は、上記第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0060】
上記のように構成することにより、テンションローラ10が中間転写ベルト8のテンション調整のためにその軸位置が変位しても、反射板ホルダ33がコロ30に追従して揺動するので、テンションローラ10に巻き掛けられたベルト部分の表面と反射板25との相対的位置の変動を抑制することができる。これにより、テンションローラ10が変位することによるトナー濃度の誤検知を防止することが可能となり、高画質の画像形成装置を提供することができるようになる。
【0061】
図6は、本発明の第4実施形態の構成を示す図である。
本発明の第4実施形態は、図5に示す上記第3実施形態と同様に、テンションローラ10に設けたコロ30に追従する揺動可能なホルダ34を有し、さらに、そのホルダ34によって濃度検知センサ24と反射板25を一体的に保持した構成である。それ以外は、上記第3実施形態と同様に構成されている。
【0062】
この場合、上記第3実施形態と同様の作用・効果に加え、濃度検知センサ24と反射板25の保持部材を一体構成しているので、部品点数を減らして検知精度の向上を図れる。これにより、トナー濃度の誤検知をより確実に防止することが可能となり、高画質の画像形成装置を提供することができるようになる。
【0063】
図7は、本発明の第5実施形態の構成を示す図である。
本発明の第5実施形態では、反射板ホルダ36を、支点37を中心として図の矢印J方向に揺動可能に構成し、さらに、バネ32によって反射板ホルダ36をテンションローラ10の中間転写ベルト8を巻き掛けていない端部表面に当接させている。また、反射ホルダ36のテンションローラ10と当接する当接面36aは、テンションローラ10の外周面に沿った円形又は略円形を成す曲面状に形成されている。
【0064】
この場合、テンションローラ10が偏芯していても、反射板ホルダ36がテンションローラ10の表面に追従して揺動するため、濃度検知センサ24はテンションローラ10が偏芯していることによるノイズの影響を受けない。このため、トナー濃度の誤検知を防止することができ、高画質の画像形成装置を提供することが可能となる。
【0065】
図8は、本発明の第6実施形態の構成を示す図である。
本発明の第6実施形態は、図7に示す上記第5実施形態と同様に、テンションローラ10の表面に追従する揺動可能なホルダ38を有し、さらに、そのホルダ38によって濃度検知センサ24と反射板25を一体的に保持した構成である。それ以外は、上記第5実施形態と同様に構成されている。
【0066】
この場合、上記第5実施形態と同様の作用・効果に加え、濃度検知センサ24と反射板25の保持部材を一体構成しているので、部品点数を減らして検知精度の向上を図れる。これにより、トナー濃度の誤検知をより確実に防止することが可能となり、高画質の画像形成装置を提供することができるようになる。
【0067】
以上のように、本発明の各実施形態の構成によれば、濃度検知センサ24からの光を反射板25によって中間転写ベルト8のテンションローラ10に巻き掛けられた部分に照射し、その反射光を受光することができるので、中間転写ベルト8の癖付きや振動の発生しにくい箇所において検知することができる。このため、濃度検知センサ24の誤検知を防止することができ、高精度にトナー濃度を検知することができる。
【0068】
また、本発明によれば、反射板25を所定の位置に設けるだけの簡易な構成によって、濃度検知センサ24(発光部及び受光部)を中間転写ベルト8のテンションローラ10に巻き掛けられた部分に対向して配設していなくても、上記のように中間転写ベルト8の巻き掛けられた部分に光を照射してその反射光を受光することができる。これにより、安定した検知精度を得るために濃度検知センサ24を中間転写ベルト8のローラに巻き掛けられた部分に対向して配設しなければならないという制約が無くなるので、濃度検知センサ24の配置の自由度が高まり、小型化などのための装置内のレイアウト設計に対応しやすくなる。
【0069】
例えば、図1に示す実施形態のように、2つの支持ローラ(駆動ローラ9及びテンションローラ10)に中間転写ベルト8を巻き掛けた構成においては、本発明の構成を適用することにより、装置のサイズが中間転写ベルト8の長手方向(図の左右方向)に小型化することが可能となる。また、中間転写ベルト8の巻き掛けられた部分の外周には反射板25を配設しているが、反射板25は濃度検知センサ24よりも薄く形成されているため、装置サイズの増大を最小限に抑えることができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。上述の実施形態では、中間転写ベルト上の濃度検出用のトナーパターンを検知する濃度検知センサに本発明の構成を適用した場合を例に説明したが、位置検出用のトナーパターンを検知するセンサにも本発明の構成を適用可能である。また、本発明の構成を、その他のベルト装置において、ベルト上の検知対象に検出光を照射して反射光を受光する光検知装置にも適用可能である。また、本発明に係る画像形成装置は、図1に示すものに限らず、その他の複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等とすることも可能である。
【符号の説明】
【0071】
7 転写装置
8 中間転写ベルト
9 駆動ローラ
10 テンションローラ
24 濃度検知センサ
25 反射板
26 センサホルダ
27 反射板ホルダ
28 ホルダ
30 コロ
32 バネ
33 反射板ホルダ
34 ホルダ
36 反射板ホルダ
38 ホルダ
Q 回転中心
S 光路の延長線
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2006−235469号公報
【特許文献2】特開平11−223976号公報
【特許文献3】特開平11−15218号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支持部材に巻き掛けられた無端状のベルト上に光を照射して、当該ベルト上の検知対象に照射された光の反射光を検知する光検知装置であって、
前記ベルトの前記支持部材に巻き掛けられていない部分に対向して配設される発光部及び受光部と、
前記発光部から照射される光を前記ベルトの前記支持部材に巻き掛けられた部分へ反射すると共に、当該ベルトからの反射光を前記受光部へ反射する反射手段とを備えたことを特徴とする光検知装置。
【請求項2】
前記ベルト上の光が照射される部分を巻き掛ける前記支持部材が回転可能なローラ部材であって、
前記反射手段から前記ベルトへ反射される光の光路の延長線が前記ローラ部材の回転中心を通過するように、前記反射手段を配設した請求項1に記載の光検知装置。
【請求項3】
前記反射手段を保持する保持部材を揺動可能に構成し、前記保持部材を付勢手段によって付勢して前記ローラ部材に当接させた請求項2に記載の光検知装置。
【請求項4】
前記反射手段を保持する保持部材を揺動可能に構成し、前記保持部材を付勢手段によって付勢して前記ローラ部材の軸端部に設けたコロに当接させた請求項2に記載の光検知装置。
【請求項5】
前記保持部材を、前記ローラ部材の前記ベルトを巻き掛けていない表面に当接させた請求項3に記載の光検知装置。
【請求項6】
前記反射手段を保持する保持部材と、前記発光部及び前記受光部を保持する保持部材とを一体構成した請求項1から5のいずれか1項に記載の光検知装置。
【請求項7】
前記反射手段の反射面を平坦面に形成した請求項1から6のいずれか1項に記載の光検知装置。
【請求項8】
前記反射手段の反射面の面粗さRaを、0.05[μm]以下に設定した請求項1から7のいずれか1項に記載の光検知装置。
【請求項9】
複数の支持部材に巻き掛けられた無端状のベルトと、前記ベルト上に光を照射して当該ベルト上の検知対象に照射された光の反射光を検知する光検知装置を備えたベルト装置において、
前記光検知装置として、請求項1から8のいずれか1項の光検知装置を備えたことを特徴とするベルト装置。
【請求項10】
複数の支持部材に巻き掛けられて駆動回転される無端状のベルトを備えたベルト装置を用いて像担持体上に形成した画像を記録媒体に転写する転写装置において、
前記ベルト装置として、請求項9に記載のベルト装置を用いることを特徴とする転写装置。
【請求項11】
画像を担持する像担持体と、当該像担持体上に画像を形成する画像形成部と、前記像担持体上に形成した画像を記録媒体に転写する転写装置とを備えた画像形成装置において、
前記転写装置として、請求項10に記載の転写装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−93547(P2012−93547A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240671(P2010−240671)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】