光走査装置及びレーザレーダ装置
【課題】小型化、低コスト化を実現できるとともに、受光感度がよくて距離測定精度の高いレーザレーダ装置を提供する。
【解決手段】レーザレーダ装置10は、装置本体を構成するベースフレーム12と、ベースフレーム12の所定位置に固定され、レーザ光を出射する光源14と、光源14からの出射光を図示しない対象物に向けて走査する光走査装置16とを有している。光走査装置16はリコン基板から半導体微細加工法により可動板(反射ミラー)やトーションバー等が一体に形成されており、可動板の中央部にはフォトダイオードが一体に形成されている。対象物からの反射光22は、光学部品を介することなく直接フォトダイオードにより受光される。
【解決手段】レーザレーダ装置10は、装置本体を構成するベースフレーム12と、ベースフレーム12の所定位置に固定され、レーザ光を出射する光源14と、光源14からの出射光を図示しない対象物に向けて走査する光走査装置16とを有している。光走査装置16はリコン基板から半導体微細加工法により可動板(反射ミラー)やトーションバー等が一体に形成されており、可動板の中央部にはフォトダイオードが一体に形成されている。対象物からの反射光22は、光学部品を介することなく直接フォトダイオードにより受光される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置、該光走査装置を備えたレーザレーダ装置に関し、特に走査型のレーザレーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザレーダ装置は、パルス波または変調波のレーザ光を対象物に向けて送信し、対象物で反射したレーザ光を受信し、パルス波の送信パルスと受信パルスの時間差、或いは変調波の送信波と受信波の位相差から、対象物までの距離値を算出する装置である。
特に走査型のレーザレーダは、送信するレーザ光を走査することにより広い範囲に存在する対象物の距離情報を算出することが可能になる。
従来における走査型のレーザレーダ装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載のレーザレーダ装置を図8に示す。
送信器100は、パルス波または変調波からなる送信波101を対象物に向けて送信する。送信波101はパルスレーザ光であるのが好ましいが、変調された変調レーザ光であってもよい。送信器100は、制御器102からの制御信号103により、パルス波の発振タイミングとパルス周期、又は変調波の変調周期と位相を自由に制御できるようになっている。
スキャナ装置104は、送信波101を対象物に向けて送信する。受信器105は、送信波101が対象物で反射した受信波106を受信する。受信波106のタイミング107は、距離値演算器108に通知される。距離値演算器108は、送信波101と受信波106の時間差または位相差から対象物までの距離値109を演算する。
【0004】
この種の走査型レーザレーダのスキャナ装置としては、特許文献2に記載のものが知られており、その構成例を図9、図10に示す。本例は、回転ミラーを使用して光軸を振るレーザレーダであり、いずれもミラーの光軸とミラーを回転させるモータの軸を一致させた構造である。
図9では、上下に共通の回転軸110a,110bを突出させた両軸のモータ111を使い、一方の軸110aに投光ミラー112、他方の軸110bに受光ミラー113を互いに同位相で取付けた構造である。
この構造では、送信波(光)と受信波(光)双方に走査用のミラーを設けているため、装置が大きくなる。
図10は、このミラーを減らす構成例を示している。
回転軸110cを上向きに突出させたモータ111を使い、この回転軸110cに投受光兼用ミラー115を取付けた構造である。投光器116から出た光はレンズ117を通りハーフミラー118で下方に反射され投受光兼用ミラー115に入る。反射光は投受光兼用ミラー115で上方に反射されハーフミラー118を透過しレンズ119を通り受光器120に入る。この構造は投光ミラーと受光ミラーを同軸にしているので投受光ミラーを1つにすることができ、小型化がはかれる。
【0005】
特許文献3には、更に装置の小型化を図れる例が記載されている。その構成を図11に示す。
本例では、走査用の反射ミラー部にMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)による小型の走査ミラー130を用いている。
対象物からの反射光は光学フィルタ131、結像レンズ132を介して受光素子アレイ133に入る。
これにより、図9、図10に示した例のようにミラーとモータとを組み合わせた走査系を用いないため小型化が図れる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載の受光系は、固定された光学系で受光する構成をとっているため、送信系とは別個に大きな受光系を持たなければならず、装置の小型化を妨げるという問題がある。
また、レーザレーダは送信パルスと受信パルスの時間差、或いは変調波の送信波と受信波の位相差から対象物までの距離を算出するため、正確な距離を算出するためには、受信光の高精度の時間測定が必要になり、そのために、応答速度の速い受光器が必要となる。
一般に、受光器としてはフォトダイオードやフォトトランジスターが用いられるが、高速化のためセンサの電気容量を小さくする必要があり、センサを非常に小型化にする必要がある。一般的にセンサの受光部の開口窓は直径0.1から0.5mm程度である。
しかしながら、特許文献3に記載のような固定の光学系で受光する場合、入射光の入射角により入射光の結像位置が移動し、入射光量のばらつきが生じやすいという問題がある。
また、特許文献2に記載の例のようなハーフミラー等を備えた同軸の光学系を用いて組み合わせるという方法が考えられるが、その場合でもハーフミラー等の部品コストの上昇を来たすとともに装置の小型化阻害の原因となることを避けられない。
【0007】
本発明は以上のような問題に鑑みてなされたものであり、小型化、低コスト化を実現できるとともに、受光感度がよくて距離測定精度の高いレーザレーダ装置の提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基板と、該基板に揺動可能に支持され、光源からの出射光を偏向する反射面を備えた可動部材と、該可動部材を揺動させる駆動源とを有する光走査装置において、前記可動部材が、前記反射面の面積よりも小さい開口部を備えた受光手段を一体に有していることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光走査装置において、前記可動部材がシリコン基板で形成され、前記受光手段は前記シリコン基板により前記可動部材内に直接形成されたフォトダイオードであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光走査装置において、前記シリコン基板はn型であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の光走査装置において、前記フォトダイオードは、前記反射面の略中央部分に形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2または3に記載の光走査装置において、前記反射面が矩形の形状を有し、前記フォトダイオードは、前記反射面の角部に形成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の光走査装置において、前記フォトダイオードは、前記反射面の4つの角部にそれぞれ形成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1つに記載の光走査装置において、前記受光手段の配線は、前記可動部材との間に電気的絶縁膜を介して形成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の光走査装置において、前記受光手段の配線との間に電気的絶縁膜を介して、前記反射面の前記開口部を除く部分に反射膜が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項9に記載の発明は、パルス波または変調波からなる光を出射する光源と、前記光源からの出射光を、対象物に向けて走査する光走査装置と、前記出射光が対象物で反射した反射光を受光する受光手段と、出射光と反射光の時間差または位相差から対象物までの距離値を演算する距離値演算器と、を有するレーザレーダ装置において、前記光走査装置が、請求項1〜8のいずれか1つに記載の光走査装置であり、前記受光手段は前記光走査装置が一体に有する受光手段であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のレーザレーダ装置において、前記光源は、前記可動部材の反射面に対して対象物と同一側に設置され、前記可動部材の非動作時において、入射光が前記可動部材の走査方向について前記反射面と略直角に入射する位置に前記光源が設置されていることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のレーザレーダ装置において、前記光源からの出射光が前記可動部材の反射面のほぼ全域で反射する位置に前記光源が設置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項12に記載の発明は、光源からの出射光を、反射面を備えた揺動可能な可動部材を有する光走査装置により偏向走査し、対象物で反射した反射光を受光手段により検知して、対象物までの距離を測定する距離測定方法において、前記受光手段を前記可動部材の反射面に一体に設け、対象物からの反射光を前記受光手段に直接入射させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光源より対象物に向けて出射する出射光と受光手段で受光する反射光の光路を分離する光学系を用いず、直接素子容量が小さく応答速度の速い受光手段で反射光を受光できるため、光学部品の少ないレーザレーダの実現が可能であり、小型で安価なレーザレーダを提供することが可能になる。
また、反射光が光学部品を介さずに直接受光手段に入るため、受光感度(ひいては距離測定精度)を高めることができる。
光源が可動部材の反射面に対して対象物と同一側に設置され、且つ、可動部材の非動作時において、入射光が可動部材の走査方向について反射面と略直角に入射する位置にが設置されている構成では、光を走査する全領域において、受光手段で受光する反射光と受光部のなす角度を小さくでき、受光手段の受光感度を高くすることができ、レーザレーダ装置の受光感度を向上させ、性能を向上させることが可能となる。
出射光が可動板の反射面のほぼ全域で反射する位置に光源を設置する構成では、光走査装置の光の利用効率を向上させることができ、強い光を対象物に照射することが可能になり、それにより対象物からの反射光の強度を高くすることができ、レーザレーダ装置の受光感度を向上させ、性能を向上させることが可能となる。
また、本発明によれば、B拡散などの簡易な工程でフォトダイオードを可動板上に作製することが可能になり、レーザレーダ装置を安価にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレーザレーダ装置の概要斜視図である。
【図2】光走査装置の概要斜視図である。
【図3】光走査装置の断面図で、(a)は図2のAラインでの断面図、(b)は図2のBラインでの断面図、(c)は図2のCラインでの断面図、(d)は図2のDラインでの断面図である。
【図4】光走査装置の製作工程を示す図である。
【図5】制御ブロック図である。
【図6】第2の実施形態に係る光走査装置の概要斜視図である。
【図7】第3の実施形態に係る光走査装置の概要斜視図である。
【図8】第1の従来例を示す制御ブロック図である。
【図9】第2の従来例を示す図である。
【図10】第3の従来例を示す図である。
【図11】第4の従来例を示す制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。図1乃至図5に基づいて第1の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係るレーザレーダ装置の主要部を示す概要斜視図である。
レーザレーダ装置10は、装置本体を構成するベースフレーム12と、ベースフレーム12の所定位置に固定され、レーザ光を出射する光源14と、光源14からの出射光を図示しない対象物に向けて走査する光走査装置16とを有している。
光走査装置16は、側面が台形状をなしベースフレーム12に固定された支持ブロック18の光源側前面に配置されている。図1において、符号20は出射光を、22は走査光及び反射光を示している。
【0016】
光源14は、後述する光走査装置16の反射面に対して、対象物と同方向(同一側)に設置され、更に反射面を有する可動板(後述)の非動作時において、入射光(出射光)が可動板の走査方向について水平面内で可動板に対して直角に入射する位置に光源14が設置されている。
光源14にはレーザ発振器が用いられ、ビーム整形器とコリメートレンズにより、φ0.8mmのコリメート光が出射光として出るようになっている。
【0017】
図2及び図3に基づいて光走査装置16の構成を詳細に説明する。
光走査装置16は、基板24と、可動部材で且つ走査ミラーとしての矩形状の可動板26と、可動板26を基板24に対し揺動可能に支持するトーションバー28とを備え、可動板26の一方の面には反射膜による反射面29が形成され、可動板26を図示しない駆動手段としての通電手段による静電力で駆動してトーションバー28のねじり振動によって往復運動(揺動)させるようになっている。
可動板26の両側部には櫛歯状の可動電極30が設けられ、該可動電極30に対向して基板24には入れ子構造となる櫛歯状の固定電極32が設けられている。
基板24には可動板26に対してその回転方向で対向する位置に固定電極34が設けられている。各固定電極32、34は、走査ミラー駆動回路(図5参照)に接続されている。
【0018】
可動板26の中央部には、受光手段としてのフォトダイオード36が一体に形成されている。
基板24、可動板26、トーションバー28、櫛歯電極等は一体のシリコン基板から半導体微細加工法により形成している。フォトダイオード36もシリコン基板によって形成され、かつその受光部の開口面積は反射面29の面積より小さく設定されている。
基板24の各トーションバー28に対向する部位には、フォトダイオード36を電気的に接続するための受光器用電極パッド37が設けられている。
図3は、図2におけるA、B、C、D位置での各断面の概要構成を示している。Aラインでの断面は図3(a)に、Bラインでの断面は図3(b)に、Cラインでの断面は図3(c)に、Dラインでの断面は図3(d)にそれぞれ対応している。
図3(a)に示すように、アルミニウムからなる受光器用電極パッド37は、基板24上に電気的絶縁膜としての絶縁膜38を介して形成されている。
フォトダイオード36の可動板26における反射面領域の配線40も、可動板26と絶縁膜38介して形成され、さらに図3(c)に示すように、配線40上と絶縁膜38を介して、フォトダイオード36の開口部以外の部分に金属の反射膜29が形成されている。
図3(b)に示すように、トーションバー28上の配線40は可動板26の反射面と同一方向の面上に絶縁膜38を介して形成されている。
【0019】
上記のように、可動板26上に絶縁膜38を介して配線を設けているので、可動板が導電性であり、可動板が光走査装置の電気的な機能の一部を担っている場合でも、可動板内に置かれた受光手段の配線を可動板上に配置することができ、更に配線が配置された部分も、光反射機能を十分に持たせることができ、レーザレーダ装置の性能を向上させることが可能となる。勿論、可動板が導電性でない場合には、可動板と配線間の絶縁膜は不要である。
また、フォトダイオード36を、反射面の概略中央部分に形成しているので、対象物で反射した反射光を効率よくフォトダイオード36に導くことができ、光学部品の数を減らしても、レーザレーダ装置の受光感度を向上させ、性能を向上させることが可能となる。
すなわち、従来においては受光手段が固定配置されているため、反射光の角度によっては受光光量が不均一となるが、本発明ではフォトダイオード36は可動板26に一体に形成されているため、反射光の角度にかかわらず略均一な受光光量を得ることができる。
また、従来においては反射光が受光センサに到達するまでに結像レンズ等の光学部品を経由するが、本発明ではダイレクト受光となる。
【0020】
図4に本実施形態に係る光走査装置16の作製手順の概略を示す。
基板としては、SOI基板(n型シリコン基板)を用いた。SOI基板の構成はn+(100μm)/SiO2(1μm)/n+(300μm)とし、可動板はn+(100μm)側に作製する。
(a):SOI基板のn+(100μm)側の所定の位置に、通常の半導体写真工程、マスクエッチング工程、不純物拡散工程を用いてフォトダイオードを形成する。不純物としてはB(硼素)を用いた。
(b):所定の位置に半導体加工工程を用いて、n+(100μm)およびn+(300μm)側を加工し、可動板、トーションバー、櫛歯を形成する。
半導体加工工程としては、ICPエッチングによるドライエッチングを用いた。
(c):櫛歯への電極印加のための電極パッド、フォトダイオードからの信号を取り出すための配線および電極パッドを形成する。
静電櫛歯はn+のシリコン層バルクをそのまま使い、分離溝で空間的の電気的絶縁をとる構造としているので、櫛歯電極の電極パッドはn+(100μm)層に直接形成している。
それに対して、フォトダイオードの配線は、n+(100μm)層上に電気的絶縁膜を形成し、その上に写真工程、エッチング工程でアルミ配線を形成している。
(d):更に可動板上のフォトダイオードの領域を除く部分に、絶縁膜を介して、光反射膜を形成している。光反射膜として金を用い、メタルマスクによる部分成膜で形成した。
【0021】
反射面29は、一辺が1mmの正方形をしており、レーザ光がほぼ反射部全域で反射するように光源14と光走査装置16を設置している。
上記のように作成された光走査装置16を有するレーザレーダ装置10では、図5に示すように、光源12から出射した出射光が光走査装置61で走査される。
走査光が対象物で反射した反射光のうち、光走査装置16に戻ってきた反射光は直接フォトダイオード36で受光され、その信号は距離値演算器としての距離算出回路50へ送られる。距離算出回路50は、光源12につながる駆動回路及び可動板26上のフォトダイオード36につながる受光回路とつながっており、出射光と反射光の時間差または位相差から対象物までの距離値を演算する。
これにより、反射光の受光光路における受光センサの上流側に位置する従来の光学部品(結像レンズ等)をほぼ全廃できる。
また、受光センサ(フォトダイオード36)も光走査装置16の基板をそのまま利用し、作製工程も簡易で、光走査装置16の加工工程の一部に組み込めるので、作製費用も低く抑えられ、非常に安価なレーザレーダ装置を提供することが可能になる。
【0022】
図6に第2の実施形態を示す。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
本実施形態では、レーザレーダ装置を構成する光走査装置61において、フォトダイオード36を正方形の反射面29の角部に設置したことを特徴としている。
レーザ光の断面は一般的に、円形または楕円形であるので、正方形、または長方形の反射板(反射面29)の角部へ入射する光は少ない。そこで、走査光の反射への影響の少ない角部にフォトダイオード36を設置することにより、光走査装置16における光の利用効率を上げることができる。
【0023】
図7に第3の実施形態を示す。
本実施形態では、レーザレーダ装置を構成する光走査装置61において、フォトダイオード36を正方形の反射面29の角部4箇所に設置したことを特徴としている。
対象物からの反射光波、対象物の形状等で不規則な反射となるため、反射光の反射板上での分布も不均一になる可能性がある、そこで反射板の4箇所にフォトダイオード36を配置することで、反射光の強度に不均一があっても反射光の分布の強い部分を受光することができるようになり、反射光の条件にかかわらず光走査装置16における光の利用効率を上げることができる。
【0024】
上記各実施形態では可動板26を静電力で駆動する構成としたが、電磁力や圧電素子で駆動する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、画像形成装置への適用例を示したが、車載用のレーザレーダ装置や、二足歩行を含む移動型ロボットの対物検知装置等としても利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
14 光源
16 光走査装置
20 出射光
24 基板
26 可動部材としての可動板
29 反射面
36 受光手段としてのフォトダイオード
38 電気的絶縁膜
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開2005−55226号公報
【特許文献2】特許3908226号公報
【特許文献3】特開2004−157044号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置、該光走査装置を備えたレーザレーダ装置に関し、特に走査型のレーザレーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザレーダ装置は、パルス波または変調波のレーザ光を対象物に向けて送信し、対象物で反射したレーザ光を受信し、パルス波の送信パルスと受信パルスの時間差、或いは変調波の送信波と受信波の位相差から、対象物までの距離値を算出する装置である。
特に走査型のレーザレーダは、送信するレーザ光を走査することにより広い範囲に存在する対象物の距離情報を算出することが可能になる。
従来における走査型のレーザレーダ装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載のレーザレーダ装置を図8に示す。
送信器100は、パルス波または変調波からなる送信波101を対象物に向けて送信する。送信波101はパルスレーザ光であるのが好ましいが、変調された変調レーザ光であってもよい。送信器100は、制御器102からの制御信号103により、パルス波の発振タイミングとパルス周期、又は変調波の変調周期と位相を自由に制御できるようになっている。
スキャナ装置104は、送信波101を対象物に向けて送信する。受信器105は、送信波101が対象物で反射した受信波106を受信する。受信波106のタイミング107は、距離値演算器108に通知される。距離値演算器108は、送信波101と受信波106の時間差または位相差から対象物までの距離値109を演算する。
【0004】
この種の走査型レーザレーダのスキャナ装置としては、特許文献2に記載のものが知られており、その構成例を図9、図10に示す。本例は、回転ミラーを使用して光軸を振るレーザレーダであり、いずれもミラーの光軸とミラーを回転させるモータの軸を一致させた構造である。
図9では、上下に共通の回転軸110a,110bを突出させた両軸のモータ111を使い、一方の軸110aに投光ミラー112、他方の軸110bに受光ミラー113を互いに同位相で取付けた構造である。
この構造では、送信波(光)と受信波(光)双方に走査用のミラーを設けているため、装置が大きくなる。
図10は、このミラーを減らす構成例を示している。
回転軸110cを上向きに突出させたモータ111を使い、この回転軸110cに投受光兼用ミラー115を取付けた構造である。投光器116から出た光はレンズ117を通りハーフミラー118で下方に反射され投受光兼用ミラー115に入る。反射光は投受光兼用ミラー115で上方に反射されハーフミラー118を透過しレンズ119を通り受光器120に入る。この構造は投光ミラーと受光ミラーを同軸にしているので投受光ミラーを1つにすることができ、小型化がはかれる。
【0005】
特許文献3には、更に装置の小型化を図れる例が記載されている。その構成を図11に示す。
本例では、走査用の反射ミラー部にMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)による小型の走査ミラー130を用いている。
対象物からの反射光は光学フィルタ131、結像レンズ132を介して受光素子アレイ133に入る。
これにより、図9、図10に示した例のようにミラーとモータとを組み合わせた走査系を用いないため小型化が図れる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載の受光系は、固定された光学系で受光する構成をとっているため、送信系とは別個に大きな受光系を持たなければならず、装置の小型化を妨げるという問題がある。
また、レーザレーダは送信パルスと受信パルスの時間差、或いは変調波の送信波と受信波の位相差から対象物までの距離を算出するため、正確な距離を算出するためには、受信光の高精度の時間測定が必要になり、そのために、応答速度の速い受光器が必要となる。
一般に、受光器としてはフォトダイオードやフォトトランジスターが用いられるが、高速化のためセンサの電気容量を小さくする必要があり、センサを非常に小型化にする必要がある。一般的にセンサの受光部の開口窓は直径0.1から0.5mm程度である。
しかしながら、特許文献3に記載のような固定の光学系で受光する場合、入射光の入射角により入射光の結像位置が移動し、入射光量のばらつきが生じやすいという問題がある。
また、特許文献2に記載の例のようなハーフミラー等を備えた同軸の光学系を用いて組み合わせるという方法が考えられるが、その場合でもハーフミラー等の部品コストの上昇を来たすとともに装置の小型化阻害の原因となることを避けられない。
【0007】
本発明は以上のような問題に鑑みてなされたものであり、小型化、低コスト化を実現できるとともに、受光感度がよくて距離測定精度の高いレーザレーダ装置の提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基板と、該基板に揺動可能に支持され、光源からの出射光を偏向する反射面を備えた可動部材と、該可動部材を揺動させる駆動源とを有する光走査装置において、前記可動部材が、前記反射面の面積よりも小さい開口部を備えた受光手段を一体に有していることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光走査装置において、前記可動部材がシリコン基板で形成され、前記受光手段は前記シリコン基板により前記可動部材内に直接形成されたフォトダイオードであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光走査装置において、前記シリコン基板はn型であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の光走査装置において、前記フォトダイオードは、前記反射面の略中央部分に形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2または3に記載の光走査装置において、前記反射面が矩形の形状を有し、前記フォトダイオードは、前記反射面の角部に形成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の光走査装置において、前記フォトダイオードは、前記反射面の4つの角部にそれぞれ形成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1つに記載の光走査装置において、前記受光手段の配線は、前記可動部材との間に電気的絶縁膜を介して形成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の光走査装置において、前記受光手段の配線との間に電気的絶縁膜を介して、前記反射面の前記開口部を除く部分に反射膜が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項9に記載の発明は、パルス波または変調波からなる光を出射する光源と、前記光源からの出射光を、対象物に向けて走査する光走査装置と、前記出射光が対象物で反射した反射光を受光する受光手段と、出射光と反射光の時間差または位相差から対象物までの距離値を演算する距離値演算器と、を有するレーザレーダ装置において、前記光走査装置が、請求項1〜8のいずれか1つに記載の光走査装置であり、前記受光手段は前記光走査装置が一体に有する受光手段であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のレーザレーダ装置において、前記光源は、前記可動部材の反射面に対して対象物と同一側に設置され、前記可動部材の非動作時において、入射光が前記可動部材の走査方向について前記反射面と略直角に入射する位置に前記光源が設置されていることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のレーザレーダ装置において、前記光源からの出射光が前記可動部材の反射面のほぼ全域で反射する位置に前記光源が設置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項12に記載の発明は、光源からの出射光を、反射面を備えた揺動可能な可動部材を有する光走査装置により偏向走査し、対象物で反射した反射光を受光手段により検知して、対象物までの距離を測定する距離測定方法において、前記受光手段を前記可動部材の反射面に一体に設け、対象物からの反射光を前記受光手段に直接入射させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光源より対象物に向けて出射する出射光と受光手段で受光する反射光の光路を分離する光学系を用いず、直接素子容量が小さく応答速度の速い受光手段で反射光を受光できるため、光学部品の少ないレーザレーダの実現が可能であり、小型で安価なレーザレーダを提供することが可能になる。
また、反射光が光学部品を介さずに直接受光手段に入るため、受光感度(ひいては距離測定精度)を高めることができる。
光源が可動部材の反射面に対して対象物と同一側に設置され、且つ、可動部材の非動作時において、入射光が可動部材の走査方向について反射面と略直角に入射する位置にが設置されている構成では、光を走査する全領域において、受光手段で受光する反射光と受光部のなす角度を小さくでき、受光手段の受光感度を高くすることができ、レーザレーダ装置の受光感度を向上させ、性能を向上させることが可能となる。
出射光が可動板の反射面のほぼ全域で反射する位置に光源を設置する構成では、光走査装置の光の利用効率を向上させることができ、強い光を対象物に照射することが可能になり、それにより対象物からの反射光の強度を高くすることができ、レーザレーダ装置の受光感度を向上させ、性能を向上させることが可能となる。
また、本発明によれば、B拡散などの簡易な工程でフォトダイオードを可動板上に作製することが可能になり、レーザレーダ装置を安価にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレーザレーダ装置の概要斜視図である。
【図2】光走査装置の概要斜視図である。
【図3】光走査装置の断面図で、(a)は図2のAラインでの断面図、(b)は図2のBラインでの断面図、(c)は図2のCラインでの断面図、(d)は図2のDラインでの断面図である。
【図4】光走査装置の製作工程を示す図である。
【図5】制御ブロック図である。
【図6】第2の実施形態に係る光走査装置の概要斜視図である。
【図7】第3の実施形態に係る光走査装置の概要斜視図である。
【図8】第1の従来例を示す制御ブロック図である。
【図9】第2の従来例を示す図である。
【図10】第3の従来例を示す図である。
【図11】第4の従来例を示す制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。図1乃至図5に基づいて第1の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係るレーザレーダ装置の主要部を示す概要斜視図である。
レーザレーダ装置10は、装置本体を構成するベースフレーム12と、ベースフレーム12の所定位置に固定され、レーザ光を出射する光源14と、光源14からの出射光を図示しない対象物に向けて走査する光走査装置16とを有している。
光走査装置16は、側面が台形状をなしベースフレーム12に固定された支持ブロック18の光源側前面に配置されている。図1において、符号20は出射光を、22は走査光及び反射光を示している。
【0016】
光源14は、後述する光走査装置16の反射面に対して、対象物と同方向(同一側)に設置され、更に反射面を有する可動板(後述)の非動作時において、入射光(出射光)が可動板の走査方向について水平面内で可動板に対して直角に入射する位置に光源14が設置されている。
光源14にはレーザ発振器が用いられ、ビーム整形器とコリメートレンズにより、φ0.8mmのコリメート光が出射光として出るようになっている。
【0017】
図2及び図3に基づいて光走査装置16の構成を詳細に説明する。
光走査装置16は、基板24と、可動部材で且つ走査ミラーとしての矩形状の可動板26と、可動板26を基板24に対し揺動可能に支持するトーションバー28とを備え、可動板26の一方の面には反射膜による反射面29が形成され、可動板26を図示しない駆動手段としての通電手段による静電力で駆動してトーションバー28のねじり振動によって往復運動(揺動)させるようになっている。
可動板26の両側部には櫛歯状の可動電極30が設けられ、該可動電極30に対向して基板24には入れ子構造となる櫛歯状の固定電極32が設けられている。
基板24には可動板26に対してその回転方向で対向する位置に固定電極34が設けられている。各固定電極32、34は、走査ミラー駆動回路(図5参照)に接続されている。
【0018】
可動板26の中央部には、受光手段としてのフォトダイオード36が一体に形成されている。
基板24、可動板26、トーションバー28、櫛歯電極等は一体のシリコン基板から半導体微細加工法により形成している。フォトダイオード36もシリコン基板によって形成され、かつその受光部の開口面積は反射面29の面積より小さく設定されている。
基板24の各トーションバー28に対向する部位には、フォトダイオード36を電気的に接続するための受光器用電極パッド37が設けられている。
図3は、図2におけるA、B、C、D位置での各断面の概要構成を示している。Aラインでの断面は図3(a)に、Bラインでの断面は図3(b)に、Cラインでの断面は図3(c)に、Dラインでの断面は図3(d)にそれぞれ対応している。
図3(a)に示すように、アルミニウムからなる受光器用電極パッド37は、基板24上に電気的絶縁膜としての絶縁膜38を介して形成されている。
フォトダイオード36の可動板26における反射面領域の配線40も、可動板26と絶縁膜38介して形成され、さらに図3(c)に示すように、配線40上と絶縁膜38を介して、フォトダイオード36の開口部以外の部分に金属の反射膜29が形成されている。
図3(b)に示すように、トーションバー28上の配線40は可動板26の反射面と同一方向の面上に絶縁膜38を介して形成されている。
【0019】
上記のように、可動板26上に絶縁膜38を介して配線を設けているので、可動板が導電性であり、可動板が光走査装置の電気的な機能の一部を担っている場合でも、可動板内に置かれた受光手段の配線を可動板上に配置することができ、更に配線が配置された部分も、光反射機能を十分に持たせることができ、レーザレーダ装置の性能を向上させることが可能となる。勿論、可動板が導電性でない場合には、可動板と配線間の絶縁膜は不要である。
また、フォトダイオード36を、反射面の概略中央部分に形成しているので、対象物で反射した反射光を効率よくフォトダイオード36に導くことができ、光学部品の数を減らしても、レーザレーダ装置の受光感度を向上させ、性能を向上させることが可能となる。
すなわち、従来においては受光手段が固定配置されているため、反射光の角度によっては受光光量が不均一となるが、本発明ではフォトダイオード36は可動板26に一体に形成されているため、反射光の角度にかかわらず略均一な受光光量を得ることができる。
また、従来においては反射光が受光センサに到達するまでに結像レンズ等の光学部品を経由するが、本発明ではダイレクト受光となる。
【0020】
図4に本実施形態に係る光走査装置16の作製手順の概略を示す。
基板としては、SOI基板(n型シリコン基板)を用いた。SOI基板の構成はn+(100μm)/SiO2(1μm)/n+(300μm)とし、可動板はn+(100μm)側に作製する。
(a):SOI基板のn+(100μm)側の所定の位置に、通常の半導体写真工程、マスクエッチング工程、不純物拡散工程を用いてフォトダイオードを形成する。不純物としてはB(硼素)を用いた。
(b):所定の位置に半導体加工工程を用いて、n+(100μm)およびn+(300μm)側を加工し、可動板、トーションバー、櫛歯を形成する。
半導体加工工程としては、ICPエッチングによるドライエッチングを用いた。
(c):櫛歯への電極印加のための電極パッド、フォトダイオードからの信号を取り出すための配線および電極パッドを形成する。
静電櫛歯はn+のシリコン層バルクをそのまま使い、分離溝で空間的の電気的絶縁をとる構造としているので、櫛歯電極の電極パッドはn+(100μm)層に直接形成している。
それに対して、フォトダイオードの配線は、n+(100μm)層上に電気的絶縁膜を形成し、その上に写真工程、エッチング工程でアルミ配線を形成している。
(d):更に可動板上のフォトダイオードの領域を除く部分に、絶縁膜を介して、光反射膜を形成している。光反射膜として金を用い、メタルマスクによる部分成膜で形成した。
【0021】
反射面29は、一辺が1mmの正方形をしており、レーザ光がほぼ反射部全域で反射するように光源14と光走査装置16を設置している。
上記のように作成された光走査装置16を有するレーザレーダ装置10では、図5に示すように、光源12から出射した出射光が光走査装置61で走査される。
走査光が対象物で反射した反射光のうち、光走査装置16に戻ってきた反射光は直接フォトダイオード36で受光され、その信号は距離値演算器としての距離算出回路50へ送られる。距離算出回路50は、光源12につながる駆動回路及び可動板26上のフォトダイオード36につながる受光回路とつながっており、出射光と反射光の時間差または位相差から対象物までの距離値を演算する。
これにより、反射光の受光光路における受光センサの上流側に位置する従来の光学部品(結像レンズ等)をほぼ全廃できる。
また、受光センサ(フォトダイオード36)も光走査装置16の基板をそのまま利用し、作製工程も簡易で、光走査装置16の加工工程の一部に組み込めるので、作製費用も低く抑えられ、非常に安価なレーザレーダ装置を提供することが可能になる。
【0022】
図6に第2の実施形態を示す。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
本実施形態では、レーザレーダ装置を構成する光走査装置61において、フォトダイオード36を正方形の反射面29の角部に設置したことを特徴としている。
レーザ光の断面は一般的に、円形または楕円形であるので、正方形、または長方形の反射板(反射面29)の角部へ入射する光は少ない。そこで、走査光の反射への影響の少ない角部にフォトダイオード36を設置することにより、光走査装置16における光の利用効率を上げることができる。
【0023】
図7に第3の実施形態を示す。
本実施形態では、レーザレーダ装置を構成する光走査装置61において、フォトダイオード36を正方形の反射面29の角部4箇所に設置したことを特徴としている。
対象物からの反射光波、対象物の形状等で不規則な反射となるため、反射光の反射板上での分布も不均一になる可能性がある、そこで反射板の4箇所にフォトダイオード36を配置することで、反射光の強度に不均一があっても反射光の分布の強い部分を受光することができるようになり、反射光の条件にかかわらず光走査装置16における光の利用効率を上げることができる。
【0024】
上記各実施形態では可動板26を静電力で駆動する構成としたが、電磁力や圧電素子で駆動する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、画像形成装置への適用例を示したが、車載用のレーザレーダ装置や、二足歩行を含む移動型ロボットの対物検知装置等としても利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
14 光源
16 光走査装置
20 出射光
24 基板
26 可動部材としての可動板
29 反射面
36 受光手段としてのフォトダイオード
38 電気的絶縁膜
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開2005−55226号公報
【特許文献2】特許3908226号公報
【特許文献3】特開2004−157044号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板に揺動可能に支持され、光源からの出射光を偏向する反射面を備えた可動部材と、該可動部材を揺動させる駆動源とを有する光走査装置において、
前記可動部材が、前記反射面の面積よりも小さい開口部を備えた受光手段を一体に有していることを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光走査装置において、
前記可動部材がシリコン基板で形成され、前記受光手段は前記シリコン基板により前記可動部材内に直接形成されたフォトダイオードであることを特徴とする光走査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光走査装置において、
前記シリコン基板はn型であることを特徴とする光走査装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の光走査装置において、
前記フォトダイオードは、前記反射面の略中央部分に形成されていることを特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の光走査装置において、
前記反射面が矩形の形状を有し、前記フォトダイオードは、前記反射面の角部に形成されていることを特徴とする光走査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光走査装置において、
前記フォトダイオードは、前記反射面の4つの角部にそれぞれ形成されていることを特徴とする光走査装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の光走査装置において、
前記受光手段の配線は、前記可動部材との間に電気的絶縁膜を介して形成されていることを特徴とする光走査装置。
【請求項8】
請求項7に記載の光走査装置において、
前記受光手段の配線との間に電気的絶縁膜を介して、前記反射面の前記開口部を除く部分に反射膜が形成されていることを特徴とする光走査装置。
【請求項9】
パルス波または変調波からなる光を出射する光源と、前記光源からの出射光を、対象物に向けて走査する光走査装置と、前記出射光が対象物で反射した反射光を受光する受光手段と、出射光と反射光の時間差または位相差から対象物までの距離値を演算する距離値演算器と、を有するレーザレーダ装置において、
前記光走査装置が、請求項1〜8のいずれか1つに記載の光走査装置であり、前記受光手段は前記光走査装置が一体に有する受光手段であることを特徴とするレーザレーダ装置。
【請求項10】
請求項9に記載のレーザレーダ装置において、
前記光源は、前記可動部材の反射面に対して対象物と同一側に設置され、前記可動部材の非動作時において、入射光が前記可動部材の走査方向について前記反射面と略直角に入射する位置に前記光源が設置されていることを特徴とするレーザレーダ装置。
【請求項11】
請求項10に記載のレーザレーダ装置において、
前記光源からの出射光が前記可動部材の反射面のほぼ全域で反射する位置に前記光源が設置されていることを特徴とするレーザレーダ装置。
【請求項12】
光源からの出射光を、反射面を備えた揺動可能な可動部材を有する光走査装置により偏向走査し、対象物で反射した反射光を受光手段により検知して、対象物までの距離を測定する距離測定方法において、
前記受光手段を前記可動部材の反射面に一体に設け、対象物からの反射光を前記受光手段に直接入射させることを特徴とする距離測定方法。
【請求項1】
基板と、該基板に揺動可能に支持され、光源からの出射光を偏向する反射面を備えた可動部材と、該可動部材を揺動させる駆動源とを有する光走査装置において、
前記可動部材が、前記反射面の面積よりも小さい開口部を備えた受光手段を一体に有していることを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光走査装置において、
前記可動部材がシリコン基板で形成され、前記受光手段は前記シリコン基板により前記可動部材内に直接形成されたフォトダイオードであることを特徴とする光走査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光走査装置において、
前記シリコン基板はn型であることを特徴とする光走査装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の光走査装置において、
前記フォトダイオードは、前記反射面の略中央部分に形成されていることを特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の光走査装置において、
前記反射面が矩形の形状を有し、前記フォトダイオードは、前記反射面の角部に形成されていることを特徴とする光走査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光走査装置において、
前記フォトダイオードは、前記反射面の4つの角部にそれぞれ形成されていることを特徴とする光走査装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の光走査装置において、
前記受光手段の配線は、前記可動部材との間に電気的絶縁膜を介して形成されていることを特徴とする光走査装置。
【請求項8】
請求項7に記載の光走査装置において、
前記受光手段の配線との間に電気的絶縁膜を介して、前記反射面の前記開口部を除く部分に反射膜が形成されていることを特徴とする光走査装置。
【請求項9】
パルス波または変調波からなる光を出射する光源と、前記光源からの出射光を、対象物に向けて走査する光走査装置と、前記出射光が対象物で反射した反射光を受光する受光手段と、出射光と反射光の時間差または位相差から対象物までの距離値を演算する距離値演算器と、を有するレーザレーダ装置において、
前記光走査装置が、請求項1〜8のいずれか1つに記載の光走査装置であり、前記受光手段は前記光走査装置が一体に有する受光手段であることを特徴とするレーザレーダ装置。
【請求項10】
請求項9に記載のレーザレーダ装置において、
前記光源は、前記可動部材の反射面に対して対象物と同一側に設置され、前記可動部材の非動作時において、入射光が前記可動部材の走査方向について前記反射面と略直角に入射する位置に前記光源が設置されていることを特徴とするレーザレーダ装置。
【請求項11】
請求項10に記載のレーザレーダ装置において、
前記光源からの出射光が前記可動部材の反射面のほぼ全域で反射する位置に前記光源が設置されていることを特徴とするレーザレーダ装置。
【請求項12】
光源からの出射光を、反射面を備えた揺動可能な可動部材を有する光走査装置により偏向走査し、対象物で反射した反射光を受光手段により検知して、対象物までの距離を測定する距離測定方法において、
前記受光手段を前記可動部材の反射面に一体に設け、対象物からの反射光を前記受光手段に直接入射させることを特徴とする距離測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−179969(P2011−179969A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44528(P2010−44528)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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