説明

光電変換素子、固体撮像素子

【課題】電極成膜時における素子特性劣化の少ない光電変換素子を提供する。
【解決手段】第一電極11と、第一電極11に対向する第二電極13と、第一電極11と第二電極13との間に形成された光電変換層12とを含む光電変換部を有する光電変換素子100であって、第一電極11又は第二電極13と光電変換層12との間に、光電変換層12の表面の凹凸を緩和する平滑層104を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一電極と、前記第一電極に対向する第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に形成された光電変換層とを含む光電変換部を有する光電変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光センサは、シリコン(Si)などの半導体基板中にフォトダイオード(PD)を形成して作成した素子が一般的であり、固体撮像素子としては、半導体基板中にPDを2次元的に配列し、各PDで光電変換により発生した信号電荷に応じた信号をCCDやCMOS回路で読み出す平面型固体撮像素子が広く用いられている。カラー固体撮像素子を実現する方法としては、平面型固体撮像素子の光入射面側に、色分離用に特定の波長の光のみを透過するカラーフィルタを配した構造が一般的であり、特に、現在デジタルカメラなどに広く用いられている方式として、2次元的に配列した各PD上に、青色(B)光、緑色(G)光、赤色(R)光をそれぞれ透過するカラーフィルタを規則的に配した単板式固体撮像素子がよく知られている。
【0003】
ただし、単板式固体撮像素子においては、カラーフィルタが限られた波長の光のみしか透過しないため、カラーフィルタを透過しなかった光が利用されず光利用効率が悪い。また、高集積化に伴い、PDのサイズが光の波長と同程度のサイズとなり、光がPDに導波されにくくなる。また、青色光、緑色光、赤色光を、近接するそれぞれ別々のPDで検出した後それらを演算処理することによって色再現するため、偽色が生じることがあり、この偽色を回避するために光学的ローパスフィルタを必要とし、このフィルタによる光損失も生じる。
【0004】
従来、これらの欠点を解決する素子として、シリコンの吸収係数の波長依存性を利用して、シリコン基板内に3つのPDを積層し、それぞれのPDのpn接合面の深さの差によって色分離を行うカラーセンサが報告されている(特許文献1,2,3参照)。しかしながら、この方式では、積層されたPDでの分光感度の波長依存性がブロードであり、色分離が不十分であるという問題点がある。特に、青色と緑色の色分離が不十分である。
【0005】
この問題点を解決するために、緑色光を検出してこれに応じた信号電荷を発生する光電変換部をシリコン基板上方に設け、シリコン基板内に積層した2つのPDで青色光と赤色光を検出するというセンサが提案されている(特許文献4参照)。シリコン基板上方に設けられる光電変換部は、シリコン基板上に積層された第一電極と、第一電極上に積層された有機材料からなる光電変換層と、光電変換層上に積層された第二電極とを含んで構成されており、第一電極と第二電極に電圧を印加することで、光電変換層内で発生した電荷が第一電極と第二電極に移動し、いずれかの電極に移動した電荷に応じた信号が、シリコン基板内に設けられたCCDやCMOS回路等で読み出される構成となっている。本明細書において、光電変換層とは、そこに入射した特定の波長の光を吸収し、吸収した光量に応じた電荷(電子及び正孔)を発生する層のことを言う。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5965875号明細書
【特許文献2】米国特許第6632701号明細書
【特許文献3】特開平7−38136号公報
【特許文献4】特開2003−332551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シリコン基板内のPD上に有機光電変換層を積層する場合、有機の光電変換材料を挟む第一電極及び第二電極としては、光透過性の高い電極を用いる必要がある。透明導電性酸化物が適当であり、プロセス適性や平滑性の観点からITO(Snがドープされた酸化インジウム)電極等が候補として挙げられる。しかし、これら透明導電性酸化物は一般にスパッタ法により形成されるため、基板上に第一電極を形成し、その上に光電変換層を形成し、その上に第二電極を形成するという順番で光電変換部を作製する場合、第二電極の形成時に、既に形成されている光電変換層の表面の凹凸にスパッタ粒子が潜り込み、素子をショートさせやすい。特に、光電変換層として、凹凸の多い顔料系材料等によって形成した多結晶層を用いた場合に、この現象が顕著となる。ここで、多結晶層とは同一材料で結晶方位の異なる微結晶が集合した層であり、単結晶材料やアモルファス材料に比べて、その表面に比較的凹凸が多く存在する。また、第二電極はスパッタ法により形成されるため、スパッタ時のプラズマによって光電変換層に損傷を与え、素子特性を劣化させやすい。さらに、光電変換層の表面の凹凸にスパッタ粒子が潜り込むことで、第二電極表面にも凹凸が形成される。第二電極表面に凹凸があると、光電変換層へのバイアス印加時に、光電変換層内に均一な電界をかけることができず、局所的に高電界となる領域が生じ、リーク電流増大の原因ともなる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、第一電極と、前記第一電極に対向する第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に形成された光電変換層とを含む光電変換部を有する光電変換素子であって、電極成膜時における素子特性劣化の少ない光電変換素子を提供することを目的とする。さらに、その光電変換素子を用い、画素欠陥の少ない固体撮像素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)第一電極と、前記第一電極に対向する第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に形成された光電変換層とを含む光電変換部を有する光電変換素子であって、前記第一電極又は前記第二電極と前記光電変換層との間に、前記光電変換層の表面の凹凸を緩和する平滑層を設けた光電変換素子。
【0010】
(2)(1)記載の光電変換素子であって、前記平滑層がアモルファス材料からなる光電変換素子。
【0011】
(3)(1)又は(2)記載の光電変換素子であって、前記光電変換層が多結晶の有機材料からなる光電変換素子。
【0012】
(4)(3)記載の光電変換素子であって、前記有機材料がキナクリドン骨格の材料を含む光電変換素子。
【0013】
(5)(1)〜(4)のいずれか記載の光電変換素子であって、前記平滑層表面の平均面粗さRaが1nm以下である光電変換素子。
【0014】
(6)(1)〜(5)のいずれか記載の光電変換素子であって、前記平滑層を構成する材料が有機材料である光電変換素子。
【0015】
(7)(1)〜(6)のいずれか記載の光電変換素子であって、前記平滑層が透明である光電変換素子。
【0016】
(8)(1)〜(7)のいずれか記載の光電変換素子であって、前記平滑層の厚みが10〜300nmである光電変換素子。
【0017】
(9)(1)〜(8)のいずれか記載の光電変換素子であって、前記第二電極が光入射側の電極であり、前記平滑層が、前記第二電極と前記光電変換層との間に設けられ、前記第一電極を電子取り出し用の電極とし、前記第二電極を正孔取り出し用の電極とした光電変換素子。
【0018】
(10)(9)記載の光電変換素子であって、前記平滑層が正孔輸送性材料からなる光電変換素子。
【0019】
(11)(10)記載の光電変換素子であって、前記正孔輸送性材料がトリフェニルアミン構造を有する材料である光電変換素子。
【0020】
(12)(11)記載の光電変換素子であって、前記正孔輸送性材料がスターバーストアミン構造を有する材料である光電変換素子。
【0021】
(13)(9)〜(12)のいずれか記載の光電変換素子であって、前記第一電極の仕事関数が4.5eV以下である光電変換素子。
【0022】
(14)(9)〜(12)のいずれか記載の光電変換素子であって、前記第一電極がITOであり、前記ITOと前記光電変換層との間に形成されたInの薄膜を備える光電変換素子。
【0023】
(15)(1)〜(8)のいずれか記載の光電変換素子であって、前記第二電極が光入射側の電極であり、前記平滑層が、前記第二電極と前記光電変換層との間に設けられ、前記第一電極を正孔取り出し用の電極とし、前記第二電極を電子取り出し用の電極とした光電変換素子。
【0024】
(16)(15)記載の光電変換素子であって、前記平滑層が電子輸送性材料からなる光電変換素子。
【0025】
(17)(16)記載の光電変換素子であって、前記電子輸送性材料がAlqもしくはその誘導体である光電変換素子。
【0026】
(18)(15)〜(17)のいずれか記載の光電変換素子であって、前記第二電極の仕事関数が4.5eV以下である光電変換素子。
【0027】
(19)(18)記載の光電変換素子であって、前記第二電極が、CsがドープされたITOである光電変換素子。
【0028】
(20)(1)〜(13)のいずれか又は(15)〜(18)のいずれか記載の光電変換素子であって、前記第一電極及び前記第二電極の少なくとも一方が透明電極である光電変換素子。
【0029】
(21)(20)記載の光電変換素子であって、前記第一電極及び前記第二電極の両方とも透明電極である光電変換素子。
【0030】
(22)(20)又は(21)記載の光電変換素子であって、前記透明電極が透明導電性酸化物の薄膜である光電変換素子。
【0031】
(23)(22)記載の光電変換素子であって、前記透明導電性酸化物がITOである光電変換素子。
【0032】
(24)(20)又は(21)記載の光電変換素子であって、前記透明電極が蒸着により形成された金属の薄膜である光電変換素子。
【0033】
(25)(1)〜(24)のいずれか記載の光電変換素子であって、前記第一電極及び前記第二電極のそれぞれの厚みが5〜200nmである光電変換素子。
【0034】
(26)(1)〜(25)のいずれか記載の光電変換素子であって、少なくとも1つの前記光電変換部が上方に積層された半導体基板と、前記半導体基板内に形成され、前記光電変換部の前記光電変換層で発生した電荷を蓄積するための電荷蓄積部と、前記光電変換部の前記第一電極又は前記第二電極と、前記電荷蓄積部とを電気的に接続する接続部とを備える光電変換素子。
【0035】
(27)(26)記載の光電変換素子であって、前記半導体基板内に、前記光電変換部の前記光電変換層を透過した光を吸収し、該光に応じた電荷を発生してこれを蓄積する基板内光電変換部を備える光電変換素子。
【0036】
(28)(27)記載の光電変換素子であって、前記基板内光電変換部が、前記半導体基板内に積層されたそれぞれ異なる色の光を吸収する複数のフォトダイオードである光電変換素子。
【0037】
(29)(27)記載の光電変換素子であって、前記基板内光電変換部が、前記半導体基板内の入射光の入射方向に対して垂直な方向に配列されたそれぞれ異なる色の光を吸収する複数のフォトダイオードである光電変換素子。
【0038】
(30)(28)又は(29)記載の光電変換素子であって、前記半導体基板上方に積層された前記光電変換部が1つであり、前記複数のフォトダイオードが、青色の光を吸収可能な位置にpn接合面が形成された青色用フォトダイオードと、赤色の光を吸収可能な位置にpn接合面が形成された赤色用フォトダイオードであり、前記光電変換部の前記光電変換層が緑色の光を吸収するものである光電変換素子。
【0039】
(31)(26)〜(30)のいずれか記載の光電変換素子をアレイ状に多数配置した固体撮像素子であって、前記多数の光電変換素子の各々で蓄積された前記電荷に応じた信号を読み出す信号読み出し部を備える固体撮像素子。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、第一電極と、前記第一電極に対向する第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に形成された光電変換層とを含む光電変換部を有する光電変換素子であって、電極成膜時における素子特性劣化の少ない光電変換素子を提供することができる。さらに、その光電変換素子を用い、画素欠陥の少ない固体撮像素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0042】
図1は、本発明の実施形態を説明するための光電変換素子の概略構成を示す断面模式図である。
図1に示す光電変換素子100は、ガラス基板101上に形成された第一電極11と、第一電極11上に形成された第一電極11の仕事関数を調節するための仕事関数調節層102と、仕事関数調節層102上に形成された光電変換層12と、光電変換層12上に形成された光電変換層12表面の凹凸を緩和する平滑層104と、平滑層104上に形成された第二電極13とを含む光電変換部を有する。
【0043】
図1に示す光電変換素子100は、第二電極13上方から光を入射させて用いるものとしているため、第二電極13が光入射側の電極となる。又、図1に示す光電変換素子100は、光電変換層12で発生した電荷のうち、正孔を第二電極13に移動させ、電子を第一電極11に移動させるように、第一電極11及び第二電極13にそれぞれバイアス電圧が印加されるものとしている。図1に示す光電変換素子100は、光電変換層12で発生した電子を取り出して信号を得る第一の方法と、光電変換層12で発生した正孔を取り出して信号を得る第二の方法との2つの使い方が可能である。
【0044】
第一電極11は、光電変換層12で発生した電子を取り出すための電子取り出し用の電極である。光電変換素子100は、後述するが、その下方にも光を透過させる必要がある場合がある。このため、第一電極11は透明な透明電極であることが好ましい。ここで、透明とは、可視域(約420nmから約660nm)の光を全体として80%以上透過することを意味している。透明電極としては、透明導電性酸化物の薄膜が適しており、プロセス適性や平滑性の観点から、ITOを用いることが特に好ましい。又、金属を、可視域の光が透過できる程度に薄く蒸着することで、透明電極を実現することも可能である。第一電極11の厚みは、5〜200nmが好ましい。第一電極11は、バイアス電圧を制御することで、光電変換層12で発生した正孔を取り出すための正孔取り出し用の電極とすることも可能である。第一電極11の材料としては、ITO、IZO、AZO、ZnO2、SnO2、TiO2、FTO、Al、Ag、及びAu等を用いることができる。
【0045】
第二電極13は、光電変換層12で発生した正孔を取り出すための正孔取り出し用の電極である。第二電極13は、その下方にも光を透過させる必要があるため、第一電極11と同様に透明電極であることが好ましい。第二電極13の厚みは、5〜200nmが好ましい。第二電極13は、バイアス電圧を制御することで、光電変換層12で発生した電子を取り出すための電子取り出し用の電極とすることも可能である。第二電極13の材料としては、ITO、IZO、AZO、ZnO2、SnO2、TiO2、FTO、Al、Ag、及びAu等を用いることができる。
【0046】
光電変換層12は、単層構造でも多層構造でもよく、特定の波長の光に感度がある有機半導体材料、有機色素を含む有機材料や無機材料で構成される。波長選択性の観点から有機材料が好ましく、光電変換性能の高さから、結晶性の高い有機材料がさらに好ましい。その一例としてQuinacridone(キナクリドン:5,12-dihydroquino[2,3-b]acridine-7,14-dione、以下QAともいう)骨格の材料を好ましく用いることができる。キナクリドンの化学式を以下に示す。
【0047】
【化1】

【0048】
平滑層104は、その表面に凹凸の少なく且つ光電変換層12をショートさせない材料であれば良く、有機材料や無機材料を用いることができる。特に、アモルファス材料は、その表面に凹凸があまりないため、好ましく用いられる。平滑層104は、光電変換層12に光を入射させる必要があるため、透明であることが好ましい。平滑層104の厚みは、10〜300nmの範囲が好ましい。特に、凹凸を効果的に緩和するためには30nm以上が好ましく、また、厚すぎると光電変換層12に印加すべきバイアス電圧が大きくなってしまうため、200nm以下であることが好ましい。
【0049】
図1に示す光電変換素子100では、第二電極13を正孔取り出し用の電極としている。このため、平滑層104を構成する材料は、正孔輸送性材料であることが好ましい。平滑層104に適している正孔輸送性材料としては、トリフェニルアミン構造を有するトリフェニルアミン系の有機材料が挙げられる。さらにトリフェニルアミン系の有機材料としては、トリフェニルアミン構造が星状に繋がっているスターバーストアミン構造を有するスターバーストアミン系の有機材料が挙げられる。ここで、スターバーストアミン構造とは、以下の化学式4に示したTDATAの構造を言う。トリフェニルアミン系の有機材料としては、以下の化学式3に示した材料(アミンAとする)等を用いることができ、さらにスターバーストアミン系の有機材料としては、以下の化学式2に示したm−MTDATA(4,4',4''-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine)等を用いることができる。
【0050】
【化2】

【化3】

【化4】

【0051】
尚、光電変換素子100において、第二電極13を電子取り出し用の電極とし、第一電極11を正孔取り出し用の電極とした場合、平滑層104を構成する材料は、電子輸送性材料であることが好ましい。平滑層104に適している電子輸送性材料としては、以下の化学式5に示すAlq(tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III))もしくはその誘導体等を用いることができる。
【化5】

【0052】
この平滑層104が存在することにより、第二電極13をスパッタ法によって形成する場合でも、光電変換層12表面の凹凸にスパッタ粒子が潜り込むことを防ぐことができる。又、平滑層104によって光電変換層12がプラズマに曝されるのを防ぐことができる。又、平滑層104上に第二電極13が形成されるため、第二電極13を平坦に形成することができ、光電変換層12内に均一な電界を印加することができるようになる。このように、平滑層104を設けたことで、電極成膜時における光電変換素子100の性能劣化を防ぐことが可能となる。尚、光電変換層12の表面における凹凸は、光電変換層12が多結晶層で構成されている場合において顕著に見られる。このため、このような構成において平滑層104を設けることが特に効果的である。又、平滑層104は、それ自身、光電変換材料で構成しても良い。多結晶層を構成する有機材料としては、上述したキナクリドンが挙げられる。
【0053】
次に、仕事関数調節層102について説明する。なお、仕事関数調節層については、特願2005−251745号において詳細に説明されている。
【0054】
光電変換層を2つの電極で挟んだ構造の光電変換素子では、特に、ITO等の透明性の高い透明電極を電子取り出し用の電極とした場合、バイアス印加時の暗電流が、電圧1V印加時で10μA/cm2程度とかなり大きなものとなる。
暗電流の原因の一つとして、バイアス印加時に電子取り出し用の電極から光電変換層へと流入する電流が考えられる。ITO透明電極等の透明性の高い電極を電子取り出し用の電極とした場合は、その電極の仕事関数が比較的大きいことにより、正孔が電子取り出し用の電極から光電変換層へと移動する際の障壁が低くなり、光電変換層への正孔注入が起こりやすくなるのではないかと考えられた。実際、ITO等の透明性の高い金属酸化物系透明電極の仕事関数を調べてみると、例えばITO電極の仕事関数は4.8eV程度であり、Al(アルミニウム)電極の仕事関数が約4.3eVであるのと比べてかなり高く、また、ITO以外の他の金属酸化物系の透明電極も、最も小さいAZO(Alがドープされた酸化亜鉛)の4.5eV程度を除くと、約4.6〜5.4とその仕事関数は比較的大きいものであることが知られている(例えば、J.Vac.Sci.Technol.A17(4),Jul/Aug 1999 p.1765−1772のFig.12参照)。
【0055】
このように、電子取り出し用の電極の仕事関数が大きいと、バイアス印加時に、正孔が電子取り出し用の電極から光電変換層へ移動する際の障壁が低くなり、電子取り出し用の電極から光電変換層への正孔注入が起こりやすく、その結果として暗電流が大きくなると考えられる。
【0056】
そこで、図1に示す光電変換素子100では、電子取り出し用の電極である第一電極11の仕事関数を4.5eV以下としている。第一電極11の仕事関数を4.5eV以下にする方法を以下に列挙する。
【0057】
(A)図1に示すように、第一電極11と光電変換層12との間に、第一電極11の仕事関数を調節する仕事関数調節層102を設ける。
例えば、第一電極11としてITOを使用し、仕事関数調節層102として仕事関数4.5eV以下のInまたはAgまたはMgを含む金属薄膜を使用する。
(B)第一電極11として、仕事関数4.5eV以下の導電性透明金属酸化物薄膜を使用する。
例えば、導電性透明金属酸化物薄膜として、仕事関数4.5eVのAZO薄膜を使用する。
(C)第一電極11として、金属酸化物にドープして仕事関数を4.5eV以下とした透明電極を使用する。
例えば、導電性金属酸化物としてのITOにCsをドープして仕事関数を4.5eV以下とした電極を使用する。
(D)第一電極11として、導電性透明金属酸化物薄膜を表面処理して仕事関数を4.5eV以下とした電極を使用する。
例えば、第一電極11としてITOを用い、このITOをアルカリ性溶液に浸して表面処理し、仕事関数を4.5eV以下とした電極を使用する。または、ITOをArイオンまたはNeイオンでスパッタして表面処理し、仕事関数を4.5eV以下とした電極を使用する。
【0058】
尚、第二電極13を電子取り出し用の電極とした場合には、第二電極13の仕事関数を4.5eV以下とすれば良い。第二電極13の仕事関数を4.5eV以下にする方法は、以下の(E)と、上記(B)〜(D)の説明において第一電極11を第二電極13に変更したものとが挙げられる。
(E)図1において、第二電極13と平滑層104との間に、第二電極13の仕事関数を調整する仕事関数調節層を設け、第一電極11と光電変換層12との間の仕事関数調節層102は削除する。例えば、第二電極13としてITOを使用し、仕事関数調節層として仕事関数4.5eV以下のInまたはAgまたはMgを含む金属薄膜を使用する。
【0059】
以下に、ITOからなる透明電極の仕事関数調整に関する文献例を挙げる。
【0060】
【表1】

【0061】
また、以下に、仕事関数が4.5以下の金属をその特性とともに列挙する。
【0062】
【表2】

【0063】
(光電変換層について)
光電変換層12を構成する有機材料は、光を吸収し光電変換することができる。通常、可視光(420nmから660nmの波長域の光)の一部を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピーク波長の吸収率は50%以上である。有機p型半導体及び有機n型半導体の少なくとも一方を含んでいることが好ましい。
【0064】
有機p型半導体(化合物)は、ドナー性有機半導体(化合物)であり、主に正孔輸送性有機化合物に代表され、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物は、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等を用いることができる。なお、これに限らず、上記したように、n型(アクセプター性)化合物として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であればドナー性有機半導体として用いてよい。
【0065】
有機n型半導体(化合物)は、アクセプター性有機半導体(化合物)であり、主に電子輸送性有機化合物に代表され、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する5ないし7員のヘテロ環化合物(例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピラリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピン、トリベンズアゼピン等)、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などが挙げられる。なお、これに限らず、上記したように、ドナー性有機化合物として用いた有機化合物よりも電子親和力の大きな有機化合物であればアクセプター性有機半導体として用いてよい。
【0066】
p型有機色素、又はn型有機色素としては、いかなるものを用いても良いが、好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素(ゼロメチンメロシアニン(シンプルメロシアニン)を含む)、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、インジゴ色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素、縮合芳香族炭素環系色素(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)が挙げられる。
【0067】
次に金属錯体化合物について説明する。金属錯体化合物は金属に配位する少なくとも1つの窒素原子または酸素原子または硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体であり、金属錯体中の金属イオンは特に限定されないが、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、インジウムイオン、または錫イオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、または亜鉛イオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオン、または亜鉛イオンである。前記金属錯体中に含まれる配位子としては種々の公知の配位子が有るが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer-Verlag社 H.Yersin著1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社山本明夫著1982年発行等に記載の配位子が挙げられる。
前記配位子として、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数3〜15であり、単座配位子であっても2座以上の配位子であっても良い。好ましくは2座配位子である。例えばピリジン配位子、ビピリジル配位子、キノリノール配位子、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子)などが挙げられる)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロアリールオキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アルキルチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環置換チオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、またはシロキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、トリフェニルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基などが挙げられる)であり、より好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ基、またはシロキシ配位子であり、更に好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、またはシロキシ配位子が挙げられる。
【0068】
光電変換層12は、p型半導体層とn型半導体層とを有し、該p型半導体とn型半導体の少なくともいずれかが有機半導体であり、かつ、それらの半導体層の間に、該p型半導体およびn型半導体を含むバルクヘテロ接合構造層を中間層として有する場合が好ましい。このような場合、光電変換層12にバルクへテロ接合構造を含有させることにより、光電変換層12のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させることができる。なお、バルクへテロ接合構造については、特願2004−080639号において詳細に説明されている。
【0069】
また、光電変換層12は、p型半導体の層とn型半導体の層で形成されるpn接合層の繰り返し構造(タンデム構造)の数を2以上有する構造を含有する場合が好ましく、さらに好ましくは、前記繰り返し構造の間に、導電材料の薄層を挿入する場合である。pn接合層の繰り返し構造(タンデム構造)の数はいかなる数でもよいが、光電変換効率を高くするために好ましくは2〜50であり、さらに好ましくは2〜30であり、特に好ましくは2または10である。導電材料としては銀または金が好ましく、銀が最も好ましい。なお、タンデム構造については、特願2004−079930号において詳細に説明されている。
【0070】
また、光電変換層12は、p型半導体の層、n型半導体の層、(好ましくは混合・分散(バルクヘテロ接合構造)層)を持ち、p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも1方に配向制御された有機化合物を含む場合が好ましく、さらに好ましくは、p型半導体及びn型半導体の両方に配向制御された(可能な)有機化合物を含む場合である。この有機化合物としては、π共役電子を持つものが好ましく用いられるが、このπ電子平面が、基板(電極基板)に対して垂直ではなく、平行に近い角度で配向しているほど好ましい。基板に対する角度として好ましくは0°以上80°以下であり、さらに好ましくは0°以上60°以下であり、さらに好ましくは0°以上40°以下であり、さらに好ましくは0°以上20°以下であり、特に好ましくは0°以上10°以下であり、最も好ましくは0°(すなわち基板に対して平行)である。上記のように、配向の制御された有機化合物の層は、光電変換層12全体に対して一部でも含めば良いが、好ましくは、光電変換層12全体に対する配向の制御された部分の割合が10%以上の場合であり、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。このような状態は、光電変換層12に含まれる有機化合物の配向を制御することにより、光電変換層12のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させるものである。
【0071】
有機化合物の配向が制御されている場合において、さらに好ましくはヘテロ接合面(例えばpn接合面)が基板に対して平行ではない場合である。ヘテロ接合面が、基板(電極基板)に対して平行ではなく、垂直に近い角度で配向しているほど好ましい。基板に対する角度として好ましくは10°以上90°以下であり、さらに好ましくは30°以上90°以下であり、さらに好ましくは50°以上90°以下であり、さらに好ましくは70°以上90°以下であり、特に好ましくは80°以上90°以下であり、最も好ましくは90°(すなわち基板に対して垂直)である。上記のような、ヘテロ接合面の制御された有機化合物の層は、光電変換層12全体に対して一部でも含めば良い。好ましくは、光電変換層12全体に対する配向の制御された部分の割合が10%以上の場合であり、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。このような場合、光電変換層12におけるヘテロ接合面の面積が増大し、界面で生成する電子、正孔、電子正孔ペア等のキャリア量が増大し、光電変換効率の向上が可能となる。以上の、有機化合物のヘテロ接合面とπ電子平面の両方の配向が制御された光電変換層において、特に光電変換効率の向上が可能である。これらの状態については、特願2004−079931号において詳細に説明されている。光吸収の点では有機色素層の膜厚は大きいほど好ましいが、電荷分離に寄与しない割合を考慮すると、有機色素層の膜厚として好ましくは、30nm以上300nm以下、さらに好ましくは50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下である。
【0072】
これらの有機化合物を含む光電変換層12は、乾式成膜法あるいは湿式成膜法により成膜される。乾式成膜法の具体的な例としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法,MBE法等の物理気相成長法あるいはプラズマ重合等のCVD法が挙げられる。湿式成膜法としては、キャスト法、スピンコート法、ディッピング法、LB法等が用いられる。
【0073】
p型半導体(化合物)及びn型半導体(化合物)の少なくとも一つとして高分子化合物を用いる場合は、作成の容易な湿式成膜法により成膜することが好ましい。蒸着等の乾式成膜法を用いた場合、高分子を用いることは分解のおそれがあるため難しく、代わりとしてそのオリゴマーを好ましく用いることができる。一方、低分子を用いる場合は、乾式成膜法が好ましく用いられ、特に真空蒸着法が好ましく用いられる。真空蒸着法は抵抗加熱蒸着法、電子線加熱蒸着法等の化合物の加熱の方法、るつぼ、ボ−ト等の蒸着源の形状、真空度、蒸着温度、基盤温度、蒸着速度等が基本的なパラメ−タ−である。均一な蒸着を可能とするために基盤を回転させて蒸着することは好ましい。真空度は高い方が好ましく10−4Torr以下、好ましくは10−6Torr以下、特に好ましくは10−8Torr以下で真空蒸着が行われる。蒸着時のすべての工程は真空中で行われることが好ましく、基本的には化合物が直接、外気の酸素、水分と接触しないようにする。真空蒸着の上述した条件は有機膜の結晶性、アモルファス性、密度、緻密度等に影響するので厳密に制御する必要がある。水晶振動子、干渉計等の膜厚モニタ−を用いて蒸着速度をPIもしくはPID制御することは好ましく用いられる。2種以上の化合物を同時に蒸着する場合には共蒸着法、フラッシュ蒸着法等を好ましく用いることができる。
【0074】
以下、上述したような光電変換素子として、図1に示す構成の光電変換素子を用いた固体撮像素子の構成例を説明する。
【0075】
(第一の構成例)
図2は、図1に示す構成の光電変換素子を用いた固体撮像素子の1画素分の断面模式図であり、第一の構成例を示す図である。この固体撮像素子200は、図2に示す1画素が同一平面上でアレイ状に多数配置されたものであり、この1画素から得られる信号によって画像データの1つの画素データを生成することができる。
図2に示す固体撮像素子の1画素は、図1に示した光電変換部と、この光電変換部下方のシリコン基板に形成された2つのフォトダイオードとを有する構成である。図2において、図1と同様の符号には同一符号を付してある。又、図2では、図1に示した仕事関数調節層102と平滑層104の図示は省略している。
【0076】
図2に示す固体撮像素子の1画素は、p型シリコン基板1と、p型シリコン基板1上に形成された透明な絶縁膜7と、絶縁膜7上に形成された光電変換部とを含んで構成され、光電変換部上には遮光膜14が形成されている。また、遮光膜14及び第二電極13上には透明な絶縁膜15が形成されている。
【0077】
第一電極11及び第二電極13はそれぞれ透明電極である。第二電極13は、全画素で共通して用いることができるため、1枚構成の膜であれば良く、画素毎に分離しておく必要はない。
【0078】
図2の構成では、光電変換層12は、緑色光を吸収してこれに応じた電子及び正孔を発生する材料を用いる。光電変換層12は、全画素で共通して用いることができるため、1枚構成であれば良く、画素毎に分離しておく必要はない。
【0079】
p型シリコン基板1内には、その浅い方からn型半導体領域(以下、n領域と略す)4と、p型半導体領域(以下、p領域と略す)3と、n領域2がこの順に形成されている。n領域4の遮光膜14によって遮光されている部分の表面部には、高濃度のn領域(n+領域という)6が形成され、n+領域6の周りはp領域5によって囲まれている。
【0080】
n領域4とp領域3とのpn接合面のp型シリコン基板1表面からの深さは、青色光を吸収する深さ(約0.2μm)となっている。したがって、n領域4とp領域3は、青色光を吸収してそれに応じた電子を発生し、これを蓄積するフォトダイオード(Bフォトダイオード)を形成する。Bフォトダイオードで発生した電子は、n領域4に蓄積される。
【0081】
n領域2とp型シリコン基板1とのpn接合面のp型シリコン基板1表面からの深さは、赤色光を吸収する深さ(約2μm)となっている。したがって、n領域2とp型シリコン基板1は、赤色光を吸収してそれに応じた電子を発生し、これを蓄積するフォトダイオード(Rフォトダイオード)を形成する。Rフォトダイオードで発生した電子は、n領域2に蓄積される。
【0082】
n+領域6は、絶縁膜7に開けられた開口に形成されたアルミニウムやタングステン等の金属からなる接続部9を介して第一電極11と電気的に接続されており、接続部9を介して、第一電極11に移動した電子を蓄積する。接続部9は、第一電極11とn+領域6以外とは絶縁膜8によって電気的に絶縁される。
【0083】
n領域2に蓄積された電子は、p型シリコン基板1内に形成されたnチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、n領域4に蓄積された電子は、p領域3内に形成されたnチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、n+領域6に蓄積された電子は、p領域5内に形成されたnチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換されて、固体撮像素子200外部へと出力される。これらのMOS回路が特許請求の範囲の信号読み出し部を構成する。各MOS回路は配線10によって図示しない信号読み出しパッドに接続される。尚、n領域2、n領域4に引き出し電極を設け、所定のリセット電位をかけると、各領域が空乏化し、各pn接合部の容量は限りなく小さい値になる。これにより、接合面に生じる容量を極めて小さくすることができる。
【0084】
このような構成により、光電変換層12でG光を光電変換し、p型シリコン基板中のBフォトダイオードとRフォトダイオードでB光およびR光を光電変換することができる。また上部でG光がまず吸収されるため、B-G間およびG-R間の色分離は優れている。これが、シリコン基板内に3つのPDを積層し、シリコン基板内でBGR光を全て分離する形式の固体撮像素子に比べ、大きく優れた点である。以下の説明では、固体撮像素子200のp型シリコン基板1内に形成される無機材料からなる光電変換を行う部分(Bフォトダイオード及びRフォトダイオード)のことを無機層とも言う。
【0085】
尚、p型シリコン基板1と第一電極膜11との間(例えば絶縁膜7とp型シリコン基板1との間)に、光電変換層12を透過した光を吸収して、該光に応じた電荷を発生しこれを蓄積する無機材料からなる無機光電変換部を形成することも可能である。この場合、p型シリコン基板1内に、この無機光電変換部の電荷蓄積領域に蓄積された電荷に応じた信号を読み出すためのMOS回路を設け、このMOS回路にも配線10を接続しておけば良い。
【0086】
(無機層について)
無機層は、結晶シリコン、アモルファスシリコン、GaAsなどの化合物半導体のpn接合またはpin接合が一般的に用いられる。この場合、シリコンの光進入深さで色分離を行っているため積層された各受光部で検知するスペクトル範囲はブロードとなる。しかしながら、図2に示すように光電変換層12を上層に用いることにより、すなわち光電変換層12を透過した光をシリコンの深さ方向で検出することにより色分離が顕著に改良される。特に図2に示すように、光電変換層12でG光を検出すると、光電変換層12を透過する光はB光とR光になるため、シリコンでの深さ方向での光の分別はBR光のみとなり色分離が改良される。光電変換層12がB光またはR光を検出する場合でも、シリコンのpn接合面の深さを適宜選択することにより顕著に色分離が改良される。
【0087】
無機層の構成は、光入射側から、npn又はpnpnとなっていることが好ましい。特に、表面にp層を設け表面の電位を高くしておくことで、表面付近で発生した正孔、及び暗電流をトラップすることができ暗電流を低減できるため、pnpn接合とすることがより好ましい。
【0088】
尚、図2では、図1に示す構成の光電変換部がp型シリコン基板1上方に1つ積層される構成を示したが、p型シリコン基板1上方に、図1に示す構成の光電変換部を複数積層した構成にすることも可能である。図1に示す構成の光電変換部を複数積層した構成については後の第三の構成例で説明する。このようにした場合は、無機層で検出する光は一色で良く、好ましい色分離が達成できる。また、固体撮像素子200の1画素にて4色の光を検出しようとする場合には、例えば、光電変換部にて1色を検出して無機層にて3色を検出する構成、光電変換部を2つ積層して2色を検出し、無機層にて2色を検出する構成、光電変換部を3つ積層して3色を検出し、無機層にて1色を検出する構成等が考えられる。また、固体撮像素子200が、1画素で1色のみを検出する構成であっても良い。この場合は、図2においてn領域2、p領域3、n領域4を無くした構成となる。
【0089】
無機層についてさらに詳細に説明する。無機層の好ましい構成としては、光伝導型、p−n接合型、ショットキー接合型、PIN接合型、MSM(金属−半導体−金属)型の受光素子やフォトトランジスタ型の受光素子が挙げられる。特に、図2に示したように、単一の半導体基板内に、第1導電型の領域と、第1導電型と逆の導電型である第2導電型の領域とを交互に複数積層し、第1導電型及び第2導電型の領域の各接合面を、それぞれ異なる複数の波長帯域の光を主に光電変換するために適した深さに形成してなる無機層を用いることが好ましい。単一の半導体基板としては、単結晶シリコンが好ましく、シリコン基板の深さ方向に依存する吸収波長特性を利用して色分離を行うことができる。
【0090】
無機半導体として、InGaN系、InAlN系、InAlP系、又はInGaAlP系の無機半導体を用いることもできる。nGaN系の無機半導体は、Inの含有組成を適宜変更し、青色の波長範囲内に極大吸収値を有するよう調整されたものである。すなわち、InxGa1-xN(0≦X<1)の組成となる。このような化合物半導体は、有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いて製造される。Gaと同じ13族原料のAlを用いる窒化物半導体のInAlN系についても、InGaN系と同様に短波長受光部として利用することができる。また、GaAs基板に格子整合するInAlP、InGaAlPを用いることもできる。
【0091】
無機半導体は、埋め込み構造となっていてもよい。埋め込み構造とは、短波長受光部部分の両端を短波長受光部とは異なる半導体で覆われる構成のものをいう。両端を覆う半導体としては、短波長受光部のバンドギャップ波長より短い又は同等のバンドギャップ波長を有する半導体であることが好ましい。
【0092】
(第二の構成例)
第二の構成例では、第一の構成例で説明した図2に示す構成の無機層を、p型シリコン基板内で2つのフォトダイオードを積層するのではなく、入射光の入射方向に対して垂直な方向に2つのフォトダイオードを配列して、p型シリコン基板内で2色の光を検出するようにしたものである。
【0093】
図3は、図1に示す構成の光電変換素子を用いた固体撮像素子の1画素分の断面模式図であり、第二の構成例を示す図である。図3において図2と同じ構成には同一符号を示してある。
図3に示す固体撮像素子300の1画素は、p型シリコン基板17と、p型シリコン基板17上方に形成された光電変換部とを含んで構成され、光電変換部上には開口の設けられた遮光膜34が形成されている。また、遮光膜34上には透明な絶縁膜33が形成されている。
【0094】
遮光膜34の開口下方のp型シリコン基板17表面には、p領域19とn領域18からなるフォトダイオードと、p領域21とn領域20からなるフォトダイオードとが、p型シリコン基板17表面に並んで形成されている。p型シリコン基板17表面上の任意の方向が、入射光の入射方向に対して垂直な方向となる。
【0095】
p領域19とn領域18からなるフォトダイオードの上方には、透明な絶縁膜24を介してB光を透過するカラーフィルタ28が形成され、その上に第一電極11が形成されている。p領域21とn領域20からなるフォトダイオードの上方には、透明な絶縁膜24を介してR光を透過するカラーフィルタ29が形成され、その上に第一電極11が形成されている。カラーフィルタ28,29の周囲は、透明な絶縁膜25で覆われている。
【0096】
p領域19とn領域18からなるフォトダイオードは、カラーフィルタ28を透過したB光を吸収してそれに応じた電子を発生し、発生した電子をn領域18に蓄積する。p領域21とn領域20からなるフォトダイオードは、カラーフィルタ29を透過したR光を吸収してそれに応じた電子を発生し、発生した電子をn領域20に蓄積する。
【0097】
p型シリコン基板17表面の遮光膜34によって遮光されている部分には、n+領域23が形成され、n+領域23の周りはp領域22によって囲まれている。
【0098】
n+領域23は、絶縁膜24,25に開けられた開口に形成されたアルミニウムやタングステン等の金属からなる接続部27を介して第一電極11と電気的に接続されており、接続部27を介して、第一電極11に移動した電子を蓄積する。接続部27は、第一電極11とn+領域23以外とは絶縁膜26によって電気的に絶縁される。
【0099】
n領域18に蓄積された電子は、p型シリコン基板17内に形成されたnチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、n領域20に蓄積された電子は、p型シリコン基板17内に形成されたnチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、n+領域23に蓄積された電子は、p領域22内に形成されたnチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換されて、固体撮像素子300外部へと出力される。これらのMOS回路が特許請求の範囲の信号読み出し部を構成する。各MOS回路は配線35によって図示しない信号読み出しパッドに接続される。
尚、信号読出し部は、MOS回路ではなくCCDとアンプによって構成しても良い。つまり、n領域18、n領域20、及びn+領域23に蓄積された電子をp型シリコン基板17内に形成した電荷転送チャネルに読み出し、これをアンプまで転送して、アンプからその電子に応じた信号を出力させるような信号読出し部であっても良い。
【0100】
このように、信号読み出し部は、CCDおよびCMOS構造が挙げられるが、消費電力、高速読出し、画素加算、部分読出し等の点から、CMOSの方が好ましい。また、CMOSの場合、取り扱うことのできる信号電荷としては、電子および正孔のいずれかが考えられるが、電荷移動度に由来する信号読み出しの高速性、製造におけるプロセス条件の完成度等の点から電子の方が優れているため、電子取り出し用の電極をn+領域に接続するのが好ましい。
【0101】
尚、図3では、カラーフィルタ28,29によってR光とB光の色分離を行っているが、カラーフィルタ28,29を設けず、n領域20とp領域21のpn接合面の深さと、n領域18とp領域19のpn接合面の深さを各々調整して、それぞれのフォトダイオードでR光とB光を吸収するようにしても良い。この場合、p型シリコン基板17と第一電極11との間(例えば絶縁膜24とp型シリコン基板17との間)に、光電変換層12を透過した光を吸収して、該光に応じた電荷を発生しこれを蓄積する無機材料からなる無機光電変換部を形成することも可能である。この場合、p型シリコン基板17内に、この無機光電変換部の電荷蓄積領域に蓄積された電荷に応じた信号を読み出すためのMOS回路を設け、このMOS回路にも配線35を接続しておけば良い。
【0102】
また、p型シリコン基板17内に設けるフォトダイオードを1つとし、p型シリコン基板17上方に光電変換部を複数積層した構成としても良い。更に、p型シリコン基板17内に設けるフォトダイオードを複数とし、p型シリコン基板17上方に光電変換部を複数積層した構成としても良い。また、カラー画像を作る必要がないのであれば、p型シリコン基板17内に設けるフォトダイオードを1つとし、光電変換部を1つだけ積層した構成としても良い。
【0103】
(第三の構成例)
第三の構成例では、第一の構成例で説明した図2に示す構成の無機層を設けず、シリコン基板上方に図1に示した構成の光電変換部を複数(ここでは3つ)積層した構成である。
図4は、図1に示す構成の光電変換素子を用いた固体撮像素子の1画素分の断面模式図であり、第三の構成例を示す図である。図4では、光電変換部として、G光を検出する光電変換部と、R光を検出する光電変換部と、B光を検出する光電変換部とを積層した構成例を示している。それぞれの光電変換部は、図1に示した構成と同様であるが、図4においては、仕事関数調節層や平滑層の図示は省略している。また、各光電変換部を区別するために、図1とは符号を変えてある。
【0104】
図4に示す固体撮像素子400は、シリコン基板41上方に、第一電極56、第一電極56上に形成された光電変換層57、光電変換層57上に形成された第二電極58からなるR光電変換部と、第一電極60、第一電極60上に形成された光電変換層61、光電変換層61上に形成された第二電極62からなるB光電変換部と、第一電極64、第一電極64上に形成された光電変換層65、光電変換層65上に形成された第二電極66からなるG光電変換部とが、それぞれに含まれる第一電極をシリコン基板41側に向けた状態で、この順に積層された構成となっている。
【0105】
シリコン基板41上には透明な絶縁膜48が形成され、その上にR光電変換部が形成され、その上に透明な絶縁膜59が形成され、その上にB光電変換部が形成され、その上に透明な絶縁膜63が形成され、その上にG光電変換部が形成され、その上に開口の設けられた遮光膜68が形成され、その上に透明な絶縁膜67が形成されている。
【0106】
G光電変換部に含まれる第一電極64、光電変換層65、及び第二電極66は、それぞれ、図1に示す第一電極11、光電変換層12、及び第二電極13と同じ構成である。ただし、光電変換層65は、緑色光を吸収してこれに応じた電子及び正孔を発生する材料を用いる。
【0107】
B光電変換部に含まれる第一電極60、光電変換層61、及び第二電極62は、それぞれ、図1に示す第一電極11、光電変換層12、及び第二電極13と同じ構成である。ただし、光電変換層61は、青色光を吸収してこれに応じた電子及び正孔を発生する材料を用いる。
【0108】
R光電変換部に含まれる第一電極56、光電変換層57、及び第二電極58は、それぞれ、図1に示す第一電極11、光電変換層12、及び第二電極13と同じ構成である。ただし、光電変換層57は、赤色光を吸収してこれに応じた電子及び正孔を発生する材料を用いる。
【0109】
シリコン基板41表面の遮光膜68によって遮光されている部分には、n+領域43,45,47が形成され、それぞれの周りはp領域42,44,46によって囲まれている。
【0110】
n+領域43は、絶縁膜48に開けられた開口に形成されたアルミニウムやタングステン等の金属からなる接続部54を介して第一電極56と電気的に接続されており、接続部54を介して、第一電極56に移動した電子を蓄積する。接続部54は、第一電極56とn+領域43以外とは絶縁膜51によって電気的に絶縁される。
【0111】
n+領域45は、絶縁膜48、R光電変換部、及び絶縁膜59に開けられた開口に形成されたアルミニウムやタングステン等の金属からなる接続部53を介して第一電極60と電気的に接続されており、接続部53を介して、第一電極60に移動した電子を蓄積する。接続部53は、第一電極60とn+領域45以外とは絶縁膜50によって電気的に絶縁される。
【0112】
n+領域47は、絶縁膜48、R光電変換部、絶縁膜59、B光電変換部、及び絶縁膜63に開けられた開口に形成されたアルミニウムやタングステン等の金属からなる接続部52を介して第一電極64と電気的に接続されており、接続部52を介して、第一電極64に移動した電子を蓄積する。接続部52は、第一電極64とn+領域47以外とは絶縁膜49によって電気的に絶縁される。
【0113】
n+領域43に蓄積された電子は、p領域42内に形成されたnチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、n+領域45に蓄積された電子は、p領域44内に形成されたnチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、n+領域47に蓄積された電子は、p領域46内に形成されたnチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換されて、固体撮像素子400外部へと出力される。これらのMOS回路が特許請求の範囲の信号読み出し部を構成する。各MOS回路は配線55によって図示しない信号読み出しパッドに接続される。尚、信号読出し部は、MOS回路ではなくCCDとアンプによって構成しても良い。つまり、n+領域43,45,47に蓄積された電子をシリコン基板41内に形成した電荷転送チャネルに読み出し、これをアンプまで転送して、アンプからその電子に応じた信号を出力させるような信号読出し部であっても良い。
【0114】
なお、シリコン基板41と第一電極56との間(例えば絶縁膜48とシリコン基板41との間)に、光電変換層65,61,57を透過してきた光を吸収して、該光に応じた電荷を発生しこれを蓄積する無機材料からなる無機光電変換部を形成することも可能である。この場合、シリコン基板41内に、この無機光電変換部の電荷蓄積領域に蓄積された電荷に応じた信号を読み出すためのMOS回路を設け、このMOS回路にも配線55を接続しておけば良い。
【0115】
このように、図1に示す構成の光電変換部をシリコン基板上に複数積層する構成は、図4のような構成によって実現できる。
【0116】
以上の説明において、B光を吸収する光電変換層とは、少なくとも400〜500nmの光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピ−ク波長の吸収率が50%以上であるものを意味する。G光を吸収する光電変換層とは、少なくとも500〜600nmの光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピ−ク波長の吸収率が50%以上であることを意味する。R光を吸収する光電変換層とは、少なくとも600〜700nmの光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピ−ク波長の吸収率が50%以上であることを意味する。
【0117】
第一の構成例や第三の構成例のような構成の場合は、上層からBGR、BRG、GBR、GRB、RBG、RGBという順序で色を検出するパターンが考えられる。好ましくは最上層がGである。また、第二の構成例の場合は、上層がR層の場合は下層が同一平面状にBG層、上層がB層の場合は下層が同一平面状にGR層、上層がG層の場合は下層が同一平面状にBR層といった組み合わせが可能である。好ましくは上層がG層で下層が同一平面状にBR層である図3のような構成である。
【0118】
尚、第一〜第三の構成例において、第二電極13を電子取り出し用の電極とした場合には、図2において、接続部9を第二電極13に接続し、図3において、接続部27を第二電極13に接続し、図4において、接続部54を第二電極58に接続し、接続部53を第二電極膜62に接続し、接続部52を第二電極66に接続した構成にすれば良い。又、正孔に応じた信号を得る場合には、シリコン基板内の各領域のチャネルを逆にすれば良い。
【0119】
本実施形態で説明した固体撮像素子は、図2〜図4に示した1画素を同一平面上でアレイ状に多数配置した構成であるが、この1画素によってRGBの色信号を得ることができることから、この1画素は、RGBの光を電気信号に変換する光電変換素子と考えることができる。このため、本実施形態で説明した固体撮像素子は、図2〜図4に示すような光電変換素子が、同一平面上でアレイ状に多数配置した構成と言うことができる。
【0120】
以下、実施例によって本発明の効果を証明する。
(比較例1)
比較例1として、図1に示す光電変換素子において平滑層104を設けない構成の図5に示すような光電変換素子を作製した。図5において図1と同じ構成には同一符号を示してある。第一電極11及び第二電極13の材料はそれぞれITOとしてRFマグネトロンスパッタ法により形成した。光電変換層12の材料はキナクリドンとして蒸着により形成した。仕事関数調節層102の材料はInとして蒸着により形成した。第一電極11の厚みは100nmとし、仕事関数調節層102の厚みは2nmとし、光電変換層12の厚みは100nmとし、第二電極13の厚みは10nmとした。なお、仕事関数調節層の可視光透過率は約98%であった。図5に示すような素子を素子面積2mm×2mmとして12個作製した。
【0121】
12個の光電変換素子から得られる信号の測定を行った結果、12個中10個は明らかにショートしており、ごくわずかなバイアス電圧で暗電流が1μA/cm2以上となってしまい、光電変換素子として機能させることができなかった。この原因を、図6に示す光電変換素子の表面SEM写真から推論した。図6(a)はガラス基板上にITO(厚み100nm)をスパッタ法により形成したときの表面写真であり、図6(b)はガラス基板上にITO(100nm)、In(2nm)、及びQA(100nm)を積層したときの表面写真であり、図6(c)はガラス基板上にITO(100nm)、In(2nm)、QA(100nm)、及びITO(10nm)を積層したときの表面写真である。
QAは結晶性が高い顔料系材料であるため、その蒸着膜は微結晶の集合体として形成され、至るところに微結晶間の隙間が存在している(図6(b)参照)。ITOスパッタ時において、この隙間にスパッタ粒子が潜り込み、第二電極と接続しやすくなり、ショートが多発すると考えられる。実際、図6(a)のガラス基板上の10nmのITOの表面SEM像は一様に平坦であるが、QA上に10nmのITOを成膜した場合は下のQAの凹凸を反映してITO表面も凹凸が多くなる(図6(c)参照)。このことはQAの凹凸に沿ってITO電極が潜り込んでいることを示す。また、上部ITO電極が下部ITO電極と直接接続されなくても、凹凸に潜り込み下部電極との間隔が局所的に短くなると、バイアス印加時に局所的に大きな電界が生じ、リーク電流増大につながる。このような理由から、QA上にアモルファス性材料を積層して凹凸を緩和する、という考えに至った。光電変換材料の上部を覆うことは、スパッタ成膜中のプラズマによる損傷から光電変換材料を守るという観点からも、利点があると考えられる。
【0122】
(実施例1)
実施例1として、図1に示す構成の光電変換素子を作製した。第一電極11及び第二電極13の材料はそれぞれITOとしてRFマグネトロンスパッタ法により形成した。光電変換層12の材料はキナクリドンとして蒸着により形成した。仕事関数調節層102の材料はInとして蒸着により形成した。平滑層104の材料はm−MTDATAとして蒸着によって形成した。第一電極11の厚みは100nmとし、仕事関数調節層102の厚みは2nmとし、光電変換層12の厚みは100nmとし、平滑層104の厚みは100nmとし、第二電極13の厚みは10nmとした。図1に示すような構成の素子を素子面積2mm×2mmとして12個作製した。図7(a)はガラス基板上にITO(100nm)、In(2nm)、QA(100nm)、及びm−MTDATA(100nm)を積層したときの表面写真であり、図7(b)はガラス基板上にITO(100nm)、In(2nm)、QA(100nm)、m−MTDATA(100nm)、及びITO(10nm)を積層したときの表面写真である。
【0123】
トリフェニルアミン構造が連結された材料の多くは、正孔輸送性の有機半導体であり、その嵩高さから蒸着によってアモルファス性の膜となることが知られている。したがって、QAの表面の凹凸の緩和には適している。実際、QA上にm−MTDATAを100nm成膜した際の表面SEM写真(図7(a))に示すように、QAの表面の凹凸が完全に平滑化できていることが分かる。QA上にm−MTDATA100nm積層した際の凹凸の変化について、原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ株式会社、SPA400で1μm×1μmの範囲測定)により測定した結果を表3に示す。QA上にm−MTDATA100nmを積層することで、m−MTDATAの表面の平均面粗さRaは0.8nmとなり、QAの表面の凹凸が緩和されていることが分かる。尚、光電変換素子のショートを防ぐには、平滑層の平均面粗さRaが1nm以下であることが好ましい。
【0124】
【表3】

【0125】
さらに、m−MTDATAの上に10nmのITOをスパッタ成膜したときの表面SEM写真(図7(b))に示すように、スパッタによる損傷によりわずかに凹凸が見られるものの、QA直上にITOスパッタ成膜した図6(c)の場合に比べると凹凸が著しく緩和されていることも分かる。又、実施例1の光電変換素子から得られる信号の測定を行った結果、ショートしていたのは12個中1個であり、大きなショート防止効果が見られた。
【0126】
実施例1の光電変換素子の素子性能について詳しく説明する。
図9に、この素子における各材料のエネルギー関係を示す。m−MTDATAは正孔輸送性の材料であるため、第一電極11で電子を読み出すのが好ましい。第一電極11としては、ITO上に2nmのIn極薄膜を成膜することで、特願2005−251745に詳細を記述してあるように、暗電流低減および駆動電圧低下を実現している。この素子の吸収スペクトルが図10であり、主にG光を吸収していることが分かる。バイアス印加時の光電流・暗電流の関係を図11に示し、作用スペクトルを図12に示す。バイアスは第二電極13に対して第一電極11が正の方向になるよう印加している。この素子の特長は、透明電極で挟まれた素子構成であること、また、数Vの低バイアスで5〜10%程度の外部量子効率が得られることである。また、作用スペクトルから、主にG光に対して応答する光電変換素子となっていることが分かる。図13に、この素子の応答速度を示す。矩形波信号はG光の発光ダイオードの照射パルスであり、これに多少遅れて追随した信号が、そのパルスを照射した素子の出力信号である。応答信号の9割に達するまでの時間は約10msである。本発明により光電変換層12の電界が均一になるため、この素子をアレイ状に並べて撮像素子を実現した場合、光応答の素子間バラツキが小さくなり、撮像レート30フレーム/秒でも安定して撮像が可能になる。
【0127】
(実施例2)
実施例2として、実施例1で作製した光電変換素子の平滑層104の材料をアミンAに変えたものを作製した。平滑層104の厚みは100nmとして蒸着により形成した。このような素子を、素子面積2mm×2mmとして12個作製した。図8(a)はガラス基板上にITO(100nm)、In(2nm)、QA(100nm)、及びアミンA(100nm)を積層したときの表面写真であり、図8(b)はガラス基板上にITO(100nm)、In(2nm)、QA(100nm)、アミンA(100nm)、及びITO(10nm)を積層したときの表面写真である。
【0128】
QA上にアミンAを100nm成膜した際の表面SEM写真(図8(a))に示すように、QAの表面の凹凸が完全に平滑化できていることが分かる。又、アミンAの上に10nmのITOをスパッタ成膜したときの表面SEM写真(図8(b))に示すように、スパッタによる損傷によりわずかに凹凸が見られるものの、QA直上にITOスパッタ成膜した図6(c)の場合に比べると凹凸が著しく緩和されていることも分かる。又、実施例2の光電変換素子から得られる信号の測定を行った結果、ショートしていたのは12個中2個であり、大きなショート防止効果が見られた。
【0129】
(実施例3)
実施例3として、実施例1で作製した光電変換素子の平滑層104の材料をAlqに変えたものを作製した。平滑層104の厚みは50nmとして蒸着により形成した。このような素子を、素子面積2mm×2mmとして12個作製した。
【0130】
このように作製した光電変換素子を、第一電極11を正孔取り出し用の電極、第二電極13を電子取り出し用の電極として、光電変換素子から得られる信号の測定を行った結果、ショートしていたのは12個中4個であり、大きなショート防止効果が見られた。
【0131】
(実施例4)
続いて実施例4として、撮像素子としての動作を実証するために、図2に示した構成の固体撮像素子において、遮光膜14、絶縁膜8、p領域5、n領域4、p領域3、及びn領域2を削除し、シリコン基板1に形成する信号読み出し部を遮光する遮光膜601を追加した図14に示すような構成の1画素を持つ固体撮像素子600を作製した。図14において図2と同じ構成には同一符号を付してある。信号読み出し部はCMOS回路を用いた。
【0132】
図15は、実施例4で作製した固体撮像素子600の2画素分の断面模式図である。図15において図14と同じ構成には同一符号を付してある。又、図15では、図1に示した仕事関数調節層102と平滑層104の図示は省略している。
固体撮像素子600は、画素が160×120個形成されており、各画素の第一電極11(材料はITO)が接続部9を通じて電荷蓄積部6と接続されている。画素の配列ピッチは20μm、第一電極11の表面視でのサイズは15.6μm角、第一電極11間距離は4.4μmである。この第一電極11上に、仕事関数調節層102としてInを2nm真空蒸着によって形成し、光電変換層12としてQAを100nm真空蒸着によって形成し、平滑層104としてm−MTDATAを100nm真空蒸着によって形成し、さらに第二電極13としてITOを10nmスパッタ法により形成した。最後に上部ITO電極にバイアス印加できるよう接続を取り、固体撮像素子とした。尚、カラーフィルタおよびマイクロレンズは形成していない。又、出力速度は30フレーム/秒とした。
【0133】
この実施例4の固体撮像素子において、第一電極11と第二電極12間のバイアス電圧を約1.5Vとしたときの撮像結果を、図16、図17、図18、図19に示す。図16(a)は富士写真フイルム(株)のロゴマークであり、図16(b)は、このロゴマークを実施例4の素子にて撮影した結果である。図17(a)は日本人形であり、図17(b)はこの日本人形を実施例4の素子で撮影した結果である。図18はグレースケールチャートを実施例4の素子で撮影した結果である。図19は解像度チャートを実施例4の素子で撮影した結果である。有機光電変換層により撮像を行った結果はこれまで世界でも報告例が無く、しかも1.5Vという低いバイアスでこれを実現したという点は、非常に特筆すべき結果である。
【0134】
図17(a)の日本人形の襟の部分は赤色である。実施例4の固体撮像素子はR光には応答しないため、図17(b)の撮像結果では人形の襟の部分が暗くなっていた。このことから実施例4の撮像素子が、確かに波長を選択して光電変換していることが分かる。
【0135】
次に、上記実施形態で説明した電子取り出し用の電極の仕事関数を4.5eV以下にすることによる、暗電流抑制効果について実施例で証明する。
(比較例2)
厚み250nmのITO下部電極(理研計器(株)製の大気中光電子分光装置AC−2で求めた仕事関数4.8eV;可視域光透過率約90%)が積層されたガラス基板(市販品)の上に、厚み100nmのキナクリドン(5,12−ジヒドロキノ[2,3−b]アクリジン−7,14−ジオン)、および厚み100nmのAl上部電極(仕事関数4.3eV;可視域光透過率0%)を順次真空蒸着により積層した構造で、ITO下部電極側で電子を捕集する場合を例として挙げる。素子面積2mm×2mmとして実際に素子作製および測定を行った結果、電圧1V印加時(下部電極を正バイアスとして電子捕集、以下も同様)で暗電流が9.3μA/cm2と大きな値となった。
この場合、電子取り出し用の電極であるITO下部電極の仕事関数が大きいため、バイアス電圧印加時には、ITO下部電極からキナクリドンへの正孔注入が起こりやすく、暗電流が大きくなると考えられる。
【0136】
(実施例5)
一方、仕事関数が4.3eVと小さいInを2nm真空蒸着によりITO下部電極とキナクリドンの間に形成した以外は比較例1と同様の素子を作製した(2nmのInの可視域光透過率は約98%)。その結果、電圧1V印加時の暗電流が1.8nA/cm2と4桁程度大きく抑制された。このことは、電子取り出し用の電極である下部電極の仕事関数を小さくすることで電子取り出し用の電極からの正孔注入が大きく抑制されたことを示している。
同じく1Vバイアス印加条件で、下部ITO側から550nmの光を照射強度50μW/cm2で入射したところ、外部量子効率(入射フォトン数に対する測定電荷数)で12%であった。また、バイアス2V印加時においては、暗電流は約100nA/cm2、外部量子効率は19%であった。
【0137】
尚、比較例2と実施例5では、平滑層を設けていないが、平滑層を設けた場合にも同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の実施形態を説明するための光電変換素子の概略構成を示す断面模式図
【図2】図1に示す構成の光電変換素子を用いた固体撮像素子の1画素分の断面模式図であり、第一の構成例を示す図
【図3】図1に示す構成の光電変換素子を用いた固体撮像素子の1画素分の断面模式図であり、第二の構成例を示す図
【図4】図1に示す構成の光電変換素子を用いた固体撮像素子の1画素分の断面模式図であり、第二の構成例を示す図
【図5】比較例1で作製した光電変換素子の構成を示す断面模式図
【図6】比較例1で作製した光電変換素子の表面SEM写真を示す図
【図7】実施例1で作製した光電変換素子の表面SEM写真を示す図
【図8】実施例2で作製した光電変換素子の表面SEM写真を示す図
【図9】実施例1で作製した光電変換素子のエネルギーダイヤグラムを示す図
【図10】実施例1で作製した光電変換素子の吸収スペクトルを示す図
【図11】実施例1で作製した光電変換素子のバイアス電圧印加時の暗電流と光電流の関係を示す図
【図12】実施例1で作製した光電変換素子の作用スペクトルを示す図
【図13】実施例1で作製した光電変換素子の応答速度を示す図
【図14】実施例4で作製した固体撮像素子の概略構成を示す断面模式図
【図15】実施例4で作製した固体撮像素子の概略構成を示す断面模式図
【図16】実施例4で作製した固体撮像素子で撮像した原画像とその撮影結果を示す図
【図17】実施例4で作製した固体撮像素子で撮像した原画像とその撮影結果を示す図
【図18】実施例4で作製した固体撮像素子でグレースケールチャートを撮影した撮影結果を示す図
【図19】実施例4で作製した固体撮像素子で解像度チャートを撮影した撮影結果を示す図
【符号の説明】
【0139】
11 第一電極
12 光電変換層
13 第二電極
100 光電変換素子
101 ガラス基板
102 仕事関数調節層
104 平滑層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電極と、前記第一電極に対向する第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に形成された光電変換層とを含む光電変換部を有する光電変換素子であって、
前記第一電極又は前記第二電極と前記光電変換層との間に、前記光電変換層の表面の凹凸を緩和する平滑層を設けた光電変換素子。
【請求項2】
請求項1記載の光電変換素子であって、
前記平滑層がアモルファス材料からなる光電変換素子。
【請求項3】
請求項1又は2記載の光電変換素子であって、
前記光電変換層が多結晶の有機材料からなる光電変換素子。
【請求項4】
請求項3記載の光電変換素子であって、
前記有機材料がキナクリドン骨格の材料を含む光電変換素子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の光電変換素子であって、
前記平滑層表面の平均面粗さRaが1nm以下である光電変換素子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の光電変換素子であって、
前記平滑層を構成する材料が有機材料である光電変換素子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか記載の光電変換素子であって、
前記平滑層が透明である光電変換素子。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか記載の光電変換素子であって、
前記平滑層の厚みが10〜300nmである光電変換素子。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか記載の光電変換素子であって、
前記第二電極が光入射側の電極であり、
前記平滑層が、前記第二電極と前記光電変換層との間に設けられ、
前記第一電極を電子取り出し用の電極とし、前記第二電極を正孔取り出し用の電極とした光電変換素子。
【請求項10】
請求項9記載の光電変換素子であって、
前記平滑層が正孔輸送性材料からなる光電変換素子。
【請求項11】
請求項10記載の光電変換素子であって、
前記正孔輸送性材料がトリフェニルアミン構造を有する材料である光電変換素子。
【請求項12】
請求項11記載の光電変換素子であって、
前記正孔輸送性材料がスターバーストアミン構造を有する材料である光電変換素子。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか記載の光電変換素子であって、
前記第一電極の仕事関数が4.5eV以下である光電変換素子。
【請求項14】
請求項9〜12のいずれか記載の光電変換素子であって、
前記第一電極がITOであり、
前記ITOと前記光電変換層との間に形成されたInの薄膜を備える光電変換素子。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれか記載の光電変換素子であって、
前記第二電極が光入射側の電極であり、
前記平滑層が、前記第二電極と前記光電変換層との間に設けられ、
前記第一電極を正孔取り出し用の電極とし、前記第二電極を電子取り出し用の電極とした光電変換素子。
【請求項16】
請求項15記載の光電変換素子であって、
前記平滑層が電子輸送性材料からなる光電変換素子。
【請求項17】
請求項16記載の光電変換素子であって、
前記電子輸送性材料がAlqもしくはその誘導体である光電変換素子。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれか記載の光電変換素子であって、
前記第二電極の仕事関数が4.5eV以下である光電変換素子。
【請求項19】
請求項18記載の光電変換素子であって、
前記第二電極が、CsがドープされたITOである光電変換素子。
【請求項20】
請求項1〜13のいずれか又は請求項15〜18のいずれか記載の光電変換素子であって、
前記第一電極及び前記第二電極の少なくとも一方が透明電極である光電変換素子。
【請求項21】
請求項20記載の光電変換素子であって、
前記第一電極及び前記第二電極の両方とも透明電極である光電変換素子。
【請求項22】
請求項20又は21記載の光電変換素子であって、
前記透明電極が透明導電性酸化物の薄膜である光電変換素子。
【請求項23】
請求項22記載の光電変換素子であって、
前記透明導電性酸化物がITOである光電変換素子。
【請求項24】
請求項20又は21記載の光電変換素子であって、
前記透明電極が蒸着により形成された金属の薄膜である光電変換素子。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか記載の光電変換素子であって、
前記第一電極及び前記第二電極のそれぞれの厚みが5〜200nmである光電変換素子。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか記載の光電変換素子であって、
少なくとも1つの前記光電変換部が上方に積層された半導体基板と、
前記半導体基板内に形成され、前記光電変換部の前記光電変換層で発生した電荷を蓄積するための電荷蓄積部と、
前記光電変換部の前記第一電極又は前記第二電極と、前記電荷蓄積部とを電気的に接続する接続部とを備える光電変換素子。
【請求項27】
請求項26記載の光電変換素子であって、
前記半導体基板内に、前記光電変換部の前記光電変換層を透過した光を吸収し、該光に応じた電荷を発生してこれを蓄積する基板内光電変換部を備える光電変換素子。
【請求項28】
請求項27記載の光電変換素子であって、
前記基板内光電変換部が、前記半導体基板内に積層されたそれぞれ異なる色の光を吸収する複数のフォトダイオードである光電変換素子。
【請求項29】
請求項27記載の光電変換素子であって、
前記基板内光電変換部が、前記半導体基板内の入射光の入射方向に対して垂直な方向に配列されたそれぞれ異なる色の光を吸収する複数のフォトダイオードである光電変換素子。
【請求項30】
請求項28又は29記載の光電変換素子であって、
前記半導体基板上方に積層された前記光電変換部が1つであり、
前記複数のフォトダイオードが、青色の光を吸収可能な位置にpn接合面が形成された青色用フォトダイオードと、赤色の光を吸収可能な位置にpn接合面が形成された赤色用フォトダイオードであり、
前記光電変換部の前記光電変換層が緑色の光を吸収するものである光電変換素子。
【請求項31】
請求項26〜30のいずれか記載の光電変換素子をアレイ状に多数配置した固体撮像素子であって、
前記多数の光電変換素子の各々で蓄積された前記電荷に応じた信号を読み出す信号読み出し部を備える固体撮像素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−227574(P2007−227574A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45955(P2006−45955)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】