説明

光電子デバイス

本発明は、基板上に第1層と第2層とを具備する光電子デバイスに関する。前記光電子デバイスは、前記第1層がフッ素含有基を有する電極材料を含み、前記第2層がフッ素含有基を有する高分子材料を含み、前記第1層と前記第2層のフッ素含有基の一部の間で接着性のフッ素−フッ素相互作用を生じることを特徴とする。本発明はさらに、本発明による光電子デバイスの使用および本発明による光電子デバイスの製造方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、基板上に第1層および第2層を具備する光電子デバイスに関し、前記第1層は、フッ素含有基を含む電極材料を含み、前記第2層は、フッ素含有基を含む高分子を含むことを特徴とし、前記第1層および前記第2層のフッ素含有基のいくらかの間には、接着性のフッ素−フッ素相互作用が存在する。本発明はさらに、本発明による光電子デバイスの使用および製造方法にも関する。
【0002】
有機、有機金属および/または高分子の半導体を含む電気デバイスは、これまで商業用の製品において頻繁に使用され、ほとんどが市場に投入されようとしているものである。ここで言及され得る例は、写真複写機における有機材料に基づく電荷輸送材料(例えばトリアリールアミンをベースとする正孔輸送材料)およびディスプレイ装置における有機もしくは高分子発光ダイオード(OLEDもしくはPLED)またはコピー機における有機光受容体である。有機太陽電池(O−SC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機集積回路(O−IC)、有機光増幅器および有機レーザーダイオード(O−laser)は、発展の進行段階にあり、将来的に大きな重要性を獲得し得る。
【0003】
これらの電子デバイスまたは光電子デバイスの多くは、それぞれの用途に関係なく、以下の一般的な層構造を有し、それぞれの用途に対して適応し得る:
(1)基板と、
(2)一般的に金属または無機であるが、有機または高分子の導電性材料から構築されてもよい電極と、
(3)任意に、一般的に1以上の導電性のドープポリマーから形成される、電極の不均一さを埋め合わせるための1以上の電荷注入層またはバッファ層と、
(4)少なくとも1層の有機半導体と、
(5)任意に、1以上のさらなる電荷輸送層または電荷注入層または電荷ブロック層と、
(6)前記(2)に記載した材料を使用した対向電極と、
(7)封止材料。
【0004】
本発明は、特に、しかし非限定的に、有機発光ダイオード(OLED)を対象としており、これらは高分子材料を使用した場合には、一般的に高分子発光ダイオード(PLED)としても既知である。上記配置は、光電子デバイスの一般的な構造を表し、種々の層を組み合わせてよく、最も単純な場合には、間に有機層が位置する2つの電極からなる配置を意味する。この場合において、有機半導体は、発光を含む全ての機能を果たす。このタイプのシステムは、例えば、ポリ(p−フェニレン)に基づくものがWO90/13148に記載されている。
【0005】
しかしながら、このタイプの「三層系」において生じる問題は、電荷分離の制御の欠如または異なる層における個々の構成要素をそれらの特性に関して最適化する可能性の欠如であり、例えば、SMOLED(「小分子OLED」)の場合、多層構造によって単純な態様で解決されている。「小分子OLED」は、例えば、1以上の有機正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層ならびに陽極および陰極からなり、通常、系全体がガラス基板上に配置される。このタイプの多層構造の利点は、電荷注入、電荷輸送および発光の種々の機能が異なる層に分けられ、それぞれの層の特性が別々に修飾され得ることである。
【0006】
SMOLEDにおける典型的な正孔輸送材料は、例えば、ジ−およびトリ−アリールアミン、チオフェン、フランまたはカルバゾールであり、光導電体の用途においても研究され、使用されている。
【0007】
金属キレート、共役芳香族炭化水素、オキサジアゾール、イミダゾール、トリアジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、フェナントロリン、ケトンまたはホスフィンオキシドが、SMOLEDにおける発光層および電子輸送層に通常使用される。
【0008】
SMOLEDにおいて使用される化合物は、一般的に昇華により精製されてよく、それ故、99%より高い純度で利用可能である。
【0009】
SMOLEDデバイスにおける層は、通常、真空チャンバーにおいて蒸着により塗布される。しかしながら、この方法は複雑であるため高価であり、特に高分子のような大きな分子に対しては不適切である。
【0010】
高分子OLED材料は、それ故、通常、溶液からのコーティングにより塗布される。しかしながら、溶液からのコーティングによる多層有機構造の形成は、溶媒がそれぞれの直前の層に対して不相溶であり、直前の層を再び部分的に溶解せず、膨潤せず、またはさらに破壊しないようにする必要がある。しかしながら、使用される有機化合物は、通常、同様の特性、特に同様の溶液特性を有するため、溶媒の選択は難しいことがわかっている。溶液からのさらなる層の塗布は、それ故、実質的に不可能となるか、または少なくとも著しく困難になる。第1の高分子層の例えばインジウム錫酸化物層への塗布でさえ、高分子層のITOへの十分な接着が保証されないため、通常既に問題が生じている。この理由のため、ITO基板は、通常、複雑な洗浄に供され、UV/オゾンプラズマを用いて表面活性化されることにより、隣接する有機層とのよりよい接着およびよりよい接触を保証する。ここで塗布される第1の有機層は、通常、いわゆるバッファ層であり水性分散が積層される(例えば、H.C.StarckからのClevios P AI 4083)。得られるPEDOT/PSS層は、ITO層の不均一さを埋め合わせ、隣接する有機層への良好な正孔注入を保証する。しかしながら、ITOの前処理を行わない場合、PEDOT層は接着せず、極性の低い有機層のITOへの溶液による直接的な積層は完全に不可能である。溶液によるさらなる層の塗布において、ITO上の第1の高分子層は、部分的に再び溶解するか、または洗い落とされることにより破壊される。
【0011】
同様に、先行技術による高分子OLEDは、通常、単層またはせいぜい二層の有機構造のみが陽極側に構築され、PEDOTの後に発光性高分子または正孔注入および正孔輸送のために使用される中間層が直接続く。しかしながら、SMOLEDの場合のような多層構造は、高分子OLEDの場合においても有利であるため、先行技術において種々のアプローチが試されている。
【0012】
それ故、例えばEP 0 637 899 A1では、1以上の層が熱または放射線誘起の架橋により得られる、1以上の有機層を含む電界発光装置を開示している。熱的な架橋の場合の問題は、高分子層が相対的に高い温度に曝され、対応する層の破壊または望ましくない副産物の形成を生じる場合が再びあることである。化学線を用いた架橋の場合、一般的に、フリーラジカル、陽イオン性または陰イオン性の重合を開始することができる分子または部分を使用する必要がある。しかしながら、このタイプの分子または部分は、光電子デバイスの機能に逆効果を及ぼし得ることが先行技術において既知である。高エネルギーの化学線の使用も、問題を含む。
【0013】
それ故、本発明の目的は、溶液または分散により積層することができ、それぞれの場合において互いに良好に接着し、すなわち良好な接触が保証され、その後のコーティング工程により再び溶解し得ない、複数の固有の機能層を含む光電子デバイスを提供することにある。
【0014】
前記目的は、基板上に第1層および第2層を含む光電子デバイスであって、前記第1層はフッ素含有基を含む電極材料を含み、前記第2層はフッ素含有基を含む高分子を含み、前記第1層および前記第2層のフッ素含有基のいくらかの間に接着性のフッ素−フッ素相互作用が存在することを特徴とする光電子デバイスにより達成される。
【0015】
本発明の実施形態において、電極は、インジウム錫酸化物(ITO)層またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)層であることが好ましい。この場合、前記第2層は、好ましくは、導電性高分子を含む。
【0016】
本発明のさらなる実施形態において、電極は、高い導電性の高分子であるか、またはITOまたはIZO層および導電性高分子からなることが好ましい。この場合、前記第2層は、正孔注入性の機能および/または発光性の機能を含む。全ての実施形態において、正孔注入および輸送のために使用される導電性高分子は、好ましくは、ドーピングにより導電性を付与された(酸化的にまたは酸による)高分子である。ポリスチレンスルホン酸(PSS)をドープしたPEDOTは、例えば、Clevios P AI 4083 AとしてH. C. Starkから入手可能であり、PSSをドープしたPANIは、Merck KGaAからPAT 020として入手可能である。しかしながら、他の全ての既知のバッファ材料も、前記実施形態において使用することができる。
【0017】
本発明のさらに好ましい実施形態において、光電子デバイスは、1の付加的な層(または複数の付加的な層)を含む。前記付加的な層は、好都合に、フッ素含有基を含む化合物も含む。前記付加的な層は、フッ化基を含む高分子、部分的にフッ化された高分子またはフッ化もしくは過フッ化された側鎖を含む高分子、フッ化基を含むオリゴマーあるいはフッ化された分子を含んでよい。接着性のフッ素−フッ素相互作用は、それ故、付加的な層とそれぞれの直前の層の成分のフッ素含有基のいくらかの間に存在する。
【0018】
前記付加的な層は、好ましくは、電荷注入層、発光層、バリヤー層および/またはそれらの組み合わせである。
【0019】
本発明のさらに好ましい実施形態において、さらなる層の高分子は、少なくとも1つの発光機能を有することが好ましい。特に、発光機能を有する高分子は、種々の波長の光を発光すべきである。これは、層における1以上の高分子または混合物中に存在する異なる発光体により達成され得る。
【0020】
さらに、前記デバイスは、発光機能を有する高分子の複数の層を含むことが好ましい。ここでは、複数の高分子層が、それぞれ異なる波長の光を発光する発光機能を有することが特に好ましい。
【0021】
特に好ましい実施形態において、前記種々の波長が全部合わさって白色になることがさらに好ましい。
【0022】
本発明の好ましい実施形態は、例えば、白色発光の発光体としての多層配置を含み、両者がF−F相互作用を介して接着する中間層および青色高分子層、ならびに接触が同様にフッ素−フッ素相互作用により増大する黄色発光層を含む。黄色三重項発光体は、真性の黄色発光体であるか、または赤色発光体および緑色発光体で構成される発光体であってよい。高効率の安定な三重項発光体の使用は、高効率の白色発光系を可能にし、長い寿命が得られる。この系は、さらに、単純な製造方法により特徴付けられ(減圧蒸気積層を必要としない)、そのためコストが抑えられる。
【0023】
本発明のさらなる実施形態において、前記デバイスは、正孔伝導機能を有する高分子の複数の層を含んでよく、前記正孔伝導体は、エネルギー的に異なる最高被占軌道(HOMO)を有する。
【0024】
ここでは、最後に塗布される正孔伝導体の機能を有する高分子層が、エネルギー的に高い最低空軌道(LUMO)を有することが好ましい。この点で、最後に塗布される高分子層は、電子遮断層である。
【0025】
本発明のさらなる実施形態において、前記デバイスは、電子伝導機能を有する高分子の複数の層を含んでよく、前記電子伝導体は、エネルギー的に異なる最低空軌道(LUMO)を有する。
【0026】
ここでは、最初に塗布される電子伝導機能を有する高分子層が、エネルギー的に低い最高被占軌道(HOMO)を有することが好ましい。このような点で、最初に塗布される高分子層は、正孔遮断層である。
【0027】
それ故、好ましい実施形態は、異なるHOMOおよびLUMOエネルギーおよび対応する電子または正孔を遮断する機能を有する、複数の(部分的に)フッ化された高分子正孔伝導体および/または電子伝導体を含む多層の配置を含む。これは、累進的なバリヤー段差により達成されるべき正孔または電子の注入の改善を可能にし、発光層において効果的に達成されるべき電荷再結合を可能にする。ここでは、電荷輸送および遮断の機能は、フッ化された層が相互に良好に接着することおよび結果的に良好に接触することにより増強される。
【0028】
本発明による光電子デバイスは、さらに、陰極および好ましくは封入材料を含む。
【0029】
本発明の目的は、光電子デバイスの製造方法によっても達成され、該方法は、
a)第1層を基板に塗布する工程と、
b)第2層を塗布する工程と
を含んでなり、前記第1層は電極であり、基板への塗布の前、塗布の間、または塗布の後にフッ素含有基が供給される。
【0030】
好ましい実施形態において、使用される電極は、インジウム錫酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)である。この場合、フッ素含有基は、好ましくは、基板への電極の塗布の後、表面反応またはCFプラズマ処理により電極に塗付される。
【0031】
さらに好ましい実施形態において、前記電極は導電性高分子であり、前記フッ素含有基は、好ましくは、基板に対して電極を塗布する前に導電性高分子に導入される。これは、高分子合成におけるフッ化されたモノマーの使用を通して、または(部分的に)フッ素化されたドーパント(例えば、Liquion Solusion LQ 1115, 110EWとして入手可能なポリスチレンスルホン酸)の使用を通して、高分子自体を化学修飾することにより(高分子におけるフッ化反応)行われてよい。しかしながら、層の積層後に行われるプラズマ処理も同様に可能である。特に好ましいのは、ITOまたはIZOと導電性高分子との組み合わせからなる電極の使用であって、この場合の接触は、ITOまたはIZOおよび導電性高分子におけるフッ素含有基のCFプラズマ処理により増強される。
【0032】
第2層について、部分的にフッ化された高分子、フッ化された側鎖を含有する高分子、フッ化された基を含有するオリゴマーまたはフッ化された分子が好ましく使用される。第2層について、電荷注入機能、発光機能、バリヤー機能または前記機能の組み合わせを有することがさらに好ましい。
【0033】
1以上の付加的な層は、塗布された層に塗布されるのが好ましい。前記1以上の付加的な層は、好ましくは、電荷注入機能(正孔もしくは電子注入機能)、発光機能、バリヤー機能または前記機能の組み合わせを含む。
【0034】
前記デバイスに対する本発明によるさらなる利点は、小分子またはオリゴマーを含む1以上の層を含むことである。これは、好ましくは、最後の層として(陰極の前に)塗布される。前記層は、印刷法、蒸着または先行技術から既知の他の方法により塗布されてよい。
【0035】
本発明の目的のために、接着性のフッ素−フッ素相互作用は、第1層とそれぞれのさらなる層のフッ素含有基のいくらかの間に存在することが好ましい。
【0036】
陰極および封入材料が、前記光電子デバイスに適用されることがさらに好ましい。
【0037】
フッ素含有基の「いくらか」とは、相互作用を受けるフッ素含有基の約10〜100%、好ましくは50〜100%、特に好ましくは90〜100%を意味する。互いに相互作用を受けるために、フッ素原子の感覚は、例えば、ほぼファンデルワールス半径に対応すべきである。フッ素原子の相互の感覚は、少なくとも吸引性のF−F相互作用が生じる程度であり、水素結合の場合における相互作用に匹敵する。層の相互作用に関して、溶液により積層される層のフッ素基の数は、可能な限り既に存在する表面のフッ化の程度と一致するべきである。相互作用基の割合は、ここでは、第2のステップにおいて積層される層の各フッ素含有基が、直前に積層された(またはプラズマ修飾された)層にペンダントが見られるほど十分に高いべきである。本発明による層における高分子は、高分子の繰り返し単位に基づいて、好ましくは0.5〜100%、特に好ましくは1〜50%、特に1〜25%のフッ素含有基を含んでなる。ここで、100%とは、高分子の全ての繰り返し単位がフッ素含有基を含むことを意味する。
【0038】
本発明の目的のために、フッ素含有基Rは、好ましくは一般式Cを有し、x≧0、y≧0およびz≧1であり、隣接してもよい0または1以上のCH基は、O、S、Se、Te、Si(R)、Ge(R)、NR、PR、CO、P(R)Oで置換されてよく、式中のRは、各々の存在について、同じまたは異なってよく、直鎖状、分枝状もしくは環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールもしくはヘテロアルキル基であり、さらに、1以上の非芳香族部分の隣接しないC原子は、O、S、CO、COOまたはOCOで置換されてよく、ただし、2つの基Rが互いに環系を形成してもよい。好ましい基には、例えば、F、CF、C、CF(CH)S、CFCFSおよび(CF−(CH))Nが含まれ、式中のaは、好ましくは0〜5の整数を意味する。
【0039】
驚くべきことに、フッ化された高分子またはフッ化もしくは過フッ化された側鎖を含有する高分子を、フッ化された基板またはフッ素を含有する基板に溶液から塗布した後は、前記高分子はもはや溶解せず、洗い落とされずまたは洗い流されず、溶媒の除去後にも膨潤しない。それ故、高温を使用することなく、且つ高エネルギーの放射線を使用することなく、層を固定することが可能になる。それ故、直前の層の構造にダメージを与えるという問題を生じることなく、さらなる層を溶液により塗布することが可能になる。驚くべきことに、さらに、複数のフッ化された高分子(またはフッ化されたオリゴマーもしくはフッ化された小分子)の塗布においても同様の効果が生じることが見出された。層同士のフッ素−フッ素相互作用は強い接着を引き起こし、特に層同士の良好な接触を保証し、「小分子OLED」として既知であるような多層デバイスを可能にする。
【0040】
基板として好ましい材料は、例えば、適切な機械的安定性およびバリヤー作用を保証するガラスおよびフィルムである。
【0041】
第1層は、好ましくは基板上に位置し、通常は電極として作用する。インジウム錫酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)は、特に好ましく基板上に塗布され、通常、スパッタリングにより行われる。続いて、フッ化は、例えばCFプラズマ処理により行われる。
【0042】
同様に、例えば溶液からのコーティングにより、導電性高分子を基板に塗布することが可能である。導電性高分子は、好ましくは、PEDOTおよびPANIから選択される。好ましい実施形態において、導電性高分子は、好ましくはフッ素含有基を有する高分子であり、例えばフッ化されたPEDOTまたはPANIである。前記高分子は、好ましくはドープされ、それにより電荷注入層として機能し得る。前記高分子は、好ましくはポリチオフェン誘導体、特に好ましくはポリ(3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン)(PEDOT)またはポリアニリン(PANI)である。前記高分子は、好ましくは、ポリスチレンスルホン酸または他の高分子結合性ブレンステッド酸でドープされてよく、それにより導電性の状態に変換される。本発明によると、前記導電性高分子は、好ましくはフッ素含有基Rを含む(例えば、上記で定義した通り)。
【0043】
PEDOTは、例えばH.C.Starckから商業的に入手可能である。通常、PSDOT:PSSとして、ポリスチレンスルホン酸をドープした形態である。それ故、PANIのように透明な高分子であるため、光電子デバイスにおける成分として非常に適している。PEDOTへのフッ素含有基の導入は、高分子の調製の間に好都合に行われ、フッ化されたモノマーが使用されてよく、同様に共重合される。同様に、フッ化された、または部分的にフッ化されたポリスチレンスルホン酸(またはその誘導体および共重合体)を使用することができる。同様に、PANIの場合にも、例えばCFプラズマ処理により、塗布する高分子層をフッ化することができる。
【0044】
ポリアニリンは、酸触媒を用いて相互に酸化的に共役したアニリンモノマーからなる共役ポリマーである。ポリアニリンは、合成の後に直接ドープされた形態である(エメラルジン塩、ES)。酸触媒重合の場合、ドーパントは酸アニオンであり、塩基形態は塩基性媒質中に存在する(エメラルジン塩基、EB)。ドープなしのPANIは青色に見え、ドープされたPANIは緑色に見え、還元された形態は黄色がかって見える。修飾は、特に、異なる化学的−物理的特性を有するアニオンの導入または除去によるドーピングにより達成され得る。
【0045】
本発明において望ましいフッ素含有基を含むポリアニリンを得るために、フッ素含有基R(例えば上述した通り)を含む置換基を有するアニリンモノマー(例えば、2−フルオロメチルアニリンまたは同様の化合物)を用いることにより、アニリンはアニリン誘導体と一緒に共重合されてよい。しかしながら、ここでのドーパント(PSS)は、(部分的に)フッ化された基を有してもよい。
【0046】
しかしながら、原理的には、全ての既知のバッファ層が本発明の目的のために使用されてよく、フッ素基の導入により修飾されてよい。
【0047】
第1層がITOまたはIZO層である場合、導電性高分子は、好ましくは第2層中に存在する。同様に、第2層が導電性重合体自体で構成されることも可能である。
【0048】
第2層が正孔注入機能を含むことがさらに好ましく、さらに、第2層が正孔輸送機能を含むことが好ましい。両方の機能は、例えば、ドープされたポリチオフェン誘導体またはポリアニリンにより提供され得る。
【0049】
本発明の目的のために、第2層は、同様に、好ましくは発光機能を含んでよい。これは、例えば、発光性化合物またはフォトルミネセント化合物と、対応する(導電性)高分子のモノマーを共重合することにより行うことができる。発光性化合物またはフォトルミネセント化合物は、導電性高分子の主鎖または側鎖に存在してよく、または、例えば、適切な部位にグラフトされてもよい。同様に、モノマーまたはポリマーの発光性化合物を使用することができ、好ましくはフッ素含有基を含む。
【0050】
本発明による光電子デバイスは、好ましくは付加的な層を含む。さらなる付加的な層は、1の付加的な層の他にデバイス中に存在することが同様に好ましい。本発明の目的のために、前記付加的な層(または複数の付加的な層)は、好ましくは上述したように、フッ素含有基を含む化合物を含むことが好ましい。少なくとも1の付加的な層は、それ故、フッ化基を含有する高分子、部分的にフッ化された高分子またはフッ化もしくは過フッ化された側鎖を含有する高分子、フッ化基を含有するオリゴマーまたはフッ化された分子(小分子)を含んでもよい。
【0051】
本発明によると、前記光電子デバイスは、接着性のフッ素−フッ素相互作用が、付加的な層とそれぞれの直前の層のフッ素含有基の間に存在するという事実により区別される。本発明の目的のために、前記付加的な層は、電荷注入層(正孔もしくは電子注入層)、電荷輸送層(正孔または電子輸送層)、発光層、正孔もしくは電子遮断層および/またはそれらの組み合わせであってよい。この場合は、前記付加的な層が1つの層中に複数の機能を兼ね備えてよいこと、または複数の付加的な層が対応する機能を有することを意味する。
【0052】
基板、電極、多機能層および陰極を備えた古典的な構造、または小分子OLEDのような構造、すなわち、
1)基板と、
2)電極または陽極と、
3)正孔注入層と、
4)正孔輸送層と、
5)発光層と、
6)電子輸送層と、
7)電子注入層と、
8)対向電極または陰極と
を備えた構造は、それ故、本発明に従うことが可能である。
【0053】
本発明によると、1以上の層は、互いに組み合わされてよく、または高分子層を含む構造は、SMOLEDにおいて既知の層と組み合わされてよい。例えば、成分は、蒸着または印刷により塗布されてよく、または望ましい場合、成分は溶液から塗布されてよく、前記成分は好ましくはフッ素含有基を含む。
【0054】
本発明の目的のために、光電子デバイスは、有機または高分子の発光ダイオードとして、有機太陽電池(O−SC、例えば、WO98/48433、WO94/05045)として、有機電界効果トランジスタ(O−FET)として、有機集積回路(O−IC、例えば、WO95/31833、WO99/10939)として、有機電界クエンチ素子(organic field-quench element)(FDQ、例えばUS 2004/017148)として、有機光増幅器として、有機光受容体として、有機フォトダイオードとしてまたは有機レーザーダイオード(O−LASER、例えばWO98/03566)として適しており、それらに応じて使用することができる。
【0055】
O−FETにおける使用に対して、高い電荷−キャリア移動度を有する材料は、特に興味深い。例えば、オリゴまたはポリ(トリアリールアミン)、オリゴまたはポリ(チオフェン)およびこれらの単位を高い割合で含む共重合体がある。
【0056】
前記デバイスは、(適用に依存して)相応に構造化され、端子が設けられ、最後に密封される。これは、このタイプのデバイスの寿命は水および/または空気の存在下で激しく短縮されるためである。ここでは、電極の一方または両方に対する電極材料として導電性のドープポリマーを使用すること、および導電性のドープポリマーを含む中間層を導入しないことも好ましい。
【0057】
O−FETおよびO−TFTへの応用の場合、構造が、電極および対向電極(ソースおよびドレイン)と別に、さらなる電極(ゲート)を具備することがさらに必要であり、それは、一般的に高い(またはまれに低い)比誘電率を有する絶縁体層により有機半導体から絶縁される。さらに、前記デバイスにさらなる層を導入することが適切であり得る。
【0058】
本発明の目的のために、電極は、可能な最も効率的な電子または正孔の注入の可能性を保証するために、それらの電位が隣接する有機層の電位に対応するように選択される。
【0059】
陰極は、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、金属合金または多層構造を含み、これらは種々の金属、例えば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属またはランタノイド(例えば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)を含む。多層構造の場合、相対的に高い仕事関数を有するさらなる金属(例えばAg)を、前記金属に加えて使用することもでき、その場合、金属の組み合わせ、Ca/AgまたはBa/Agが一般的に使用される。金属陰極と有機半導体との間に、高い誘電性を有する金属の薄い中間層を導入することが好ましいこともある。この目的に適しているのは、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のフッ化物だけでなく、対応する酸化物である(例えば、LiF、LiO、BaF、MgO、NaF等)。この層の厚さは、好ましくは1〜10nmである。
【0060】
陽極は、好ましくは、高い仕事関数を有する金属を含む。陽極は、好ましくは、真空に対して4.5eVより大きな電位を有する。この目的に適しているのは、一方では高い酸化還元電位を有する金属、例えば、Ag、PtまたはAuである。他方では、金属/金属酸化物電極(例えば、Al/Ni/NiO、Al/PtO)も好ましい。いくつかの用途では、少なくとも1つの電極は、有機材料への照射を可能にするため(O−SC)、または光の取り出しを可能にするために(PLED/PLED、O−laser)、透明であるべきである。好ましい構造は、透明な陽極を使用する。ここでの好ましい陽極材料は、導電性の混合金属酸化物である。特に好ましいのは、フッ素含有基を含むインジウム錫酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)を使用することである。さらに好ましいのは、導電性のドープされた有機金属、特に導電性のドープポリマーであり、これは上述した通り、好ましくはフッ素含有基を含む。
【0061】
陽極上の正孔注入層として適切なのは、種々のドープされた導電性高分子である。用途に依存するが、好ましいのは10−8S/cm未満の導電率を有する高分子である。層の電位は、好ましくは、真空に対して4〜6eVである。層の厚さは、好ましくは10〜500nmであり、特に好ましくは20〜250nmである。特に好ましいのは、ポリチオフェンの誘導体(特にポリ(3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン)(PEDOT)およびポリアニリン(PANI))を使用することである。さらに好ましい(本質的に)導電性の高分子は、とりわけ、ポリチオフェン(PTh)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリジアセチレン、ポリアセチレン(PAc)、ポリピロール(PPy)、ポリイソチアナフテン(PITN)、ポリヘテロアリーレンビニレン(PArV)(ここでのヘテロアリーレン基は、例えば、チオフェン、フランもしくはピロール)、ポリ−p−フェニレン(PpP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリペリナフタレン(PPN)、ポリフタロシアニン(PPc)、それらの誘導体(例えば側鎖または基により置換されたモノマーから形成される)、それらの共重合体およびそれらの物理的な混合物である。ドーピングは、一般的に、酸または酸化剤により行われる。ドーピングは、好ましくは、高分子結合ブレンステッド酸により行われる。この目的のために特に好ましいのは、高分子結合スルホン酸、特にポリ(スチレンスルホン酸)およびポリ(ビニルスルホン酸)である。電荷注入層のための導電性高分子は、好ましくはフッ素−フッ素含有基を含み、溶液からの塗布および溶媒の除去の後に生じる接着性のF−F相互作用を通して層を固定する。
【0062】
発光性の繰り返し単位の他に、発光層の高分子は、好ましくはさらなる繰り返し単位を含み、これは同様に、フッ素含有基または置換基を含むことが好ましい。これは、単一の高分子化合物または2以上の高分子化合物の混合物または1以上の高分子化合物と1以上の低分子量有機化合物の混合物であってよい。有機発光層は、好ましくは、溶液からのコーティングまたは種々の印刷法、特にインクジェット印刷法により塗布され得る。高分子化合物および/またはさらなる化合物は、好ましくはフッ素含有基を含む。有機半導体の層の厚さは、適用に依存するが、20〜250nm、特に好ましくは30〜120nmである。
【0063】
発光層の高分子における好ましい繰り返し単位は、これらに限定されるものではないが、例えば以下に示す化合物である:
【化1−1】

【化1−2】

【0064】
これらの式において、Rは一般式Cのフッ化基を示し、x≧0、y≧0、z≧1であり、隣接してもよい0または1以上のCH基は、O、S、Se、Te、Si(R)、Ge(R)、NR、PR、CO、P(R)Oで置換されてよく、式中のRおよびRは、各々の存在について、同じまたは異なってよく、直鎖状、分枝状もしくは環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールもしくはヘテロアルキル基であり、さらに、1以上の非芳香族部分の隣接しないC原子は、O、S、CO、COOまたはOCOで置換されてよく、ただし2つの基Rが互いに環系を形成してもよい。好ましい基には、例えば、F、CF、C、CF(CH)S、CFCFSおよび(CF−(CH))Nが含まれ、式中のaは、好ましくは0〜5の整数を意味する。
【0065】
本発明の目的のために好ましい高分子またはフッ素含有高分子(またはフッ化もしくは過フッ化された側鎖を含む高分子)は、主鎖にsp混成した炭素原子を含む共役高分子または部分的な共役高分子であり、これは対応するヘテロ原子で置換されてもよい。さらに、共役という用語は、同様に本発明の目的のために使用され、例えば、アリールアミン単位および/またはある一定のヘテロ環(すなわち、N、OまたはS原子を介した共役)および/または有機金属錯体(すなわち、金属原子を介した共役)が主鎖にある場合である。例えばPLEDまたはO−SCにおいて使用され得る共役高分子の典型的な例は、ポリ−パラ−フェニレンビニレン(PPV)、ポリフルオレン、ポリスピロビフルオレン、ポリフェナントレン、ポリジヒドロフェナントレン、ポリインデノフルオレン、最も広い意味のポリ−p−フェニレン(PPP)に基づく系、およびこれらの構造の誘導体、特にフッ素含有基を含む誘導体である。
【0066】
本発明によると、特に好ましいのはさらなる構造要素を含み、共重合体と呼ばれるべき高分子である。特に、参照すべきものは、WO02/077060、WO2005/014689およびこれらの明細書中の引用された参照文献における考えられる構造要素の相対的に広範なリストである。これらのさらなる構造単位は、例えば以下に述べる分類から生じ得る:
グループ1:高分子主鎖を表す構造単位
グループ2:高分子の正孔注入および/または輸送特性を増強する構造単位
グループ3:高分子の電子注入および/または輸送特性を増強する構造単位
グループ4:グループ2およびグループ3からの個々の単位の組み合わせを有する構造単位
グループ5:得られる高分子の形態および/または発光色に影響を及ぼす構造単位
グループ6:エレクトロフルオレセンスの代わりにエレクトロフォスフォレセンスが得られる程度に発光特性を修飾する構造単位
グループ7:一重項状態から三重項状態への遷移を改善する構造単位。
【0067】
上述したグループについて適切且つ好ましい単位を以下に示すが、これらは、本発明により定義されるフッ素含有基を含むことが好ましい。
【0068】
グループ1−高分子主鎖を表す構造単位:
グループ1における好ましい単位は、特に、6〜40C原子を有する芳香族または炭素環構造を含むものである。適切且つ好ましい単位は、特に、例えばEP0842208、WO99/54385、WO00/22027、WO00/22026およびWO00/46321に開示されているようなフルオレン誘導体、インデノフルオレン、さらに、例えばEP0707020、EP0894107およびWO03/020790に開示されているようなスピロビフルオレン誘導体、例えばWO2005/014689に開示されているようなフェナントレン誘導体またはジヒドロフェナントレン誘導体である。例えばWO02/077060に記載されているように、これらのモノマー単位の2以上の組み合わせも使用することができる。式(1)の単位のほかに、高分子主鎖についての好ましい単位は、特に、スピロビフルオレン、インデノフルオレン、フェナントレンおよびジヒドロフェナントレン誘導体である。
【0069】
グループ1において特に好ましい単位は、以下の式の二価の単位であり、破線は隣接する単位への結合を示す:
【化2】

【0070】
個々の基は、以下の意味を有する:
YYは、SiまたはGeであり、
VVは、O、SまたはSeであり、
種々の式は、その自由な位置において、1以上の置換基Rで付加的に置換されてもよく、Rは以下の意味を有する:
は、各々の存在について、同じまたは異なり、H、直鎖、分枝鎖もしくは環状の1〜22C原子を有するアルキルまたはアルコキシ鎖であり、さらに、1以上の隣接しないC原子は、O、S、CO、O−CO、CO−OまたはO−CO−Oで置換されてよく、さらに、1以上のH原子は、フッ素、5〜40C原子を有するアリールもしくはアリールオキシ基で置換されてよく、さらに、1以上のC原子は、O、SまたはNで置換されてよく、1以上の非芳香族基R、またはF、CN、N(R)もしくはB(R)で置換されてもよい。
【0071】
は、各々の存在について、同じまたは異なり、H、直鎖、分枝鎖もしくは環状の1〜22のC原子を有するアルキル鎖であり、さらに、1以上の隣接しないC原子は、O、S、CO、O−CO、CO−OまたはO−CO−Oで置換されてよく、さらに、1以上のH原子は、フッ素、または5〜40のC原子を有する任意に置換されたアリール基で置換されてよく、さらに、1以上のC原子は、O、SまたはNで置換されてよい。
【0072】
グループ2−高分子の正孔注入および/または輸送特性を増強する構造単位:
これらは、一般的に、芳香族アミンまたは電子に富んだヘテロ環、例えば、置換または非置換のトリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリーレン−パラ−フェニレンジアミン、フェノチアジン、フェノキサジン、ジヒドロフェナジン、チアントレン、ジベンゾ−p−ジオキシン、フェノキサチイン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロール、フランおよびさらにO−、S−またはN−を含む高いHOMOを有するヘテロ環である(HOMO=最高被占軌道)。しかしながら、例えばWO2005/017065 A1に記載されているトリアリールフォスフィンも、ここでは適している。
【0073】
グループ2において特に好ましい単位は、以下の式の二価の単位であり、破線は隣接する単位への結合を示す:
【化3−1】

【化3−2】

【0074】
式中のR11は、上記に示したRの意味の1つを有し、種々の式は、その自由な位置において、1以上の置換基R11で付加的に置換されてもよく、記号および指数は以下の意味を有する:
nは、各々の存在について、同じまたは異なり、0、1または2であり;
pは、各々の存在について、同じまたは異なり、0、1または2であり、好ましくは0または1であり;
oは、各々の存在について、同じまたは異なり、1、2または3であり、好ましくは1または2であり;
Ar11、Ar13は、各々の存在について、同じまたは異なり、2〜40のC原子を有する芳香環または芳香族複素環系であり、R11によりモノ−またはポリ−置換されるか、または非置換であってもよく;ここで考えられる置換基R11は、いずれかの自由な位置にある可能性があり;
Ar12、Ar14は、各々の存在について、同じまたは異なり、Ar11、Ar13または置換もしくは非置換のスチルベニレンもしくはトラニレン単位であり;
Ar15は、各々の存在について、同じまたは異なり、Ar11により記載したような系または9〜40の芳香族原子(Cまたはへテロ原子)を有する芳香環もしくは芳香族複素環系であり、R11によりモノ−またはポリ−置換されるか、または非置換であってよく、少なくとも2の縮合環からなり;ここで考えられる置換基R11は、いずれかの自由な位置にある可能性がある。
【0075】
グループ3−高分子の電子注入および/または輸送特性を増強する構造単位:
これらは、一般的に、電子欠乏性の芳香環または芳香族複素環、例えば、置換または非置換のピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピレン、ペリレン、アントラセン、ベンズアントラセン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、フェナジン、ベンズイミダゾール、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシドまたはトリアジンだけでなく、トリアリールボランおよび低いLUMO(LUMO=最低空軌道)を有するさらにO−、S−またはN−を含有する複素環、ならびに例えばWO05/040302に開示されているようなベンゾフェノンおよびその誘導体のような化合物である。
【0076】
グループ3において特に好ましい単位は、以下の式の二価の単位であり、破線は隣接する単位への結合を示す:
【化4】

【0077】
種々の式は、自由な位置において、上述した1以上の置換基R11により置換されてよい。
【0078】
グループ4−グループ2およびグループ3からの個々の単位の組み合わせを有する構造単位:
高分子は、正孔移動度および電子移動度を増大させる構造単位を含むこともでき、両者は互いに直接的に結合する。しかしながら、これらの単位のいくらかは、発光色を黄色または赤色にシフトする。それ故、青色または緑色の発光を生じさせるための本発明による光電子デバイスにおけるそれらの使用は、あまり好ましくない。
【0079】
グループ4におけるそのような単位が高分子中に存在する場合、それらは、好ましくは以下の式の2価の単位から選択され、破線は隣接する単位への結合を示す:
【化5−1】

【化5−2】

【0080】
種々の式は、その自由な位置において、1以上の置換基R11により置換されてよく、記号R11、Ar11、pおよびoは、上述した意味を有し、Yは、各々の存在について、同じまたは異なり、O、S、Se、N、P、SiまたはGeである。
【0081】
グループ5−得られる高分子の形態および/または発光色に影響を及ぼす構造単位:
上述した単位の他に、上述したグループの中には該当しない少なくとも1のさらなる芳香族または他の共役構造を有するものがあり、すなわち、電荷−キャリア移動度にわずかな影響しか及ぼさず、有機金属錯体ではなく、または、一重項−三重項遷移における影響を有さないものである。このタイプの構造要素は、形態だけでなく、得られる高分子の発光色にも影響を及ぼし得る。それ故、単位に依存して、それらは発光体として使用することもできる。ここで好ましいのは、6〜40C原子を有する置換もしくは非置換の芳香族構造またはトラン、スチルベンもしくはビス−スチリルアリーレン誘導体であり、これらのそれぞれは、1以上の基R11で置換されてよい。ここで特に好ましいのは、1,4−フェニレン、1,4−ナフチレン、1,4−または9,10−アントリレン、1,6−、2,7−または4,9−ピレニレン、3,9−または3,10−ペリレニレン、4,4’−ビフェニリレン、4,4”−テルフェニリレン、4,4’−ビ−1,1’−ナフチリレン、4,4’−トラニレン、4,4’−スチルベニレンまたは4,4”−ビススチリルアリーレン誘導体を組み込むことである。
【0082】
まさに特に好ましいのは、以下の式の置換または非置換の構造であり、破線は隣接する単位への結合を示す:
【化6−1】

【化6−2】

【0083】
種々の式は、その自由な位置において、上述したような1以上の置換基R11により置換されてよい。
【0084】
グループ6−エレクトロフルオレセントの代わりにエレクトロフォスフォレセントが得られる程度に発光特性を修飾する構造単位:
これらは、特に、室温でも高い効率を有する三重項状態からの発光を可能にする、すなわち、エレクトロフルオレセントの代わりにエレクトロフォスフォレセントを示す単位であり、一般的にエネルギー効率の増大を生じる。この目的のために適切なのは、第1に、36より大きな原子番号を有する重い金属を含む化合物である。特に適した化合物は、上述した条件を満たすd−またはf−遷移金属を含むものである。ここでまさに特に好ましいのは、8〜10属からの元素(Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt)を含む対応する構造単位である。ここでの高分子について適切な構造単位は、例えば、WO02/068435、WO02/081488、EP1239526およびWO04/026886に記載されている種々の錯体である。対応するモノマーは、WO02/068435およびWO2005/042548A1に記載されている。
【0085】
グループ6における好ましい単位は、以下の式で表されるものであり、破線は隣接する単位への結合を示す:
【化7−1】

【化7−2】

【0086】
Mは、RhまたはIrを意味し、Yは上述した意味を有し、種々の式は、その自由な位置において、上記で定義したような1以上の置換基R11で置換されてよい。
【0087】
グループ7−一重項状態から三重項状態への遷移を改善する構造単位:
これらは、特に、一重項状態から三重項状態への遷移を改善し、グループ6からの構造要素を支持するように使用され、これらの構造要素のリン光特性を改善する単位である。この目的のために適しているのは、特に、例えばWO04/070772およびWO04/113468に記載されているように、カルバゾールおよび架橋したカルバゾール2量体単位である。またこの目的のために適しているのは、例えばWO2005/040302A1に記載されているように、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシドおよび同様の化合物である。
【0088】
グループ1〜7の1つからの2以上の構造単位が同時に存在することも可能である。
さらに、高分子は同様に、金属錯体を含んでよく、これは一般的に1以上のリガンドおよび1以上の金属中心から構築され、主鎖または側鎖に結合する。
【0089】
好ましいのは、グループ1〜7から選択される1以上の単位も付加的に含む高分子である。
【0090】
同様に、前記高分子は、電荷輸送または電荷注入を改善する単位、すなわちグループ2および/または3からの単位を含むことが好ましく;これらの単位が1〜30mol%の割合であることが特に好ましく;これらの単位が2〜10mol%の割合であることがまさに特に好ましい。
【0091】
さらに、前記高分子は、グループ1からの単位、グループ2および/または3からの単位、ならびにグループ5からの単位を含むことが特に好ましい。
【0092】
前記高分子は、繰り返し単位を好ましくは10〜10,000、特に好ましくは20〜5000、特に50〜2000含む。これらと、3〜9の繰り返し単位を含む本発明によるフッ化オリゴマーとの区別がなされるべきである。他に、前記オリゴマーは、発光体を含む上記で定義した全ての繰り返し単位を含んでもよい。
【0093】
前記高分子に必要な溶解性は、特に、種々の繰り返し単位における置換基により保証される。
【0094】
前記高分子は、直鎖状、分枝状または架橋したものであってよい。本発明による共重合体は、ランダム、交互またはブロック様の構造であってよく、交互の配列において複数のこれらの構造を有していてもよい。ブロック様構造を有する共重合体を得る方法およびさらなる構造要素がこの目的のために特に好ましいことは、例えばWO2005/014688に記載されている。この明細書は、参照により本願に組み込まれている。
【0095】
高分子は、一般的に、1以上のタイプのモノマーの重合により調製される。適切な重合反応は、当業者に既知であり、文献に記載されている。特に適切であり、好ましい重合およびカップリング反応(その全てが結果としてC−C結合を生じる)は、SUZUKI、YAMAMOTO、STILLE、HECK、NEGISHI、SONOGASHIRAまたはHIYAMA反応である。
【0096】
重合をこれらの方法により行う方法、その後、高分子を反応媒質から分離し、精製する方法は、当業者に既知であり、文献、例えばWO2003/048225およびWO2004/037887に詳細に記載されている。
【0097】
C−C結合反応は、好ましくは、SUZUKIカップリング、YAMAMOTOカップリングおよびSTILLEカップリングからなる群より選択される。
【0098】
高分子の合成のためには、対応するモノマーが必要である。グループ1〜7における単位の合成は、当業者に既知であり、文献、例えばWO2005/014689に記載されている。この文献およびそこで引用されている文献は、参照により本願に組み込まれている。
【0099】
さらに、純粋な物質としてではなく、その代わりにいずれかの所望のタイプのさらなる高分子の、オリゴマーの、樹状のまたは低分子量の物質との混合物(ブレンド)として、高分子を使用することが好ましい。これらは、例えば、電気的特性を改善するかまたはそれら自体発光し得る。それ故、本発明は、このタイプの混合物にも関する。
【0100】
本発明はさらに、1以上の溶媒中の本発明による1以上のフッ素含有高分子および/またはフッ素含有混合物および/またはフッ化小分子(上記で定義した通り)を含む溶液および組成物(formulation)にも関する。高分子溶液または小分子の溶液を調製することができる方法は当業者に既知であり、例えば、WO02/072714、WO03/019694およびこれらで引用されている文献に記載されている。前記溶液および製剤は、任意に、1以上の添加物を含んでよい。
【0101】
これらの溶液は、特に本発明による方法において、例えば、エリアコーティング法(例えばスピンコーティング)または印刷法(例えばインクジェット印刷)により、薄い高分子層を作るために使用され得る。
【0102】
本発明は、光電子デバイスの製造方法にも関し、該方法は、
a)第1層を基板に塗布する工程と、
b)第2層を塗布する工程と
を含み、前記第1層は電極であり、基板への塗布の前、塗布の間または塗布の後にフッ素含有基が供給される。
【0103】
好ましい実施形態において、使用される電極は、インジウム錫酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)である。この場合、フッ素含有基は、電極を基板に塗布した後、表面反応またはCFプラズマ処理により電極に塗布される。それ故、種々のフッ素含有基(例えばCF)、またはITOもしくはIZO表面に結合する個々のフッ素原子も、電極の表面に形成される。
【0104】
本発明により使用される基板は、ガラスまたは高分子フィルムであり、好ましくはガラスである。
【0105】
さらに好ましい実施形態において、前記電極は、高い導電性の高分子またはITO/IZOと導電性高分子からなる二層電極であり、フッ素含有基は、基板への電極の塗布の前に導電性高分子に導入される。
【0106】
使用される導電性高分子は、好ましくは、上述した共役高分子PEDOTまたはPANIの1つであり、好ましくは、フッ素含有基が供給される。導電性高分子の場合、フッ化は、先行技術に従った方法により行われ、例えば、フッ化モノマーの重合または完成した高分子のフッ化により行われる。フッ素含有基を含む構成要素は、好ましくは、部分的にフッ化された高分子またはフッ化もしくは過フッ化された側鎖を含む高分子、フッ化基を含むオリゴマー、フッ化された分子、またはこれらの組み合わせである。フッ素キャリアとしては、ドーピング種を使用することが特に好ましい(すなわち、例えばフッ化ポリスチレンスルホン酸)。
【0107】
第2層は、好ましくは、高分子を含有する溶液から、例えばスピンコーティングまたはナイフコーティングによりコーティングすることにより塗布される。第2層に対して、部分的にフッ化された高分子、過フッ化された側鎖を含む高分子、フッ化基を含むオリゴマーまたはフッ化された分子が使用される。さらに、第2層が、電荷注入機能、発光機能、バリヤー機能または前記機能の組み合わせを有することが好ましい。この目的のために、例えば、対応する機能を有する上記で定義した共役高分子を使用するか、または対応するオリゴマーもしくは分子を使用することが可能である。上記で定義した発光体も同様に、本発明による方法において使用することが可能である。
【0108】
固定された層を溶解または膨潤させることなく、1以上の付加的な層を塗布することができる。直前の層のフッ素含有基および塗布される層のフッ素含有基は、ここでは、接着性のフッ素−フッ素相互作用が生じるように配置され、溶媒の除去後に、直前の層に対する塗布された層の強い接着が保証され、特に良好な接触が確立される。このように、例えば正孔注入層または電子バリヤー層として機能する複数の層は、良好な接着で積層することができ、これらの層は、適切な色およびデバイスの効率に対して最適化され得る。さらに、このタイプの層の寿命は、改善された電子バリヤー機能により増大され得る(特にPEDOTの場合、下層へのより少ないトンネル効果)。
【0109】
全ての付加的な層が首尾よく塗布された場合、陰極は、さらに、先行技術から既知の方法により塗布される。最後に、封止が行われ、水蒸気、酸素等の外部の影響からデバイスを保護する。
【0110】
次に、実例の実施形態および図面を参照して本発明をより詳細に説明するが、発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【実施例】
【0111】
実施例1:
本発明によるデバイスの作製
工程a)インジウム錫酸化物層の修飾
予め作られた全面積(full-area)ITOを、Technoprintから購入した。ITO層の厚さは160nmであった。ITO基板は、予め洗浄し(脱イオン化水およびDeconex)、乾燥し、プラズマオーブンに移し、ITO層をCFプラズマ処理によりフッ化した(PS 400 Microwave Plasma System from PVA TePla America Inc.,圧力 0.4 mbar, CF4 流速 200 ml/min, 1000 ワット, 5 分)。
【0112】
このタイプのフッ化は、一般的に、ITOの表面張力を減少させ、積層されるべきさらなる層の接着をより困難にするであろう。
【0113】
工程b)導電性フッ化高分子の層の塗布
フッ化ポリアニリン(PANI)のフィルムは、水性分散によるスピンコーティングにより、修飾されたITO層に塗布した(PBM-001; Merck KGaA)。フィルムの塗布の後、180℃で10分間加熱することにより乾燥した。
【0114】
均質なフィルムが得られ(層の厚さ:70nm)、溶媒で処理することにより再び洗い流されず、すなわち、後者に関わらず、フッ化されたITOに非常に良好に接着した。これは、界面におけるフッ素−フッ素相互作用に起因し、驚くべきことに良好な接着を結果として生じ、構築されたOLEDにおいて、陽極から重合体への改善された、より均一な電荷注入を結果として生じる。
【0115】
図1は、本発明による構造を示し、フッ化されたITO層は、フッ化重合体で被覆されている。
【0116】
導電性のフッ化ポリアニリン(PANI)の代わりに、全ての他の導電性高分子(例えばPEDOT/PSSH)を使用することもでき、フッ化された形態で商業的に入手可能なもの、または当業者に既知の方法により後でフッ化することができるものである。
【0117】
ステップb)において得られる層構造は、さらに、実施例2において使用した。
【0118】
比較例2:
インジウム錫酸化物層の修飾(工程a)は、実施例1と同様に行った。
【0119】
工程b)導電性非フッ化高分子層の塗布
非フッ化ポリアニリン(PANI)のフィルムは、水性分散によるスピンコーティングにより、修飾されたITO層に塗布した(PAT020; Merck KGaA)。フィルムの塗布後、180℃で10分間加熱することにより乾燥した。
【0120】
連続的なフィルムは得られなかった。
【0121】
実施例3
実施例1において得られた層構造を、スピンコーティングにより、フッ化高分子のさらなる層で被覆した。
【0122】
この目的のために使用される高分子は、WO03/048225 A2に従って、以下のモノマーを用いて(パーセンテージデータ=mol%)SUZUKIカップリングにより合成される、正孔注入性を有する高分子(P1)であった。
【0123】
高分子P1:
【化8】

【0124】
図2は、本発明による構造を示し、実施例1において作製された層構造が、スピンコーティングによりフッ化高分子のさらなる層で被覆されている。
【0125】
比較例4:
実施例1で得られた層構造を、スピンコーティングにより、非フッ化高分子のさらなる層で被覆した。
【0126】
この目的のために使用された高分子は、以下に示すモノマーを用いて(パーセンテージデータ=mol%)実施例3と同様に合成された、正孔注入性を有する高分子(C1)であった。
【0127】
比較高分子C1:
【化9】

【0128】
比較例5:
実施例1で得られた層構造を、スピンコーティングにより、非フッ化高分子のさらなる層で被覆した。
【0129】
この目的のために使用された高分子は、以下に示すモノマーを用いて(パーセンテージデータ=mol%)実施例3と同様に合成された、正孔注入性を有する高分子(C2)であった。
【0130】
比較高分子C2:
【化10】

【0131】
フィルム形成および高分子の接着を調べるために、トルエンによるスピンコーティングによりP1、C1およびC2を塗布した(濃度5mg/ml)フィルムの写真を撮影し(180℃で10分間加熱することにより乾燥した)、層の厚さを測定した。使用した基板は、それぞれの場合において、実施例1に従って作製された層であった。写真のコントラストを増大させるために、フィルムをUVランプの下に置いた。
【0132】
高分子P1について、層の厚さが15nmの均一で連続的な層が得られた。実施例1における一番上の層は、ここでは、破壊されず、膨張しなかった。層の厚さは相加的であり、プロフィルメーター(Veeco InstrumentsからのDektak ST3)における測定のステップとして明らかになった(実施例1:70nm、層P1:15nm)。高分子P1のフィルム形成は、図3に示す。
【0133】
2つの非フッ化高分子C1およびC2の場合、実質的に均質化するスピンコーティング工程にも関わらず、均一なフィルムは得られなかった。それ故、層の厚さの測定は、ここでは意味を成さない。比較高分子C1およびC2のフィルム形成は、図4および5に示す。
【0134】
さらなる層は、実施例2による層構造に塗布された。これらの層は、全ての既知であり適切な材料を含んでよく、当業者に既知の全ての工程により塗布されてよい。ここでは、実施例2と同様に塗布される層の表面に位置するフッ素原子を介して直前の層とそれぞれ相互作用し得る、フッ素含有高分子を含むさらなる層であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1は、本発明による構造を示す。
【図2】図2は、本発明による構造を示す。
【図3】図3は、高分子P1のフィルム形成を示す。
【図4】図4は、比較高分子C1のフィルム形成を示す。
【図5】図5は、比較高分子C2のフィルム形成を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第1層と第2層とを具備する光電子デバイスであって、前記第1層は、フッ素含有基を含む電極材料を含み、前記第2層は、フッ素含有基を含む高分子を含み、前記第1層と前記第2層のフッ素含有基のいくらかの間には、接着性のフッ素−フッ素相互作用が存在することを特徴とする光電子デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の光電子デバイスであって、前記第1層は、インジウム錫酸化物(ITO)層またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)層であることを特徴とする光電子デバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光電子デバイスであって、前記第2層は導電性高分子を含むことを特徴とする光電子デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の光電子デバイスであって、前記第1層は導電性高分子の層であることを特徴とする光電子デバイス。
【請求項5】
請求項3または4に記載の光電子デバイスであって、前記導電性高分子はPEDOTまたはPANIであることを特徴とする光電子デバイス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電子デバイスであって、前記第2層は、電荷注入機能、電荷輸送機能および/または発光機能を含むことを特徴とする光電子デバイス。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電子デバイスであって、少なくとも1の付加的な層を含むことを特徴とする光電子デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載の光電子デバイスであって、前記付加的な層は、フッ素含有基を含む化合物を含むことを特徴とする光電子デバイス。
【請求項9】
請求項7または8に記載の光電子デバイスであって、前記付加的な層は、フッ素含有基を含む高分子、部分的にフッ化された高分子またはフッ化もしくは過フッ化された側鎖を含む高分子、フッ化基を含有するオリゴマーあるいはフッ化された分子を含むことを特徴とする光電子デバイス。
【請求項10】
請求項8または9に記載の光電子デバイスであって、前記付加的な層とそれぞれの直前の層のフッ素含有基のいくらかの間に、接着性のフッ素−フッ素相互作用が存在することを特徴とする光電子デバイス。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1項に記載の光電子デバイスであって、前記付加的な層は、電荷注入機能、発光機能、バリヤー機能および/またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする光電子デバイス。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の光電子デバイスであって、発光機能を有する高分子を含むことを特徴とする光電子デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載の光電子デバイスであって、前記発光機能を有する高分子は種々の波長の光を発することを特徴とする光電子デバイス。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の光電子デバイスであって、発光機能を有する複数の高分子層を含むことを特徴とする光電子デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載の光電子デバイスであって、前記発光機能を有する複数の高分子層は、それぞれ波長の異なる光を発することを特徴とする光電子デバイス。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1項に記載の光電子デバイスであって、前記種々の波長の光は、合わさって白色になることを特徴とする光電子デバイス。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれか1項に記載の光電子デバイスであって、赤色、緑色および青色の原色を有する3つの層を含むことを特徴とする光電子デバイス。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか1項に記載の光電子デバイスであって、少なくとも1層は一重項発光体を含むが、他の少なくとも1層は三重項発光体を含むことを特徴とする光電子デバイス。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の光電子デバイスであって、正孔伝導機能を有する高分子の複数の層を含み、前記正孔伝導体は、エネルギー的に異なる最高被占軌道(HOMO)を有することを特徴とする光電子デバイス。
【請求項20】
請求項19に記載の光電子デバイスであって、最後に塗布される正孔伝導機能を有する高分子層は、エネルギー的に高い最低空軌道(LUMO)を有することを特徴とする光電子デバイス。
【請求項21】
請求項20に記載の光電子デバイスであって、前記最後に塗布される正孔伝導機能を有する高分子層は、電子遮断層であることを特徴とする光電子デバイス。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の光電子デバイスであって、電子伝導機能を有する複数の高分子層を含み、前記電子伝導体は、エネルギー的に異なる最低空軌道(LUMO)を有することを特徴とする光電子デバイス。
【請求項23】
請求項22に記載の光電子デバイスであって、最初に塗布される電子伝導機能を有する高分子層は、エネルギー的に低い最高被占軌道(HOMO)を有することを特徴とする光電子デバイス。
【請求項24】
請求項23に記載の光電子デバイスであって、最初に塗布される電子伝導機能を有する高分子層は、正孔遮断層であることを特徴とする光電子デバイス。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか1項に記載の光電子デバイスであって、さらに陰極を含むことを特徴とする光電子デバイス。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか1項に記載の光電子デバイスであって、さらに封止材料を含むことを特徴とする光電子デバイス。
【請求項27】
有機または高分子発光ダイオード、有機太陽電池、有機電界効果トランジスタ、有機集積回路、有機電界クエンチ素子、有機光増幅器、有機レーザーダイオード、有機光受容体または有機フォトダイオードとしての、請求項1〜26のいずれか1項に記載の光電子デバイスの使用。
【請求項28】
請求項27に記載の使用であって、ディスプレイ、カラー、マルチカラーもしくはフルカラーディスプレイにおけるOLEDとして、液晶ディスプレイ(LCD)におけるバックライトとしてまたは照明素子としての使用。
【請求項29】
請求項28に記載の使用であって、前記OLEDは、白色発光OLEDであることを特徴とする使用。
【請求項30】
光電子デバイスの製造方法であって、
a)基板に第1層を塗布する工程と、
b)少なくとも1のさらなる層を塗布する工程と
を含み、前記第1層は、前記基板への塗布の前、塗布の間または塗布の後に、フッ素含有基を供給される電極であることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、使用される電極は、インジウム錫酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)であり、前記フッ素含有基は、基板への電極の塗布の後、表面反応またはCFプラズマ処理により塗布されることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法であって、前記電極は導電性高分子であり、前記フッ素含有基は、基板への電極の塗布の前または塗布の間に前記導電性高分子に導入されることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項30〜32のいずれか1項に記載の方法であって、前記少なくとも1のさらなる層は、溶液からのコーティングにより塗布されることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項30〜33のいずれか1項に記載の方法であって、フッ化基を含有する高分子、部分的にフッ化された高分子、過フッ化された側鎖を含む高分子、フッ化基を含有するオリゴマーまたはフッ化された分子が、さらなる層に対して使用されることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、前記さらなる層は、電荷注入機能、発光機能、バリヤー機能または前記機能の組み合わせを有することを特徴とする方法。
【請求項36】
1つ以上の溶媒中に、1つ以上のフッ素含有高分子および/またはフッ素含有混合物および/またはフッ化された小分子を含んでなる組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−501369(P2011−501369A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530344(P2010−530344)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009020
【国際公開番号】WO2009/053088
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】