光電気変換モジュール及びその製造方法
【課題】光結合効率に優れ、光伝送特性の低下や光クロストークを抑えることが可能な光電気変換モジュール及びその製造方法を提供する。
【解決手段】透明基板12と、透明基板12の一方の面からなる実装面12aに実装された光デバイス21と、透明基板12の実装面12aに実装されて光デバイス21を駆動させる電気デバイス31とを備え、透明基板12には、他方の面からなる装着面12bに配設されるガラスファイバ45と光デバイス21とを光結合させる導波路33が設けられている。
【解決手段】透明基板12と、透明基板12の一方の面からなる実装面12aに実装された光デバイス21と、透明基板12の実装面12aに実装されて光デバイス21を駆動させる電気デバイス31とを備え、透明基板12には、他方の面からなる装着面12bに配設されるガラスファイバ45と光デバイス21とを光結合させる導波路33が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送等に用いられる光電気変換モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI間信号の高速化に伴い、電気による伝送ではノイズ、消費電力増加を解消することが困難となってきている。そこで、近年、LSI間を、電磁障害や周波数依存性損失が殆どない光通信で伝送する試みがなされている。
【0003】
この光伝送に用いられる光モジュールとして、上部が開口したパッケージの上部に光透過部材を設け、パッケージ内に1個以上の光素子を収納して気密封止した光モジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。この光モジュールでは、光透過部材となる透明基板の裏面に回路パターンを形成し、その回路パターンに1個以上の光素子を実装し、パッケージの上縁面にパッケージ側電極を形成すると共に、そのパッケージ側電極に対応して透明基板の裏面に基板側電極を形成し、他方、透明基板の表面に光通路となる窓を有する金属製のフタを設けると共に、そのフタを透明基板の周縁から張り出すように形成し、パッケージ側電極と基板側電極を接合した状態で、パッケージにフタの周縁を接合すると共に気密封止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−300032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記光モジュールでは、透明基板で光が拡散して光結合効率が低下してしまう。また、透明基板で拡散した光が、他のチャンネルや受信側に漏れ、光伝送特性の低下や光クロストークを招いてしまうこともある。
【0006】
本発明の目的は、光結合効率に優れ、光伝送特性の低下や光クロストークを抑えることが可能な光電気変換モジュール及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明の光電気変換モジュールは、透明基板と、透明基板の一方の面からなる実装面に実装された光デバイスと、前記透明基板の前記実装面に実装されて前記光デバイスを駆動させる電気デバイスとを備え、
前記透明基板には、他方の面からなる装着面に配設される光ファイバと前記光デバイスとを光結合させる導波路が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記導波路は、前記透明基板に形成された導波路形成穴に透明樹脂が充填されてなることが好ましい。
【0009】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記透明樹脂は、前記透明基板よりも高い光屈折率を有することが好ましい。
【0010】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記透明樹脂は、前記透明基板に前記光デバイスを固定するアンダーフィル材と同一材料からなることが好ましい。
【0011】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記透明樹脂は、紫外線硬化型樹脂からなることが好ましい。
【0012】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記導波路は、前記透明基板に形成された導波路形成穴の内側空間を含んで構成されていてもよい。その場合、前記光デバイスは、前記導波路と対向しない箇所に設けられたサイドフィル材により前記透明基板に固定されていることが好ましい。
【0013】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記導波路形成穴は、前記装着面側より前記実装面側が小径とされたテーパ形状であることが好ましい。
【0014】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記導波路を構成する前記導波路形成穴は、前記透明基板に対して非貫通であってもよい。その場合、前記透明基板における前記導波路形成穴の底部は、凹曲面形状に形成されていることが好ましい。
【0015】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記透明基板には、前記光ファイバを保持する光コネクタが着脱可能とされ、
前記透明基板及び前記光コネクタには、いずれか一方に位置決めピンが設けられ、他方に前記位置決めピンが挿入可能な位置決め穴が形成され、
前記位置決めピンを前記位置決め穴へ挿入することにより、前記透明基板の前記導波路に前記光コネクタの前記光ファイバが位置決めされることが好ましい。
【0016】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記光デバイス及び前記電気デバイスに、放熱部材が取り付けられていることが好ましい。
【0017】
本発明の光電気変換モジュールの製造方法は、透明基板に設けられた複数のモジュール形成領域に光デバイス及び電気デバイスを実装する部品実装工程と、
前記透明基板における各モジュール形成領域に導波路を形成する導波路形成工程と、
前記透明基板を切断して各モジュール形成領域に分割し、複数の光電気変換モジュールとする基板分割工程と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光デバイスと光ファイバとが透明基板の導波路を介して光結合されるので、優れた光結合効率でデータ通信を行うことができ、しかも、光クロストークを抑えて良好な光伝送特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態例に係る光電気複合モジュールの断面図である。
【図2】本発明の実施形態例に係る光電気複合モジュールの斜視図である。
【図3】図1の光電気複合モジュールをホストボードに搭載した例を示す断面図である。
【図4】図1の光電気複合モジュールの製造工程を示す図であって、(a)から(c)は、工程ごとの断面図である。
【図5】複数の光電気変換モジュールが作製されるウエハの概略斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態例(導波路形成穴が非貫通)に係る光電気複合モジュールの断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態例(導波路形成穴が非貫通)に係る光電気複合モジュールの断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態例(導波路形成穴がテーパ形状)に係る光電気複合モジュールの断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態例(アンダーフィル材不使用)に係る光電気複合モジュールの断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態例(アンダーフィル材不使用)に係る光電気複合モジュールの断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態例に係る光電気複合モジュールの断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態例に係る光電気複合モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る光電気変換モジュール及びその製造方法の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る光電気変換モジュール11は、透明基板12を有している。この透明基板12は、硼珪酸ガラスまたは石英ガラスなどから形成されたガラス基板からなるものであり、この透明基板12は、一方の面が、回路パターン13を有する実装面12aとされ、他方の面が、装着面12bとされている。
この透明基板12には、表裏にわたって貫通する複数の導波路形成穴14が形成されており、これらの導波路形成穴14は、一列に配列されている。
【0021】
透明基板12の実装面12aには、導波路形成穴14の対向位置に、光デバイス21が取り付けられている。この光デバイス21は、例えば、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)アレイやPIN−PD(フォトダイオード)アレイなどの発光素子または受光素子である。光デバイス21の素子部(図示省略)は、光デバイス21が発光素子である場合は発光部であり、光デバイス21が受光素子である場合は受光部である。このように、透明基板12に取り付けられた光デバイス21は、その素子部が、透明基板12における導波路形成穴14の対向位置に配置されている。
【0022】
この光デバイス21は、その端子部(図示省略)が、回路パターン13に対して、例えば、金(Au)からなるバンプ25によって導通接続されている。このバンプ25による接続は、超音波振動または熱によってバンプ25を介して端子部と回路パターン13とを接続するフリップチップ実装で行われる。あるいは、異方性導電フィルム(ACF)を用いて接着することも可能である。なお、光デバイス21としては、幅方向半分が発光素子からなり、残りの幅方向半分が受光素子からなるものが用いられる場合もある。
【0023】
透明基板12と光デバイス21との間には、アンダーフィル材31が充填されており、このアンダーフィル材31によって光デバイス21が透明基板12に接着固定されている。また、アンダーフィル材31は、透明基板12の導波路形成穴14にも充填されている。このアンダーフィル材31としては、透明基板12における光の屈折率よりも高い屈折率を有する透明樹脂が用いられている。これにより、透明基板12には、導波路形成穴14にアンダーフィル材31が充填されて屈折率が高くされた部分をコアとする導波路33が形成されている。アンダーフィル材31としては、熱硬化型樹脂が使用可能であるが、紫外線硬化型樹脂を用いるのが好ましい。透明基板12は、裏面である装着面12bからの紫外線の照射が可能であるので、アンダーフィル材31として紫外線硬化型樹脂を用い、透明基板12の裏面から紫外線を照射すれば、熱硬化型樹脂と比較して迅速に硬化させて製造性を高めることができる。
【0024】
透明基板12の装着面12bには、光コネクタ41が着脱可能とされており、この光コネクタ41を透明基板12へ取り付けることにより、光デバイス21と光コネクタ41との光結合が可能となる。この光コネクタ41は、ポリエステル樹脂、PPS樹脂及びエポキシ樹脂の何れかを含む材料で形成された光ファイバフェルール42を有しており、テープ状の光ケーブルとされた複数本の光ファイバ心線44が接続されている。
【0025】
光ファイバ心線44は、コア45a及びクラッド45bを有するガラスファイバ(光ファイバ)45を樹脂によって被覆したものであり、光ファイバ心線44の端部で被覆から露出されたガラスファイバ45が光ファイバフェルール42に保持されている。そして、光ファイバフェルール42における透明基板12との対向面である光入出面42aで、それぞれのガラスファイバ45の端面が露出されている。
【0026】
光コネクタ41には、透明基板12側の光入出面42aの両側部に、透明基板12側へ突出する位置決めピン46が設けられている。これらの位置決めピン46は、透明基板12における複数の導波路33の配列の両側部に形成された位置決め穴47へ挿入可能である。光コネクタ41は、位置決めピン46を位置決め穴47へ挿入させながら、透明基板12側へ近接させることにより、光学的な調心を行うことなく、ガラスファイバ45の先端面を透明基板12の導波路33に対向した光結合位置に高精度に位置決めして配置させることができる。また、透明基板12には、光コネクタ41を係止するラッチ等の係止手段(図示省略)が設けられており、光コネクタ41は、係止手段によって透明基板12の所定位置に係止される。なお、透明基板12に位置決めピンを設け、光コネクタ41に位置決めピンが挿入可能な位置決め穴を形成しても良い。
【0027】
このように、光電気変換モジュール11の透明基板12に対して、光コネクタ41が着脱可能とされているので、光コネクタ41の接続後に、例えば、光ファイバ心線44側に不具合が生じたとしても、光電気変換モジュール11を交換する必要がなく、歩留まりの低下によるコスト高を抑えることができる。また、予め光ファイバ心線44を接続した構造と比較して、良好な組み立て作業性を確保することができる。
【0028】
透明基板12の実装面12aには、光デバイス21を駆動させる電気デバイス51が実装されており、電気デバイス51の端子部(図示省略)が、金(Au)からなるバンプ52を介して実装面12aに形成された回路パターン13に接続されて導通されている。この電気デバイス51は、例えば、VCSELからなる光デバイス21に対しては、VCSELアレイドライバICであり、PIN−PDからなる光デバイス21に対しては、TIA&LAアレイ(Trans Impedance Amplifier & Limiting Amplifier)ICが使用される。アレイ素子を使用することで、並列に大容量のデータを伝送することが可能である。また、透明基板12の実装面12aには、回路パターン13に、後述するホストボード61への接続用のハンダボール55が設けられている。
【0029】
上記の光電気変換モジュール11では、光デバイス21と光コネクタ41のガラスファイバ45との間で、透明基板12の導波路33を介して光伝送が行われる。発光素子からなる光デバイス21からガラスファイバ45へ光伝送が行われる場合では、光デバイス21の素子部から発光された光が、導波路33を介して光コネクタ41のガラスファイバ45へ入射することとなる。また、光コネクタ41のガラスファイバ45から受光素子からなる光デバイス21へ光伝送が行われる場合では、ガラスファイバ45から出射した光が、導波路33を介して光デバイス21の素子部へ入射することとなる。
【0030】
図3に示すように、上記構造の光電気変換モジュール11は、スーパーコンピュータ、パーソナルコンピュータあるいはサーバ等の電子機器の内部に設けられるホストボード61に、例えば、リフロー実装等によって実装される。なお、光電気変換モジュール11は、リフロー実装時の熱(約250℃)に対して十分な耐熱性を有している。
【0031】
ホストボード61は、例えば、ガラスエポキシ基板等からなるものであり、その実装面には、回路パターン62が設けられている。このホストボード61の実装面には、ICやLSIなどの各種の電子部品63が実装されており、電子部品63の端子(図示省略)がハンダボール55を介して回路パターン62に接続されている。
【0032】
そして、このホストボード61の実装面に、光電気変換モジュール11が、透明基板12の実装面12aを対向させて配置されて実装されており、回路パターン13,62同士がハンダボール55を介して接続されている。
【0033】
また、ホストボード61と光電気変換モジュール11との間には、例えば、アルミニウム等の熱伝導性に優れた材料から形成された放熱ブロック(放熱部材)65が設けられている。この放熱ブロック65は、光デバイス21及び電気デバイス51に接着固定されており、ホストボード61の実装面に密着されている。これにより、光電気変換モジュール11の光デバイス21及び電気デバイス51で発生した熱が、放熱ブロック65を介してホストボード61へ伝達され、光デバイス21及び電気デバイス51が良好に冷却される。
【0034】
上記の光電気変換モジュール11では、光デバイス21と光コネクタ41のガラスファイバ45との間で、透明基板12の導波路33を介して光伝送が行われる。発光素子からなる光デバイス21からガラスファイバ45へ光伝送が行われる場合では、光デバイス21から発光された光が、透明基板12の導波路33を介して光コネクタ41のガラスファイバ45へ入射することとなる。また、光コネクタ41のガラスファイバ45から受光素子からなる光デバイス21へ光伝送が行われる場合では、ガラスファイバ45から出射した光が、透明基板12の導波路33を介して光デバイス21へ入射することとなる。
【0035】
そして、上記実施形態に係る光電気変換モジュールによれば、光デバイス21とガラスファイバ45とが透明基板12の導波路33を介して光結合するので、優れた光結合効率でデータ通信を行うことができ、しかも、光クロストークを抑えて良好な光伝送特性を得ることができる。
つまり、透明基板12の光デバイス21とガラスファイバ45との間の通信光が透過する部分に、屈折率が高い導波路33が設けられており、この導波路33がコアとなって、高い光結合効率を得ることができる。
【0036】
近年では、スーパーコンピュータ、パーソナルコンピュータあるいはサーバ等の電子機器内におけるホストボード61の電気信号の高速化が進み、それに伴い、EMCや信号品質劣化が問題となっており、電気配線を極力短くしてEMCや信号品質劣化を抑えることが必要となっている。本実施形態に係る光電気変換モジュール11を用いれば、この光電気変換モジュール11を電子機器内のCPUの近傍に実装して電気配線を極力短くすることができ、これにより、EMCや信号品質劣化を抑えてデータ通信を行うことができる。
【0037】
次に、上記の光電気変換モジュール11を製造する場合について、工程ごとに説明する。
【0038】
(部品実装工程)
図4(a)に示すように、回路パターン13が形成された実装面12aを有し、導波路形成穴14及び位置決め穴47を形成したガラス材料からなる透明基板12を用意する。そして、この透明基板12に対して、図4(b)に示すように、回路パターン13が形成された実装面12aに、光デバイス21、電気デバイス51及びチップ抵抗やコンデンサ等の受動素子(図示省略)を、超音波フリップチップ実装等によって実装する。また、ホストボード61への接続用のハンダボール55も回路パターン13に実装しておく。
【0039】
透明基板12は、図5に示すように、大きなガラス板から形成されたウエハ71からなるものであり、このウエハ71に、複数のモジュール形成領域72が設けられている。そして、このウエハ71のそれぞれのモジュール形成領域72に、光デバイス21、電気デバイス51、受動素子及びハンダボール55を実装する。
【0040】
(導波路形成工程)
図4(c)に示すように、各モジュール形成領域72において、光デバイス21と透明基板12との間に、紫外線硬化型のアンダーフィル材31を注入する。また、このアンダーフィル材31を、導波路形成穴14にも注入する。このとき、透明基板12の装着面12bに封止板74を貼り付け、導波路形成穴14に注入したアンダーフィル材31の装着面12b側からの漏出を防ぐ。この状態で透明基板12の装着面12b側から紫外線を照射すると、アンダーフィル材31が硬化し、光デバイス21が透明基板12に固定されるとともに、導波路33が形成される。アンダーフィル材31が硬化したら封止板74を取り外す。すると、導波路形成穴14に透明樹脂からなるアンダーフィル材31が充填されて硬化されてなり、光伝送時のコアの機能を有する導波路33を備えた光電気変換モジュール11が各モジュール形成領域72に形成される。アンダーフィル材31として熱硬化型樹脂を使用する場合は、導波路形成穴14にアンダーフィル材31を注入した後、加熱してアンダーフィル材31を熱硬化させる。
【0041】
(基板分割工程)
その後、ウエハ71をソーワイヤーやダイヤモンドカッター等でダイシングすることにより、それぞれのモジュール形成領域72の板片に分割する。これにより、複数の光電気変換モジュール11が得られる。このように、ウエハ71に複数の光電気変換モジュール11を製造して分割すれば、複数の光電気変換モジュール11を自動機で一括して容易に製造することができ、生産性を大幅に向上させることができる。なお、ガラス板からなるウエハ71は、外形が角形のものに限らず円形の場合もある。
【0042】
そして、上記実施形態に係る製造方法によれば、光デバイス21とガラスファイバ45とが透明基板12の導波路33を介して優れた光結合効率でデータ通信することができ、しかも、光クロストークを抑えて良好な光伝送特性を得ることが可能な光電気変換モジュール11を容易に製造することができる。
【0043】
なお、上記実施形態では、透明基板12に、表裏に貫通する導波路形成穴14を形成し、この導波路形成穴14にアンダーフィル材31を注入して導波路33を形成したが、図6に示すように、導波路形成穴14は、透明基板12の装着面12b側を残して非貫通としても良い。
【0044】
導波路形成穴14を貫通させた場合、注入したアンダーフィル31が透明基板12の装着面12b側へ漏れ出し、光コネクタ41と接合される接合面の平面度が低下し、光結合特性が変化してしまうおそれがある。しかし、上記のように、導波路形成穴14を非貫通とすると、透明基板12の装着面12b側へのアンダーフィル材31の漏出を防止することができ、光コネクタ41との接合面が良好な平面度に保たれ、優れた光結合特性を得ることができる。
【0045】
また、導波路形成穴14を非貫通とする場合、図7に示すように、導波路形成穴14の底部14aは、凹曲面形状に形成することが好ましい。このように、導波路形成穴14の底部14aを凹曲面形状とすると、この底部14aがレンズとなって集光効果を生じさせることができ、さらに優れた光結合特性を得ることができる。また、透明基板12にサンドブラスト加工をする場合、導波路形成穴14の底部14aが凹曲面である方が、サンドブラスト加工による研磨処理を容易に行うことができる。
【0046】
なお、図1の実施形態では、透明基板12に、表裏に真直ぐ同径で貫通する導波路形成穴14を形成して、それを導波路33としたが、図8に示すように、導波路形成穴14を、装着面12b側より実装面12a側が小径とされたテーパ形状に形成して、それを導波路33としてもよい。例えば、装着面12b側の直径を50μmとし、実装面12a側の直径を10μmとしたテーパ形状の導波路形成穴14により、光デバイス21とガラスファイバ45とを光結合させることができる。なお、導波路形成穴14をテーパ形状にした方が、真直ぐな形状と比較して透明基板12への切削加工が容易である。
【0047】
また、上記の実施形態ではアンダーフィル材31を用いたが、アンダーフィル材31を用いない構成も採用できる。例えば、図1に示した光電気変換モジュール11の構成においてアンダーフィル材31を用いない場合、図9に示すように、透明基板12に形成された導波路形成穴14の内側空間が導波路33となる。アンダーフィル材31を用いない場合、ガラスファイバ45の導波路形成穴14に面した端面で光を透過させて導波させることが可能である。アンダーフィル材31を用いないことで、製造コストを削減できる。
【0048】
但し、アンダーフィル材31を用いないと、実装面12aに対する光デバイス21の固定強度が不十分になることが考えられる。そのため、図10に示すように、光デバイス21にサイドフィル材31aを塗布して硬化させることで、透明基板12への光デバイス21の固定強度を高めることができる。サイドフィル材31aを塗布する箇所は、光デバイス21における導波路33と対向しない箇所(光結合を妨げない箇所)であり、光デバイス21の平面視(図10の上方から見た)外縁部とする。サイドフィル材31aとしては、アンダーフィル材31と同様の樹脂材料を用いてもよいが、透明である必要はないので、エポキシ樹脂等を用いてもよい。
【0049】
また、アンダーフィル材31を用いない導波路33は、図9及び図10に例示したように表裏に真直ぐ同径で貫通する導波路形成穴14だけでなく、図6及び図7に示した非貫通の導波路形成穴14や、テーパ形状の導波路形成穴14にも採用可能である。
【0050】
また、上記の実施形態では、光電気変換モジュール11の透明基板12に、光コネクタ41を直接着脱可能としたが、図11に示すように、透明基板12と光コネクタ41との間に、レンズ81を有する三角プリズム82を配設し、光デバイス21と光コネクタ41とを、三角プリズム82を介して光結合させても良い。このように、三角プリズム82を用いれば、光伝送の方向を、例えば、90°変換させ、透明基板12に対して光コネクタ41を面方向に沿う位置に配置させることができる。これにより、光コネクタ41を接合させた状態における光電気変換モジュール11の厚さ寸法を極力抑えることができ、実装におけるトレランスを十分に確保することができる。また、レンズ81を有する三角プリズム82によって光結合特性を向上させることができる。なお、この場合、三角プリズム82にガイドピンを設けるとともに、透明基板12または光コネクタ41の何れか一方にガイドピンが挿入可能なガイド穴を設け、ガイドピンをガイド穴へ挿入することにより、三角プリズム82が透明基板12または光コネクタ41の少なくとも一方に位置決めされて固定される構造とするのが好ましい。
【0051】
また、図12に示すように、光電気変換モジュール11の外周を、例えば、アルミニウム等の金属製のシールドシェル85によって覆うのが好ましい。シールドシェル85を設けることにより、光電気変換モジュール11に電磁ノイズ対策を施すことができる。また、レンズ81を備えた三角プリズム82が一体化された光コネクタ41を用いても良い。この場合も、光伝送の方向を、例えば、90°変換させ、透明基板12に対して光コネクタ41を面方向に沿う位置に配置させることができる。そして、光コネクタ41を接合させた状態における光電気変換モジュール11の厚さ寸法を極力抑えて小型化を図ることができ、光コネクタ41自体の小型化も図ることができる。なお、この場合、光コネクタ41の三角プリズム82にガイドピンを設けるとともに、透明基板12にガイドピンが挿入可能なガイド穴を設け、ガイドピンをガイド穴へ挿入することにより、光コネクタ41を透明基板12に位置決めして固定する構造とするのが好ましい。
【符号の説明】
【0052】
11:光電気変換モジュール、12:透明基板、12a:実装面、12b:装着面、14:導波路形成穴、14a:底部、21:光デバイス、31:アンダーフィル材(透明樹脂)、33:導波路、41:光コネクタ、45:ガラスファイバ(光ファイバ)、46:位置決めピン、47:位置決め穴、51:電気デバイス、65:放熱ブロック(放熱部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送等に用いられる光電気変換モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI間信号の高速化に伴い、電気による伝送ではノイズ、消費電力増加を解消することが困難となってきている。そこで、近年、LSI間を、電磁障害や周波数依存性損失が殆どない光通信で伝送する試みがなされている。
【0003】
この光伝送に用いられる光モジュールとして、上部が開口したパッケージの上部に光透過部材を設け、パッケージ内に1個以上の光素子を収納して気密封止した光モジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。この光モジュールでは、光透過部材となる透明基板の裏面に回路パターンを形成し、その回路パターンに1個以上の光素子を実装し、パッケージの上縁面にパッケージ側電極を形成すると共に、そのパッケージ側電極に対応して透明基板の裏面に基板側電極を形成し、他方、透明基板の表面に光通路となる窓を有する金属製のフタを設けると共に、そのフタを透明基板の周縁から張り出すように形成し、パッケージ側電極と基板側電極を接合した状態で、パッケージにフタの周縁を接合すると共に気密封止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−300032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記光モジュールでは、透明基板で光が拡散して光結合効率が低下してしまう。また、透明基板で拡散した光が、他のチャンネルや受信側に漏れ、光伝送特性の低下や光クロストークを招いてしまうこともある。
【0006】
本発明の目的は、光結合効率に優れ、光伝送特性の低下や光クロストークを抑えることが可能な光電気変換モジュール及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明の光電気変換モジュールは、透明基板と、透明基板の一方の面からなる実装面に実装された光デバイスと、前記透明基板の前記実装面に実装されて前記光デバイスを駆動させる電気デバイスとを備え、
前記透明基板には、他方の面からなる装着面に配設される光ファイバと前記光デバイスとを光結合させる導波路が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記導波路は、前記透明基板に形成された導波路形成穴に透明樹脂が充填されてなることが好ましい。
【0009】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記透明樹脂は、前記透明基板よりも高い光屈折率を有することが好ましい。
【0010】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記透明樹脂は、前記透明基板に前記光デバイスを固定するアンダーフィル材と同一材料からなることが好ましい。
【0011】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記透明樹脂は、紫外線硬化型樹脂からなることが好ましい。
【0012】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記導波路は、前記透明基板に形成された導波路形成穴の内側空間を含んで構成されていてもよい。その場合、前記光デバイスは、前記導波路と対向しない箇所に設けられたサイドフィル材により前記透明基板に固定されていることが好ましい。
【0013】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記導波路形成穴は、前記装着面側より前記実装面側が小径とされたテーパ形状であることが好ましい。
【0014】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記導波路を構成する前記導波路形成穴は、前記透明基板に対して非貫通であってもよい。その場合、前記透明基板における前記導波路形成穴の底部は、凹曲面形状に形成されていることが好ましい。
【0015】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記透明基板には、前記光ファイバを保持する光コネクタが着脱可能とされ、
前記透明基板及び前記光コネクタには、いずれか一方に位置決めピンが設けられ、他方に前記位置決めピンが挿入可能な位置決め穴が形成され、
前記位置決めピンを前記位置決め穴へ挿入することにより、前記透明基板の前記導波路に前記光コネクタの前記光ファイバが位置決めされることが好ましい。
【0016】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記光デバイス及び前記電気デバイスに、放熱部材が取り付けられていることが好ましい。
【0017】
本発明の光電気変換モジュールの製造方法は、透明基板に設けられた複数のモジュール形成領域に光デバイス及び電気デバイスを実装する部品実装工程と、
前記透明基板における各モジュール形成領域に導波路を形成する導波路形成工程と、
前記透明基板を切断して各モジュール形成領域に分割し、複数の光電気変換モジュールとする基板分割工程と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光デバイスと光ファイバとが透明基板の導波路を介して光結合されるので、優れた光結合効率でデータ通信を行うことができ、しかも、光クロストークを抑えて良好な光伝送特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態例に係る光電気複合モジュールの断面図である。
【図2】本発明の実施形態例に係る光電気複合モジュールの斜視図である。
【図3】図1の光電気複合モジュールをホストボードに搭載した例を示す断面図である。
【図4】図1の光電気複合モジュールの製造工程を示す図であって、(a)から(c)は、工程ごとの断面図である。
【図5】複数の光電気変換モジュールが作製されるウエハの概略斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態例(導波路形成穴が非貫通)に係る光電気複合モジュールの断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態例(導波路形成穴が非貫通)に係る光電気複合モジュールの断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態例(導波路形成穴がテーパ形状)に係る光電気複合モジュールの断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態例(アンダーフィル材不使用)に係る光電気複合モジュールの断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態例(アンダーフィル材不使用)に係る光電気複合モジュールの断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態例に係る光電気複合モジュールの断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態例に係る光電気複合モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る光電気変換モジュール及びその製造方法の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る光電気変換モジュール11は、透明基板12を有している。この透明基板12は、硼珪酸ガラスまたは石英ガラスなどから形成されたガラス基板からなるものであり、この透明基板12は、一方の面が、回路パターン13を有する実装面12aとされ、他方の面が、装着面12bとされている。
この透明基板12には、表裏にわたって貫通する複数の導波路形成穴14が形成されており、これらの導波路形成穴14は、一列に配列されている。
【0021】
透明基板12の実装面12aには、導波路形成穴14の対向位置に、光デバイス21が取り付けられている。この光デバイス21は、例えば、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)アレイやPIN−PD(フォトダイオード)アレイなどの発光素子または受光素子である。光デバイス21の素子部(図示省略)は、光デバイス21が発光素子である場合は発光部であり、光デバイス21が受光素子である場合は受光部である。このように、透明基板12に取り付けられた光デバイス21は、その素子部が、透明基板12における導波路形成穴14の対向位置に配置されている。
【0022】
この光デバイス21は、その端子部(図示省略)が、回路パターン13に対して、例えば、金(Au)からなるバンプ25によって導通接続されている。このバンプ25による接続は、超音波振動または熱によってバンプ25を介して端子部と回路パターン13とを接続するフリップチップ実装で行われる。あるいは、異方性導電フィルム(ACF)を用いて接着することも可能である。なお、光デバイス21としては、幅方向半分が発光素子からなり、残りの幅方向半分が受光素子からなるものが用いられる場合もある。
【0023】
透明基板12と光デバイス21との間には、アンダーフィル材31が充填されており、このアンダーフィル材31によって光デバイス21が透明基板12に接着固定されている。また、アンダーフィル材31は、透明基板12の導波路形成穴14にも充填されている。このアンダーフィル材31としては、透明基板12における光の屈折率よりも高い屈折率を有する透明樹脂が用いられている。これにより、透明基板12には、導波路形成穴14にアンダーフィル材31が充填されて屈折率が高くされた部分をコアとする導波路33が形成されている。アンダーフィル材31としては、熱硬化型樹脂が使用可能であるが、紫外線硬化型樹脂を用いるのが好ましい。透明基板12は、裏面である装着面12bからの紫外線の照射が可能であるので、アンダーフィル材31として紫外線硬化型樹脂を用い、透明基板12の裏面から紫外線を照射すれば、熱硬化型樹脂と比較して迅速に硬化させて製造性を高めることができる。
【0024】
透明基板12の装着面12bには、光コネクタ41が着脱可能とされており、この光コネクタ41を透明基板12へ取り付けることにより、光デバイス21と光コネクタ41との光結合が可能となる。この光コネクタ41は、ポリエステル樹脂、PPS樹脂及びエポキシ樹脂の何れかを含む材料で形成された光ファイバフェルール42を有しており、テープ状の光ケーブルとされた複数本の光ファイバ心線44が接続されている。
【0025】
光ファイバ心線44は、コア45a及びクラッド45bを有するガラスファイバ(光ファイバ)45を樹脂によって被覆したものであり、光ファイバ心線44の端部で被覆から露出されたガラスファイバ45が光ファイバフェルール42に保持されている。そして、光ファイバフェルール42における透明基板12との対向面である光入出面42aで、それぞれのガラスファイバ45の端面が露出されている。
【0026】
光コネクタ41には、透明基板12側の光入出面42aの両側部に、透明基板12側へ突出する位置決めピン46が設けられている。これらの位置決めピン46は、透明基板12における複数の導波路33の配列の両側部に形成された位置決め穴47へ挿入可能である。光コネクタ41は、位置決めピン46を位置決め穴47へ挿入させながら、透明基板12側へ近接させることにより、光学的な調心を行うことなく、ガラスファイバ45の先端面を透明基板12の導波路33に対向した光結合位置に高精度に位置決めして配置させることができる。また、透明基板12には、光コネクタ41を係止するラッチ等の係止手段(図示省略)が設けられており、光コネクタ41は、係止手段によって透明基板12の所定位置に係止される。なお、透明基板12に位置決めピンを設け、光コネクタ41に位置決めピンが挿入可能な位置決め穴を形成しても良い。
【0027】
このように、光電気変換モジュール11の透明基板12に対して、光コネクタ41が着脱可能とされているので、光コネクタ41の接続後に、例えば、光ファイバ心線44側に不具合が生じたとしても、光電気変換モジュール11を交換する必要がなく、歩留まりの低下によるコスト高を抑えることができる。また、予め光ファイバ心線44を接続した構造と比較して、良好な組み立て作業性を確保することができる。
【0028】
透明基板12の実装面12aには、光デバイス21を駆動させる電気デバイス51が実装されており、電気デバイス51の端子部(図示省略)が、金(Au)からなるバンプ52を介して実装面12aに形成された回路パターン13に接続されて導通されている。この電気デバイス51は、例えば、VCSELからなる光デバイス21に対しては、VCSELアレイドライバICであり、PIN−PDからなる光デバイス21に対しては、TIA&LAアレイ(Trans Impedance Amplifier & Limiting Amplifier)ICが使用される。アレイ素子を使用することで、並列に大容量のデータを伝送することが可能である。また、透明基板12の実装面12aには、回路パターン13に、後述するホストボード61への接続用のハンダボール55が設けられている。
【0029】
上記の光電気変換モジュール11では、光デバイス21と光コネクタ41のガラスファイバ45との間で、透明基板12の導波路33を介して光伝送が行われる。発光素子からなる光デバイス21からガラスファイバ45へ光伝送が行われる場合では、光デバイス21の素子部から発光された光が、導波路33を介して光コネクタ41のガラスファイバ45へ入射することとなる。また、光コネクタ41のガラスファイバ45から受光素子からなる光デバイス21へ光伝送が行われる場合では、ガラスファイバ45から出射した光が、導波路33を介して光デバイス21の素子部へ入射することとなる。
【0030】
図3に示すように、上記構造の光電気変換モジュール11は、スーパーコンピュータ、パーソナルコンピュータあるいはサーバ等の電子機器の内部に設けられるホストボード61に、例えば、リフロー実装等によって実装される。なお、光電気変換モジュール11は、リフロー実装時の熱(約250℃)に対して十分な耐熱性を有している。
【0031】
ホストボード61は、例えば、ガラスエポキシ基板等からなるものであり、その実装面には、回路パターン62が設けられている。このホストボード61の実装面には、ICやLSIなどの各種の電子部品63が実装されており、電子部品63の端子(図示省略)がハンダボール55を介して回路パターン62に接続されている。
【0032】
そして、このホストボード61の実装面に、光電気変換モジュール11が、透明基板12の実装面12aを対向させて配置されて実装されており、回路パターン13,62同士がハンダボール55を介して接続されている。
【0033】
また、ホストボード61と光電気変換モジュール11との間には、例えば、アルミニウム等の熱伝導性に優れた材料から形成された放熱ブロック(放熱部材)65が設けられている。この放熱ブロック65は、光デバイス21及び電気デバイス51に接着固定されており、ホストボード61の実装面に密着されている。これにより、光電気変換モジュール11の光デバイス21及び電気デバイス51で発生した熱が、放熱ブロック65を介してホストボード61へ伝達され、光デバイス21及び電気デバイス51が良好に冷却される。
【0034】
上記の光電気変換モジュール11では、光デバイス21と光コネクタ41のガラスファイバ45との間で、透明基板12の導波路33を介して光伝送が行われる。発光素子からなる光デバイス21からガラスファイバ45へ光伝送が行われる場合では、光デバイス21から発光された光が、透明基板12の導波路33を介して光コネクタ41のガラスファイバ45へ入射することとなる。また、光コネクタ41のガラスファイバ45から受光素子からなる光デバイス21へ光伝送が行われる場合では、ガラスファイバ45から出射した光が、透明基板12の導波路33を介して光デバイス21へ入射することとなる。
【0035】
そして、上記実施形態に係る光電気変換モジュールによれば、光デバイス21とガラスファイバ45とが透明基板12の導波路33を介して光結合するので、優れた光結合効率でデータ通信を行うことができ、しかも、光クロストークを抑えて良好な光伝送特性を得ることができる。
つまり、透明基板12の光デバイス21とガラスファイバ45との間の通信光が透過する部分に、屈折率が高い導波路33が設けられており、この導波路33がコアとなって、高い光結合効率を得ることができる。
【0036】
近年では、スーパーコンピュータ、パーソナルコンピュータあるいはサーバ等の電子機器内におけるホストボード61の電気信号の高速化が進み、それに伴い、EMCや信号品質劣化が問題となっており、電気配線を極力短くしてEMCや信号品質劣化を抑えることが必要となっている。本実施形態に係る光電気変換モジュール11を用いれば、この光電気変換モジュール11を電子機器内のCPUの近傍に実装して電気配線を極力短くすることができ、これにより、EMCや信号品質劣化を抑えてデータ通信を行うことができる。
【0037】
次に、上記の光電気変換モジュール11を製造する場合について、工程ごとに説明する。
【0038】
(部品実装工程)
図4(a)に示すように、回路パターン13が形成された実装面12aを有し、導波路形成穴14及び位置決め穴47を形成したガラス材料からなる透明基板12を用意する。そして、この透明基板12に対して、図4(b)に示すように、回路パターン13が形成された実装面12aに、光デバイス21、電気デバイス51及びチップ抵抗やコンデンサ等の受動素子(図示省略)を、超音波フリップチップ実装等によって実装する。また、ホストボード61への接続用のハンダボール55も回路パターン13に実装しておく。
【0039】
透明基板12は、図5に示すように、大きなガラス板から形成されたウエハ71からなるものであり、このウエハ71に、複数のモジュール形成領域72が設けられている。そして、このウエハ71のそれぞれのモジュール形成領域72に、光デバイス21、電気デバイス51、受動素子及びハンダボール55を実装する。
【0040】
(導波路形成工程)
図4(c)に示すように、各モジュール形成領域72において、光デバイス21と透明基板12との間に、紫外線硬化型のアンダーフィル材31を注入する。また、このアンダーフィル材31を、導波路形成穴14にも注入する。このとき、透明基板12の装着面12bに封止板74を貼り付け、導波路形成穴14に注入したアンダーフィル材31の装着面12b側からの漏出を防ぐ。この状態で透明基板12の装着面12b側から紫外線を照射すると、アンダーフィル材31が硬化し、光デバイス21が透明基板12に固定されるとともに、導波路33が形成される。アンダーフィル材31が硬化したら封止板74を取り外す。すると、導波路形成穴14に透明樹脂からなるアンダーフィル材31が充填されて硬化されてなり、光伝送時のコアの機能を有する導波路33を備えた光電気変換モジュール11が各モジュール形成領域72に形成される。アンダーフィル材31として熱硬化型樹脂を使用する場合は、導波路形成穴14にアンダーフィル材31を注入した後、加熱してアンダーフィル材31を熱硬化させる。
【0041】
(基板分割工程)
その後、ウエハ71をソーワイヤーやダイヤモンドカッター等でダイシングすることにより、それぞれのモジュール形成領域72の板片に分割する。これにより、複数の光電気変換モジュール11が得られる。このように、ウエハ71に複数の光電気変換モジュール11を製造して分割すれば、複数の光電気変換モジュール11を自動機で一括して容易に製造することができ、生産性を大幅に向上させることができる。なお、ガラス板からなるウエハ71は、外形が角形のものに限らず円形の場合もある。
【0042】
そして、上記実施形態に係る製造方法によれば、光デバイス21とガラスファイバ45とが透明基板12の導波路33を介して優れた光結合効率でデータ通信することができ、しかも、光クロストークを抑えて良好な光伝送特性を得ることが可能な光電気変換モジュール11を容易に製造することができる。
【0043】
なお、上記実施形態では、透明基板12に、表裏に貫通する導波路形成穴14を形成し、この導波路形成穴14にアンダーフィル材31を注入して導波路33を形成したが、図6に示すように、導波路形成穴14は、透明基板12の装着面12b側を残して非貫通としても良い。
【0044】
導波路形成穴14を貫通させた場合、注入したアンダーフィル31が透明基板12の装着面12b側へ漏れ出し、光コネクタ41と接合される接合面の平面度が低下し、光結合特性が変化してしまうおそれがある。しかし、上記のように、導波路形成穴14を非貫通とすると、透明基板12の装着面12b側へのアンダーフィル材31の漏出を防止することができ、光コネクタ41との接合面が良好な平面度に保たれ、優れた光結合特性を得ることができる。
【0045】
また、導波路形成穴14を非貫通とする場合、図7に示すように、導波路形成穴14の底部14aは、凹曲面形状に形成することが好ましい。このように、導波路形成穴14の底部14aを凹曲面形状とすると、この底部14aがレンズとなって集光効果を生じさせることができ、さらに優れた光結合特性を得ることができる。また、透明基板12にサンドブラスト加工をする場合、導波路形成穴14の底部14aが凹曲面である方が、サンドブラスト加工による研磨処理を容易に行うことができる。
【0046】
なお、図1の実施形態では、透明基板12に、表裏に真直ぐ同径で貫通する導波路形成穴14を形成して、それを導波路33としたが、図8に示すように、導波路形成穴14を、装着面12b側より実装面12a側が小径とされたテーパ形状に形成して、それを導波路33としてもよい。例えば、装着面12b側の直径を50μmとし、実装面12a側の直径を10μmとしたテーパ形状の導波路形成穴14により、光デバイス21とガラスファイバ45とを光結合させることができる。なお、導波路形成穴14をテーパ形状にした方が、真直ぐな形状と比較して透明基板12への切削加工が容易である。
【0047】
また、上記の実施形態ではアンダーフィル材31を用いたが、アンダーフィル材31を用いない構成も採用できる。例えば、図1に示した光電気変換モジュール11の構成においてアンダーフィル材31を用いない場合、図9に示すように、透明基板12に形成された導波路形成穴14の内側空間が導波路33となる。アンダーフィル材31を用いない場合、ガラスファイバ45の導波路形成穴14に面した端面で光を透過させて導波させることが可能である。アンダーフィル材31を用いないことで、製造コストを削減できる。
【0048】
但し、アンダーフィル材31を用いないと、実装面12aに対する光デバイス21の固定強度が不十分になることが考えられる。そのため、図10に示すように、光デバイス21にサイドフィル材31aを塗布して硬化させることで、透明基板12への光デバイス21の固定強度を高めることができる。サイドフィル材31aを塗布する箇所は、光デバイス21における導波路33と対向しない箇所(光結合を妨げない箇所)であり、光デバイス21の平面視(図10の上方から見た)外縁部とする。サイドフィル材31aとしては、アンダーフィル材31と同様の樹脂材料を用いてもよいが、透明である必要はないので、エポキシ樹脂等を用いてもよい。
【0049】
また、アンダーフィル材31を用いない導波路33は、図9及び図10に例示したように表裏に真直ぐ同径で貫通する導波路形成穴14だけでなく、図6及び図7に示した非貫通の導波路形成穴14や、テーパ形状の導波路形成穴14にも採用可能である。
【0050】
また、上記の実施形態では、光電気変換モジュール11の透明基板12に、光コネクタ41を直接着脱可能としたが、図11に示すように、透明基板12と光コネクタ41との間に、レンズ81を有する三角プリズム82を配設し、光デバイス21と光コネクタ41とを、三角プリズム82を介して光結合させても良い。このように、三角プリズム82を用いれば、光伝送の方向を、例えば、90°変換させ、透明基板12に対して光コネクタ41を面方向に沿う位置に配置させることができる。これにより、光コネクタ41を接合させた状態における光電気変換モジュール11の厚さ寸法を極力抑えることができ、実装におけるトレランスを十分に確保することができる。また、レンズ81を有する三角プリズム82によって光結合特性を向上させることができる。なお、この場合、三角プリズム82にガイドピンを設けるとともに、透明基板12または光コネクタ41の何れか一方にガイドピンが挿入可能なガイド穴を設け、ガイドピンをガイド穴へ挿入することにより、三角プリズム82が透明基板12または光コネクタ41の少なくとも一方に位置決めされて固定される構造とするのが好ましい。
【0051】
また、図12に示すように、光電気変換モジュール11の外周を、例えば、アルミニウム等の金属製のシールドシェル85によって覆うのが好ましい。シールドシェル85を設けることにより、光電気変換モジュール11に電磁ノイズ対策を施すことができる。また、レンズ81を備えた三角プリズム82が一体化された光コネクタ41を用いても良い。この場合も、光伝送の方向を、例えば、90°変換させ、透明基板12に対して光コネクタ41を面方向に沿う位置に配置させることができる。そして、光コネクタ41を接合させた状態における光電気変換モジュール11の厚さ寸法を極力抑えて小型化を図ることができ、光コネクタ41自体の小型化も図ることができる。なお、この場合、光コネクタ41の三角プリズム82にガイドピンを設けるとともに、透明基板12にガイドピンが挿入可能なガイド穴を設け、ガイドピンをガイド穴へ挿入することにより、光コネクタ41を透明基板12に位置決めして固定する構造とするのが好ましい。
【符号の説明】
【0052】
11:光電気変換モジュール、12:透明基板、12a:実装面、12b:装着面、14:導波路形成穴、14a:底部、21:光デバイス、31:アンダーフィル材(透明樹脂)、33:導波路、41:光コネクタ、45:ガラスファイバ(光ファイバ)、46:位置決めピン、47:位置決め穴、51:電気デバイス、65:放熱ブロック(放熱部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、透明基板の一方の面からなる実装面に実装された光デバイスと、前記透明基板の前記実装面に実装されて前記光デバイスを駆動させる電気デバイスとを備え、
前記透明基板には、他方の面からなる装着面に配設される光ファイバと前記光デバイスとを光結合させる導波路が設けられていることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光電気変換モジュールであって、
前記導波路は、前記透明基板に形成された導波路形成穴に透明樹脂が充填されてなることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の光電気変換モジュールであって、
前記透明樹脂は、前記透明基板よりも高い光屈折率を有することを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項4】
請求項2または3に記載の光電気変換モジュールであって、
前記透明樹脂は、前記透明基板に前記光デバイスを固定するアンダーフィル材と同一材料からなることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項5】
請求項2から4の何れか一項に記載の光電気変換モジュールであって、
前記透明樹脂は、紫外線硬化型樹脂からなることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項6】
請求項1に記載の光電気変換モジュールであって、
前記導波路は、前記透明基板に形成された導波路形成穴の内側空間を含んで構成されていることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項7】
請求項6に記載の光電気変換モジュールであって、
前記光デバイスは、前記導波路と対向しない箇所に設けられたサイドフィル材により前記透明基板に固定されていることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項8】
請求項2から7の何れか一項に記載の光電気変換モジュールであって、
前記導波路形成穴は、前記装着面側より前記実装面側が小径とされたテーパ形状であることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項9】
請求項2から8の何れか一項に記載の光電気変換モジュールであって、
前記導波路を構成する前記導波路形成穴は、前記透明基板に対して非貫通であることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項10】
請求項9に記載の光電気変換モジュールであって、
前記透明基板における前記導波路形成穴の底部は、凹曲面形状に形成されていることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載の光電気変換モジュールであって、
前記透明基板には、前記光ファイバを保持する光コネクタが着脱可能とされ、
前記透明基板及び前記光コネクタには、何れか一方に位置決めピンが設けられ、他方に前記位置決めピンが挿入可能な位置決め穴が形成され、
前記位置決めピンを前記位置決め穴へ挿入することにより、前記透明基板の前記導波路に前記光コネクタの前記光ファイバが位置決めされることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一項に記載の光電気変換モジュールであって、
前記光デバイス及び前記電気デバイスに、放熱部材が取り付けられていることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項13】
透明基板に設けられた複数のモジュール形成領域に光デバイス及び電気デバイスを実装する部品実装工程と、
前記透明基板における各モジュール形成領域に導波路を形成する導波路形成工程と、
前記透明基板を切断して各モジュール形成領域に分割し、複数の光電気変換モジュールとする基板分割工程と、
を含むことを特徴とする光電気変換モジュールの製造方法。
【請求項1】
透明基板と、透明基板の一方の面からなる実装面に実装された光デバイスと、前記透明基板の前記実装面に実装されて前記光デバイスを駆動させる電気デバイスとを備え、
前記透明基板には、他方の面からなる装着面に配設される光ファイバと前記光デバイスとを光結合させる導波路が設けられていることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光電気変換モジュールであって、
前記導波路は、前記透明基板に形成された導波路形成穴に透明樹脂が充填されてなることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の光電気変換モジュールであって、
前記透明樹脂は、前記透明基板よりも高い光屈折率を有することを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項4】
請求項2または3に記載の光電気変換モジュールであって、
前記透明樹脂は、前記透明基板に前記光デバイスを固定するアンダーフィル材と同一材料からなることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項5】
請求項2から4の何れか一項に記載の光電気変換モジュールであって、
前記透明樹脂は、紫外線硬化型樹脂からなることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項6】
請求項1に記載の光電気変換モジュールであって、
前記導波路は、前記透明基板に形成された導波路形成穴の内側空間を含んで構成されていることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項7】
請求項6に記載の光電気変換モジュールであって、
前記光デバイスは、前記導波路と対向しない箇所に設けられたサイドフィル材により前記透明基板に固定されていることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項8】
請求項2から7の何れか一項に記載の光電気変換モジュールであって、
前記導波路形成穴は、前記装着面側より前記実装面側が小径とされたテーパ形状であることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項9】
請求項2から8の何れか一項に記載の光電気変換モジュールであって、
前記導波路を構成する前記導波路形成穴は、前記透明基板に対して非貫通であることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項10】
請求項9に記載の光電気変換モジュールであって、
前記透明基板における前記導波路形成穴の底部は、凹曲面形状に形成されていることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載の光電気変換モジュールであって、
前記透明基板には、前記光ファイバを保持する光コネクタが着脱可能とされ、
前記透明基板及び前記光コネクタには、何れか一方に位置決めピンが設けられ、他方に前記位置決めピンが挿入可能な位置決め穴が形成され、
前記位置決めピンを前記位置決め穴へ挿入することにより、前記透明基板の前記導波路に前記光コネクタの前記光ファイバが位置決めされることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一項に記載の光電気変換モジュールであって、
前記光デバイス及び前記電気デバイスに、放熱部材が取り付けられていることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項13】
透明基板に設けられた複数のモジュール形成領域に光デバイス及び電気デバイスを実装する部品実装工程と、
前記透明基板における各モジュール形成領域に導波路を形成する導波路形成工程と、
前記透明基板を切断して各モジュール形成領域に分割し、複数の光電気変換モジュールとする基板分割工程と、
を含むことを特徴とする光電気変換モジュールの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−3177(P2013−3177A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130838(P2011−130838)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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