免疫炎症性障害の治療のための方法および試薬
本発明は、グルココルチコイド受容体のシグナル活性を増加させる薬剤(例えば、グルココルチコイド受容体アゴニスト)と、炎症誘発性(proinflammatory)サイトカインの分泌または生産またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、Elk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する薬剤との組合せが関連する免疫炎症性障害の治療、予防、および緩和に関する。さらに、そのような状態を治療、予防、または緩和するのに有用な候補化合物および戦略を同定するためのスクリーニング方法が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
一般に、本発明は、免疫炎症性障害の治療、予防、および緩和を含む。さらに、そのような疾患を治療、予防、または緩和するのに有用な候補化合物および戦略を同定するためのスクリーニング方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に関する。
【0003】
免疫炎症性障害は、身体の免疫防御の不適切な活性化によって特徴付けられる。標的感染性侵入体よりはむしろ、免疫応答は身体のそれ自体の組織または移植された組織を標的とし、損傷する。免疫系によって標的とされる組織は障害によって変化する。例えば、多発性硬化症においては、免疫応答はニューロン組織に対して向けられ、他方、クローン病においては、消化管が標的とされる。免疫炎症性障害は何百万人の個体に影響し、それは、喘息、アレルギー性眼内炎症性疾患、関節炎、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、糖尿病、溶血性貧血、炎症性皮膚病、炎症性腸または胃腸障害(例えば、クローン病および潰瘍性結腸炎)、多発性硬化症、重症筋無力症、痒み/炎症、乾癬、リウマチ様関節炎、硬変、および全身エリテマトーデスを含む。
【0004】
免疫炎症性障害のための現行の治療養生法は、典型的には、免疫抑制剤に依拠する。これらの薬剤の有効性は変化でき、それらの使用はしばしば有害な副作用が伴う。従って、免疫炎症性障害の治療のための改良された治療剤および方法が必要とされる。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
本発明は、免疫炎症性障害を治療し、予防し、および緩和するための組成物、方法およびキットを特徴とする。
【0006】
1つの局面において、本発明は、グルココルチコイド受容体シグナル伝達活性を増加させる薬剤(例えば、プレドニゾロンおよびデキサメタゾンのようなグルココルチコイド受容体アゴニスト)、および炎症誘発性(proinflammatory)サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答(例えば、ケモカイン生産、細胞表面マーカーの発現)が低下するように、以下のシグナル伝達経路:NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の少なくとも1つ(望ましくは、2つ、3つ以上)のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤を含む組成物を特徴とする。これらの薬剤は、哺乳動物に投与した場合、炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答を緩和するのに十分な量で存在させる。所望であれば、グルココルチコイド受容体シグナル伝達活性を増加させる薬剤は低用量で組成物に存在させる。組成物は局所または全身投与用に処方できる。
【0007】
また、本発明は、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が緩和するように、以下のシグナル伝達経路:NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤の組合せを哺乳動物に投与することによって、免疫炎症性障害を治療、予防、または緩和するための方法を特徴とする。第一および第二の薬剤は、合わせて、免疫炎症性障害を治療、予防、または緩和するのに十分な量にて、同時に、または相互から28日以内に投与される。2つの薬剤は、望ましくは、相互から14日以内に、より望ましくは相互から7日以内に、なおより望ましくは、相互から24時間以内に、または同時にでも(すなわち、付随的に)投与される。所望であれば、グルココルチコイド受容体シグナル伝達活性を増加させる薬剤は低用量で投与される。
【0008】
本発明は、さらに、炎症細胞(例えば、T細胞)からの炎症性サイトカインの放出または該細胞における炎症性サイトカインの生産を緩和する方法を特徴とする。この方法は、炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が緩和されるように、以下のシグナル伝達経路:NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤と接触させることを含む。
【0009】
本発明の全ての前述の局面において、非ステロイド剤は、シグナル伝達経路(例えば、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路)の1つまたは複数のうちの1つまたは複数のシグナル伝達活性が調節される(例えば、増加、または減少される)ように、シグナル伝達分子の発現レベルまたは生物学的活性(例えば、酵素活性、リン酸化状態、または結合活性)を増加または減少させる薬剤であり得る。例えば、非ステロイド剤はNF-κB経路モジュレーター、NFAT経路モジュレーター、AP-1経路モジュレーター、またはElk-1経路モジュレーターであり得る。非ステロイド剤は、シグナル伝達経路(例えば、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路)の1つまたは複数のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子の発現レベルを低下させるアンチセンス化合物またはRNAi化合物でもあり得る。または、非ステロイド剤は、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、またはElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子のドミナントネガティブ形態またはドミナントネガティブをコードする発現ベクターであり得る。非ステロイド剤は、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子に結合し、かつシグナル伝達分子の生物学的活性を低下させる抗体でもあり得る。加えて、非ステロイド剤は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)またはヒストンアセチルトランスフェラーゼのモジュレーターのようなクロマチン立体配座に影響を与える薬剤であり得る。非ステロイド剤は、炎症誘発性サイトカインmRNA安定化複合体(例えば、TIA-1、TIAR、TTP)、またはこれらの複合体の活性化に導く経路の阻害剤でもあり得る。
【0010】
所望であれば、追加の治療化合物は本発明の組合せで処方し、または投与することができる。この追加の治療化合物は、例えば、NSAID、小分子免疫モジュレーター、COX-2阻害剤、DMARD、バイオロジック、キサンチン、抗コリン作動性化合物、β受容体アゴニスト、気管支拡張剤、非ステロイドカルシニューリン阻害剤、ビタミンDアナログ、ソラレン、レチノイド、または5-アミノサリチル酸であり得る。
【0011】
また、本発明は、免疫炎症性状態を治療、予防、または緩和するために候補化合物および戦略を同定するための種々のスクリーニング方法も特徴とする。例えば、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用であり得る組合せを同定するための1つの方法は、(a)インビトロにて炎症細胞(例えば、T細胞)を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増大させる薬剤および候補化合物と接触させる段階;および(b)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および候補化合物の組合せが、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤と接触したが候補化合物と接触していない細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカイン生産に比べて、これらの細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含む。炎症誘発性サイトカイン放出または生産の減少は、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せとして該組合せを同定する。
【0012】
免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な候補化合物を同定するためのもう1つのスクリーニング方法は、(a)低下したグルココルチコイド受容体シグナル伝達活性を有する炎症細胞を提供する段階;(b)これらの細胞を候補化合物に接触させる段階;および(c)該候補化合物が、該候補化合物と接触していない細胞に比べて該細胞からのサイトカインの放出または該細胞におけるサイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含む。サイトカインの放出または生産の低下は、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な化合物として該候補化合物を同定する。
【0013】
また、本発明は、(a)インビトロにて炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および候補化合物と接触させる段階;および(b)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および候補化合物の組合せが、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤と接触したが候補化合物と接触していない細胞からのサイトカインの放出または生産に比べて、これらの炎症細胞からのサイトカインの放出または該細胞におけるサイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含む、免疫炎症性障害の治療に有用であり得る組合せを同定する方法を特徴とする。サイトカインの放出または生産の低下は、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せとして該組合せを同定する。
【0014】
本発明は、さらに、(a)NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数において低下したシグナル伝達活性を有するように設計された炎症細胞を提供する段階;(b)これらの細胞を候補化合物と接触させる段階;および(c)該候補化合物が該候補化合物と接触していない細胞に比べて、細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含む、免疫調節障害の治療、予防、または緩和に有用な化合物を同定する方法を特徴とする。サイトカインの放出または生産における低下は、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な化合物として該候補化合物を同定する。
【0015】
本発明は、(a)NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する化合物を同定する段階;(b)インビトロにて炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および段階(a)で同定される化合物と接触させる段階;および(c)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および段階(a)で同定された化合物の組合せが、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤と接触したが段階(a)で同定された化合物と接触していない、あるいは段階(a)で同定された化合物と接触したがグルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤と接触していない細胞に比べて、該細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含む、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せを同定する方法も特徴とする。炎症誘発性サイトカインの放出または生産の低下は、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せとして該組合せを同定する。
【0016】
また、本発明は、(a)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、または他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する化合物を同定する段階;(b)インビトロにて炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および段階(a)で同定される化合物と接触させる段階;および(c)これらの薬剤の組合せが、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤と接触したが段階(a)で同定された化合物と接触していない、あるいは段階(a)で同定された化合物と接触したがグルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤と接触していない細胞からのサイトカインの放出または該細胞におけるサイトカインの生産に比べて、該細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含む、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せを同定する方法を特徴とする。炎症誘発性サイトカインの放出の低下は、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用なものとして該組合せを同定する。
【0017】
また、本発明は、(i)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤を含有する組成物;および(ii)免疫炎症性障害と診断された患者にこの組成物を投与するための指示書を含有するキットを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、(i)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤;(ii)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤;および(iii)免疫炎症性障害と診断された患者に、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および非ステロイド剤を投与するための指示書を含有するキットも特徴とする。
【0019】
本発明で提供されるもう1つのキットは、(i)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤;および(ii)免疫炎症性障害と診断された患者に、この薬剤、および炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB、NFAT、AP-1、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤を投与するための指示書を含有する。
【0020】
または、本発明は、(i)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤;および(ii)免疫炎症性障害と診断された患者に、この薬剤、およびグルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤を投与するための指示書を含有するキットを提供する。
【0021】
「免疫炎症性障害を治療し、緩和し、または予防する」とは、それが起こる前、または起こった後にそのような疾患を改善することを意味する。同等の未処置対照と比較して、そのような緩和、または予防の程度は、いずれかの標準的な技術によって測定して、少なくとも5%、10%、20%、40%、50%、60%、80%、90%、95%、または100%である。免疫炎症性障害について治療すべき患者は、医療実施者がそのような疾患を有すると診断した患者である。診断はいずれかの適当な手段によるものであってよい。当業者であれば、家族の履歴のような、1つまたは複数の危険因子の存在のため高い危険性がある者として、検査なしにこれらの患者は標準的な試験に供され得る、または同定され得ると理解するであろう。
【0022】
「患者」とは、いずれかの動物(例えば、ヒト)を意味する。本方法、組成物、およびキットを用いて治療することができる他の動物は、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、サル、モルモット、ラット、マウス、トカゲ、ヘビ、ヒツジ、ウシ、魚類、および鳥類を含む。
【0023】
「シグナル伝達経路」とは、外部の細胞刺激の結果として生じ、最終的には、細胞または生物学的効果(例えば、炎症)を誘導する特異的エフェクタータンパク質の発現に導く一連の細胞内分子シグナルを意味する。例えば、リガンドは細胞表面における受容体に結合することができ、その結果、種々の細胞タンパク質(例えば、プロテインキナーゼ)の動員および活性化をもたらす。一旦これらの初期細胞内タンパク質が活性化されると、外部シグナルは他の細胞内タンパク質の動員および活性化によってさらに伝播され、および増幅され、エフェクタータンパク質(例えば、炎症誘発性サイトカイン)の転写および発現をもたらし、これは、生物学的または細胞表現型(例えば、炎症)を誘導することができる。外部刺激は、外部刺激に曝露されていない細胞と比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%だけ、細胞におけるエフェクタータンパク質の発現を増加させることができる。開始刺激に応じて、シグナル伝達経路内の細胞内シグナル伝達分子の生物学的活性または発現レベルは、対照細胞におけるそのような活性または発現と比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%だけ、増加または減少し得る。
【0024】
「グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる」とは、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達経路に関与するシグナル伝達分子のいずれかの発現レベルまたは生物学的活性を増加させまたは減少させることを意味する。その結果、この分子の下流のシグナル伝達経路は増幅され、結局は、グルココルチコイド受容体シグナル伝達経路の全出力は増加する。そのようなシグナル伝達活性における増加は、当技術分野において公知の、または本明細書において記載されたいずれかの標準的な技術によって測定するように、未処理対照と比べて、少なくとも10%、20%、30%、0%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%だけ、シグナル伝達経路におけるシグナル伝達分子の発現レベルまたは生物学的活性を増加させるまたは減少させる結果であり得る。
【0025】
「シグナル伝達経路のシグナル伝達活性を低下させる」とは、シグナル伝達経路におけるシグナル伝達分子のいずれかの発現レベルまたは生物学的活性を低下させ、それにより、そのような分子の下流のシグナル伝達経路の伝播に干渉し、結局は、シグナル伝達経路の全出力に干渉することを意味する。そのような低下は、当技術分野において公知の、または本明細書において記載されたいずれかの標準的な技術によって測定するように、未処理対照と比べて、少なくとも10%、20%、30%、0%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%だけ、シグナル伝達経路におけるシグナル伝達分子の発現レベルまたは生物学的活性を増加させること、または減少させることの結果であり得る。最終的には、シグナル伝達経路(例えば、NFκB、NFAT、AP-1、およびElk-1経路の1つまたは複数)のシグナル伝達活性を低下させることによって、エフェクタータンパク質(例えば、炎症誘発性サイトカイン)の発現は、対照細胞と比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%だけ、低下する。または、炎症誘発性サイトカインの放出または生産のようなシグナル伝達経路の生物学的出力は、対照と比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%だけ低下される。
【0026】
グルココルチコイド受容体経路のシグナル伝達活性を増加させるに加えて、本発明による免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和は、炎症誘発性サイトカインの分泌または生産またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、以下のエフェクタータンパク質または転写因子:NFκB、NFAT、AP-1、およびElk-1の生産に関与する1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節することによって、達成される。そのような調節は、(図1に示すように)そのような経路に関与するシグナル伝達分子のいずれかの発現レベルまたは生物学的活性の増加または減少から、あるいは、図1に表すシグナル伝達活性のいずれかの調節によって由来することができる。例えば、NFATシグナル伝達経路のシグナル伝達活性は以下の活性:カルシウムフラックス、カルモジュリン活性化、カルシニューリン活性化、NFAT脱リン酸化、NFAT移行(translocation)、またはNFAT転写活性化の1つまたは複数に干渉する、またはそれを低下されることによって低下させることができる。NFκB経路のシグナル伝達活性は、PKC活性化、NIK活性化、IKK活性化、IκBリン酸化および破壊、NFκB移行、NFκB DNA結合、(p65に対する)NFκBリン酸化およびNFκB転写活性化を阻害し、または低下させることによって低下させることができる。AP-1のシグナル伝達活性は以下の:PKC活性化、MLKリン酸化、MAPキナーゼリン酸化および活性化(例えば、MMKK3/6リン酸化、JNK1/2リン酸化、MEKK4リン酸化、MKK4/7リン酸化、p38リン酸化、Rafリン酸化、MEK1/2リン酸化、ERK1/2リン酸化、およびcJunリン酸化)、AP-1 DNA結合、およびAP-1転写活性化の1つまたは複数を低下させることによって低下させることができる。NFAT、NFκB、AP-1、およびElk-1経路の少なくとも1つが低下するように、調節することができるシグナル伝達事象およびシグナル伝達分子を、例えば、図1に示す。NFκB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路は炎症誘発性サイトカインの放出または生産を増加させることができるので、1つまたは複数のこれらの経路の調節の結果、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和がもたらされる。
【0027】
「十分な量」とは、臨床的に関連する方法で免疫炎症病を治療または予防するのに必要な、本発明の組合せにおける、化合物の量を意味する。免疫炎症病に寄与することによって引き起こさせる疾患の治療的処置のために本発明を実施するのに用いられる活性化合物の十分な量は、投与の方法、哺乳動物または患者の年齢、体重、および一般的健康に依存して変化する。最終的に、処方者は適当な量および投薬養生法を決定するであろう。加えて、有効量は、(米国食料医薬品局のような)取締当局によって決定され、認可された、各薬剤単独よりも優れた免疫炎症病を有する患者の治療において安全かつ効果的な本発明の組合せにおける化合物のその量であり得る。
【0028】
「より効果的」とは、治療が、それと比較されるべきもう1つの治療よりも、大きな効果を呈するか、あるいはより低い毒性であり、より安全であり、より便宜であり、あるいは安価であることを意味する。効果は、所与の適応症に適切ないずれかの標準的方法を用いて技量ある実施者が測定することができる。
【0029】
用語「免疫炎症性障害」は、自己免疫疾患、増殖性皮膚病、および炎症性皮膚病を含む種々の疾患を含む。免疫炎症性障害の結果、炎症プロセスによる健康な組織の破壊、免疫系の制御不全(dysregulation)、および細胞の望まない増殖をもたらす。免疫炎症性障害の例は尋常性アクネ;急性呼吸逼迫症候群;アジソン病;アレルギー性鼻炎;アレルギー性眼内炎症病;ANCA関連小血管の血管炎;強直性脊椎炎;関節炎;喘息;アテローム性硬化症;アトピー性皮膚炎;自己免疫肝炎;自己免疫溶血性貧血;自己免疫肝炎;ベーチェット病;ベル麻痺;水泡性類天疱瘡;大脳虚血症;慢性閉塞性肺病;硬変;コーガン症候群;接触皮膚炎;COPD;クローン病;クッシング症候群;皮膚筋炎;真性糖尿病;円板状エリテマトーデス;好酸球性筋膜炎;結節性紅斑;剥奪性皮膚炎;線維筋痛;巣状糸球体硬化症;巣状分節状糸球体硬化症;巨細胞動脈炎;痛風;痛風性関節炎;移植片対宿主病;手湿疹;ヘーノホ-シェーンライン紫斑病;妊娠性疱疹;多毛症;特発性角膜強膜炎;特発性肺線維症;特発性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少性紫斑病、炎症性腸または胃腸障害、炎症性皮膚病;扁平苔癬;ループス腎炎;リンパ腫気管気管支炎;斑状浮腫;多発性硬化症;重症筋無力症;筋炎;非特異的線維形成性肺病;骨関節炎;膵臓炎;妊娠性類天疱瘡;尋常性天疱瘡;歯周炎;結節性多発性動脈炎;リウマチ性多発性筋炎;掻痒;掻痒/炎症陰嚢、乾癬;乾癬性関節炎;肺ヒストプラズマ症;リウマチ様関節炎;再発性多発性軟骨炎;サルコイドーシスによって引き起こされた酒さ;強皮症によって引き起こされた酒さ;スイート症候群によって引き起こされた酒さ;全身エリテマトーデスによって引き起こされた酒さ;蕁麻疹によって引き起こされた酒さ;帯状疱疹関連疼痛によって引き起こされた酒さ;サルコイドーシス;強皮症;分節状糸球体硬化症;肺血病ショック症候群;肩腱炎または滑液包炎;シェーグレン症候群;スティル病;発作誘導脳細胞死滅;水痘病;全身エリテマトーデス;全身性硬化症;高安動脈炎;側頭動脈炎;毒性表皮壊死病;移植片拒絶および移植片拒絶関連症候群;結核;I型糖尿病;潰瘍性結腸炎;ブドウ膜炎;血管炎およびヴェーゲナー肉芽腫症である。
【0030】
「非皮膚炎症性障害」は、例えば、リウマチ様関節炎、炎症性腸疾患、喘息、および慢性閉塞性肺病を含む。
【0031】
「皮膚炎症性障害」または「炎症性皮膚病」は、例えば、乾癬、急性発熱性好中球性皮膚病、湿疹(例えば、皮脂欠乏湿疹、発汗性湿疹、小胞性顔面湿疹)、形質細胞限局性亀頭炎、亀頭包皮炎、ベーチェット病、遠心性環状紅斑、色素異常性固定性紅斑、多形性紅斑、環状肉芽腫、光沢苔癬、扁平苔癬、硬化性萎縮性苔癬、慢性単純苔癬、棘状苔癬、貨幣状皮膚炎、壊疽性膿皮症、サルコイドーシス、角層下膿疱病、蕁麻疹、および一過性棘細胞離開皮膚病を含む。
【0032】
「増殖性皮膚病」とは、表皮または真皮における加速された細胞分裂によって特徴付けられる良性または悪性病を意味する。増殖性皮膚病の例は、乾癬、アトピー性皮膚炎、非特異的皮膚炎、原発性刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、皮膚の基底および扁平細胞癌腫、葉状魚燐癬、表皮剥離性角質増殖症、前癌性角化症、アクネ、および脂漏性皮膚炎である。
【0033】
当業者によって認識されるように、特定の疾病、障害または疾患は増殖性皮膚病および炎症性皮膚病双方であると特徴付けることができる。そのような疾病の例は乾癬である。
【0034】
「低用量」とは、いずれかのヒト疾病または疾患の治療用の投与の所与の経路についての処方された特定の化合物の最低標準推奨用量よりも少なくとも5%少ない(例えば、少なくとも10%、20%、50%、80%、90%、または95%さえ)を意味する。例えば、吸入による投与で処方されたグルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤の低用量は、経口投与のために処方された同一薬剤の低用量とは異なるであろう。
【0035】
「高用量」とは、いずれかのヒト疾病または疾患の治療用の特定の化合物の最高標準推奨用量よりも少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、50%、100%、200%、または300%さえ)を意味する。
【0036】
「候補化合物」とは、天然に生じるか、または人工的に誘導されるかを問わず、化学的を意味する。候補化合物は、例えば、ペプチド、ポリペプチド、合成有機分子、天然に生じる有機分子、核酸分子、ペプチド核酸分子、およびその成分、およびその誘導体を含むことができる。
【0037】
本発明で有用な化合物は、そのジアステレオマーおよびエナンチオマー、塩、エステル、溶媒和物、および多形、ならびに本明細書において記載された化合物のラセミ混合物および純粋な異性体のような異性体を含むそれらの薬学的に許容される形態のいずれかの本明細書において記載されたものを含む。
【0038】
「コルチコステロイド」とは、水素化シクロペンタノペルヒドロフェナントレン環系によって特徴付けられ、かつ免疫抑制および/または抗炎症活性を有するいずれかの天然に生じるまたは合成化合物を意味する。天然に生じるコルチコステロイドは、一般に、副腎皮質によって生産される。合成コルチコステロイドは、ハロゲン化されていてもよい。コルチコステロイドの例は、本明細書において提供する。
【0039】
「非ステロイドイムノフィリン依存性免疫抑制剤」または「NsIDI」とは、炎症誘発性サイトカインの生産または分泌を減少させ、イムノフィリンに結合し、または炎症誘発性反応のダウンレギュレーションを引き起こすいずれの非ステロイド剤も意味する。NsIDIはシクロスポリン、タクロリムス、アスコマイシン、ピメクロリムスならびにカルシニューリンのフォスファターゼ活性を阻害する他の薬剤(ペプチド、ペプチド断片、化学的に修飾されたペプチド、またはペプチド模倣体)を含む。NsIDIは、FK506結合タンパク質、FKBP-12に結合し、かつ白血球細胞の抗原誘導性増殖およびサイトカイン分泌をブロックするラパマイシン(シロリムス)およびエペロリムスを含む。
【0040】
「小分子免疫モジュレーター」とは、炎症誘発性サイトカインの生産または分泌を減少させ、炎症誘発性反応のダウンレギュレーションを引き起こし、あるいは、そうでなければ、イムノフィリン独立的に免疫系を調節する非ストロイドの非NsIDI化合物を意味する。例示的な小分子免疫モジュレーターはVX 702(Vertex Pharmaceuticals)、SCIO 469(Scios)、ドラマピモド(Boehringer Ingelheim)、RO 30201195(Roche)、およびSCIO 323(Scios)のようなp38 MAPキナーゼ阻害剤、DPC 333(Bristol Myers Squibb)のような、TACE阻害剤、プラナルカサン(Vertex Pharmaceuticals)のようなICE阻害剤、およびミコフェノレート(Roche)およびメリメポディブ(merimepodib)(Vertex Pharmaceuticals)のようなIMPDH阻害剤である。
【0041】
本発明の他の特徴および利点は、詳細な説明および特許請求の範囲から明らかであろう。
【0042】
詳細な説明
それらの効果にかかわらず、免疫炎症性障害を治療するためのグルココルチコイドの慢性的使用は、しばしば、深刻な全身性副作用に関連する。ステロイド分子の構造的修飾を介してステロイド治療ウインドウを広げるためにかなりの努力がなされてきたが、このアプローチは、混合した成功に合致するものであった。ここに、本発明者らは、衰弱性副作用を最小化しつつ、治療効果を促進するように、相乗的に相互作用する化合物の組合せを含む「統合的」療法の発見のために第一のハイスループットプラットホームを開発した。
【0043】
本発明は、炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する薬剤と組み合わせた、グルココルチコイド受容体(例えば、グルココルチコイド受容体アゴニスト)のシグナル伝達活性を増加させる薬剤の有効量の投与のための方法、組成物、およびキットを特徴とする。本発明に基づき、この組合せの投与は、TNF-αのような炎症性ケモカインまたはサイトカインの生産または放出を低下させることによって、炎症の低下を引き起こし、それにより、免疫炎症性障害の治療、予防および低下をもたらす。望ましくは、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤を、炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NFκB、NFAT、AP-1、およびElk-1経路の1つより多くのシグナル伝達活性を調節する薬剤(例えば、NFκBおよびNFATシグナル伝達経路の活性を調節する薬剤)と共に処方し、または投与する。
【0044】
本発明の組成物、方法、およびキットは、免疫炎症性障害、増殖性皮膚病、器官移植片拒絶、または移植片対宿主病を治療、予防、または緩和するのに有用である。複数剤の組合せも望ましいであろう。例えば、メトトレキセート、ヒドロキシクロロキン、およびスルファサラジンはリウマチ様関節炎の治療のために通常投与され、従って、本明細書において記載する組合せで投与することができる。
【0045】
本発明を以下により詳細に記載する。
【0046】
グルココルチコイド受容体シグナル伝達活性を増加させる薬剤
グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤は、本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、以下の経路:NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる薬剤と組み合わせて用いる。グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤は、最終的には、グルココルチコイド受容体駆動転写を増加させる。活性のそのような増加は、例えば、以下の活性:受容体結合、受容体/GC移行、受容体/GC DNA結合、受容体/GC転写活性化、または受容体/GCトランスレプションの1つまたは複数を増加させることによって、もたらすことができる。本発明の方法、組成物、およびキットで用いることができる例示的な薬剤は、その各々を参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,380,207号、第6,380,223号、第6,448,405号、第6,506,766号、および第6,570,020号、米国特許出願公開第20030176478号、第20030171585号、第20030120081号、第20030073703号、第2002015631号、第20020147336号、第20020107235号、第20020103217号、および第20010041802号、およびPCT公開番号WO00/66522に記載されている化合物を含む。本発明の方法、組成物、およびキットでやはり用いることができる他の薬剤は、その各々が、ここに引用して援用される、米国特許第6,093,821号、第6,121,450号、第5,994,544号、第5,696,133号、第5,696,127号、第5,693,647号、第5,693,646号、第5,688,810号、第5,688,808号、および第5,696,130号に記載されている。
【0047】
NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路のシグナル伝達活性を調節する薬剤
グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤は、炎症誘発性サイトカイン分泌または生産、あるいはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NFκB、NFAT、Elk-1、およびAP-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤と共に処方し、または投与する。この非ステロイド剤は、最終結果が、NFκB経路、NFAT経路、Elk-1経路、およびAP-1経路シグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性における調節であるように、これらの経路におけるシグナル伝達分子のいずれか1つの発現レベルまたは生物学的活性を増加または低下させることができる。有用な薬剤は、例えば、Palanki, Curr. Med. Chem. 9:219-27(2002)に記載されている。
【0048】
NFκB経路のシグナル伝達活性を調節する薬剤
NFκBシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する薬剤は、例えば、以下の活性:PKC活性化、NIK活性化、IKK活性化、IκBリン酸化および破壊、NFκB移行、NFκB DNA結合、NFκBリン酸化(p65)またはNFκB転写活性化の1つまたは複数を調節することができる。これらの化合物は、例えば、その全てを参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第20040092430号、第20040058930号、および第20030013170号、第20030078246号および第20030078246号、および2003年9月24日に出願されたU.S.S.N.10/670,488に記載されている。そのような薬剤はα-リポ酸、α-トコフェロール、アネトールジチオールチオン(ADT)、アスタキサンチン、ビス-ユージノール、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、セファランチンカフェー酸フェネチルエステル(3,4-ジヒドロキシ桂皮酸、CAPE)、カルノソール、カルベジロール、カテコール誘導体、デュルクミン(durcumin)(ジフェルロリルメタン)、ジベンジルブチロラクトンリガンド、ジエチルジチオカルバメート(DDC)、イフェロキサミン、ジヒドロリポ酸、フェノフィブリン酸と共にジラゼップ、ジメチルジチオカルバメート(DMDTC)、クルクミン(ジフェルロリルメタン)、ジスルフィラム、エブセレン、EPC-K1(ビタミンEおよびビタミンCのホスホジエステル化合物)、エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG;緑茶ポリフェノール)、エルゴチオネイン、ピルビン酸エチル、エチレングリコールテトラ酢酸(EGTA)、γ-グルタミルシステインシンテターゼ(γ-GCS)、ガノデルマ・ルシダム(ganoderma lucidum)多糖、イチョウ(ginkgo biloba)抽出物、グルタチオン、ヘマテイン、IRFI 042(ビタミンE様化合物)、ロンテトラキス、ラシジピン、ラザロイド、ルペオール、マグノロール、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)、N-アセチル-L-システイン(NAC)、ナシセリン(NAL)、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)、オルトフェナントロリン、フェノール性抗酸化剤(例えば、ヒドロキノンおよびtert-ブチルヒドロキノン)、フェニルアルシンオキサイド(PAO、チロシンホスファターゼ阻害剤)、ピロリンジチオカルバメート(PDTC)、ケルセチン、Rg(3)(チョウセンニンジン誘導体)、ロテノン、S-アリル-システイン(SAC)、ソーチノン(souchinone)、テポキサリン(5-(4-クロロフェニル)-N-ヒドロキシ-(4-メトキシフェニル)-N-メチル-1H-ピラゾール-3-プロパナミド)、α-トルフリルスクシネート、α-トルフリルアセテート、PMC(2,2,5,7,8-ペンタメチル-6-ヒドロキシクロマン)、およびヤクチノンAおよびBを含む。NFκB阻害剤はペプチドアルデヒド(ALLnL(N-アセチル-ロイシニル-ロイシニル-ノルロイシナール、MG101)、LLM(N-アセチル-ロイシニル-ロイシニル-メチオナール)、Z-LLnV、(カルボベンズオキシル-ロイシニル-ロイシニル-ノルバリナール、MG115)、Z-LLL(カルボベンズオキシル-ロイシニル-ロイシニル-ロイシナール、MG132)、ラクタシスチン、b-ラクトン、ボロン酸ペプチド、ユビキチンリガーゼ阻害剤、PS-341、シクロスポリンA、FK506(タクロリムス)、デオキシスペルグアニン、APNE(N-アセチル-DL-フェニルアラニン-b-ナフチルエステル)、BTEE(N-ベンゾイルL-チロシン-エチルエステル)、DCIC(3,4-ジクロロイソクマリン)、DFP(ジイソプロピルフルオロホスフェート)、TPCK(N-a-トシル-L-フェニルアラニンクロロメチルケトン)、カラグアリン(シダ誘導体)、LY29およびLY30、ペファブロック(セリンプロテアーゼ阻害剤)、ロカグラミド(アグライア誘導体)、ゲルダナマイシン、BMS-345541(4(2'-アミノエチル)アミノ-1,8-ジメチルイミダゾ(1,2-a)キノキサリン)、2-アミノ-3-シアノ-4-アリール-6-(2-ヒドロキシ-フェニル)プリリジンアナログ(化合物26)、アナンダミド、AS602868、BMS-345541、フラボピリドール、ジステロンダイマー、アピゲニン、HB-EGF(ヘパリン結合表皮成長因子様成長因子、LF15-0195(15-デオキシスペルグアリンのアナログ)、MX781(レチノイドアンタゴニスト)、イトロシルコバラミン(ビタミンB12アナログ)、スルバンタ、PTEN(腫瘍サプレッサー)、シリビニン、スルファサラジン、ピセアタンノール、ケルセチン、スタウロスポリン、ウェデロラクトン、ベツリン酸、ウルソル酸、アンクトーレ(ancthole)、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、アジドチミジン(AZT)、BAY-117082、(E3((4-メチルフェニル)-スルホニル)-2-プロペンニトリル)、BAY-117083、(E3((4-t-ブチルフェニル)-スルホニル)-2-プロペンニトリル)、ベンジルイソチオシアネート、カコスポンギオノリドB、カラグアリン(calagualine)、カルボプラチン、絨毛性ゴナンドトロピン、シクロエポキシドンのようなプロテオソーム阻害剤;1-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-3-ペンタ-1-エニルベンゼン、ジギトキシン、4-ヒドロキシノネナール(HNE)、メシル酸ガベキセート、グロッソジン・テヌイフォリア(glossogyne tenuifolia)、ヒドロキノン、イブプロフェン、インジルビン-3'-オキシム、インターフェロン-α、メトトレキセート、モノクロラミン、メシル酸ナファモスタット、オレアンドリン、パンドラチンA(panduratin A)、ペトロサスポンギオライドM、フィチン酸(イノシトールヘキサキスホスフェート)、プロスタグランジンA1、20(S)-プロトパナキサトリオール(ジンセノサイド代謝産物)、サンギナリン(プソイドケレリスリン、13-メチル-[1,3]-ベンゾジオキソロ-[5,6-c]-1,3-ジオキソロ-4,5フェナントリジニウム)、シリマリン、SOCS1、スリンダク、THI52(1-ナフチルエチル-6,7-ジヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン)、ベスナリノン、YopJ(偽結核エルシニア菌によってコードされる)アセタミノフェン、α-メラノサイト刺激ホルモン(α-MSH)、アメントフラボン、カワラヨモギ(artemisia capillaris thunb)抽出物、アウクビン(aucubin)、β-ラパチョン、カプサイシン(8-メチル-N-バニリル-6-ノネナミド)、C型肝炎ウイルス(HCV)のコアタンパク質、シクロリンテイノン(スポンジセステルテルペン)、ジアミド(チロシンホスファターゼ阻害剤)、E-73(シクロヘキシミドアナログ)、エカベットナトリウム、エモジン(3-メチル-1,6,8-トリヒドロキシアントラキノン)、エルブスタチン(チロシンキナーゼ阻害剤)、ホスフォマイシン、真菌グリオトキシン、メシル酸ガベキセート、ゲニステイン(チロシンキナーゼ阻害剤)、グリメピリド、硫酸グルコサミン、γ-グルタミシステインシンテターゼ、ハイポクロライト、イソマロトクロマノール(isomallotochromanol)、イソマロトクロメン(isomallotochromene)、K1L(ワクシニアウイルスタンパク質)、ホウキギ(Kochia scoparia)果実(メタノール抽出物)、レフルノミド代謝産物(A77 1726)、ロサルチン、LY294002[2-(4-モルホリニル)-8-フェニルクロモン]、5'-メチルチオアデノシン、U0126、ペルバナデート、フェニルアルシンオキサイド(PAO、チロシンホスファターゼ阻害剤)、プロスタグランジン15-デオキシ-デルタ(12,14)-PGJ(2)、レシニフェラトキシン、セスキテルペンラクトン(パルテノリド;エルゴリド;グアイアノリド)、チオペンタール、TNP-470、トリグリセリドリッチリポタンパク質、エポキシキノンAモノマー、Ro106-9920、コノフィリンMOL294(小分子)、レイン、アピゲニン(4',5,7-トリヒドロキシフラボン)、ジオキシン、アストラガロシドIV、アトルバスタチン、デヒドロキシメチルエポキシキノミシン(DHMEQ)、15-デオキシスペルグアリン、ヌクリングo,o'-ビスミリストイルチアミンジスルフィド(BMT)、ニコチンアミド、3-アミノベンズアミド、7-アミノ-4-メチルクマリン、アムリノン、アンジオポイエチン-1、アルテミシニン、アトルバスタット、バイカレイン(5,6,7-トリヒドロキシフラボン)、ベンフォチアミンビリベルジン、ビスフェノールA、カンプトテシン、カプロフィン、カプシエート、カタルポシド、ジアリールヘプタノイド7-(4'-ヒドロキシ-3'-メトキシフェニル)-1-フェニルヘプタ-4-エン-3-オン、DTD(4,10-ジクロロピリド[5,6:4,5]チエノ[3,2-d':3,2-d]-1,2,3-ジトリアジン)、E3330(キノン誘導体)、エポキシキノールA、フルニキシンメグルミン、フルルビプロフェン、ペントキシフィリン(1-(5'-オキソヘキシル)3,7-ジメチルキサンチン、PTX)、6(5H)-フェナントリジノンおよびベンズアミド、フェニル-N-tert-ブチルニトロン(PBN)、ピルフェニドン、ピリチオン、キナドリルラキソフェラスト、レバミピド、リバビリン、リファミデス、エオリプラム、サンゲノンC、SUN C8079、T-614、チルフォスチンAG-126、APC0576、D609、シクロプロジギオシンハイドロクロライド、プランルカスト、サイコシン、キナゾリン、レスベラトロール、RO31-8220、サウセルネオールD(saucerneol D)およびサウセルネオールE、トラニラスト[N-(3,4-ジメトキシシンナモイル)アントラニル酸]、3,4,5-トリメトキシ-4'-フルオロカルコン、トリプトリド、メサラミン、17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、6-アミノキナゾリン誘導体、ルテオリン、テトラチオモリブデート、トリリノレイン、トログリタゾン、ウォルトマンニン、およびリファンピシンも含む。MAPキナーゼのいずれかを低下させる薬剤はNFκBシグナル伝達活性も低下させることができ、さらに、後に記載する。
【0049】
NFAT経路のシグナル伝達活性を調節する薬剤
カルシウム感受性ホスファターゼカルシニューリンは、リンパ球活性化を含む種々の生物学的系に関係している。カルシニューリンの基質として、NFATファミリーの転写因子はリンパ球活性化において必須の役割を演じる。NFATシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する薬剤は2つのクラス、タンパク質阻害剤、および小分子阻害剤に分けることができる。これらの阻害剤のいくつかはカルシニューリンに結合し、脱リン酸化活性を抑制する。例えば、NFAT駆動転写を調節する薬剤は、以下の活性:カルシウムフラックス、カルモジュリン活性化、カルシニューリン活性化、NFAT脱リン酸化、NFAT移行、またはNFAT転写活性化のいずれか1つを調節する薬剤を含む(図1参照)。NFAT核移行を妨げるタンパク質阻害剤はAKAP79、カルシニューリン基質相互作用を妨げるスカフォールドタンパク質;カルシニューリン活性をブロックするCABINタンパク質;カルシニューリンBホモログ, CHP;およびNFAT2リン酸化および核輸入を妨げる能力を有するMCIP1、2、3タンパク質を含む。NFAT小分子阻害剤はシクロスポリンAおよびFK506を含む。メカニズム的には、シクロスポリンAおよびFK506は、カルシニューリン活性を阻害することによって、NFATを間接的に抑制する。これらの薬剤はNFAT特異的経路を標的とし、アロ反応性T細胞を阻害することによって免疫抑制剤として作用する。他の薬剤はA-285222、D-43787、およびTh1およびTh2サイトカイン遺伝子発現を阻害し、それにより、NFATの核局所化を間接的に阻害する3,5-ビストリフルオロメチルピラゾール(BTP)誘導体を含む。NFATシグナル伝達を低下させる他の例示的薬剤は、Current Medicinal Chemistry 11:997-1007、米国特許出願公開第20040002117号および第2002013230号ならびにPCT WO03/0103647においてMartinez-Martinez et al.によって記載されている。MAPキナーゼのいずれかを調節する薬剤はNFATシグナル伝達活性も調節することができ、さらに後に記載する。
【0050】
AP-1およびElk-1経路のシグナル伝達活性を調節する薬剤
本発明のグルココルチコイド受容体アゴニストは、AP-1シグナル伝達経路、Elk-1シグナル伝達経路、またはその双方のシグナル伝達活性を調節する薬剤と共に投与することができる。そのような薬剤は以下の活性:PKC活性化、MLKリン酸化、MAPキナーゼ(例えば、Raf、MEK1/2、Erk1/2、MEKK1-3、MEK4/7、JNK1/2、Tak1、MEK3/6またはp38)の活性化および/またはリン酸化、DNA結合活性、またはAP-1転写活性化の1つまたは複数を調節することができる。MAPキナーゼのいずれかを調節する薬剤は、AP-1およびElk-1シグナル伝達活性も調節することができ、後にさらに記載する。
【0051】
MAPキナーゼ阻害剤
MAPキナーゼタンパク質のファミリーはNFκB、NFAT、AP-1およびElk-1シグナル伝達経路にとって中枢的であるゆえに、MAPキナーゼタンパク質のリン酸化状態、活性化、または双方を調節するいずれの薬剤も、本明細書において記載された組合せのいずれかで有用である。従って、Raf、Mek1/2、ERK1/2、MEKK1/3、MEK4/7、JNK、p38、MEK3/6、Tak1タンパク質のいずれかの阻害剤を、例えば、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤と共に用いることができる。MAPキナーゼタンパク質のシグナル伝達活性を調節する薬剤は、例えば、Ravingerova et al., Mol. Cell Biochem. 247:127-38(2003)およびChang et al., Leukemia. 17:1263-93(2003)によって記載される。MEK阻害剤は、例えば、米国特許出願公開第20040087583号に記載されている。Erkキナーゼ阻害剤は、例えば、米国特許出願公開第20040082631号、第20040048861号、第20040029857号、第20030225151号、第20030195241号、第20030049820号、第20020151574号、第20030158238号、第20030092714号、第20030040536号、および第20020177618号に記載されている。Erkキナーゼ阻害剤は、さらに、Rubinfeld et al., Methods Mol. Biol. 250:1-28(2004)およびKohno et al., Prog. Cell Cycle Res. 5:219-24(2003)によって記載されている。Rafシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する薬剤は、例えば、Bollag et al., Curr. Opin. Invest. Drugs. 4:1436-41(2003)によって記載されている。
【0052】
p38阻害剤
N-(3-tert-ブチル-1-メチル-5-ピラゾリル)-N'-(4-(4-ピリジニルメチル)フェニル)尿素、RPR 200765A、SB203580、SB202190、UX-745、UX-702、UX-850およびSC10-469は例示的なp38阻害剤である。他のp38阻害剤は
に記載されている。p38阻害剤は
にもまた記載されている。
【0053】
JNKキナーゼ阻害剤
JNKキナーゼ阻害剤は、例えば、Bogoyevitch et al., Biochim. Biophys. Acta. 1697:89-101(2004)に、および米国特許出願公開第20040092562号、第20040087642号、第20040087615号、第20040082509号、第20040077877号、第20040072888号、第20040063946号、第20040023963号、第20030220330号、第20030162794号、第20030153560号、第20030108539号、第20030100549号、第20030096816号、第20030087922号、第2003073732号、第20020111353号、第20020103229号、第20020119135号、および第20040077632号に記載されている。
【0054】
他の治療剤
所望であれば、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NFκB、NFAT、およびElk-1、またはAP-1シグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤を含有する本発明の組成物は、追加の治療剤と共に処方し、または投与することができる。そのような薬剤は、例えば、コルチコステロイド、NSAID、COX-2阻害剤、DMARD、バイオロジック、キサンチン、抗コリン作動性化合物、β受容体アゴニスト、気管支拡張剤、非ステロイドカルシニューリン阻害剤、ビタミンDアナログ、ソラレン、レチノイド、および5-アミノサリチル酸を含む。
【0055】
コルチコステロイド
任意で、コルチコステロイドは本発明の組成物において処方することができ、あるいは本発明に従って治療すべき哺乳動物に投与することができる。適当なコルチコステロイドは11-α,17-α,21-トリヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;11-β,16-α,17,21-テトラヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;11-β,16-α,17,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;11-β,17-α,21-トリヒドロキシ-6-α-メチルプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;11-デヒドロコルチコステロン;11-デオキシコルチゾール;11-ヒドロキシ-1,4-アンドロスタジエン-3,17-ジオン;11-ケトテストステロン;14-ヒドロキシアンドロスト-4-エン-3,6-17-トリオン;15,17-ジヒドロキシプロゲステロン;16-メチルヒドロコルチゾン;17,21-ジヒドロキシ-16-α-メチルプレグナ-1,4,9(11)-トリエン-3,20-ジオン;17-α-ヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;17-α-ヒドロキシプレグネノロン;17-ヒドロキシ-16-β-メチル-5-β-プレグナ-9(11)-エン-3,20-ジオン;17-ヒドロキシ-4,6,8(14)-プレグナトリエン-3,20-ジオン;17-ヒドロキシプレグナ-4,9(11)-ジエン-3,20-ジオン;18-ヒドロキシコルチコステロン;18-ヒドロキシコルチゾン;18-オキソコルチゾール;21-デオキシアルドステロン;21-デオキシコルチゾン;2-デオキシエクジソン;2-メチルコルチゾン;3-デヒドロエクジソン;4-プレグネン-17-α,20-β,21-トリオール-3,11-ジオン;6,17,20-トリヒドロキシプレグナ-4-エン-3-オン;6-α-ヒドロキシコルチゾール;6-α-フルオロプレドニゾロン、6-α-メチルプレドニゾロン、6-α-メチルプレドニゾロン21-アセテート、6-α-メチルプレドニゾロン21-ヘミスクシネートナトリウム塩、6-β-ヒドロキシコルチゾール、6-α,9-α-ジフルオロプレドニゾロン21-アセテート17-ブチレート、6-ヒドロキシコルチコステロン;6-ヒドロキシデキサメタゾン;6-ヒドロキシプレドニゾロン;9-フルオロコルチゾン;アルクロメタゾンジプロピオネート;アルドステロン;アルゲストン;αデルム;アマジノン;アムシノニド;アナゲストン;アンドロステンジオン;アネコルタブアセテート;ベクロメタゾン;ベクロメタゾンジプロピオネート;ベクロメタゾンジプロピオネート一水和物;ベタメタゾン17-バレレート;ベタメタゾンナトリウムアセテート;ベタメタゾンナトリウムホスフェート;ベタメタゾンバレレート;バラステロン;ブデソニド;カルステロン;クロルマジノン;クロロプレドニゾン;クロロプレドニゾンアセテート;コレステロール;クロベタゾール;クロベタゾールプロピオネート;クロベタゾン;クロコルトロン;クロコルトロンピバレート;クロゲストン;クロプレドノール;コルチコステロン;コルチゾール;コルチゾールアセテート;コルチゾールブチレート;コルチゾールシピオネート;コルチゾールオクタノエート;コルチゾールナトリウムホスフェート;コルチゾールナトリウムスクシネート;コルチゾールバレレート;コルチゾン;コルチゾンアセテート;コルトドキソン;ダツラオロン;デフラザコルト、21-デオキシコルチゾール、デヒドロエピアンドロステロン;デルマジノン;デオキシコルチコステロン;デプロドン;デスシノロン;デソニド;デスオキシメタゾン;デキサフェン;デキサメタゾン;デキサメタゾン21-アセテート;デキサメタゾンアセテート;デキサメタゾンナトリウムホスフェート;ジクロリソン;ジフロラゾン;ジフロラゾンジアセテート;ジフルコルトロン;ジヒドロエラテリシンa;ドモプレドネート;ドキシベタゾール;エクジソン;エクジステロン;エンドリソン;エノキソロン;フルシノロン;フルドロコルチゾン;フルドロコルチゾンアセテート;フルゲストン;フルメタゾン;フルエメタゾンピバレート;フルモキソニド;フルニソリド;フルオシノロン;フルオシノロンアセトニド;フルオシノニド;9-フルオロコルチゾン;フルオコルトロン;フルオロヒドロキシアンドロステンジオン;フルオロメトロン;フルオロメトロンアセテート;フルオキシメステロン;フルプレドニデン;フルプレドニゾロン;フルランドレノリド;フルチカゾン;フルチカゾンプロピオネート;フォルメボロン;フォルメスタン;フォルモコルタール;ゲストノロン;グリデリニン;ハルシノニド;ヒルカノシド;ハロメタゾン;ハロプレドン;ハロプロゲステロン;ヒドロコルチゾンシピオネート;ヒドロコルチゾン;ヒドロコルチゾン21-ブチレート;ヒドロコルチゾンアセポネート;ヒドロコルチゾンアセテート;ヒドロコルチゾンブテプレート;ヒドロコルチゾンブチレート;ヒドロコルチゾンシピオネート;ヒドロコルチゾンヘミスクシネート;ヒドロコルチゾンプロブテート;ヒドロコルチゾンナトリウムホスフェート;ヒドロコルチゾンナトリウムスクシネート;ヒドロコルチゾンバレレート;ヒドロキシプロゲステロン;イノコステロン;イソフルプレドン;イソフルプレドンアセテート;イソプレドニデン;メクロリソン;メコルトロン;メドロゲストン;メドロキシプロゲステロン;メドリゾン;メゲストロール;メゲストロールアセテート;メレンゲストロール;メプレドニゾン;メタンドロステノロン;メチルプレドニゾロン;メチルプレドニゾロンアセポネート;メチルプレドニゾロンアセテート;メチルプレドニゾロンヘミスクシネート;メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート;メチルテストステロン;メトリボロン;モメタゾン;モメタゾンフロエート;モメタゾンフロエート一水和物;ニソン;ノメゲストロール;ノルゲストメト;ノルビニステロン;オキシメステロン;パラメタゾン;パラメタゾンアセテート;ポナステロン;プレドニソラメート(prednisolamate);プレドニゾロン;プレドニゾロン21-ヘミスクシネート;プレドニゾロンアセテート;プレドニゾロンファルネシレート;プレドニゾロンヘミスクシネート;プレドニゾロン-21(β-D-グルクロニド);プレドニゾロンメタスルフォベンゾエート;プレドニゾロンナトリウムホスフェート;プレドニゾロンステアグレート;プレドニゾロンテブテート;プレドニゾロンテトラヒドロフタレート;プレドニゾン;プレドニバール;プレドニリデン;プレグネノロン;プロシノニド;トラロニド;プロゲステロン;プロメゲストン;ラポンティステロン;リメキソロン;ロキシボロン;ルブロステロン;スチゾフィリン;チキソコルトール;トプテロン;トリアムシノロン;トリアムシノロンアセトニド;トリアムシノロンアセトニド21-パルミテート;トリアムシノロンジアセテート;トリアムシノロンヘキサアセトニド;トリメゲストン;ツルケステロン;およびウォルトマンニンを含む。
【0056】
種々のステロイド/疾患組合せについての標準的な推奨用量を以下の表1に提供する。
【0057】
(表1)標準的な推奨コルチコステロイド用量
【0058】
コルチコステロイドについての他の標準的な推奨用量は、例えば、Merck Manual of Diagnosis & Therapy(17th Ed. MH Beers et al., Merck & Co.)およびPhysicians'Desk Reference 2003(57th Ed. Medical Economics Staff et al., Medical Economics Co., 2002)に提供されている。1つの態様において、投与されるコルチコステロイドの用量は、本明細書において定義されるように、プレドニゾロン用量と同等な用量である。例えば、コルチコステロイドの低い用量は、プレドニゾロンの低い用量と同等な用量と考えることができる。
【0059】
本発明の方法、組成物、およびキットにおいてコルチコステロイドの代替物として、またはコルチコステロイドに加えて用いることができる他の化合物はA-348441(Karo Bio)、副腎皮質抽出物(GlaxoSmithKline)、アルサクチド(Aventis)、アメブコルト(Schering AG)、アメロメタゾン(Taisho)、ATSA(Pfizer)、ビトルテロール(Elan)、CBP-2011(InKine Pharmaceutical)、セバラセタム(Novartis)CGP-13774(Kissei)、シクレゾニド(Altana)、シクロメタゾン(Aventis)、クロベタゾンブチレート(GlaxoSmithKline)、クロプレドノール(Hoffmann-La Roche)、コリスマイシンA(Kirin)、ククルビタシンE(NIH)、デフラザコルト(Aventis)、デプロドンプロピオネート(SSP)、デキサメタゾンアセフレート(Schering-Plough)、デキサメタゾンリノレエート(GlaxoSmithKline)、デキサメタゾンバレレート(Abbott)、ジフルプレドナート(Pfizer)、ドモプレドネート(Hoffmann-La Roche)、エビラチド(Aventis)、エチプレドノールジクロアセテート(IVAX)、フルアザコルト(Vicuron)、フルモキソニド(Hoffmann-La Roche)、フルオコルチンブチル(Schering AG)、フルオコルトロン一水和物(Schering AG)、GR-250495X(GlaxoSmithKline)、ハロメタゾン(Novartis)、ハロプレドン(Dainippon)、HYC-141(Fidia)、イコメタゾンエヌブテート(Hovione)、イトロシノニド(AstraZeneca)、L-6485(Vicuron)、Lipocort(Draxis Health)、ロシコルトン(Aventis)、メクロリソン(Schering-Plough)、ナフロコルト(Bristol-Myers Squibb)、NCX-1015(NicOx)、NCX-1020(NicOx)、NCX-1022(NicOx)、ニココルトニド(Yamanouchi)、NIK-236(Nikken Chemicals)、NS-126(SSP)、Org-2766(Akzo Nobel)、Org-6632(Akzo Nobel)、P16CM、プロピルメステロロン(Schering AG)、RGH-1113(Gedeon Richter)、ロフレポニド(AstraZeneca)、ロフレポニドパルミテート(AstraZeneca)、RPR-106541(Aventis)、RU-26559(Aventis)、Sch-19457(Schering-Plough)、T25(Matrix Therapeutics)、TBI-PAB(Sigma-Tau)、チカベゾンプロピオオネート(Hoffmann-La Roche)、チフルアドム(Solvay)、チモベゾン(Hoffmann-La Roche)、TSC-5(Takeda)、およびZK-73634(Schering AG)を含む。
【0060】
疾患特異的治療剤
慢性閉塞性肺疾患
1つの態様において、本発明の方法、組成物、およびキットが慢性閉塞性肺病(COPD)の治療で用いられる。所望であれば、COPDを治療するのに典型的に用いられる1つまたは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおける組合せの代替物として、または該組合せに加えて用いることができる。そのような薬剤はキサンチン(例えば、テオフィリン)、抗コリン作動性化合物(例えば、イプラトロピウム、チオトロピウム)、バイオロジック、小分子免疫モジュレーター、およびβ受容体アゴニスト/気管支拡張剤(例えば、硫酸イブテロール、メシル酸ビトルテロール、エピネフリン、フマル酸フォルモテロール、イソプロテロノール(isoproteronol)、塩酸レバルブテロール、硫酸メタプロテレノール、酢酸ピルブテロール、キシナホ酸サルメトロール、およびテルブタリン)を含む。
【0061】
乾癬
本発明の方法、組成物、およびキットは乾癬の治療で用いることができる。所望であれば、乾癬を治療するのに典型的に用いられる1つまたは複数の抗乾癬剤を、本発明における組合せの代替物として、または該組合せに加えて用いることができる。そのような薬剤はバイオロジック(例えば、アレファセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、エファリズマブ、エタネルセプト、およびCDP-870)、小分子免疫モジュレーター(例えば、VX702、SCIO 469、ドラマピモド、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラナルカサン、マイコフェノレート、およびメリネポジブ)、非ステロイドカルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス、およびISAtx247)、ビタミンDアナログ(例えば、カルシポトリエン、カルシポトリオール)、ソラレン(例えば、メトキサレン)、レチノイド(例えば、アシトレチン、タゾレテン)、DMARD(例えば、メトトレキセート)、およびアントラリンを含む。従って、1つの態様において、本発明は、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、NFκB、NFAT、AP-1、Elk-1シグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる非ステロイド剤、および抗乾癬剤の組合せ、およびそれらによる乾癬を治療する方法を特徴とする。
【0062】
炎症性腸疾患
本発明の方法、組成物、およびキットは炎症性腸疾患の治療で用いることができる。所望であれば、炎症性腸疾患を治療するのに典型的に用いられる1つまたは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおいて特徴的な組合せに加えて用いることができる。そのような薬剤は(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、およびCDP-870)、小分子免疫モジュレーター(例えば、VX702、SCIO 469、ドラマピモド、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラナルカザン、マイコフェノレート、およびメリメポジブ)、非ステロイドカルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス、およびISAtx247)、5-アミノサリチル酸(例えば、メサラミン、スルファサラジン、バルサラジド二ナトリウム、およびオルサラジンナトリウム)、DMARD(例えば、メトトレキセートおよびアザチオプリン)およびアロセトロンを含む。従って、1つの態様において、本発明は、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、NFκB、NFAT、AP-1、Elk-1シグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる非ステロイド剤、および前記薬剤のいずれかの組合せ、およびそれらによる炎症性腸疾患を治療する方法を特徴とする。
【0063】
リウマチ様関節炎
本発明の方法、組成物、およびキットはリウマチ様関節炎の治療で用いることができる。所望であれば、リウマチ様関節炎を治療するのに典型的に用いられる1つまたは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットで特徴とする組合せに加えて用いることができる。そのような薬剤はNSAID(例えば、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、コリンマグネシウムトリサリシレート、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸(サルサレート)、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナメートナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダク、およびトルメチン)、COX-2阻害剤(例えば、ロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、およびルミラコキシブ(lumiracoxib))、バイオロジック(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、CDP-870、リツキシマブ、およびアトリズマブ)、小分子免疫モジュレーター(例えば、VX 702、SCIO 469、ドラマピモド、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラナルカサン、マイコフェノレート、およびメリメポジブ)、非ステロイドカルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス、およびISAtx247)、5-アミノサリチル酸(例えば、メサラミン、スルファサラジン、バルサラジド二ナトリウム、およびオルサラジンナトリウム)、DMARD(例えば、メトトレキセート、レフルノミド、ミノシクリン、オーラノフィン、金ナトリウムチオマレート、オーロチオグルコース、およびアザチオプリン)、硫酸ヒドロキシクロロキン、およびペニシラミンを含む。従って、1つの態様において、本発明は、前記薬剤のいずれかと共に、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、NFκB、NFAT、AP-1、Elk-1シグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる非ステロイド剤の組合せ、およびそれらによるリウマチ様関節炎を治療する方法を特徴とする。
【0064】
喘息
本発明の方法、組成物、およびキットは喘息の治療で用いることができる。所望であれば、喘息を治療するのに典型的に用いられる1つまたは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるコルチコステロイドに加えて用いることができる。そのような薬剤はβ2アゴニスト/気管支拡張剤/ロイコトリエンモディファイアー(例えば、ザフィルルカスト、モンテルカスト、およびジロートン)、バイオロジック(例えば、オマリズマブ)、小分子免疫モジュレーター、抗コリン作動性化合物、キサンチン、エフェドリン、グアイフェネシン、クロモリンナトリウム、ネドクロミルナトリウム、およびヨウ化カリウムを含む。従って、1つの態様において、本発明は、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、NFκB、NFAT、AP-1、Elk-1シグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる非ステロイド剤、および前記薬剤のいずれかの組合せ、およびそれらによるリウマチ様関節炎を治療する方法を特徴とする。
【0065】
非ステロイドイムノフィリン依存性免疫抑制剤
1つの態様において、本発明は、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、NFκB、NFAT、AP-1、Elk-1シグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる非ステロイド剤、および非ステロイドイムノフィリン依存性免疫抑制剤(NsIDI)を使用する方法、組成物、およびキットを特徴とする。
【0066】
健康な個体において、免疫系はB細胞およびT細胞のような細胞エフェクターを用いて、正常な細胞を無傷のまま残しつつ、乾癬性微生物および異常な細胞型をその標的とする。自己免疫障害または移植された器官を持つ個体において、活性化されたT細胞は健康な組織を損傷させる。カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス)、およびラパマイシンは、T細胞を含む多くのタイプの免疫制御細胞を標的とし、器官移植および自己免疫障害において免疫応答を抑制する。
【0067】
シクロスポリン
シクロスポリンは、免疫抑制剤として作用する環状オリゴペプチドのクラスを含む真菌代謝産物である。シクロスポリンAおよびその重水素化アナログISAtx247は、11アミノ酸からなる疎水性環状ポリペプチドである。シクロスポリンAは細胞内受容体シクロフィリンに結合し、それとで複合体を形成する。シクロスポリン/シクロフィリン複合体はCa2+-カルモジュリン依存性セリン-スレオニン特異的タンパク質ホスファターゼであるカルシニューリンに結合し、それを阻害する。カルシニューリンは、T細胞活性化に必要な情報伝達(signal transduction)事象を媒介する(Schreiber et al., Cell 70:365-368, 1991で総説されている)。シクロスポリンおよびそれらの機能的および構造的アナログは、抗原トリガリング情報伝達を阻害することによってT細胞依存性免疫応答を抑制する。この阻害は、IL-2のような炎症誘発性サイトカインの発現を減少させる。
【0068】
多くのシクロスポリン(例えば、シクロスポリンA、B、C、D、E、F、G、H、およびI)は真菌によって生産される。シクロスポリンAは、Novartisから商品名NEORALで商業的に入手可能である。シクロスポリンAの構造的および機能的アナログは、(例えば、米国特許第5,227,467号に記載された)1つまたは複数のフッ素化アミノ酸を有するシクロスポリン;(例えば、米国特許第5,122,511号および第4,798,823号に記載された)修飾されたアミノ酸を有するシクロスポリン;および(米国特許公開第20020132763号に記載された)ISAtx247のような重水素化シクロスポリンを含む。さらなるシクロスポリンアナログは、米国特許第6,136,357号、第4,384,996号、第5,284,826号、および第5,709,797号に記載されている。シクロスポリンアナログは、限定されるものではないが、Cruz et al.(Antimicrob. Agents Chemother. 44:143-149, 2000)に記載された、D-Sar(α-SMe)3 Val2-DH-Cs(209-825)、アロ-Thr-2-Cs、ノルバリン-2-Cs、D-Ala(3-アセチルアミノ)-8-Cs、Thr-2-Cs、および(D-MeSer-3-Cs、D-Ser(O-CH2CH2-OH)-8-Cs、およびD-Ser-8-Csを含む。
【0069】
シクロスポリンは高度に疎水性であって、(例えば、体液と接触して)水の存在下で容易に沈殿する。改良された生物学的利用性をシクロスポリン処方に提供する方法は米国特許第4,388,307号、第6,468,968号、第5,051,402号、第5,342,625号、第5,977,066号、および第6,022,852号に記載されている。シクロスポリンマイクロエマルジョン組成物は米国特許第5,866,159号、第5,916,589号、第5,962,014号、第5,962,017号、第6,007,840号、および第6,024,978号に記載されている。
【0070】
シクロスポリンは静脈内または経口いずれかで投与することができるが、経口投与が好ましい。シクロスポリンAの疎水性に反対に作用させるためには、静脈内シクロスポリンAは、通常、投与に先立って、希釈されなければならないエタノール-ポリオキシエチル化ヒマシ油媒体中にて提供される。シクロスポリンAは、例えば、25mgまたは100mg錠剤にて、または100mg/ml経口溶液(NEORAL(商標))にて、マイクロエマルジョンとして提供することができる。
【0071】
典型的には、経口シクロスポリンの患者用量は患者の状態に従って変化するが、先行技術の治療養生法におけるいくつかの標準的推奨用量が本明細書において提供される。器官移植を受けている患者は、典型的には、12および15mg/kg/日の間の量にて経口シクロスポリンAの初期用量を受ける。次いで、7〜12mg/kg/日維持用量に達するまで、用量を1週間当たり5%だけ徐々に減少させる。静脈内投与では、2〜6mg/kg/日がほとんどの患者で好ましい。クローン病または潰瘍性結腸炎を有すると診断された患者では、6〜8mg/kg/日の用量が一般には与えられる。全身エリテマトーデスを有すると診断された患者では、2.2〜6.0mg/kg/日の用量が一般には与えられる。乾癬またはリウマチ様関節炎では、0.5〜4mg/kg/日の用量が典型的である。他の有用な用量は0.5〜5mg/kg/日、5〜10mg/kg/日、10〜15mg/kg/日、15〜20mg/kg/日、または20〜25mg/kg/日を含む。しばしば、シクロスポリンは、グルココルチコイドのような他の免疫抑制剤と組み合わせて投与される。追加の情報を表2に掲げる。
【0072】
(表2)NsIDI
凡例
CsA=シクロスポリンA
RA=リウマチ様関節炎
UC=潰瘍性結腸炎
SLE=全身エリテマトーデス
【0073】
タクロリムス
FK506としても知られたタクロリムス(PROGRAF、Fujisawa)は、T細胞の細胞内情報伝達経路を標的とする免疫抑制剤である。タクロリムスは、シクロフィリンに構造的に関連しない細胞内タンパク質FK506結合タンパク質(FKBP-12)に結合する(Harding et al. Nature 341:758-7601, 1989;Siekienka et al. Nature 341:755-757, 1989;およびSoltoff et al., J. Biol. Chem. 267:17472-17477, 1992)。FKBP/FK506複合体はカルシニューリンに結合し、カルシニューリンのホスファターゼ活性を阻害する。この阻害は、リンホカイン(例えば、IL-2、γインターフェロン)の生産およびT細胞活性化に必要な遺伝子転写を開始させる核成分であるNFATの脱リン酸化および核移行を妨ぐ。従って、タクロリムスはT細胞活性化を阻害する。
【0074】
タクロリムスは、ストレプトミセス・ツクバエンシス(Streptomyces tsukubaensis)によって生産されるマクロライド抗生物質である。それは、免疫系を抑制し、移植された器官の生存を延長する。それは現在経口および注射処方で入手できる。タクロリムスカプセルはゼラチンカプセルシェル内に0.5mg、1mg、または5mgの無水タクロリムスを含有する。注射処方は、注射に先立って9%塩化ナトリウムまたは5%デキストロースで希釈されるヒマシ油およびアルコール中に5mgの無水タクロリムスを含有する。経口投与が好ましい場合、経口カプセルを摂取することができない患者は注射タクロリムスを受けることができる。初期用量は、連続的静脈内注入によって移植から6時間後間もなく投与すべきである。
【0075】
タクロリムスおよびタクロリムスアナログはTanaka et al.(J. Am. Chem. Soc., 109:5031, 1987)によって、および米国特許第4,894,366号、第4,929,611号および第4,956,352号において記載されている。FR-900520、FR-900523、およびFR-900525を含むFK506関連化合物は米国特許第5,254,562号に記載されており;O-アリール、O-アルキル、O-アルケニル、およびO-アルキニルマクロライドは米国特許第5,250,678号、第532,248号、第5,693,648号に記載されており;アミノO-アリールマクロライドは米国特許第5,262,533号に記載されており;アルキリデンマクロライドは米国特許第5,284,840号に記載されており;N-ヘテロアリール、N-アルキルヘテロアリール、N-アルケニルヘテロアリール、およびN-アルキニルヘテロアリールマクロライドは米国特許第5,208,241号に記載されており;アミノマクロライドおよびその誘導体は米国特許第5,208,228号に記載されており;フルオロマクロライドは米国特許第5,189,042号に記載されており;アミノO-アルキル、O-アルケニル、およびO-アルキニルマクロライドは米国特許第5,162,334号に記載されており;およびハロマクロライドは米国特許第5,143,918号に記載されている。
【0076】
提唱される用量は患者の状態に従って変化するが、先行技術の治療養生法で用いられる標準的な推奨用量を以下に掲げる。クローン病または潰瘍性結腸炎を有すると診断された患者は0.1〜0.2mg/kg/日経口タクロリムスが投与される。移植された器官を有する患者は、典型的には、経口タクロリムスの0.1〜0.2mg/kg/日の用量を受ける。リウマチ様関節炎について治療されている患者は、典型的には、1〜3mg/日経口タクロリムスを受ける。乾癬の治療では、0.01〜0.15mg/kg/日の経口タクロリムスが患者に投与される。アトピー性皮膚炎は、0.03〜0.1%タクロリムスを有するクリームを患部領域に適用することによって1日2回処置することができる。経口タクロリムスカプセルを受ける患者は、典型的には、移植から6時間後間もなく最初の用量を受け、あるいは静脈内タクロリムス注入から8〜12時間後を中断した。他の提唱されるタクロリムス用量は0.005〜0.01mg/kg/日、0.01〜0.03mg/kg/日、0.03〜0.05mg/kg/日、0.05〜0.07mg/kg/日、0.07〜0.10mg/kg/日、0.10〜0.25mg/kg/日、または0.25〜0.5mg/kg/日を含む。
【0077】
タクロリムスは、混合-機能オキシダーゼ系によって、特に、チトクロームP-450系によってかなり代謝される。代謝の一次的メカニズムは脱メチル化およびヒドロキシル化である。種々のタクロリムス代謝産物は免疫抑制生物学的活性を呈するようであるが、13-デメチル代謝産物はタクロリムスと同一の活性を有すると報告されている。
【0078】
ピメクロリムスおよびアスコマイシン誘導体
アスコマイシンは、FK506の密接な構造的アナログであり、優れた免疫抑制剤である。それはFKBP-12に結合し、そのプロリンロタマーゼ活性を抑制する。アスコマイシン-FKBP複合体はカルシニューリン、2B型ホスファターゼを阻害する。
【0079】
(SDZ ASM-981としても公知の)ピメクロリムスはアスコマイシンの33-エピ-クロロ誘導体である。それはストレプトミセス・ハイグロスコピカス変種アスコミセイトゥス(Streptomyces hygroscopicus var. ascomyceitus)株によって生産される。タクロリムスのように、ピメクロリムス(ELIDEL(商標)、Novartis)は、FKBP-12に結合し、カルシニューリンホスファターゼ活性を阻害し、初期サイトカインの転写をブロックすることによってT細胞活性化を阻害する。特に、ピメクロリムスはIL-2の生産、および他の炎症誘発性サイトカインの放出を阻害する。
【0080】
ピメクロリムスの構造的および機能的アナログは米国特許第6,384,073号に記載されている。ピメクロリムスはアトピー性皮膚炎の治療で特に有用である。ピメクロリムスは、現在、1%クリームとして入手できる。個々の用量は患者の状態に従って変化するが、いくつかの標準推奨用量を以下に提供する。経口ピメクロリムスは、40〜60mg/日の量にて、乾癬またはリウマチ様関節炎の治療で与えることができる。クローン病または潰瘍性結腸炎の治療では、80〜160mg/日ピメクロリムスの量を与えることができる。器官移植を有する患者には、160〜240mg/日のピメクロリムスを投与することができる。全身エリテマトーデスを有すると診断された患者には、40〜120mg/日のピメクロリムスを投与することができる。ピメクロリムスの他の有用な用量は0.5〜5mg/日、5〜10mg/日、10〜30mg/日、40〜80mg/日、80〜120mg/日、またはさらには120〜200mg/日を含む。
【0081】
ラパマイシン
ラパマイシン(Rapamune(登録商標)、シロリムス、Wyeth)はSteptomyces hygroscopicusによって生産される環状ラクトンである。ラパマイシンは、Tリンパ球の活性化および増殖を阻害する免疫抑制剤である。シクロスポリン、タクロリムス、およびピメクロリムスのように、ラパマイシンはイムノフィリンFKBP-12との複合体を形成するが、ラパマイシン-FKBP-12複合体はカルシニューリンホスファターゼ活性を阻害しない。ラパマイシン-イムノフィリン複合体は、細胞周期進行に必要なキナーゼであるラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)に結合し、それを阻害する。mTORキナーゼ活性の阻害はTリンパ球の増殖およびリンホカインの分泌をブロックする。
【0082】
ラパマイシンの構造的および機能的アナログはモノおよびジアシル化ラパマイシン誘導体(米国特許第4,316,885号);ラパマイシン水溶性プロドラッグ(米国特許第4,650,803号);カルボン酸エステル(PCT公開番号WO92/05179);カルバメート(米国特許第5,118,678号);アミドエステル(米国特許第5,118,678号);ビオチンエステル(米国特許第5,504,091号);フッ素化エステル(米国特許第5,100,883号);アセタール(米国特許第5,151,413号);シリルエーテル(米国特許第5,120,842号);二環誘導体(米国特許第5,120,725号);ラパマイシンダイマー(米国特許第5,120,727号);O-アリール、O-アルキル、O-アルケニル、およびO-アルキニル誘導体(米国特許第5,258,389号);および重水素化ラパマイシン(米国特許第6,503,921号)を含む。さらなるラパマイシンアナログは米国特許第5,202,332号および第5,169,851号に記載されている。
【0083】
エベロリムス(40-O-(2-ヒドロキシエチル)ラパマイシン;CERTICAN(商標);Novartis)は、ラパマイシンに構造的に関連する免疫抑制マクロライドであり、シクロスポリンAと組み合わせて投与された場合、器官移植の急性拒絶を妨げることにおいて特に有効であることが判明している。
【0084】
ラパマイシンは、現在、液体および錠剤処方にて経口投与用に入手できる。RAPAMUNE(商標)液体は、投与に先立って水またはオレンジジュースに希釈される1mg/mLラパマイシンを含有する。1または2mgのラパマイシンを含有する錠剤も入手できる。移植後できるだけ早く、ラパマイシンは好ましくは毎日1回投与する。それは経口投与後に迅速かつ完全に吸収される。典型的には、ラパマイシンの患者用量は患者の状態に従って変化するが、いくつかの標準的推奨用量を以下に掲げる。ラパマイシンについての初期負荷用量は6mgである。2mg/日の引き続いての維持用量が典型的である。または、3mg、5mg、10mg、15mg、20mg、または25mgの負荷用量を、1日当たり1mg、3mg、5mg、7mg、または10mgの維持用量と共に用いることができる。40kg未満の体重の患者において、ラパマイシン用量は、典型的には、体表面積に基づいて調製され、一般に、3mg/m2/日負荷用量および1-mg/m2/日維持用量が用いられる。
【0085】
ペプチド部分
NFAT、NFκB、AP-1、またはElk-1シグナル伝達経路を損なう、天然、合成、または化学的に修飾されたペプチド、ペプチド模倣体、ペプチド断片は本発明を実施するのに用いるのに適当である。NFAT活性化およびNFAT転写因子を阻害することによってカルシニューリン阻害剤として作用するペプチドの例は、例えば、Aramburu et al., Science 285:2129-2133, 1999およびAramburu et al., Mol. Cell 1:627-637, 1998によって記載されている。カルシニューリン阻害剤のクラスとして、これらの薬剤は本発明の方法で有用である。
【0086】
例示的阻害剤は、標的タンパク質の量またはRNAのレベルを低下させる化合物(例えば、アンチセンス化合物、dsRNA、リボザイム)、および結合パートナーに対して内因性有糸分裂カイネシンまたはタンパク質チロシンホスファターゼと競合する化合物(例えば、ドミナントネガティブタンパク質またはそれをコードするポリヌクレオチド)を含む。
【0087】
アンチセンス化合物
有糸分裂カイネシンおよびタンパク質チロシンホスファターゼの生物学的活性は、標的タンパク質をコードするRNAに向けられたアンチセンス化合物の使用を通じて低下させることができる。シグナル伝達分子の発現を低下させるアンチセンス化合物は標準的な技術を用いて同定することができる。例えば、シグナル伝達分子の標的mRNAの接近可能な領域は、MFOLDのようなRNA二次構造折畳みプログラムを用いて予測することができる(M. Zuker, D. H. Mathews & D. H. Turner, Algorithms and Thermodynamics for RNA Secondary Structure Prediction:A Practical Guide., RNA Biochemistry and Biotechnology, J. Barciszewski & B. F. C. Clark,eds., NATO ASI Series, Kluwer Academic Publishers(1999))。mRNAの予測される最も安定な折畳みの5%以内の自由エネルギー値を持つ部分最適(sub-optimal)折畳みは、その中で残基が相補的塩基を見出して、塩基対結合を形成できる200塩基のウィンドウを用いて予測される。塩基対を形成しないオープン領域は各部分最適折畳みと一緒に合わされ、オープンとして予測される領域はアンチセンスヌクレオベースオリゴマーへの結合に対してより接近可能であると考えられる。アンチセンス設計についての他の方法は、例えば、米国特許第6,472,521号、Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 1997 7:439-444、Nucleic Acids Research 28:2597-2604, 2000、およびNucleic Acids Research 31:4989-4994, 2003に記載されている。
【0088】
RNA干渉
シグナル伝達分子の生物学的活性は、例えば、二本鎖RNA(ds RNA)、あるいは問題とするシグナル伝達分子に向けられた小さな干渉性RNA(si RNA)を使用するRNA干渉(RNAi)の使用を通じて低下させることができる(例えば、Miyamoto et al., Prog. Cell. Cycle Res. 5:349-360, 2003;米国特許出願公開第20030157030号参照)。そのような干渉性RNAを設計するための方法は当技術分野において公知である。例えば、干渉性RNAを設計するためのソフトウェアはOligoengine(Seattle, WA)から入手可能である。
【0089】
ドミナントネガティブタンパク質
当業者であれば、標的とすべきシグナル伝達分子に対するドミナントネガティブタンパク質をどのようにして作製するかを知っているであろう。そのようなドミナントネガティブタンパク質は、例えば、Gupta et al., J. Exp. Med., 186:473-478, 1997;Maegawa et al., J. Biol. Chem. 274:30236-30243, 1999;Woodford-Thomas et al., J. Cell Biol. 117:401-414, 1992に記載されている。
【0090】
炎症誘発性サイトカイン抑制活性についてのアッセイ
本発明の組合せの治療または抗炎症有効性は、当技術分野において公知のいずれかの標準的な方法によって、あるいは本明細書において記載されたように測定することができる。例えば、標的化シグナル伝達経路に関与するシグナル伝達分子のいずれかの発現レベルまたは生物学的活性は、当技術分野において公知のいずれかの標準的な方法(例えば、リン酸化実験、ウェスタンおよびノーザン分析、ELISA、および免疫組織化学)によって測定することができる。シグナル伝達分子の発現または生物学的活性が、未処理対照におけるそのような発現または生物学的活性に比べて低下するならば、該組合せは本発明に従って有用であると同定される。この場合、シグナル伝達分子は、シグナル伝達経路における地点の下流が標的とされる役割を有する。所望ならば、NFκB、NFAT、AP-1、およびElk-1の発現レベルまたは生物学的活性も測定することができる。
【0091】
シグナル伝達経路におけるシグナル伝達分子の発現レベルまたは生物学的活性を検出することに加えて、本発明の組合せの抗炎症有効性を、(本明細書において記載されるように)炎症誘発性サイトカインの放出または生産についてアッセイすることによって測定することができる。TNF-α生産は、例えば、TNF-α転写を測定することによって、あるいはELISAによりTNF-αタンパク質レベルを測定することによって評価することができる。化合物希釈マトリックスは、後に記載するように、TNFα、IFNγ、IL-1β、IL-2、IL-4、およびIL-5の抑制についてアッセイすることができる。
【0092】
TNFα
最終濃度2μg/mLのリポ多糖(Sigma L-4130)での処理によって、ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc)の各ウェル内に含まれる希釈されたヒト白血球細胞の100μl懸濁液を刺激して、TNFαを分泌させる。種々の濃度の各試験化合物を刺激の時点に加える。湿潤化インキュベーター中の37℃における16〜18時間のインキュベーションの後に、プレートを遠心し、上清を、抗TNFα抗体(PharMingen, #551220)で被覆した白色不透明ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc, Maxisorb)に移す。2時間のインキュベーションの後、プレートを、0.1%Tween20を含有するPBSで洗浄し(Tecan Power Washer 384)、ビオチン標識されたもう1つの抗TNFα抗体(PharMingen, #554511)およびストレプトアビジンにカップリングしたHRP(PharMingen, #13047E)と共にさらに1時間インキュベートする。プレートを0.1%Tween20/PBSで洗浄した後、HRP発光基質を各ウェルに加え、光強度をLJL Analystプレートルミノメーターを用いて測定する。
【0093】
IFNγ
ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc)の各ウェル内に含まれる希釈されたヒト白血球細胞の100μL懸濁液を、最終濃度10ng/mLフォルボール12-ミリステート13-アセテート(Sigma, P-1585)および750ng/mLイオノマイシン(Sigma, I-0634)での処理によって、刺激して、IFNγを分泌させる。種々の濃度の各試験化合物を刺激の時点で加える。湿潤化インキュベーター中での37℃における16〜18時間のインキュベーションの後、プレートを遠心し、上清を、抗IFNγ抗体(Endogen, #M-700A-E)で被覆した白色不透明ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc, Maxisorb)に移す。2時間のインキュベーションの後、プレートを、0.1%Tween20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)を含有するリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で洗浄し(Tecan Power Washer 384)、ビオチン標識したもう1つの抗IFNγ抗体(Endogen, M701B)、およびストレプトアビジンにカップリングしたホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)(PharMingen, #13047E)と共にさらに1時間インキュベートする。プレートを0.1%Tween20/PBSで洗浄した後、HRP発光基質を各ウェルに加え、LJL Analystプレートルミノメーターを用いて光強度を測定する。
【0094】
IL-1β
最終濃度2μg/mLリポ多糖(Sigma L-4130)での処理によって、ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc)の各ウェル内に含まれる希釈されたヒト白血球細胞の100μL懸濁液を刺激して、IL-1βを分泌させる。種々の濃度の各試験化合物を刺激の時点で加える。湿潤化インキュベーター中での37℃における16〜18時間のインキュベーションの後、プレートを遠心し、抗IL-1β抗体(R&D, #MAB-601)で被覆した白色不透明ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc, Maxisorb)に上清を移す。2時間のインキュベーションの後、プレートを、0.1%Tween20を含有するPBSで洗浄し(Tecan Power Washer 384)、ビオチン標識したもう1つの抗IL-1β抗体(R&D, BAF-201)およびストレプトアビジンにカップリングしたHRP(PharMingen, #13047E)と共にさらに1時間インキュベートする。プレートを0.1%Tween20/PBSで洗浄した後、HRP発光基質を各ウェルに加え、LJL Analystプレートルミノメーターを用いて光強度を測定する。
【0095】
IL-2
最終濃度10ng/mLのフォルボール12-ミリステート13-アセテート(Sigma, P-1585)、および750ng/mLイオノマイシン(Sigma, I-0634)での処理によって、ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc)の各ウェル内に含まれる希釈されたヒト白血球細胞の100μL懸濁液を刺激して、IL-2を分泌させる。種々の濃度の各試験化合物を刺激の時点で加える。湿潤化インキュベーター中での37℃における16〜18時間のインキュベーションの後、プレートを遠心し、上清を、抗IL-2抗体(PharMingen, #555051)で被覆した白色不透明ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc, Maxisorb)に上清を移す。2時間のインキュベーションの後、プレートを、0.1%Tween20を含有するPBSで洗浄し(Tecan Power Washer 384)、ビオチン標識したもう1つの抗IL-2抗体(Endogen, M600B)、およびストレプトアビジンにカップリングしたHRP(PharMingen, #13047E)と共にさらに1時間インキュベートする。プレートを0.1%Tween20/PBSで洗浄した後、HRP発光基質を各ウェルに加え、LJL Analystプレートルミノメーターを用いて光強度を測定する。
【0096】
IL-4およびIL-5
製造業者の指示に従い、BD PharMingen Cytometric 6 Bead Arrayシステムを用いて、IL-4およびIL-5サイトカイン発現の分析を行う。簡単に述べれば、バフィコートアッセイプレートからの上清を、標識されたサイトカイン検出ビーズカクテルと共にインキュベートする。次いで、試料を洗浄し、再懸濁させ、BD Pharmingen FACsCaliburフローサイトメーターで読む。次いで、BD Pharmingen CBA 6 Bead Analysisソフトウェアを用いてデータを分析する。
【0097】
実施例1:アモキサピンおよびパロキセチンによって阻害される平行シグナル伝達経路
材料および方法
薬物
0.1mM MES(2-(N-モルホリノエタンスルホン酸)(Sigma)緩衝液中で調製したアモキサピンを除いて、全ての薬物について、ストック溶液はDMSO中で作製した。フォルボールミリステートアセテート(PMA)(100μg/ml)、およびイオノマイシン(5mg/ml)のDMSO中ストック溶液を培養基で希釈して、最終濃度のPMA(10ng/ml, 16.2nM)およびイオノマイシン(750μg/ml, 1μM)を生じさせた。
【0098】
細胞および細胞系統
献血されたヒト血液(赤十字, Rhode Island)からの新鮮なバフィーコート調製物を用いて、Ficoll-Plaque(Pharmacia)層化遠心によって末梢血液単核細胞(PBMC)を単離した。「汎用T細胞単離キットII-ヒト」(Miltenenyibiotec, ドイツ国)を用いてT細胞をPBMCから精製した。リンパ性白血病T細胞系統(CCRF-CEM)はAmerican Type Cell Culture(ATCC)から入手した。全ての細胞は、10%血清(Gibco)および1%Pen-Strep溶液(Cellgro)を補足したRPMI 1640倍地(Cellgro)中で増殖させた。核移行実験では、細胞を、0.1%血清を含有する血清飢餓培地中で増殖させた。
【0099】
サイトカインスクリーニングのためのELISA
酵素連結免疫吸着検定法(ELISA)のための抗体は、BD Pharmingenから入手した。いくらか修飾を施した標準的手法によって、サンドイッチELISAを行った。バフィーコートまたは単離されたT細胞を、化合物およびインデューサー(PMA/イオノマイシン(PI))を含有する384ウェルプレート中で培養基で希釈した。プレートを37℃にて16〜18時間インキュベートした。遠心の後、上清を除去し、捕獲抗体を含有する384ウェルプレートに移した。捕獲抗体を4℃にて一晩被覆し(16〜18時間)、吸引し、上清を加えた。2時間のインキュベーションの後、プレートをPBS(0.1%Tween20)で洗浄し、検出抗体を加えた。蛍光強度はルミノメーター(LJLまたはWallac)によってルシフェラーゼ基質(Amersham)で測定した。
【0100】
トランス活性化アッセイ
ヌクレオフェクション(Nucleofector;AMAXA, ドイツ国)を用い、レポータープラスミドをCCRF-CEM細胞に移した。ホタルルシフェラーゼ(Luc)を発現するレポータープラスミドはStratageneから購入した。pNFAT-Lucは4つのNFAT結合部位を含み;pGRE-Lucは4つのGRE部位を含み、およびpAP1-Lucは7つのAP1結合部位を含む。NFκBルシフェラーゼ受容体、p(IL6κB)3-50hu.IL6-luc+は3つのNFκB部位を含み、これはDe Bosscher博士(University of Ghent, Belgium)の寛大な贈与物であった。100μLのAmaxa[R]Cell系溶液に懸濁させた107の細胞をキュベットに移した。(10:1)の比率でレポータープラスミド(ホタルルシフェラーゼ)および対照プラスミド(pRL-TK-Renilla)(Renilla luciferase)(Promega)を含有する1μL(1μg/μL)の溶液を細胞懸濁液に加えた。トランスフェクションをプログラムT-14を用いるAmaxa Nucleofectorで行い、これは、CCRF-CEM細胞で最大効率を与えた。トランスフェクションの後、細胞を200μL培地に懸濁させ、1時間回復させ、2×薬物を含有する等容量の培地を加え、37℃にて30分間インキュベートした。次いで、細胞をさらに5時間PIで刺激した。プラスミドおよび対照Renillaプラスミドの各々のルシフェラーゼ活性を、Promegaルシフェラーゼアッセイキットにおける手法にて測定した。
【0101】
ウェスタンブロットアッセイ
精製された一次ヒトT細胞(1×106細胞/mlにおける107T細胞)を種々の薬物で37℃にて30分間予備処理し、次いで、PMAおよびイオノマイシンで30分間刺激した。次いで、細胞をペレット化し、2×タンパク質ロード色素(Invitrogen, NP0008)で抽出した。全細胞溶解物を沸騰し、ローディングの前に遠心した。レーン当たり10〜15μlの溶解物(ほぼ250,000細胞)を(Invitrogenからプレキャストした)10〜12%トリス-ビスゲル、または3〜8%トリス-アセテートゲルで泳動させた。Owl Semi-Dryエレクトロブロッティングシステムを用い、30分間で、タンパク質をイモビロンPVDF膜(Millipore)に免疫ブロットした。膜を2時間で4%ミルクでブロックし、次いで、適当な一次抗体と共にインキュベートし、3回洗浄し、次いで、二次抗体でプローブした。Chemi-glow(商標)(Alpha Innotech)化学発光検出溶液を加え、イメージを可視化し、Alpha Imager8900(Alpha Innotech)を用いて捕獲した。BD Transduction Laboratory(#610703)から入手した抗体を用いてNFAT1を可視化した。Santa Cruz Biotechnology(#sc371)からの抗体を用い、IκB-αを可視化した。細胞シグナル伝達から得られた以下の抗体を用いてマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)を可視化した:ERK p44/p42(phospho, #9101;全, #9102);p38(phospho, #9211;全, #9212);およびJNK/SAPK(phospho, #9251;全, #9252)。
【0102】
移行アッセイ
CCRF-CEM細胞を完全培地(10%血清、RPMI 1640)中で2×105細胞/mlの密度まで増殖させ、次いで、血清飢餓培地(0.1%FBS、RPMI1640)中で一晩16時間増殖させた。細胞をポリL-リシン-被覆カバーグラス(Fisher)上に落とし、15分間カバーグラスに付着させた。細胞-被覆カバーグラスを薬物と共に20分間プレインキュベートし、次いで、血清飢餓培地中で1×PMA+イオノマイシンまたはプレドニゾロンいずれかで1時間刺激した。薬物+刺激体とのインキュベーションとの後に、培地を吸引し、細胞をPBS中の3.7%ホルムアルデヒドで15分間固定した。細胞を1×PBS、0.2%トリトンで3回洗浄し、「Superblock」(商標)(Pierce)中で2回15分間ブロックし、一次抗体(1:5000希釈)と共に30分間インキュベートした。BD Transduction Laboratory(#610703)から入手した抗体を用いてNFAT1を可視化した。NFκB(p65成分)を、Santa Cruz Biotechnologyから入手した抗体(#sc-372)を用いて可視化した。標識された二次抗体(Alexa Fluor(商標), Molecular Probes)を加える前に、カバーグラスを再度3回洗浄した。核はDAPI(Sigma)で標識した。最後に、カバーグラスをPBS/トリトンで1回洗浄し、Nikon蛍光顕微鏡下で観察するために、Fluoromount(商標)を用いてガラス顕微鏡スライド上に封入した。転写因子の核への移行は、盲検化スライドのスコアリングによって定量した。
【0103】
結果
NFAT経路を抑制するアモキサピンおよびパロキセチン
T細胞活性化の結果は、カルシニューリン、セリン/スレオニンホスファターゼを活性化する細胞内カルシウムの増加である。カルシニューリンは、今度は、NFATの核移行をトリガーする細胞質NFATを脱リン酸化する。核において、NFATは、それらの転写誘導に寄与するTNFαを含む炎症性遺伝子のプロモーターにおける制御部位に結合する。本発明者らの実験において、本発明者らは、NFAT活性化の3つのステージ:i)NFATタンパク質の脱リン酸化、ii)NFATの核への移行、およびiii)NFAT依存性転写の活性化に対するアモキサピンおよびパロキセチンの効果を調べた。
【0104】
T細胞を、35〜50歳の年齢の間の男性ドナーのバフィーコートから単離した。これらのT細胞をPMA/イオノマイシン(PI)でインビトロにて30分間活性化し、ウェスタンブロットでの移動度シフトによって、NFATのリン酸化を分析した。活性化されたT細胞における脱リン酸化NFATはSDS PAGEにおいてより大きな移動度でもって移動し、従って、バンドシフトを生じる。結果を図2Bに示す。予測されるように、シクロスポリン、カルシニューリンの直接的阻害剤のプレインキュベーションはバンドシフトを3nM未満に妨げた。同様に、アモキサピン(3μM)およびパロキセチン(30μMの周りの僅かな効果)とのプレインキュベーションはバンドシフトを妨げた。プレドニゾロンは、3μMまでNFAT脱リン酸化に対して効果を有しなかった。シクロスポリンおよびアモキサピン双方で観察されたバンドシフト転移濃度は1000倍だけ分離され、これは、PI刺激TNFα放出アッセイで観察されたそれらの能力の差に密接にマッチする。
【0105】
PI活性化CCRF-CEM細胞における核へのNFATの移行は、免疫蛍光によって追跡した(図2C)。再度、予測されるように、シクロスポリンはNFATの移行を阻害し、5nMのIC50値を生じ、これは、サイトカイン阻害剤およびNFATバンドシフトアッセイ双方におけるシクロスポリンの挙動と密接に平行する。アモキサピンおよびパロキセチンもまた、各々、4μMおよび30μMのIC50にて、NFAT移行を阻害した。プレドニゾロンはこのアッセイで活性でなかった。NFAT移行実験の総じての結果は、サイトカインで観察された化合物能力のランク順位およびウェスタンブロットの分析と合致する。
【0106】
最後に、NFAT依存性転写は、NFATレポータープラスミドのCCRF-CEM細胞への一過性トランスフェクション、および引き続いてのPIでの活性化によって測定した。結果を図2Aに示す。シクロスポリンは、5nMのIC50でもってPI刺激NFAT転写を阻害することにおいて再度効果的であり、これは、サイトカインで観察された効果、バンドシフト、および移行アッセイと合致する。アモキサピンおよびパロキセチンは、各々、2μMおよび9μMのIC50を生じた。プレドニゾロンは高用量においてさえ強力な阻害を示さなかった。
【0107】
NF-κB経路を抑制するアモキサピンおよびパロキセチン
NFATのように、NFκBは、炎症誘発性サイトカイン遺伝子の活性化についての臨界的制御転写因子である。NFκBはIκBとの複合体にて細胞質に隔離される。T細胞の活性化に際して、IκBはリン酸化され、分解され、NFκBを遊離させて、核を移動させ、炎症に関与する遺伝子を活性化する。本発明者らは、IκBの分解、NFκBの核への移行、およびNFκB依存性転写活性化に対するアモキサピンおよびパロキセチンの効果を評価した。
【0108】
一次T細胞をPIでインビトロにて活性化し(30分)、ウェスタンブロット分析のために抽出した。シクロスポリン、アモキサピンおよびパロキセチンは異なる能力でもってIκBを安定化する(図3B)。シクロスポリンは最も優れており、30nMで開始する効果を持つ。アモキサピンおよびパロキセチンの効果は、各々、25μMおよび15μMで開始した。この観察は、TNFα阻害アッセイにおけるこれらの化合物で観察された能力のランク順位の逆である。プレドニゾロンはIκB分解に対して効果を有しなかった。
【0109】
NFκBの核への移行は、NFκBのp65成分に対する抗体を用いる免疫蛍光によって、活性化されたCCRF-CEM細胞でアッセイされた。結果を図3Cに示す。再度、シクロスポリンは、20nMのIC50でもってNFkB移行を効果的に阻害した。アモキサピンおよびパロキセチンは、ほとんど同一の阻害曲線を有し、各々は20nMのIC50を生じた。プレドニゾロンはNFkB移行に対して効果を有しなかった。
【0110】
NFκB依存性転写は、NFκBレポータープラスミドのCCRF-CEM細胞への一過性トランスフェクションおよび引き続いてのPIでの活性化によって測定した。この実験の結果は、図3Aに示す。NFκB阻害剤CAPEは、予測されたように阻害したが、シクロスポリンは1μMまでNFkB転写アッセイにおいてほとんど効果を有しなかった。シクロスポリンおよびアモキサピンは高い濃度において同様な効果でもって挙動し(IC50=20μM)、他方、パロキセチンは30μMの最高濃度にて40%阻害を達成した。プレドニゾロンは1μMにおいて30%阻害を示し、これは、NFκB転写の報告されたグルココルチコイドトランス抑制と合致する。
【0111】
MAPキナーゼ経路を抑制するアモキサピンおよびパロキセチン
T細胞活性化は複数の情報伝達経路をトリガーする。NFATおよびNFkB活性化に加えて、MAPキナーゼカスケードもまた活性化される。このカスケードは、ERK、p38、およびJNKの活性化において順応する3つの主なアームからなる。これらのMAPキナーゼのいくつかの基質はELK1、ERG、およびAP1のような転写因子を含み、これは、今度は、炎症性遺伝子発現を制御する。本発明者らは、アモキサピンまたはパロキセチンの存在下でERK、p38、およびJNKの活性化を追跡するように設定した。
【0112】
精製された一次T細胞を30分間活性化し、ウェスタンブロット分析のために抽出した。各MAPK種の全量の測定によって正規化された、MAPKの各タイプでの制御部位に対するホスホ特異的抗体を用い、各MAPKの活性化を追跡した(図4A〜4C)。試験した最高用量のシクロスポリン(1μM)、プレドニゾロン(3μM)、アモキサピン(30μM)、およびパロキセチン(30μM)でさえ、ERK1/2のリン酸化を阻害することにおいて効果的でなかった。対照的に、30nMを超えるシクロスポリンでは、いくらかのホスホ-p38阻害の証拠はなかった。パロキセチンは10μMを超えてホスホ-p38のいくらかの阻害を示したが、アモキサピンおよびプレドニゾロンはp38アッセイで効果を有しなかった。JNK活性化を分析した場合、シクロスポリンは30nMを超えてJNK活性化を阻害することが観察された。アモキサピンおよびパロキセチンは共に10〜20μMを超えて同様な阻害を示した。プレドニゾロンはJNKに対して効果を有しなかった。
【0113】
AP1依存性転写は、CCRF-CEM細胞へのAP1レポータープラスミドの一過性トランスフェクション、および引き続いてのPIでの活性化によって測定した(図4D)。シクロスポリンは、TNF-PIの完全に近い阻害を生じる濃度の100倍を超えるレベルである1μMまでほとんど効果を示さなかった。対照的に、アモキサピンおよびパロキセチンは、これらの薬物がサイトカインアッセイにおいて効果を有するレベルである20〜30μMの範囲のIC50でもって同様な阻害曲線を示す。300nMにおけるプレドニゾロンが30%阻害を生じ、これは、AP1転写で観察されたグルココルチコイドトランス抑制と合致する。
【0114】
投与
本発明の方法のいずれかの特別な態様において、化合物は相互から10日以内に、相互から5日以内に、相互から24時間以内に、または同時に投与される。化合物は単一組成物として一緒に処方できるか、あるいは別々に処方し、投与することができる。1つまたは双方の化合物は低用量または高用量で投与することができ、その各々は本明細書において定義される。患者に、コルチコステロイド、NSAID(例えば、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニザール、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、コリンマグネシウムトリサリシレート、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナメートナトリウム、メトキシカム、オキサプロジン、スリンダク、およびトルメチン)、COX-2阻害剤(例えば、ロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、およびルミラコキシブ)、またはDMARDのような他の化合物を投与するのが望ましいであろう。本発明の組合せ療法は、他の抗サイトカイン剤、あるいは細胞接着に影響する薬剤のような疾病に対して正に働くように免疫応答を調節する薬剤、あるいはバイオロジック(すなわち、IL-6、IL-1、IL-2、IL-12、IL-15またはTNFαの作用をブロックする薬剤(例えば、エタネルセプト、アダリムマブ、インフリキシマブ、またはCDP-870))と組み合わせて免疫炎症性障害の治療で特に有用である。この例(TNFαの効果をブロックする薬剤の例)において、組合せ療法はサイトカインの生産を低下させ、エタネルセプトまたはインフリキシマブは炎症誘発性サイトカインの残りの機能に作用し、増強された治療を提供する。
【0115】
本発明による療法は単独、またはもう1つの療法と組み合わせて行うことができ、家庭、医師のオフィス、クリニック、病院の外来患者部門、または病院で提供することができる。治療は、任意で、医師が治療の効果を綿密に観察し、必要ないずれかの調整をなすことができるように病院で開始し、あるいはそれは外来患者ベースで開始することができる。療法の持続は治療するべき疾病または障害のタイプ、患者の年齢および状態、患者の疾病のステージおよびタイプ、およびどのようにして患者が療法に応答するかに依存する。加えて、炎症性疾患を発症するより大きな危険性を有する個人(例えば、年齢関連ホルモン変化を受けつつある個人)は、兆候の開始を阻害し、または遅らせるために療法を受けることができる。
【0116】
種々の態様のための投与経路は、限定されるものではないが、局所、経皮、および(静脈内、筋肉内、皮下、吸入、直腸、頬、膣、腹腔内、関節内、目または経口投与のような)全身投与を含む。本明細書において用いるように、「全身投与」とは全ての投与の非皮膚経路をいい、具体的には、投与の局所および経皮経路を排除する。
【0117】
組合せ療法において、組合せの各成分の投与の用量および頻度は独立してコントロールすることができる。例えば、1つの化合物は1日当たり3回投与することができ、他方、第二の化合物は1日当たり1回投与することができる。組合せ療法は、患者の身体が予測されないいずれかの副作用から回復する機会を有するように、休息期間を含むオンおよびオフサイクルにて与えることができる。また、化合物は、1つの投与が双方の化合物を送達するように一緒に処方することもできる。
【0118】
薬学的組成物の処方
本発明の組合せの投与は、標的領域における炎症誘発性サイトカインレベルの抑制をもたらすいずれかの適当な手段によることができる。化合物はいずれかの適当な担体物質中にいずれかの適当な量で含有することができ、一般には、組成物の全重量の1〜95重量%の量で存在させる。組成物は、経口、非経口(例えば、静脈内、筋肉内)、直腸、皮膚、鼻、膣、吸入、皮膚(パッチ)、または目投与経路に適する投与形態で提供することができる。従って、組成物は、例えば、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、懸濁液、エマルジョン、溶液、ヒドロゲルを含むゲル、ペースト、軟膏、クリーム、プラスター、ドレンチ、浸透圧送達デバイス、坐薬、浣腸、注射、インプラント、スプレーまたはエアロゾルの形態とすることができる。薬学的組成物は慣用的な薬学的プラクティスに従って処方することができる(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, 2000, ed. A. R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, PhiladelphiaおよびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J. C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New York参照)。
【0119】
組合せの各化合物は、当技術分野において公知の種々の方法で処方することができる。例えば、第一の薬剤(グルココルチコステロイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤)および第二の薬剤(すなわち、NFκB、NFAT、AP-1、またはElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる非ステロイド剤)を一緒にまたは別々に処方することができる。望ましくは、第一および第二の薬剤は、薬剤の同時またはほとんど同時投与のために一緒に処方される。そのような共-処方組成物は、同一丸剤、カプセル、液体等中に一緒に処方された2つの薬剤を含むことができる。そのような組合せの処方に言及する場合、使用される処方技術もまた組合せの個々の薬剤、ならびに本発明の他の組合せの処方で有用である。異なる薬剤についての異なる処方戦略を用いることによって、各薬剤の薬物動態学プロフィールを適切にマッチさせることができる。
【0120】
個々にまたは別々に処方された薬剤はキットとして一緒にパッケージすることができる。非限定的例は、例えば、2つの丸剤、丸剤および粉末、バイアル中の坐薬および液体、2つの局所クリーム等を含有するキットを含む。キットは、粉末形態を復元するためのバイアル、注射のためのシリンジ、慣用化されたIV送達系、吸入器等のような、患者への単位用量の投与を助ける任意の成分を含むことができる。加えて、単位用量キットは組成物の調製および投与のための指示書を含有することができる。キットは一人の患者のための単一使用単位用量(一定用量の、あるいは個々の化合物が治療が進むにつれてその効力を変化させることができる)個々の患者のための複数の使用として製造することができ;あるいはキットは複数患者への投与に適した複数用量を含有することができる(「バルクパッケージング」)。キット成分は、カートン、ブリスターパック、ビン、チューブ等にて組み立てられていてもよい。
【0121】
用量
一般に、ヒトに投与する場合、NFκB、NFAT、AP-1、またはElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる非ステロイド剤の用量は薬剤の性質に依存し、当業者によって容易に決定され得る。典型的には、そのような用量は、通常1日当たり約0.001mg〜2000mg、望ましくは1日当たり約1mg〜1000mg、1日当たりより望ましくは約5mg〜500mgである。1日当たり200mgまでの用量が必要とされ得る。
【0122】
ヒトに全身投与する場合、本発明の組合せで用いられるグルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤の用量は、通常、1日当たり約0.1mg〜1500mg、望ましくは1日当たり約0.5mg〜10mg、より望ましくは1日当たり約0.5mg〜5mgである。
【0123】
組合せにおける各薬物の投与は、独立して、1日〜1年の間に毎日1〜4回とすることができ、患者の生涯の間でさえあり得る。慢性の長期投与は多くの場合に必要とされるであろう。
【0124】
さらなる適用
本発明の化合物を免疫調節またはメカニズムアッセイで使用して、他の組合せ、または単一の薬剤が、その例が本明細書において記載される、一般に当技術分野において公知のアッセイを用い、炎症誘発性サイトカインの分泌または生産を阻害する、または免疫応答を調節することにおける組合せと同程度に効果的であるかどうかを決定することができる。例えば、候補化合物は、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤またはNFκB、NFAT、AP-1、またはElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる非ステロイド剤と組み合わせて、刺激されたPBMCに適用することができる。適当な時間の後、細胞を、サイトカインの分泌または生産、または他の適当な免疫応答について調べる。組合せ対相同、および対単一薬剤との相対的効果を比較し、効果的な化合物および組合せを同定する。
【0125】
本発明の組合せは、炎症に関与する生物学的経路についてのメカニズム的情報を解明することにおいて有用なツールでもある。そのような情報は、炎症誘発性サイトカインによって引き起こされた炎症を阻害するための新しい組み合わせまたは単一の薬剤を開発することに導くことができる。生物学的経路を決定するための当技術分野において公知の方法を用いて、炎症誘発性サイトカインを生じさせるように刺激された細胞と本発明の化合物とを接触させることによって影響される経路、または経路のネットワークを決定することができる。そのような方法は、未処理の陽性または陰性対照化合物、および/または新しい単一薬剤および組合せと比較した本発明の化合物との接触後に発現または抑制される細胞構成要素の分析、または酵素活性、栄養摂取、および増殖のような細胞のいくつかの他の代謝活性の分析を含むことができる。分析された細胞構成要素は遺伝子転写体、およびタンパク質発現を含むことができる。適当な方法は標準的な生化学技術、本発明の化合物の放射性標識(例えば、14Cまたは3H標識)、および、例えば、2dゲル、遺伝子発現プロファイリングを用いるタンパク質に結合する化合物の観察を含むことができる。一旦同定されれば、そのような化合物をインビボモデルで用いて、ツールをさらに有効化し、または新しい抗炎症剤を開発することができる。
【0126】
他の態様
本明細書において言及した全ての刊行物、特許出願、および特許は参照により本明細書に組み入れられる。
【0127】
本発明の記載された方法およびシステムの種々の修飾および変形は、本発明の範囲および精神を逸脱することなく当業者に明らかであろう。本発明を特定の所望の態様に関連して記載してきたが、特許請求される発明はそのような特定の態様に不当に制限されるべきものではないことは理解されるべきである。事実、医薬、免疫学、薬理学、内分泌学の分野、または関連分野における当業者に明白な本発明を実施するための記載された形態の種々の修飾は本発明の範囲内にあることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】NFκB、NFAT、Elk-1、およびAP-1シグナル伝達経路を表す模式的ダイアグラムである。
【図2】図2A〜2Cは、アモキサピンおよびパロキセチンがNFAT経路を抑制することを示す一連の説明図である。T細胞を、増大させる量の試験薬物アモキサピン、パロキセチン、プレドニゾロン、およびシクロスポリンの有りまたは無しにて、PMA(90ng/ml)/イオノマイシン(5μg/ml)で活性化した。図2Aは、媒体または薬物処理でのプレインキュベーションの4時間前におけるNFATルシフェラーゼレポーターでトランスフェクトしたT細胞系統CCRF-CEMを示す(n=4実験)。図2Bは、精製され、NFAT1特異的抗体を施された一次T細胞のウェスタンブロットを示す。図2Cは、20分間薬物処理され、かつその後に1時間刺激し、かつ免疫蛍光のために処理されたT細胞系統CCRF-CEMの核移行分析を示す。
【図3】図3A〜3Cは、アモキサピンおよびパロキセチンがNF-κB経路を抑制することを示す一連の説明図である。T細胞を、増加させる量の試験薬物アモキサピン、パロキセチン、プレドニゾロン、シクロスポリンまたはCAPEの有りまたは無しにてPMA/イオノマイシンで活性化した。図3Aは、媒体または薬物処理でのプレインキュベーションの4時間前においてNF-κBルシフェラーゼレポーターでトランスフェクトされたT細胞系統CCRF-CEMの結果を示す(n=4実験)。図3Bは、精製され、かつNFAT1特異的抗体を施された一次T細胞からのウェスタンブロットの結果を示す。図3Cは、免疫蛍光のために処理されたT細胞系統CCRF-CEMの核移行分析を示す。
【図4】図4A〜図4Dは、アモキサピンおよびパロキセチンがAP1経路を抑制することを示す説明図である。一次T細胞を、PMAおよびイオノマイシンでの活性化から30分前に媒体または薬物と共にプレインキュベートした。細胞を後に30分間抽出し、ホスホ特異的な、全タンパク質を認識する抗体でのウェスタンブロット分析のために処理した。図4A:ERK;図4B:p38;図4C:JNK。ブロットを、ローディング対照としてのαチューブリンでプローブした。図4Dは、CCRF-CEM細胞へのAP1レポータープラスミドの一過性トランスフェクション、および引き続いてのPIでの活性化によって測定されたAP1依存性転写を表す説明図である。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
一般に、本発明は、免疫炎症性障害の治療、予防、および緩和を含む。さらに、そのような疾患を治療、予防、または緩和するのに有用な候補化合物および戦略を同定するためのスクリーニング方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に関する。
【0003】
免疫炎症性障害は、身体の免疫防御の不適切な活性化によって特徴付けられる。標的感染性侵入体よりはむしろ、免疫応答は身体のそれ自体の組織または移植された組織を標的とし、損傷する。免疫系によって標的とされる組織は障害によって変化する。例えば、多発性硬化症においては、免疫応答はニューロン組織に対して向けられ、他方、クローン病においては、消化管が標的とされる。免疫炎症性障害は何百万人の個体に影響し、それは、喘息、アレルギー性眼内炎症性疾患、関節炎、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、糖尿病、溶血性貧血、炎症性皮膚病、炎症性腸または胃腸障害(例えば、クローン病および潰瘍性結腸炎)、多発性硬化症、重症筋無力症、痒み/炎症、乾癬、リウマチ様関節炎、硬変、および全身エリテマトーデスを含む。
【0004】
免疫炎症性障害のための現行の治療養生法は、典型的には、免疫抑制剤に依拠する。これらの薬剤の有効性は変化でき、それらの使用はしばしば有害な副作用が伴う。従って、免疫炎症性障害の治療のための改良された治療剤および方法が必要とされる。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
本発明は、免疫炎症性障害を治療し、予防し、および緩和するための組成物、方法およびキットを特徴とする。
【0006】
1つの局面において、本発明は、グルココルチコイド受容体シグナル伝達活性を増加させる薬剤(例えば、プレドニゾロンおよびデキサメタゾンのようなグルココルチコイド受容体アゴニスト)、および炎症誘発性(proinflammatory)サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答(例えば、ケモカイン生産、細胞表面マーカーの発現)が低下するように、以下のシグナル伝達経路:NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の少なくとも1つ(望ましくは、2つ、3つ以上)のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤を含む組成物を特徴とする。これらの薬剤は、哺乳動物に投与した場合、炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答を緩和するのに十分な量で存在させる。所望であれば、グルココルチコイド受容体シグナル伝達活性を増加させる薬剤は低用量で組成物に存在させる。組成物は局所または全身投与用に処方できる。
【0007】
また、本発明は、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が緩和するように、以下のシグナル伝達経路:NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤の組合せを哺乳動物に投与することによって、免疫炎症性障害を治療、予防、または緩和するための方法を特徴とする。第一および第二の薬剤は、合わせて、免疫炎症性障害を治療、予防、または緩和するのに十分な量にて、同時に、または相互から28日以内に投与される。2つの薬剤は、望ましくは、相互から14日以内に、より望ましくは相互から7日以内に、なおより望ましくは、相互から24時間以内に、または同時にでも(すなわち、付随的に)投与される。所望であれば、グルココルチコイド受容体シグナル伝達活性を増加させる薬剤は低用量で投与される。
【0008】
本発明は、さらに、炎症細胞(例えば、T細胞)からの炎症性サイトカインの放出または該細胞における炎症性サイトカインの生産を緩和する方法を特徴とする。この方法は、炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が緩和されるように、以下のシグナル伝達経路:NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤と接触させることを含む。
【0009】
本発明の全ての前述の局面において、非ステロイド剤は、シグナル伝達経路(例えば、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路)の1つまたは複数のうちの1つまたは複数のシグナル伝達活性が調節される(例えば、増加、または減少される)ように、シグナル伝達分子の発現レベルまたは生物学的活性(例えば、酵素活性、リン酸化状態、または結合活性)を増加または減少させる薬剤であり得る。例えば、非ステロイド剤はNF-κB経路モジュレーター、NFAT経路モジュレーター、AP-1経路モジュレーター、またはElk-1経路モジュレーターであり得る。非ステロイド剤は、シグナル伝達経路(例えば、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路)の1つまたは複数のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子の発現レベルを低下させるアンチセンス化合物またはRNAi化合物でもあり得る。または、非ステロイド剤は、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、またはElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子のドミナントネガティブ形態またはドミナントネガティブをコードする発現ベクターであり得る。非ステロイド剤は、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子に結合し、かつシグナル伝達分子の生物学的活性を低下させる抗体でもあり得る。加えて、非ステロイド剤は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)またはヒストンアセチルトランスフェラーゼのモジュレーターのようなクロマチン立体配座に影響を与える薬剤であり得る。非ステロイド剤は、炎症誘発性サイトカインmRNA安定化複合体(例えば、TIA-1、TIAR、TTP)、またはこれらの複合体の活性化に導く経路の阻害剤でもあり得る。
【0010】
所望であれば、追加の治療化合物は本発明の組合せで処方し、または投与することができる。この追加の治療化合物は、例えば、NSAID、小分子免疫モジュレーター、COX-2阻害剤、DMARD、バイオロジック、キサンチン、抗コリン作動性化合物、β受容体アゴニスト、気管支拡張剤、非ステロイドカルシニューリン阻害剤、ビタミンDアナログ、ソラレン、レチノイド、または5-アミノサリチル酸であり得る。
【0011】
また、本発明は、免疫炎症性状態を治療、予防、または緩和するために候補化合物および戦略を同定するための種々のスクリーニング方法も特徴とする。例えば、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用であり得る組合せを同定するための1つの方法は、(a)インビトロにて炎症細胞(例えば、T細胞)を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増大させる薬剤および候補化合物と接触させる段階;および(b)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および候補化合物の組合せが、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤と接触したが候補化合物と接触していない細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカイン生産に比べて、これらの細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含む。炎症誘発性サイトカイン放出または生産の減少は、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せとして該組合せを同定する。
【0012】
免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な候補化合物を同定するためのもう1つのスクリーニング方法は、(a)低下したグルココルチコイド受容体シグナル伝達活性を有する炎症細胞を提供する段階;(b)これらの細胞を候補化合物に接触させる段階;および(c)該候補化合物が、該候補化合物と接触していない細胞に比べて該細胞からのサイトカインの放出または該細胞におけるサイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含む。サイトカインの放出または生産の低下は、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な化合物として該候補化合物を同定する。
【0013】
また、本発明は、(a)インビトロにて炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および候補化合物と接触させる段階;および(b)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および候補化合物の組合せが、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤と接触したが候補化合物と接触していない細胞からのサイトカインの放出または生産に比べて、これらの炎症細胞からのサイトカインの放出または該細胞におけるサイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含む、免疫炎症性障害の治療に有用であり得る組合せを同定する方法を特徴とする。サイトカインの放出または生産の低下は、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せとして該組合せを同定する。
【0014】
本発明は、さらに、(a)NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数において低下したシグナル伝達活性を有するように設計された炎症細胞を提供する段階;(b)これらの細胞を候補化合物と接触させる段階;および(c)該候補化合物が該候補化合物と接触していない細胞に比べて、細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含む、免疫調節障害の治療、予防、または緩和に有用な化合物を同定する方法を特徴とする。サイトカインの放出または生産における低下は、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な化合物として該候補化合物を同定する。
【0015】
本発明は、(a)NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する化合物を同定する段階;(b)インビトロにて炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および段階(a)で同定される化合物と接触させる段階;および(c)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および段階(a)で同定された化合物の組合せが、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤と接触したが段階(a)で同定された化合物と接触していない、あるいは段階(a)で同定された化合物と接触したがグルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤と接触していない細胞に比べて、該細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含む、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せを同定する方法も特徴とする。炎症誘発性サイトカインの放出または生産の低下は、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せとして該組合せを同定する。
【0016】
また、本発明は、(a)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、または他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する化合物を同定する段階;(b)インビトロにて炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および段階(a)で同定される化合物と接触させる段階;および(c)これらの薬剤の組合せが、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤と接触したが段階(a)で同定された化合物と接触していない、あるいは段階(a)で同定された化合物と接触したがグルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤と接触していない細胞からのサイトカインの放出または該細胞におけるサイトカインの生産に比べて、該細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含む、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せを同定する方法を特徴とする。炎症誘発性サイトカインの放出の低下は、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用なものとして該組合せを同定する。
【0017】
また、本発明は、(i)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤を含有する組成物;および(ii)免疫炎症性障害と診断された患者にこの組成物を投与するための指示書を含有するキットを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、(i)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤;(ii)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤;および(iii)免疫炎症性障害と診断された患者に、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および非ステロイド剤を投与するための指示書を含有するキットも特徴とする。
【0019】
本発明で提供されるもう1つのキットは、(i)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤;および(ii)免疫炎症性障害と診断された患者に、この薬剤、および炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB、NFAT、AP-1、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤を投与するための指示書を含有する。
【0020】
または、本発明は、(i)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤;および(ii)免疫炎症性障害と診断された患者に、この薬剤、およびグルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤を投与するための指示書を含有するキットを提供する。
【0021】
「免疫炎症性障害を治療し、緩和し、または予防する」とは、それが起こる前、または起こった後にそのような疾患を改善することを意味する。同等の未処置対照と比較して、そのような緩和、または予防の程度は、いずれかの標準的な技術によって測定して、少なくとも5%、10%、20%、40%、50%、60%、80%、90%、95%、または100%である。免疫炎症性障害について治療すべき患者は、医療実施者がそのような疾患を有すると診断した患者である。診断はいずれかの適当な手段によるものであってよい。当業者であれば、家族の履歴のような、1つまたは複数の危険因子の存在のため高い危険性がある者として、検査なしにこれらの患者は標準的な試験に供され得る、または同定され得ると理解するであろう。
【0022】
「患者」とは、いずれかの動物(例えば、ヒト)を意味する。本方法、組成物、およびキットを用いて治療することができる他の動物は、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、サル、モルモット、ラット、マウス、トカゲ、ヘビ、ヒツジ、ウシ、魚類、および鳥類を含む。
【0023】
「シグナル伝達経路」とは、外部の細胞刺激の結果として生じ、最終的には、細胞または生物学的効果(例えば、炎症)を誘導する特異的エフェクタータンパク質の発現に導く一連の細胞内分子シグナルを意味する。例えば、リガンドは細胞表面における受容体に結合することができ、その結果、種々の細胞タンパク質(例えば、プロテインキナーゼ)の動員および活性化をもたらす。一旦これらの初期細胞内タンパク質が活性化されると、外部シグナルは他の細胞内タンパク質の動員および活性化によってさらに伝播され、および増幅され、エフェクタータンパク質(例えば、炎症誘発性サイトカイン)の転写および発現をもたらし、これは、生物学的または細胞表現型(例えば、炎症)を誘導することができる。外部刺激は、外部刺激に曝露されていない細胞と比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%だけ、細胞におけるエフェクタータンパク質の発現を増加させることができる。開始刺激に応じて、シグナル伝達経路内の細胞内シグナル伝達分子の生物学的活性または発現レベルは、対照細胞におけるそのような活性または発現と比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%だけ、増加または減少し得る。
【0024】
「グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる」とは、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達経路に関与するシグナル伝達分子のいずれかの発現レベルまたは生物学的活性を増加させまたは減少させることを意味する。その結果、この分子の下流のシグナル伝達経路は増幅され、結局は、グルココルチコイド受容体シグナル伝達経路の全出力は増加する。そのようなシグナル伝達活性における増加は、当技術分野において公知の、または本明細書において記載されたいずれかの標準的な技術によって測定するように、未処理対照と比べて、少なくとも10%、20%、30%、0%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%だけ、シグナル伝達経路におけるシグナル伝達分子の発現レベルまたは生物学的活性を増加させるまたは減少させる結果であり得る。
【0025】
「シグナル伝達経路のシグナル伝達活性を低下させる」とは、シグナル伝達経路におけるシグナル伝達分子のいずれかの発現レベルまたは生物学的活性を低下させ、それにより、そのような分子の下流のシグナル伝達経路の伝播に干渉し、結局は、シグナル伝達経路の全出力に干渉することを意味する。そのような低下は、当技術分野において公知の、または本明細書において記載されたいずれかの標準的な技術によって測定するように、未処理対照と比べて、少なくとも10%、20%、30%、0%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%だけ、シグナル伝達経路におけるシグナル伝達分子の発現レベルまたは生物学的活性を増加させること、または減少させることの結果であり得る。最終的には、シグナル伝達経路(例えば、NFκB、NFAT、AP-1、およびElk-1経路の1つまたは複数)のシグナル伝達活性を低下させることによって、エフェクタータンパク質(例えば、炎症誘発性サイトカイン)の発現は、対照細胞と比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%だけ、低下する。または、炎症誘発性サイトカインの放出または生産のようなシグナル伝達経路の生物学的出力は、対照と比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%だけ低下される。
【0026】
グルココルチコイド受容体経路のシグナル伝達活性を増加させるに加えて、本発明による免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和は、炎症誘発性サイトカインの分泌または生産またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、以下のエフェクタータンパク質または転写因子:NFκB、NFAT、AP-1、およびElk-1の生産に関与する1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節することによって、達成される。そのような調節は、(図1に示すように)そのような経路に関与するシグナル伝達分子のいずれかの発現レベルまたは生物学的活性の増加または減少から、あるいは、図1に表すシグナル伝達活性のいずれかの調節によって由来することができる。例えば、NFATシグナル伝達経路のシグナル伝達活性は以下の活性:カルシウムフラックス、カルモジュリン活性化、カルシニューリン活性化、NFAT脱リン酸化、NFAT移行(translocation)、またはNFAT転写活性化の1つまたは複数に干渉する、またはそれを低下されることによって低下させることができる。NFκB経路のシグナル伝達活性は、PKC活性化、NIK活性化、IKK活性化、IκBリン酸化および破壊、NFκB移行、NFκB DNA結合、(p65に対する)NFκBリン酸化およびNFκB転写活性化を阻害し、または低下させることによって低下させることができる。AP-1のシグナル伝達活性は以下の:PKC活性化、MLKリン酸化、MAPキナーゼリン酸化および活性化(例えば、MMKK3/6リン酸化、JNK1/2リン酸化、MEKK4リン酸化、MKK4/7リン酸化、p38リン酸化、Rafリン酸化、MEK1/2リン酸化、ERK1/2リン酸化、およびcJunリン酸化)、AP-1 DNA結合、およびAP-1転写活性化の1つまたは複数を低下させることによって低下させることができる。NFAT、NFκB、AP-1、およびElk-1経路の少なくとも1つが低下するように、調節することができるシグナル伝達事象およびシグナル伝達分子を、例えば、図1に示す。NFκB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路は炎症誘発性サイトカインの放出または生産を増加させることができるので、1つまたは複数のこれらの経路の調節の結果、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和がもたらされる。
【0027】
「十分な量」とは、臨床的に関連する方法で免疫炎症病を治療または予防するのに必要な、本発明の組合せにおける、化合物の量を意味する。免疫炎症病に寄与することによって引き起こさせる疾患の治療的処置のために本発明を実施するのに用いられる活性化合物の十分な量は、投与の方法、哺乳動物または患者の年齢、体重、および一般的健康に依存して変化する。最終的に、処方者は適当な量および投薬養生法を決定するであろう。加えて、有効量は、(米国食料医薬品局のような)取締当局によって決定され、認可された、各薬剤単独よりも優れた免疫炎症病を有する患者の治療において安全かつ効果的な本発明の組合せにおける化合物のその量であり得る。
【0028】
「より効果的」とは、治療が、それと比較されるべきもう1つの治療よりも、大きな効果を呈するか、あるいはより低い毒性であり、より安全であり、より便宜であり、あるいは安価であることを意味する。効果は、所与の適応症に適切ないずれかの標準的方法を用いて技量ある実施者が測定することができる。
【0029】
用語「免疫炎症性障害」は、自己免疫疾患、増殖性皮膚病、および炎症性皮膚病を含む種々の疾患を含む。免疫炎症性障害の結果、炎症プロセスによる健康な組織の破壊、免疫系の制御不全(dysregulation)、および細胞の望まない増殖をもたらす。免疫炎症性障害の例は尋常性アクネ;急性呼吸逼迫症候群;アジソン病;アレルギー性鼻炎;アレルギー性眼内炎症病;ANCA関連小血管の血管炎;強直性脊椎炎;関節炎;喘息;アテローム性硬化症;アトピー性皮膚炎;自己免疫肝炎;自己免疫溶血性貧血;自己免疫肝炎;ベーチェット病;ベル麻痺;水泡性類天疱瘡;大脳虚血症;慢性閉塞性肺病;硬変;コーガン症候群;接触皮膚炎;COPD;クローン病;クッシング症候群;皮膚筋炎;真性糖尿病;円板状エリテマトーデス;好酸球性筋膜炎;結節性紅斑;剥奪性皮膚炎;線維筋痛;巣状糸球体硬化症;巣状分節状糸球体硬化症;巨細胞動脈炎;痛風;痛風性関節炎;移植片対宿主病;手湿疹;ヘーノホ-シェーンライン紫斑病;妊娠性疱疹;多毛症;特発性角膜強膜炎;特発性肺線維症;特発性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少性紫斑病、炎症性腸または胃腸障害、炎症性皮膚病;扁平苔癬;ループス腎炎;リンパ腫気管気管支炎;斑状浮腫;多発性硬化症;重症筋無力症;筋炎;非特異的線維形成性肺病;骨関節炎;膵臓炎;妊娠性類天疱瘡;尋常性天疱瘡;歯周炎;結節性多発性動脈炎;リウマチ性多発性筋炎;掻痒;掻痒/炎症陰嚢、乾癬;乾癬性関節炎;肺ヒストプラズマ症;リウマチ様関節炎;再発性多発性軟骨炎;サルコイドーシスによって引き起こされた酒さ;強皮症によって引き起こされた酒さ;スイート症候群によって引き起こされた酒さ;全身エリテマトーデスによって引き起こされた酒さ;蕁麻疹によって引き起こされた酒さ;帯状疱疹関連疼痛によって引き起こされた酒さ;サルコイドーシス;強皮症;分節状糸球体硬化症;肺血病ショック症候群;肩腱炎または滑液包炎;シェーグレン症候群;スティル病;発作誘導脳細胞死滅;水痘病;全身エリテマトーデス;全身性硬化症;高安動脈炎;側頭動脈炎;毒性表皮壊死病;移植片拒絶および移植片拒絶関連症候群;結核;I型糖尿病;潰瘍性結腸炎;ブドウ膜炎;血管炎およびヴェーゲナー肉芽腫症である。
【0030】
「非皮膚炎症性障害」は、例えば、リウマチ様関節炎、炎症性腸疾患、喘息、および慢性閉塞性肺病を含む。
【0031】
「皮膚炎症性障害」または「炎症性皮膚病」は、例えば、乾癬、急性発熱性好中球性皮膚病、湿疹(例えば、皮脂欠乏湿疹、発汗性湿疹、小胞性顔面湿疹)、形質細胞限局性亀頭炎、亀頭包皮炎、ベーチェット病、遠心性環状紅斑、色素異常性固定性紅斑、多形性紅斑、環状肉芽腫、光沢苔癬、扁平苔癬、硬化性萎縮性苔癬、慢性単純苔癬、棘状苔癬、貨幣状皮膚炎、壊疽性膿皮症、サルコイドーシス、角層下膿疱病、蕁麻疹、および一過性棘細胞離開皮膚病を含む。
【0032】
「増殖性皮膚病」とは、表皮または真皮における加速された細胞分裂によって特徴付けられる良性または悪性病を意味する。増殖性皮膚病の例は、乾癬、アトピー性皮膚炎、非特異的皮膚炎、原発性刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、皮膚の基底および扁平細胞癌腫、葉状魚燐癬、表皮剥離性角質増殖症、前癌性角化症、アクネ、および脂漏性皮膚炎である。
【0033】
当業者によって認識されるように、特定の疾病、障害または疾患は増殖性皮膚病および炎症性皮膚病双方であると特徴付けることができる。そのような疾病の例は乾癬である。
【0034】
「低用量」とは、いずれかのヒト疾病または疾患の治療用の投与の所与の経路についての処方された特定の化合物の最低標準推奨用量よりも少なくとも5%少ない(例えば、少なくとも10%、20%、50%、80%、90%、または95%さえ)を意味する。例えば、吸入による投与で処方されたグルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤の低用量は、経口投与のために処方された同一薬剤の低用量とは異なるであろう。
【0035】
「高用量」とは、いずれかのヒト疾病または疾患の治療用の特定の化合物の最高標準推奨用量よりも少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、50%、100%、200%、または300%さえ)を意味する。
【0036】
「候補化合物」とは、天然に生じるか、または人工的に誘導されるかを問わず、化学的を意味する。候補化合物は、例えば、ペプチド、ポリペプチド、合成有機分子、天然に生じる有機分子、核酸分子、ペプチド核酸分子、およびその成分、およびその誘導体を含むことができる。
【0037】
本発明で有用な化合物は、そのジアステレオマーおよびエナンチオマー、塩、エステル、溶媒和物、および多形、ならびに本明細書において記載された化合物のラセミ混合物および純粋な異性体のような異性体を含むそれらの薬学的に許容される形態のいずれかの本明細書において記載されたものを含む。
【0038】
「コルチコステロイド」とは、水素化シクロペンタノペルヒドロフェナントレン環系によって特徴付けられ、かつ免疫抑制および/または抗炎症活性を有するいずれかの天然に生じるまたは合成化合物を意味する。天然に生じるコルチコステロイドは、一般に、副腎皮質によって生産される。合成コルチコステロイドは、ハロゲン化されていてもよい。コルチコステロイドの例は、本明細書において提供する。
【0039】
「非ステロイドイムノフィリン依存性免疫抑制剤」または「NsIDI」とは、炎症誘発性サイトカインの生産または分泌を減少させ、イムノフィリンに結合し、または炎症誘発性反応のダウンレギュレーションを引き起こすいずれの非ステロイド剤も意味する。NsIDIはシクロスポリン、タクロリムス、アスコマイシン、ピメクロリムスならびにカルシニューリンのフォスファターゼ活性を阻害する他の薬剤(ペプチド、ペプチド断片、化学的に修飾されたペプチド、またはペプチド模倣体)を含む。NsIDIは、FK506結合タンパク質、FKBP-12に結合し、かつ白血球細胞の抗原誘導性増殖およびサイトカイン分泌をブロックするラパマイシン(シロリムス)およびエペロリムスを含む。
【0040】
「小分子免疫モジュレーター」とは、炎症誘発性サイトカインの生産または分泌を減少させ、炎症誘発性反応のダウンレギュレーションを引き起こし、あるいは、そうでなければ、イムノフィリン独立的に免疫系を調節する非ストロイドの非NsIDI化合物を意味する。例示的な小分子免疫モジュレーターはVX 702(Vertex Pharmaceuticals)、SCIO 469(Scios)、ドラマピモド(Boehringer Ingelheim)、RO 30201195(Roche)、およびSCIO 323(Scios)のようなp38 MAPキナーゼ阻害剤、DPC 333(Bristol Myers Squibb)のような、TACE阻害剤、プラナルカサン(Vertex Pharmaceuticals)のようなICE阻害剤、およびミコフェノレート(Roche)およびメリメポディブ(merimepodib)(Vertex Pharmaceuticals)のようなIMPDH阻害剤である。
【0041】
本発明の他の特徴および利点は、詳細な説明および特許請求の範囲から明らかであろう。
【0042】
詳細な説明
それらの効果にかかわらず、免疫炎症性障害を治療するためのグルココルチコイドの慢性的使用は、しばしば、深刻な全身性副作用に関連する。ステロイド分子の構造的修飾を介してステロイド治療ウインドウを広げるためにかなりの努力がなされてきたが、このアプローチは、混合した成功に合致するものであった。ここに、本発明者らは、衰弱性副作用を最小化しつつ、治療効果を促進するように、相乗的に相互作用する化合物の組合せを含む「統合的」療法の発見のために第一のハイスループットプラットホームを開発した。
【0043】
本発明は、炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する薬剤と組み合わせた、グルココルチコイド受容体(例えば、グルココルチコイド受容体アゴニスト)のシグナル伝達活性を増加させる薬剤の有効量の投与のための方法、組成物、およびキットを特徴とする。本発明に基づき、この組合せの投与は、TNF-αのような炎症性ケモカインまたはサイトカインの生産または放出を低下させることによって、炎症の低下を引き起こし、それにより、免疫炎症性障害の治療、予防および低下をもたらす。望ましくは、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤を、炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NFκB、NFAT、AP-1、およびElk-1経路の1つより多くのシグナル伝達活性を調節する薬剤(例えば、NFκBおよびNFATシグナル伝達経路の活性を調節する薬剤)と共に処方し、または投与する。
【0044】
本発明の組成物、方法、およびキットは、免疫炎症性障害、増殖性皮膚病、器官移植片拒絶、または移植片対宿主病を治療、予防、または緩和するのに有用である。複数剤の組合せも望ましいであろう。例えば、メトトレキセート、ヒドロキシクロロキン、およびスルファサラジンはリウマチ様関節炎の治療のために通常投与され、従って、本明細書において記載する組合せで投与することができる。
【0045】
本発明を以下により詳細に記載する。
【0046】
グルココルチコイド受容体シグナル伝達活性を増加させる薬剤
グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤は、本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、以下の経路:NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる薬剤と組み合わせて用いる。グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤は、最終的には、グルココルチコイド受容体駆動転写を増加させる。活性のそのような増加は、例えば、以下の活性:受容体結合、受容体/GC移行、受容体/GC DNA結合、受容体/GC転写活性化、または受容体/GCトランスレプションの1つまたは複数を増加させることによって、もたらすことができる。本発明の方法、組成物、およびキットで用いることができる例示的な薬剤は、その各々を参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,380,207号、第6,380,223号、第6,448,405号、第6,506,766号、および第6,570,020号、米国特許出願公開第20030176478号、第20030171585号、第20030120081号、第20030073703号、第2002015631号、第20020147336号、第20020107235号、第20020103217号、および第20010041802号、およびPCT公開番号WO00/66522に記載されている化合物を含む。本発明の方法、組成物、およびキットでやはり用いることができる他の薬剤は、その各々が、ここに引用して援用される、米国特許第6,093,821号、第6,121,450号、第5,994,544号、第5,696,133号、第5,696,127号、第5,693,647号、第5,693,646号、第5,688,810号、第5,688,808号、および第5,696,130号に記載されている。
【0047】
NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路のシグナル伝達活性を調節する薬剤
グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤は、炎症誘発性サイトカイン分泌または生産、あるいはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NFκB、NFAT、Elk-1、およびAP-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤と共に処方し、または投与する。この非ステロイド剤は、最終結果が、NFκB経路、NFAT経路、Elk-1経路、およびAP-1経路シグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性における調節であるように、これらの経路におけるシグナル伝達分子のいずれか1つの発現レベルまたは生物学的活性を増加または低下させることができる。有用な薬剤は、例えば、Palanki, Curr. Med. Chem. 9:219-27(2002)に記載されている。
【0048】
NFκB経路のシグナル伝達活性を調節する薬剤
NFκBシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する薬剤は、例えば、以下の活性:PKC活性化、NIK活性化、IKK活性化、IκBリン酸化および破壊、NFκB移行、NFκB DNA結合、NFκBリン酸化(p65)またはNFκB転写活性化の1つまたは複数を調節することができる。これらの化合物は、例えば、その全てを参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第20040092430号、第20040058930号、および第20030013170号、第20030078246号および第20030078246号、および2003年9月24日に出願されたU.S.S.N.10/670,488に記載されている。そのような薬剤はα-リポ酸、α-トコフェロール、アネトールジチオールチオン(ADT)、アスタキサンチン、ビス-ユージノール、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、セファランチンカフェー酸フェネチルエステル(3,4-ジヒドロキシ桂皮酸、CAPE)、カルノソール、カルベジロール、カテコール誘導体、デュルクミン(durcumin)(ジフェルロリルメタン)、ジベンジルブチロラクトンリガンド、ジエチルジチオカルバメート(DDC)、イフェロキサミン、ジヒドロリポ酸、フェノフィブリン酸と共にジラゼップ、ジメチルジチオカルバメート(DMDTC)、クルクミン(ジフェルロリルメタン)、ジスルフィラム、エブセレン、EPC-K1(ビタミンEおよびビタミンCのホスホジエステル化合物)、エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG;緑茶ポリフェノール)、エルゴチオネイン、ピルビン酸エチル、エチレングリコールテトラ酢酸(EGTA)、γ-グルタミルシステインシンテターゼ(γ-GCS)、ガノデルマ・ルシダム(ganoderma lucidum)多糖、イチョウ(ginkgo biloba)抽出物、グルタチオン、ヘマテイン、IRFI 042(ビタミンE様化合物)、ロンテトラキス、ラシジピン、ラザロイド、ルペオール、マグノロール、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)、N-アセチル-L-システイン(NAC)、ナシセリン(NAL)、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)、オルトフェナントロリン、フェノール性抗酸化剤(例えば、ヒドロキノンおよびtert-ブチルヒドロキノン)、フェニルアルシンオキサイド(PAO、チロシンホスファターゼ阻害剤)、ピロリンジチオカルバメート(PDTC)、ケルセチン、Rg(3)(チョウセンニンジン誘導体)、ロテノン、S-アリル-システイン(SAC)、ソーチノン(souchinone)、テポキサリン(5-(4-クロロフェニル)-N-ヒドロキシ-(4-メトキシフェニル)-N-メチル-1H-ピラゾール-3-プロパナミド)、α-トルフリルスクシネート、α-トルフリルアセテート、PMC(2,2,5,7,8-ペンタメチル-6-ヒドロキシクロマン)、およびヤクチノンAおよびBを含む。NFκB阻害剤はペプチドアルデヒド(ALLnL(N-アセチル-ロイシニル-ロイシニル-ノルロイシナール、MG101)、LLM(N-アセチル-ロイシニル-ロイシニル-メチオナール)、Z-LLnV、(カルボベンズオキシル-ロイシニル-ロイシニル-ノルバリナール、MG115)、Z-LLL(カルボベンズオキシル-ロイシニル-ロイシニル-ロイシナール、MG132)、ラクタシスチン、b-ラクトン、ボロン酸ペプチド、ユビキチンリガーゼ阻害剤、PS-341、シクロスポリンA、FK506(タクロリムス)、デオキシスペルグアニン、APNE(N-アセチル-DL-フェニルアラニン-b-ナフチルエステル)、BTEE(N-ベンゾイルL-チロシン-エチルエステル)、DCIC(3,4-ジクロロイソクマリン)、DFP(ジイソプロピルフルオロホスフェート)、TPCK(N-a-トシル-L-フェニルアラニンクロロメチルケトン)、カラグアリン(シダ誘導体)、LY29およびLY30、ペファブロック(セリンプロテアーゼ阻害剤)、ロカグラミド(アグライア誘導体)、ゲルダナマイシン、BMS-345541(4(2'-アミノエチル)アミノ-1,8-ジメチルイミダゾ(1,2-a)キノキサリン)、2-アミノ-3-シアノ-4-アリール-6-(2-ヒドロキシ-フェニル)プリリジンアナログ(化合物26)、アナンダミド、AS602868、BMS-345541、フラボピリドール、ジステロンダイマー、アピゲニン、HB-EGF(ヘパリン結合表皮成長因子様成長因子、LF15-0195(15-デオキシスペルグアリンのアナログ)、MX781(レチノイドアンタゴニスト)、イトロシルコバラミン(ビタミンB12アナログ)、スルバンタ、PTEN(腫瘍サプレッサー)、シリビニン、スルファサラジン、ピセアタンノール、ケルセチン、スタウロスポリン、ウェデロラクトン、ベツリン酸、ウルソル酸、アンクトーレ(ancthole)、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、アジドチミジン(AZT)、BAY-117082、(E3((4-メチルフェニル)-スルホニル)-2-プロペンニトリル)、BAY-117083、(E3((4-t-ブチルフェニル)-スルホニル)-2-プロペンニトリル)、ベンジルイソチオシアネート、カコスポンギオノリドB、カラグアリン(calagualine)、カルボプラチン、絨毛性ゴナンドトロピン、シクロエポキシドンのようなプロテオソーム阻害剤;1-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-3-ペンタ-1-エニルベンゼン、ジギトキシン、4-ヒドロキシノネナール(HNE)、メシル酸ガベキセート、グロッソジン・テヌイフォリア(glossogyne tenuifolia)、ヒドロキノン、イブプロフェン、インジルビン-3'-オキシム、インターフェロン-α、メトトレキセート、モノクロラミン、メシル酸ナファモスタット、オレアンドリン、パンドラチンA(panduratin A)、ペトロサスポンギオライドM、フィチン酸(イノシトールヘキサキスホスフェート)、プロスタグランジンA1、20(S)-プロトパナキサトリオール(ジンセノサイド代謝産物)、サンギナリン(プソイドケレリスリン、13-メチル-[1,3]-ベンゾジオキソロ-[5,6-c]-1,3-ジオキソロ-4,5フェナントリジニウム)、シリマリン、SOCS1、スリンダク、THI52(1-ナフチルエチル-6,7-ジヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン)、ベスナリノン、YopJ(偽結核エルシニア菌によってコードされる)アセタミノフェン、α-メラノサイト刺激ホルモン(α-MSH)、アメントフラボン、カワラヨモギ(artemisia capillaris thunb)抽出物、アウクビン(aucubin)、β-ラパチョン、カプサイシン(8-メチル-N-バニリル-6-ノネナミド)、C型肝炎ウイルス(HCV)のコアタンパク質、シクロリンテイノン(スポンジセステルテルペン)、ジアミド(チロシンホスファターゼ阻害剤)、E-73(シクロヘキシミドアナログ)、エカベットナトリウム、エモジン(3-メチル-1,6,8-トリヒドロキシアントラキノン)、エルブスタチン(チロシンキナーゼ阻害剤)、ホスフォマイシン、真菌グリオトキシン、メシル酸ガベキセート、ゲニステイン(チロシンキナーゼ阻害剤)、グリメピリド、硫酸グルコサミン、γ-グルタミシステインシンテターゼ、ハイポクロライト、イソマロトクロマノール(isomallotochromanol)、イソマロトクロメン(isomallotochromene)、K1L(ワクシニアウイルスタンパク質)、ホウキギ(Kochia scoparia)果実(メタノール抽出物)、レフルノミド代謝産物(A77 1726)、ロサルチン、LY294002[2-(4-モルホリニル)-8-フェニルクロモン]、5'-メチルチオアデノシン、U0126、ペルバナデート、フェニルアルシンオキサイド(PAO、チロシンホスファターゼ阻害剤)、プロスタグランジン15-デオキシ-デルタ(12,14)-PGJ(2)、レシニフェラトキシン、セスキテルペンラクトン(パルテノリド;エルゴリド;グアイアノリド)、チオペンタール、TNP-470、トリグリセリドリッチリポタンパク質、エポキシキノンAモノマー、Ro106-9920、コノフィリンMOL294(小分子)、レイン、アピゲニン(4',5,7-トリヒドロキシフラボン)、ジオキシン、アストラガロシドIV、アトルバスタチン、デヒドロキシメチルエポキシキノミシン(DHMEQ)、15-デオキシスペルグアリン、ヌクリングo,o'-ビスミリストイルチアミンジスルフィド(BMT)、ニコチンアミド、3-アミノベンズアミド、7-アミノ-4-メチルクマリン、アムリノン、アンジオポイエチン-1、アルテミシニン、アトルバスタット、バイカレイン(5,6,7-トリヒドロキシフラボン)、ベンフォチアミンビリベルジン、ビスフェノールA、カンプトテシン、カプロフィン、カプシエート、カタルポシド、ジアリールヘプタノイド7-(4'-ヒドロキシ-3'-メトキシフェニル)-1-フェニルヘプタ-4-エン-3-オン、DTD(4,10-ジクロロピリド[5,6:4,5]チエノ[3,2-d':3,2-d]-1,2,3-ジトリアジン)、E3330(キノン誘導体)、エポキシキノールA、フルニキシンメグルミン、フルルビプロフェン、ペントキシフィリン(1-(5'-オキソヘキシル)3,7-ジメチルキサンチン、PTX)、6(5H)-フェナントリジノンおよびベンズアミド、フェニル-N-tert-ブチルニトロン(PBN)、ピルフェニドン、ピリチオン、キナドリルラキソフェラスト、レバミピド、リバビリン、リファミデス、エオリプラム、サンゲノンC、SUN C8079、T-614、チルフォスチンAG-126、APC0576、D609、シクロプロジギオシンハイドロクロライド、プランルカスト、サイコシン、キナゾリン、レスベラトロール、RO31-8220、サウセルネオールD(saucerneol D)およびサウセルネオールE、トラニラスト[N-(3,4-ジメトキシシンナモイル)アントラニル酸]、3,4,5-トリメトキシ-4'-フルオロカルコン、トリプトリド、メサラミン、17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、6-アミノキナゾリン誘導体、ルテオリン、テトラチオモリブデート、トリリノレイン、トログリタゾン、ウォルトマンニン、およびリファンピシンも含む。MAPキナーゼのいずれかを低下させる薬剤はNFκBシグナル伝達活性も低下させることができ、さらに、後に記載する。
【0049】
NFAT経路のシグナル伝達活性を調節する薬剤
カルシウム感受性ホスファターゼカルシニューリンは、リンパ球活性化を含む種々の生物学的系に関係している。カルシニューリンの基質として、NFATファミリーの転写因子はリンパ球活性化において必須の役割を演じる。NFATシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する薬剤は2つのクラス、タンパク質阻害剤、および小分子阻害剤に分けることができる。これらの阻害剤のいくつかはカルシニューリンに結合し、脱リン酸化活性を抑制する。例えば、NFAT駆動転写を調節する薬剤は、以下の活性:カルシウムフラックス、カルモジュリン活性化、カルシニューリン活性化、NFAT脱リン酸化、NFAT移行、またはNFAT転写活性化のいずれか1つを調節する薬剤を含む(図1参照)。NFAT核移行を妨げるタンパク質阻害剤はAKAP79、カルシニューリン基質相互作用を妨げるスカフォールドタンパク質;カルシニューリン活性をブロックするCABINタンパク質;カルシニューリンBホモログ, CHP;およびNFAT2リン酸化および核輸入を妨げる能力を有するMCIP1、2、3タンパク質を含む。NFAT小分子阻害剤はシクロスポリンAおよびFK506を含む。メカニズム的には、シクロスポリンAおよびFK506は、カルシニューリン活性を阻害することによって、NFATを間接的に抑制する。これらの薬剤はNFAT特異的経路を標的とし、アロ反応性T細胞を阻害することによって免疫抑制剤として作用する。他の薬剤はA-285222、D-43787、およびTh1およびTh2サイトカイン遺伝子発現を阻害し、それにより、NFATの核局所化を間接的に阻害する3,5-ビストリフルオロメチルピラゾール(BTP)誘導体を含む。NFATシグナル伝達を低下させる他の例示的薬剤は、Current Medicinal Chemistry 11:997-1007、米国特許出願公開第20040002117号および第2002013230号ならびにPCT WO03/0103647においてMartinez-Martinez et al.によって記載されている。MAPキナーゼのいずれかを調節する薬剤はNFATシグナル伝達活性も調節することができ、さらに後に記載する。
【0050】
AP-1およびElk-1経路のシグナル伝達活性を調節する薬剤
本発明のグルココルチコイド受容体アゴニストは、AP-1シグナル伝達経路、Elk-1シグナル伝達経路、またはその双方のシグナル伝達活性を調節する薬剤と共に投与することができる。そのような薬剤は以下の活性:PKC活性化、MLKリン酸化、MAPキナーゼ(例えば、Raf、MEK1/2、Erk1/2、MEKK1-3、MEK4/7、JNK1/2、Tak1、MEK3/6またはp38)の活性化および/またはリン酸化、DNA結合活性、またはAP-1転写活性化の1つまたは複数を調節することができる。MAPキナーゼのいずれかを調節する薬剤は、AP-1およびElk-1シグナル伝達活性も調節することができ、後にさらに記載する。
【0051】
MAPキナーゼ阻害剤
MAPキナーゼタンパク質のファミリーはNFκB、NFAT、AP-1およびElk-1シグナル伝達経路にとって中枢的であるゆえに、MAPキナーゼタンパク質のリン酸化状態、活性化、または双方を調節するいずれの薬剤も、本明細書において記載された組合せのいずれかで有用である。従って、Raf、Mek1/2、ERK1/2、MEKK1/3、MEK4/7、JNK、p38、MEK3/6、Tak1タンパク質のいずれかの阻害剤を、例えば、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤と共に用いることができる。MAPキナーゼタンパク質のシグナル伝達活性を調節する薬剤は、例えば、Ravingerova et al., Mol. Cell Biochem. 247:127-38(2003)およびChang et al., Leukemia. 17:1263-93(2003)によって記載される。MEK阻害剤は、例えば、米国特許出願公開第20040087583号に記載されている。Erkキナーゼ阻害剤は、例えば、米国特許出願公開第20040082631号、第20040048861号、第20040029857号、第20030225151号、第20030195241号、第20030049820号、第20020151574号、第20030158238号、第20030092714号、第20030040536号、および第20020177618号に記載されている。Erkキナーゼ阻害剤は、さらに、Rubinfeld et al., Methods Mol. Biol. 250:1-28(2004)およびKohno et al., Prog. Cell Cycle Res. 5:219-24(2003)によって記載されている。Rafシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する薬剤は、例えば、Bollag et al., Curr. Opin. Invest. Drugs. 4:1436-41(2003)によって記載されている。
【0052】
p38阻害剤
N-(3-tert-ブチル-1-メチル-5-ピラゾリル)-N'-(4-(4-ピリジニルメチル)フェニル)尿素、RPR 200765A、SB203580、SB202190、UX-745、UX-702、UX-850およびSC10-469は例示的なp38阻害剤である。他のp38阻害剤は
に記載されている。p38阻害剤は
にもまた記載されている。
【0053】
JNKキナーゼ阻害剤
JNKキナーゼ阻害剤は、例えば、Bogoyevitch et al., Biochim. Biophys. Acta. 1697:89-101(2004)に、および米国特許出願公開第20040092562号、第20040087642号、第20040087615号、第20040082509号、第20040077877号、第20040072888号、第20040063946号、第20040023963号、第20030220330号、第20030162794号、第20030153560号、第20030108539号、第20030100549号、第20030096816号、第20030087922号、第2003073732号、第20020111353号、第20020103229号、第20020119135号、および第20040077632号に記載されている。
【0054】
他の治療剤
所望であれば、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NFκB、NFAT、およびElk-1、またはAP-1シグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤を含有する本発明の組成物は、追加の治療剤と共に処方し、または投与することができる。そのような薬剤は、例えば、コルチコステロイド、NSAID、COX-2阻害剤、DMARD、バイオロジック、キサンチン、抗コリン作動性化合物、β受容体アゴニスト、気管支拡張剤、非ステロイドカルシニューリン阻害剤、ビタミンDアナログ、ソラレン、レチノイド、および5-アミノサリチル酸を含む。
【0055】
コルチコステロイド
任意で、コルチコステロイドは本発明の組成物において処方することができ、あるいは本発明に従って治療すべき哺乳動物に投与することができる。適当なコルチコステロイドは11-α,17-α,21-トリヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;11-β,16-α,17,21-テトラヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;11-β,16-α,17,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;11-β,17-α,21-トリヒドロキシ-6-α-メチルプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;11-デヒドロコルチコステロン;11-デオキシコルチゾール;11-ヒドロキシ-1,4-アンドロスタジエン-3,17-ジオン;11-ケトテストステロン;14-ヒドロキシアンドロスト-4-エン-3,6-17-トリオン;15,17-ジヒドロキシプロゲステロン;16-メチルヒドロコルチゾン;17,21-ジヒドロキシ-16-α-メチルプレグナ-1,4,9(11)-トリエン-3,20-ジオン;17-α-ヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;17-α-ヒドロキシプレグネノロン;17-ヒドロキシ-16-β-メチル-5-β-プレグナ-9(11)-エン-3,20-ジオン;17-ヒドロキシ-4,6,8(14)-プレグナトリエン-3,20-ジオン;17-ヒドロキシプレグナ-4,9(11)-ジエン-3,20-ジオン;18-ヒドロキシコルチコステロン;18-ヒドロキシコルチゾン;18-オキソコルチゾール;21-デオキシアルドステロン;21-デオキシコルチゾン;2-デオキシエクジソン;2-メチルコルチゾン;3-デヒドロエクジソン;4-プレグネン-17-α,20-β,21-トリオール-3,11-ジオン;6,17,20-トリヒドロキシプレグナ-4-エン-3-オン;6-α-ヒドロキシコルチゾール;6-α-フルオロプレドニゾロン、6-α-メチルプレドニゾロン、6-α-メチルプレドニゾロン21-アセテート、6-α-メチルプレドニゾロン21-ヘミスクシネートナトリウム塩、6-β-ヒドロキシコルチゾール、6-α,9-α-ジフルオロプレドニゾロン21-アセテート17-ブチレート、6-ヒドロキシコルチコステロン;6-ヒドロキシデキサメタゾン;6-ヒドロキシプレドニゾロン;9-フルオロコルチゾン;アルクロメタゾンジプロピオネート;アルドステロン;アルゲストン;αデルム;アマジノン;アムシノニド;アナゲストン;アンドロステンジオン;アネコルタブアセテート;ベクロメタゾン;ベクロメタゾンジプロピオネート;ベクロメタゾンジプロピオネート一水和物;ベタメタゾン17-バレレート;ベタメタゾンナトリウムアセテート;ベタメタゾンナトリウムホスフェート;ベタメタゾンバレレート;バラステロン;ブデソニド;カルステロン;クロルマジノン;クロロプレドニゾン;クロロプレドニゾンアセテート;コレステロール;クロベタゾール;クロベタゾールプロピオネート;クロベタゾン;クロコルトロン;クロコルトロンピバレート;クロゲストン;クロプレドノール;コルチコステロン;コルチゾール;コルチゾールアセテート;コルチゾールブチレート;コルチゾールシピオネート;コルチゾールオクタノエート;コルチゾールナトリウムホスフェート;コルチゾールナトリウムスクシネート;コルチゾールバレレート;コルチゾン;コルチゾンアセテート;コルトドキソン;ダツラオロン;デフラザコルト、21-デオキシコルチゾール、デヒドロエピアンドロステロン;デルマジノン;デオキシコルチコステロン;デプロドン;デスシノロン;デソニド;デスオキシメタゾン;デキサフェン;デキサメタゾン;デキサメタゾン21-アセテート;デキサメタゾンアセテート;デキサメタゾンナトリウムホスフェート;ジクロリソン;ジフロラゾン;ジフロラゾンジアセテート;ジフルコルトロン;ジヒドロエラテリシンa;ドモプレドネート;ドキシベタゾール;エクジソン;エクジステロン;エンドリソン;エノキソロン;フルシノロン;フルドロコルチゾン;フルドロコルチゾンアセテート;フルゲストン;フルメタゾン;フルエメタゾンピバレート;フルモキソニド;フルニソリド;フルオシノロン;フルオシノロンアセトニド;フルオシノニド;9-フルオロコルチゾン;フルオコルトロン;フルオロヒドロキシアンドロステンジオン;フルオロメトロン;フルオロメトロンアセテート;フルオキシメステロン;フルプレドニデン;フルプレドニゾロン;フルランドレノリド;フルチカゾン;フルチカゾンプロピオネート;フォルメボロン;フォルメスタン;フォルモコルタール;ゲストノロン;グリデリニン;ハルシノニド;ヒルカノシド;ハロメタゾン;ハロプレドン;ハロプロゲステロン;ヒドロコルチゾンシピオネート;ヒドロコルチゾン;ヒドロコルチゾン21-ブチレート;ヒドロコルチゾンアセポネート;ヒドロコルチゾンアセテート;ヒドロコルチゾンブテプレート;ヒドロコルチゾンブチレート;ヒドロコルチゾンシピオネート;ヒドロコルチゾンヘミスクシネート;ヒドロコルチゾンプロブテート;ヒドロコルチゾンナトリウムホスフェート;ヒドロコルチゾンナトリウムスクシネート;ヒドロコルチゾンバレレート;ヒドロキシプロゲステロン;イノコステロン;イソフルプレドン;イソフルプレドンアセテート;イソプレドニデン;メクロリソン;メコルトロン;メドロゲストン;メドロキシプロゲステロン;メドリゾン;メゲストロール;メゲストロールアセテート;メレンゲストロール;メプレドニゾン;メタンドロステノロン;メチルプレドニゾロン;メチルプレドニゾロンアセポネート;メチルプレドニゾロンアセテート;メチルプレドニゾロンヘミスクシネート;メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート;メチルテストステロン;メトリボロン;モメタゾン;モメタゾンフロエート;モメタゾンフロエート一水和物;ニソン;ノメゲストロール;ノルゲストメト;ノルビニステロン;オキシメステロン;パラメタゾン;パラメタゾンアセテート;ポナステロン;プレドニソラメート(prednisolamate);プレドニゾロン;プレドニゾロン21-ヘミスクシネート;プレドニゾロンアセテート;プレドニゾロンファルネシレート;プレドニゾロンヘミスクシネート;プレドニゾロン-21(β-D-グルクロニド);プレドニゾロンメタスルフォベンゾエート;プレドニゾロンナトリウムホスフェート;プレドニゾロンステアグレート;プレドニゾロンテブテート;プレドニゾロンテトラヒドロフタレート;プレドニゾン;プレドニバール;プレドニリデン;プレグネノロン;プロシノニド;トラロニド;プロゲステロン;プロメゲストン;ラポンティステロン;リメキソロン;ロキシボロン;ルブロステロン;スチゾフィリン;チキソコルトール;トプテロン;トリアムシノロン;トリアムシノロンアセトニド;トリアムシノロンアセトニド21-パルミテート;トリアムシノロンジアセテート;トリアムシノロンヘキサアセトニド;トリメゲストン;ツルケステロン;およびウォルトマンニンを含む。
【0056】
種々のステロイド/疾患組合せについての標準的な推奨用量を以下の表1に提供する。
【0057】
(表1)標準的な推奨コルチコステロイド用量
【0058】
コルチコステロイドについての他の標準的な推奨用量は、例えば、Merck Manual of Diagnosis & Therapy(17th Ed. MH Beers et al., Merck & Co.)およびPhysicians'Desk Reference 2003(57th Ed. Medical Economics Staff et al., Medical Economics Co., 2002)に提供されている。1つの態様において、投与されるコルチコステロイドの用量は、本明細書において定義されるように、プレドニゾロン用量と同等な用量である。例えば、コルチコステロイドの低い用量は、プレドニゾロンの低い用量と同等な用量と考えることができる。
【0059】
本発明の方法、組成物、およびキットにおいてコルチコステロイドの代替物として、またはコルチコステロイドに加えて用いることができる他の化合物はA-348441(Karo Bio)、副腎皮質抽出物(GlaxoSmithKline)、アルサクチド(Aventis)、アメブコルト(Schering AG)、アメロメタゾン(Taisho)、ATSA(Pfizer)、ビトルテロール(Elan)、CBP-2011(InKine Pharmaceutical)、セバラセタム(Novartis)CGP-13774(Kissei)、シクレゾニド(Altana)、シクロメタゾン(Aventis)、クロベタゾンブチレート(GlaxoSmithKline)、クロプレドノール(Hoffmann-La Roche)、コリスマイシンA(Kirin)、ククルビタシンE(NIH)、デフラザコルト(Aventis)、デプロドンプロピオネート(SSP)、デキサメタゾンアセフレート(Schering-Plough)、デキサメタゾンリノレエート(GlaxoSmithKline)、デキサメタゾンバレレート(Abbott)、ジフルプレドナート(Pfizer)、ドモプレドネート(Hoffmann-La Roche)、エビラチド(Aventis)、エチプレドノールジクロアセテート(IVAX)、フルアザコルト(Vicuron)、フルモキソニド(Hoffmann-La Roche)、フルオコルチンブチル(Schering AG)、フルオコルトロン一水和物(Schering AG)、GR-250495X(GlaxoSmithKline)、ハロメタゾン(Novartis)、ハロプレドン(Dainippon)、HYC-141(Fidia)、イコメタゾンエヌブテート(Hovione)、イトロシノニド(AstraZeneca)、L-6485(Vicuron)、Lipocort(Draxis Health)、ロシコルトン(Aventis)、メクロリソン(Schering-Plough)、ナフロコルト(Bristol-Myers Squibb)、NCX-1015(NicOx)、NCX-1020(NicOx)、NCX-1022(NicOx)、ニココルトニド(Yamanouchi)、NIK-236(Nikken Chemicals)、NS-126(SSP)、Org-2766(Akzo Nobel)、Org-6632(Akzo Nobel)、P16CM、プロピルメステロロン(Schering AG)、RGH-1113(Gedeon Richter)、ロフレポニド(AstraZeneca)、ロフレポニドパルミテート(AstraZeneca)、RPR-106541(Aventis)、RU-26559(Aventis)、Sch-19457(Schering-Plough)、T25(Matrix Therapeutics)、TBI-PAB(Sigma-Tau)、チカベゾンプロピオオネート(Hoffmann-La Roche)、チフルアドム(Solvay)、チモベゾン(Hoffmann-La Roche)、TSC-5(Takeda)、およびZK-73634(Schering AG)を含む。
【0060】
疾患特異的治療剤
慢性閉塞性肺疾患
1つの態様において、本発明の方法、組成物、およびキットが慢性閉塞性肺病(COPD)の治療で用いられる。所望であれば、COPDを治療するのに典型的に用いられる1つまたは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおける組合せの代替物として、または該組合せに加えて用いることができる。そのような薬剤はキサンチン(例えば、テオフィリン)、抗コリン作動性化合物(例えば、イプラトロピウム、チオトロピウム)、バイオロジック、小分子免疫モジュレーター、およびβ受容体アゴニスト/気管支拡張剤(例えば、硫酸イブテロール、メシル酸ビトルテロール、エピネフリン、フマル酸フォルモテロール、イソプロテロノール(isoproteronol)、塩酸レバルブテロール、硫酸メタプロテレノール、酢酸ピルブテロール、キシナホ酸サルメトロール、およびテルブタリン)を含む。
【0061】
乾癬
本発明の方法、組成物、およびキットは乾癬の治療で用いることができる。所望であれば、乾癬を治療するのに典型的に用いられる1つまたは複数の抗乾癬剤を、本発明における組合せの代替物として、または該組合せに加えて用いることができる。そのような薬剤はバイオロジック(例えば、アレファセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、エファリズマブ、エタネルセプト、およびCDP-870)、小分子免疫モジュレーター(例えば、VX702、SCIO 469、ドラマピモド、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラナルカサン、マイコフェノレート、およびメリネポジブ)、非ステロイドカルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス、およびISAtx247)、ビタミンDアナログ(例えば、カルシポトリエン、カルシポトリオール)、ソラレン(例えば、メトキサレン)、レチノイド(例えば、アシトレチン、タゾレテン)、DMARD(例えば、メトトレキセート)、およびアントラリンを含む。従って、1つの態様において、本発明は、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、NFκB、NFAT、AP-1、Elk-1シグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる非ステロイド剤、および抗乾癬剤の組合せ、およびそれらによる乾癬を治療する方法を特徴とする。
【0062】
炎症性腸疾患
本発明の方法、組成物、およびキットは炎症性腸疾患の治療で用いることができる。所望であれば、炎症性腸疾患を治療するのに典型的に用いられる1つまたは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおいて特徴的な組合せに加えて用いることができる。そのような薬剤は(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、およびCDP-870)、小分子免疫モジュレーター(例えば、VX702、SCIO 469、ドラマピモド、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラナルカザン、マイコフェノレート、およびメリメポジブ)、非ステロイドカルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス、およびISAtx247)、5-アミノサリチル酸(例えば、メサラミン、スルファサラジン、バルサラジド二ナトリウム、およびオルサラジンナトリウム)、DMARD(例えば、メトトレキセートおよびアザチオプリン)およびアロセトロンを含む。従って、1つの態様において、本発明は、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、NFκB、NFAT、AP-1、Elk-1シグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる非ステロイド剤、および前記薬剤のいずれかの組合せ、およびそれらによる炎症性腸疾患を治療する方法を特徴とする。
【0063】
リウマチ様関節炎
本発明の方法、組成物、およびキットはリウマチ様関節炎の治療で用いることができる。所望であれば、リウマチ様関節炎を治療するのに典型的に用いられる1つまたは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットで特徴とする組合せに加えて用いることができる。そのような薬剤はNSAID(例えば、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、コリンマグネシウムトリサリシレート、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸(サルサレート)、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナメートナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダク、およびトルメチン)、COX-2阻害剤(例えば、ロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、およびルミラコキシブ(lumiracoxib))、バイオロジック(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、CDP-870、リツキシマブ、およびアトリズマブ)、小分子免疫モジュレーター(例えば、VX 702、SCIO 469、ドラマピモド、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラナルカサン、マイコフェノレート、およびメリメポジブ)、非ステロイドカルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス、およびISAtx247)、5-アミノサリチル酸(例えば、メサラミン、スルファサラジン、バルサラジド二ナトリウム、およびオルサラジンナトリウム)、DMARD(例えば、メトトレキセート、レフルノミド、ミノシクリン、オーラノフィン、金ナトリウムチオマレート、オーロチオグルコース、およびアザチオプリン)、硫酸ヒドロキシクロロキン、およびペニシラミンを含む。従って、1つの態様において、本発明は、前記薬剤のいずれかと共に、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、NFκB、NFAT、AP-1、Elk-1シグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる非ステロイド剤の組合せ、およびそれらによるリウマチ様関節炎を治療する方法を特徴とする。
【0064】
喘息
本発明の方法、組成物、およびキットは喘息の治療で用いることができる。所望であれば、喘息を治療するのに典型的に用いられる1つまたは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるコルチコステロイドに加えて用いることができる。そのような薬剤はβ2アゴニスト/気管支拡張剤/ロイコトリエンモディファイアー(例えば、ザフィルルカスト、モンテルカスト、およびジロートン)、バイオロジック(例えば、オマリズマブ)、小分子免疫モジュレーター、抗コリン作動性化合物、キサンチン、エフェドリン、グアイフェネシン、クロモリンナトリウム、ネドクロミルナトリウム、およびヨウ化カリウムを含む。従って、1つの態様において、本発明は、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、NFκB、NFAT、AP-1、Elk-1シグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる非ステロイド剤、および前記薬剤のいずれかの組合せ、およびそれらによるリウマチ様関節炎を治療する方法を特徴とする。
【0065】
非ステロイドイムノフィリン依存性免疫抑制剤
1つの態様において、本発明は、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、NFκB、NFAT、AP-1、Elk-1シグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる非ステロイド剤、および非ステロイドイムノフィリン依存性免疫抑制剤(NsIDI)を使用する方法、組成物、およびキットを特徴とする。
【0066】
健康な個体において、免疫系はB細胞およびT細胞のような細胞エフェクターを用いて、正常な細胞を無傷のまま残しつつ、乾癬性微生物および異常な細胞型をその標的とする。自己免疫障害または移植された器官を持つ個体において、活性化されたT細胞は健康な組織を損傷させる。カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス)、およびラパマイシンは、T細胞を含む多くのタイプの免疫制御細胞を標的とし、器官移植および自己免疫障害において免疫応答を抑制する。
【0067】
シクロスポリン
シクロスポリンは、免疫抑制剤として作用する環状オリゴペプチドのクラスを含む真菌代謝産物である。シクロスポリンAおよびその重水素化アナログISAtx247は、11アミノ酸からなる疎水性環状ポリペプチドである。シクロスポリンAは細胞内受容体シクロフィリンに結合し、それとで複合体を形成する。シクロスポリン/シクロフィリン複合体はCa2+-カルモジュリン依存性セリン-スレオニン特異的タンパク質ホスファターゼであるカルシニューリンに結合し、それを阻害する。カルシニューリンは、T細胞活性化に必要な情報伝達(signal transduction)事象を媒介する(Schreiber et al., Cell 70:365-368, 1991で総説されている)。シクロスポリンおよびそれらの機能的および構造的アナログは、抗原トリガリング情報伝達を阻害することによってT細胞依存性免疫応答を抑制する。この阻害は、IL-2のような炎症誘発性サイトカインの発現を減少させる。
【0068】
多くのシクロスポリン(例えば、シクロスポリンA、B、C、D、E、F、G、H、およびI)は真菌によって生産される。シクロスポリンAは、Novartisから商品名NEORALで商業的に入手可能である。シクロスポリンAの構造的および機能的アナログは、(例えば、米国特許第5,227,467号に記載された)1つまたは複数のフッ素化アミノ酸を有するシクロスポリン;(例えば、米国特許第5,122,511号および第4,798,823号に記載された)修飾されたアミノ酸を有するシクロスポリン;および(米国特許公開第20020132763号に記載された)ISAtx247のような重水素化シクロスポリンを含む。さらなるシクロスポリンアナログは、米国特許第6,136,357号、第4,384,996号、第5,284,826号、および第5,709,797号に記載されている。シクロスポリンアナログは、限定されるものではないが、Cruz et al.(Antimicrob. Agents Chemother. 44:143-149, 2000)に記載された、D-Sar(α-SMe)3 Val2-DH-Cs(209-825)、アロ-Thr-2-Cs、ノルバリン-2-Cs、D-Ala(3-アセチルアミノ)-8-Cs、Thr-2-Cs、および(D-MeSer-3-Cs、D-Ser(O-CH2CH2-OH)-8-Cs、およびD-Ser-8-Csを含む。
【0069】
シクロスポリンは高度に疎水性であって、(例えば、体液と接触して)水の存在下で容易に沈殿する。改良された生物学的利用性をシクロスポリン処方に提供する方法は米国特許第4,388,307号、第6,468,968号、第5,051,402号、第5,342,625号、第5,977,066号、および第6,022,852号に記載されている。シクロスポリンマイクロエマルジョン組成物は米国特許第5,866,159号、第5,916,589号、第5,962,014号、第5,962,017号、第6,007,840号、および第6,024,978号に記載されている。
【0070】
シクロスポリンは静脈内または経口いずれかで投与することができるが、経口投与が好ましい。シクロスポリンAの疎水性に反対に作用させるためには、静脈内シクロスポリンAは、通常、投与に先立って、希釈されなければならないエタノール-ポリオキシエチル化ヒマシ油媒体中にて提供される。シクロスポリンAは、例えば、25mgまたは100mg錠剤にて、または100mg/ml経口溶液(NEORAL(商標))にて、マイクロエマルジョンとして提供することができる。
【0071】
典型的には、経口シクロスポリンの患者用量は患者の状態に従って変化するが、先行技術の治療養生法におけるいくつかの標準的推奨用量が本明細書において提供される。器官移植を受けている患者は、典型的には、12および15mg/kg/日の間の量にて経口シクロスポリンAの初期用量を受ける。次いで、7〜12mg/kg/日維持用量に達するまで、用量を1週間当たり5%だけ徐々に減少させる。静脈内投与では、2〜6mg/kg/日がほとんどの患者で好ましい。クローン病または潰瘍性結腸炎を有すると診断された患者では、6〜8mg/kg/日の用量が一般には与えられる。全身エリテマトーデスを有すると診断された患者では、2.2〜6.0mg/kg/日の用量が一般には与えられる。乾癬またはリウマチ様関節炎では、0.5〜4mg/kg/日の用量が典型的である。他の有用な用量は0.5〜5mg/kg/日、5〜10mg/kg/日、10〜15mg/kg/日、15〜20mg/kg/日、または20〜25mg/kg/日を含む。しばしば、シクロスポリンは、グルココルチコイドのような他の免疫抑制剤と組み合わせて投与される。追加の情報を表2に掲げる。
【0072】
(表2)NsIDI
凡例
CsA=シクロスポリンA
RA=リウマチ様関節炎
UC=潰瘍性結腸炎
SLE=全身エリテマトーデス
【0073】
タクロリムス
FK506としても知られたタクロリムス(PROGRAF、Fujisawa)は、T細胞の細胞内情報伝達経路を標的とする免疫抑制剤である。タクロリムスは、シクロフィリンに構造的に関連しない細胞内タンパク質FK506結合タンパク質(FKBP-12)に結合する(Harding et al. Nature 341:758-7601, 1989;Siekienka et al. Nature 341:755-757, 1989;およびSoltoff et al., J. Biol. Chem. 267:17472-17477, 1992)。FKBP/FK506複合体はカルシニューリンに結合し、カルシニューリンのホスファターゼ活性を阻害する。この阻害は、リンホカイン(例えば、IL-2、γインターフェロン)の生産およびT細胞活性化に必要な遺伝子転写を開始させる核成分であるNFATの脱リン酸化および核移行を妨ぐ。従って、タクロリムスはT細胞活性化を阻害する。
【0074】
タクロリムスは、ストレプトミセス・ツクバエンシス(Streptomyces tsukubaensis)によって生産されるマクロライド抗生物質である。それは、免疫系を抑制し、移植された器官の生存を延長する。それは現在経口および注射処方で入手できる。タクロリムスカプセルはゼラチンカプセルシェル内に0.5mg、1mg、または5mgの無水タクロリムスを含有する。注射処方は、注射に先立って9%塩化ナトリウムまたは5%デキストロースで希釈されるヒマシ油およびアルコール中に5mgの無水タクロリムスを含有する。経口投与が好ましい場合、経口カプセルを摂取することができない患者は注射タクロリムスを受けることができる。初期用量は、連続的静脈内注入によって移植から6時間後間もなく投与すべきである。
【0075】
タクロリムスおよびタクロリムスアナログはTanaka et al.(J. Am. Chem. Soc., 109:5031, 1987)によって、および米国特許第4,894,366号、第4,929,611号および第4,956,352号において記載されている。FR-900520、FR-900523、およびFR-900525を含むFK506関連化合物は米国特許第5,254,562号に記載されており;O-アリール、O-アルキル、O-アルケニル、およびO-アルキニルマクロライドは米国特許第5,250,678号、第532,248号、第5,693,648号に記載されており;アミノO-アリールマクロライドは米国特許第5,262,533号に記載されており;アルキリデンマクロライドは米国特許第5,284,840号に記載されており;N-ヘテロアリール、N-アルキルヘテロアリール、N-アルケニルヘテロアリール、およびN-アルキニルヘテロアリールマクロライドは米国特許第5,208,241号に記載されており;アミノマクロライドおよびその誘導体は米国特許第5,208,228号に記載されており;フルオロマクロライドは米国特許第5,189,042号に記載されており;アミノO-アルキル、O-アルケニル、およびO-アルキニルマクロライドは米国特許第5,162,334号に記載されており;およびハロマクロライドは米国特許第5,143,918号に記載されている。
【0076】
提唱される用量は患者の状態に従って変化するが、先行技術の治療養生法で用いられる標準的な推奨用量を以下に掲げる。クローン病または潰瘍性結腸炎を有すると診断された患者は0.1〜0.2mg/kg/日経口タクロリムスが投与される。移植された器官を有する患者は、典型的には、経口タクロリムスの0.1〜0.2mg/kg/日の用量を受ける。リウマチ様関節炎について治療されている患者は、典型的には、1〜3mg/日経口タクロリムスを受ける。乾癬の治療では、0.01〜0.15mg/kg/日の経口タクロリムスが患者に投与される。アトピー性皮膚炎は、0.03〜0.1%タクロリムスを有するクリームを患部領域に適用することによって1日2回処置することができる。経口タクロリムスカプセルを受ける患者は、典型的には、移植から6時間後間もなく最初の用量を受け、あるいは静脈内タクロリムス注入から8〜12時間後を中断した。他の提唱されるタクロリムス用量は0.005〜0.01mg/kg/日、0.01〜0.03mg/kg/日、0.03〜0.05mg/kg/日、0.05〜0.07mg/kg/日、0.07〜0.10mg/kg/日、0.10〜0.25mg/kg/日、または0.25〜0.5mg/kg/日を含む。
【0077】
タクロリムスは、混合-機能オキシダーゼ系によって、特に、チトクロームP-450系によってかなり代謝される。代謝の一次的メカニズムは脱メチル化およびヒドロキシル化である。種々のタクロリムス代謝産物は免疫抑制生物学的活性を呈するようであるが、13-デメチル代謝産物はタクロリムスと同一の活性を有すると報告されている。
【0078】
ピメクロリムスおよびアスコマイシン誘導体
アスコマイシンは、FK506の密接な構造的アナログであり、優れた免疫抑制剤である。それはFKBP-12に結合し、そのプロリンロタマーゼ活性を抑制する。アスコマイシン-FKBP複合体はカルシニューリン、2B型ホスファターゼを阻害する。
【0079】
(SDZ ASM-981としても公知の)ピメクロリムスはアスコマイシンの33-エピ-クロロ誘導体である。それはストレプトミセス・ハイグロスコピカス変種アスコミセイトゥス(Streptomyces hygroscopicus var. ascomyceitus)株によって生産される。タクロリムスのように、ピメクロリムス(ELIDEL(商標)、Novartis)は、FKBP-12に結合し、カルシニューリンホスファターゼ活性を阻害し、初期サイトカインの転写をブロックすることによってT細胞活性化を阻害する。特に、ピメクロリムスはIL-2の生産、および他の炎症誘発性サイトカインの放出を阻害する。
【0080】
ピメクロリムスの構造的および機能的アナログは米国特許第6,384,073号に記載されている。ピメクロリムスはアトピー性皮膚炎の治療で特に有用である。ピメクロリムスは、現在、1%クリームとして入手できる。個々の用量は患者の状態に従って変化するが、いくつかの標準推奨用量を以下に提供する。経口ピメクロリムスは、40〜60mg/日の量にて、乾癬またはリウマチ様関節炎の治療で与えることができる。クローン病または潰瘍性結腸炎の治療では、80〜160mg/日ピメクロリムスの量を与えることができる。器官移植を有する患者には、160〜240mg/日のピメクロリムスを投与することができる。全身エリテマトーデスを有すると診断された患者には、40〜120mg/日のピメクロリムスを投与することができる。ピメクロリムスの他の有用な用量は0.5〜5mg/日、5〜10mg/日、10〜30mg/日、40〜80mg/日、80〜120mg/日、またはさらには120〜200mg/日を含む。
【0081】
ラパマイシン
ラパマイシン(Rapamune(登録商標)、シロリムス、Wyeth)はSteptomyces hygroscopicusによって生産される環状ラクトンである。ラパマイシンは、Tリンパ球の活性化および増殖を阻害する免疫抑制剤である。シクロスポリン、タクロリムス、およびピメクロリムスのように、ラパマイシンはイムノフィリンFKBP-12との複合体を形成するが、ラパマイシン-FKBP-12複合体はカルシニューリンホスファターゼ活性を阻害しない。ラパマイシン-イムノフィリン複合体は、細胞周期進行に必要なキナーゼであるラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)に結合し、それを阻害する。mTORキナーゼ活性の阻害はTリンパ球の増殖およびリンホカインの分泌をブロックする。
【0082】
ラパマイシンの構造的および機能的アナログはモノおよびジアシル化ラパマイシン誘導体(米国特許第4,316,885号);ラパマイシン水溶性プロドラッグ(米国特許第4,650,803号);カルボン酸エステル(PCT公開番号WO92/05179);カルバメート(米国特許第5,118,678号);アミドエステル(米国特許第5,118,678号);ビオチンエステル(米国特許第5,504,091号);フッ素化エステル(米国特許第5,100,883号);アセタール(米国特許第5,151,413号);シリルエーテル(米国特許第5,120,842号);二環誘導体(米国特許第5,120,725号);ラパマイシンダイマー(米国特許第5,120,727号);O-アリール、O-アルキル、O-アルケニル、およびO-アルキニル誘導体(米国特許第5,258,389号);および重水素化ラパマイシン(米国特許第6,503,921号)を含む。さらなるラパマイシンアナログは米国特許第5,202,332号および第5,169,851号に記載されている。
【0083】
エベロリムス(40-O-(2-ヒドロキシエチル)ラパマイシン;CERTICAN(商標);Novartis)は、ラパマイシンに構造的に関連する免疫抑制マクロライドであり、シクロスポリンAと組み合わせて投与された場合、器官移植の急性拒絶を妨げることにおいて特に有効であることが判明している。
【0084】
ラパマイシンは、現在、液体および錠剤処方にて経口投与用に入手できる。RAPAMUNE(商標)液体は、投与に先立って水またはオレンジジュースに希釈される1mg/mLラパマイシンを含有する。1または2mgのラパマイシンを含有する錠剤も入手できる。移植後できるだけ早く、ラパマイシンは好ましくは毎日1回投与する。それは経口投与後に迅速かつ完全に吸収される。典型的には、ラパマイシンの患者用量は患者の状態に従って変化するが、いくつかの標準的推奨用量を以下に掲げる。ラパマイシンについての初期負荷用量は6mgである。2mg/日の引き続いての維持用量が典型的である。または、3mg、5mg、10mg、15mg、20mg、または25mgの負荷用量を、1日当たり1mg、3mg、5mg、7mg、または10mgの維持用量と共に用いることができる。40kg未満の体重の患者において、ラパマイシン用量は、典型的には、体表面積に基づいて調製され、一般に、3mg/m2/日負荷用量および1-mg/m2/日維持用量が用いられる。
【0085】
ペプチド部分
NFAT、NFκB、AP-1、またはElk-1シグナル伝達経路を損なう、天然、合成、または化学的に修飾されたペプチド、ペプチド模倣体、ペプチド断片は本発明を実施するのに用いるのに適当である。NFAT活性化およびNFAT転写因子を阻害することによってカルシニューリン阻害剤として作用するペプチドの例は、例えば、Aramburu et al., Science 285:2129-2133, 1999およびAramburu et al., Mol. Cell 1:627-637, 1998によって記載されている。カルシニューリン阻害剤のクラスとして、これらの薬剤は本発明の方法で有用である。
【0086】
例示的阻害剤は、標的タンパク質の量またはRNAのレベルを低下させる化合物(例えば、アンチセンス化合物、dsRNA、リボザイム)、および結合パートナーに対して内因性有糸分裂カイネシンまたはタンパク質チロシンホスファターゼと競合する化合物(例えば、ドミナントネガティブタンパク質またはそれをコードするポリヌクレオチド)を含む。
【0087】
アンチセンス化合物
有糸分裂カイネシンおよびタンパク質チロシンホスファターゼの生物学的活性は、標的タンパク質をコードするRNAに向けられたアンチセンス化合物の使用を通じて低下させることができる。シグナル伝達分子の発現を低下させるアンチセンス化合物は標準的な技術を用いて同定することができる。例えば、シグナル伝達分子の標的mRNAの接近可能な領域は、MFOLDのようなRNA二次構造折畳みプログラムを用いて予測することができる(M. Zuker, D. H. Mathews & D. H. Turner, Algorithms and Thermodynamics for RNA Secondary Structure Prediction:A Practical Guide., RNA Biochemistry and Biotechnology, J. Barciszewski & B. F. C. Clark,eds., NATO ASI Series, Kluwer Academic Publishers(1999))。mRNAの予測される最も安定な折畳みの5%以内の自由エネルギー値を持つ部分最適(sub-optimal)折畳みは、その中で残基が相補的塩基を見出して、塩基対結合を形成できる200塩基のウィンドウを用いて予測される。塩基対を形成しないオープン領域は各部分最適折畳みと一緒に合わされ、オープンとして予測される領域はアンチセンスヌクレオベースオリゴマーへの結合に対してより接近可能であると考えられる。アンチセンス設計についての他の方法は、例えば、米国特許第6,472,521号、Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 1997 7:439-444、Nucleic Acids Research 28:2597-2604, 2000、およびNucleic Acids Research 31:4989-4994, 2003に記載されている。
【0088】
RNA干渉
シグナル伝達分子の生物学的活性は、例えば、二本鎖RNA(ds RNA)、あるいは問題とするシグナル伝達分子に向けられた小さな干渉性RNA(si RNA)を使用するRNA干渉(RNAi)の使用を通じて低下させることができる(例えば、Miyamoto et al., Prog. Cell. Cycle Res. 5:349-360, 2003;米国特許出願公開第20030157030号参照)。そのような干渉性RNAを設計するための方法は当技術分野において公知である。例えば、干渉性RNAを設計するためのソフトウェアはOligoengine(Seattle, WA)から入手可能である。
【0089】
ドミナントネガティブタンパク質
当業者であれば、標的とすべきシグナル伝達分子に対するドミナントネガティブタンパク質をどのようにして作製するかを知っているであろう。そのようなドミナントネガティブタンパク質は、例えば、Gupta et al., J. Exp. Med., 186:473-478, 1997;Maegawa et al., J. Biol. Chem. 274:30236-30243, 1999;Woodford-Thomas et al., J. Cell Biol. 117:401-414, 1992に記載されている。
【0090】
炎症誘発性サイトカイン抑制活性についてのアッセイ
本発明の組合せの治療または抗炎症有効性は、当技術分野において公知のいずれかの標準的な方法によって、あるいは本明細書において記載されたように測定することができる。例えば、標的化シグナル伝達経路に関与するシグナル伝達分子のいずれかの発現レベルまたは生物学的活性は、当技術分野において公知のいずれかの標準的な方法(例えば、リン酸化実験、ウェスタンおよびノーザン分析、ELISA、および免疫組織化学)によって測定することができる。シグナル伝達分子の発現または生物学的活性が、未処理対照におけるそのような発現または生物学的活性に比べて低下するならば、該組合せは本発明に従って有用であると同定される。この場合、シグナル伝達分子は、シグナル伝達経路における地点の下流が標的とされる役割を有する。所望ならば、NFκB、NFAT、AP-1、およびElk-1の発現レベルまたは生物学的活性も測定することができる。
【0091】
シグナル伝達経路におけるシグナル伝達分子の発現レベルまたは生物学的活性を検出することに加えて、本発明の組合せの抗炎症有効性を、(本明細書において記載されるように)炎症誘発性サイトカインの放出または生産についてアッセイすることによって測定することができる。TNF-α生産は、例えば、TNF-α転写を測定することによって、あるいはELISAによりTNF-αタンパク質レベルを測定することによって評価することができる。化合物希釈マトリックスは、後に記載するように、TNFα、IFNγ、IL-1β、IL-2、IL-4、およびIL-5の抑制についてアッセイすることができる。
【0092】
TNFα
最終濃度2μg/mLのリポ多糖(Sigma L-4130)での処理によって、ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc)の各ウェル内に含まれる希釈されたヒト白血球細胞の100μl懸濁液を刺激して、TNFαを分泌させる。種々の濃度の各試験化合物を刺激の時点に加える。湿潤化インキュベーター中の37℃における16〜18時間のインキュベーションの後に、プレートを遠心し、上清を、抗TNFα抗体(PharMingen, #551220)で被覆した白色不透明ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc, Maxisorb)に移す。2時間のインキュベーションの後、プレートを、0.1%Tween20を含有するPBSで洗浄し(Tecan Power Washer 384)、ビオチン標識されたもう1つの抗TNFα抗体(PharMingen, #554511)およびストレプトアビジンにカップリングしたHRP(PharMingen, #13047E)と共にさらに1時間インキュベートする。プレートを0.1%Tween20/PBSで洗浄した後、HRP発光基質を各ウェルに加え、光強度をLJL Analystプレートルミノメーターを用いて測定する。
【0093】
IFNγ
ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc)の各ウェル内に含まれる希釈されたヒト白血球細胞の100μL懸濁液を、最終濃度10ng/mLフォルボール12-ミリステート13-アセテート(Sigma, P-1585)および750ng/mLイオノマイシン(Sigma, I-0634)での処理によって、刺激して、IFNγを分泌させる。種々の濃度の各試験化合物を刺激の時点で加える。湿潤化インキュベーター中での37℃における16〜18時間のインキュベーションの後、プレートを遠心し、上清を、抗IFNγ抗体(Endogen, #M-700A-E)で被覆した白色不透明ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc, Maxisorb)に移す。2時間のインキュベーションの後、プレートを、0.1%Tween20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)を含有するリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で洗浄し(Tecan Power Washer 384)、ビオチン標識したもう1つの抗IFNγ抗体(Endogen, M701B)、およびストレプトアビジンにカップリングしたホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)(PharMingen, #13047E)と共にさらに1時間インキュベートする。プレートを0.1%Tween20/PBSで洗浄した後、HRP発光基質を各ウェルに加え、LJL Analystプレートルミノメーターを用いて光強度を測定する。
【0094】
IL-1β
最終濃度2μg/mLリポ多糖(Sigma L-4130)での処理によって、ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc)の各ウェル内に含まれる希釈されたヒト白血球細胞の100μL懸濁液を刺激して、IL-1βを分泌させる。種々の濃度の各試験化合物を刺激の時点で加える。湿潤化インキュベーター中での37℃における16〜18時間のインキュベーションの後、プレートを遠心し、抗IL-1β抗体(R&D, #MAB-601)で被覆した白色不透明ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc, Maxisorb)に上清を移す。2時間のインキュベーションの後、プレートを、0.1%Tween20を含有するPBSで洗浄し(Tecan Power Washer 384)、ビオチン標識したもう1つの抗IL-1β抗体(R&D, BAF-201)およびストレプトアビジンにカップリングしたHRP(PharMingen, #13047E)と共にさらに1時間インキュベートする。プレートを0.1%Tween20/PBSで洗浄した後、HRP発光基質を各ウェルに加え、LJL Analystプレートルミノメーターを用いて光強度を測定する。
【0095】
IL-2
最終濃度10ng/mLのフォルボール12-ミリステート13-アセテート(Sigma, P-1585)、および750ng/mLイオノマイシン(Sigma, I-0634)での処理によって、ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc)の各ウェル内に含まれる希釈されたヒト白血球細胞の100μL懸濁液を刺激して、IL-2を分泌させる。種々の濃度の各試験化合物を刺激の時点で加える。湿潤化インキュベーター中での37℃における16〜18時間のインキュベーションの後、プレートを遠心し、上清を、抗IL-2抗体(PharMingen, #555051)で被覆した白色不透明ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc, Maxisorb)に上清を移す。2時間のインキュベーションの後、プレートを、0.1%Tween20を含有するPBSで洗浄し(Tecan Power Washer 384)、ビオチン標識したもう1つの抗IL-2抗体(Endogen, M600B)、およびストレプトアビジンにカップリングしたHRP(PharMingen, #13047E)と共にさらに1時間インキュベートする。プレートを0.1%Tween20/PBSで洗浄した後、HRP発光基質を各ウェルに加え、LJL Analystプレートルミノメーターを用いて光強度を測定する。
【0096】
IL-4およびIL-5
製造業者の指示に従い、BD PharMingen Cytometric 6 Bead Arrayシステムを用いて、IL-4およびIL-5サイトカイン発現の分析を行う。簡単に述べれば、バフィコートアッセイプレートからの上清を、標識されたサイトカイン検出ビーズカクテルと共にインキュベートする。次いで、試料を洗浄し、再懸濁させ、BD Pharmingen FACsCaliburフローサイトメーターで読む。次いで、BD Pharmingen CBA 6 Bead Analysisソフトウェアを用いてデータを分析する。
【0097】
実施例1:アモキサピンおよびパロキセチンによって阻害される平行シグナル伝達経路
材料および方法
薬物
0.1mM MES(2-(N-モルホリノエタンスルホン酸)(Sigma)緩衝液中で調製したアモキサピンを除いて、全ての薬物について、ストック溶液はDMSO中で作製した。フォルボールミリステートアセテート(PMA)(100μg/ml)、およびイオノマイシン(5mg/ml)のDMSO中ストック溶液を培養基で希釈して、最終濃度のPMA(10ng/ml, 16.2nM)およびイオノマイシン(750μg/ml, 1μM)を生じさせた。
【0098】
細胞および細胞系統
献血されたヒト血液(赤十字, Rhode Island)からの新鮮なバフィーコート調製物を用いて、Ficoll-Plaque(Pharmacia)層化遠心によって末梢血液単核細胞(PBMC)を単離した。「汎用T細胞単離キットII-ヒト」(Miltenenyibiotec, ドイツ国)を用いてT細胞をPBMCから精製した。リンパ性白血病T細胞系統(CCRF-CEM)はAmerican Type Cell Culture(ATCC)から入手した。全ての細胞は、10%血清(Gibco)および1%Pen-Strep溶液(Cellgro)を補足したRPMI 1640倍地(Cellgro)中で増殖させた。核移行実験では、細胞を、0.1%血清を含有する血清飢餓培地中で増殖させた。
【0099】
サイトカインスクリーニングのためのELISA
酵素連結免疫吸着検定法(ELISA)のための抗体は、BD Pharmingenから入手した。いくらか修飾を施した標準的手法によって、サンドイッチELISAを行った。バフィーコートまたは単離されたT細胞を、化合物およびインデューサー(PMA/イオノマイシン(PI))を含有する384ウェルプレート中で培養基で希釈した。プレートを37℃にて16〜18時間インキュベートした。遠心の後、上清を除去し、捕獲抗体を含有する384ウェルプレートに移した。捕獲抗体を4℃にて一晩被覆し(16〜18時間)、吸引し、上清を加えた。2時間のインキュベーションの後、プレートをPBS(0.1%Tween20)で洗浄し、検出抗体を加えた。蛍光強度はルミノメーター(LJLまたはWallac)によってルシフェラーゼ基質(Amersham)で測定した。
【0100】
トランス活性化アッセイ
ヌクレオフェクション(Nucleofector;AMAXA, ドイツ国)を用い、レポータープラスミドをCCRF-CEM細胞に移した。ホタルルシフェラーゼ(Luc)を発現するレポータープラスミドはStratageneから購入した。pNFAT-Lucは4つのNFAT結合部位を含み;pGRE-Lucは4つのGRE部位を含み、およびpAP1-Lucは7つのAP1結合部位を含む。NFκBルシフェラーゼ受容体、p(IL6κB)3-50hu.IL6-luc+は3つのNFκB部位を含み、これはDe Bosscher博士(University of Ghent, Belgium)の寛大な贈与物であった。100μLのAmaxa[R]Cell系溶液に懸濁させた107の細胞をキュベットに移した。(10:1)の比率でレポータープラスミド(ホタルルシフェラーゼ)および対照プラスミド(pRL-TK-Renilla)(Renilla luciferase)(Promega)を含有する1μL(1μg/μL)の溶液を細胞懸濁液に加えた。トランスフェクションをプログラムT-14を用いるAmaxa Nucleofectorで行い、これは、CCRF-CEM細胞で最大効率を与えた。トランスフェクションの後、細胞を200μL培地に懸濁させ、1時間回復させ、2×薬物を含有する等容量の培地を加え、37℃にて30分間インキュベートした。次いで、細胞をさらに5時間PIで刺激した。プラスミドおよび対照Renillaプラスミドの各々のルシフェラーゼ活性を、Promegaルシフェラーゼアッセイキットにおける手法にて測定した。
【0101】
ウェスタンブロットアッセイ
精製された一次ヒトT細胞(1×106細胞/mlにおける107T細胞)を種々の薬物で37℃にて30分間予備処理し、次いで、PMAおよびイオノマイシンで30分間刺激した。次いで、細胞をペレット化し、2×タンパク質ロード色素(Invitrogen, NP0008)で抽出した。全細胞溶解物を沸騰し、ローディングの前に遠心した。レーン当たり10〜15μlの溶解物(ほぼ250,000細胞)を(Invitrogenからプレキャストした)10〜12%トリス-ビスゲル、または3〜8%トリス-アセテートゲルで泳動させた。Owl Semi-Dryエレクトロブロッティングシステムを用い、30分間で、タンパク質をイモビロンPVDF膜(Millipore)に免疫ブロットした。膜を2時間で4%ミルクでブロックし、次いで、適当な一次抗体と共にインキュベートし、3回洗浄し、次いで、二次抗体でプローブした。Chemi-glow(商標)(Alpha Innotech)化学発光検出溶液を加え、イメージを可視化し、Alpha Imager8900(Alpha Innotech)を用いて捕獲した。BD Transduction Laboratory(#610703)から入手した抗体を用いてNFAT1を可視化した。Santa Cruz Biotechnology(#sc371)からの抗体を用い、IκB-αを可視化した。細胞シグナル伝達から得られた以下の抗体を用いてマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)を可視化した:ERK p44/p42(phospho, #9101;全, #9102);p38(phospho, #9211;全, #9212);およびJNK/SAPK(phospho, #9251;全, #9252)。
【0102】
移行アッセイ
CCRF-CEM細胞を完全培地(10%血清、RPMI 1640)中で2×105細胞/mlの密度まで増殖させ、次いで、血清飢餓培地(0.1%FBS、RPMI1640)中で一晩16時間増殖させた。細胞をポリL-リシン-被覆カバーグラス(Fisher)上に落とし、15分間カバーグラスに付着させた。細胞-被覆カバーグラスを薬物と共に20分間プレインキュベートし、次いで、血清飢餓培地中で1×PMA+イオノマイシンまたはプレドニゾロンいずれかで1時間刺激した。薬物+刺激体とのインキュベーションとの後に、培地を吸引し、細胞をPBS中の3.7%ホルムアルデヒドで15分間固定した。細胞を1×PBS、0.2%トリトンで3回洗浄し、「Superblock」(商標)(Pierce)中で2回15分間ブロックし、一次抗体(1:5000希釈)と共に30分間インキュベートした。BD Transduction Laboratory(#610703)から入手した抗体を用いてNFAT1を可視化した。NFκB(p65成分)を、Santa Cruz Biotechnologyから入手した抗体(#sc-372)を用いて可視化した。標識された二次抗体(Alexa Fluor(商標), Molecular Probes)を加える前に、カバーグラスを再度3回洗浄した。核はDAPI(Sigma)で標識した。最後に、カバーグラスをPBS/トリトンで1回洗浄し、Nikon蛍光顕微鏡下で観察するために、Fluoromount(商標)を用いてガラス顕微鏡スライド上に封入した。転写因子の核への移行は、盲検化スライドのスコアリングによって定量した。
【0103】
結果
NFAT経路を抑制するアモキサピンおよびパロキセチン
T細胞活性化の結果は、カルシニューリン、セリン/スレオニンホスファターゼを活性化する細胞内カルシウムの増加である。カルシニューリンは、今度は、NFATの核移行をトリガーする細胞質NFATを脱リン酸化する。核において、NFATは、それらの転写誘導に寄与するTNFαを含む炎症性遺伝子のプロモーターにおける制御部位に結合する。本発明者らの実験において、本発明者らは、NFAT活性化の3つのステージ:i)NFATタンパク質の脱リン酸化、ii)NFATの核への移行、およびiii)NFAT依存性転写の活性化に対するアモキサピンおよびパロキセチンの効果を調べた。
【0104】
T細胞を、35〜50歳の年齢の間の男性ドナーのバフィーコートから単離した。これらのT細胞をPMA/イオノマイシン(PI)でインビトロにて30分間活性化し、ウェスタンブロットでの移動度シフトによって、NFATのリン酸化を分析した。活性化されたT細胞における脱リン酸化NFATはSDS PAGEにおいてより大きな移動度でもって移動し、従って、バンドシフトを生じる。結果を図2Bに示す。予測されるように、シクロスポリン、カルシニューリンの直接的阻害剤のプレインキュベーションはバンドシフトを3nM未満に妨げた。同様に、アモキサピン(3μM)およびパロキセチン(30μMの周りの僅かな効果)とのプレインキュベーションはバンドシフトを妨げた。プレドニゾロンは、3μMまでNFAT脱リン酸化に対して効果を有しなかった。シクロスポリンおよびアモキサピン双方で観察されたバンドシフト転移濃度は1000倍だけ分離され、これは、PI刺激TNFα放出アッセイで観察されたそれらの能力の差に密接にマッチする。
【0105】
PI活性化CCRF-CEM細胞における核へのNFATの移行は、免疫蛍光によって追跡した(図2C)。再度、予測されるように、シクロスポリンはNFATの移行を阻害し、5nMのIC50値を生じ、これは、サイトカイン阻害剤およびNFATバンドシフトアッセイ双方におけるシクロスポリンの挙動と密接に平行する。アモキサピンおよびパロキセチンもまた、各々、4μMおよび30μMのIC50にて、NFAT移行を阻害した。プレドニゾロンはこのアッセイで活性でなかった。NFAT移行実験の総じての結果は、サイトカインで観察された化合物能力のランク順位およびウェスタンブロットの分析と合致する。
【0106】
最後に、NFAT依存性転写は、NFATレポータープラスミドのCCRF-CEM細胞への一過性トランスフェクション、および引き続いてのPIでの活性化によって測定した。結果を図2Aに示す。シクロスポリンは、5nMのIC50でもってPI刺激NFAT転写を阻害することにおいて再度効果的であり、これは、サイトカインで観察された効果、バンドシフト、および移行アッセイと合致する。アモキサピンおよびパロキセチンは、各々、2μMおよび9μMのIC50を生じた。プレドニゾロンは高用量においてさえ強力な阻害を示さなかった。
【0107】
NF-κB経路を抑制するアモキサピンおよびパロキセチン
NFATのように、NFκBは、炎症誘発性サイトカイン遺伝子の活性化についての臨界的制御転写因子である。NFκBはIκBとの複合体にて細胞質に隔離される。T細胞の活性化に際して、IκBはリン酸化され、分解され、NFκBを遊離させて、核を移動させ、炎症に関与する遺伝子を活性化する。本発明者らは、IκBの分解、NFκBの核への移行、およびNFκB依存性転写活性化に対するアモキサピンおよびパロキセチンの効果を評価した。
【0108】
一次T細胞をPIでインビトロにて活性化し(30分)、ウェスタンブロット分析のために抽出した。シクロスポリン、アモキサピンおよびパロキセチンは異なる能力でもってIκBを安定化する(図3B)。シクロスポリンは最も優れており、30nMで開始する効果を持つ。アモキサピンおよびパロキセチンの効果は、各々、25μMおよび15μMで開始した。この観察は、TNFα阻害アッセイにおけるこれらの化合物で観察された能力のランク順位の逆である。プレドニゾロンはIκB分解に対して効果を有しなかった。
【0109】
NFκBの核への移行は、NFκBのp65成分に対する抗体を用いる免疫蛍光によって、活性化されたCCRF-CEM細胞でアッセイされた。結果を図3Cに示す。再度、シクロスポリンは、20nMのIC50でもってNFkB移行を効果的に阻害した。アモキサピンおよびパロキセチンは、ほとんど同一の阻害曲線を有し、各々は20nMのIC50を生じた。プレドニゾロンはNFkB移行に対して効果を有しなかった。
【0110】
NFκB依存性転写は、NFκBレポータープラスミドのCCRF-CEM細胞への一過性トランスフェクションおよび引き続いてのPIでの活性化によって測定した。この実験の結果は、図3Aに示す。NFκB阻害剤CAPEは、予測されたように阻害したが、シクロスポリンは1μMまでNFkB転写アッセイにおいてほとんど効果を有しなかった。シクロスポリンおよびアモキサピンは高い濃度において同様な効果でもって挙動し(IC50=20μM)、他方、パロキセチンは30μMの最高濃度にて40%阻害を達成した。プレドニゾロンは1μMにおいて30%阻害を示し、これは、NFκB転写の報告されたグルココルチコイドトランス抑制と合致する。
【0111】
MAPキナーゼ経路を抑制するアモキサピンおよびパロキセチン
T細胞活性化は複数の情報伝達経路をトリガーする。NFATおよびNFkB活性化に加えて、MAPキナーゼカスケードもまた活性化される。このカスケードは、ERK、p38、およびJNKの活性化において順応する3つの主なアームからなる。これらのMAPキナーゼのいくつかの基質はELK1、ERG、およびAP1のような転写因子を含み、これは、今度は、炎症性遺伝子発現を制御する。本発明者らは、アモキサピンまたはパロキセチンの存在下でERK、p38、およびJNKの活性化を追跡するように設定した。
【0112】
精製された一次T細胞を30分間活性化し、ウェスタンブロット分析のために抽出した。各MAPK種の全量の測定によって正規化された、MAPKの各タイプでの制御部位に対するホスホ特異的抗体を用い、各MAPKの活性化を追跡した(図4A〜4C)。試験した最高用量のシクロスポリン(1μM)、プレドニゾロン(3μM)、アモキサピン(30μM)、およびパロキセチン(30μM)でさえ、ERK1/2のリン酸化を阻害することにおいて効果的でなかった。対照的に、30nMを超えるシクロスポリンでは、いくらかのホスホ-p38阻害の証拠はなかった。パロキセチンは10μMを超えてホスホ-p38のいくらかの阻害を示したが、アモキサピンおよびプレドニゾロンはp38アッセイで効果を有しなかった。JNK活性化を分析した場合、シクロスポリンは30nMを超えてJNK活性化を阻害することが観察された。アモキサピンおよびパロキセチンは共に10〜20μMを超えて同様な阻害を示した。プレドニゾロンはJNKに対して効果を有しなかった。
【0113】
AP1依存性転写は、CCRF-CEM細胞へのAP1レポータープラスミドの一過性トランスフェクション、および引き続いてのPIでの活性化によって測定した(図4D)。シクロスポリンは、TNF-PIの完全に近い阻害を生じる濃度の100倍を超えるレベルである1μMまでほとんど効果を示さなかった。対照的に、アモキサピンおよびパロキセチンは、これらの薬物がサイトカインアッセイにおいて効果を有するレベルである20〜30μMの範囲のIC50でもって同様な阻害曲線を示す。300nMにおけるプレドニゾロンが30%阻害を生じ、これは、AP1転写で観察されたグルココルチコイドトランス抑制と合致する。
【0114】
投与
本発明の方法のいずれかの特別な態様において、化合物は相互から10日以内に、相互から5日以内に、相互から24時間以内に、または同時に投与される。化合物は単一組成物として一緒に処方できるか、あるいは別々に処方し、投与することができる。1つまたは双方の化合物は低用量または高用量で投与することができ、その各々は本明細書において定義される。患者に、コルチコステロイド、NSAID(例えば、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニザール、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、コリンマグネシウムトリサリシレート、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナメートナトリウム、メトキシカム、オキサプロジン、スリンダク、およびトルメチン)、COX-2阻害剤(例えば、ロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、およびルミラコキシブ)、またはDMARDのような他の化合物を投与するのが望ましいであろう。本発明の組合せ療法は、他の抗サイトカイン剤、あるいは細胞接着に影響する薬剤のような疾病に対して正に働くように免疫応答を調節する薬剤、あるいはバイオロジック(すなわち、IL-6、IL-1、IL-2、IL-12、IL-15またはTNFαの作用をブロックする薬剤(例えば、エタネルセプト、アダリムマブ、インフリキシマブ、またはCDP-870))と組み合わせて免疫炎症性障害の治療で特に有用である。この例(TNFαの効果をブロックする薬剤の例)において、組合せ療法はサイトカインの生産を低下させ、エタネルセプトまたはインフリキシマブは炎症誘発性サイトカインの残りの機能に作用し、増強された治療を提供する。
【0115】
本発明による療法は単独、またはもう1つの療法と組み合わせて行うことができ、家庭、医師のオフィス、クリニック、病院の外来患者部門、または病院で提供することができる。治療は、任意で、医師が治療の効果を綿密に観察し、必要ないずれかの調整をなすことができるように病院で開始し、あるいはそれは外来患者ベースで開始することができる。療法の持続は治療するべき疾病または障害のタイプ、患者の年齢および状態、患者の疾病のステージおよびタイプ、およびどのようにして患者が療法に応答するかに依存する。加えて、炎症性疾患を発症するより大きな危険性を有する個人(例えば、年齢関連ホルモン変化を受けつつある個人)は、兆候の開始を阻害し、または遅らせるために療法を受けることができる。
【0116】
種々の態様のための投与経路は、限定されるものではないが、局所、経皮、および(静脈内、筋肉内、皮下、吸入、直腸、頬、膣、腹腔内、関節内、目または経口投与のような)全身投与を含む。本明細書において用いるように、「全身投与」とは全ての投与の非皮膚経路をいい、具体的には、投与の局所および経皮経路を排除する。
【0117】
組合せ療法において、組合せの各成分の投与の用量および頻度は独立してコントロールすることができる。例えば、1つの化合物は1日当たり3回投与することができ、他方、第二の化合物は1日当たり1回投与することができる。組合せ療法は、患者の身体が予測されないいずれかの副作用から回復する機会を有するように、休息期間を含むオンおよびオフサイクルにて与えることができる。また、化合物は、1つの投与が双方の化合物を送達するように一緒に処方することもできる。
【0118】
薬学的組成物の処方
本発明の組合せの投与は、標的領域における炎症誘発性サイトカインレベルの抑制をもたらすいずれかの適当な手段によることができる。化合物はいずれかの適当な担体物質中にいずれかの適当な量で含有することができ、一般には、組成物の全重量の1〜95重量%の量で存在させる。組成物は、経口、非経口(例えば、静脈内、筋肉内)、直腸、皮膚、鼻、膣、吸入、皮膚(パッチ)、または目投与経路に適する投与形態で提供することができる。従って、組成物は、例えば、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、懸濁液、エマルジョン、溶液、ヒドロゲルを含むゲル、ペースト、軟膏、クリーム、プラスター、ドレンチ、浸透圧送達デバイス、坐薬、浣腸、注射、インプラント、スプレーまたはエアロゾルの形態とすることができる。薬学的組成物は慣用的な薬学的プラクティスに従って処方することができる(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, 2000, ed. A. R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, PhiladelphiaおよびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J. C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New York参照)。
【0119】
組合せの各化合物は、当技術分野において公知の種々の方法で処方することができる。例えば、第一の薬剤(グルココルチコステロイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤)および第二の薬剤(すなわち、NFκB、NFAT、AP-1、またはElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる非ステロイド剤)を一緒にまたは別々に処方することができる。望ましくは、第一および第二の薬剤は、薬剤の同時またはほとんど同時投与のために一緒に処方される。そのような共-処方組成物は、同一丸剤、カプセル、液体等中に一緒に処方された2つの薬剤を含むことができる。そのような組合せの処方に言及する場合、使用される処方技術もまた組合せの個々の薬剤、ならびに本発明の他の組合せの処方で有用である。異なる薬剤についての異なる処方戦略を用いることによって、各薬剤の薬物動態学プロフィールを適切にマッチさせることができる。
【0120】
個々にまたは別々に処方された薬剤はキットとして一緒にパッケージすることができる。非限定的例は、例えば、2つの丸剤、丸剤および粉末、バイアル中の坐薬および液体、2つの局所クリーム等を含有するキットを含む。キットは、粉末形態を復元するためのバイアル、注射のためのシリンジ、慣用化されたIV送達系、吸入器等のような、患者への単位用量の投与を助ける任意の成分を含むことができる。加えて、単位用量キットは組成物の調製および投与のための指示書を含有することができる。キットは一人の患者のための単一使用単位用量(一定用量の、あるいは個々の化合物が治療が進むにつれてその効力を変化させることができる)個々の患者のための複数の使用として製造することができ;あるいはキットは複数患者への投与に適した複数用量を含有することができる(「バルクパッケージング」)。キット成分は、カートン、ブリスターパック、ビン、チューブ等にて組み立てられていてもよい。
【0121】
用量
一般に、ヒトに投与する場合、NFκB、NFAT、AP-1、またはElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる非ステロイド剤の用量は薬剤の性質に依存し、当業者によって容易に決定され得る。典型的には、そのような用量は、通常1日当たり約0.001mg〜2000mg、望ましくは1日当たり約1mg〜1000mg、1日当たりより望ましくは約5mg〜500mgである。1日当たり200mgまでの用量が必要とされ得る。
【0122】
ヒトに全身投与する場合、本発明の組合せで用いられるグルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤の用量は、通常、1日当たり約0.1mg〜1500mg、望ましくは1日当たり約0.5mg〜10mg、より望ましくは1日当たり約0.5mg〜5mgである。
【0123】
組合せにおける各薬物の投与は、独立して、1日〜1年の間に毎日1〜4回とすることができ、患者の生涯の間でさえあり得る。慢性の長期投与は多くの場合に必要とされるであろう。
【0124】
さらなる適用
本発明の化合物を免疫調節またはメカニズムアッセイで使用して、他の組合せ、または単一の薬剤が、その例が本明細書において記載される、一般に当技術分野において公知のアッセイを用い、炎症誘発性サイトカインの分泌または生産を阻害する、または免疫応答を調節することにおける組合せと同程度に効果的であるかどうかを決定することができる。例えば、候補化合物は、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤またはNFκB、NFAT、AP-1、またはElk-1経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性を低下させる非ステロイド剤と組み合わせて、刺激されたPBMCに適用することができる。適当な時間の後、細胞を、サイトカインの分泌または生産、または他の適当な免疫応答について調べる。組合せ対相同、および対単一薬剤との相対的効果を比較し、効果的な化合物および組合せを同定する。
【0125】
本発明の組合せは、炎症に関与する生物学的経路についてのメカニズム的情報を解明することにおいて有用なツールでもある。そのような情報は、炎症誘発性サイトカインによって引き起こされた炎症を阻害するための新しい組み合わせまたは単一の薬剤を開発することに導くことができる。生物学的経路を決定するための当技術分野において公知の方法を用いて、炎症誘発性サイトカインを生じさせるように刺激された細胞と本発明の化合物とを接触させることによって影響される経路、または経路のネットワークを決定することができる。そのような方法は、未処理の陽性または陰性対照化合物、および/または新しい単一薬剤および組合せと比較した本発明の化合物との接触後に発現または抑制される細胞構成要素の分析、または酵素活性、栄養摂取、および増殖のような細胞のいくつかの他の代謝活性の分析を含むことができる。分析された細胞構成要素は遺伝子転写体、およびタンパク質発現を含むことができる。適当な方法は標準的な生化学技術、本発明の化合物の放射性標識(例えば、14Cまたは3H標識)、および、例えば、2dゲル、遺伝子発現プロファイリングを用いるタンパク質に結合する化合物の観察を含むことができる。一旦同定されれば、そのような化合物をインビボモデルで用いて、ツールをさらに有効化し、または新しい抗炎症剤を開発することができる。
【0126】
他の態様
本明細書において言及した全ての刊行物、特許出願、および特許は参照により本明細書に組み入れられる。
【0127】
本発明の記載された方法およびシステムの種々の修飾および変形は、本発明の範囲および精神を逸脱することなく当業者に明らかであろう。本発明を特定の所望の態様に関連して記載してきたが、特許請求される発明はそのような特定の態様に不当に制限されるべきものではないことは理解されるべきである。事実、医薬、免疫学、薬理学、内分泌学の分野、または関連分野における当業者に明白な本発明を実施するための記載された形態の種々の修飾は本発明の範囲内にあることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】NFκB、NFAT、Elk-1、およびAP-1シグナル伝達経路を表す模式的ダイアグラムである。
【図2】図2A〜2Cは、アモキサピンおよびパロキセチンがNFAT経路を抑制することを示す一連の説明図である。T細胞を、増大させる量の試験薬物アモキサピン、パロキセチン、プレドニゾロン、およびシクロスポリンの有りまたは無しにて、PMA(90ng/ml)/イオノマイシン(5μg/ml)で活性化した。図2Aは、媒体または薬物処理でのプレインキュベーションの4時間前におけるNFATルシフェラーゼレポーターでトランスフェクトしたT細胞系統CCRF-CEMを示す(n=4実験)。図2Bは、精製され、NFAT1特異的抗体を施された一次T細胞のウェスタンブロットを示す。図2Cは、20分間薬物処理され、かつその後に1時間刺激し、かつ免疫蛍光のために処理されたT細胞系統CCRF-CEMの核移行分析を示す。
【図3】図3A〜3Cは、アモキサピンおよびパロキセチンがNF-κB経路を抑制することを示す一連の説明図である。T細胞を、増加させる量の試験薬物アモキサピン、パロキセチン、プレドニゾロン、シクロスポリンまたはCAPEの有りまたは無しにてPMA/イオノマイシンで活性化した。図3Aは、媒体または薬物処理でのプレインキュベーションの4時間前においてNF-κBルシフェラーゼレポーターでトランスフェクトされたT細胞系統CCRF-CEMの結果を示す(n=4実験)。図3Bは、精製され、かつNFAT1特異的抗体を施された一次T細胞からのウェスタンブロットの結果を示す。図3Cは、免疫蛍光のために処理されたT細胞系統CCRF-CEMの核移行分析を示す。
【図4】図4A〜図4Dは、アモキサピンおよびパロキセチンがAP1経路を抑制することを示す説明図である。一次T細胞を、PMAおよびイオノマイシンでの活性化から30分前に媒体または薬物と共にプレインキュベートした。細胞を後に30分間抽出し、ホスホ特異的な、全タンパク質を認識する抗体でのウェスタンブロット分析のために処理した。図4A:ERK;図4B:p38;図4C:JNK。ブロットを、ローディング対照としてのαチューブリンでプローブした。図4Dは、CCRF-CEM細胞へのAP1レポータープラスミドの一過性トランスフェクション、および引き続いてのPIでの活性化によって測定されたAP1依存性転写を表す説明図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)グルココルチコイド受容体シグナル伝達活性を増加させる薬剤;および
(b)炎症誘発性(proinflammatory)サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤を含み、
グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤、および該非ステロイド剤は、哺乳動物に投与された場合に、炎症誘発性サイトカインの分泌または生産を低下させるのに十分な量で存在する、組成物。
【請求項2】
非ステロイド剤が2つ以上のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
非ステロイド剤が3つ以上のシグナル伝達経路の活性を調節する、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
炎症誘発性サイトカインがTNF-αである、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
グルココルチコイド受容体シグナル伝達活性を増加させる薬剤が低用量で組成物に存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
非ステロイド剤が、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子の発現レベルまたは生物学的活性を増加または減少させる薬剤である、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
非ステロイド剤がNF-κB経路阻害剤、NFAT経路阻害剤、AP-1経路阻害剤、またはElk-1経路阻害剤である、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
非ステロイド剤が、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子の発現レベルを低下させるアンチセンス化合物またはRNAi化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
非ステロイド剤が、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子のドミナントネガティブまたは該ドミナントネガティブをコードする発現ベクターである、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
非ステロイド剤が、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子に結合し、該シグナル伝達分子の生物学的活性を低下させる抗体である、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
生物学的活性が酵素活性、リン酸化状態、または結合活性である、請求項6または10記載の組成物。
【請求項12】
追加の治療化合物をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
追加の治療化合物がNSAID、小分子免疫モジュレーター、COX-2阻害剤、DMARD、バイオロジック(biologic)、キサンチン、抗コリン作動性化合物、β受容体アゴニスト、気管支拡張剤、非ステロイドカルシニューリン阻害剤、ビタミンDアナログ、ソラレン、レチノイド、および5-アミノサリチル酸からなる群より選択される、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
NSAIDがイブプロフェン、ジクロフェナク、またはナプロキセンである、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
COX-2阻害剤がロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、またはルミラコキシブ(lumiracoxib)である、請求項13記載の組成物。
【請求項16】
バイオロジックがアダリムマブ、エタネルセプト、またはインフリキシマブである、請求項13記載の組成物。
【請求項17】
DMARDがメトトレキセートまたはレフルノミドである、請求項13記載の組成物。
【請求項18】
キサンチンがテオフィリンである、請求項13記載の組成物。
【請求項19】
抗コリン作動性化合物がイプラトロピウムまたはチオトロピウムである、請求項13記載の組成物。
【請求項20】
β受容体アゴニストが硫酸イブテロール、メシル酸ビトルテロール、エピネフリン、フマル酸フォルモテロール、イソプロテロノール(isoproteronol)、塩酸レバルブテロール、硫酸メタプロテレノール、酢酸ピルブテロール、キシナホ酸サルメテロール、またはテルブタリンである、請求項13記載の組成物。
【請求項21】
非ステロイドカルシニューリン阻害剤がシクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス、またはISAtx247である、請求項13記載の組成物。
【請求項22】
ビタミンDアナログがカルシポトリエンまたはカルシポトリオールである、請求項13記載の組成物。
【請求項23】
ソラレンがメトキサレンである、請求項13記載の組成物。
【請求項24】
レチノイドがアシトレチンまたはタゾレテンである、請求項13記載の組成物。
【請求項25】
5-アミノサリチル酸がメサラミン、スルファサラジン、バルサラジド二ナトリウム、またはオルサラジンナトリウムである、請求項13記載の組成物。
【請求項26】
局所投与用に処方される、請求項1〜25のいずれか一項記載の組成物。
【請求項27】
全身投与用に処方される、請求項1〜25のいずれか一項記載の組成物。
【請求項28】
(a)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤;および
(b)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤;
の組合せを哺乳動物に投与する段階を含み、
第一および第二の薬剤は、合わせて、免疫炎症性障害を治療、予防、または緩和するのに十分な量にて、同時に、または相互から28日以内に投与される、免疫炎症性障害を治療、予防、または緩和するための方法。
【請求項29】
非ステロイド剤が2つ以上のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する、請求項28記載の方法。
【請求項30】
非ステロイド剤が3つ以上のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する、請求項28記載の方法。
【請求項31】
組合せが炎症誘発性サイトカインの放出または生産を低下させる、請求項28記載の方法。
【請求項32】
炎症誘発性サイトカインがTNF-αである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤が低用量で組成物に存在する、請求項28記載の方法。
【請求項34】
非ステロイド剤が、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子の発現レベルまたは生物学的活性を増加または減少させる薬剤である、請求項28記載の方法。
【請求項35】
非ステロイド剤がNF-κB経路阻害剤、NFAT経路阻害剤、AP-1経路阻害剤、またはElk-1経路阻害剤である、請求項28記載の方法。
【請求項36】
非ステロイド剤が、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子の発現レベルを低下させるアンチセンス化合物またはRNAi化合物である、請求項28記載の方法。
【請求項37】
非ステロイド剤が、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択されるシグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子のドミナントネガティブまたは該ドミナントネガティブをコードする発現ベクターである、請求項28記載の方法。
【請求項38】
非ステロイド剤が、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、またはElk-1経路からなる群より選択されるシグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子に結合し、および該シグナル伝達分子の生物学的活性を低下させる抗体である、請求項28記載の方法。
【請求項39】
生物学的活性が酵素活性、リン酸化状態、または結合活性である、請求項34または38記載の方法。
【請求項40】
哺乳動物に追加の治療化合物を投与する段階をさらに含む、請求項28記載の方法。
【請求項41】
追加の治療化合物がNSAID、小分子免疫モジュレーター、COX-2阻害剤、DMARD、バイオロジック、キサンチン、抗コリン作動性化合物、β受容体アゴニスト、気管支拡張剤、非ステロイドカルシニューリン阻害剤、ビタミンDアナログ、ソラレン、レチノイド、および5-アミノサリチル酸からなる群より選択される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
NSAIDがイブプロフェン、ジクロフェナク、またはナプロキセンである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
COX-2阻害剤がロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、またはルミラコキシブである、請求項41記載の方法。
【請求項44】
バイオロジックがアダリムマブ、エタネルセプト、またはインフリキシマブである、請求項41記載の方法。
【請求項45】
DMARDがメトトレキセートまたはレフルノミドである、請求項41記載の方法。
【請求項46】
キサンチンがテオフィリンである、請求項41記載の方法。
【請求項47】
抗コリン作動性化合物がイプラトロピウムまたはチオトロピウムである、請求項41記載の方法。
【請求項48】
β受容体アゴニストが硫酸イブテロール、メシル酸ビトルテロール、エピネフリン、フマル酸フォルモテロール、イソプロテロノール、塩酸レバルブテロール、硫酸メタプロテレノール、酢酸ピルブテロール、キシナホ酸サルメテロール、またはテルブタリンである、請求項41記載の方法。
【請求項49】
非ステロイドカルシニューリン阻害剤がシクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス、またはISAtx247である、請求項41記載の方法。
【請求項50】
ビタミンDアナログがカルシポトリエンまたはカルシポトリオールである、請求項41記載の方法。
【請求項51】
ソラレンがメトキサレンである、請求項41記載の方法。
【請求項52】
レチノイドがアシトレチンまたはタゾレテンである、請求項41記載の方法。
【請求項53】
5-アミノサリチル酸がメサラミン、スルファサラジン、バルサラジド二ナトリウム、またはオルサラジンナトリウムである、請求項41記載の組成物。
【請求項54】
グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および非ステロイド剤が、相互から14日以内に投与される、請求項28〜53記載の方法。
【請求項55】
グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および非ステロイド剤が、相互から7日以内に投与される、請求項54記載の方法。
【請求項56】
グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および非ステロイド剤が、相互から1日以内に投与される請求項55記載の方法。
【請求項57】
グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、非ステロイド剤、または双方が、局所または全身投与される、請求項28〜56のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤と接触させる段階を含む、炎症細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または炎症細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下させる方法。
【請求項59】
(a)インビトロにて炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤および候補化合物と接触させる段階;ならびに
(b)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤、および該候補化合物の組合せが、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤と接触したが該候補化合物と接触していない細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産に比べて該細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含み、
炎症誘発性サイトカインの放出または生産の低下により、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せとして該組合せが同定される、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用であり得る組合せを同定するための方法。
【請求項60】
細胞がT細胞である、請求項59記載の方法。
【請求項61】
(a)低下したグルココルチコイド受容体シグナル伝達活性を有する炎症細胞を提供する段階;
(b)該細胞を候補化合物と接触させる段階;および
(c)該候補化合物が、該候補化合物と接触していない細胞に比べて該細胞からのサイトカインの放出または該細胞におけるサイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含み、
サイトカインの放出または生産の低下により、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な化合物として該候補化合物が同定される、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な候補化合物を同定するための方法。
【請求項62】
(a)インビトロにて炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および候補化合物と接触させる段階;および
(b)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤、および該候補化合物の組合せが、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤と接触したが該候補化合物と接触していない細胞からのサイトカイン放出または生産に比べて該炎症細胞からのサイトカイン放出または該炎症細胞における生産を低下させるかどうかを決定する段階を含み、
サイトカインの放出または生産の低下により、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せとして該組合せが同定される、免疫炎症性障害の治療に有用であり得る組合せを同定するための方法。
【請求項63】
(a)NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路において調節されたシグナル伝達経路を有するように操作された炎症細胞を提供する段階;
(b)該細胞を候補化合物と接触させる段階;ならびに
(c)該候補化合物が、該候補化合物と接触していない細胞に比べて該細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含み、
サイトカインの放出または生産の低下により、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な化合物として該候補化合物が同定される、免疫調節障害の治療、予防、または緩和に有用な化合物を同定するための方法。
【請求項64】
(a)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する化合物を同定する段階;
(b)インビトロにて炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および段階(a)で同定された該化合物と接触させる段階;ならびに
(c)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤、および段階(a)で同定された化合物の組合せが、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤と接触したが段階(a)で同定された化合物と接触していない、あるいは段階(a)で同定された化合物と接触したがグルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤と接触していない細胞に比べて該細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含み、
炎症誘発性サイトカインの放出または生産の低下により、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せとして該組合せが同定される、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せを同定するための方法。
【請求項65】
(a)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する化合物を同定する段階;
(b)インビトロにて炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および段階(a)で同定された化合物と接触させる段階;ならびに
(c)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤、および段階(a)で同定された該化合物の組合せが、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤と接触したが段階(a)で同定された化合物と接触していない、あるいは段階(a)で同定された化合物と接触したがグルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤と接触していない細胞からのサイトカイン放出または該細胞におけるサイトカインの生産に比べて該細胞からの炎症誘発性サイトカイン放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下するかどうかを決定する段階を含み、
炎症誘発性サイトカイン放出の低下により、免疫炎症性状態の治療、予防、または緩和に有用であるとして該組合せが同定される、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せを同定するための方法。
【請求項66】
(i)(a)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤と;
(b)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤とを含む組成物;ならびに
(ii)免疫炎症性障害と診断された患者に該組成物を投与するための指示書
を含むキット。
【請求項67】
(i)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤;
(ii)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤;ならびに
(iii)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤および該非ステロイド剤を、免疫炎症性障害と診断された患者に投与するための指示書
を含むキット。
【請求項68】
(i)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤;ならびに
(ii)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤、および炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤を、免疫炎症性障害と診断された患者に投与するための指示書
を含むキット。
【請求項69】
(i)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤;ならびに
(ii)該薬剤、およびグルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤を、免疫炎症性障害と診断された患者に投与するための指示書
を含むキット。
【請求項1】
(a)グルココルチコイド受容体シグナル伝達活性を増加させる薬剤;および
(b)炎症誘発性(proinflammatory)サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤を含み、
グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤、および該非ステロイド剤は、哺乳動物に投与された場合に、炎症誘発性サイトカインの分泌または生産を低下させるのに十分な量で存在する、組成物。
【請求項2】
非ステロイド剤が2つ以上のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
非ステロイド剤が3つ以上のシグナル伝達経路の活性を調節する、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
炎症誘発性サイトカインがTNF-αである、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
グルココルチコイド受容体シグナル伝達活性を増加させる薬剤が低用量で組成物に存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
非ステロイド剤が、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子の発現レベルまたは生物学的活性を増加または減少させる薬剤である、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
非ステロイド剤がNF-κB経路阻害剤、NFAT経路阻害剤、AP-1経路阻害剤、またはElk-1経路阻害剤である、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
非ステロイド剤が、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子の発現レベルを低下させるアンチセンス化合物またはRNAi化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
非ステロイド剤が、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子のドミナントネガティブまたは該ドミナントネガティブをコードする発現ベクターである、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
非ステロイド剤が、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子に結合し、該シグナル伝達分子の生物学的活性を低下させる抗体である、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
生物学的活性が酵素活性、リン酸化状態、または結合活性である、請求項6または10記載の組成物。
【請求項12】
追加の治療化合物をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
追加の治療化合物がNSAID、小分子免疫モジュレーター、COX-2阻害剤、DMARD、バイオロジック(biologic)、キサンチン、抗コリン作動性化合物、β受容体アゴニスト、気管支拡張剤、非ステロイドカルシニューリン阻害剤、ビタミンDアナログ、ソラレン、レチノイド、および5-アミノサリチル酸からなる群より選択される、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
NSAIDがイブプロフェン、ジクロフェナク、またはナプロキセンである、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
COX-2阻害剤がロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、またはルミラコキシブ(lumiracoxib)である、請求項13記載の組成物。
【請求項16】
バイオロジックがアダリムマブ、エタネルセプト、またはインフリキシマブである、請求項13記載の組成物。
【請求項17】
DMARDがメトトレキセートまたはレフルノミドである、請求項13記載の組成物。
【請求項18】
キサンチンがテオフィリンである、請求項13記載の組成物。
【請求項19】
抗コリン作動性化合物がイプラトロピウムまたはチオトロピウムである、請求項13記載の組成物。
【請求項20】
β受容体アゴニストが硫酸イブテロール、メシル酸ビトルテロール、エピネフリン、フマル酸フォルモテロール、イソプロテロノール(isoproteronol)、塩酸レバルブテロール、硫酸メタプロテレノール、酢酸ピルブテロール、キシナホ酸サルメテロール、またはテルブタリンである、請求項13記載の組成物。
【請求項21】
非ステロイドカルシニューリン阻害剤がシクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス、またはISAtx247である、請求項13記載の組成物。
【請求項22】
ビタミンDアナログがカルシポトリエンまたはカルシポトリオールである、請求項13記載の組成物。
【請求項23】
ソラレンがメトキサレンである、請求項13記載の組成物。
【請求項24】
レチノイドがアシトレチンまたはタゾレテンである、請求項13記載の組成物。
【請求項25】
5-アミノサリチル酸がメサラミン、スルファサラジン、バルサラジド二ナトリウム、またはオルサラジンナトリウムである、請求項13記載の組成物。
【請求項26】
局所投与用に処方される、請求項1〜25のいずれか一項記載の組成物。
【請求項27】
全身投与用に処方される、請求項1〜25のいずれか一項記載の組成物。
【請求項28】
(a)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤;および
(b)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤;
の組合せを哺乳動物に投与する段階を含み、
第一および第二の薬剤は、合わせて、免疫炎症性障害を治療、予防、または緩和するのに十分な量にて、同時に、または相互から28日以内に投与される、免疫炎症性障害を治療、予防、または緩和するための方法。
【請求項29】
非ステロイド剤が2つ以上のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する、請求項28記載の方法。
【請求項30】
非ステロイド剤が3つ以上のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する、請求項28記載の方法。
【請求項31】
組合せが炎症誘発性サイトカインの放出または生産を低下させる、請求項28記載の方法。
【請求項32】
炎症誘発性サイトカインがTNF-αである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤が低用量で組成物に存在する、請求項28記載の方法。
【請求項34】
非ステロイド剤が、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子の発現レベルまたは生物学的活性を増加または減少させる薬剤である、請求項28記載の方法。
【請求項35】
非ステロイド剤がNF-κB経路阻害剤、NFAT経路阻害剤、AP-1経路阻害剤、またはElk-1経路阻害剤である、請求項28記載の方法。
【請求項36】
非ステロイド剤が、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子の発現レベルを低下させるアンチセンス化合物またはRNAi化合物である、請求項28記載の方法。
【請求項37】
非ステロイド剤が、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択されるシグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子のドミナントネガティブまたは該ドミナントネガティブをコードする発現ベクターである、請求項28記載の方法。
【請求項38】
非ステロイド剤が、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、またはElk-1経路からなる群より選択されるシグナル伝達経路の1つまたは複数のシグナル伝達活性が調節されるように、シグナル伝達分子に結合し、および該シグナル伝達分子の生物学的活性を低下させる抗体である、請求項28記載の方法。
【請求項39】
生物学的活性が酵素活性、リン酸化状態、または結合活性である、請求項34または38記載の方法。
【請求項40】
哺乳動物に追加の治療化合物を投与する段階をさらに含む、請求項28記載の方法。
【請求項41】
追加の治療化合物がNSAID、小分子免疫モジュレーター、COX-2阻害剤、DMARD、バイオロジック、キサンチン、抗コリン作動性化合物、β受容体アゴニスト、気管支拡張剤、非ステロイドカルシニューリン阻害剤、ビタミンDアナログ、ソラレン、レチノイド、および5-アミノサリチル酸からなる群より選択される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
NSAIDがイブプロフェン、ジクロフェナク、またはナプロキセンである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
COX-2阻害剤がロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、またはルミラコキシブである、請求項41記載の方法。
【請求項44】
バイオロジックがアダリムマブ、エタネルセプト、またはインフリキシマブである、請求項41記載の方法。
【請求項45】
DMARDがメトトレキセートまたはレフルノミドである、請求項41記載の方法。
【請求項46】
キサンチンがテオフィリンである、請求項41記載の方法。
【請求項47】
抗コリン作動性化合物がイプラトロピウムまたはチオトロピウムである、請求項41記載の方法。
【請求項48】
β受容体アゴニストが硫酸イブテロール、メシル酸ビトルテロール、エピネフリン、フマル酸フォルモテロール、イソプロテロノール、塩酸レバルブテロール、硫酸メタプロテレノール、酢酸ピルブテロール、キシナホ酸サルメテロール、またはテルブタリンである、請求項41記載の方法。
【請求項49】
非ステロイドカルシニューリン阻害剤がシクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス、またはISAtx247である、請求項41記載の方法。
【請求項50】
ビタミンDアナログがカルシポトリエンまたはカルシポトリオールである、請求項41記載の方法。
【請求項51】
ソラレンがメトキサレンである、請求項41記載の方法。
【請求項52】
レチノイドがアシトレチンまたはタゾレテンである、請求項41記載の方法。
【請求項53】
5-アミノサリチル酸がメサラミン、スルファサラジン、バルサラジド二ナトリウム、またはオルサラジンナトリウムである、請求項41記載の組成物。
【請求項54】
グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および非ステロイド剤が、相互から14日以内に投与される、請求項28〜53記載の方法。
【請求項55】
グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および非ステロイド剤が、相互から7日以内に投与される、請求項54記載の方法。
【請求項56】
グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および非ステロイド剤が、相互から1日以内に投与される請求項55記載の方法。
【請求項57】
グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、非ステロイド剤、または双方が、局所または全身投与される、請求項28〜56のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤と接触させる段階を含む、炎症細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または炎症細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下させる方法。
【請求項59】
(a)インビトロにて炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤および候補化合物と接触させる段階;ならびに
(b)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤、および該候補化合物の組合せが、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤と接触したが該候補化合物と接触していない細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産に比べて該細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含み、
炎症誘発性サイトカインの放出または生産の低下により、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せとして該組合せが同定される、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用であり得る組合せを同定するための方法。
【請求項60】
細胞がT細胞である、請求項59記載の方法。
【請求項61】
(a)低下したグルココルチコイド受容体シグナル伝達活性を有する炎症細胞を提供する段階;
(b)該細胞を候補化合物と接触させる段階;および
(c)該候補化合物が、該候補化合物と接触していない細胞に比べて該細胞からのサイトカインの放出または該細胞におけるサイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含み、
サイトカインの放出または生産の低下により、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な化合物として該候補化合物が同定される、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な候補化合物を同定するための方法。
【請求項62】
(a)インビトロにて炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および候補化合物と接触させる段階;および
(b)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤、および該候補化合物の組合せが、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤と接触したが該候補化合物と接触していない細胞からのサイトカイン放出または生産に比べて該炎症細胞からのサイトカイン放出または該炎症細胞における生産を低下させるかどうかを決定する段階を含み、
サイトカインの放出または生産の低下により、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せとして該組合せが同定される、免疫炎症性障害の治療に有用であり得る組合せを同定するための方法。
【請求項63】
(a)NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路において調節されたシグナル伝達経路を有するように操作された炎症細胞を提供する段階;
(b)該細胞を候補化合物と接触させる段階;ならびに
(c)該候補化合物が、該候補化合物と接触していない細胞に比べて該細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含み、
サイトカインの放出または生産の低下により、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な化合物として該候補化合物が同定される、免疫調節障害の治療、予防、または緩和に有用な化合物を同定するための方法。
【請求項64】
(a)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する化合物を同定する段階;
(b)インビトロにて炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および段階(a)で同定された該化合物と接触させる段階;ならびに
(c)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤、および段階(a)で同定された化合物の組合せが、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤と接触したが段階(a)で同定された化合物と接触していない、あるいは段階(a)で同定された化合物と接触したがグルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤と接触していない細胞に比べて該細胞からの炎症誘発性サイトカインの放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下させるかどうかを決定する段階を含み、
炎症誘発性サイトカインの放出または生産の低下により、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せとして該組合せが同定される、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せを同定するための方法。
【請求項65】
(a)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する化合物を同定する段階;
(b)インビトロにて炎症細胞を、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤、および段階(a)で同定された化合物と接触させる段階;ならびに
(c)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤、および段階(a)で同定された該化合物の組合せが、グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤と接触したが段階(a)で同定された化合物と接触していない、あるいは段階(a)で同定された化合物と接触したがグルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤と接触していない細胞からのサイトカイン放出または該細胞におけるサイトカインの生産に比べて該細胞からの炎症誘発性サイトカイン放出または該細胞における炎症誘発性サイトカインの生産を低下するかどうかを決定する段階を含み、
炎症誘発性サイトカイン放出の低下により、免疫炎症性状態の治療、予防、または緩和に有用であるとして該組合せが同定される、免疫炎症性障害の治療、予防、または緩和に有用な組合せを同定するための方法。
【請求項66】
(i)(a)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤と;
(b)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤とを含む組成物;ならびに
(ii)免疫炎症性障害と診断された患者に該組成物を投与するための指示書
を含むキット。
【請求項67】
(i)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤;
(ii)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤;ならびに
(iii)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤および該非ステロイド剤を、免疫炎症性障害と診断された患者に投与するための指示書
を含むキット。
【請求項68】
(i)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤;ならびに
(ii)グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる該薬剤、および炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤を、免疫炎症性障害と診断された患者に投与するための指示書
を含むキット。
【請求項69】
(i)炎症誘発性サイトカインの分泌または生産、またはいずれかの他の炎症応答が低下するように、NF-κB経路、NFAT経路、AP-1経路、およびElk-1経路から選択される1つまたは複数のシグナル伝達経路のシグナル伝達活性を調節する非ステロイド剤;ならびに
(ii)該薬剤、およびグルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性を増加させる薬剤を、免疫炎症性障害と診断された患者に投与するための指示書
を含むキット。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【公表番号】特表2007−538083(P2007−538083A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527344(P2007−527344)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/017117
【国際公開番号】WO2005/115455
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(501273808)コンビナトアールエックス インコーポレーティッド (21)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/017117
【国際公開番号】WO2005/115455
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(501273808)コンビナトアールエックス インコーポレーティッド (21)
【Fターム(参考)】
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