説明

入退場管理システム

【課題】蓄電手段の残量減少を報知する手段を識別デバイスに付加せずに、蓄電手段の残量に関する情報を識別情報と別に受信装置に送信することもなく、蓄電手段の残量不足により識別デバイスと受信装置との間の通信が成立しなくなることを回避可能とする。
【解決手段】識別デバイスの蓄電手段の残量が少なくなると、識別デバイスから受信装置100に送信される識別信号の送信電力は小さくなる。受信装置100の残量判定部112は、受信機能部110で受信した識別信号の送信電力を所定の閾値と比較することによって蓄電手段の残量の判定を行う。受信装置100の報知部113では、残量判定部112で識別信号の送信電力が前記閾値を下回ると判断された場合に、蓄電手段の残量が減少しているものと判断し、残量減少の報知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別デバイスから受信装置に識別情報が送信されると、受信装置が識別情報の認証を行い当該認証結果に応じて前記対象領域への入退場を許可するか否かを決定する入退場管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ビル等においてオフィスなどの対象領域の出入口に配置された受信装置と、ユーザが携帯可能な薄型の識別デバイスとを用いた入退場管理システムが普及している。この入退場管理システムでは、識別デバイスから受信装置に識別情報を無線通信にて送信し、受信装置において、識別情報の認証を行い当該認証結果に応じて対象領域への入退場を許可するか否かを決定することにより、扉の解錠動作、あるいは自動ドア、自動改札機等の開閉動作を制御する。
【0003】
この種の入退場管理システムは、受信装置から送られてきた搬送波の電力を利用して送信する機能を識別デバイスに備えた受動型RFタグ(パッシブタグ)方式を採用することが一般的であるため、通信可能距離が比較的短く、受信装置に識別デバイスをかざす行為が求められる。
【0004】
これに対して、識別デバイス自身に電池を電源として具備し、当該電池からの電力供給を受けてデータ送信する機能を識別デバイスに備えた能動型RFタグ(アクティブタグ)方式を採用することで利便性を向上させることも提案されている。すなわち、自身に電源を備えた識別デバイスでは、受動型RFタグ方式に比べて受信装置との通信距離を長く(たとえば10m)することが可能である。これにより、受信装置に識別デバイスをかざす行為が不要となり、識別デバイスを所持(携帯)しているユーザが受信装置に近づくだけで受信装置−識別デバイス間の通信が可能になる。
【0005】
ところで、識別デバイスに一次電池を具備する場合、定期的に電池交換等のメンテナンスが必要になるという不都合があるので、この種の識別デバイスにおいては、光エネルギを電気エネルギに変換する太陽電池を電源として用いることが考えられる(たとえば特許文献1参照)。
【0006】
また、識別デバイスに電源として太陽電池を備え、識別デバイスに設けた表示部を太陽電池で生成された電力により駆動して当該表示部に諸情報を表示させるということも考えられている(たとえば特許文献2、3参照)。
【0007】
ただし、太陽電池を用いる場合、太陽電池に光が入射しているときのみ太陽電池からの電力供給が可能であるとすれば、たとえば夜間などで太陽電池への入射光強度が低下する環境下で、識別デバイスと受信装置との間の通信が成立しなくなることがある。そこで、二次電池やキャパシタ等の蓄電手段を太陽電池と併せて用いることで、太陽電池に対する入射光強度が低下した環境下でも、安定した電力供給を継続的に行う構成とすることが好ましい。つまり、この構成によれば、太陽電池に光が入射していなくても、蓄電手段に蓄えられた電力を活用することで識別デバイスと受信装置との間の通信が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−24551号公報
【特許文献2】特開2002−32728号公報
【特許文献3】特開平10−240873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述したように太陽電池と蓄電手段とを併用した識別デバイスであっても、識別デバイスが薄暗い屋内(室内)で使用される場合など、長時間に亘って太陽電池に十分な光が入射しない状態で識別デバイスが使用される場合、蓄電手段の残量は徐々に減少する。蓄電手段の残量が不足すると、識別デバイスと受信装置との間の通信が成立せず、入退場管理システムが正常に機能しなくなる(ユーザが入退場できなくなる)おそれがある。この場合、太陽電池を一定時間光に晒すことで蓄電手段を充電すれば、蓄電手段の残量不足により識別デバイスと受信装置との間の通信が成立しなくなることは回避できる。
【0010】
そこで、蓄電手段の残量が減少するとその旨を光や音で報知する手段を識別デバイスに設け、当該識別デバイスを所持するユーザに蓄電手段の残量減少を知らせて蓄電手段の充電行為(太陽電池を光に晒す行為)を促すことが考えられる。しかし、このような報知手段を識別デバイスに付加するとなると、識別デバイスを構成する部品点数が増加し、識別デバイスが大型化してユーザが携帯するのに適さないサイズになったり、識別デバイスの低コスト化が難しくなったりするという問題がある。
【0011】
また、このような報知手段を識別デバイスでなく受信装置に付加するにしても、受信装置側で蓄電手段の残量に関する情報を把握するため、識別情報とは別に蓄電手段の残量に関する情報を識別デバイスから受信装置に送ることが必要となる。そのため、蓄電手段の残量に関する情報を読み出して当該情報を受信装置に送信するための手段を識別デバイスに付加する必要がある。さらに、蓄電手段の残量に関する情報の分だけ識別デバイスと受信装置との間で送受信されるデータ量が多くなるので、識別デバイスと受信装置との間の通信にかかる時間が長くなることや、通信時に消費される電力が増加することが問題となる。
【0012】
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであって、蓄電手段の残量減少を報知する手段を識別デバイスに付加せずに、また蓄電手段の残量に関する情報を識別情報と別に識別デバイスから受信装置に送信することもなく、蓄電手段の残量不足により識別デバイスと受信装置との間の通信が成立しなくなることを回避できる入退場管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、対象領域の出入口に配置された受信装置と、ユーザに所持され受信装置と無線通信可能な識別デバイスとを備え、識別デバイスから受信装置に識別情報が送信されると、受信装置が識別情報の認証を行い当該認証結果に応じて前記対象領域への入退場を許可するか否かを決定する入退場管理システムであって、識別デバイスが、識別情報を電気情報として担持する情報保持部と、受信装置と無線通信を行うことにより識別情報を含む識別信号を受信装置に送信する通信機能部と、光を受けることで電力を生成する太陽電池および太陽電池の生成した電力を蓄電する蓄電手段を含み少なくとも通信機能部に駆動電力を供給する電源部とを有しており、受信装置が、識別信号を受信する受信機能部と、受信機能部で受信した識別信号に含まれる識別情報の認証を行う認証処理部と、受信機能部で受信した識別信号の受信強度と識別信号の受信時における識別デバイスまでの距離とに基づいて推定される識別信号の送信電力から蓄電手段の残量を判定する残量判定部と、残量判定部で判定される蓄電手段の残量が規定値を下回った場合に蓄電手段の残量減少を報知する報知部とを有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、蓄電手段の残量減少を報知する報知部は識別デバイスでなく受信装置に設けられているので、識別デバイスに報知部と同様の手段を付加する場合に比べて、識別デバイスを構成する部品点数の増加を抑え、識別デバイスの小型化、低コスト化を図ることができる。しかも、受信装置は、識別情報を含む識別信号の送信電力から蓄電手段の残量を判定するので、蓄電手段の残量に関する情報を識別情報と別に識別デバイスから受信装置に送信することなく、識別信号を利用して受信装置側で蓄電手段の残量の減少を知ることができる。そして、受信装置の報知部から識別デバイスを所持するユーザに報知を行うことで、蓄電手段の残量が減少するとユーザに蓄電手段の充電行為を促すことができ、結果的に、蓄電手段の残量不足により識別デバイスと受信装置との間の通信が成立しなくなることを回避できるという利点がある。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記残量判定部が、前記受信装置から前記識別デバイスまでの距離が規定距離以下となったときに受信した前記識別信号の受信強度と予め定められている閾値とを比較し、前記報知部が、前記受信強度が前記閾値を下回った場合に前記蓄電手段の残量が前記規定値を下回ったものと判断することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、受信装置は、識別デバイスまでの距離が規定距離以下となったときに受信される識別信号の受信強度と閾値とを比較するので、識別信号受信時における識別デバイスまでの距離が略一定となり、当該距離による受信強度のばらつきの影響を受けることなく、蓄電手段の残量を判定することができる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記識別デバイスが、前記受信装置から送信される起動信号を受信する受信待機モードで前記通信機能部を常時動作させ、受信装置から前記規定距離以下の範囲内で前記起動信号を受信可能であって、当該起動信号を受信したときに前記識別信号の送信を開始することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、識別デバイスが受信装置からの起動信号を受信したときに識別信号の送信を開始することで、受信装置においては、識別信号受信時における識別デバイスまでの距離を規定距離以下に限定することができる。したがって、受信装置に識別デバイスまでの距離を特定するためのセンサを設ける必要がなく、部品点数の増加を抑えることができる。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記受信装置が、前記識別デバイスまでの距離を測定する距離測定部を有し、前記残量判定部が、前記識別信号の受信強度と閾値との一方を、識別信号の受信時に距離測定部で測定された距離に応じて補正された他方と比較し、前記報知部が、前記受信強度が前記閾値を下回った場合に前記蓄電手段の残量が前記規定値を下回ったものと判断することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、受信装置は、識別信号の受信強度と閾値との一方を、識別信号受信時における識別デバイスまでの距離に応じて補正された他方と比較するので、識別信号を受信したときの識別デバイスまでの距離による受信強度のばらつきの影響を受けることなく、蓄電手段の残量を判定することができる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明において、前記識別デバイスが、前記蓄電手段の残量を検出して当該残量が少なくなると前記通信機能部における前記識別情報送信時の送信電力を段階的に小さくする電力制御部を有することを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、蓄電手段の残量が少なくなると識別デバイス側において識別情報の送信電力が段階的に低下させられるので、受信装置の残量判定部では蓄電手段の残量減少を確実に検出することができる。
【0023】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明において、前記報知部が、音により報知を行うものであって、前記認証処理部における前記識別情報の認証結果の報知にも兼用され、認証結果の報知と残量減少の報知とで異なる出力を行うことを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、認証結果の報知と残量減少の報知とを1つの報知部で行うことができるので、それぞれの報知に個別の報知部を用いる場合に比べて、受信装置の構成要素を少なく抑えることができる。また、音により報知を行うから、ユーザに視線移動をさせることなく報知を行うことができる。
【0025】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明において、前記報知部が、光により報知を行うものであって、前記認証処理部における前記識別情報の認証結果の報知にも兼用され、認証結果の報知と残量減少の報知とで異なる出力を行うことを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、認証結果の報知と残量減少の報知とを1つの報知部で行うことができるので、それぞれの報知に個別の報知部を用いる場合に比べて、受信装置の構成要素を少なく抑えることができる。また、光により報知を行うので、騒音の中でもユーザに報知を行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、蓄電手段の残量減少を報知する報知部が識別デバイスでなく受信装置に設けられており、受信装置では、識別情報を含む識別信号の送信電力から蓄電手段の残量を判定するので、蓄電手段の残量に関する情報を識別情報と別に識別デバイスから受信装置に送信することなく、受信装置側で蓄電手段の残量減少を知ることができる。そして、報知部が残量減少の報知を行うことで、蓄電手段の残量が減少するとユーザに蓄電手段の充電行為を促すことができ、結果的に、蓄電手段の残量不足により識別デバイスと受信装置との間の通信が成立しなくなることを回避できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態1の受信装置を示す概略ブロック図である。
【図2】同上の入退場管理システムの適用例を示す概略図である。
【図3】同上の識別デバイスを示す概略ブロック図である。
【図4】同上の入退場管理システムを示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(実施形態1)
本実施形態の入退場管理システムは、図2に示すように対象空間としての部屋Rへの入退室管理に用いられるものであって、部屋Rの出入口の扉D付近の壁に設置された受信装置100と、ユーザHに携帯され当該受信装置100と無線通信する薄型(ここではカード型)の識別デバイス1とを構成要素として備えている。
【0030】
この入退場管理システムにおいては、識別デバイス1と受信装置100との間で電磁波を媒体とした無線通信を行うことにより、識別デバイス1を所有する各個人の認証を行うのであって、当該認証結果に応じて部屋への入退場を許可するか否かを決定する。
【0031】
すなわち、識別デバイス1には、各個人(識別デバイス1の所有者)を識別するための識別情報(ID)が電気情報として格納された情報保持部2(図3参照)が搭載されており、受信装置100との通信時に当該識別情報を受信装置100に送信する。そして、受信装置100は、受け取った識別情報を予め登録されているデータ(正規の識別情報)と照合し、認証に成功すれば扉Dを解錠し、認証に失敗すれば扉Dの施錠状態を維持するように扉Dの解錠動作を制御する。そのため、上記入退場管理システムを用いれば、ユーザHに識別デバイス1を所持させておくだけで当該ユーザHの入退室管理等が可能となる。
【0032】
識別デバイス1は、図3に示すように識別情報を記憶するメモリからなる情報保持部2と、受信装置100との間で無線通信を行う通信機能部3と、通信機能部3に対して電力供給を行う電源部4とを備えている。この識別デバイス1は、少なくとも情報保持部2に記憶した識別情報を、通信機能部3を介して受信装置100に発信する機能を有する。なお、情報保持部2はメモリに限らず、たとえばディップスイッチの接点の開閉状態によって表される識別情報を担持するものであってもよい。
【0033】
電源部4は、受信装置100との通信に必要な電力を供給するものであって、外部から照射する光エネルギを電気エネルギに変換する光電変換素子である太陽電池5を有している。したがって、太陽電池5に対して十分な光量の光が照射する環境を確保することで、電池交換や充電等のメンテナンスを行うことなく、長期間に亘って安定した電力供給を実現することができる。ここでは、識別デバイス1の通常の使用形態において太陽電池5に光を照射できるように、識別デバイス1をたとえば名札のように周囲の人に視認されやすい形態でユーザHに所持されるものとする。
【0034】
また、電源部4においては、二次電池やキャパシタ等の蓄電手段6を太陽電池5と併せて用いることで、太陽電池5に対して光が照射しない環境下においても、通信機能部3に対して安定した電力供給を継続的に行う構成としてある。この構成によれば、太陽電池5に光が入射していなくても、蓄電手段6に蓄えられた電力を活用することで、識別デバイス1と受信装置100との間の通信が可能となる。そのため、太陽電池5の発電効率が高い日中に太陽電池5の出力で蓄電手段6を充電し、太陽電池5の発電効率が低下する夜間には蓄電手段6に蓄えた電力を活用することで、太陽電池5の出力を有効に利用できる。
【0035】
ここで、本実施形態の識別デバイス1は、太陽光が照射する屋外のみならず、太陽光に比べて低照度となる屋内(室内)においても太陽電池5で十分な電力を生成可能とするため、太陽電池5として、増感作用を持つ物質と電荷を輸送する電子輸送部および正孔輸送部とを有したものを用いている。増感作用を持つ物質は、光を吸収することにより電子(負の電荷)と正孔(正の電荷)とを別々の物質に振り分ける機能を持ち、このことが光電変換効果の発現の要因となる。ここで、増感作用を持つ物質より電子を受け取る材料部が電子輸送部であり、増感作用を持つ物質より正孔を受け取る材料部が正孔輸送部である。
【0036】
増感作用を持つ物質と電荷輸送部(電子輸送部および正孔輸送部)とを有した太陽電池5としては、色素増感太陽電池、量子ドット増感太陽電池、色素増感有機太陽電池等が知られているが、本実施形態では色素増感太陽電池を太陽電池5として採用することとする。色素増感型の太陽電池5は、基板を透明材料から形成することで全体として透過性を有した構成とすることができ、さらに、基板を可撓性のある樹脂フィルム等で形成すれば全体として可撓性を有した構成とすることが可能である。
【0037】
ところで、本実施形態のように太陽電池5と蓄電手段6とを併用した識別デバイス1であっても、識別デバイス1が薄暗い屋内(室内)で使用される場合など、長時間に亘って太陽電池5に十分な光が入射しない状態で識別デバイス1が使用される場合、蓄電手段6の残量は徐々に減少する。蓄電手段6の残量が不足すると、太陽電池5に光が照射しない状態で通信機能部3に十分な電力が供給されなくなるため、識別デバイス1と受信装置100との間の通信が成立せず、入退場管理システムが正常に機能しなくなる(ユーザHが入退室できなくなる)おそれがある。
【0038】
そこで、本実施形態では、以下に説明する構成を受信装置100に採用することで、ユーザHに蓄電手段6の残量減少を知らせて蓄電手段6の充電行為(太陽電池5を光に晒す行為)を促すようにし、蓄電手段6の残量不足により識別デバイス1と受信装置100との間の通信が成立しなくなることを回避可能としている。
【0039】
すなわち、受信装置100は、図1に示すように識別デバイス1から送信される識別情報を含んだ識別信号を受信する受信機能部110と、受信機能部110で受信した識別信号に含まれる識別情報の認証を行う認証処理部111とを基本構成として有し、さらに、識別デバイス1における蓄電手段6の残量を判定するための残量判定部112と、蓄電手段6の残量減少を報知する報知部113とを有している。
【0040】
認証処理部111は、識別信号に含まれる識別情報を記憶部108に予め記憶されている正規の識別情報と照合することで、識別情報の認証を行う。ここでは、部屋Rの出入口の扉Dの解錠動作を制御する解錠制御部114が受信装置100に設けられており、認証処理部111で識別情報の認証が正常に完了すれば、解錠制御部114にて出入口の扉Dを解錠するための制御を行なう。
【0041】
ここにおいて、識別デバイス1は、蓄電手段6の残量が少なくなると、通信機能部3から受信装置100に識別信号を送信する際にアンテナ(後述のRFアンテナ34)に供給される電力(送信電力)が小さくなり、識別信号の送信電力が小さくなるように構成されている。具体的には、蓄電手段6にキャパシタを用いることにより、残量(蓄積されている電荷量Q)の減少に伴って蓄電手段6の出力電圧Vが低下することを利用する。つまり、太陽電池5の出力が通信機能部3に直接供給されることなく蓄電手段6の出力にて通信機能部3を駆動する構成とすれば、蓄電手段6の残量減少に伴って蓄電手段6の出力電圧Vが低下することで通信機能部3の駆動電圧が低下するので、通信機能部3から送信される識別信号の送信電力も低下する。
【0042】
残量判定部112は、上述した送信電力の変化を利用して蓄電手段6の残量を求める。要するに、識別デバイス1から送信される識別信号の送信電力は、上述したように蓄電手段6の残量に関連して変化するものであるから、当該送信電力が小さくなるほど蓄電手段6の残量が減少しているものと判断できる。そこで、残量判定部112では、受信機能部110で受信した識別信号の受信強度と、識別信号の受信時における識別デバイス1までの距離とに基づいて推定される識別信号の送信電力から、蓄電手段6の残量を判定する。
【0043】
報知部113では、残量判定部112で判定される蓄電手段6の残量が予め定められている規定値を下回った場合に、蓄電手段6の残量が減少しているものと判断し、残量減少の報知を行う。報知部113は、ブザー107(図4参照)を具備し、残量減少の報知をブザー107で発生する音により行う。そのため、ユーザHが扉Dを通過する際に受信装置100に視線を向けなくても、ユーザHに対して報知を行うことができる。ここでは、前記報知部113を認証処理部111における識別情報の認証結果の報知にも兼用しており、認証結果の報知と残量減少の報知とを同一の報知部113にて行う。そこで、残量減少の報知と認証成功の報知と認証失敗の報知とでそれぞれ異なる報知音のパターンを設定しておくことにより、ユーザHにて報知の内容を理解できるようにする。たとえば「認証しました」、「認証に失敗しました」などの音声にて報知を行うようにしてもよい。
【0044】
ここにおいて、受信機能部110での識別信号の受信強度は、識別信号の送信電力自体が一定であっても、当該識別信号の受信時における受信装置100から識別デバイス1までの距離によってばらつきを生じる可能性がある。そこで、本実施形態では、このばらつきの影響を受けないように、残量判定部112は、受信装置100から識別デバイス1までの距離が規定距離以下となったときに受信した識別信号の受信強度と予め定められている閾値とを比較する。そして、報知部113は、識別信号の受信強度が閾値を下回った場合に蓄電手段6の残量が規定値を下回ったものと判断する。
【0045】
具体的に説明すると、受信装置100は起動信号を一定周期で間欠的に発信し、識別デバイス1は、受信装置100からの起動信号を受信する受信待機モードで通信機能部3を常時動作させる。ここで、識別デバイス1が受信装置100から規定距離以下の範囲内で起動信号を受信可能となるように、起動信号の送信電力および受信感度が設定されることで、受信装置100の周囲には起動信号が届く範囲内(つまり規定距離以下の範囲内)で認証エリア9(図2参照)が形成される。さらに、識別デバイス1は前記起動信号を受信したときに識別信号の送信を開始するように構成される。これにより、識別デバイス1が受信装置100から規定距離以下の範囲内に入ったとき、つまり、識別デバイス1を所持するユーザHが受信装置100の周囲に形成されている認証エリア9内に入ったときに、当該識別デバイス1から受信装置100に識別信号が送信されることとなる。そのため、受信装置100において識別デバイス1からの識別信号を受信するときの当該識別デバイス1までの距離は略一定(規定距離)となる。
【0046】
以上説明した構成によれば、識別デバイス1が識別情報を含む識別信号を受信装置100に送信し、受信装置100にて前記識別情報の認証が行われる際に、受信装置100においては、蓄電手段6の残量が減少しているか否かも判定され当該判定結果が報知される。このとき残量減少の報知が為されれば、ユーザHにおいては、識別デバイス1の蓄電手段6の残量が減少したことを知ることができ、太陽電池5をしばらくの間光に晒すことで蓄電手段6を充電して残量不足を解消することができる。そのため、蓄電手段6の残量不足により識別デバイス1と受信装置100との間の通信が成立しなくなることを回避できる。
【0047】
このように、蓄電手段6の残量が少なくなったことを音や光で報知するための手段(LEDやブザー等)を識別デバイス1に付加しなくても、当該残量が少なくなればそのことを受信装置100からユーザHに報知して蓄電手段6の充電行為(太陽電池5を光に晒す行為)を促すことができる。したがって、音や光で報知するための報知手段の追加によって識別デバイス1を構成する部品点数が増加し、識別デバイス1が大型化してユーザHが携帯するのに適さないサイズになったり、識別デバイス1の低コスト化が難しくなったりすることを回避できる。
【0048】
また、蓄電手段6の残量が少なくなったときに識別デバイス1が音や光でその旨を報知する構成では、蓄電手段6の残量減少時に、前記報知手段を駆動するための電力が消費されることで通常時に比べて蓄電手段6に蓄積された電力の消費が増えることになるが、本実施形態ではこのような消費電力の増加もない。
【0049】
さらに、受信装置100では、識別情報を含む識別信号の送信電力に基づいて蓄電手段6の残量を求めるので、受信装置100側で蓄電手段6の残量に関する情報を把握するために、識別情報とは別に蓄電手段6の残量に関する情報を識別デバイス1から受信装置100に送る必要はない。そのため、蓄電手段6の残量に関する情報を読み出して当該情報を受信装置100に送信するための手段を識別デバイス1に付加する必要がなく、また、蓄電手段6の残量に関する情報の分だけ識別デバイス1と受信装置100との間で送受信されるデータ量が多くなるという問題も生じない。
【0050】
なお、残量判定部112では受信強度と比較する閾値が複数設定されていてもよく、この場合、送信電力は3段階以上に分けて判断されることとなる。ここに、報知部113においても、送信電力に合わせて3段階以上の報知を行うようにすれば、ユーザHは、蓄電手段6の残量が少なくなっているという情報だけでなく、蓄電手段6の残量がどの程度減少しているかという情報も知ることができ、残量の緊急度に応じて適切な措置(蓄電手段6をすぐに充電する等の措置)をとることができる。
【0051】
本実施形態の他の構成例として、音ではなく光で報知する構成の報知部113を採用することも考えられる。この構成では、ユーザHが扉Dを通過する際にユーザHの視界に入りやすい位置に報知部113を設けるなどの工夫が必要になるものの、報知音であれば周囲の騒音に紛れてしまうような環境下であっても、ユーザHに対して報知することができる。この報知部113を認証処理部111における識別情報の認証結果の報知に兼用するのであれば、残量減少の報知と認証成功の報知と認証失敗の報知とでそれぞれ異なる光出力(光色や点滅パターンなど)を設定することが望ましい。さらに、光と音との両方での報知を行うように報知部113を構成してもよい。
【0052】
以下、上記実施形態の入退場管理システムの具体例について、図4を参照して説明する。
【0053】
部屋Rの出入口に設置された受信装置100は、LF帯(長波帯:30〜300kHz)の第1の通信方式にて識別デバイス1と通信するためのLF帯送信部101およびLFアンテナ102と、UHF帯(極超短波帯:300MHz〜3GHz)の第2の通信方式にて識別デバイス1と通信するためのRF送受信部103およびRFアンテナ104と、LF帯送信部101およびRF送受信部103を制御する制御部105とを受信機能部110に備え、制御部105に接続された液晶ディスプレイ等からなる表示部106および報知部113としてのブザー107を具備する。ここで、制御部105は認証処理部111と残量判定部112と解錠制御部114との各機能を有するものである。さらに、受信装置100は、識別情報の認証用のデータ(正規の識別情報)が格納された記憶部108を有する。
【0054】
ユーザに所持される識別デバイス1は、上記第1の通信方式にて受信装置100と通信するためのLF帯受信部31およびLFアンテナ32と、上記第2の通信方式にて受信装置100と通信するためのRF送受信部33およびRFアンテナ34と、LF帯受信部31およびRF送受信部33を制御する制御部35とを通信機能部3に備えている。ここで、LFアンテナ32はたとえば通信機能部3の基板(図示せず)上に形成されたループアンテナからなり、RFアンテナ33は前記基板上に形成されたパッチアンテナからなる。
【0055】
次に、上述した入退場管理システムの動作例を示す。
【0056】
受信装置100は、制御部105で生成した起動信号を、LF帯送信部101において誘導磁界の信号成分に重畳し、増幅してLFアンテナ102から第1の通信方式(LF)にて、一定周期で間欠的に発信する。これにより、受信装置100の周囲(部屋Rの出入口付近)には前記起動信号が届く範囲内で認証エリア9が形成される。
【0057】
識別デバイス1を所持したユーザHが上記認証エリア9内に入ると、識別デバイス1は、受信装置100からの起動信号をLFアンテナ32で受信した後に、LF帯受信部31が制御部35を起動し、制御部35にて情報保持部2内の識別情報を含む応答信号(識別信号)を生成し、RF送受信部33からRFアンテナ34を介して第2の通信方式(UHF)にて応答信号を受信装置100に返信する。ここにおいて、識別デバイス1は、起動信号を受信するまでは、通信機能部3のうちLF帯受信部31のみに電源部4から電力供給を行いLF帯受信部31以外の各部(RF送受信部33、制御部35)への電力供給を行わない低消費電力モードで動作しており、起動信号を受信することで初めてLF帯受信部31以外の各部にも電力供給が行われる通常モードで動作する。
【0058】
受信装置100は、応答信号をRFアンテナ104を介してRF送受信部103で受信し、当該応答信号に含まれる識別情報と記憶部108内のデータとの照合を行う。そして、当該識別情報が正規の識別情報であると判断されて認証が正常に完了した場合には、受信装置100の制御部105は、認証完了した識別情報を含む確認信号(ACK信号)をRF送受信部103からRFアンテナ104を介して識別デバイス1に送信する。また、受信装置100の制御部105は、識別情報の認証が正常に完了すれば表示部106やブザー107によってその旨を報知するとともに、部屋Rの出入口の扉Dを解錠するための制御を行なう一方で、識別情報の認証に失敗した場合には、表示部106やブザー107によって警告を行うとともに、部屋Rの出入口の扉Dの施錠を維持するための制御を行う。
【0059】
このとき、受信装置100は応答信号の送信電力に基づいて蓄電手段6の残量が減少しているか否かを判断し、残量が減少していると判断された場合には、残量減少の報知がブザー107によって為される。蓄電手段6の残量が減少している旨は、表示部106に表示させることもできる。なお、受信装置100の機能の一部を受信装置100に接続される他装置に持たせ、応答信号を受信装置100から前記他装置に転送するようにし、識別情報の照合を前記他装置にて行う構成としてもよい。
【0060】
識別デバイス1は、前記確認信号をRF送受信部33で受信すると、応答信号の送信を終了する。なお、受信装置100からの確認信号の送信に代えて、認証完了した識別情報を次回の起動信号に含むようにしてもよく、この場合、識別デバイス1は自己の識別情報を含む起動信号をLF帯受信部31にて受信することで、応答信号の送信を終了する。
【0061】
このように、識別デバイス1がLF帯の起動信号で起動し、UHF帯の応答信号を返信させることにより、前記認証エリア9をたとえば1.5〜2mの範囲に正確に規定することができる。ここにおいて、識別デバイス1のRF送受信部33からRFアンテナ34を介して送信される応答信号の送信電力は蓄電手段6の残量が少なくなるに連れて低下するため、識別デバイス1から応答信号が届く範囲は蓄電手段6の残量に応じて変化する可能性がある。ただし、本実施形態では受信装置100からの起動信号が届く範囲内で認証エリア9を形成しているため、蓄電手段6の残量変化に伴って認証エリア9が変化することはない。したがって、受信装置100においては、応答信号の受信時における識別デバイス1までの距離は略一定という前提で応答信号の送信電力を求めることができる。
【0062】
また、UHF帯の無線通信を行うRF送受信部33においては、消費電力が10〜20mAと大きいのに対して、LF帯の無線通信を行うLF帯受信部31においては、数μA程度の微弱な電力で起動するので、待機状態にてRF送受信部33への電力供給を行わない低消費電力モードを採用することによって、識別デバイス1の待機電力を低く抑えることが可能である。
【0063】
なお、上述の例では受信装置100が識別情報の認証結果に応じて扉Dの解錠動作を制御する構成を示したが、この例に限らず、受信装置100が自動ドア、自動改札機等の開閉動作を制御する構成としてもよい。また、無線通信は基本的に電磁波を媒体とする通信を意味するが、識別デバイス1は電磁誘導を利用して受信装置100と通信(無線通信)を行うものであってもよい。
【0064】
ところで、本実施形態の他の構成例として、受信装置100は、起動信号を用いることなく、以下の方法により、識別デバイス1までの距離が規定距離以下となったときに識別信号を受信するようにしてもよい。
【0065】
たとえば、受信機能部110における識別信号の受信感度の指向性を利用することにより、受信装置100に対してある方向から届いた識別信号のみを受信装置100にて受信する構成とすることが可能である。これにより、受信装置100の周囲には識別信号を受信可能な範囲で認証エリア9が形成される。この認証エリア9が受信装置100から規定距離以下の範囲に形成されるように、受信装置100の配置等を設定すれば、受信装置100では、識別デバイス1までの距離が規定距離以下となったときに当該識別デバイス1からの識別信号を受信することができる。
【0066】
また、別の例として、人を検知する人感センサ(図示せず)を受信装置100に設けて当該人感センサの検知エリアを認証エリア9とし、認証エリア9に識別デバイス1を所持するユーザHが入ったときに当該識別デバイス1からの識別信号を受信装置100で受信するようにしてもよい。
【0067】
(実施形態2)
本実施形態の入退場管理システムは、残量判定部112が、識別信号の受信強度と閾値との一方を、識別信号の受信時における受信装置100から識別デバイス1までの距離に応じて補正して他方と比較する点が実施形態1の入退場管理システムと相違する。
【0068】
本実施形態では、識別デバイス1までの距離を測定する距離測定部(図示せず)を受信装置100に設けている。ここでは、識別デバイス1を所持するユーザHまでの距離を測定する測距センサを距離測定部として用いるが、他に、たとえば識別デバイス1が識別信号を送信してから受信装置100が識別信号を受信するまでに生じる遅延時間により、識別デバイス1までの距離を求めることも考えられる。
【0069】
残量判定部112は、識別信号の送信電力が一定であれば、識別信号の受信時における受信装置100から識別デバイス1までの距離によらず識別信号の受信強度が一定となるように、識別信号の受信時に距離測定部で測定された距離に応じて前記受信強度を補正する。具体的には、識別信号受信時に測定された距離をパラメータとする補正式が予め設定されており、当該補正式にて識別信号の受信強度を補正する。そして、残量判定部112では、補正後の受信強度を閾値と比較する。報知部113は、補正後の受信強度が閾値を下回った場合に蓄電手段6の残量が規定値を下回ったものと判断する。
【0070】
この構成によれば、実施形態1と同様に、識別信号の受信時における受信装置100から識別デバイス1までの距離による受信強度のばらつきの影響を受けることなく、蓄電手段6の残量を判定することができる。
【0071】
また、本実施形態の他の構成例として、残量判定部112が、識別信号の受信強度ではなく前記閾値を、受信装置100から識別デバイス1までの距離に応じて補正するようにしてもよい。この場合、識別信号の送信電力が一定であれば、識別信号の受信時における受信装置100から識別デバイス1までの距離によらず判定結果が同じになるように、識別信号の受信時に距離測定部で測定された距離が短くなるほど前記閾値を大きくする補正を行う。具体的には、識別信号受信時に測定された距離をパラメータとする補正式を予め設定し、当該補正式にて閾値を補正する方法が考えられる。この他、補正後の閾値を前記距離ごとに予め設定し、前記距離に応じて使用する閾値を選択する方法も考えられる。
【0072】
さらにまた、受信機能部110における識別信号の受信感度の指向性を利用すれば、受信装置100において、識別信号を受信した向き(以下、受信角度という)を認識することができる。ここに、受信装置100を廊下の側壁などに設置すれば、受信装置100においては、識別信号の受信角度によって廊下の長手方向における識別デバイス1のおおよその位置を認識可能となる。そこで、距離測定部では識別信号の受信角度から識別デバイス1までの距離を推定するようにしてもよく、この場合、残量判定部112は識別信号の受信強度あるいは閾値を受信角度によって補正することが可能となる。なお、受信角度は、たとえば複数のアンテナからなるアレイアンテナを用いてアンテナ間の位相差から求めることができる。
【0073】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0074】
(実施形態3)
本実施形態の入退場管理システムは、識別デバイス1が蓄電手段6の残量に応じて識別信号(応答信号)の送信電力を段階的に低下させるように構成された点が実施形態1の入退場管理システムと相違する。
【0075】
すなわち、本実施形態では識別デバイス1に、蓄電手段6の残量を検出して当該残量が少なくなると識別信号の送信電力を段階的に低下させる電力制御部(図示せず)を設けてある。
【0076】
電力制御部は、通信機能部3が受信装置100との通信を開始する際(前述の起動信号を受信装置100から受信した際)に、蓄電手段6の残量を検出する。ここでは、蓄電手段6の出力電圧を監視することにより蓄電手段6の残量を検出するものとするが、その他の周知方法によって残量を検出するようにしてもよい。
【0077】
電力制御部は、検出された蓄電手段6の残量を所定の閾値と比較することにより、当該残量がどの程度減少しているのかを判断する。ここでは、第1の閾値と第1の閾値よりも小さい第2の閾値とが設定されており、蓄電手段6の残量が第1の閾値以上の場合(以下、Aレベルという)と、第1の閾値未満且つ第2の閾値以上の場合(以下、Bレベルという)と、第2の閾値未満の場合(以下、Cレベルという)との3段階に分けて蓄電手段6の残量を判断するものとする。
【0078】
ここにおいて、電力制御部は、蓄電手段6の残量が少なくなると通信機能部3から受信装置100に識別信号を送信する際にアンテナに供給する電力(送信電力)を段階的に小さくすることで、識別信号の送信電力を小さくする。具体的に説明すると、電力制御部は、蓄電手段6の残量がAレベル、Bレベル、Cレベルと低下するに連れて識別信号の送信電力が段階的に小さくなるように、送信電力を3段階で切り替える制御を行う。
【0079】
上述した本実施形態の構成では、蓄電手段6の残量が少なくなると識別デバイス1から受信装置100に送信される識別信号の送信電力が段階的に低下するので、受信装置100の残量判定部112では蓄電手段6の残量減少を確実に検出することができる。また、蓄電手段6の残量が第1の閾値以上であれば、蓄電手段6の残量が多少変動することがあっても識別信号の送信電力は一定に保たれるので、識別デバイス1と受信装置100との間の安定した通信を実現できるという利点がある。
【0080】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0081】
ところで、以上説明した構成の入退場管理システムを用いれば、たとえば不特定多数の来訪者のある管理領域への出入口に受信装置100を設置し、正規の(アポイントのある)来訪者には識別デバイス1を予め渡しておくことで、面識の有無に関わらず正規の来訪者を識別して前記管理領域への入場を許可することが可能となる。さらに、保育施設や介護施設等で集団行動が必要となる状況下において、各個人に識別デバイス1を携帯させることにより、点呼に代えて各個人の存在確認のために活用することも可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 識別デバイス
2 情報保持部
3 通信機能部
4 電源部
5 太陽電池
6 蓄電手段
100 受信装置
110 受信機能部
111 認証処理部
112 残量判定部
113 報知部
H ユーザ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域の出入口に配置された受信装置と、ユーザに所持され受信装置と無線通信可能な識別デバイスとを備え、識別デバイスから受信装置に識別情報が送信されると、受信装置が識別情報の認証を行い当該認証結果に応じて前記対象領域への入退場を許可するか否かを決定する入退場管理システムであって、識別デバイスは、識別情報を電気情報として担持する情報保持部と、受信装置と無線通信を行うことにより識別情報を含む識別信号を受信装置に送信する通信機能部と、光を受けることで電力を生成する太陽電池および太陽電池の生成した電力を蓄電する蓄電手段を含み少なくとも通信機能部に駆動電力を供給する電源部とを有しており、受信装置は、識別信号を受信する受信機能部と、受信機能部で受信した識別信号に含まれる識別情報の認証を行う認証処理部と、受信機能部で受信した識別信号の受信強度と識別信号の受信時における識別デバイスまでの距離とに基づいて推定される識別信号の送信電力から蓄電手段の残量を判定する残量判定部と、残量判定部で判定される蓄電手段の残量が規定値を下回った場合に蓄電手段の残量減少を報知する報知部とを有することを特徴とする入退場管理システム。
【請求項2】
前記残量判定部は、前記受信装置から前記識別デバイスまでの距離が規定距離以下となったときに受信した前記識別信号の受信強度と予め定められている閾値とを比較し、前記報知部は、前記受信強度が前記閾値を下回った場合に前記蓄電手段の残量が前記規定値を下回ったものと判断することを特徴とする請求項1記載の入退場管理システム。
【請求項3】
前記識別デバイスは、前記受信装置から送信される起動信号を受信する受信待機モードで前記通信機能部を常時動作させ、受信装置から前記規定距離以下の範囲内で前記起動信号を受信可能であって、当該起動信号を受信したときに前記識別信号の送信を開始することを特徴とする請求項2記載の入退場管理システム。
【請求項4】
前記受信装置は、前記識別デバイスまでの距離を測定する距離測定部を有し、前記残量判定部は、前記識別信号の受信強度と閾値との一方を、識別信号の受信時に距離測定部で測定された距離に応じて補正された他方と比較し、前記報知部は、前記受信強度が前記閾値を下回った場合に前記蓄電手段の残量が前記規定値を下回ったものと判断することを特徴とする請求項1記載の入退場管理システム。
【請求項5】
前記識別デバイスは、前記蓄電手段の残量を検出して当該残量が少なくなると前記通信機能部における前記識別情報送信時の送信電力を段階的に小さくする電力制御部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の入退場管理システム。
【請求項6】
前記報知部は、音により報知を行うものであって、前記認証処理部における前記識別情報の認証結果の報知にも兼用され、認証結果の報知と残量減少の報知とで異なる出力を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の入退場管理システム。
【請求項7】
前記報知部は、光により報知を行うものであって、前記認証処理部における前記識別情報の認証結果の報知にも兼用され、認証結果の報知と残量減少の報知とで異なる出力を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の入退場管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−165313(P2010−165313A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9191(P2009−9191)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】