全方向性レンチキュラーおよびバリアグリッド方式の画像ディスプレイおよびそれらを作成するための方法
【解決手段】 例えばバリアまたはレンチキュラーレンズなどの画像ディレクティング装置であって、垂直(0度)または水平(90度)以外になるように傾斜されており、2若しくはそれ以上の個別の画像を、異なる視点から各画像を視認可能なように表示する画像ディレクティング装置である。そのように表示された合成画像は、それら画像の画面が垂直軸を中心に傾けられるか水平軸を中心に傾けられるかに関わらず、実質的に望ましい視認体験を提供する。前記合成画像は、新規ピクセルマッピング法を用いて個別の画像群から希望に応じて生成される。レンチキュラーシートおよびバリアスクリーンは、前記シートの端に対して定められた角度で配向されたレンズまたはバリアを用いて希望に応じて作成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般に、レンチキュラーおよびバリアグリッド方式の画像ディスプレイに関するものである。より具体的には、本発明は、画面を提供する画像媒体と画像ディレクティング装置とを有し、全方向性であることによって性能の向上を提供する、レンチキュラーおよびバリアグリッド方式の画像ディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インテグラル方式およびレンチキュラー方式のイメージングは、20世紀初頭に提案されて以来、Lippman、Ivesを始めとする人々によって実践されてきたものであり、1950年にVictor Andersonがレンチキュラー方式のイメージングを実用化および商業化したことによってその技術が確立された。それ以来、レンチキュラー画像の仕組みには基本的に変化がなかった。
【0003】
基本的にレンチキュラーでは、まず何らかの形で互いに関連性を持つ2若しくはそれ以上の個別の画像(1つの3D場面に含まれる異なるビュー、1つの動画またはビデオまたはアニメーションに含まれる異なるフレーム、若しくは製品とその価格のような1つの選ばれた課題に関する異なる画像、事前および事後の像、若しくはその像の作成者が視聴者に見てほしいと望むその他の画像)を選択し、それら選択された個別の画像を複数の画像スライスに分割する。次に、垂直スライス若しくは水平スライスである場合がある前記画像スライスを1つの合成画像として再構成し、それを、前記個別の画像それぞれからのデータを含む画面を提供する画像媒体上に表示する。この画像媒体を、例えばイメージスクリーンなど画像ディレクティング装置と重ね合わせる(オーバーレイする)。
【0004】
本発明の目的に用いられる従来の画像ディレクティング装置には2つのタイプがある。1つのタイプは、バリアスクリーンと呼ばれる、垂直または水平に配向された不透明素子の1パターンを有する。もう1つのタイプの画像ディレクティング装置は、シリンダーマイクロレンズの1アレイを有する。このシリンダーマイクロレンズのアレイは、レンチキュラースクリーンと呼ばれる。前記画像ディレクティング装置の効果によって、前記合成画像として構成された前記個別の画像を、それぞれ異なる視点から個別に見ることができるようになる。
【0005】
これまで、その他の機能を与えるために、傾斜したレンチキュラーレンズの使用が提案され、実施されてきた。米国特許第3,409,351号公報の中で、D.F.Winnekは、レンチキュラー3D画像を2工程を経て記録する方法論を開示している。まず、レンチキュラーレンズを通してカメラでネガティブを記録する。各レンチキュラーレンズの背後に記録された個々のストリップ画像は、前記レンチキュラーレンズ素子を通過すると逆転する。この逆転により、3Dネガティブを見ると、奥行きが実物と逆になっているスードスコピック(逆立体視)画像が目に映る。次に、従来のプリントを生成するためにネガティブを拡大するときに用いるような投射装置を用い、別のレンチキュラーレンズを通して前記レンチキュラーネガティブを写真プリント材料上に投射して、最終的な3Dプリントを生成する。この工程によって、前記最終的な画像を希望に応じて前記レンチキュラーネガティブより大きくすること、若しくは小さくすること、若しくは同じサイズにすることが可能となると同時に、前記ストリップ画像を再度逆転してオルソスコピック(整像的)な3Dプリントを生成することが可能となる。(前記第1のレンチキュラーレンズの構造に起因する)特有の垂直線パターンのある画像を、別の垂直線パターン(前記別(第2)のレンチキュラーレンズ)を通して投影することによって生ずる問題は、顕著なモアレが生ずることである。このモアレのパターンの出現を減少若しくは視覚的に除去するために、Winnekは、前記2つのレンチキュラーレンズの軸間に角度をつけることを提案している。彼は、画像の角の口径食を防ぐためには、前記2つのレンズ間の角度を20℃未満にすべきだとしている。
【0006】
また、傾斜したレンチキュラーを用いることも、米国特許第6,373,637号公報の中で、S.Gullick,Jr.とR.Taylorによって提案されている。前記特許は、2若しくはそれ以上の画像をその垂直線に対して傾斜した角度に回転させ、それらの画像を垂直に2値化および多重化したものを、垂直に配向されたレンチキュラーレンズか「ヘリンボーンレンチキュラー」レンズのいずれかに取り付け、その最終画像を回転することによって画像を再度垂直に配向して、前記レンズを画像傾斜角度から90度を差し引いた角度のままにすることを開示している。最後に、前記傾斜したレンズをトリムして未使用部分を不要なものとして廃棄することによって、前記レンズの2つの側部を垂直にし、別の2つの側部を水平にする。この技法の提案により、前述の完成したレンチキュラーを垂直軸を中心に回転することによって視差のあるステレオスコピック(立体視)3D表示が得られるようになり、同時に、前述の完成したレンチキュラーを、水平軸を中心に回転することによって動きのある画像が得られるようになった。
【0007】
しかしながら本発明の発明者は、先行技術は様々な視方向で同じ視覚効果を生み出す合成画像ディスプレイを作成するのための方法についての開示若しくは提案、すなわち、本書で開示されるような垂直若しくは水平の傾斜であれ、傾斜したレンチキュラーまたはバリアスクリーンと適合して機能するような合成画像を形成するための方法論であれ、同じく本書で開示されている傾斜したレンチキュラーレンズまたはバリアスクリーンを作成する方法であれ、そのような開示若しくは提案をしていないものと考える。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、垂直(0度)または水平(90度)以外に配向された、例えばバリアまたはレンチキュラーレンズなどの画像ディレクティング装置を利用するものであって、前記画像ディレクティング装置は2若しくはそれ以上の個別の画像を表示するために傾斜しており、各画像は異なる視点から視認可能である。本発明に従って表示される画像媒体上の合成画像は、それら画像の表面を水平軸を中心に傾ける(例えば前後に揺らす)ことによって用いるか垂直軸を中心に傾けて用いるかに関わらず、実質的に同じ視認体験を提供するものであって、すなわち、本発明の画像ディスプレイは、(1つを除く)ほぼあらゆる任意の軸を中心に傾けたときに、視聴者に望ましい効果を与えることができる。本発明の別の観点において、合成画像の視聴者が動いている間、前記視聴者の動きが前記画像の画面に対して水平方向であるか垂直方向であるか、あるいはその他のほぼあらゆる任意の方向であるかに関わらず、前記画面を静止することによって前記画像に望ましい効果を与えて表示することが可能である。これには、視点の高さ以外で前記画面に近づくこと若しくは前記画面から遠ざかることが含まれる。実際的方法として、前記画像ディスプレイが静止されている間の前記視聴者によるそのようなあらゆる相対的な動きは、前記視聴者が静止している間に前記画像ディスプレイを傾けるのと同等の視覚的効果を生む。本発明はまた、個別の画像から合成画像を生成するための、ピクセルマッピング法を用いた新しい方法も提供する。
【0009】
レンズまたはバリアを有する前記画像ディレクティング装置が、水平面(すなわち例えば水平線)に対し45度という好ましい角度で傾斜すると、水平軸または垂直軸のいずれかを中心に前記画像ディスプレイが傾けられたときに望ましい効果が見られ、前記効果のスピードと程度は、どちらの方向に傾けた場合も同じである。本発明の別の実施形態において、前記画像ディレクティング装置を、(45度、0度、90度以外の)あらゆる角度で傾斜することが可能である。しかし、そのような代替実施形態においては、その視聴者に対して前記表示の画面を別の方向(例えば前記画面を繰返し左右に傾けることによって水平に)よりも1方向に(例えば前記画面を繰返し上下に傾けることによって垂直に)傾けた場合、前記効果はよりゆっくりと進行し、前記効果の程度は下がるが、これは、その画面をその1方向に傾けた場合に、元々の画像の必ずしも全てが視覚化されるとは限らないためである。実際には、望ましい効果は傾斜の角度が5度から85度である場合に得られるものであって、好ましくは15度から75度、より好ましくは35度から60度、さらにより好ましくは40度から45度、最も好ましくは約45度で得られる。
本発明の発明者は、傾斜されたバリアまたはレンズのない(すなわちゼロ(垂直)若しくは90度(水平)方向である)従来のレンチキュラーおよびバリア画像ディスプレイは、たとえ前記画像ディスプレイが軸を中心にゼロまたは90度以外の角度で傾けられていても、また、たとえ前記画像ディスプレイが水平(X)または垂直(Y)軸を中心に傾けられる前にまず任意の量だけZ軸を中心に回転されても、3Dまたはモーションのような前述の効果を与えることに気づいた。
【0010】
本発明の技法が与えるその他の便益は、垂直または水平に配向された同一のバリアまたはレンズを用いた場合に比べ、任意のあらゆる表示または画像解像度およびバリアまたはレンズの特徴に対して、このタイプの画像の視野角がより広いこと、「飛び」がはるかに目立たないこと、ゴーストの発生が減少すること、スクリーンに対して画像を整合することの重要性が減少すること、より多くの画像を利用できるようになることである。
【0011】
画像は、光学的若しくはコンピュータを用いた手段による表示に用いられる前記バリアスクリーンまたはレンチキュラーレンズスクリーンに対して正しくデータを配置することによって記録可能である。この方法は、印刷画像(インクジェット、リト、スクリーンプリンティング、Lamda、Lightjet、LVT、写真乳剤、デジタルイメージングなど)および電子画像(CRT、LCD、プラズマ、プロジェクション、テレビ、コンピュータ、セル式携帯電話、フロントまたはリアプロジェクションスクリーンなど)を含む実質的にあらゆる画像媒体とともに利用可能である。バリアやレンチキュラースクリーンのような、従来の製造方法により製造された画像ディレクティング装置を、本発明と共に使用することは可能であるが(ただし無駄が生じる)、本発明は、選択的に希望に応じて、スクリーン材料を無駄にせずにこの技法に適したバリアまたはレンチキュラーを作成するための特別のマスターシリンダーまたはプレートの設計および作成方法を提供する。
【0012】
本発明は、画像ディスプレイおよび前記画像ディスプレイを作成する手段を提供することが可能であって、前記手段は、前記画像ディスプレイの視聴者の位置に対して前記画像ディスプレイの画面(すなわちその画像媒体の画面)が水平軸か垂直軸か、あるいはほぼあらゆる任意の軸を中心に傾けられるかに関わらず、望ましい表示効果を提供する。本発明を利用する場合、前記ディスプレイを傾けてもそれが望ましい効果を生まない軸中心は1つだけある。これは、前記ディスプレイを、前記画像ディレクティング素子の方向に対して垂直である軸を中心に傾けた場合に生じるものであって、実際上は生じる見込みが低く、且つ、人にとって行いにくい動作である。上述のように、望ましい効果は、本発明の静止ディスプレイの視聴者が前記ディスプレイに対して移動しても与えられる。
【0013】
本発明の1つの特徴は、像の視聴者に対して像の画面を水平軸、垂直軸、あるいはほぼあらゆる任意の軸を中心に傾けても水平視差のある3D画像を提供する画像ディスプレイおよびそれを作成する手段を提供する能力である。
【0014】
本発明の別の特徴は、像の視聴者に対して前記ディスプレイの画面が水平軸、垂直軸、あるいはほぼあらゆる任意の軸を中心に傾けてられている間、動きのある画像またはアニメーションまたはフリップを提供する画像ディスプレイおよびそれを作成する手段を提供する能力である。
【0015】
本発明の別の特徴は、像の視聴者に対して前記ディスプレイの画面が水平軸、垂直軸、あるいはほぼあらゆる任意の軸を中心に傾けてられている間、動きのある3D画像またはアニメーション3D画像またはフリップ3D画像を提供する画像ディスプレイおよびそれを作成する手段を提供する能力である。
【0016】
本発明の別の特徴は、2若しくはそれ以上の関連画像からのデータを1つの合成画像に再構成するための効率的な手段であって、前記画像は、バリアまたはレンチキュラースクリーンのような画像ディレクティング装置を通して視認可能であって、前記スクリーンは、元の各画像をその他の画像と異なるヴァンテージポイントで見ることを可能にするものであって、前記画像ディレクティング装置の平行素子は1つの傾斜に配向されている(ゼロまたは90度以外の角度でそれらを提示するようz軸を中心とした回転によって)。
【0017】
本発明の別の特徴は、バリアまたはシリンダーレンズがゼロまたは90度以外の角度に配向されているバリアおよびレンチキュラースクリーンを作成する手段であって、バリアまたはレンチキュラースクリーン材料を無駄にせずに本書に記述したような合成画像を表示するために用いることができる手段である。
【0018】
本発明の別の特徴は、より広い視野角を提供する画像ディスプレイおよびそれを作成する手段を提供する能力であって、それにより、優れた3D的特徴およびモーション的特徴を維持し、且つ、収差または前記バリアまたはレンズに対する感知を増すことなく、望ましくない不連続感の感知を低減する。
【0019】
以下の詳細な説明によって明らかになる本発明の様々な観点は、以下を含む。
1.画像データの平行スライスによって構成される画像媒体上の合成画像であって、2若しくはそれ以上の元画像から作られており、表示のために傾けられた場合に、前記合成画像の水平軸または垂直軸のいずれに対しても平行には配向されないスライスを有する1画像を形成するよう混同されている合成画像であって、前記合成画像のスライスの方向に対し平行な素子を有する画像ディレクティング装置を通して視認可能である。
2.平行スライスによって構成される合成画像であって、2若しくはそれ以上の元画像から作られており、表示のために傾けられた場合に、前記合成画像の水平軸または垂直軸のいずれに対しても平行ではないスライスを有する1画像を形成するよう混同されている合成画像であって、前記合成画像のスライスの方向に対し平行であるレンチキュールおよびバリアを有するレンチキュラーレンズアレイおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つを通して視認されるものであって、それにより、前記2若しくはそれ以上の画像の各画像が、異なる視点から見えるようになる。
3.平行スライスによって構成される合成画像であって、2若しくはそれ以上の元画像から作られており、表示のために傾けられた場合に、前記合成画像の水平軸または垂直軸のいずれに対しても平行ではないスライスを有する1画像を形成するよう混同されている合成画像であって、前記合成画像のスライスの方向に対し平行であるレンチキュールおよびバリアを有するレンチキュラーレンズアレイおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つを通して視認されるものであって、それにより、前記2若しくはそれ以上の画像の各画像が、異なる視点から見えるようになるものであって、前記合成画像および元画像はセクションおよびサブセクションに分割され、前記元画像のサブセクションからの画像データは、1連のマッピング規則に従って前記合成画像の選択されたサブセクションに収められる。
4.平行スライスによって構成される合成画像であって、2若しくはそれ以上の元画像から作られており、表示のために傾けられた場合に、前記合成画像の水平軸または垂直軸のいずれに対しても平行または垂直に配向されていないスライスを有する1画像を形成するよう混同されている合成画像であって、前記合成画像のスライスの方向に対し平行であるレンチキュールおよびバリアを有するレンチキュラーレンズアレイおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つを通して視認されるものであって、それにより、前記2若しくはそれ以上の画像の各画像が、異なる視点から見えるようになるものであって、前記合成画像および元画像はセクションおよびサブセクションに分割され、前記元画像のサブセクションからの画像データは、1連のマッピング規則に従って前記合成画像の選択されたサブセクションに収められるものであって、それにより、合成画像データを含む画像媒体の画面が視聴者に対して水平軸を中心に傾けられるか垂直軸を中心に傾けられるかに関わらず、視聴者に対して基本的に同一の順序で画像が表示される。
5.少なくとも65度の視野角で、レンチキュラーレンズアレイおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つを通して視認される合成画像。
6.バリアスクリーンであって、そのバリア線は互いに平行であり、前記バリアスクリーンが乗せられている基材の側部に対して平行でない。
7.レンチキュラーレンズアレイであって、そのレンズレットは互いに平行であり、前記レンチキュラーレンズアレイが乗せられている基材の側部に対して平行でない。
8.合成画像を作成する方法であって、2若しくはそれ以上の元画像をセクションおよびサブセクションに分割する工程と、前記サブセクションからデータを選択する工程と、前記選択されたデータを、新しい画像のセクションとサブセクションを形成する配置に並べ替える工程とを有するものであって、前記セクションおよびサブセクションは互いに平行であり、前記合成画像または元画像の側部に対して平行でも垂直でもない。
9.合成画像を作成する方法であって、2若しくはそれ以上の元画像をセクションおよびサブセクションに分割する工程と、前記サブセクションからデータを選択する工程と、前記選択されたデータを、新しい画像のセクションとサブセクションを形成する配置に並べ替える工程とを有するものであって、前記セクションおよびサブセクションは、視聴者に対して意図したように表示されたときに互いに平行であり、その水平(線)*に対して平行でも垂直でもない。
10.溝のあるシリンダーまたはプレートを作成する方法であって、前記溝は前記シリンダーまたはプレートの側部に対して平行ではない溝であって、前記シリンダーまたはプレートは、バリアスクリーンおよびレンチキュラーレンズアレイのうちの少なくとも1つを作成するために使用可能なものである。
11.画像ディレクティング装置を用いて視認される合成画像を作成する方法であって、
1.前記バリアまたはレンチキュールの傾斜角を選択する工程と、
2.使用する元画像の数を選択する工程と、
3.前記合成画像のサイズを選択する工程と、
4.使用するバリアまたはレンチキュールの数を選択することによってそれらのピッチを決定する工程と、
5.前記バリアシートまたはレンチキュラーレンズアレイの基材を選択する工程と、
6.最適な視認距離を選択する工程と、
7.前記レンチキュラーレンズアレイまたはバリアシートの厚さを選択する工程と、
8.前記レンチキュラーレンズアレイまたはバリアシートの視野角を選択する工程と、
9.画像データセットの幅を決定する工程と、
10.前述の工程において決定され、選択されたパラメータを利用して予め定められたレイアウトとマッピング配置に従って、2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを平行な行または列に再配置する工程であって、前記合成画像の縦横比を保持するために必要なピクセルの複製作りと切り捨てを含み、コンピュータおよび光学的手段のうち少なくとも1つを利用する、前記再配置する工程とを有するものである。
12.視聴者に対して像を水平軸または垂直軸を中心に回転する間、水平視差のある3D画像を提供する画像ディスプレイおよびそれを作成する手段である。
13.視聴者に対して像を水平軸または垂直軸を中心に回転する間、動きのある画像またはアニメーションまたはフリップを提供する画像ディスプレイおよびそれを作成する手段である。
14.視聴者に対して像を水平軸または垂直軸を中心に回転する間、動きのある3D画像またはアニメーション3D画像またはフリップ3D画像を提供する画像ディスプレイおよびそれを作成する手段である。
15.2若しくはそれ以上の関連する画像からのデータを1つの合成画像に再構成するための効率的な手段であって、前記合成画像は、ゼロまたは90度以外の角度に配向されたバリアまたはレンチキュラースクリーンを通して視認可能であり、それにより、元の各画像をその他の画像と異なるヴァンテージポイントで視認することが可能となる。
16.無駄を生ずることなく、バリアまたはシリンダーレンズがゼロまたは90度以外の角度に配向されているバリアおよびレンチキュラースクリーンを作成する手段であって、本書に記述したように、合成画像を表示するために用いることができる手段である。
17.画像データを切り捨てるのではなく補間によってピクセルを作成することによって、画像媒体上に合成画像を作成する方法。
18.少なくとも65度の視野角を提供する画像およびそれを作成する手段であって、優れた3D的特徴およびモーション的特徴を維持し、且つ、収差または前記バリアまたはレンズに対する感知を増すことなく、「飛び」すなわち望ましくない視覚的不連続感を低減する手段である。
19.コンピュータを用いた手段を用いて上記方法10を実行する工程であって、前記合成画像および1つの元画像のみが常にメモリバッファにある工程である。
20.コンピュータを用いた手段を用いて上記方法10を実行する工程であって、前記合成画像、および1つの元画像の全データライン未満のデータラインのみが常にメモリバッファにある工程である。
21.本書に開示した合成画像を電子的に表示する工程である。
22.2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程である。
23.2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程において、前記元画像を前記合成画像上にオーバーラップすることにより、各元画像の1つの選択された特徴を、前記合成画像において互いに合致させる。
24.2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程において、バリアスクリーンおよびレンチキュラーレンズアレイのうち少なくとも1つの背面を乳剤(エマルジョン)で被膜し、そのハレーション防止層は、前記スクリーンおよびアレイのうちの前記1つから最も遠くにある層であり、前記アレイとスクリーンのうちの前記1つを通して前記乳剤を露出する。
25.2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程において、バリアスクリーンおよびレンチキュラーレンズアレイのうち少なくとも1つの背面を乳剤で被膜し、そのハレーション防止層は、前記スクリーンおよびアレイのうちの前記1つから最も近くにある層であり、前記アレイとスクリーンのうちの前記1つを通してではなく直接に前記乳剤を露出する。
26.2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程において、投影される画像は、前記合成画像を見るために使われるレンチキュラーレンズアレイおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つの傾斜角に相対して選択された角度に傾斜される。
27.前記合成画像を見るために使われるレンチキュラーレンズアレイおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つの傾斜角に相対した角度で最初に作られた2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程である。
28.2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程において、前記画像はバリアスクリーンを通して乳剤上に、前記乳剤に取り付けられたレンチキュラーレンズアレイと位置合わせされて投影される。
29.2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程において、前記合成画像は、バリアスクリーンを通して、前記乳剤に取り付けられた画像ディレクティング装置と位置合わせされた乳剤上に密着印画により複写される。
30.2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程において、前記バリアスクリーンはPbs/NI未満の幅を有する空スペース(Wcl)を有する。
31.溝を有する平らなプレートからの複製による、レンチキュラーレンズスクリーンおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つの作成であって、前記溝は前記プレートの側部に対して平行ではない。
32.直線の境界を有する基材を有するレンチキュラースクリーンを有する画像ディレクティング装置であって、前記基材は、互いに平行であり前記基材の境界に対しては平行でないレンチキュールとして形成される。
33.直線の境界を有する基材を有するバリアスクリーンを有する画像ディレクティング装置であって、前記基材は、互いに平行であり前記基材の境界に対しては平行でない線形開口部を有する。
34.像の視聴者に対して前記像を水平軸を中心に回転するか垂直軸を中心に回転するかに関わらず、実質的に同一の感知効果を提供する画像ディスプレイおよびそれを作成する手段である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
定義
本書において、「画像ディレクティング装置」とは、元画像からのデータによって構成される多数の画像スライスを有する1つの合成画像を元に、前記複数の元画像の各々を個別および同時に見せることができる装置であって、各元画像を異なる視点から見えるようにするものである。従来の画像ディレクティング装置としては、レンチキュラースクリーンとバリアスクリーンが含まれる。
【0021】
本書において、「望ましい効果」とは、以下の視覚認知のいずれか若しくはいくつかの組み合わせを含む場合があり、ディスプレイの作成者の意図と設計に従った視認体験によって異なる。(a)描写された場面の奥行きおよび視差の感知を伴う3次元(「3D」)表示、(b)前記画像内に描写されたあらゆる素子の動き、(c)1つの画像から別の画像へのフリップ。
【0022】
本書において、「傾き/傾斜」とは、視聴者に対する画像ディスプレイの画面の動きのことである。そのような「傾き/傾斜」には、ほとんどの場合、垂直軸、水平軸、あるいは他の軸を中心とした動きが関わり、その動きとしては、弧を通過する1度の回転若しくは前後の往復の動きが可能である。
本書において、「全方向性」とは、画像ディレクティング装置を有する画像ディスプレイが傾けられたときに、水平であれ、垂直であれ、どのような任意の方向に傾けられても前記ディスプレイの視聴者に「望ましい効果」を与えることのできる、前記ディスプレイの能力のことであるが、例外として、1つの特定の軸(傾斜角に垂直の軸と呼ぶ)に沿った傾斜だけは、前記望ましい効果を与えない。
【0023】
本書において、「レンズ」、「レンズ素子」、「マイクロレンズ」、「レンズレット」、「レンチキュール」は、レンチキュラースクリーンの1素子のことであり、互いに置換可能な用語である。
【0024】
本書において、「傾斜」とは、画像ディレクティング装置、若しくは画像ディレクティング装置を有する画像ディスプレイの素子を水平若しくは垂直以外の配向に位置づけることである。下記でΘとして表される傾斜角は、望ましくは垂直軸から45度であるが、必ずしもそうである必要はない。
【0025】
本書において、画像ディレクティング装置の「視野角」とは、画像ディレクティング素子によって範囲が定められる角度のことであって、本書に記述した全ての元画像からのデータを視認することができる、空間内の領域を与えるものである。
【0026】
「元画像」とは、画像ディスプレイ上の2若しくはそれ以上の画像の1つとして表示されるものとして選択された任意の画像である。
【0027】
「合成画像」とは、2若しくはそれ以上の元画像を表すデータから光学的方法若しくはコンピュータ的方法若しくはそれ以外の方法で作られた画像であって、前記合成画像は画像媒体の画面上に表されるものであり、画像ディレクティング装置を通して視認されることを目的とする。
【0028】
「画像スライス」とは、画像の一部からのデータであって、1方向の限られたデータ量(最少では1ピクセル)と、本書において「サブセクション」と呼ばれる一般に垂直方向である前記画像の前記一部から得られる全てのデータとから成る、前記画像の一部からのデータである。
【0029】
図1は、バリアスクリーンやレンチキュラースクリーンのような画像ディレクティング装置を用いたイメージングの一般的技法を示す略図である。前記プロセスの例として、3つの個別の画像(110、120、130)が、各々3つの垂直スライスに分割されており、それら全てが1つの合成画像(155)に再構成されている。(見やすく理解しやすい図にするためにスライス数を3つにしたが、典型的には個別の画像を多数のスライスに分割するものであることを読者は理解すべきであり、その数は、その合成画像とともに用いられるバリア数またはマイクロレンズ数に関連する数である。)
本発明に従って前記元画像の縦横比を保持するために、前記合成画像は両方向に同等の解像度を有するものと仮定し、前記元画像は前記画像ディレクティング装置(たとえばバリアまたはマイクロレンズ)の素子に対して平行方向に拡大される。あるいは代わりに、従来のように、前記合成画像を構成する前に、前記方向に対して垂直の方向にデータが切り捨てられる。行われるデータの拡大または切り捨ての量は、前記合成画像を形成するために組み合わされる画像数の関数である。例えば、図2Aおよび3Aが示す、3つの元画像を用いた従来の例において、その水平データのわずか3分の1のみが利用されることになる(その水平データの3分の2は切り捨てられる)。
【0030】
本発明の好ましい実施形態において、最終的な画像の高さは3倍に拡大される(ピクセルの複製、若しくは、好ましくは新しい補間されたピクセルの創出によって)。そのような補間は、Adobe Photoshop(登録商標)のような画像処理ソフトウェアの「画像サイズ」機能を使用して便利に行われる。例えば前記機能の最隣接、双線形、双三次抽出といったオプションのいずれかを使用することも可能だが、双三次補間を用いて前記画像を再抽出するのが好ましい。
【0031】
あるいは代わりに、本発明は、それら2つの方法の組み合わせを利用することも考慮し、一部のデータを切り捨てて他のデータを補間することで、望ましい縦横比の画像スライスを提供する。
【0032】
図2Aは、バリアスクリーン250を通して視認される合成画像255を示す。図2Bは、前記と同一のものの鳥瞰図(平面図)である。典型的には、前記スクリーンは不透明の領域251と透明の領域252から成り、各透明の領域の幅は1画像スライス256とほぼ同等であり、各不透明の領域は使用される元画像数に1画像スライスの幅を掛けた数字から1を減算して求められるものとほぼ同等である。
【0033】
図3Aは、レンチキュラースクリーン350を通して視認される画像媒体355の画面上の合成画像の透視図を示す。図3Bは、前記と同一のものの鳥瞰図である。典型的には、前記レンチキュラースクリーンの各マイクロレンズすなわちレンチキュール352は、使用される元画像数に1画像スライス356の幅をかけたものとほぼ同等の空間を覆う。両方の実施形態(図2A、2Bと図3A、3B)において、前記3つの元画像(画像1、画像2、画像3)を各々異なる位置における視点から別々に見ることができ、従って、前記画面に対して異なる角度から別々に見ることができる。
【0034】
バリアスクリーンではなくレンチキュラースクリーンを使用することによる利点は、画像からの光のほぼ全てがレンズを通してその画像の視聴者に届くことにより明るい画像となることと、各レンズがそのレンズの後ろにある画像のセクションを拡大するため、あらゆる視野角から見た像が、セクション間に切れ目のない一体化した連続的なものとして目に映ることである。レンチキュラースクリーンを使用することによる不利な点は、レンズによって収差が生じることによりゴースティング若しくは望ましくない画像のオーバーラップが発生し、奥行きが制限されることである。前記バリアスクリーンの利点は、いわばその反対であり、収差が生じないことであり(ただし比較的軽度の回折がある程度生じる)、従って、奥行きを与える能力がはるかに優れているが、セクション間の線ははっきりと目に見えるため、まるで縦の柵が並んでいるように見える。ほとんどの光は前記バリアによって吸収されるため、前記バリアを通した画像は通常の印刷画像若しくはレンチキュラーレンズスクリーンを使った画像に比べてはるかに暗くなり、これを避けるには非常に強いバックライトを使う必要があり、追加的なエネルギーの消費と追加的な熱が伴う。
【0035】
そのようなディスプレイの作成技術においてよく知られているように、前記バリアまたはレンズを垂直に配向すると、異なる水平視点から異なる個別の画像が見えるようになる。それを見るユーザーその視聴者が前記画面に対して上下に動いても、知覚的変化はない。これは、「フリップ」画像、すなわち画像が第1の場面から第2の場面へとパラパラ動くように見える画像を見せるための方法であり、例えば、ある衣装を着たモデルが、その衣装のメーカーのロゴに合わせてフリップする。はじめは、視聴者の両眼は、2枚組みフリップの第1の画像を見る。そしてある時点で、前記視聴者が水平に移動するにつれ(若しくは前記視聴者が前記画像ディスプレイを垂直軸を中心に傾けるにつれ)、前記視聴者は、一方の目が前記2枚組みフリップの第1の画像を、もう一方の目が前記2枚組みフリップの第2の画像を見る位置に来る。これらの画像はかなり異なるものであるため、その時点で脳はそれらの画像を結合させることができず、不快で混乱した感覚を覚える。しかし、前記視聴者が水平に移動し続けるにつれ、前記視聴者はその時点を通過し、両眼が前記2枚組みフリップの第2の画像を見る位置に至り、再び好ましい画像を見ることになる。ほとんどの視点において、前記視聴者の両眼はあらゆる任意の時点で同時に1画像若しくは前記2枚組みフリップのもう1枚の画像を見ることができ、前述の混乱した感覚を与える領域は狭いものであるが、中には、この短い混乱感覚を非常にわずらわしく感じ、その像のために目まいがしてその像が嫌いだと言う人もいる。
【0036】
動きのある画像(アニメーション、ズーム、モーフィング画像を含む)で垂直配向バリアを使うと、水平配向バリアを使った場合に比べてこれが悪化する。これは、あらゆる任意の視点で、ある時点に描写された場面が一方の目に映り、別の時点に描写された場面がもう一方の目に映るためである。それら2つの時点間に生じる動き(モーション)が多いほど、画像はより異なったものとなり、それらの画像を脳で結合することがより難しくなり、より不快で混乱した感覚を脳は体験することになる。この理由から、一般にモーション画像には垂直配向バリアまたはレンズは使われない。
【0037】
これまで、場面の3D画像を表示するには、垂直配向バリアまたはレンズを使用するしかないと考えられてきた。前記3D画像を正しく見せるために、前記合成画像を構成する個々の異なる画像は、一般に、異なる視点からの3D場面を見せるものであり、前記画像が写真である場合、前記異なる視点とは、前記合成画像の元画像を撮影するための対応するそれぞれのカメラの位置ということになる。前記画像スライスの幅、または前記バリアスクリーンの透明線および不透明線の幅、または前記レンチキュラースクリーンのシリンダーレンズの幅およびそれらレンズの湾曲と、例えばバリアスクリーン若しくはレンチキュラースクリーンである前記画像ディレクティング装置の画面および平面間の距離と、画像の視聴者と前記バリアまたはレンチキュラースクリーンの間の距離とを慎重に選択することにより、任意の時点において前記視聴者の両眼が各々異なる画像を見るようにする。前記視聴者のそれぞれの目が同時にそれぞれ異なる画像を見れば、前記視聴者は前記場面の3D表示を感知することができる。前記視聴者の頭が水平方向に動くと、各々の目はそれまで見ていなかった前記場面の新しい表示を見ることができ、「視差」と呼ばれる、前記場面を見回している体験が創出される。この場合、前にあるオブジェクトによって隠されていた背景オブジェクトが目に見えるようになる。
【0038】
一般に、水平配向バリアまたはレンズの使用は、フリップおよび動きのある画像の表示に最善の方法と考えられてきた。これは、あらゆる任意の時点において、両眼が同一の画像を見るため、視聴者にとって常時快適だからである。異なる個別の画像は、異なる垂直の視点から見ることができる。前記視聴者が水平に移動しても、別の個別の画像に切り替わる感知を得ることはない。異なる画像を表示するには、水平軸を中心にその合成画像を傾けるか、若しくは前記視聴者を画面に対して上下に動かして望ましい効果を見せる必要がある。手持ちできる画像であれば、これはユーザーにとって容易である。例えば壁に貼られたポスターの場合のように静止している画像であれば、階段を上りながらそのポスターを見たり、エスカレーターからそのポスターを見たり、エレベーターで移動中に窓外のポスターを見たりすることで、自動的に前記効果が得られる。
【0039】
あるいは代わりに、目の高さ以外の高さに貼られているポスターであれば、(異なる元画像を視認する)効果は、視聴者がそのポスターに向かって進むかそこから遠ざかることによって得られる。しかし、目の高さに貼られているポスターの場合、視聴者が上下に動くという不自然な動きがない限り、その効果は得られない。あらゆる任意の時点で両眼は常に同一の画像を見るため、バリアまたはレンズの水平配向を用いて視聴者に3D体験を与えることはできない(ただし、視聴者の頭が傾けられている場合、若しくは例えば視聴者がローラーコースターに乗っている間などに可能な寝姿勢の場合はこの限りではないが、それは不自然である)。
【0040】
つまり、階段、エスカレーター、エレベーター上の偶然の視聴者、若しくはそのポスターに向かって歩いて行く視聴者によって見られることを意図した従来の貼り付けポスターは、3Dにはなり得ないのである。これはまた、通り過ぎる歩行者または車に乗っている人々が見ることを意図して取り付けられたフリップまたはモーション画像が、一部の人には不快に映ることも意味する。
【0041】
バリアまたはレンチキュラーレンズを使った手持ちの画像に関しては、望ましい効果を表示するためにそれをどの方向に傾けるかに関わらず生じる別の問題もある。従来のレンチキュラーまたはバリア画像では、そのバリアまたはレンズが水平か垂直のいずれかに配向されているため、視聴者が誤った軸を中心に像を回転させて、変化または特殊効果を見逃す可能性は50%である。これは、普通の像を見ているという誤解を視聴者に与えるものであって、視聴者は見る意欲を失い、エキサイティングで目を引く効果を体験することなく立ち去ってしまうかもしれない。例えば、特別プロモーション配信物にレンチキュラー画像が含まれていた場合、前記レンチキュラー画像を提供するための追加的コストの50%は潜在的無駄であり、前記プロモーションの受領者の半数にとって、その視覚効果は通常の平面印刷の効果と変わらないのであるから、望ましい効果を見る受領者に対する前記特別プロモーションの追加的コストを倍増していることになる。
【0042】
バリアを使うかマイクロレンズを使うかに関わらず、選考技術のもう1つの不利な点は、「飛び」と称されることのある、望ましくない不連続性である。この望ましくない不連続性は、視聴者が前記画像ディレクティングスクリーンの視野角の外に前記画像ディスプレイを傾けたときに見られるものであり、典型的にその角度は25〜50度である(画像情報の設定と、使用されるバリアまたはマイクロレンズに依存する)。前記視野角は、全ての元画像を見るための、視聴者と前記画像ディスプレイの画面との間の相対的動きの量を決定する。前記画面に対して移動する視聴者が全ての画像を見た時点で、1式の元画像の最初の部分が、それまで視聴者に提示されていた前記1式の元画像の最後の部分に続いて前記視聴者に提示されるため、前記視聴者は「飛び」を感知する。この望ましくない不連続性は非常に不快であり、この望ましくない不連続性を体験するまで画像によって与えられていた真の自然な視認体験を阻害するものである。視野角が狭いと、異なる位置から画像を見ようとする視聴者の動きがより小さくなり、その小さい動きの中でこの不連続性が生じるため、視野角が狭いほど、この望ましくない不連続性は悪影響を及ぼすようである。従って、可能な最大の視野角を持つレンズまたはバリアを用いることが、その解決策となるであろう。
【0043】
しかし、従来の技術を用いて視野角を増すには限界があり、且つ、視野角を増すことによりその他の問題が生じる。この視野角的限界は、様々な要因と関連するものであり、例えば、既存の印刷装置から得られる解像度の限界、特に3Dの作成での、前述のような合成画像において、視認距離で感知される元画像間の許容可能な最大距離、マイクロレンズを用いる場合にレンズのF値(以降、「F#」と称す)が下がるにつれて収差が増すこと、許容レベルの収差を維持しつつレンズを作成することが可能な最小F#といった要因がある。他の事柄が同等であるならば、より高いF#を有するマイクロレンズを用いることによって収差を減少する(従って感知されるゴースティングを減少する)選択をとるというのは、既知のことである。しかし、そうすることによって視野角が狭まり、望ましくない不連続性がより顕著になる。逆に、F#を下げて視野角を増すと、収差が増すだけでなく、感知される効果が減少する。解像度の限界により、所与のバリアまたはマイクロレンズのピッチに対し、バリア間の空間またはマイクロレンズの下の空間の下に収めることのできる元画像スライスの数には上限がある。従って、画像数が増えずに視野角が増すにつれ、潜在的3D体験またはモーションの範囲は低減するか、さもなければ、それら画像間の差異が大きい場合、限定的な数の画像(群)を持つ画像では、画像が非常にぎくしゃくとしたものになる。従って、一般に当該分野においては、優れた3Dを作成するには、望ましくない不連続性を不可避なものとする狭い視野角のレンズまたはバリアの使用が必要だと認識されている。
【0044】
本発明の発明者は、ゼロ(垂直)若しくは90度(水平)に配向された画像ディレクティング装置の素子すなわちバリアまたはレンズを有する従来のレンチキュラーおよびバリア画像は、たとえその画像ディスプレイが軸を中心にゼロまたは90度以外の角度で傾けられていても、また、たとえ前記画像が水平(X)または垂直(Y)軸を中心に傾けられる前にまず任意の量だけZ軸を中心に回転されても、3次元またはモーションのような画像効果を発揮することに気づいた。
【0045】
前記画像の前の空間の分析により、前記発明者はその理由を解明した。図4〜6は、5つのオリジナル画像から成る合成画像を表示する画像媒体を示す(図4の455、図5の555、図6の655)。実質的に、あらゆる数の画像を用いて同様の結果を得ることができるが、説明を簡易化するためにここでは例として5つ用いた。前記5つの画像を個別に視認可能である5つの別個の表示ゾーンが、鳥瞰図である図4に斜線領域401、402、403、404、405として示されている(420、430、440とラベル付けされた斜線領域としても示されている)。各元画像は、線410に沿った点の位置から最もよく視認される。各レンズからの光と画像情報は、およそ平行である。線410に沿って、各表示ゾーン内において、各レンズからの画像情報はオーバーラップするため、そこに置かれた目は、1つの元画像の異なる1スライスに対応する各レンズからのデータを見ることになる。光は実際には完璧に平行にはならないため、レンズの収差と、画像データポイントまたはピクセルの各列の幅が非ゼロであることと、不正確な画像データの配置とによって(データは理想的にはFすなわち各レンズの焦点にある)、領域420が示すように各画像の可視領域は(この場合水平に)広がる。これによって、画像群のオーバーラップがある程度生じ、ゴースティングが発生して画像の鮮明度が低下する。
【0046】
視聴者の目が、430および440とラベル付けされた斜線領域のいずれかに置かれた場合も、各ゾーンにおいてほぼ1つの画像が視認され、それが画像媒体455の画面全体を満たすように見える。また、領域450および460の視点の対(ペア)から、様々な度合いの3Dを見ることができる。透視図によりこの配置を図示する図5は、図4の斜線領域440に描かれている表示領域を、501、502、503、504、505として示している。例えば、それぞれがある時点における視聴者の片目の位置である各視点510、520、530、540、550から、通常の視認を行う。
【0047】
視聴者の両眼の視点位置である4つの視点510/520、520/530、530/540、540/550が示されている。パス500に沿って両眼が移動するにつれ、各々の目があらゆる任意の時点に異なる画像を見ることになり、3Dの感知が創出される。前記発明者は、同様に図5Aの斜めのパス560に沿って両眼が移動するにつれ、各々の目は各視点において異なる1画像を見るものであって、従って、3Dの望ましい効果はこの場合も見られることを発見し、且つ、このことが、図5Bが示すようにZ軸上で前記合成画像を回転させて水平線560に沿って視認することと同等であることを発見した。
【0048】
視聴者が垂直線570に沿って移動するにつれ、視聴者の両眼が水平線560に沿って移動する場合と同じく、511、512から517、518までの各視点位置において、常に変わり続ける3D画像が前記視聴者の両眼に映る。すなわち、第1の視点位置において前記視聴者の左目は視点511に、右目は512にある。そして第2の位置において前記視聴者の左目は513に、右目は514にあるといった具合に、図の第3、第4の位置へと続く。この方法におけるZ軸を中心とした画像の回転は、移動が水平線に沿ったものであれ、あるいは垂直線に沿ったものであれ、同等の視認体験を提供するが、そのために生ずる不利な点として、像が傾斜されること、像の枠または「キャンバス」が従来のものに近い正方形若しくは長方形ではなくひし形になってしまうことが挙げられる。
【0049】
これらの欠点が除去される本発明において、像および前記像が描かれている正方形または長方形の画像媒体はZ軸を中心に回転されず、前記画像ディレクティング装置が回転される。図6は、本発明の画像ディスプレイおよび図5Bのものと同様の表示ゾーンを示す。画像媒体655は、画像ディレクティング装置を通して視認される画面を有し、前記画像ディレクティング装置の素子は矢印656が示す方向に傾斜している。視聴者が垂直線610に沿って移動するにつれ、常に変わり続ける3D画像が前記視聴者の両眼に映るものであって、これは前記視聴者の両眼が水平線600に沿って移動する場合と本質的に同じ効果である。すなわち、第1の視点位置において、前記視聴者の左目は視点601aに、右目は601bにある。そして第2の位置において前記視聴者の左目は視点602aに、右目は視点602bにあるといった具合に、図の第3、第4の位置へと続く。
【0050】
本発明は、個別画像(群)を1つの合成画像に構成する新しい方法に関連するものであって、前記画像(群)を回転させるのではなく、前記画像ディレクティング装置のバリアまたはシリンダーレンズの傾斜配向と画像データが一致するように画像データを合成することにより、視認中に画像媒体の画面が視聴者に対して垂直軸を中心に傾けられているか水平軸を中心に傾けられているかに関わらず、望ましい効果を生み出すものである。前記合成画像を構成するために、本発明に従って典型的にいくつかの工程が実行される。まず、前記垂直軸(または前記水平軸)に対する前記バリアまたはシリンダーレンズの傾斜角を選択する。これは(前記水平軸および垂直軸を中心とした)各回転方向における前記効果のスピードと度合いを決定する。前記レンズまたはバリアが45度であると、前記効果のスピードと度合いは、前記画像が前記水平軸を中心に傾けられても垂直軸を中心に傾けられても同じになる。選択されたレンズまたはバリアの傾斜角がゼロ(つまりこの場合は垂直と仮定する)に近づくと、前記効果のスピードと度合いは前記画面が前記垂直軸を中心に傾けられた場合は増大し、前記水平軸を中心に傾けられた場合は低下する。逆に、前記効果のスピードと度合いは、選択された傾斜角が90度(つまりこの場合は水平と仮定する)に近づくにつれ、前記垂直軸を中心とした傾斜では低下し、水平軸を中心とした傾斜では増大する。0度と90度という極端な場合においては、前記スピードと度合いは1方向で最大となり、その反対の方向でゼロになる。
【0051】
図7はこれを視覚的に示す。ここでは、例えば、図4において401〜405として描かれていた5つの表示ゾーンが、701、702、703、704、705として立面図に描かれている。従って、画像1はゾーン701において、画像2はゾーン702において、画像3はゾーン703において、画像4はゾーン704において、画像5はゾーン705において視認される。ここにおいて前記レンズまたはバリア(すなわち前記表示ゾーン)は傾斜されており、これはすなわち725がZ軸を中心に任意の角度Θで回転されているということであるが、この具体例において前記角度はゼロでも45度でも90度でもない。従って、図7は、前記傾斜角が45度以外である場合に得られる最適の効果ではなく、許容範囲内の効果を例示するものである。本発明に従い、前記画像データは、傾斜された前記画像ディレクティング装置を通して正しく視認されることが可能なように設定される。両眼を線700に沿って動かすと、画像は、その傾斜を除き、前記角度Θがゼロである場合とほぼ同一の動きをする。前記視聴者の両眼は、線700に沿って動くにつれて、全画像(群)を見るために必要な距離全体で、1時点に1画像を視認する。しかし、この図において、線710に沿った縦の動きによって、前記視聴者は表示ゾーン702から704までの画像(群)だけを見ることができる(表示ゾーン701と705の画像(群)は、線710がそれらの表示ゾーンを通らないので決して見えない)。これら3つの画像は、線700に沿って見たときに画像1〜5が視認されるのと同一の視野角にわたって視認される。従って、その他全ての事柄が同等であれば、前記3つの元画像の各々は、(例えば図3Aに示すような)従来のディスプレイを用いた場合に比べて(より大きい角距離の範囲にわたる)より長い時間にかけて可視となり、前記方向において視認される効果のスピードが下がる。前記視聴者が1ヴァンテージポイントから別のヴァンテージポイントへと移動して同一の視野角を横に移動するにつれて、より少ない画像(群)が視認されるため、前記効果の度合いもまた低減される。
【0052】
本発明に従い、前記傾斜角の選択に加え、最終合成画像において組み合わされる画像数が選択される。使用されるレンズまたはバリアのピッチおよび元画像数に関する選択は、画像媒体の解像度と画質に関する個人的な嗜好による制限を受けるものであって、これは従来のバリアまたはレンチキュラー画像を作成する場合の決断の仕方と基本的に同様である。使用する画像数が少なすぎると、1画像から次の画像へ移動したときに生じる「飛び」の現象または最小限の知覚効果につながる(画像間の相違の度合いに依存する)。使用する画像数が多すぎると、一度に複数の画像が視認されるためにゴースティングが生じる。典型的な元画像数は5〜20であり、これは最端のヴァンテージポイントから別の最端のヴァンテージポイントまでの視野角に依存するものであり、レンズが使用される場合、これは収差の深刻度に依存する。使用される画像数は、前記合成画像において各レンズまたはバリアの下に置かれる画像スライス数と、各元画像の各セクションを分割して作られる画像スライス数とを決定する。
【0053】
次に、前記合成画像の視認に使われるバリアまたはレンズの数が決定される。これは、最終合成画像のために選択されたサイズ(例えばインチ単位)と、前記バリアまたはレンズのピッチの選択(例えばインチ単位の、連続するバリアまたはレンズ間の空間のサイズであり、例えばインチ当たりの、バリアまたはレンズの数の逆数)とに依存する。バリアまたはレンズが多いほど(従って、ピッチが小さいほど)、それらは感知されにくくなる。しかしながら、使用可能な数は、上述したように、前記合成画像に含めるために選択された画像数と、前記画像ディレクティング装置を通して様々な元画像の各々を見るための、データを含む画像媒体の利用可能な解像度(例えばインチ当たりのドット数)とによる制限を受ける。元画像数に、例えば1インチ当たりに使用されるレンズまたは透明バリア空間の数を掛けた積によって、必要とされる解像度が決まる。前記合成画像、使用されるレンズ(レンチキュラースクリーンを使用する場合)、または透明空間(バリアスクリーンを使用する場合)によって、各元画像と前記合成画像とを分割して作られるセクションの数が決まる。
【0054】
当業者には既知のように、前記レンズに用いる利用可能な材料のうちどれを用いるかを決定するために選択されるパラメータは限られており、例えば、コスト、重量、透明度、安定性、製造のしやすさなどである。使用する材料が決まれば、前記レンズの屈折率(n)が決まる。従って、作成することのできるレンズ、または最も作成しやすいレンズ、または最も安価に作成されるレンズがどれであるかによって、どの材料を使うかを決めることができる。
【0055】
次に、最適な視認距離とスクリーンの厚みとを選択し、「画像データセット」の幅を決定する。望ましい最適な視認距離(d)をまず選択する。図4の画像455と線410の間の距離のような最適な視認距離(d)が選択されるが、望ましい画像効果が最善に機能する領域420、430、440によって表されるような表示ゾーンが作成される。上述したように、前記元画像各々からのスライスは、各レンズまたはバリア空間の下に置かれる。前記バリア空間は、1バリアスクリーンの1透明空間の始まりと、その隣の透明空間の始まりとの間の空間である。1レンズまたはバリア空間の下の画像スライス(群)を、本書では「画像データセット」と呼ぶ。画像データセットの幅がレンズ(若しくは「バリア空間」)の幅と同等であれば、前記合成画像は無限においてのみ正しく視認可能である。望ましい最適な視認距離(d)が近いほど、1レンズまたは「バリア空間」の下の「画像データセット」の幅を大きくするべきである。前記画像データセットの幅(略称Wids)によって、前記画像データセットのピッチが決まる。画像データセットの数と同一の数のレンズ(または「バリア空間」)があるが、無限を除くあらゆる視認距離において前記レンズ(または「バリア空間」)のピッチは前記画像データセットのピッチ未満である。
【0056】
これについて、レンチキュラーレンズ855に取り付けられた合成画像の鳥瞰図である図8Aを参照して説明する。幅が全て同等である画像データセット810、820、830、840は例示の目的でのみ示されており、各々、5つのサブセクションから成り、この例において5つの元画像が使用されていることを示す。線800〜805に沿って、各レンズの湾曲中心がある。例えば、861とラベル付けされた点によって示されるレンズ860の湾曲中心と、871とラベル付けされた点によって示される隣接するレンズ870の湾曲中心との間の距離がレンズピッチ(Lp)である(これは、2つの隣接するレンズの最高点の間の距離と等しい)。ポイント890と895は可能な2つの視点であり、各々が異なる1つの画像を提供する(ポイント890は画像3の映像を提供し、ポイント895は画像2の映像を提供する)。871から890までの距離(d+r)とレンズピッチ(Lp)がわかれば、次の式により角815を算出できる。
tan(角815)=Lp/(d+r)
距離rは前記レンズの湾曲半径であり、前記レンズのポイントCからポイント871(湾曲中心)までの距離である。
【0057】
この計算を実行するために、湾曲半径(r)を決定する。前記レンズ幅(ピッチ)に比べて前記半径が長いほど(すなわち焦点距離が長いほど)前記レンズのF値は高くなり、前記レンズの視野角が狭くなり、前記レンズの有する収差が少なくなり、ゴースティングが削減されてより明確な画像が提供される。レンズのF値(F#)とは、レンズの焦点距離をレンズのピッチで割ったものである(F#=f/Lp)。
【0058】
図8Aにおいて「B」から「C」までの距離として示されているレンズの選択された厚みTlを用いて、前記レンズの焦点距離(f)を次のように計算することができる。f=Tl/n(前記レンズの裏面に焦点を当てることを望むため、このようになる)。焦点距離(f)は前記レンズの湾曲中心871から、前記レンズの裏のポイント「B」に置かれる焦点までの距離である。次の式は、平凸レンズで用いられる、湾曲半径に関する標準的なレンズ業者の等式である。
1/f=(n−1)*(1/r)
これを並べ替えると、r=1/((1/f)/(n−1))、若しくは単純にr=f(n−1)となる。これによって、ポイント「C」からポイント871(前記レンズの湾曲中心)までの距離(r)を決定することができる。また、(f)と(r)の合計は、選択されたレンズの厚み(Tl)と等しい。(上述のように計算された)角815を用い、「画像データセット幅」(Wids)(AとEの間の空間として示されており、810=820=830=840と等しい)をWids=(Dt)*(tan(角815))により計算することができ、この式において、視点890と、ポイント「B」にある中央データスライス(サブセクション)との間の距離は、d+r+fである。WidsはLpより大きいため、例えば、レンズ860に対する画像データセット820およびレンズ870に対する画像データセット830に比べ、画像データセット810および840は、それぞれ対応するレンズ850および880から目に見えてオフセットされる。
【0059】
レンズの厚みの選択は、望まれる具体的な視野角(VA)による影響も受ける場合がある。図8Aにおいて835として描かれている視野角(VA)は、レンズ(群)が垂直に配向されている場合に、合成画像855を作成するために組み合わされた全ての元画像を見るために視聴者が移動して通る必要のある角度である。前記視野角(VA)は次の式により計算することができる。
VA=2arctan((Wids/2)/f)
前記レンズが0℃(垂直配向)以外の角度に配向されると、前記視野角は増す。しかし、視野角がそのように増しても、その他のパラメータ(すなわち(r)、(f)、(Tl)、(n))を変える必要はなく、単に前記レンズ(群)の配向の回転だけが必要である。図8B、8C、8Dはこれを例示している。図をわかりやすくするために、レンチキュラー・マイクロレンズ・アレイの1つのレンズ素子だけが示されている。素子853は、垂直に配向されたレンズ素子の1例である。レンズの湾曲中心852を透過する光は、視野角835を提供する前記レンズの湾曲面を透過する。
【0060】
図8Cが示すように、参照番号806が示すように前記レンズ854を傾斜角Taに傾斜すると、見掛けレンズピッチ(幅)は距離801〜802(Lp)から距離802〜803(水平X軸に平行)に変わり、この距離は前記距離801〜802より大きいため、視野角は、図8Bの測定角835よりも大きい図8Cの測定角836へと増す。すなわち、垂直レンチキュール853の場合に比べ、見掛けレンズ幅(略称 alw)802〜803は次の式に従って増す。
alw=Lp/cos(Ta)
45度において、(alw)はLpの約1.41倍である。言い換えれば、各レンズ素子すなわち各レンチキュールの幅が見掛け上約41%増したことになるため、それに対応して視野角も増す。従って、図8Bが示すように垂直に配向されたときに50度の視野角を与えるレンズは、図8Cのように傾斜されたときに、約71度の視野角を持つ垂直レンズと同等の働きをする。しかし、焦点距離(f)、レンズの実ピッチ(Lp)、実F#は変わっていないため、前記レンズ(群)の収差、または視聴者に対する前記レンズ(群)の顕著さが増すことはない。より大きい視野角を持つことにより、望ましくない不連続性が視認される可能性がはるかに低下し、視認体験のリアリズムと快適度が増す。しかし、より大きな視野角に対して同じ数の元画像を使うと、各画像がより大きい角度にわたって見られるようになるため、3Dと動きのスピードが低下する。すでに最大数の画像が使われている場合、ディスプレイまたはプリンタの解像度の制限があるため、この問題の対処方法はないように思われる。
【0061】
しかし、図8Dが示すように、レンズ857を見ると、より高い解像度を必要とせずに、より多くの画像を使うことが可能であることがわかる。線858は、レンズ857の後ろのピクセル行を現す。その平面的配向を変えることなく、角度808にレンズを傾斜することにより(好ましい角度は45度)、傾斜されていないレンズレットの下の858のような水平線に存在していたであろうデータのために、線856に沿ったピクセルが使用される。45度において、線856は線858より約41%長い。これはつまり、前記レンズの下には使用可能なピクセルが約41%多くあるということであって、これが本発明の1つの利点であり、すなわちディスプレイまたは画像分解能を増す必要なく約41%多くの画像を使用可能であることを意味する。本発明の実施形態は、相対する従来の画像ディスプレイより多くの画像を使用可能であるため、画像ディスプレイの設計者は、この場合実際には視野角が広がっているにもかかわらず、あたかも視野角が狭まったかのように、表示される3Dとモーションスピードを維持することができる。
【0062】
レンズの代わりにバリアを用いる場合も同様に、図8Aが示すように前記バリアは線800〜805に沿って置かれる。わかりやすく図示するために、バリアスクリーン付きの同じ画像ディスプレイを図8Eに示した。前記バリアスクリーンの透明な線は、図8Aに図示した各レンズの湾曲中心の場合と同じように、選択されたある一定の間隔、すなわち「バリア空間ピッチ(Pbs)」を空けて置かれる。ポイント「B」とポイント871の間の距離も選択するが、この距離は前記バリア(群)と前記画像データとの間の距離を表すものであって、本書においてバリアスクリーン厚(Tbs)と呼ばれる。この選択は、特定の視野角(VA)が望まれる場合に影響を受ける場合がある。最適な視認距離(ポイント890からポイント871までの距離)を選択したら(図8Aにおいてd+rとして示す)、画像データセット幅(Wids)を計算することができる。第1の角度815を、前述の式(tan(角度815)=Pbs/(db))により求める。続いて、Widsを次の式により求める。
Wids=tan(角度815)*(db+Tbs)
垂直に配向したバリア(群)の視野角は次の式により求められる。
(VA)=2arctan((Wids/2)/Tbs)
これらの等式からわかるように、望ましい視野角を得るためには、まず視認距離(db)と「バリア空間」ピッチ(Pbs)を選択すること、そして次に正しいバリアスクリーン厚(Tbs)を選択することだけが必要である。図8Aを利用した上記の分析(レンズの使用に関連する)は、図8Eが示すように、バリア(群)の使用にも適用される。前記バリア群の傾斜角が増すにつれ、視野角は、傾斜されたレンズで視野角を増す場合と同じように増し、同じ便益がもたらされる。
【0063】
レンズを使うかバリアを使うかに関わらず、いったんWidsが決まれば、3次元表示(「3D」)の感知が与えられる使用可能な最少画像数が最適な視認距離(db)によって決まる。隣接する視点(890〜895)の間の距離は、成人の目と目の間のおよその距離である2.5インチと仮定される。単一の画像を見ることができる表示ゾーンの幅は前記距離を超過してはならず、それを超過すると、両眼が同一の画像を見ることになるため、その視点から3Dの感知を視聴者に与えることが不可能になる。これにより、(3Dを作成するために)許容可能な最大の単一画像スライスによって定められる角度825の計算が次の式により可能になる。
tan(角度825)=(2.5/(d+r))、若しくはバリア(群)を使用する場合はtan(角度825)=(2.5/db)。
この角度が計算により求められれば、画像スライスの最大幅(「E」から「B」までの距離)を次のように計算することができる。レンズ(群)を使用する場合はEB=tan(角度825)*f)であり、バリア(群)を使用する場合はEB=(tan(角度825)*(Tbs)である。WidsをEBの値で割ることによって(商は最も近い整数に切り上げられる)、視聴者に与える3Dの感知を失わずに使用可能な最少画像数が求められる。所与のレンズまたはバリアピッチと共に使用可能な最大画像数は、前記合成画像を表示する媒体の解像度によって制限される。これは、垂直に配向されたレンズまたはバリアに適用される。それらが、ある角度に傾斜されると、Widsのサイズが増す。従って、前記レンズまたはバリアが傾斜された場合(0度に配向されない場合)に所与の視点から3Dを見るために必要な最少画像数を計算するために、傾斜されたWids(Widst)を次の計算によって求める。
Widst=Wids/cos(Ta)
WidstをEBで割って求めた商を、最も近い整数に切り上げる。0のコサインは1であるため、これは、垂直(0度)を含め、あらゆる角度で有効である。
【0064】
選択された視認距離の正しい画像データセット幅(Wids)を、実験的に決定することも可能である。これを行うには、一連の長さの平行棒(例えば、前記合成画像の幅と同じ長さの平行棒)を用意し、1本の上に別の1本を置いていったものを、レンズまたはバリアシートを通して表示する。各々の棒は、例えば高さ約4分の1インチの棒であって、交互に並ぶ黒のスライスと白のスライスとから成る棒であって、前記スライスは前記棒に対し垂直の配向である(0度に配向された画像ディレクティング装置を使う場合)。前記棒は前記レンズまたはバリアに対して垂直に配向されるべきである。黒スライスと白スライス1個ずつから成る1対のスライスを、1画像データセットと見做す。各々の棒の画像データセットは、若干異なるピッチを有するように選択される。例えば、0.01インチのピッチを有するレンズまたは「バリア空間」(1インチ当たり100レンズまたは「バリア空間」)および約18インチの視認距離を使用する場合、隣接するテスト棒における画像データセット(群)のピッチは0.010055、0.010054、0.010053、0.010052、0.010051、0.010050(インチ単位)が可能である。選択された視認距離で前記レンズまたはバリアスクリーンを通して前記棒を見ると、視点に依存して、最も適切なピッチを有する1本の棒が、全体に白一色または黒一色の棒として1つの目に映る。全長にわたってそのように目に映る棒がない場合、それに最も近く見える棒のピッチを、第2のテストのベースとして用いることができる。例えば、0.010052のピッチを有する棒が最もそれに近く見える場合、第2のテストには0.0100518、0.0100519、0.0100520、0.0100521、0.0100522、0.0100523(インチ単位)のピッチを有する棒(群)を含めることができる。このテストでも、全体に黒または全体に白に最も近く見える棒が、使用すべき最善のWidsを決定する。
【0065】
(上記に記載した)これらの可変パラメータが定まったら、傾斜されたスクリーンを通して見たときに望ましい効果をもたらすように、各元画像の画像データを正しいフォーマットで前記合成画像に再構成する。わかりやすく図示するために、4つの元画像901〜904と4つのシリンダーレンズ910〜940だけを使ってこの新しい画像データの再配置を図9Eに示したが、実質的にあらゆる任意の数を用いることが可能である。元画像901〜904は、選択されたレンズまたはバリアの角度に対して平行なセクション(A、B、C、D)に分割される。セクション数は、合成画像955を表示するために用いられるレンズ数または透明空間数(バリアを用いる場合)と同等である。前記セクションを、さらにサブセクションに再分割する(元画像と同じ数のサブセクション数)。例えば、元画像1(901)からのセクション1Aからの1サブセクション(1A1)からのデータは、合成画像955において、レンズ1(910)の下の1A1とラベル付けされたサブセクション空間に収められる。合成画像955の解像度が各元画像(901〜904)の解像度と同じであれば、901のセクション1A(および全てのセクション)からのデータの解像度は前記レンズまたはバリアの方向に対して垂直方向に低下する(この場合は4倍低下)。これは、4つの元画像から4つのサブセクション(この例では元画像数と同数)だけ(各元画像から1サブセクション)が合成画像955のサブセクションとして1つのレンズの下に置かれるためである。つまり、サブセクション1A2、1A3、1A4は切り捨てられている。同様に、元画像2(902)からのサブセクション2A2からのデータは、合成画像955において、2A2とラベル付けされたサブセクション空間に収められる。サブセクション2A1、2A3、2A4は切り捨てられる。元画像のその他の各セクションからのサブセクションは、図のように合成画像955に収められる。レンズまたはバリア方向に対して平行な、最低限1列のピクセルを、1サブセクションから使用可能である。本発明の範囲と意図を逸脱することなく、本書に上述した(好ましい)サブセクションではなく、各元画像のセクションからの異なるピクセル1式を選択し、同様の結果を得ることが可能である。あるいは代わりに、本書で上述したように、前記レンズまたはバリアの方向に前記画像データを(複製および/または補間によって)拡大し、各々の方向における合成画像の解像度を乗算すれば(この例では4を掛ける)、全てのデータが使用可能となる。合成画像955に収められる画像データセット(群)の幅は、上述の全てのパラメータを考慮して、上述のように計算される。
【0066】
前記元画像(群)から前記合成画像を構成するための画像データの選択、複製、補間、除去、再配置に関するこの1式の規則によって、1式の画像データから別の1式の画像データへの変換またはマッピングが定まる。このマッピングは、コンピュータまたは光学的方法によって達成可能である。これらの技法は、前記画像ディレクティング装置のレンズまたはバリアについて選択される角度とは無関係に用いることが可能である。
【0067】
コンピュータを用いた場合、このマッピングを迅速且つ効率的に実行可能である。例えば、通常の画像スキャン方法をラスター的に行ごとに用いて、例えば、1回に1元画像をスキャンするといった方法で用いることができる。データは、前記合成画像が構成されるメモリバッファ内に収めることができる。元画像からのデータが時間経過に沿ってラインごとに前記バッファに読み込まれるにつれ、前記バッファにそのピクセル1式を読み込んで前記合成画像に収めることが可能であり、必ずしも前記画像全体を前記バッファに読み込んで前記合成画像に収める必要はない。
【0068】
前記元画像スキャンからのありとあらゆるデータポイントすなわちピクセルを、元画像の各行に沿ったデータの読み込みが行われる間のあらゆる任意の時点において、ソフトウェアまたはハードウェアの割り当てによって前記合成画像におけるそれらのそれぞれの行き先と関連付けることが可能であり、これは、(いったん全ての上述の可変パラメータが決定された後は)その関係が、あらゆる所与の合成画像の作成中に決して変化しないために可能なものである。この方法では、前記元画像のうち1つだけ若しくは最少では1元画像から1度に1行だけが、メモリ内に前記合成画像と共に、ある任意の時点に存在する必要があるため、処理に必要なメモリが減少し、合成画像を作成するプロセスが速まる。あるいは代わりに、同時に全ての画像をメモリ内に存在させることも可能である。前記合成画像がメモリ内に作成された後は、それを、デジタル光学プリンタやインクジェットプリンタにより写真用紙や普通の用紙上に出力するなど、様々な方法で出力可能であり、次にそれを前記画像ディレクティング装置と位置合わせして表示することが可能である。あるいは代わりに、前記レンチキュラーまたはバリアスクリーンの背面に直接に位置合わせして印刷し、表示することも可能である。また、印刷版上に出力して用紙に印刷したものをスクリーンに整合するか、若しくは前記スクリーン自体に印刷することも可能である。また、上述のように、電子的に表示することも可能である。
【0069】
また、本発明に従った正しいフォーマットに、様々な光学的方法のうちの1つの方法により画像データを再マッピングすることも可能である。前記元画像は、任意の方法で作成可能であり、例えば、従来のカメラと従来のフィルムで複数の写真を撮影すること、あるいはマルチレンズカメラを使って撮影することができる。静止画面の3Dデータを捉える一般的方法は、カメラを1つの軌道上に置き、いくつかの異なる角度から写真を撮ることである。マルチレンズカメラを使えば、1度の撮影でこれを達成可能である。前記元画像からのデータを前記最終合成画像に光学的に再マッピングするための好ましい方法は、異なる元画像からのネガティブ画像を使い、反射または透明ポジティブフィルムに投影する方法である。オルソスコピック(整像的)ポジティブ画像を得るために前記ネガティブ画像を水平に反転する必要があることは、当該技術において既知のことである。前記ネガティブ画像を、コンピュータ、若しくはデジタルカメラまたはビデオカメラを使って作成し、フィルムレコーダのような既知の方法で印刷することも可能である。あるいは代わりに、前記ネガティブ画像を、CRT、LCD、プラズマスクリーンにより電子的に表示することも、マイクロミラーまたはLCDプロジェクターのような電子投影機を用いて電子的に表示することも可能である。
【0070】
図10が示すように、ネガティブ画像1000は、レンズ(群)1020によって、順次若しくは同時に、画像媒体1055上のポジティブ乳剤上にスクリーンを通して投影される。順次に投影される場合は、1つの軌道系上に置かれたネガティブ画像源1000と共に1つの投影レンズ1020と光源1010のみを使う必要がある。
【0071】
この設定では、1つのレンズ1020と1つの光源1010を用いて、1時点に1画像1000を画像媒体1055上のポジティブ乳剤上に投影し、前記レンズと光源を前記軌道に沿って、および希望に応じて前記乳剤に沿って、異なる画像1000の露出コマの間を移動させる。同じ画像1000を用いて異なる角度で作成される露出コマの数によって、再生時の各画像の視野角の幅が決まる。
【0072】
わかりやすく図示するために5つの画像のみを示したが、実質的にあらゆる任意の数の画像を用いることができる。レンズ1020、ネガティブ画像1000、前記ネガティブ画像1000を照射する光源1010を、好ましいように、図示したように次第にオフセットすることにより、各ネガティブ画像1000から選択された1つの素子またはオブジェクト(人物または関心対象の品)が画像媒体1055上の最終合成画像に重ね合わされる。こうすることにより、画像媒体1055上の最終合成画像の平面にその画像素子の輪郭をはっきりと映し出す効果が得られると同時に、その場面の他の素子がその画像素子の前面または背後に映し出される(3D画像を作成する場合)。画像媒体1055上に記録された画像データは、画像再生のために処理された後、選択された角度でレンチキュラーまたはバリアスクリーンによって覆われる。露出のためにスクリーンの背後にある画像媒体1055上に乳剤を塗布する代わりに、例えば、前記レンチキュラーまたはバリアスクリーンから最も遠いところにあるハレーション防止層と共に、前記スクリーンの裏面に乳剤を塗布することが可能である。あるいは代わりに、透明のプラスチックベース上に乳剤を塗布することもでき、(前記ベースから最も遠くにある)前記乳剤上にハレーション防止コーティングをすることができる。前記透明プラスチックベースは、前記レンチキュラーまたはバリアスクリーンに隣接して、もしくは密着して置くことができる。前記スクリーンに前記乳剤を密着させることにより、前記スクリーンの素子との位置合わせが維持されたまま、前記乳剤を処理することができる。これは好ましいことである。前記乳剤を別個に処理することも可能だが、その場合は、正しい表示のために前記乳剤を処理した後にスクリーンと再整合する。ネガティブ画像1000からの光が、角度をつけられたレンチキュラーまたはバリアスクリーンを通過すると、前記画像は、前記スクリーンを通した正しい表示のための配置に自動的に再配置される。バリアスクリーンを用いる場合、前記スクリーンは前記画像から間隔を空けて置かれるが、その間隔は、上述したように、目的とする最適な視認距離に依存する。
【0073】
選択された角度(水平軌道上に前記投影レンズが配置されると仮定し、垂直以外の角度)に傾斜されたスクリーンを用いる代わりに、前記スクリーンをその素子が垂直に配向されたまま用い、各ネガティブを前記選択された角度に傾斜することもできる。別の技法は、前記ネガティブを直立状態にして同じ効果をもたらすものであって、前記元画像のための写真を撮影するときに、前記選択された角度にカメラを傾斜する技法である。
【0074】
別の方法では、前記乳剤を覆う傾斜されたレンズまたはバリアを使い、前記レンズまたはバリアに対して垂直になるように前記軌道を傾斜する。続いて、画像1000の垂直軸と前記レンズまたはバリアとが、最終的なレンズまたはバリアの傾斜角と同等の角度を成すように、前記画像1000も傾斜する。
【0075】
これらの技法のいずれかを用い、最終合成画像を回転することにより、前記合成画像は直立状態として現れる。次に、前記レンズまたはバリアを、表示のための望ましい角度に傾斜する。次に、好ましくは、前記合成画像の端を切り落として、その両側部が水平面(例えば床)に対して垂直になり、その上部と底部が床に対して平行になるようにする。
【0076】
レンチキュラーレンズを通して乳剤上に前記データを画像化する代わりに、たとえレンチキュラーレンズを表示に用いる場合であっても、好ましくはバリアスクリーンを通して、前記乳剤と直接接触させるか、あるいは好ましくは、前記乳剤から離して、画像化する方法を採る。こうすれば、記録相においてレンズの使用に起因する収差が除去され、誤った場所に画像情報が記録されないようになる。これにより、より輪郭のはっきりした画像が可能になり、ゴースティングが減少し、3Dでの潜在的な画像の奥行きが増し、個別に視認可能なモーション画像フレームの数が増す。また、この方法は、投影レンズの特徴および露出中の投影レンズと合成画像との間の実距離と無関係に、視野角と最適な視認距離とを決定することを可能にするという利点も有する。
【0077】
前記バリアスクリーンを前記乳剤から離して配置する場合、前記画像を順次または同時に、好ましくは平行な光で記録することが可能であり、この場合、前記バリアスクリーンと前記乳剤の双方が静止しているので、前記乳剤または前記バリアスクリーンの正確で微細な動きは必要ない。前記バリアスクリーンを通して前記画像を記録して処理した後は、前記合成画像をバリアスクリーンまたはレンチキュラーレンズスクリーンを通して表示することができ、前記バリアスクリーンまたはレンチキュラーレンズスクリーンのどちらも、前記乳剤が露出および処理される前または後に前記合成画像に密着可能である。露出の前に前記スクリーンを前記乳剤に密着する場合、使用される画像ディレクティング装置(例えばバリアまたはレンズ)と記録されたセグメントとが整合するように露出を行う。
【0078】
前記乳剤と直接接触するように前記バリアスクリーンを配置する場合は、様々なネガティブ画像を同時に前記合成画像の乳剤上に画像化することはできない。この場合、前記乳剤上に第1のネガティブ画像を画像化した後に、前記乳剤または前記バリアスクリーンを、前記ネガティブ画像が画像間を移動する方向に対して平行に移動させる。3D画像の場合、前記ネガティブ画像が互いに水平に移動することによって、水平に移動する様々な視点が作り出されるため、視聴者の各々の目が1つの異なる画像を見ることになり、前記視聴者は3D体験をする。前記乳剤またはバリアスクリーンは、ある距離だけ移動するが、好ましくは、その距離はそれまで乳剤が露出されていた領域の幅(移動の方向の幅)と同等であり、それにより、連続的画像から記録された画像データのオーバーラップが防がれる。各画像は1つずつ順番に前記合成画像乳剤上に記録される。前記バリアスクリーンの透明線の幅すなわちWclはPbs/NIと同等とし、NIは元画像数であり、バリアスクリーンのピッチ(Pbs)は1つの透明線の始まりからその次の透明線の始まりまでの距離である(レンズを用いる場合は、上述のLpすなわちレンズピッチと同等)。透明線の間の不透明空間(Wop)の幅はWcl*(NI−1)と等しい。NI画像が全て露出された後は、前記合成画像に未露出の空間は残らないが、再生中の画像間のクロストークを減らすために、記録された線の間に故意に空間を残している場合はその限りではなく、それにより3Dの奥行きが増し、モーションが増え、ゴースティングを減らすことができる。記録された画像線の間にそのような空間を導入するには、黒、透明、グレー、カラー、若しくはその他のフレームを、連続するネガティブ画像フレーム間に投影すればよい。加えて、あるいはその代わりに、前記透明空間の幅を故意にPbs/NIより細くすることもできる。
【0079】
ポジティブ乳剤ではなくネガティブ乳剤を用いて前記合成画像を記録する場合は、処理済合成ネガティブを用いて、接触による複写か、引き伸ばし機を使った拡大または縮小複写を作成することによって、数多くの複製ポジティブ合成画像を複製し、それを、適切に拡大または縮小されたバリアまたはレンチキュラースクリーンを用いて表示することができる。
【0080】
バリアまたはレンチキュラーレンズスクリーンを通して表示されるがバリアスクリーンを通して記録されるか若しくは合成ネガティブを複写することによって記録される最終合成画像の作成をさらに簡易化するために、前記バリアまたはレンチキュラースクリーンを前記最終合成画像に整合および位置合わせする必要を取り除くことが可能である。これは、まず未露出の従来の乳剤を、前記バリアまたはレンチキュラースクリーンに、前記スクリーンの最も近くに配置された通常のハレーション防止層と共に付着することによって可能となる。発光ダイオード(LED)またはレーザーのような、乳剤を露出しない赤外線光源を用い、前記バリアまたはレンチキュラーレンズの端に近い部分であり乳剤が塗布されていない部分(したがって光の透過が可能な部分)と、露出に使われるバリアスクリーン(「露出バリア」)の端若しくは前記合成ネガティブ画像にある整合パターンとを整合する。前記露出バリアスクリーンまたは合成ネガティブと前記バリアまたはレンチキュラーレンズスクリーンとの整合パターンは、好ましくは透明線と不透明線が互いに隣接したパターンであり、それら各々の線は、前記レンチキュラースクリーンの1つのシリンダーレンズ素子の幅か、若しくはバリアまたはスクリーンの(上述の)バリア空間の幅の約3分の1から2分の1である。そのような線のうち少なくとも3つは、前記露出バリアが乗っているスペーサーであり前記乳剤若しくは前記合成ネガティブに隣接したスペーサーの表面に、前記露出バリアスクリーン上のバリア若しくは前記合成ネガティブ上のデータ列に対して平行に貼り付けられているか、若しくは記録されているべきである。前記バリアまたはレンチキュラーレンズを通して前記整合パターンを物理的または電子的に見ることによって、前記整合パターンが前記バリアまたはレンズと整合されているかどうかがわかる。次に、例えば、前記露出バリアまたは合成ネガティブを手動または自動的に移動するか回転して、前記バリアまたはレンズと整合することができる。いったんそれらが整合されたら、前記可視光を前記乳剤に照射し(前記バリアまたはレンチキュラーレンズを通過することはない)、露出(照射)される合成画像のパターンと、すでに付着されたバリアまたはレンチキュラーレンズとの位置が合うことを確認できる。次に、位置合わせされた状態ですでに付着されているバリアまたはレンチキュラーレンズを有する前記乳剤を処理することによって、前記バリアまたはレンチキュラーレンズを通して最終表示することができる。
【0081】
レンチキュラーレンズおよびバリアスクリーンが作られるようになって、数十年になる。これまでの前記レンズまたはバリアは、シートとして作られるか連続ロールとして作られるかに関わらず、前記スクリーンの垂直端または水平端に対して全て水平であった。画像データセット内のピクセル列(「データライン」)がゼロまたは90度で記録される画像を表示するにはこの方法でよいが、データラインがその他の角度に配向されている画像では無駄が生じることになる。図11はこのことを図示したものである。画像1100は、本書に記述したような、ゼロまたは90度に配向されていないデータラインで作られた合成画像であって、表示するためには、ゼロまたは90度に配向されていないレンズまたはバリアを有するレンチキュラーレンズまたはバリアスクリーンによってこの合成画像を覆う必要がある。従来のスクリーン1110は、正しい表示のために必要な角度で、それを覆うように配置される。前記画像によって使われない領域1120、1130、1140、1150は切り捨てられるので、各画像について余分な労力を要し、材料を無駄にする。この問題をなくすために、レンチキュラーまたはバリアスクリーンは、前記スクリーンの端に対して必要な角度にあるバリアまたはレンズを使って作られる。
【0082】
バリアスクリーンの場合、これは様々な方法で実行可能である。これら様々な方法は、これまで作成されたことのない新しいタイプのバリアスクリーンを作成するものであって、あらゆる任意の角度に配向されたデータラインを有する合成画像(例えば本特許に記述したような合成画像)と共に使用可能であり、材料の無駄を生じない方法である。まず、「バリア空間」(Pbs)のピッチと、不透明空間の幅(Wop)と、透明空間の幅(Wcl)を、本書に記述したように決定する。上述のように、不透明空間の幅(Wop)に対する透明空間の幅(Wcl)の比率は、典型的に、使用される元画像数に基づき、Wcl=Pbs/NIおよびWop=Wcl*(NI−1)である。しかし、この透明空間対不透明空間の比率では、非常に狭い視点(視点の数はNIに等しい)だけが各々の目に1つの画像を与えることになる。全ての隣接する2つの画像のそれぞれの一部が、ほとんどの視点において前記透明領域を通して常に見えるため、ほとんどの視点はゴースティングを与えるものとなる。Wcl対Wopの比率は、先行技術においては((1/NI)*Pbs)/(((NI−1)/NI)*Pbs)であるが、この比率を下げることにより、1時点に1画像の表示を提供する表示領域が増えるため、ゴースティングが減少し、潜在的奥行きが増し、モーションのブレが減少する。好ましい作成方法は、選択されたスケールパターンを作成することであって、適切な間隔で置かれた黒と白のピクセルの列または行を、Adobe Photoshop(登録商標)のようなグラフィック・プログラムを使って用いることによってそれを行う。次に、前記バリアスクリーンのパターンを、(必要に応じて)前記プログラムを用いて望ましい角度に傾斜する。続いて、前記画像の4つの側部をすべて切り取ることにより、水平(前記コンピュータの画面の端に対して平行である水平)に対して側部が再び平行および垂直となるようにする。次に、1合成画像上に前記パターンを配置するために、前記パターンを透明の基材上に印刷することが可能である。
【0083】
あるいは代わりに、望ましい角度において、(好ましくはコンピュータ制御された)スピンドリルまたはルータービット、スクライブツール、ダイヤモンドチップツール、レーザーカッター、あるいはその他の工具によって、透明な基材(例えばプラスチックのプレート)に溝を作ることも可能である。不透明領域は透明領域より大きいものであるため、好みに応じて前記工具を用いて不透明領域を作り出すことができる。全ての溝が出来上がったら、インクまたは塗料のような不透明物質によって表面を覆うことができる。次に、ドクターブレーディングを用いて、より細く、より高く、溝になっていない領域から前記不透明材料を拭き取ることによって、望ましい角度でバリアグリッドを作成することができる。あるいは代わりに、まず前記透明基材に均一の不透明被膜を施してから同様の方法で溝を作成することによって、選択された線の中が塗膜されないように透明領域を作り出すことも可能である。あるいは代わりに、銅、ベリリウム銅、プラスチックなど柔らかい材料の表面を有するプレートに前記パターンを作り出し、それを使って、ニッケルのような材料でできた硬いマスターモールドを作り、それを使って、プラスチックのような柔らかい材料でできた前記パターンの複製を作ることもできる。別の方法は、平らな表面かドラム上の乳剤に対してレーザービームと走査線を使ってグリッドを作成する方法である。また、別の方法は、干渉計で作り出された干渉パターンに対して乳剤を露出する方法である。ミクロメートル単位の調整によって1若しくはそれ以上の構成要素(前記乳剤および/または1若しくはそれ以上の鏡)を動かすことによって、前記パターンを横方向に(フリンジに対して垂直に)移動して、前記乳剤をどんどん露出していき、非常に細い未露出の線だけが透明領域として残るようにすることができる。前記グリッドを作成するためのさらに別の方法は、図10の配置を用いることであって、図において、1つの透明な画像を除いて全てのネガティブ画像1000は不透明である(あるいはその逆である)。画像媒体1055上の乳剤上のレンチキュラーレンズを、露出のために望ましい配向に配置するか、若しくはそれを、垂直に配向されたレンズで露出し、処理後に必要な角度で切削することが可能である。線が側部に対して望ましい配向にあるグリッドを作成するためにどの方法を使うかに関わらず、乳剤上へのコンタクトプリンティング法によって、いずれにせよ複写を迅速且つ安価に作成することが可能である。
【0084】
レンチキュラーレンズのレンズ(群)が側部に対して望ましい配向にあるレンチキュラーレンズを作成するための好ましい方法は、望ましい湾曲半径で表面が加工および研磨された、ダイヤモンドチップツールのような硬い工具の使用を必要とする。この工具を使って、柔らかい材料のシート上に望ましい配向で、コンピュータ制御下で(上述のバリアスクリーンの作成で説明したように)溝を作り出すことができ、このようにして作られたものを、本書では「ソフトマスター」と呼ぶ。前記シートを平らに置くことができ、前記シートまたは前記工具またはそれら両方を動かして、必要な溝を作り出すことができる。次に、前記ソフトマスターを使って、電気メッキ法により(ニッケルのようなもので)ハードコピーを作ることができる。このハードコピー(「ハードマスター」と呼ぶ)を用いて、同じく電気メッキ法により前記ハードマスターから分離することによって、その他いくつかのハードコピー(「マザー」と呼ぶ)を作ることができる。前記マザーを用い、電気メッキ法と分離によって複写(「ドーター」と呼ぶ)を作ることができる。オリジナルのマスターと同様、前記ドーターには溝があるが、各マザーには溝ではなく突起がある。前記ドーターを用いて、例えば圧縮成形または射出成形、若しくはエンボス加工によって、レンチキュラーレンズを作成することが可能である。
【0085】
マザーとドーターを作る代わりに、ソフトマスターをニッケルやクロームのような硬い材料で被膜したものを使って直接にレンチキュラーレンズを作成することも可能である。そのようなレンズを、最少のコストと最高の速さで大量生産するための好ましい方法は、前記ハードマスターかドーターで周囲を巻いたドラムを利用する。この方法では、1度に1つのレンチキュラースクリーンが生産されるのではなく、レンチキュラー材料の連続ロールが生産される。前記プレートの場合と同様、熱可塑性材料のような変形性材料に対して複写が行われる。
【0086】
この目的のために使用可能な一般的な熱可塑性材料としては、例えば、非晶質ポリエチレン・テレフタレート(APET)、ポリエチレン・テレフタレート・グリコール(PETG)、EasterコポリエステルA150のようなアクリル系ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネートが含まれる。熱と圧力を加え、前記変形性材料をシリンダーレンズの形にして表面に乗せる。好ましくは、マスターまたはドーターで巻かれたドラムを十分な温度に熱し、前記変形性材料が最初に前記ドラムと接触する領域において、前記変形性材料を変形させる。また、好ましくは、前記材料は前記ドラムの回転中も前記ドラムとの接触を維持し、前記ドラムの一部は、例えば前記ドラムを流れる冷たい水によって急冷される。前記材料が冷却され十分に硬化したら、前記材料はそれが前記ドラムと最初に接触する領域の近くに到達し、前記ドラムから引き離され、巻き取りロールによって巻き取られる。
【0087】
同様に、押出成形法によって、レンチキュラー材料の連続ロールを生産することも可能である。押出成形の場合は、準液体材料を、回転中の前記ドラム近くの平らでまっすぐな開口部を有するスロットに押し通すことによって、前記レンズ表面の反対側にある前記材料の側部に、平らで滑らかな表面が作り出される。平らなマスターまたはドーターを作成してドラムの周囲に巻きつける(すなわち継ぎ目を生じることになる方法)よりも、前記ドラム上に直接に前記溝を作ることによって継ぎ目をなくすほうが好ましい。これは、図12を参照するとわかりやすい。ドラム1200には、その側部に対して望ましい角度の溝がある。前記溝は、例えばダイヤモンドチップツールのような刻み用工具1230を矢印1240が示す方向に、前記ドラム軸に対して平行に移動させると同時に、前記ドラムをその軸を中心に矢印1250の方向に回転させることによって作られる。前記ドラムの回転速度および前記工具の移動速度を慎重に調整することにより、前記溝が一定の傾斜で直進し、前記ドラムの端に対して望ましい角度になるように維持する。これらの速度を正しく調節することによって、前記溝を前記ドラムの側部に対して任意の望ましい角度で作ることができる。すなわち、前記ドラムを直進に横切る場合は、前記工具が前記ドラムの1方の端からもう1方の端へ移動する間、前記ドラムが動かないように維持し、次に(前記ドラムから前記工具が離れた状態で)前記工具が次の溝を作るために十分なだけ前記ドラムを回転する(この回転の量によってレンズピッチ(Lp)が決まる)といったことの繰り返しが必要となり、前記ドラムの側部に対して平行にする場合は、前記ドラムが完全に1回転する間、前記工具が動かないように維持し、次に前記工具を前記ドラムから離し、Lpと等しい距離だけ動かした後に次の溝を作るといったことの繰返しが必要となる。あるいは、それらの間のあらゆる任意のレンズの角度で作ることも可能である。
【0088】
例えば、ドラム1200は、ドラムの幅と等しい長さの円周を有するものであるが、この関係は必ずしも必要ではない。この場合、レンズを例えば45度にするには、前記速度を調節することによって前記工具1230を例えば点1210から出発させ、この例の場合はドラムの完全な1回転の後に点1211で止まらせ、前記ドラムの軸に対して平行な点線1220が示すように、点1211を、点1210から前記ドラムを直進に横切った位置に置く。
【0089】
前述の例において、工具は前記ドラムの端と接触して置かれ、前記ドラムが角運動速度Vdで回転するにつれ、前記ドラムを速度Vtで移動して横切る。ある特定の速度において、前記工具の幅すなわち前記レンズレットが有することになる幅に依存し、形成される螺旋状の溝は互いに隣り合った溝から成り、溝と溝との間には実質的に空間がない。この結果、若干傾斜した角度のレンズアレイとなる。Vdに対して前記工具の移動速度Vtを増していくと、その速度は、前記シリンダーに溝をつけたときに溝と溝との間隔が1つの溝の幅と等しい溝を作り出す速度になる。この場合、前記シリンダーの端の最初の溝の間にある前記工具を用いて前記プロセスを再び開始し、前記工具が前記シリンダーの周囲を移動して次の回転による溝へ移動するにつれて、既存の溝と溝との間の溝が埋まるように前記プロセスが繰り返される。第2の刻み工程を行った後、前記シリンダーの表面には、実質的に溝と溝との間に間隔のない溝が再び作られるが、その溝は前よりも急な角度の溝になる。Vdに対してVtの速度を増せば増すほど、溝と溝との間に残される間隔すなわち後にシリンダーに対して行う連続的再刻み工程によって埋められるべき間隔は大きくなるので、前記シリンダーの端に沿って毎回異なる出発点から前記刻み工程を開始して、全ての間隔を溝で埋めることになり、結果的に溝(従ってレンズレット)の角度はどんどん急になる。一定の増分で増すようにVtの増分を選択することによって、溝と溝との間隔が、常に溝の幅によって割り切ることが可能な幅となるようにし、溝と溝とがオーバーラップすることも、溝と溝との間に間隔が残ることもないようにする。
【0090】
かつて行われたことのないこの方法によるレンチキュラーレンズの作成により、作成されたレンチキュラースクリーンの端に対して任意の望ましい角度にあり、且つ無駄を生ずることなく本特許に記述したようなあらゆる合成画像に使用可能なレンズが作成される。
工業用途への適用性
本発明の画像ディスプレイ装置の様々な使用例は上述のとおりであり、動きのある画像またはアニメーション画像またはフリップ画像か、3D場面か、動画またはビデオまたはアニメーションに含まれる異なるフレーム(群)か、製品およびその価格など選ばれた課題に関する異なる画像(群)か、事前・事後の像か、像の作成者が視聴者に見てもらいたいと願うその他の画像(群)を提供することを含む。そのような画像ディスプレイは従来のレンチキュラーまたはバリアシート画像ディスプレイと同様の用途を有するものであって、クレジットカード、製品の像、プロモーション用配信物、ポスター、電子的に表示される画像の魅力を増すものである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、合成画像を例えば3つの元画像から作成する一般的技法を示す略図である。
【図2A】図2Aは、図1のように作成された合成画像のデータを含む画像媒体の前にあるバリアスクリーンを有する画像ディスプレイの透視図である。
【図2B】図2Bは、図2Aの画像ディスプレイの鳥瞰図(平面図)であって、光線と、前記3つの画像の各々を見ることができる視点とを図示する。
【図3A】図3Aは、図1のように作成された合成画像のデータを含む画像媒体の前にある3つのレンチキュールを有するレンチキュラースクリーンを有する画像ディスプレイの分解透視図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの画像ディスプレイの鳥瞰図(平面図)であって、光線と、前記3つの元画像の各々を見ることができる視点とを図示する
【図4】図4は前記先行技術の画像ディスプレイの平面図であって、画像媒体上の合成画像と、5つの表示ゾーンとを示しており、前記表示ゾーンの各々から、異なる元画像を見ることができる。
【図5A】図5Aは、図4の透視図である。
【図5B】図5Bは、図5と同様の透視図であって、前記合成画像のスライスと前記画像ディレクティング装置の素子とが本発明に従って傾斜されており、それに対応してその表示ゾーンが傾斜している。
【図6】図6は図6と同様の透視図であって、本発明の好ましい実施形態を示す。
【図7】図7は、図5Bに描写されている5つの表示ゾーンを通した平面を図示しており、その傾斜角Θは45度以外の角度である。
【図8A】図8Aは、画像ディスプレイの鳥瞰図(平面図)であって、レンチキュラースクリーンは前記画像ディレクティング装置であり、様々な次元と光線が図示されている。
【図8B】図8Bは、縦に配向されたレンチキュールと、視野角835を反映した光線を示す透視図である。
【図8C】図8Cは、本発明に従って傾斜されたレンチキュールの透視図であって、図8Bの光線に全体として対応する光線を、より広い有効視野角である角度836と共に示す。
【図8D】図8Dは、レンチキュールの透視図である。
【図8E】図8Eは、図8Aのものと同様の、本発明の画像ディスプレイの鳥瞰図(平面図)であるが、バリアスクリーンがその画像ディレクティング装置となっている。
【図9A】図9Aから9Dは、各画像スライスおよびそれらスライスからのサブセクションの番号付けの仕方を図示する、4つの元画像各々の立面図である。
【図9B】図9Aから9Dは、各画像スライスおよびそれらスライスからのサブセクションの番号付けの仕方を図示する、4つの元画像各々の立面図である。
【図9C】図9Aから9Dは、各画像スライスおよびそれらスライスからのサブセクションの番号付けの仕方を図示する、4つの元画像各々の立面図である。
【図9D】図9Aから9Dは、各画像スライスおよびそれらスライスからのサブセクションの番号付けの仕方を図示する、4つの元画像各々の立面図である。
【図9E】図9Eは、本発明に従って傾斜されたスライスから成る合成画像の立面図であって、図9Aから9Dの4つの画像各々からの画像データを元に作成したものである。
【図10】図10は、記録のための傾斜されたスライスから成る合成画像を作成する画像媒体1055上に投影された、5つの元画像各々からの画像データ1000を示す透視図である。
【図11】図11は、傾斜された光ディレクティング素子を有する画像ディレクティング装置のシートを、従来のレンチキュラーまたはバリア材料のシートを用い、図のように三角の不要部分を切り取って廃棄することによって作成する方法を示す立面図である。
【図12】図12は、本発明に従って傾斜されたレンチキュラーまたはバリア素子を有するレンチキュラーまたはバリアシートを作成するために使用可能な円筒状マスタードラムに刻み込み線を入れるための装置の透視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般に、レンチキュラーおよびバリアグリッド方式の画像ディスプレイに関するものである。より具体的には、本発明は、画面を提供する画像媒体と画像ディレクティング装置とを有し、全方向性であることによって性能の向上を提供する、レンチキュラーおよびバリアグリッド方式の画像ディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インテグラル方式およびレンチキュラー方式のイメージングは、20世紀初頭に提案されて以来、Lippman、Ivesを始めとする人々によって実践されてきたものであり、1950年にVictor Andersonがレンチキュラー方式のイメージングを実用化および商業化したことによってその技術が確立された。それ以来、レンチキュラー画像の仕組みには基本的に変化がなかった。
【0003】
基本的にレンチキュラーでは、まず何らかの形で互いに関連性を持つ2若しくはそれ以上の個別の画像(1つの3D場面に含まれる異なるビュー、1つの動画またはビデオまたはアニメーションに含まれる異なるフレーム、若しくは製品とその価格のような1つの選ばれた課題に関する異なる画像、事前および事後の像、若しくはその像の作成者が視聴者に見てほしいと望むその他の画像)を選択し、それら選択された個別の画像を複数の画像スライスに分割する。次に、垂直スライス若しくは水平スライスである場合がある前記画像スライスを1つの合成画像として再構成し、それを、前記個別の画像それぞれからのデータを含む画面を提供する画像媒体上に表示する。この画像媒体を、例えばイメージスクリーンなど画像ディレクティング装置と重ね合わせる(オーバーレイする)。
【0004】
本発明の目的に用いられる従来の画像ディレクティング装置には2つのタイプがある。1つのタイプは、バリアスクリーンと呼ばれる、垂直または水平に配向された不透明素子の1パターンを有する。もう1つのタイプの画像ディレクティング装置は、シリンダーマイクロレンズの1アレイを有する。このシリンダーマイクロレンズのアレイは、レンチキュラースクリーンと呼ばれる。前記画像ディレクティング装置の効果によって、前記合成画像として構成された前記個別の画像を、それぞれ異なる視点から個別に見ることができるようになる。
【0005】
これまで、その他の機能を与えるために、傾斜したレンチキュラーレンズの使用が提案され、実施されてきた。米国特許第3,409,351号公報の中で、D.F.Winnekは、レンチキュラー3D画像を2工程を経て記録する方法論を開示している。まず、レンチキュラーレンズを通してカメラでネガティブを記録する。各レンチキュラーレンズの背後に記録された個々のストリップ画像は、前記レンチキュラーレンズ素子を通過すると逆転する。この逆転により、3Dネガティブを見ると、奥行きが実物と逆になっているスードスコピック(逆立体視)画像が目に映る。次に、従来のプリントを生成するためにネガティブを拡大するときに用いるような投射装置を用い、別のレンチキュラーレンズを通して前記レンチキュラーネガティブを写真プリント材料上に投射して、最終的な3Dプリントを生成する。この工程によって、前記最終的な画像を希望に応じて前記レンチキュラーネガティブより大きくすること、若しくは小さくすること、若しくは同じサイズにすることが可能となると同時に、前記ストリップ画像を再度逆転してオルソスコピック(整像的)な3Dプリントを生成することが可能となる。(前記第1のレンチキュラーレンズの構造に起因する)特有の垂直線パターンのある画像を、別の垂直線パターン(前記別(第2)のレンチキュラーレンズ)を通して投影することによって生ずる問題は、顕著なモアレが生ずることである。このモアレのパターンの出現を減少若しくは視覚的に除去するために、Winnekは、前記2つのレンチキュラーレンズの軸間に角度をつけることを提案している。彼は、画像の角の口径食を防ぐためには、前記2つのレンズ間の角度を20℃未満にすべきだとしている。
【0006】
また、傾斜したレンチキュラーを用いることも、米国特許第6,373,637号公報の中で、S.Gullick,Jr.とR.Taylorによって提案されている。前記特許は、2若しくはそれ以上の画像をその垂直線に対して傾斜した角度に回転させ、それらの画像を垂直に2値化および多重化したものを、垂直に配向されたレンチキュラーレンズか「ヘリンボーンレンチキュラー」レンズのいずれかに取り付け、その最終画像を回転することによって画像を再度垂直に配向して、前記レンズを画像傾斜角度から90度を差し引いた角度のままにすることを開示している。最後に、前記傾斜したレンズをトリムして未使用部分を不要なものとして廃棄することによって、前記レンズの2つの側部を垂直にし、別の2つの側部を水平にする。この技法の提案により、前述の完成したレンチキュラーを垂直軸を中心に回転することによって視差のあるステレオスコピック(立体視)3D表示が得られるようになり、同時に、前述の完成したレンチキュラーを、水平軸を中心に回転することによって動きのある画像が得られるようになった。
【0007】
しかしながら本発明の発明者は、先行技術は様々な視方向で同じ視覚効果を生み出す合成画像ディスプレイを作成するのための方法についての開示若しくは提案、すなわち、本書で開示されるような垂直若しくは水平の傾斜であれ、傾斜したレンチキュラーまたはバリアスクリーンと適合して機能するような合成画像を形成するための方法論であれ、同じく本書で開示されている傾斜したレンチキュラーレンズまたはバリアスクリーンを作成する方法であれ、そのような開示若しくは提案をしていないものと考える。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、垂直(0度)または水平(90度)以外に配向された、例えばバリアまたはレンチキュラーレンズなどの画像ディレクティング装置を利用するものであって、前記画像ディレクティング装置は2若しくはそれ以上の個別の画像を表示するために傾斜しており、各画像は異なる視点から視認可能である。本発明に従って表示される画像媒体上の合成画像は、それら画像の表面を水平軸を中心に傾ける(例えば前後に揺らす)ことによって用いるか垂直軸を中心に傾けて用いるかに関わらず、実質的に同じ視認体験を提供するものであって、すなわち、本発明の画像ディスプレイは、(1つを除く)ほぼあらゆる任意の軸を中心に傾けたときに、視聴者に望ましい効果を与えることができる。本発明の別の観点において、合成画像の視聴者が動いている間、前記視聴者の動きが前記画像の画面に対して水平方向であるか垂直方向であるか、あるいはその他のほぼあらゆる任意の方向であるかに関わらず、前記画面を静止することによって前記画像に望ましい効果を与えて表示することが可能である。これには、視点の高さ以外で前記画面に近づくこと若しくは前記画面から遠ざかることが含まれる。実際的方法として、前記画像ディスプレイが静止されている間の前記視聴者によるそのようなあらゆる相対的な動きは、前記視聴者が静止している間に前記画像ディスプレイを傾けるのと同等の視覚的効果を生む。本発明はまた、個別の画像から合成画像を生成するための、ピクセルマッピング法を用いた新しい方法も提供する。
【0009】
レンズまたはバリアを有する前記画像ディレクティング装置が、水平面(すなわち例えば水平線)に対し45度という好ましい角度で傾斜すると、水平軸または垂直軸のいずれかを中心に前記画像ディスプレイが傾けられたときに望ましい効果が見られ、前記効果のスピードと程度は、どちらの方向に傾けた場合も同じである。本発明の別の実施形態において、前記画像ディレクティング装置を、(45度、0度、90度以外の)あらゆる角度で傾斜することが可能である。しかし、そのような代替実施形態においては、その視聴者に対して前記表示の画面を別の方向(例えば前記画面を繰返し左右に傾けることによって水平に)よりも1方向に(例えば前記画面を繰返し上下に傾けることによって垂直に)傾けた場合、前記効果はよりゆっくりと進行し、前記効果の程度は下がるが、これは、その画面をその1方向に傾けた場合に、元々の画像の必ずしも全てが視覚化されるとは限らないためである。実際には、望ましい効果は傾斜の角度が5度から85度である場合に得られるものであって、好ましくは15度から75度、より好ましくは35度から60度、さらにより好ましくは40度から45度、最も好ましくは約45度で得られる。
本発明の発明者は、傾斜されたバリアまたはレンズのない(すなわちゼロ(垂直)若しくは90度(水平)方向である)従来のレンチキュラーおよびバリア画像ディスプレイは、たとえ前記画像ディスプレイが軸を中心にゼロまたは90度以外の角度で傾けられていても、また、たとえ前記画像ディスプレイが水平(X)または垂直(Y)軸を中心に傾けられる前にまず任意の量だけZ軸を中心に回転されても、3Dまたはモーションのような前述の効果を与えることに気づいた。
【0010】
本発明の技法が与えるその他の便益は、垂直または水平に配向された同一のバリアまたはレンズを用いた場合に比べ、任意のあらゆる表示または画像解像度およびバリアまたはレンズの特徴に対して、このタイプの画像の視野角がより広いこと、「飛び」がはるかに目立たないこと、ゴーストの発生が減少すること、スクリーンに対して画像を整合することの重要性が減少すること、より多くの画像を利用できるようになることである。
【0011】
画像は、光学的若しくはコンピュータを用いた手段による表示に用いられる前記バリアスクリーンまたはレンチキュラーレンズスクリーンに対して正しくデータを配置することによって記録可能である。この方法は、印刷画像(インクジェット、リト、スクリーンプリンティング、Lamda、Lightjet、LVT、写真乳剤、デジタルイメージングなど)および電子画像(CRT、LCD、プラズマ、プロジェクション、テレビ、コンピュータ、セル式携帯電話、フロントまたはリアプロジェクションスクリーンなど)を含む実質的にあらゆる画像媒体とともに利用可能である。バリアやレンチキュラースクリーンのような、従来の製造方法により製造された画像ディレクティング装置を、本発明と共に使用することは可能であるが(ただし無駄が生じる)、本発明は、選択的に希望に応じて、スクリーン材料を無駄にせずにこの技法に適したバリアまたはレンチキュラーを作成するための特別のマスターシリンダーまたはプレートの設計および作成方法を提供する。
【0012】
本発明は、画像ディスプレイおよび前記画像ディスプレイを作成する手段を提供することが可能であって、前記手段は、前記画像ディスプレイの視聴者の位置に対して前記画像ディスプレイの画面(すなわちその画像媒体の画面)が水平軸か垂直軸か、あるいはほぼあらゆる任意の軸を中心に傾けられるかに関わらず、望ましい表示効果を提供する。本発明を利用する場合、前記ディスプレイを傾けてもそれが望ましい効果を生まない軸中心は1つだけある。これは、前記ディスプレイを、前記画像ディレクティング素子の方向に対して垂直である軸を中心に傾けた場合に生じるものであって、実際上は生じる見込みが低く、且つ、人にとって行いにくい動作である。上述のように、望ましい効果は、本発明の静止ディスプレイの視聴者が前記ディスプレイに対して移動しても与えられる。
【0013】
本発明の1つの特徴は、像の視聴者に対して像の画面を水平軸、垂直軸、あるいはほぼあらゆる任意の軸を中心に傾けても水平視差のある3D画像を提供する画像ディスプレイおよびそれを作成する手段を提供する能力である。
【0014】
本発明の別の特徴は、像の視聴者に対して前記ディスプレイの画面が水平軸、垂直軸、あるいはほぼあらゆる任意の軸を中心に傾けてられている間、動きのある画像またはアニメーションまたはフリップを提供する画像ディスプレイおよびそれを作成する手段を提供する能力である。
【0015】
本発明の別の特徴は、像の視聴者に対して前記ディスプレイの画面が水平軸、垂直軸、あるいはほぼあらゆる任意の軸を中心に傾けてられている間、動きのある3D画像またはアニメーション3D画像またはフリップ3D画像を提供する画像ディスプレイおよびそれを作成する手段を提供する能力である。
【0016】
本発明の別の特徴は、2若しくはそれ以上の関連画像からのデータを1つの合成画像に再構成するための効率的な手段であって、前記画像は、バリアまたはレンチキュラースクリーンのような画像ディレクティング装置を通して視認可能であって、前記スクリーンは、元の各画像をその他の画像と異なるヴァンテージポイントで見ることを可能にするものであって、前記画像ディレクティング装置の平行素子は1つの傾斜に配向されている(ゼロまたは90度以外の角度でそれらを提示するようz軸を中心とした回転によって)。
【0017】
本発明の別の特徴は、バリアまたはシリンダーレンズがゼロまたは90度以外の角度に配向されているバリアおよびレンチキュラースクリーンを作成する手段であって、バリアまたはレンチキュラースクリーン材料を無駄にせずに本書に記述したような合成画像を表示するために用いることができる手段である。
【0018】
本発明の別の特徴は、より広い視野角を提供する画像ディスプレイおよびそれを作成する手段を提供する能力であって、それにより、優れた3D的特徴およびモーション的特徴を維持し、且つ、収差または前記バリアまたはレンズに対する感知を増すことなく、望ましくない不連続感の感知を低減する。
【0019】
以下の詳細な説明によって明らかになる本発明の様々な観点は、以下を含む。
1.画像データの平行スライスによって構成される画像媒体上の合成画像であって、2若しくはそれ以上の元画像から作られており、表示のために傾けられた場合に、前記合成画像の水平軸または垂直軸のいずれに対しても平行には配向されないスライスを有する1画像を形成するよう混同されている合成画像であって、前記合成画像のスライスの方向に対し平行な素子を有する画像ディレクティング装置を通して視認可能である。
2.平行スライスによって構成される合成画像であって、2若しくはそれ以上の元画像から作られており、表示のために傾けられた場合に、前記合成画像の水平軸または垂直軸のいずれに対しても平行ではないスライスを有する1画像を形成するよう混同されている合成画像であって、前記合成画像のスライスの方向に対し平行であるレンチキュールおよびバリアを有するレンチキュラーレンズアレイおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つを通して視認されるものであって、それにより、前記2若しくはそれ以上の画像の各画像が、異なる視点から見えるようになる。
3.平行スライスによって構成される合成画像であって、2若しくはそれ以上の元画像から作られており、表示のために傾けられた場合に、前記合成画像の水平軸または垂直軸のいずれに対しても平行ではないスライスを有する1画像を形成するよう混同されている合成画像であって、前記合成画像のスライスの方向に対し平行であるレンチキュールおよびバリアを有するレンチキュラーレンズアレイおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つを通して視認されるものであって、それにより、前記2若しくはそれ以上の画像の各画像が、異なる視点から見えるようになるものであって、前記合成画像および元画像はセクションおよびサブセクションに分割され、前記元画像のサブセクションからの画像データは、1連のマッピング規則に従って前記合成画像の選択されたサブセクションに収められる。
4.平行スライスによって構成される合成画像であって、2若しくはそれ以上の元画像から作られており、表示のために傾けられた場合に、前記合成画像の水平軸または垂直軸のいずれに対しても平行または垂直に配向されていないスライスを有する1画像を形成するよう混同されている合成画像であって、前記合成画像のスライスの方向に対し平行であるレンチキュールおよびバリアを有するレンチキュラーレンズアレイおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つを通して視認されるものであって、それにより、前記2若しくはそれ以上の画像の各画像が、異なる視点から見えるようになるものであって、前記合成画像および元画像はセクションおよびサブセクションに分割され、前記元画像のサブセクションからの画像データは、1連のマッピング規則に従って前記合成画像の選択されたサブセクションに収められるものであって、それにより、合成画像データを含む画像媒体の画面が視聴者に対して水平軸を中心に傾けられるか垂直軸を中心に傾けられるかに関わらず、視聴者に対して基本的に同一の順序で画像が表示される。
5.少なくとも65度の視野角で、レンチキュラーレンズアレイおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つを通して視認される合成画像。
6.バリアスクリーンであって、そのバリア線は互いに平行であり、前記バリアスクリーンが乗せられている基材の側部に対して平行でない。
7.レンチキュラーレンズアレイであって、そのレンズレットは互いに平行であり、前記レンチキュラーレンズアレイが乗せられている基材の側部に対して平行でない。
8.合成画像を作成する方法であって、2若しくはそれ以上の元画像をセクションおよびサブセクションに分割する工程と、前記サブセクションからデータを選択する工程と、前記選択されたデータを、新しい画像のセクションとサブセクションを形成する配置に並べ替える工程とを有するものであって、前記セクションおよびサブセクションは互いに平行であり、前記合成画像または元画像の側部に対して平行でも垂直でもない。
9.合成画像を作成する方法であって、2若しくはそれ以上の元画像をセクションおよびサブセクションに分割する工程と、前記サブセクションからデータを選択する工程と、前記選択されたデータを、新しい画像のセクションとサブセクションを形成する配置に並べ替える工程とを有するものであって、前記セクションおよびサブセクションは、視聴者に対して意図したように表示されたときに互いに平行であり、その水平(線)*に対して平行でも垂直でもない。
10.溝のあるシリンダーまたはプレートを作成する方法であって、前記溝は前記シリンダーまたはプレートの側部に対して平行ではない溝であって、前記シリンダーまたはプレートは、バリアスクリーンおよびレンチキュラーレンズアレイのうちの少なくとも1つを作成するために使用可能なものである。
11.画像ディレクティング装置を用いて視認される合成画像を作成する方法であって、
1.前記バリアまたはレンチキュールの傾斜角を選択する工程と、
2.使用する元画像の数を選択する工程と、
3.前記合成画像のサイズを選択する工程と、
4.使用するバリアまたはレンチキュールの数を選択することによってそれらのピッチを決定する工程と、
5.前記バリアシートまたはレンチキュラーレンズアレイの基材を選択する工程と、
6.最適な視認距離を選択する工程と、
7.前記レンチキュラーレンズアレイまたはバリアシートの厚さを選択する工程と、
8.前記レンチキュラーレンズアレイまたはバリアシートの視野角を選択する工程と、
9.画像データセットの幅を決定する工程と、
10.前述の工程において決定され、選択されたパラメータを利用して予め定められたレイアウトとマッピング配置に従って、2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを平行な行または列に再配置する工程であって、前記合成画像の縦横比を保持するために必要なピクセルの複製作りと切り捨てを含み、コンピュータおよび光学的手段のうち少なくとも1つを利用する、前記再配置する工程とを有するものである。
12.視聴者に対して像を水平軸または垂直軸を中心に回転する間、水平視差のある3D画像を提供する画像ディスプレイおよびそれを作成する手段である。
13.視聴者に対して像を水平軸または垂直軸を中心に回転する間、動きのある画像またはアニメーションまたはフリップを提供する画像ディスプレイおよびそれを作成する手段である。
14.視聴者に対して像を水平軸または垂直軸を中心に回転する間、動きのある3D画像またはアニメーション3D画像またはフリップ3D画像を提供する画像ディスプレイおよびそれを作成する手段である。
15.2若しくはそれ以上の関連する画像からのデータを1つの合成画像に再構成するための効率的な手段であって、前記合成画像は、ゼロまたは90度以外の角度に配向されたバリアまたはレンチキュラースクリーンを通して視認可能であり、それにより、元の各画像をその他の画像と異なるヴァンテージポイントで視認することが可能となる。
16.無駄を生ずることなく、バリアまたはシリンダーレンズがゼロまたは90度以外の角度に配向されているバリアおよびレンチキュラースクリーンを作成する手段であって、本書に記述したように、合成画像を表示するために用いることができる手段である。
17.画像データを切り捨てるのではなく補間によってピクセルを作成することによって、画像媒体上に合成画像を作成する方法。
18.少なくとも65度の視野角を提供する画像およびそれを作成する手段であって、優れた3D的特徴およびモーション的特徴を維持し、且つ、収差または前記バリアまたはレンズに対する感知を増すことなく、「飛び」すなわち望ましくない視覚的不連続感を低減する手段である。
19.コンピュータを用いた手段を用いて上記方法10を実行する工程であって、前記合成画像および1つの元画像のみが常にメモリバッファにある工程である。
20.コンピュータを用いた手段を用いて上記方法10を実行する工程であって、前記合成画像、および1つの元画像の全データライン未満のデータラインのみが常にメモリバッファにある工程である。
21.本書に開示した合成画像を電子的に表示する工程である。
22.2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程である。
23.2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程において、前記元画像を前記合成画像上にオーバーラップすることにより、各元画像の1つの選択された特徴を、前記合成画像において互いに合致させる。
24.2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程において、バリアスクリーンおよびレンチキュラーレンズアレイのうち少なくとも1つの背面を乳剤(エマルジョン)で被膜し、そのハレーション防止層は、前記スクリーンおよびアレイのうちの前記1つから最も遠くにある層であり、前記アレイとスクリーンのうちの前記1つを通して前記乳剤を露出する。
25.2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程において、バリアスクリーンおよびレンチキュラーレンズアレイのうち少なくとも1つの背面を乳剤で被膜し、そのハレーション防止層は、前記スクリーンおよびアレイのうちの前記1つから最も近くにある層であり、前記アレイとスクリーンのうちの前記1つを通してではなく直接に前記乳剤を露出する。
26.2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程において、投影される画像は、前記合成画像を見るために使われるレンチキュラーレンズアレイおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つの傾斜角に相対して選択された角度に傾斜される。
27.前記合成画像を見るために使われるレンチキュラーレンズアレイおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つの傾斜角に相対した角度で最初に作られた2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程である。
28.2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程において、前記画像はバリアスクリーンを通して乳剤上に、前記乳剤に取り付けられたレンチキュラーレンズアレイと位置合わせされて投影される。
29.2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程において、前記合成画像は、バリアスクリーンを通して、前記乳剤に取り付けられた画像ディレクティング装置と位置合わせされた乳剤上に密着印画により複写される。
30.2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを、光学的手段によって、本書に開示した合成画像にリマッピングする工程において、前記バリアスクリーンはPbs/NI未満の幅を有する空スペース(Wcl)を有する。
31.溝を有する平らなプレートからの複製による、レンチキュラーレンズスクリーンおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つの作成であって、前記溝は前記プレートの側部に対して平行ではない。
32.直線の境界を有する基材を有するレンチキュラースクリーンを有する画像ディレクティング装置であって、前記基材は、互いに平行であり前記基材の境界に対しては平行でないレンチキュールとして形成される。
33.直線の境界を有する基材を有するバリアスクリーンを有する画像ディレクティング装置であって、前記基材は、互いに平行であり前記基材の境界に対しては平行でない線形開口部を有する。
34.像の視聴者に対して前記像を水平軸を中心に回転するか垂直軸を中心に回転するかに関わらず、実質的に同一の感知効果を提供する画像ディスプレイおよびそれを作成する手段である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
定義
本書において、「画像ディレクティング装置」とは、元画像からのデータによって構成される多数の画像スライスを有する1つの合成画像を元に、前記複数の元画像の各々を個別および同時に見せることができる装置であって、各元画像を異なる視点から見えるようにするものである。従来の画像ディレクティング装置としては、レンチキュラースクリーンとバリアスクリーンが含まれる。
【0021】
本書において、「望ましい効果」とは、以下の視覚認知のいずれか若しくはいくつかの組み合わせを含む場合があり、ディスプレイの作成者の意図と設計に従った視認体験によって異なる。(a)描写された場面の奥行きおよび視差の感知を伴う3次元(「3D」)表示、(b)前記画像内に描写されたあらゆる素子の動き、(c)1つの画像から別の画像へのフリップ。
【0022】
本書において、「傾き/傾斜」とは、視聴者に対する画像ディスプレイの画面の動きのことである。そのような「傾き/傾斜」には、ほとんどの場合、垂直軸、水平軸、あるいは他の軸を中心とした動きが関わり、その動きとしては、弧を通過する1度の回転若しくは前後の往復の動きが可能である。
本書において、「全方向性」とは、画像ディレクティング装置を有する画像ディスプレイが傾けられたときに、水平であれ、垂直であれ、どのような任意の方向に傾けられても前記ディスプレイの視聴者に「望ましい効果」を与えることのできる、前記ディスプレイの能力のことであるが、例外として、1つの特定の軸(傾斜角に垂直の軸と呼ぶ)に沿った傾斜だけは、前記望ましい効果を与えない。
【0023】
本書において、「レンズ」、「レンズ素子」、「マイクロレンズ」、「レンズレット」、「レンチキュール」は、レンチキュラースクリーンの1素子のことであり、互いに置換可能な用語である。
【0024】
本書において、「傾斜」とは、画像ディレクティング装置、若しくは画像ディレクティング装置を有する画像ディスプレイの素子を水平若しくは垂直以外の配向に位置づけることである。下記でΘとして表される傾斜角は、望ましくは垂直軸から45度であるが、必ずしもそうである必要はない。
【0025】
本書において、画像ディレクティング装置の「視野角」とは、画像ディレクティング素子によって範囲が定められる角度のことであって、本書に記述した全ての元画像からのデータを視認することができる、空間内の領域を与えるものである。
【0026】
「元画像」とは、画像ディスプレイ上の2若しくはそれ以上の画像の1つとして表示されるものとして選択された任意の画像である。
【0027】
「合成画像」とは、2若しくはそれ以上の元画像を表すデータから光学的方法若しくはコンピュータ的方法若しくはそれ以外の方法で作られた画像であって、前記合成画像は画像媒体の画面上に表されるものであり、画像ディレクティング装置を通して視認されることを目的とする。
【0028】
「画像スライス」とは、画像の一部からのデータであって、1方向の限られたデータ量(最少では1ピクセル)と、本書において「サブセクション」と呼ばれる一般に垂直方向である前記画像の前記一部から得られる全てのデータとから成る、前記画像の一部からのデータである。
【0029】
図1は、バリアスクリーンやレンチキュラースクリーンのような画像ディレクティング装置を用いたイメージングの一般的技法を示す略図である。前記プロセスの例として、3つの個別の画像(110、120、130)が、各々3つの垂直スライスに分割されており、それら全てが1つの合成画像(155)に再構成されている。(見やすく理解しやすい図にするためにスライス数を3つにしたが、典型的には個別の画像を多数のスライスに分割するものであることを読者は理解すべきであり、その数は、その合成画像とともに用いられるバリア数またはマイクロレンズ数に関連する数である。)
本発明に従って前記元画像の縦横比を保持するために、前記合成画像は両方向に同等の解像度を有するものと仮定し、前記元画像は前記画像ディレクティング装置(たとえばバリアまたはマイクロレンズ)の素子に対して平行方向に拡大される。あるいは代わりに、従来のように、前記合成画像を構成する前に、前記方向に対して垂直の方向にデータが切り捨てられる。行われるデータの拡大または切り捨ての量は、前記合成画像を形成するために組み合わされる画像数の関数である。例えば、図2Aおよび3Aが示す、3つの元画像を用いた従来の例において、その水平データのわずか3分の1のみが利用されることになる(その水平データの3分の2は切り捨てられる)。
【0030】
本発明の好ましい実施形態において、最終的な画像の高さは3倍に拡大される(ピクセルの複製、若しくは、好ましくは新しい補間されたピクセルの創出によって)。そのような補間は、Adobe Photoshop(登録商標)のような画像処理ソフトウェアの「画像サイズ」機能を使用して便利に行われる。例えば前記機能の最隣接、双線形、双三次抽出といったオプションのいずれかを使用することも可能だが、双三次補間を用いて前記画像を再抽出するのが好ましい。
【0031】
あるいは代わりに、本発明は、それら2つの方法の組み合わせを利用することも考慮し、一部のデータを切り捨てて他のデータを補間することで、望ましい縦横比の画像スライスを提供する。
【0032】
図2Aは、バリアスクリーン250を通して視認される合成画像255を示す。図2Bは、前記と同一のものの鳥瞰図(平面図)である。典型的には、前記スクリーンは不透明の領域251と透明の領域252から成り、各透明の領域の幅は1画像スライス256とほぼ同等であり、各不透明の領域は使用される元画像数に1画像スライスの幅を掛けた数字から1を減算して求められるものとほぼ同等である。
【0033】
図3Aは、レンチキュラースクリーン350を通して視認される画像媒体355の画面上の合成画像の透視図を示す。図3Bは、前記と同一のものの鳥瞰図である。典型的には、前記レンチキュラースクリーンの各マイクロレンズすなわちレンチキュール352は、使用される元画像数に1画像スライス356の幅をかけたものとほぼ同等の空間を覆う。両方の実施形態(図2A、2Bと図3A、3B)において、前記3つの元画像(画像1、画像2、画像3)を各々異なる位置における視点から別々に見ることができ、従って、前記画面に対して異なる角度から別々に見ることができる。
【0034】
バリアスクリーンではなくレンチキュラースクリーンを使用することによる利点は、画像からの光のほぼ全てがレンズを通してその画像の視聴者に届くことにより明るい画像となることと、各レンズがそのレンズの後ろにある画像のセクションを拡大するため、あらゆる視野角から見た像が、セクション間に切れ目のない一体化した連続的なものとして目に映ることである。レンチキュラースクリーンを使用することによる不利な点は、レンズによって収差が生じることによりゴースティング若しくは望ましくない画像のオーバーラップが発生し、奥行きが制限されることである。前記バリアスクリーンの利点は、いわばその反対であり、収差が生じないことであり(ただし比較的軽度の回折がある程度生じる)、従って、奥行きを与える能力がはるかに優れているが、セクション間の線ははっきりと目に見えるため、まるで縦の柵が並んでいるように見える。ほとんどの光は前記バリアによって吸収されるため、前記バリアを通した画像は通常の印刷画像若しくはレンチキュラーレンズスクリーンを使った画像に比べてはるかに暗くなり、これを避けるには非常に強いバックライトを使う必要があり、追加的なエネルギーの消費と追加的な熱が伴う。
【0035】
そのようなディスプレイの作成技術においてよく知られているように、前記バリアまたはレンズを垂直に配向すると、異なる水平視点から異なる個別の画像が見えるようになる。それを見るユーザーその視聴者が前記画面に対して上下に動いても、知覚的変化はない。これは、「フリップ」画像、すなわち画像が第1の場面から第2の場面へとパラパラ動くように見える画像を見せるための方法であり、例えば、ある衣装を着たモデルが、その衣装のメーカーのロゴに合わせてフリップする。はじめは、視聴者の両眼は、2枚組みフリップの第1の画像を見る。そしてある時点で、前記視聴者が水平に移動するにつれ(若しくは前記視聴者が前記画像ディスプレイを垂直軸を中心に傾けるにつれ)、前記視聴者は、一方の目が前記2枚組みフリップの第1の画像を、もう一方の目が前記2枚組みフリップの第2の画像を見る位置に来る。これらの画像はかなり異なるものであるため、その時点で脳はそれらの画像を結合させることができず、不快で混乱した感覚を覚える。しかし、前記視聴者が水平に移動し続けるにつれ、前記視聴者はその時点を通過し、両眼が前記2枚組みフリップの第2の画像を見る位置に至り、再び好ましい画像を見ることになる。ほとんどの視点において、前記視聴者の両眼はあらゆる任意の時点で同時に1画像若しくは前記2枚組みフリップのもう1枚の画像を見ることができ、前述の混乱した感覚を与える領域は狭いものであるが、中には、この短い混乱感覚を非常にわずらわしく感じ、その像のために目まいがしてその像が嫌いだと言う人もいる。
【0036】
動きのある画像(アニメーション、ズーム、モーフィング画像を含む)で垂直配向バリアを使うと、水平配向バリアを使った場合に比べてこれが悪化する。これは、あらゆる任意の視点で、ある時点に描写された場面が一方の目に映り、別の時点に描写された場面がもう一方の目に映るためである。それら2つの時点間に生じる動き(モーション)が多いほど、画像はより異なったものとなり、それらの画像を脳で結合することがより難しくなり、より不快で混乱した感覚を脳は体験することになる。この理由から、一般にモーション画像には垂直配向バリアまたはレンズは使われない。
【0037】
これまで、場面の3D画像を表示するには、垂直配向バリアまたはレンズを使用するしかないと考えられてきた。前記3D画像を正しく見せるために、前記合成画像を構成する個々の異なる画像は、一般に、異なる視点からの3D場面を見せるものであり、前記画像が写真である場合、前記異なる視点とは、前記合成画像の元画像を撮影するための対応するそれぞれのカメラの位置ということになる。前記画像スライスの幅、または前記バリアスクリーンの透明線および不透明線の幅、または前記レンチキュラースクリーンのシリンダーレンズの幅およびそれらレンズの湾曲と、例えばバリアスクリーン若しくはレンチキュラースクリーンである前記画像ディレクティング装置の画面および平面間の距離と、画像の視聴者と前記バリアまたはレンチキュラースクリーンの間の距離とを慎重に選択することにより、任意の時点において前記視聴者の両眼が各々異なる画像を見るようにする。前記視聴者のそれぞれの目が同時にそれぞれ異なる画像を見れば、前記視聴者は前記場面の3D表示を感知することができる。前記視聴者の頭が水平方向に動くと、各々の目はそれまで見ていなかった前記場面の新しい表示を見ることができ、「視差」と呼ばれる、前記場面を見回している体験が創出される。この場合、前にあるオブジェクトによって隠されていた背景オブジェクトが目に見えるようになる。
【0038】
一般に、水平配向バリアまたはレンズの使用は、フリップおよび動きのある画像の表示に最善の方法と考えられてきた。これは、あらゆる任意の時点において、両眼が同一の画像を見るため、視聴者にとって常時快適だからである。異なる個別の画像は、異なる垂直の視点から見ることができる。前記視聴者が水平に移動しても、別の個別の画像に切り替わる感知を得ることはない。異なる画像を表示するには、水平軸を中心にその合成画像を傾けるか、若しくは前記視聴者を画面に対して上下に動かして望ましい効果を見せる必要がある。手持ちできる画像であれば、これはユーザーにとって容易である。例えば壁に貼られたポスターの場合のように静止している画像であれば、階段を上りながらそのポスターを見たり、エスカレーターからそのポスターを見たり、エレベーターで移動中に窓外のポスターを見たりすることで、自動的に前記効果が得られる。
【0039】
あるいは代わりに、目の高さ以外の高さに貼られているポスターであれば、(異なる元画像を視認する)効果は、視聴者がそのポスターに向かって進むかそこから遠ざかることによって得られる。しかし、目の高さに貼られているポスターの場合、視聴者が上下に動くという不自然な動きがない限り、その効果は得られない。あらゆる任意の時点で両眼は常に同一の画像を見るため、バリアまたはレンズの水平配向を用いて視聴者に3D体験を与えることはできない(ただし、視聴者の頭が傾けられている場合、若しくは例えば視聴者がローラーコースターに乗っている間などに可能な寝姿勢の場合はこの限りではないが、それは不自然である)。
【0040】
つまり、階段、エスカレーター、エレベーター上の偶然の視聴者、若しくはそのポスターに向かって歩いて行く視聴者によって見られることを意図した従来の貼り付けポスターは、3Dにはなり得ないのである。これはまた、通り過ぎる歩行者または車に乗っている人々が見ることを意図して取り付けられたフリップまたはモーション画像が、一部の人には不快に映ることも意味する。
【0041】
バリアまたはレンチキュラーレンズを使った手持ちの画像に関しては、望ましい効果を表示するためにそれをどの方向に傾けるかに関わらず生じる別の問題もある。従来のレンチキュラーまたはバリア画像では、そのバリアまたはレンズが水平か垂直のいずれかに配向されているため、視聴者が誤った軸を中心に像を回転させて、変化または特殊効果を見逃す可能性は50%である。これは、普通の像を見ているという誤解を視聴者に与えるものであって、視聴者は見る意欲を失い、エキサイティングで目を引く効果を体験することなく立ち去ってしまうかもしれない。例えば、特別プロモーション配信物にレンチキュラー画像が含まれていた場合、前記レンチキュラー画像を提供するための追加的コストの50%は潜在的無駄であり、前記プロモーションの受領者の半数にとって、その視覚効果は通常の平面印刷の効果と変わらないのであるから、望ましい効果を見る受領者に対する前記特別プロモーションの追加的コストを倍増していることになる。
【0042】
バリアを使うかマイクロレンズを使うかに関わらず、選考技術のもう1つの不利な点は、「飛び」と称されることのある、望ましくない不連続性である。この望ましくない不連続性は、視聴者が前記画像ディレクティングスクリーンの視野角の外に前記画像ディスプレイを傾けたときに見られるものであり、典型的にその角度は25〜50度である(画像情報の設定と、使用されるバリアまたはマイクロレンズに依存する)。前記視野角は、全ての元画像を見るための、視聴者と前記画像ディスプレイの画面との間の相対的動きの量を決定する。前記画面に対して移動する視聴者が全ての画像を見た時点で、1式の元画像の最初の部分が、それまで視聴者に提示されていた前記1式の元画像の最後の部分に続いて前記視聴者に提示されるため、前記視聴者は「飛び」を感知する。この望ましくない不連続性は非常に不快であり、この望ましくない不連続性を体験するまで画像によって与えられていた真の自然な視認体験を阻害するものである。視野角が狭いと、異なる位置から画像を見ようとする視聴者の動きがより小さくなり、その小さい動きの中でこの不連続性が生じるため、視野角が狭いほど、この望ましくない不連続性は悪影響を及ぼすようである。従って、可能な最大の視野角を持つレンズまたはバリアを用いることが、その解決策となるであろう。
【0043】
しかし、従来の技術を用いて視野角を増すには限界があり、且つ、視野角を増すことによりその他の問題が生じる。この視野角的限界は、様々な要因と関連するものであり、例えば、既存の印刷装置から得られる解像度の限界、特に3Dの作成での、前述のような合成画像において、視認距離で感知される元画像間の許容可能な最大距離、マイクロレンズを用いる場合にレンズのF値(以降、「F#」と称す)が下がるにつれて収差が増すこと、許容レベルの収差を維持しつつレンズを作成することが可能な最小F#といった要因がある。他の事柄が同等であるならば、より高いF#を有するマイクロレンズを用いることによって収差を減少する(従って感知されるゴースティングを減少する)選択をとるというのは、既知のことである。しかし、そうすることによって視野角が狭まり、望ましくない不連続性がより顕著になる。逆に、F#を下げて視野角を増すと、収差が増すだけでなく、感知される効果が減少する。解像度の限界により、所与のバリアまたはマイクロレンズのピッチに対し、バリア間の空間またはマイクロレンズの下の空間の下に収めることのできる元画像スライスの数には上限がある。従って、画像数が増えずに視野角が増すにつれ、潜在的3D体験またはモーションの範囲は低減するか、さもなければ、それら画像間の差異が大きい場合、限定的な数の画像(群)を持つ画像では、画像が非常にぎくしゃくとしたものになる。従って、一般に当該分野においては、優れた3Dを作成するには、望ましくない不連続性を不可避なものとする狭い視野角のレンズまたはバリアの使用が必要だと認識されている。
【0044】
本発明の発明者は、ゼロ(垂直)若しくは90度(水平)に配向された画像ディレクティング装置の素子すなわちバリアまたはレンズを有する従来のレンチキュラーおよびバリア画像は、たとえその画像ディスプレイが軸を中心にゼロまたは90度以外の角度で傾けられていても、また、たとえ前記画像が水平(X)または垂直(Y)軸を中心に傾けられる前にまず任意の量だけZ軸を中心に回転されても、3次元またはモーションのような画像効果を発揮することに気づいた。
【0045】
前記画像の前の空間の分析により、前記発明者はその理由を解明した。図4〜6は、5つのオリジナル画像から成る合成画像を表示する画像媒体を示す(図4の455、図5の555、図6の655)。実質的に、あらゆる数の画像を用いて同様の結果を得ることができるが、説明を簡易化するためにここでは例として5つ用いた。前記5つの画像を個別に視認可能である5つの別個の表示ゾーンが、鳥瞰図である図4に斜線領域401、402、403、404、405として示されている(420、430、440とラベル付けされた斜線領域としても示されている)。各元画像は、線410に沿った点の位置から最もよく視認される。各レンズからの光と画像情報は、およそ平行である。線410に沿って、各表示ゾーン内において、各レンズからの画像情報はオーバーラップするため、そこに置かれた目は、1つの元画像の異なる1スライスに対応する各レンズからのデータを見ることになる。光は実際には完璧に平行にはならないため、レンズの収差と、画像データポイントまたはピクセルの各列の幅が非ゼロであることと、不正確な画像データの配置とによって(データは理想的にはFすなわち各レンズの焦点にある)、領域420が示すように各画像の可視領域は(この場合水平に)広がる。これによって、画像群のオーバーラップがある程度生じ、ゴースティングが発生して画像の鮮明度が低下する。
【0046】
視聴者の目が、430および440とラベル付けされた斜線領域のいずれかに置かれた場合も、各ゾーンにおいてほぼ1つの画像が視認され、それが画像媒体455の画面全体を満たすように見える。また、領域450および460の視点の対(ペア)から、様々な度合いの3Dを見ることができる。透視図によりこの配置を図示する図5は、図4の斜線領域440に描かれている表示領域を、501、502、503、504、505として示している。例えば、それぞれがある時点における視聴者の片目の位置である各視点510、520、530、540、550から、通常の視認を行う。
【0047】
視聴者の両眼の視点位置である4つの視点510/520、520/530、530/540、540/550が示されている。パス500に沿って両眼が移動するにつれ、各々の目があらゆる任意の時点に異なる画像を見ることになり、3Dの感知が創出される。前記発明者は、同様に図5Aの斜めのパス560に沿って両眼が移動するにつれ、各々の目は各視点において異なる1画像を見るものであって、従って、3Dの望ましい効果はこの場合も見られることを発見し、且つ、このことが、図5Bが示すようにZ軸上で前記合成画像を回転させて水平線560に沿って視認することと同等であることを発見した。
【0048】
視聴者が垂直線570に沿って移動するにつれ、視聴者の両眼が水平線560に沿って移動する場合と同じく、511、512から517、518までの各視点位置において、常に変わり続ける3D画像が前記視聴者の両眼に映る。すなわち、第1の視点位置において前記視聴者の左目は視点511に、右目は512にある。そして第2の位置において前記視聴者の左目は513に、右目は514にあるといった具合に、図の第3、第4の位置へと続く。この方法におけるZ軸を中心とした画像の回転は、移動が水平線に沿ったものであれ、あるいは垂直線に沿ったものであれ、同等の視認体験を提供するが、そのために生ずる不利な点として、像が傾斜されること、像の枠または「キャンバス」が従来のものに近い正方形若しくは長方形ではなくひし形になってしまうことが挙げられる。
【0049】
これらの欠点が除去される本発明において、像および前記像が描かれている正方形または長方形の画像媒体はZ軸を中心に回転されず、前記画像ディレクティング装置が回転される。図6は、本発明の画像ディスプレイおよび図5Bのものと同様の表示ゾーンを示す。画像媒体655は、画像ディレクティング装置を通して視認される画面を有し、前記画像ディレクティング装置の素子は矢印656が示す方向に傾斜している。視聴者が垂直線610に沿って移動するにつれ、常に変わり続ける3D画像が前記視聴者の両眼に映るものであって、これは前記視聴者の両眼が水平線600に沿って移動する場合と本質的に同じ効果である。すなわち、第1の視点位置において、前記視聴者の左目は視点601aに、右目は601bにある。そして第2の位置において前記視聴者の左目は視点602aに、右目は視点602bにあるといった具合に、図の第3、第4の位置へと続く。
【0050】
本発明は、個別画像(群)を1つの合成画像に構成する新しい方法に関連するものであって、前記画像(群)を回転させるのではなく、前記画像ディレクティング装置のバリアまたはシリンダーレンズの傾斜配向と画像データが一致するように画像データを合成することにより、視認中に画像媒体の画面が視聴者に対して垂直軸を中心に傾けられているか水平軸を中心に傾けられているかに関わらず、望ましい効果を生み出すものである。前記合成画像を構成するために、本発明に従って典型的にいくつかの工程が実行される。まず、前記垂直軸(または前記水平軸)に対する前記バリアまたはシリンダーレンズの傾斜角を選択する。これは(前記水平軸および垂直軸を中心とした)各回転方向における前記効果のスピードと度合いを決定する。前記レンズまたはバリアが45度であると、前記効果のスピードと度合いは、前記画像が前記水平軸を中心に傾けられても垂直軸を中心に傾けられても同じになる。選択されたレンズまたはバリアの傾斜角がゼロ(つまりこの場合は垂直と仮定する)に近づくと、前記効果のスピードと度合いは前記画面が前記垂直軸を中心に傾けられた場合は増大し、前記水平軸を中心に傾けられた場合は低下する。逆に、前記効果のスピードと度合いは、選択された傾斜角が90度(つまりこの場合は水平と仮定する)に近づくにつれ、前記垂直軸を中心とした傾斜では低下し、水平軸を中心とした傾斜では増大する。0度と90度という極端な場合においては、前記スピードと度合いは1方向で最大となり、その反対の方向でゼロになる。
【0051】
図7はこれを視覚的に示す。ここでは、例えば、図4において401〜405として描かれていた5つの表示ゾーンが、701、702、703、704、705として立面図に描かれている。従って、画像1はゾーン701において、画像2はゾーン702において、画像3はゾーン703において、画像4はゾーン704において、画像5はゾーン705において視認される。ここにおいて前記レンズまたはバリア(すなわち前記表示ゾーン)は傾斜されており、これはすなわち725がZ軸を中心に任意の角度Θで回転されているということであるが、この具体例において前記角度はゼロでも45度でも90度でもない。従って、図7は、前記傾斜角が45度以外である場合に得られる最適の効果ではなく、許容範囲内の効果を例示するものである。本発明に従い、前記画像データは、傾斜された前記画像ディレクティング装置を通して正しく視認されることが可能なように設定される。両眼を線700に沿って動かすと、画像は、その傾斜を除き、前記角度Θがゼロである場合とほぼ同一の動きをする。前記視聴者の両眼は、線700に沿って動くにつれて、全画像(群)を見るために必要な距離全体で、1時点に1画像を視認する。しかし、この図において、線710に沿った縦の動きによって、前記視聴者は表示ゾーン702から704までの画像(群)だけを見ることができる(表示ゾーン701と705の画像(群)は、線710がそれらの表示ゾーンを通らないので決して見えない)。これら3つの画像は、線700に沿って見たときに画像1〜5が視認されるのと同一の視野角にわたって視認される。従って、その他全ての事柄が同等であれば、前記3つの元画像の各々は、(例えば図3Aに示すような)従来のディスプレイを用いた場合に比べて(より大きい角距離の範囲にわたる)より長い時間にかけて可視となり、前記方向において視認される効果のスピードが下がる。前記視聴者が1ヴァンテージポイントから別のヴァンテージポイントへと移動して同一の視野角を横に移動するにつれて、より少ない画像(群)が視認されるため、前記効果の度合いもまた低減される。
【0052】
本発明に従い、前記傾斜角の選択に加え、最終合成画像において組み合わされる画像数が選択される。使用されるレンズまたはバリアのピッチおよび元画像数に関する選択は、画像媒体の解像度と画質に関する個人的な嗜好による制限を受けるものであって、これは従来のバリアまたはレンチキュラー画像を作成する場合の決断の仕方と基本的に同様である。使用する画像数が少なすぎると、1画像から次の画像へ移動したときに生じる「飛び」の現象または最小限の知覚効果につながる(画像間の相違の度合いに依存する)。使用する画像数が多すぎると、一度に複数の画像が視認されるためにゴースティングが生じる。典型的な元画像数は5〜20であり、これは最端のヴァンテージポイントから別の最端のヴァンテージポイントまでの視野角に依存するものであり、レンズが使用される場合、これは収差の深刻度に依存する。使用される画像数は、前記合成画像において各レンズまたはバリアの下に置かれる画像スライス数と、各元画像の各セクションを分割して作られる画像スライス数とを決定する。
【0053】
次に、前記合成画像の視認に使われるバリアまたはレンズの数が決定される。これは、最終合成画像のために選択されたサイズ(例えばインチ単位)と、前記バリアまたはレンズのピッチの選択(例えばインチ単位の、連続するバリアまたはレンズ間の空間のサイズであり、例えばインチ当たりの、バリアまたはレンズの数の逆数)とに依存する。バリアまたはレンズが多いほど(従って、ピッチが小さいほど)、それらは感知されにくくなる。しかしながら、使用可能な数は、上述したように、前記合成画像に含めるために選択された画像数と、前記画像ディレクティング装置を通して様々な元画像の各々を見るための、データを含む画像媒体の利用可能な解像度(例えばインチ当たりのドット数)とによる制限を受ける。元画像数に、例えば1インチ当たりに使用されるレンズまたは透明バリア空間の数を掛けた積によって、必要とされる解像度が決まる。前記合成画像、使用されるレンズ(レンチキュラースクリーンを使用する場合)、または透明空間(バリアスクリーンを使用する場合)によって、各元画像と前記合成画像とを分割して作られるセクションの数が決まる。
【0054】
当業者には既知のように、前記レンズに用いる利用可能な材料のうちどれを用いるかを決定するために選択されるパラメータは限られており、例えば、コスト、重量、透明度、安定性、製造のしやすさなどである。使用する材料が決まれば、前記レンズの屈折率(n)が決まる。従って、作成することのできるレンズ、または最も作成しやすいレンズ、または最も安価に作成されるレンズがどれであるかによって、どの材料を使うかを決めることができる。
【0055】
次に、最適な視認距離とスクリーンの厚みとを選択し、「画像データセット」の幅を決定する。望ましい最適な視認距離(d)をまず選択する。図4の画像455と線410の間の距離のような最適な視認距離(d)が選択されるが、望ましい画像効果が最善に機能する領域420、430、440によって表されるような表示ゾーンが作成される。上述したように、前記元画像各々からのスライスは、各レンズまたはバリア空間の下に置かれる。前記バリア空間は、1バリアスクリーンの1透明空間の始まりと、その隣の透明空間の始まりとの間の空間である。1レンズまたはバリア空間の下の画像スライス(群)を、本書では「画像データセット」と呼ぶ。画像データセットの幅がレンズ(若しくは「バリア空間」)の幅と同等であれば、前記合成画像は無限においてのみ正しく視認可能である。望ましい最適な視認距離(d)が近いほど、1レンズまたは「バリア空間」の下の「画像データセット」の幅を大きくするべきである。前記画像データセットの幅(略称Wids)によって、前記画像データセットのピッチが決まる。画像データセットの数と同一の数のレンズ(または「バリア空間」)があるが、無限を除くあらゆる視認距離において前記レンズ(または「バリア空間」)のピッチは前記画像データセットのピッチ未満である。
【0056】
これについて、レンチキュラーレンズ855に取り付けられた合成画像の鳥瞰図である図8Aを参照して説明する。幅が全て同等である画像データセット810、820、830、840は例示の目的でのみ示されており、各々、5つのサブセクションから成り、この例において5つの元画像が使用されていることを示す。線800〜805に沿って、各レンズの湾曲中心がある。例えば、861とラベル付けされた点によって示されるレンズ860の湾曲中心と、871とラベル付けされた点によって示される隣接するレンズ870の湾曲中心との間の距離がレンズピッチ(Lp)である(これは、2つの隣接するレンズの最高点の間の距離と等しい)。ポイント890と895は可能な2つの視点であり、各々が異なる1つの画像を提供する(ポイント890は画像3の映像を提供し、ポイント895は画像2の映像を提供する)。871から890までの距離(d+r)とレンズピッチ(Lp)がわかれば、次の式により角815を算出できる。
tan(角815)=Lp/(d+r)
距離rは前記レンズの湾曲半径であり、前記レンズのポイントCからポイント871(湾曲中心)までの距離である。
【0057】
この計算を実行するために、湾曲半径(r)を決定する。前記レンズ幅(ピッチ)に比べて前記半径が長いほど(すなわち焦点距離が長いほど)前記レンズのF値は高くなり、前記レンズの視野角が狭くなり、前記レンズの有する収差が少なくなり、ゴースティングが削減されてより明確な画像が提供される。レンズのF値(F#)とは、レンズの焦点距離をレンズのピッチで割ったものである(F#=f/Lp)。
【0058】
図8Aにおいて「B」から「C」までの距離として示されているレンズの選択された厚みTlを用いて、前記レンズの焦点距離(f)を次のように計算することができる。f=Tl/n(前記レンズの裏面に焦点を当てることを望むため、このようになる)。焦点距離(f)は前記レンズの湾曲中心871から、前記レンズの裏のポイント「B」に置かれる焦点までの距離である。次の式は、平凸レンズで用いられる、湾曲半径に関する標準的なレンズ業者の等式である。
1/f=(n−1)*(1/r)
これを並べ替えると、r=1/((1/f)/(n−1))、若しくは単純にr=f(n−1)となる。これによって、ポイント「C」からポイント871(前記レンズの湾曲中心)までの距離(r)を決定することができる。また、(f)と(r)の合計は、選択されたレンズの厚み(Tl)と等しい。(上述のように計算された)角815を用い、「画像データセット幅」(Wids)(AとEの間の空間として示されており、810=820=830=840と等しい)をWids=(Dt)*(tan(角815))により計算することができ、この式において、視点890と、ポイント「B」にある中央データスライス(サブセクション)との間の距離は、d+r+fである。WidsはLpより大きいため、例えば、レンズ860に対する画像データセット820およびレンズ870に対する画像データセット830に比べ、画像データセット810および840は、それぞれ対応するレンズ850および880から目に見えてオフセットされる。
【0059】
レンズの厚みの選択は、望まれる具体的な視野角(VA)による影響も受ける場合がある。図8Aにおいて835として描かれている視野角(VA)は、レンズ(群)が垂直に配向されている場合に、合成画像855を作成するために組み合わされた全ての元画像を見るために視聴者が移動して通る必要のある角度である。前記視野角(VA)は次の式により計算することができる。
VA=2arctan((Wids/2)/f)
前記レンズが0℃(垂直配向)以外の角度に配向されると、前記視野角は増す。しかし、視野角がそのように増しても、その他のパラメータ(すなわち(r)、(f)、(Tl)、(n))を変える必要はなく、単に前記レンズ(群)の配向の回転だけが必要である。図8B、8C、8Dはこれを例示している。図をわかりやすくするために、レンチキュラー・マイクロレンズ・アレイの1つのレンズ素子だけが示されている。素子853は、垂直に配向されたレンズ素子の1例である。レンズの湾曲中心852を透過する光は、視野角835を提供する前記レンズの湾曲面を透過する。
【0060】
図8Cが示すように、参照番号806が示すように前記レンズ854を傾斜角Taに傾斜すると、見掛けレンズピッチ(幅)は距離801〜802(Lp)から距離802〜803(水平X軸に平行)に変わり、この距離は前記距離801〜802より大きいため、視野角は、図8Bの測定角835よりも大きい図8Cの測定角836へと増す。すなわち、垂直レンチキュール853の場合に比べ、見掛けレンズ幅(略称 alw)802〜803は次の式に従って増す。
alw=Lp/cos(Ta)
45度において、(alw)はLpの約1.41倍である。言い換えれば、各レンズ素子すなわち各レンチキュールの幅が見掛け上約41%増したことになるため、それに対応して視野角も増す。従って、図8Bが示すように垂直に配向されたときに50度の視野角を与えるレンズは、図8Cのように傾斜されたときに、約71度の視野角を持つ垂直レンズと同等の働きをする。しかし、焦点距離(f)、レンズの実ピッチ(Lp)、実F#は変わっていないため、前記レンズ(群)の収差、または視聴者に対する前記レンズ(群)の顕著さが増すことはない。より大きい視野角を持つことにより、望ましくない不連続性が視認される可能性がはるかに低下し、視認体験のリアリズムと快適度が増す。しかし、より大きな視野角に対して同じ数の元画像を使うと、各画像がより大きい角度にわたって見られるようになるため、3Dと動きのスピードが低下する。すでに最大数の画像が使われている場合、ディスプレイまたはプリンタの解像度の制限があるため、この問題の対処方法はないように思われる。
【0061】
しかし、図8Dが示すように、レンズ857を見ると、より高い解像度を必要とせずに、より多くの画像を使うことが可能であることがわかる。線858は、レンズ857の後ろのピクセル行を現す。その平面的配向を変えることなく、角度808にレンズを傾斜することにより(好ましい角度は45度)、傾斜されていないレンズレットの下の858のような水平線に存在していたであろうデータのために、線856に沿ったピクセルが使用される。45度において、線856は線858より約41%長い。これはつまり、前記レンズの下には使用可能なピクセルが約41%多くあるということであって、これが本発明の1つの利点であり、すなわちディスプレイまたは画像分解能を増す必要なく約41%多くの画像を使用可能であることを意味する。本発明の実施形態は、相対する従来の画像ディスプレイより多くの画像を使用可能であるため、画像ディスプレイの設計者は、この場合実際には視野角が広がっているにもかかわらず、あたかも視野角が狭まったかのように、表示される3Dとモーションスピードを維持することができる。
【0062】
レンズの代わりにバリアを用いる場合も同様に、図8Aが示すように前記バリアは線800〜805に沿って置かれる。わかりやすく図示するために、バリアスクリーン付きの同じ画像ディスプレイを図8Eに示した。前記バリアスクリーンの透明な線は、図8Aに図示した各レンズの湾曲中心の場合と同じように、選択されたある一定の間隔、すなわち「バリア空間ピッチ(Pbs)」を空けて置かれる。ポイント「B」とポイント871の間の距離も選択するが、この距離は前記バリア(群)と前記画像データとの間の距離を表すものであって、本書においてバリアスクリーン厚(Tbs)と呼ばれる。この選択は、特定の視野角(VA)が望まれる場合に影響を受ける場合がある。最適な視認距離(ポイント890からポイント871までの距離)を選択したら(図8Aにおいてd+rとして示す)、画像データセット幅(Wids)を計算することができる。第1の角度815を、前述の式(tan(角度815)=Pbs/(db))により求める。続いて、Widsを次の式により求める。
Wids=tan(角度815)*(db+Tbs)
垂直に配向したバリア(群)の視野角は次の式により求められる。
(VA)=2arctan((Wids/2)/Tbs)
これらの等式からわかるように、望ましい視野角を得るためには、まず視認距離(db)と「バリア空間」ピッチ(Pbs)を選択すること、そして次に正しいバリアスクリーン厚(Tbs)を選択することだけが必要である。図8Aを利用した上記の分析(レンズの使用に関連する)は、図8Eが示すように、バリア(群)の使用にも適用される。前記バリア群の傾斜角が増すにつれ、視野角は、傾斜されたレンズで視野角を増す場合と同じように増し、同じ便益がもたらされる。
【0063】
レンズを使うかバリアを使うかに関わらず、いったんWidsが決まれば、3次元表示(「3D」)の感知が与えられる使用可能な最少画像数が最適な視認距離(db)によって決まる。隣接する視点(890〜895)の間の距離は、成人の目と目の間のおよその距離である2.5インチと仮定される。単一の画像を見ることができる表示ゾーンの幅は前記距離を超過してはならず、それを超過すると、両眼が同一の画像を見ることになるため、その視点から3Dの感知を視聴者に与えることが不可能になる。これにより、(3Dを作成するために)許容可能な最大の単一画像スライスによって定められる角度825の計算が次の式により可能になる。
tan(角度825)=(2.5/(d+r))、若しくはバリア(群)を使用する場合はtan(角度825)=(2.5/db)。
この角度が計算により求められれば、画像スライスの最大幅(「E」から「B」までの距離)を次のように計算することができる。レンズ(群)を使用する場合はEB=tan(角度825)*f)であり、バリア(群)を使用する場合はEB=(tan(角度825)*(Tbs)である。WidsをEBの値で割ることによって(商は最も近い整数に切り上げられる)、視聴者に与える3Dの感知を失わずに使用可能な最少画像数が求められる。所与のレンズまたはバリアピッチと共に使用可能な最大画像数は、前記合成画像を表示する媒体の解像度によって制限される。これは、垂直に配向されたレンズまたはバリアに適用される。それらが、ある角度に傾斜されると、Widsのサイズが増す。従って、前記レンズまたはバリアが傾斜された場合(0度に配向されない場合)に所与の視点から3Dを見るために必要な最少画像数を計算するために、傾斜されたWids(Widst)を次の計算によって求める。
Widst=Wids/cos(Ta)
WidstをEBで割って求めた商を、最も近い整数に切り上げる。0のコサインは1であるため、これは、垂直(0度)を含め、あらゆる角度で有効である。
【0064】
選択された視認距離の正しい画像データセット幅(Wids)を、実験的に決定することも可能である。これを行うには、一連の長さの平行棒(例えば、前記合成画像の幅と同じ長さの平行棒)を用意し、1本の上に別の1本を置いていったものを、レンズまたはバリアシートを通して表示する。各々の棒は、例えば高さ約4分の1インチの棒であって、交互に並ぶ黒のスライスと白のスライスとから成る棒であって、前記スライスは前記棒に対し垂直の配向である(0度に配向された画像ディレクティング装置を使う場合)。前記棒は前記レンズまたはバリアに対して垂直に配向されるべきである。黒スライスと白スライス1個ずつから成る1対のスライスを、1画像データセットと見做す。各々の棒の画像データセットは、若干異なるピッチを有するように選択される。例えば、0.01インチのピッチを有するレンズまたは「バリア空間」(1インチ当たり100レンズまたは「バリア空間」)および約18インチの視認距離を使用する場合、隣接するテスト棒における画像データセット(群)のピッチは0.010055、0.010054、0.010053、0.010052、0.010051、0.010050(インチ単位)が可能である。選択された視認距離で前記レンズまたはバリアスクリーンを通して前記棒を見ると、視点に依存して、最も適切なピッチを有する1本の棒が、全体に白一色または黒一色の棒として1つの目に映る。全長にわたってそのように目に映る棒がない場合、それに最も近く見える棒のピッチを、第2のテストのベースとして用いることができる。例えば、0.010052のピッチを有する棒が最もそれに近く見える場合、第2のテストには0.0100518、0.0100519、0.0100520、0.0100521、0.0100522、0.0100523(インチ単位)のピッチを有する棒(群)を含めることができる。このテストでも、全体に黒または全体に白に最も近く見える棒が、使用すべき最善のWidsを決定する。
【0065】
(上記に記載した)これらの可変パラメータが定まったら、傾斜されたスクリーンを通して見たときに望ましい効果をもたらすように、各元画像の画像データを正しいフォーマットで前記合成画像に再構成する。わかりやすく図示するために、4つの元画像901〜904と4つのシリンダーレンズ910〜940だけを使ってこの新しい画像データの再配置を図9Eに示したが、実質的にあらゆる任意の数を用いることが可能である。元画像901〜904は、選択されたレンズまたはバリアの角度に対して平行なセクション(A、B、C、D)に分割される。セクション数は、合成画像955を表示するために用いられるレンズ数または透明空間数(バリアを用いる場合)と同等である。前記セクションを、さらにサブセクションに再分割する(元画像と同じ数のサブセクション数)。例えば、元画像1(901)からのセクション1Aからの1サブセクション(1A1)からのデータは、合成画像955において、レンズ1(910)の下の1A1とラベル付けされたサブセクション空間に収められる。合成画像955の解像度が各元画像(901〜904)の解像度と同じであれば、901のセクション1A(および全てのセクション)からのデータの解像度は前記レンズまたはバリアの方向に対して垂直方向に低下する(この場合は4倍低下)。これは、4つの元画像から4つのサブセクション(この例では元画像数と同数)だけ(各元画像から1サブセクション)が合成画像955のサブセクションとして1つのレンズの下に置かれるためである。つまり、サブセクション1A2、1A3、1A4は切り捨てられている。同様に、元画像2(902)からのサブセクション2A2からのデータは、合成画像955において、2A2とラベル付けされたサブセクション空間に収められる。サブセクション2A1、2A3、2A4は切り捨てられる。元画像のその他の各セクションからのサブセクションは、図のように合成画像955に収められる。レンズまたはバリア方向に対して平行な、最低限1列のピクセルを、1サブセクションから使用可能である。本発明の範囲と意図を逸脱することなく、本書に上述した(好ましい)サブセクションではなく、各元画像のセクションからの異なるピクセル1式を選択し、同様の結果を得ることが可能である。あるいは代わりに、本書で上述したように、前記レンズまたはバリアの方向に前記画像データを(複製および/または補間によって)拡大し、各々の方向における合成画像の解像度を乗算すれば(この例では4を掛ける)、全てのデータが使用可能となる。合成画像955に収められる画像データセット(群)の幅は、上述の全てのパラメータを考慮して、上述のように計算される。
【0066】
前記元画像(群)から前記合成画像を構成するための画像データの選択、複製、補間、除去、再配置に関するこの1式の規則によって、1式の画像データから別の1式の画像データへの変換またはマッピングが定まる。このマッピングは、コンピュータまたは光学的方法によって達成可能である。これらの技法は、前記画像ディレクティング装置のレンズまたはバリアについて選択される角度とは無関係に用いることが可能である。
【0067】
コンピュータを用いた場合、このマッピングを迅速且つ効率的に実行可能である。例えば、通常の画像スキャン方法をラスター的に行ごとに用いて、例えば、1回に1元画像をスキャンするといった方法で用いることができる。データは、前記合成画像が構成されるメモリバッファ内に収めることができる。元画像からのデータが時間経過に沿ってラインごとに前記バッファに読み込まれるにつれ、前記バッファにそのピクセル1式を読み込んで前記合成画像に収めることが可能であり、必ずしも前記画像全体を前記バッファに読み込んで前記合成画像に収める必要はない。
【0068】
前記元画像スキャンからのありとあらゆるデータポイントすなわちピクセルを、元画像の各行に沿ったデータの読み込みが行われる間のあらゆる任意の時点において、ソフトウェアまたはハードウェアの割り当てによって前記合成画像におけるそれらのそれぞれの行き先と関連付けることが可能であり、これは、(いったん全ての上述の可変パラメータが決定された後は)その関係が、あらゆる所与の合成画像の作成中に決して変化しないために可能なものである。この方法では、前記元画像のうち1つだけ若しくは最少では1元画像から1度に1行だけが、メモリ内に前記合成画像と共に、ある任意の時点に存在する必要があるため、処理に必要なメモリが減少し、合成画像を作成するプロセスが速まる。あるいは代わりに、同時に全ての画像をメモリ内に存在させることも可能である。前記合成画像がメモリ内に作成された後は、それを、デジタル光学プリンタやインクジェットプリンタにより写真用紙や普通の用紙上に出力するなど、様々な方法で出力可能であり、次にそれを前記画像ディレクティング装置と位置合わせして表示することが可能である。あるいは代わりに、前記レンチキュラーまたはバリアスクリーンの背面に直接に位置合わせして印刷し、表示することも可能である。また、印刷版上に出力して用紙に印刷したものをスクリーンに整合するか、若しくは前記スクリーン自体に印刷することも可能である。また、上述のように、電子的に表示することも可能である。
【0069】
また、本発明に従った正しいフォーマットに、様々な光学的方法のうちの1つの方法により画像データを再マッピングすることも可能である。前記元画像は、任意の方法で作成可能であり、例えば、従来のカメラと従来のフィルムで複数の写真を撮影すること、あるいはマルチレンズカメラを使って撮影することができる。静止画面の3Dデータを捉える一般的方法は、カメラを1つの軌道上に置き、いくつかの異なる角度から写真を撮ることである。マルチレンズカメラを使えば、1度の撮影でこれを達成可能である。前記元画像からのデータを前記最終合成画像に光学的に再マッピングするための好ましい方法は、異なる元画像からのネガティブ画像を使い、反射または透明ポジティブフィルムに投影する方法である。オルソスコピック(整像的)ポジティブ画像を得るために前記ネガティブ画像を水平に反転する必要があることは、当該技術において既知のことである。前記ネガティブ画像を、コンピュータ、若しくはデジタルカメラまたはビデオカメラを使って作成し、フィルムレコーダのような既知の方法で印刷することも可能である。あるいは代わりに、前記ネガティブ画像を、CRT、LCD、プラズマスクリーンにより電子的に表示することも、マイクロミラーまたはLCDプロジェクターのような電子投影機を用いて電子的に表示することも可能である。
【0070】
図10が示すように、ネガティブ画像1000は、レンズ(群)1020によって、順次若しくは同時に、画像媒体1055上のポジティブ乳剤上にスクリーンを通して投影される。順次に投影される場合は、1つの軌道系上に置かれたネガティブ画像源1000と共に1つの投影レンズ1020と光源1010のみを使う必要がある。
【0071】
この設定では、1つのレンズ1020と1つの光源1010を用いて、1時点に1画像1000を画像媒体1055上のポジティブ乳剤上に投影し、前記レンズと光源を前記軌道に沿って、および希望に応じて前記乳剤に沿って、異なる画像1000の露出コマの間を移動させる。同じ画像1000を用いて異なる角度で作成される露出コマの数によって、再生時の各画像の視野角の幅が決まる。
【0072】
わかりやすく図示するために5つの画像のみを示したが、実質的にあらゆる任意の数の画像を用いることができる。レンズ1020、ネガティブ画像1000、前記ネガティブ画像1000を照射する光源1010を、好ましいように、図示したように次第にオフセットすることにより、各ネガティブ画像1000から選択された1つの素子またはオブジェクト(人物または関心対象の品)が画像媒体1055上の最終合成画像に重ね合わされる。こうすることにより、画像媒体1055上の最終合成画像の平面にその画像素子の輪郭をはっきりと映し出す効果が得られると同時に、その場面の他の素子がその画像素子の前面または背後に映し出される(3D画像を作成する場合)。画像媒体1055上に記録された画像データは、画像再生のために処理された後、選択された角度でレンチキュラーまたはバリアスクリーンによって覆われる。露出のためにスクリーンの背後にある画像媒体1055上に乳剤を塗布する代わりに、例えば、前記レンチキュラーまたはバリアスクリーンから最も遠いところにあるハレーション防止層と共に、前記スクリーンの裏面に乳剤を塗布することが可能である。あるいは代わりに、透明のプラスチックベース上に乳剤を塗布することもでき、(前記ベースから最も遠くにある)前記乳剤上にハレーション防止コーティングをすることができる。前記透明プラスチックベースは、前記レンチキュラーまたはバリアスクリーンに隣接して、もしくは密着して置くことができる。前記スクリーンに前記乳剤を密着させることにより、前記スクリーンの素子との位置合わせが維持されたまま、前記乳剤を処理することができる。これは好ましいことである。前記乳剤を別個に処理することも可能だが、その場合は、正しい表示のために前記乳剤を処理した後にスクリーンと再整合する。ネガティブ画像1000からの光が、角度をつけられたレンチキュラーまたはバリアスクリーンを通過すると、前記画像は、前記スクリーンを通した正しい表示のための配置に自動的に再配置される。バリアスクリーンを用いる場合、前記スクリーンは前記画像から間隔を空けて置かれるが、その間隔は、上述したように、目的とする最適な視認距離に依存する。
【0073】
選択された角度(水平軌道上に前記投影レンズが配置されると仮定し、垂直以外の角度)に傾斜されたスクリーンを用いる代わりに、前記スクリーンをその素子が垂直に配向されたまま用い、各ネガティブを前記選択された角度に傾斜することもできる。別の技法は、前記ネガティブを直立状態にして同じ効果をもたらすものであって、前記元画像のための写真を撮影するときに、前記選択された角度にカメラを傾斜する技法である。
【0074】
別の方法では、前記乳剤を覆う傾斜されたレンズまたはバリアを使い、前記レンズまたはバリアに対して垂直になるように前記軌道を傾斜する。続いて、画像1000の垂直軸と前記レンズまたはバリアとが、最終的なレンズまたはバリアの傾斜角と同等の角度を成すように、前記画像1000も傾斜する。
【0075】
これらの技法のいずれかを用い、最終合成画像を回転することにより、前記合成画像は直立状態として現れる。次に、前記レンズまたはバリアを、表示のための望ましい角度に傾斜する。次に、好ましくは、前記合成画像の端を切り落として、その両側部が水平面(例えば床)に対して垂直になり、その上部と底部が床に対して平行になるようにする。
【0076】
レンチキュラーレンズを通して乳剤上に前記データを画像化する代わりに、たとえレンチキュラーレンズを表示に用いる場合であっても、好ましくはバリアスクリーンを通して、前記乳剤と直接接触させるか、あるいは好ましくは、前記乳剤から離して、画像化する方法を採る。こうすれば、記録相においてレンズの使用に起因する収差が除去され、誤った場所に画像情報が記録されないようになる。これにより、より輪郭のはっきりした画像が可能になり、ゴースティングが減少し、3Dでの潜在的な画像の奥行きが増し、個別に視認可能なモーション画像フレームの数が増す。また、この方法は、投影レンズの特徴および露出中の投影レンズと合成画像との間の実距離と無関係に、視野角と最適な視認距離とを決定することを可能にするという利点も有する。
【0077】
前記バリアスクリーンを前記乳剤から離して配置する場合、前記画像を順次または同時に、好ましくは平行な光で記録することが可能であり、この場合、前記バリアスクリーンと前記乳剤の双方が静止しているので、前記乳剤または前記バリアスクリーンの正確で微細な動きは必要ない。前記バリアスクリーンを通して前記画像を記録して処理した後は、前記合成画像をバリアスクリーンまたはレンチキュラーレンズスクリーンを通して表示することができ、前記バリアスクリーンまたはレンチキュラーレンズスクリーンのどちらも、前記乳剤が露出および処理される前または後に前記合成画像に密着可能である。露出の前に前記スクリーンを前記乳剤に密着する場合、使用される画像ディレクティング装置(例えばバリアまたはレンズ)と記録されたセグメントとが整合するように露出を行う。
【0078】
前記乳剤と直接接触するように前記バリアスクリーンを配置する場合は、様々なネガティブ画像を同時に前記合成画像の乳剤上に画像化することはできない。この場合、前記乳剤上に第1のネガティブ画像を画像化した後に、前記乳剤または前記バリアスクリーンを、前記ネガティブ画像が画像間を移動する方向に対して平行に移動させる。3D画像の場合、前記ネガティブ画像が互いに水平に移動することによって、水平に移動する様々な視点が作り出されるため、視聴者の各々の目が1つの異なる画像を見ることになり、前記視聴者は3D体験をする。前記乳剤またはバリアスクリーンは、ある距離だけ移動するが、好ましくは、その距離はそれまで乳剤が露出されていた領域の幅(移動の方向の幅)と同等であり、それにより、連続的画像から記録された画像データのオーバーラップが防がれる。各画像は1つずつ順番に前記合成画像乳剤上に記録される。前記バリアスクリーンの透明線の幅すなわちWclはPbs/NIと同等とし、NIは元画像数であり、バリアスクリーンのピッチ(Pbs)は1つの透明線の始まりからその次の透明線の始まりまでの距離である(レンズを用いる場合は、上述のLpすなわちレンズピッチと同等)。透明線の間の不透明空間(Wop)の幅はWcl*(NI−1)と等しい。NI画像が全て露出された後は、前記合成画像に未露出の空間は残らないが、再生中の画像間のクロストークを減らすために、記録された線の間に故意に空間を残している場合はその限りではなく、それにより3Dの奥行きが増し、モーションが増え、ゴースティングを減らすことができる。記録された画像線の間にそのような空間を導入するには、黒、透明、グレー、カラー、若しくはその他のフレームを、連続するネガティブ画像フレーム間に投影すればよい。加えて、あるいはその代わりに、前記透明空間の幅を故意にPbs/NIより細くすることもできる。
【0079】
ポジティブ乳剤ではなくネガティブ乳剤を用いて前記合成画像を記録する場合は、処理済合成ネガティブを用いて、接触による複写か、引き伸ばし機を使った拡大または縮小複写を作成することによって、数多くの複製ポジティブ合成画像を複製し、それを、適切に拡大または縮小されたバリアまたはレンチキュラースクリーンを用いて表示することができる。
【0080】
バリアまたはレンチキュラーレンズスクリーンを通して表示されるがバリアスクリーンを通して記録されるか若しくは合成ネガティブを複写することによって記録される最終合成画像の作成をさらに簡易化するために、前記バリアまたはレンチキュラースクリーンを前記最終合成画像に整合および位置合わせする必要を取り除くことが可能である。これは、まず未露出の従来の乳剤を、前記バリアまたはレンチキュラースクリーンに、前記スクリーンの最も近くに配置された通常のハレーション防止層と共に付着することによって可能となる。発光ダイオード(LED)またはレーザーのような、乳剤を露出しない赤外線光源を用い、前記バリアまたはレンチキュラーレンズの端に近い部分であり乳剤が塗布されていない部分(したがって光の透過が可能な部分)と、露出に使われるバリアスクリーン(「露出バリア」)の端若しくは前記合成ネガティブ画像にある整合パターンとを整合する。前記露出バリアスクリーンまたは合成ネガティブと前記バリアまたはレンチキュラーレンズスクリーンとの整合パターンは、好ましくは透明線と不透明線が互いに隣接したパターンであり、それら各々の線は、前記レンチキュラースクリーンの1つのシリンダーレンズ素子の幅か、若しくはバリアまたはスクリーンの(上述の)バリア空間の幅の約3分の1から2分の1である。そのような線のうち少なくとも3つは、前記露出バリアが乗っているスペーサーであり前記乳剤若しくは前記合成ネガティブに隣接したスペーサーの表面に、前記露出バリアスクリーン上のバリア若しくは前記合成ネガティブ上のデータ列に対して平行に貼り付けられているか、若しくは記録されているべきである。前記バリアまたはレンチキュラーレンズを通して前記整合パターンを物理的または電子的に見ることによって、前記整合パターンが前記バリアまたはレンズと整合されているかどうかがわかる。次に、例えば、前記露出バリアまたは合成ネガティブを手動または自動的に移動するか回転して、前記バリアまたはレンズと整合することができる。いったんそれらが整合されたら、前記可視光を前記乳剤に照射し(前記バリアまたはレンチキュラーレンズを通過することはない)、露出(照射)される合成画像のパターンと、すでに付着されたバリアまたはレンチキュラーレンズとの位置が合うことを確認できる。次に、位置合わせされた状態ですでに付着されているバリアまたはレンチキュラーレンズを有する前記乳剤を処理することによって、前記バリアまたはレンチキュラーレンズを通して最終表示することができる。
【0081】
レンチキュラーレンズおよびバリアスクリーンが作られるようになって、数十年になる。これまでの前記レンズまたはバリアは、シートとして作られるか連続ロールとして作られるかに関わらず、前記スクリーンの垂直端または水平端に対して全て水平であった。画像データセット内のピクセル列(「データライン」)がゼロまたは90度で記録される画像を表示するにはこの方法でよいが、データラインがその他の角度に配向されている画像では無駄が生じることになる。図11はこのことを図示したものである。画像1100は、本書に記述したような、ゼロまたは90度に配向されていないデータラインで作られた合成画像であって、表示するためには、ゼロまたは90度に配向されていないレンズまたはバリアを有するレンチキュラーレンズまたはバリアスクリーンによってこの合成画像を覆う必要がある。従来のスクリーン1110は、正しい表示のために必要な角度で、それを覆うように配置される。前記画像によって使われない領域1120、1130、1140、1150は切り捨てられるので、各画像について余分な労力を要し、材料を無駄にする。この問題をなくすために、レンチキュラーまたはバリアスクリーンは、前記スクリーンの端に対して必要な角度にあるバリアまたはレンズを使って作られる。
【0082】
バリアスクリーンの場合、これは様々な方法で実行可能である。これら様々な方法は、これまで作成されたことのない新しいタイプのバリアスクリーンを作成するものであって、あらゆる任意の角度に配向されたデータラインを有する合成画像(例えば本特許に記述したような合成画像)と共に使用可能であり、材料の無駄を生じない方法である。まず、「バリア空間」(Pbs)のピッチと、不透明空間の幅(Wop)と、透明空間の幅(Wcl)を、本書に記述したように決定する。上述のように、不透明空間の幅(Wop)に対する透明空間の幅(Wcl)の比率は、典型的に、使用される元画像数に基づき、Wcl=Pbs/NIおよびWop=Wcl*(NI−1)である。しかし、この透明空間対不透明空間の比率では、非常に狭い視点(視点の数はNIに等しい)だけが各々の目に1つの画像を与えることになる。全ての隣接する2つの画像のそれぞれの一部が、ほとんどの視点において前記透明領域を通して常に見えるため、ほとんどの視点はゴースティングを与えるものとなる。Wcl対Wopの比率は、先行技術においては((1/NI)*Pbs)/(((NI−1)/NI)*Pbs)であるが、この比率を下げることにより、1時点に1画像の表示を提供する表示領域が増えるため、ゴースティングが減少し、潜在的奥行きが増し、モーションのブレが減少する。好ましい作成方法は、選択されたスケールパターンを作成することであって、適切な間隔で置かれた黒と白のピクセルの列または行を、Adobe Photoshop(登録商標)のようなグラフィック・プログラムを使って用いることによってそれを行う。次に、前記バリアスクリーンのパターンを、(必要に応じて)前記プログラムを用いて望ましい角度に傾斜する。続いて、前記画像の4つの側部をすべて切り取ることにより、水平(前記コンピュータの画面の端に対して平行である水平)に対して側部が再び平行および垂直となるようにする。次に、1合成画像上に前記パターンを配置するために、前記パターンを透明の基材上に印刷することが可能である。
【0083】
あるいは代わりに、望ましい角度において、(好ましくはコンピュータ制御された)スピンドリルまたはルータービット、スクライブツール、ダイヤモンドチップツール、レーザーカッター、あるいはその他の工具によって、透明な基材(例えばプラスチックのプレート)に溝を作ることも可能である。不透明領域は透明領域より大きいものであるため、好みに応じて前記工具を用いて不透明領域を作り出すことができる。全ての溝が出来上がったら、インクまたは塗料のような不透明物質によって表面を覆うことができる。次に、ドクターブレーディングを用いて、より細く、より高く、溝になっていない領域から前記不透明材料を拭き取ることによって、望ましい角度でバリアグリッドを作成することができる。あるいは代わりに、まず前記透明基材に均一の不透明被膜を施してから同様の方法で溝を作成することによって、選択された線の中が塗膜されないように透明領域を作り出すことも可能である。あるいは代わりに、銅、ベリリウム銅、プラスチックなど柔らかい材料の表面を有するプレートに前記パターンを作り出し、それを使って、ニッケルのような材料でできた硬いマスターモールドを作り、それを使って、プラスチックのような柔らかい材料でできた前記パターンの複製を作ることもできる。別の方法は、平らな表面かドラム上の乳剤に対してレーザービームと走査線を使ってグリッドを作成する方法である。また、別の方法は、干渉計で作り出された干渉パターンに対して乳剤を露出する方法である。ミクロメートル単位の調整によって1若しくはそれ以上の構成要素(前記乳剤および/または1若しくはそれ以上の鏡)を動かすことによって、前記パターンを横方向に(フリンジに対して垂直に)移動して、前記乳剤をどんどん露出していき、非常に細い未露出の線だけが透明領域として残るようにすることができる。前記グリッドを作成するためのさらに別の方法は、図10の配置を用いることであって、図において、1つの透明な画像を除いて全てのネガティブ画像1000は不透明である(あるいはその逆である)。画像媒体1055上の乳剤上のレンチキュラーレンズを、露出のために望ましい配向に配置するか、若しくはそれを、垂直に配向されたレンズで露出し、処理後に必要な角度で切削することが可能である。線が側部に対して望ましい配向にあるグリッドを作成するためにどの方法を使うかに関わらず、乳剤上へのコンタクトプリンティング法によって、いずれにせよ複写を迅速且つ安価に作成することが可能である。
【0084】
レンチキュラーレンズのレンズ(群)が側部に対して望ましい配向にあるレンチキュラーレンズを作成するための好ましい方法は、望ましい湾曲半径で表面が加工および研磨された、ダイヤモンドチップツールのような硬い工具の使用を必要とする。この工具を使って、柔らかい材料のシート上に望ましい配向で、コンピュータ制御下で(上述のバリアスクリーンの作成で説明したように)溝を作り出すことができ、このようにして作られたものを、本書では「ソフトマスター」と呼ぶ。前記シートを平らに置くことができ、前記シートまたは前記工具またはそれら両方を動かして、必要な溝を作り出すことができる。次に、前記ソフトマスターを使って、電気メッキ法により(ニッケルのようなもので)ハードコピーを作ることができる。このハードコピー(「ハードマスター」と呼ぶ)を用いて、同じく電気メッキ法により前記ハードマスターから分離することによって、その他いくつかのハードコピー(「マザー」と呼ぶ)を作ることができる。前記マザーを用い、電気メッキ法と分離によって複写(「ドーター」と呼ぶ)を作ることができる。オリジナルのマスターと同様、前記ドーターには溝があるが、各マザーには溝ではなく突起がある。前記ドーターを用いて、例えば圧縮成形または射出成形、若しくはエンボス加工によって、レンチキュラーレンズを作成することが可能である。
【0085】
マザーとドーターを作る代わりに、ソフトマスターをニッケルやクロームのような硬い材料で被膜したものを使って直接にレンチキュラーレンズを作成することも可能である。そのようなレンズを、最少のコストと最高の速さで大量生産するための好ましい方法は、前記ハードマスターかドーターで周囲を巻いたドラムを利用する。この方法では、1度に1つのレンチキュラースクリーンが生産されるのではなく、レンチキュラー材料の連続ロールが生産される。前記プレートの場合と同様、熱可塑性材料のような変形性材料に対して複写が行われる。
【0086】
この目的のために使用可能な一般的な熱可塑性材料としては、例えば、非晶質ポリエチレン・テレフタレート(APET)、ポリエチレン・テレフタレート・グリコール(PETG)、EasterコポリエステルA150のようなアクリル系ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネートが含まれる。熱と圧力を加え、前記変形性材料をシリンダーレンズの形にして表面に乗せる。好ましくは、マスターまたはドーターで巻かれたドラムを十分な温度に熱し、前記変形性材料が最初に前記ドラムと接触する領域において、前記変形性材料を変形させる。また、好ましくは、前記材料は前記ドラムの回転中も前記ドラムとの接触を維持し、前記ドラムの一部は、例えば前記ドラムを流れる冷たい水によって急冷される。前記材料が冷却され十分に硬化したら、前記材料はそれが前記ドラムと最初に接触する領域の近くに到達し、前記ドラムから引き離され、巻き取りロールによって巻き取られる。
【0087】
同様に、押出成形法によって、レンチキュラー材料の連続ロールを生産することも可能である。押出成形の場合は、準液体材料を、回転中の前記ドラム近くの平らでまっすぐな開口部を有するスロットに押し通すことによって、前記レンズ表面の反対側にある前記材料の側部に、平らで滑らかな表面が作り出される。平らなマスターまたはドーターを作成してドラムの周囲に巻きつける(すなわち継ぎ目を生じることになる方法)よりも、前記ドラム上に直接に前記溝を作ることによって継ぎ目をなくすほうが好ましい。これは、図12を参照するとわかりやすい。ドラム1200には、その側部に対して望ましい角度の溝がある。前記溝は、例えばダイヤモンドチップツールのような刻み用工具1230を矢印1240が示す方向に、前記ドラム軸に対して平行に移動させると同時に、前記ドラムをその軸を中心に矢印1250の方向に回転させることによって作られる。前記ドラムの回転速度および前記工具の移動速度を慎重に調整することにより、前記溝が一定の傾斜で直進し、前記ドラムの端に対して望ましい角度になるように維持する。これらの速度を正しく調節することによって、前記溝を前記ドラムの側部に対して任意の望ましい角度で作ることができる。すなわち、前記ドラムを直進に横切る場合は、前記工具が前記ドラムの1方の端からもう1方の端へ移動する間、前記ドラムが動かないように維持し、次に(前記ドラムから前記工具が離れた状態で)前記工具が次の溝を作るために十分なだけ前記ドラムを回転する(この回転の量によってレンズピッチ(Lp)が決まる)といったことの繰り返しが必要となり、前記ドラムの側部に対して平行にする場合は、前記ドラムが完全に1回転する間、前記工具が動かないように維持し、次に前記工具を前記ドラムから離し、Lpと等しい距離だけ動かした後に次の溝を作るといったことの繰返しが必要となる。あるいは、それらの間のあらゆる任意のレンズの角度で作ることも可能である。
【0088】
例えば、ドラム1200は、ドラムの幅と等しい長さの円周を有するものであるが、この関係は必ずしも必要ではない。この場合、レンズを例えば45度にするには、前記速度を調節することによって前記工具1230を例えば点1210から出発させ、この例の場合はドラムの完全な1回転の後に点1211で止まらせ、前記ドラムの軸に対して平行な点線1220が示すように、点1211を、点1210から前記ドラムを直進に横切った位置に置く。
【0089】
前述の例において、工具は前記ドラムの端と接触して置かれ、前記ドラムが角運動速度Vdで回転するにつれ、前記ドラムを速度Vtで移動して横切る。ある特定の速度において、前記工具の幅すなわち前記レンズレットが有することになる幅に依存し、形成される螺旋状の溝は互いに隣り合った溝から成り、溝と溝との間には実質的に空間がない。この結果、若干傾斜した角度のレンズアレイとなる。Vdに対して前記工具の移動速度Vtを増していくと、その速度は、前記シリンダーに溝をつけたときに溝と溝との間隔が1つの溝の幅と等しい溝を作り出す速度になる。この場合、前記シリンダーの端の最初の溝の間にある前記工具を用いて前記プロセスを再び開始し、前記工具が前記シリンダーの周囲を移動して次の回転による溝へ移動するにつれて、既存の溝と溝との間の溝が埋まるように前記プロセスが繰り返される。第2の刻み工程を行った後、前記シリンダーの表面には、実質的に溝と溝との間に間隔のない溝が再び作られるが、その溝は前よりも急な角度の溝になる。Vdに対してVtの速度を増せば増すほど、溝と溝との間に残される間隔すなわち後にシリンダーに対して行う連続的再刻み工程によって埋められるべき間隔は大きくなるので、前記シリンダーの端に沿って毎回異なる出発点から前記刻み工程を開始して、全ての間隔を溝で埋めることになり、結果的に溝(従ってレンズレット)の角度はどんどん急になる。一定の増分で増すようにVtの増分を選択することによって、溝と溝との間隔が、常に溝の幅によって割り切ることが可能な幅となるようにし、溝と溝とがオーバーラップすることも、溝と溝との間に間隔が残ることもないようにする。
【0090】
かつて行われたことのないこの方法によるレンチキュラーレンズの作成により、作成されたレンチキュラースクリーンの端に対して任意の望ましい角度にあり、且つ無駄を生ずることなく本特許に記述したようなあらゆる合成画像に使用可能なレンズが作成される。
工業用途への適用性
本発明の画像ディスプレイ装置の様々な使用例は上述のとおりであり、動きのある画像またはアニメーション画像またはフリップ画像か、3D場面か、動画またはビデオまたはアニメーションに含まれる異なるフレーム(群)か、製品およびその価格など選ばれた課題に関する異なる画像(群)か、事前・事後の像か、像の作成者が視聴者に見てもらいたいと願うその他の画像(群)を提供することを含む。そのような画像ディスプレイは従来のレンチキュラーまたはバリアシート画像ディスプレイと同様の用途を有するものであって、クレジットカード、製品の像、プロモーション用配信物、ポスター、電子的に表示される画像の魅力を増すものである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、合成画像を例えば3つの元画像から作成する一般的技法を示す略図である。
【図2A】図2Aは、図1のように作成された合成画像のデータを含む画像媒体の前にあるバリアスクリーンを有する画像ディスプレイの透視図である。
【図2B】図2Bは、図2Aの画像ディスプレイの鳥瞰図(平面図)であって、光線と、前記3つの画像の各々を見ることができる視点とを図示する。
【図3A】図3Aは、図1のように作成された合成画像のデータを含む画像媒体の前にある3つのレンチキュールを有するレンチキュラースクリーンを有する画像ディスプレイの分解透視図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの画像ディスプレイの鳥瞰図(平面図)であって、光線と、前記3つの元画像の各々を見ることができる視点とを図示する
【図4】図4は前記先行技術の画像ディスプレイの平面図であって、画像媒体上の合成画像と、5つの表示ゾーンとを示しており、前記表示ゾーンの各々から、異なる元画像を見ることができる。
【図5A】図5Aは、図4の透視図である。
【図5B】図5Bは、図5と同様の透視図であって、前記合成画像のスライスと前記画像ディレクティング装置の素子とが本発明に従って傾斜されており、それに対応してその表示ゾーンが傾斜している。
【図6】図6は図6と同様の透視図であって、本発明の好ましい実施形態を示す。
【図7】図7は、図5Bに描写されている5つの表示ゾーンを通した平面を図示しており、その傾斜角Θは45度以外の角度である。
【図8A】図8Aは、画像ディスプレイの鳥瞰図(平面図)であって、レンチキュラースクリーンは前記画像ディレクティング装置であり、様々な次元と光線が図示されている。
【図8B】図8Bは、縦に配向されたレンチキュールと、視野角835を反映した光線を示す透視図である。
【図8C】図8Cは、本発明に従って傾斜されたレンチキュールの透視図であって、図8Bの光線に全体として対応する光線を、より広い有効視野角である角度836と共に示す。
【図8D】図8Dは、レンチキュールの透視図である。
【図8E】図8Eは、図8Aのものと同様の、本発明の画像ディスプレイの鳥瞰図(平面図)であるが、バリアスクリーンがその画像ディレクティング装置となっている。
【図9A】図9Aから9Dは、各画像スライスおよびそれらスライスからのサブセクションの番号付けの仕方を図示する、4つの元画像各々の立面図である。
【図9B】図9Aから9Dは、各画像スライスおよびそれらスライスからのサブセクションの番号付けの仕方を図示する、4つの元画像各々の立面図である。
【図9C】図9Aから9Dは、各画像スライスおよびそれらスライスからのサブセクションの番号付けの仕方を図示する、4つの元画像各々の立面図である。
【図9D】図9Aから9Dは、各画像スライスおよびそれらスライスからのサブセクションの番号付けの仕方を図示する、4つの元画像各々の立面図である。
【図9E】図9Eは、本発明に従って傾斜されたスライスから成る合成画像の立面図であって、図9Aから9Dの4つの画像各々からの画像データを元に作成したものである。
【図10】図10は、記録のための傾斜されたスライスから成る合成画像を作成する画像媒体1055上に投影された、5つの元画像各々からの画像データ1000を示す透視図である。
【図11】図11は、傾斜された光ディレクティング素子を有する画像ディレクティング装置のシートを、従来のレンチキュラーまたはバリア材料のシートを用い、図のように三角の不要部分を切り取って廃棄することによって作成する方法を示す立面図である。
【図12】図12は、本発明に従って傾斜されたレンチキュラーまたはバリア素子を有するレンチキュラーまたはバリアシートを作成するために使用可能な円筒状マスタードラムに刻み込み線を入れるための装置の透視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像ディスプレイであって、
(a)画面を提供する画像媒体と、
(b)画像ディレクティング装置とを有し、
前記画面は、水平軸および垂直軸を有する合成画像であり2若しくはそれ以上の元画像からの画像データの平行スライスから成る合成画像を表示するものであって、前記平行スライスは前記合成画像の水平軸に対しても垂直軸に対しても平行にならないように傾斜しており、
前記画像ディレクティング装置は、前記合成画像のスライスに対して平行になるように傾斜された素子を有する、画像ディスプレイ。
【請求項2】
画面を提供する画像媒体と画像ディレクティング装置とを有する画像ディスプレイであって、前記画面は、水平軸および垂直軸を有する合成画像であり2若しくはそれ以上の元画像からの画像データの平行スライスから成る合成画像を表示し、前記画像ディレクティング装置は、前記合成画像のスライスに対して平行な素子を有するものであって、
(a)前記合成画像の平行スライスは、前記合成画像の水平軸に対しても垂直軸に対しても平行でないように傾斜している、
(b)画像ディレクティング装置の素子がそれに対応して傾斜している、
これにより、前記ディスプレイは、前記画像表面が傾けられたときに、それが水平方向に傾けられるか垂直方向に傾けられるかに関わらず、望ましい効果を提供することを、
特徴として有する、画像ディスプレイ。
【請求項3】
請求項1または2の画像ディスプレイにおいて、前記画像ディレクティング装置は、複数のレンチキュールを有するレンチキュラースクリーンである。
【請求項4】
請求項3の画像ディスプレイにおいて、前記レンチキュールはシリンダーレンズである。
【請求項5】
請求項3の画像ディスプレイにおいて、前記レンチキュールはプリズムである。
【請求項6】
請求項1または2の画像ディスプレイにおいて、前記画像ディレクティング装置は直線の境界を有する基材を有するバリアスクリーンであって、前記基材は、互いに平行であり前記基材の境界に対しては平行でない開口部を提供するバリアラインのパターンを有するものである。
【請求項7】
請求項1または2の画像ディスプレイにおいて、前記画像ディレクティング装置は直線の境界を有する基材を有するレンチキュラースクリーンを有し、前記基材は、互いに平行であり前記基材の境界に対しては平行でないレンチキュールを形成しているものである。
【請求項8】
画像媒体の画面上に表示することを目的とした合成画像を作成する方法であって、前記画像媒体は画像ディレクティング装置を介して表示されるものであり、
(a)各画像が長方形の境界を有する2若しくはそれ以上の元画像をセクションとサブセクションに分割する工程であって、それにより、前記境界のいずれとも平行ではないスライスを形成するものである、前記分割する工程と、
(b)前記サブセクションからのデータを選択し、前記選択されたデータを、1合成画像のセクションとサブセクションとを形成する配置に再配置する工程とを有し、
前記セクションとサブセクションは、互いに平行だが前記合成画像の境界のいずれとも平行ではないスライスである、方法。
【請求項9】
画像媒体の画面上に表示することを目的とした合成画像を作成する方法であって、前記画像媒体は、床に対して静止した位置および配向で表示されるようになっている画像ディレクティング装置を介して表示されるものであり、
(a)各画像が長方形の境界を有する2若しくはそれ以上の元画像をセクションとサブセクションに分割する工程であって、それにより、前記境界のいずれとも平行ではないスライスを形成するものである、前記分割する工程と、
(b)前記サブセクションからのデータを選択し、前記選択されたデータを、1合成画像のセクションとサブセクションとを形成する配置に再配置する工程とを有し、
前記セクションとサブセクションは、互いに平行だが前記床に対しては平行でも垂直でもないスライスである、方法。
【請求項10】
請求項1または2の画像ディスプレイに用いるのに適した画像ディレクティング装置を作成する方法であって、
(a)硬い表面上にエンボス加工された螺旋状の溝を有するシリンダーを有する形成用工具を提供する工程と、
(b)前記形成用工具を使用して画像ディレクティング装置を形成する工程であって、長方形シートとして、前記シートのいずれの境界とも平行ではない素子を有する画像ディレクティング装置を形成する工程と
を有する方法。
【請求項11】
請求項10の方法において、工程(b)は、
(a)柔らかく成形可能な、望ましい屈折率を有する透明材料の基材を提供する工程と、
(b)前記柔らかく成形可能な基材を前記硬い表面と接触させることによって、前記基材を、前記シートのいずれの境界とも平行ではないレンチキュールのアレイにするものである、前記接触させる工程と
によって実行されるものである。
【請求項12】
請求項10の方法において、工程(b)は、
(a)柔らかく成形可能な不透明(オパーク)材料の基材を提供する工程と、
(b)前記柔らかく成形可能な基材を前記硬い表面と接触させることによって、前記基材に、前記シートのいずれの境界とも平行ではない平行線形スリットのアレイを形成する工程と
によって実行されるものである。
【請求項13】
請求項1または2の画像ディスプレイに用いる合成画像を作成する方法であって、
a.前記画像ディレクティング装置の素子の傾斜角を選択する工程と、
b.使用する元画像数を選択する工程と、
c.前記合成画像のサイズを選択する工程と、
d.前記画像ディレクティング装置で用いられる素子の数を選択することによって、それら素子のピッチを決定する工程と、
e.前記画像ディレクティング装置の基材材料を選択する工程と、
f.最適な視認距離を選択する工程と、
g.前記画像ディレクティング装置の厚さを選択する工程と、
h.前記画像ディレクティング装置の視野角を選択する工程と、
i.画像データセットの幅を決定する工程と、
j.前述の工程において決定され選択されたパラメータを利用して予め定められたレイアウトとマッピング配置に従って、2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを平行な行または列に再配置する工程であって、コンピュータおよび光学的手段のうち少なくとも1つを利用することによって、前記合成画像の縦横比を保持するための手段を使用することを含むものである、前記再配置する工程と
を有する方法。
【請求項14】
パラメータを選択することによって作成された請求項1または2の画像ディスプレイであって、前記画像ディスプレイが水平軸または垂直軸を中心に傾けられたときに、視聴者は実質的に同一の望ましい効果を感知するものである。
【請求項15】
画像とパラメータを選択することによって作成された請求項1または2の画像ディスプレイであって、前記画像ディスプレイが水平軸または垂直軸を中心に傾けられたときに、視聴者は水平視差のある3D画像を見るものである。
【請求項16】
画像とパラメータを選択することによって作成された請求項1または2の画像ディスプレイであって、前記画像ディスプレイが水平軸または垂直軸を中心に傾けられたときに、視聴者は動きのある画像またはアニメーションまたはフリップを見るものである。
【請求項17】
画像とパラメータを選択することによって作成された請求項1または2の画像ディスプレイであって、前記画像ディスプレイが水平軸または垂直軸を中心に傾けられたときに、視聴者は動きのある3D画像か、アニメーション3D画像か、フリップ3D画像かを見るものである。
【請求項18】
請求項8の方法において、前記縦横比は、画像データを切り捨てずに、各元画像に関連するデータからの(データ)補間によりピクセルを生成することによって保持されるものである。
【請求項19】
選択されたパラメータを有する請求項1または2の画像ディスプレイであって、前記選択により、前記ディスプレイは、
(a)3D、モーション、およびフリップから成る群から選択される望ましい効果を生み出し、
(b)望ましくない不連続性、収差、または前記画像ディレクティング装置の個別素子の感知を増すことなしに、少なくとも65度の視野角を提供する、
ものである、画像ディスプレイ。
【請求項20】
請求項8の方法を実行するための、コンピュータを用いた手段であって、前記合成画像および1つの元画像のみが常にメモリバッファにあるものである。
【請求項21】
請求項8の方法を実行するための、コンピュータを用いた手段であって、前記コンポジット画像、および1つの元画像の全データライン未満のデータラインのみが常にメモリバッファにあるものである。
請求項20
請求項1または2の画像ディスプレイにおいて、前記画像媒体は電子ディスプレイである。
請求項21
請求項20の画像ディスプレイにおいて、前記電子ディスプレイは陰極線管(ブラウン管)、液晶ディスプレイ、プラズマ・スクリーン・ディスプレイ、または投影ディスプレイである。
【請求項22】
画面を提供する画像媒体を有する画像ディスプレイを介したディスプレイに適した合成画像と、画像ディレクティング装置とを生成する方法であって、前記画面は、水平軸および垂直軸を有する合成画像であり2若しくはそれ以上の元画像からの画像データの平行スライスから成る合成画像を示し、前記画像ディレクティング装置は前記合成画像のスライスと平行な素子を有し、光学的手段によって2若しくはそれ以上の元画像からの画像データをリマッピングして合成画像にする工程を有する、方法。
【請求項23】
請求項22の方法において、前記元画像を前記合成画像上にオーバーラップすることによって、各元画像の1つの選択された特徴を、前記合成画像において互いに合致させるものである。
【請求項24】
請求項22の方法において、バリアスクリーンとレンチキュラースクリーンのうちの少なくとも1つの背面に乳剤(エマルジョン)が塗布され、そのハレーション防止層は前記スクリーンおよびアレイのうちの前記1つから最も遠い層であって、前記アレイおよびスクリーンのうちの前記1つを通して前記乳剤を露出しているものである。
【請求項25】
請求項22の方法において、バリアスクリーンとレンチキュラーレンズアレイのうちの少なくとも1つの背面に乳剤が塗布され、そのハレーション防止層は前記スクリーンおよびアレイのうちの前記1つから最も近い層であって、前記アレイおよびスクリーンのうちの前記1つを通してではなく、前記乳剤を直接に露出しているものである。
【請求項26】
請求項22の方法において、投影される前記画像は、前記合成画像を表示するために使われるレンチキュラーレンズアレイおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つの傾斜角に相当する選択角度に傾斜されるものである。
【請求項27】
請求項22の方法において、前記元画像は、前記合成画像を表示するために使われるレンチキュラーレンズアレイおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つの傾斜角に相当する角度で生成されるものである。
【請求項28】
請求項22の方法において、前記画像は、前記乳剤に取り付けられたレンチキュラーレンズアレイと位置合わせされた乳剤上に、バリアスクリーンを通して投影されるものである。
【請求項29】
請求項22の方法において、前記合成画像は、前記乳剤に取り付けられた画像ディレクティング装置と位置合わせされた乳剤上に、密着印画によって複写されるものである。
【請求項30】
請求項22の方法において、前記バリアスクリーンは、幅(Wcl)がPbs/NI未満である透明空間を有するものである。
【請求項31】
レンチキュラーレンズスクリーンおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つを製作する方法であって、溝を有する平らなプレートからの複製により製作する方法であって、前記溝は前記プレートの側部に対して平行ではないものである。
【請求項32】
請求項1の画像ディスプレイにおいて、前記画像ディレクティング装置は、非晶質ポリエチレン・テレフタレート、ポリエチレン・テレフタレート・グリコール、アクリル系ポリエステル、ポリ塩化ビニル、およびポリカーボネートから成る群から選択される熱可塑性材料の基材を有するものである。
【請求項33】
請求項1または2の画像ディスプレイに用いるバリアスクリーンを作成する方法であって、
a.選択されたスケールパターンを作成する工程であって、グラフィック・プログラムで、適切に間隔を空けて配置された白と黒のピクセルの列または行を用いることにより、選択されたスケールパターンを作成する工程と、
b.前記プログラムを用いて前記バリアスクリーンのパターンを望ましい角度に傾斜する工程と、
c.前記画像の4つの側部をすべて切り取る工程であって、水平すなわち前記コンピュータ画面の端に対して平行である水平軸に対して側部が再び平行および垂直となるようにするものである、前記切り取る工程と、
d.合成画像上に配置するために、前記パターンを透明の基材上に印刷する工程と
を有する方法。
【請求項34】
請求項1または2の画像ディレクティング装置に用いるバリアスクリーンを作成する方法であって、
a.望ましい角度で、熱可塑性材料の透明の基材に溝を作成する工程であって、コンピュータ制御されたスピンドリル、ルータービット、スクライブツール、およびダイヤモンドチップツールから成る群から選択される工具を用いて前記溝を作成する工程と、
b.前記バリアスクリーンの不透明領域はその透明領域より大きいため、工具を用いて前記不透明領域を作成する工程と、
c.次に、その表面を覆うために不透明材料を適用する工程と、
d.より細く、より高く、溝になっていない領域から前記不透明材料を取り除くことによって、望ましい角度に傾斜された開口部を有するバリアグリッドを作成する工程と
を有する方法。
【請求項35】
請求項1または2の画像ディスプレイに用いるのに適したバリアスクリーンを作成する方法であって、
a.透明の熱可塑性基材を不透明コーティングで被膜する工程と、
b.望ましい位置で、前記被膜された基材に溝を作成する工程であって、コンピュータ制御されたスピンドリル、ルータービット、スクライブツール、ダイヤモンドチップツールから成る群から選択される工具を用いて前記溝を作る工程と
を有する方法。
【請求項36】
請求項1または2の画像ディスプレイに用いるのに適したバリアスクリーンを作成する方法であって、
a.望ましいパターンを、工具を用いて柔らかい材料のプレートに刻み込む工程と、
b.柔らかい材料で作られた前記パターンを用いて硬いマスターモールドを作成する工程と、
c.前記パターンの複写を柔らかい不透明材料で形作る工程と
を有する方法。
【請求項37】
請求項1または2の画像ディスプレイに用いるのに適したバリアスクリーンを作成する方法において、平らな表面若しくはドラム上に配置された乳剤上に線を走査するためにレーザービームを用いて前記バリアグリッドを作成するものである。
【請求項38】
請求項1の1つの画像ディレクティング装置であるバリアスクリーンを作成する方法において、干渉計により作成された干渉パターンに乳剤を露出する。ミクロメートル単位の調整を用いることにより、1若しくはそれ以上の構成要素(前記乳剤および/または1若しくはそれ以上の鏡)を動かすことによって、前記パターンを横方向に(フリンジに対して垂直に)正確に移動して、前記乳剤をどんどん露出していき、非常に細い未露出の線だけが透明領域として残るようにすることができるものである。
【請求項39】
請求項1の1つの画像ディレクティング装置であるレンチキュラーレンズを作成するための好ましい方法において、前記レンズはその側部に対して望ましい配向にある。表面が望ましい湾曲半径で加工および研磨された、ダイヤモンドチップツールのような硬い工具が必要とされる。このツールを使って、銅、ベリリウム銅、プラスチックのような柔らかい材料のシートに前記望ましい配向で、コンピュータ制御下で溝を作ることができ、これを本書では「ソフトマスター」と呼ぶ。前記シートを平らに置くことができ、前記シート、前記ツール、またはそれら両方を動かして、必要な溝を作ることができる。前記ソフトマスターを使って、電気メッキ法により(ニッケルのようなもので)ハードコピーを作る。このハードコピー(「ハードマスター」と呼ぶ)を用いて、同じく電気メッキ法により前記ハードマスターから分離することによって、その他いくつかのハードコピー(「マザー」と呼ぶ)を作ることができる。前記マザーを用い、電気メッキ法と分離によって複写(「ドーター」と呼ぶ)を作る。オリジナルのマスターと同様、前記ドーターには溝があるが、各マザーには溝ではなく突起がある。前記ドーターを用いて、例えば圧縮成形または射出成形、若しくはエンボス加工によって、レンチキュラーレンズを作成することが可能である。
【請求項40】
請求項1の1つの画像ディレクティング装置であるレンチキュラーレンズを作成する方法において、請求項38のソフトマスターを、ニッケルまたはクロームのような硬い材料で被膜し、レンチキュラーレンズを作成するために直接に用いるものである。
【請求項41】
請求項1の1つの画像ディレクティング装置であるレンチキュラーレンズを大量生産するための方法は、前記ハードマスターかドーターで周囲を巻いたドラムを利用する。この方法では、請求項31の熱可塑性材料のような変形性材料で作られたレンチキュラー材料の連続ロールが生産可能であり、
それにより、最少のコストと最高の速さでレンチキュラーレンズを生産するものである。
【請求項42】
2若しくはそれ以上の元画像から、画像ディスプレイ装置のための合成画像を生成するための方法であって、補間によってそれを行う方法である。上述のように、最終合成画像の高さは、この合成画像を生成するために使用される元画像の関数である。最初の3つの画像については、前記合成画像は3倍に拡大される。そのような補間は、Adobe Photoshop(登録商標)のような画像処理ソフトウェアによって、「画像サイズ(image size)」機能を使用して最隣接抽出(nearest−neighbor sampling)というオプションを用いて便利に行われるものである。
【請求項43】
2若しくはそれ以上の元画像から、画像ディスプレイ装置のための合成画像を生成するための方法であって、補間によってそれを行う方法である。上述のように、最終合成画像の高さは、前記合成画像を生成するために使用される元画像の関数である。最初の3つの画像については、前記合成画像は3倍に拡大される。そのような補間は、Adobe Photoshop(登録商標)のような画像処理ソフトウェアによって、「画像サイズ」機能を使用して双線形抽出(bilinear sampling)というオプションを用いて便利に行われるものである。
【請求項44】
2若しくはそれ以上の元画像から、画像ディスプレイ装置のための合成画像を生成するための方法であって、双三次補間によってそれを行う方法である。上述のように、最終合成画像の高さは、前記合成画像を生成するために使用される元画像の関数である。最初の3つの画像については、前記合成画像は3倍に拡大される。そのような補間は、Adobe Photoshop(登録商標)のような画像処理ソフトウェアによって、「画像サイズ」機能を使用して双三次補間(bicubic interpolation)というオプションを用いて便利に行われるものである。
【請求項45】
直線の境界を有する基材を有するレンチキュラースクリーンを有する画像ディレクティング装置であって、前記基材は、互いに平行であり前記基材の境界に対しては平行でないレンチキュールとして形成されるものである。
【請求項46】
直線の境界を有する基材を有するバリアスクリーンを有する画像ディレクティング装置であって、前記基材は、互いに平行であり前記基材の境界に対しては平行でない線形開口部を有するものである。
【請求項1】
画像ディスプレイであって、
(a)画面を提供する画像媒体と、
(b)画像ディレクティング装置とを有し、
前記画面は、水平軸および垂直軸を有する合成画像であり2若しくはそれ以上の元画像からの画像データの平行スライスから成る合成画像を表示するものであって、前記平行スライスは前記合成画像の水平軸に対しても垂直軸に対しても平行にならないように傾斜しており、
前記画像ディレクティング装置は、前記合成画像のスライスに対して平行になるように傾斜された素子を有する、画像ディスプレイ。
【請求項2】
画面を提供する画像媒体と画像ディレクティング装置とを有する画像ディスプレイであって、前記画面は、水平軸および垂直軸を有する合成画像であり2若しくはそれ以上の元画像からの画像データの平行スライスから成る合成画像を表示し、前記画像ディレクティング装置は、前記合成画像のスライスに対して平行な素子を有するものであって、
(a)前記合成画像の平行スライスは、前記合成画像の水平軸に対しても垂直軸に対しても平行でないように傾斜している、
(b)画像ディレクティング装置の素子がそれに対応して傾斜している、
これにより、前記ディスプレイは、前記画像表面が傾けられたときに、それが水平方向に傾けられるか垂直方向に傾けられるかに関わらず、望ましい効果を提供することを、
特徴として有する、画像ディスプレイ。
【請求項3】
請求項1または2の画像ディスプレイにおいて、前記画像ディレクティング装置は、複数のレンチキュールを有するレンチキュラースクリーンである。
【請求項4】
請求項3の画像ディスプレイにおいて、前記レンチキュールはシリンダーレンズである。
【請求項5】
請求項3の画像ディスプレイにおいて、前記レンチキュールはプリズムである。
【請求項6】
請求項1または2の画像ディスプレイにおいて、前記画像ディレクティング装置は直線の境界を有する基材を有するバリアスクリーンであって、前記基材は、互いに平行であり前記基材の境界に対しては平行でない開口部を提供するバリアラインのパターンを有するものである。
【請求項7】
請求項1または2の画像ディスプレイにおいて、前記画像ディレクティング装置は直線の境界を有する基材を有するレンチキュラースクリーンを有し、前記基材は、互いに平行であり前記基材の境界に対しては平行でないレンチキュールを形成しているものである。
【請求項8】
画像媒体の画面上に表示することを目的とした合成画像を作成する方法であって、前記画像媒体は画像ディレクティング装置を介して表示されるものであり、
(a)各画像が長方形の境界を有する2若しくはそれ以上の元画像をセクションとサブセクションに分割する工程であって、それにより、前記境界のいずれとも平行ではないスライスを形成するものである、前記分割する工程と、
(b)前記サブセクションからのデータを選択し、前記選択されたデータを、1合成画像のセクションとサブセクションとを形成する配置に再配置する工程とを有し、
前記セクションとサブセクションは、互いに平行だが前記合成画像の境界のいずれとも平行ではないスライスである、方法。
【請求項9】
画像媒体の画面上に表示することを目的とした合成画像を作成する方法であって、前記画像媒体は、床に対して静止した位置および配向で表示されるようになっている画像ディレクティング装置を介して表示されるものであり、
(a)各画像が長方形の境界を有する2若しくはそれ以上の元画像をセクションとサブセクションに分割する工程であって、それにより、前記境界のいずれとも平行ではないスライスを形成するものである、前記分割する工程と、
(b)前記サブセクションからのデータを選択し、前記選択されたデータを、1合成画像のセクションとサブセクションとを形成する配置に再配置する工程とを有し、
前記セクションとサブセクションは、互いに平行だが前記床に対しては平行でも垂直でもないスライスである、方法。
【請求項10】
請求項1または2の画像ディスプレイに用いるのに適した画像ディレクティング装置を作成する方法であって、
(a)硬い表面上にエンボス加工された螺旋状の溝を有するシリンダーを有する形成用工具を提供する工程と、
(b)前記形成用工具を使用して画像ディレクティング装置を形成する工程であって、長方形シートとして、前記シートのいずれの境界とも平行ではない素子を有する画像ディレクティング装置を形成する工程と
を有する方法。
【請求項11】
請求項10の方法において、工程(b)は、
(a)柔らかく成形可能な、望ましい屈折率を有する透明材料の基材を提供する工程と、
(b)前記柔らかく成形可能な基材を前記硬い表面と接触させることによって、前記基材を、前記シートのいずれの境界とも平行ではないレンチキュールのアレイにするものである、前記接触させる工程と
によって実行されるものである。
【請求項12】
請求項10の方法において、工程(b)は、
(a)柔らかく成形可能な不透明(オパーク)材料の基材を提供する工程と、
(b)前記柔らかく成形可能な基材を前記硬い表面と接触させることによって、前記基材に、前記シートのいずれの境界とも平行ではない平行線形スリットのアレイを形成する工程と
によって実行されるものである。
【請求項13】
請求項1または2の画像ディスプレイに用いる合成画像を作成する方法であって、
a.前記画像ディレクティング装置の素子の傾斜角を選択する工程と、
b.使用する元画像数を選択する工程と、
c.前記合成画像のサイズを選択する工程と、
d.前記画像ディレクティング装置で用いられる素子の数を選択することによって、それら素子のピッチを決定する工程と、
e.前記画像ディレクティング装置の基材材料を選択する工程と、
f.最適な視認距離を選択する工程と、
g.前記画像ディレクティング装置の厚さを選択する工程と、
h.前記画像ディレクティング装置の視野角を選択する工程と、
i.画像データセットの幅を決定する工程と、
j.前述の工程において決定され選択されたパラメータを利用して予め定められたレイアウトとマッピング配置に従って、2若しくはそれ以上の元画像からの画像データを平行な行または列に再配置する工程であって、コンピュータおよび光学的手段のうち少なくとも1つを利用することによって、前記合成画像の縦横比を保持するための手段を使用することを含むものである、前記再配置する工程と
を有する方法。
【請求項14】
パラメータを選択することによって作成された請求項1または2の画像ディスプレイであって、前記画像ディスプレイが水平軸または垂直軸を中心に傾けられたときに、視聴者は実質的に同一の望ましい効果を感知するものである。
【請求項15】
画像とパラメータを選択することによって作成された請求項1または2の画像ディスプレイであって、前記画像ディスプレイが水平軸または垂直軸を中心に傾けられたときに、視聴者は水平視差のある3D画像を見るものである。
【請求項16】
画像とパラメータを選択することによって作成された請求項1または2の画像ディスプレイであって、前記画像ディスプレイが水平軸または垂直軸を中心に傾けられたときに、視聴者は動きのある画像またはアニメーションまたはフリップを見るものである。
【請求項17】
画像とパラメータを選択することによって作成された請求項1または2の画像ディスプレイであって、前記画像ディスプレイが水平軸または垂直軸を中心に傾けられたときに、視聴者は動きのある3D画像か、アニメーション3D画像か、フリップ3D画像かを見るものである。
【請求項18】
請求項8の方法において、前記縦横比は、画像データを切り捨てずに、各元画像に関連するデータからの(データ)補間によりピクセルを生成することによって保持されるものである。
【請求項19】
選択されたパラメータを有する請求項1または2の画像ディスプレイであって、前記選択により、前記ディスプレイは、
(a)3D、モーション、およびフリップから成る群から選択される望ましい効果を生み出し、
(b)望ましくない不連続性、収差、または前記画像ディレクティング装置の個別素子の感知を増すことなしに、少なくとも65度の視野角を提供する、
ものである、画像ディスプレイ。
【請求項20】
請求項8の方法を実行するための、コンピュータを用いた手段であって、前記合成画像および1つの元画像のみが常にメモリバッファにあるものである。
【請求項21】
請求項8の方法を実行するための、コンピュータを用いた手段であって、前記コンポジット画像、および1つの元画像の全データライン未満のデータラインのみが常にメモリバッファにあるものである。
請求項20
請求項1または2の画像ディスプレイにおいて、前記画像媒体は電子ディスプレイである。
請求項21
請求項20の画像ディスプレイにおいて、前記電子ディスプレイは陰極線管(ブラウン管)、液晶ディスプレイ、プラズマ・スクリーン・ディスプレイ、または投影ディスプレイである。
【請求項22】
画面を提供する画像媒体を有する画像ディスプレイを介したディスプレイに適した合成画像と、画像ディレクティング装置とを生成する方法であって、前記画面は、水平軸および垂直軸を有する合成画像であり2若しくはそれ以上の元画像からの画像データの平行スライスから成る合成画像を示し、前記画像ディレクティング装置は前記合成画像のスライスと平行な素子を有し、光学的手段によって2若しくはそれ以上の元画像からの画像データをリマッピングして合成画像にする工程を有する、方法。
【請求項23】
請求項22の方法において、前記元画像を前記合成画像上にオーバーラップすることによって、各元画像の1つの選択された特徴を、前記合成画像において互いに合致させるものである。
【請求項24】
請求項22の方法において、バリアスクリーンとレンチキュラースクリーンのうちの少なくとも1つの背面に乳剤(エマルジョン)が塗布され、そのハレーション防止層は前記スクリーンおよびアレイのうちの前記1つから最も遠い層であって、前記アレイおよびスクリーンのうちの前記1つを通して前記乳剤を露出しているものである。
【請求項25】
請求項22の方法において、バリアスクリーンとレンチキュラーレンズアレイのうちの少なくとも1つの背面に乳剤が塗布され、そのハレーション防止層は前記スクリーンおよびアレイのうちの前記1つから最も近い層であって、前記アレイおよびスクリーンのうちの前記1つを通してではなく、前記乳剤を直接に露出しているものである。
【請求項26】
請求項22の方法において、投影される前記画像は、前記合成画像を表示するために使われるレンチキュラーレンズアレイおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つの傾斜角に相当する選択角度に傾斜されるものである。
【請求項27】
請求項22の方法において、前記元画像は、前記合成画像を表示するために使われるレンチキュラーレンズアレイおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つの傾斜角に相当する角度で生成されるものである。
【請求項28】
請求項22の方法において、前記画像は、前記乳剤に取り付けられたレンチキュラーレンズアレイと位置合わせされた乳剤上に、バリアスクリーンを通して投影されるものである。
【請求項29】
請求項22の方法において、前記合成画像は、前記乳剤に取り付けられた画像ディレクティング装置と位置合わせされた乳剤上に、密着印画によって複写されるものである。
【請求項30】
請求項22の方法において、前記バリアスクリーンは、幅(Wcl)がPbs/NI未満である透明空間を有するものである。
【請求項31】
レンチキュラーレンズスクリーンおよびバリアスクリーンのうちの少なくとも1つを製作する方法であって、溝を有する平らなプレートからの複製により製作する方法であって、前記溝は前記プレートの側部に対して平行ではないものである。
【請求項32】
請求項1の画像ディスプレイにおいて、前記画像ディレクティング装置は、非晶質ポリエチレン・テレフタレート、ポリエチレン・テレフタレート・グリコール、アクリル系ポリエステル、ポリ塩化ビニル、およびポリカーボネートから成る群から選択される熱可塑性材料の基材を有するものである。
【請求項33】
請求項1または2の画像ディスプレイに用いるバリアスクリーンを作成する方法であって、
a.選択されたスケールパターンを作成する工程であって、グラフィック・プログラムで、適切に間隔を空けて配置された白と黒のピクセルの列または行を用いることにより、選択されたスケールパターンを作成する工程と、
b.前記プログラムを用いて前記バリアスクリーンのパターンを望ましい角度に傾斜する工程と、
c.前記画像の4つの側部をすべて切り取る工程であって、水平すなわち前記コンピュータ画面の端に対して平行である水平軸に対して側部が再び平行および垂直となるようにするものである、前記切り取る工程と、
d.合成画像上に配置するために、前記パターンを透明の基材上に印刷する工程と
を有する方法。
【請求項34】
請求項1または2の画像ディレクティング装置に用いるバリアスクリーンを作成する方法であって、
a.望ましい角度で、熱可塑性材料の透明の基材に溝を作成する工程であって、コンピュータ制御されたスピンドリル、ルータービット、スクライブツール、およびダイヤモンドチップツールから成る群から選択される工具を用いて前記溝を作成する工程と、
b.前記バリアスクリーンの不透明領域はその透明領域より大きいため、工具を用いて前記不透明領域を作成する工程と、
c.次に、その表面を覆うために不透明材料を適用する工程と、
d.より細く、より高く、溝になっていない領域から前記不透明材料を取り除くことによって、望ましい角度に傾斜された開口部を有するバリアグリッドを作成する工程と
を有する方法。
【請求項35】
請求項1または2の画像ディスプレイに用いるのに適したバリアスクリーンを作成する方法であって、
a.透明の熱可塑性基材を不透明コーティングで被膜する工程と、
b.望ましい位置で、前記被膜された基材に溝を作成する工程であって、コンピュータ制御されたスピンドリル、ルータービット、スクライブツール、ダイヤモンドチップツールから成る群から選択される工具を用いて前記溝を作る工程と
を有する方法。
【請求項36】
請求項1または2の画像ディスプレイに用いるのに適したバリアスクリーンを作成する方法であって、
a.望ましいパターンを、工具を用いて柔らかい材料のプレートに刻み込む工程と、
b.柔らかい材料で作られた前記パターンを用いて硬いマスターモールドを作成する工程と、
c.前記パターンの複写を柔らかい不透明材料で形作る工程と
を有する方法。
【請求項37】
請求項1または2の画像ディスプレイに用いるのに適したバリアスクリーンを作成する方法において、平らな表面若しくはドラム上に配置された乳剤上に線を走査するためにレーザービームを用いて前記バリアグリッドを作成するものである。
【請求項38】
請求項1の1つの画像ディレクティング装置であるバリアスクリーンを作成する方法において、干渉計により作成された干渉パターンに乳剤を露出する。ミクロメートル単位の調整を用いることにより、1若しくはそれ以上の構成要素(前記乳剤および/または1若しくはそれ以上の鏡)を動かすことによって、前記パターンを横方向に(フリンジに対して垂直に)正確に移動して、前記乳剤をどんどん露出していき、非常に細い未露出の線だけが透明領域として残るようにすることができるものである。
【請求項39】
請求項1の1つの画像ディレクティング装置であるレンチキュラーレンズを作成するための好ましい方法において、前記レンズはその側部に対して望ましい配向にある。表面が望ましい湾曲半径で加工および研磨された、ダイヤモンドチップツールのような硬い工具が必要とされる。このツールを使って、銅、ベリリウム銅、プラスチックのような柔らかい材料のシートに前記望ましい配向で、コンピュータ制御下で溝を作ることができ、これを本書では「ソフトマスター」と呼ぶ。前記シートを平らに置くことができ、前記シート、前記ツール、またはそれら両方を動かして、必要な溝を作ることができる。前記ソフトマスターを使って、電気メッキ法により(ニッケルのようなもので)ハードコピーを作る。このハードコピー(「ハードマスター」と呼ぶ)を用いて、同じく電気メッキ法により前記ハードマスターから分離することによって、その他いくつかのハードコピー(「マザー」と呼ぶ)を作ることができる。前記マザーを用い、電気メッキ法と分離によって複写(「ドーター」と呼ぶ)を作る。オリジナルのマスターと同様、前記ドーターには溝があるが、各マザーには溝ではなく突起がある。前記ドーターを用いて、例えば圧縮成形または射出成形、若しくはエンボス加工によって、レンチキュラーレンズを作成することが可能である。
【請求項40】
請求項1の1つの画像ディレクティング装置であるレンチキュラーレンズを作成する方法において、請求項38のソフトマスターを、ニッケルまたはクロームのような硬い材料で被膜し、レンチキュラーレンズを作成するために直接に用いるものである。
【請求項41】
請求項1の1つの画像ディレクティング装置であるレンチキュラーレンズを大量生産するための方法は、前記ハードマスターかドーターで周囲を巻いたドラムを利用する。この方法では、請求項31の熱可塑性材料のような変形性材料で作られたレンチキュラー材料の連続ロールが生産可能であり、
それにより、最少のコストと最高の速さでレンチキュラーレンズを生産するものである。
【請求項42】
2若しくはそれ以上の元画像から、画像ディスプレイ装置のための合成画像を生成するための方法であって、補間によってそれを行う方法である。上述のように、最終合成画像の高さは、この合成画像を生成するために使用される元画像の関数である。最初の3つの画像については、前記合成画像は3倍に拡大される。そのような補間は、Adobe Photoshop(登録商標)のような画像処理ソフトウェアによって、「画像サイズ(image size)」機能を使用して最隣接抽出(nearest−neighbor sampling)というオプションを用いて便利に行われるものである。
【請求項43】
2若しくはそれ以上の元画像から、画像ディスプレイ装置のための合成画像を生成するための方法であって、補間によってそれを行う方法である。上述のように、最終合成画像の高さは、前記合成画像を生成するために使用される元画像の関数である。最初の3つの画像については、前記合成画像は3倍に拡大される。そのような補間は、Adobe Photoshop(登録商標)のような画像処理ソフトウェアによって、「画像サイズ」機能を使用して双線形抽出(bilinear sampling)というオプションを用いて便利に行われるものである。
【請求項44】
2若しくはそれ以上の元画像から、画像ディスプレイ装置のための合成画像を生成するための方法であって、双三次補間によってそれを行う方法である。上述のように、最終合成画像の高さは、前記合成画像を生成するために使用される元画像の関数である。最初の3つの画像については、前記合成画像は3倍に拡大される。そのような補間は、Adobe Photoshop(登録商標)のような画像処理ソフトウェアによって、「画像サイズ」機能を使用して双三次補間(bicubic interpolation)というオプションを用いて便利に行われるものである。
【請求項45】
直線の境界を有する基材を有するレンチキュラースクリーンを有する画像ディレクティング装置であって、前記基材は、互いに平行であり前記基材の境界に対しては平行でないレンチキュールとして形成されるものである。
【請求項46】
直線の境界を有する基材を有するバリアスクリーンを有する画像ディレクティング装置であって、前記基材は、互いに平行であり前記基材の境界に対しては平行でない線形開口部を有するものである。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−508573(P2007−508573A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528257(P2006−528257)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/031493
【国際公開番号】WO2005/031687
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(506095962)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/031493
【国際公開番号】WO2005/031687
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(506095962)
【Fターム(参考)】
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