説明

共振器及びそれを有するデバイス

【課題】 基本周期を形成する層数が少なく、完全フォトニックバンドギャップを呈する周波数帯域が広い3次元フォトニック結晶を用いた、単一モード動作する共振器及びそれを有するデバイスを得ること。
【解決手段】 3次元フォトニック結晶中に周期欠陥部を有する共振器であって、該3次元フォトニック結晶は、屈折率周期構造を含む複数の層を周期的に積層した周期構造部を有し、複数の層は所定の周期構造より成る第1〜第4の層が積層された4つの層を有し、該周期欠陥部は該第2の層または該第4の層内に形成される柱状構造が有する軸上且つ該第2の層または該第4の層に配置される柱状構造であること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元的な屈折率周期構造を有する3次元フォトニック結晶を用いた共振器及びそれを有するデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、波長以下の大きさの構造物によって電磁波の透過・反射特性などを制御することができるという概念は、Yablonovitchによって提唱されている(非特許文献1)。この非特許文献1によると、波長以下の構造を周期的に配列することによって電磁波の透過・反射特性などを制御することができる。
【0003】
ここで電磁波の波長を光の波長オーダーにまで小さく(短く)すると、光の透過・反射特性を制御することができる。このような構造物はフォトニック結晶として知られており、ある波長域において、光損失が無損失の100%の反射率を有する反射ミラーを実現できることが示唆されている。
【0004】
このように、ある波長域で反射率を100%にすることができる概念は、従来の半導体が持つエネルギーギャップとの比較から、フォトニックバンドギャップと言われている。
【0005】
また、波長以下の大きさの構造物を3次元的な微細周期構造にすることによって、あらゆる方向から入射した光に対してフォトニックバンドギャップを実現することができる。以下、これを「完全フォトニックバンドギャップ」と呼ぶ。
【0006】
完全フォトニックバンドギャップの実現可能な3次元フォトニック結晶としては図22(a)〜(f)に示すようないくつかの構造が挙げられる。
【0007】
図22(a)〜(f)はそれぞれ順に、ダイヤモンドオパール構造、ウッドパイル構造、らせん構造、独自な3次元周期構造、3次元周期構造の反転構造(インバース構造)、ダイヤモンドウッドパイル構造である。 フォトニック結晶の一部に欠陥部を導入することで共振器が実現可能であることは既に知られている。フォトニック結晶を用いた共振器は光を強く閉じ込めることが可能である。このため、適切な光取り出し手段を設けることによりフォトニック結晶を用いた共振器を光源として使用することができる。
【0008】
フォトニック結晶を光源として用いると、光機能素子を小型化することができる。これまでにも2次元フォトニック結晶を共振器として用いたことが知られている(特許文献1)。
【0009】
3次元フォトニック結晶中の一部に周期欠陥部を配置した一例として、ウッドパイル構造に点状欠陥を導入したものが知られている(特許文献2)。
【0010】
特許文献2によると、3次元フォトニック結晶中に周期欠陥部を配置しただけでは複数の共振モードが存在する状態となる。しかしながら、周期欠陥部の位置の平行移動と周期欠陥部の形状による共振モードの周波数変化を制御することで単一モード動作する共振器が実現できることを開示している。
【非特許文献1】Physical Review Letters、Vol.58、pp.2059、1987年
【特許文献1】特開2001−272555号公報
【特許文献2】特開2004−006567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
2次元フォトニック結晶は3次元フォトニック結晶と比較して製造が容易であるという利点がある。しかしながら、完全フォトニックバンドギャップによる3次元的な光閉じ込めができないという課題がある。そのため3次元フォトニック結晶を用いた共振器が求められている。
【0012】
共振器をレーザ素子に用いる場合には、モードホップなど、近接した共振周波数を有する共振モードの影響が回避できるように、所望の共振周波数と近接する共振モードの共振周波数との間隔を大きくする必要がある。そのため、単一モードの動作が求められている。
【0013】
ここで単一モードとは、1つの周波数の光に対して、1つの波数ベクトルを有する状態
で導波可能なモードのことを指す。
【0014】
特許文献2では、ウッドパイル構造が有する完全フォトニックバンドギャップを呈する周波数帯域が狭い。このために、共振モードの波長制御範囲が狭く、また完全フォトニックバンドギャップを呈する周波数帯域の閉じ込め効果が低いとの課題があった。
【0015】
また、積層型の3次元フォトニック結晶の作製には、結晶成長・電子ビーム露光・エッチング等の半導体加工技術やナノインプリントが用いられている。これらの技術を用いて各層内の構造を順次形成し、積層型の構造を形成しているため、積層数が増えると作製に必要な工数が増えてくる。そのため3次元フォトニック結晶はなるべく少ない層数で基本周期を形成する構造が望ましい。
【0016】
本発明は、基本周期を形成する層数が少なく、完全フォトニックバンドギャップを呈する周波数帯域が広い3次元フォトニック結晶を用いた、単一モード動作する共振器及びそれを有するデバイスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の共振器は、3次元フォトニック結晶中に周期欠陥部を有する共振器であって、
該3次元フォトニック結晶は、
屈折率周期構造を含む複数の層を周期的に積層した周期構造部を有し、
該層面内方向の第1の軸に沿って周期a、該層面内方向であって該第1の軸と直交する第2の軸に沿って周期bを有する第1長方格子の各格子点と、該第1長方格子を該第1の軸に沿ってa/2且つ該第2の軸に沿ってb/4ずらした位置に形成される第2長方格子の各格子点に、第2の媒質より成る孔を有し、該孔以外の領域を第1の媒質で満たした周期構造より成る第1の層と、該第1長方格子を該第2の軸方向に沿って+3b/8ずらした位置に形成され、該第1の軸に沿って該周期a、該第2の軸に沿って該周期bを有する面心長方格子の各格子点に、第3の媒質からなり積層方向に軸を有する柱状構造と、該柱状構造以外の領域を前記第2の媒質で満たした周期構造より成る第2の層と、前記第1の層に含まれる周期構造が、層面内方向において該第1の層に対して該第1の軸に沿ってa/2且つ該第2の軸に沿ってb/2ずらした位置に形成される周期構造より成る第3の層と、前記第2の層に含まれる周期構造が、層面内方向において該第2の層と同じ位置に形成される周期構造より成る第4の層を有し、該第1の層、該第2の層、該第3の層、該第4の層の順に積層した構成を有している。
【0018】
そして、
◎該周期欠陥部は
該第2の層または該第4の層内に形成される柱状構造が有する軸上且つ該第2の層または該第4の層に配置される柱状構造であることを特徴としている。
【0019】
◎該第1の層又は該第3の層の該第1長方格子と該第2長方格子との交点に配置される柱状構造であることを特徴としている。
【0020】
◎該周期欠陥部は、
該第2の層または該第4の層内に形成される柱状構造が有する軸上且つ該第1の層又は該第3の層に配置される柱状構造であることを特徴としている。
【0021】
この他、本発明の共振器は、3次元フォトニック結晶中に周期欠陥部を有する共振器であって、
該3次元フォトニック結晶は、屈折率周期構造を含む複数の層を周期的に積層した周期構造部を有し、該層面内方向の第1の軸に沿って周期a、該層面内方向であって該第1の軸と直交する第2の軸に沿って周期bを有する第1長方格子の各格子点と、該第1長方格子を該第1の軸に沿ってa/2且つ該第2の軸に沿ってb/4ずらした位置に形成される第2長方格子の各格子点に、第2の媒質より成る孔を有し、該孔以外の領域を第1の媒質で満たした周期構造より成る第1の層と、層面内方向において、前記第1長方格子及び前記第2長方格子の各格子点と、前記第1長方格子を前記第1の軸に沿ってa/2且つ前記第2の軸に沿ってb/2ずらした位置に形成される第3長方格子の格子点と、前記第2長方格子を前記第1の軸に沿ってa/2且つ前記第2の軸に沿ってb/2ずらした位置に配置した第4長方格子の格子点に、前記第2の媒質より成る孔を有し、該孔以外の領域を前記第3の媒質で満たし、該第1長方格子の格子点に配置した該孔と該第2長方格子の格子点に配置した該孔は互いに交差せず、且つ該第3長方格子の格子点に配置した該孔と該第4長方格子の格子点に配置した該孔は互いに交差しない周期構造より成る第2の層と、前記第1の層に含まれる周期構造が、層面内方向において該第1の層に対して該第1の軸に沿ってa/2且つ該第2の軸に沿ってb/2ずらした位置に形成される周期構造より成る第3の層と、前記第2の層に含まれる周期構造が、層面内方向において該第2の層と同じ位置に形成される周期構造より成る第4の層を有し、該第1の層、該第2の層、該第3の層、該第4の層の順に積層してなる3次元フォトニック結晶であって、
該周期欠陥部は
該第2の層または該第4の層内の該第1長方格子または該第3長方格子の格子点を該第2の軸に沿って+3b/8ずらした位置、または該第2長方格子または該第4長方格子の格子点を該第2の軸に沿って−3b/8ずらした位置且つ該第2の層または該第4の層に配置される柱状構造であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、基本周期を形成する層数が少なく、完全フォトニックバンドギャップを呈する周波数帯域が広い3次元フォトニック結晶を用いた、単一モード動作する共振器及びそれを有するデバイスが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の実施例を各図とともに示す。
【実施例1】
【0024】
図1は本発明の実施例1の3次元フォトニック結晶中に周期欠陥部を配置した共振器の概略図であって、x軸とy軸とz軸は互いに直交するものとする。
実施例1の共振器10は、周期構造部100とその内部に形成された周期欠陥部(点状欠陥部)150とを有している。周期構造部100は、以下に示すような屈折率周期構造を含む複数の層を周期的に積層することにより構成されており、xy平面を含む第1の層110から第4の層140の4層を基本周期として構成されている。
【0025】
図2(a)〜(d)は図1の各層のxy断面図の一部の概略図である。第2(a)は第1の層210のXY断面概略図である。図2(a)において、211はx軸方向に周期a、y軸方向に周期bを有する第1長方格子である。
【0026】
第1長方格子211の格子点に半径R1を有し且つ第2の媒質N2(屈折率N2)で満たされたXY断面形状が円形である円孔212が配置されている。
【0027】
また、213は、第1長方格子211に対して第1長方格子211と同じ形状でx軸方向にa/2且つy軸方向にb/4ずれた位置に配置された第2長方格子である。第2長方格子213の格子点に半径R1を有し且つ第2の媒質N2で満たされた円孔214が配置されている。さらに、第1の層210内の円孔212、214以外の領域は第1の媒質N1(屈折率N1)で満たされている。ここでN2<N1である。
【0028】
図2(c)は第3の層230のxy断面概略図である。図2(c)において、231は第1の層210内の第1長方格子211に対して、第1長方格子211と同形状でx軸方向にa/2且つy軸方向にb/2ずれた位置に配置された第3長方格子である。第3長方格子231の格子点に半径R1を有し且つ第2の媒質N2で満たされた円孔232が配置されている。
【0029】
また、233は第1の層210内の第2長方格子213に対して、第2長方格子213と同形状でx軸方向にa/2且つy軸方向にb/2ずれた位置に配置された第4長方格子である。第4長方格子233の格子点に半径R1を有し且つ第2の媒質N2(屈折率N2)で満たされた円孔234が配置されている。さらに、第3の層230内の円孔232、234以外の領域は第1の媒質N1(屈折率N1)で満たされている。
【0030】
図2(b)は第2の層220のxy断面概略図である。図2(b)において、221、223は、第1の層210内の第1長方格子211及び第2長方格子213と同一の位置に配置された第21、第22長方格子である。第21長方格子221及び第22長方格子223の格子点に半径R2を有し且つ第2の媒質N2で満たされた円孔222及び円孔224が配置されている。
【0031】
また、第2の層220において、225、227は第3の層230内の第3長方格子231及び第4長方格子233と同一の位置に配置された第23、第24長方格子である。第23長方格子225及び第24長方格子227の格子点に半径R2を有し且つ第2の媒質N2で満たされた円孔226及び円孔228が配置されている。さらに、第2の層内の円孔222、224、226、228以外の領域は、第3の媒質N3(屈折率N3)で満たされている。前述の位置に円孔を配置することで、第21長方格子221がy軸方向に+3b/8ずれた位置に形成され、x軸方向に周期a、y軸方向に周期bを有する面心長方格子の格子点に第3の媒質N3から成る柱状構造150aが配置される。
【0032】
つまり、第2の層220は、面心長方格子の格子点に第3の媒質N3からなる柱状構造150aが配置されており、柱状構造以外の領域は第2の媒質N2で満たされている。
【0033】
図2(d)は第4の層240のxy断面概略図である。図2(d)において第4の層240は、第2の層220内に配置された円孔222、224、226、228と同一の位置に同一媒質且つ同一形状の円孔242、244、246、248を有する。
【0034】
また、第4の層240内の円孔242、244、246、248以外の領域は、第3の媒質N3(高屈折率N3)で満たされている。
【0035】
以上のように周期構造部100を構成することで、完全フォトニックバンドギャップを呈する周波数帯域が広い3次元フォトニック結晶を、基本周期が4層と少ない層数で構成している。
【0036】
本実施例中では、各媒質の屈折率N1〜N3、各層内に配置される円孔半径R1、R2、周期、各層の厚さとして表1に示した値としている。表1の各値は周期aで規格化している。この時、平面波展開法によりフォトニックバンド構造を解析した結果を図3に示す。図3において、横軸は、波数ベクトルすなわちフォトニック結晶に入射する電磁波の入射方向を表している。図3において、例えばK点はz軸に平行な波数ベクトル、X軸はxy平面内において、z軸(あるいはx軸)に対して45°の傾きを持った波数ベクトルを表している。一方、縦軸は格子周期で規格化した周波数(規格化周波数)を示している。図3中のハッチングで示した規格化周波数0.380から0.478の領域においては、光の入射方向によらず光が存在できず、完全フォトニックバンドギャップが形成されている。例えば、周期aが0.5μmであるとすると、1.05μmから1.32μmの波長域で、周期aが0.2μmとすると、0.418μmから0.526μmの波長域で完全フォトニックバンドギャップが形成される。
【0037】
図4は周期欠陥部150の説明図である。
【0038】
周期欠陥部150は図2(b)の第2の層220に配置される柱状構造150aの軸上(Z方向)且つ第2の層220に配置している。図5は、図4に示すように周期欠陥部150のxy断面図である。
【0039】
図5中にて、周期欠陥部150の位置を分かりやすくするために、周期欠陥部150を形成しない場合の柱状構造150aを点線で示した。図4に示すように周期欠陥部150は、第3の媒質N3で、厚さdz、幅dx、dyの直方体形状をしている。
【0040】
このように周期欠陥部150を形成することで周期構造部100が持つフォトニックバンドギャップ内の周波数帯域の一部の周波数帯域の電磁波に対して、欠陥部のみ電磁波が存在できる状態にしている。
【0041】
これによって、非常に小さい領域に電磁波を閉じ込め、かつ光の閉じ込め効果の高い高性能な共振器を構成している。
【0042】
以降、周期欠陥部150を導入することによりフォトニックバンドギャップ内に存在が許される電磁波を欠陥モードと呼ぶ。そして、その周波数は欠陥モード周波数、周期欠陥により形成される共振器内部の電磁波のエネルギー分布を欠陥モードパターンと呼ぶ。
【0043】
図6と図7に、図1に示した共振器10において、周期欠陥部150の欠陥形状の各パラメータに対して、欠陥モード周波数がどのように変化するかについてFDTD法(時間領域差分法)を用いて計算した結果を示す。
【0044】
図6はdx=0.60×a、dz=0.25×aとして、dyの大きさに対する欠陥モード周波数の関係を示したものである。また、図7はdy=0.70×a、dz=0.25×aとして、dxに対する欠陥モード周波数の関係を示したものである。
【0045】
計算を行った周期欠陥部150は、x方向およびy方向の重心座標が図2(b)内に配置される柱状構造150aの軸上に配置され、z方向の重心座標は第2の層の中心位置に配置されている。図6および図7のハッチングで示した周波数領域は完全フォトニックバンドギャップの外の周波数域を示す。
【0046】
欠陥形状の各パラメータを変化させた場合、欠陥形状に対する欠陥モード周波数の変化が各パラメータによる異なる。この変化の違いにより、隣接する欠陥モード周波数の影響を低減するために欠陥モード周波数間隔を大きく設定し、かつ所望の周波数に欠陥モードを設定することが可能となる。
【0047】
例えば、図4と図5に示すとおり、周期欠陥部150の形状をdx=0.60×a、dy=0.60×a、dz=0.25×aとすることにより、フォトニックバンドギャップ内に存在する欠陥モードを1つだけにすることが可能となる。周期構造部100を、x方向に9周期、y方向に9周期、z方向に4周期設け、その中心部に周期欠陥部150を配置したときの欠陥モードのスペクトルを図8に示す。
【0048】
図8において縦方向の点線は、完全フォトニックバンドギャップのバンドギャップ端周波数を示す。図8から実施例中の共振器が単一モードを実現していることがわかる。
【0049】
図9に周期欠陥部150を、第2の層内に配置される柱状構造150aの軸に対して、第2の軸方向(y方向)にb/8だけ平行移動した位置に配置した場合の第2の層のxy断面図を示す。
【0050】
このように周期欠陥部150を配置した場合に、欠陥形状の各パラメータに対して、欠陥モード周波数がどのように変化するかについてFDTD法(時間領域差分法)を用いて計算した結果を図10と図11に示す。
【0051】
図11はdx=0.60×a、dz=0.25×aとして、dyの大きさに対する欠陥モード周波数の関係を示したものである。また、図11はdy=0.70×a、dz=0.25×aとして、dxに対する欠陥モード周波数の関係を示したものである。図10と図11において、ハッチングで示した領域は完全フォトニックバンドギャップの外の周波数域を示す。欠陥形状の各パラメータを変化させた場合、各欠陥モードパターンの形状が類似していることにより、欠陥形状に対する各欠陥モード周波数の変化がほぼ同程度となる。そのため図9の位置に周期欠陥部150を配置した場合には単一モード化が困難となる。
【0052】
フォトニック結晶を用いた共振器では、共振器内部に形成される欠陥モードパターンはフォトニック結晶の対称性を反映した形状となる。
【0053】
フォトニック結晶の対称性が高い位置に周期欠陥部を配置した場合には、欠陥モードも対称性の高いモードとなる。
【0054】
同じ対称性を有する欠陥モードは縮退し、また異なる対称性を有する欠陥モードは、それぞれ異なる欠陥モードプロファイルを有する。
【0055】
このため、欠陥形状の各パラメータに対する変化量に大きな差異がある。フォトニック結晶の対称性が低い位置に周期欠陥部を配置した場合には、完全フォトニックバンドギャップ内に存在する複数の欠陥モードパターンはそれぞれ類似した形状となるが縮退はしない。そのため、周期欠陥部形状の各パラメータの変化に対する、各欠陥モード周波数の変化がほぼ同程度となってしまう。以上から、フォトニック結晶を用いた単一モード動作する共振器を得るためには、フォトニック結晶の対称性が高い位置に周期欠陥部を配置することが求められる。
【0056】
ここで、周期欠陥部を柱状構造の積層方向の軸上に配置した。実際の作製を考慮すると、周期欠陥部の第1方向の位置が例えば±0.1×a程度の誤差を有する場合があるが、このような誤差は本発明の効果に影響を与えるものではない。
【0057】
このように、所望の欠陥モード周波数を含む周波数帯域で完全フォトニックバンドギャップを有するように、周期構造部の第1、第2、第3の媒質の屈折率、各層内に配置される円孔半径R1、R2、各層の厚さなどを最適化し、周期欠陥部の形状を最適化する。これにより、所望の欠陥モード周波数を、所望の欠陥モード周波数間隔で実現することができ、光閉じ込め効果の高い高性能な共振器を構成することができる。
【0058】
以上の実施例において、第2の層および第4の層内の柱状構造を形成するために、円孔を用いたが、柱状構造として積層方向に軸を有する六角柱等の多角柱を用いても良い。図2(e)に示すように円孔222と円孔224及び円孔226と円孔228が交差しなくてもよい。この場合でも周期構造部の対称性は保たれるため、周期構造部の形状パラメータおよび周期欠陥部の形状パラメータを最適化することで、所望の欠陥モード周波数を所望の欠陥モード周波数間隔で実現することができる。
【0059】
しかし、柱状構造として多角柱を用いた場合、完全フォトニックバンドギャップを呈する周波数帯域が10%程度狭くなる。
【0060】
また円孔222と円孔224及び円孔226と円孔228が交差しない場合は完全フォトニックバンドギャップを呈する周波数帯域が35%程度狭くなる。そのため完全フォトニックバンドギャップ中の光の存在確率が上昇し、光閉じ込め効果が弱くなる。それでもなおファブリペロー型共振器やVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)などと比べて強い光閉じ込め効果を有した共振器を実現することができる。
【0061】
尚、図2(e)は第2の層220の変形例を示している。図2(e)では、層面内方向において、第1長方格子211及び第2長方格子213の各格子点に第2の媒質N2より成る孔222、224を配置している。
【0062】
更に、第1長方格子211を第1の軸(x軸)に沿ってa/2且つ第2の軸(y軸)に沿ってb/2ずらした位置に形成される第3長方格子231の格子点に第2の媒質N2より成る孔226、228を配置している。
【0063】
更に第2長方格子213を第1の軸に沿ってa/2且つ第2の軸に沿ってb/2ずらした位置に配置した第4長方格子233の格子点に、第2の媒質N2より成る孔226、228を配置している。
【0064】
そして孔以外の領域を第3の媒質N3で満たしている。第1長方格子211の格子点に配置した孔212と第2長方格子213の格子点に配置した孔214は互いに交差しない。且つ第3長方格子231の格子点に配置した孔226と第4長方格子233の格子点に配置した孔228は互いに交差しない周期構造より成っている。
【0065】
尚、図2(e)では図2(b)と対応させるために、
第1長方格子211を第21長方格子221、
第2長方格子213を第22長方格子223、
第3長方格子231を第23長方格子225、
第4長方格子233を第24長方格子227、
として示している。
【0066】
このとき第4の層は第2の層に含まれる周期構造が、層面内方向において第2の層と同じ位置に形成される周期構造より成っている。
【0067】
そして周期欠陥部は第2の層または第4の層内の第1長方格子または第3長方格子の格子点を第2の軸に沿って+3b/8ずらした位置に配置される柱状構造である。または第2長方格子または第4長方格子の格子点を該第2の軸に沿って−3b/8ずらした位置且つ第2の層または第4の層に配置される柱状構造である。
【0068】
【表1】

【0069】
以下では、実施例1の周期構造部100内にて、実施例1とは異なる位置に周期欠陥部100を配置した例について説明する。
【実施例2】
【0070】
図12は、本発明の実施例2の共振器の一部分の周期欠陥部付近の要部拡大図である。図12に示すように、周期欠陥部150を第1の層210の第1長方格子211と第2長方格子213の交点且つ第1の層210に配置した。周期欠陥部150は第1の媒質N1で形成され、厚さdz、幅dx、dyの直方体形状をしている。
【0071】
図12のxy断面図を図13に示す。図13中にて、周期欠陥部150の位置を分かりやすくする為に第2の層220及び第4の層240を点線で示した。周期構造部100は実施例1と同様であり、周期構造部100の形状および屈折率は表1の値を用いた。
【0072】
本実施例では、図12と図13において、周期欠陥部150の形状をdx=0.60×a、dy=0.60×a、dz=0.25×aとすることにより、フォトニックバンドギャップ内に存在する欠陥モードを1つだけにすることが可能となる。周期構造部100を、x方向に9周期、y方向に9周期、z方向に4周期設け、その中心部に周期欠陥部150を配置したときの欠陥モードのスペクトルを図14に示す。図14において縦方向の点線は、完全フォトニックバンドギャップのバンドギャップ端周波数を示す。図14から本実施例中の共振器が単一モード動作を実現していることがわかる。
【0073】
ここで、周期欠陥部150の位置を第1長方格子211と第2長方格子213の交点に配置した。実際の作製を考慮すると、周期欠陥部150の位置が例えば±0.1×a程度の誤差を有する場合があるが、このような誤差は本発明の効果に影響を与えるものではない。
【実施例3】
【0074】
図15は本発明の実施例3の共振器の一部分の周期欠陥部付近の要部拡大図である。図15に示すように、周期欠陥部150を第2の層220内の柱状構造が有する軸上且つ第1の層210内に配置した。周期欠陥部150は第1の媒質N1で、厚さdz、幅dx、dyの直方体形状をしている。図15のxy断面図を図16に示す。図16中にて、周期欠陥部150の位置を分かりやすくする為に第2の層220及び第4の層240を点線で示した。
【0075】
このように周期欠陥部150を形成することでも、周期構造部100が持つフォトニックバンドギャップ内の周波数帯域の一部の周波数帯域の電磁波に対して、周期欠陥部150のみ電磁波が存在できる状態にすることができる。これにより非常に小さい領域に電磁波を閉じ込め、かつ閉じ込め効果の高い高性能な共振器を構成することができる。
【0076】
例えば、図15と図16において、周期欠陥部150の形状をdx=0.70×a、dy=0.40×a、dz=0.25×aとすることにより、フォトニックバンドギャップ内に存在する欠陥モードをひとつだけにすることが可能となる。
【0077】
周期構造部100を、x方向に9周期、y方向に9周期、z方向に4周期設け、その中心部に周期欠陥部150を配置したときの欠陥モードのスペクトルを図17に示す。図17において縦方向の点線は、完全フォトニックバンドギャップのバンドギャップ端周波数を示す。
【0078】
図17に示すように、本実施例中の共振器が単一モード動作を実現可能でしていることがわかる。
【0079】
ここで、周期欠陥部150の位置を、第2の層220内に配置された柱状構造の軸上に配置した。実際の作製を考慮すると、周期欠陥部150の位置が例えば±0.1×a程度の誤差を有する場合があるが、このような誤差は本発明の効果に影響を与えるものではない。
【0080】
以下の各実施例では、周期構造部、および周期欠陥部を構成する媒質の屈折率が実施例1とは異なる場合の好適な例をについて説明する。
【実施例4】
【0081】
本発明の実施例4の基本構成は図1〜図5と略同じである。又、周期構造部100に形成される円孔の位置は実施例1中に記載の周期構造と同一である。実施例4は実施例1に比べて、主に周期構造部100を構成する各層の媒質が異なっている。
【0082】
実施例4の周期構造部100を形成する各パラメータは表2に示す。表2中の値は周期aで規格化して示してある。この時、平面波展開法によりフォトニックバンド構造を解析すると、規格化周波数0.453から0.497の周波数帯域において、完全フォトニックバンド構造が形成されている。
【0083】
周期欠陥部150を図2(b)内に配置される柱状構造の積層方向の軸上且つ第2の層内に配置した。周期欠陥部150近傍の要部拡大図は、図4と、xy断面図は図5と同様である。周期欠陥部150は、第3の媒質N3で、厚さdz、幅dx、dyの直方体形状をしている。
【0084】
例えば、図4と図5に示すとおり、周期欠陥部150の形状をdx=1.40×a、dy=1.00×a、dz=0.20×aとすることにより、フォトニックバンドギャップ内に存在する欠陥モードを1つだけにすることが可能となる。
【0085】
周期構造部100を、x方向に9周期、y方向に9周期、z方向に4周期設け、その中心部に周期欠陥部150を配置したときの欠陥モードのスペクトルを図18に示す。
【0086】
図18において、縦方向の点線は完全フォトニックバンドギャップのバンドギャップ端周波数を示す。
【0087】
図18に示したように、周期構造部100および周期欠陥部150を形成する媒質の屈折率N1からN3を表2のように選んだ場合でも、周期構造部100の対称性を考慮した位置に周期欠陥部150を配置することで単一モードを実現している。
【0088】
このように、本実施例の効果は周期構造部100および周期欠陥部150を形成する媒質の屈折率が変化しても失われるものではない。
【0089】
ここで、周期欠陥部150の位置を第2層220の柱状構造の軸上に配置した。実際の作製を考慮すると、周期欠陥部150の位置が例えば±0.1×a程度の誤差を有する場合があるが、このような誤差は本実施例の効果に影響を与えるものではない。
【0090】
また、本実施例中では第1の媒質の屈折率N1と第3の媒質の屈折率N3は同じ媒質としたが、例えばN1=2.4、N3=3.3としてもよい。
【0091】
この場合、本実施例中の周期構造と比較して完全フォトニックバンドギャップを呈する周波数帯域が30%程度広くなる。そのため、光の閉じ込め効果が大きく、かつ単一モード動作する共振器を形成することができる。しかし、各層を順次形成して3次元フォトニック結晶を作製する場合には、第1の媒質で形成された層上に第3の媒質で形成された層を成膜、もしくは融着する必要がある。
【0092】
格子定数の異なる媒質上に成膜、または表面状態の異なる媒質同士の融着は高度な技術が必要となるため、第1の媒質と第3の媒質は同じ媒質の方が望ましい。
【0093】
【表2】

【0094】
以下の各実施例では、実施例1に記載の3次元フォトニック結晶を用いた共振器において、周期欠陥部150を構成する媒質と周期構造部100を構成する媒質の屈折率が異なる場合について説明する。
【実施例5】
【0095】
本発明の実施例5では周期欠陥部150を図2(b)に配置される第2の層220の柱状構造の積層方向の軸上かつ第2の層内に配置した。周期欠陥部150近傍の要部拡大図は図4と、図4のxy断面図は図5と同様である。
【0096】
周期欠陥部150は、厚さdz、幅dx、dyの直方体形状をしている。周期構造100を形成する各パラメータを表1のように選び、周期欠陥部150の屈折率を3.5とした。
【0097】
例えば、図4と図5に示すとおり、周期欠陥部150の形状をdx=0.60×a、dy=0.50×a、dz=0.25×aとすることにより、フォトニックバンドギャップ内に存在する欠陥モードを1つだけにすることが可能となる。周期構造部100を、x方向に9周期、y方向に9周期、z方向に4周期設け、その中心部に周期欠陥部150を配置したときの欠陥モードのスペクトルを図19に示す。図19において縦方向の点線は、完全フォトニックバンドギャップのバンドギャップ端周波数を示す。図19に示すように、周期欠陥部150の屈折率を3.5とした場合にも実施例中の共振器が単一モードを実現していることがわかる。
【0098】
ここで、周期欠陥部150の位置を柱状構造の軸上に配置した。実際の作製を考慮すると、周期欠陥部150の位置が例えば±0.1×a程度の誤差を有する場合があるが、このような誤差は本実施例の効果に影響を与えるものではない。
【0099】
以上に示すように、本実施例の効果は周期構造部と周期欠陥部の屈折率が異なるものであっても失われるものではない。
【実施例6】
【0100】
次に本発明の共振器を用いたデバイスとしての光機能素子の実施例6を示す。本実施例では、実施例1から実施例5に示した3次元フォトニック結晶内部の周期欠陥部(点状欠陥部)に発光作用を有する活性媒質を充填する。
【0101】
そして、この活性媒質に対して外部から電磁波や電流などでエネルギーを供給し、活性媒質を励起することにより、非常に効率の高いレーザやLEDなどの発光素子(デバイス)を実現している。周期欠陥部に充填される活性媒質は所望の発振波長により、例えばInGaAsPやAlGaAs、AlGaInP、AlGaN、InGaN、ZnSe、ZnS系の多重量子井戸構造、多重量子ドット構造や有機材料などから選択することができる。
【0102】
これにより、ディスプレイ用光源、光通信用光源、THz光源、DVDなどの光ピックアップ用光源に好適な高効率レーザ光源を実現している。
【0103】
図20は、キャリア注入により発光する活性部を周期欠陥部に形成したレーザ素子の構成例である。
【0104】
レーザ素子2000は、周期構造部2010中に実施例1から実施例5に示した1つの周期欠陥部2020を設けることにより形成される共振器を用いている。レーザ素子2000は、p型電極2030、p型キャリア伝導路2040、n型電極2050、n型キャリア伝導路2060、導波路2070を有している。
【0105】
共振器2020内部にはキャリア注入により発光作用を呈する活性部が形成されている。導波路2070は、周期構造部2010中に周期を乱す欠陥部を設けることにより形成される欠陥導波路である。導波路2070の導波モードは、共振器2020の共振モードを考慮し、共振器2020との結合効率が高くなるように、欠陥部の形状や屈折率を最適化することにより決定される。
【0106】
欠陥部は、周期構造部2010中の柱状構造の形状や屈折率など変える、新たに柱状構造を加えるなどして形成される。p型電極2030、p型キャリア伝導路2040を介して、共振器2020に正孔が供給される。
【0107】
又、n型電極2050、n型キャリア伝導路2060を介して、共振器2020に電子が供給され、共振器内部で結合して発光、レーザ発振し、導波路2070を介して外部に取り出される。
【0108】
また、実施例1から実施例5に示した3次元フォトニック結晶内部の周期欠陥部(点状欠陥部)に非線形媒質を充填する。そして、この非線形媒質に対して外部から電磁波や電流などでエネルギーを供給することにより、非常に狭い領域に強いエネルギーの光を閉じ込めることができる。これから、非常に強い非線形光学効果を得られる非線形光学素子を構成することができる。
【0109】
非線形媒質としては、LiNbO3、LiTaO3、BaTiO3、ZnO、BaB2O4、BiB3O6、KTiOPO4などを用いる。
【0110】
図21は非線形光学効果を用いたデバイスとしての波長変換素子の構成例である。
【0111】
波長変換素子2100は、周期構造部2110中に実施例1から実施例5に示した周期欠陥部2120を設けることにより形成される共振器、入力用導波路2130、出力用導波路2140から構成される。共振器内部2120には非線形媒質が充填されている。
【0112】
入力用導波路2130および出力用導波路2140は、周期構造部2110中に周期を乱す欠陥部を設けることにより形成される欠陥導波路である。その導波波長は、欠陥部の形状や屈折率などにより決定される。
【0113】
外部よりレンズやファイバで入力用導波路2130に導光された光は、共振器内部で2次以上の高次高調波に変換され、出力用導波路2140を介して外部に取り出される。入力用導波路2130の導波波長域は、入力光の波長を含み、変換後の光の波長を含まないように設定し、出力用導波路2140の導波波長域は、変換後の光の波長を含み、入力光の波長を含まないように設定する。
【0114】
これにより効率よく、波長変換および光の取り出しができる。また、入力光として、複数の波長を用い、和周波や差周波などの高調波以外の非線形効果を利用して変換光を出力させても良い。
【0115】
また、実施例1から実施例5に示した3次元フォトニック結晶共振器10で波長選択フィルタを構成することにより、欠陥モードに対応した周波数の光を非常に高い選択性で取り出すことができる。
【0116】
さらに、これらの光機能素子を組み合わせることにより高機能光回路を実現することができる。また周期構造部を同一形状として共有することにより、さらに超小型高機能光回路を実現することができる。
【0117】
以上のように、各実施例によれば、3次元フォトニック結晶に点状欠陥を導入して共振器として機能させる際、欠陥モードパターンの対称性を保ったまま、所望の欠陥モード周波数を所望の欠陥モード周波数間隔で実現することができる。この結果、光閉じ込め効果の高い高性能な共振器を構成することができる。
【0118】
この他各実施例では、基本周期を形成する層数が少ないにもかかわらず、広い完全フォトニックバンドギャップを呈する3次元フォトニック結晶に点状欠陥を導入している。これによって所望の欠陥モード周波数を所望の欠陥モード周波数間隔で実現することができ、光閉じ込め効果の高い高性能な共振器を構成している。
【0119】
このため、各実施例による共振器をレーザに適用した際に、所望の波長で単一モード発振する高効率のレーザを実現することができるなど、高機能な光機能素子を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の3次元フォトニック結晶の要部斜視図
【図2(A)】本発明の3次元フォトニック結晶の実施例1の各層の説明図
【図2(B)】本発明の3次元フォトニック結晶の実施例1の各層の説明図
【図2(C)】本発明の3次元フォトニック結晶の実施例1の各層の説明図
【図3】本発明の3次元フォトニック結晶の実施例1のフォトニックバンドギャップ構造の平面波長開法による説明図
【図4】図1の周期欠陥部近傍の説明図
【図5】図4のxy断面図
【図6】本発明の実施例1のフォトニックバンドギャップ構造の平面波長開法による説明図
【図7】本発明の実施例1のフォトニックバンドギャップ構造の平面波長開法による説明図
【図8】本発明の実施例1の欠陥モードスペクトルの説明図
【図9】本発明に係る周期欠陥部の比較例の説明図
【図10】本発明の実施例1のフォトニックバンドギャップ構造の平面波長開法による説明図
【図11】本発明の実施例1のフォトニックバンドギャップ構造の平面波長開法による説明図
【図12】本発明の3次元フォトニック結晶の周期欠陥部近傍の実施例2の説明図
【図13】図12のxy断面図
【図14】本発明の実施例2の欠陥モードのスペクトルの説明図
【図15】本発明の3次元フォトニック結晶の周期欠陥部近傍の実施例3の説明図
【図16】図15のxy断面図
【図17】本発明の実施例3の欠陥モードのスペクトルの説明図
【図18】本発明の実施例4の欠陥モードのスペクトルの説明図
【図19】本発明の実施例5の欠陥モードのスペクトルの説明図
【図20】本発明のレーザ素子の説明図
【図21】本発明の波長変換素子の説明図
【図22】従来の3次元フォトニック結晶の概略図
【符号の説明】
【0121】
10 共振器
100 周期構造部
150 周期欠陥部
2000 レーザ素子
2010 周期構造部
2030 P型電極
2040 P型キャリア伝導路
2050 n型電極
2060 n型キャリア伝導路
2070 導波路
2100 波長変換素子
2110 周期構造部
2120 周期欠陥部
2130 入力用導波路
2140 出力用導波路
110、210 第1の層
120、220 第2の層
130、230 第3の層
140、240 第4の層
211、213、231、233、221、223、225、227 長方格子
212、214、222、224、232、234、226、228、242、244、246、248 円孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元フォトニック結晶中に周期欠陥部を有する共振器であって、
該3次元フォトニック結晶は、
屈折率周期構造を含む複数の層を周期的に積層した周期構造部を有し、
該層面内方向の第1の軸に沿って周期a、該層面内方向であって該第1の軸と直交する第2の軸に沿って周期bを有する第1長方格子の各格子点と、該第1長方格子を該第1の軸に沿ってa/2且つ該第2の軸に沿ってb/4ずらした位置に形成される第2長方格子の各格子点に、第2の媒質より成る孔を有し、該孔以外の領域を第1の媒質で満たした周期構造より成る第1の層と、該第1長方格子を該第2の軸方向に沿って+3b/8ずらした位置に形成され、該第1の軸に沿って該周期a、該第2の軸に沿って該周期bを有する面心長方格子の各格子点に、第3の媒質からなり積層方向に軸を有する柱状構造と、該柱状構造以外の領域を前記第2の媒質で満たした周期構造より成る第2の層と、前記第1の層に含まれる周期構造が、層面内方向において該第1の層に対して該第1の軸に沿ってa/2且つ該第2の軸に沿ってb/2ずらした位置に形成される周期構造より成る第3の層と、前記第2の層に含まれる周期構造が、層面内方向において該第2の層と同じ位置に形成される周期構造より成る第4の層を有し、該第1の層、該第2の層、該第3の層、該第4の層の順に積層した構成を有し、
該周期欠陥部は
該第2の層または該第4の層内に形成される柱状構造が有する軸上且つ該第2の層または該第4の層に配置される柱状構造であることを特徴とする共振器。
【請求項2】
3次元フォトニック結晶中に周期欠陥部を有する共振器であって、
該3次元フォトニック結晶は、
屈折率周期構造を含む複数の層を周期的に積層した周期構造部を有し、
該層面内方向の第1の軸に沿って周期a、該層面内方向であって該第1の軸と直交する第2の軸に沿って周期bを有する第1長方格子の各格子点と、該第1長方格子を該第1の軸に沿ってa/2且つ該第2の軸に沿ってb/4ずらした位置に形成される第2長方格子の各格子点に、第2の媒質より成る孔を有し、該孔以外の領域を第1の媒質で満たした周期構造より成る第1の層と、該第1長方格子を該第2の軸方向に沿って+3b/8ずらした位置に形成され、該第1の軸に沿って該周期a、該第2の軸に沿って該周期bを有する面心長方格子の各格子点に、第3の媒質からなり積層方向に軸を有する柱状構造と、該柱状構造以外の領域を前記第2の媒質で満たした周期構造より成る第2の層と、前記第1の層に含まれる周期構造が、層面内方向において該第1の層に対して該第1の軸に沿ってa/2且つ該第2の軸に沿ってb/2ずらした位置に形成される周期構造より成る第3の層と、前記第2の層に含まれる周期構造が、層面内方向において該第2の層と同じ位置に形成される周期構造より成る第4の層を有し、該第1の層、該第2の層、該第3の層、該第4の層の順に積層した構成を有し、
該周期欠陥部は、
該第1の層又は該第3の層の該第1長方格子と該第2長方格子との交点に配置される柱状構造であることを特徴とする共振器。
【請求項3】
3次元フォトニック結晶中に周期欠陥部を有する共振器であって、
該3次元フォトニック結晶は、
屈折率周期構造を含む複数の層を周期的に積層した周期構造部を有し、
該層面内方向の第1の軸に沿って周期a、該層面内方向であって該第1の軸と直交する第2の軸に沿って周期bを有する第1長方格子の各格子点と、該第1長方格子を該第1の軸に沿ってa/2且つ該第2の軸に沿ってb/4ずらした位置に形成される第2長方格子の各格子点に、第2の媒質より成る孔を有し、該孔以外の領域を第1の媒質で満たした周期構造より成る第1の層と、該第1長方格子を該第2の軸方向に沿って+3b/8ずらした位置に形成され、該第1の軸に沿って該周期a、該第2の軸に沿って該周期bを有する面心長方格子の各格子点に、第3の媒質からなり積層方向に軸を有する柱状構造と、該柱状構造以外の領域を前記第2の媒質で満たした周期構造より成る第2の層と、前記第1の層に含まれる周期構造が、層面内方向において該第1の層に対して該第1の軸に沿ってa/2且つ該第2の軸に沿ってb/2ずらした位置に形成される周期構造より成る第3の層と、前記第2の層に含まれる周期構造が、層面内方向において該第2の層と同じ位置に形成される周期構造より成る第4の層を有し、該第1の層、該第2の層、該第3の層、該第4の層の順に積層した構成を有し、
該周期欠陥部は、
該第2の層または該第4の層内に形成される柱状構造が有する軸上且つ該第1の層又は該第3の層に配置される柱状構造であることを特徴とする共振器。
【請求項4】
前記3次元フォトニック結晶中の前記第1、第3の層に形成される孔の層面内の断面形状が円形であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の共振器。
【請求項5】
前記3次元フォトニック結晶中の前記第2、第4の層の柱状構造は、層面内方向において、前記第1長方格子及び前記第2長方格子の各格子点と、前記第1長方格子を前記第1の軸に沿ってa/2且つ前記第2の軸に沿ってb/2ずらした位置に形成される第3長方格子の格子点と、
前記第2長方格子を前記第1の軸に沿ってa/2且つ前記第2の軸に沿ってb/2ずらした位置に配置した第4長方格子の格子点に、前記第2の媒質より成る孔と、柱状構造の領域で構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の共振器。
【請求項6】
前記3次元フォトニック結晶中の前記第2、第4の層に形成される前記孔の層面内の断面形状は円形であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の共振器。
【請求項7】
前記第1の媒質と前記第3の媒質が同一の媒質であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の共振器。
【請求項8】
3次元フォトニック結晶中に周期欠陥部を有する共振器であって、
該3次元フォトニック結晶は、屈折率周期構造を含む複数の層を周期的に積層した周期構造部を有し、該層面内方向の第1の軸に沿って周期a、該層面内方向であって該第1の軸と直交する第2の軸に沿って周期bを有する第1長方格子の各格子点と、該第1長方格子を該第1の軸に沿ってa/2且つ該第2の軸に沿ってb/4ずらした位置に形成される第2長方格子の各格子点に、第2の媒質より成る孔を有し、該孔以外の領域を第1の媒質で満たした周期構造より成る第1の層と、層面内方向において、前記第1長方格子及び前記第2長方格子の各格子点と、前記第1長方格子を前記第1の軸に沿ってa/2且つ前記第2の軸に沿ってb/2ずらした位置に形成される第3長方格子の格子点と、前記第2長方格子を前記第1の軸に沿ってa/2且つ前記第2の軸に沿ってb/2ずらした位置に配置した第4長方格子の格子点に、前記第2の媒質より成る孔を有し、該孔以外の領域を前記第3の媒質で満たし、該第1長方格子の格子点に配置した該孔と該第2長方格子の格子点に配置した該孔は互いに交差せず、且つ該第3長方格子の格子点に配置した該孔と該第4長方格子の格子点に配置した該孔は互いに交差しない周期構造より成る第2の層と、前記第1の層に含まれる周期構造が、層面内方向において該第1の層に対して該第1の軸に沿ってa/2且つ該第2の軸に沿ってb/2ずらした位置に形成される周期構造より成る第3の層と、前記第2の層に含まれる周期構造が、層面内方向において該第2の層と同じ位置に形成される周期構造より成る第4の層を有し、該第1の層、該第2の層、該第3の層、該第4の層の順に積層してなる3次元フォトニック結晶であって、
該周期欠陥部は
該第2の層または該第4の層内の該第1長方格子または該第3長方格子の格子点を該第2の軸に沿って+3b/8ずらした位置、または該第2長方格子または該第4長方格子の格子点を該第2の軸に沿って−3b/8ずらした位置且つ該第2の層または該第4の層に配置される柱状構造であることを特徴とする共振器。
【請求項9】
前記3次元フォトニック結晶中の前記第1、第3の層に形成される孔の層面内の断面形状が円形であることを特徴とする請求項8に記載の共振器。
【請求項10】
前記3次元フォトニック結晶中の前記第2、第4の層に形成される前記孔の層面内の断面形状は円形であることを特徴とする請求項8又は9に記載の共振器。
【請求項11】
前記第1の媒質と前記第3の媒質が同一の媒質であることを特徴とする請求項8乃至10に記載の共振器。
【請求項12】
前記共振器は単一モードで動作することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の共振器。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の共振器と、前記共振器は内部に発光作用を呈する活性媒質を有し、該活性媒質を励起させる励起手段を備えたことを特徴とする発光素子。
【請求項14】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の共振器と、前記周期欠陥部は内部に非線形媒質を有することを特徴とする波長変換素子。
【請求項15】
請求項1乃至12のいずれか1項の共振器を有することを特徴とする波長選択フィルタ。

【図1】
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【図2(A)】
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【図2(B)】
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【図2(C)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−34697(P2008−34697A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207907(P2006−207907)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】