説明

内燃機関の停止時にスロットル弁を制御する装置

【課題】バルブオーバーラップ状態で停止することを防止するため、電子制御装置からの指令に対し、スロットル弁を適正なタイミングで動作させる装置を提供する。
【解決手段】本発明の内燃機関の停止時にスロットル弁を制御する装置は、イグニションがオフされた後、回転数センサで検出されるエンジンの回転数NEが予め定めた値Nd以下になることに応じて、スロットル弁14を開く指令をメモリに記憶している遅延設定値だけ早いタイミングでスロットル弁14を駆動するアクチュエータ18に送る手段と、前記指令を送った時間から、開度センサ20が、前記スロットル弁14が開いたことを検出する時間までの遅延時間を算出する手段と、前記算出された遅延時間に基づいて前記遅延設定値を更新する手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の停止時にスロットル弁を制御する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン、ガソリンエンジンなどの内燃機関においては、燃焼室で燃焼が停止しても、ピストンは、ピストンの惰性が摩擦で消費されるまで数十回程度往復運動し、エンジンを振動させる。この振動を低減するために、エンジンを停止するときには吸気通路上のスロットル弁を完全に閉じることが行われた。しかし、スロットル弁を完全に閉じて吸気通路を閉じてしまうと、燃焼停止後しばらく継続するピストンの往復運動によって吸気通路内の圧力が大きな負圧になる。かかる状況において、停止しようとしているピストンは、圧縮行程において気筒内の空気量が減少した結果、前記したピストンの惰性による往復運動の慣性エネルギに抗することができなくなる。このため惰性運動をするピストンは上死点近傍で停止しやすくなる。
【0003】
特許文献1には、ピストンが上死点付近で停止した状態では、クランクアームとクランクロッドとが直列になり、ピストンを動かすのに必要なトルクが大きいので、エンジンの始動性が悪いことが記載されている。このため、特許文献1は、エンジン停止時に惰性によるエンジン回転数が予め設定された値を下回ると、スロットル弁を少し開いて吸気通路内の負圧を弱めることを提案している。
【0004】
特許文献2には、エンジン停止時のエンジンの振動を低減するため、スロットル弁の開度をより細かく制御することが記載されている。
【0005】
近年、内燃機関の出力および燃費を向上させるため、吸気バルブの開状態と排気バルブの開状態が部分的に重なるバルブオーバーラップが多く採用されている。特に、吸気バルブまたは排気バルブの開閉タイミングまたはリフト量を変化させる可変動弁機構(Variable Valve Timing and Lift Control System)においてはバルブオーバーラップの状態が頻繁に生ずる。その一例を特許文献3に見ることができる。
【特許文献1】特開2000―213375号公報
【特許文献2】特開2005−320909号公報
【特許文献3】特開2007−182760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バルブオーバーラップが採用されたエンジンでは、一つの気筒のピストンが上死点付近で停止すると、他の少なくとも一つの気筒が吸気弁および排気弁の両方が開いたバルブオーバーラップ状態で停止することがある。この状態では、排気系のガスが吸気管に逆流する。この状態でエンジンを始動すると、吸入空気に排ガスが混入していて酸素の量が不足するので燃焼が弱くなりエンジンの始動性が悪くなる。
【0007】
ピストンが上死点付近で停止するのを避けるため、スロットル弁を開いて空気を導入する際、電子制御装置(ECU)が指令する開弁のタイミングに対し、ハードウェアには、製品のばらつき、経年変化によるばらつきなどがあるので、実際にスロットル弁が開くタイミングにばらつきを生じる。
【0008】
したがって、ECUからの指令に対し、スロットル弁を適正なタイミングで動作させる技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の内燃機関の停止時にスロットル弁を制御する装置は、内燃機関の吸入空気量を制御するスロットル弁と、前記スロットル弁を駆動するためのアクチュエータと、前記スロットル弁の開度を検出する開度センサと、前記内燃機関の回転数を検出する回転数センサと、前記内燃機関を制御する電子制御装置と、を備えている。前記電子制御装置は、前記スロットル弁を開く指令を送った時間から、前記開度センサが前記スロットル弁が開いたことを検出する時間までの遅延時間を算出する手段と、前記算出された遅延時間をメモリに記憶し、遅延設定値として更新する手段と、前記内燃機関の停止指令がされたときに、予め設定された前記内燃機関の回転数で前記スロットル弁を開くように、前記回転数センサで検出される前記内燃機関の回転数が所定値以下になることに応じて、前記スロットル弁を開く指令を前記アクチュエータに送る手段と、メモリに記憶されている前記遅延設定値を参照して前記所定値を補正する手段と、を備えている。
【0010】
かかる構成によって、ECUからの指令に対し、開くタイミングのばらつきがあるスロットル弁を適正なタイミングで動作させることができる。
【0011】
また、前記更新する手段は、前記算出された遅延時間で前記遅延設定値を置き換える構成とすることができる。
【0012】
また、前記更新する手段は、前記算出された遅延時間と前記遅延設定値との差が予め定めた値より大きいとき、前記算出された遅延時間で前記遅延設定値を置き換える構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に図面を参照して、この発明の実施の形態を説明する。図1は、内燃機関の停止時にスロットル弁を制御する装置の全体的な構成を示すブロック図である。エンジン10は、たとえば4気筒の自動車エンジンである。
【0014】
吸気管12にはスロットル弁14が配置されている。スロットル弁14は、電子制御装置(Electronic Control Unit, ECU)60からの制御信号に応じてアクチュエータ18によって駆動される。ECU60は、図に示さないアクセルペダル開度センサからの出力に応じて、スロットル弁14の開度を制御する制御信号をアクチュエータ18に送る。この方式は、ドライブバイワイヤ方式と呼ばれており、他の方式には、ワイヤ16をアクセルペダルに接続してアクセルペダルにより直接的にスロットル弁を制御する方式がある。スロットル弁14の近くにスロットル弁開度センサ20が設けられており、スロットル開度θTHに応じた信号を出力する。
【0015】
スロットル弁14とエンジン10の吸気弁との間に、気筒ごとに燃料噴射弁24が設けられている。燃料噴射弁24は、燃料ポンプ(図示せず)に接続され、該燃料ポンプを介して燃料タンク(図示せず)から燃料の供給を受ける。燃料噴射弁24は、ECU60からの制御信号に従って駆動される。
【0016】
吸気管12のスロットル弁14の下流には吸気管圧力センサ32および吸気温センサ34が備えられ、それぞれ吸気管内絶対圧PBおよび吸気温TAを示す電気信号を出力する。
【0017】
エンジン10のカムシャフトまたはクランクシャフトの付近に気筒判別センサ(CYL)40が設けられており、たとえば第1気筒の所定クランク角度位置で気筒判別信号CYLを出力する。また、TDCセンサ42およびクランク角センサ(CRK)44が備えられており、前者は、各気筒のピストン上死点(TDC)位置に関連した所定のクランク角度位置でTDC信号を出力し、後者は、TDC信号よりも周期の短いクランク角度(たとえば30度)でCRK信号を出力する。
【0018】
エンジン10には排気管46が接続されている。燃焼によって生じた排出ガスは触媒装置50で浄化され、外部に排出される。触媒装置50の上流には広域空燃比(LAF)センサ52が設けられ、リーンからリッチにわたる広範囲において排出ガス中の酸素濃度に比例する信号を出力する。
【0019】
自動車の車輪を駆動するドライブシャフトの付近に車速センサ54が配置され、ドライブシャフトの所定回転ごとに信号を出力する。イグニッションスイッチ55は、運転席に配置され、エンジンの始動および停止を行わせ、ONもしくはOFFの信号を出力する。また、車両には大気圧センサ56が設けられ、大気圧に応じた信号を出力する。
【0020】
これらのセンサの出力は、ECU(電子制御装置)60に送られる。ECU60は、マイクロコンピュータで構成されており、演算を行うプロセッサCPU60a、制御プログラムおよび各種データのリスト、テーブル、マップを格納するROM60b、およびCPU60aによる演算結果などを一時記憶するRAM60cを有する。ECU60は、不揮発性のメモリを備えており、次回の運転サイクルでのエンジン制御に必要なデータなどをこの不揮発性メモリに保存する。不揮発性メモリは、書き換え可能なROMであるEEPROM、または車両の電源がオフにされていても保持電流が供給されて記憶を保持するバックアップ機能付きのRAMで構成することができる。
【0021】
各種センサの出力は、ECU60の入力インタフェース60dに入力される。入力インタフェース60dは、入力信号を整形して電圧レベルを修正する回路、およびアナログ信号からディジタル信号に変換するA/D変換器を備えている。
【0022】
CPU60aは、クランク角センサ44からのCRK信号をカウンタでカウントしてエンジン回転数NEを検出し、また、車速センサ54からの信号をカウントして車両の走行速度VPを検出する。CPU60aは、ROM60bに格納されたプログラムに従って演算を実行し、出力インタフェース60eを介して燃料噴射弁24、スロットル弁14のアクチュエータ18などに駆動信号を送る。
【0023】
図2は、この発明の一実施形態に従う、エンジン停止制御プロセスの制御フローである。このプロセスはECU60のCPU60aにより実行される。なお、本実施形態ではイグニッションスイッチ55がOFFされた場合を一実施例として説明するが、エンジンの停止指令はイグニッションオフに限定されず、アイドル時にエンジンを自動停止する場合がある。かかるエンジン自動停止においても本発明が適用できることは言うまでもない。
【0024】
イグニッションスイッチ55がOFFされると、ECU60は、イグニッションスイッチ55のOFFに伴うOFF信号の入力に応答してエンジン停止制御プロセスを開始する(ステップS101:YES)。イグニッションスイッチ55がONの場合はプロセスを終了する(ステップS101:NO)。
【0025】
ステップS102において、ECU60は、入力インタフェース60dを介して、気筒判別信号CYLを検出して、特定の気筒におけるクランク角センサ44からのCRK信号をカウンタでカウントしてエンジン回転数NEを検出してエンジン回転数NEを所定値Ncと比較する。
【0026】
ここで所定値Ncは、スロットル弁14を閉弁させるか、開弁させるか判定するための最初のしきい値である。イグニッションスイッチ55がOFFされると、エンジン回転数NEは徐々に下降する。しかし、燃焼停止後においてもピストンは惰性で往復運動を行うため、この往復運動がエンジンを振動させる。そこで特許文献1に記載されているように、スロットル弁14を閉弁させれば、吸入空気の供給が停止され、エンジン停止の際の振動性を向上させることができる。ECU60は、エンジン回転数NEがイグニッションスイッチ55のOFF直後のエンジン回転数から所定値Ncへ下降するまでは(ステップS102:YES)、アクチュエータ18に信号を送り、スロットル弁14の閉弁制御を実行する(ステップS103)。
【0027】
ステップS102において、エンジン回転数NEが所定値Ncよりも小さい場合はスロットル弁14の開弁制御を実行するか否かを判定するプロセスに移行する。
【0028】
該プロセスの詳細な説明を行う前に、図3と図4を参照して判定手法の一例を説明する。図3は排気弁と吸気弁の挙動を説明するための図であり、図4はエンジン回転数NEとECU60の指令とスロットル弁14の開閉挙動を説明するための図である。
【0029】
図3に示すピストン上死点(TDC)付近において排気弁と吸気弁とが同時に開弁している期間をバルブオーバーラップという。バルブオーバーラップはエンジンの出力を向上させるためにできるだけ多くの混合気を取り込むために設定されている。エンジン始動性を向上させるために、エンジン停止の際にはバルブオーバーラップとならないよう、ピストンが上死点近傍で停止することを回避する必要がある。該回避をするためには、ピストンの仕事量、エンジンのフリクション、エンジンの慣性等が考慮されるが、特許文献1に記載されているように、スロットル弁14を、実際のエンジン回転数NEが予め設定された回転数Nkのときに開弁制御することで、吸気管12内を昇圧して、ピストンが上死点近傍の停止を防止することが可能である。
【0030】
しかしながら、ハードウェアには、製品のばらつき、経年変化によるばらつきなどがあるので、スロットル弁14を開いて空気を導入する際、ECU60が指令する開弁のタイミングに対し、実際にスロットル弁が開くタイミングにばらつきを生じる。このため、ピストンが上死点近傍で停止する場合がある。
【0031】
図4を参照すると、イグニッションスイッチ55がOFFされると、ECU60は、アクチュエータ18に信号を送り、スロットル弁14を閉弁する。二点鎖線で示すエンジン回転数NEは徐々に下降する。エンジン回転数NEが所定値Npになると、ECU60は、出力インタフェース60eを介して、スロットル弁14を開弁する制御指令ECUCMDの駆動信号をアクチュエータ18へ送る。この所定値Npは、初期から設定されている値であり、エンジン回転数NEが所定値Npになったときにスロットル弁18を開弁させる制御指令を出力することによって、実際のエンジン回転数NEが予め設定された回転数Nkのときにスロットル弁14を開弁させることができる。所定値Npは、標準的な開弁のハードウェア動作等にかかる時間を考慮して設定されており、例えば工場出荷時に設定することができる。
【0032】
すなわち、アクチュエータ18はスロットル弁14を駆動するが、初めにECU60からの信号を受信してからハードウェアを動作させる必要があり、図4の実線で示したスロットル弁開度θthpの挙動に見られるように、駆動信号が送信されてから実際に動作するまでには一定の遅れCRDPが生じる。このCRDPおよび後記するCRDAは、図4に示すように、スロットル弁14を開方向に駆動するコマンドがECU60から出力され、実際にスロットル弁14が開き始めるまでの時間を表している。
【0033】
この遅れCRDPは、通信上の遅れのばらつきやハードウェア自体のばらつきによって、車両(エンジン)ごとに異なるおそれがある。図4の破線は、ECU60からスロットル弁14を開弁する制御指令ECUCMDの駆動信号を受けたときの、あるエンジンにおいて検出されたスロットル弁開度θthaの変化を示している。製品の設定値である実線θthpで示した遅れCRDPを伴う線分に対して、破線θthaで示したあるエンジンにおいて実際に検出された遅れCRDAは、さらに差DCRDだけ遅くなっている。このため、予め設定したエンジン回転数の条件Nkからズレが生じ(図4のΔNE)、その結果ピストンの停止位置が意図した箇所とならないおそれがあった。
【0034】
そこで、本実施形態は破線で示すあるエンジンにおける遅れCRDAをスロットル弁開度センサ20によって検出する。そして、この遅れCRDAと製品の設定値の遅れCRDPとの差分をとり、図4の一点鎖線で示すように、ECU60が制御指令ECUCMDの駆動信号をアクチュエータ18へ送るタイミングを差DCRD分だけ黒矢印方向に進角させるようにしている。該進角させる補正によって、スロットル弁14の開制御に移行するエンジン回転数NEは、初期の設定値である所定値Npから、差DCRD分だけ進角させる補正がされた新たな所定値Ndとされる。このように、メモリに記憶されている遅延設定値である差DCRDを参照して所定値を補正する。かかる補正によって、図4の白矢印に示すように、破線θthaで示したあるエンジンにおけるスロットル弁開度θthaの変化は、実線θthpと一致し、スロットル弁14が実際に開くときのエンジン回転数NEのズレΔNEを消滅させることができる。
【0035】
再び、図2のプロセスのフローに戻り、エンジン回転数NEが所定値Ncよりも小さい場合(ステップS102:NO)、ECU60はスロットル弁開制御を行うか否か判定するためのしきい値である回転数Ndを算出する(ステップS104)。
【0036】
ステップS104において、ECU60は、メモリに格納されたCRDAとCRDPの差分DCRDを参照し(ステップS105)、ECU60のメモリに格納されたマップ等を参照してしきい値となる回転数Ndを算出する。このマップは、例えば、図2のステップS1041のように差分DCRDを横軸とし、エンジン回転数NEを縦軸とするものである。ここで、差分DCRDは(CRDA-CRDP)の差であり、図2横軸の矢印方向が正(+)の値、逆方向が負(-)の値を示している。
【0037】
差分DCRDが正(+)の値で大きくなるに伴い、所定値NdはNpと比較して大きくなり、一方差分DCRDが負(-)方向で大きくなるに伴い、所定値NdはNpと比較して小さくなる。すなわち、このマップは0を基準として、スロットル弁14が遅れて作動する場合を右の矢印方向とし、左方向はスロットル弁14の応答が設定値より早い場合を示している。このようにスロットル弁14の作動は遅れる場合と早くなる場合の二つが考えられるからである。
【0038】
バラツキの設定値である差DCRDが算出されたとき該マップによって新たな所定値Ndが算出され、しきい値として用いられる。なお、最初のプロセスが実行される時点では、遅れCRDAは検出されていないため、Ndは初期的な設定値であるNpとされる。
【0039】
ステップS106において、ECU60は、エンジン回転数NEとNdとを比較する。エンジン回転数NEがNdより大きければ(ステップS106:NO)、ECU60はアクチュエータ18に信号を送り、スロットル弁14の閉制御を継続して実行する(ステップS103)。エンジン回転数NEがNdより小さければ(ステップS106:YES)、ECU60はアクチュエータ18に信号を送り、スロットル弁14の開制御を実行する(ステップS107)。
【0040】
ステップS108において、ECU60はスロットル弁14の近くに備えられたスロットル弁開度センサ20によって、スロットル開度θTHに応じた信号を取得する。そして、ECU60は、制御指令ECUCMDの駆動信号とスロットル開度θTHの信号とから遅れCRDAを算出する。
【0041】
ステップS109において、ECU60は設定値Npでスロットル弁開制御を実行するときの遅れCRDPと算出された遅れCRDAとの差分DCRDを算出し、メモリに保管して、プロセスを終了する。このとき算出された遅れCRDAもメモリに保管され、次回のプロセスではこのCRDAが前回値CRDPとして用いられる。
【0042】
ステップS108,109で説明したCRDAとDCRDの算出は、これらの算出結果を用いる制御(ステップS106,107)と併せて実行されることが好ましい。しかしながら、通常運転時におけるスロットル弁14の駆動制御の際にCRDAとDCRDの算出を行っても良い。
【0043】
本実施形態は、かかる構成とすることによって、ECUからの指令に対し、スロットル弁を適正なタイミングで動作させることができる。そして、スロットル弁を開いて空気を導入する際、電子制御装置(ECU)が指令する開弁のタイミングに対し、製品のばらつき、経年変化によるばらつきなどがある場合であっても、ピストンが上死点付近で停止するのを避けることができる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において改変して用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】内燃機関のアイドル回転数制御装置の全体的な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に従う、エンジン停止制御プロセスの制御フローである。
【図3】排気弁と吸気弁の挙動を説明するための図である。
【図4】エンジン回転数NEとECUの指令とスロットル弁の開閉挙動を説明するための図である。
【符号の説明】
【0046】
10 エンジン
12 吸気管
14 スロットル弁
18 アクチュエータ
20 スロットル開度センサ
60 ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸入空気量を制御するスロットル弁と、
前記スロットル弁を駆動するためのアクチュエータと、
前記スロットル弁の開度を検出する開度センサと、
前記内燃機関の回転数を検出する回転数センサと、
前記内燃機関を制御する電子制御装置と、を備え、
前記電子制御装置は、
前記スロットル弁を開く指令を送った時間から、前記開度センサが前記スロットル弁が開いたことを検出する時間までの遅延時間を算出する手段と、
前記算出された遅延時間をメモリに記憶し、遅延設定値として更新する手段と、
前記内燃機関の停止指令がされたときに、予め設定された前記内燃機関の回転数で前記スロットル弁を開くように、前記回転数センサで検出される前記内燃機関の回転数が所定値以下になることに応じて、前記スロットル弁を開く指令を前記アクチュエータに送る手段と、
メモリに記憶されている前記遅延設定値を参照して前記所定値を補正する手段と、
を備える、内燃機関の停止時にスロットル弁を制御する装置。
【請求項2】
前記更新する手段は、前記算出された遅延時間で前記遅延設定値を置き換える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記更新する手段は、前記算出された遅延時間と前記遅延設定値との差が予め定めた値より大きいとき、前記算出された遅延時間で前記遅延設定値を置き換える、請求項2に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−127269(P2010−127269A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306619(P2008−306619)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】