説明

内燃機関の制御装置

【課題】高圧燃料通路内の燃料圧力変化の時間遅れに起因して、混合気の空燃比が目標空燃比からずれることを的確に抑制する。
【解決手段】内燃機関7は、燃料を気筒内に直接噴射する高圧燃料噴射弁47、燃料を当該気筒の吸気ポート72に噴射する低圧燃料噴射弁37、機関運転状態に応じて高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力を調整する高圧燃料ポンプ5を備える。電子制御装置8は、高圧燃料ポンプ5により高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力を機関負荷に応じて調整する。また各噴射弁47、37の燃料噴射量の総和である総燃料噴射量における高圧燃料噴射弁47の燃料噴射量の基本割合を機関回転速度及び機関負荷に応じて設定する。そして低負荷運転時に燃料圧力が低負荷運転時に対応した燃料圧力よりも高い所定圧力以上である場合には、高圧燃料噴射弁47の燃料噴射量の割合を上記基本割合よりも大きく補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧燃料通路内の燃料を気筒内に直接噴射供給する高圧燃料噴射弁と、低圧燃料噴射通路内の燃料を当該気筒の吸気ポートに噴射供給する低圧燃料噴射弁と、機関運転状態に応じて高圧燃料通路内の燃料圧力を調整する調整機構とを備える内燃機関の制御装置に関するに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の内燃機関の制御装置としては、例えば特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載のものも含めて従来一般の内燃機関の制御装置では、高圧燃料通路内の燃料が高圧燃料噴射弁から気筒内に直接噴射されるとともに、低圧燃料通路内の燃料が低圧燃料噴射弁から当該気筒の吸気ポートに噴射供給される。ここで、高圧燃料通路には高圧燃料ポンプが設けられており、高圧燃料ポンプからの燃料の吐出態様を制御することにより、機関負荷に応じて高圧燃料通路内の燃料圧力が調整されるようになっている。具体的には、高圧となる燃焼室内の圧力に抗して高圧燃料噴射弁からの燃料噴射を可能とするために、機関回転速度が高いときには低いときに比べて、また機関負荷が高いときには低いときに比べて燃料圧力が高くされる。
【0003】
また、こうした制御装置では、高圧燃料噴射弁及び低圧燃料噴射弁の双方から噴射される燃料量の総和を機関運転状態に応じて算出するとともに、算出された総和における高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を機関運転状態、例えば機関回転速度や機関負荷に応じて設定するようにしている。これにより、内燃機関の燃料消費量の節減や、機関のトルク変動の低減を図るようにしている。
【0004】
ところで、高圧燃料噴射弁による燃料噴射は、同噴射弁に対する通電によりその弁体を変位させることにより行なわれる。また、高圧燃料噴射弁を開弁するために、その弁体に対して閉弁方向に作用する燃料圧力に抗して同弁体を開弁方向に変位させるための力を付与する必要がある。そのため、高圧燃料噴射弁に対する通電時間が過度に短く設定された場合には、燃料噴射が好適に行なわれなくなるおそれがある。そこで、高圧燃料通路内の燃料圧力が高いほど、高圧燃料噴射弁に対する通電時間の下限値を大きく設定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009―24517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、高圧燃料通路内の燃料圧力を機関負荷に応じて調整するものにあっては、高負荷運転から低負荷運転に移行する際に、以下の問題が生じるおそれがある。すなわち、高負荷運転時において高圧燃料通路内の燃料圧力が高くされている状態から、低負荷運転に移行すると、これに伴い高圧燃料通路内の燃料圧力を低くすべく高圧燃料ポンプが制御される。しかしながら、実際の燃料圧力が低負荷運転時に対応した圧力まで低下するには時間遅れがあるために、低負荷運転に移行した後しばらくの間は、燃料圧力が低負荷運転時に対応した圧力よりも高い状態となる。その結果、混合気の空燃比が目標空燃比よりもリッチとなり、排気性状が悪化するといった問題が生じるおそれがある。
【0007】
更に近年、例えば排気性状を向上させる目的から、高負荷運転時において高圧燃料噴射弁から噴射される燃料圧力を更に高めるべく、高圧燃料通路内の燃料圧力の最大値を高めるようにしたものが開発されるに至っている。しかしながら、高負荷運転から低負荷運転に移行した際に実際の燃料圧力が低負荷運転時に対応した燃料圧力まで低下するのに要する時間は、高負荷運転時における燃料圧力が高められるほど長くなる。その結果、上述した問題が一層顕著なものとなる。
【0008】
これに対して、低負荷運転に移行した後に高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量を少なくすべく、高圧燃料噴射弁の開弁時間を短くする、すなわち高圧燃料噴射弁に対する通電時間を短くすることが考えられる。しかしながら、上述したように、高圧燃料通路内の燃料圧力が高いときにはこれに応じて高圧燃料噴射弁に対する通電時間の下限値が大きく設定されることから、通電時間を短くして高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量を少なくすることには限界がある。
【0009】
また、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力を低減するために、高圧燃料ポンプに燃料をリークするリーク機構を設けるようにしたものが開発されるに至っているが、リーク機構により燃料圧力を早期に低減することには限界がある。
【0010】
尚、こうした問題は、高負荷運転から低負荷運転に移行する際に生じるものに限られるものではなく、低負荷運転から高負荷運転に移行する際にも生じ得るものである。また、機関負荷に応じて燃料圧力を調整するものに限られるものではなく、機関運転状態に応じて燃料圧力を調整するものにあっては概ね共通したものとなっている。
【0011】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高圧燃料通路内の燃料圧力変化の時間遅れに起因して、混合気の空燃比が目標空燃比からずれることを的確に抑制することのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、高圧燃料通路内の燃料を気筒内に直接噴射供給する高圧燃料噴射弁と、低圧燃料噴射通路内の燃料を当該気筒の吸気ポートに噴射供給する低圧燃料噴射弁と、機関運転状態に応じて前記高圧燃料通路内の燃料圧力を調整する調整機構とを備える内燃機関に適用されて、前記高圧燃料噴射弁及び前記低圧燃料噴射弁の双方から噴射される燃料量の総和である総燃料噴射量における前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を機関運転状態に応じて設定する内燃機関の制御装置であって、前記高圧燃料通路内の燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力よりも高い場合には当該機関運転状態に対応した圧力以下である場合に比べて、前記総燃料噴射量における前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を大きくすることをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、高圧燃料通路内の燃料圧力が高い状態から、低い燃料圧力が要求される機関運転状態に移行したとき、燃料圧力が当該機関運転状態に対応した圧力よりも高い場合には当該機関運転状態に対応した圧力以下である場合に比べて、高圧燃料噴射弁及び低圧燃料噴射弁の双方から噴射される燃料量の総和である総燃料噴射量における高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合が大きくされる。これにより、こうした割合の変更が行なわれない従来の制御構成に比べて、高圧燃料通路内の燃料を積極的に消費することで、同通路内の燃料圧力を早期に低下させることができ、燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力よりも高いことに起因して混合気の空燃比が目標空燃比よりもリッチになる期間を短くすることができるようになる。従って、高圧燃料通路内の燃料圧力変化の時間遅れに起因して、混合気の空燃比が目標空燃比からずれることを的確に抑制することができるようになる。
【0014】
尚、高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を大きくすることに起因して内燃機関の燃料消費量の増大やトルク変動の増大といった問題の発生が懸念される。そこで、こうした燃料消費量の増大やトルク変動の増大が許容される範囲内において高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を大きくすることが望ましい。
【0015】
(2)請求項1に記載の発明は、請求項2に記載の発明によるように、前記総燃料噴射量における前記高圧燃料噴射弁からの噴射される燃料量の割合を機関運転状態に応じて設定する設定部と、前記高圧燃料通路内の燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力よりも高い場合には、前記総燃料噴射量における前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を前記設定部により設定された割合よりも大きく補正する補正部と、を備え、前記高圧燃料通路内の燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力以下である場合には、前記設定部により設定された割合にて前記高圧燃料噴射弁及び前記低圧燃料噴射弁からの燃料の噴射を行なう一方、前記高圧燃料通路内の燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力よりも高い場合には、前記補正部により補正された割合にて前記高圧燃料噴射弁及び前記低圧燃料噴射弁からの燃料の噴射を行なうといった態様をもって具体化することができる。
【0016】
尚、高圧燃料通路内の燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力よりも高い場合であって、設定部により低圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合が「0」に設定された場合には、補正部による補正を行なうことなく、高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を設定部により設定された割合のまま、「0」とすればよい。
【0017】
(3)請求項2に記載の発明は、請求項3に記載の発明によるように、前記設定部は、前記総燃料噴射量における前記高圧燃料噴射弁からの噴射される燃料量の割合を、機関回転速度及び機関負荷に応じて設定するといった態様をもって具体化することができる。
【0018】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の内燃機関の制御装置において、前記高圧燃料通路内の燃料圧力を前記調整機構により機関負荷に応じて調整するものであり、前記補正部は、内燃機関の低負荷運転時に前記高圧燃料通路内の燃料圧力が低負荷運転時に対応した燃料圧力よりも高い所定圧力以上である場合には、前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を前記設定部により設定された割合よりも大きく補正することをその要旨としている。
【0019】
高圧燃料通路内の燃料圧力を調整機構により機関負荷に応じて調整するものにあっては、機関負荷が高いほど燃料圧力が高くされる。こうした制御構成にあって、高負荷運転時において高圧燃料通路内の燃料圧力が高くされている状態から、低負荷運転に移行すると、これに伴い高圧燃料通路内の燃料圧力を低くすべく調整機構が制御される。しかしながら、実際の燃料圧力が低負荷運転時に対応した圧力まで低下するには時間遅れがあるために、低負荷運転に移行した後しばらくの間は、燃料圧力が低負荷運転時に対応した圧力よりも高い状態となる。このとき、上記構成によれば、高圧燃料通路内の燃料圧力が低負荷運転時に対応した燃料圧力よりも高い所定圧力以上であるとして、高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合が、設定部により設定された割合、すなわち機関運転状態に応じて設定される割合よりも大きくされる。これにより、高圧燃料通路内の燃料を積極的に消費することで、同通路内の燃料圧力を早期に低下させることができ、燃料圧力が低負荷運転時に対応した圧力よりも高いことに起因して混合気の空燃比が目標空燃比よりもリッチになる期間を短くすることができるようになる。従って、高圧燃料通路内の燃料圧力低下の時間遅れに起因して、混合気の空燃比が目標空燃比よりもリッチ側にずれることを的確に抑制することができるようになる。
【0020】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記補正部は、前記高圧燃料噴射弁及び前記低圧燃料噴射弁の双方から噴射される燃料量の総和である総燃料噴射量が、前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の下限値と前記低圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の下限値との総和よりも小さい場合には、前記低圧燃料噴射弁からの燃料噴射を禁止して前記高圧燃料噴射弁から前記総燃料噴射量を噴射することをその要旨としている。
【0021】
同構成によれば、補正部を通じて、高圧燃料噴射弁及び低圧燃料噴射弁の双方から噴射される燃料量の総和である総燃料噴射量が、高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の下限値と低圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の下限値との総和よりも小さい場合には、高圧燃料噴射弁によって総燃料噴射量が噴射されることとなる。これにより、高圧燃料通路内の燃料をより積極的に消費することで、同通路内の燃料圧力を一層早期に低下させることができ、燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力よりも高いことに起因して混合気の空燃比が目標空燃比よりもリッチになる期間を一層短くすることができるようになる。
【0022】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記補正部は、前記高圧燃料噴射弁及び前記低圧燃料噴射弁の双方から噴射される燃料量の総和である総燃料噴射量が、前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の下限値と前記低圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の下限値との総和以上である場合には、前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を、そのとき前記高圧燃料噴射弁から噴射可能な燃料量の最大値となるように補正することをその要旨としている。
【0023】
同構成によれば、補正部を通じて、高圧燃料噴射弁及び低圧燃料噴射弁の双方から噴射される燃料量の総和である総燃料噴射量が、高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の下限値と低圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の下限値との総和以上である場合には、高圧燃料噴射弁からはそのとき噴射することのできる最大の燃料量が噴射されることとなる。これにより、高圧燃料通路内の燃料をより積極的に消費することで、同通路内の燃料圧力を一層早期に低下させることができ、燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力よりも高いことに起因して混合気の空燃比が目標空燃比よりもリッチになる期間を一層短くすることができるようになる。
【0024】
(7)請求項7に記載の発明は、高圧燃料通路内の燃料を気筒内に直接噴射供給する高圧燃料噴射弁と、低圧燃料噴射通路内の燃料を当該気筒の吸気ポートに噴射供給する低圧燃料噴射弁と、機関運転状態に応じて前記高圧燃料通路内の燃料圧力を調整する調整機構とを備える内燃機関に適用されて、前記高圧燃料噴射弁及び前記低圧燃料噴射弁の双方から噴射される燃料量の総和である総燃料噴射量における前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を機関運転状態に応じて設定する内燃機関の制御装置であって、前記高圧燃料通路内の燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力よりも低い場合には当該機関運転状態に対応した圧力以上である場合に比べて、前記総燃料噴射弁における前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を小さくすることをその要旨としている。
【0025】
同構成によれば、高圧燃料通路内の燃料圧力が高い状態から、低い燃料圧力が要求される機関運転状態に移行したとき、燃料圧力が当該機関運転状態に対応した圧力よりも低い場合には当該機関運転状態に対応した圧力以上である場合に比べて、高圧燃料噴射弁及び低圧燃料噴射弁の双方から噴射される燃料量の総和である総燃料噴射量における高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合が小さくされる。これにより、こうした割合の変更が行なわれない従来の制御構成に比べて、高圧燃料通路内の燃料の消費を積極的に抑制することで、同通路内の燃料圧力を早期に上昇させることができ、燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力よりも低いことに起因して混合気の空燃比が目標空燃比よりもリーンになる期間を短くすることができるようになる。従って、高圧燃料通路内の燃料圧力変化の時間遅れに起因して、混合気の空燃比が目標空燃比からずれることを的確に抑制することができるようになる。
【0026】
尚、高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を小さくすることに起因して内燃機関の燃料消費量の増大やトルク変動の増大といった問題の発生が懸念される。そこで、こうした燃料消費量の増大やトルク変動の増大が許容される範囲内において高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を小さくすることが望ましい。
【0027】
(8)請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発明は、請求項8に記載の発明によるように、前記調整機構は前記高圧燃料通路に設けられて同通路に燃料を圧送する高圧燃料ポンプであるといった態様をもって具体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る内燃機関の制御装置についてその概略構成を模式的に示す模式図。
【図2】同実施形態における機関回転速度及び機関負荷と高圧デリバリパイプ内の燃料圧力の目標値との関係を規定したマップ。
【図3】同実施形態における機関回転速度及び機関負荷と総燃料噴射量における高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合である高圧基本割合との関係を模式的に示したマップ。
【図4】同実施形態における高圧デリバリパイプ内の燃料圧力と高圧燃料噴射弁の燃料噴射量の下限値との関係を模式的に示したマップ。
【図5】同実施形態における燃料圧力低減処理の手順を示すフローチャート。
【図6】同実施形態における燃料圧力低減処理の作用を説明するためのタイミングチャートであって、高負荷運転から低負荷運転への移行時における、(a)アクセル開度の推移、(b)燃料カット要求の推移、(c)高圧デリバリパイプ内の燃料圧力の推移を併せ示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図1〜図6を参照して、本発明に係る内燃機関の制御装置を、車両に搭載される直列4気筒式のガソリンエンジン(以下、内燃機関)の制御装置として具体化した一実施形態について説明する。
【0030】
図1に、内燃機関及びその制御装置について、それらの概略構成を模式的に示す。
図1に示すように、内燃機関7の4つの気筒#1〜#4には、燃焼室71に向けて燃料を直接噴射供給する高圧燃料噴射弁47と、吸気ポート72に向けて燃料を噴射供給する低圧燃料噴射弁37とがそれぞれ設けられている。これら高圧燃料噴射弁47及び低圧燃料噴射弁37の少なくとも一方から噴射供給された燃料を燃焼室71内で燃焼させたときの燃焼エネルギにより内燃機関7の出力軸であるクランクシャフト73が回転する。
【0031】
次に、低圧燃料噴射弁37に対して燃料を供給する低圧燃料供給系3の構成について説明する。
低圧燃料供給系3は、燃料タンク1からフィードポンプ2により汲み上げられた燃料を低圧燃料噴射弁37に供給するための低圧燃料通路32を備えている。低圧燃料通路32は、フィルタ33を介してフィードポンプ2に接続されている。また、低圧燃料通路32はフィードポンプ2から吐出された燃料を蓄えて低圧燃料噴射弁37に供給する低圧デリバリパイプ36を備えている。また、燃料タンク1の内部において、その一端が低圧燃料通路32の途中に接続されるとともに、その他端が燃料タンク1の内部に開放されるリターン通路34が設けられている。リターン通路34には、低圧燃料通路32内の燃料圧力を基準圧力P1に維持するためのプレッシャレギュレータ35が設けられている。プレッシャレギュレータ35は、低圧燃料通路32内の燃料圧力が予め設定された基準圧力P1を超えたときに開弁する圧力作動弁であって、同作動弁の開弁により低圧燃料通路32内の燃料がリターン通路34を通じて燃料タンク1に戻されるようになっている。ちなみに、上記基準圧力P1は、フィードポンプ2の吐出能力等に基づいて設定されている。
【0032】
次に、高圧燃料噴射弁47に対して燃料を供給する高圧燃料供給系4の構成について説明する。
高圧燃料供給系4は、低圧燃料通路32の途中に接続される吸入通路41と、吸入通路41を介して吸入された燃料を昇圧して吐出する高圧燃料ポンプ5と、その高圧燃料ポンプ5から吐出された燃料を高圧燃料噴射弁47に供給するための高圧燃料通路42を備えている。また、高圧燃料通路42は高圧燃料ポンプ5から吐出された燃料を蓄えて高圧燃料噴射弁47に供給する高圧デリバリパイプ46を備えている。また、高圧燃料通路42の途中にはチェック弁43が設けられている。チェック弁43は、同弁43よりも下流側、すなわち高圧燃料ポンプ5側の燃料圧力が基準圧力P2を超えたときに開弁する圧力作動弁であって、高圧燃料ポンプ5側から高圧デリバリパイプ46側にのみ燃料を通過させる。尚、上記基準圧力P2は比較的低い圧力に設定されている。
【0033】
高圧燃料ポンプ5は、内燃機関7のクランクシャフト73の回転に伴って回転する排気カムシャフト61に取り付けられたカム62の回転及びコイルスプリング51の付勢力に基づき、シリンダ52内で往復移動するプランジャ53を備えている。プランジャ53を往復移動させるための上記カム62が取り付けられた排気カムシャフト61に対しては、内燃機関7のクランクシャフト73が2回転する間に1回転するよう、同クランクシャフト73からの回転伝達が行われるようになっている。また、上記カム62には排気カムシャフト61の回転方向に等間隔にて三つのカム山が形成されている。
【0034】
高圧燃料ポンプ5には、プランジャ53及びシリンダ52により区画されて同プランジャ53の往復移動に伴い容積の変化する加圧室54が形成されている。そして、上記カム62の回転に伴い、プランジャ53が加圧室54を拡大する方向に移動する吸入行程と、同プランジャ53が加圧室54を縮小する方向に移動する圧送行程とが、交互に繰り返される。上記吸入行程はフィードポンプ2からの燃料が吸入通路41を介して加圧室54に吸入される行程であり、上記圧送行程は加圧室54内の燃料が加圧されて高圧燃料通路42に吐出される行程である。この圧送行程で高圧燃料ポンプ5から吐出された燃料は、高圧燃料通路42を介して高圧燃料噴射弁47に供給される。
【0035】
また、高圧燃料ポンプ5には、吸入通路41と加圧室54との間を連通・遮断すべく開閉動作する電磁スピル弁55が設けられている。この電磁スピル弁55は、電磁ソレノイド56を備え、同ソレノイド56に印可する電圧を制御することにより開閉動作するものである。すなわち、電磁ソレノイド56に対する通電が停止された状態にあっては、電磁スピル弁55がコイルスプリング57の付勢力によって開き、吸入通路41と加圧室54とが連通した状態になる。また、電磁ソレノイド56に対する通電が行われると、電磁スピル弁55がコイルスプリング57の付勢力に抗して閉弁され、吸入通路41と加圧室54とが遮断された状態になる。
【0036】
そして、高圧燃料ポンプ5において、吸入行程では電磁スピル弁55が開弁され、これにより吸入通路41から加圧室54内への燃料の流入が許可される。また、圧送行程においては、電磁スピル弁55が所定の期間だけ閉弁されることになり、同スピル弁55の開弁中は加圧室54内の燃料が吸入通路41に溢流し、同スピル弁55の閉弁中は上記溢流が禁止される。このように燃料の溢流が禁止されているとき、加圧室54内の燃料が加圧された状態で高圧燃料通路42に吐出される。従って、圧送行程での電磁スピル弁55の閉弁時間を制御し、加圧室54から吸入通路41に溢流される燃料の量を調節することで、高圧燃料ポンプ5の燃料吐出量を調節することができる。
【0037】
高圧デリバリパイプ46の一端には、同パイプ46内の燃料圧力を予め設定された基準圧力P3(≫P2)以下に維持するためのリリーフ弁49を介してリリーフ通路48が設けられている。このリリーフ弁49は、同パイプ46内の燃料圧力が基準圧力P3を超えると開弁する圧力作動弁であって、同作動弁の開弁により高圧デリバリパイプ46内の燃料がリリーフ通路48を通じて燃料タンク1に戻されるようになっている。ちなみに、上記基準圧力P3は、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力が過度に高くなることを抑制することのできる大きさに設定されている。
【0038】
低圧燃料噴射弁37の燃料噴射制御、高圧燃料噴射弁47の燃料噴射制御、及び高圧燃料ポンプ5の燃料吐出量制御を含む内燃機関7の各種制御は、電子制御装置8により行なわれる。電子制御装置8は、中央演算処理装置(以下、CPU)、読込専用メモリ(以下、ROM)、ランダムアクセスメモリ(以下、RAM)、入出力ポート(以下、I/O)を備えている。ここで、CPUは、各種制御に係る各種の演算処理を実行する。ROMは、上記各種制御に用いるプログラムやデータを記憶する。また、RAMは、CPUの演算結果や各種センサの検出結果等を一時的に記憶する。また、I/Oは、外部との信号の授受を媒介する。
【0039】
電子制御装置8の入力ポートには、以下に示されるセンサを含む各種センサが接続されている。
・内燃機関7のクランクシャフト73の回転に対応したパルス状の信号を出力し、機関回転速度NEの検出等に用いられるクランクポジションセンサ。
【0040】
・内燃機関7の排気カムシャフト61の回転に対応して、同シャフト61の回転位置に対応した信号を出力するカムポジションセンサ。
・内燃機関7のスロットルバルブ(図示略)の開度(以下、スロットル開度TA)に対応した信号を出力するスロットル開度センサ。
【0041】
・車両のアクセルペダル(図示略)の踏み込み量(以下、アクセル開度ACCP)に対応した信号を出力するアクセル開度センサ。
・高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力PHDを検出する燃料圧力センサ81。
【0042】
電子制御装置8の出力ポートには、高圧燃料噴射弁47や低圧燃料噴射弁37、電磁スピル弁55、点火弁、スロットルバルブといった各種機器の駆動回路が接続されている。
電子制御装置8は、上記各種センサからの検出信号により把握される機関運転状態に応じて、上記出力ポートに接続された各種機器の駆動回路に指令信号を出力し、それら機器の制御を実行する。こうして内燃機関7における高圧燃料噴射弁47及び低圧燃料噴射弁37の燃料噴射制御、高圧燃料ポンプ5の燃料吐出量制御、点火弁(図示略)による点火時期制御、スロットルバルブによる吸入空気量制御といった各種制御が電子制御装置8により行なわれる。
【0043】
高圧燃料ポンプ5の燃料吐出量制御では、機関回転速度NE及び機関負荷KLに応じて高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力の目標値を設定する。具体的には、高圧となる燃焼室内の圧力に抗して高圧燃料噴射弁47からの燃料噴射を可能とするために、図2に示すように、機関回転速度NEが高いときには低いときに比べて、また機関負荷KLが高いときには低いときに比べて燃料圧力の目標値が高くされる。そして、上記目標値と燃料圧力センサ81により検出される燃料圧力PHDとに基づいて燃料圧力PHDを上記目標値とするために必要な燃料吐出量を算出し、上記燃料吐出量及びカムポジションセンサからの検出結果に基づいて把握されるプランジャ53の位置に応じて電磁ソレノイド56に対して印可する電圧を制御する。これにより、高圧燃料ポンプ5の圧送行程中における電磁スピル弁55の閉弁時間を制御し、高圧燃料ポンプ5からの燃料吐出量が制御される。
【0044】
また、燃料噴射制御では、機関回転速度NE及び機関負荷KLに応じて高圧燃料噴射弁47及び低圧燃料噴射弁37の双方から噴射される燃料量の総和(以下、総燃料噴射量)Qtotalを設定する。また、図3に示すように、機関回転速度NE及び機関負荷KLに応じて総燃料噴射量Qtotalにおける高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料量の割合(以下、高圧基本割合Kdbase(=1−Kpbase)、0≦Kdbase≦1)を設定する。すなわち、「1」から高圧基本割合Kdbaseを減じた値が、総燃料噴射量Qtotalにおける低圧燃料噴射弁37から噴射される燃料量の割合(以下、低圧基本割合Kpbase、0≦Kpbase≦1)である。ここで、高圧基本割合Kdbase(低圧基本割合Kpbase)は、そのときどきの機関運転状態において、内燃機関7の燃料消費量の節減や、内燃機関7のトルク変動の低減を的確に図ることのできる値であり、実験等を通じて予め設定されている。そして、上記総燃料噴射量Qtotalに対して各基本割合Kpbase、Kdbaseを乗じることにより燃料噴射量QD、QPを算出し、これら燃料噴射量QP、QDに基づいて各燃料噴射弁37、47に対して印可する電圧を制御する。これにより、各燃料噴射弁37、47の開弁時間を制御し、各燃料噴射弁37、47からの燃料噴射量が制御される。
【0045】
また、燃料噴射制御では、機関回転速度NEが所定回転速度以上においてアクセル開度ACCPが全閉とされることを条件に燃料カット要求が出され、同要求に伴い各燃料噴射弁37、47からの燃料噴射が停止されて燃料カットが行なわれる。尚、燃料カットの実行中において、アクセル開度ACCPが開かれる、或いは機関回転速度が上記所定回転速度よりも低い復帰回転速度以下となると、燃料カット要求が停止されて、各燃料噴射弁37、47からの燃料噴射が再開される。
【0046】
ところで、高圧燃料噴射弁47による燃料噴射は、同噴射弁47に対する通電によりその弁体を変位させることにより行なわれる。また、高圧燃料噴射弁47を開弁するために、その弁体に対して閉弁方向に作用する燃料圧力に抗して同弁体を開弁方向に変位させるための力を付与する必要がある。そのため、高圧燃料噴射弁47に対する通電時間が過度に短く設定された場合には、燃料噴射が好適に行なわれなくなるおそれがある。そこで、図4に示すように、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力PHDが高いほど、燃料噴射量の下限値QDmin、すなわち高圧燃料噴射弁47に対する通電時間の下限値を大きく設定するようにしている。
【0047】
ところで、こうした内燃機関の制御装置にあっては、前述したように、以下の問題が生じるおそれがある。すなわち、高負荷運転時において高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力が高くされている状態から、低負荷運転に移行すると、これに伴い高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力を低くすべく高圧燃料ポンプ5の燃料吐出量が制御される。しかしながら、実際の燃料圧力が低負荷運転時に対応した圧力まで低下するには時間遅れがあるために、低負荷運転に移行した後しばらくの間は、燃料圧力が低負荷運転時に対応した圧力よりも高い状態となる。その結果、混合気の空燃比が目標空燃比よりもリッチとなり、排気性状が悪化するといった問題が生じるおそれがある。
【0048】
更に、本実施形態では、排気性状を向上させる目的から、高負荷運転時において高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料圧力を更に高めるべく、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力の最大値を従来よりも高めるようにしている。しかしながら、高負荷運転から低負荷運転に移行した際に実際の燃料圧力が低負荷運転時に対応した燃料圧力まで低下するのに要する時間は、高負荷運転時における燃料圧力が高められるほど長くなる。その結果、上述した問題が一層顕著なものとなる。
【0049】
これに対して、低負荷運転に移行した後に高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料量を少なくすべく、高圧燃料噴射弁47の開弁時間を短くする、すなわち高圧燃料噴射弁47に対する通電時間を短くすることが考えられる。しかしながら、上述したように、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力が高いときにはこれに応じて高圧燃料噴射弁47に対する通電時間の下限値が大きく設定されることから、通電時間を短くして高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料量を少なくすることには限界がある。
【0050】
また、高圧燃料ポンプ5には、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力を低減するために、燃料をリークするリーク機構(図示略)が設けられているが、リーク機構により燃料圧力を早期に低減することには限界がある。
【0051】
そこで、本実施形態では、電子制御装置8を通じて、以下の燃料圧力低減処理を行なうようにしている。すなわち、内燃機関7の低負荷運転時に燃料圧力PHDが所定圧力Pth(KL)以上である場合には、高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料量の割合(以下、高圧補正割合Kd(=1−Kp))を、上記基本割合Kdbaseよりも大きく補正するようにしている。ここで、「Kp」は、低圧燃料噴射弁37から噴射される燃料量の割合(以下、低圧補正割合)である。すなわち、燃料圧力PHDが低負荷運転時に対応した所定圧力Pth(KL)未満である場合には、機関回転速度NE及び機関負荷KLにより設定された基本割合Kdbase、Kpbaseにて高圧燃料噴射弁47及び低圧燃料噴射弁37からの燃料の噴射を行なうようにしている。一方、燃料圧力PHDが低負荷運転時に対応した所定圧力Pth(KL)以上である場合には、上記補正された補正割合Kd、Kpにて高圧燃料噴射弁47及び低圧燃料噴射弁37からの燃料の噴射を行なうようにしている。これにより、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力を早期に低下させることができ、燃料圧力が低負荷運転時に対応した圧力よりも高いことに起因して混合気の空燃比が目標空燃比よりもリッチになる期間を短くし、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力低下の時間遅れに起因して、混合気の空燃比が目標空燃比よりもリッチ側にずれることを的確に抑制するようにしている。
【0052】
次に、図5のフローチャートを参照して、本実施形態に係る燃料圧力低減処理について説明する。尚、このフローチャートに示される一連の処理は、内燃機関7の運転中において所定周期毎に繰り返し実行される。
【0053】
図5に示すように、この一連の処理では、まず、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力PHDが所定圧力Pth(KL)以上であるか否かを判断する(ステップS11)。所定圧力Pth(KL)は機関負荷KLに応じて設定される値であり、低負荷運転時における高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力の目標値よりも大きい値に設定されている。ここで、燃料圧力PHDが上記所定圧力Pth(KL)未満であると判断した場合(ステップS11:「NO」)には、この一連の処理を一旦終了する。
【0054】
一方、ステップS11において、燃料圧力PHDが上記所定圧力Pth(KL)以上であると判断した場合(ステップS11:「YES」)には、次に、ステップS12に進んで、現在、低負荷運転であるか否かを判断する。ここで、低負荷運転ではない場合には、燃料圧力の低減を行なう必要がないとして、この一連の処理を一旦終了する。
【0055】
一方、ステップS12において、低負荷運転であると判断した場合(ステップS12:「YES」)には、次に、ステップS13に進んで、低圧基本割合Kpbaseが「0」であるか否かを判断する。ここで、低圧基本割合Kpbaseが「0」であると判断した場合(ステップS14:「YES」)には、次に、ステップS14に進んで、高圧燃料噴射弁47の燃料噴射量QDとして総燃料噴射量Qtotalを設定するとともに、低圧燃料噴射弁37の燃料噴射量QPとして「0」を設定して、この一連の処理を一旦終了する。
【0056】
一方、ステップS13において、低圧基本割合Kpbaseが「0」でないと判断した場合(ステップS14:「NO」)には、次に、ステップS15に進んで、総燃料噴射量Qtotalが、高圧燃料噴射弁47の燃料噴射量の下限値QDminと低圧燃料噴射弁37の燃料噴射量の下限値QPminとの総和(=QDmin+QPmin)よりも小さいか否かを判断する。ここで、総燃料噴射量Qtotalが上記総和(=QDmin+QPmin)よりも小さいと判断した場合(ステップS15:「YES」)には、次に、ステップS16に進んで、高圧燃料噴射弁47の燃料噴射量QDとして総燃料噴射量Qtotalを設定するとともに、低圧燃料噴射弁37の燃料噴射量QPとして「0」を設定して、この一連の処理を一旦終了する。
【0057】
一方、ステップS15において、総燃料噴射量Qtotalが上記総和(=QDmin+QPmin)以上であると判断した場合(ステップS15:「NO」)には、次に、ステップS17に進んで、高圧燃料噴射弁47の燃料噴射量QDとしてそのとき同噴射弁47から噴射可能な燃料量の最大値QDmaxを設定するとともに、低圧燃料噴射弁37の燃料噴射量QPとして、総燃料噴射量Qtotalから上記高圧燃料噴射弁47の燃料噴射量QDを減じた値(=Qtotal−QDmax)を設定して、この一連の処理を一旦終了する。
【0058】
次に、図6のタイミングチャートを参照して、本実施形態における燃料圧力低減処理の作用について説明する。尚、図6は、高負荷運転から低負荷運転への移行時における、(a)アクセル開度ACCPの推移、(b)燃料カット要求の推移、(c)高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力PHDの推移を併せ示すタイミングチャートである。また、図6(c)において、本実施形態における燃料圧力低減処理が実行された場合における燃料圧力PHDの推移を実線にて示すとともに、同燃料圧力低減処理が行なわれない場合における燃料圧力PHDの推移を破線にて示している。また、燃料圧力の目標値の推移を一点鎖線にて示す。
【0059】
図6に示すように、アクセル開度ACCPがA2とされており、高負荷運転されている状態のタイミングt1において、アクセル開度ACCPが全閉(A0(<A2))とされると(a)、これに伴い燃料カット要求が「ON」にされ(b)、燃料カットが行なわれる。
【0060】
このとき、アクセル開度ACCPが全閉とされることに伴い、図6にて一点鎖線にて示すように、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力の目標値は、それまでのPHD2からPHD0(<PHD2)に低減される。これに伴い高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力PHDは徐々に低下するようになる。そして、タイミングt1から十分な時間が経過していないタイミングt2において、アクセル開度ACCPが増大されてA1(A0<A1<A2)とされ(a)、燃料噴射が再開されて低負荷運転に移行したときには、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力PHDは上記所定圧力Pth(KL)よりも高い状態となる。このとき、従来の内燃機関の制御装置では、各基本割合Kdbase、Kpbaseにて燃料噴射が行なわれるため、図6にて破線にて示すように、タイミングt4となるまでは燃料圧力PHDが低負荷運転時に対応した燃料圧力、すなわち目標値PHD1よりも高い状態となる(c)。その結果、混合気の空燃比が目標空燃比よりもリッチとなり、排気性状が悪化するといった問題が生じるおそれがある。
【0061】
これに対して、本実施形態では、タイミングt2以降において、各基本割合Kdbase、Kpbaseを補正した各補正割合Kd、Kpにて燃料噴射が行なわれるため、図6にて実線にて示すように、燃料圧力PHDの低下速度が大きくなり、タイミングt4よりも早いタイミングt3において燃料圧力PHDが上記目標値PHD1となる。従って、燃料圧力PHDが上記目標値PHD1よりも高い期間(t2〜t3)を従来の内燃機関の制御装置による期間(t2〜t4)よりも短くなる。
【0062】
以上説明した本実施形態に係る内燃機関の制御装置によれば、以下に示す作用効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、電子制御装置8を通じて、高圧燃料ポンプ5からの燃料吐出量の制御により高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力を機関負荷KLに応じて調整するようにしている。また、高圧燃料噴射弁47及び低圧燃料噴射弁37の双方から噴射される燃料量の総和である総燃料噴射量Qtotalにおける高圧燃料噴射弁47からの噴射される燃料量の基本割合Kdbase(=1−Kpbase)を機関回転速度NE及び機関負荷KLに応じて設定するようにしている。そして、内燃機関7の低負荷運転時に燃料圧力PHDが低負荷運転時に対応した燃料圧力よりも高い所定圧力Pth(KL)以上である場合には、総燃料噴射量Qtotalにおける高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料量の割合Kd(=1−Kp)を、上記基本割合Kdbaseよりも大きく補正するようにしている。すなわち、燃料圧力PHDが低負荷運転時に対応した所定圧力Pth(KL)未満である場合には、機関回転速度NE及び機関負荷KLにより設定された基本割合Kdbase、Kpbaseにて高圧燃料噴射弁47及び低圧燃料噴射弁37からの燃料の噴射を行なうようにしている。一方、燃料圧力PHDが低負荷運転時に対応した所定圧力Pth(KL)以上である場合には、上記補正された補正割合Kd、Kpにて高圧燃料噴射弁47及び低圧燃料噴射弁37からの燃料の噴射を行なうようにしている。高負荷運転時において高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力が高くされている状態から、低負荷運転に移行すると、これに伴い高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力を低くすべく高圧燃料ポンプ5の吐出量が制御される。しかしながら、実際の燃料圧力が低負荷運転時に対応した圧力まで低下するには時間遅れがあるために、低負荷運転に移行した後しばらくの間は、燃料圧力が低負荷運転時に対応した圧力よりも高い状態となる。このとき、上記構成によれば、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力PHDが上記所定圧力Pth(KL)以上であるとして、高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料量の補正割合Kdが、機関回転速度NE及び機関負荷KLに応じて設定される基本割合Kdbaseよりも大きくされる。これにより、高圧デリバリパイプ46内の燃料を積極的に消費することで、同パイプ46内の燃料圧力を早期に低下させることができ、燃料圧力が低負荷運転時に対応した圧力よりも高いことに起因して混合気の空燃比が目標空燃比よりもリッチになる期間を短くすることができるようになる。従って、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力低下の時間遅れに起因して、混合気の空燃比が目標空燃比よりもリッチ側にずれることを的確に抑制することができるようになる。
【0063】
(2)また、本実施形態では、電子制御装置8を通じて、総燃料噴射量Qtotalが、高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料量の下限値QDminと低圧燃料噴射弁37から噴射される燃料量の下限値QPminとの総和(=QDmin+QPmin)よりも小さい場合には、低圧燃料噴射弁37からの燃料噴射を禁止して高圧燃料噴射弁47から総燃料噴射量Qtotalを噴射するようにしている。これにより、高圧燃料噴射弁47によって総燃料噴射量Qtotalが噴射されることで、高圧デリバリパイプ46内の燃料を積極的に消費することで、同パイプ46内の燃料圧力を早期に低下させることができ、燃料圧力が低負荷運転時に対応した圧力よりも高いことに起因して混合気の空燃比が目標空燃比よりもリッチになる期間を短くすることができるようになる。
【0064】
(3)また、本実施形態では、電子制御装置8を通じて、総燃料噴射量Qtotalが、高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料量の下限値QDminと低圧燃料噴射弁37から噴射される燃料量の下限値QPminとの総和(=QDmin+QPmin)以上である場合には、高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料量の補正割合Kdを、そのとき高圧燃料噴射弁47から噴射可能な燃料量の最大値QDmaxとなるように補正するようにしている。これにより、高圧燃料噴射弁47からはそのとき噴射することのできる最大の燃料量QDmaxが噴射されることとなる。これにより、高圧デリバリパイプ46内の燃料を積極的に消費することで、同パイプ46内の燃料圧力を早期に低下させることができ、燃料圧力が低負荷運転時に対応した圧力よりも高いことに起因して混合気の空燃比が目標空燃比よりもリッチになる期間を短くすることができるようになる。
【0065】
尚、本発明にかかる内燃機関の制御装置は、上記実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
【0066】
・本発明に係る内燃機関の制御装置は、直列4気筒式のガソリンエンジンに対して適用されるものに限られるものではない。他に例えば、5気筒以上の内燃機関や3気筒以下の内燃機関に対して本発明を適用することもできる。また、直列式の内燃機関に限られるものではなく、V型式の内燃機関や水平対向式の内燃機関等、他の内燃機関に対しても本発明を適用することができる。
【0067】
・上記実施形態では、高負荷運転状態のタイミングt1において、アクセル開度ACCPが全閉とされることに伴い燃料カット要求が「ON」にされて燃料カットを行なうようにした(先の図6参照)。これに代えて、高負荷運転状態から燃料カットの上記実行条件(ここではアクセル開度ACCPが全閉とされること)が成立してから、所定期間後に燃料カットを実行するようにしてもよい。すなわち、燃料カットの遅延制御を採用するようにしてもよい。これにより、高負荷運転状態においてアクセル開度ACCPが全閉とされても上記所定期間にわたり、高負荷運転状態が継続され、高圧燃料噴射弁47からの燃料が継続されるようになるため、高圧デリバリパイプ46内の燃料の消費が促進されて、同パイプ46内の燃料圧力を早期に低下させることができるようになる。尚、上記所定期間は実験等を通じて予め設定された値である。
【0068】
ただし、このように燃料カットの遅延制御を行なった場合であっても、その後、低負荷運転に移行したときに、燃料圧力PHDが低負荷運転時に対応した燃料圧力よりも高くなることがある。そこで、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力PHDが低負荷運転時に対応した圧力よりも高い場合には、低負荷運転時に対応した圧力以下である場合に比べて、総燃料噴射量Qtotalにおける高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料量の割合Kdを大きくするようにすればよい。これにより、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力低下の時間遅れに起因して、混合気の空燃比が目標空燃比よりもリッチ側にずれることを一層的確に抑制することができるようになる。
【0069】
・上記実施形態では、高負荷運転から低負荷運転に移行したときに、総燃料噴射量Qtotalが、高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料量の下限値QDminと低圧燃料噴射弁37から噴射される燃料量の下限値QPminとの総和(=QDmin+QPmin)以上である場合に、高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料量の補正割合Kdを、そのとき高圧燃料噴射弁47から噴射可能な燃料量の最大値QDmaxとなるようにした。また、高負荷運転から低負荷運転に移行したときに、総燃料噴射量Qtotalが、高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料量の下限値QDminと低圧燃料噴射弁37から噴射される燃料量の下限値QPminとの総和(=QDmin+QPmin)より小さい場合に、低圧燃料噴射弁37から噴射される燃料量の補正割合Kpを「0」にするようにした。すなわち、低圧燃料噴射弁37からの燃料噴射を禁止して高圧燃料噴射弁47によって総燃料噴射量Qtotalが噴射されるようにした。しかしながら、高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料用の補正割合Kdは上記実施形態にて例示したものに限られるものではなく、高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料量の割合を大きくすることに起因して内燃機関7の燃料消費量の増大やトルク変動の増大といった問題の発生が懸念される場合には、高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料量の割合Kdを上記実施形態にて例示したものよりも小さくすればよい。すなわち、内燃機関7の燃料消費量の増大やトルク変動の増大が許容される範囲内において高圧燃料噴射弁47から噴射される燃料量の割合を大きくすればよい。
【0070】
・上記実施形態では、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力を機関回転速度NE及び機関負荷KLの双方に応じて高圧燃料ポンプ5により調整するようにしているが、機関回転速度NEのみ、或いは機関負荷KLのみに応じて燃料圧力を調整するようにすることもできる。また、高圧デリバリパイプ46内の燃料圧力を調整する際のパラメータとしては、機関回転速度NEや機関負荷KLのみに限られるものではなく、他に例えば総燃料噴射量Qtotal等の機関運転状態を把握するための他のパラメータを採用することもできる。
【0071】
・上記実施形態では、高圧デリバリパイプ46(高圧燃料通路)内の燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力よりも高い場合に、当該機関運転状態に対応した圧力以下である場合に比べて、総燃料噴射量における高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を大きくするものについて例示した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、高圧燃料通路内の燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力よりも低い場合に、当該機関運転状態に対応した圧力以上である場合に比べて、総燃料噴射量における高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を小さくするとして具体化することもできる。この場合、こうした割合の変更が行なわれない従来の制御構成に比べて、高圧燃料通路内の燃料の消費を積極的に抑制することで、同通路内の燃料圧力を早期に上昇させることができ、燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力よりも低いことに起因して混合気の空燃比が目標空燃比よりもリーンになる期間を短くすることができるようになる。また、高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を小さくすることに起因して内燃機関の燃料消費量の増大やトルク変動の増大といった問題の発生が懸念される。そこで、こうした燃料消費量の増大やトルク変動の増大が許容される範囲内において高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を小さくすることが望ましい。
【符号の説明】
【0072】
1…燃料タンク、2…フィードポンプ、3…低圧燃料供給系、32…低圧燃料通路、33…フィルタ、34…リターン通路、35…プレッシャレギュレータ、36…低圧デリバリパイプ、37…低圧燃料噴射弁、4…高圧燃料供給系、41…吸入通路、42…高圧燃料通路、43…チェック弁、46…高圧デリバリパイプ、47…高圧燃料噴射弁、48…リリーフ通路、49…リリーフ弁、5…高圧燃料ポンプ(調整機構)、51…コイルスプリング、52…シリンダ、53…プランジャ、54…加圧室、55…電磁スピル弁、55a…接続ポート、56…電磁ソレノイド、57…コイルスプリング、61…排気カムシャフト、62…カム、7…内燃機関、71…気筒、72…吸気ポート、73…クランクシャフト、8…電子制御装置(設定部、補正部)、81…燃料圧力センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧燃料通路内の燃料を気筒内に直接噴射供給する高圧燃料噴射弁と、低圧燃料噴射通路内の燃料を当該気筒の吸気ポートに噴射供給する低圧燃料噴射弁と、機関運転状態に応じて前記高圧燃料通路内の燃料圧力を調整する調整機構とを備える内燃機関に適用されて、前記高圧燃料噴射弁及び前記低圧燃料噴射弁の双方から噴射される燃料量の総和である総燃料噴射量における前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を機関運転状態に応じて設定する内燃機関の制御装置であって、
前記高圧燃料通路内の燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力よりも高い場合には当該機関運転状態に対応した圧力以下である場合に比べて、前記総燃料噴射量における前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を大きくする
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
前記総燃料噴射量における前記高圧燃料噴射弁からの噴射される燃料量の割合を機関運転状態に応じて設定する設定部と、
前記高圧燃料通路内の燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力よりも高い場合には、前記総燃料噴射量における前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を前記設定部により設定された割合よりも大きく補正する補正部と、を備え、
前記高圧燃料通路内の燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力以下である場合には、前記設定部により設定された割合にて前記高圧燃料噴射弁及び前記低圧燃料噴射弁からの燃料の噴射を行なう一方、前記高圧燃料通路内の燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力よりも高い場合には、前記補正部により補正された割合にて前記高圧燃料噴射弁及び前記低圧燃料噴射弁からの燃料の噴射を行なう
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、
前記設定部は、前記総燃料噴射量における前記高圧燃料噴射弁からの噴射される燃料量の割合を、機関回転速度及び機関負荷に応じて設定する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の内燃機関の制御装置において、
前記高圧燃料通路内の燃料圧力を前記調整機構により機関負荷に応じて調整するものであり、
前記補正部は、内燃機関の低負荷運転時に前記高圧燃料通路内の燃料圧力が低負荷運転時に対応した燃料圧力よりも高い所定圧力以上である場合には、前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を前記設定部により設定された割合よりも大きく補正する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
前記補正部は、前記高圧燃料噴射弁及び前記低圧燃料噴射弁の双方から噴射される燃料量の総和である総燃料噴射量が、前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の下限値と前記低圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の下限値との総和よりも小さい場合には、前記低圧燃料噴射弁からの燃料噴射を禁止して前記高圧燃料噴射弁から前記総燃料噴射量を噴射する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
前記補正部は、前記高圧燃料噴射弁及び前記低圧燃料噴射弁の双方から噴射される燃料量の総和である総燃料噴射量が、前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の下限値と前記低圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の下限値との総和以上である場合には、前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を、そのとき前記高圧燃料噴射弁から噴射可能な燃料量の最大値となるように補正する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項7】
高圧燃料通路内の燃料を気筒内に直接噴射供給する高圧燃料噴射弁と、低圧燃料噴射通路内の燃料を当該気筒の吸気ポートに噴射供給する低圧燃料噴射弁と、機関運転状態に応じて前記高圧燃料通路内の燃料圧力を調整する調整機構とを備える内燃機関に適用されて、前記高圧燃料噴射弁及び前記低圧燃料噴射弁の双方から噴射される燃料量の総和である総燃料噴射量における前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を機関運転状態に応じて設定する内燃機関の制御装置であって、
前記高圧燃料通路内の燃料圧力が機関運転状態に対応した圧力よりも低い場合には当該機関運転状態に対応した圧力以上である場合に比べて、前記総燃料噴射量における前記高圧燃料噴射弁から噴射される燃料量の割合を小さくする
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
前記調整機構は前記高圧燃料通路に設けられて同通路に燃料を圧送する高圧燃料ポンプである
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−256726(P2011−256726A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129242(P2010−129242)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】